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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177251
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】メタン生成システム
(51)【国際特許分類】
   C07C 1/12 20060101AFI20231206BHJP
   H01M 8/0612 20160101ALI20231206BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20231206BHJP
   H01M 8/04014 20160101ALI20231206BHJP
   C01B 3/38 20060101ALI20231206BHJP
   C07C 9/04 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
C07C1/12
H01M8/0612
H01M8/04 J
H01M8/04014
C01B3/38
C07C9/04
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067794
(22)【出願日】2023-04-18
(62)【分割の表示】P 2023506168の分割
【原出願日】2022-05-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】尾中 洋次
(72)【発明者】
【氏名】谷島 誠
(72)【発明者】
【氏名】篠木 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】川本 誠
(72)【発明者】
【氏名】中島 誠治
【テーマコード(参考)】
4G140
4H006
5H127
【Fターム(参考)】
4G140EA03
4G140EA06
4G140EC02
4G140EC03
4H006AA02
4H006AC29
4H006BA21
4H006BA23
4H006BE20
4H006BE41
5H127AC15
5H127BA02
5H127BA12
5H127BA14
5H127BA20
5H127BA28
5H127BB02
(57)【要約】
【課題】メタンの生成効率を高めることができるメタン生成システムを提供する。
【解決手段】本開示に係るメタン生成システムは、水素を用いたメタン化反応によってメタンを含む燃料ガスを得るメタン反応器、を有するメタン生成部と、前記燃料ガスを改質して改質ガスを得る改質器と、前記改質ガスと酸素含有ガスとから生成物ガスを得る反応により発電を行う燃料電池と、前記生成物ガスの一部である返送流体から、二酸化炭素を含む回収ガスを分離する回収装置と、前記回収ガスを前記メタン生成部に導く循環経路と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素を用いたメタン化反応によってメタンを含む燃料ガスを得るメタン反応器を有するメタン生成部と、
前記燃料ガスを改質して改質ガスを得る改質器と、
前記改質ガスと酸素含有ガスとから生成物ガスを得る反応により発電を行う燃料電池と、
前記生成物ガスの一部である返送流体から、二酸化炭素を含む回収ガスを分離する回収装置と、
前記回収ガスを前記メタン生成部に導く循環経路と、を備える、
メタン生成システム。
【請求項2】
前記生成物ガスの一部を前記改質器に導く返送経路をさらに備える、請求項1に記載のメタン生成システム。
【請求項3】
二酸化炭素を含む補助ガスを前記回収装置に供給する補助供給経路をさらに備える、請求項1に記載のメタン生成システム。
【請求項4】
前記循環経路に、前記循環経路を流れるガスに含まれる二酸化炭素の濃度を高める濃縮器が設けられている、請求項1に記載のメタン生成システム。
【請求項5】
二酸化炭素を含む補助ガスを前記循環経路に供給する補助供給経路と、前記補助ガスに含まれる二酸化炭素の濃度を高める補助濃縮器と、をさらに備える、請求項1に記載のメタン生成システム。
【請求項6】
二酸化炭素を含む補助ガスを前記メタン生成部に供給する補助供給経路と、前記補助ガスに含まれる二酸化炭素の濃度を高める補助濃縮器と、をさらに備える請求項4に記載のメタン生成システム。
【請求項7】
前記補助供給経路は、前記補助ガスとして屋内の空気を供給する、請求項5に記載のメタン生成システム。
【請求項8】
前記回収装置は、空気調和機の熱交換器による温度調整を利用して前記回収ガスを得る、請求項1~7のうちいずれか1項に記載のメタン生成システム。
【請求項9】
前記回収装置は、空気調和機の送風機による送風を利用して前記回収ガスを得る、請求項1~7のうちいずれか1項に記載のメタン生成システム。
【請求項10】
前記回収装置は、空気調和機の熱交換器および前記燃料電池を利用した温度調整によって前記回収ガスを得る、請求項1~7のうちいずれか1項に記載のメタン生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、メタン生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、二酸化炭素と水を用いてメタンを製造する装置を開示する。この装置は、水と二酸化炭素とを還元して、水素と一酸化炭素とを含む合成ガスを得る。この装置は、合成ガスからメタンを生成させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-22978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記技術では、メタンの生成効率が低くなる可能性があった。
【0005】
本開示は、上記の事情に鑑みて、メタンの生成効率を高めることができるメタン生成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るメタン生成システムの一つの態様は、水を電気分解して水素を得る電解装置、および、前記水素を用いたメタン化反応によってメタンを含む燃料ガスを得るメタン反応器、を有するメタン生成部と、前記燃料ガスを改質して改質ガスを得る改質器と、前記改質ガスと酸素含有ガスとから生成物ガスを得る反応により発電を行う燃料電池と、前記生成物ガスの一部である返送流体から、二酸化炭素を含む回収ガスを分離する回収装置と、前記回収ガスを前記メタン生成部に導く循環経路と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、メタンの生成効率を高めることができるメタン生成システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係るメタン生成システムの模式図である。
図2】実施の形態2に係るメタン生成システムの模式図である。
図3】実施の形態3に係るメタン生成システムの模式図である。
図4】実施の形態4に係るメタン生成システムの一部の模式図である。
図5】実施の形態5に係るメタン生成システムの一部の模式図である。
図6】実施の形態6に係るメタン生成システムの模式図である。
図7】実施の形態7に係るメタン生成システムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施の形態について説明する。なお、本開示の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1におけるメタン生成システムを示す模式図である。
図1に示すように、メタン生成システム1は、メタン生成部2と、改質器3と、燃料電池4と、回収装置5と、循環経路6と、返送経路7と、を備える。メタン生成システムは、「燃料電池システム」ともいう。
【0011】
メタン生成部2は、供給経路110と、電解装置120と、メタン反応器130と、を備える。
供給経路110は、図示しない供給源から供給された水(水蒸気)を電解装置120に導く。供給経路110には、水を気化させる蒸発器(水蒸気生成部)が設けられていてもよい。
【0012】
電解装置120は、水(HO)を電気分解し、水素(H)および酸素(O)を含む混合ガスを得る。電気分解は、例えば、以下に示す式(I)に従って進行する。
2HO→2H+O ・・・(I)
【0013】
電解装置120では、例えば、再生可能エネルギー(例えば、太陽光発電、風力発電等)を用いて生成された電力を用いて電気分解を行うことができる。再生可能エネルギーを用いて得られたメタンは、燃焼利用しても追加的な二酸化炭素の発生がないことから、地球温暖化に影響しないカーボンニュートラル燃料と考えることができる。
【0014】
メタン反応器130は、循環経路6から供給された二酸化炭素(CO)と、電解装置120からの水素(H)とから、メタン化反応によって、メタン(CH)および水(HO)を含む燃料ガスを得る。メタン化反応は、例えば、以下に示す式(II)に従って進行する。
CO+4H→CH+2HO ・・・(II)
【0015】
メタン反応器130は、混合ガスが接触するメタン化触媒を備えることが好ましい。メタン化触媒としては、Ni触媒、Ru触媒などが挙げられる。メタン化触媒は、メタン化反応を促進する。
【0016】
メタン反応器130で得られる燃料ガスは、メタンおよび水だけでなく、未反応の二酸化炭素、水素(H)などを含む。
燃料ガスは、排出経路60を通して改質器3に導かれる。改質器3に導かれる燃料ガスに含まれる水は、水蒸気であることが望ましい。
【0017】
改質器3は、燃料ガスに含まれるメタンおよび水(水蒸気)から、改質反応によって、一酸化炭素(CO)および水素(H)を含む改質ガスを得る。改質反応は、例えば、以下に示す式(III)に従って進行する。
CH+HO→CO+3H ・・・(III)
【0018】
改質器3は、燃料ガスが接触する改質触媒を備えることが好ましい。改質触媒としては、Ni触媒、Ru触媒などが挙げられる。改質触媒は、改質反応を促進する。
【0019】
改質器3は、一酸化炭素変成器および一酸化炭素除去器を備えることが望ましい。改質ガスは、一酸化炭素変成器および一酸化炭素除去器によって、一酸化炭素の濃度を低くすることができる。一酸化炭素変成器は、Cu触媒、Fe触媒などの一酸化炭素変成触媒を備える。一酸化炭素変成器において、一酸化炭素の一部は二酸化炭素となる。一酸化炭素除去器は、一酸化炭素をメタン化するメタン化触媒を備える。メタン化触媒としては、Ru触媒などが挙げられる。一酸化炭素除去器において、一酸化炭素の一部はメタンとなる。
改質ガスは、一酸化炭素変成器および一酸化炭素除去器によって一酸化炭素の濃度が低くなるため、水素(H)を主成分とするガスとなる。
【0020】
酸素含有ガス(酸化剤含有ガス)は、供給経路8から供給され、改質器3を経由して燃料電池4に導かれる。酸素含有ガスは、酸化剤として酸素(O)を含む。酸素含有ガスは、例えば、空気である。
【0021】
改質ガスは、燃料電池4のアノードに供給される。酸素含有ガスは、燃料電池4のカソードに供給される。燃料電池4では、水素(H)を含む改質ガスと、酸素含有ガスとの反応により発電がおこなわれる。この反応は、発熱反応である。燃料電池4では、改質ガスと酸素含有ガスとの反応により、水(水蒸気)を含む生成物ガスを得る。生成物ガスは、水(水蒸気)だけでなく、未反応の水素(H)および二酸化炭素を含む。
生成物ガスの一部は、図示しない排出経路から排出される。
【0022】
回収装置5は、生成物ガスの一部である返送流体F1から、二酸化炭素を含む回収ガスF2を分離し、回収する。
回収装置5には、例えば、吸着分離、膜分離、冷却分離、遠心分離、重力分離、気液分離などの分離手法が採用される。回収装置5には、これらの分離手法のうち1つを採用してもよいし、2以上を組み合わせてもよい。
【0023】
吸着分離を用いた回収装置5は、例えば、特定の成分を吸着剤、吸着液などに吸着させて分離する。吸着剤としては、シリカゲル、ゼオライト、活性炭などが挙げられる。具体的には、二酸化炭素を含む成分を吸着剤に吸着させることによって、この成分を、他の成分と分離することができる。吸着剤は、粒状、粉状などであってよい。粒状は、例えば、ビーズ状(球形)、ペレット状(円柱形)などである。粉状の吸着剤を用いる場合、吸着剤は基材の表面に担持させてもよい。基材は、例えば、ハニカム形状であってもよい。
【0024】
吸着分離を用いた回収装置5は、吸着剤から二酸化炭素を分離する機能を有する。回収装置5は、例えば、加熱装置を備える。加熱装置は、吸着剤を加熱することによって吸着剤から二酸化炭素を分離させる。回収装置5は、減圧ポンプなどの減圧装置を備えていてもよい。減圧装置は、吸着剤を減圧下に置くことで、吸着剤から二酸化炭素を分離させる。
【0025】
膜分離を用いた回収装置5は、例えば、低分子成分が透過できる透過膜を用いて特定の成分を他の成分から分離する。具体的には、例えば、水素(H)を含む成分を、パラジウム透過膜を用いて、二酸化炭素を含む成分から分離することができる。
冷却分離を用いた回収装置5は、例えば、冷却により特定の成分を液化させて他の成分(気体)から分離する。具体的には、例えば、水を含む成分を液化させ、二酸化炭素を含む気体と分離することができる。
【0026】
遠心分離を用いた回収装置5は、例えば、冷却により特定の成分(水を含む成分)を液化させ、この成分を遠心力によって他の成分(二酸化炭素を含む気体)から分離する。重力分離を用いた回収装置5は、例えば、冷却により特定の成分(水を含む成分)を液化させ、この成分を重力によって他の成分(二酸化炭素を含む気体)から分離する。気液分離を用いた回収装置5は、例えば、冷却により特定の成分(水を含む成分)を液化させ、この成分を重力、遠心力、表面張力などによって他の成分(二酸化炭素を含む気体)から分離する。
【0027】
回収装置5では、返送流体F1に比べて二酸化炭素濃度が高い回収ガスF2を得ることができる。
【0028】
循環経路6は、導出路61と、返送路62と、を備える。
導出路61は、燃料電池4と回収装置5とを接続する。導出路61は、燃料電池4から、生成物ガスの一部を返送流体F1として取り出す。導出路61は、返送流体F1を回収装置5に導く。
【0029】
返送路62は、回収装置5とメタン反応器130とを接続する。返送路62は、二酸化炭素を含む回収ガスF2をメタン反応器130に導く。
【0030】
返送経路7は、燃料電池4と改質器3とを接続する。返送経路7は、燃料電池4から、生成物ガスの一部を返送流体F3として取り出し、改質器3に返送する。
【0031】
メタン生成システム1は、燃料電池4から排出される生成物ガスの一部(返送流体F1)から、未反応の二酸化炭素を含む回収ガスF2を分離する回収装置5と、回収ガスF2をメタン生成部2に導く循環経路6とを備える。メタン生成システム1によれば、二酸化炭素を含む回収ガスF2がメタン生成部2に返送されるため、メタン生成部2におけるメタン化反応の効率を高めることができる。よって、メタン生成効率を高めることができる。
メタン生成システム1は、返送流体F3を改質器3に導く返送経路7を備えるため、燃料電池4で発生した熱を改質器3で利用することができる。よって、エネルギー効率を高めることができる。
【0032】
メタン生成システム1は、返送経路7を備えるため、改質器3において二酸化炭素の生成量を高めることができる。そのため、燃料電池4から排出される生成物ガスにおける二酸化炭素の濃度を高めることができる。よって、回収装置5における二酸化炭素の回収効率を高めることができる。
【0033】
実施の形態2.
次に、実施の形態2に係るメタン生成システムについて説明する。本実施の形態に係るメタン生成システムは、実施の形態1と共通の構成を有するため、主に、実施の形態1と異なる点を説明する。実施の形態1と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0034】
図2は、実施の形態2に係るメタン生成システムの模式図である。
図2に示すように、メタン生成システム201は、メタン生成部2に代えてメタン生成部202を備える。メタン生成システム201は、循環経路6に代えて循環経路206を備える。メタン生成システム201は、これらの点で、実施の形態1のメタン生成システム1(図1参照)と異なる。
【0035】
メタン生成部202は、供給経路10と、共電解装置20と、メタン反応器30と、循環経路50を備える。
供給経路10は、図示しない供給源から供給された水(水蒸気)を共電解装置20に導く。供給経路10には、水を気化させる蒸発器(水蒸気生成部)が設けられていてもよい。供給経路10は、水だけを供給してもよいが、水と二酸化炭素の両方を供給してもよい。
【0036】
共電解装置20は、例えば、カソード電極およびアノード電極を有する固体酸化物形電解セルを備える。固体酸化物形電解セルには、例えば、酸素イオン伝導性を有する固体酸化物が用いられる。電解質としては、ジルコニア系酸化物などが用いられる。共電解装置20は、電解装置の一例である。
【0037】
共電解装置20は、供給経路10から供給された水(または、水と二酸化炭素)を固体酸化物形電解セルのカソード電極に供給する。固体酸化物形電解セルにおける共電解に用いられる水は、水蒸気であることが望ましい。共電解装置20では、循環経路206から導かれた、二酸化炭素を含む回収ガスF2を固体酸化物形電解セルのカソード電極に供給する。
【0038】
共電解装置20は、固体酸化物形電解セルを加熱する加熱装置を備えていてもよい。加熱装置は、固体酸化物形電解セル内の温度を共電解反応に適した温度に調整することができる。
固体酸化物形電解セルに供給される二酸化炭素と水との比率は、目的とする混合ガスの成分(一酸化炭素、水素)の比率に応じて定めることができる。
【0039】
共電解装置20は、二酸化炭素(CO)および水(HO)から、共電解によって一酸化炭素(CO)および水素(H)を含む混合ガスを得る。共電解は、例えば、以下に示す式(IV)に従って進行する。この反応は、吸熱反応である。
CO+HO→CO+H+O ・・・(IV)
【0040】
共電解装置20では、例えば、再生可能エネルギー(例えば、太陽光発電、風力発電等)を用いて生成された電力を用いて共電解を行うことができる。再生可能エネルギーを用いて得られたメタンは、燃焼利用しても追加的な二酸化炭素の発生がないことから、地球温暖化に影響しないカーボンニュートラル燃料と考えることができる。
【0041】
本実施の形態では、二酸化炭素および水から共電解によって一酸化炭素および水素を得る共電解装置20が用いられるが、一酸化炭素および水素(H)を得るための装置は共電解装置に限らない。例えば、二酸化炭素を電気分解して一酸化炭素を得る工程と、水を電気分解して水素(H)を得る工程とを独立に行う電解装置を用いることもできる。
【0042】
共電解装置20で得られる混合ガスは、一酸化炭素および水素(H)だけでなく、未反応の二酸化炭素および水を含む。
共電解装置20の入口は、供給経路10および返送路262が接続された箇所である。共電解装置20の出口は、混合ガスが導出される箇所である。
【0043】
メタン反応器30は、一酸化炭素(CO)および水素(H)から、メタン化反応によって、メタン(CH)および水(HO)を含む燃料ガスを得る。メタン化反応は、例えば、以下に示す式(V)に従って進行する。この反応は、発熱反応である。
CO+3H→CH+HO ・・・(V)
【0044】
メタン反応器30は、混合ガスが接触するメタン化触媒を備えることが好ましい。メタン化触媒としては、Ni触媒、Ru触媒などが挙げられる。メタン化触媒は、メタン化反応を促進する。
メタン反応器30は、混合ガスからメタノールを生成させ、メタノールからメタンを生成させてもよい。
【0045】
メタン反応器30で得られる燃料ガスは、メタンおよび水だけでなく、未反応の一酸化炭素、水素(H)、二酸化炭素などを含む。
燃料ガスは、排出経路60を通して改質器3に導かれる。
メタン反応器30の入口は、共電解装置20から混合ガスが導入される箇所である。メタン反応器30の出口は、排出経路60が接続された箇所である。
【0046】
循環経路50は、メタン反応器30と共電解装置20とを接続する。循環経路50の始端(第1端)はメタン反応器30の出口に近い位置に接続される。循環経路50の終端(第2端)は共電解装置20に接続される。循環経路50は、メタン反応器30で得られた燃料ガスの一部を共電解装置20に導く。
【0047】
循環経路206は、導出路61と、返送路262と、を備える。返送路262は、回収装置5と共電解装置20とを接続する。返送路262は、二酸化炭素を含む回収ガスF2を共電解装置20に導く。
【0048】
メタン生成システム201は、燃料電池4から排出される生成物ガス(返送流体F1)から二酸化炭素を含む回収ガスF2を分離する回収装置5と、回収ガスF2をメタン生成部202に導く循環経路206とを備える。メタン生成システム1によれば、未反応物である二酸化炭素を含む回収ガスF2がメタン生成部202に返送されるため、メタン生成部202におけるメタン化反応の効率を高めることができる。よって、メタン生成効率を高めることができる。
【0049】
メタン生成システム201は、電解装置として共電解装置20を用いるため、共電解によって、一酸化炭素と水素(H)を含む混合ガスを得ることができる。そのため、二酸化炭素および水素を含む混合ガスを用いる場合に比べ、メタン反応器30におけるメタン化反応の効率を高めることができる。
メタン生成システム201は、回収ガスF2をメタン生成部2に導く循環経路6を備えるため、燃料電池4で発生した熱を共電解装置20で利用することができる。よって、エネルギー効率を高めることができる。
【0050】
実施の形態3.
次に、実施の形態3に係るメタン生成システムについて説明する。実施の形態2と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0051】
図3は、実施の形態3に係るメタン生成システムの模式図である。
図3に示すように、メタン生成システム301は、補助供給経路302を備える。補助供給経路302は、図示しない供給源から供給された補助ガスF4を回収装置5に供給する。補助ガスF4は、二酸化炭素を含む。補助ガスF4は、例えば、空気である。補助ガスF4は、二酸化炭素の濃度が空気の二酸化炭素濃度に比べて高いガスであってもよい。
【0052】
メタン生成システム301では、補助供給経路302によって、二酸化炭素を含む補助ガスF4を回収装置5に供給することができるため、回収装置5における二酸化炭素の回収量を多くできる。そのため、メタン生成部202に供給される二酸化炭素の量を多くできる。よって、メタン生成効率を高めることができる。
【0053】
実施の形態4.
次に、実施の形態4に係るメタン生成システムについて説明する。実施の形態2と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0054】
図4は、実施の形態4に係るメタン生成システムの一部の模式図である。
図4に示すように、メタン生成システム401は、補助供給経路402と、補助回収装置403と、補助濃縮器404と、濃縮器405と、を備える。
補助供給経路402は、図示しない供給源から供給された補助ガスF4を導く。補助供給経路402は、循環経路206(返送路262)に接続されている。補助ガスF4は、二酸化炭素を含む。補助ガスF4は、空気であってもよいし、二酸化炭素の濃度が空気の二酸化炭素濃度に比べて高いガスであってもよい。
【0055】
補助回収装置403は、補助供給経路402に設けられる。補助回収装置403は、補助ガスF4から、二酸化炭素を含む補助回収ガスF5を分離し、回収する。補助回収装置403には、例えば、吸着分離、膜分離、冷却分離、遠心分離、重力分離、気液分離などの分離手法が採用される。補助回収装置403は、回収装置5(図1参照)と同様の構成であってよい。補助回収装置403では、補助ガスF4に比べて二酸化炭素濃度が高い補助回収ガスF5を得ることができる。
【0056】
補助濃縮器404は、補助供給経路402に設けられる。補助濃縮器404は、補助回収装置403と同様に、例えば、吸着分離、膜分離、冷却分離、遠心分離、重力分離、気液分離などの分離手法によって、補助回収ガスF5の二酸化炭素濃度を高めることができる。二酸化炭素濃度が高められた補助回収ガスF5は、補助供給経路402を通して循環経路206(返送路262)に導かれる。補助回収ガスF5は、循環経路206(返送路262)を流れる回収ガスF2と合流する。
【0057】
濃縮器405は、循環経路206(返送路262)に設けられる。濃縮器405は、補助回収装置403と同様に、例えば、吸着分離、膜分離、冷却分離、遠心分離、重力分離、気液分離などの分離手法によって、循環経路206(返送路262)を流れるガスの二酸化炭素濃度を高めることができる。二酸化炭素濃度が高められたガスは、循環経路206(返送路262)を通してメタン生成部202に導かれる。
【0058】
メタン生成システム401では、補助供給経路402によって、二酸化炭素の回収量を多くできる。メタン生成システム401では、補助濃縮器404および濃縮器405によって、二酸化炭素濃度を高めたガスをメタン生成部202に供給できる。よって、メタン生成効率を高めることができる。二酸化炭素濃度を高めたガスをメタン生成部202に供給できるため、エネルギー効率を高めることができる。
【0059】
実施の形態5.
次に、実施の形態5に係るメタン生成システムについて説明する。実施の形態2と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0060】
図5は、実施の形態5に係るメタン生成システムの一部の模式図である。
図5に示すように、メタン生成システム501は、補助供給経路502と、補助回収装置503と、補助濃縮器504と、第2回収装置505と、濃縮器506と、を備える。
【0061】
補助供給経路502は、図示しない供給源から供給された補助ガスF4を導く。
補助回収装置503は、補助供給経路502に設けられる。補助回収装置503は、補助ガスF4から、二酸化炭素濃度が高い補助回収ガスF5を分離し、回収する。
補助濃縮器504は、補助供給経路502に設けられる。補助濃縮器504は、補助回収ガスF5の二酸化炭素濃度を高めることができる。二酸化炭素濃度が高められた補助回収ガスF5は、補助供給経路502を通してメタン生成部202に導かれる。
【0062】
第2回収装置505は、循環経路206(返送路262)に設けられる。第2回収装置505は、回収ガスF2から、二酸化炭素濃度が高められた回収ガスF6を得る。
濃縮器506は、循環経路206(返送路262)に設けられる。濃縮器506では、回収ガスF6の二酸化炭素濃度をさらに高めることができる。二酸化炭素濃度が高められた回収ガスF6は、循環経路206(返送路262)を通してメタン生成部202に導かれる。
【0063】
メタン生成システム501では、補助供給経路502によって、二酸化炭素の回収量を多くできる。メタン生成システム501では、補助回収装置503、補助濃縮器504、第2回収装置505および濃縮器506によって、二酸化炭素濃度を高めたガスをメタン生成部202に供給できる。よって、メタン生成効率を高めることができる。二酸化炭素濃度を高めたガスをメタン生成部202に供給できるため、エネルギー効率を高めることができる。
【0064】
実施の形態6.
次に、実施の形態6に係るメタン生成システムについて説明する。実施の形態2と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
図6は、実施の形態6に係るメタン生成システムの模式図である。
図6に示すように、メタン生成システム601は、補助供給経路302を備える(図3参照)。補助供給経路302は、補助ガスF4を回収装置5に供給する。
【0065】
補助ガスF4は、空気に比べて二酸化炭素の濃度が高い。補助ガスF4は、例えば、屋内の空気である。屋内の空気は、屋内にいる利用者の呼気を含むため、屋外の空気に比べて二酸化炭素濃度が高い。補助ガスF4としては、建物に設けられた室内換気用の換気装置から排出された排出ガスを挙げることができる。
【0066】
メタン生成システム601では、補助供給経路302によって、二酸化炭素が高い補助ガスF4を回収装置5に供給することができるため、回収装置5における二酸化炭素の回収量を多くできる。そのため、メタン生成部202に供給される二酸化炭素の量を多くできる。よって、メタン生成効率を高めることができる。
【0067】
実施の形態7.
次に、実施の形態7に係るメタン生成システムについて説明する。実施の形態2と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
図7は、実施の形態7に係るメタン生成システムの模式図である。
図7に示すように、メタン生成システム701は、回収装置5に代えて回収装置705を備える点で、実施の形態2のメタン生成システム201(図2参照)と異なる。回収装置705は、空気調和機702に設けられている。
【0068】
空気調和機702は、室内に、調和された空気を送ることができる。空気調和機702は、冷房運転と暖房運転のうち少なくとも一方を行う。空気調和機702は、熱交換器703と、送風機704とを備える。熱交換器703は、例えば、室内機用の熱交換器である。熱交換器703は、空気の温度を調整する。送風機704は、熱交換器703によって温度調整された空気を室内に送り出す。
【0069】
回収装置705は、分離手法によっては、温度および湿度によってその特性が影響を受ける。例えば、吸着剤を用いた吸着分離の場合、温度および湿度を適正化することによって、吸着剤の吸着特性を良くすることができる。被吸着物(二酸化炭素)を吸着剤から分離させる際も、温度および湿度を適正化することによって、分離特性を良くすることができる。そのため、回収装置705は、空気調和機702の熱交換器703を用いて温度調整および湿度調整を行うことによって、二酸化炭素濃度が高い回収ガスF2を得ることができる。
【0070】
回収装置705は、燃料電池4からの返送流体F1の熱を利用して、温度を調整することができる。そのため、燃料電池4の排熱を用いた温度調整によって、二酸化炭素濃度が高い回収ガスF2を得ることができる。
【0071】
メタン生成システム701では、既存の空気調和機702を用いて温度および湿度を調整するため、回収装置に専用の温度調整手段を用いる場合に比べ、装置コストを抑えることができる。
【0072】
回収装置705は、分離手法によっては、返送流体F1の流れによってその特性が影響を受ける。例えば、吸着剤を用いた吸着分離の場合、吸着剤と接触する返送流体F1の流速等を適正化することによって、吸着剤の吸着特性を良くすることができる。被吸着物(二酸化炭素)を吸着剤から分離させる際も、返送流体F1の流速等を適正化することによって、吸着剤からの分離特性を良くすることができる。そのため、回収装置705は、空気調和機702の送風機704を用いて送風量等の調整を行うことによって、二酸化炭素濃度が高い回収ガスF2を得ることができる。
【0073】
なお、本開示の技術的範囲は前記実施の形態に限定されず、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、回収装置、補助回収装置、濃縮器および補助濃縮器数の数は、それぞれ1でもよいし、複数(2以上の任意の数)でもよい。
【0074】
電解装置120(図1参照)および共電解装置20(図2参照)では、電気分解によって酸素(O)が発生する。この酸素は、酸素含有ガスとして、供給経路8を通して改質器3に供給してもよい(図1および図2参照)。酸素含有ガスとしては、電解装置から得た酸素と空気とを含む混合ガスを用いてもよい。すなわち、酸素含有ガスは、電解装置から得た酸素を含むガスであってよい。
この手法によれば、酸素含有ガスにおける酸素以外の成分(窒素等)の濃度を低くすることができる。そのため、燃料電池4からの生成物ガスの二酸化炭素濃度を高めることができる。よって、回収装置5で得られる回収ガスF2の二酸化炭素濃度を高めることができる。
【符号の説明】
【0075】
1,201,301,401,501,601,701…メタン生成システム 2,202…メタン生成部 3…改質器 4…燃料電池 5…回収装置 6…循環経路 7…返送経路 20…共電解装置(電解装置) 30,130…メタン反応器 120…電解装置 302,402,502…補助供給経路 404,504…補助濃縮器 405,506…濃縮器 702…空気調和機 703…熱交換器 704…送風機 F1…返送流体 F2…回収ガス F4…補助ガス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7