IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 芝浦メカトロニクス株式会社の特許一覧

特開2023-177254ピックアップコレット、ピックアップ装置及び実装装置
<>
  • 特開-ピックアップコレット、ピックアップ装置及び実装装置 図1
  • 特開-ピックアップコレット、ピックアップ装置及び実装装置 図2
  • 特開-ピックアップコレット、ピックアップ装置及び実装装置 図3
  • 特開-ピックアップコレット、ピックアップ装置及び実装装置 図4
  • 特開-ピックアップコレット、ピックアップ装置及び実装装置 図5
  • 特開-ピックアップコレット、ピックアップ装置及び実装装置 図6
  • 特開-ピックアップコレット、ピックアップ装置及び実装装置 図7
  • 特開-ピックアップコレット、ピックアップ装置及び実装装置 図8
  • 特開-ピックアップコレット、ピックアップ装置及び実装装置 図9
  • 特開-ピックアップコレット、ピックアップ装置及び実装装置 図10
  • 特開-ピックアップコレット、ピックアップ装置及び実装装置 図11
  • 特開-ピックアップコレット、ピックアップ装置及び実装装置 図12
  • 特開-ピックアップコレット、ピックアップ装置及び実装装置 図13
  • 特開-ピックアップコレット、ピックアップ装置及び実装装置 図14
  • 特開-ピックアップコレット、ピックアップ装置及び実装装置 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177254
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】ピックアップコレット、ピックアップ装置及び実装装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
H01L21/52 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071502
(22)【出願日】2023-04-25
(31)【優先権主張番号】P 2022089812
(32)【優先日】2022-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】冨樫 徳和
【テーマコード(参考)】
5F047
【Fターム(参考)】
5F047AA17
5F047CA00
5F047FA08
5F047FA31
(57)【要約】
【課題】簡易な構成により、ピックアップ対象となるチップ及びその周囲のチップへの影響を抑えて、チップをピックアップできるピックアップコレット、ピックアップ装置及び実装装置を提供する。
【解決手段】実施形態のピックアップコレット21は、行列状にシート11に支持された複数のチップ2のうち、いずれかのチップ2をピックアップするピックアップコレット21であって、負圧によりチップ2を吸引保持する保持部211と、複数のチップ2のうち、ピックアップしようとするチップ2に隣り合うチップ2の天面であって、ピックアップしようとするチップ2の外縁に沿う縁部を含む領域に接する接触部212と、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
行列状にシートに支持された複数のチップのうち、いずれかの前記チップをピックアップするピックアップコレットであって、
負圧により前記チップを吸引保持する保持部と、
複数の前記チップのうち、ピックアップしようとする前記チップに隣り合う前記チップの天面であって、ピックアップしようとする前記チップの外縁に沿う縁部を含む領域に接する接触部と、
を有することを特徴とするピックアップコレット。
【請求項2】
前記接触部と前記保持部との間には、前記保持部に吸引された前記チップが接触しない逃げ部が設けられていることを特徴とする請求項1記載のピックアップコレット。
【請求項3】
前記シートを介して突き上げられた前記チップが、前記シートから剥離可能な高さ位置で前記保持部に接するように、前記保持部がピックアップしようとする前記チップに接する高さ位置が、前記接触部がピックアップしようとする前記チップに隣り合う前記チップに接する高さ位置と離間していることを特徴とする請求項1記載のピックアップコレット。
【請求項4】
前記保持部と前記接触部は一体的に設けられていることを特徴とする請求項1記載のピックアップコレット。
【請求項5】
電子部品を含む前記チップが行列状に貼り付けられたシートから、前記チップをピックアップするピックアップ装置であって、
請求項1乃至4のいずれかに記載のピックアップコレットと、
前記ピックアップコレットを、前記シートにおける前記チップを吸引保持可能な位置まで接近させ、前記ピックアップコレットが吸引保持した前記チップを、前記シートから引き剥がして移送する移動機構と、
を有することを特徴とするピックアップ装置。
【請求項6】
請求項5記載のピックアップ装置と、
前記ピックアップコレットに対して相対的に移動可能に設けられ、前記ピックアップコレットから前記チップを受け取るボンディングヘッドと、
前記ボンディングヘッドに保持された前記チップを、基板に移送して搭載する搭載装置と、
を有することを特徴とする実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピックアップコレット、ピックアップ装置及び実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハから個片化された、電子部品として機能するチップを実装する実装装置においては、例えば、チップをウェーハシートからピックアップして基板まで搬送し、基板に押し付けて搭載し実装する。チップのピックアップは、ピックアップヘッドなどの保持部にチップを吸引保持して、保持部がウェーハシートから離れるように移動することにより、ウェーハシートからチップを離脱させる。その際、突き上げピンや押し上げ体等により、ウェーハシートを介してチップを突き上げる。また、チップを基板に実装する場合、保持部が吸引保持したチップを、基板の上に搬送し、保持部を基板に向かって移動させることにより、チップを基板に押し付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-128339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子部品の小型化、薄型化が進んだため、ウェーハシートの粘着力に比べてチップの剛性が低くなり、ピックアップされるチップに、ウェーハシートから剥離する際の曲げ応力によってダメージが与えられ、割れや欠けが生じる場合がある。また、ピックアップ対象のチップの周囲のチップが、突き上げられたウェーハシートとともに持ち上がり、割れや欠け、意図しないウェーハシートからの剥がれが生じる場合がある。
【0005】
さらに、円形であるウェーハをダイシングにより個片化した場合、ウェーハの周縁に沿う部分には、電子部品として機能しないチップや、欠けなどにより外形不良となったチップが存在する領域がある。このようなチップの個片が、ピックアップ時にウェーハシートから剥がれてしまう場合がある。剥がれたチップがウェーハ上に散逸すると、ピックアップすべきチップをピックアップできなくなる可能性や、チップの表面を傷つける可能性がある。
【0006】
これに対処するため、ピックアップしようとするチップの周囲のチップを、持ち上がらないように押さえ付ける機構を別途設けることが考えられる。しかし、このような機構を設けることで、装置の構成が複雑になり、コスト高となる。また、周囲のチップの個片には種々の大きさや形状があるため、別途追加された機構で、それぞれのチップについて、剥がれが生じ難い適切な位置で押さえることは困難である。
【0007】
本発明の実施形態は、簡易な構成により、ピックアップ対象となるチップ及びその周囲のチップへの影響を抑えて、チップをピックアップできるピックアップコレット、ピックアップ装置及び実装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本実施形態は、行列状にシートに支持された複数のチップのうち、いずれかの前記チップをピックアップするピックアップコレットであって、負圧により前記チップを吸引保持する保持部と、複数の前記チップのうち、ピックアップしようとする前記チップに隣り合う前記チップの天面であって、ピックアップしようとする前記チップの外縁に沿う縁部を含む領域に接する接触部と、を有する。
【0009】
また、本実施形態は、電子部品を含むチップが行列状に貼り付けられたシートから、前記チップをピックアップするピックアップ装置であって、前記ピックアップコレットと、前記ピックアップコレットを、前記シートにおける前記チップを吸引保持可能な位置まで接近させ、前記ピックアップコレットが吸引保持した前記チップを、前記シートから引き剥がして移送する移動機構と、を有する。
【0010】
さらに、本実施形態の実装装置は、前記ピックアップ装置と、前記ピックアップコレットに対して相対的に移動可能に設けられ、前記ピックアップコレットから前記チップを受け取るボンディングヘッドと、前記ボンディングヘッドに保持された前記チップを、基板に移送して搭載する搭載装置と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態は、簡易な構成により、ピックアップ対象のチップ及びその周囲のチップへの影響を抑えて、チップをピックアップできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態の実装装置を示す正面図である。
図2】実施形態の実装装置を示す平面図である。
図3】チップの配置及びピックアップ順を示す平面図である。
図4】実施形態のピックアップコレットを示す下面側斜視図である。
図5】実施形態のピックアップコレットの側面図である。
図6】実施形態のピックアップコレットの下面図である。
図7図6のA-A矢視断面図である。
図8】ピックアップコレットによるピックアップ手順を示す説明図である。
図9】ピックアップコレットによるピックアップ手順を示すフローチャートである。
図10】ピックアップされるチップの周囲のチップを押さえる一例を示す平面図である。
図11】ピックアップされるチップの周囲のチップを押さえる他の一例を示す平面図である。
図12】ピックアップコレットを分割構成とした変形例を示す断面図である。
図13】ピックアップコレットの接触部の変形例を示す下面図である。
図14】ピックアップコレットの接触部の他の変形例を示す下面図である。
図15】ピックアップコレットの接触部の他の変形例を示す下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態(以下、本実施形態と呼ぶ)について、図面を参照して具体的に説明する。なお、図面は模式図であって、各部のサイズ、比率等は、理解を容易にするために誇張している部分を含んでいる。
【0014】
図1及び図2に示すように、本実施形態は、電子部品として機能するチップ2を基板3へ実装する実装装置1である。実装装置1は、チップ2の供給装置10、ピックアップ装置20、搭載装置30、基板ステージ40及び制御装置50を有する。実装装置1は、供給装置10からピックアップ装置20によってピックアップされたチップ2を、反転させて、搭載装置30に受け渡し、基板ステージ40に支持される基板3に押し付けて搭載し実装する。
【0015】
[チップ]
チップ2は、例えば、矩形状の薄小片部品である。本実施形態のチップ2は、図3に示すように、円形であるウェーハをダイシングにより個片に分割した半導体チップである。電子部品として機能するチップ2は、表裏のうち一面に半導体素子として機能する機能面を有する。
【0016】
個片に分割された各チップ2は、ダイシングによる隙間を空けて、後述するシート11上にマトリクス(行列)状に並んだ状態となっている。ピックアップ対象のチップ2には、その周囲に間隔を空けて隣り合うチップ2が存在する。このようなチップ2が、ピックアップ対象のチップ2の周囲のチップ2(以後、単に「周囲のチップ2」と呼ぶ)である。ウェーハの外周縁に沿う領域には、外縁が欠けている外形不良のチップ2や電子部品として機能しないチップ2が存在し、これらのチップ2も周囲のチップ2に含まれる。また、前工程の検査で素子不良と判断され、電子部品として機能しないチップ2も存在する。当然、これらのチップ2も周囲のチップ2に含まれる。なお、チップ2をピックアップ済みの領域については、チップ2が存在しない領域となる。つまり、周囲のチップ2は、4辺に対応して常に存在するとは限らない。
【0017】
[供給装置]
供給装置10は、チップ2をピックアップ装置20へと供給する装置である。供給装置10は、ピックアップ対象のチップ2を供給位置P1に移動させる。供給位置P1とは、ピックアップ装置20が、ピックアップ対象となるチップ2をピックアップする位置である。供給装置10は、チップ2が貼り付けられたシート11を支持する供給ステージ12、供給ステージ12を移動させるステージ移動機構13を備える。このステージ移動機構13としては、例えば、サーボモータによって駆動されるボールねじ機構によって、レール上をスライダが移動するリニアガイドを用いることができる。
【0018】
チップ2が貼り付けられるシート11は、ここでは、図示しないウェーハリングに貼り付けられた粘着性を有するウェーハシートである。シート11上には、図3に示すように、ダイシングされた複数のチップ2がマトリクス状に貼り付けられている。本実施形態では、チップ2は、機能面が上方に露出したフェイスアップ状態で配置されているものとする。
【0019】
供給ステージ12は、シート11が貼り付けられたウェーハリングを水平に支持する台である。つまり、供給ステージ12は、チップ2が貼り付けられたシート11を、ウェーハリングを介して支持する。供給ステージ12は、ステージ移動機構13によって、水平方向に移動可能に設けられている。シート11は、供給ステージ12とともにステージ移動機構13に水平に支持されているため、シート11及び当該シート11に載せられたチップ2もまた、水平方向に移動可能に設けられている。
【0020】
なお、図1に示すように、水平方向のうち、供給装置10と搭載装置30が並ぶ方向をX軸方向、X軸に直交する方向をY軸方向という。また、シート11の平面に直交する方向をZ軸方向または上下方向という。上方向とは、シート11の平面を境界としてチップ2が載せられている側の方向であり、下方向とは、シート11の平面を境界としてチップ2が載せられていない側の方向である。さらに、Z軸方向の位置を高さ位置とする。これらの方向は、実装装置1の配置方向を限定するものではない。
【0021】
[ピックアップ装置]
ピックアップ装置20は、供給装置10から電子部品として機能するチップ2をピックアップし、ピックアップしたチップ2を搭載装置30に受け渡す装置である。このピックアップ装置20は、ピックアップコレット21と、移動機構22と、反転機構23と、突き上げ機構24とを備える。
【0022】
(ピックアップコレット)
ピックアップコレット21は、チップ2を吸引保持する。図4図7に示すように、ピックアップコレット21は、ピックアップ対象のチップ2よりも大きな矩形の板体である。ピックアップコレット21の材質としては、例えば、金属、樹脂、ゴムなどを用いることができる。
【0023】
ピックアップコレット21は、取付ベース210、保持部211、接触部212、逃げ部213を有する。取付ベース210は、後述するピックアップヘッド228に取り付けられる板状体である(図1図4及び図5参照)。保持部211は、負圧によりチップ2を吸引保持する。図4に示すように、保持部211は取付ベース210の下面が板状に突出した部分である。保持部211は、吸着面211a、溝211b、吸引口211cを有する。なお、図5は、図4に示した矢印の方向から見た側面図である。
【0024】
吸着面211aは、ピックアップ対象のチップ2と相似の矩形で、チップ2の上面に接してチップ2を保持する面である。溝211bは、後述する吸引口211cに連通する溝で、例えば、吸着面211aに形成された格子状の窪みである。本実施形態では、図6に示すように、吸着面211aに、田の字状の溝211bが形成されている。つまり、吸着面211aに相似形な枠と、この枠内に連続した十字の形状を有する溝である。吸引口211cは、吸着面211aの中央であって、溝211b内に形成された開口である。吸引口211cは、図7に示すように、ピックアップコレット21内を上下方向に貫通した吸引孔21aに連通している。このため、吸引孔21aに負圧を供給すると、吸引口211cを介して溝211bの全体に負圧が作用するので、吸着面211aにチップ2の上面が吸引保持される(図8(C)参照)。
【0025】
接触部212は、図7に示すように、ピックアップしようとするチップ2に隣り合うチップ2(周囲のチップ2)の天面であって、ピックアップしようとするチップ2の外縁に沿う縁部を含む領域に接する。ピックアップしようとするチップ2は、ピックアップ対象のチップ2であって、保持部211が吸引保持しようとするチップ2である。図7では、中央に示すチップ2である。そして、その両脇のチップ2が隣り合うチップ2であって、すなわち、周囲のチップ2である。接触部212は、保持部211の下面、つまりチップ2に対向する面が突出した部分である。接触部212のチップ2に向かう面は、チップ2に接離する平坦な接触面212aとなっている。本実施形態の接触部212は、矩形であるチップ2に対応して、ピックアップ対象となるチップ2の四方八方に隣り合うチップ2に接離するように、ピックアップコレット21の保持部211の下面の全周に沿って、吸着面211aを囲うように設けられている。
【0026】
図7に示すように、チップ2が、シート11から剥離可能な高さ位置で保持部211に接するように、保持部211がピックアップ対象のチップ2に接する高さ位置h1は、接触部212がピックアップ対象のチップ2に隣り合うチップ2に接する高さ位置h2よりも高い。つまり、保持部211の吸着面211aは、接触部212の接触面212aと離間した位置(チップ2に対して遠い位置)に設けられ、接触面212aは、吸着面211aよりもチップ2に近い位置となる。
【0027】
逃げ部213は、接触部212と吸着面211aとの間に設けられ、チップ2が接触しない部分である。つまり、吸着面211aの周囲に逃げ部213が設けられ、逃げ部213の周囲に接触部212が設けられる。本実施形態の逃げ部213は、吸着面211aの周囲に連続して設けられた窪みである。逃げ部213の水平方向の幅Wと垂直方向の高さHは、保持部211に保持されたチップ2が、接触部212の内側面と干渉しない寸法となっている。
【0028】
(移動機構)
移動機構22は、図1及び図2に示すように、供給位置P1と受け渡し位置P2との間でピックアップコレット21を往復移動させ、また、供給位置P1及び受け渡し位置P2で昇降させる機構である。なお、受け渡し位置P2とは、ピックアップ装置20が、供給位置P1でピックアップしたチップ2を後述する受取部として機能するボンディングヘッド31に受け渡す位置である。供給位置P1及び受け渡し位置P2は、主にXY軸方向の位置を意味し、必ずしもZ軸方向の位置を意味するものではない。
【0029】
移動機構22は、駆動機構220を移動させることにより、ピックアップコレット21を左右方向に移動させる。駆動機構220は、ピックアップコレット21を上下方向に移動させる昇降機構として機能する。つまり、図1に示すように、駆動機構220のブラケット226は、移動ブロック226a、アーム226bを有する。移動ブロック226aは、駆動体223に固着されている。アーム226bの一端は移動ブロック226aに取り付けられ、アーム226bの他端は、筒状体のホルダ227に取り付けられている。
【0030】
ホルダ227には、ピックアップコレット21が取り付けられたピックアップヘッド228が、上下動可能に支持されている。ピックアップヘッド228は、バネ等の弾性体によって下方に付勢されている。駆動機構220によって、駆動体223がリニアガイド222に沿って上下方向に駆動されるとともに、ホルダ227が上下動するので、ピックアップコレット21が上下動する。
【0031】
また、移動機構22は、スライド機構22aを備える。スライド機構22aは、駆動機構220を移動させることにより、保持部211を供給位置P1と受け渡し位置P2との間で往復移動させる。ここでは、スライド機構22aは、X軸方向と平行に延び、支持フレーム22bに固定されたレール22cと、レール22c上を走行するスライダ22dとを有する。スライダ22dは、図示はしないが、回転モータにより駆動されるボールねじ、リニアモータ等により駆動される。このスライダ22dに、駆動機構220が取り付けられている。
【0032】
なお、駆動機構220には、図示はしないが、ピックアップコレット21の接触部212のチップ2への接触を検出する接触検出部が設けられている。接触検出部は、変位センサを用いて、ピックアップコレット21とホルダ227との相対的な高さ位置の変位量に基づいて、接触部212にチップ2に対する接触を検出する。
【0033】
駆動機構220のホルダ227が下降するように駆動されると、ピックアップコレット21が下降して、接触部212がピックアップ対象のチップ2に隣り合うチップ2に接触する。すると、ピックアップコレット21の下降は停止するが、ホルダ227が下降を続け、停止しているピックアップコレット21とホルダ227とは相対移動することになる。このピックアップコレット21とホルダ227との間隔の変化が反映される変位センサの出力値が、予め設定されたしきい値を超えると、接触が検知される。なお、接触検出部は、突き上げられたチップ2が、ピックアップコレット21の吸着面211aに接触したことを、ピックアップコレット21とホルダ227との間隔の変化によって検出できる。
【0034】
(反転機構)
反転機構23は、アーム226bに接続され、ピックアップコレット21の向きを変更する機構である。反転機構23は、モータ等の駆動源、ボールベアリング等の回転ガイドを含んでなるアクチュエータである。ピックアップコレット21の向きとは、ピックアップコレット21の吸着面211aと反対側から、吸着面211aへと向かう向きとする。向きを変更するとは、上下方向に0°~180°回転させることである。例えば、吸着面211aを供給ステージ12へと向けたピックアップコレット21が、供給位置P1でチップ2を吸引保持する。その後、反転機構23は、吸着面211aが上に向くように、ピックアップコレット21の向きを変更する。この時、回転角度は180°である。
【0035】
(突き上げ機構)
突き上げ機構24は、シート11を介してピックアップ対象となるチップ2を突き上げる機構である。供給装置10のシート11の下方に設けられている。突き上げ機構24は、バックアップ体241、突き上げ体242及び図示しない駆動機構を有する。バックアップ体241は、先端が平坦な上面である筒状体である。バックアップ体241の上面は、接触部212の接触面212aとの間に、ピックアップ対象となるチップ2に隣り合うチップ2の縁部を挟む大きさとなっている。
【0036】
図8は、チップ2をピックアップする供給位置P1におけるピックアップコレット21、チップ2及び突き上げ機構24の断面を示している。図8に示すように、突き上げ体242は、バックアップ体241内に上下方向に移動可能に設けられた複数の部材である。突き上げ体242は、上面が矩形の平坦面である昇降体242aと、これと同軸の矩形の枠体である複数の昇降体242b、242cを有する。突き上げ体242の上面は、ピックアップ対象となるチップ2を含み、これに隣り合うチップ2を含まない領域を突き上げる大きさとなっている。
【0037】
バックアップ体241及び突き上げ体242の上面には、図示しない真空ポンプ等の負圧発生回路が接続された吸着孔が設けられ、シート11のピックアップ対象のチップ2に対応する部分及びその周囲部分を、負圧により吸引保持する。
【0038】
駆動機構は、バックアップ体241を上昇させてその上面をシート11に接触させ、昇降体242a、242b、242cをバックアップ体241から突出させることによりシート11を介してチップ2を突き上げて(図8(C)参照)、外側の昇降体242cから内側の昇降体242b、242aの順序で降下させることにより、シート11からチップ2を剥がす(図8(D)、(E)、(F)参照)。この駆動機構は、例えば、上下方向のレールにガイドされて移動するスライダと、スライダを駆動するエアシリンダやカム機構を含む。
【0039】
[搭載装置]
搭載装置30は、ピックアップ装置20から受け取ったチップ2を、実装位置P3まで搬送し、基板3に押し付けて搭載し、実装する装置である。実装位置P3とは、チップ2を基板3に実装する位置である。搭載装置30は、ボンディングヘッド31、移動機構32を有する。
【0040】
ボンディングヘッド31は、受け渡し位置P2で保持部211からチップ2を受け取る受取部としての機能を有し、また当該チップ2を実装位置P3で基板3に実装する装置である。ボンディングヘッド31は、チップ2を保持し、また実装後は保持状態を解除してチップ2を解放する。
【0041】
具体的には、図1に示すように、ボンディングヘッド31は、ノズル31aを備える。ノズル31aは、吸引によってチップ2を保持し、また吸引を解除してチップ2を解放する。ノズル31aは、吸引のためのノズル孔を備える。ノズル孔は、ノズル31aの先端の吸着面に開口する。ノズル孔は真空ポンプ等を含む負圧発生回路(図示せず)と連通しており、当該回路が負圧を発生させることによって、ノズル31aの吸着面にチップ2を吸引保持する。また、負圧を解除することで吸着面からチップ2の保持状態を解除する。
【0042】
移動機構32は、ボンディングヘッド31を、受け渡し位置P2と実装位置P3との間で往復移動させ、また、受け渡し位置P2及び実装位置P3で昇降させる機構である。具体的には、図2に示すように、移動機構32は、スライド機構321、昇降機構322を備える。
【0043】
スライド機構321は、ボンディングヘッド31を受け渡し位置P2と実装位置P3との間で往復移動させる。ここでは、スライド機構321は、X軸方向と平行に延び、支持フレーム321aに固定された2本のレール321bと、レール321b上を走行するスライダ321cとを有する。スライダ321cは、図示はしないが、回転モータにより駆動されるボールねじ、リニアモータ等により駆動される。
【0044】
昇降機構322は、スライダ321cに設けられ、ボンディングヘッド31をZ軸方向にスライド移動させる機構である。この昇降機構322も、Z軸方向のレールとレールを走行するスライダによって構成できる。スライダは、回転モータにより駆動されるボールねじ、リニアモータ等により駆動される。
【0045】
[基板ステージ]
基板ステージ40は、チップ2を実装するための基板3を支持する台である。基板ステージ40は、ステージ移動機構41に設けられている。ステージ移動機構41は、基板ステージ40をXY平面上でスライド移動させ、基板3におけるチップ2の実装予定位置を実装位置P3に位置付ける移動機構である。ステージ移動機構41は、例えば、サーボモータによって駆動されるボールねじ機構によって、レール上をスライダが移動するリニアガイドを用いることができる。
【0046】
[制御装置]
制御装置50は、供給装置10、ピックアップ装置20、搭載装置30、基板ステージ40の起動、停止、速度、動作タイミング等を制御する。制御装置50は、実装装置1の各種の機能を実現するべく、プログラムを実行するプロセッサ、プログラムや動作条件などの各種情報を記憶するメモリ、各要素を駆動する駆動回路等を有する。制御装置50には、図示はしないが、オペレータが制御に必要な指示や情報を入力する入力装置、装置の状態を確認するための表示装置が接続されている。入力装置は、スイッチ、タッチパネル、キーボード、マウスなどを用いることができる。表示装置は、液晶、有機ELなどを用いることができる。
【0047】
[動作]
以上のような実装装置1において、チップ2を基板3に実装する手順を説明する。なお、以下の説明は、フェイスダウン状態でチップ2を基板3に実装する手順である。図3に示すように、まず、ウェーハからチップ2をピックアップする順番は、図3の紙面の左上から開始して、上端列を左から右にピックアップを進める。右端まで来ると、下の列に変わって、右から左にピックアップを進める。このように、ジグザクを描くようにピックアップされるチップ2の場所を変えて行く。
【0048】
また、図3では、上記のようにウェーハの周縁部に存在する外形不良のチップ2、前工程の検査で素子不良と判断されて電子部品として機能しないチップ2は、ピックアップ対象外として、×印で示している。このようなピックアップ対象外のチップ2は、ピックアップされずにシート11に残される。例えば、素子不良と判断されたチップ2は、図中点線の矢印に示すように、スキップされて、シート11に残される。ウェーハの周縁部に存在する外形不良のチップ2も、同様にスキップされてシート11に残される。
【0049】
次に、個々のチップ2をピックアップする手順を、図8の説明図、図9のフローチャートを参照して説明する。すなわち、供給装置10は、供給ステージ12を移動させ、供給位置P1にピックアップ対象のチップ2を位置させる(ステップS101)。これとともに、図8(A)に示すように、ピックアップ装置20によって、ピックアップコレット21をバックアップ体241が位置する供給位置P1に移動させ、ピックアップコレット21の先端と突き上げ体242を対向させる。そして、供給位置P1におけるバックアップ体241及び突き上げ体242の吸引孔に負圧を作用させることにより、シート11を吸引する(ステップS102)。
【0050】
ピックアップコレット21が降下を開始して(ステップS103)、チップ2に接近して行く。図8(B)に示すように、ピックアップコレット21の接触部212が、ピックアップしようとするチップ2に隣り合うチップ2に接触したことが、接触検出部によって検出されると(ステップS104のYES)、降下を停止する(ステップS105)。
【0051】
図8(C)に示すように、突き上げ体242の全体、つまり昇降体242a、242b、242cが全て上昇を開始して、チップ2が突き上げられる(ステップS106)。突き上げ体242は、所定の高さ位置まで上昇して(ステップS107のYES)、停止する(ステップS108)。これにより、チップ2が吸着面211aに接触する。なお、所定の高さ位置は、バックアップ体241の上面を基準として、設計値でもよいし、事前に接触検出部によって検出された検出値に基づいた値であってもよい。
【0052】
ピックアップコレット21の吸引口211cに負圧を作用させることにより、チップ2を吸着面211aに吸引保持する(ステップS109)。そして、図8(D)、(E)、(F)に示すように、外側の昇降体242cから、内側の昇降体242b、242aの順に下降する(ステップS110)。これにより、チップ2からシート11が、外側から内側へと順次引き剥がされて行く。なお、図8(F)、(G)では、外側の昇降体242c、242bの上面の高さ位置が、バックアップ体241の上面の高さ位置よりも下がっているが、このような態様には限定されない。外側の昇降体242c、242bの上面の高さ位置が、バックアップ体241の上面の高さ位置と同程度であってもよい。つまり、複数の昇降体242a、242b、242cは、チップ2からシート11が剥がれる高さ位置に下降すればよい。また、ここでは、突き上げ体242により突き上げてチップ2を吸着面211aに押し付けてから、吸引口211cからの吸引を開始しているが、突き上げ開始とともに吸引を開始してもよい。
【0053】
次に、図8(G)に示すように、ピックアップコレット21が上昇を開始して(ステップS111)、あらかじめ設定された所定量上昇すると(ステップS112のYES)、停止する(ステップS113)。これにより、ピックアップしようとするチップ2が、隣り合うチップ2のシート11からの剥がれを防止しつつ、ピックアップコレット21によってピックアップされる。
【0054】
ピックアップ装置20は、反転機構23によって、ピックアップコレット21を反転させる。また、ピックアップ装置20は、移動機構22によって、受け渡し位置P2にピックアップしたチップ2を移動させる。受け渡し位置P2では、搭載装置30のボンディングヘッド31が待機しており、反転したピックアップコレット21に保持されたチップ2と対向する。
【0055】
受け渡し位置P2に位置したピックアップコレット21に向けてボンディングヘッド31を下降させ、ボンディングヘッド31のノズル31aでチップ2を吸引保持した後、ピックアップコレット21が負圧を解除することにより、ボンディングヘッド31へとチップ2を受け渡す。この後、ボンディングヘッド31は、ピックアップコレット21から離間するように上昇、実装位置P3へと移動し、チップ2を基板3に実装する。
【0056】
[効果]
(1)本実施形態のピックアップコレット21は、シート11に支持された複数のチップ2のうち、いずれかのチップ2をピックアップするピックアップコレット21であって、負圧によりチップ2を吸引保持する保持部211と、複数のチップ2のうち、ピックアップしようとするチップ2に隣り合うチップ2の天面であって、ピックアップしようとするチップ2の外縁に沿う縁部を含む領域に接する接触部212と、を有する。
【0057】
また、本実施形態は、電子部品を含むチップ2が行列状に貼り付けられたシート11から、チップ2をピックアップするピックアップ装置20であって、ピックアップコレット21と、ピックアップコレット21を、シート11におけるチップ2を吸引保持可能な位置まで接近させ、ピックアップコレット21が吸引保持したチップ2を、シート11から引き剥がして移送する移動機構22と、を有する。
【0058】
さらに、本実施形態の実装装置1は、ピックアップ装置20と、ピックアップコレット21に対して相対的に移動可能に設けられ、ピックアップコレット21からチップ2を受け取るボンディングヘッド31と、ボンディングヘッド31に保持されたチップ2を、基板3に移送して搭載する搭載装置30と、を有する。
【0059】
このため、ピックアップ対象のチップ2が吸引保持されてピックアップされる際に、シート11が引っ張られても、隣り合うチップ2の縁部が、接触部212に接して持ち上がることが防止されるので、周囲のチップ2が変形、破損することが抑制される。例えば、ピックアップヘッドを移動させる機構に加えて、周囲のチップ2を押え付ける機構を設けることは、装置の構成が複雑になり、コスト高となる。しかし、本実施形態の接触部212はピックアップコレット21に構成されているので、ピックアップコレット21とは別の駆動機構によって駆動する必要はなく、構成が簡素で安価となる。
【0060】
さらに、接触部212は、隣り合うチップ2の剥がれや変形が生じやすい縁部を含む領域に接するため、隣り合うチップ2の大きさや形状にかかわらず、適切な位置で押さえることができ、縁部の変形や破損を防ぐことができる。例えば、別途追加された機構によりピックアップコレット21とは別の部材で押さえる場合には、ピックアップされるチップ2に非常に近い位置にある縁部に対して、正確に位置決めして押えることは困難である。しかし、本実施形態の接触部212は、保持部211を有するピックアップコレット21に設けられた接触部212によって、周辺のチップ2の縁部に正確に位置決めして押さえることができる。このように、ピックアップ対象となるチップ2及びその周辺のチップ2への影響を抑えて、チップ2をピックアップし、基板3に実装することができる。
【0061】
なお、ピックアップが終わった場所は、空き領域となる。空き領域となった部分は、隣り合うチップ2が存在しないため、これを押さえる必要はない。しかし、チップ2は、シート11上にマトリクス(行列)状に並んだ状態となっている。このため、上記のような順番でチップ2をピックアップして行くピックアップのパターンにかかわらず、ピックアップ対象のチップ2の周囲には、空き領域が生じることになる。ピックアップ対象のチップ2の周囲のいずれの方向に空き領域が生じるかは、ピックアップのパターンにもよって変わる。また、ピックアップ対象のチップ2の周囲の空き領域でない領域にあるチップ2は押さえが必要となる。
【0062】
本実施形態の接触部212は、ピックアップコレット21の保持部211の下面の全周に沿って設けられている。したがって、いずれの方向に空き領域が生じても、押さえが必要なチップ2を押さえることができる。特に、ウェーハの周縁部にみられるような微小な個片は、意図せずにシート11から剥離しやすい。このような微小な個片も、図10に示すように、ピックアップ対象のチップ2をピックアップする際に、接触部212によって押さえられているので、シート11から剥離しないようにすることができる。また、例えば、図11に示すように、取り残したチップ2を再度ピックアップする場合で、ピックアップしようとするチップ2の周囲に一つのチップ2しかない場合でも、そのチップ2を押さえることができる。ピックアップの際、接触部212が、ピックアップしようとするチップ2に向かって移動し、押さえるべきピックアップしようとするチップ2の周囲のチップ2に、接触して停止する。したがって、ピックアップの対象となるチップ2の周囲のチップ2の個片がひとつでもあれば、そのチップ2を確実に押さえることができる。なお、図10図11では、ピックアップ済みのチップ2を網掛けで示し、ピックアップしようとしているチップ2を一点鎖線で示し、押さえられるチップ2の外形を太線で示している。
【0063】
また、チップ2をピックアップするパターンによって、あるいは取り残したチップ2を再度ピックアップする場合などで、ピックアップの対象となるチップ2の周囲にチップ2の個片が存在しない場合、接触部212が、押さえるべきチップ2に接触して停止することができない。このようなピックアップの場合は、ピックアップ直前に、制御装置50に接続されたカメラで撮像して、制御装置50が、ピックアップ対象のチップ2の周囲にチップ2の個片が存在しないことを認識する、あるいは、ピックアップ済の位置を記憶しておき、ピックアップ対象のチップ2の周囲にチップ2の個片が存在しないことを認識する。ピックアップの対象となるチップ2の周囲にチップ2の個片が存在しない場合を認識したならば、接触部212の接触を検出して停止するのではなく、所定のピックアップ可能な高さ位置で、ピックアップコレット21を停止して、ピックアップを行うようにすることもできる。
【0064】
(2)接触部212と保持部211との間には、保持部211に吸引されたチップ2が接触しない逃げ部213が設けられている。このため、保持部211に吸引保持されたチップ2が、接触部212の内壁などに接触して破損することが防止される。
【0065】
(3)シート11を介して突き上げられたチップ2が、シート11から剥離可能な高さ位置で保持部211に接するように、保持部211がピックアップ対象のチップ2に接する高さ位置が、接触部212がピックアップ対象のチップ2に隣り合うチップ2に接する高さ位置と離間している。このため、保持部211は、周囲のチップ2を押さえつつ、ピックアップ対象のチップ2を突き上げることができる。保持部211まで突き上げられたチップ2を、保持部211が吸引保持すると、ピックアップ対象のチップ2が、シート11から剥離し易い状態となり、スムーズなピックアップが可能となる。すなわち、保持部211は、周囲のチップ2を押さえつつ、ピックアップ対象のチップ2をピックアップする。よって、周囲のチップ2が、ピックアップ時にシート11から剥がれてしまい、剥がれたチップ2がウェーハ上に散逸して、ピックアップすべきチップ2をピックアップできなくなることや、他のチップ2の表面を傷つけるようなことを抑制することができる。このように、簡易な構成で、ピックアップ対象となるチップ2及びその周辺のチップ2への影響を抑えて、チップ2をピックアップし、基板3に実装することができる。
【0066】
(4)保持部211と接触部212は一体的に設けられている。このため、簡素な構造で安価に製造できる。
【0067】
[変形例]
本発明は、上記の実施形態には限定されない。上記の実施形態と基本的な構成は同様として、以下のような変形例も適用可能である。
(1)保持部211と接触部212は共通の材料により一続きに形成することにより、一体化させてもよいが、別部材により形成して、組み合わせることにより一体化させてもよい。これにより、チップ2の大きさや形状、間隔に合わせて、適切な大きさ、形状の保持部211、接触部212を組み合わせて対応できる。
【0068】
例えば、図12(A)に示すように、取付ベース210に設けられた貫通孔210a、接触部212に設けられた貫通孔212bに、保持部211を挿入可能に設けて、図12(B)に示すように、取付ベース210、保持部211、接触部212を組み合わせてひとつのピックアップコレット21とする。このようにすることで、保持部211や接触部212の形状や大きさを様々に変えたものを準備して交換することができ、チップ2の品種による大きさや形状の違いに、組み合わせて対応することができる。また、接触部212の接触面212aと保持部211の吸着面211aとの間隔を調整することもできる。これにより、保持部211の上下の位置を調整して、接触部212の押し込み量、チップ2の突き上げ量を調整することができる。さらに、最小限の部品点数で、様々なチップ2の段差に対応させることができる。このように、チップ2の品種に対応するために用意するピックアップコレット21の数の増大を抑えて、多くのチップ2の品種に対応させることができる。もちろん、必ずしも3つの組み合わせ部品とする必要はなく、取付ベース210と保持部211は一体とし、接触部212を組み合わせるようにしてもよい。
【0069】
(2)接触部212は、チップ2の周囲に対応するように4辺に設けられていなくてもよい。例えば、図13に示すように、チップ2の対向する2辺に沿う2辺にのみ、接触部212を設けてもよい。接触部212は、周辺のチップ2の天面の縁部を含む全面に接してもよい。例えば、ピックアップ対象となるチップ2に比べて、周辺のチップ2が小さい場合には、接触部212の接触面212aが、チップ2の全面に接して押さえる大きさであってもよい。また、チップ2の周囲のチップ2を押さえることができればよいため、図14に示すように、チップ2の角部に沿う4か所にのみ、接触部212を設けてもよいし、図15に示すように、チップ2の4辺に沿う位置の一部に、接触部212を設けてもよい。これにより、チップ2の周縁部分に接触する部分を低減できるので、チップ2の欠けなどが生じる可能性を低減できる。
【0070】
なお、ピックアップ対象のチップ2に隣り合うチップ2には、電子部品として機能するチップ2の間に存在するが、電子部品として機能しない微小なチップ2も含まれる。このようなチップ2は、例えば、電子部品として機能する領域の形成工程上、必要なチップ2同士の間隔が広く、電子部品として機能するチップ2の大きさに個片化する際に、余剰として残ってしまう部分が該当する。
【0071】
(3)溝211bの形状は、チップ2を吸着面211aに変形なく吸着でき、シート11からチップ2を剥離するときに確実に吸着保持できればよい。例えば、溝211bを円形、目の字形としてもよく、枠内を十字でなく放射状としてもよい。
【0072】
(4)上記の態様では、チップ2のピックアップ毎に、接触部212の接触を検出していた(図9のステップS104)。しかし、必ずしもチップ2毎に毎回接触検出する必要はない。例えば、ピックアップコレット21を交換した時、チップ2の厚さ等、品種が切り替わった時などのタイミングで、一度接触検出を行い、その時の高さ位置を記憶しておく。そして、実際の製品のピックアップ時には、その高さ位置を目標に駆動するようにして、接触検出を省略してもよい。
【0073】
(5)接触部212は、必ずしも初めからチップ2に接触している必要はない。保持部211を所定の高さ位置とした状態で、接触部212と周辺のチップ2との間に隙間があってもよい。これにより、ピックアップ対象のチップ2が突き上げられて、シート11が引き伸ばされることによって、周辺のチップ2が僅かに浮き上がったとしても、隙間分上昇すると接触部212に接触するので、破損を防止できる。したがって、接触部212と周辺のチップ2との間の上下方向の隙間は、周辺のチップ2の破損が生じない間隔とする。
【0074】
(6)突き上げ機構24の突き上げ体242は、角柱形状であっても円柱形状であってもよい。突き上げ体242を構成する昇降体の数は上記には限定されず、1つ又は2つの昇降体により構成されていても、4つ以上の昇降体により構成されていてもよい。さらに、バックアップ体から突き上げピンが突出することによって突き上げる構成の突き上げ機構であってもよい。つまり、シート11からチップ2が剥離できるように突き上げることができればよい。
【0075】
(7)上記の実施形態では、供給装置10において、チップ2は機能面が上方に露出したフェイスアップ状態で配置されていたが、機能面が下方のシート11側となったフェイスダウン状態で配置されていても良い。また、上記のように、チップ2は、基板3に対してフェイスダウンで実装される場合も、フェイスアップで実装される場合も含む。つまり、フェイスアップで配置されたチップ2は、反転させることによりフェイスダウンボンディングができ、中継装置を経由することによりフェイスアップボンディングができる。また、フェイスダウンで配置されたチップ2は、反転させることによりフェイスアップボンディングができ、中継装置を経由することによりフェイスダウンボンディングができる。
【0076】
[他の実施形態]
本発明の実施形態及び各部の変形例を説明したが、この実施形態や各部の変形例は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。また、本発明は、各請求項の全て又はいずれかを組み合わせた実施形態も包含する。上述したこれら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明に含まれる。
【符号の説明】
【0077】
1 実装装置
2 チップ
3 基板
10 供給装置
11 シート
12 供給ステージ
13 ステージ移動機構
20 ピックアップ装置
21 ピックアップコレット
21a 吸引孔
22 移動機構
22a スライド機構
22b 支持フレーム
22c レール
22d スライダ
23 反転機構
24 突き上げ機構
30 搭載装置
31 ボンディングヘッド
31a ノズル
32 移動機構
40 基板ステージ
41 ステージ移動機構
50 制御装置
210 取付ベース
210a、212b 貫通孔
211 保持部
211a 吸着面
211b 溝
211c 吸引口
212 接触部
212a 接触面
213 逃げ部
220 駆動機構
222 リニアガイド
223 駆動体
226 ブラケット
226a 移動ブロック
226b アーム
227 ホルダ
228 ピックアップヘッド
241 バックアップ体
242 突き上げ体
242a、242b、242c 昇降体
321 スライド機構
321a 支持フレーム
321b レール
321c スライダ
322 昇降機構

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15