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特開2023-177266尿沈渣分析装置で使用される精度管理物質
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177266
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】尿沈渣分析装置で使用される精度管理物質
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/50 20060101AFI20231206BHJP
   G01N 33/493 20060101ALI20231206BHJP
   C12N 5/071 20100101ALI20231206BHJP
   C12N 11/00 20060101ALI20231206BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20231206BHJP
   C12Q 1/00 20060101ALI20231206BHJP
【FI】
G01N33/50 F
G01N33/493 A
C12N5/071
C12N11/00
C12M1/34 D
C12Q1/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023080930
(22)【出願日】2023-05-16
(31)【優先権主張番号】P 2022088489
(32)【優先日】2022-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000141897
【氏名又は名称】アークレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣田 匠
(72)【発明者】
【氏名】中尾 淳史
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 真也
【テーマコード(参考)】
2G045
4B029
4B033
4B063
4B065
【Fターム(参考)】
2G045AA18
2G045FB07
2G045JA05
4B029AA07
4B029BB11
4B029CC03
4B029FA11
4B033NA16
4B033NB00
4B033ND20
4B033NE02
4B033NG05
4B033NH10
4B033NK10
4B063QA01
4B063QA19
4B063QQ08
4B063QR77
4B063QS40
4B065AA90X
4B065AC14
4B065BD50
4B065CA46
(57)【要約】
【課題】尿沈渣分析装置で使用される精度管理物質であって、尿中に存在し得る扁平上皮細胞に関する精度管理を行なうための精度管理物質を提供することを課題とする。
【解決手段】尿沈渣検査における扁平上皮細胞項目の尿路由来の扁平上皮細胞と、哺乳動物由来の特定の扁平上皮細胞の形態が極めて似ていることを見出し、尿沈渣分析装置で使用される精度管理物質として使用できることを見出した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物由来の扁平上皮細胞を含む、精度管理物質。
【請求項2】
尿中有形成分分析装置において使用するための、請求項1に記載の精度管理物質。
【請求項3】
尿中の扁平上皮細胞の検出精度を管理するための、請求項1に記載の精度管理物質。
【請求項4】
水性媒体をさらに含む、請求項1に記載の精度管理物質。
【請求項5】
前記水性媒体が、緩衝能力を有するものである、請求項4に記載の精度管理物質。
【請求項6】
前記扁平上皮細胞が、固定化されたものである、請求項1に記載の精度管理物質。
【請求項7】
前記哺乳動物が、ウシ、ヒト、シカ、ヒツジ及びブタから成る群から選択される1種以上の哺乳動物である、請求項1~6の何れか一項に記載の精度管理物質。
【請求項8】
前記扁平上皮細胞が、ヒト口腔由来の粘膜上皮細胞である、請求項1~6の何れか一項に記載の精度管理物質。
【請求項9】
前記扁平上皮細胞が、ウシ胃、シカ胃、ヒツジ胃又はブタ胃由来の表層粘液細胞である、請求項1~6の何れか一項に記載の精度管理物質。
【請求項10】
前記ウシ胃が、ウシ第二胃又はウシ第三胃である、請求項9に記載の精度管理物質。
【請求項11】
検体中の扁平上皮細胞の形態に類似する粒子を計数することにより前記検体中の扁平上皮細胞の細胞数濃度を測定する分析装置の測定精度の管理方法であって、
前記分析装置を用いて、哺乳動物由来の扁平上皮細胞を含む精度管理物質中の細胞数濃度を測定して測定値を取得する工程、及び
前記測定値と基準濃度を比較することにより前記分析装置の測定精度を判定する工程を含む、
管理方法。
【請求項12】
前記検体が尿である、請求項11に記載の管理方法。
【請求項13】
前記哺乳動物が、ウシ、ヒト、シカ、ヒツジ及びブタから成る群から選択される1種以上の哺乳動物である、請求項11又は12に記載の管理方法。
【請求項14】
前記扁平上皮細胞が、ヒト口腔由来の粘膜上皮細胞である、請求項11又は12に記載の管理方法。
【請求項15】
前記扁平上皮細胞が、ウシ胃、シカ胃、ヒツジ胃又はブタ胃由来の表層粘液細胞である、請求項11又は12に記載の管理方法。
【請求項16】
前記ウシ胃が、ウシ第二胃又はウシ第三胃である、請求項15に記載の管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿沈渣分析装置を使用した尿中有形成分分析における精度管理に用いられる、尿沈渣検査精度管理物質に関する。
【背景技術】
【0002】
尿沈渣分析装置は、尿検体中の有形成分の形態に基づき、有形成分の様々な検体種の存在について尿試料を評価する。尿沈渣分析装置が有形成分の形態に基づいて検体種を正しく検出/分類するようにするためには、精度管理が必要である。
【0003】
従来の精度管理で用いることを目的とした精度管理物質としては、例えば、非特許文献1において、ヒト由来の血液から分離した赤血球及び白血球をグルタルアルデヒドで固定化したものをプール尿へ含ませた、尿沈渣検査用コントロール尿が開示されている。
また、特許文献1には、尿中非扁平上皮細胞の形態を示す物質として癌細胞を含み、尿中の異常な円柱の形態を示す物質として藻細胞を含み、尿中の酵母細胞の形態を示す物質として酵母細胞を含み、尿中の粘液の形態を示す物質として卵白を含む、精度管理物質が開示されている。すなわち、特許文献1は顕微鏡により尿試料を観察した際に、試料中の尿中有形成分と形態が似た他の物質を利用し、精度管理物質中の成分の形態と前記尿試料中の検体の形態とを比較することで、精度管理を行なうことを目的としている。より詳細には、特許文献1では「非」扁平上皮細胞に形態を模した物質として、市販のヒト乳癌細胞(SKBR-3細胞)及びヒト肺癌細胞(H-1975細胞)が利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2020-531852号公報
【特許文献2】特開2019-066461号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】今井宣子ら、衛生検査、1990年、39巻1号、p.55~61
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1や非特許文献1で開示されている尿沈渣分析装置を使用した尿沈渣分析においては、尿中に存在し得る赤血球、白血球、非扁平上皮細胞、異常円柱、酵母細胞及び粘液に関しては精度管理物質を用いて精度管理を行なうことができるが、それ以外に尿中に存在し得る沈渣項目に対しては精度管理ができない。例えば、尿中に存在し得る扁平上皮細胞に関する精度管理を行なうための精度管理物質は現時点において報告されていない。また、平易に入手できる材料で精度管理物質を得ることも望まれている。
そこで、本発明は、尿沈渣分析装置を使用した尿沈渣分析で使用される精度管理物質であって、尿中に存在し得る扁平上皮細胞に関する精度管理を行なうための精度管理物質を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、尿沈渣検査における扁平上皮細胞項目の尿路由来の扁平上皮細胞と、哺乳動物由来の特定の扁平上皮細胞の形態が極めて似ていることを見出し、当該哺乳動物由来の特定の扁平上皮細胞が尿沈渣分析装置を使用した尿沈渣分析で使用される精度管理物質として好適に使用しうることを見出した。
【0008】
一般に、細胞の形態は、その由来となる動物種や由来部位、細胞の種類等により大きく異なるものである。そのため、尿路由来の扁平上皮細胞が、哺乳動物由来の特定の扁平上皮細胞、特にヒト口腔由来の粘膜上皮細胞やウシ胃、シカ胃、ヒツジ胃又はブタ胃由来の表層粘液細胞と形態において類似するものであるとは当業者であっても通常は想到し得ないと考えられるところ、上記特定の扁平上皮細胞が尿沈渣分析装置を使用した尿沈渣分析で精度管理物質として使用できたことは予想外であった。
【0009】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]哺乳動物由来の扁平上皮細胞を含む、精度管理物質。
[2]尿中有形成分分析装置において使用するための、[1]に記載の精度管理物質。
[3]尿中の扁平上皮細胞の検出精度を管理するための、[1]又は[2]に記載の精度管理物質。
[4]水性媒体をさらに含む、[1]~[3]の何れかに記載の精度管理物質。
[5]前記水性媒体が、緩衝能力を有するものである、[4]に記載の精度管理物質。
[6]前記扁平上皮細胞が、固定化されたものである、[1]~[5]の何れかに記載の精度管理物質。
[7]前記哺乳動物が、ウシ、ヒト、シカ、ヒツジ及びブタから成る群から選択される1種以上の哺乳動物である、[1]~[6]の何れかに記載の精度管理物質。
[8]前記扁平上皮細胞が、ヒト口腔由来の粘膜上皮細胞である、[1]~[7]の何れかに記載の精度管理物質。
[9]前記扁平上皮細胞が、ウシ胃、シカ胃、ヒツジ胃又はブタ胃由来の表層粘液細胞である、[1]~[7]の何れかに記載の精度管理物質。
[10]前記ウシ胃が、ウシ第二胃又はウシ第三胃である、[9]に記載の精度管理物質。
[11]検体中の扁平上皮細胞の形態に類似する粒子を計数することにより前記検体中の扁平上皮細胞の細胞数濃度を測定する分析装置の測定精度の管理方法であって、
前記分析装置を用いて、哺乳動物由来の扁平上皮細胞を含む精度管理物質中の細胞数濃度を測定して測定値を取得する工程、及び
前記測定値と基準濃度を比較することにより前記分析装置の測定精度を判定する工程を含む、
管理方法。
[12]前記検体が尿である、[11]に記載の管理方法。
[13]前記哺乳動物が、ウシ、ヒト、シカ、ヒツジ及びブタから成る群から選択される1種以上の哺乳動物である、[11]又は[12]に記載の管理方法。
[14]前記扁平上皮細胞が、ヒト口腔由来の粘膜上皮細胞である、[11]~[13]の何れかに記載の管理方法。
[15]前記扁平上皮細胞が、ウシ胃、シカ胃、ヒツジ胃又はブタ胃由来の表層粘液細胞である、[11]~[14]の何れかに記載の管理方法。
[16]前記ウシ胃が、ウシ第二胃又はウシ第三胃である、[15]に記載の管理方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の精度管理物質により、尿中に存在し得る扁平上皮細胞を分析する際に精度管理を好ましく行なうことができ、特に尿沈渣分析装置を用いたときの精度管理を好ましく行うことができる。特に本発明は、尿試料中の扁平上皮細胞と同じ上皮細胞を利用するために、信頼性の高い精度管理物質が期待できる。さらに、本発明で用いる扁平上皮細胞は、市販品/用時調製を問わずに、ヒト口腔表面から安全かつ非侵襲的に得られる粘膜上皮細胞であってよく、また、市販品として安価且つ容易に入手できるウシの第二胃(蜂巣胃、ハチノス)表面又は第三胃(葉胃、センマイ)表面より得た表層粘液細胞を好ましく使用することができる。これらヒト口腔表面から得られる粘膜上皮細胞や、市販品のウシ胃由
来の表層粘液細胞であれば、同じ品質の扁平上皮細胞を大量に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】尿沈渣分析装置 AUTION EYE(登録商標) AI-4510により得られた、ヒト口腔由来の未固定扁平上皮細胞の画像である。画像中、左下のスケールバーは10μmを示す。
図2】尿沈渣分析装置 AUTION EYE(登録商標) AI-4510により得られた、比較として尿中のヒト未固定扁平上皮細胞の画像である。画像中、左下のスケールバーは10μmを示す。
図3】尿沈渣分析装置 AUTION EYE(登録商標) AI-4510により得られた、ウシ第二胃由来の未固定扁平上皮細胞の画像である。画像中、左下のスケールバーは10μmを示す。
図4】尿沈渣分析装置 AUTION EYE(登録商標) AI-4510により得られた、ウシ第三胃由来の未固定扁平上皮細胞の画像である。画像中、左下のスケールバーは10μmを示す。
図5】実尿、ヒト口腔由来の未固定扁平上皮細胞、及びウシ第三胃由来の未固定扁平上皮細胞の、無染色又はS染色後の顕微鏡写真。HPF(400倍)で観察された写真である。
図6】尿沈渣分析装置 AUTION EYE(登録商標) AI-4510により得られた、ヒト口腔由来の固定化扁平上皮細胞の画像である。画像中、左下のスケールバーは10μmを示す。
図7】尿沈渣分析装置 AUTION EYE(登録商標) AI-4510により得られた、ウシ第二胃由来の固定化扁平上皮細胞の画像である。画像中、左下のスケールバーは10μmを示す。
図8】尿沈渣分析装置 AUTION EYE(登録商標) AI-4510により得られた、ウシ第三胃由来の固定化扁平上皮細胞の画像である。画像中、左下のスケールバーは10μmを示す。
図9】尿沈渣分析装置 AUTION EYE(登録商標) AI-4510により得られた、シカ胃由来の固定化扁平上皮細胞の画像である。画像中、左下のスケールバーは10μmを示す。
図10】尿沈渣分析装置 AUTION EYE(登録商標) AI-4510により得られた、ヒツジ胃由来の固定化扁平上皮細胞の画像である。画像中、左下のスケールバーは10μmを示す。
図11】尿沈渣分析装置 AUTION EYE(登録商標) AI-4510により得られた、ブタ胃由来の固定化扁平上皮細胞の画像である。画像中、左下のスケールバーは10μmを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<精度管理物質>
本発明の一実施形態は、哺乳動物由来の扁平上皮細胞を含む精度管理物質である。本明細書において使用される用語「哺乳動物」には、例えば、ウシ、ヒト、シカ、ヒツジ及びブタが含まれるが、これらに限定されない。扁平上皮細胞は、精度管理物質として又は精度管理物質において使用される前に、哺乳動物から分離される。すなわち、扁平上皮細胞は、精度管理物質として又は精度管理物質において使用されるために、哺乳動物の生体内環境から分離・除去される。精度管理物質としての(又は精度管理物質における)哺乳動物由来の扁平上皮細胞の使用は、「エクスビボ」又は「インビトロ」で行われる。
【0013】
本実施形態の精度管理物質は、好ましくは尿中有形成分分析装置、特に尿沈渣分析装置において使用するための精度管理物質であり、尿中の扁平上皮細胞の検出精度を管理するための精度管理物質である。尿沈渣分析装置は一般的に使用される画像解析に基づく尿沈
渣分析装置を利用することができ、例えば、特許文献2に記載される無染色かつ流体中での画像解析に基づく尿沈渣分析装置を利用することができる。
【0014】
本実施形態の精度管理物質は、さらに水のような水性媒体を含んでもよく、精度管理に影響を与えない限り特に限定されないが、水性媒体は緩衝能力を有するものであってもよい。緩衝能力を有する水性媒体としては、精度管理に影響を与えないような一般的な緩衝液、例えばリン酸緩衝生理食塩水が好ましく利用でき、またヒト由来のプール尿も好ましく利用できる。本実施形態の精度管理物質が緩衝能力を有する水性媒体を含むものであるとき、精度管理物質は、それに含まれる扁平上皮細胞の維持に適したpHであることが好ましく、精度管理のために用いることができる限り特に限定されないが、例えば、pH7.2~7.6が挙げられる。精度管理物質に含まれる哺乳動物由来の扁平上皮細胞は、精度管理のために用いることができる限り特に限定されないが、水性媒体中において0.1~600cells/μlの濃度であることが好ましい。
【0015】
本実施形態の精度管理物質に含まれる扁平上皮細胞は、未固定のものであってもよく、固定化されたものであってもよい。
精度管理を行う直前に、扁平上皮細胞を水性媒体好ましくは緩衝能力を有する水性媒体に添加し混合することで、精度管理物質を逐次調製してもよい。また扁平上皮細胞は、予め固定化して、緩衝能力を有する水性媒体と混合しておくことも可能であり、固定化により保存安定性を高めることが可能である。また、固定化により、比重や、細胞の表面状態が均質化されることで、細胞ごとの差が低減される。これにより、尿沈渣分析においてフローセルを流れる際に、流れる細胞の層が一定になる可能性が高くなり、結果として、校正時の光学測定時の焦点が合わせやすくなる。
なお、扁平上皮細胞は、非球形状の形態を維持した状態で固定化する。
【0016】
扁平上皮細胞の固定化の方法は、扁平上皮細胞が非球形状の形態を維持するものである限り特に限定されず、例えば、周知の固定化技術によって、グルタルアルデヒドやホルムアルデヒド等のアルデヒドを用いて行うことができる。細胞を固定化できる限り特に限定されないが、例えば、扁平上皮細胞を1%グルタルアルデヒド液中で、室温で60分間静置することによって固定化することができる。
【0017】
本実施形態の精度管理物質に含まれる扁平上皮細胞の由来となる哺乳動物は、その扁平上皮細胞が、ヒトの尿中に存在する扁平上皮細胞と形態において似ているものであって、尿沈渣分析装置を使用した尿沈渣分析における精度管理物質として使用できるものである限り特に限定されないが、例えば、ウシ、ヒト、シカ、ヒツジ及びブタから成る群から選択される1種以上の哺乳動物であってよい。すなわち本実施形態に係る精度管理物質は、前記群に含まれる哺乳動物から1種のみ又は複数種を扁平上皮細胞の由来として含んでもよい。
【0018】
具体的には、本実施形態の精度管理物質に含まれる扁平上皮細胞は、ヒト口腔由来の粘膜上皮細胞であってよく、また、ウシ胃、シカ胃、ヒツジ胃又はブタ胃由来の表層粘液細胞であってもよい。ヒトの尿中に存在する扁平上皮細胞との間で、形態における類似性が特に高いことから、本実施形態の精度管理物質に含まれる扁平上皮細胞は、ヒト口腔由来の粘膜上皮細胞又はウシ胃由来の表層粘液細胞であることが好ましく、ここで、ウシ胃としては、ウシ第二胃又はウシ第三胃であることが好ましい。
【0019】
本実施形態の精度管理物質に含まれる扁平上皮細胞は、非球形の扁平体形状であって、不定形かつ非対称の形態であり、細胞質は厚みが薄く、辺縁が捻れたり折れ曲がったりする形態を有する細胞であることが好ましい。また、細胞の大きさは長径20~100μm程度であることが好ましく、尿中のヒト扁平上皮細胞と同程度の大きさ(長径30~70
μm)であることが特に好ましい。
【0020】
本実施形態の精度管理物質に含まれる扁平上皮細胞は、当業者に既知の手法により各種哺乳動物から採取してもよく、また市販の各種哺乳動物の胃から採取してもよい。また、各種扁平上皮細胞は市販のものを購入してもよく、必要に応じて培養して用いてもよい。これらの扁平上皮細胞は何れも入手しやすいというメリットがある。
【0021】
例えば、ヒト口腔由来の扁平上皮細胞は、ヒトの両頬の内側の口腔内を、綿棒(スワブ)、へら、ブラシ等の細胞採取器具を用いて10~20回程度擦ることで採取することができる。その細胞採取器具に付着した扁平上皮細胞をPBSや生理食塩水等の溶媒に浮遊させ、遠心分離等により1又は複数回の洗浄を行ってもよい。
【0022】
また、例えば、各種哺乳動物の胃の表層粘液細胞は、各種哺乳動物の胃の表面にある表層粘液細胞を、綿棒(スワブ)、へら、ブラシ等の細胞採取器具を用いて10~20回程度擦ることで採取することができる。その細胞採取器具に付着した扁平上皮細胞をPBSや生理食塩水等の溶媒に懸濁させ、フィルター濾過により、尿中のヒト扁平上皮細胞と同程度の大きさ(長径30~70μm)の分画の細胞を分離することができ、さらに遠心分離等により1又は複数回の洗浄を行ってもよい。
【0023】
また、例えば、各種哺乳動物の扁平上皮細胞は、それぞれの扁平上皮細胞の培養に適した培地及び培養条件により、必要に応じて培養した細胞を用いてもよい。
【0024】
本実施形態の精度管理物質は、尿沈渣検査において測定される扁平上皮細胞以外の測定項目、例えば赤血球、白血球、白血球塊、非扁平上皮細胞、硝子円柱、その他円柱、細菌(桿菌)、結晶、酵母、粘液糸、精子等の測定項目に対応する精度管理物質をさらに1つ又は複数含んでもよい。これにより、尿沈渣検査における各測定項目の精度管理を同時に行うことができる。また、これらの各精度管理物質は任意で固定化されていてもよい。
【0025】
本実施形態の精度管理物質は、追加の成分をさらに含んでもよい。追加の成分としては、例えばpH調整剤(HCl、NaClなど)、浸透圧調整剤(塩類など)、尿定性試験紙の測定対象成分(例えばグルコース、タンパク質(アルブミンなど)、ビリルビン、ウロビリノーゲン、ヘモグロビン、ケトン体、亜硝酸、エラスターゼ等の酵素)、尿マトリクスを構成する主たる成分(例えば塩類(NaCl、KClなど)、有機酸(シュウ酸など)、タンパク質(アルブミン、タムホースホールタンパクなど)、尿酸、尿素、リン酸など)を挙げることができる。一方で、大量のバクテリアなどの濁りを生じさせる成分は、追加の成分として含めない方がよい。
【0026】
<尿試料中の扁平上皮細胞の存在の検出方法>
本発明の他の実施形態は、被検者由来の尿試料中の扁平上皮細胞の存在の検出方法であって、
精度管理物質中の扁平上皮細胞の形態を決定するために、尿中有形成分分析装置を用いて、上述の<精度管理物質>の項で記載した精度管理物質を分析する工程、
尿中有形成分分析装置を用いて被検者由来の尿試料を(エクスビボ又はインビトロで)分析する工程、
前記精度管理物質中の扁平上皮細胞の形態と前記尿試料中の検体の形態とを比較する工程、及び
前記尿試料中の検体の形態が、前記精度管理物質中の扁平上皮細胞の形態と一致することにより、前記尿試料中において扁平上皮細胞が存在することを決定する工程、を含む、前記検出方法である。
【0027】
被検者とは、尿沈渣検査を受ける者のことであり、疾患を有している者であってもよく、疾患を疑われている者であってもよく、健常者であってもよい。被検者は好ましくはヒトである。
【0028】
尿試料中の検体の形態が、前記精度管理物質中の扁平上皮細胞の形態と一致することに関しては、使用する尿中有形成分分析装置、特に尿沈渣分析装置によって自動で判別することができる。
例えば、特許文献2に記載される尿沈渣分析装置を用いた場合は、尿試料中の沈渣成分の種別を判別する装置が沈渣成分の画像から特徴量(例えば、色、形態、大きさ等)を抽出し、また精度管理物質の画像から特徴量を抽出し、それぞれの特徴量のパターンマッチングによって両者の形態が一致するかを判定し、両者が一致すると判定された場合には尿試料中において扁平上皮細胞が存在することを示すものである。
【0029】
さらに尿沈渣分析装置は、検出された扁平上皮細胞を計数してもよい。
【0030】
尿中有形成分分析装置は、顕微鏡による尿沈渣分析装置を含む。顕微鏡による尿沈渣分析装置としては、例えば、AUTION EYE(登録商標) AI-4510(アークレイ社製)が挙げられる。
【0031】
被検者由来の尿試料中の扁平上皮細胞の存在が検出されることにより、又は被検者由来の尿試料中における扁平上皮細胞の計数結果により、例えば、尿路感染症や尿路結石症といった尿路の疾患の存在を疑うことができ、必要に応じてそれらの疾患の治療方針(抗菌薬や抗ウイルス薬、その他薬剤の投与等)を決定することができる。
【0032】
<測定精度の管理方法>
本発明の他の実施形態は、検体中の扁平上皮細胞の形態に類似する粒子を計数することにより前記検体中の扁平上皮細胞の細胞数濃度を測定する分析装置の測定精度の管理方法であって、前記分析装置を用いて<精度管理物質>の項に記載の精度管理物質中の扁平上皮細胞の細胞数濃度を測定して測定値を取得する工程、及び前記測定値と基準濃度を比較することにより前記分析装置の測定精度を判定する工程を含む、管理方法である。なお、細胞数濃度とは、単位体積に含まれる細胞の個数であり、個数濃度ともいう。
【0033】
分析装置は、例えば、顕微鏡と、検体中の粒子を撮像するカメラとを備え、顕微鏡を介してカメラで検体中の粒子を撮像することで検体中の粒子が写る画像を取得し、取得した画像に写る、分析装置に予め記憶させた扁平上皮細胞の形態との類似度が所定の値以上を示す粒子(類似粒子)を扁平上皮細胞として計数し、計数値に基づき検体中の類似粒子の粒子数濃度を扁平上皮細胞の細胞数濃度として測定する分析装置である。検体中の扁平上皮細胞の細胞数濃度を測定する分析装置としては顕微鏡による尿沈渣分析装置が挙げられ、顕微鏡による尿沈渣分析装置としては、例えば、AUTION EYE(登録商標) AI-4510(アークレイ社製)が挙げられる。
【0034】
検体は、白血球を含む可能性があるものであれば特に限定されない。検体としては、例えば、尿、血液等が挙げられ、これらのうち尿が好ましい。
【0035】
前記分析装置を用いて精度管理物質を分析すると、該精度管理物質に含まれる扁平上皮細胞は類似粒子として計数され、精度管理物質に含まれる扁平上皮細胞の細胞数濃度の測定値が得られる。該測定値と基準濃度を比較し、例えば、該測定値と該基準濃度の差に基づき前記分析装置の測定精度を判定してもよい。この場合、該差が所定値未満であれば、該測定精度が良好であると判定できる。一方、該差が所定値以上であれば、該測定精度は不良であると判定できる。
また、基準濃度に対する測定値の割合に基づき測定精度を判定してもよい。この場合、該割合が所定値未満であれば、該測定精度は良好と判定できる。一方、該割合が所定値以上であれば、該測定精度は不良と判定できる。所定値は、分析装置に求める精度に応じて適宜設定できる。
【0036】
基準濃度(基準細胞数濃度ともいう)は、例えば、複数の分析装置で同じ精度管理物質を測定して得られる複数の類似粒子(扁平上皮細胞)の粒子数濃度の測定値を平均した値、鏡検法により精度管理物質を測定して得られる類似粒子の粒子数濃度の測定値、品質管理された分析装置で精度管理物質を測定して得た類似粒子の粒子数濃度の測定値等とすることができる。また、前記分析装置で精度管理物質を予め複数回分析することにより算出された類似粒子の粒子数濃度の平均値とすることもできる。
【0037】
なお、鏡検法により精度管理物質中の扁平上皮細胞の細胞数濃度の測定値を得て、得られた測定値と基準濃度を比較することにより、鏡検法の精度を管理することができる。
【実施例0038】
実施例は、開示する目的のために記載されており、本発明の範囲を制限する意図はない。
【0039】
<実施例1:尿沈渣分析装置によるヒト口腔由来の未固定扁平上皮細胞の分析>
以下の(1)~(5)の手順で、ヒト口腔由来の扁平上皮細胞を得るために、ヒト口腔由来の粘膜上皮細胞を口腔組織から分離した。
(1)以下の処方のPBSを準備した。
・塩化ナトリウム 137 mM
・リン酸水素二ナトリウム 10 mM
・塩化カリウム 2.7 mM
・リン酸二水素カリウム 1.8 mM
(2)健常なヒトの両頬の内側の口腔内を、綿棒(スワブ)で15回程度擦った。
(3)綿棒を上記(1)で準備したPBS中に入れ、綿棒に付着した粘膜上皮細胞を浮遊させた。
(4)遠心分離(500G, 5分)し、上清を除去し、上記(1)で準備したPBSを添加した。この洗浄を2回繰り返し、粘膜上皮細胞と一緒に混入した口腔内のゴミや細菌を取り除いた。
(5)遠心分離(500G, 5分)し、上清を除去し、上記(1)で準備したPBSを5mL添加した。この洗浄を2回繰り返した。
上記(1)~(5)の手順で得られたヒト口腔由来の粘膜上皮細胞を、アークレイ社製の尿沈渣分析装置 AUTION EYE(登録商標) AI-4510で分析したところ、扁平上皮細胞(SQEC: Squamous epithelial cells)として検出された。
AUTION EYE(登録商標) AI-4510より得られたヒト口腔由来の粘膜上皮細胞の画像を図1に、比較として尿中のヒト未固定扁平上皮細胞の画像を図2に示した。目視で比較しても、両者が極めて類似していることが判った。
【0040】
<実施例2:尿沈渣分析装置によるウシ胃由来の未固定扁平上皮細胞の分析>
以下の(1)~(3)の手順で、ウシ胃由来の扁平上皮細胞を得るために、ウシの胃由来の表層粘液細胞を分離した。
(1)ウシの第二胃(蜂巣胃、ハチノス)及び第三胃(葉胃、センマイ)の表面にある表層粘液細胞を用いるため、市販のウシの胃を購入した。
(2)上記の第二胃及び第三胃表面を綿棒(スワブ)で擦ることで表層粘液細胞を採取し、生理食塩水に懸濁させた。
(3)上記の懸濁液をフィルターで濾過し、尿中のヒト扁平上皮細胞(SQEC)と同程度の大きさ(長径30~70μm)の分画の細胞を分離した。遠心分離(500G, 5分)し、上清を除去し、実施例4の(1)で準備したものと同じPBSを添加した。この洗浄を2回繰り返した。
上記(1)~(3)の手順で得られたウシの胃由来の表層粘液細胞をアークレイ社製の尿沈渣分析装置AUTION EYE(登録商標) AI-4510で測定すると、SQECとして検出された。
AUTION EYE(登録商標) AI-4510より得られたウシ第二胃由来の表層粘液細胞の画像を図3に、ウシ第三胃由来の表層粘液細胞の画像を図4にそれぞれ示した。目視で図2(尿中のヒト未固定扁平上皮細胞の画像)と比較しても、両者が極めて類似していることが判った。
【0041】
<実施例3:顕微鏡観察による実尿、ヒト口腔由来の未固定扁平上皮細胞、及びウシ第三胃由来の未固定扁平上皮細胞の分析>
実尿、ヒト口腔由来の扁平上皮細胞、及びウシ第三胃由来の扁平上皮細胞を鏡検にて確認した。用いた検体は以下の通りである。
・実尿(病院より取得した患者尿)
・口腔上皮細胞(アークレイ株式会社の研究所にて採取された健常者の細胞)
・ウシ第三胃上皮細胞(実施例2に記載する方法で取得した細胞)
(1)~(6)の手順で、各種検体の処理を行った。
(1)各種検体を準備した。実尿はそのまま使用した。口腔上皮細胞及びウシ第三胃上皮細胞は実施例1の(1)で準備したものと同じPBSに細胞を懸濁した。
(2)各種検体を尿沈渣スピッツに10mLずつ分注した。
(3)1500rpm, 5分, 25℃で遠心分離した。
(4)上清を捨て、沈渣を200μL残した。
(5)15μL採取し、顕微鏡で観察した。
(6)残った沈渣を、ラボステインS(武藤化学株式会社、品番:50181)を用いて当業者に既知の方法によりS染色し、再度顕微鏡で観察した。
その結果を図5に示す。実尿では、尿中にみられる一般的な扁平上皮細胞が観察された。形は不定形であり、細胞質は厚みが薄く、辺縁が捻れたり折れ曲がったりしていた。S染色での染色性は良好で赤紫色に染められた。また、口腔上皮細胞及びウシ第三胃上皮細胞では、尿中の扁平上皮細胞同様、形は不定形であり、細胞質は厚みが薄く、辺縁が折れ曲がったりしていた。S染色では、細胞質と核の染色性も良好で赤紫色に染められた。
【0042】
<実施例4:尿沈渣分析装置によるヒト口腔由来の固定化扁平上皮細胞の分析>
以下の(1)~(7)の手順で、ヒト口腔由来の粘膜上皮細胞を固定化し、固定化された扁平上皮細胞を得た。
(1)以下の処方のPBSを準備した。
・塩化ナトリウム 137 mM
・リン酸水素二ナトリウム 10 mM
・塩化カリウム 2.7 mM
・リン酸二水素カリウム 1.8 mM
(2)健常なヒトの両頬の内側の口腔内を、綿棒(スワブ)で15回程度擦った。
(3)綿棒を上記(1)で準備したPBS中に入れ、綿棒に付着した粘膜上皮細胞を浮遊させた。
(4)遠心分離(500G, 5分)し、上清を除去し、上記(1)で準備したPBSを添加した。この洗浄を2回繰り返し、粘膜上皮細胞と一緒に混入した口腔内のゴミや細菌を取り除いた。
(5)グルタルアルデヒドを濃度1%になるよう添加し、転倒混和した。
(6)60分間静置することで固定化した。
(7)遠心分離(500G, 5分)し、上清を除去し、上記(1)で準備したPBSを5mL添加した。この洗浄を2回繰り返した。
上記(1)~(7)の手順で得られたヒト口腔由来の固定化扁平上皮細胞を、アークレイ社製の尿沈渣分析装置 AUTION EYE(登録商標) AI-4510で分析したところ、扁平上皮細胞(SQEC: Squamous epithelial cells)として検出された。
AUTION EYE(登録商標) AI-4510より得られたヒト口腔由来の固定化扁平上皮細胞の画像を図6に、比較として尿中のヒト未固定扁平上皮細胞の画像を図2に示した。目視で比較しても、両者の形態が極めて類似していることが判った。
【0043】
<実施例5:尿沈渣分析装置によるウシ胃由来の固定化扁平上皮細胞の分析>
以下の(1)~(6)の手順で、ウシの胃由来の表層粘液細胞を固定化し、固定化された扁平上皮細胞を得た。
(1)ウシの第二胃(蜂巣胃、ハチノス)及び第三胃(葉胃、センマイ)の表面にある表層粘液細胞を用いるため、市販のウシの胃を購入した。
(2)上記の第二胃及び第三胃表面を綿棒(スワブ)で擦ることで表層粘液細胞を採取し、綿棒を生理食塩水に懸濁させた。
(3)上記の懸濁液をフィルターで濾過し、尿中のヒト扁平上皮細胞(SQEC)と同程度の大きさ(長径30~70μm)の分画の細胞を分離した。
(4)グルタルアルデヒドを濃度1%になるよう添加し、転倒混和した。
(5)60分間静置することで固定した。
(6)遠心分離(500G, 5分)し、上清を除去し、実施例1の(1)で準備したものと同じPBSを添加した。この洗浄を2回繰り返した。
上記(1)~(6)の手順で得られたウシの胃由来の固定化扁平上皮細胞をアークレイ社製の尿沈渣分析装置AUTION EYE(登録商標) AI-4510で測定すると、SQECとして検出された。 AUTION EYE(登録商標) AI-4510より得られたウシ第二胃由来の固定化扁平上皮細胞の画像を図7に、ウシ第三胃由来の固定化扁平上皮細胞の画像を図8に示した。目視で図2(尿中のヒト未固定扁平上皮細胞の画像)と比較しても、両者の形態が極めて類似していることが判った。
【0044】
<実施例6:尿沈渣分析装置によるシカ胃、ヒツジ胃、ブタ胃由来の固定化扁平上皮細胞の分析>
次に、シカ、ヒツジ、ブタの胃由来の表層粘液細胞を固定化し、固定化された扁平上皮細胞をそれぞれ得た。手順としては、実施例5に記載されるウシの胃由来の固定化扁平上皮細胞を得た手法と同様である。
得られたシカ、ヒツジ、ブタの胃由来の固定化扁平上皮細胞をアークレイ社製の尿沈渣分析装置AUTION EYE(登録商標) AI-4510で測定すると、SQECとして検出された。AUTION EYE(登録商標) AI-4510より得られたシカ、ヒツジ、ブタの胃由来の固定化扁平上皮細胞の画像をそれぞれ図9~11に示した。
図1
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図11