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特開2023-177306光モジュール、及び光モジュールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177306
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】光モジュール、及び光モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/02212 20210101AFI20231206BHJP
【FI】
H01S5/02212
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088083
(22)【出願日】2023-05-29
(31)【優先権主張番号】P 2022088998
(32)【優先日】2022-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】板橋 直樹
(72)【発明者】
【氏名】関口 幸祐
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 三千男
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 智哉
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173MB01
5F173MC20
5F173ME22
5F173ME48
5F173ME68
(57)【要約】      (修正有)
【課題】信号の周波数応答特性を向上することができる光モジュール、及び光モジュールの製造方法を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る光モジュールは、リード端子と、基準電位を与えるグランド端子と、を含む金属ステムと、リード端子が貫通する信号ビアと、グランド端子が貫通するグランドビアと、リード端子に電気的に接続される信号配線と、グランド端子に電気的に接続されるグランド層と、補強ビアと、補強ビアおよび補強ビアの周囲のグランド層を金属ステムに接続する接続部と、を有する基板と、を備える。リード端子は、第1方向に延伸する。基板及び信号配線は、第1方向に交差する第2方向に延伸する。補強ビアは、第1方向からの基板の平面視において金属ステムの内側に設けられる。補強ビアと信号ビアとの最短距離は、グランドビアと信号ビアとの距離よりも小さい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光半導体素子と、
前記光半導体素子に電気的に接続されるリード端子と、基準電位を与えるグランド端子と、を含む金属ステムと、
前記リード端子が貫通する信号ビアと、前記グランド端子が貫通するグランドビアと、前記リード端子に電気的に接続される信号配線と、前記グランド端子に電気的に接続されるグランド層と、補強ビアと、前記補強ビアおよび前記補強ビアの周囲の前記グランド層を前記金属ステムに接続する接続部と、を有する基板と、
を備え、
前記リード端子は、第1方向に延伸し、
前記基板及び前記信号配線は、前記第1方向に交差する第2方向に延伸し、
前記補強ビアは、前記第1方向からの前記基板の平面視において前記金属ステムの内側に設けられ、
前記補強ビアと前記信号ビアとの最短距離は、前記グランドビアと前記信号ビアとの距離よりも小さい、
光モジュール。
【請求項2】
前記接続部は、前記信号ビアよりも前記金属ステムの外縁に近い位置に形成されている、
請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記接続部は、第1接続部及び第2接続部を含み、前記第1接続部及び前記第2接続部は前記信号配線を挟むように形成されている、
請求項1に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記補強ビアは、一方向に延びた形状を呈する、
請求項1に記載の光モジュール。
【請求項5】
前記接続部は、半田又は導電性接着剤によって前記金属ステムと接続され、
前記補強ビアは、前記半田又は前記導電性接着剤が塗布されない非塗布部分を有する、
請求項4に記載の光モジュール。
【請求項6】
前記金属ステムは、前記基板の前記補強ビアを貫通する突起を更に有する、
請求項1に記載の光モジュール。
【請求項7】
前記突起は、前記第1方向に交差する面を有する平頭を前記突起の先端に有する、
請求項6に記載の光モジュール。
【請求項8】
前記金属ステムは、前記突起の周囲に形成された掘り込みを更に有する、
請求項6に記載の光モジュール。
【請求項9】
前記平頭は、前記突起の付け根の径より大きい径を有する、
請求項7に記載の光モジュール。
【請求項10】
前記補強ビアは、前記第2方向に延びた形状を呈する、
請求項6に記載の光モジュール。
【請求項11】
前記第2方向における前記リード端子からの前記平頭の最遠端と前記リード端子との間の距離は、前記第2方向における前記リード端子からの前記突起の付け根の最遠端と前記リード端子との間の距離よりも大きい、
請求項7に記載の光モジュール。
【請求項12】
前記補強ビアは、第1補強ビア及び第2補強ビアを含み、
前記第1補強ビア及び前記第2補強ビアは、前記信号配線を挟むように形成され、
前記突起は、第1突起及び第2突起を含み、
前記第1突起は前記第1補強ビアを貫通し、前記第2突起は前記第2補強ビアを貫通する、
請求項6に記載の光モジュール。
【請求項13】
前記接続部は、半田又は導電性接着剤によって前記金属ステムと接続され、
前記接続部の前記第1方向から見たときの面積は、0.1mm以上且つ1.0mm以下である、
請求項1に記載の光モジュール。
【請求項14】
請求項6から請求項12のいずれか一項に記載の光モジュールの製造方法であって、
前記基板を前記第1方向に沿って貫通する補強ビアを形成する工程と、
前記補強ビアに前記突起を挿通させる工程と、
前記突起の先端に形成された平頭に前記基板の前記補強ビアの縁を引っ掛ける工程と、
前記平頭に前記基板の前記補強ビアの縁が引っ掛かった状態で前記突起の周囲に形成された掘り込みに半田又は導電性接着剤を塗布する工程と、
を備える、
光モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光モジュール、及び光モジュールの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光モジュール、及び光モジュールの製造方法が記載されている。光モジュールは、光半導体素子と、リード端子を含むステムと、グランド層と、基板とを備える。リード端子は、光半導体素子に電気信号を伝達、及び/又は光半導体素子から出力された電気信号を伝達する。基板は、リード端子が貫通する第1の開口部と、ステム及びグランド層を互いに接続するための接続部とを有する。接続部は、基板の縁部又は基板がステムに配置される側の表面に形成されている。
【0003】
特許文献2には、光モジュールが記載されている。光モジュールは、同軸型のハウジング及び複数のリードピンを有する光サブアセンブリと、回路基板と、光サブアセンブリ及び回路基板を互いに接続するFPC(Flexible Printed Circuit)とを備える。回路基板は、光サブアセンブリと電気信号の送受信を行う回路を主面上に搭載する。FPCは、裏面に設けられた接地パターンと、表面に設けられた信号配線とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-18862号公報
【特許文献2】特開2018-82117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光モジュールが高周波用途で用いられる場合には、電気信号が信号配線からリード端子に伝達するときに、当該電気信号の伝達に伴って生じる帰還電流がグランド層から金属ステムの外周に沿って発生することがある。帰還電流が金属ステムの外周に沿って発生すると、金属ステムとリード端子に接続されるFPCとの間に共振現象が生じることがある。この共振現象によって電気信号の周波数応答特性が低下する可能性がある。このように、光モジュールでは、周波数の増大に伴って電気信号の周波数応答特性が低下する懸念がある。
【0006】
本開示は、信号の周波数応答特性を向上することができる光モジュール、及び光モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る光モジュールは、光半導体素子と、光半導体素子に電気的に接続されるリード端子と、基準電位を与えるグランド端子と、を含む金属ステムと、リード端子が貫通する信号ビアと、グランド端子が貫通するグランドビアと、リード端子に電気的に接続される信号配線と、グランド端子に電気的に接続されるグランド層と、補強ビアと、補強ビアおよび補強ビアの周囲のグランド層を金属ステムに接続する接続部と、を有する基板と、を備える。リード端子は、第1方向に延伸し、基板及び信号配線は、第1方向に交差する第2方向に延伸する。補強ビアは、第1方向からの基板の平面視において金属ステムの内側に設けられ、補強ビアと信号ビアとの最短距離は、グランドビアと信号ビアとの距離よりも小さい。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、信号の周波数応答特性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係る光モジュールの概略構成を示す模式的な断面図である。
図2】第1実施形態に係る光モジュールのFPCの裏面を示す図である。
図3図2のIII-III線断面図である。
図4】補強ビアの一例を示す図である。
図5】補強ビアの図4とは異なる例を示す図である。
図6】第2実施形態に係る光モジュールの金属ステムを示す斜視図である。
図7図6の金属ステムの突起の平頭を示す断面図である。
図8】実施形態に係る光モジュールの製造方法の一工程を示す図である。
図9】実施形態に係る光モジュールの製造方法の一工程を示す図である。
図10】実施形態に係る光モジュールの製造方法の一工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。一実施形態に係る光モジュールは、光半導体素子と、光半導体素子に電気的に接続されるリード端子と、基準電位を与えるグランド端子と、を含む金属ステムと、リード端子が貫通する信号ビアと、グランド端子が貫通するグランドビアと、リード端子に電気的に接続される信号配線と、グランド端子に電気的に接続されるグランド層と、補強ビアと、補強ビアおよび補強ビアの周囲のグランド層を金属ステムに接続する接続部と、を有する基板と、を備える。リード端子は、第1方向に延伸し、基板及び信号配線は、第1方向に交差する第2方向に延伸する。補強ビアは、第1方向からの基板の平面視において金属ステムの内側に設けられ、補強ビアと信号ビアとの最短距離は、グランドビアと信号ビアとの距離よりも小さい。
【0011】
この光モジュールでは、基板がグランド層を金属ステムに接続するための補強ビアが形成された接続部を有し、グランド層と金属ステムとは接続部を介して互いに電気的に接続される。リード端子が延びる方向である第1方向から見たときに、補強ビアは金属ステムの内側に設けられ、補強ビアと信号ビアとの最短距離はグランドビアと信号ビアとの距離よりも小さい。ところで、高速の電気信号が信号配線からリード端子に伝達するときに、当該電気信号の伝達に伴って生じる帰還電流がグランド層から信号源に戻る。この光モジュールでは、補強ビアがグランドビアよりもリード端子の近くに設けられるので、帰還電流が信号配線の近くを流れる。従って、帰還電流に伴うグランド層と金属ステムとの間の寄生インダクタンス及び寄生容量による共振現象の発生を抑制して信号の周波数応答特性を向上させることができる。
【0012】
接続部は、信号ビアよりも金属ステムの外縁に近い位置に形成されていてもよい。この場合、金属ステムとグランド層とを互いに接続する接続部が金属ステムの外縁寄りの位置に設けられることにより、曲げに対する基板の耐性を強くすることができ、基板の断線等をより確実に抑制できる。
【0013】
接続部は、第1接続部及び第2接続部を含み、第1接続部及び第2接続部は信号配線を挟むように形成されていてもよい。この場合、第1接続部及び第2接続部が信号配線を挟むように形成されていることにより、第1接続部及び第2接続部によって帰還電流が信号配線の近くを流れるので、周波数応答特性を更に向上させることができる。
【0014】
補強ビアは、一方向に延びた形状を呈してもよい。この場合、補強ビアにおける半田又は導電性接着剤の塗布の状況を確認しやすくすることができる。
【0015】
接続部は、半田又は導電性接着剤によって金属ステムと接続され、補強ビアは、半田又は導電性接着剤が塗布されない非塗布部分を有してもよい。この場合、半田又は導電性接着剤が塗布されない非塗布部分から、半田又は導電性接着剤を含む接続部における金属ステムとグランド層との接続状態を視認することができる。
【0016】
金属ステムは、基板の補強ビアを貫通する突起を更に有してもよい。この場合、金属ステムが補強ビアを貫通する突起を有することにより、金属ステムに基板を半田によって接続するときに当該突起を温めることができる。半田によって接続するときに突起を温めることにより、金属ステムの全体が高温となることを抑制できると共に、半田による接続を短時間で行うことができる。
【0017】
突起は、第1方向に交差する面を有する平頭を突起の先端に有してもよい。この場合、半田によって接続するときに突起の平頭を温めることにより、加熱したい箇所に効率よく熱を伝えることができる。
【0018】
金属ステムは、突起の周囲に形成された掘り込みを更に有してもよい。この場合、突起の周囲に掘り込みが形成されていることにより、半田鏝によって突起を温めるときに、金属ステムの突起以外の部分に熱を伝わりにくくすることができる。従って、金属ステムの全体が高温になることをより確実に抑制できる。
【0019】
平頭は、突起の付け根の径より大きい径を有してもよい。この場合、平頭に基板の貫通孔の縁を引っ掛けることができるので、曲げに対する基板の耐性をより強くすることができる。突起の平頭に基板が引っ掛けられることによって強靱なアンカー効果を発揮できる。
【0020】
補強ビアは、第2方向に延びた形状を呈してもよい。この場合、補強ビアにおける半田又は導電性接着剤の塗布の状況を確認しやすくすることができる。
【0021】
第2方向におけるリード端子からの平頭の最遠端とリード端子との間の距離は、第2方向におけるリード端子からの突起の付け根の最遠端とリード端子との間の距離よりも大きくてもよい。この場合、リード端子から平頭の最遠端までの距離が、リード端子から突起の付け根の最遠端までの距離より大きいので、突起が挿通された基板の貫通孔の縁を平頭に引っ掛けることができる。
【0022】
補強ビアは、第1補強ビア及び第2補強ビアを含んでもよい。第1補強ビア及び第2補強ビアは、信号配線を挟むように形成されてもよい。突起は、第1突起及び第2突起を含んでもよい。第1突起は第1補強ビアを貫通し、第2突起は第2補強ビアを貫通してもよい。この場合、信号配線を挟むように第1補強ビア及び第2補強ビアが配置されることにより、第1補強ビア及び第2補強ビアによって帰還電流が信号配線の近くを流れるので、周波数応答特性を更に向上させることができる。
【0023】
接続部は、半田又は導電性接着剤によって金属ステムと接続され、接続部における半田又は導電性接着剤の第1方向から見たときの面積は、0.1mm以上且つ1.0mm以下であってもよい。
【0024】
一実施形態に係る光モジュールの製造方法は、前述した光モジュールの製造方法である。この製造方法は、基板を第1方向に沿って貫通する補強ビアを形成する工程と、補強ビアに突起を挿通させる工程と、突起の先端に形成された平頭に基板の補強ビアの縁を引っ掛ける工程と、平頭に基板の補強ビアの縁が引っ掛かった状態で突起の周囲に形成された掘り込みに半田又は導電性接着剤を塗布する工程と、を備える。この製造方法では、基板に第1方向に沿って貫通する補強ビアを形成し、補強ビアに突起を挿通させた状態で平頭に当該補強ビアの縁を引っ掛けることができる。この状態で突起の周囲に形成された掘り込みに半田又は導電性接着剤が塗布されるので、金属ステムに対する基板の接続を容易に且つ強固にすることができる。
【0025】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る光モジュールの具体例を、図面を参照しながら説明する。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0026】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る光モジュール1の概略構成を示す断面図である。図1に示されるように、光モジュール1は、光半導体素子2と、リードピン3b(リード端子)を含む金属ステム3と、リードピン3bが貫通する信号ビア4bを有する基板であるフレキシブルプリント基板(FPC:Flexible Printed Circuit)4とを備える。光モジュール1は、例えば、光半導体素子2が光信号を出力する光送信モジュールである。光送信モジュールは、例えば、レーザーダイオードを含んで構成される。金属ステム3は、円板状の本体部3aを有し、本体部3aは金属によって形成されている。
【0027】
リードピン3bは、本体部3aを貫通する方向に延伸する円柱状の形状を有する。リードピン3bは、例えば、光半導体素子2に入力される電気信号を本体部3aの一方の面と他方の面との間で伝達する。リードピン3bは、本体部3aを貫通することにより一方の面(内面)3Aと他方の面(外面)3Bとの間の電気信号の伝達を可能にする。例えば、一方の面には光半導体素子2が実装され、他方の面にはFPC4が接続される。リードピン3bは、例えば、導電性の材料によって構成されている。リードピン3bは、例えば、金属によって構成されている。リードピン3bは、金属ステム3に設けられた貫通孔3dに挿通されている。リードピン3bは、例えば、リードピン3bと本体部3aとの間に設けられたガラス材等によって本体部3aに固定されると共に本体部3aから絶縁されている。信号ビア4bは、本体部3aから突出するリードピン3bがFPC4を貫通できるように設けられている。信号ビア4bは、スルーホールとも称される。
【0028】
一例として、光モジュール1は、本体部3aの一方の面(内面)3Aに固定された台座5と、台座5に搭載された基板6とを備え、光半導体素子2は基板6に搭載されている。基板6は、例えば、高い熱伝導性を有する。基板6は、例えば、光半導体素子2の線膨張係数と同程度の線膨張係数を有する絶縁性の材料によって構成されている。基板6は、例えば、セラミックによって構成されている。基板6は、キャリアともいう。
【0029】
例えば、光半導体素子2は、基板6とワイヤW1とを介してリードピン3bに電気的に接続されている。より詳細には、基板6には導電性の配線パターンが設けられており、ワイヤW1は、リードピン3bの一端を基板6の配線パターンに電気的に接続する。光半導体素子2は、例えば、ワイヤW1とは別のワイヤW2を介して基板6の配線パターンに電気的に接続される。したがって、リードピン3bは、ワイヤW1、基板6の配線パターンおよびワイヤW2を介して光半導体素子2に電気的に接続される。一例として、光半導体素子2から見て本体部3aとは反対側にレンズRが設けられており、光半導体素子2が出力した光信号はレンズRを透過して光モジュール1の外部に出力される。
【0030】
例えば、光モジュール1は、キャップ7を備える。例えば、レンズRは、キャップ7の開口部に固定される。キャップ7が本体部3aに固定されることにより、光半導体素子2に対するレンズRの位置が固定される。金属ステム3はリードピン3bとグランドピン3c(グランド端子)とを有し、リードピン3b及びグランドピン3cはFPC4をFPC4の厚さ方向である第1方向D1に貫通している。グランドピン3cは、本体部3aと電気的に接続されている。グランドピン3cが接地された配線に接続されていることにより、本体部3aは接地される。グランドピン3cは、後述する高速の電気信号の伝送に係るグランド強化のためにリードピン3bの近くに配置されることが好ましい。しかし、例えば他の電気信号のためのリードピンや金属ステム3の構成上の都合から、グランドピン3cはリードピン3bから少し離れて配置される場合もある。グランドピン3cは、図2に示される中心線L1から第3方向D3の金属ステム3の外縁3g側に偏った位置に設けられる。例えば、グランドピン3cは、第3方向D3において外縁3gと中心線L1との間に設けられる。なお、グランドピン3cは、中心線L1の直上に設けられていてもよい。光半導体素子2は、キャップ7が金属ステム3に接続されることにより気密封止されてもよい。
【0031】
FPC4は、表面4A、及び表面4Aとは反対側を向く裏面4Bを有する。表面4Aは、金属ステム3に接触して金属ステム3に固定される。より詳細には、FPC4が金属ステム3に接続されるとき、表面4Aは、本体部3aの内面3Aとは反対側の面(外面)3Bに接触する。リードピン3bおよびグランドピン3cは、金属ステム3の内面3Aから金属ステム3の外面3Bに向かって第1方向D1に沿って金属ステム3を貫通している。例えば、リードピン3bの一端は、金属ステム3の内面3Aから突出しており、ワイヤW1が接続されている。リードピン3bの他端は、金属ステム3の外面3Bから突出し、FPC4の信号ビア4bを第1方向D1に沿って貫通する。図2は、FPC4の裏面4Bを示す平面図である。図1及び図2に示されるように、FPC4は第1方向D1に交差する第2方向D2に延在する平板状を呈する。裏面4Bは、第2方向D2および第3方向D3に延在する。第3方向D3は、第1方向D1および第2方向D2に交差する。
【0032】
FPC4の第2方向D2の端部4dが金属ステム3に固定される。端部4dは、表面4Aが本体部3aの外面3Bに接触する領域を含む。例えば、第1方向D1からFPC4を見たときに(これをFPC4の平面視ともいう)、端部4dは半円部を有し、端部4dが本体部3aの外面3Bに接触して固定されるときに当該半円部の外縁が本体部3aの外縁と重なる。例えば、当該半円部の外縁の曲率は、本体部3aの外縁の曲率と同一である。なお、金属ステム3の本体部3aの形状は円形の一部に切り欠きを有する形状であってもよい。端部4dの半円部は本体部3aの当該切り欠きの位置に一致する切り欠きを有していてもよい。
【0033】
図2に示されるように、FPC4は、裏面4Bにおいて信号配線4hを有する。信号配線4hは第2方向D2に沿って延伸している。信号配線4hは、リードピン3bに電気的に接続可能となるように形成されており、第2方向D2に沿って電気信号を伝送する。信号配線4hは、例えば、金属によって構成されている。信号配線4hは、例えば、100Gbpsといった高周波の信号を伝送する。信号配線4hは、例えば、後述するグランド層4tに対してマイクロストリップ線路等の伝送線路として形成される。信号配線4hは、FPC4の幅方向である第3方向D3においてFPC4の外縁4jから離隔した位置に形成されている。第3方向D3は第1方向D1及び第2方向D2の双方に交差する方向であり、例えば、第1方向D1、第2方向D2及び第3方向D3は互いに直交している。
【0034】
第3方向D3において、FPC4の第2方向D2に沿って延びる中心線L1から信号配線4hまでの距離は、中心線L1からFPC4の外縁4jまでの距離よりも短い。中心線L1は、例えば、FPC4の第3方向D3における中心を通り、第2方向D2に沿って延びる直線である。図2において、中心線L1は、金属ステム3の第3方向D3における中心を通っており、金属ステム3およびFPC4における共通の中心線となっている。信号配線4hはFPC4の中心線L1に沿って延在していてもよい。第1方向D1からFPC4を見たときに、信号配線4hはFPC4の中心線L1に重なって延在していてもよい。信号配線4hの一端にリードピン3bが貫通可能な信号ビア4bが設けられている。信号ビア4bは、中心線L1の直上に設けられていてもよい。FPC4は、グランドピン3cが貫通可能なスルーホールであるグランドビア4cを有する。例えば、第1方向D1からFPC4を見たとき(第1方向からのFPC4の裏面4Bの平面視において)、グランドビア4cは、中心線L1から第3方向D3の外縁4j側に偏った位置に設けられる。例えば、グランドビア4cは、第3方向D3において外縁4jと中心線L1との間に設けられる。
【0035】
図3は、図2のIII-III線断面図である。図2及び図3に示されるように、FPC4は、グランド層4tを金属ステム3に接続するための接続部4fを有する。例えば、第1方向D1に沿って見たときに(すなわち、第1方向D1からの平面視において)接続部4fは円形状を呈する。接続部4fは、少なくともFPC4を第1方向D1に沿って貫通する補強ビア4gと、補強ビア4gに塗布された半田4kとによって構成される。接続部4fは、さらに開口4xによって露出するグランド層4tおよび当該グランド層4tに塗布された半田4kを含んでいてもよい。開口4xは、第1方向D1からの平面視において、補強ビア4gを含むように設けられる。補強ビア4gは、表面4Aから第1方向D1に沿って裏面4BまでFPC4を貫通する穴(スルーホール)である。補強ビア4gの内面には、金属膜が形成されている。例えば、補強ビア4gの内面は、銅メッキされている。それにより、補強ビア4gの内側は、表面4Aにおいてグランド層4tに電気的に接続されている。補強ビア4gの周囲にはグランド層4tが設けられている。言い換えると、第1方向D1からの平面視において、補強ビア4gは、グランド層4tの内側に設けられている。半田4kは、補強ビア4gの内側にも充填される。グランド層4tは、半田4kを介して金属ステム3に接続されるとともに、補強ビア4gの内側も半田4kを介して金属ステム3に接続される。半田4kが開口4xによって露出するグランド層4tに塗布されるだけでなく、補強ビア4gの内側にも充填されることによって、接続部4fはより強固にFPC4を金属ステム3に接合する。接続部4fの第1方向D1から見たときの面積は、1個当たり0.1mm以上且つ1.0mm以下である。接続部4fの面積は、接続部4fに含まれる補強ビアの大きさ、および開口4xの大きさに依存する。例えば、補強ビア4gの直径は、グランドビア4cの直径の50%以上且つ300%以下である。開口4xの大きさが補強ビア4gの大きさよりも大きい場合、接続部4fの面積は、開口4xが補強ビア4gよりも大きい分だけ大きくなる。
【0036】
接続部4fは、第1方向D1からのFPC4の平面視において金属ステム3の内側に設けられる。すなわち、接続部4fは、第1方向D1から見た場合におけるリードピン3bの中心3fを中心とし外周がグランドビア4cに接する仮想円Cの内側に設けられる。第1方向D1から見た場合において、接続部4fからリードピン3bの中心3fまでの距離(最短距離)は、グランドビア4cからリードピン3bの中心3fまでの距離(仮想円Cの半径R)よりも短い。すなわち、接続部4fと信号ビア4bとの最短距離は、グランドビア4cと信号ビア4bとの距離よりも小さい。なお、補強ビア4gは、第1方向D1からの平面視において、接続部4fの中に含まれている。したがって、補強ビア4gは、第1方向D1から見た場合におけるリードピン3bの中心3fを中心とし外周がグランドビア4cに接する仮想円Cの内側に設けられる。また、補強ビア4gと信号ビア4bとの最短距離は、グランドビア4cと信号ビア4bとの距離よりも小さくてもよい。
【0037】
例えば、光モジュール1は、複数の接続部4fを有する。複数の接続部4fの少なくともいずれかは、信号ビア4bよりも金属ステム3の外縁3gに近い位置に形成されている。例えば、接続部4fと外縁3gとの距離は、信号ビア4bと外縁3gとの距離より小さい。複数の接続部4fは第1接続部4p及び第2接続部4qを含んでおり、第1接続部4p及び第2接続部4qは第1方向D1からの平面視において信号配線4hを挟む位置に形成されている。一例として、第1接続部4p及び第2接続部4qは、信号配線4hに沿って延びる仮想線に対して互いに線対称となる位置に配置されている。仮想線は、中心線L1であってもよい。例えば、第2方向D2に沿って延在する信号配線4hと第1接続部4pとの距離は、信号配線4hと第2接続部4qとの距離にほぼ等しい。ここで、ほぼ等しいとは、許容される製造ばらつきの範囲内で2つの値が互いに相違している状況も含む。例えば、2つの距離の差異が、いずれか一方の距離の相対誤差として5%以内であれば等しいとみなしてもよい。第1接続部4p及び第2接続部4qのそれぞれは、信号ビア4bよりも金属ステム3の外縁3gに近い位置に形成されている。例えば、第1方向D1に沿って見たときに、第1接続部4pの中心から金属ステム3の外縁3gまでの距離は、第1接続部4pの中心から信号ビア4bの中心までの距離よりも短い。第2接続部4qについても同様である。例えば、複数の接続部4fは、第3接続部4rを更に含む。第3接続部4rは、信号ビア4bから見て信号配線4hとは反対側に設けられる。例えば、第1方向D1に沿って見たときに、第2方向D2において、第3接続部4rは、金属ステム3の中心3jとリードピン3bの間に設けられる。FPC4は、複数の接続部4fのそれぞれに対応する複数の補強ビア4gを有する。例えば、複数の補強ビア4gは、第1補強ビア4P、第2補強ビア4Q、および第3補強ビア4Rを含む。第1方向D1からの平面視において、第1接続部4pは、その内側に第1補強ビア4Pを含み、第2接続部4qは、その内側に第2補強ビア4Qを含み、第3接続部4rは、その内側に第3補強ビア4Rを含む。
【0038】
FPC4は、例えば、表面カバーレイ4sと、グランド層4tと、コア4vと、信号配線4hと、裏面カバーレイ4wとを有する。例えば、表面カバーレイ4s及び裏面カバーレイ4wはFPC4の保護膜であり、コア4vはFPC4の誘電体層である。表面カバーレイ4s、グランド層4t、コア4v、信号配線4h及び裏面カバーレイ4wは、この順で表面4Aから裏面4Bに向かって第1方向D1に沿って積層されている。グランド層4tは、信号配線4hによって伝送される電気信号の基準電位を与える層であり、第1方向D1において信号配線4hと金属ステム3との間に形成されている。グランド層4tは、第1配線層の一部として形成される。第1配線層は、表面カバーレイ4sとコア4vとの間に導電性金属によって形成される薄膜である。表面カバーレイ4sは、第1配線層で形成される電気配線を保護する。表面カバーレイ4sは、第1配線層で形成された電気配線を覆い、当該電気配線が形成されていない部分ではコア4vを覆う。また、信号配線4hは、第2配線層の一部として形成される。第2配線層は、裏面カバーレイ4wとコア4vとの間に導電性金属によって形成される薄膜である。裏面カバーレイ4wは、第2配線層で形成される電気配線を保護する。裏面カバーレイ4wは、第2配線層で形成された電気配線を覆い、当該電気配線が形成されていない部分ではコア4vを覆う。信号配線4h、コア4vおよびグランド層4tは、伝送線路を形成してもよい。
【0039】
第1方向D1に沿ってFPC4を見たとき、グランド層4tは、FPC4の外形と同一の形状を有するように第2方向D2及び第3方向D3に広がっていてもよい。すなわち、グランド層4tは、いわゆる多層配線基板におけるベタ層として設けられていてもよい。なお、グランド層4tとリードピン3bとの間には、グランド層4tにリードピン3bが接触しないようスペースが設けられる。グランド層4tは、例えば、導電性を有する金属によって形成された薄膜である。当該スペースによって、リードピン3bは、グランド層4tから絶縁されている。
【0040】
補強ビア4gは、表面カバーレイ4s、グランド層4t、コア4v及び裏面カバーレイ4wを第1方向D1に貫通している。補強ビア4gは、表面4Aに表面カバーレイ4sに形成された開口4xを有し、裏面4Bに裏面カバーレイ4wに形成された開口4yを有する。補強ビア4gの周囲のグランド層4tは開口4xを介して、表面カバーレイ4sから露出する。補強ビア4gは、裏面4Bにおいて開口4yの内側にランド4zを有する。ランド4zは、導電性を有する金属によって形成された薄膜である。ランド4zは、開口4yを介して裏面カバーレイ4wから露出する。ランド4zは、例えば、第2配線層の一部として形成される。ランド4zは、FPC4の平面視において、補強ビア4gの外側を取り囲むように形成される。ランド4zは、補強ビア4gの内面に形成された金属膜と電気的に接続され、それにより、グランド層4tと電気的に接続される。開口4xによって露出するグランド層4tおよび開口4yによって露出するランド4zに半田4kが塗布され、補強ビア4gの内部に半田4kが充填されることによって接続部4fが形成されている。半田4kが加熱によって溶融し、金属ステム3の本体部3a、グランド層4tおよび補強ビア4gの金属膜のそれぞれと接合することにより、本体部3aおよびFPC4が相互に強固に接続される。このとき、本体部3aは、半田4kを介してグランド層4tと電気的に接続される。すなわち、FPC4は、接続部4fを介してグランド層4tを金属ステム3に電気的に接続する。接続部4fは、グランド層4tと金属ステム3とを互いに電気的に接続する。接続部4fは、開口4xおよび補強ビア4gに充填された半田4kによってFPC4を金属ステム3に接続する。
【0041】
次に、本実施形態に係る光モジュール1から得られる作用効果について説明する。光モジュール1では、FPC4がグランド層4tを金属ステム3に接続するための接続部4fを有し、グランド層4tと金属ステム3とは接続部4fを介して互いに電気的に接続される。また、接続部4fによって、FPC4は、金属ステム3に機械的に強固に接続される。リードピン3bが延びる方向である第1方向D1から見たときに、補強ビア4gは金属ステム3の内側に設けられ、補強ビア4gと信号ビア4bとの最短距離はグランドビア4cと信号ビア4bとの距離よりも小さい。
【0042】
ところで、例えば、高速の電気信号が信号配線4hからリードピン3bに伝達するときに、当該電気信号の伝達に伴って生じる帰還電流がグランド層4tから信号源に戻る。例えば、光半導体素子2がレーザーダイオードの場合、電気信号はレーザーダイオードを高速で駆動するための駆動信号であり、信号源は、駆動信号を出力する駆動回路であってもよい。光モジュール1では、接続部4fがグランドビア4cよりもリードピン3bの近くに設けられるので、グランドが強化されて帰還電流が信号配線4hの近くを流れる。従って、グランド強化によって帰還電流に伴うグランド層4tと金属ステム3との間の寄生インダクタンス及び寄生容量が低減され、帰還電流に伴う共振現象の発生を抑制して信号の周波数応答特性をより高い周波数まで向上させることができる。そのような光モジュール1の周波数応答特性の広帯域化は、光伝送装置の高性能化に好ましい。
【0043】
接続部4fは、FPC4の平面視において、信号ビア4bよりも金属ステム3の外縁3gに近い位置に形成されていてもよい。この場合、金属ステム3とグランド層4tとを互いに接続する接続部4fが金属ステム3の外縁3g寄りの位置に設けられることにより、例えば、FPC4の第1方向に沿った曲げに対する光モジュール1の機械的強度を強くすることができ、曲げ応力による信号配線4hの断線の可能性をより確実に抑制できる。
【0044】
接続部4fは、第1接続部4p及び第2接続部4qを含み、FPC4の平面視において、第1接続部4p及び第2接続部4qは信号配線4hを挟むように形成されていてもよい。この場合、第1接続部4p及び第2接続部4qが信号配線4hを挟むように形成されていることにより、第1接続部4p及び第2接続部4qによって帰還電流が信号配線4hの近くを流れるので、グランド層4tに係る寄生素子が低減されて周波数応答特性を更に向上させることができる。また、接続部の数が増えることにより、FPC4を金属ステム3に対して機械的により強固に接続することができる。それにより、光モジュール1の曲げ応力に対する機械的な耐性を向上することができる。
【0045】
ところで、上述のグランドの強化および機械的強度の強化は、接続部4fの面積を大きくすることでより大きな効果を期待できる。しかし、接続部4fの面積を大きくすると必要とされる半田4kの量が増えて、半田4kを加熱して溶融させるためにより大きな熱量が必要となる。半田4kの加熱によって金属ステム3にも熱が伝導するため、金属ステム3への熱的な影響を抑えるには、半田4kの量は少ないことが好ましい。
【0046】
接続部4fは、半田4kによって金属ステム3と接続され、接続部4fにおける半田4kの第1方向D1から見たときの面積は、1個あたり0.1mm以上且つ1.0mm以下であってもよい。これにより、金属ステム3への半田4kの加熱による熱的な影響を抑えるとともに、グランドの強化と機械的強度の強化を十分に行うことができる。なお、補強ビア4gの中に半田4kが充填されることで、例えば、FPC4の裏面4Bから半田4kに半田ゴテを当てて金属ステム3と接触する部分の半田4kにも効率よく熱を伝えることができる。それにより、半田4kの接合に必要な加熱時間を短くして、金属ステム3への熱的な影響を低減することができる。
【0047】
以上、第1実施形態では、第1方向D1に沿って見たときにおける接続部4fを構成する補強ビア4gの形状が円形状である例について説明した。しかしながら、補強ビアの形状は、円形状に限られず、楕円形状、長円形状、弧状又は多角形状であってもよく、適宜変更可能である。例えば、変形例である図4に示されるように、FPCは、一方向に延びた形状を呈する補強ビア4gを有していてもよい。補強ビア4gは、第2方向D2に延びた形状を呈する。一例として、補強ビア4gは、長円形状を呈し、第2方向D2に沿って延びる長軸を有する。補強ビア4gの第2方向D2の長さは、補強ビア4gの第3方向D3の長さ(幅)よりも大きい。更に、補強ビア4gは、補強ビア4gの周囲にグランド層4tが露出していない部分を有していてもよい。当該部分は、半田4kが塗布されない非塗布部分14gに相当する。一例として、非塗布部分14gは補強ビア4gの長軸方向の一方側に設けられる。
【0048】
以上、変形例に係る補強ビア4gの場合、補強ビア4gが一方向に延びた形状、すなわち、補強ビア4gが第2方向D2に延びた形状を呈することにより、補強ビア4gにおける半田4kの塗布の状況を確認しやすくすることができる。更に、補強ビア4gが非塗布部分14gを有する場合、補強ビア4gの周囲の露出したグランド層4tと金属ステム3の本体部3aとの間に半田4kが塗布されて、当該半田4kを溶融して露出したグランド層4tを本体部3aに接合するとき、裏面4Bから半田4kが塗布されない非塗布部分14gを通して、半田4kの量および半田4kによる接続部4fにおける金属ステム3とグランド層4tとの接続状態を肉眼あるいは顕微鏡等によって視認することができる。
【0049】
後述する接続部14fの場合、カバーレイ4wによって覆われる部分が、半田が塗布されない非塗布部分に相当する。当該非塗布部分とランド4zとの関係については後述する。この接続部14fからも接続部4fと同様の効果が得られる。
【0050】
図5は、図4のV-V線断面図である。補強ビア4gは、第2方向D2に沿って延びている。なお、図5は、補強ビア4gによってFPC4が金属ステム3に接続される様子を示している。開口14xにおいて、表面カバーレイ4sは、非塗布部分14gに隣接するグランド層4tを覆い、それ以外の部分(塗布部分)のグランド層4tのみ表面カバーレイ4sから露出させる。ランド4zは、非塗布部分14gに隣接する部分には形成されず、塗布部分にのみ形成されている。図3に示される第1実施形態において、ランド4zは補強ビア4gを取り囲むように形成されていたが、図4および図5においては、ランド4zは、補強ビア4gの一部分だけ囲むように形成される。また、補強ビア4gは、非塗布部分14gに隣接する部分はメッキがされておらず、塗布部分のみメッキが行われている。これにより、非塗布部分14gには半田4kが付かないようになっている。半田4kは、開口14xによって露出するグランド層4t、補強ビア4gの一部(塗布部分)、およびランド4zに塗布され、加熱によって溶融して接続部14fが形成される。これにより、補強ビア4gの第2方向D2における一方の端にのみ接続部14fが形成される。接続部14fの状態は、半田4kが塗布されていない他方の端を通して視認することができる。例えば、半田4kの量および金属ステム3と半田4kとの接合状態を確認することができる。なお、ランド4zは、非塗布部分14gに隣接する部分に形成されていてもよく、補強ビア4gも内側前部がメッキされていてもよい。例えば、そのようにランド4zおよび補強ビア4gが形成された場合でも、長軸方向の長さを短軸方向(第3方向D3)の長さの2倍以上にする等して第2方向D2に十分に長い形状を有する補強ビア4gを形成することによって、補強ビア4gの内側の一方の端にのみ半田4kが塗布された接続部14fを形成することができる。補強ビア4g内の半田4kが塗布されないスペースが十分に形成できずに、上述の視認が困難になるような場合には、非塗布部分14gに隣接してランド4zは設けないようにし、非塗布部分14gに隣接して補強ビア4g内をメッキしないようにする。
【0051】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る光モジュールについて説明する。第2実施形態に係る光モジュールの一部の構成は、前述した光モジュール1の一部の構成と同一である。従って、以下では、光モジュール1の説明と重複する説明を同一の符号を付して適宜省略する。図6は、第2実施形態に係る光モジュールの金属ステム23を示す斜視図である。金属ステム23は、例えば、本体部3aから延び出す複数のピン23aを有し、複数のピン23aはリードピン23b及びグランドピン23cを含む。例えば、金属ステム23は複数のグランドピン23cを有する。複数のグランドピン23cは、本体部3aの外面3Bの平面視において、中心線L2を挟む位置に形成されている。中心線L2は、金属ステム23の中心O及びリードピン23bを通るとともに第2方向D2に延伸する直線である。一例として、複数のグランドピン23cは、本体部3aの外面3Bの平面視において、中心線L2に対して互いに線対称となる位置に形成されている。例えば、2つのグランドピン23cは、それぞれの中心を通る仮想直線が中心線L2と直交するとき、それぞれの中心の中心線L2からの距離が互いに等しくなるよう配置されている。中心線L2は、例えば、第2方向D2に沿って延びる。図8図9および図10に示されるように、金属ステム23にはFPC40が接続される。FPC40は、前述したFPC4と同様の第1補強ビア4Pおよび第2補強ビア4Qを有するグランドビア4cを備える。FPC40は、図2に示される第1接続部4pの位置に第1補強ビア4Pを有し、第2接続部4qの位置に第2補強ビア4Qを有する点以外は、FPC4と同一である。FPC40は、図6に示されるピン23aに対応する複数のスルーホールをさらに有する。
【0052】
図7は、グランドピン23cを示す金属ステム23の断面図である。図6及び図7に示されるように、金属ステム23は、金属ステム23の本体部3aから第1方向D1に突出する突起23dと、突起23dの周囲に形成された掘り込み23hとを有する。突起23dは、グランドピン23cに相当する。例えば、金属ステム23は複数の突起23dを有し、複数の突起23dは第1突起23p及び第2突起23qを含んでいる。金属ステム23と接続されるFPC40において、グランドビア4cは第1補強ビア4P及び第2補強ビア4Qを含んでいる。第1補強ビア4P及び第2補強ビア4Qのそれぞれの外径を第1突起23p及び第2突起23qのそれぞれの外径より大きくすることで、第1突起23pは第1補強ビア4Pを貫通でき、第2突起23qは第2補強ビア4Qを貫通できる。
【0053】
突起23d及び掘り込み23hは、例えば、それぞれ第1方向D1に沿って延びる円柱状を呈する。しかしながら、突起23dは、円柱状以外の形状であってもよく、例えば、四角柱等の角柱状、又は底面が長円状を呈する柱状であってもよい。掘り込み23hの形状についても適宜変更可能である。突起23dは、金属ステム23にFPC40が接続されるときに、FPC40のグランドビア4cを貫通する(図10参照)。突起23dは、第1方向D1に交差する面23fを有する平頭23gを突起23dの先端に有する。面23fは平坦面であり、例えば、第1方向D1に直交する面に沿って延在している。すなわち、面23fは、第2方向D2および第3方向D3に延在している。
【0054】
平頭23gは、突起23dの付け根23jの直径d1より大きい直径d2を有する。例えば、平頭23gの第2方向D2への長さ(最大値)d2は、付け根23jの第2方向D2への長さ(最大値)d1よりも長い。一例として、付け根23jの直径d1は0.2mm以上且つ0.3mm以下である。平頭23gの直径d2は、例えば、付け根23jの直径d1の1.5倍以上且つ2.5倍以下(一例として2倍程度)である。第1方向D1に沿って見たときに、掘り込み23hの直径d3は、例えば、付け根23jの直径d1の1.5倍以上且つ2.5倍以下(一例として2倍程度)である。一例として、掘り込み23hの直径d3は、平頭23gの直径d2よりも大きい。例えば、掘り込み23hの第1方向D1への長さ(深さ)T1は、金属ステム23の本体部3aの第1方向D1への長さ(厚さ)Tの1/4以上且つ3/4以下である。
【0055】
突起23dは、例えば、図7に示されるように第2方向D2に沿った断面図において付け根23jの上端から平頭23gが第2方向D2の両側に突出するT字状を呈する。しかしながら、当該突起は、付け根の上端から平頭が第2方向の片側に突出するL字状を呈していてもよい。例えば、第2方向D2におけるリードピン23bからの平頭23gの最遠端とリードピン23bとの間の距離K1は、第2方向D2におけるリードピン23bからの突起23dの付け根23jの最遠端とリードピン23bとの間の距離K2よりも大きい。この場合、付け根23jの上端の平頭23gの部分にFPC40のグランドビア4cを引っ掛けることが可能となる。この場合、FPC40のグランドビア4cの内径は、金属ステム23の平頭23gの外径より大きい。
【0056】
次に、実施形態に係る光モジュールの製造方法について図8図9及び図10を参照しながら説明する。まず、図8に示されるように、FPC40にグランドビア4cを形成する。このとき、FPC40を第1方向D1に沿って貫通するグランドビア4cがFPC40に形成される(補強ビアを形成する工程)。次に、グランドビア4cに金属ステム23の突起23dを挿通させる。そして、図9に示されるように、突起23dの先端に形成された平頭23gにグランドビア4cの縁を引っ掛ける(補強ビアの縁を引っ掛ける工程)。例えば、突起23dが挿通されたFPC40を第2方向D2に沿ってスライドさせてグランドビア4cの縁を突起23dの付け根23jに接触させる。その後、図10に示されるように、平頭23gにグランドビア4cの縁が引っ掛かった状態で掘り込み23hに半田4kを塗布する(塗布する工程)。そして、突起23dを介して半田4kに熱Nを加える。例えば、半田4kへの加熱は、平頭23gの面23fに半田鏝を当てることによって行われる。掘り込み23hに充填された半田4kは、突起23dの付け根23j及び平頭23g、並びにグランドビア4cの中に入り込む。これにより、金属ステム23とFPC40のグランド層4tとが互いに半田4kによって接続された状態となり、一連の工程が完了する。
【0057】
次に、第2実施形態に係る光モジュールの作用効果について説明する。第2実施形態に係る光モジュールにおいて、金属ステム23は、FPC40のグランドビア4cを貫通する突起23dを有する。従って、金属ステム23がグランドビア4cを貫通する突起23dを有することにより、金属ステム23にFPC40を半田4kによって接続するときに半田ゴテ等の加熱器具を用いて突起23dを効率よく温めることができる。半田4kによって接続するときに突起23dを効率よく温めることにより、掘り込み23hの周囲への過剰な熱伝導を抑えて金属ステム23の全体が高温となることを抑制できると共に、半田4kによる接続を短時間の加熱で行うことができる。
【0058】
突起23dは、第1方向D1に交差する面23fを有する平頭23gを突起23dの先端に有してもよい。この場合、半田4kによって接続するときに突起23dの平頭23gを温めることにより、付け根23jと掘り込み23hとの間に充填された半田4kにより効率よく熱を伝えることができる。
【0059】
金属ステム23は、突起23dの周囲に形成された掘り込み23hを更に有してもよい。掘り込み23hには、例えば半田4kが入り込むため、付け根23jを介して主に半田4kに熱が伝わり、金属ステム23への熱伝導は低減される。したがって、この場合、突起23dの周囲に掘り込み23hが形成されていることにより、半田鏝によって突起23dを温めるときに、金属ステム23の掘り込み23h以外の部分に熱を伝わりにくくすることができる。より詳細には、付け根23jの熱が半田4kに伝わってから掘り込み23hの外側に熱が伝わる。従って、半田4kの加熱を効率的に行うことができ、金属ステム23の全体が高温になることをより確実に抑制できる。それにより、金属ステム23への熱的な影響を低減できる。
【0060】
平頭23gは、突起23dの付け根23jの直径d1より大きい直径d2を有してもよい。この場合、平頭23gにFPC40のグランドビア4cの縁を引っ掛けることができるので、FPC40を金属ステム23から引き離す方向に曲げる力Xに対するFPC40の耐性をより強くすることができる。突起23dの平頭23gにFPC40のグランドビア4cが引っ掛けられることによって強靱なアンカー効果を発揮できる。アンカー効果によって曲げる力Xに対する耐性が大幅に向上する。アンカー効果は、半田4kによる接合力に抗してFPC40を引きはがすのに必要な応力よりも平頭23gを変形させてFPC40を引きはがすのに必要な応力が大きくなることによって得られる。アンカー効果は、付け根23jの直径に対して平頭23gの直径を大きくすることにより大きくなる。
【0061】
第2方向D2におけるリードピン23bからの平頭23gの最遠端とリードピン23bとの間の距離K1は、第2方向D2におけるリードピン23bからの突起23dの付け根23jの最遠端とリードピン23bとの間の距離K2よりも大きくてもよい。この場合、リードピン23bから平頭23gの最遠端までの距離K1が、リードピン23bから突起23dの付け根23jの最遠端までの距離K2より大きいので、突起23dが挿通されたFPC40のグランドビア4cの縁を平頭23gに引っ掛けることができる。
【0062】
前述したように、グランドビア4cは、第1補強ビア4P及び第2補強ビア4Qを含んでもよい。FPC40の平面視において、第1補強ビア4P及び第2補強ビア4Qは、信号配線4hを挟むように形成されてもよい。突起23dは、第1突起23p及び第2突起23qを含んでもよい。第1突起23pは第1補強ビア4Pを貫通し、第2突起23qは第2補強ビア4Qを貫通してもよい。突起23dは、金属ステム3の本体部3aの一部として形成されてもよく、導電性を有する材料によって構成されて本体部3aに電気的かつ機械的に接続されてもよい。それらにより、突起23dは、基準電位を与えるよう構成されてもよい。この場合、FPC40の平面視において、信号配線4hを挟むように第1補強ビア4P及び第2補強ビア4Qが配置されることにより、第1補強ビア4P及び第2補強ビア4Qによって帰還電流が信号配線4hの近くを流れるので、信号配線4hに係る周波数応答特性を更に向上させることができる。この場合、第1突起23p及び第2突起23qは、グランドピン23cとして使用することができる。
【0063】
更に、実施形態に係る光モジュールの製造方法では、FPC40に第1方向D1に沿って貫通するグランドビア4cを形成し、グランドビア4cに突起23dを挿通させた状態で平頭23gにグランドビア4cの縁を引っ掛けることができる。この状態で突起23dの周囲に形成された掘り込み23hに半田4kが塗布されるので、金属ステム23に対するFPC40の接続を容易に且つ強固にすることができる。
【0064】
以上、本開示に係る光モジュール、及び光モジュールの製造方法の種々の実施形態及び変形例について説明した。しかしながら、本発明は、前述した実施形態又は変形例に限定されない。すなわち、本発明が特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において種々の変形及び変更が可能であることは当業者によって容易に認識される。
【0065】
例えば、前述の実施形態では、グランド層4tを金属ステム3に電気的に接続する補強ビア4gにおいて半田4kが充填される例について説明した。しかしながら、補強ビアは、半田4kに限られず、例えば、導電性接着剤によってグランド層を金属ステムに電気的に接続してもよい。前述の実施形態では、光半導体素子2が光信号を出力する光送信モジュールである光モジュール1であって、リードピン3bが光半導体素子2に電気信号を伝達する例について説明した。しかしながら、本開示に係る光モジュールは、リードピンが光半導体素子から出力される電気信号を伝達する光受信モジュールであってもよい。例えば、光半導体素子は受光素子(例えば、フォトダイオード)を含み、外部からレンズに入射した光信号が集光されて受光素子に入射し、光半導体素子が入射した光信号を電気信号に変換して出力してもよい。当該電気信号は、リードピンを介してFPC4の信号配線4hに伝達されてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…光モジュール
2…光半導体素子
3…金属ステム
3A…内面
3B…外面
3a…本体部
3b…リードピン(リード端子)
3c…グランドピン(グランド端子)
3d…貫通孔
3f…中心
3g…外縁
3j…中心
4…FPC(基板)
4A…表面
4b…信号ビア
4B…裏面
4c…グランドビア
4d…端部
4f…接続部
4g…補強ビア
4h…信号配線(第2配線層)
4j…外縁
4k…半田
4P…第1補強ビア
4p…第1接続部
4Q…第2補強ビア
4q…第2接続部
4R …第3補強ビア
4r…第3接続部
4s…表面カバーレイ
4t…グランド層(第1配線層)
4v…コア(誘電体層)
4w…裏面カバーレイ
4x,4y…開口
4z…ランド
5…台座
6…基板
7…キャップ
14f…接続部
14g…非塗布部分
23…金属ステム
23a…ピン
23b…リードピン
23c…グランドピン
23d…突起
23f…面
23g…平頭
23h…掘り込み
23j…付け根
23p…第1突起
23q…第2突起
40…FPC
C…仮想円
D1…第1方向
D2…第2方向
D3…第3方向
d1,d2,d3…直径
K1,K2…距離
L1,L2…中心線
O…中心
R…レンズ
T…厚さ
T1…深さ
W1,W2…ワイヤ
X…曲げ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10