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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177349
(43)【公開日】2023-12-13
(54)【発明の名称】表面を清掃するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 17/00 20060101AFI20231206BHJP
【FI】
A61C17/00 H
A61C17/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】53
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023090895
(22)【出願日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】10 2022 113 821.6
(32)【優先日】2022-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】523207711
【氏名又は名称】エピトーメ・ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】EPITOME GMBH
【住所又は居所原語表記】THE ICON VIENNA, TURM 17, 4. OG, GERTRUDE‐FROEHLICH‐SANDNER‐STRASSE 2‐4, 1100 WIEN, AUSTRIA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト・ヴァイス‐ブスラマ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルヘルム・ツァックル
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト・リーデル
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス・レッシュ
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン・シェルナスト
(57)【要約】      (修正有)
【課題】表面を清掃するための方法であって、簡単に、迅速に、かつ安全に、また効果的にかつ無害であるようにバイオフィルムを分離させる方法を創出する。
【解決手段】本発明は、表面を清掃するための方法に関し、被清掃面6の周囲に液体体積が生成され、少なくとも一つのノズル5と加熱デバイスとを備える少なくとも一つの組立体を用いて、湿り蒸気または飽和蒸気によって構成される蒸気泡10および/または過熱蒸気によって構成される泡が生成され、前記少なくとも一つのノズルによって前記被清掃面に当てられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を清掃するための方法であって、
被清掃面の周囲に液体体積が生成され、少なくとも一つのノズルと加熱デバイスとを備える少なくとも一つの組立体を用いて、湿り蒸気または飽和蒸気によって構成される蒸気泡および/または過熱蒸気によって構成される泡が生成され、前記少なくとも一つのノズルによって前記被清掃面に当てられる、方法。
【請求項2】
液体もパルス状に噴出されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記蒸気泡の正面の前記液体が、同一のノズルまたは少なくとも一つの他のノズルから噴出されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
清掃液の加熱が、前記少なくとも一つのノズルの上流でまたは前記少なくとも一つのノズル内で、所定の脈動周波数でパルス状に行われることを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
複数のノズルを備える組立体が使用されることを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
熱入力を使用してノズル内で蒸気泡を生成し、ノズル組立体内の噴出方向の前記蒸気泡の正面の液体体積が膨張によって噴出され、この噴出された体積により、前記被清掃面の方向に所定の強度および速さの圧力噴射または圧力パルスが生成されることを特徴とする、請求項1~5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
流体力学にしたがって、圧力サージの後端で負圧が生じ、その結果、前記蒸気泡がこのより低圧の領域によって同伴され、前記蒸気泡の背後では、所定の圧力を有する被気化液が加熱器の領域に送り込まれ、該領域から先の前記ノズルの噴出開口へ送られることを特徴とする、請求項1~6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
被気化液は、周期的なパルス状に前記ノズルへ供給されることを特徴とする、請求項1~7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
表面が平らでないとき、または該表面からの距離に応じて、次の測定値、すなわち、前記ノズルから噴出された液体のパルス強度、前記ノズルから噴出された前記液体の量、前記蒸気泡のサイズ、前記蒸気泡の速さ、および前記蒸気泡の蒸気の蒸気温度のうちの一つまたは複数が調整されるように前記ノズルが操作されることを特徴とする、請求項1~8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
距離が大きくなるほど、次のパラメータ、すなわち、パルス強度、パルス持続時間、パルス周波数、液体供給量、泡サイズ、および蒸気温度のうちの一つまたは複数が増加されることを特徴とする、請求項1~9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
液滴によって引っ張られる前記蒸気泡の侵入深さを増加するためにパルス強度が経時的に変更されることを特徴とする、請求項1~10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも一つのノズルが、定位置を中心にX方向(表面縦軸)および/またはY方向(表面横軸)および/またはZ方向(前記表面に向かう)に揺動することを特徴とする、請求項1~11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも一つのノズルが前記表面に沿って案内されることを特徴とする、請求項1~12の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
複数のノズルがノズル組立体に組み込まれ、該ノズルが、少なくとも前記表面の一つの方向(XまたはY)にわたって位置決めされるように配置され、個別のノズルのノズル噴流衝突面の重なりが重なる、またはノズル組立体を揺動させる場合、重なることを特徴とする、請求項1~13の何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記組立体の単位面積当たり異なるノズル密度が、歯の高さにわたって用いられ、前記組立体が前記被清掃面からより遠くに離間する領域に、より多くのノズルが使用されることを特徴とする、請求項1~14の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
複数のノズル(1)が各シャトルデバイスに組み込まれ、該シャトルデバイスは、少なくとも立体的な表面の領域を逆U字形に包含することを特徴とする、請求項1~15の何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
シャトルデバイスが、移動デバイスによって前記歯の上方で移動されることを特徴とする、請求項1~16の何れか一項に記載の方法。
【請求項18】
一つのシャトルデバイスにつき10個から100個のノズルが使用されることを特徴とする、請求項1~17の何れか一項に記載の方法。
【請求項19】
異なる直径および/または異なる流動長を有するノズルが使用されることを特徴とする、請求項1~18の何れか一項に記載の方法。
【請求項20】
トロイダルリング状の蒸気泡が生成されることを特徴とする、請求項1~19の何れか一項に記載の方法。
【請求項21】
脈動が40Hzと400Hzの間のパルス周波数で生成されることを特徴とする、請求項1~20の何れか一項に記載の方法。
【請求項22】
被清掃面からの距離が、0.5mmと5mmの間、かつ歯間隙では最大で7mmとなるように設定されることを特徴とする、請求項1~21の何れか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記ノズル内の加熱器の正面の清掃液の絶対入口圧力が、0.1MPaから2MPa、好ましくは0.12MPaから0.6MPaに設定されることを特徴とする、請求項1~22の何れか一項に記載の方法。
【請求項24】
清掃液が0.1体積%から5体積%の粒子を含有することを特徴とする、請求項1~23の何れか一項に記載の方法。
【請求項25】
粒子として鉱物粒子またはセルロース系粒子が使用されることを特徴とする、請求項1~24の何れか一項に記載の方法。
【請求項26】
粒子サイズが20μmから120μmの粒子が使用されることを特徴とする、請求項1~25の何れか一項に記載の方法。
【請求項27】
体積内の液体の量を一定に保つために、前記液体の一部が前記体積から吸い出され、該一部が、前記少なくとも一つのノズルを介して供給される液体の量に本質的に対応することを特徴とする、請求項1~26の何れか一項に記載の方法。
【請求項28】
閉じた体積内の粒子密度が、前記閉じた体積に含有される液体に対して、30体積パーセント未満、特に20体積パーセント未満、とりわけ15体積パーセント未満であることを特徴とする、請求項1~27の何れか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記デバイス内で運搬される最初の清掃液中の粒子密度が、10体積パーセント未満、特に5体積パーセント未満であり、いずれの場合も前記清掃液の体積に対するものとすることを特徴とする、請求項1~28の何れか一項に記載の方法。
【請求項30】
デンタルプラークなどのバイオフィルムの清掃を達成するために、前記蒸気泡が崩壊するのに必要な時間が、0.01msから0.5msの範囲内、特に0.050msと0.25msの間に設定されることを特徴とする、請求項1~29の何れか一項に記載の方法。
【請求項31】
トロイダルリングを発生させるのに必要な脈動において、前記脈動の駆動周波数が、1Hzと50kHzの間、特に1Hzと30kHzの間、とりわけ1Hzから1kHzであり、回転楕円体状の蒸気泡を生成するときは、脈動周波数が、好ましくは1Hzと1kHzの間、特に30Hzと300Hzの間、好ましくは>50Hzであることを特徴とする、請求項1~30の何れか一項に記載の方法。
【請求項32】
パルス長が0.03ミリ秒から1秒であり、蒸気泡を発生させるときは、前記パルス長が0.3msから1秒、好ましくは0.3msから500ms、より好ましくは0.3msから100ms、さらにより好ましくは0.3msから20ms、特に0.3msから5msであり、蒸気泡のトロイダルリングを発生させるときは、前記パルス長がより短く、特に0.03msから3ms、特に0.07msから0.7ms、好ましくは0.1msから0.4msであることを特徴とする、請求項1~31の何れか一項に記載の方法。
【請求項33】
表面を清掃するための、特に請求項1~32の何れか一項に記載の方法を行うための清掃デバイスにおいて、
該デバイス(1)が、清掃液を供給するための貯液槽(3)を有し、被清掃面(6)の方を向いた前記貯液槽(3)の少なくとも一つの壁(4)に少なくとも一つの貫通開口(5)が設けられ、該貫通開口(5)が加熱デバイスを有する、または前記貫通開口(5)に隣接した前記貯液槽(3)内に位置決めされた加熱デバイス(17)が設けられ、該加熱デバイスが、前記貫通開口内または前記貫通開口(5)の上流の前記貯液槽(3)内の前記清掃液を気化するように実施されることを特徴とする、清掃デバイス。
【請求項34】
前記少なくとも一つの貫通開口(5)がノズルとして実施されることを特徴とする、請求項33に記載の清掃デバイス。
【請求項35】
150μmから600μmの蒸気泡サイズが生じるように前記貫通開口(5)の直径が150μmから400μmであることを特徴とする、請求項33または34に記載の清掃デバイス。
【請求項36】
被清掃面(6)の方を向いた前記デバイス(1)が少なくとも一つの封止要素(7)を有し、該封止要素(7)が前記デバイス(1)から前記被清掃面(6)まで延在し、前記被清掃面(6)に封止的に当接するように実施され、前記少なくとも一つの封止要素(7)が、前記デバイス(1)と前記被清掃面(6)との間に閉じた体積(8)を形成するように実施されることを特徴とする、請求項33~35の何れか一項に記載の清掃デバイス。
【請求項37】
前記少なくとも一つの封止要素(7)がゴム弾性として実施されることを特徴とする、請求項33~36の何れか一項に記載の清掃デバイス。
【請求項38】
蒸気泡(10)が前記貯液槽に戻ることが防止されるように前記貯液槽(3)内の液体を所定の圧力に保つ手段が設けられることを特徴とする、請求項33~37の何れか一項に記載の清掃デバイス。
【請求項39】
前記閉じた体積(8)の脱気を保証するためおよび/または前記閉じた体積(8)の過充填を回避するために、充填中に前記閉じた体積から液体を吸い出すこと、または前記閉じた体積(8)から空気泡を吸い出すことを可能にする手段が設けられることを特徴とする、請求項33~38の何れか一項に記載の清掃デバイス。
【請求項40】
前記デバイス(1)が断面U字形として実施され、前記貯液槽(3)が、立体的で突出した被清掃面(6)を包含することができるようにベース体(3a)と該ベース体(3a)から突出した二つのウイング(3b,3c)とを用いて断面U字形として実施されることを特徴とする、請求項33~39の何れか一項に記載の清掃デバイス。
【請求項41】
ベース体(3a)およびウイング(3b,3c)がそれぞれ少なくとも一つの貫通開口(5)を有し、前記少なくとも一つの封止要素(7)が前記被清掃面(6)まで延在することを特徴とする、請求項33~40の何れか一項に記載の清掃デバイス。
【請求項42】
前記貫通開口が、液体シース流を生成するシースノズル(5a)によって同軸的に包囲された、または液体がパルス状にまたは非パルス状に流れ込む共通のノズル副室につながったコアノズル(5b)を備えて実施されることを特徴とする、請求項33~41の何れか一項に記載の清掃デバイス。
【請求項43】
加熱によって前記コアノズル(5b)内で生成される蒸気泡(10)を同伴し、前記蒸気泡(10)を前記被清掃面(6)まで運搬するのに適した液体シース流が生成される、あるいは液体流が前記コアノズル(5b)内で生成され、前記蒸気泡(10)が前記シースノズル(5a)内で生成されることを特徴とする、請求項33~42の何れか一項に記載の清掃デバイス。
【請求項44】
加熱構造(17)が、前記貯液槽(3)内で出口開口(5)から離間しかつ前記囲まれた体積(8)の反対側に位置するように設けられ、前記加熱構造(17)が、好ましくは薄膜技術を用いて製造され、例えばガラス基板と白金電極などの金属電極とを備える平らな加熱要素(17)であることを特徴とする、請求項33~43の何れか一項に記載の清掃デバイス。
【請求項45】
加熱要素(17)が、蒸気泡(10)が形成されるように前記加熱要素(17)の正面を流れる清掃液を急速加熱するように実施され、前記蒸気泡(10)の膨張により、前記貫通開口(5)内にある液体の部分が前記被清掃面(6)の方向に加速されて前記閉じた体積(8)に入り、前記蒸気泡(10)が、前記加熱要素(17)によって加熱されたときに、前記加熱要素(17)から分離するまで拡大し、前記被清掃面(6)に向かう方向に液滴(11)とともに移動することを特徴とする、請求項33~44の何れか一項に記載の清掃デバイス。
【請求項46】
トロイダルリングを生成するための前記貫通開口(5)は、前記蒸気泡の正面に噴出される液柱の長さの該液柱の直径に対する比が最大で10、好ましくは最大で4であることを特徴とする、請求項33~45の何れか一項に記載の清掃デバイス。
【請求項47】
加熱要素(17)がパルス状マイクロキャビティ気化器要素であることを特徴とする、請求項33~46の何れか一項に記載の清掃デバイス。
【請求項48】
口腔、特に歯、歯間隙、および歯肉を清掃するための、請求項1~47の何れか一項に記載の方法および/またはデバイスの使用。
【請求項49】
前記少なくとも一つのノズルが、定位置を中心にX方向(歯縦軸)および/またはY方向(歯横軸)および/またはZ方向(前記歯に向かう)に揺動する、請求項1および9に記載の方法の使用。
【請求項50】
前記少なくとも一つのノズルが歯に沿って案内される、請求項1~10の何れか一項に記載の方法の使用。
【請求項51】
前記複数のノズルが、少なくとも、一つの歯および隣接する歯肉の高さにわたって延在するように位置決めされる、請求項1~11の何れか一項に記載の方法の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面を清掃するための方法、特に口腔内の表面を清掃するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
歯の清掃の分野では、清掃の改善が絶えず追及されている。歯ブラシと練り歯磨きを用いた従来の清掃にはいくつかの欠点がある。
【0003】
従来の練り歯磨きは最大20%の研磨成分を有し、該研磨成分は、ユーザによる前記ブラシへの過度の圧力とともに、経時的に歯質の重度の酸蝕につながるおそれがある。平均寿命が延びるにつれ、これは、老齢に至る頃には歯が文字通り死ぬほど磨かれてしまうことにつながっており、これが問題につながっている。
【0004】
また、前記歯ブラシには、特にブラッシングが適切に行われないとき歯肉を損傷する可能性があるという欠点があり、その結果、歯周病は一般的な問題である。汚染物質を形成するバイオフィルムのほとんどが歯肉の真上または真下にあるので、歯肉と歯肉の隣を清掃することは非常に重要である。これは歯ブラシでは特に難しく、その理由は、前記ブラシが歯肉に接触して歯肉に炎症を起こすからである。
【0005】
また、歯ブラシと練り歯磨きを用いたブラッシングは口腔衛生の見地からは不十分であり、その理由は、特に歯間隙(被清掃面の最大40%)および歯肉ポケットが十分には清掃されないからであり、その理由は、前記歯ブラシがこれらの領域に届かないからである。
【0006】
プラーク(=口腔バイオフィルム)とは、細菌の作用によって形成され、そこから後の段階で歯石が形成されるものだが、表面とプラーク自体に比較的よく付着する汚染物質の膜であり、前記歯ブラシと直に接触して清掃されても容易に除去することができないが、前記歯ブラシがある程度しか侵入できないまたは全く侵入できない歯間隙内では決して除去することができない。
【0007】
したがって、歯ブラシを用いた従来の清掃には、歯間隙内、特に歯と歯が接する領域を清掃するが歯間隙も清掃するためのデンタルフロスまたは歯間ブラシの使用などの付加的な清掃対策が必要である。しかしながら、デンタルフロスを用いるときも、ある程度の誤使用の可能性があり、その理由は、特に歯肉はデンタルフロスでも、細菌負荷が特に高い歯間ポケットの領域内では特に、傷付く可能性があるからである。これは、とりわけ歯肉炎につながるおそれがある。
【0008】
過去には、清掃への他のアプローチを開発するための様々な試みがなされてきた。例えば、水噴射デバイスを用いて歯間隙を清掃することも知られている。初期の水噴射デバイスは実際に清掃効果を発揮することはできたが、噴流の強さにより歯肉が容易に損傷しかねないことが分かった。最近のデバイスは噴射力の点では著しく低減されており、その結果、歯肉を直ちに損傷することはなくなったが、これにより、これらのデバイスはほとんど効果がないほど清掃能力が低下している。
【0009】
また、いわゆる超音波ブラシを提供しようとする多くの試みがなされており、超音波歯ブラシでは、清掃に用いられて最終的には練り歯磨きとともに結果的に摩耗性の清掃を生じる歯ブラシの振動を、清掃効果を生じると考えられている超音波振動と組み合わせている。しかしながら、このような歯ブラシは、そのような清掃効果の発揮を確認することができるような形で前記超音波を口腔内に結合することができないことが分かった。したがって、そのようないわゆる超音波歯ブラシは、従来の手動の歯ブラシよりも著しく優れているわけではない。
【0010】
ブラシヘッドが円運動または振動運動する他の電動歯ブラシは圧力を制御する場合が多いが、最終的にはこれらの運動も摩耗性のブラッシングになってしまう。
【0011】
非接触的な清掃の分野では、蒸気泡の内破または崩壊の清掃効果が近年議論されている。このような蒸気泡は、超音波の使用、レーザによるスポット加熱、または流体力学的キャビテーションのいずれかによって得られている。蒸気泡の内破は流体力学的な液体噴流を生成すると考えられており、該液体噴流は歯面に衝突すると、生成された強力なせん断力により前記バイオフィルムを分離させる。
【0012】
提示した先行のアプローチは、二つの異なる種類の課題に取り組んでいる。すなわち、一方では、生成される前記蒸気泡のサイズは、清掃強度も決定するものだが、制御が非常に難しい。他方では、前記蒸気泡がアクチュエータ(例えば振動スケーリング器具)の非常に近くで生成され、前記蒸気泡は寿命が短いので直ちに内破し、清掃距離が最小限になってしまう。この方法は、結果的に、専門的な歯の清掃の区分での専ら局所的な適用を可能にしている。
【0013】
特許文献1(独国実用新案第20 2016 101 191号明細書)は、電動歯ブラシ用のブラシヘッドを開示しており、該ブラシヘッドは、歯を全ての側面で包囲することを意図しており、該ブラシヘッド上には清掃のために刷毛が位置決めされている。
【0014】
特許文献2(米国特許第3,401,690号明細書)は、少なくとも一つの歯を包含するクランプを通して超音波が液体を介して表面に当てられる清掃デバイスを開示している。
【0015】
特許文献3(米国特許出願公開第2005/0091770号明細書)は、普通の電動歯ブラシのように動作するが、音響エネルギーを清掃液に導入するための超音波発生器も有している歯ブラシを開示している。
【0016】
特許文献4(米国特許出願公開第2017/0189149号明細書)は、超音波デバイスを用いて歯を白くするためのシステムを開示している。この目的でマウスピースが設けられており、該マウスピースは上顎用の体積と下顎用の体積とを有し、超音波発生器が前記マウスピース内で歯に対向して位置決めされ、歯面に超音波エネルギーを当てることができる。
【0017】
これは、超音波ストリーミングとして知られる効果を生成することを意図しており、温度が制御されなければならず、泡は超音波の伝達を妨げるので泡の形成も防止されなければならないと述べられている。この場合20kHzから100kHzの周波数を使用すべきとしており、この目的は、歯の表面で内破する蒸気泡を形成するようにキャビテーションを意図的に誘発することであり、その目的は、最大5000ケルビンの局所温度および最大1000気圧の局所圧力を発生させることである。
【0018】
ここでの欠点は、導入されるエネルギー量が、組織への損傷が事実上避けられないほど高いことである。
【0019】
特許文献5(国際公開第2007/060644号)は、いわゆる「マイクロストリーミング」によってバイオフィルムを除去するための方法およびデバイスを開示している。この場合、気泡を超音波によって共振させることを意図しており、清掃効果を生じると考えられている。超音波励起の目的は、前記気泡を振動させ、前記泡の近傍の小さな領域で音響ストリーミングを誘発することである。この音響ストリーミングはマイクロストリーミングとしても知られる。このマイクロストリーミングは、前記バイオフィルムを除去することができるせん断力を発生させると考えられている。前記対応する気泡は予め製造しておくことができ、特に、これらの泡は、該気泡を安定させるためにリン脂質環境またはタンパク質環境で発生させることもできる。
【0020】
特許文献6(国際公開第2009/077291号)も、バイオフィルムに抗菌剤を導入するための方法を開示しており、この場合、気泡がプラスチック外被の中の処理室に導入され、次に前記プラスチック外被が超音波によって破壊され、それにより前記泡が解放される。前記気泡は、結果的に、前記超音波周波数によって励起され、その結果振動し、最大振幅に達した後、崩壊し、それにより前記バイオフィルムを破裂させる。
【0021】
特許文献7(国際公開第2010/076705号)は、刷毛に加えて、微小泡も導入されるのとともに処理室に超音波を導入する超音波発生器を含有する歯ブラシを開示している。これはキャビテーションを生じることができるが、生じなくてもよい。
【0022】
特許文献8(国際公開第2020/212214号)は、歯ブラシが水噴射デバイスに結合されることになっている方法を開示しており、前記歯ブラシが歯間隙を通るように案内されるとき、水噴射が前記歯間隙を洗浄するように前記水噴射デバイスが制御される。この目的で、適切な加速度センサ、速度センサ、または変位センサが使用されることになっている。
【0023】
特許文献9(国際公開第2020/212248号)は、歯ブラシに水噴射デバイスも結合された方法を開示しており、制御器が設けられ、該制御器は、所定のデータおよびユーザ固有のデータを使用して口の中の清掃デバイスの位置を推定し、前記データは、とりわけ、ユーザの清掃アクティビティまたは前記清掃デバイスの操作に関するデータを含み、歯間隙に達したときに水噴射で該歯間隙を洗浄するために前記位置を推定するために使用される。
【0024】
前記既知の方法の一つの欠点は、実験により、超音波生成(内破)泡のみを用いた清掃では不十分であることが示されていることである。清掃性能が低過ぎる、または清掃性能がより高いが、必ずしも十分ではないより高い清掃性能では、安全でないエネルギー範囲に達してしまい、安全でないというのは、これらのエネルギー範囲では、特定のスポットで歯肉と歯質の両方の破壊を招くおそれのあるキャビテーションが発生する可能性があるからである。このような破壊の発生を阻止するために、この範囲は大きめの余裕をもって避けなければならず、その結果、非効果的な清掃性能になってしまう。結局のところ、微小泡を従来の歯ブラシと組み合わせることは、該二つのテクノロジーの欠点を組み合わせてしまうだけである。
【0025】
前記超音波生成泡は、被清掃面の全て、すなわち、歯間隙も含めた全ての清掃を確実に達成するわけではないことも分かっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【特許文献1】独国実用新案第20 2016 101 191号明細書
【特許文献2】米国特許第3,401,690号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0091770号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2017/0189149号明細書
【特許文献5】国際公開第2007/060644号
【特許文献6】国際公開第2009/077291号
【特許文献7】国際公開第2010/076705号
【特許文献8】国際公開第2020/212214号
【特許文献9】国際公開第2020/212248号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
本発明の目的は、表面を清掃するための方法であって、簡単に、迅速に、かつ安全に、また効果的にかつ無害であるように前記バイオフィルムを分離させる方法を創出することである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
前記目的は、請求項1の特徴によって達成される。
【0029】
有利な変形例は、請求項1の従属請求項で開示する。
【0030】
別の目的は、バイオフィルムの簡単、迅速、安全かつ効果的でもある清掃を保証する、表面を清掃するためのデバイスを創出することである。
【0031】
前記目的は、請求項33の特徴によって達成される。
【0032】
有利な変形例は、請求項33の従属項で開示する。
【0033】
本発明者らは、超音波生成泡は確かに前記バイオフィルムに損傷を与えるのに適しているが、それにもかかわらず前記バイオフィルムは―面ファスナーのように―素早く戻って再度塞がり、前記バイオフィルム自体と歯面の両方に付着する傾向があることが分かり、その結果、前記バイオフィルムは、最初は緩められるが、分離したり除去したりすることはできないことを発見した。これは明らかに、流れ条件、特によく使用され説明されたマイクロストリーミングが確実な清掃には不十分であることが原因である。前記泡の投出範囲が不十分でありかつ/またはカバーする距離範囲が短過ぎることも判明している。
【0034】
本発明によれば、被清掃面が、閉じた液体体積によって包囲される。前記閉じた液体体積の内側では、パルス加熱で生成される蒸気泡、特に過熱蒸気泡が生成されて被清掃面に当てられる。
【0035】
本発明に係る前記泡は、超音波によって、特に歯および組織を損傷しないエネルギー入力を用いた超音波によって生成することができる泡よりも約10倍大きい。
【0036】
本発明によれば、前記泡の輸送は、組み合わせて使用することもできる二つの基本的な方法によって行うことができる。
【0037】
第一の方法は、熱入力によって蒸気泡を生成することであり、ノズル組立体内の噴出方向にある前記蒸気泡の正面の液体体積が膨張によって噴出される。この噴出された体積によって、特に、被清掃面に対する所定の強度および速度の圧力噴射または圧力パルスが生成される。液体または液体媒質の性質により、前記液体体積に小さな体積の液体を導入する圧力サージが、周囲の液体を通って被清掃面に伝播する。
【0038】
流体力学によれば、前記圧力サージの後端で負圧が生じ、その結果、前記蒸気泡がこのより低い圧力領域に同伴され、前記蒸気泡の背後では、特定の圧力を有する被気化液が加熱器の領域に送り込まれ、該加熱器から先の噴出開口へ送られる。そして、上記プロセスは加熱手順から再開する。
【0039】
このプロセスはさらに、前記被気化液の供給の適切な周期的脈動によって補助することができる。
【0040】
この場合、前記蒸気泡は、異なる長さおよび/または直径のノズルによって生成することができ、その結果、異なるサイズの蒸気泡を生成することができ、該異なるサイズの蒸気泡は、経験によれば、投出範囲も異なる。
【0041】
特定のノズルの幾何学的形状が維持される場合、前記蒸気泡は、法則によってより安定しており、より大きな投出範囲を得ることができるトロイダルリングの形で生成することもできる。
【0042】
第二の方法は、前記蒸気泡を第一のノズルで生成することである。このノズルは、液体シース流を生成する環状ノズルによって包囲することができ、または液体がパルス状または非パルス状に流入する共通のノズル副室につなげることができる。例えば、蒸気ノズルの周囲の環状ラインを介してもよいし、または何か他のやり方ででもよい。
【0043】
前記液体シース流または前記ノズル副室内の流れは、前記蒸気泡を同伴して前記蒸気泡を前記被清掃面に運搬するのに同様に適した指向流を生成する。
【0044】
この方法を用いても、前記蒸気泡の前記運搬は、前記蒸気ノズルおよび/または包囲ノズル/ラインへのパルス状または非パルス状の補充液体流によって補助することができる。
【0045】
どのような場合でも、前記蒸気泡は、温度降下によりおよび前記閉じた体積を満たす周囲の液体による冷却により、その集合状態が変化するので、一定時間後に崩壊する。
【0046】
これにより圧力補償が生じ、前記口腔バイオフィルムに対して、前記口腔バイオフィルムを分離させ、この目的には十分なせん断力またはせん断応力を及ぼす流れが引き起こされる。(流体中の粒子との組み合わせ。)
【0047】
この場合、前記蒸気泡の前記サイズにより、前記せん断応力は、超音波によって生成された泡を用いる場合よりもはるかに高い。
【0048】
前記蒸気泡のために流れる輸送液により、前記バイオフィルムが前記バイオフィルム自体に再付着するのではなく運び去られることを保証する流れ条件も存在する。
【0049】
前記輸送液の別の目的は、前記閉じた体積内の前記液体の加熱の高まりを防止し、これらの液体が相応に調節されたとき、加熱デバイスと前記閉じた体積内の前記液体の両方を冷却するように働くことである。
【0050】
前記ノズルは、前記泡および/または前記液体を噴出させるもので、この場合、断面円形とすることができるが、任意の他の形状、例えば、楕円形または細いスリット形、星形、またはほぼ不規則な形状を有することもできる。
【0051】
前記ノズルの幾何学的形状も前記蒸気泡が呈する形状に影響を及ぼす。特に、前記蒸気泡がトロイダルリングの形で噴出されると有利である可能性がある。
【0052】
これらのノズルの幾何学的形状に関して、代替直径として水力直径Dh=4A/Pを用いることができ、ここでA=断面積、P=濡れ縁である。
【0053】
蒸気泡の前記円形のトロイダルリングは、特に安定しており、目立った形状変化がなく前記液体の中へ遠くまで伝播するので有利である。
【0054】
しかしながら、他の幾何学的形状の安定性でも、必要な清掃距離に対して十分で、歯の幾何学的形状への適合が可能な場合がある。
【0055】
蒸気体積の前に噴出される液柱の長さの該液柱の直径に対する比が最大4までであれば、これらのトーラス(tori)が形成されることを発見した。
【0056】
これを上回り、最大約10の比のときは、境界線がはっきりしない混在範囲が存在する。
【0057】
厳密に前記混在範囲がどこまで及ぶかおよび純粋な噴流がどこに存在するかは流動的であり、したがって正確に決定することはできない。
【0058】
これに関する情報は、D.G.Akhmetov“Vortex Rings” ISBN 978‐3‐642‐05015‐2の特に図3.6および図3.7に見られる。
【0059】
図3.7は前記関係をかなりはっきりと示しており、ここでUptはいわゆるスラグ長さ、すなわち、噴出流体の柱長さである。Up=前記流体の速度、t=噴出時間、およびD=ノズル径である。
【0060】
Upt/D=2でははっきりとしたトーラスが観察され、3.8(約4)ではまだトーラスであるが、8では既にトーラスと噴流が混在し、すなわち、二次的でより小さな渦も含有している混合形態が存在している。
【0061】
同書籍からの図3.6は、Upt/D=3.8からは、循環が事実上トーラスにならなくなることを示している。
【0062】
とりわけ、トロイダルリングには、前記ノズルと前記被清掃面との間の大きな距離範囲を渡り切ることができるという利点もある。
【0063】
また、その中心部で前記蒸気を輸送するトロイダルリングは、本願で特定された前記目的に必要な距離よりもはるかに大きな距離を渡り切ることもできる。自由液体中では、高温蒸気を有するトロイダルリングは、約1.5mmのノズル直径を用いた場合、最大で約30mmから約50mm移動する。これは、トロイダルリングが使用されるとき、どのような場合でも被清掃面に確実に届くことを意味する。
【0064】
これにより、具体的には加熱によって生成される蒸気泡の内破によって非接触的な歯の清掃を達成する方法が得られる。この方法は、例えば歯を囲み、液体体積が供給されるブラシヘッドの形で、歯面に用いることができる。
【0065】
従来の方法と比べ、この場合の前記蒸気泡は、清掃溶液の気化によって生成される。前記清掃溶液は一方では普通の水でよいが、増粘剤を用いた対応する増粘によって、または清掃増強剤(粒子、セルロース繊維など)の添加によって、およびその脱気度を用いてアルコールなどを含む特別な組成に応じて清掃パラメータに適合させた特別な液体を使用することもできる。
【0066】
前記蒸気泡は、使用される前記ノズルに基づいて制御されたサイズで生成される。この場合の前記泡サイズは、清掃強度および清掃スポットのサイズに対して決定的な影響を有する。
【0067】
前記生成された蒸気泡を歯まで運ぶために、前記蒸気泡生成は、対応する流れの生成と組み合わされ、それにより、前記蒸気泡は、内破する前に歯面および歯間隙内に輸送されることが保証される。
【0068】
全体的な清掃強度は、主に、前記蒸気泡の形状およびサイズ、前記液体の脱気度、前記液体の粘度、および前記液体に含まれる粒子または繊維の影響によって決まる。
【0069】
前記崩壊する蒸気泡の清掃効果は、該崩壊の動力学に大きく依存する。デンタルプラークの清掃を達成するために、前記蒸気泡が崩壊するのに必要な時間は、0.01msから0.5msの範囲内、またはより正確には0.050msと0.25msの間の時間とすべきである。
【0070】
清掃液および蒸気泡サイズからなる選定された清掃構成を使用するとき、前記蒸気泡が完全に崩壊するのに必要な時間は、一方で清掃効果が得られ、他方で歯面が損傷しないように調節されなければならない。この場合に結果的に得られる崩壊時間は、前記清掃液の脱気速度を用いて相応に調節することができる。この場合の前記脱気速度が上がると、前記崩壊に必要な時間が長くなる。
【0071】
一変形例では、本発明にしたがって、閉じた処理室が設けられ、クッション状の要素または封止要素により、特に前記ノズルまたはノズル組立体の周囲に位置決めされ、弾性封止的に歯に当接する弾性シールリップを用いて、前記ノズルの正面に清掃流体体積が生成される。特に、封止クッションは前記表面に適合することができる。これに関連して、「封止」または「液体体積を創出」とは、この体積が絶対的に液密であるということは意味せず、液体の漏出はある程度避けられず、容易に許容することができる。
【0072】
一定量の液体の漏出は起きるが粒子の漏出は起きないことも有利である可能性があり、その理由は、こうして粒子が前記清掃流体体積内で濃縮し、結果的に、一パルス当たりおよび一ノズル当たりの清掃粒子が多くなり、したがって清掃性能がより良好になるからである。この場合の前記濃縮は、前記シールリップが前記粒子を前記流体よりも強力に堰き止める場合に前記シールリップによって引き起こすことができる。そして、前記粒子は、新しい清掃流体とともにより低い濃度で供給するだけでよく、結果的に、供給ラインの詰まりが有利に遅くなるまたは防止される。
【0073】
したがって、その弾性により、前記クッションは、前記ノズルを通して流れ込む前記体積の少なくともほとんどを捕捉することができ、ちなみに完全な密閉も可能である。したがって、理想的には、前記ノズルと前記被清掃面との間の前記閉じた体積は清掃液を全く失わず、これにより、理想的には、前記清掃液は、清掃噴流ごとに吸引されて噴出されることによって何度でも再利用することができる。しかしながら、実際には、清掃流体の喪失は、例えば、歯間隙によってまたは前記被清掃面の表面形状による前記シールリップでの漏出によって避けられそうになく、清掃液の流入によって補償しなければならないので、合計の流入量は前記体積よりも大きい。
【0074】
この場合の前記流入は、前記蒸気泡も噴出される前記各ノズル、特にこの目的で設けられた液体ノズル、または平均流量の流体が一つまたは複数のノズルを流れるように複数のノズルを備えるノズル組立体における前記一つまたは複数のノズルを通して行うことができる。しかしながら、前記閉じた体積は、他の箇所から十分な量の清掃液を補充することもできる。
【0075】
上記で説明したように、前記ノズル形状は円形断面とは異なっていてよく、任意の他の形状を有することができる。縦断面では、前記ノズルは、円柱形としてまたは境界壁が広がったり収束したりせずに実施することができるが、円錐形として実施することもできる。
【0076】
前記トロイダルリングを発生させるのに必要な前記脈動に関して、前記脈動の駆動周波数は、1Hzと50kHzの間、特に1Hzと30kHzの間、とりわけ1Hzから1kHzである。
【0077】
特に回転楕円体状の蒸気泡を生成するときは、脈動周波数は、好ましくは1Hzと1kHzの間、特に30Hzと300Hzの間、好ましくは>50Hzである。
【0078】
特に熱蒸気のトロイダルリングを発生させるときは、前記脈動周波数は、好ましくは1Hzと20kHzの間、好ましくは50kHzから1Hz、より好ましくは50Hzから300Hzである。
【0079】
>50Hzの脈動周波数はかなり合理的であり、その理由は、このやり方で、快適なシャトルサイズ(ノズルの数)で短い清掃時間を達成することができるからである。
【0080】
例えば、パルス長は0.03ミリ秒から1秒の範囲である。
【0081】
特に蒸気泡を発生させるときは、前記パルス長は、0.3msから1秒、好ましくは0.3msから500ms、より好ましくは0.3msから100ms、さらにより好ましくは0.3msから20ms、特に0.3msから5msである。
【0082】
特に蒸気泡のトロイダルリングを発生させるときは、前記パルス長はより短くすることができ、特に、0.03msから3ms、特に0.07msから0.7ms、好ましくは0.1msから0.4msである。これも前記トーラスのサイズによって決まる。
【0083】
粒子を使用するときは、1μmから0.5mmの粒子を使用することができる。
【0084】
前記閉じた体積内の所望の粒子密度は、前記閉じた体積に含有される前記液体に対して、好ましくは30体積パーセント未満、特に20体積パーセント未満、特に15体積パーセント未満である。
【0085】
前記デバイス内で運搬される前記最初の清掃液中の所望の粒子密度は、好ましくは10体積パーセント未満、特に5体積パーセント未満であり、いずれの場合も前記清掃液の体積に対するものとする。
【0086】
本発明に係る前記閉じた体積は、対応するシールリップまたは他の封止要素を用いて閉鎖することができるものだが、本発明者には有用であることが分かっており、その理由は、多くの人にとって、口内が清掃流体で満たされたとき、特に前記流体体積が増大し続けるとき、および前記デバイスを取り除くときに、まだある清掃流体が口から流れ出て服を汚すことは不快なことだからである。
【0087】
本発明によれば、前記清掃流体は、前記閉じた体積内に相応に維持され、前記清掃プロセスが終了した後、前記閉じた体積に含有される前記清掃液は、本発明に係る上記のバックサクションによって完全に吸い出すこともできる。
【0088】
この場合、前記閉じた体積は、一つまたは複数の歯の周囲に生成することができ、顎枝の周囲で閉じることができ、または、例えば、大臼歯の周囲に一つの体積が生成され、犬歯領域に一つの体積が形成され、切歯領域に一つの体積が形成されるように、例えば歯の形状に応じて異なる形状の複数の歯の周囲で閉じることができる。
【0089】
顎全体に対する総合的な体積を、対応するノズル組立体を用いて生成することもできるが、前記体積を区切る異なる形状の領域間には、例えば隔壁または仕切板、特に弾性の隔壁または仕切板が設けられ、該隔壁または仕切板は前記ノズルの支持も行う。
【0090】
したがって、設計は柔軟であるが、考え得る任意選択肢は全て、前記閉じた体積が前記表面の周囲の前記流体を保持し、口内の流体量を顕著に減少することが共通している。
【0091】
上記したように、前記液体の案内に関しては、本発明に係る複数の変形も存在する。
【0092】
したがって、本発明は、特に表面を清掃するための方法に関し、被清掃面上またはその周囲に液体体積が生成され、少なくとも一つのノズルと加熱デバイスとを備える少なくとも一つの組立体を用いて、熱蒸気泡および/または過熱蒸気によって構成される泡が生成されて、前記被清掃面に当てられる。
【0093】
一変形例によれば、液体もパルス状に噴出される。
【0094】
一変形例によれば、前記蒸気泡の正面の前記液体は、同一のノズルまたは少なくとも一つの他のノズルから噴出される。
【0095】
一変形例によれば、清掃液の加熱は、前記少なくとも一つのノズルの上流でまたは前記少なくとも一つのノズル内で、所定の脈動周波数でパルス状に行われる。
【0096】
一変形例では、複数のノズルを備える組立体が使用される。
【0097】
一変形例によれば、熱入力を使用してノズル内で蒸気泡を生成し、ノズル組立体内の噴出方向における前記蒸気泡の正面の液体体積が膨張によって噴出され、この噴出された体積により、前記被清掃面の方向に所定の強度および速さの圧力噴射または圧力パルスが生成される。
【0098】
一変形例によれば、流体力学にしたがって、圧力サージの後端で負圧が生じ、その結果、前記蒸気泡がこのより低圧の領域に同伴され、前記蒸気泡の背後では、所定の圧力を有する被気化液が、加熱器の領域に送り込まれ、該領域から先の前記ノズルの噴出開口へ送られる。
【0099】
一変形例によれば、被気化液は、周期的なパルス状に前記ノズルへ供給される。
【0100】
一変形例によれば、表面が平らでないとき、または該表面からの距離の関数として、次の測定値、すなわち、前記ノズルから噴出された液体のパルス強度、前記ノズルから噴出された前記液体の量、前記熱蒸気泡のサイズ、前記熱蒸気泡の速さ、および前記熱蒸気泡の蒸気の蒸気温度のうちの一つまたは複数が、それらの経時的に一定の大きさおよび経時的に変化する大きさに関して調整されるように前記ノズルが操作される。
【0101】
一変形例によれば、距離が大きくなるほど、次のパラメータ、すなわち、パルス強度、パルス持続時間、パルス周波数、液体供給量、泡サイズ、および蒸気温度のうちの一つまたは複数が増加される。
【0102】
一変形例によれば、液滴によって引っ張られる前記蒸気泡の侵入深さを増加するためにパルス強度が経時的に変更される。
【0103】
一変形例によれば、前記少なくとも一つのノズルが、定位置を中心にX方向(表面縦軸)および/またはY方向(表面横軸)および/またはZ方向(歯の表面)に揺動する。
【0104】
一変形例によれば、前記少なくとも一つのノズルが前記表面に沿って案内される。
【0105】
一変形例によれば、複数のノズルが組み合わされてノズル組立体を形成し、該ノズルが、少なくとも前記表面の一つの方向(XまたはY)にわたって位置決めされるように配置され、個別のノズルのノズル噴流衝突面同士が重なる、またはノズル組立体を揺動させる場合、前記ノズル組立体のノズル噴流衝突面同士が重なる。
【0106】
一変形例によれば、前記組立体の単位面積当たり異なるノズル密度が、表面の一つの方向にわたって用いられ、前記組立体が前記被清掃面からより遠くに離間する領域に、より多くのノズルが使用される。
【0107】
一変形例によれば、複数のノズルが各シャトルデバイスに組み込まれ、該シャトルデバイスは、少なくとも、一つの歯および隣接する歯肉の領域を逆U字形に包含する。
【0108】
一変形例によれば、前記シャトルデバイスが、移動デバイスによって前記表面の上方で移動される。
【0109】
一変形例によれば、一つのシャトルデバイスにつき10個から100個のノズルが使用される。
【0110】
一変形例によれば、異なる直径および/または異なる流動長を有するノズルが使用される。
【0111】
一変形例によれば、トロイダルリング状の蒸気泡が生成される。
【0112】
一変形例によれば、脈動が50Hzと300Hzの間のパルス周波数で生成される。
【0113】
一変形例によれば、被清掃面からの距離が、0.5mmと5mmの間、かつ歯間隙では最大で7mmとなるように設定される。
【0114】
一変形例によれば、絶対入口圧力、すなわち、前記ノズル内の前記加熱器の正面の前記清掃液の周囲圧力を含む前記供給ライン中の前記液体の圧力が、0.1MPaから2MPa、好ましくは0.12MPaから0.6MPaに設定される。
【0115】
一変形例によれば、前記清掃液が0.1体積%から5体積%の粒子を含有する。
【0116】
一変形例によれば、前記粒子として鉱物粒子またはセルロース系粒子が使用される。
【0117】
一変形例によれば、粒子サイズが20μmから120μmの粒子が使用される。
【0118】
一変形例によれば、前記体積内の液体の量を一定に保つために、前記液体の一部が前記体積から吸い出され、該一部が、前記少なくとも一つのノズルを介して供給される液体の量に本質的に対応する。
【0119】
一変形例によれば、前記閉じた体積内の粒子密度が、前記閉じた体積に含有される前記液体に対して、30体積パーセント未満、特に20体積パーセント未満、とりわけ15体積パーセント未満である。
【0120】
一変形例によれば、前記デバイス内で運搬される前記最初の清掃液中の粒子密度が、10体積パーセント未満、特に5体積パーセント未満であり、いずれの場合も前記清掃液の体積に対するものとする。
【0121】
一変形例によれば、デンタルプラークのようなバイオフィルムの清掃を達成するために、前記蒸気泡が崩壊するのに必要な時間は、0.01msから0.5msの範囲内、またはより正確には0.050msと0.25msの間に設定される。
【0122】
一変形例によれば、トロイダルリングを発生させるのに必要な前記脈動において、前記脈動の駆動周波数は、1Hzと50kHzの間、特に1Hzと30kHzの間、とりわけ1Hzから1kHzであり、回転楕円体状の蒸気泡を生成するときは、前記脈動周波数は、好ましくは1Hzと1kHzの間、特に30Hzと300Hzの間、好ましくは>50Hzである。
【0123】
一変形例によれば、パルス長は0.03ミリ秒から1秒であり、蒸気泡を発生させるときは、前記パルス長は0.3msから1秒、好ましくは0.3msから500ms、より好ましくは0.3msから100ms、さらにより好ましくは0.3msから20ms、特に0.3msから5msであり、蒸気泡のトロイダルリングを発生させるときは、前記パルス長はより短く、特に0.03msから3ms、特に0.07msから0.7ms、好ましくは0.1msから0.4msである。
【0124】
本発明の別の態様は、表面を清掃するための、特に上記の方法を行うための清掃デバイスに関し、該デバイスが、清掃液を供給するための貯液槽を有し、被清掃面の方を向いた少なくとも一つの壁に少なくとも一つの貫通開口が設けられ、該貫通開口が加熱デバイスを有する、または前記貫通開口に隣接した前記貯液槽内に位置決めされた加熱デバイスが設けられ、該加熱デバイスが、前記貫通開口内または前記貫通開口の上流の前記貯液槽内の前記清掃液を気化するように実施される。
【0125】
一変形例によれば、前記少なくとも一つの貫通開口はノズルとして実施される。
【0126】
一変形例によれば、150μmから600μmの蒸気泡サイズが生じるように前記貫通開口の直径が150μmから400μmである。
【0127】
一変形例によれば、被清掃面の方を向いた前記デバイスは少なくとも一つの封止要素を有し、該封止要素は前記デバイスから前記被清掃面まで延在し、前記被清掃面に封止的に当接するように実施され、前記少なくとも一つの封止要素は、前記デバイスと前記被清掃面との間に閉じた体積を形成するように実施される。
【0128】
一変形例によれば、前記少なくとも一つの封止要素はゴム弾性として実施される。
【0129】
一変形例によれば、蒸気泡が前記貯液槽に戻ることが防止されるように前記貯液槽内の前記液体を所定の圧力に保つ手段が設けられる。
【0130】
一変形例によれば、前記閉じた体積の脱気を保証するためおよび/または前記閉じた体積の過充填を回避するために、充填中に前記閉じた体積から液体を吸い出すこと、または前記閉じた体積から空気泡を吸い出すことを可能にする手段が設けられる。
【0131】
一変形例によれば、前記デバイスは断面U字形として実施され、前記貯液槽は、立体的で突出した被清掃面を包含することができるようにベース体と該ベース体から突出した二つのウイングとを用いて断面U字形として実施される。
【0132】
一変形例によれば、前記ベース体および前記ウイングはそれぞれ少なくとも一つの貫通開口を有し、それにより前記少なくとも一つの封止要素が前記被清掃面まで延在する。
【0133】
一変形例によれば、前記貫通開口は、液体シース流を生成するシースノズルによって同軸的に包囲された、または液体がパルス状にまたは非パルス状に流れ込む共通のノズル副室につながったコアノズルを備えて実施される。
【0134】
一変形例によれば、前記環状ノズルにおいて、加熱によって前記コアノズル内で生成される前記蒸気泡を同伴し、前記蒸気泡を前記被清掃面まで運搬するのに適した液体シース流が生成される、あるいは液体流が前記コアノズル内で生成され、前記蒸気泡が前記シースノズル内で生成される。
【0135】
一変形例によれば、加熱構造は、前記貯液槽内で出口開口から離間しかつ囲まれた体積の反対側に位置するように設けられ、前記加熱構造は、好ましくは薄膜技術を用いて製造され、例えばガラス基板と白金電極などの金属電極とを備える平らな加熱要素である。
【0136】
一変形例によれば、前記加熱要素は、蒸気泡が形成されるように前記加熱要素の正面を流れる清掃液を急速加熱するように実施され、前記蒸気泡の膨張により、前記貫通開口内にある液体の部分が前記被清掃面の方向に加速されて前記閉じた体積に入り、前記蒸気泡が、前記加熱要素によって加熱されたときに、前記加熱要素から分離するまで拡大し、前記被清掃面に向かう方向に液滴とともに移動する。
【0137】
一変形例によれば、トロイダルリングを生成するための前記貫通開口は、前記蒸気泡の正面に噴出される液柱の長さの該液柱の直径に対する比が最大で10、好ましくは最大で4である。
【0138】
一変形例によれば、前記加熱要素がパルス状マイクロキャビティ気化器要素である。
【0139】
本発明の別の態様は、口腔、特に歯、歯間隙、および歯肉を清掃するための上記方法および/または上記デバイスの使用に関する。
【0140】
一変形例は、前記少なくとも一つのノズルが、定位置を中心にX方向(歯縦軸)および/またはY方向(歯横軸)および/またはZ方向(前記歯に向かう)に揺動する、前記方法の使用を提供する。
【0141】
一変形例は、前記少なくとも一つのノズルが歯に沿って案内される、前記方法の使用を提供する。
【0142】
一変形例は、前記複数のノズルが、少なくとも、一つの歯および隣接する歯肉の高さにわたって延在するように位置決めされる、前記方法の使用を提供する。
【0143】
一例として次の図面を用いて本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0144】
図1】複数のノズルおよびシールリップを備える、歯に当接した一面からなる清掃デバイスを示す図である。
図2】複数のノズルおよびシールリップを備える、歯を囲むU字形のシャトルを示す図である。
図3】蒸気泡および先行の液滴の運動を示す図である。
図4】チューブ内のチューブにおける前記蒸気泡の生成を示す図である。
図5】チューブ内のチューブにおける蒸気泡の生成を一連の流れとして示す図である。
図6】気化アクチュエータを用いた蒸気泡の生成を示す図である。
図7】気化アクチュエータを用いた蒸気泡の生成を一連の流れとして示す図である。
図8】トーラスにおける蒸気の輸送および液滴による蒸気の輸送を互いに比較して示す図である。
図9】MEMS要素を備え、三面からなり、歯を包含するシャトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0145】
本発明は、基本的に、比較的軟質だがかなり粘着性の被膜で覆われた表面を清掃するのに適している。
【0146】
特に、本発明に係る方法および本発明に係るデバイスは、下記により詳細に説明するが、口腔内の清掃のため、特に歯および歯肉の清掃のために使用することができる。
【0147】
下記で歯または歯肉が表面として言及されているときは常に、これは一例に過ぎないと理解される。これは明白に他の表面を含む。
【0148】
上記した概説は、特に技術的な実施形態および仕様に関して、他の値またはパラメータが明白に言及されていない限り、下記の例にも適用される。
【0149】
図1は、本発明に係るデバイス1の第一の考え得る実施形態のごく概略的な描写である。この場合の前記デバイス1は、歯2上の表面を清掃するために使用され、この場合の前記表面は歯の側面である。
【0150】
この場合の前記デバイス1は貯液槽3を有する。被清掃面の方を向いた壁4には複数の貫通開口5が設けられている。前記貫通開口5は、例えばノズルとして実施することができ、前記貯液槽3から被清掃面6の方向の流れ、特に液体の流れを可能にするように使用することができる。
【0151】
前記壁4の近傍では、前記デバイス1は封止要素7、特にシールリップ7を有し、該封止要素7は、前記デバイス1から、特に前記壁4の領域から、前記被清掃面6まで延在し、前記被清掃面6に当接する。この場合の前記封止要素7は、前記デバイス1、より正確には前記デバイス1の前記壁4と、前記被清掃面6との間に閉じた体積8を形成するように実施される。これは、図示の前記封止要素を、単一の封止要素すなわち円周状のシールリップとすることもできることを意味する。
【0152】
この場合の前記一つの封止要素7または複数の封止要素7は、特にゴム弾性として実施することができ、また、前記表面6の凹凸を補償するために、ひだのある蛇腹の形で実施することもでき、前記被清掃面6に当接する前記封止要素7の表面は増大した接触面を有することができる。この増大した接触面9は、例えば、封止効果を高める例えばフィンの形をした微細な輪郭を有することができる。
【0153】
この場合の前記貫通開口5またはノズル5は、蒸気相が得られるまでその近傍の液体の急速加熱を生じることができるように加熱デバイス(図示せず)を備えて実施される。これにより、前記デバイス1は気泡10を良好に生成し、該気泡10には、前記被清掃面に向かう方向に液滴11が先行している。前記気泡10および前記液滴11のこの指向運動は、一方では、前記貯液槽3内の前記液体が特定の圧力にあり、前記貫通開口5が、任意選択的に、前記液体の急激な気化によって前方に向かう運動を引き起こす形状を有する、すなわち、前記ノズルまたは貫通開口5が、例えば、前記被清掃面6に向かう方向に漏斗状に広がっていることによって生じることができる。
【0154】
前記蒸気泡10および前記液滴11の前記運動を生じるために、前記閉じた体積8は液体で満たされており、自明的な理由から、前記閉じた体積8内の前記液体は、好ましくは前記貯液槽3内の前記液体に対応し、すなわち、全体的に見て、気化される清掃液は、前記閉じた体積8内と前記貯液槽3内の両方に存在している。
【0155】
これは、例えば、前記貫通開口5またはノズル5内の加熱ユニットが起動される前に、清掃液がこれらのノズルを通して前記閉じた体積8内へ、前記閉じた体積8が前記清掃液で満たされるまで圧送されることで達成することができる。前記閉じた体積8の対応する脱気を保証するために、過剰な清掃液が送り込まれ、空気泡が含まれないようにバックサクションデバイス(図示せず)によってサックバックして排出することができる。
【0156】
前記デバイス1の有利な一実施形態では、前記デバイス1は逆U字の形で実施され、前記貯液槽3は、ベース体3aと、該ベース体3aから直角に突出した二つのウイング3bおよび3cとを備える逆U字の形で実施される。前記被清掃面6に対向する壁4a,4bおよび4cにはそれぞれ少なくとも一つの貫通開口5またはノズル5が設けられ、前記封止要素7または前記円周状の封止要素7は、前記壁4bおよび4cまたは隣接する端壁12から前記被清掃面6まで延在する。したがって、このようなデバイス1を使用して、立体的に突出した被清掃面、例えば歯2に対して全ての側面から作用することができる。
【0157】
図3は一連の流れを示し、液滴11が、該液滴11を前記貫通開口5から押し出した蒸気泡10に先行している。そしてこの液滴は前記被清掃面6に衝突する。前記被清掃面6に向かう運動方向は矢印14で示し、前記衝突後の前記表面では、この運動方向に、矢印15で示す横断流がつながる。前記液滴11が押し広がった後で前記蒸気泡10が前記表面6に衝突すると、前記気泡または蒸気泡10が内破するときに、矢印16に対応する微小流が生成され、これにより前記液体中に前記対応する横断流15が生じ、それにより既に上記で述べた清掃効果がもたらされる。
【0158】
図4は、前記貫通開口またはノズルの一実施形態を示す。この場合、コアノズル5bが、液体シース流を生成するシースノズル5aの環状ノズルによって包囲されている、または液体がパルス状または非パルス状に流れ込む共通のノズル副室(図示せず)につながっている。前記環状ノズル5a内の前記液体シース流により指向流が生成され、該指向流は、加熱によって前記コアノズル5b内で生成された蒸気泡10を同伴し、該蒸気泡10を前記被清掃面6に案内するのに同様に適している。ここでも、前記蒸気泡10の運搬は、前記蒸気ノズルおよび/または前記包囲ノズルへのパルス状または非パルス状の補充液体流によって補助することができる。
【0159】
当然のことながら、前記蒸気は前記環状ノズル5a内で生成することもでき、前記液体流は前記中心のコアノズル5bを通して発生することができる。
【0160】
これを図5に示し、まず、液体パルスにより先行する液滴11が生成され、該液滴11が前記被清掃面に向かって前記矢印方向14にしたがって運搬される。前記環状ノズル5a内で、この目的で段階的または周期的に蒸気が生成され、該蒸気は次に、前記液滴11に続いて案内され、前記被清掃面6に向かって前記矢印方向14にしたがって前記液滴11に同伴される。そして、既に上記で説明した効果は、前記液滴11の広がりおよびそれに続く前記蒸気泡10の衝突およびその内破によって確認することができる。
【0161】
図6は、前記デバイス1の別の実施形態のごく概略的な描写である。このデバイスを用いても、被清掃面の正面に閉じた体積が形成される。この実施形態でも、貫通開口5が設けられている。前記出口開口5から離間し、前記閉じた体積とは反対側に位置する加熱構造17が設けられ、該加熱構造17は、好ましくは薄膜技術を用いて生成され、例えば、ガラス基板と、白金電極などの金属電極とを備える平らな加熱要素17である。この場合の前記加熱要素17は次のように機能する。まず、清掃液が前記加熱要素17の正面に流れ、次に、この清掃液は前記加熱要素17によって急速に加熱され、その結果、蒸気泡10が形成され、該蒸気泡10は、図7の右上に示すように、前記加熱要素にまだ付着している。前記蒸気泡10の膨張により、前記貫通開口5内にある液体の部分が前記被清掃面6の方向に加速されて前記閉じた体積8に入り、前記蒸気泡10は、図7の左下に示すように、前記加熱要素17から分離するまでさらに拡大し、前記被清掃面6に向かう方向に前記液滴11とともに移動する。前記気泡10が前記加熱要素17から解放された後、清掃液が再び前記加熱要素17に流れ、そこで再び加熱することができる。
【0162】
これは、前記加熱要素17および前記加熱要素17が位置する前記貯液槽3内の前記清掃液が所定の圧力にあり、その結果、前記蒸気泡の前記解放された体積が流入液によって補償されることによって補助することができる。基本的には、150μmから600μmの蒸気泡サイズが生じるように前記貫通開口5の直径を150μmから400μmに設定することを目標とする。
【0163】
前記蒸気泡を生成するために、先に言及した平らな加熱要素17が使用され、または前記貫通開口5内で被加熱針が使用され、該被加熱針は、150μmから400μmの直径を有する毛細管すなわち貫通開口を備えて実施される。前記清掃液は好ましくは脱気され、100%から25%の脱気度を有する。
【0164】
前記ノズル5の長さと直径の適切な比を用いれば、既に上記で述べたように、トロイダルリングを生成することができる。トロイダルリングの生成は図8にごく概略的な形で示し、対応するパラメータを有する前記対応する貫通開口が前記壁4内で実施されている。このとき蒸気泡10が、対応する液体体積11を前記ノズルから押し出すと、押し出された前記液体体積11は素早くトロイダルリング18を生成し、該トロイダルリング18は前記液滴11の環状流からなり、前記環状の気泡10はこの環状流の中心部に形成される。
【0165】
前記蒸気泡の正面に噴出される液柱の長さの該液柱の直径に対する比が最大で4までのとき、これらのトーラスが形成されることを発見した。
【0166】
これを上回り、約10までの比のときは、境界線がはっきりしない混在範囲が存在する。
【0167】
厳密に前記混在範囲がどこまで及ぶかおよび純粋な噴流がどこに存在するかは流動的であるので、正確に決定することはできない。
【0168】
前記トロイダルリングを発生させるのに必要な脈動に関して、該脈動の駆動周波数は1Hzと50kHzの間、特に1Hzと30kHzの間、とりわけ1Hzから1kHzである。
【0169】
特に回転楕円体状の蒸気泡を生成するときは、前記脈動周波数は、好ましくは1Hzと1kHzの間、特に30Hzと300Hzの間、好ましくは>50Hzである。
【0170】
特に熱蒸気のトロイダルリングを発生させるときは、前記脈動周波数は、好ましくは1Hzと20kHzの間、好ましくは50Hzから1Hz、より好ましくは50Hzから300Hzである。
【0171】
>50Hzの脈動周波数はかなり合理的であり、その理由は、このやり方で、快適なシャトルサイズ(ノズルの数)で短い清掃時間を達成することができるからである。
【0172】
例えば、パルス長は0.03ミリ秒から1秒の範囲である。
【0173】
特に蒸気泡を発生させるときは、前記パルス長は、0.3msから1秒、好ましくは0.3msから500ms、より好ましくは0.3msから100ms、さらにより好ましくは0.3msから20ms、特に0.3msから5msである。
【0174】
特に蒸気泡のトロイダルリングを発生させるときは、前記パルス長はより短くすることができ、特に、0.03msから3ms、特に0.07msから0.7ms、好ましくは0.1msから0.4msである。これも前記トーラスのサイズによって決まる。
【0175】
粒子を使用するとき、1μmから0.5mmの粒子を使用することができる。
【0176】
前記閉じた体積内の所望の粒子密度は、前記閉じた体積に含有される前記液体に対して、好ましくは30体積パーセント未満、特に20体積パーセント未満、とりわけ15体積パーセント未満である。
【0177】
前記デバイス内で運搬される前記最初の清掃液内の所望の粒子密度は、好ましくは10体積パーセント未満、特に5体積パーセント未満であり、いずれの場合も前記清掃液の体積に対するものとする。
【0178】
図9は対応するデバイス1を示し、特に図2の前記デバイスに対応し、同じ部分には同じ参照番号が設けられている。
【0179】
この実施形態では、立体的な被清掃面、この例では歯2の周囲にU字形に位置決めされた三つの部分要素3a,3bおよび3cによって構成された前記貯液槽3内に、平らな加熱要素17がいわゆるMEMS要素の形で実施されている。これらのMEMS要素は、論理要素と微小機械構造をチップ内で組み合わせた平らな微小電気機械システムである。これらの要素は、特に前記MEMS要素の正面に位置する前記液体の急速加熱によって、前記蒸気泡10を生成するために対応する蒸気生成を達成することができる。
【0180】
例えば、前記MEMS要素は、いわゆるパルス状マイクロキャビティ気化器要素であり、該要素は、パルス状作動モードに特に適している。この場合、前記対応する要素は、脈動流を機械的に生成することができる一方、並行して加熱を通して水蒸気を生成することもできる。
【0181】
これに関連して、このテクノロジーは、前記清掃液を過度に加熱するおそれのないように低加熱出力で適切に機能することが有利である。
【0182】
当然のことながら、トロイダルリングもこのやり方で生成することができる。
【0183】
本発明は、微小構造を用いて表面の効果的な清掃を達成することができるという利点を有し、前記表面または隣接面への損傷を回避する。
【0184】
前記デバイスおよび方法は、有利には、口腔内の清掃のために特に良好に使用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-09-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を清掃するための方法であって、
被清掃面の周囲に液体体積が生成され、少なくとも一つのノズルと加熱デバイスとを備える少なくとも一つの組立体を用いて、湿り蒸気または飽和蒸気によって構成される蒸気泡および/または過熱蒸気によって構成される泡が生成され、前記少なくとも一つのノズルによって前記被清掃面に当てられる、方法。
【請求項2】
液体もパルス状に噴出されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記蒸気泡の正面の前記液体が、同一のノズルまたは少なくとも一つの他のノズルから噴出されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
清掃液の加熱が、前記少なくとも一つのノズルの上流でまたは前記少なくとも一つのノズル内で、所定の脈動周波数でパルス状に行われることを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
複数のノズルを備える組立体が使用されることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
熱入力を使用してノズル内で蒸気泡を生成し、ノズル組立体内の噴出方向の前記蒸気泡の正面の液体体積が膨張によって噴出され、この噴出された体積により、前記被清掃面の方向に所定の強度および速さの圧力噴射または圧力パルスが生成されることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
流体力学にしたがって、圧力サージの後端で負圧が生じ、その結果、前記蒸気泡がこのより低圧の領域によって同伴され、前記蒸気泡の背後では、所定の圧力を有する被気化液が加熱器の領域に送り込まれ、該領域から先の前記ノズルの噴出開口へ送られることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
被気化液は、周期的なパルス状に前記ノズルへ供給されることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
表面が平らでないとき、または該表面からの距離に応じて、次の測定値、すなわち、前記ノズルから噴出された液体のパルス強度、前記ノズルから噴出された前記液体の量、前記蒸気泡のサイズ、前記蒸気泡の速さ、および前記蒸気泡の蒸気の蒸気温度のうちの一つまたは複数が調整されるように前記ノズルが操作されることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
距離が大きくなるほど、次のパラメータ、すなわち、パルス強度、パルス持続時間、パルス周波数、液体供給量、泡サイズ、および蒸気温度のうちの一つまたは複数が増加されることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
液滴によって引っ張られる前記蒸気泡の侵入深さを増加するためにパルス強度が経時的に変更されることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも一つのノズルが、定位置を中心にX方向(表面縦軸)および/またはY方向(表面横軸)および/またはZ方向(前記表面に向かう)に揺動することを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも一つのノズルが前記表面に沿って案内されることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
複数のノズルがノズル組立体に組み込まれ、該ノズルが、少なくとも前記表面の一つの方向(XまたはY)にわたって位置決めされるように配置され、個別のノズルのノズル噴流衝突面の重なりが重なる、またはノズル組立体を揺動させる場合、重なることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記組立体の単位面積当たり異なるノズル密度が、歯の高さにわたって用いられ、前記組立体が前記被清掃面からより遠くに離間する領域に、より多くのノズルが使用されることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
複数のノズル(1)が各シャトルデバイスに組み込まれ、該シャトルデバイスは、少なくとも立体的な表面の領域を逆U字形に包含することを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の方法。
【請求項17】
シャトルデバイスが、移動デバイスによって前記歯の上方で移動されることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の方法。
【請求項18】
一つのシャトルデバイスにつき10個から100個のノズルが使用されることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の方法。
【請求項19】
異なる直径および/または異なる流動長を有するノズルが使用されることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の方法。
【請求項20】
トロイダルリング状の蒸気泡が生成されることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の方法。
【請求項21】
脈動が40Hzと400Hzの間のパルス周波数で生成されることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の方法。
【請求項22】
被清掃面からの距離が、0.5mmと5mmの間、かつ歯間隙では最大で7mmとなるように設定されることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記ノズル内の加熱器の正面の清掃液の絶対入口圧力が、0.1MPaから2MPa、好ましくは0.12MPaから0.6MPaに設定されることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の方法。
【請求項24】
清掃液が0.1体積%から5体積%の粒子を含有することを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の方法。
【請求項25】
粒子として鉱物粒子またはセルロース系粒子が使用されることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の方法。
【請求項26】
粒子サイズが20μmから120μmの粒子が使用されることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の方法。
【請求項27】
体積内の液体の量を一定に保つために、前記液体の一部が前記体積から吸い出され、該一部が、前記少なくとも一つのノズルを介して供給される液体の量に本質的に対応することを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の方法。
【請求項28】
閉じた体積内の粒子密度が、前記閉じた体積に含有される液体に対して、30体積パーセント未満、特に20体積パーセント未満、とりわけ15体積パーセント未満であることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記デバイス内で運搬される最初の清掃液中の粒子密度が、10体積パーセント未満、特に5体積パーセント未満であり、いずれの場合も前記清掃液の体積に対するものとすることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の方法。
【請求項30】
デンタルプラークなどのバイオフィルムの清掃を達成するために、前記蒸気泡が崩壊するのに必要な時間が、0.01msから0.5msの範囲内、特に0.050msと0.25msの間に設定されることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の方法。
【請求項31】
トロイダルリングを発生させるのに必要な脈動において、前記脈動の駆動周波数が、1Hzと50kHzの間、特に1Hzと30kHzの間、とりわけ1Hzから1kHzであり、回転楕円体状の蒸気泡を生成するときは、脈動周波数が、好ましくは1Hzと1kHzの間、特に30Hzと300Hzの間、好ましくは>50Hzであることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の方法。
【請求項32】
パルス長が0.03ミリ秒から1秒であり、蒸気泡を発生させるときは、前記パルス長が0.3msから1秒、好ましくは0.3msから500ms、より好ましくは0.3msから100ms、さらにより好ましくは0.3msから20ms、特に0.3msから5msであり、蒸気泡のトロイダルリングを発生させるときは、前記パルス長がより短く、特に0.03msから3ms、特に0.07msから0.7ms、好ましくは0.1msから0.4msであることを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の方法。
【請求項33】
表面を清掃するための、特に請求項1~の何れか一項に記載の方法を行うための清掃デバイスにおいて、
該デバイス(1)が、清掃液を供給するための貯液槽(3)を有し、被清掃面(6)の方を向いた前記貯液槽(3)の少なくとも一つの壁(4)に少なくとも一つの貫通開口(5)が設けられ、該貫通開口(5)が加熱デバイスを有する、または前記貫通開口(5)に隣接した前記貯液槽(3)内に位置決めされた加熱デバイス(17)が設けられ、該加熱デバイスが、前記貫通開口内または前記貫通開口(5)の上流の前記貯液槽(3)内の前記清掃液を気化するように実施されることを特徴とする、清掃デバイス。
【請求項34】
前記少なくとも一つの貫通開口(5)がノズルとして実施されることを特徴とする、請求項33に記載の清掃デバイス。
【請求項35】
150μmから600μmの蒸気泡サイズが生じるように前記貫通開口(5)の直径が150μmから400μmであることを特徴とする、請求項33に記載の清掃デバイス。
【請求項36】
被清掃面(6)の方を向いた前記デバイス(1)が少なくとも一つの封止要素(7)を有し、該封止要素(7)が前記デバイス(1)から前記被清掃面(6)まで延在し、前記被清掃面(6)に封止的に当接するように実施され、前記少なくとも一つの封止要素(7)が、前記デバイス(1)と前記被清掃面(6)との間に閉じた体積(8)を形成するように実施されることを特徴とする、請求項33に記載の清掃デバイス。
【請求項37】
前記少なくとも一つの封止要素(7)がゴム弾性として実施されることを特徴とする、請求項33に記載の清掃デバイス。
【請求項38】
蒸気泡(10)が前記貯液槽に戻ることが防止されるように前記貯液槽(3)内の液体を所定の圧力に保つ手段が設けられることを特徴とする、請求項33に記載の清掃デバイス。
【請求項39】
前記閉じた体積(8)の脱気を保証するためおよび/または前記閉じた体積(8)の過充填を回避するために、充填中に前記閉じた体積から液体を吸い出すこと、または前記閉じた体積(8)から空気泡を吸い出すことを可能にする手段が設けられることを特徴とする、請求項33に記載の清掃デバイス。
【請求項40】
前記デバイス(1)が断面U字形として実施され、前記貯液槽(3)が、立体的で突出した被清掃面(6)を包含することができるようにベース体(3a)と該ベース体(3a)から突出した二つのウイング(3b,3c)とを用いて断面U字形として実施されることを特徴とする、請求項33に記載の清掃デバイス。
【請求項41】
ベース体(3a)およびウイング(3b,3c)がそれぞれ少なくとも一つの貫通開口(5)を有し、前記少なくとも一つの封止要素(7)が前記被清掃面(6)まで延在することを特徴とする、請求項33に記載の清掃デバイス。
【請求項42】
前記貫通開口が、液体シース流を生成するシースノズル(5a)によって同軸的に包囲された、または液体がパルス状にまたは非パルス状に流れ込む共通のノズル副室につながったコアノズル(5b)を備えて実施されることを特徴とする、請求項33に記載の清掃デバイス。
【請求項43】
加熱によって前記コアノズル(5b)内で生成される蒸気泡(10)を同伴し、前記蒸気泡(10)を前記被清掃面(6)まで運搬するのに適した液体シース流が生成される、あるいは液体流が前記コアノズル(5b)内で生成され、前記蒸気泡(10)が前記シースノズル(5a)内で生成されることを特徴とする、請求項33に記載の清掃デバイス。
【請求項44】
加熱構造(17)が、前記貯液槽(3)内で出口開口(5)から離間しかつ前記囲まれた体積(8)の反対側に位置するように設けられ、前記加熱構造(17)が、好ましくは薄膜技術を用いて製造され、例えばガラス基板と白金電極などの金属電極とを備える平らな加熱要素(17)であることを特徴とする、請求項33に記載の清掃デバイス。
【請求項45】
加熱要素(17)が、蒸気泡(10)が形成されるように前記加熱要素(17)の正面を流れる清掃液を急速加熱するように実施され、前記蒸気泡(10)の膨張により、前記貫通開口(5)内にある液体の部分が前記被清掃面(6)の方向に加速されて前記閉じた体積(8)に入り、前記蒸気泡(10)が、前記加熱要素(17)によって加熱されたときに、前記加熱要素(17)から分離するまで拡大し、前記被清掃面(6)に向かう方向に液滴(11)とともに移動することを特徴とする、請求項33に記載の清掃デバイス。
【請求項46】
トロイダルリングを生成するための前記貫通開口(5)は、前記蒸気泡の正面に噴出される液柱の長さの該液柱の直径に対する比が最大で10、好ましくは最大で4であることを特徴とする、請求項33に記載の清掃デバイス。
【請求項47】
加熱要素(17)がパルス状マイクロキャビティ気化器要素であることを特徴とする、請求項33に記載の清掃デバイス。
【請求項48】
口腔、特に歯、歯間隙、および歯肉を清掃するための、請求項1~の何れか一項に記載の方法。
【請求項49】
口腔、特に歯、歯間隙、および歯肉を清掃するための、請求項33に記載の清掃デバイスの使用。
【請求項50】
前記少なくとも一つのノズルが、定位置を中心にX方向(歯縦軸)および/またはY方向(歯横軸)および/またはZ方向(前記歯に向かう)に揺動する、請求項1に記載の方法の使用。
【請求項51】
前記少なくとも一つのノズルが、定位置を中心にX方向(歯縦軸)および/またはY方向(歯横軸)および/またはZ方向(前記歯に向かう)に揺動する、請求項9に記載の方法の使用。
【請求項52】
前記少なくとも一つのノズルが歯に沿って案内される、請求項1~の何れか一項に記載の方法の使用。
【請求項53】
前記複数のノズルが、少なくとも、一つの歯および隣接する歯肉の高さにわたって延在するように位置決めされる、請求項1~の何れか一項に記載の方法の使用。
【外国語明細書】