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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177369
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】案内装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 27/00 20060101AFI20231207BHJP
【FI】
H04R27/00 E
H04R27/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089983
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】福島 隆寛
(72)【発明者】
【氏名】森田 絵美
(57)【要約】
【課題】全体としての人の流れを滞りなく進ませるように、受付を待っている人を分散させることができる案内装置を得る。
【解決手段】受付待ちの人を目的エリアに誘導させる案内装置10には、可聴周波数帯域において、予め設定された下限値以上の周波数の高周波音を発生する音発生装置3と、音発生装置3により高周波音を発生させる制御装置1とが含まれている。制御装置1は、受付待ちの人のうち目的エリア13,14に誘導させる対象者に応じて、下限値を設定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受付待ちの人を目的エリアに誘導させる案内装置であって、
可聴周波数帯域において、予め設定された下限値以上の周波数の高周波音を発生する音発生装置と、
前記音発生装置により前記高周波音を発生させる制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記受付待ちの人のうち前記目的エリアに誘導させる対象者に応じて、前記下限値を設定する
案内装置。
【請求項2】
前記受付待ちの人がいる待機エリアの混雑度合いを検知する検知装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記混雑度合いが予め設定された許容範囲を超えた場合、前記高周波音を発生させる
請求項1に記載の案内装置。
【請求項3】
前記検知装置は、前記混雑度合いとして、前記待機エリアの人数を検知し、
前記制御装置は、前記人数が予め設定された閾値を超えた場合、前記許容範囲を超えたと判断する
請求項2に記載の案内装置。
【請求項4】
前記制御装置は、想定される前記対象者の聴力に応じて、前記下限値を設定する
請求項3に記載の案内装置。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記閾値として予め設定された第1閾値と、前記第1閾値よりも大きい第2閾値とを用い、
前記人数が前記第1閾値を超え、且つ前記第2閾値以下である場合、前記高周波音の音圧レベルを第1レベルに設定し、
前記人数が前記第2閾値を超えた場合、前記音圧レベルを前記第1レベルよりも高い第2レベルに設定する
請求項3に記載の案内装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記対象者の年齢が上がるにつれ、前記可聴周波数帯域の範囲内において前記下限値を下げる
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の案内装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、受付待ちの人を目的エリアに誘導させる案内装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、音声、表示装置等により歩行中の人を誘導させることは行われている。音声による人の誘導の際、周辺から騒音として認知されると、その音声が苦情の対象となる懸念がある。そこで、人の検知結果に応じて報知内容を変更する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-164128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、イベント会場、避難所等において、一定以上の人数が集まった場合、待機エリアは集まった人で混雑する。しかし、従来のように、待機エリアで不特定多数の人に報知し、受付待ちの人を受付まで誘導しても、受付手続きに時間を要する可能性の高い人と、受付手続きに時間を要する可能性の低い人との分離には至っていない。
【0005】
このため、待機エリアにおいて複数の受付が設けられていたとしても、受付手続きに要する時間を考慮しない場合には、全体としての人の流れが滞りなく進まないことがある。この結果、受付待ちの人を、全体として滞りなく進ませるように分散させることはできない。
【0006】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、全体としての人の流れを滞りなく進ませるように、受付待ちの人を分散させることができる案内装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る案内装置は、受付待ちの人を目的エリアに誘導させる案内装置であって、可聴周波数帯域において、予め設定された下限値以上の周波数の高周波音を発生する音発生装置と、音発生装置により高周波音を発生させる制御装置と、を備え、制御装置は、受付待ちの人のうち目的エリアに誘導させる対象者に応じて、下限値を設定する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、全体としての人の流れを滞りなく進ませるように、受付待ちの人を分散させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1における案内装置の全体構成図である。
図2図1の案内装置の機能ブロック図である。
図3図1の案内装置の動作を説明するフローチャートである。
図4】実施の形態2における案内装置の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における案内装置10の全体構成図である。まず、案内装置10の全体構成について説明する。図1に示すように、案内装置10は、制御装置1、検知装置2、及び、音発生装置3を備えている。
【0011】
案内装置10は、室内11に入る人を、受付手続きを経た後に所望のエリアに進むことができるように案内する機能を有している。室内11には、出入口12、目的エリア13,14、待機エリア15、及び、受付16,17が設けられている。
【0012】
室内11に入る人は、モスキート音のような高周波音を聴取することが不能な聴取不能者21a,21b,21cと、モスキート音のような高周波音を聴取することが可能な聴取可能者22a,22b,22cとに分類される。本開示では、高周波音を利用することで、聴取可能者22a,22b,22cを所望のエリアに誘導する点に技術的特徴を有している。高周波音の詳細については後述する。
【0013】
制御装置1と、検知装置2とは、有線通信媒体又は無線通信媒体を介して接続されている。図1の一例では、制御装置1と、検知装置2とは、有線通信媒体である通信ケーブル4aを介して接続されている。
【0014】
制御装置1と、音発生装置3とは、有線通信媒体又は無線通信媒体を介して接続されている。図1の一例では、制御装置1と、音発生装置3とは、有線通信媒体である通信ケーブル4を介して接続されている。
【0015】
なお、無線通信媒体を利用した通信としては、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)、無線LAN等が利用されればよい。
【0016】
検知装置2は、受付16,17において受付待ちの人がいる待機エリア15の混雑度合いを検知する機能を有している。図1の一例では、検知装置2は、出入口12の近くに設けられている。
【0017】
具体的には、検知装置2は、出入口12を出入りする人数と、出入口12を出入りする人の入退室方向とを検知する。検知装置2は、人数の検知結果、及び、人の入退室方向の検知結果を制御装置1に送信する。
【0018】
より具体的には、検知装置2は、投光部と受光部とを有する透過型光電センサと、電子カウンタとから構成されている。図1の一例では、2台の透過型光電センサが、出入口12に対して垂直且つ室内11の床面に沿った方向に隣接して設けられている。各検知装置2の投光部は、出入口12の両端のうちの一端側に設けられ、各検知装置2の受光部は、出入口12の両端のうちの他端側に設けられている。
【0019】
これにより、人が出入口12を通過した際、投光部から投光された光が遮断され、受光部で受光できないことにより、人が出入口12を通過したことが検知される。
【0020】
また、2台の透過型光電センサが人を検知する順番により、人の入退室方向は検知される。具体的には、2台の透過型光電センサのうち、出入口12に近い側の透過型光電センサが人を検知し、次に、残りの透過型光電センサが人を検知した場合、人は室内11に入室したとみなせるため、電子カウンタは室内11への入室者の人数としてカウントする。
【0021】
一方、2台の透過型光電センサのうち、出入口12に遠い側の透過型光電センサが人を検知し、次に、残りの透過型光電センサが人を検知した場合、人は室内11から退室したとみなせるため、電子カウンタは室内11からの退室者の人数としてカウントする。
【0022】
上記の入室者の人数から退室者の人数を減算すれば、室内11の現在の人数は算出可能である。なお、人数の算出の詳細については図2を用いて後述する。
【0023】
また、図1では、検知装置2が透過型光電センサから構成される一例について説明したが、特にこれに限定されるものではない。例えば、検知装置2は、人感センサから構成さてもよい。人感センサであれば、検知装置2は、出入口12の近くではなく、室内11の天井に設け、待機エリア15内の所望のエリアにおける人の存在を検知することができる。
【0024】
また、例えば、検知装置2は、カメラから構成されてもよい。カメラであれば、カメラにより撮像された待機エリア15の画像データを解析することにより、待機エリア15の混雑度合いを直接検知することができる。
【0025】
また、例えば、検知装置2は、測域センサ(LiDAR)から構成されてもよい。測域センサは、平面上をレーザにてスキャニングし、検出した物体の大きさに基づいて人の判定を行う。よって、測域センサであれば、人の判定結果から室内11の現在の人数をカウントすることができる。
【0026】
つまり、検知装置2は、受付16,17に並んでいる人数を正確に検知するものではないが、待機エリア15の混雑度合いを推定するための検知結果を出力できる機能を有している。
【0027】
音発生装置3の音の出力指向性は、待機エリア15に向けて設定されている。図1の一例では、音発生装置3の音の出力指向性は、受付17の前方側のエリアに設定されている。この設定であれば、受付17に近づいた人が聴取可能者22a,22b,22cであれば、高周波音を聴取することができる。また、音発生装置3は、通信ケーブル4を介して受け取った制御装置1からの制御指令に基づいて、高周波音を発生する。
【0028】
高周波音は、可聴周波数帯域において、予め設定された下限値以上の周波数の音に設定されている。高周波音の周波数の下限値は、17kHzに設定されている。即ち、高周波音は、モスキート音である。
【0029】
また、高周波音の周波数の下限値は、17kHzだけではなく17kHz前後の周波数に設定されていてもよい。例えば、高周波音の周波数の下限値は、16kHzの周波数に設定されていてもよい。
【0030】
また、人の年齢が上がるにつれ、可聴周波数帯域における可聴周波数の範囲は狭くなる。例えば、60代の人であれば、一般的には8kHz~9kHzが可聴周波数の上限値になると言われている。
【0031】
50代の人であれば、一般的には10kHz~11kHzが可聴周波数の上限値になると言われている。
【0032】
40代の人であれば、一般的には12kHz~14kHzが可聴周波数の上限値になると言われている。
【0033】
30代の人であれば、一般的には15kHzが可聴周波数の上限値になると言われている。
【0034】
20代後半の人であれば、一般的には16kHzが可聴周波数の上限値になると言われている。
【0035】
18~24歳の人であれば、一般的には17kHz~18kHzが可聴周波数の上限値になると言われている。
【0036】
13~17歳の人であれば、一般的には19kHz~20kHzが可聴周波数の上限値になると言われている。
【0037】
換言すれば、人の年齢が上がるにつれ、高周波帯域の聴力が低下するため、可聴周波数の上限値が下がる。よって、高周波音を利用して目的エリア13,14に誘導させる対象者の年齢が上がるにつれ、高周波音の周波数の下限値は下がる。従って、目的エリア13,14に誘導させるべき対象者の年齢に応じた聴力に基づいて、可聴周波数帯域の範囲内において高周波音の周波数の下限値を適切に設定することが好ましい。従って、高周波音の周波数の下限値は、1つだけでなく、年齢に応じて可変にすることにより可聴周波数帯域内で段階的に複数用意されていてもよい。これにより、音発生装置3は、年齢に応じた高周波音を発生することができる。
【0038】
つまり、高周波音は、聴取不能者21a,21b,21cには聞き取れないが、聴取可能者22a,22b,22cには聞こえる周波数の音であればよい。
【0039】
ここで、高周波音の下限値が17kHzに設定されている場合には、聴取可能者22a,22b,22cとしては、13歳~24歳の人が該当する。つまり、13歳~24歳の人が目的エリア13,14の何れか一方に誘導される対象者となる。
【0040】
また、この場合には、聴取不能者21a,21b,21cとしては、25歳以上の人が該当する。つまり、詳細については後述するが、副次的な効果として、25歳以上の人が目的エリア13,14の何れか他方に誘導される対象者となる。
【0041】
なお、以後の説明において、聴取不能者21a,21b,21cを総称する場合、聴取不能者21と称し、聴取可能者22a,22b,22cを総称する場合、聴取可能者22と称する。
【0042】
また、上記の目的エリア13,14とは、聴取不能者21及び聴取可能者22が最終的に行きたい室内11のエリアである。目的エリア13,14は、例えば、ワクチンを接種する医療従事者がいる検査エリアである。
【0043】
次に、待機エリア15内における聴取可能者22の誘導方法について説明する。
【0044】
出入口12から室内11に入室した人は、待機エリア15の受付16,17の何れかで受付手続きを行う。受付16で受付手続きを済ませた人は、受付16の奥側の目的エリア13に進む。受付17で受付手続きを済ませた人は、受付17の奥側の目的エリア14に進む。なお、目的エリア13,14は、受付16,17に対して共通の1つのエリアとしてもよい。
【0045】
受付17に対して音の出力指向性が設定された音発生装置3が高周波音を発生しているときには、受付17の近くにいる聴取可能者22には不快な騒音と認識される。このため、聴取可能者22は、受付17ではなく受付16に向かって移動する。一方、副次的な効果として、聴取不能者21は、高周波音を聴取できないが、聴取可能者22で混雑する受付16を避けて受付17に向かって移動する。
【0046】
このようにして、聴取可能者22が受付16側に誘導される。また、上記のように、聴取可能者22の誘導の副次的な効果として、聴取不能者21が受付17側に誘導される。
【0047】
なお、音発生装置3は、高周波音を常時発生していてもよい。
【0048】
次に、案内装置10の機能について説明する。図2は、図1の案内装置10の機能ブロック図である。図2に示すように、案内装置10の制御装置1は、インターフェース装置101、CPU102、及び、記憶装置103を備えている。インターフェース装置101、CPU102、及び、記憶装置103は、バス104を介して接続されている。
【0049】
インターフェース装置101は、外部から入力された各種信号を制御装置1の内部で処理できる信号に変換する。また、インターフェース装置101は、制御装置1の内部で処理された信号を外部に送信できる信号に変換する。
【0050】
CPU102は、インターフェース装置101を介して検知装置2から送信される信号を処理する。検知装置2から送信される信号には、人数の検知結果に関する情報が含まれている。人数の検知結果に関する情報には、室内11への入室者の人数と、室内11からの退室者の人数とが含まれている。CPU102は、入室者の人数から退室者の人数を減算することにより、室内11の現在の人数を算出する。
【0051】
具体的には、室内11への入室者の人数が10人であり、室内11からの退室者の人数が3人であれば、CPU102は、室内11の現在の人数を7人として算出する。CPU102は、この算出した7人を待機エリア15の人数とみなす。なお、算出した人数を待機エリア15の人数とみなすのは、目的エリア13,14に移動した人は、用が済めば直ちに出入口12に移動し、室内11から退室することを想定している。
【0052】
よって、人が目的エリア13,14に留まる時間が長い場合には、入室者と退室者とから室内11の現在の人数を算出するのではなく、例えば、人感センサ、カメラ、測域センサ等の何れかから構成される検知装置2により人数が検知されるのが好ましい。
【0053】
CPU102は、待機エリア15の混雑度合いが予め設定された許容範囲を超えた場合、音発生装置3に高周波音を発生させる。ここで、混雑度合いとして、待機エリア15の人数が設定されていれば、CPU102は、待機エリア15の人数が予め設定された閾値を超えた場合、許容範囲を超えたと判断する。CPU102は、許容範囲を超えたと判断した場合には、インターフェース装置101を介して音発生装置3に信号を送信し、音発生装置3を動作させる。
【0054】
ここで、予め設定された閾値とは、室内11の現在の人数が許容範囲であるか否かの判定指標である。
【0055】
記憶装置103は、CPU102の各種制御プログラム、制御演算データ、高周波音等を記憶している。記憶装置103は、SRAM(Static Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等により構成されている。つまり、記憶装置103は、データを記憶し、その記憶したデータを読み出せる構成であればよい。
【0056】
次に、案内装置10の動作について説明する。図3は、図1の案内装置10の動作を説明するフローチャートである。図3においては、室内11の現在の人数の判定指標として閾値が設定されている。
【0057】
ステップS1において、CPU102は、人数の検知結果を受信する。CPU102は、人数の検知結果を受信後、室内11の現在の人数を算出する。
【0058】
ステップS2において、CPU102は、人数が閾値を超えるか否かを判定する。CPU102が人数が閾値を超えると判定した場合、ステップS2の処理は、ステップS3の処理に移行する。CPU102が人数が閾値以下であると判定した場合、ステップS2の処理は、ステップS4の処理に移行する。
【0059】
ステップS3において、CPU102は、音発生装置3に信号を送信し、音発生装置3からモスキート音を発生させる。
【0060】
ステップS4において、CPU102は、音発生装置3に信号を送信し、音発生装置3にモスキート音を停止させる。なお、音発生装置3は、デフォルトではモスキート音を発生していないので、ステップS4の処理は、モスキート音が発生している状態で意味をなす処理である。
【0061】
なお、モスキート音を常時発生させている場合には、ステップS3の処理は省略され、ステップS4の処理が有効な処理になる。
【0062】
ステップS5において、CPU102は、人数の検知結果を受信するか否かを判定する。CPU102は、人数の検知結果を受信すると判定した場合、ステップS5の処理は、ステップS1の処理に戻る。CPU102は、人数の検知結果を受信しないと判定した場合、ステップS5の処理は、処理を終了する。
【0063】
以上のように、本実施の形態1に係る案内装置10は、音発生装置3により高周波音を発生させる。このとき、目的エリア13,14に誘導させる予定の対象者の年齢層に応じて、高周波音の周波数の下限値を設定する。これにより、対象者に応じた高周波音を発生させることができるので、全体としての人の流れを滞りなく進ませることができる。この結果、受付待ちの人を分散させることができる。
【0064】
特に、本開示では、必ずしも複数の受付16,17に対して、受付待ちの人を均等に分散させることを目的とするものではない。本開示では、受付手続きに時間を要する可能性が低いと想定される、モスキート音を聴取できる年齢層を対象者として、特定エリアにモスキート音を発生させることで、対象者を特定エリア外に誘導させている。この結果、全体としての人の流れを滞りなく進ませるように、受付待ちの人を分散させることができる。
【0065】
また、受付17は目的エリア14に最も近いため、目的エリア14を利用するつもりの高齢者にとっての受付17の利用は便利と思われる。そこで、上記の特定エリアを受付17の近傍に設定すれば、モスキート音を聴取できる年齢層の人々を特定エリア外に誘導し、副次的な効果として、受付17を高齢者専用とすることができる。
【0066】
室内11の人数が多くなった場合、音発生装置3に高周波音であるモスキート音を発生させてもよい。これにより、モスキート音に敏感な聴取可能者22は、モスキート音の発生源からより離れた受付16に移動する。一方、副次的な効果として、聴取不能者21は、聴取可能者22で混雑している受付16よりも受付17に移動する。この結果、室内11の人数が多くなったとしても、全体としての人の流れを滞りなく進ませることができる。従って、受付待ちの人をより確実に分散させることができる。
【0067】
また、聴取不能者21は、聴取可能者22と比べ、受付手続きにより時間を要すると想定される。よって、受付17により多くの受付担当者を配分することにより、全体としての人的資源を有効活用することができる。
【0068】
実施の形態2.
実施の形態2においては、以下の点が実施の形態1とは異なっている。
人数の閾値判定を2段階とすることにより、高周波音の音圧レベルを2段階とする点。
【0069】
図4は、実施の形態2における案内装置10の動作を説明するフローチャートである。図4においては、室内11の現在の人数の判定指標である閾値として、第1閾値と、第1閾値よりも大きい第2閾値とが設定されている。また、高周波音の音圧レベルとして、第1レベルと、第1レベルよりも高い第2レベルとが設定されている。第1レベルは、人数が第1閾値を超え、且つ第2閾値以下である場合に利用される。第2レベルは、人数が第2閾値を超えた場合に利用される。
【0070】
なお、以下では、高周波音の音圧レベルを2段階とする一例について説明するが、特にこれに限定されない。例えば、高周波音の音圧レベルを複数用意し、室内11の現在の人数に応じて高周波音の音圧レベルを変更してもよい。具体的には、室内11の現在の人数が多くなるほど、高周波の音圧レベルを上げてもよい。
【0071】
つまり、以下では、人数の閾値判定を2段階としたが、人数の閾値判定の多段階化に応じて、高周波の音圧レベルを多段階化すればよい。
【0072】
ステップS11において、CPU102は、人数の検知結果を受信する。CPU102は、人数の検知結果を受信後、室内11の現在の人数を算出する。
【0073】
ステップS12において、CPU102は、人数が第1閾値を超えたか否かを判定する。CPU102が人数が第1閾値を超えたと判定した場合、ステップS12の処理は、ステップS13の処理に移行する。CPU102が人数が第1閾値以下であると判定した場合、ステップS12の処理は、ステップS16の処理に移行する。
【0074】
ステップS13において、CPU102は、人数が第2閾値を超えたか否かを判定する。CPU102が人数が第2閾値を超えたと判定した場合、ステップS13の処理は、ステップS14の処理に移行する。CPU102が人数が第2閾値以下である判定した場合、ステップS13の処理は、ステップS15の処理に移行する。
【0075】
ステップS14において、CPU102は、音発生装置3に信号を送信し、音発生装置3のモスキート音の音圧レベルを第2レベルに設定し、音発生装置3から音圧レベルが第2レベルのモスキート音を発生させる。
【0076】
ステップS15において、CPU102は、音発生装置3に信号を送信し、音発生装置3のモスキート音の音圧レベルを第1レベルに設定し、音発生装置3から音圧レベルが第1レベルのモスキート音を発生させる。
【0077】
ステップS16において、CPU102は、音発生装置3に信号を送信し、音発生装置3にモスキート音を停止させる。
【0078】
ステップS17において、CPU102は、人数の検知結果を受信するか否かを判定する。CPU102は、人数の検知結果を受信すると判定した場合、ステップS17の処理は、ステップS11の処理に戻る。CPU102は、人数の検知結果を受信しないと判定した場合、ステップS17の処理は、処理を終了する。
【0079】
以上のように、本実施の形態2に係る案内装置10は、実施の形態1と同様の効果だけでなく、次のような実施の形態2に固有の効果をさらに奏することができる。
【0080】
即ち、本実施の形態2に係る案内装置10は、室内11の人数がより多くなった場合、音発生装置3に高周波音であるモスキート音の音圧レベルを多段階化させる。これにより、室内11の人数の増加に応じて、モスキート音を多段階化することができる。これにより、室内11の人数がより多くなったとしても、モスキート音を聴取可能者22に聴取させることができる。この結果、受付16,17の前がより混在していたとしても、全体としての人の流れを滞りなく進ませることができるため、受付待ちの人を分散させることができる。
【0081】
なお、室内11の人数の増加に応じて、高周波音の周波数の下限値を下げてもよい。これにより、より多くの人に高周波音を聴取させることができる。従って、目的エリア13,14の何れかに誘導させる対象者を増やすことができる。
【0082】
また、室内11だけでなく、屋外のイベントに案内装置10を活用してもよい。例えば、屋外のステージで行われる音楽イベントの来場者として予想される年齢層に応じて、高周波音の周波数の下限値を適切に設定すればよい。このような来場者の年齢層は、事前に電子チケット購入時に把握できた年齢層から予想すればよい。
【0083】
また、有人レジと、無人レジとが設置された店舗において、有人レジを待つエリアに向けて高周波音を発生させれば、聴取可能者22は、無人レジを待つエリアに向かう。聴取可能者22は、一般的には、無人レジであっても操作に戸惑うこともないため余計な時間を要することがない。一方、有人レジに聴取可能者22が集まらないため、高齢者のような聴取不能者21は、有人レジを利用しやすくなる。一般的には、高齢者のような聴取不能者21は、無人レジでは操作に戸惑うこともあるが、有人レジであればレジスタッフの対応に任せればよいため、余計な時間を要することがない。この結果、全体としてレジの回転率を上げることができる。
【符号の説明】
【0084】
1 制御装置、2 検知装置、3 音発生装置、4,4a 通信ケーブル、10 案内装置、11 室内、12 出入口、13,14 目的エリア、15 待機エリア、16,17 受付、21,21a,21b,21c 聴取不能者、22,22a,22b,22c 聴取可能者、101 インターフェース装置、102 CPU、103 記憶装置、104 バス。
図1
図2
図3
図4