(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177370
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】エレベータ巻上機の据付補助装置及び据付方法
(51)【国際特許分類】
B66B 7/00 20060101AFI20231207BHJP
【FI】
B66B7/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022089984
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(72)【発明者】
【氏名】大山 雄一
【テーマコード(参考)】
3F305
【Fターム(参考)】
3F305DA07
3F305DA13
3F305DA21
(57)【要約】
【課題】昇降路内において、より高い位置にエレベータ巻上機を設置することができるエレベータ巻上機の据付補助装置を得ることを目的とする。
【解決手段】据付補助装置は、ロープドラム11、揚重ロープ12、連結具13、誘導部材14、及びバランスウェイト15を有している。ロープドラム11は、駆動シーブ3に固定されている。また、ロープドラム11は、巻上機モータ6によって、駆動シーブ3の回転中心を中心として、駆動シーブ3と一体に回転される。揚重ロープ12は、ロープドラム11の回転により、ロープドラム11に巻き取られる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータ巻上機に取り付けられ、巻上機モータによって、駆動シーブの回転中心を中心として前記駆動シーブと一体に回転されるロープドラム、及び
前記ロープドラムの回転により前記ロープドラムに巻き取られる揚重ロープ
を備えているエレベータ巻上機の据付補助装置。
【請求項2】
前記駆動シーブは、シーブ固定ボルトによって前記巻上機モータに固定され、
前記巻上機モータには、前記シーブ固定ボルトがねじ込まれる第1ねじ穴が設けられており、
前記駆動シーブには、前記シーブ固定ボルトを通すシーブ穴が設けられており、
前記ロープドラムには、前記シーブ穴に重ねられるドラム穴が設けられており、
前記ロープドラム及び前記駆動シーブは、前記ドラム穴と、前記シーブ穴と、前記第1ねじ穴とを利用して、前記巻上機モータに共締めされる請求項1に記載のエレベータ巻上機の据付補助装置。
【請求項3】
前記エレベータ巻上機に取り付けられ、前記ロープドラムに前記揚重ロープを巻き取る際に、前記揚重ロープを前記ロープドラムに誘導する誘導部材
をさらに備えている請求項1又は請求項2に記載のエレベータ巻上機の据付補助装置。
【請求項4】
前記エレベータ巻上機には、アイボルトをねじ込む第2ねじ穴が設けられており、
前記誘導部材には、前記第2ねじ穴に重ねられる誘導部材穴が設けられており、
前記誘導部材は、前記誘導部材穴と、前記第2ねじ穴とを利用して、前記エレベータ巻上機に取り付けられる請求項3に記載のエレベータ巻上機の据付補助装置。
【請求項5】
前記エレベータ巻上機に取り付けられるバランスウェイト
をさらに備えている請求項1又は請求項2に記載のエレベータ巻上機の据付補助装置。
【請求項6】
前記バランスウェイトは、前記揚重ロープが前記ロープドラムから外れることを阻止する揚重ロープ外れ止めを兼ねている請求項5に記載のエレベータ巻上機の据付補助装置。
【請求項7】
前記エレベータ巻上機には、外れ止め固定ボルトがねじ込まれる第3ねじ穴が設けられており、
前記外れ止め固定ボルトは、かごを吊り下げる懸架体が前記駆動シーブから外れることを阻止する懸架体外れ止めを、前記エレベータ巻上機に固定するボルトであり、
前記バランスウェイトには、前記第3ねじ穴に重ねられるウェイト穴が設けられており、
前記バランスウェイトは、前記ウェイト穴と、前記第3ねじ穴とを利用して、前記エレベータ巻上機に固定される請求項5に記載のエレベータ巻上機の据付補助装置。
【請求項8】
前記エレベータ巻上機に取り付けられ、前記揚重ロープが前記ロープドラムから外れることを阻止する揚重ロープ外れ止め
をさらに備えている請求項1又は請求項2に記載のエレベータ巻上機の据付補助装置。
【請求項9】
前記エレベータ巻上機には、外れ止め固定ボルトがねじ込まれる第3ねじ穴が設けられており、
前記外れ止め固定ボルトは、かごを吊り下げる懸架体が前記駆動シーブから外れることを阻止する懸架体外れ止めを、前記エレベータ巻上機に固定するボルトであり、
前記揚重ロープ外れ止めには、前記第3ねじ穴に重ねられる外れ止め穴が設けられており、
前記揚重ロープ外れ止めは、前記外れ止め穴と、前記第3ねじ穴とを利用して、前記エレベータ巻上機に固定される請求項8に記載のエレベータ巻上機の据付補助装置。
【請求項10】
エレベータ巻上機の駆動シーブに対してロープドラムを固定するドラム固定工程、
前記ロープドラムに接続されている揚重ロープを建物に接続する揚重ロープ接続工程、及び
巻上機モータによって前記駆動シーブと前記ロープドラムとを回転させ、前記揚重ロープを前記ロープドラムに巻き取りながら前記エレベータ巻上機を設置高さまで移動させる移動工程
を含むエレベータ巻上機の据付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベータ巻上機の据付補助装置及び据付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のエレベータでは、昇降路の天井に吊りフックが設けられている。巻上機の据付時には、吊りフックにチェーンブロックが取り付けられる。巻上機は、チェーンブロックによって吊り上げられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来のエレベータ巻上機の据付方法では、吊りフックと巻上機との間にチェーンブロックが介在しているため、チェーンブロックによって巻上機の設置高さが制限される。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、昇降路内において、より高い位置にエレベータ巻上機を設置することができるエレベータ巻上機の据付補助装置及び据付方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るエレベータ巻上機の据付補助装置は、エレベータ巻上機に取り付けられ、巻上機モータによって、駆動シーブの回転中心を中心として駆動シーブと一体に回転されるロープドラム、及びロープドラムの回転によりロープドラムに巻き取られる揚重ロープを備えている。
本開示に係るエレベータ巻上機の据付方法は、エレベータ巻上機の駆動シーブに対してロープドラムを固定するドラム固定工程、ロープドラムに接続されている揚重ロープを建物に接続する揚重ロープ接続工程、及び巻上機モータによって駆動シーブとロープドラムとを回転させ、揚重ロープをロープドラムに巻き取りながらエレベータ巻上機を設置高さまで移動させる移動工程を含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、昇降路内において、より高い位置にエレベータ巻上機を設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1によるエレベータ巻上機を示す正面図である。
【
図2】
図1のエレベータ巻上機に実施の形態1による据付補助装置が取り付けられた状態を示す正面図である。
【
図3】
図1のエレベータ巻上機の据付方法の第1例を示す構成図である。
【
図4】
図3のエレベータ巻上機の揚重途中の状態を示す構成である。
【
図5】
図4のエレベータ巻上機が支持梁上に設置された状態を示す構成図である。
【
図6】
図1のエレベータ巻上機の据付方法の第2例を示す構成図である。
【
図7】
図6のエレベータ巻上機がチェーンブロックによって吊り上げられた状態を示す構成図である。
【
図8】
図7のエレベータ巻上機の揚重途中の状態を示す構成である。
【
図9】
図8のエレベータ巻上機が支持梁上に設置された状態を示す構成図である。
【
図10】
図1のエレベータ巻上機から、懸架体外れ止め、一対のアイボルト、及び複数のシーブ固定ボルトを取り外した状態を示す分解正面図である。
【
図11】
図10のエレベータ巻上機へのロープドラムの取り付け方法を示す分解正面図である。
【
図12】
図10のエレベータ巻上機へのロープドラムの取り付け方法を示す分解側面図である。
【
図13】
図11のロープドラムが駆動シーブに固定された状態を示す正面図である。
【
図14】
図12のロープドラムが駆動シーブに固定された状態を示す側面図である。
【
図15】
図13のエレベータ巻上機への誘導部材の取り付け方法を示す分解平面図である。
【
図16】
図13エレベータ巻上機への誘導部材の取り付け方法を示す分解正面図である。
【
図17】
図15の誘導部材が巻上機本体に固定された状態を示す平面図である。
【
図18】
図16の誘導部材が巻上機本体に固定された状態を示す正面図である。
【
図19】
図18のエレベータ巻上機へのバランスウェイトの取り付け方法を示す分解正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1によるエレベータ巻上機を示す正面図である。図において、エレベータ巻上機1は、巻上機本体2、駆動シーブ3、懸架体外れ止め4、及び一対のアイボルト5を有している。
【0010】
巻上機本体2は、巻上機モータ6と、一対の巻上機ブレーキ7とを有している。巻上機モータ6は、駆動シーブ3を回転させる。一対の巻上機ブレーキ7は、駆動シーブ3の静止状態を保持する。また、一対の巻上機ブレーキ7は、駆動シーブ3の回転を制動する。
【0011】
駆動シーブ3は、複数本のシーブ固定ボルト8によって巻上機モータ6のロータに固定されている。駆動シーブ3には、図示しない懸架体が巻き掛けられている。据付後のエレベータにおいて、図示しないかごと、図示しない釣合おもりとは、懸架体によって吊り下げられ、駆動シーブ3を回転させることによって昇降する。懸架体としては、複数本の主ロープ又は複数本のベルトが用いられる。
【0012】
懸架体外れ止め4は、複数本の外れ止め固定ボルト9によって、巻上機本体2の正面に固定されている。懸架体外れ止め4は、懸架体が駆動シーブ3から外れることを阻止する。
【0013】
一対のアイボルト5は、巻上機本体2の上部に取り付けられている。例えばエレベータ巻上機1の運搬時には、一対のアイボルト5を利用して、エレベータ巻上機1が吊り上げられる。
【0014】
図2は、
図1のエレベータ巻上機1に実施の形態1による据付補助装置が取り付けられた状態を示す正面図である。
【0015】
据付補助装置は、ロープドラム11、揚重ロープ12、連結具13、誘導部材14、及びバランスウェイト15を有している。
【0016】
ロープドラム11は、駆動シーブ3に固定されている。また、ロープドラム11は、巻上機モータ6によって、駆動シーブ3の回転中心を中心として、駆動シーブ3と一体に回転される。ロープドラム11の内径は、駆動シーブ3の外径よりも大きく、ロープドラム11は、駆動シーブ3に被せられている。
【0017】
揚重ロープ12は、ロープドラム11の回転により、ロープドラム11に巻き取られる。
図2では、揚重ロープ12の大部分がロープドラム11に巻き取られており、揚重ロープ12の先端のみがロープドラム11から引き出されている。連結具13は、揚重ロープ12の先端に接続されている。
【0018】
誘導部材14は、複数の誘導部材用ボルト18によって、巻上機本体2に固定されている。また、誘導部材14は、揚重ロープ12をロープドラム11に巻き取る際に、揚重ロープ12をロープドラム11に誘導する。また、誘導部材14は、ロープドラム11から揚重ロープ12を引き出す際に、揚重ロープ12を引き出し口に誘導する。
【0019】
バランスウェイト15は、複数のウェイト用ボルト19によって、巻上機本体2に固定されている。エレベータ巻上機1に据付補助装置を取り付けてなる組立体の重心位置は、バランスウェイト15によって調整されている。また、バランスウェイト15は、揚重ロープ外れ止めを兼ねている。揚重ロープ外れ止めは、揚重ロープ12がロープドラム11から外れることを阻止する。
【0020】
次に、エレベータ巻上機1の据付方法について説明する。
図3は、
図1のエレベータ巻上機1の据付方法の第1例を示す構成図である。
図3に示すエレベータは、機械室レスエレベータであり、エレベータ巻上機1は、昇降路21の頂部に据え付けられる。
【0021】
昇降路21の頂部には、第1揚重ビーム22と第2揚重ビーム23とが設置されている。真上から見て、第2揚重ビーム23は、第1揚重ビーム22よりも乗場に近い。第1揚重ビーム22の代わりに第1揚重フックが用いられ、第2揚重ビーム23の代わりに第2揚重フックが用いられてもよい。
【0022】
昇降路21内には、第1かごガイドレール24、図示しない第2かごガイドレール、第1釣合おもりガイドレール25、及び第2釣合おもりガイドレール26が設置されている。第1かごガイドレール24と第2かごガイドレールとは、かごの昇降を案内する。第1釣合おもりガイドレール25と第2釣合おもりガイドレール26とは、釣合おもりの昇降を案内する。
【0023】
昇降路21の頂部には、支持梁27が設置されている。支持梁27は、第1揚重ビーム22の下方に配置されている。また、支持梁27は、第1かごガイドレール24、第1釣合おもりガイドレール25、及び第2釣合おもりガイドレール26に支持されている。
【0024】
昇降路21内には、制御盤28が設置されている。実施の形態1における制御盤28は、最上階乗場の床面よりも高い位置に配置されている。また、制御盤28は、エレベータ巻上機1を制御することにより、かごの運行を制御する。制御盤28には、動力ケーブル29を介して電力が供給される。
【0025】
エレベータ巻上機1は、最下階乗場に置かれている。また、エレベータ巻上機1には、
図2に示した据付補助装置が取り付けられている。揚重ロープ12は、ロープドラム11から引き出されている。そして、揚重ロープ12の先端は、連結具13を用いて、第1揚重ビーム22に連結されている。即ち、揚重ロープ12の先端は、建物に接続されている。
【0026】
制御盤28とエレベータ巻上機1との間には、仮設ケーブル16が接続されている。巻上機モータ6には、仮設ケーブル16を介して、制御盤28から電力が供給される。
【0027】
エレベータ巻上機1を据え付ける場合、作業者は、最下階乗場にエレベータ巻上機1を搬入する。据付補助装置は、工場からの出荷前にエレベータ巻上機1に予め取り付けられても、据付現場においてエレベータ巻上機1に取り付けられてもよい。
【0028】
エレベータ巻上機1の搬入後、作業者は、揚重ロープ12をロープドラム11から引き出し、揚重ロープ12の先端を第1揚重ビーム22に接続する。また、作業者は、制御盤28とエレベータ巻上機1との間に仮設ケーブル16を接続する。
【0029】
この状態から、作業者は、巻上機モータ6によって駆動シーブ3とロープドラム11とを回転させ、ロープドラム11に揚重ロープ12を巻き取らせる。これにより、エレベータ巻上機1は、
図4に示すように、昇降路21内を上方向へ自走する。
【0030】
エレベータ巻上機1が支持梁27よりも上まで移動すると、作業者は、
図5に示すように、エレベータ巻上機1を支持梁27上に設置する。この後、作業者は、据付補助装置及び仮設ケーブル16を撤去し、制御盤28とエレベータ巻上機1との間に本設モータケーブルを接続する。本設モータケーブルは、エレベータの据付後に使用されるケーブルである。
【0031】
図6は、
図1のエレベータ巻上機1の据付方法の第2例を示す構成図である。第2例では、作業者は、最上階乗場にエレベータ巻上機1を搬入する。
【0032】
エレベータ巻上機1の搬入後、作業者は、揚重ロープ12をロープドラム11から引き出し、揚重ロープ12の先端を第1揚重ビーム22に接続する。また、作業者は、制御盤28とエレベータ巻上機1との間に本設モータケーブル30を接続する。
【0033】
また、作業者は、第2揚重ビーム23とエレベータ巻上機1との間に、手動チェーンブロック31を接続する。
【0034】
この状態から、作業者は、
図7に示すように、巻上機モータ6によってロープドラム11に揚重ロープ12を巻き取らせつつ、手動チェーンブロック31によってエレベータ巻上機1を吊り上げ、エレベータ巻上機1を第2揚重ビーム23の真下に移動させる。これにより、鉛直方向に対する揚重ロープ12の角度が、エレベータ巻上機1が最上階乗場に置かれていたときよりも小さくなる。
【0035】
この後、作業者は、手動チェーンブロック31を撤去し、巻上機モータ6によってロープドラム11に揚重ロープ12を巻き取らせる。これにより、エレベータ巻上機1は、
図8に示すように、昇降路21内を上方向へ自走する。
【0036】
エレベータ巻上機1が支持梁27よりも上まで移動すると、作業者は、
図9に示すように、エレベータ巻上機1を支持梁27上に設置する。この後、作業者は、据付補助装置を撤去する。第2例では、本設モータケーブル30をそのまま残すことができる。
【0037】
実施の形態1によるエレベータ巻上機1の据付方法は、搬入工程、ドラム固定工程、揚重ロープ接続工程、移動工程、及び設置工程を含んでいる。
【0038】
搬入工程は、エレベータ巻上機1及び据付補助装置を乗場に搬入する工程である。ドラム固定工程は、駆動シーブ3に対してロープドラム11を固定する工程である。揚重ロープ接続工程は、揚重ロープ12を建物に接続する工程である。
【0039】
移動工程は、巻上機モータ6によって駆動シーブ3とロープドラム11とを回転させ、揚重ロープ12をロープドラム11に巻き取りながらエレベータ巻上機1を設置高さまで移動させる工程である。設置工程は、支持梁27上にエレベータ巻上機1を設置する工程である。
【0040】
次に、エレベータ巻上機1への据付補助装置の詳細な取り付け方法について説明する。
図10は、
図1のエレベータ巻上機1から、懸架体外れ止め4、一対のアイボルト5、及び複数のシーブ固定ボルト8を取り外した状態を示す分解正面図である。
図10では、複数のシーブ固定ボルト8の図示は省略されている。
【0041】
巻上機モータ6のロータには、複数の第1ねじ穴2aが設けられている。各第1ねじ穴2aには、対応するシーブ固定ボルト8がねじ込まれる。駆動シーブ3には、複数のシーブ穴3aが設けられている。各シーブ穴3aには、対応するシーブ固定ボルト8が通される。
【0042】
巻上機本体2の上面には、一対の第2ねじ穴2bが設けられている。各第2ねじ穴2bには、対応するアイボルト5がねじ込まれる。
【0043】
巻上機本体2の前面には、複数の第3ねじ穴2cが設けられている。各第3ねじ穴2cには、対応する外れ止め固定ボルト9がねじ込まれる。
【0044】
図11は、
図10のエレベータ巻上機1へのロープドラム11の取り付け方法を示す分解正面図である。
図12は、
図10のエレベータ巻上機1へのロープドラム11の取り付け方法を示す分解側面図である。
【0045】
図13は、
図11のロープドラム11が駆動シーブ3に固定された状態を示す正面図である。
図14は、
図12のロープドラム11が駆動シーブ3に固定された状態を示す側面図である。
【0046】
ロープドラム11には、複数のドラム穴11aが設けられている。各ドラム穴11aは、ロープドラム11を駆動シーブ3に固定する際、対応するシーブ穴3aと、対応する第1ねじ穴2aとに重ねられる。
【0047】
ロープドラム11は、複数のドラム固定ボルト17によって、駆動シーブ3に固定される。なお、各ドラム固定ボルト17として、シーブ固定ボルト8が用いられてもよい。
【0048】
各ドラム固定ボルト17は、対応するドラム穴11aと対応するシーブ穴3aとに通され、対応する第1ねじ穴2aにねじ込まれる。即ち、ロープドラム11及び駆動シーブ3は、複数のドラム穴11aと、複数のシーブ穴3aと、複数の第1ねじ穴2aとを利用して、複数のドラム固定ボルト17によって、巻上機モータ6のロータに共締めされる。
【0049】
図15は、
図13のエレベータ巻上機1への誘導部材14の取り付け方法を示す分解平面図である。
図16は、
図13エレベータ巻上機1への誘導部材14の取り付け方法を示す分解正面図である。
【0050】
図17は、
図15の誘導部材14が巻上機本体2に固定された状態を示す平面図である。
図18は、
図16の誘導部材14が巻上機本体2に固定された状態を示す正面図である。
【0051】
誘導部材14には、一対の誘導部材穴14aが設けられている。各誘導部材穴14aは、誘導部材14を巻上機本体2に固定する際、対応する第2ねじ穴2bに重ねられる。
【0052】
各誘導部材用ボルト18は、対応する誘導部材穴14aに通され、対応する第2ねじ穴2bにねじ込まれる。即ち、誘導部材14は、一対の誘導部材穴14aと、一対の第2ねじ穴2bとを利用して、一対の誘導部材用ボルト18によって、巻上機本体2に取り付けられる。
【0053】
図19は、
図18のエレベータ巻上機1へのバランスウェイト15の取り付け方法を示す分解正面図である。
【0054】
バランスウェイト15には、複数のウェイト穴15aが設けられている。バランスウェイト15は、揚重ロープ外れ止めを兼ねているため、各ウェイト穴15aは、外れ止め穴を兼ねている。各ウェイト穴は、バランスウェイト15を巻上機本体2に固定する際、対応する第3ねじ穴2cに重ねられる。
【0055】
図2に示した各ウェイト用ボルト19は、対応するウェイト穴15aに通され、対応する第3ねじ穴2cにねじ込まれる。即ち、バランスウェイト15は、複数のウェイト穴15aと、複数の第3ねじ穴2cとを利用して、複数のウェイト用ボルト19によって、エレベータ巻上機1に取り付けられる。
【0056】
なお、各ウェイト用ボルト19として、外れ止め固定ボルト9が用いられてもよい。
【0057】
このようなエレベータ巻上機1の据付補助装置及び据付方法では、巻上機モータ6によって、駆動シーブ3とロープドラム11とが回転され、揚重ロープ12がロープドラム11に巻き取られ、エレベータ巻上機1が設置高さまで移動する。
【0058】
このため、設置高さまでエレベータ巻上機1を移動させた状態において、第1揚重ビーム22とエレベータ巻上機1との間にチェーンブロックが介在しない。従って、第1揚重ビーム22に対して、エレベータ巻上機1をより近接させることができ、昇降路21内において、より高い位置にエレベータ巻上機1を設置することができる。
【0059】
これにより、エレベータ巻上機1が釣合おもりの昇降行程の真上に配置される場合、同じ昇降路の高さに対して、釣合おもりの昇降行程を長くすることができる。
【0060】
また、チェーンブロックを省略、又は使用するチェーンブロックの数を低減することができる。これにより、チェーンブロックの設置及び撤去の手間を軽減することができ、エレベータ巻上機1の据付を容易に行うことができる。また、エレベータの据付作業全体における作業工程を減らすことができる。
【0061】
また、巻上機モータ6の駆動力によってエレベータ巻上機1を移動させることができるため、チェーンブロックを手動で操作する場合に比べて、作業者の負担を軽減することができる。
【0062】
また、ロープドラム11及び駆動シーブ3は、複数のドラム穴11aと、複数のシーブ穴3aと、複数の第1ねじ穴2aとを利用して、複数のドラム固定ボルト17によって、巻上機モータ6のロータに共締めされる。このため、既存のタイプのエレベータ巻上機1に対して、ロープドラム11を容易に取り付けることができ、ロープドラム11と駆動シーブ3とを一体に回転させることができる。
【0063】
また、巻上機本体2には、誘導部材14が取り付けられている。このため、揚重ロープ12をロープドラム11に安定して巻き取ることができる。また、揚重ロープ12をロープドラム11から安定して引き出すことができる。
【0064】
また、誘導部材14は、一対の誘導部材穴14aと、一対の第2ねじ穴2bとを利用して、巻上機本体2に取り付けられる。このため、既存のタイプのエレベータ巻上機1に対して、誘導部材14を容易に取り付けることができる。
【0065】
また、巻上機本体2には、バランスウェイト15が取り付けられている。このため、エレベータ巻上機1を安定した姿勢で移動させることができる。
【0066】
また、バランスウェイト15は、複数のウェイト穴15aと、複数の第3ねじ穴2cとを利用して、エレベータ巻上機1に取り付けられる。このため、既存のタイプのエレベータ巻上機1に対して、バランスウェイト15を容易に取り付けることができる。
【0067】
また、バランスウェイト15は、揚重ロープ外れ止めを兼ねている。このため、ロープドラム11から揚重ロープ12が外れることを、より確実に抑制することができる。また、部品点数の増加を抑制することができる。
【0068】
なお、バランスウェイトと揚重ロープ外れ止めとは別部材であってもよい。
【0069】
また、バランスウェイト及び揚重ロープ外れ止めの少なくともいずれか一方が省略されてもよい。
【0070】
また、誘導部材14は、省略されてもよい。
【0071】
また、実施の形態1では、エレベータ巻上機1の据付時に、制御盤28からエレベータ巻上機1に給電されている。しかし、制御盤28とは別の制御装置、可搬バッテリー等からエレベータ巻上機1に給電されてもよい。
【0072】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0073】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0074】
(付記1)
エレベータ巻上機に取り付けられ、巻上機モータによって、駆動シーブの回転中心を中心として前記駆動シーブと一体に回転されるロープドラム、及び
前記ロープドラムの回転により前記ロープドラムに巻き取られる揚重ロープ
を備えているエレベータ巻上機の据付補助装置。
(付記2)
前記駆動シーブは、シーブ固定ボルトによって前記巻上機モータに固定され、
前記巻上機モータには、前記シーブ固定ボルトがねじ込まれる第1ねじ穴が設けられており、
前記駆動シーブには、前記シーブ固定ボルトを通すシーブ穴が設けられており、
前記ロープドラムには、前記シーブ穴に重ねられるドラム穴が設けられており、
前記ロープドラム及び前記駆動シーブは、前記ドラム穴と、前記シーブ穴と、前記第1ねじ穴とを利用して、前記巻上機モータに共締めされる付記1に記載のエレベータ巻上機の据付補助装置。
(付記3)
前記エレベータ巻上機に取り付けられ、前記ロープドラムに前記揚重ロープを巻き取る際に、前記揚重ロープを前記ロープドラムに誘導する誘導部材
をさらに備えている付記1又は付記2に記載のエレベータ巻上機の据付補助装置。
(付記4)
前記エレベータ巻上機には、アイボルトをねじ込む第2ねじ穴が設けられており、
前記誘導部材には、前記第2ねじ穴に重ねられる誘導部材穴が設けられており、
前記誘導部材は、前記誘導部材穴と、前記第2ねじ穴とを利用して、前記エレベータ巻上機に取り付けられる付記3に記載のエレベータ巻上機の据付補助装置。
(付記5)
前記エレベータ巻上機に取り付けられるバランスウェイト
をさらに備えている付記1から付記4までのいずれか1項に記載のエレベータ巻上機の据付補助装置。
(付記6)
前記バランスウェイトは、前記揚重ロープが前記ロープドラムから外れることを阻止する揚重ロープ外れ止めを兼ねている付記5に記載のエレベータ巻上機の据付補助装置。
(付記7)
前記エレベータ巻上機には、外れ止め固定ボルトがねじ込まれる第3ねじ穴が設けられており、
前記外れ止め固定ボルトは、かごを吊り下げる懸架体が前記駆動シーブから外れることを阻止する懸架体外れ止めを、前記エレベータ巻上機に固定するボルトであり、
前記バランスウェイトには、前記第3ねじ穴に重ねられるウェイト穴が設けられており、
前記バランスウェイトは、前記ウェイト穴と、前記第3ねじ穴とを利用して、前記エレベータ巻上機に固定される付記5又は付記6に記載のエレベータ巻上機の据付補助装置。
(付記8)
前記エレベータ巻上機に取り付けられ、前記揚重ロープが前記ロープドラムから外れることを阻止する揚重ロープ外れ止め
をさらに備えている付記1から付記4までのいずれか1項に記載のエレベータ巻上機の据付補助装置。
(付記9)
前記エレベータ巻上機には、外れ止め固定ボルトがねじ込まれる第3ねじ穴が設けられており、
前記外れ止め固定ボルトは、かごを吊り下げる懸架体が前記駆動シーブから外れることを阻止する懸架体外れ止めを、前記エレベータ巻上機に固定するボルトであり、
前記揚重ロープ外れ止めには、前記第3ねじ穴に重ねられる外れ止め穴が設けられており、
前記揚重ロープ外れ止めは、前記外れ止め穴と、前記第3ねじ穴とを利用して、前記エレベータ巻上機に固定される付記8に記載のエレベータ巻上機の据付補助装置。
(付記10)
エレベータ巻上機の駆動シーブに対してロープドラムを固定するドラム固定工程、
前記ロープドラムに接続されている揚重ロープを建物に接続する揚重ロープ接続工程、及び
巻上機モータによって前記駆動シーブと前記ロープドラムとを回転させ、前記揚重ロープを前記ロープドラムに巻き取りながら前記エレベータ巻上機を設置高さまで移動させる移動工程
を含むエレベータ巻上機の据付方法。
【符号の説明】
【0075】
1 エレベータ巻上機、2a 第1ねじ穴、2b 第2ねじ穴、2c 第3ねじ穴、3 駆動シーブ、3a シーブ穴、4 懸架体外れ止め、5 アイボルト、6 巻上機モータ、8 シーブ固定ボルト、9 外れ止め固定ボルト、11 ロープドラム、11a ドラム穴、12 揚重ロープ、14 誘導部材、14a 誘導部材穴、15 バランスウェイト(揚重ロープ外れ止め)、15a ウェイト穴(外れ止め穴)。