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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177393
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/08 20060101AFI20231207BHJP
【FI】
D06F39/08 301
D06F39/08 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090020
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】森 智宏
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 純也
【テーマコード(参考)】
3B166
【Fターム(参考)】
3B166AA05
3B166AE02
3B166AE04
3B166AE05
3B166BA32
3B166CA01
3B166CA11
3B166CB01
3B166CB11
3B166CB13
3B166CC02
3B166CD02
3B166CD05
3B166CD15
3B166DA21
3B166DA31
3B166DB03
3B166DB18
3B166DC05
3B166DC43
3B166DC47
3B166DE01
3B166DE02
3B166DE06
3B166FB01
3B166GA02
3B166GA05
3B166GA12
3B166HA11
3B166HA32
3B166HA34
3B166JM02
(57)【要約】
【課題】機能水の噴霧終了後、ミストノズルから機能水が衣類等の処理対象物に滴下することを防止し得る洗濯機を提供する。
【解決手段】ドラム式洗濯機1は、貯水タンク310内に溜められた水道水から機能水である銀イオン水を生成する銀イオン溶出部材400と、銀イオン水をミスト化し、ドラム23内の処理対象物に上方から噴霧するミストノズル350と、制御部とを備える。ミストノズル350は、貯水タンク310の下方に配置される。制御部は、貯水タンク310内に水道水を供給した後、貯水タンク310内で銀イオン水が生成されると、銀イオン水を噴霧するようミストノズル350を動作させ、銀イオン水の噴霧が終了すると、貯水タンク310内に水道水を供給し、水道水を噴霧するようミストノズル350を動作させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に配置された外槽と、
前記外槽内に配置され、処理対象物が収容される内槽と、
水道水が溜められる貯水タンクと、
前記貯水タンク内に前記水道水を供給する給水部と、
前記貯水タンク内に溜められた前記水道水から機能水を生成する生成部と、
前記生成部により生成された前記機能水をミスト化し、前記内槽内の処理対象物に上方から噴霧するミストノズルと、
前記給水部および前記ミストノズルの動作を制御する制御部と、を備え、
前記ミストノズルは、前記貯水タンクから前記機能水が自重により送られるよう、前記貯水タンクの下方に配置され、
前記制御部は、
前記給水部を動作させて前記貯水タンク内に前記水道水を供給した後、前記貯水タンク内で前記機能水が生成されると、前記機能水を噴霧するよう前記ミストノズルを動作させ、
前記機能水の噴霧が終了すると、前記給水部を動作させて前記貯水タンク内に前記水道水を供給し、前記水道水を噴霧するよう前記ミストノズルを動作させる、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯機において、
前記ミストノズルは、前記貯水タンクから送られてきた前記機能水に超音波振動を付与することにより前記機能水をミスト化するミスト発生器を有する、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の洗濯機において、
前記機能水は、銀イオン水であり、
前記生成部は、前記貯水タンク内に溜められた前記水道水に銀イオンを溶出させて前記銀イオン水を生成する銀イオン溶出部材を含み、
前記制御部は、
前記貯水タンクへ前記水道水を供給してから前記銀イオン水を生成するための時間の経過を待って前記ミストノズルを動作させ、
前記銀イオン水の噴霧が終了した後は、前記貯水タンクへ前記水道水を供給してから直ちに前記ミストノズルを動作させる、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項4】
請求項1または2に記載の洗濯機において、
前記機能水は、次亜塩素酸水であり、
前記生成部は、前記貯水タンク内に溜められた前記水道水を電気分解する電解部を含み、
前記制御部は、
前記貯水タンクへ前記水道水を供給してから前記電解部を動作させて前記次亜塩素酸水を生成した後に前記ミストノズルを動作させ、
前記次亜塩素酸水の噴霧が終了した後は、前記貯水タンクへ前記水道水を供給してから前記電解部を動作させることなく前記ミストノズルを動作させる、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項5】
請求項1または2に記載の洗濯機において、
前記給水部は、前記貯水タンクに供給される前記水道水が流出する流出口を有し、
前記貯水タンクは、前記給水部からの前記水道水が流入する流入口を有し、
前記流出口と前記流入口との間がU字状に形成された接続ホースにより接続される、
ことを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機能水をミスト状にして衣類等の処理対象物に供給し、処理対象物に機能水による所期の効果を与えるようにした洗濯機が知られている。たとえば、以下の特許文献1には、機能水として、AgイオンとAgClを含有する水溶液を電解により生成し、当該水溶液をミスト状にして、内槽内に収容された衣類に供給するようにした洗濯乾燥機が記載されている。
【0003】
特許文献1の洗濯乾燥機では、AgイオンとAgClを含有する水溶液は、当該水溶液が生成された電解槽内で霧化されてミストとなる。ミストは、送風ファンにより電解槽の上方部のミスト排出口から排出され、ミスト導入径路を経て外槽内に達し、内槽の前面開口を通じて内槽内に導入され、衣類に掛かる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-125703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の洗濯乾燥機では、ミスト状の機能水が、ミスト導入径路を通過する過程で消耗してしまうことが懸念される。そこで、機能水を噴霧するミストノズルを、その吹出口が外槽内に臨むように配置し、ミスト状の機能水を、前面開口を通じて内槽内に直接導入することが考えられる。さらに、この場合、機能水が生成されるタンクをミストノズルよりも上方に配置して、生成された機能水を自重によりミストノズルへ送るようにすれば、ポンプ等の送水手段を削減できる。
【0006】
しかしながら、上記の構成とされた場合、機能水の噴霧終了後、ミストノズルが動作を停止している状態において、ミストノズルの上流の経路に残った機能水が塊となってミストノズルの吹出口から漏れ出し、内槽内に収容された衣類に滴下する虞がある。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、機能水の噴霧終了後、ミストノズルから機能水が衣類等の処理対象物に滴下することを防止し得る洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の主たる態様に係る洗濯機は、筐体内に配置された外槽と、前記外槽内に配置され、処理対象物が収容される内槽と、水道水が溜められる貯水タンクと、前記貯水タンク内に前記水道水を供給する給水部と、前記貯水タンク内に溜められた前記水道水から機能水を生成する生成部と、前記生成部により生成された前記機能水をミスト化し、前記内槽内の処理対象物に上方から噴霧するミストノズルと、前記給水部および前記ミストノズルの動作を制御する制御部と、を備える。ここで、前記ミストノズルは、前記貯水タンクから前記機能水が自重により送られるよう、前記貯水タンクの下方に配置される。前記制御部は、前記給水部を動作させて前記貯水タンク内に前記水道水を供給した後、前記貯水タンク内で前記機能水が生成されると、前記機能水を噴霧するよう前記ミストノズルを動作させ、前記機能水の噴霧が終了すると、前記給水部を動作させて前記貯水タンク内に前記水道水を供給し、前記水道水を噴霧するよう前記ミストノズルを動作させる。
【0009】
本態様に係る洗濯機によれば、貯水タンク内で機能水が生成され、ミストノズルから内槽内の処理対象物に噴霧される。これにより、処理対象物に、機能水よる所期の効果を与えることができる。
【0010】
さらに、ミストノズルは、貯水タンクから機能水が自重により送られるよう、貯水タンクの下方に配置されているので、ミストノズルへ機能水を送るためのポンプ等の送水手段が不要となる。
【0011】
さらに、機能水の噴霧後に、貯水タンクに水道水が供給され、当該水道水がミストノズルから噴霧されるので、ミストノズルの上流の経路に残った機能水を、水道水で希釈して水道水とともに噴霧できる。これにより、残った機能水がミストノズルから内槽内の処理対象物に滴下することを防止できる。
【0012】
本態様に係る洗濯機において、前記ミストノズルは、前記貯水タンクから送られてきた前記機能水に超音波振動を付与することにより前記機能水をミスト化するミスト発生器を有するような構成とされ得る。
【0013】
上記の構成によれば、ミスト発生器を動作させることによりミストノズルから機能水を噴霧させることができる。また、ミスト発生器が停止しているときに、ミスト発生器から機能水が漏れ出し、ミストノズルから滴下することを防止できる。
【0014】
本態様に係る洗濯機において、前記機能水は、銀イオン水とされ得る。この場合、前記生成部は、前記貯水タンク内に溜められた前記水道水に銀イオンを溶出させて前記銀イオン水を生成する銀イオン溶出部材を含み得る。前記制御部は、前記貯水タンクへ前記水道水を供給してから前記銀イオン水を生成するための時間の経過を待って前記ミストノズルを動作させ、前記銀イオン水の噴霧が終了した後は、前記貯水タンクへ前記水道水を供給してから直ちに前記ミストノズルを動作させるような構成とされ得る。
【0015】
上記の構成によれば、ミストノズルから噴霧された銀イオン水により、処理対象物に、除菌や抗菌、脱臭の効果を与えることが可能となる。
【0016】
さらに、ミストノズルの上流の経路に残った銀イオン水がミストノズルから内槽内の処理対象物に滴下することを防止できる。特に、ミストノズルの上流の経路に濃度の高い銀イオン水が残ってしまった場合でも、当該銀イオン水の処理対象物への滴下により処理対象物に変色等の不具合が生じることを防止できる。
【0017】
本態様に係る洗濯機において、前記機能水は、次亜塩素酸水とされ得る。この場合、前記生成部は、前記貯水タンク内に溜められた前記水道水を電気分解する電解部を含み得る。前記制御部は、前記貯水タンクへ前記水道水を供給してから前記電解部を動作させて前記次亜塩素酸水を生成した後に前記ミストノズルを動作させ、前記次亜塩素酸水の噴霧が終了した後は、前記貯水タンクへ前記水道水を供給してから前記電解部を動作させることなく前記ミストノズルを動作させるような構成とされ得る。
【0018】
上記の構成によれば、ミストノズルから噴霧された次亜塩素酸水により、処理対象物に、除菌や抗菌、脱臭の効果を与えることが可能となる。
【0019】
さらに、ミストノズルの上流の経路に残った次亜塩素酸水がミストノズルから内槽内の処理対象物に滴下することを防止できる。
【0020】
本態様に係る洗濯機において、前記給水部は、前記貯水タンクに供給される前記水道水が流出する流出口を有するような構成とされる。また、前記貯水タンクは、前記給水部からの前記水道水が流入する流入口を有するような構成とされ得る。この場合、前記流出口と前記流入口との間がU字状に形成された接続ホースにより接続され得る。
【0021】
上記の構成によれば、給水部の水路に残った水道水が流出口から流出しても接続ホースの中に溜まり、貯水タンク内に流入しにくい。これにより、貯水タンク内に不所望に水道水が貯留することを防止できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、機能水の噴霧終了後、ミストノズルから機能水が衣類等の処理対象物に滴下することを防止し得る洗濯機を提供できる。
【0023】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、実施の形態に係る、ドラム式洗濯機の構成を示す側面断面図である。
図2図2は、実施の形態に係る、第1注水ユニットおよび第2注水ユニットの正面図である。
図3図3は、実施の形態に係る、貯水タンクの正面断面図である。
図4図4は、実施の形態に係る、貯水タンクの平面断面図である。
図5図5は、実施の形態に係る、ミストノズルの側面断面図である。
図6図6は、実施の形態に係る、ドラム式洗濯機の構成を示すブロック図である。
図7図7は、実施の形態に係る、除菌運転で実行される制御部の制御動作を示すフローチャートである。
図8図8は、変更例1に係る、貯水タンクの正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の洗濯機の一実施形態であるドラム式洗濯機について、図面を参照して説明する。
【0026】
図1は、ドラム式洗濯機1の構成を示す側面断面図である。図2は、第1注水ユニット52および第2注水ユニット53の正面図である。
【0027】
ドラム式洗濯機1は、方形状の筐体10を備える。筐体10の前面には、洗濯物が投入される円形の投入口11が形成される。投入口11は、開閉自在なドア12により覆われる。
【0028】
筐体10内には、外槽20が配置される。外槽20は、複数のダンパー21とスプリング22とにより弾性的に支持される。外槽20内には、ドラム23が回転自在に配置される。ドラム23は、水平軸周りに回転する。ドラム23は、前面に円形の開口部23aを有する。ドラム23は、本発明の内槽に相当する。
【0029】
外槽20は、ドラム23の開口部23aの前方に円形の開口部20aを有する。外槽20の開口部20aの周縁部と筐体10の投入口11の周縁部が、弾性材料からなる環状のパッキン24により連結される。閉じられたドア12の周面がパッキン24に接触し、投入口11とドア12との間が水封される。
【0030】
ドラム23の内周面には、多数の脱水孔23bが形成される。また、ドラム23の内周面には、周方向に等しい間隔で、ほぼ三角柱形状を有する3つのバッフル25が設けられる。
【0031】
外槽20の後方には、ドラム23を回転させるためのトルクを発生させる駆動モータ30が配置される。駆動モータ30は、たとえば、アウターロータ型のDCブラシレスモータである。駆動モータ30は、洗い工程およびすすぎ工程時には、ドラム23内の洗濯物に加わる遠心力が重力より小さく、洗濯物がタンブリングする回転数でドラム23を回転させる。一方、駆動モータ30は、脱水工程時には、ドラム23内の洗濯物に加わる遠心力が重力よりはるかに大きく、洗濯物がドラム23の内周面に張り付く回転数でドラム23を回転させる。
【0032】
外槽20の底部には、排水口部20bが形成される。排水口部20bには、当該排水口部20bを開閉する排水バルブ41が設けられる。排水バルブ41は、たとえば、バルブと、バルブを開閉させるトルクモータとを含む。排水バルブ41は、排水ホース42に接続される。排水バルブ41と排水ホース42は、外槽20内から排水を行う排水部40を構成する。排水バルブ41が開放されると、外槽20内に溜められた水が排水口部20bおよび排水ホース42を通じて機外に排出される。排水ホース42の途中には、リント等の異物を捕獲する排水フィルタ43が配置される。
【0033】
筐体10内の上部には、給水装置50が配置される。給水装置50は、給水バルブユニット51と、第1注水ユニット52と、第2注水ユニット53と、を備える。
【0034】
給水バルブユニット51は、給水バルブ110と、第1給水ホース120と、第2給水ホース130とを含む。給水バルブ110は、第1バルブ111および第2バルブ112を有する。給水バルブ110の給水口113は、図示しない接続ホースを介して水道栓に接続される。
【0035】
第1給水ホース120の入口が第1バルブ111に接続され、第2給水ホース130の入口が第2バルブ112に接続される。第1バルブ111が開放されると、第1給水ホース120に水道水が流れ、第2バルブ112が開放されると、第2給水ホース130に水道水が流れる。
【0036】
第1注水ユニット52は、前面が開口する注水口部材210と、注水口部材210に引出可能に収容される液剤タンク220と、注水口部材210の上面に配置された水路形成部材230と、を含む。
【0037】
液剤タンク220は、液体の洗剤が貯められる洗剤室と液体の柔軟剤が貯められる柔軟剤室とを有する。液剤タンク220は、筐体10の前面に設けられた収容口13を通じて注水口部材210に収容される。液剤タンク220の前面には、収容口13を塞ぐ蓋221が設けられる。
【0038】
水路形成部材230の内部には、第1給水ホース120の出口が接続される第1水路231と、第2給水ホース130の出口が接続される第2水路232が形成される。第1水路231には、液剤タンク220から洗剤または柔軟剤が導入される。洗剤または柔軟剤は、第1給水ホース120から流れてきた水道水と混合されて第1水路231から排出され、水道水とともに図示しない注水経路を介して外槽20内に供給される。
【0039】
水路形成部材230には、前部の右端部に、下方に突出する円筒状の流出口233が設けられる。第2水路232は、流出口233に繋がる。第2給水ホース130から流れてきた水道水が、第2水路232によって流出口233へ導かれる。
【0040】
なお、給水バルブユニット51および第1注水ユニット52により、本発明の給水部が構成される。
【0041】
第2注水ユニット53は、貯水タンク310と、第1送水ホース320と、第2送水ホース330と、第3送水ホース340と、ミストノズル350と、ドア給水ノズル360と、を含む。
【0042】
図3は、貯水タンク310の正面断面図である。図4は、貯水タンク310の平面断面図である。図3は、図4に示すB―B´線の位置で切断されており、図4は、図3に示すA―A´線の位置で切断されている。
【0043】
貯水タンク310は、直方体に近い形状を有する貯水部370と、貯水部370の左上端部から左方に延び出す入出水路部380とを含む。
【0044】
貯水部370の底面部370aには、中央部に、下方に突出する円筒状の第1流出口371が形成され、左端部に、下方に突出する円筒状の第2流出口372が形成される。底面部370aにおける第2流出口372の周囲の部分は、他の部分よりも下方に凹む底面凹部373となっている。底面部370aの他の部分は、底面凹部373に向かって下り傾斜する。
【0045】
底面凹部373には、第2流出口372の真上位置に、貯水部370の上端部分へと延びる円筒状のサイフォン管374が形成される。貯水部370の天面部370bには、下方に突出し、上方からサイフォン管374に被せられる円筒状のサイフォンキャップ375が形成される。サイフォンキャップ375の下端は、底面凹部373に僅かに入り込む。サイフォンキャップ375の内径は、サイフォン管374の外径よりも大きくされており、サイフォン管374とサイフォンキャップ375との間に流路が形成される。サイフォン管374とサイフォンキャップ375は、サイフォン機構を構成する。
【0046】
貯水部370の天面部370bには、サイフォンキャップ375の右方に、方形状に凹む天面凹部376が形成される。天面凹部376の外底面には、左右方向に延びる複数の押さえリブ377が前後方向に並ぶように形成される。
【0047】
入出水路部380の内部には、前側および後側に、それぞれ、貯水部370に繋がる流出水路381および流入水路382が形成される。流出水路381の底面の高さは、サイフォン管374の上端の高さより僅かに低い。入出水路部380の左端部には、前側および後側に、それぞれ、下方に突出する円筒状の第3流出口383および流入口384が形成される。第3流出口383は流出水路381に繋がり、流入口384は流入水路382に繋がる。第1注水ユニット52の水路形成部材230の流出口233と、貯水タンク310の流入口384との間が、U字状に形成された接続ホース240により接続される。
【0048】
貯水タンク310内、即ち貯水部370内では、当該貯水部370内に溜められた水道水から、衣類等の処理対象物に所期の効果の機能を与える機能水として、処理対象物の除菌や抗菌、脱臭が行える銀イオン水が生成される。銀イオン水の生成のため、貯水部370内には、銀イオン溶出部材400が収容される。銀イオン溶出部材400は、不織布などで形成された通水性を有する保持体410の中に、多数の銀イオン溶出小片420が収納された構成を有する。銀イオン溶出小片420は、たとえば、溶解性のガラス部材に銀を練り込んだイオンビーズである。銀イオン溶出部材400は、押さえリブ377で押さえ付けられることにより、貯水部370内で動きにくい状態となっている。銀イオン溶出部材400は、本発明の生成部に相当する。
【0049】
図2に示すように、貯水タンク310の第1流出口371、第2流出口372および第3流出口383に、それぞれ、第1送水ホース320、第2送水ホース330および第3送水ホース340の入口が接続される。第1送水ホース320の出口に、ミストノズル350が接続され、第3送水ホース340の出口にドア給水ノズル360が接続される。
【0050】
図1に示すように、パッキン24には、頂上部に、後下方に傾く円筒状のノズル装着口24aが形成される。また、パッキン24には、ノズル装着口24aの左隣の内面側に、ドラム23内にシャワー状に給水を行うためのシャワーノズル26が設けられる。
【0051】
ミストノズル350は、ノズル装着口24aに装着される。ミストノズル350の吹出口355が外槽20内に臨む。ミストノズル350全体が外槽20内に配置されることにより、吹出口355が外槽20内に臨むような構成であってもよい。
【0052】
また、第2送水ホース330は、その出口がシャワーノズル26の入口に接続される。さらに、ドア給水ノズル360は、その先端部が外槽20内に突出するように、パッキン24におけるシャワーノズル26の左隣に装着される。ドア給水ノズル360の先端部には、ドア12の内側に向けて水道水を放出する放出口が左右両側に形成される。
【0053】
ミストノズル350は、貯水タンク310の下方に配置されている。このため、ミストノズル350には、銀イオン溶出部材400により生成された機能水である銀イオン水が、自重により第1送水ホース320を介して送られる。ミストノズル350は、銀イオン水をミスト化し、ドラム23内に収容された衣類等の処理対象物に上方から噴霧する。
【0054】
図5は、ミストノズル350の側面断面図である。
【0055】
ミストノズル350は、ハウジング351と、ミスト発生器352とを含む。ハウジング351は、第1部材351aと第2部材351bとを結合することにより構成される。ハウジング351の基端部には、第1送水ホース320が接続される円筒状の接続口353が形成される。ハウジング351の内部には、接続口353に繋がる流入路354が形成される。ハウジング351の先端部には、吹出口355が形成される。吹出口355は、先端に向かうに従って拡がる僅かなテーパ形状を有する。
【0056】
ミスト発生器352は、ハウジング351内に収容されて、その入口352aが流入路354に接続され、その出口352bが吹出口355に接続される。ミスト発生器352は、超音波振動子356を内蔵する。超音波振動子356は、多数の微孔が形成された振動面を有する。超音波振動子356の動作により振動面が超音波振動する。
【0057】
貯水タンク310から第1送水ホース320を介してミストノズル350へ送られてきた銀イオン水は、流入路354を通り、入口352aからミスト発生器352へ流入する。超音波振動する超音波振動子356の振動面に触れることにより銀イオン水に超音波振動が付与され、銀イオン水がミスト化する。ミスト化した銀イオン水は、振動面の多数の微孔を通過して出口352bから吹出口355を通じて噴霧される。
【0058】
図6は、ドラム式洗濯機1の構成を示すブロック図である。
【0059】
ドラム式洗濯機1は、上述した構成に加え、制御部501と、記憶部502と、操作部503と、表示部504と、水位検出部505と、モータ駆動部506と、給水駆動部507と、排水駆動部508と、発生器駆動部509とを備える。
【0060】
操作部503は、機器に対する電源の投入および遮断を行う電源ボタンと、運転を開始させるためのスタートボタンと、洗濯運転に係る複数のコースの中から任意のコースを選択するためのコース選択ボタンとを含む。操作部503は、ユーザに操作されたボタンに応じた入力信号を制御部501に出力する。
【0061】
表示部504は、LED等の発光素子や液晶パネル等のディスプレイを含み、制御部501からの制御信号に従って、選択されたコースの表示、洗濯運転の進行状況の表示、異常の報知などを行う。
【0062】
水位検出部505は、外槽20内の水位を検出し、水位に応じた水位信号を制御部501に出力する。
【0063】
モータ駆動部506は、制御部501からの制御信号に従って、駆動モータ30を駆動する。モータ駆動部506は、駆動モータ30の回転数を検出する回転センサ、インバータ回路等を含み、制御部501により設定された回転数で駆動モータ30が回転するよう、駆動電力を調整する。
【0064】
給水駆動部507は、制御部501からの制御信号に従って、給水バルブ110の第1バルブ111および第2バルブ112を駆動する。排水駆動部508は、制御部501からの制御信号に従って、排水バルブ41を駆動する。発生器駆動部509は、制御部501からの制御信号に従って、ミスト発生器352を駆動する。
【0065】
記憶部502は、EEPROM、RAM等を含む。記憶部502には、各種コースの運転を実行するためのプログラムが記憶される。また、記憶部502には、これらプログラムの実行に用いられる各種パラメータや各種制御フラグが記憶される。
【0066】
制御部501は、CPU等を含み、操作部503、水位検出部505等からの各信号に基づいて、記憶部502に記憶されたプログラムに従い、表示部504、モータ駆動部506、給水駆動部507、排水駆動部508、発生器駆動部509等を制御する。
【0067】
さて、ドラム式洗濯機1では、ユーザによる操作部503の操作に基づき、各種運転コースの洗濯運転が行われる。洗濯運転では、洗い工程、中間脱水工程、すすぎ工程および最終脱水工程が順番に行われる。運転コースによっては、すすぎ工程と中間脱水工程とが2回以上行われる場合がある。
【0068】
洗い工程では、ドラム23内に収容された洗濯物の負荷量に応じた洗い水位まで、外槽20内に洗剤を含む水が溜められ、その水の中に浸された洗濯物が、ドラム23の正回転および逆回転が繰り返されることによりタンブリングされる。洗濯物の内部まで洗剤を含む水が浸透し、洗剤の力とタンブリングによる機械力とにより洗濯物の表面や内部に付着した汚れが落とされる。
【0069】
すすぎ工程では、外槽20内に所定のすすぎ水位までの水が溜められた状態でドラム23が正回転および逆回転し、洗濯物がタンブリングされる。これにより、洗濯物に含まれた洗剤が水とともに排出され、洗濯物がすすがれる。
【0070】
中間脱水工程および最終脱水工程では、駆動モータ30が一方向に高速回転し、ドラム23が、ドラム23内の洗濯物に作用する遠心力が重力よりはるかに大きくなる回転数で一方向に回転する。遠心力の作用により、洗濯物が、ドラム23の内周面に押し付けられ、脱水される。最終脱水工程では、中間脱水工程での回転数よりも高い回転数でドラム23が回転する。
【0071】
洗い工程での給水時には、給水装置50において、第1バルブ111および第2バルブ112が開放される。第1バルブ111の開放により、水道水が第1給水ホース120、第1水路231等を介して外槽20内に供給される。この際、第1水路231において液剤タンク220から供給された洗剤が水道水に混入され、水道水とともに外槽20内に供給される。
【0072】
また、第2バルブ112の開放により、水道水が第2給水ホース130、第2水路232を介して貯水タンク310に供給される。水道水は、流入水路382を流れて貯水部370に至る。貯水部370内の水位が上昇してサイフォン管374の高さを超えると、サイフォン管374から水道水が溢れて第2流出口372から排出される。水道水は、第2送水ホース330を介してシャワーノズル26へ送られ、シャワーノズル26からドラム23内へ散水される。さらに、貯水部370の水位上昇により水道水が流出水路381内に溢れ、流出水路381を流れて第3流出口383から排出される。水道水は、第3送水ホース340を介してドア給水ノズル360へ送られ、ドア給水ノズル360からドア12の内側に向けて放出される。
【0073】
洗い工程での給水時には、水道水は貯水部370を経由してシャワーノズル26やドア給水ノズル360へ向かい、貯水部370内に溜まったままの状態とならない。このため、銀イオン溶出部材400からの銀イオンの溶出がほとんどなく、外槽20内に溜められた洗剤を含む水の中には、実質的に銀イオンが含まれない。
【0074】
また、給水が終了し、貯水タンク310への水道水の供給が停止したとき、サイフォン管374では、サイフォンの原理により、貯水部370内の水位がサイフォンキャップ375の下端より低くなるまで排水が継続される。よって、貯水部370内では、水道水は、底面凹部373内にわずかに残るだけで、ほぼ全て無くなる。これにより、貯水部370内に残った水道水に銀イオン溶出部材400から溶出した銀イオンが混入し、銀イオン水が生成されてしまう、ということが防止される。
【0075】
すすぎ工程の給水時にも、給水装置50が洗い工程の給水時と同様に動作する。ただし、外槽20内には、洗剤でなく柔軟剤が投入される。すすぎ工程が2回行われる場合、柔軟剤の投入は、最後のすすぎ工程となる。
【0076】
ドラム式洗濯機1では、機能水である銀イオン水の噴霧により処理対象物の除菌や抗菌、脱臭を行う除菌運転を実行することができる。処理対象物としては、上着、コートなどの衣類の他、ぬいぐるみなどの洗濯できにくい物がある。
【0077】
図7は、除菌運転で実行される制御部501の制御動作を示すフローチャートである。
【0078】
ユーザは、除菌運転を行う除菌コースを、操作部503のコース選択ボタンにより選択することができる。ユーザは、ドラム23内に処理対象物、たとえば、衣類を投入した後、除菌コースを選択し、操作部503のスタートボタンを押す。これにより、除菌運転が開始される。
【0079】
図7を参照して、除菌運転が開始されると、制御部501は、第2バルブ112を予め設定された第1給水時間だけ開放し、貯水タンク310への給水を行う(S1)。これにより、貯水タンク310の貯水部370内に所定量の水道水が溜められる。このとき、貯水部370内の水位は、流出水路381の底面の高さより低くなり、流出水路381やサイフォン管374から水道水は排出されない。なお、貯水タンク310に一対の電極棒等からなる水位検出部が設けられ、当該水位検出部により所定水位に達したと検出されるまで給水が行われるようにしてもよい。
【0080】
次に、制御部501は、予め設定された生成時間だけ、待機した状態、即ちミストノズル350の動作を開始しない状態とし、貯水部370内において、銀イオン溶出部材400に機能水である銀イオン水を生成させる(S2)。即ち、銀イオン溶出部材400が、貯水部370内の水道水に浸漬すると、銀イオン溶出小片420から銀イオンが溶出し、保持体410を通過して周囲の水道水に混入する。これにより、銀イオン水が生成される。生成時間の経過により、貯水部370内の銀イオン水の濃度が、処理対象物の除菌等に適する所期の濃度となる。
【0081】
次に、制御部501は、予め定めた第1噴霧時間だけミストノズル350、即ちミスト発生器352を動作させ、貯水タンク310から送られてきた機能水である銀イオン水を、ミストノズル350からドラム23内の処理対象物に向けて噴霧させる(S3)。これにより、ドラム23内の処理対象物に銀イオン水による除菌等の効果が与えられる。噴霧中、銀イオン水は、その自重により、貯水タンク310から第1送水ホース320を介してミストノズル350へと送られる。
【0082】
第1噴霧時間は、貯水部370内の銀イオン水が無くなるような時間に設定される。しかしながら、多くの場合、噴霧が終了した際、ミストノズル350の上流の経路、たとえば、第1送水ホース320内に銀イオン水が残り得る。さらに、保持体410に染み込むなどして銀イオン溶出部材400保持されていた所期の値よりも濃度の高い銀イオン水が、銀イオン溶出部材400から流れ出して第1送水ホース320等に残留する銀イオン水に混ざり、残留する銀イオン水が高い濃度となる虞がある。
【0083】
ミストノズル350が動作を停止している状態において、ミストノズル350の上流の経路に残った銀イオン水は、塊となってミストノズル350の吹出口355から漏れ出し得る。たとえば、ミスト発生器352において、超音波振動子356の上流に溜まった銀イオン水が、振動面の微孔を染み透るようにして漏れ、吹出口355から排出され得る。そして、吹出口355から漏れた銀イオン水が、ドラム23内の処理対象物に滴下する虞がある。このとき、滴下した銀イオン水が濃度の高いものであった場合は、処理対象物に変色等の不具合が生じる虞がある。
【0084】
そこで、銀イオン水の噴霧が終了すると、制御部501は、銀イオン水のミストノズル350からの滴下を防止するための制御動作を行う。
【0085】
即ち、制御部501は、第2バルブ112を予め設定された第2給水時間だけ開放し、貯水タンク310への給水を行う(S4)。第2給水時間は、第1給水時間よりも短い時間であり、銀イオン水を生成するときよりも少ない量の水道水が貯水部370内に溜められる。
【0086】
給水が終了すると、制御部501は、直ちに、即ち、実質的に、銀イオン溶出部材400から銀イオンが溶出して水道水に混入することが起きないうちにミストノズル350を始動させ、当該ミストノズル350を予め定めた第2噴霧時間だけ動作させて、貯水タンク310から送られてきた水道水を、ミストノズル350から噴霧させる(S5)。ミストノズル350の上流の経路に残っていた銀イオン水が水道水により希釈され、水道水とともに噴霧される。第2噴霧時間は、貯水部370内の水道水が無くなるような時間に設定される。
【0087】
なお、貯水タンク310へ水道水を供給してから直ちにミストノズル350を動作させるタイミングとして、給水が停止した直後のタイミングでなく、ある程度の量の水道水が貯水タンク310に供給された、給水が停止するよりも前のタイミングで、ミストノズル350を始動させるようにしてもよい。
【0088】
このようにして、銀イオン水の噴霧が終了した後に、ミストノズル350から銀イオン水が処理対象物に滴下することを防止できる。
【0089】
ミストノズル350からの水道水の噴霧が終了すると、除菌運転が終了する。ユーザにより、ドラム23内から処理対象物が取り出される。
【0090】
なお、水路形成部材230の第2水路232に残った水道水が、給水終了後に時間を置いて流出口233から流出する場合が考えられる。この場合、流出口233から流出した水道水はU字状の接続ホース240の中に溜まり、貯水タンク310内に流入しにくい。
【0091】
本実施の形態のドラム式洗濯機1は、洗濯物を乾燥させる乾燥装置を備えていてもよい。この場合、乾燥装置は、たとえば、外槽20に接続される循環路を備える。循環路内には、送風ファン、冷却器および加熱器が配置される。加熱器で加熱された空気が送風ファンの動作により外槽20と循環路との間で循環し、ドラム23内の洗濯物が乾燥する。外槽20内から循環路に戻ってきた空気は、加熱器で加熱される前に冷却器で冷却され除湿される。
【0092】
<実施の形態の効果>
本実施の形態によれば、貯水タンク310、即ち貯水部370内で機能水である銀イオン水が生成され、ミストノズル350からドラム23内の処理対象物に噴霧される。これにより、処理対象物に、銀イオン水による除菌や抗菌、脱臭の効果を与えることができる。
【0093】
さらに、ミストノズル350は、貯水タンク310から銀イオン水が自重により送られるよう、貯水タンク310の下方に配置されているので、ミストノズル350へ銀イオン水を送るためのポンプ等の送水手段が不要となる。しかも、このような構成とすることで、銀イオン水の噴霧後、ミストノズル350の上流の経路に銀イオン水が残ることになっても、銀イオン水の噴霧後に、貯水タンク310に水道水が供給され、当該水道水がミストノズル350から噴霧されるので、残った銀イオン水を、水道水で希釈して水道水とともに噴霧できる。これにより、残った銀イオン水がミストノズル350からドラム23内の処理対象物に滴下することを防止できる。
【0094】
特に、ミストノズル350の上流の経路に濃度の高い銀イオン水が残ってしまった場合でも、当該銀イオン水の処理対象物への滴下により処理対象物に変色等の不具合が生じることを防止できる。
【0095】
さらに、本実施の形態によれば、ミストノズル350は、貯水タンク310から送られてきた銀イオン水に超音波振動を付与することにより銀イオン水をミスト化させるミスト発生器352を有しているので、ミスト発生器352を動作させることによりミストノズル350から銀イオン水を噴霧させることができる。また、ミスト発生器352が停止しているときに、ミスト発生器352から銀イオン水が漏れ出し、ミストノズル350から滴下することを防止できる。
【0096】
さらに、本実施の形態によれば、水路形成部材230の流出口233と貯水タンク310の流入口384との間がU字状に形成された接続ホース240により接続されている。このため、水路形成部材230の第2水路232に残った水道水が流出口233から流出しても接続ホース240の中に溜まり、貯水タンク310内に流入しにくい。これにより、貯水タンク310、即ち貯水部370内に不所望に水道水が貯留することを防止できる。よって、貯水部370内で不所望に銀イオン水が生成されてしまうことを防止できる。
【0097】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態等によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0098】
<変更例1>
上記実施の形態では、貯水タンク310内に銀イオン溶出部材400が収容され、当該銀イオン溶出部材400により、機能水として銀イオン水が生成される。
【0099】
これに対し、本変更例では、貯水タンク310A内において、水道水の電気分解により、機能水として、次亜塩素酸水が生成される。
【0100】
図8は、変更例1に係る、貯水タンク310Aの正面断面図である。
【0101】
貯水タンク310Aにおいて、貯水部370内には、一対の電極390が配置される。一通の電極390は、それらの上端が、天面凹部376に取り付けられる。一対の電極390へ通電するための通電回路が制御部501に接続される。一対の電極390は、本発明の電解部および生成部に相当する。
【0102】
除菌運転では、上記実施の形態と同様、制御部501により図7に示す制御動作が実行される。本変更例では、ステップS2の処理が、上記実施の形態と異なる。
【0103】
ステップS1により貯水部370内に水道水が貯められると、ステップS2において、制御部501は、予め設定された通電時間だけ、一対の電極390への通電を行う。溜められた水道水には、塩素が含まれており、水道水が電気分解されることにより次亜塩素酸が発生し、当該次亜塩素酸が含まれた次亜塩素酸水が、機能水として生成される。通電時間の経過により、貯水部370内の次亜塩素酸水の濃度が、処理対象物の除菌等に適する所期の濃度となる。
【0104】
ステップS3において、ミストノズル350から次亜塩素酸水が噴霧され、ドラム23内の処理対象物に掛かる。これにより、ドラム23内の処理対象物に次亜塩素酸水による除菌等の効果が与えられる。
【0105】
本変更例においても、ステップS4およびS5の処理により、ミストノズル350の上流の経路に残った次亜塩素酸水が水道水で希釈されて、水道水とともに噴霧される。
【0106】
本変更例によっても、上記実施の形態と同様に、ミストノズル350へ次亜塩素酸水を送るためのポンプ等の送水手段が不要となる。さらに、次亜塩素酸水の噴霧後、残った次亜塩素酸水がミストノズル350から処理対象物に滴下することを防止できる。
【0107】
<その他の変更例>
上記実施の形態では、給水バルブユニット51から第1注水ユニット52を介して貯水タンク310へ水道水が供給された。しかしながら、給水バルブユニット51から直接、貯水タンク310へ水道水が供給されるようにしてもよい。この場合、給水バルブユニット51が本発明の給水部に相当する。
【0108】
さらに、上記実施の形態では、貯水タンク310は、機能水である銀イオン水を生成するタンクである以外に、シャワーノズル26とドア給水ノズル360への水道水の供給を中継するタンクとされる。しかしながら、貯水タンク310は、銀イオン水を生成する専用のタンクであってもよい。同様に、上記変更例1の貯水タンク310Aも、機能水である次亜塩素酸水を生成する専用のタンクであってもよい。
【0109】
さらに、上記実施の形態では、貯水タンク310において、機能水として、銀イオン水が生成される。また、上記変更例1では、貯水タンク310Aにおいて、機能水として、次亜塩素酸水が生成される。しかしながら、貯水タンク310,310Aに替えて、機能水として、光触媒を含む水を生成するための生成装置を有する貯水タンクが用いられてもよい。同様に、他の機能水が生成される貯水タンクが用いられてもよい。
【0110】
さらに、上記実施の形態では、ドラム式洗濯機1が示された。しかしながら、本発明は、ドラム式洗濯機1以外の洗濯機、たとえば、外槽内に縦軸型の洗濯脱水槽を有する全自動洗濯機にも適用できる。全自動洗濯機は、乾燥機能を有する全自動洗濯乾燥機であってもよい。
【0111】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0112】
1 ドラム式洗濯機(洗濯機)
10 筐体
20 外槽
23 ドラム(内槽)
50 給水装置
51 給水バルブユニット(給水部)
52 第1注水ユニット(給水部)
53 第2注水ユニット
233 流出口
240 接続ホース
310 貯水タンク
310A 貯水タンク
350 ミストノズル
352 ミスト発生器
384 流入口
390 一対の電極(電解部、生成部)
400 銀イオン溶出部材(生成部)
501 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8