(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177403
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】搬送用具及び搬送用梱包ユニット
(51)【国際特許分類】
B65D 61/00 20060101AFI20231207BHJP
E04G 21/14 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
B65D61/00 J
E04G21/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090033
(22)【出願日】2022-06-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 実施日 令和4年3月18日 実施場所 株式会社竹中工務店 梅田3丁目計画(仮称)建設工事現場 大阪市北区梅田三丁目2-4、2-14、2-18
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 隆
(72)【発明者】
【氏名】川原田 政澄
(72)【発明者】
【氏名】誉田 敏久
【テーマコード(参考)】
2E174
3E085
【Fターム(参考)】
2E174BA01
2E174DA10
2E174DA14
3E085AA03
3E085AA10
3E085AB10
3E085AC03
3E085AC06
3E085AC10
3E085AD02
3E085AD06
(57)【要約】
【課題】物品を搬送する際の損傷を防止し、かつ空となった状態で回収する際の搬送効率を向上させる。
【解決手段】枠体10を備えたカーテンウォールユニットWを搬送するための搬送用具であって、一方の端部が枠体10の一方の表面から突出する状態で枠体10の縦枠11,12に連結される2つの支持材21と、枠体10の縦枠11,12に沿って延在することにより2つの支持材21の間を連結する連結材22とを有した治具ベース20L,20Rを備え、治具ベース20L,20Rは、枠体10の室内に臨む表面が下方に向き、かつ複数の支持材21が個々の下端を介して立設する状態でカーテンウォールユニットWに取り付けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームを備えた物品を搬送するための搬送用具であって、
少なくとも一方の端部が前記フレームの一方の表面から突出する状態で前記フレームの側面に連結される複数の支持材と、
前記フレームの側面に沿って延在することにより前記複数の支持材の間を連結する連結材と
を有した治具ベースを備え、
前記治具ベースは、前記フレームの一方の表面が下方に向き、かつ前記複数の支持材が個々の下端を介して立設する状態で前記物品に取り付けられることを特徴とする搬送用具。
【請求項2】
前記連結材の上端部には上端連結部が設けられ、かつ前記連結材の下端部には前記上端連結部に連結可能となる下端連結部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の搬送用具。
【請求項3】
前記治具ベースは、前記フレームの側面の複数箇所に取り付けられ、
隣接して配置された前記治具ベースの間には、前記支持材の相互間を連結する側方補強体が設けられることを特徴とする請求項1に記載の搬送用具。
【請求項4】
前記側方補強体は、長方形状を成す側方ブレース枠と、前記側方ブレース枠に傾斜した状態で配設された側方ブレース材とを備え、前記側方ブレース枠を介して個々の治具ベースの支持材に連結されることを特徴とする請求項3に記載の搬送用具。
【請求項5】
前記治具ベースは、前記フレームの異なる側面にそれぞれ取り付けられ、
前記治具ベースの上端部間には、互いの間を連結するとともに、前記フレームの他方の表面に対向するように上方補強体が設けられることを特徴とする請求項1に記載の搬送用具。
【請求項6】
前記上方補強体は、長方形状を成す上方ブレース枠と、前記上方ブレース枠に傾斜した状態で配設された上方ブレース材とを備え、前記上方ブレース枠を介して個々の治具ベースの支持材に連結されることを特徴とする請求項5に記載の搬送用具。
【請求項7】
前記治具ベースは、前記フレームの一方の表面に取り付けられた付属部品よりも前記支持材が下方に突出する状態で前記物品に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の搬送用具。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか一つに記載された搬送用具が前記フレームに連結されていることを特徴とする搬送用梱包ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を搬送するための搬送用具と、物品及び搬送用具を備えた搬送用梱包ユニットとに関するものである。
【背景技術】
【0002】
物品を搬送する場合に適用される搬送用具としては、複数の構造材によって内部に収容空間を有した箱状を成すものが多く適用されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この種の搬送用具では、空の状態においても大きなスペースを占めるため、搬送効率を考慮すると必ずしも好ましいとはいえない。
【0003】
一方、従来の搬送用具としては、複数の構造材によって面状に構成したものも提供されている。すなわち、2つの柱体の間をビームによって連結した搬送用具を適用し、柱体の間のビームに物品を載置するようにしたものである。この搬送用具では、空の状態においては、搬送用具を互いに重ねることができる等、大きなスペースが不要となり、搬送用具を回収する際の搬送効率の点で有利となる(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3237493号公報
【特許文献2】特開平6-1351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献2に記載された搬送用具では、例えば搬送中において振動が加えられた場合、物品と柱体との間を連結するボルトを中心として物品及び柱体が相対的に回転する事態が生じ得る。このため、物品に対して柱体が傾斜することで上下の物品が互いに近接し、相互に接触することで損傷を来す事態が生じ得る。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みて、物品を搬送する際の損傷を防止し、かつ空となった状態で回収する際の搬送効率を向上させることのできる搬送用具及び搬送用梱包ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る搬送用具は、フレームを備えた物品を搬送するための搬送用具であって、少なくとも一方の端部が前記フレームの一方の表面から突出する状態で前記フレームの側面に連結される複数の支持材と、前記フレームの側面に沿って延在することにより前記複数の支持材の間を連結する連結材とを有した治具ベースを備え、前記治具ベースは、前記フレームの一方の表面が下方に向き、かつ前記複数の支持材が個々の下端を介して立設する状態で前記物品に取り付けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、フレームの側面に沿って配置した連結材によって複数の支持材が相互に連結されているため、振動が加えられた場合にも物品に対して支持材が回転する事態が生じ得ない。従って、例えば物品を上下に配置して搬送する際にも互いに接近して接触する事態を招来することがない。しかも、空となって回収する際には、搬送用具を互いに重ねることができ、搬送効率の点で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態である搬送用梱包ユニットを枠体の左縦枠側から見た左側面図である。
【
図2】
図1に示した搬送用梱包ユニットを枠体の上枠側から見た上側面図である。
【
図3】
図1に示した搬送用梱包ユニットの平面図である。
【
図4】
図1に示した搬送用梱包ユニットを枠体の左枠側から見た分解側面図である。
【
図5】
図1に示した搬送用梱包ユニットを枠体の上枠側から見た分解側面図である。
【
図6】
図1に示した搬送用梱包ユニットの物品であるカーテンウォールユニットを室外側から見た姿図である。
【
図7】
図6に示したカーテンウォールユニットの縦断面図である。
【
図8】
図6に示したカーテンウォールユニットを無目よりも下方において破断した横断面図である。
【
図9】
図6に示したカーテンウォールユニットを無目よりも上方において破断した横断面図である。
【
図10】
図1に示した搬送用梱包ユニットの搬送用具を示す左側面図である。
【
図11】
図1に示した搬送用梱包ユニットの搬送用具を示す上側面図である。
【
図12】
図10に示した搬送用具の中間部左方治具ベースを示すもので、(a)は左側面図、(b)は上側面図、(c)は平面図である。
【
図13】
図10に示した搬送用具の最下部左方治具ベースを示すもので、(a)は左側面図、(b)は上側面図、(c)は平面図である。
【
図14】
図10に示した搬送用具の上部左方治具ベースを示すもので、(a)は左側面図、(b)は上側面図、(c)は平面図である。
【
図15】
図10に示した搬送用具の下部左方治具ベースを示すもので、(a)は左側面図、(b)は上側面図、(c)は平面図である。
【
図16】
図11に示した搬送用具の中間部右方治具ベースを示すもので、(a)は左側面図、(b)は上側面図、(c)は平面図である。
【
図17】
図11に示した搬送用具の最下部右方治具ベースを示すもので、(a)は左側面図、(b)は上側面図、(c)は平面図である。
【
図18】
図11に示した搬送用具の上部右方治具ベースを示すもので、(a)は左側面図、(b)は上側面図、(c)は平面図である。
【
図19】
図11に示した搬送用具の下部右方治具ベースを示すもので、(a)は左側面図、(b)は上側面図、(c)は平面図である。
【
図20】
図1に示した搬送用梱包ユニットの側方補強体を示すもので、(a)は左側面図、(b)は平面図である。
【
図21】
図1に示した搬送用梱包ユニットの上方補強体を示すもので、(a)は左側面図、(b)は下側面図、(c)は平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る搬送用具及び搬送用梱包ユニットの好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下においては便宜上、見込み方向及び見付け方向という用語を用いる場合がある。見込み方向とは、図中の矢印Aで示すように、建具の奥行きに沿った方向である。見込み方向に沿った面については見込み面と称する場合がある。見付け方向とは、下枠等のように水平方向に沿って延在するものの場合、見込み方向に直交した上下に沿う方向である。縦枠等のように上下方向に沿って延在するものの場合には、見込み方向に直交した水平に沿う方向を見付け方向という。見付け方向に沿った面については、見付け面と称する場合がある。
【0011】
図1~
図5は、本発明の実施の形態である搬送用梱包ユニットを示したものである。ここで例示する搬送用梱包ユニット1は、カーテンウォールユニット(物品)Wを搬送する場合の梱包形態であり、カーテンウォールユニットWと搬送用具2とを備えて構成してある。
【0012】
カーテンウォールユニットWは、図には明示していないが、ビル等の建築物において上下の床スラブの室外側となる部分に左右方向に並設されるもので、
図6~
図9に示すように、枠体(フレーム)10の内部に面材11を配設することよって構成してある。枠体10は、左右の縦枠12,13の間に上枠14及び下枠15を設けることによって縦長の長方形状を成し、さらに左右の縦枠12,13の中間部間において上枠14及び下枠15に対して平行となるように無目16を設けたものである。これら縦枠12,13、上枠14、下枠15、無目16は、それぞれアルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材であり、長手に沿った全長にわたる部分がほぼ一様の断面形状を有するように構成してある。面材11は、無目16を境に上下個別に構成してある。図示の例では、左右の縦枠12,13、上枠14及び無目16によって囲まれる部分に室外側の単層ガラス11A1及び室内側の耐火パネル11A2によって上方の面材11Aが構成してあり、左右の縦枠12,13、下枠15及び無目16によって囲まれる部分に複層ガラス11B1が下方の面材11Bとして構成してある。左右の縦枠12,13の室内に臨む見付け面において無目16よりも上方となる部分には、それぞれ室内側に向けて突出する状態でファスナブラケット(付属部品)17が取り付けてある。図からも明らかなように、室内側から見て左側に配置される縦枠(以下、左縦枠12という)には、建築物においてカーテンウォールユニットWを左右に並設した場合に互いに連結するための連結片12aが外周側となる側面から突出するように設けてある。これに対して室内側から見て右側に配置される縦枠(以下、右縦枠13という)の外周側となる側面には、連結片12aが嵌合する凹部が設けてあるものの、連結片12aに相当する突出部分はない。
【0013】
このカーテンウォールユニットWを搬送する際に使用する搬送用具2は、4つのカーテンウォールユニットWを一つの搬送用梱包ユニット1として取り扱うことが可能となるものである。より具体的に説明すると、搬送用梱包ユニット1は、4つのカーテンウォールユニットWを上下に並設した状態で搬送用具2を介して相互に連結したものである。それぞれのカーテンウォールユニットWは、室内に臨む表面が下方に向き、かつ枠体10の上下が同じ向きとなる姿勢で互いに対向した積層状態となっている。本実施の形態の搬送用具2は、下方用の搬送用梱包ユニット(以下、区別する場合に下方搬送用梱包ユニット1Aという)と、上方用の搬送用梱包ユニット(以下、区別する場合に上方搬送用梱包ユニット1Bという)との2種類を構成するためのものである。これら下方搬送用梱包ユニット1A及び上方搬送用梱包ユニット1Bは、互いに重ねることが可能となる。
図10~
図21に示すように、治具ベース20、側方補強体30、上方補強体40を備えて搬送用具2が構成してある。なお、図示においては便宜上、これら治具ベース20、側方補強体30、上方補強体40にドットを施して形状を明確化している。
【0014】
治具ベース20は、個々のカーテンウォールユニットWにおいて左右の縦枠12,13の外周側となる側面に2つずつ取り付けるものである。図示の例では、左縦枠12の側面に取り付ける左縦枠12用の治具ベース(以下、区別する場合に左方治具ベース20Lという)と、右縦枠13の側面に取り付ける右縦枠13用の治具ベース(以下、区別する場合に右方治具ベース20Rという)として、互いに形状の異なる専用のものが用意してある。個々のカーテンウォールユニットWにおいて左縦枠12に取り付ける2つの左方治具ベース20Lは、上枠14側と下枠15側とで互いに対称形状となっており、同様に、右縦枠13に取り付ける2つの右方治具ベース20Rは、上枠14側と下枠15側とで互いに対称形状となっている。このため、以下の説明では便宜上、対象形状となる治具ベースについては同一の符号を付して一方のみを説明することとする。
【0015】
また、下方搬送用梱包ユニット1Aにおいては、下から2番目のカーテンウォールユニットWに配置する左方治具ベース20L及び下から3番目のカーテンウォールユニットWに配置する左方治具ベース20Lが互いに共通の構成を有している(以下、区別する場合に中間部左方治具ベース20L1という)。下方搬送用梱包ユニット1Aにおいて1番下のカーテンウォールユニットWに配置する左方治具ベース(以下、区別する場合に最下部左方治具ベース20L2という)及び1番上のカーテンウォールユニットWに配置する左方治具ベース(以下、区別する場合に上部左方治具ベース20L3という)は、中間部左方治具ベース20L1とは形状が異なり、かつ互いの形状も異なっている。
【0016】
下方搬送用梱包ユニット1Aにおいては、下から2番目のカーテンウォールユニットWに配置する右方治具ベース20R及び下から3番目のカーテンウォールユニットWに配置する右方治具ベース20Rが互いに共通の構成を有している(以下、区別する場合に中間部右方治具ベース20R1という)。下方搬送用梱包ユニット1Aにおいて1番下のカーテンウォールユニットWに配置する右方治具ベース(以下、区別する場合に最下部右方治具ベース20R2という)及び1番上のカーテンウォールユニットWに配置する右方治具ベース(以下、区別する場合に上部右方治具ベース20R3という)は、中間部右方治具ベース20R1とは形状が異なり、かつ互いの形状も異なっている。
【0017】
上方搬送用梱包ユニット1Bにおいては、下から2番目のカーテンウォールユニットWに配置する左方治具ベース20L及び下から3番目のカーテンウォールユニットWに配置する左方治具ベース20Lが中間部左方治具ベース20L1と共通の構成を有し、1番上のカーテンウォールユニットWに配置する左方治具ベース20Lは、上部左方治具ベース20L3と共通の構成を有している。上方搬送用梱包ユニット1Bにおいて1番下のカーテンウォールユニットWに配置する左方治具ベース20L(以下、区別する場合に下部左方治具ベース20L4という)は、上述した中間部左方治具ベース20L1、最下部左方治具ベース20L2、上部左方治具ベース20L3とは形状が異なっている。
【0018】
上方搬送用梱包ユニット1Bにおいては、下から2番目のカーテンウォールユニットWに配置する右方治具ベース20R及び下から3番目のカーテンウォールユニットWに配置する右方治具ベース20Rが中間部右方治具ベース20R1と共通の構成を有し、1番上のカーテンウォールユニットWに配置する右方治具ベース20Rは、上部右方治具ベース20R3と共通の構成を有している。上方搬送用梱包ユニット1Bにおいて1番下のカーテンウォールユニットWに配置する右方治具ベース20R(以下、区別する場合に下部右方治具ベース20R4という)は、上述した中間部右方治具ベース20R1、最下部右方治具ベース20R2、上部右方治具ベース20R3とは形状が異なっている。
【0019】
これら8種類の治具ベース20は、それぞれ共通する基本構成として、2つの支持材21及び1つの連結材22を備えている。支持材21及び連結材22は、それぞれが鋼材によって構成した断面が略角筒状の中空部材である。支持材21は、カーテンウォールユニットWの見込み方向に沿った最大寸法、つまり枠体10の見込み方向に沿った寸法+ファスナブラケット17の見込み方向に沿った寸法よりも大きな長さに構成してある。連結材22は、左右の支持材21を互いに平行に配置した状態で中間部間を連結するものである。支持材21において連結材22が連結される位置は、平行に配置した2つの支持材21の互いに対向する側面である。連結材22の長手に沿った寸法は、縦枠12,13の長手に沿った寸法のほぼ1/4に設定してある。
【0020】
それぞれの支持材21には、連結用ブラケット23が固定してある。連結用ブラケット23は、軸挿通孔23aを有し、軸挿通孔23aを介して縦枠12,13に連結ボルト3を螺合することにより、治具ベース20をカーテンウォールユニットWに連結するためのものである。すなわち、軸挿通孔23aは、連結ボルト3の軸部が挿通可能、かつ連結ボルト3の頭部が挿通不可となる内径を有したものである。軸挿通孔23aを介して縦枠12,13に連結ボルト3を螺合した場合には、縦枠12,13と連結ボルト3の頭部との間に連結用ブラケット23が挟持された状態となる。左方治具ベース20Lの連結用ブラケット23は、両側に側板部23bを有し、側板部23bを介して支持材21に固定してあり、連結片12aと支持材21とを干渉させることなく連結用ブラケット23を左縦枠12の側面に当接させることが可能である。右方治具ベース20Rの連結用ブラケット23は、直接支持材21の表面に固定してある。連結用ブラケット23を設ける位置は、軸挿通孔23aを介して縦枠12,13に連結ボルト3を螺合した場合に、カーテンウォールユニットWの室内に臨む見付け面からの支持材21の突出寸法が、ファスナブラケット17の突出寸法よりも大きくなるように設定してある。さらに本実施の形態では、軸挿通孔23aを介して縦枠12,13に連結ボルト3を螺合した場合に、個々の支持材21の上端面がカーテンウォールユニットWの室外に臨む見付け面とほぼ同一の平面上に位置するように支持材21の寸法が設定してある。図示する左方治具ベース20Lでは、連結材22よりも上方となる位置に連結用ブラケット23が設けてあり、右方治具ベース20Rでは、連結材22よりも下方となる位置に連結用ブラケット23が設けてある。それぞれの支持材21において連結用ブラケット23の軸挿通孔23aに対向する部分には、ボルト挿通孔21aが形成してある。ボルト挿通孔21aは、連結ボルト3の頭部を挿通可能とする内径を有したものである。
【0021】
上述した治具ベース20のうち、最下部左方治具ベース20L2及び最下部右方治具ベース20R2(以下、最下部治具ベース20LR2と総称する場合がある)、中間部左方治具ベース20L1及び中間部右方治具ベース20R1(以下、中間部治具ベース20LR1と総称する場合がある)、下部左方治具ベース20L4及び下部右方治具ベース20R4(以下、下部治具ベース20LR4と総称する場合がある)には、それぞれ一方の支持材21に上方突起(上端連結部)24が設けてある。上方突起24は、それぞれの支持材21の上端部から上方に突出したもので、上方に配置される治具ベース20の支持材21に対して下方から嵌入することが可能である。すなわち、最下部治具ベース20LR2を除く他の7種類の治具ベース20においては、2つの支持材21の筒内部がそれぞれ下端に開口した状態にあり、下端開口(下端連結部)21bを介して筒内部に上方突起24を嵌入することで下方の治具ベース20の上方に位置決め配置することが可能である。上方突起24を設けていない上部左方治具ベース20L3及び上部右方治具ベース20R3(以下、上部治具ベース20LR3と総称する場合がある)については、2つの支持材21の筒内部が上端に開口した状態にあり、それぞれに対して上方突起24と同じ形状の突起を嵌入させることが可能である。
【0022】
最下部治具ベース20LR2には、個々の支持材21の下端にスライド用プレート25が設けてある。スライド用プレート25は、連結材22の延在方向に沿って長手となる略長方形状を成し、かつ長手の両端部が上方に向けて反り上がった板状部材である。このスライド用プレート25は、支持材21の下端開口21bを閉塞し、かつ反り上がった両端部が支持材21から外方に突出した状態で支持材21の下端に固定してある。
【0023】
また、最下部治具ベース20LR2、下部治具ベース20LR4、上部治具ベース20LR3には、それぞれにロッド連結部26が設けてある。ロッド連結部26は、ターンバックル51を備えたテンションロッド50の端部を連結するためのもので、軸挿通孔26aを有した四角のプレート状に構成してある。軸挿通孔26aは、ロッドボルト27の軸部を挿通可能、かつ頭部を挿通不可とする内径の貫通孔である。図示の最下部治具ベース20LR2、下部治具ベース20LR4には、上方突起24を設けた支持材21と連結材22との連結部において連結材22よりも下方となる位置にロッド連結部26が設けてある。上部治具ベース20LR3には、上方突起24を設けていない支持材21と連結材22との連結部において連結材22よりも上方となる位置にロッド連結部26が設けてある。テンションロッド50の両端部には、ロッド連結部26と同様、軸挿通孔52aを有した四角のプレート状を成す治具連結部52が設けてある。
【0024】
上記の構成を有する治具ベース20は、支持材21のボルト挿通孔21a及び連結用ブラケット23の軸挿通孔23aを介して枠体10に連結ボルト3を螺合させることにより、それぞれの縦枠12,13に対して互いに間隔を確保した状態で上枠14側及び下枠15側に取り付けられた状態となる。治具ベース20を取り付けたカーテンウォールユニットWにおいては、支持材21の下端部がそれぞれ縦枠12,13の室内に臨む見付け面に取り付けられたファスナブラケット17よりも突出した状態にある。従って、個々の支持材21が下端を介して床面から立設する状態に配置すれば、床面との間に隙間を確保した状態でカーテンウォールユニットWをほぼ水平に配置することが可能となる。さらに、最下部治具ベース20LR2の上方に2つの中間部治具ベース20LR1、上部治具ベース20LR3を順次配置すれば、4つのカーテンウォールユニットWを互いの間に隙間を確保した状態で上下に並設させることができる。同様に、下部治具ベース20LR4の上方に2つの中間部治具ベース20LR1、上部治具ベース20LR3を順次配置すれば、4つのカーテンウォールユニットWを互いの間に隙間を確保した状態で上下に並設させることができる。さらにこの状態からロッド連結部26を介して最下部治具ベース20LR2と上部治具ベース20LR3との間にテンションロッド50を取り付けるとともに、下部治具ベース20LR4と上部治具ベース20LR3との間にテンションロッド50を取り付ければ、治具ベース20を介して4つのカーテンウォールユニットWが相互に連結された下方搬送用梱包ユニット1A及び上方搬送用梱包ユニット1Bを構成することが可能となる。
【0025】
ここで、上述のように、それぞれの支持材21を介してカーテンウォールユニットWの縦枠12,13に連結ボルト3を1つずつ螺合した状態においても、2つの支持材21の間が連結材22によって連結されているため、縦枠12,13に対して支持材21が回転する事態が生じ得ない。従って、カーテンウォールユニットWを互いに接近した状態で上下に並設した場合にも、相互に接触する事態を招来することがなく、相互干渉に起因してカーテンウォールユニットWに損傷を来すおそれがない。しかも、搬送用具2としては、カーテンウォールユニットWの枠体10に対して部分的に治具ベース20を取り付けるだけであり、下方搬送用梱包ユニット1A及び上方搬送用梱包ユニット1Bを取り扱う際に枠体10が強度部材として機能することになる。従って、搬送時の重量低減、使用する搬送用具2の製造コスト低減を図ることができる等の利点がある。さらに、カーテンウォールユニットWを搬送した後においては、枠体10から取り外した治具ベース20を互いに重ねた状態で回収することができ、その搬送効率を向上させることが可能となる。なお、枠体10に対して連結ボルト3を螺合する位置は、縦枠12,13に予め設けられた螺合孔12b,13aを利用しても良いし、縦枠12,13に新たに連結ボルト3のための螺合孔を設けるようにしても良い。
【0026】
側方補強体30は、治具ベース20によって4つのカーテンウォールユニットWが上下に並設された状態で左縦枠12に取り付けたそれぞれの左方治具ベース20Lの相互間を連結し、右縦枠13に取り付けた右方治具ベース20Rの相互間を連結するためのものである。左方治具ベース20Lの相互間に取り付ける側方補強体30及び右方治具ベース20Rの相互間に取り付ける側方補強体30は、いずれも、長方形状を成す側方ブレース枠31を備えている。側方ブレース枠31は、4つの治具ベース20を上下に連結した場合の支持材21の合計寸法に相当する長さを有した2つの側方縦材32と、これら側方縦材32の端部間を連結する2つの側方横材33とを四周組したものである。側方縦材32と側方横材33との入隅部には、側方ブレース材34が設けてある。さらに対角位置に配置された側方ブレース材34の間には、互いの間を架け渡すように側方テンションロッド35が設けてある。図からも明らかなように、下方の側方横材33は、側方縦材32の下端面よりも僅かに上方となる位置に設けてある。下方の側方横材33と、側方縦材32において側方横材33よりも下方に突出する部分の間には、フォークリフトのフォークを挿入するための挿入孔部36が設けてある。この側方補強体30は、側方縦材32とそれぞれの左方治具ベース20Lの支持材21との間を複数の連結ボルト37によって相互に連結した状態で左方治具ベース20Lの相互間及び右方治具ベース20Rの相互間にそれぞれ取り付けてある。
【0027】
上方補強体40は、カーテンウォールユニットWの枠体10を挟んで対向する位置に配置される上部左方治具ベース20L3と、上部右方治具ベース20R3との間を連結するためのもので、上枠14側のものと下枠15側のものとが別個に用意してある。上方補強体40は、長方形状を成す上方ブレース枠41を備えている。上方ブレース枠41は、カーテンウォールユニットWにおける枠体10の左右方向に沿った寸法よりも大きな長さを有した2つの上方縦材42と、これら上方縦材42の端部間を連結する2つの上方横材43とを四周組したものである。上方横材43の寸法は、治具ベース20の左右方向に沿った寸法よりも大きな長さに設定してある。この上方ブレース枠41には、上方縦材42と上方横材43との入隅部に上方ブレース材44が設けてあり、また上方横材43の両端部に中間突起45が設けてある。上方ブレース材44は、隣接する上方縦材42の中間部と上方横材43の中間部との間を連結するもので、上方ブレース枠41の4つの入隅部に設けてある。中間突起45は、上述した上方突起24と同じ断面を有したもので、上方ブレース枠41の2つの表面からそれぞれ突出する状態で上方横材43の外周側となる面に取り付けてある。これらの中間突起45は、一方の上方横材43に設けたものが、上部左方治具ベース20L3の2つの支持材21に対して上端から同時に嵌入することができるとともに、下部左方治具ベース20L4の2つの支持材21に対して下端から同時に嵌入することが可能である。さらに、もう一方の上方横材43に設けた中間突起45は、上述の状態から、上部右方治具ベース20R3の支持材21に対して上端から同時に嵌入することができるとともに、下部右方治具ベース20R4の支持材21に対して下端から同時に嵌入することが可能である。
【0028】
上記のようにして側方補強体30及び上方補強体40を取り付けた場合には、下方搬送用梱包ユニット1A及び上方搬送用梱包ユニット1Bのそれぞれにおいて治具ベース20が補強されることになる。これにより、縦枠12,13に対して支持材21が回転する事態がより確実に防止されることになり、また、カーテンウォールユニットWの枠体10が変形するような事態が招来される懸念もない。さらに、上方補強体40の中間突起45を下方搬送用梱包ユニット1Aの支持材21及び上方搬送用梱包ユニット1Bの支持材21に嵌入させることで下方搬送用梱包ユニット1Aに対して上方搬送用梱包ユニット1Bを重ねることが可能となる。この結果、搬送用コンテナの内部空間を有効利用することができ、カーテンウォールユニットWの搬送効率を向上させることが可能となる。
【0029】
さらに、図示の例では、それぞれの搬送用梱包ユニット1において、最下位に配置されるカーテンウォールユニットWの上枠14と最上位に配置されるカーテンウォールユニットWの上枠14との間、並びに最下位に配置されるカーテンウォールユニットWの下枠15と最上位に配置されるカーテンウォールユニットWの下枠15との間を、それぞれ2つのテンションロッド60によって互いに連結している。従って、下方搬送用梱包ユニット1A及び上方搬送用梱包ユニット1Bのそれぞれにおいて治具ベース20が一層補強されることになる。
【0030】
なお、上述した実施の形態では、カーテンウォールユニットWを搬送対象とした搬送用具2及び搬送用梱包ユニット1を例示しているが、フレームを備えるものであれば、その他の物品にも適用することが可能である。この場合、搬送用梱包ユニット1が物品を4つ備える必要はなく、複数であれば良い。また、物品を上下に並設するようにしているが、物品を左右に並設することも可能である。さらに、側方補強体30及び上方補強体40を備え、かつテンションロッド50,60を備えるようにしているため、物品が変形する等の損傷を来す事態をより確実に防止することができるが、側方補強体、上方補強体、テンションロッドは必ずしも設ける必要はない。
【0031】
また、上述した実施の形態では、治具ベース20として支持材21の中間部相互間を連結材22によって連結したものを例示しているが、本発明はこれに限定されず、例えば支持材の上端部間や下端部間のいずれか一方、あるいは双方を連結材によって連結しても良いし、一方の支持材の上端部と、他方の支持材の下端部とを連結材によって連結しても良い。さらに、支持材は、2つである必要はなく3以上であっても構わない。
【0032】
以上のように、本発明に係る搬送用具は、フレームを備えた物品を搬送するための搬送用具であって、少なくとも一方の端部が前記フレームの一方の表面から突出する状態で前記フレームの側面に連結される複数の支持材と、前記フレームの側面に沿って延在することにより前記複数の支持材の間を連結する連結材とを有した治具ベースを備え、前記治具ベースは、前記フレームの一方の表面が下方に向き、かつ前記複数の支持材が個々の下端を介して立設する状態で前記物品に取り付けられることを特徴としている。
この発明によれば、フレームの側面に沿って配置した連結材によって複数の支持材が相互に連結されているため、振動が加えられた場合にも物品に対して支持材が回転する事態が生じ得ない。従って、例えば物品を上下に配置して搬送する際にも互いに接近して接触する事態を招来することがない。しかも、空となって回収する際には、搬送用具を互いに重ねることができ、搬送効率の点で有利となる。
【0033】
また本発明は、上述した搬送用具において、前記連結材の上端部には上端連結部が設けられ、かつ前記連結材の下端部には前記上端連結部に連結可能となる下端連結部が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、一方の治具ベースの上端連結部ともう一方の治具ベースの下端連結部とを連結することにより物品を重ねた状態で配置することができる。
【0034】
また本発明は、上述した搬送用具において、前記治具ベースは、前記フレームの側面の複数箇所に取り付けられ、隣接して配置された前記治具ベースの間には、前記支持材の相互間を連結する側方補強体が設けられることを特徴としている。
また本発明は、上述した搬送用具において、前記側方補強体は、長方形状を成す側方ブレース枠と、前記側方ブレース枠に傾斜した状態で配設された側方ブレース材とを備え、前記側方ブレース枠を介して個々の治具ベースの支持材に連結されることを特徴としている。
これらの発明によれば、物品に取り付けられた治具ベースの支持材相互間が側方補強体によって連結され、これらの治具ベースが相対的に移動する事態が防止されるため、治具ベースの相対移動に起因した物品の変形を防止することが可能となる。
【0035】
また本発明は、上述した搬送用具において、前記治具ベースは、前記フレームの異なる側面にそれぞれ取り付けられ、前記治具ベースの上端部間には、互いの間を連結するとともに、前記フレームの他方の表面に対向するように上方補強体が設けられることを特徴としている。
また本発明は、上述した搬送用具において、前記上方補強体は、長方形状を成す上方ブレース枠と、前記上方ブレース枠に傾斜した状態で配設された上方ブレース材とを備え、前記上方ブレース枠を介して個々の治具ベースの支持材に連結されることを特徴としている。
これらの発明によれば、物品に取り付けられた治具ベースの上端部間が上方補強体によって相互に連結され、これらの治具ベースが相対的に移動する事態が防止されるため、治具ベースの相対移動に起因した物品の変形を防止することが可能となる。
【0036】
また本発明は、上述した搬送用具において、前記治具ベースは、前記フレームの一方の表面に取り付けられた付属部品よりも前記支持材が下方に突出する状態で前記物品に取り付けられることを特徴としている。
この発明によれば、物品に付属部品が取り付けられた状態で治具ベースを取り付けることが可能となる。
【0037】
また本発明に係る搬送用梱包ユニットは、上述した搬送用具が前記フレームに連結されていることを特徴としている。
この発明によれば、フレームの側面に沿って配置した連結材によって複数の支持材が相互に連結されているため、振動が加えられた場合にも物品に対して支持材が回転する事態が生じ得ない。従って、例えば物品を上下に配置して搬送する際にも互いに接近して接触する事態を招来することがない。しかも、空となって回収する際には、搬送用具を互いに重ねることができ、搬送効率の点で有利となる。
【符号の説明】
【0038】
1 搬送用梱包ユニット、2 搬送用具、10 枠体、17 ファスナブラケット、20 治具ベース、20L 左方治具ベース、20L1 中間部左方治具ベース、20L2 最下部左方治具ベース、20L3 上部左方治具ベース、20L4 下部左方治具ベース、20LR1 中間部治具ベース、20LR2 最下部治具ベース、20LR3 上部治具ベース、20LR4 下部治具ベース、20R 右方治具ベース、20R1 中間部右方治具ベース、20R2 最下部右方治具ベース、20R3 上部右方治具ベース、20R4 下部右方治具ベース、21 支持材、22 連結材、24 上方突起、30 側方補強体、31 側方ブレース枠、34 側方ブレース材、40 上方補強体、41 上方ブレース枠、44 上方ブレース材、W カーテンウォールユニット