(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177408
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】ポケットシート、ポケットシートとカレンダーを組み合わせてなるカレンダーセット、および薬の服用支援方法
(51)【国際特許分類】
A61J 7/04 20060101AFI20231207BHJP
【FI】
A61J7/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090044
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】510089856
【氏名又は名称】株式会社カイセー
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠田 肇
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047NN02
4C047NN05
4C047NN20
(57)【要約】
【課題】月の途中に、翌月に亘る複数の日に服用すべき薬剤が処方された場合でも、それらの服用時期を患者に正しく提示することができるポケットシートを提供すること。
【解決手段】ポケットシート3は、カレンダー2の表面5に記載された各日にちに対応するポケット21~27の列20が表面側に設けられてなる第1シート11と、カレンダー2の裏面6に記載された、翌月の各日にちに対応するポケットの列が背面側に設けられてなる第2シート12とが袋状に重ねられてなる。カレンダー2がポケットシート3に設けられた上開口部130から挿入後、処方された1か月分の薬剤のそれぞれが、第1シート11と第2シート12に設けられた全ポケットのうち、服用すべき月日に対応するポケットに収容される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象月の各日にちを示す数字が第1面に記載されてなるシート状の月別のカレンダーの当該第1面を覆う透明の第1シート上において、前記カレンダーの第1面の各日にちを示す数字の記載領域に対応する各箇所に第1のポケットを設けたポケットシートであって、
前記カレンダーの、前記第1面の裏側の第2面には、前記対象月の翌月の各日にちを示す数字が記載されており、
前記カレンダーの前記第2面を覆い、当該第2面の各日にちを示す数字の記載領域に対応する各箇所に第2のポケットを設けてなる透明の第2シートが、前記第1シートと、一部を除きその縁辺で接合されており、
前記接合がなされていない縁辺の一部には、前記カレンダーを前記第1シートと前記第2シートとの間に挿入するための開口部が含まれることを特徴とするポケットシート。
【請求項2】
前記接合がなされていない縁辺の一部には、前記第1シートと前記第2シートの上辺が含まれ、
前記開口部は、前記第1シートの上辺と前記第2シートの上辺との、前記接合がなされていない部分であることを特徴する請求項1に記載のポケットシート。
【請求項3】
前記第1シートおよび/または前記第2シートに設けられた各ポケットは、1週間の各曜日に対応する、横方向に配列された7個のポケットを含み、
前記7個のポケットからなるポケット列の直上の位置に、前記7個のポケット上部の開口を塞ぐ姿勢と開放する姿勢とに遷移可能なフラップが設けられていることを特徴する請求項1に記載のポケットシート。
【請求項4】
前記ポケットは、前面部と背面部とを含み、当該前面部と当該背面部との左辺同士、右辺同士、下辺同士が接合され、上部に開口が設けられてなり、
前記第1シート上の各ポケットは、前記背面部の上部のみが前記第1シートに接合され、前記上部よりも下側の全部がぶら下がった状態になっており、および/または、
前記第2シート上の各ポケットは、前記背面部の上部のみが前記第2シートに接合され、前記上部よりも下側の全部がぶら下がった状態になっていることを特徴する請求項1に記載のポケットシート。
【請求項5】
前記カレンダーは、前記第1面と前記第2面のそれぞれにおいて5行7列の表形式で形成されており、
前記第1シートに設けられている複数の第1のポケットも、前記第2シートに設けられている複数の第2のポケットも、前記カレンダーの形態に対応する5行7列の形態で配置されていることを特徴する請求項1に記載のポケットシート。
【請求項6】
前記カレンダーは、表面に対象月の各日にちが記載され、裏面に翌月分の各日にちが記載された1枚のシートである、または、1枚のシートの表面にのみ対象月の各日にちが記載された第1の片面カレンダーと、1枚のシートの表面にのみ翌月分の各日にちが記載された第2の片面カレンダーとをその裏面同士を重ね合わせたものであることを特徴する請求項1に記載のポケットシート。
【請求項7】
前記第1シートと前記第2シートの少なくとも一方には、前記ポケットの上部の開口を塞ぐ姿勢と開放する姿勢とに遷移可能なフラップが設けられていることを特徴する請求項1に記載のポケットシート。
【請求項8】
請求項1に記載のポケットシートと、
第1面に対象月の各日にちを示す数字が記載され、第2面に前記対象月の翌月の各日にちを示す数字が記載されてなるシート状の月別のカレンダーと、を含み、
前記カレンダーが前記ポケットシートの開口部から前記ポケットシートの第1シートと第2シートとの間に挿入されてなること
を特徴とするカレンダーセット。
【請求項9】
第1面に対象月の各日にちを示す数字が記載され、第2面に前記対象月の翌月の各日にちを示す数字が記載されてなるシート状の月別のカレンダーを、請求項1に記載のポケットシートの第1シートと第2シートとの間に挿入させる第1ステップと、
前記第1シートと前記第2シートに設けられた全ポケットのうち、処方された薬剤のそれぞれを、服用すべき月日に対応するポケットに収容する第2ステップと、
を含むことを特徴とする薬の服用支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カレンダーに組み合わされるポケットシートに関する。
【背景技術】
【0002】
高齢者の増加に伴い、近年、医薬品の過剰処方が社会問題になってきている。そうした問題の深刻化を受け、厚生労働省は、2016年度に、かかりつけ薬剤師制度の導入を開始している。
【0003】
かかりつけ薬剤師は、患者が所持するお薬手帳を参照して、様々な医療機関や薬局で受け取った薬、市販薬等をまとめて把握し、日々服用すべき薬の組合せを決定する。
【0004】
かかりつけ薬剤師の指導による、薬の服用支援には、特許文献1に記載されたポケットシートが有益となる。このポケットシートは、月めくりカレンダーにその表面を覆うように装着され、カレンダーの各日にちに対応して一つずつ設けられた、薬剤を収容するためのポケットを含む。
【0005】
かかりつけ薬剤師は、患者に対して処方した薬剤のそれぞれを、処方すべき日にちに対応するポケットに収容した後、そのポケットシートを患者に手渡す。患者は、自宅に戻って、一日ごとに、その日にちに対応するポケットに収容されている薬剤を取り出して服用することができる。このような使用により、かかりつけ薬剤師は、自身の決定に従った処方薬を患者に服用させることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に記載のポケットシートの各ポケットは、月別のカレンダーの一カ月分の各日にちに対応して設けられている。そのため、月単位で病院に通院する患者がいて、1か月間で服用すべき1か月分の薬が対象月の中旬、例えば3月18日に処方された場合、3月のカレンダーに装着されているポケットシートを用いると、3月18日から月の終わり(月末)までの各日にちについては、服用すべき薬剤を対応するポケットに収容できる。
【0008】
しかし、3月のカレンダーに装着されているポケットシートには、翌月、つまり4月の各日にちに対応するポケットが存在しないため、4月1日から17日までの各日にちについては、服用すべき薬剤を収容することができない。
【0009】
ポケットに収容できなかった薬剤については、患者が正しく服用している確証がなく、かかりつけ薬剤師による薬の服用指導を徹底することができないという問題がある。
【0010】
なお、上記では処方された薬剤をポケットに収容する場合の例を説明したが、薬剤に限られない。例えば、サプリメントなどの健康補助食品の分封袋を一つずつ、摂取すべき日にちに対応する各ポケットに収容する場合などにも上記同様の問題が生じ得る。
【0011】
本開示は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、月の途中に、翌月に亘る複数の日に服用すべき薬剤などが処方された場合でも、それらの薬剤などを収容することができるポケットシート、ポケットシートとカレンダーを組み合わせてなるカレンダーセット、および薬の服用支援方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本開示に係るポケットシートは、対象月の各日にちを示す数字が第1面に記載されてなるシート状の月別のカレンダーの当該第1面を覆う透明の第1シート上において、前記カレンダーの第1面の各日にちを示す数字の記載領域に対応する各箇所に第1のポケットを設けたポケットシートであって、前記カレンダーの、前記第1面の裏側の第2面には、前記対象月の翌月の各日にちを示す数字が記載されており、前記カレンダーの前記第2面を覆い、当該第2面の各日にちを示す数字の記載領域に対応する各箇所に第2のポケットを設けてなる透明の第2シートが、前記第1シートと、一部を除きその縁辺で接合されており、前記接合がなされていない縁辺の一部には、前記カレンダーを前記第1シートと前記第2シートとの間に挿入するための開口部が含まれることを特徴とする。
【0013】
また、前記接合がなされていない縁辺の一部には、前記第1シートと前記第2シートの上辺が含まれ、前記開口部は、前記第1シートの上辺と前記第2シートの上辺との、前記接合がなされていない部分であるとしても良い。
【0014】
さらに、前記第1シートおよび/または前記第2シートに設けられた各ポケットは、1週間の各曜日に対応する、横方向に配列された7個のポケットを含み、前記7個のポケットからなるポケット列の直上の位置に、前記7個のポケット上部の開口を塞ぐ姿勢と開放する姿勢とに遷移可能なフラップが設けられているとしても良い。
【0015】
また、前記ポケットは、前面部と背面部とを含み、当該前面部と当該背面部との左辺同士、右辺同士、下辺同士が接合され、上部に開口が設けられてなり、前記第1シート上の各ポケットは、前記背面部の上部のみが前記第1シートに接合され、前記上部よりも下側の全部がぶら下がった状態になっており、および/または、前記第2シート上の各ポケットは、前記背面部の上部のみが前記第2シートに接合され、前記上部よりも下側の全部がぶら下がった状態になっているとしても良い。
【0016】
さらに、前記カレンダーは、前記第1面と前記第2面のそれぞれにおいて5行7列の表形式で形成されており、前記第1シートに設けられている複数の第1のポケットも、前記第2シートに設けられている複数の第2のポケットも、前記カレンダーの形態に対応する5行7列の形態で配置されているとしても良い。
【0017】
また、前記カレンダーは、表面に対象月の各日にちが記載され、裏面に翌月分の各日にちが記載された1枚のシートである、または、1枚のシートの表面にのみ対象月の各日にちが記載された第1の片面カレンダーと、1枚のシートの表面にのみ翌月分の各日にちが記載された第2の片面カレンダーとをその裏面同士を重ね合わせたものであるとしても良い。
【0018】
また、前記第1シートと前記第2シートの少なくとも一方には、前記ポケットの上部の開口を塞ぐ姿勢と開放する姿勢とに遷移可能なフラップが設けられているとしても良い。
【0019】
本開示に係るカレンダーセットは、上記のポケットシートと、第1面に対象月の各日にちを示す数字が記載され、第2面に前記対象月の翌月の各日にちを示す数字が記載されてなるシート状の月別のカレンダーと、を含み、前記カレンダーが前記ポケットシートの開口部から前記ポケットシートの第1シートと第2シートとの間に挿入されてなることを特徴とする。
【0020】
本開示に係る薬の服用支援方法は、第1面に対象月の各日にちを示す数字が記載され、第2面に前記対象月の翌月の各日にちを示す数字が記載されてなるシート状の月別のカレンダーを、上記のポケットシートの第1シートと第2シートとの間に挿入させる第1ステップと、前記第1シートと前記第2シートに設けられた全ポケットのうち、処方された薬剤のそれぞれを、服用すべき月日に対応するポケットに収容する第2ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
上記の構成により、対象月、例えば3月の中旬に、3月18日から1か月分の薬剤が処方された場合、3月18日から31日までの各日にちに服用すべき薬剤を、3月の各日にちが記載されたカレンダーの第1面を覆う第1シートの全ポケットのうち、18日から31日に対応する各ポケットに収容でき、4月1日から17日までの各日にちに服用すべき薬剤を、4月の各日にちが記載されたカレンダーの第2面を覆う第2シートの全ポケットのうち、1日から17日に対応する各ポケットに収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】(a)は、ポケットシートを正面側から見たときの斜視図であり、(b)は、ポケットシートを背面側から見たときの斜視図である。
【
図2】第1シートと第2シートにおける接合箇所を示す分解斜視図である。
【
図3】シート状の1枚のカレンダーが上から袋状のポケットシートの上開口部に挿入される様子を示す斜視図である。
【
図4】(a)は、カレンダーの表面を示す斜視図であり、(b)は、カレンダーの裏面を示す斜視図である。
【
図5】(a)は、カレンダーセットを正面視したときに、透明の第1シートを介してカレンダーの表面が透き通って見えている状態を示す図であり、(b)は、そのカレンダーセットを背面視したときに、透明の第2シートを介してカレンダーの裏面が透き通って見えている状態を示す図である。
【
図6】1か月分の薬剤がまとめて処方された場合に、それぞれの薬剤が服用されるべき月日に対応するポケットに収容された場合の例を示す図である。
【
図7】第1シートに設けられた一つのウィークリーポケットを拡大して示す斜視図である。
【
図8】変形例に係る帯状のポケットシートの構成を示す斜視図である。
【
図9】カレンダーセットを折り畳んだときの様子を示す斜視図である。
【
図10】折り畳んだカレンダーセットを2本のベルトで拘束した様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示に係るポケットシートとカレンダーセットの実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0024】
〔1〕ポケットシートの構成
図1(a)は、ポケットシート3を正面側から見たときの斜視図であり、
図1(b)は、ポケットシート3を背面側から見たときの斜視図である。ここで、X軸は、ポケットシート3の正面視における左右方向(横方向)を示し、Y軸は、上下方向(縦方向)を示し、X軸は、奥行方向を示している。
図1(a)、(b)は、ポケットシート3を不図示の壁面に吊り下げて使用する場合におけるポケットシート3の姿勢(以下、「縦姿勢」という。)を示している。
【0025】
図1(a)、(b)に示すようにポケットシート3は、長方形状の第1シート11と、これと同サイズ、同一形状の第2シート12とが重ねられてなり、後述のように両シート11、12間にカレンダー2(
図4(a))が挿入可能になっている。
【0026】
第1シート11と第2シート12は、それぞれ透明の可撓性の材料、例えば軟質のポリ塩化ビニル樹脂(PVC)から形成されており、厚みが例えば0.3mmである。なお、第1シート11と第2シート12の材料がPVCに限られることはなく、他の例えばポリエチレン(PE)などの樹脂や樹脂以外のシート状のものを用いることもできる。また、厚みも0.3mmに限られず、これよりも小さいまたは大きいとすることができる。材料や厚み、大きさや形状などが一つの材料や数値などに限られないことは、後述のポケットなどの各部材についても同様である。
【0027】
図1(a)に示すように第1シート11の表面111には、日曜日から土曜日までの1週間の各曜日に対応する7個のポケット21、22、23、24、25、26、27を横方向に配列してなるポケット列(ウィークリーポケット)20を縦方向に一定間隔ごとに5段並べてなる5行7列のポケット群29が設けられている。各段における各ポケット21~27は、上部に開口28を有し、開口28を通じて分包袋(薬剤)50(
図7)を収容することができる。ポケット21~27の詳細については、後述する。
【0028】
ウィークリーポケット20ごとに、当該ウィークリーポケット20の直上の位置には、シート状の横長のフラップ30が第1シート11の表面111に設けられている。フラップ30は、厚みが例えば0.4mmであり、対応するウィークリーポケット20よりも左右方向長さが少し長い長方形状であり、短手方向の基端301が第1シート11の表面111に接合されて固定端になっており、他端302が自由端になっている。
【0029】
フラップ30は、透明の可撓性の材料、例えば硬質PVCやPEなどから形成されており、基端301に対して自由端302側を上下方向に曲げることが可能である。フラップ30の短手方向長さ(幅)は、フラップ30を下方に折り曲げたときにフラップ30が各ポケット21~27の開口28を塞ぐことが可能な長さに決められている。フラップ30の、第1シート11の表面111への接合は、ここでは熱溶着が用いられるが、これに限られず、例えば高周波溶着、接着剤による接着などを用いることもできる。
【0030】
フラップ30は、各ポケット21~27の開口28を塞ぐ姿勢(
図1(a))と開放する姿勢(
図7)とに折り曲げにより遷移可能である。具体的に、フラップ30が開口28を塞いでいる姿勢から、薬剤師または患者などの利用者がフラップ30の自由端302側を持ち上げると、開口28が開放する姿勢に変わり、自由端302側を下げると、開口28を塞ぐ姿勢に戻る。なお、縦姿勢の場合、利用者が持ち上げたフラップ30から手を離すと、重力の作用により自由端302側が少しずつ下がっていき、やがて各ポケット21~27の開口28を塞ぐ姿勢に戻るようになっている。
【0031】
このようなフラップ30を設けることにより、各ポケット21~27に薬剤50を収容した状態で利用者がカレンダーセット1(
図9)を折り畳んで、持ち運ぶ際に、各ポケット21~27の開口28を塞いだ状態を維持することができ、各ポケット21~27から薬剤50が飛び出ることを防止できる。
【0032】
運搬中に各ポケット21~27から薬剤50が飛び出ると、ポケットシート3を運び終えてから、折り畳んだポケットシート3を広げたとき、その飛び出た薬剤50がどのポケットに収容されていたものかが分からなくなる事態が生じ易いが、フラップ30を設けることで、そのような事態を避けることができる。
【0033】
第1シート11の表面111において、ポケット群29よりも上方の位置には、上ポケット31が設けられており、ポケット群29よりも下方の位置には、下ポケット32、予備ポケット33が設けられている。下ポケット32の表面には、ラベル挿入用ポケット34が設けられており、予備ポケット33の表面には、別の予備ポケット35が設けられている。各ポケット31~35は、透明の可撓性の材料、例えば軟質PVCやPEなどから形成されており、厚みが例えば0.15mmであり、熱溶着などにより接合されている。
【0034】
上ポケット31は、患者の氏名や一日の服用時期が印刷されたラベル311(
図5(a)を収容するために用いられるが、他のラベルやシート片を収容するとしても良い。
【0035】
下ポケット32は、各ポケット21~27に収容されていた薬剤50のうち、当日に服用すべきものを、その服用時期(朝食後、昼食後、夕食後、就寝前など)毎に仕分けして格納するために用いられ、朝食後から就寝前までの4段階のそれぞれの収容スペースを確保するために横方向長さが長くなっている。
【0036】
ラベル挿入用ポケット34は、緊急の連絡先を記したラベル341(
図5(a))を収容するために用いられる。ここで、緊急の連絡先としては、かかりつけ医の連絡先、かかりつけ薬局の連絡先、ケアマネージャーの連絡先、ご家族の連絡先がある。
【0037】
予備ポケット33、35は、健康保険証、診察券、薬手帳等、医療機関への受診の際に携帯するものを分けて収容するために用いられる。下ポケット32、ラベル挿入用ポケット34、予備ポケット33、35を下ポケット群39という。
【0038】
また、第1シート11の上部には、縦姿勢のポケットシート3を吊り下げるのに用いる吊り下げ紐80(
図6)を通すための2つの透孔118、119が開けられている。
【0039】
次に、第2シート12の構成を説明する。
【0040】
図1(b)に示すように第2シート12の表面121には、第1シート11におけるポケット群29、フラップ30、上ポケット31、下ポケット群39のそれぞれとサイズ、形状、材料の同じものが、第1シート11を正面視した場合と同じ配置位置、つまり同じレイアウトで設けられている。従って、縦姿勢において、ポケット群29~下ポケット群39が設けられた第1シート11(
図1(a))をその天地を変えずに左右反転させたものが第2シート12そのものになるといえる。このことからポケットシート3は、裏面同士が重ね合わされた2枚の第1シート11から構成されていると捉えることができる。
【0041】
第1シート11と第2シート12は、重ね合わされた状態で、それぞれの縁辺の一部だけが熱溶着などで接合されている。
【0042】
図2は、第1シート11と第2シート12のそれぞれにおける接合箇所を示す分解斜視図である。同図に示すように第1シート11の裏面112において、上辺110を含む一部を除いた縁辺、具体的には左辺の一部113と右辺の一部114(グレーで着色した部分)と、第2シート12の裏面122において、上辺120を含む一部を除いた縁辺、具体的には左辺の一部123と右辺の一部124(グレーで着色した部分)とが接合箇所になる。
【0043】
また、第1シート11の裏面112において、ポケット群29と下ポケット群39との間の領域109のうち、左右方向の中央内部117を挟んで一方の側の端部115と他方の側の端部116(グレーで着色した部分)と、第2シート12の裏面122において、ポケット群29と下ポケット群39との間の領域109のうち、左右方向の中央内部127を挟んで一方の側の端部125と他方の側の端部126(グレーで着色した部分)も接合箇所になっている。
【0044】
第1シート11の接合箇所113~116と、各接合箇所113~116に対応する第2シート12の接合箇所123~126とを接合する工程を行うことにより、1つのポケットシート3が製造される。ポケットシート3は、第1シート11と第2シート12の縁辺の一部が接合によりつながった袋状体の構造をしており、接合がなされていない縁辺の一部、具体的には上辺110、120と中央内部117、127が、袋状のポケットシート3の開口部になる。
【0045】
上辺110、120により形成される開口部を上開口部130(
図1(a)、(b))といい、中央内部117、127により形成される開口部を下開口部131(
図1(a)、(b))という。
【0046】
〔2〕カレンダーの構成
図3は、シート状の1枚のカレンダー2がその天を上にした姿勢で上から袋状のポケットシート3の上開口部130に挿入される様子を示す斜視図である。カレンダー2は、A2サイズであり、横幅C1が420mm、上下の長さL1が594mmの長方形状である。ポケットシート3の上開口部130の幅C2は、カレンダー2の横幅C1よりも少し(例えば1~3mm程度)大きく、ポケットシート3の上開口部130から下開口部131までの上下の長さL2は、カレンダー2の長さL1よりも少し(例えば1~3mm程度)大きいという大小関係になっている。
【0047】
カレンダー2は、1枚のシートの表面5(第1面)に、対象月、ここでは当月(3月)の各日にちが記載(印刷など)され、裏面6(第2面)に、対象月の翌月、ここでは4月の各日にちが記載されてなる月別の両面カレンダーである。以下では、カレンダー2の表面5に今月、裏面6に翌月の文字月表がそれぞれ記載されているものとする。
【0048】
図4(a)は、カレンダー2の表面5を示す斜視図であり、
図4(b)は、カレンダー2の裏面6を示す斜視図である。
図4(a)と(b)は、同じカレンダー2を左右反転させた場合の関係を示している。
【0049】
図4(a)、(b)に示すように、カレンダー2は、表面5も裏面6も、各日にちを示す数字7が記載された領域を含む表示枠8が横方向に1週間分並べられるとともに、二週目以降の表示枠8が週単位で下にずらして並べられた5行7列からなる表形式になっている。個々の表示枠8の寸法は、例えば横47mm×縦97mmとすることができるが、これに限られず、他の寸法でも良い。カレンダー2は、可撓性を有する紙製のものであるが、透けにくいものであれば、他の材料、例えば布製などを用いることもできる。
【0050】
図4(a)、(b)においてカレンダー2の表面5、裏面6は、年月が記載されている矩形の年月領域90、92(破線で囲んだ領域)の下に、曜日と日にちが記載されている矩形の日にち領域91、93(破線で囲んだ領域)が位置するレイアウトになっている。年月領域90、92は、上下方向でカレンダー2の上辺95から下方の位置Hまでの部分に位置し、日にち領域91、93は、位置Hから下辺98までの部分に位置している。
【0051】
年月領域90、92は、その大きさ(横×縦サイズ)が同じであり、同様に、日にち領域91、93も、その大きさが同じになっている。また、日にち領域91、93における各日にちを示す数字7を含む表示枠8の大きさも同じになっている。
【0052】
さらに、日にち領域91は、表面5において左辺96から右に距離Dだけ離れた位置に位置し、日にち領域93は、裏面6において左辺97(表面5の右辺に相当)から右に距離Dだけ離れた位置に位置している。つまり、表面5に記載の3月の文字月表において各表示枠8の大きさ、形状を変更せず、年月日を示す数字を4月分に変更したものが、裏面6に記載の4月の文字月表と同じものになる。
【0053】
このようにしているのは、カレンダー2をポケットシート3の上開口部130から挿入してポケットシート3内に収容したときに、カレンダー2の表面5に記載の各表示枠8と、ポケットシート3の第1シート11に設けられた各ポケット21~27とが一対一に対応する位置関係になり、かつ、カレンダー2の裏面6に記載の各表示枠8と、ポケットシート3の第2シート12に設けられた各ポケット21~27とが一対一に対応する位置関係になるようにするためである。ポケットシート3とこれに収容されたカレンダー2とを組み合わせたものを、カレンダーセット1という。
【0054】
〔3〕カレンダーセットの構成
図5(a)は、カレンダーセット1を正面視したときに、透明の第1シート11を介してカレンダー2の表面5が透き通って見えている状態を示す図であり、
図5(b)は、そのカレンダーセット1を背面視したときに、透明の第2シート12を介してカレンダー2の裏面6が透き通って見えている状態を示す図である。カレンダー2の天地とポケットシート3の上下(天地)とが一致している。
【0055】
図5(a)に示すカレンダーセット1の例では、カレンダー2の表面5に記載の日にち(例えば、2月27日)を示す一つの表示枠8がポケットシート3の第1シート11に設けられた一つのポケット21に一対一に対応している。別の日にち(例えば、3月5日)を示す一つの表示枠8がポケット27に一対一に対応しており、他の日にちの各表示枠8のそれぞれについても、別々のポケットに一対一に対応していることが分かる。
【0056】
同様に
図5(b)でも、カレンダー2の裏面6に記載の日にち(例えば、4月3日)を示す一つの表示枠8がポケットシート3の第2シート12に設けられた一つのポケット21に一対一に対応している。別の日にち(例えば、4月9日)を示す一つの表示枠8がポケット27に一対一に対応しており、他の日にちの各表示枠8のそれぞれについても、別々のポケットに一対一に対応している。なお、カレンダー2の表面5と裏面6のそれぞれについて、どの日にちについても、表示枠8内の日にちを示す数字がポケット21~27の上部289よりも上に位置するようになっている。
【0057】
このようなカレンダー2の表面5と裏面6のそれぞれの文字月表に対して、一つの日にちに、ポケットシート3の一つのポケットを対応付けた構成のカレンダーセット1を用いることにより、月の途中に、翌月に亘る複数の日に服用すべき薬剤がまとめて処方された場合でも、各薬剤の服用時期を患者に正しく提示できるようになる。この理由を
図6により説明する。
【0058】
図6は、3月の中旬に3月18日から4月17日までの1か月分の薬剤50がまとめて処方された場合に、複数の薬剤50のそれぞれが、服用されるべき月日に対応するポケットシート3の各ポケットに収容された場合の例を示す図である。この1か月分の各薬剤50を各ポケットに収容する作業は、薬剤50の処方直後に薬剤師が行うことが好ましいが、これに限られず、患者自身が行うこともできる。
【0059】
なお、同図では、吊り下げ紐80の両端のフック81、82がポケットシート3の第1シート11と第2シート12の透孔118、119に引っ掛けられている様子も示している。この吊り下げ紐80の中央89を壁面の壁掛けフック(不図示)に引っ掛けることにより、カレンダーセット1を縦姿勢でその壁面に吊り下げることができる。
【0060】
同図の左側のカレンダーセット1に示すように、3月分の薬剤50については、ポケットシート3の第1シート11の全ポケット21~27のうち、18日から31日までの各日にちに対応する各ポケットに既に収容されている。このため患者は、3月18日から31日までの間、1日ずつ、その日にちに対応するポケットに収容されている薬剤50を取り出して服用すれば良い。
【0061】
4月1日になると、患者は、同図の右側のカレンダーセット1に示すように、壁面に吊り下げられたカレンダーセット1を左右反転、つまり表裏反転させる作業を行って、カレンダーセット1の4月分の文字月表が正面側に向く姿勢に改める。4月分の薬剤50については、3月中旬の処方直後に予めポケットシート3の第2シート12の全ポケット21~27のうち、1日から17日までの各日にちに対応する各ポケットに収容済である。
【0062】
このため患者は、4月1日から17日までの間、1日ずつ、その日にちに対応するポケットに収容されている薬剤50を取り出して服用すれば良い。このように月の途中から翌月の途中までの1か月間に亘る複数の日に服用すべき薬剤が処方された場合でも、患者は今月も翌月も、服用すべき薬剤50を服用すべき日に間違うことなく服用することができる。
【0063】
図7は、第1シート11に設けられた一つのウィークリーポケット20を拡大して示す斜視図である。なお、同図では、ポケット21~27の開口28が見えるようにフラップ30を上に持ち上げた姿勢で示している。また、同図では、ポケット21~27のうち、一部のポケット、ここでは24、25について省略されており、カレンダー2の1週間分の各表示枠8が横方向に占める領域をr1~r7で示している。各領域r1~r7の横幅は、例えば47mmである。
【0064】
同図に示すように左端のポケット21は、前面部280と背面部287とを有しており、背面部287は、左面部281とこれの右側に連接している右面部282を含む。各面部は、矩形状になっている。ポケット21は、前面部280の左辺と左面部281の左辺とが接合し、前面部280の右辺と右面部282の右辺とが接合し、前面部280の下辺283と背面部287の下辺とが接合することにより、左側、右側、下側がそれぞれ閉じられており、前面部280の上辺と背面部287の上辺とが接合されておらず、上側に開口28を有する構成になっている。各辺の接合は、例えば溶着や接着などにより行われる。右隣のポケット22~26についても同様である。右端のポケット27は、前面部280と背面部287からなり、左側、右側、下側がそれぞれ閉じられ、上側に開口28を有する構成になっている。
【0065】
ポケット21は、その左端が、対応するカレンダー2の表示枠8の領域r1の左端と一致し、右端が、領域r1から長さR1だけ右にはみ出しており、同様に、ポケット22~27は、その左端が、対応するカレンダー2の表示枠8の領域r2~r7の左端と一致し、右端が、領域r2~r7から長さR2~R7だけ右にはみ出している。このようにポケット21~27は、隣接するポケットと一部重なった状態になっている。
【0066】
ポケット21~27の右端の、領域r1~r7からのはみ出しにより、ポケット21~27の横幅W1~W7は、右端がはみ出す距離R1~R7の分だけ、表示枠8の領域r1~r7の幅よりも大きい。各横幅W1~W7は、例えば75mmであり、各距離R1~R7は、例えば28mmである。これにより、カレンダー2の各日にちの表示枠8よりも横幅の大きな袋に入っている薬剤50を、折り畳まずにポケット内に入れることができる。
【0067】
ポケット21は、前面部280の下辺283のうちの右端部285(右面部282の下辺に相当)だけが、右隣のポケット22の前面部280の下辺283のうちの左端部と接合しており、ポケット21の右面部282は、その下辺を除く残りの全体部286が右と隣のポケット22から離隔して、ポケット22の前面部280に対して自由に動くことができるようになっている。ポケット22~26についても、その右面部282の全体部286が右隣のポケットから離隔している。
【0068】
ポケット21~26の右面部282の全面が右隣のポケットの前面部280に貼り付けられている構成よりも、開口28を奥行方向(Z軸方向)に大きく広げることができ、ポケット21~26に、正方形状の袋に入った薬剤50やスティック状の袋に入った薬剤51などをより収容、取り出し易くなる。
【0069】
各ポケット21~27は、その背面部287の上部289のみ、例えばポケット21~26については左面部281の上縁部のみが第1シート11に接合されている。これにより、各ポケット21~27は、上部289から下側の全部がぶら下がった格好になる。
【0070】
図6に示す、例えば3月13日のようにポケット21に薬剤が収容されていない場合には、透明のポケット21を透過してカレンダー2の表示枠8内の日にちの数字よりも下の領域77が見える。しかし、例えば3月19日のようにポケット27に薬剤50が収容されている場合、その薬剤50がカレンダー2の表示枠8内の領域77を隠すようになって、領域77が見え難くなる。
【0071】
カレンダー2の表示枠8内の領域77に、例えば服用時の注意事項などのメモが薬剤師などによりペンなどで記載されている場合、ポケット21~27をぶら下げた構成をとることで、利用者がポケット27の下側を持ち上げれば、その領域77に記載されているメモを目視で容易に確認することができる。上記の構成は、他のウィークリーポケット20についても同様である。なお、第1シート11と第2シート12の両方について各ポケット21~27をぶら下げる構成に代えて、例えば第1シート11と第2シート12の少なくとも一方について、各ポケットの左面部281の全面を第1シート11に接合する構成とすることもできる。また、左右両隣のポケット同士の一部が重なる構成としたが、これに限られず、例えば重ならない構成とすることもできる。
【0072】
ポケットシート3に収容されているカレンダー2が古くなったために取り替える場合には、カレンダーセット1を壁面に吊り下げたまま、
図3に示す下開口部131からその古くなったカレンダー2を下方に引っ張って取り出した後、上開口部130から新たなカレンダー2をポケットシート3に収容する作業を行うことができる。また、これに代えて、古くなったカレンダー2を上開口部130から引っ張って取り出した後、新たなカレンダー2を上開口部130からポケットシート3に収容する作業を行うこともできる。この作業の際、下開口部131からポケットシート3内に手を差し入れて、新たなカレンダー2の下端を指で摘まんで下方に引っ張る補助作業を並行して行うことで、新たなカレンダー2を上開口部130からポケットシート3内に挿入する作業をよりスムーズに行うことができる。
【0073】
〔4〕かかりつけ薬剤師によるポケットシート3を用いた薬の服用支援方法について
以下、薬剤師が実行する服用支援方法の(手順1)~(手順8)を順に説明する。
【0074】
(手順1)薬剤師は、医師により発行され処方箋とお薬手帳とを持参した患者が来店すると、その処方箋とお薬手帳に従って、当該患者に処方すべき薬剤を調剤する。ここでは、1カ月分の薬剤がまとめて調剤される場合の例を説明する。
【0075】
(手順2)薬剤師は、調剤された1か月分の薬剤を服用すべき月日ごとに分ける。
【0076】
(手順3)薬剤師は、ポケットシート3の上開口部130から、今月と翌月の各日にちが表形式の形態で形成されてなるカレンダー2を挿入する。これにより、カレンダーセット1が構成される。
【0077】
(手順4)薬剤師は、各月日に分けた薬剤のそれぞれを、カレンダーセット1の全ポケット21~27のうち、今月と翌月の各日にちに対応するポケットに収容する作業を行う。
図6は、今月(3月)の18日から翌月(4月)の17日までの1か月間において、各月日に対応する各ポケットに薬剤50が薬剤師により収容された場合の例を示している。薬剤のポケットへの収容は、そのポケットの直上にあるフラップ30を上に持ち上げて、そのポケットの開口28から薬剤を差し入れることにより行われる。
【0078】
(手順5)薬剤師は、1か月分の薬剤の、カレンダーセット1への収容が終了すると、ラベル311(
図6)を2枚用意して、今月分用と翌月分用の各ラベル311に、患者の氏名と、服用時期、例えば、あさ、ひる、よる、ねる前、食後、食前、食間、起床時の何れかを記入する。そして、記入し終わった各ラベル311を、今月と翌月に対応する上ポケット31に収容する。
【0079】
なお、一日で服用すべき複数の薬剤の服用時間帯が例えば、あさ、ひる、よる、ねる前などに分かれている場合には、患者に対して、次の(A)~(E)のような指導を行うこともできる。
【0080】
(A)まず、本日に服用すべき複数の薬剤をその日に対応する一つのポケットから取り出す。(B)取り出した複数の薬剤のそれぞれを、
図8に示す帯状のサブポケット200に設けられた各ポケット201~204のうち、服用すべき時間帯(あさ、ひるなど)が記載されたポケットにその開口28を通じて収容する。サブポケット200は、カレンダーセット1またはポケットシート3の付属品とすることができる。
【0081】
ポケット201~203は、
図7に示すポケット21~23と同じ構成のものであり、ポケット204は、
図7に示すポケット27と同じ構成のものである。サブポケット200は、これらの4個のポケット201~204を横方向に連接してなるものである。
【0082】
(C)サブポケット200をカレンダーセット1の下ポケット32(
図6)に収容する。そして、(D)一日を通じて服用時間が来る度に、そのサブポケット200からその服用時間に対応するポケットに収容されている薬剤を取り出して服用する。(E)この作業を一日ごとに繰り返し行う。
【0083】
(手順6)続いて、薬剤師は、ラベル341(
図6)を2枚用意して、かかりつけ医、かかりつけ薬局連絡先、ケアマネージャーの連絡先や名前などを記入して、今月と翌月に対応するラベル挿入用ポケット34に収容する。
【0084】
(手順7)以上の作業が完了すると、薬剤師は、
図9に示すようにカレンダーセット1を折り畳む。同図の例ではカレンダーセット1は、長尺方向における3箇所の位置191、192、193をそれぞれ谷折りの折り目にして、カレンダーセット1の下端194が内側になり、上端195が外側になるように3回折り畳まれている。各ポケット21~27の開口28がこれに対応するフラップ30で覆われた状態で折り畳まれることで、各ポケット21~27の開口28から薬剤50が飛び出ることが防止される。
【0085】
(手順8)薬剤師は、折り畳んだカレンダーセット1を
図10に示すようにベルト351、352で拘束して、患者に渡す。患者は、ベルト351、352で拘束されたカレンダーセット1を手提げ袋353などに入れて持ち運ぶことができる。
【0086】
薬剤師からカレンダーセット1を受け取った患者は、自宅に戻ると、カレンダーセット1からベルト351、352を取り外した後、カレンダーセット1を開いて、
図6に示すような吊り下げ紐80を用いて、カレンダーセット1をそのカレンダー2の今月(例えば3月)の文字月表が記載された表面5が正面側に来るようにして自宅の壁面に吊るす。
【0087】
そして、患者は、一日ごとに、カレンダーセット1の各ポケット21~27のうち、その日にちに対応するポケットから薬剤50を取り出して服用することを繰り返す。
【0088】
翌月(例えば4月)になると、患者は、
図6に示すようにカレンダーセット1を表裏反転によりひっくり返す。そして、4月1日から一日ごとに、その日にちに対応するポケットから薬剤50を取り出して服用することを続行する。
【0089】
患者は、最後の薬を服用する直前または服用後に、再度、医師を訪ねて処方箋を受け取ると、その処方箋と自身のお薬手帳と現時点のカレンダーセット1を薬剤師に持参する。薬剤師は、患者が持参したカレンダーセット1のカレンダー2を新たなものに交換する。そして、上記の(手順1)~(手順8)を実行する。
【0090】
〔5〕まとめ
以上、説明したように本実施の形態によれば、月末から翌月の初日を跨いで服用すべき複数の薬剤が、カレンダーセット1のカレンダー2の表面5(今月)の各日にちに対応するポケット21~27と、カレンダー2の裏面6(翌月)の各日にちに対応するポケット21~27のそれぞれに収容され、患者に提示される。かかりつけ薬剤師は、患者への指導の徹底を図ることができ、患者は、かかりつけ薬剤師が決定した薬の組み合わせに従って薬を服用できる。これにより、ポリファーマシーによる健康被害の抑制や社会の健康増進の実現に繋がる。
【0091】
さらに、カレンダーセット1を構成する樹脂製のポケットシート3については、月が替わっても再利用が可能であり、カレンダー2だけを新たなものに入れ替えれば済むので、SDGs(Sustainable Development Goals)の1つである、プラスティックゴミの廃棄量の削減という目的にも寄与することができる。
【0092】
〔6〕変形例
以上、本開示を実施の形態に基づいて説明してきたが、本開示は、上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
【0093】
(6-1)上記実施の形態では、7個のポケット21~27からなる一つのウィークリーポケット20に対して、横長の1枚のフラップ30を設ける構成例を説明したが、これに限られない。例えば、一つのポケットに対して1枚のフラップ30を設ける構成としても良い。
【0094】
また、第1シート11と第2シート12の両方にフラップ30を設けるとしたが、これに限られない。例えば、ポケット21~27の縦方向長さを長くすることで、ポケットからの落薬を生じ難くした構成であれば、フラップ30を設けないとしたり、第1シート11と第2シート12の少なくとも一方、つまり第1シート11および/または第2シート12にフラップ30を設けるとしたりすることもできる。
【0095】
(6-2)上記実施の形態では、カレンダー2のサイズをA2サイズとしたが、これに限られず、用紙の定型サイズまたは不定形サイズのものとすることもできる。カレンダー2上における各日にちを示す数字の記載領域、上記の例では表示枠8で囲われた領域と、ポケットシート3上における各ポケット21~27とが一対一に対応するように、日にちを示す数字の記載領域の配置位置とポケット21~27の配置位置との相対的な位置関係が予め設定される。なお、カレンダー2としては、例えば表示枠8を設けずに、日にちを示す数字が配列される構成とすることもできる。この構成では、例えば、日にちを示す数字とこれの周辺の領域を、日にちを示す数字の記載領域とすることができる。
【0096】
また、月別のカレンダー2として、1枚のシートの表面5に対象月の各日にちが記載され、裏面6にその翌月の各日にちが記載されたものを用いるとしたが、これに限られない。例えば、1枚のシートの表面にのみ対象月の各日にちが記載された第1の片面カレンダーと、これとは別の1枚のシートの表面にのみ翌月分の各日にちが記載された第2の片面カレンダーとをその裏面同士を重ね合わせたものも、表面5に対象月の各日にちが記載され、裏面6にその翌月の各日にちが記載されたカレンダー2に含まれるとすることができる。裏面同士が重ね合わされた第1の片面カレンダーの表面がカレンダー2の表面5に相当し、第2の片面カレンダーの表面がカレンダー2の裏面6に相当することになる。
【0097】
(6-3)上記実施の形態では、ポケットシート3の第1シート11と第2シート12のそれぞれにおけるポケット21~27を5行7列に配置する構成例を説明したが、これに限られず、例えば6行7列の構成とすることもできる。
【0098】
上記の5行7列の構成では、6行7列の構成よりも、表裏面に設けるポケット21~27の数を少なくでき、コンパクト化、軽量化を図ることができる。一方で、例えば初日が土曜となる月、具体的には2022年1月や10月についてみると、その月の1日~29日までの各日にちについては、5行7列の各ポケット21~27で対応できる。しかし、6行目になる30日と31日については、対応できないので、翌月の第1周目の日曜と月曜に対応するポケット21、22が割り当てられる。
【0099】
これに対し、6行7列の構成では、どの月でも、初日から月末までの全ての日にちに、ポケットシート3の第1シート11(または第2シート12)上の各ポケット21~27で対応できることになる。月単位で、月末までの薬剤を服用したことを一目で確認できる。また、月の代わりとカレンダーセット1の裏返し作業を同期して行うことができるので、その裏返し作業をうっかり忘れることが起き難く、患者にとって作業性が良い。コンパクト化や軽量化と、月単位での服用確認のし易さなどからどれを優先するかを考慮に入れて、ポケット列のサイズや数などを決めることができる。
【0100】
(6-4)上記実施の形態では、ポケットシート3に上開口部130を設けて、その上開口部130からカレンダー2を挿入できる構成例としたが、これに限られない。ポケットシート3は、裏面同士が互いに重なる第1シート11と第2シート12が、シート状のカレンダー2を各シート間に挿入するための開口部を含む一部を除いた縁辺で接合された構造の袋状体で形成されていれば良い。例えば、ポケットシート3の上部が閉じており、第1シート11、第2シート12の外周縁のうち、左辺の一部113、123だけが開口部として開いている構成などとすることもできる。この構成では、ポケットシート3の左側の開口部からカレンダー2が第1シート11と第2シート12との間に挿入される。
【0101】
また、ポケットシート3の上開口部130の幅C2がカレンダー2の横幅C1よりも少し大きいとしたが、これに限られない。例えば、可撓性を有するカレンダー2を横方向に丸めて筒状にしたものを上開口部130から第1シート11と第2シート12の間に挿入した後、丸めたカレンダー2を広げて使用するような場合には、上開口部130の幅C2をカレンダー2の横幅C1よりも少し小さくした構成をとることもできる。
【0102】
(6-5)上記実施の形態では、1か月分の薬剤50が月の中旬に処方された場合の例を説明したが、これに限られない。月末から翌月の初日を跨ぐ複数の日にち、例えばある月の最終週の始めの日から翌月の第2週目の終わりの日までの間の各日に服用すべき薬剤50がまとめて処方されたような場合でも、上記同様の効果を得られる。
【0103】
(6-6)上記実施の形態では、かかりつけ薬剤師が調剤した薬剤50を患者に渡す場面を例に説明したが、これに限られない。例えば、サプリメントなどの健康補助食品の分封袋が一つずつ、摂取すべき日にちに対応する各ポケット21~27に収容された後、一日ごとに、各ポケット21~27のうち、摂取すべき日にちに対応するポケットからその分封袋を取り出すような場面でも、上記のカレンダーセット1を適用することもできる。
【0104】
上記の各部材の材料、大きさ、形状や各種の数値などが上記のものに限られないことはいうまでもなく、カレンダーセット1の構成に応じて適した材料などが決められる。
【0105】
また、上記実施の形態及び上記変形例の内容をそれぞれ組み合わせるとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本開示は、カレンダーに組み合わされるポケットシートに適用することができる。
【符号の説明】
【0107】
1 カレンダーセット
2 カレンダー
3 ポケットシート
5 カレンダーの表面
6 カレンダーの裏面
8 カレンダーの表示枠
11 第1シート
12 第2シート
20 ポケット列
21、22、23、24、25、26、27 ポケット
28 ポケットの開口
30 フラップ
50、51 薬剤
113、114、123、124 縁辺
130 上開口部
280 前面部
287 背面部
289 背面部の上部