(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177409
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】インプリント装置、インプリント方法、物品の製造方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20231207BHJP
B29C 59/02 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
H01L21/30 502D
B29C59/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090048
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】松田 浩之
【テーマコード(参考)】
4F209
5F146
【Fターム(参考)】
4F209AA44
4F209AF01
4F209AG05
4F209AH33
4F209AP06
4F209AQ01
4F209AR07
4F209PA02
4F209PB01
4F209PN09
4F209PN13
5F146AA31
5F146EA07
5F146EB02
5F146ED01
5F146FA01
5F146FA10
(57)【要約】
【課題】
回路パターンとアライメントマークの位置関係にずれが生じていたとしても、回路パターンを精度良く形成できるインプリント装置を提供する。
【解決手段】
パターンが形成された型と基板上のインプリント材とを接触させて、前記基板の目標位置に前記パターンを転写するインプリント処理を行うインプリント装置であって、前記型の前記パターンの近傍のパターンマークと前記型のアライメントマークとを計測して求まる前記パターンマークと前記アライメントマークとの相対位置ずれ量に基づいて補正されるアライメント位置となるように、前記型と前記基板のアライメントを行うアライメント手段と、前記アライメント手段によりアライメントされた位置で前記インプリント材を硬化させる硬化手段と、を有する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターンが形成された型と基板上のインプリント材とを接触させて、前記基板の目標位置に前記パターンを転写するインプリント処理を行うインプリント装置であって、
前記型の前記パターンの近傍のパターンマークと前記型のアライメントマークとを計測して求まる前記パターンマークと前記アライメントマークとの相対位置ずれ量に基づいて補正されるアライメント位置となるように、 前記型と前記基板のアライメントを行うアライメント手段と、
前記アライメント手段によりアライメントされた位置で前記インプリント材を硬化させる硬化手段と、
を有することを特徴とするインプリント装置。
【請求項2】
前記型の前記パターンと、前記型の前記パターンマークとは、同じタイミングで前記型に形成されており、
前記型の前記パターンと、前記型の前記アライメントマークとは、異なるタイミングで前記型に形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のインプリント装置。
【請求項3】
前記前記アライメント手段は、前記相対位置ずれ量と、前記パターンマークと前記アライメントマークとの設計上の相対ずれ量と、の差に基づいて、アライメント位置を補正することを特徴とする請求項1に記載のインプリント装置。
【請求項4】
前記アライメント手段は、前記相対位置ずれ量に関する情報を記憶手段から取得し、前記アライメント位置を補正することを特徴とする請求項1に記載のインプリント装置。
【請求項5】
前記パターンマークと前記アライメントマークを同じ計測部で計測して前記相対位置ずれ量を取得する取得手段をさらに有する、ことを特徴とする請求項1に記載のインプリント装置。
【請求項6】
前記取得手段は、前記パターンマークと前記アライメントマークを同時に撮像し前記相対位置ずれ量を取得することを特徴とする請求項5に記載のインプリント装置。
【請求項7】
基板ステージ上もしくは前記基板上の基準マークを計測し、前記基準マークに対する前記パターンマークのずれ量と、前記基準マークに対する前記アライメントマークのずれ量とに基づいて、前記相対位置ずれ量を取得する取得手段を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のインプリント装置。
【請求項8】
前記相対位置ずれ量は、前記パターンマークと前記アライメントマークを計測する際に夫々の撮像条件を調整して計測されることを特徴とする請求項1に記載のインプリント装置。
【請求項9】
前記撮像条件は、前記パターンマークを照明する照明光の強度、前記照明光の波長、前記パターンマークを撮像する撮像部の電荷蓄積時間、前記撮像部のゲイン、又は前記撮像部の光学的な絞り値の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項8に記載のインプリント装置。
【請求項10】
前記相対位置ずれ量は、前記パターンマークと前記アライメントマークを計測する際に夫々の焦点位置を調整して計測されることを特徴とする請求項1に記載のインプリント装置。
【請求項11】
パターンが形成された型と基板上のインプリント材とを接触させて、前記基板の目標位置に前記パターンを転写するインプリント処理を行うインプリント方法であって、
前記型の前記パターンの近傍のパターンマークと前記型のアライメントマークとを計測して求まる前記パターンマークと前記アライメントマークとの相対位置ずれ量に基づいて補正されるアライメント位置となるように、 前記型と前記基板のアライメントを行うアライメント工程と、
前記アライメント工程によりアライメントされた位置で前記インプリント材を硬化させる硬化工程と、
を有することを特徴とするインプリント方法。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか1項に記載のインプリント装置を用いて前記基板に前記パターンを形成する工程と、前記工程で前記パターンが形成された前記基板を加工する工程と、を含むことを特徴とする物品の製造方法。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか1項に記載のインプリント装置の各手段をコンピュータにより制御するためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプリント装置、インプリント方法、物品の製造方法、及びコンピュータプログラム等に関する。
【背景技術】
【0002】
パターンが形成されたパターン面を有する型を用いて、基板上のインプリント材
を成形するインプリント装置が、半導体デバイスなどの量産用リソグラフィ装置の1つとして注目されている。インプリント装置は、型と基板上のインプリント材とを接触させた状態で当該インプリント材を硬化させ、硬化したインプリント材から型を剥離させることにより、インプリント材で構成された凹凸のパターンを基板上に形成することができる。
【0003】
インプリント装置では、基板上のパターンとの位置合わせにおいて、ダイバイダイアライメント方式が一般に用いられている。これは、原版(型)と基板が接触した状態で、両者に描画されたアライメントマークに基づき両者の相対位置ずれを計測し、そのずれ量を補正駆動することで、良好な位置合わせを行うものである。特許文献1には、型を基板に接触する前にシフトすることでダイバイダイアライメントを精度よく実施するための構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、型製造工程において、回路パターンが作成されるレイヤーとアライメントマーク作成されるレイヤーが別々の工程で行われる場合がある。この場合、型製造装置のアライメント精度によっては、回路パターンとアライメントマークの位置関係にずれが生じる。このずれが大きい場合、その型を用いて、型と基板上のアライメントマークで型と基板の位置合わせを行い凹凸パターンを基板上に形成すると、アライメントしたとしても基板上の正しい位置に回路パターンが形成されない可能性が生じる。
【0006】
そこで、本発明は、回路パターンとアライメントマークの位置関係にずれが生じていたとしても、回路パターンを精度良く形成できるインプリント装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としてのインプリント装置は、
パターンが形成された型と基板上のインプリント材とを接触させて、前記基板の目標位置に前記パターンを転写するインプリント処理を行うインプリント装置であって、
前記型の前記パターンの近傍のパターンマークと前記型のアライメントマークとを計測して求まる前記パターンマークと前記アライメントマークとの相対位置ずれ量に基づいて補正されるアライメント位置となるように、
前記型と前記基板のアライメントを行うアライメント手段と、
前記アライメント手段によりアライメントされた位置で前記インプリント材を硬化させる硬化手段と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、回路パターンとアライメントマークの位置関係にずれが生じていたとしても、回路パターンを精度良く形成できるインプリント装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態1のインプリント装置1の構成例を示す図である。
【
図2】実施形態1の計測部3の構成の1例を示す図である。
【
図3】(A)~(D)はアライメントマークの例を詳細に説明するための図である。
【
図4】(A)~(C)は従来のインプリント処理を示した模式図である。
【
図5】アライメントマークと回路パターンマークの距離が離れている場合のマークの関係を説明するための模式図である。
【
図6】(A)~(C)は回路パターン7bを形成している型7で
図4と同じようにアライメントマーク10での位置合わせを行う模式図である。
【
図7】(A)~(D)は、実施例1に係る、基準マークを基準にアライメントマークと回路パターンマークの計測処理を説明するための模式図である。
【
図8】実施例1に係る回路パターンマーク40とアライメントマーク10の相対位置ずれ量を算出し、この相対位置ずれ量をダイバイダイアライメント追い込み位置として反映してアライメントする方法の一例を示すフローチャートである。
【
図9】実施例1に係る基準マークを基準でアライメントマークと回路パターンマークの相対ずれ量を算出するアライメント処理を示した模式図である。
【
図10】実施例2に係るアライメントマークと回路パターンマークが撮像視野内に入る距離の場合のマークの関係を説明するための模式図である。
【
図11】(A)、(B)はアライメントマークと回路パターンマークが同じ撮像視野にある状態について説明するための模式図である。
【
図12】相対ずれ量をダイバイダイアライメント追い込み位置として反映してアライメントする方法の一例を示すフローチャートである。
【
図13】(A)~(C)はアライメントマークと回路パターンマークを撮像視野に入れて相対ずれ量を算出するアライメント処理を示した模式図である。
【
図14】(A)~(F)は物品の製造方法の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を、実施例を用いて説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、各図において、同一の部材または要素については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。
【0011】
<実施形態1>
先ず、本発明の実施形態1に係るインプリント方法を用いるインプリント装置の構成について説明する。
図1は、実施形態1のインプリント装置1の構成例を示す図である。インプリント装置1は、基板上に供給されたインプリント材を型と接触させ、インプリント材に硬化用のエネルギー(例えば紫外光)を与えることにより、型の凹凸パターンが転写された硬化物のパターンを基板上に形成する。即ち、パターンが形成された型と基板上のインプリント材とを接触させて、基板の目標位置に型のパターンを転写するインプリント処理を行う。
【0012】
図1においては、基板面に平行な面内に互いに直交するX軸及びY軸をとり、X軸とY軸とに垂直な方向にZ軸をとっている。インプリント装置1は、光を照射する照射部2と、原版である型(モールド)と基板の位置合わせのための計測を行う計測部3と、型を保持する型保持部4と、基板を保持する基板ステージ5と、インプリント材を供給する供給部6と、制御部12等を備える。
【0013】
照射部2は、型7と基板8上のインプリント材とを接触させる押型処理の後に、インプリント材を硬化させるために、型7及びインプリント材に対して紫外線を照射する。
【0014】
型7の基板8に対向する面には、所定のパターン(例えば、回路パターン等の凹凸を有する回路パターン7a)が3次元状に形成されている。
【0015】
型保持部4は、真空吸着力や静電力により型7を引きつけて保持する。この型保持部4は、型7を吸着保持するチャックと、そのチャックをZ軸方向に駆動する型駆動機構を含みうる。型駆動機構は、基板8上に供給されたインプリント材に型7を接触させるための動作を行う。
【0016】
基板ステージ5は、基板8を例えば真空吸着により保持し、かつ、XY平面内を移動可能とする基板保持部である。ここで、基板8は、例えば、単結晶シリコンからなる被処理体であり、この被処理面には、型7により成形されるインプリント材9が、供給部6から供給される。
【0017】
基板8と型7の相対位置を合わせるための計測を行う計測部3は、型7又は型保持部4に配置された複数のマーク10と、基板8又は基板ステージ5に配置された複数のマーク11とを光学的に検出して、マーク間の相対位置を計測する。以下では、マーク10は型7に配置され、マーク11は基板に配置されているものとして説明する。
【0018】
計測部3は、型7又は基板8に配置されたマークの位置に合わせて、X軸方向及びY軸方向に駆動可能なように構成されている。又、計測部3は、マークの位置に焦点を合わせるためにZ軸方向にも駆動可能なように構成されている。
【0019】
制御部12は、照射部2、計測部3、型保持部4、基板ステージ5、及び供給部6と電気的に接続され、夫々に制御指令を送信したり、夫々から情報を取得したりする。例えば、制御部12は、計測部3で計測されたマーク間の相対位置の情報を取得し、その情報に基づいて基板ステージ5と型保持部4の型倍率補正機構とを含む駆動部の駆動を制御する。
【0020】
又、制御部12にはコンピュータとしてのCPU及び記憶媒体としてもメモリが内蔵されており、メモリに記憶されたコンピュータプログラムに基づきインプリント装置1全体の各部の動作を制御する制御手段として機能する。
【0021】
次に、インプリント装置1によるインプリント処理について説明する。先ず、不図示の基板搬送部により基板8を基板ステージ5上に搬送し、基板8を載置及び固定保持させる。次に、基板ステージ5を供給部6に対向したインプリント材の供給位置へ移動させ、その後、供給部6は、基板8のインプリント対象であるショット領域にインプリント材9を供給する(供給工程)。
【0022】
次に、基板8のショット領域が型7の直下に位置するように基板ステージ5を移動させ、型駆動機構を駆動させ、基板8上のインプリント材9に型7を接触させる(押型工程)。これによりインプリント材9は、型7に形成された凹凸を有する回路パターン7aに流動する。その後、型7及び基板8に夫々配置されたマーク10及び11を計測部3によって検出し、基板ステージ5の駆動による型7のパターン面と基板8のショット領域との位置合わせを実施する。
【0023】
そしてインプリント材9の凹凸を有する回路パターン7aへの流動と、型7と基板8との位置合わせが十分になされた状態とする。その状態で、照射部2は、型7の背面(上面)から紫外線を照射し、型7を透過した紫外線によりインプリント材9を硬化させる(硬化工程)。即ち、アライメント(位置合わせ)された位置でインプリント材を硬化させている。このとき制御部は硬化手段としても機能している。
【0024】
このとき、計測部3は紫外線の光路を遮らないように位置に配置される。続いて、型駆動機構を再び駆動させ、硬化したインプリント材9から型7を引き離す(離型工程)。以上の工程により、基板8上のインプリント材9に型7の凹凸を有する回路パターン7aが転写される。
【0025】
続いて、計測部3と、型7及び基板8に夫々配置された位置合わせ用のマーク10及び11(アライメントマーク)の詳細を説明する。
図2は、実施形態1の計測部3の構成の1例を示す図である。計測部3は、検出光学系21(検出部)、照明光学系22(照明部)、処理部26等を有し、制御部12により制御される。照明光学系22は光源部23からの光を、プリズム24などを用いて検出光学系21と同じ光軸上へ導き、マーク10及び11を照明する。
【0026】
光源部23には例えばハロゲンランプやLED、半導体レーザ(LD)、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプが用いられ、インプリント材を硬化させる紫外線を含まない可視光線や赤外線を照射するように構成されている。制御部12は光源部23の駆動を制御する。
【0027】
検出光学系21と照明光学系22はそれらを構成する光学部材の一部を共有するように構成されており、プリズム24は検出光学系21と照明光学系22の瞳面もしくはその近傍に配置されている。検出光学系21は、照明光学系22によって照明されたマーク10と11を撮像部25の受光面上に結像する。
【0028】
撮像部25にはCCDやCMOSなどのイメージセンサが用いられる。処理部26は撮像部25で撮像された画像データを取得し、処理する。処理部26は、例えば制御部12の一部であり、撮像部25で撮像された画像の情報を取得し、その画像に基づいて、マーク10とマーク11の相対位置を計算によって求める。制御部12は、求められた相対位置に基づいて位置合わせ部の制御を行い、少なくともマーク10とマーク11を含む領域の相対位置ずれが小さくなるように位置合わせを行う。
【0029】
次に、マーク10とマーク11の詳細について説明する。
図3(A)~(D)はアライメントマークの例を詳細に説明するための図であり、
図3(A)はマーク10の例を示す図である。複数のマーク10の夫々には、精密計測用にモアレを形成する回折格子マーク(cx)、(cy)、(dx)、(dy)と、粗計測用マーク10aが含まれる。
【0030】
図3(B)はマーク11の例を示す図であり、複数のマーク11の夫々には、精密計測用にモアレを形成する回折格子マーク(cx)、(cy)、(dx)、(dy)と、粗計測用マーク11aが含まれる。
【0031】
図3(C)は、型7と基板8が接触する前に粗計測に用いられるアライメントマークの像30を模式的に表した図である。
図3(C)に示すように粗計測時には型7側の粗計測用マーク10aと基板8側の粗計測用マーク11aが撮像部25によって撮像される。そして型7側の粗計測用マーク10aと基板8側の粗計測用マーク11aのそれぞれの幾何的な中心位置(重心)を基準として、粗計測用マーク10aと粗計測用マーク11aの位置ずれ量D1を求める。
【0032】
粗計測用マーク10aと粗計測用マーク11aとは予め所定の基準距離だけ離れるように設計されているため、この基準距離と位置ずれ量D1との差が、粗計測用マーク10aと粗計測用マーク11aの相対位置のずれになる。このように粗計測用マーク10aと粗計測用マーク11aを用いて、粗計測が行われる。
【0033】
図3(D)は、型7と基板8が接触した状態で精密計測されるアライメントマークの像31を模式的に表した図である。
図3(D)に示すように、型7側の回折格子マーク(cx)と基板8側の回折格子マーク(dx)はそれぞれX方向に周期をもつ回折格子であるが、(cx)と(dx)は異なる周期を持つ。また、型7側の回折格子マーク(cy)と基板8側の回折格子マーク(dy)はそれぞれY方向に周期をもつ回折格子であるが、(cy)と(dy)は異なる周期を持つ。
【0034】
周期の差がある回折格子を重ねると、回折格子からの回折光が重なり合うことで、(ex)および(ey)のように、周期の差を反映した周期を有するモアレが発生する。このとき、回折格子同士の相対位置によってモアレの位相が変化するため、モアレを検出することで、型7と基板8との相対位置を求めることができる。
【0035】
また、もう1組の回折格子として、型7側の回折格子マーク(dx)と基板8側の回折格子マーク(cx)、型7側の回折格子マーク(dy)と基板8側の回折格子マーク(cy)が設けられており、計測方向の周期の大小関係が入れ替わっている。そのため、型7と基板8の相対位置が変わると、2つの組の回折格子によって生じる2つのモアレ縞が互いに反対方向に移動する。
【0036】
従って、これらの2つのモアレ縞の位置ずれ量D2x、D2yを求めることにより、回折格子間の相対位置を高精度に計測することができる。モアレ縞は、型7が基板8上のインプリント材に接触し、2つの回折格子が十分に近づいて重なり合わないと生じないので、
図3(C)に示すように、型7と基板8が接触する前の状態では、モアレ縞を観察することができずに粗計測のみが可能である。そして、粗計測が終了した後、型7を基板8上のインプリント材に接触させた状態でモアレ縞を用いた精密計測を行うことができる。
【0037】
また、モアレ縞は、原版側マークと基板側マークの相対位置ずれ量が大きくなるにしたがって周期的に同じ光量分布となって現れるため、相対位置の計測レンジは1周期分の範囲内と小さい。そのため、計測レンジがより広い型7側の粗計測用マーク10aと基板8側の粗計測用マーク11aを用いて、型7と基板8のこの1周期分より大きな範囲で相対的な位置ずれを確認できる。以上のようにして、基板のパターンと型のパターンとの重ね合わせを高精度に行うことができる。
【0038】
通常、マーク10とマーク11は型、及びショット領域のそれぞれの4隅に配置され、マーク全てについて相対位置を求め、XYのずれ、回転のずれ、倍率のずれなどを算出する。この詳細に関しては割愛し、ここではXY方向のずれのみについて説明する。又、マークの形状に関しても、従来技術であるため、ここでは詳細を割愛する。ここでは、1つのマークでXY方向同時に計測できるマークを前提に、以降の説明を行う。
【0039】
図4(A)~(C)は従来のインプリント処理を示した模式図であり、
図4(A)は、型7の回路パターン7aが紙面左側に相対ずれ量44だけずれている例を示す模式図である。基板ステージは、位置合わせのために基板8を紙面左側、矢印42のように駆動することになる。相対的に、型7の回路パターン7aは、矢印43の方向に駆動されたのと同じことになる。
【0040】
図4(B)は、型と基板が接触する前に粗計測により、型側のアライメントマーク10とショットのアライメントマーク11が一致し、かつインプリント材が基板に供給された状態を示す模式図である。
図4(C)は、型と基板が接触した状態で、精密計測により、型側のアライメントマーク10とショットのアライメントマーク11を一致させた状態を示す模式図である。
【0041】
図4(A)~(C)のアライメント方式は、ショット毎に型とショットを直接合わせる、ダイバイダイアライメント方式と言われる方式である。利点は、ショット毎に直接位置合わせをするために、誤差が発生しにくい点などである。
【0042】
図4(A)~(C)に示す型側の回路パターンマーク40と基板側のアライメントマーク41は重ね合わせ精度を例えば後で別の計測装置で計測する為のマークであり、例えば、Box in Boxのマークである。アライメントマーク41と回路パターンマーク40の位置関係が型側と基板側で一致している場合は、
図4(C)のように、アライメントマークでの位置合わせにより、回路パターンマークの重ね合わせ誤差はほぼないことを示している。尚、回路パターンマーク40は、回路パターン7aの近傍に配置され、パターンマークとして機能している。
【0043】
図5は、アライメントマークと回路パターンマークの距離が離れている場合のマークの関係を説明するための模式図である。
図5の回路パターン7aは回路パターンマーク40に対して、アライメントマーク10はずれていないことを示し、回路パターン7bの場合、回路パターンマーク40に対して、アライメントマーク10が紙面左側にずれ量50だけずれている。
【0044】
これは型の製造工程によっては、回路パターンマーク40とアライメントマーク10が形成される工程が別々の場合があり、型の製造装置のアライメント精度によっては、回路パターンマーク40とアライメントマーク10がずれることがあるからである。すなわち、回路パターンマーク40と回路パターン7aは製造工程上同じレイヤー(同じタイミング)において型に形成されるため、ずれは生じない。
【0045】
一方、回路パターンマーク40及び回路パターン7aとアライメントマーク10とは、製造工程上異なるレイヤー(異なるタイミング)において型に形成されるため、位置関係にずれが生じてしまう可能性がある。そのため、アライメントマーク10を用いてアライメントをしたとしても、回路パターンマーク40が所望位置に位置合わせされない可能性が生じる。
【0046】
図6(A)~(C)は回路パターン7bを形成している型7で
図4と同じようにアライメントマーク10での位置合わせを行う模式図であり、
図6(A)は、模式的に、型7の回路パターン7bが紙面左側に44だけずれている例を示した模式図である。
図6の例では、粗計測に基づき基板ステージは、基板8を紙面左側に、矢印42のように駆動する。これは相対的に、型7の回路パターン7bは、矢印43のように右に駆動されたのと同じことになる。
【0047】
図6(B)は、型と基板が接触する前に粗計測により、型側のアライメントマーク10とショットのアライメントマーク11が一致し、インプリント材が基板に供給された状態を示す模式図である。
【0048】
図6(C)は、型と基板が接触した状態で精密計測により、型側のアライメントマーク10とショットのアライメントマーク11を一致させた状態を示す模式図である。この時、型側の回路パターンマーク40と基板側のアライメントマーク41の重ね合わせはずれ量60だけずれてしまう。又、このずれ量60は
図5に示す回路パターンマークに対して、アライメントマークのずれ量50とほぼ等しくなる。つまり、本来、基板上に転写すべき位置から回路パターンがずれた位置に転写されてしまう。
【0049】
そこで、これらを考慮し、回路パターンを基板の目標領域に位置合わせできる方式を、以下の実施例にて記載する。
【実施例0050】
図7(A)~(D)は、実施例1に係る、基準マークを基準にアライメントマークと回路パターンマークの計測処理を説明するための模式図である。
図7(A)、(B)は、基板ステージの基準に対する、型のアライメントマーク10のずれ量の算出を説明するための模式図である。又、
図7(C)、(D)は、基板ステージの基準に対する、型の回路パターンマーク40のずれ量の算出を説明するための模式図である。
【0051】
基板ステージの基準に対する、型のアライメントマークのずれ量の算出方法について説明する。回路パターン7bを形成している型のアライメントマーク10を計測部3で計測する為、先ず、アライメントマーク10の設計位置に合わせて、計測部3をXY方向に駆動させて撮像視野内にアライメントマーク10を入れる。
【0052】
次に、型保持部4及び計測部3のZ駆動機構にて、アライメントマーク10の焦点を合わせる。例えば、アライメントマーク10のコントラストが高い位置を最も良い焦点位置とする。又、撮像部25で得られる画像内のアライメントマーク10の明度が許容範囲に収まるように撮像条件を調整する。尚、撮像条件は、例えば、回路パターンマーク40を照明する照明光の強度、照明光の波長、回路パターンマーク40を撮像する撮像部25の電荷蓄積時間、撮像部25のゲイン、又は撮像部25の光学的な絞り値の少なくとも1つを含む。
【0053】
図7(A)は焦点合わせと撮像条件の調整をした後の計測部3と回路パターン7b上のアライメントマーク10との位置関係を示し、この時、撮像部25で取得した画像から、アライメントマーク10の設計位置に対するずれ量71を算出する。
【0054】
次にアライメントマーク10の設計位置に合わせて駆動した計測部3の位置に対して、基板ステージ5をXY駆動させて、基板ステージ5上の基準マーク70が計測部3の真下となるようにする。次に、計測部3のZ駆動機構にて、基準マーク70の焦点を合わせる。又、撮像部で得られる画像内の基準マーク70の明度が許容範囲に収まるように撮像条件を調整する。
図7(B)は焦点合わせと撮像条件の調整をした後の計測部3と基板ステージ上の基準マーク70との位置関係を示し、この時、撮像部で取得した画像から、基準マーク70の計測部3に対するずれ量72を算出する。
【0055】
ここで、「ずれ量71」―「ずれ量72」が基板ステージの基準マーク70に対するアライメントマーク10のずれ量80となる。
【0056】
次に、型の回路パターンマーク40の基板ステージの基準に対するずれ量の算出方法について説明する。基本的に、アライメントマーク10と同じように計測する。各マークの特性の違いから焦点位置と撮像条件は夫々で調整する必要がある。又、回路パターンマーク40は、回路パターンレイヤ上の重ね合わせマークの他に、回路パターンそのものをマークとしても良い。
【0057】
先ず、回路パターン7bが形成された型の回路パターンマーク40を計測部3で計測する。その為に、回路パターンマーク40の設計位置に合わせて、計測部3をXY方向に駆動させて撮像視野内に回路パターンマーク40を入れる。次に、型保持部4及び計測部3のZ駆動機構にて、回路パターンマーク40の焦点を合わせる。又、撮像部で得られる画像内の回路パターンマーク40の明度が許容範囲に収まるように撮像条件を調整する。
【0058】
図7(C)は焦点合わせと撮像条件の調整をした後の計測部3と回路パターン7b上の回路パターンマーク40との位置関係を示し、この時、撮像部で取得した画像から、回路パターンマーク40の設計位置に対するずれ量73を算出する。
【0059】
次に回路パターンマーク40の設計位置に合わせて駆動した計測部3の位置に対して、基板ステージ5をXY駆動させて、基板ステージ5上の基準マーク70が計測部3の真下となるようにする。次に、計測部3のZ駆動機構にて、基準マーク70の焦点を合わせる。又、撮像部で得られる画像内の基準マーク70の明度が許容範囲に収まるように撮像条件を調整する。このように、回路パターンマーク40とアライメントマーク10と基準マーク70を計測する際に夫々の焦点調整と撮像条件の調整を行う。
【0060】
図7(D)は焦点合わせと撮像条件の調整をした後の計測部3と基板ステージ上の基準マーク70との位置関係を示し、この時、撮像部で取得した画像から、基準マーク70の計測部3に対するずれ量74を算出する。
【0061】
ここで、「ずれ量73」―「ずれ量74」が基板ステージの基準マーク70に対する回路パターンマーク40のずれ量81となる。上記、基板ステージ上の基準マークを基準とする計測は、基板上のマークを基準にしても良い。
【0062】
基準マーク70に対するアライメントマーク10のずれ量80と、基準マーク70に対する回路パターンマーク40のずれ量81から、アライメントマーク10に対する回路パターンマーク40の相対位置ずれ量(=「ずれ量81」-「ずれ量80」)が算出される。この相対位置ずれ量が、製造工程上異なるレイヤー(タイミング)でアライメントマーク10と回路パターンマーク40が形成されたため生じるずれであるといえる。
【0063】
図8は、実施例1に係る回路パターンマーク40とアライメントマーク10の相対位置ずれ量を算出し、この相対位置ずれ量をダイバイダイアライメント追い込み位置として反映してアライメントする方法の一例を示すフローチャートである。
【0064】
図8のフローチャートの各工程は、制御部12内のコンピュータとしてのCPUがメモリに記憶されたコンピュータプログラムを実行することによって実行される。尚、
図8のフローチャートで示すアライメント方法は、計測部3によるアライメントマーク10と回路パターンマーク40の相対位置の計測処理を含み、
図9の模式図と合わせて、以下で説明する。
図9は、実施例1に係る基準マークを基準でアライメントマークと回路パターンマークの相対ずれ量を算出して取得するアライメント処理を示した模式図である。
【0065】
尚、
図8におけるステップS81~S86は、アライメントマーク10及び回路パターンマーク40を用いた計測結果に基づいて、型7と基板8との相対位置を制御するための工程である。
【0066】
ステップS81では、前述の
図7(A)、(B)を用いて説明した方法により、処理部26がアライメントマーク10と基準マーク70を撮像部25により撮像させることにより画像を取得する。そして、基板ステージの基準マーク70に対するアライメントマーク10の位置の情報をメモリに記憶する。尚、このとき複数のアライメントマークを撮像して、複数の位置情報をメモリに記憶しても良い。
【0067】
ステップS82では、前述の
図7(C)、(D)を用いて説明した方法により、処理部26が回路パターンマーク40と基準マーク70を撮像部25により撮像させることにより画像を取得する。そして、基板ステージの基準マーク70に対する回路パターンマーク40の位置の情報をメモリに記憶する。尚、このとき複数の回路パターンマークを撮像して、複数の位置情報をメモリに記憶しても良い。
【0068】
ステップS83では、基板ステージの基準マーク70に対するアライメントマーク10の位置の情報と、基板ステージの基準マーク70に対する回路パターンマーク40の位置の情報から、相対位置ずれ量(「ずれ量81」-「ずれ量80」)を算出し、さらにダイバイダイアライメント追い込み量90を決定する。ダイバイダイアライメント追い込み量90は、アライメントマーク10に対する回路パターンマーク40の設計上の相対ずれ量と、相対位置ずれ量(「ずれ量81」-「ずれ量80」)の差に相当する。
【0069】
このように、基板ステージ上もしくは基板上の基準マークを計測し、基準マークに対する回路パターンマーク40とアライメントマーク10の相対位置ずれ量から追い込み量を算出する。尚、このとき複数のマーク相対ずれ量から、ダイバイダイアライメント追い込み量としてXYずれ、回転ずれ、倍率ずれの少なくとも1つを算出しても良い。
【0070】
尚、ステップS81~S83は、型のパターンの近傍の回路パターンマーク40と、アライメントマーク10とを計測して、回路パターンマーク40とアライメントマーク10の設計上の相対ずれ量からの相対位置ずれ量を追い込み量として算出する算出工程として機能している。又、この時、制御部12は取得手段(算出手段)として機能している。
【0071】
ステップS84では、処理部26が型7のアライメントマーク10と基板8のアライメントマーク11を撮像部25により撮像させることにより画像を取得し、型7と基板8のアライメントマークの相対ずれ量を算出する。
図9(A)は、型7のアライメントマーク10と基板8のアライメントマーク11を計測している状態を示す模式図であり、44は、型7のアライメントマーク10と基板8のアライメントマーク11の相対ずれ量を示している。
【0072】
ステップS85では、制御部12は、ステップS84で算出したアライメントマーク10とアライメントマーク11の相対ずれ量44に対して、ステップS83で決定したダイバイダイアライメント追い込み量分ずらした位置で型7と基板8を位置合わせする。即ち、相対ずれ量44がゼロになる位置からダイバイダイアライメント追い込み量90だけずらした位置にアライメント位置を補正し、位置合わせする。そして、型7を基板8上のインプリント材に接触させるための駆動を行う。
【0073】
図9(B)は、ダイバイダイアライメント追い込み量だけずらした位置で型7と基板8を位置合わせした模式図であり、90は、ステップS3で算出したダイバイダイアライメント追い込み量を示している。即ち、実施例1では、ダイバイダイアライメント追い込み量90だけ、型7と基板8がずれるように、基板ステージを紙面左側、矢印91の方向に駆動する。
【0074】
ステップS86では、型7が基板8上のインプリント材に接触した状態でダイバイダイアライメントの目標位置をステップS83で算出したダイバイダイアライメント追い込み量90だけずらした位置で位置合わせを行う。
図9(C)は、型7が基板8上のインプリント材に接触した状態でダイバイダイアライメントによる位置合わせした模式図である。
なお、本実施例では、ステップS85において接触前にダイバイダイアライメント追い込み量90だけずらした位置に位置合わせしているが、本工程は必須ではなく、ステップS86で最終的に所望の位置に位置合わせできれば良い。
【0075】
ここで、ステップS84~S86は、ずれ量(追い込み量)をインプリントの際のアライメント目標位置に反映させてアライメントをするアライメント工程として機能している。又、この時、制御部12はアライメント手段として機能している。ここで、型のパターンの近傍のパターンマークと型のアライメントマークとを計測して求まる、パターンマークとアライメントマークとの相対位置ずれ量に基づいて補正されるアライメント位置となるように、型と基板のアライメントを行っている。
【0076】
なお、ステップS83の算出結果である相対位置ずれ量や追い込み量は、一度取得されると変化することはないため、当該計測に用いられた型7に紐づく情報としてメモリなどに記憶しておいてもよい。その場合には次に同じ型7を用いてダイバイダイアライメントによる位置合わせを行う際には、メモリから相対位置ずれ量(もしくは追い込み量)を読み出すことで取得し、S85及びS86で用いることができる。また、本実施例では相対位置ずれ量をインプリント装置1で計測する例を用いて説明したが、外部の計測装置で測定した値を外部の記憶手段等から取得し、アライメントに用いてもよい。
【0077】
図9(C)に示すように、実施例1では、型7のアライメントマーク10と基板8のアライメントマーク11は、ダイバイダイアライメント追い込み量90だけずらした位置で位置合わせを終了している。従って、押印中の回路パターンマーク40とアライメントマーク41の位置合わせを行う際に、回路パターンを目標領域に高精度に位置合わせすることができる。
【0078】
そしてこのように高精度に位置合わせした位置で、インプリント材9を硬化させることにより、硬化物からなる回路パターンを基板上の所望の位置に精度よく形成することができる。
ここで、実施例2では、撮像部25でアライメントマーク10と回路パターンマーク40が撮像視野内に収めることができる距離にアライメントマーク10と回路パターンマーク40が配置されているものとする。即ち、実施例2では、回路パターンマーク40とアライメントマーク10を同じ計測部で同時に計測して相対位置ずれ量を取得することができる。その場合におけるアライメントマークに対する回路パターンマークの相対ずれ量の算出方法について説明する。
回路パターン7dが形成された型のアライメントマーク10と、回路パターンマーク40を計測部3で計測する。その為に、先ず、アライメントマーク10と回路パターンマーク40の設計位置に合わせて、計測部3をXY方向に駆動させて撮像視野内にアライメントマーク10と回路パターンマーク40を入れる。次に、型保持部4及び計測部3のZ駆動機構により、アライメントマーク10と回路パターンマーク40の焦点を合わせる。
その際、例えば、アライメントマーク10と回路パターンマーク40のコントラストが高い位置を最も良い焦点位置とする。又、撮像部25で得られる画像内のアライメントマーク10と回路パターンマーク40の明度が許容範囲に収まるように撮像条件を調整する。撮像条件は、例えば、照明光の強度、照明光の波長及び撮像部25の電荷蓄積時間の少なくとも1つを含む。
撮像条件を調整した後、撮像した画像におけるアライメントマーク10と回路パターンマーク40の位置に基づき相対ずれ量を算出する。この際、アライメントマーク10と回路パターンマーク40の焦点と撮像条件を別々にしてもよく、アライメントマーク10と回路パターンマーク40の位置を別々の画像から算出しても良い。
ステップS122では、アライメントマーク10の位置に対する、回路パターンマーク40の相対位置(相対位置ずれ量)に基づき、ダイバイダイアライメント追い込み量100を決定する。ここでダイバイダイアライメント追い込み量は、アライメントマーク10に対する回路パターンマーク40の設計上の相対ずれ量と、ステップS121で取得した相対ずれ量の差に相当する。尚、複数の相対ずれ量から、ダイバイダイアライメント追い込み量としてXYずれ、回転ずれ、倍率ずれを算出しても良い。
ステップS124では、制御部12は、ステップS123で算出したアライメントマークの相対ずれ量44に対して、ダイバイダイアライメント追い込み量100だけずらした位置で型7と基板8を位置合わせして、型7と基板8との接触駆動を行う。即ち、相対ずれ量44がゼロになる位置からダイバイダイアライメント追い込み量100だけずらした位置にアライメント位置を補正し、位置合わせする。そして、型7を基板8上のインプリント材に接触させるための駆動を行う。
なお、本実施例でも、ステップS124において接触前にダイバイダイアライメント追い込み量100だけずらした位置に位置合わせしているが、本工程は必須ではなく、ステップS125で最終的に所望の位置に位置合わせできれば良い。
また、ステップS123で取得した相対位置ずれ量や追い込み量は、一度取得されると変化することはないため、当該計測に用いられた型7に紐づく情報としてメモリなどに記憶しておいてもよい。その場合には次に同じ型7を用いてダイバイダイアライメントによる位置合わせを行う際には、メモリから相対位置ずれ量(もしくは追い込み量)を読み出すことで取得し、ステップS124及びS125で用いることができる。
また、本実施例では相対位置ずれ量をインプリント装置1で計測する例を用いて説明したが、外部の計測装置で測定した値を外部の記憶手段に一旦保存し、アライメント手段は、その記憶手段から取得した相対位置ずれ量に基づきアライメント位置を補正してもよい。
以上のように、本実施例でも、押印中の回路パターンマーク40とアライメントマーク41の位置合わせを行う際に、回路パターンを目標領域に高精度に位置合わせすることができる。そして、このように高精度に位置合わせした位置で、インプリント材9を硬化させることにより、硬化物からなる回路パターンを基板上の所望の位置に精度よく形成することができる。