(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177412
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】搬送計画装置、搬送システムおよび搬送制御方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/123 20060101AFI20231207BHJP
B65G 61/00 20060101ALI20231207BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20231207BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20231207BHJP
G01C 21/34 20060101ALI20231207BHJP
G16Y 40/30 20200101ALI20231207BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20231207BHJP
【FI】
G08G1/123 A
B65G61/00 542
G08G1/00 D
G08G1/09 F
G01C21/34
G16Y40/30
G16Y10/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090053
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】永崎 佑里
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 誠也
(72)【発明者】
【氏名】月舘 統宙
(72)【発明者】
【氏名】杉本 和也
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA06
2F129BB20
2F129BB22
2F129BB26
2F129DD20
2F129DD37
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2F129EE02
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2F129EE67
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2F129EE95
2F129FF02
2F129FF20
2F129FF32
2F129FF67
2F129FF71
2F129FF72
2F129FF73
2F129FF75
2F129GG17
2F129HH20
5H181AA07
5H181AA15
5H181AA27
5H181BB04
5H181BB13
5H181BB20
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC27
5H181EE07
5H181FF01
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF22
5H181LL09
5H181MC19
(57)【要約】
【課題】車両の自動走行を適切に制御できるようにする。
【解決手段】積み重ねた複数の荷物を含む運搬物における複数の前記荷物の積み方を示す荷積付方情報D11を含む荷姿情報D10と、前記運搬物を搬送する搬送車両100の走行性能を示す車両モデル情報D20と、に基づいて、前記搬送車両100が前記運搬物を搬送する際に発生可能な加速度の上限値を含む安全走行限界情報D80を算出する安全走行限界算出部601と、前記安全走行限界情報D80と、前記運搬物の搬送経路を示す搬送経路情報D30と、に基づいて、前記運搬物の搬送時間を示す搬送時間情報D90を算出する搬送時間算出部602と、前記搬送時間情報D90に基づいて、前記搬送車両100の配車計画を決定し、該配車計画に基づいた搬送指令D110を前記搬送車両100に出力する配車決定部603と、を搬送計画装置310に設けた。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積み重ねた複数の荷物を含む運搬物における複数の前記荷物の積み方を示す荷積付方情報を含む荷姿情報と、前記運搬物を搬送する搬送車両の走行性能を示す車両モデル情報と、に基づいて、前記搬送車両が前記運搬物を搬送する際に発生可能な加速度の上限値を含む安全走行限界情報を算出する安全走行限界算出部と、
前記安全走行限界情報と、前記運搬物の搬送経路を示す搬送経路情報と、に基づいて、前記運搬物の搬送時間を示す搬送時間情報を算出する搬送時間算出部と、
前記搬送時間情報に基づいて、前記搬送車両の配車計画を決定し、該配車計画に基づいた搬送指令を前記搬送車両に出力する配車決定部と、を備える
ことを特徴とする搬送計画装置。
【請求項2】
前記荷姿情報は、
前記荷積付方情報に加えて、複数の前記荷物の固定状態を示す固定状態情報、前記運搬物の寸法情報、または、前記運搬物の荷重量情報のうち何れかを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の搬送計画装置。
【請求項3】
前記運搬物を撮影した画像データに基づいて、前記荷物の積み付け方を推定し、推定結果に基づいて前記荷積付方情報を出力する積付方法推定部と、
前記画像データに基づいて、複数の前記荷物の固定状態を推定し、推定結果に基づいて固定状態情報を出力する荷固定方法推定部と、
前記画像データに基づいて、画像データから前記運搬物の寸法を推定し、推定結果に基づいて寸法情報を出力する荷寸法推定部と、
荷重センサの出力に基づいて、前記運搬物の荷重量を推定し、推定結果に基づいて荷重量情報を出力する荷重量推定部と、をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の搬送計画装置。
【請求項4】
前記安全走行限界算出部は、複数の前記荷物の集合が所定の荷重と所定の荷高さとを有すると仮定した場合に前記搬送車両が発生可能な加速度の上限値を含む標準限界情報と、前記荷姿情報と、に基づいて前記安全走行限界情報を算出するものであり、
前記安全走行限界情報は、前記固定状態情報、前記寸法情報、または、前記荷重量情報に応じて異なる値になる
ことを特徴とする請求項2に記載の搬送計画装置。
【請求項5】
前記搬送車両の走行実績データに基づいて、修正情報を出力する安全走行限界更新部をさらに備え、
前記安全走行限界算出部は、前記修正情報に基づいて前記安全走行限界情報を更新する
ことを特徴とする請求項1に記載の搬送計画装置。
【請求項6】
供給された搬送指令に基づいて、積み重ねた複数の荷物を含む運搬物を搬送する搬送車両と、
複数の前記荷物の積み方を示す荷積付方情報を含む荷姿情報と、前記搬送車両の走行性能を示す車両モデル情報と、に基づいて、前記搬送車両が前記運搬物を搬送する際に発生可能な加速度の上限値を含む安全走行限界情報を算出する安全走行限界算出部と、
前記安全走行限界情報と、前記運搬物の搬送経路を示す搬送経路情報と、に基づいて、前記運搬物の搬送時間を示す搬送時間情報を算出する搬送時間算出部と、
前記搬送時間情報に基づいて、前記搬送車両の配車計画を決定し、該配車計画に基づいて前記搬送指令を出力する配車決定部と、を備える
ことを特徴とする搬送システム。
【請求項7】
積み重ねた複数の荷物を含む運搬物における複数の前記荷物の積み方を示す荷積付方情報を含む荷姿情報と、前記運搬物を搬送する搬送車両の走行性能を示す車両モデル情報と、に基づいて、前記搬送車両が前記運搬物を搬送する際に発生可能な加速度の上限値を含む安全走行限界情報を算出する安全走行限界算出過程と、
前記安全走行限界情報と、前記運搬物の搬送経路を示す搬送経路情報と、に基づいて、前記運搬物の搬送時間を示す搬送時間情報を算出する搬送時間算出過程と、
前記搬送時間情報に基づいて、前記搬送車両の配車計画を決定し、該配車計画に基づいた搬送指令を前記搬送車両に出力する配車決定過程と、をコンピュータに実行させる
ことを特徴とする搬送制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送計画装置、搬送システムおよび搬送制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、少子化による労働力不足やE-コマース市場拡大による物流件数の増加に伴い、物流倉庫内の省人化や作業効率の向上が課題となっている。この課題を解決するために、フォークリフトや搬送車両を自律化し、倉庫内の搬送作業を自動化する自律搬送システムの導入が進められている。これに関連する技術として、下記特許文献1の要約には、「輸送管理装置は、運転者の乗車地点までを無人自動走行区間として、走行計画に基づいて車両を無人自動走行させ、運転計画に基づいて乗車地点から車両を運転者が運転することにより荷物等の輸送を行う輸送システムを管理する。方法は、無人自動走行区間の交通状況を予測して、走行計画と、運転計画を作成する輸送計画作成処理と、無人自動走行区間における交通事象に応じて、当該無人自動走行区間を走行中の車両の走行計画と、運転計画を変更する計画変更処理と、を含む。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した技術において、一層適切に車両の自動走行を制御したいという要望がある。
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、車両の自動走行を適切に制御できる搬送計画装置、搬送システムおよび搬送制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため本発明の搬送計画装置は、積み重ねた複数の荷物を含む運搬物における複数の前記荷物の積み方を示す荷積付方情報を含む荷姿情報と、前記運搬物を搬送する搬送車両の走行性能を示す車両モデル情報と、に基づいて、前記搬送車両が前記運搬物を搬送する際に発生可能な加速度の上限値を含む安全走行限界情報を算出する安全走行限界算出部と、前記安全走行限界情報と、前記運搬物の搬送経路を示す搬送経路情報と、に基づいて、前記運搬物の搬送時間を示す搬送時間情報を算出する搬送時間算出部と、前記搬送時間情報に基づいて、前記搬送車両の配車計画を決定し、該配車計画に基づいた搬送指令を前記搬送車両に出力する配車決定部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、車両の自動走行を適切に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に適用される倉庫の一例を示す平面図である。
【
図7】第1実施形態における配車システムのブロック図である。
【
図8】荷姿情報格納部に格納される荷姿情報の一例を示す図である。
【
図9】車両モデル情報格納部に格納される車両モデル情報の一例を示す図である。
【
図10】搬送経路情報格納部に格納される搬送経路情報の一例を示す図である。
【
図12】実運搬物限界情報および安全走行限界情報の例を示す図である。
【
図14】搬送総和時間評価データの例を示す図である。
【
図16】管制サーバが実行する制御プログラムのフローチャートである。
【
図17】第2実施形態における配車システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態の概要]
自律搬送システムでは各現場に応じて適した搬送車両を採用しており、一つの現場で異なる機体制約を持つ搬送車両を複数台運用することもある。自律搬送システムでは、搬送作業効率の向上と、搬送時の荷の安定性維持が求められている。搬送車両は搬送する荷の形状・重量等の搬送荷の状態に応じて走行可能な経路や速度、加速度、角速度、角加速度の上下限値が変化するため、搬送荷の状態に応じた柔軟な走行制御手法が求められる。
【0009】
上述した特許文献1の技術を応用すると、搬送中の荷の相対変位量と、搬送車両の振動と、に基づき、走行速度上限を変化させることで、搬送荷の安定性を維持することが可能であると考えられる。より具体的には、積み付けされた荷の相対変位量が閾値を超えた場合、荷崩れリスクがあると判定し、搬送車両に設置された振動センサの検出結果に基づき、振動が大きいほど減速するように走行速度上限を変化させることができると考えられる。また、搬送効率を向上させるために、搬送車両の機体制約として設定されている走行速度上限と、搬送先までの経路長と、に基づき、各搬送車両の搬送時間が最も短くなるように配車計画を立案できると考えられる。
【0010】
しかし、特許文献1の技術を応用して決定された配車計画は、搬送車両の機体制約である走行速度上限に基づくものであり、荷崩れによる減速を考慮していない。そのため、荷と搬送車両の組合せが適切でない場合、配車計画時には想定していなかった、荷崩れリスクによる減速が過度に発生し、現場全体の搬送効率が低下する可能性がある。ここで、荷の転倒リスクは、荷の積み付け方や荷高さ、荷の固定の有無、荷の重量といった荷姿に応じて変化する。
【0011】
そこで、後述する実施形態では、配車計画の決定時に走行時の減速の程度を考慮するために、配車計画の決定前に荷姿情報を取得する。取得した荷姿情報に基づき、荷崩れを抑制できる安全走行限界として、加速度上限と角速度上限を算出する。この安全走行限界と、機体の走行制約に基づき、荷と搬送車両の組合せに対する走行時間を評価し、評価結果に基づき配車計画を決定する。これにより、後述する実施形態では、荷と搬送車両の特性を考慮した配車計画により、搬送効率を向上させることができる。
【0012】
[第1実施形態]
〈第1実施形態の構成〉
(倉庫200)
図1は、第1実施形態に適用される倉庫200の一例を示す平面図である。
図1において、倉庫200は、トラックバース202と、仮置場204と、保管スペース210と、を備えている。トラックバース202は、運搬物220の積卸しのためにトラック(図示せず)を停車する場所である。
【0013】
保管スペース210は、運搬物220を保管するスペースであり、保管位置B-1~B-10,C-1~C-10,D-1~D-10が確保されている。仮置場204は、トラックバース202から保管スペース210に運搬物220を移動させる途中で、一時的に運搬物220を保管するスペースである。仮置場204は、一般的には、トラックバース202の付近に確保される。仮置場204には、保管位置A-1~A-10が確保されている。
【0014】
入荷作業においては、まず、トラックで搬送された運搬物220を、作業員がフォークリフト206を用いて、仮置場204の指定された位置まで移動させる。その後、仮置場204において作業員が運搬物220を検品する。そして、搬送車両100は、検品が終了した運搬物220を、保管スペース210内の指定位置に移動し、該運搬物220を保管する。また、出荷作業では、入荷作業と逆の工程を踏む。
【0015】
図2は、運搬物220の例を示す図である。
図示の例において、運搬物220とは、パレット222と、パレット222の上に載置された複数の荷物224と、の集合体である。図示の例において、各荷物224は、略直方体状に形成され、その上面(符号なし)は長辺と短辺とを有する。そして、各荷物224は、複数段(図示の例では3段)積み重ねられている。これら荷物224には、様々な積み方を採用することができる。
【0016】
図示の積み方ST1は「ブロック積み」と称される。これは、各段における各荷物224の上面において、長辺の方向が同一である積み方である。また、積み方ST2は「交互積み」と称される。これは、各荷物224の上面において、長辺の方向が、段毎に交互に直交する方向に回転する積み方である。また、積み方ST3は「レンガ積み」と称される。これは、同一段の複数の荷物224の上面において、長辺の方向異なるものが存在する積み方である。
【0017】
また、積み方ST4は「スプリット積み」と称される。これは、各段において荷物224を略Π字状に配置し開口部を設ける積み方である。また、積み方ST5は「ピンホール積み」と称される。これは、複数の荷物224の中央にピンホール状の通気口を形成する積み方である。図示のように、積み方に応じて、荷の上面および側面に出現する荷の境界線の位置が異なる。
【0018】
図3は、仮置場204の模式図である。
図3において、仮置場204には、3個の運搬物220が保管されている。仮置場204には、運搬物220を撮影する撮影部320が配置されている。ここで、撮影部320は、運搬物220を上方から撮影する上面撮影用のカメラ322と、運搬物220を側方から撮影する側面撮影用のカメラ324と、を含む。なお、側面撮影用のカメラ324は、運搬物220の4つの側面のうち一側面を撮影できればよい。カメラ322,324は、撮影した画像を画像データV2,V4として、それぞれ出力する。
【0019】
図4は、画像データV2,V4の例を示す図である。
図3に示した3個の運搬物220は、それぞれ荷物224の積み方が異なっている。
図4に示すように、上方からの画像データV2および側方からの画像データV4が得られれば、荷物224の積み方を推定できる。すなわち、
図2に示した各種積み方と照合すると、
図3における3個の運搬物220は、左から順にレンガ積み、交互積み、およびブロック積みであると推定できる。
【0020】
(搬送車両100)
図5は、搬送車両100の模式的な側面図である。また、
図6は、搬送車両100の模式的な平面図である。
これらの図において、搬送車両100は、低床型AGV(Automatic Guided Vehicle)と称される車両である。この種の搬送車両100は、パレット222(
図2参照)、またはパレット222が積載されている台車(図示せず)の下方に潜り込み、パレット222または台車と結合することで、運搬物220を搬送する車両である。但し、搬送車両100は低床型AGVに限定されず、別種の搬送車両であってもよい。例えば、搬送車両100として、キャスタ付きの台車を牽引する牽引車両や、フォークリフト等を適用してもよい。
【0021】
図5および
図6において、搬送車両100は、車両フレーム101と、積載部102と、駆動輪103と、従動輪104と、走行モータ105と、操舵モータ106と、センサ部107と、車載コントローラ150と、を備えている。
【0022】
車両フレーム101は、略直方体箱状に形成されている。積載部102は、矩形平板状に形成され、車両フレーム101の上面に設けられている。この積載部102の上面が、運搬物220(
図2参照)に結合する。駆動輪103および従動輪104は、左右一対設けられ、車両フレーム101の下部に回動自在に装着されている。
【0023】
走行モータ105は駆動輪103を回転駆動する。また、操舵モータ106は駆動輪103の操舵角を制御する。センサ部107は、搬送車両100の周辺における障害物等を検出する。車載コントローラ150は、センサ部107による検出結果に基づいて、搬送車両100の運動制御を実現するための各種指令値を出力する。
【0024】
センサ部107は、例えばLiDAR(Light Detection and Ranging)を備えている。LiDARは、レーザー光の照射角度を変化させながら照射範囲に存在する物体との距離を計測する装置である。センサ部107は、レーザー照射時の光軸角度の情報と、物体との距離の情報と、に基づいて、物体の形状を示す特徴点の点群情報を取得する。また、センサ部107は、LiDARを活用し、SLAM(Simultameous Localization and Mapping)方式により、周辺障害物の点群データを用いて、自機の位置を推定する自機位置推定機能も備えている。これにより、センサ部107は、障害物の位置情報を含む現場倉庫の二次元地図を生成する。
【0025】
(配車システム300)
図7は、配車システム300(搬送システム)のブロック図である。
図7において、配車システム300は、管制サーバ310(搬送計画装置、コンピュータ)と、撮影部320と、荷重センサ330と、複数の搬送車両100と、を備えている。撮影部320は、上述したように仮置場204(
図3参照)に設けられている。また、荷重センサ330は、フォークリフト206(
図1参照)に設けられている。そして、荷重センサ330は、フォークリフト206がトラックバース202から仮置場204に運搬物220を移動させる際に、計測結果を管制サーバ310に供給する。
【0026】
管制サーバ310は、荷姿情報推定部400と、情報格納部500と、運行管理部600と、を備えている。また、各搬送車両100に搭載された車載コントローラ150は、搬送指令受信部152と、駆動部154と、を備えている。搬送指令受信部152は、管制サーバ310から搬送指令D110(詳細は後述する)を受信する。駆動部154は、該搬送指令D110に基づいて、走行モータ105および操舵モータ106(
図5参照)を駆動制御する。
【0027】
(荷姿情報推定部400)
荷姿情報推定部400は、積付方法推定部401と、荷固定方法推定部402と、荷寸法推定部403と、荷重量推定部404と、を備えている。
積付方法推定部401は、画像データV2,V4に基づいて、仮置場204(
図3参照)に保管された運搬物220の積み方ST1~ST5(
図2参照)を推定し、推定結果を荷積付方情報D11として出力する。積み方ST1~ST5は、例えば学習モデルを用いて推定できる。すなわち、各積み方における画像データV2,V4を収集し、その分類結果を学習した学習モデルを構築しておくとよい。
【0028】
荷固定方法推定部402は、画像データV2,V4に基づいて、仮置場204に保管された運搬物220の荷物224の固定状態、すなわちラップ等の固定具で荷物224がパレット222に固定されているか否かを推定し、推定結果を固定状態情報D12として出力する。荷物224の固定状態も、例えば学習モデルを用いて推定できる。すなわち、荷物224が固定具でパレット222に固定された運搬物220、および荷物224がパレット222に固定されていない運搬物220における画像データV2,V4を収集し、その分類結果を学習した学習モデルを構築しておくとよい。
【0029】
荷寸法推定部403は、画像データV2,V4を用いて、仮置場204に保管された運搬物220の寸法、すなわち高さ、幅および奥行きを推定し、推定結果を寸法情報D13として出力する。その具体的な手法の例は以下の通りである。まず、荷寸法推定部403は、画像データV2,V4から、パレット222の特徴点と、パレット222上に積載された荷物224の特徴点と、を取得する。次に、荷寸法推定部403は、画像データV2,V4における特徴点の位置と、パレット222の高さ、幅、奥行きの実寸値の対応関係と、各荷物224の特徴点の位置情報と、各荷物224の高さ、幅、奥行きの比と、を用いて、運搬物220の高さ、幅、奥行きを算出するとよい。
【0030】
(荷重量推定部404)
荷重量推定部404は、荷重センサ330の計測結果に基づいて、運搬物220の荷重量を推定し、その結果を荷重量情報D14として出力する。また、荷重量推定部404は、当該運搬物220に対して、一意の荷ID情報D15を付与する。上述のように、荷重センサ330は、例えばフォークリフト206(
図1参照)に設置するとよい。フォークリフト206および運搬物220が静止していれば、荷重センサ330の出力そのものを荷重量として採用してよい。しかし、実際はフォークリフト206および運搬物220が動いているため、荷重センサ330の検出結果は変動する。そこで、荷重量推定部404は、荷重センサ330の検出結果と、フォークリフト206の運動状態と、に基づいて、運搬物220の荷重量を推定する。
【0031】
これら荷姿情報推定部400から出力される荷積付方情報D11、固定状態情報D12、寸法情報D13、荷重量情報D14および荷ID情報D15を総称して「荷姿情報D10」と呼ぶ。上述したように、本実施形態においては、運搬物220がトラックバース202から仮置場204に運搬される間、および仮置場204に保管されている期間に、荷姿情報D10を推定する。
【0032】
(情報格納部500)
情報格納部500は、荷姿情報D10を格納する荷姿情報格納部501と、車両モデル情報D20を格納する車両モデル情報格納部502と、搬送経路情報D30を格納する搬送経路情報格納部503と、配車決定指標D40を格納する配車決定指標格納部504と、を備えている。
【0033】
図8は、荷姿情報格納部501に格納される荷姿情報D10の一例を示す図である。
荷姿情報D10は、各々の運搬物220(
図1参照)に対応するレコード(行)を有しており、各レコードには、当該運搬物220の荷積付方情報D11、固定状態情報D12、寸法情報D13、荷重量情報D14および荷ID情報D15が含まれている。
【0034】
図9は、車両モデル情報格納部502に格納される車両モデル情報D20の一例を示す図である。
車両モデル情報D20は、各々の搬送車両100(
図5参照)の走行性能を表すものである。より具体的には、車両モデル情報D20は、各々の搬送車両100(
図5参照)に対応するレコード(行)を有している。そして、各レコードは、当該搬送車両100の車両ID情報D21と、速度上下限情報D22と、加速度上下限情報D23と、角速度上下限情報D24と、角加速度上下限情報D25と、を含んでいる。
【0035】
ここで、車両ID情報D21は、当該搬送車両100に対して割り当てられた一意の識別番号である。また、速度上下限情報D22は、当該搬送車両100の進行方向を基準とした上限速度および下限速度の情報である。下限速度は、後退する場合に許容される最高速度であるが、進行方向を基準にしているため、図示のように負値になる。また、加速度上下限情報D23は、当該搬送車両100の進行方向を基準とした上限加速度および下限加速度の情報である。
【0036】
また、角速度上下限情報D24は、当該搬送車両100の時計方向を基準とした操舵時の上限角速度および下限角速度の情報である。下限角速度は、反時計方向に操舵する際の上限角速度であるが、時計方向を基準にしているため、図示のように負値になる。また、角加速度上下限情報D25は、当該搬送車両100の時計方向を基準とした操舵時の上限角加速度および下限角加速度の情報である。
【0037】
図10は、搬送経路情報格納部503に格納される搬送経路情報D30の一例を示す図である。
搬送経路情報D30は、各々の運搬物220(
図1参照)に対応するレコード(行)を有しており、各レコードには、当該運搬物220の荷ID情報D31と、仮置き位置情報D32と、搬送先情報D33と、が含まれている。荷ID情報D31は、上述した荷ID情報D15(
図8参照)と同様である。仮置き位置情報D32は、当該運搬物220の仮置場204における保管位置を示す。また、搬送先情報D33は、当該運搬物220の保管スペース210における保管位置を示す。
【0038】
図7に戻り、配車決定指標格納部504に格納される配車決定指標D40は、配車計画を決定するための評価指標である。配車決定指標D40の例として、「倉庫内搬送時間の最小化」、「各車両の待ち時間の最小化」、「各車両の走行時間の分散の最小化」等が挙げられる。
【0039】
(運行管理部600)
図7において、運行管理部600は、安全走行限界算出部601と、搬送時間算出部602と、配車決定部603と、を備えている。
安全走行限界算出部601は、荷姿情報D10と、車両モデル情報D20と、標準限界情報D60(詳細は後述する)と、に基づいて安全走行限界情報D80を算出する。ここで、安全走行限界情報D80とは、例えば、搬送車両100と搬送される運搬物220との各組合せ対し、搬送車両100が安全走行可能な(荷崩れを抑制できる)各種パラメータの上限値および/または下限値を規定したものである。また、「各種パラメータ」とは、例えば、搬送車両100の速度、加速度、角速度、および角加速度の全て、または、これらのうち一部である。
【0040】
図11は、標準限界情報D60の例を示す図である。
まず、運搬物220(
図2参照)に含まれる複数の荷物224の集合が、所定の荷重と所定の荷高さとを有すると仮定し、これら複数の荷物224の集合を「標準荷物群」と呼ぶ。標準限界情報D60は、標準荷物群に対して、加速度上限や角速度上限を定めたものである。
【0041】
図11の例において、標準限界情報D60は、加速度上限情報D61と、角速度上限情報D62と、速度上限情報D63と、角加速度上限情報D64と、を含んでいる。加速度上限情報D61は、
図2に示した積み方ST1(ブロック積み)~ST5(ピンホール積み)と、ラップ固定の有無と、に応じて、標準荷物群に対する加速度上限を定めたものである。
【0042】
同様に、角速度上限情報D62は、積み方ST1(ブロック積み)~ST5(ピンホール積み)と、ラップ固定の有無と、に応じて、標準荷物群に対する角速度上限を定めたものである。なお、加速度下限および角速度下限は、上限値と絶対値が同一で正負の符号が反転した値になるため、図示を省略する。また、速度上限情報D63および角加速度上限情報D64のデータ構造は、加速度上限情報D61および角速度上限情報D62のものと同様であるため、これらの詳細内容な例についても、図示を省略する。
【0043】
安全走行限界算出部601は、荷同士の摩擦力、直進運動、旋回運動時の慣性力に基づいて、力学モデルを用いて、
図11に示す標準限界情報D60を予め算出している。例えば、積み方を変化させた際、加速度の上下限の絶対値には、「レンガ積み≧交互積み≧ピンホール積み≧スプリット積み≧ブロック積み」の関係が成立する。すなわち、ブロック積みを採用した場合には、他の積み方と比較して、加速度、角速度の絶対値が小さい範囲で搬送が可能になる。また、加速度、角速度の上下限の範囲は、荷の固定の有無に応じて異なり、荷が固定されているほど大きくなる。
【0044】
上述したように、標準限界情報D60は、標準荷物群に対する限界を定めた情報であるため、安全走行限界算出部601は、実際の運搬物220の状態、すなわち荷高さ、荷重、積み方、固定の有無に応じて、実際の運搬物220に対する実運搬物限界情報D70を算出する。さらに、安全走行限界算出部601は、実運搬物限界情報D70と、各々の車両モデル情報D20と、に基づいて、安全走行限界情報D80を決定する。
【0045】
図12は、実運搬物限界情報D70および安全走行限界情報D80の例を示す図である。
実運搬物限界情報D70は、各々の運搬物220に対応するレコード(行)を有しており、各レコードには、当該運搬物220の荷ID情報D71と、速度上下限情報D72と、加速度上下限情報D73と、角速度上下限情報D74と、角加速度上下限情報D75と、を含んでいる。
【0046】
ここで、荷ID情報D71は、荷姿情報D10(
図8参照)における荷ID情報D15と同様のものである。また、速度上下限情報D72は、当該運搬物220の進行方向を基準とした上限速度および下限速度の情報である。また、加速度上下限情報D73は、当該運搬物220の進行方向を基準とした上限加速度および下限加速度の情報である。また、角速度上下限情報D74は、当該運搬物220の時計方向を基準とした操舵時の上限角速度および下限角速度の情報である。また、角加速度上下限情報D75は、当該運搬物220の時計方向を基準とした操舵時の上限角加速度および下限角加速度の情報である。
【0047】
例えば、標準荷物群と比較して、実際の運搬物220の荷高さが低く、荷重が小さい場合、一般的には、実運搬物限界情報D70に含まれる情報D72~D75の絶対値は、標準限界情報D60のものより大きくなる。
【0048】
また、
図12において、安全走行限界情報D80は、各々の運搬物220および搬送車両100の組合せに対応するレコード(行)を有しており、各レコードには、当該組合せのID情報D81と、速度上下限情報D82と、加速度上下限情報D83と、角速度上下限情報D84と、角加速度上下限情報D85と、を含んでいる。
【0049】
ここで、ID情報D81は、実運搬物限界情報D70における荷ID情報D71と、車両モデル情報D20(
図9参照)における車両ID情報D21と、を結合したものである。また、速度上下限情報D82は、当該組合せの進行方向を基準とした上限速度および下限速度の情報である。また、加速度上下限情報D83は、当該組合せの進行方向を基準とした上限加速度および下限加速度の情報である。また、角速度上下限情報D84は、当該組合せの時計方向を基準とした操舵時の上限角速度および下限角速度の情報である。また、角加速度上下限情報D85は、当該組合せの時計方向を基準とした操舵時の上限角加速度および下限角加速度の情報である。
【0050】
これら情報D82~D85の内容は、それぞれ、対応する搬送車両100に対する情報D22~D25および対応する運搬物220に対する情報D72~D75の双方を充足する限界値になる。
【0051】
図7において搬送時間算出部602は、安全走行限界情報D80(
図12参照)と、搬送経路情報D30(
図10参照)と、に基づいて、搬送時間情報D90を算出する。ここで、搬送時間情報D90は、運搬物220と搬送車両100との各組合せに対して、仮置場204内の仮置き位置から保管スペース210内の搬送先に運搬物220を搬送する時間を求めたものである。
【0052】
図13は、搬送時間情報D90の例を示す図である。
図13において、搬送時間情報D90は、各々の運搬物220および搬送車両100の組合せに対応するレコード(行)を有しており、各レコードには、当該組合せのID情報D91と、所要時間情報D92と、を含んでいる。ここで、ID情報D91は、実運搬物限界情報D70における荷ID情報D71と、車両モデル情報D20(
図9参照)における車両ID情報D21とを結合したものである。また、所要時間情報D92は、当該組合せに対して、仮置場204内の仮置き位置から保管スペース210内の搬送先に運搬物220を搬送するために要する時間である。
【0053】
搬送時間算出部602は、安全走行限界情報D80に含まれる速度、加速度等の情報D81~D85と、搬送経路情報D30(
図10参照)と、に基づき、運搬物220と搬送車両100との組合せ毎に、上述の所要時間情報D92を算出する。所要時間情報D92は、例えば以下のように計算することができる。
【0054】
まず、搬送時間算出部602は、搬送車両100の位置と、仮置場204に載置されている運搬物220の位置と、その運搬物220の保管スペース210における搬送先の情報と、に基づいて、搬送車両100の移動経路を求める。この移動経路は、搬送車両100の現在位置と、仮置場204における運搬物220の位置と、保管スペース210における搬送先の位置と、を順次結んだ経路であり、直線部分と、カーブ部分と、を有している。
【0055】
次に、搬送時間算出部602は、安全走行限界情報D80に規定されている範囲内で、搬送車両100の走行開始から走行終了までの速度、加速度、角速度、角加速度の時系列情報を算出する。次に、搬送時間算出部602は、各区間の速度と角速度との積分値を用いて、搬送に要する所要時間情報D92を算出する。以上のようにして、所要時間情報D92を算出するとよい。
【0056】
次に、配車決定部603は、搬送時間情報D90に基づいて搬送総和時間評価データD100を作成する。すなわち、配車決定部603は、仮置場204に載置されている全ての運搬物220を保管スペース210における搬送先に搬送する搬送総和時間を算出し、その結果に基づいて、搬送総和時間評価データD100を生成する。
【0057】
図14は、搬送総和時間評価データD100の例を示す図である。
図14において、搬送総和時間評価データD100は、複数の配車計画案に各々対応する複数のレコード(行)を有しており、各レコードには、配車計画案情報D101と、搬送総和時間情報D102と、が含まれている。配車計画案情報D101は、仮置場204に載置されている全ての運搬物220の荷ID情報と、これら運搬物220を搬送する各搬送車両100の車両ID情報と、を結合したものである。
【0058】
また、搬送総和時間情報D102は、配車計画案情報D101に示された配車計画案によって、仮置場204に載置されている全ての運搬物220を搬送するために要する時間の総和である。
図14に示す例においては、荷ID情報が「0001」、「0002」および「0003」である3個の運搬物220を、車両ID情報が「1001」、「1002」および「1003」である3台の搬送車両100によって搬送することを想定している。なお、これら3個の運搬物220は、荷姿、荷高さ、荷の固定方法、荷の重さが相互に異なることとする。
【0059】
次に、配車決定部603は、生成した搬送総和時間評価データD100と、配車決定指標D40と、に基づいて、配車決定指標D40における評価関数を最小化する配車計画を決定し、決定した配車計画の内容を、搬送指令D110として、各搬送車両100に送信する。この搬送指令D110は、搬送総和時間評価データD100における何れか一つのレコードの配車計画案情報D101に対応する。例えば、配車決定指標D40が「搬送総和時間情報D102を最短にする」というものであれば、配車決定部603は、
図14において、上から3番目のレコードを搬送指令D110として選択する。
【0060】
図15は、コンピュータ980のブロック図である。
図7に示した管制サーバ310および車載コントローラ150は、何れも
図15に示すコンピュータ980を、1台または複数台備えている。
図15において、コンピュータ980は、CPU981と、記憶部982と、通信I/F(インタフェース)983と、入出力I/F984と、メディアI/F985と、を備える。ここで、記憶部982は、RAM982aと、ROM982bと、HDD982cと、を備える。通信I/F983は、通信回路986に接続される。入出力I/F984は、入出力装置987に接続される。メディアI/F985は、記録媒体988からデータを読み書きする。
【0061】
ROM982bには、CPUによって実行されるIPL(Initial Program Loader)等が格納されている。HDD982cには、制御プログラムや各種データ等が記憶されている。CPU981は、HDD982cからRAM982aに読み込んだ制御プログラム等を実行することにより、各種機能を実現する。先に
図7に示した管制サーバ310および車載コントローラ150の内部は、制御プログラム等によって実現される機能をブロックとして示したものである。
【0062】
〈第1実施形態の動作〉
図16は、管制サーバ310が実行する制御プログラムのフローチャートである。
図16において処理がステップS701に進むと、荷姿情報推定部400(
図7参照)は、荷姿情報D10(荷積付方情報D11、固定状態情報D12、寸法情報D13、荷重量情報D14および荷ID情報D15)を生成する。すなわち、フォークリフト206(
図1参照)によって何れかの運搬物220がトラックバース202から仮置場204に搬送される際、荷重量推定部404は荷重センサ330の出力信号に基づいて、荷重量情報D14を出力し、さらに荷ID情報D15を出力する。
【0063】
また、当該運搬物220が仮置場204に置かれると、画像データV2,V4に基づいて、積付方法推定部401は荷積付方情報D11を生成し、荷固定方法推定部402は固定状態情報D12を生成し、荷寸法推定部403は寸法情報D13を生成する。そして、荷姿情報推定部400は、生成した荷姿情報D10を情報格納部500における荷姿情報格納部501に記憶させる。
【0064】
次に、処理がステップS702(安全走行限界算出過程)に進むと、安全走行限界算出部601は、荷姿情報D10と、車両モデル情報D20と、標準限界情報D60と、に基づいて、安全走行限界情報D80を生成する。次に、処理がステップS703(搬送時間算出過程)に進むと、搬送時間算出部602は、安全走行限界情報D80と、搬送経路情報D30と、に基づいて、搬送時間情報D90を生成する。
【0065】
次に、処理がステップS704(配車決定過程)に進むと、配車決定部603は、搬送時間情報D90に基づいて、搬送総和時間評価データD100を生成する。すなわち、配車決定部603は、搬送車両100と運搬物220との組合せのパターンを変化させながら、搬送総和時間評価データD100を生成する。
【0066】
次に、処理がステップS705(配車決定過程)に進むと、配車決定部603は、搬送指令D110を生成し、各搬送車両100に出力する。すなわち、配車決定部603は、搬送時間情報D90と、搬送総和時間評価データD100と、配車決定指標D40と、に基づいて、搬送総和時間評価データD100の中から何れか一つのレコードを選択し、選択したレコードの内容を搬送指令D110として出力する。
【0067】
次に、処理がステップS706に進むと、配車決定部603は、搬送作業が終了したか否かを判定する。ここで「No」と判定されると、ステップS705の処理が繰り返される。一方、ここで「Yes」と判定されると、本制御プログラムの処理が終了する。
【0068】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。なお、以下の説明において、上述した第1実施形態の各部に対応する部分には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
図17は、第2実施形態における配車システム300のブロック図である。
本実施形態において、管制サーバ310の運行管理部600は、安全走行限界更新部651を備えている。
【0069】
上述した第1実施形態において、安全走行限界算出部601は、荷姿情報D10と、車両モデル情報D20と、標準限界情報D60と、に基づいて安全走行限界情報D80を算出した。ここで、標準限界情報D60は、摩擦力や慣性モーメントを考慮した力学モデルに基づいて算出されたものであるが、力学モデルのモデル化誤差が生じる場合がある。また、搬送車両100の個体差等によって、車両モデル情報D20に対して、実際の搬送車両100の動特性が誤差を有する場合もある。
【0070】
以上のような理由により、搬送車両100が安全走行限界情報D80の限界付近で走行した場合、想定していた以上に荷崩れの兆候が現れることがある。荷崩れの兆候が現れると、搬送車両100側で減速制御が発生し、あるいは所望の走行限界値を搬送車両100の機体が実現できなくなる。その結果、配車計画時には想定していなかった減速が発生し、現場全体の搬送効率が低下する可能性がある。そこで、本実施形態においては、上述した問題を抑制するために、安全走行限界更新部651を設けている。
【0071】
まず、本実施形態において、各搬送車両100は、走行時における走行実績を表す走行時における走行実績データD150を、安全走行限界更新部651に供給する。ここで、走行実績データD150は、各搬送車両100の走行時における速度上下限、加速度上下限、角速度上下限、および角加速度上下限を含んでいる。安全走行限界更新部651は、各搬送車両100の車両モデル情報D20と、搬送した運搬物220の荷姿情報D10と、走行実績データD150と、に基づいて、安全走行限界情報D80の修正内容を規定する修正情報D160を出力する。
【0072】
安全走行限界算出部601は、次回以降の次回以降の入荷・出荷作業時において、修正情報D160に基づいて安全走行限界情報D80を更新する。これにより、次回以降において、搬送時間算出部602が算出する搬送時間情報D90、および配車決定部603が決定する搬送指令D110は、更新された安全走行限界情報D80に基づくものになる。なお、安全走行限界更新部651は、さらに、路面環境情報や、周辺障害物との相対位置、相対速度情報等の情報を受信し、これらの情報と、走行実績データD150と、に基づいて修正情報D160を算出してもよい。上述した以外の本実施形態の構成および動作は、第1実施形態のものと同様である。
【0073】
[実施形態の効果]
以上のように上述した実施形態によれば、搬送計画装置(310)は、積み重ねた複数の荷物224を含む運搬物220における複数の荷物224の積み方ST1~ST5を示す荷積付方情報D11を含む荷姿情報D10と、運搬物220を搬送する搬送車両100の走行性能を示す車両モデル情報D20と、に基づいて、搬送車両100が運搬物220を搬送する際に発生可能な加速度の上限値を含む安全走行限界情報D80を算出する安全走行限界算出部601と、安全走行限界情報D80と、運搬物220の搬送経路を示す搬送経路情報D30と、に基づいて、運搬物220の搬送時間を示す搬送時間情報D90を算出する搬送時間算出部602と、搬送時間情報D90に基づいて、搬送車両100の配車計画を決定し、該配車計画に基づいた搬送指令D110を搬送車両100に出力する配車決定部603と、を備える。これにより、複数の荷物224の積み方ST1~ST5に対応して、適切な搬送時間情報D90および搬送指令D110を算出できるため、搬送車両100の自動走行を適切に制御できる。
【0074】
また、荷姿情報D10は、荷積付方情報D11に加えて、複数の荷物224の固定状態を示す固定状態情報D12、運搬物220の寸法情報D13、または、運搬物220の荷重量情報D14のうち何れかを含むと一層好ましい。これにより、固定状態情報D12、寸法情報D13または荷重量情報D14に基づいて一層適切な搬送時間情報D90および搬送指令D110を算出できるため、搬送車両100の自動走行を一層適切に制御できる。
【0075】
また、搬送計画装置(310)は、運搬物220を撮影した画像データV2,V4に基づいて、荷物224の積み付け方を推定し、推定結果に基づいて荷積付方情報D11を出力する積付方法推定部401と、画像データV2,V4に基づいて、複数の荷物224の固定状態を推定し、推定結果に基づいて固定状態情報D12を出力する荷固定方法推定部402と、画像データV2,V4に基づいて、画像データから運搬物220の寸法を推定し、推定結果に基づいて寸法情報D13を出力する荷寸法推定部403と、荷重センサ330の出力に基づいて、運搬物220の荷重量を推定し、推定結果に基づいて荷重量情報D14を出力する荷重量推定部404と、をさらに備えると一層好ましい。これにより、荷積付方情報D11、固定状態情報D12、寸法情報D13および荷重量情報D14を自動的に取得できるため、作業員がこれらのデータを入力する手間を省くことができる。
【0076】
また、安全走行限界算出部601は、複数の荷物224の集合が所定の荷重と所定の荷高さとを有すると仮定した場合に搬送車両100が発生可能な加速度の上限値を含む標準限界情報D60と、荷姿情報D10と、に基づいて安全走行限界情報D80を算出するものであり、安全走行限界情報D80は、固定状態情報D12、寸法情報D13、または、荷重量情報D14に応じて異なる値になると一層好ましい。これにより、固定状態情報D12、寸法情報D13、または、荷重量情報D14に応じた、一層適切な安全走行限界情報D80を得ることができる。
【0077】
また、第2実施形態の搬送計画装置(310)のように、搬送車両100の走行実績データD150に基づいて、修正情報D160を出力する安全走行限界更新部651をさらに備え、安全走行限界算出部601は、修正情報D160に基づいて安全走行限界情報D80を更新すると一層好ましい。これにより、走行実績データD150が事前の想定から外れていた場合等において、走行実績データD150に基づいて一層適切な安全走行限界情報D80を得ることができる。
【0078】
[変形例]
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。上述した実施形態は本発明を理解しやすく説明するために例示したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について削除し、もしくは他の構成の追加・置換をすることが可能である。また、図中に示した制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上で必要な全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。上記実施形態に対して可能な変形は、例えば以下のようなものである。
【0079】
(1)上記実施形態における管制サーバ310および車載コントローラ150のハードウエアは一般的なコンピュータによって実現できるため、
図16に示したフローチャート、その他上述した各種処理を実行するプログラム等を記憶媒体(プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体)に格納し、または伝送路を介して頒布してもよい。
【0080】
(2)
図16に示した処理、その他上述した各処理は、上記実施形態ではプログラムを用いたソフトウエア的な処理として説明したが、その一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit;特定用途向けIC)、あるいはFPGA(Field Programmable Gate Array)等を用いたハードウエア的な処理に置き換えてもよい。
【0081】
(3)荷姿情報推定部400は必ずしも設ける必要はなく、荷積付方情報D11、固定状態情報D12、寸法情報D13、荷重量情報D14等は、作業員がこれらのデータをマニュアル入力してもよい。
【0082】
(4)情報格納部500は、管制サーバ310に設けず、ネットワーク上の他のデータサーバ(図示せず)等に設けてもよい。
【符号の説明】
【0083】
100 搬送車両
220 運搬物
224 荷物
300 配車システム(搬送システム)
310 管制サーバ(搬送計画装置、コンピュータ)
330 荷重センサ
401 積付方法推定部
402 荷固定方法推定部
403 荷寸法推定部
404 荷重量推定部
601 安全走行限界算出部
602 搬送時間算出部
603 配車決定部
651 安全走行限界更新部
V2 画像データ
V4 画像データ
D10 荷姿情報
D11 荷積付方情報
D12 固定状態情報
D13 寸法情報
D14 荷重量情報
D20 車両モデル情報
D30 搬送経路情報
D60 標準限界情報
D80 安全走行限界情報
D90 搬送時間情報
D110 搬送指令
D150 走行実績データ
D160 修正情報
S702 ステップ(安全走行限界算出過程)
S703 ステップ(搬送時間算出過程)
S704 ステップ(配車決定過程)
S705 ステップ(配車決定過程)
V2,V4 画像データ
ST1~ST5 積み方