(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177418
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】日本語入力システムの漢字情報変換
(51)【国際特許分類】
G06F 40/129 20200101AFI20231207BHJP
G06F 16/383 20190101ALI20231207BHJP
G06F 40/242 20200101ALI20231207BHJP
【FI】
G06F40/129
G06F16/383
G06F40/242
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090063
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】505292063
【氏名又は名称】有限会社新英プラナーズ
(72)【発明者】
【氏名】河野 拓治
【テーマコード(参考)】
5B091
5B109
5B175
【Fターム(参考)】
5B091AA13
5B091CB07
5B091CC16
5B091CC17
5B109MA01
5B109MA04
5B109MA11
5B109MB03
5B109MB12
5B109ME01
5B109ME13
5B109ME14
5B109ME21
5B109MG00
5B175DA09
5B175FB03
(57)【要約】
【課題】
従来の日本語入力システムは仮名を入力して漢字交じり文に変換することのみが目的であり、変換した漢字や外部から読み込んだ漢字に対して体系的な情報を提供する機能はなかった。
【解決手段】
本発明は、日本語入力システムで得られた仮名漢字変換の変換候補一覧から利用者が選ぶ漢字を変換用文字列(検索用文字列)として別途用意した漢字情報変換用辞書を検索・変換して当該漢字の読み、英語、日本語訳および用語属性を表示・出力できる方法である。外部から読み込んだ漢字に対しては本発明とは別に用意する再変換機能で対応する。本発明は多機能型日本語入力システムを構成する複数の機能のうちの項目(4)「日本語入力システムの漢字情報変換」でもある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ上で動作する応用プログラムに日本語を入力する「仮名漢字変換/KEARM変換式日本語入力システム」(特願2022-017542の完全一致検索型逐次変換式日本語入力システム)に、漢字情報変換機能を追加するために「漢字情報変換用辞書」および「漢字情報変換実行部」を組み込み、さらに操作に必要な論理キーである「漢字情報変換キー」を追加した日本語入力システム(以後、本システムと呼ぶ)において、
「漢字情報変換用辞書」は、「漢字」を見出しとし、「漢字の読み」、「英語」、「日本語訳」および「用語属性」の列方向の項目を含む表形式の辞書(
図7で示す)であり、
本システムに仮名を入力して逐次変換により表示された応用プログラム画面上の仮名漢字変換の変換候補一覧から、矢印キーまたはマウスで操作して利用者が情報を得たい漢字(以後、「情報を得たい漢字」と呼ぶ)が強調表示された状態で、「漢字情報変換キー」が押し下げられることにより「漢字仮名変換実行部」が主体となり以下のステップで実行する方法であって、
(1)「情報を得たい漢字」で、「漢字情報変換用辞書」内の見出しである漢字の項目を行方向に検索し、完全一致する漢字があれば、一致した「漢字」の行のすべての列方向の関連項目(すなわち、「漢字」、「漢字の読み」、「英語」、「日本語訳」および「用語属性」)の項目別文字列情報をそれぞれ変換候補として並べて変換候補一覧とし、「用語属性」の属性値が初期値の-1のときは変換候補の出力順位における先頭候補(変換第1候補)が「漢字」になるステップと、
(2)上記変換候補一覧の文字列データを、応用プログラムに送り、応用プログラム画面上に上書き表示させ、「情報を得たい漢字」の漢字の情報として漢字情報変換の変換候補一覧(例えば、
図9の(3)漢字情報変換画面)を表示させるステップと、
からなり、
上記ステップ(1)の「用語属性」の属性値を変えることにより、変換候補一覧における変換候補の出力順位のうち先頭の三つの候補、すなわち、「漢字」、「漢字の読み」および「英語」を、
図8の用語属性の属性値設定表に示すとおり変更(例えば、属性値を1に変えると
図11の(3)漢字情報変換画面になる)ができる、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の「仮名漢字変換/KEARM変換式日本語入力システム」(特願2022-017542の完全一致検索型逐次変換式日本語入力システム)を、JISX4064規格に準拠または準じる他の仮名漢字変換式日本語入力システムに置き換えたシステム(以後、本システムと呼ぶ)において、
本システムに仮名入力しただけでは仮名漢字変換の変換候補一覧が表示されない場合は、それぞれのシステムに固有の方法で変換候補一覧を表示させ、矢印キーまたはマウスで操作して利用者が情報を得たい漢字(以後、「情報を得たい漢字」と呼ぶ)が強調表示された状態にして、「漢字情報変換キー」が押し下げられることにより「漢字仮名変換実行部」が主体となり以下のステップで実行する方法であって、
以下、請求項1と同じステップ(1)と、
請求項1と同じステップ(2)と、
からなり、
上記ステップ(1)の「用語属性」の属性値を変えることにより、変換候補一覧における変換候補の出力順位のうち先頭の三つの候補、すなわち、「漢字」、「漢字の読み」および「英語」を、
図8の用語属性の属性値設定表に示すとおり変更ができる、
方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、「仮名漢字変換/KEARM変換式日本語入力システム」(非特許文献2の完全一致検索型逐次変換式日本語入力システムで、以後、仮名漢字変換/KEARM変換システムとも呼ぶ)に漢字情報変換機能を追加するために必要な構成部分を組み込んだシステム(以後、本システムとも呼ぶ)において、仮名漢字変換の逐次変換で得られた変換候補一覧から利用者が選ぶ漢字の候補を変換用文字列(検索用文字列)として別途用意した漢字情報変換用辞書を検索・変換し、当該漢字の読み、英語、日本語訳および用語属性を表示・出力できる方法である。
【0002】
仮名漢字変換/KEARM変換システムは、仮名漢字変換だけでなくKEARM変換および発音機能も含むが、本発明で利用者が選ぶ漢字は仮名漢字変換で得られる漢字である。したがって、請求項2で記載のとおり、本発明は、仮名漢字変換/KEARM変換システムだけでなく、KEARM変換や発音機能を含まないJISX4064規格に準拠または準じる他の仮名漢字変換式日本語入力システムにも適用できる。
【0003】
本発明は、非特許文献2の段落番号0025で記述の多機能型日本語入力システムの項目(4)「日本語入力システムの漢字情報変換」でもあり、
図12で示す多機能型日本語入力システムのブロック図において中央部分に位置する「漢字情報変換」及び「漢字情報変換用辞書」と、左側部分の「漢字情報変換キー」(いずれも背景をドットパターンのブロックで示す)に相当する。
図12の多機能型日本語入力システムは、仮名漢字変換/KEARM変換システム(背景を灰色のブロックで示す部分)を基幹部として12項目の機能を付加したシステムである。
【背景技術】
【0004】
日本語入力システムは仮名を入力して漢字交じり文に変換することが目的である。変換済みの漢字や外部から読み込んだ漢字に対し、従来システムには再変換機能が用意してあり、当該漢字を漢字の「読み」に戻し、得られた「読み」を使い、再度、仮名漢字変換を行い別の候補を含む変換候補一覧を表示する方法がとられている。また漢字の意味や使用方法を補足的に説明するシステムもあるが、漢字の読み、英語、日本語訳のように漢字の体系的な情報を表示・出力させる日本語入力システムはなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】仮名漢字変換システムの基本機能 JISX4064: 2002
【0006】
【非特許文献2】仮名漢字変換/KEARM変換式日本語入力システム 特願2022-017542(段落番号0237~0239、
図50)
【0007】
【非特許文献3】日本語入力システムのKEARM学習変換 特願2022-080529(段落番号0023~0026、
図2~3、
図6~7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
漢字の体系的な情報を提供するには従来の仮名漢字変換に使う仮名漢字変換用辞書では不十分であり、仮名漢字変換用辞書だけでは漢字の補足的な情報を提供することに限られる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
仮名漢字変換用辞書とは別に、日本語入力システムに漢字を目次とした漢字情報変換用辞書を組み込み、漢字情報が必要と思われる漢字に対しては、当該漢字で漢字情報変換用辞書を検索・変換して漢字の読み、英語、日本語訳、用語属性などを表示・出力できるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】「仮名漢字変換/KEARM変換式日本語入力システム」に、仮名情報変換機能を追加するために必要な構成部分(点線で囲んだ箇所)を組み込んだシステムのブロック図
【
図3】
図2の「漢字情報変換実行部」53の動作説明図
【
図5】
図3の「仮名漢字変換/KEARM変換実行部」4~33の動作説明図
【
図9】実施例1 漢字情報変換の画面遷移図(用語属性値-1)
【
図10】実施例2 漢字情報変換用辞書の登録漢字「儒教」の用語属性値を1に変更
【
図11】実施例3 漢字情報変換の画面遷移図(用語属性値1)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本書では各種用語を使うので、先に用語の説明をしておく。JISX4064規定用語及びコンピュータ用語はここには含めない。仮名漢字変換/KEARM変換システムおよび当該システムに漢字情報変換機能を追加するために必要な構成部分を組み込んだ
図2で示すシステムともに用語説明のレベルでは差異はないので、段落番号0011~0012の用語説明では限定的に両システムともに本システムと呼ぶ。本発明では仮名漢字変換/KEARM変換システムが持つ仮名漢字変換の機能のみを使い、他の機能であるKEARM変換や発音機能は使っていない。したがって本書では仮名漢字変換/KEARM変換システムが持つ機能であるKEARM変換や発音機能についての説明は略している。
【0012】
(A)用語のまとめ
用語は順不同で個別に説明してある。
(ア)日本語入力システム
仮名漢字変換式日本語入力システム(JISX4064で規定、又はそれに準じるシステム)であってコンピュータキーボードおよび十分な大きさのモニターと組み合わせるパソコン用日本語入力システムである。検索方式には、完全一致検索による「一括変換式」と前方一致検索による「予測変換型」がある。仮名漢字変換/KEARM変換システムは一括変換式ではあるが、変換起動部があり1文字入力ごとに完全一致検索による一括変換を繰り返す「逐次変換式」である。「予測変換型」も前方一致検索による逐次変換式ではあるが、ここでは完全一致検索による逐次変換式を「逐次変換式」としている。
(ア)(a)一括変換式
JISX4064規格の仮名漢字変換システムは、文字列を入力後、利用者が変換キーを押すと、入力文字列を漢字の読みとして文節分けし、文頭から順に完全一致検索・変換を行う。変換後、文節の区切り位置変更や文節単位での別候補の選択などの編集もできる。最後に確定キーを押し各文節の変換結果の文字列を確定文字列として応用プログラムに入力する。
(ア)(b)予測変換型
1~3文字入力すると、システムが自動的に変換を開始し、入力文字列を漢字の読みとし、前方一致検索を基にシステムが予測変換候補を複数提示し利用者が希望する候補を順次選択して確定文字列を作成していく方式。ただし、利用者が候補を選択しないで入力し続けるとだんだん予測変換候補が少なくなり、最後は完全一致検索による候補一つになり、(c)逐次変換式と同じような動作になる。
(ア)(c)逐次変換式
JISX4064規格の完全一致検索・一括変換方式を踏襲し、かつ、1文字入力ごとに新たに変換を開始する変換起動部を付加した完全一致検索型逐次変換式システムである。この方式の特徴は、入力文字列に完全対応した変換候補を逐次出せることにある。一括変換式と同様に変換後の編集もできる。
(イ)入力モード
平仮名、片仮名、全角英数、半角片仮名、半角英数及びMPモードの6つのモードと日本語入力システムが介入しない直接入力モードがある。最初の5つのモードは市販のシステムと同じで逐次変換の入力に使う。MPモードは既存の文字列の読み込みに使うが、本発明では使わない。
(ウ)出力言語選択スイッチ
KEARM変換用なので本発明では使わない。
(エ)辞書
逐次変換では仮名漢字変換用辞書、ユーザー辞書および自動生成辞書を使う。仮名漢字変換用辞書は標準的な内容なので変更はできない。ユーザー辞書は標準装備されたツールで利用者が登録語句を追加・削除できる。自動生成辞書は逐次変換で英数記号・符号の処理のためシステムが必要に応じ自動的に作成・削除する。漢字情報変換用辞書は(ス)漢字情報変換の項で説明する。
(エ)(a)仮名漢字変換用辞書
図4で示す構造の辞書であり、仮名で見出しの「読み」を検索し対応する漢字を得ることで仮名漢字変換を行う。
(エ)(b)ユーザー辞書
仮名漢字変換用辞書と同じ構造の辞書で、仮名漢字変換用辞書の補助用に使う。システムに標準装備されたツールで語句を追加・削除できる。
(エ)(c)自動生成辞書
英数記号・符号などを処理するため、システムが当該文字列を自動的に専用の辞書に登録する。逐次変換で使い更新はされず変換終了後、上書き削除される。
(オ)変換モード
逐次変換、新予測変換、KEARM優先変換及びMPモードがあるが、本発明では逐次変換モードのみを使う。
(オ)(a)逐次変換モード
1文字入力ごとに完全一致検索による変換を行うモードで、仮名漢字変換、ANS変換、KEARM変換及び自動生成辞書変換を行う。KEARM変換は本発明では使わない。漢字情報変換もこのモードで実行する。
(カ)動作モード
ND、ADP、AD及びARPモードがある。単語・語句などの単文節の変換はNDモードのみ使い、文章の変換ではND --> ADP --> ADモードの順で変換を行う。漢字情報変換はADモードで実行する。ARPモードは本発明では使わない。
(カ)(a)ND(Non-Div)
単語・語句などの単文節の変換に使う。複文節となる文字列の変換でも最初は単文節か否かのチェックが必要なためNDモードから変換を始める。
(カ)(b)ADP(AutoDivProcess)
複文節となる文字列を第1文節から順次、文節分けし、仮名漢字変換、ANS変換、KEARM変換または自動生成辞書変換を行う。ADPモードでの変換の目的は、各文節の最も適した変換候補を選ぶこと。KEARM変換は本発明では使わない。
(カ)(c)AD(AutoDiv)
ADPでの変換終了後、ADモードで第1文節に戻り、入力バッファss11[0]を変換用文字列として再度変換する。以後、左右の矢印キーで文節移動した場合も同様に入力バッファss11[n](nは文節番号0~49)を変換用文字列として変換を行う。ADモードでの変換をAD変換と呼ぶ。AD変換の目的は変換候補を最大数得ること。ただし逐次変換画面の標準では5候補に限定している。漢字情報変換は変換候補一覧表示後の動作なのでADモードで行う。漢字情報変換では5候補表示の画面を使う。
(キ)入出力文字表示
応用プログラムの画面上で入出力文字列を表示する部分。この部分は画面枠はないが表示構造を持つ画面であり、表示する文字列は表示属性に沿って下線表示をする。入力文字列は同じ文字種である表示用文字列となり入力文字表示として使われる。逐次変換モードでは変換候補一覧画面への遷移後は表示用文字列ではなく選択候補である変換結果を表示する。
(キ)(a)入力文字列
キーボードから本システムに入力される文字列であるが、入力処理部で表示用文字列と変換用文字列に分けられ、実際に入力表示に使われるのは同じ文字種の表示用文字列である。
(キ)(b)表示用文字列
入力文字列と同じ文字種で応用プログラムの入出力文字表示の画面で入力文字列の表示用に使われる。
(キ)(c)変換用文字列
逐次変換モードで変換時の検索用入力として使われる文字列で、入力文字列が仮名の場合は全角片仮名が使われる。英数文字記号・符号では入力文字列がそのまま変換用文字列となる。漢字情報変換では変換候補一覧表示の選択候補である漢字が変換用文字列となる。
(キ)(d)表示属性
逐次変換モードでの入出力文字表示は、表示属性を指定して文字列に特有の下線を引く。標準設定では、逐次変換画面の表示属性は「入力」(点線)で、変換候補一覧画面では、利用者が作業中の分節を「変換済み注目文節」(実線太線)とし、その他の文節を「変換済み文節」(実線細線)で区別する。
(キ)(e)変換結果
逐次変換画面から変換候補一覧画面への遷移後に入出力文字表示に表示される文字列は選択された候補であり変換結果と呼ぶ。変換操作遷移キーによる初動操作では変換第1候補が変換結果になるが、マウスで直接他の候補を選ぶこともできる。複文節では当該文節だけではなく第1文節から最終文節までの出力バッファss12[n](nは文節番号0~49)を組み合わせた文字列になる。確定キーを押すと変換結果の文字列が確定文字列となる。漢字情報変換は変換候補一覧画面への遷移後の動作であるが逐次変換モードで行うので変換後の処理は逐次変換とほぼ同じになる。
(ク)逐次変換画面
逐次変換モードで文字列を入力しただけの画面であるが、仮名漢字変換/KEARM変換システムには変換起動部があるので1文字入力ごとに逐次変換を行い、単文節では変換候補一覧を表示し、複文節では各文節の変換第1候補を組み合わせた文字列を表示する。入出力文字表示は入力文字列と同じ文字種である表示用文字列を表示する。漢字情報変換は変換候補一覧画面で行うのでこの画面では変換は行わない。
(ク)(a)変換出力(逐次変換画面用)
変換出力は変換して得られた文字列出力であり、仮名漢字変換およびANS変換では以下のように処理する。単数または複数の変換出力を統合し優先度を基に一元化した出力が変換情報szBufzになる。
(1)仮名漢字変換では、仮名漢字変換用辞書及びユーザー辞書を使い、1文字入力ごとに変換用文字列を入力として検索・変換を行う。例えば、変換用文字が「シ」で、得られた変換候補が「し」、「市」、「氏」、「死」・・・の場合、これらの変換候補を時系列順に並べて文字変数に保存し、文字列情報「し 市 氏 シ 死 ・・・」を得る。この文字列情報が変換出力になる。変換出力の各候補の末端には制御文字\0を置く。変換出力は辞書の品詞等により階級分け(項番と呼ぶ)し、副詞・名詞(項番4)は文字変数szBufa、名詞+助詞(項番5)は文字変数szBufb、動詞(項番8)は文字変数szBufc、ユーザー辞書(主として項番2)は文字変数UserDicに保存する。
(2)ANS変換は、仮名漢字変換ができない英数記号・符号の変換であり、JIS規格と同様に広義には仮名漢字変換の機能に含まれる。ANS変換では、ユーザー辞書、自動生成辞書を使うか、または辞書を使わず専用プログラムで変換し、数字・記号は全角/半角変換または半角/全角変換を行い、数字は漢数字変換も行われるが、括弧などの符号は類似の各種符号に変換される。変換された文字列を候補としてまとめた文字列情報が変換出力となる。変換出力の各候補の末端には制御文字\0を置く。名詞(項番4)は文字変数szBufa、名詞+助詞(項番5)は文字変数szBufb、ユーザー辞書(主として項番2)は文字変数UserDic、単文節のプログラム変換(項番1、項番6)による変換出力は文字変数szSymbolに保存する。
(ク)(b)逐次変換確定キー
逐次変換画面の変換第1候補は、変換時における入力文字列(及び表示用文字列)に対して一対一で対応する出力で、かつ、最も適した変換候補である。また変換第1候補が選択候補になっているので、逐次変換画面ではこの論理キー(物理キーはShift+Enterキー)を押せば変換第1候補を確定文字列として出力できる。市販の予測変換型は入出力が一対一に対応していないので必ず利用者が候補選択するというステップが必要である。
(ケ)新予測変換
本発明では使わない。
(コ)変換候補一覧画面(変換操作画面とも呼ぶ)
逐次変換画面から変換操作遷移キーを押すと変換操作画面である変換候補一覧を表示する画面になる。漢字情報変換はこの画面で実行する。実行後の処理もこの画面の処理とほぼ同じである。
(コ)(a)出力順位(変換候補一覧画面用)
変換候補一覧画面の変換候補の出力順位(変換第1候補を先頭とする配置順)は、変換操作遷移キーを押して変換候補一覧画面に遷移した場合は逐次変換画面の出力順位と同じである。
(コ)(b)変換出力(変換候補一覧画面用)
変換候補一覧画面では左右への文節移動またはマウスで任意の文節をクリックしたとき、各文節の入力バッファss11[n](nは0~49)の文字列を入力としてAD変換が行われる。逐次変換画面の変換と同様にAD変換で得られた候補の文字列を時系列順に並べて文字変数に保存し変換出力とする。例えば、仮名漢字変換では「し 市 氏 シ 死 ・・・」のように文字変数に保存し、変換出力とする。ANS変換では全角/半角変換または半角/全角変換、漢数字変換や各種文字種変換による変換出力になる。いずれの変換出力も各候補の末端には制御文字\0を置く。仮名入力では仮名漢字変換、英数記号入力ではANS変換またはKEARM変換になるが、本発明ではKEARM変換は使わない。変換出力のまとめ方は、(ク)(a)変換出力(逐次変換画面用)とほぼ同じで、最終の変換出力を文字変数szBufzに保存し変換情報とする。
(コ)(c)変換操作遷移
逐次変換画面から変換候補一覧画面に遷移させる操作である。変換操作遷移キーは論理キーであり物理キーは用途で異なる。仮名漢字変換の逐次変換モードでは、Spaceキーなどを使う。マウスで直接希望する候補をクリックすれば同様の働きと同時に候補選択もできる。標準では変換候補は逐次変換と同じで最大5つまでの変換候補一覧を表示する。変換候補を最大数表示させるときは物理キーとして[変換]キーを使う。
(コ)(d)選択候補
変換候補一覧画面で希望する候補を矢印キーやマウスで選択できる。選択された候補は選択候補と呼ぶ。仮名漢字変換では単独の選択候補となり背景色は薄青になる。逐次変換モードでは選択候補は変換結果になる。漢字情報変換では選択候補が変換用文字列となる。
(サ)仮名漢字変換
仮名を入力して漢字交じり文に変換すること。JISX4064で規定の仮名漢字変換では英数記号・符号の変換も含むので、逐次変換モードでも広義の仮名漢字変換は(シ)ANS変換も含む。
(シ)ANS変換
逐次変換で、英数記号・符号をANS(AlphaNumeric and Symbol)と呼ぶ。ANSの全角英数記号は半角英数記号に変換(全角/半角変換)し、半角英数記号は全角英数記号に変換(半角/全角変換)し、それぞれの変換用文字列と対にして2つの変換候補にする。数字の場合は漢数字にも変換する。括弧などの符号は各種の類似符号に変換する。
(ス)漢字情報変換
仮名漢字変換で得られた変換候補一覧から利用者が選ぶ漢字の候補を変換用文字列として別途用意した漢字情報変換用辞書を検索・変換して当該漢字の読み、英語、日本語訳および用語属性を表示・出力する。
(ス)(a)漢字情報変換キー
漢字情報変換を開始する論理キー(物理キーはShift+スペースキー)
(ス)(b)漢字情報変換用辞書
漢字を目次として、漢字の読み、英語、日本語訳および用語属性の項目を持つ辞書
(ス)(c)漢字情報変換用辞書の用語属性
漢字情報変換用辞書の登録項目である用語属性の初期値は記号で「/」数値では-1であり、用語属性の属性値を変えると漢字情報変換の変換候補の出力順位を変えることができる。
(セ)会話文変換、(ソ)再変換機能、(タ)メモ機能、(チ)漢字仮名変換、(ツ)漢字引き仮名変換、(テ)文章分割・変換、(ト)KEARM変換、(ナ)用語属性、(ニ)KEARM学習変換、(ヌ)KEARM定型変換、(ネ)KEARM詳細変換、(ノ)KEARM優先変換
いずれも本発明では使わない。
(ハ)用語情報
英数記号・符号は下記のとおりANS(Alpha-Numeric and Symbol)コード1~4で区別している。仮名漢字変換用辞書およびユーザー辞書に登録している用語には、要素情報として下記のとおりa~?のyougoCodeが付けてあり、数値換算で5~33に対応させている。両者を組み合わせた1~33を静的情報とし、さらに変換出力szBufa~szBufcで得られた動的情報(名詞、動詞、形容詞などの判断)を加味した1~256を用語情報として変換候補ごとにszBufzcode[n](nは0~499の候補番号)に保存する。prevCodeは変換第1候補であるszBufzcode[0]の用語情報で次の文節の変換時の情報として使う。次の文節との関係に格助詞が入る場合に使うprevCode1もある。szBufzcode[n]は変換候補を画面に表示させるときに下線を引いたり背景色を変えるために使う。
(ハ)(a)ANSコード(英数記号・符号Alpha-Numeric and Symbol)を数値1~4に対応させる。
1:数字 2:英字 3:記号(#$等)4:符号(「 」等)
(ハ)(b)yougoCode(必要に応じて使うのですべてを使うわけではない)
下記のコード(a ~ ?)を数値5~33に対応させる。
a:名字 b:名前 c:国名or東京の地名 d:東京以外の地名 e:苗字・名前兼用・中性名詞 f:人系名詞1(~監督、~君等)g:人系名詞2(被害者、大工等)h:人間の五体部分 i:食用植物 j: 乗物 k:期間(~週間等) l:動物 m:時期(3月等)n:自然現象 o:地形・古跡 p:連体詞・接続詞 q:中国語r:片仮名の擬態語 s: メモ機能t:漢数字 v:一般動詞w:五段活用音便2の動詞 x:形容詞 y:形容動詞z:動詞系名詞(驚き等)以降省略 ?:旧市町村名(与野市等)
下記のコード(*および+)は、上記コード(a ~ ?)に付加して併用できる。
*: 漢字情報変換で使われ、付加すると数値では+120され、変換候補の背景色を黄色にする。
+: 仮名漢字変換の確定を2回行うと付加され、付加すると数値で+80され、該当する用語は優先使用される。
(ハ)(c)prevCode(必要に応じて使うのですべてを使うわけではない)
0:無し 1:数字 2:英字 3:記号($等)4:符号(「、{等) 5:名字 6:名前 7:国名or東京の地名 8:その他の地名 9:名字・名前兼用・中性名詞 10:人系名詞1(~さん、~君等)11:人系名詞2(被害者、大工等)12:人間の五体部分 13:食植物 14: 乗物 15:期間(~週間等) 16:動物 17:時期(3月等)18:自然現象 19:地形・古跡 20:連体詞・接続詞 21:第一候補以外の名字 22: メモ機能39:名詞節 40:漢数字 60:動詞(未然形含む)61:動詞(連用形)62:動詞(終止・連体形)70:形容詞1 (次節が名詞形)71:形容詞2(次節が動詞または名詞形)80:副詞相当 81:動詞形副詞(~て、~で)以降省略 94:KEARM変換実施節 97:AR変換実施節102~118:複合動詞の処理(買い続ける等)126:KEARM定型変換実施節 130:漢字仮名変換実施節
(ハ)(d)prevCode1(次節との関係に格助詞が絡む場合に使う。必要時のみ使う)
0:無し 1:人系名詞+格助詞(被害者が通う) 2:数量名詞+格助詞(3枚はある)3:人間の五体部分+格助詞(足を押さえる)5:食用植物+格助詞(みかんの皮 )6:乗物+格助詞(バスの車内)7:地域+格助詞(新潟で地震)8:時間・期間+格助詞(3月に会う)11:無使用 12:地形・古跡+格助詞(城の跡)
(ハ)(e)szBufzcode[n](nは候補番号0~499)
szBufzcode[n]は変換された全候補の用語情報で、n番目の候補の背景色を変えたり下線を引いたりする情報に使う。
(ヒ)変換情報
逐次変換では仮名漢字変換、ANS変換およびKEARM変換の変換出力szBufa~szBufc、UserDic、szSymbolの文字列から得られた最終の変換出力が変換情報szBufzとなる。本発明ではKEARM変換は使わない。複文節の逐次変換画面から変換操作遷移キー(Spaceキーや矢印↓キーなど)を押すと、AD変換が行われる。左右の矢印キーを押すと文節移動が行われ同様にAD変換を行う。AD変換においても変換出力szBufa~szBufcおよびUserDicの文字列情報から得られた最終の変換出力が変換情報szBufzとなる。変換情報は変換候補一覧を示す文字列情報である。
(フ)出力情報
逐次変換の出力情報は、単文節の変換候補一覧情報を示す変換情報szBufzか、複文節の各文節の変換出力の変換第1候補を並べたss12[0]~ss12[n](nは文節番号0~49)を示す文字列情報かにより異なる。単文節の変換情報か複文節の文字列情報かで判断し、文字変数szBufCanに保存して出力情報とする。このとき標準では変換情報の変換候補は最大5つに制限する。AD変換の出力情報は、各文節の変換候補一覧情報を示す変換情報szBufzとなる。
(ヘ)文節情報(抜粋のみ)
用語情報はそれぞれの文節の情報であり候補ごとの情報を持つが、文節情報は文節代表としての情報である。文節情報を示す文字変数はArrayAuto[n][m]である。nは文節番号で0~49、mは0~12である。
(ヘ)(a)ArrayAuto[n][2]: 文節情報
用語情報yougoCodeを保存する。
(ヘ)(b)ArrayAuto[n][5]: 文節情報
用語情報prevCodeを保存する。
(ヘ)(c)ArrayAuto[n][6]: 文節情報
用語情報prevCode1を保存する。
(ホ)入力バッファ/出力バッファ
複文節の変換では各文節の変換用文字列と変換後得られる変換情報の変換第1候補または選択候補を各文節ごとに保存しなければならない。そのための文節ごとに文字列を保存するためのバッファである。入力、出力および補助用にKER用バッファがあり、最大50(nは文節番号0~49)まで文節分けができる。文字列は128まで保存可能。
入力バッファss11[n][128]: 各文節の変換用文字列を保存。
出力バッファss12[n][128]: 各文節の変換第1候補または選択候補を保存。
KERバッファss12k[n][128]: 補助用。
(マ)関数一覧(抜粋のみ、標準関数は含まず)
ほとんどは本発明用に新規開発したもので、一部は既存の関数に機能追加したもの。
(a)AddCharN: 出力文字表示実行用関数
(b)ChangeDatabaseAttribute: 用語属性値変更用関数
(c)ConvCandidate: 変換候補表示実行用関数
(d)ConvPhrase: 仮名漢字変換/ANS変換/KEARM変換/漢字仮名変換/漢字情報変換実行用関数
(e)DicWrite: ユーザー辞書登録用関数で自動生成辞書の登録にも使う
(f)GetRefaWord: 仮名英語組合せ情報取得用関数
(ミ)変数(抜粋のみ)
(a)AD: ADモードのとき1となる
(b)ArrayStart: 逐次変換画面時は-1、変換操作画面時は注目文節番号(0~49)
(c)ArraywAdd[n][m]: 変換候補表示文字の語尾長(nは文節0~49、mは0~511)
(d)ChikujiHenkan: 逐次変換モードのとき1となる
(e)KanjiHenkan: 漢字入力による変換のときに1となる
(f)KanjiJouhouHenkan: 漢字情報変換実行時1となる
(g)nArray: 文節番号0~49の整数
(h)nEnable: 文書解析用整数
(i)nLength: 文書解析用補助整数
(j)n1: NDモードでの変換用文字変数ss1の文字長
(k)n1Auto: ss1Autoの文字長
(l)ss1: 文字変数として多用途に使う
(m)ss1Auto: ADP及びARPモードでの変換用文字変数
(n)ss1Cand: 出力文字表示用文字変数
(o)ss5[n]: 変換候補表示用文字変数(nは候補番号0~499)
(p)szBuf: 変換文字列収集用文字変数(単独情報収集用)
(q)szBuf3: 変換補助情報用文字変数
(r)szBufCan: 変換終了時の出力情報用文字変数
(s)szBufa: 名詞(項番4)の変換出力用文字変数
(t)szBufb: 名詞+助詞(項番5)の変換出力用文字変数
(u)szBufc: 動詞(項番8)の変換出力用文字変数
(v)szBufz: 最終の変換出力用文字変数(変換出力の一元化情報)
(w)szBufzcode[n]: 変換終了時の用語情報、nは候補番号0~499
(x)szSymbol: プログラム変換出力用文字変数
(y)UserDic: ユーザー辞書変換出力用文字変数
(z)yougotitle: 書込み文字列代入用文字変数1
(α)yougo: 書込み文字列代入用文字変数2
(β)yougomode: ユーザー辞書書込みモード用整数
(B)動作説明および実施例
【0013】
本発明が動作可能なシステムは、「仮名漢字変換/KEARM変換式日本語入力システム」(非特許文献2の完全一致検索型逐次変換式日本語入力システムで、以後、仮名漢字変換/KEARM変換システムと呼ぶ)に
図2に示すとおり、漢字情報変換を実行するために必要な構成部分(点線で囲んだ箇所)を組み込んだシステムであり、以後、本システムと呼ぶ。ただし本発明では、仮名漢字変換以外で使う「KEARM変換用辞書」38、「出力言語選択スイッチ」39および「KEARM変換音声出力部」40は使用しないので、本発明の漢字情報変換の機能は、市販の殆どの仮名漢字変換システムにも適用できる。
【0014】
図1の「仮名漢字変換の変換候補一覧画面」70cで変換候補一覧画面の漢字候補のうち、矢印キーまたはマウスで漢字情報を得るための漢字を選択し、漢字情報変換キー(論理キーであり、物理キーはShift+スペースキー)を押すと、
図2の「漢字情報変換実行部」53が起動信号を出し「仮名漢字変換/KEARM変換実行部」4~33を作動させ、選択された漢字を変換用文字列(検索用文字列)とし、「漢字情報変換用辞書」42の見出しの漢字を検索し、完全一致する漢字の関連する項目の文字列情報を変換候補として抽出する方法である。「漢字情報変換用辞書」42は
図7で示すようにKEARM変換用辞書の書式に合わせているため空欄や未使用の項目もあるが、使用する項目として、見出しの漢字、漢字の読み、英語、日本語訳および用語属性の順序で並べてある。簡単な漢字の漢字情報は不要と思われるので、漢字情報変換用辞書には必要な漢字のみ登録する。例えば「儒教」を漢字情報変換用辞書に登録すると、仮名漢字変換用辞書に登録されている「儒教」には
図4の「儒教」36bのように用語情報用文字変数yougoCodeとして「*」を付加させる。仮名漢字変換で「*」が付加されている漢字が変換候補一覧画面で候補として選択されると通常の背景色の薄青色ではなく背景色を黄色にして利用者が判別できるようにしている。実施例1として、漢字「儒教」の用語属性の属性値が初期値の-1である場合の漢字情報変換の動作例を示す。実施例1の実行画面は
図9で示す。
【実施例0015】
図9の(1)逐次変換画面と(2)変換候補一覧画面は、非特許文献2の
図50の(1)逐次変換画面と(2)変換候補一覧画面の2画面と同じであり、両画面の動作は非特許文献2の段落番号0237~0239で説明してある。本書の段落番号0014で記述のとおり、
図4で示す仮名漢字変換用辞書の「儒教」36bにはyougoCode「*」が付加されており、これにより変換第1候補の用語情報szBufzcode[0]が120以上となり、逐次変換画面から変換操作遷移キーを押して変換候補一覧画面に遷移したときに、
図9(2)変換候補一覧画面の「儒教」82aのように変換第1候補の漢字「儒教」の背景色が通常の薄青色ではなく黄色になる。変換候補一覧画面で変換候補を選択したとき背景色が黄色になる場合、当該漢字は漢字情報変換用辞書に登録されているので漢字情報変換を実行できる。
【0016】
図9(2)変換候補一覧画面から漢字情報変換を実行するための操作キーとして、漢字情報変換キー(論理キーであり、物理キーはShift+スペースキー)を新設している。物理キーとして使っているShift+スペースキーはJISX4060規格では別の機能に割り付けてあるが、キーの絶対数に限りがあるので新しい機能を追加するには古い機能と置き換える必要があることは仕方ないことである。古い機能をそのまま使う必要がある場合は、漢字情報変換キーの物理キーをF11~12キーなど他のキーに割り付けてもよい。
【0017】
図7で示すとおり、表形式の漢字情報変換用辞書の列方向の項目が「漢字」、「漢字の読み」、「英語」、「日本語訳」および「用語属性」となっている。漢字情報変換ではKEARM変換と同様に、「用語属性」の属性値で変換候補の出力順位を変えられる。
図8で示すとおり、用語属性の属性値の初期値は記号「/」で数値では-1であり、0~1の範囲で変更できる。実施例1では属性値が初期値の-1の動作例である。漢字情報変換の動作を
図3の説明図で示す。
【0018】
図3の「漢字情報変換キー操作」71aで漢字情報変換キーを押すと、「漢字情報変換を実行するための変数の設定」71bで各種変数の設定をする。漢字情報変換は逐次変換モードで実行するため、変数ChikujiHenkan = 1、動作モード用変数AD = 1、注目文節番号を示す整数ArrayStart = 0、漢字情報変換を示す変数KanjiJouhouHenkan = 1、入力が漢字であること示す変数KanjiHenkan = 1となる。次に、「仮名漢字変換/KEARM変換実行分」4~33を構成する関数ConvPhraseをADモードで起動し、AD変換を行う。
【0019】
「仮名漢字変換/KEARM変換実行分」4~33のAD変換時の変換用文字列は
図3の「変換候補表示実行部」34aから取り出した文字列ss5[n](nは候補番号)が入力となる。「儒教」の場合、変換第1候補なのでss5[0]である。「仮名漢字変換/KEARM変換実行分」4~33の動作は
図5で説明する。
【0020】
図5のADから起動され、「変換開始」から「動作モード」4の判断に入り、ADから出てOR入力で「変換部」9のAD変換に入る。「変換部」9のAD変換の入力部分を2本の平行線で示しているのはORゲートを簡易的に示したものであり以降の全ての図面でも同様に使う。変換用文字列はss5[0]で漢字の「儒教」である。「変換部」9の動作は
図6で説明する。
【0021】
図6の行番1~2、動作モードAD、項番4~5、変換用文字列が漢字「儒教」となるが、「儒教」には格助詞が付いていないので、行番1、動作モードAD、項番4、変換用文字列「儒教」で漢字情報変換用辞書の検索・変換を行う。「儒教」は
図7で示すとおり漢字情報変換用辞書に登録されているので、表形式の漢字情報変換用辞書の「漢字」の項目を変換用文字列「儒教」で検索し、一致する漢字「儒教」を含む行の列方向の各項目の文字列情報を変換候補として抽出する。このとき「儒教」の用語属性の属性値が初期値の-1なので
図8の用語属性の属性値設定表で示すとおり、先頭候補が漢字、第2候補が「読み」、第3候補が英語となり「儒教 ジュキョウ Confucianism 前6-5世紀の孔子の思考体型 /」の変換出力szBufaを得る。変換出力の各候補の末端には制御文字\0を置く。
図5に戻り「変換部」9のADから出てOR入力で「出力選択」14bに入る。ここで変換出力szBufaを変換情報szBufzとして保存する。次の「単/複出力選択」21では逐次変換の結果が単文節なので変換情報szBufzがそのまま出力情報szBufCanになり「変換成功」で終了となる。出力情報szBufCanは、
図3の「変換候補表示部・文字出力部」34~35に入る。
【0022】
図3の「変換候補表示部・文字出力部」34~35の最初の部門「変換候補表示部」34の「変換候補表示実行部」34aで関数ConvCandidateを実行し、出力情報をコンピュータ管理の変換候補用構造体に送る。「変換候補表示実行部」34aで得られた変換候補表示情報ss5[0]~ss5[n](nは候補数-1で、本実施例では4)を基に「変換候補表示部」34は、「変換候補一覧表示要求」34cをコンピュータに送り「変換候補一覧表示を描く関数等」48の諸関数で「変換候補一覧表示」50のサイズや位置を決め、変換候補一覧を表示した画面が
図9(3)漢字情報変換画面の「儒教 ジュキョウ Confucianism 前6-5世紀の孔子の思考体型 /」86a~89である。変換候補一覧画面で、「儒教」86aは漢字、「ジュキョウ」86bは漢字の読み、「Confusianism」86cは英語、「前6-5世紀の孔子の思考体系」88は日本語訳、「/」89は用語属性である。
【0023】
次に
図3の「文字出力部」35の「文字列出力選択」35bに入り、単文節なので出力としてss5[n](nは候補番号)を選ぶ。選択候補として変換第一候補が選ばれているので選択候補番号 = 0で文字列出力はss5[0]の「儒教」である。ここで「儒教」を文字変数ss1Candに格納する。次に「出力文字表示実行部」35cは出力文字表示実行用関数AddCharNを実行しss1Candの「儒教」をコンピュータ管理の編集用構造体に送る。以上の結果を基に「文字出力部」35は、「出力文字表示要求」35dをコンピュータに送り「入出力文字表示を描く関数等」47の諸関数で応用プログラムの画面「入出力文字表示」49のサイズや位置を決めた後、当該画面上に選択候補「儒教」を
図9(3)漢字情報変換画面の「儒教」87のように太線の下線付きで変換結果として表示させる。
【0024】
実施例1での「儒教」の用語属性値が初期値の-1の場合の説明どおり、用語属性の初期設定では「漢字」候補が先頭候補になる。本システムのように完全一致検索型逐次検索式日本語入力システムでは、予測変換型日本語入力システムと違い、逐次変換画面で逐次変換確定キーを押せばわざわざ候補の選択をしなくても先頭候補を確定出力にできるので先頭候補(変換第1候補)の設定は重要である。そのため、実施例2として、実施例1で挙げた漢字「儒教」の用語属性値を初期値の-1から1に変更する実施例を示す。用語属性値を変更するしくみは非特許文献3のKEARM学習変換の技術を応用したものである。この技術を簡単に説明すると、KEARM変換の逐次変換画面の変換候補のうち先頭候補(変換第1候補)にしたい候補をクリックすれば、次回以降の変換ではクリックした候補を先頭候補にできる技術である。実施例2の実行画面は
図10で示す。
【0025】
図10の(1)逐次変換画面、(2)変換候補一覧画面および(3)漢字情報変換画面は、実施例1の
図9の(1)逐次変換画面、(2)変換候補一覧画面および(3)漢字情報変換画面の3画面と同じ画面であり、段落番号0015~0023で動作説明済みである。漢字情報変換用辞書の用語属性値を1に変更するには、
図8の用語属性の属性値の設定表のとおり、変換候補の英語が先頭になるように設定する変更である。したがって用語属性値を初期値の-1から1に変更するには、漢字情報変換画面で変換候補の英語をクリックすればよい。具体的な動作を
図3で説明する。
【0026】
図3の「クリック操作」71cのとおり、
図10の(3)漢字情報変換画面の英語「Confucianism」86cをクリックする。引用文献3のKEARM学習変換では、クリックした候補の文字列の検出は画面のパターンから判断するが、漢字情報変換では漢字と仮名の「読み」および英語の三つの候補だけなので、クリックされた候補の文字列が半角英数であれば、当該候補が英語であると判断できる。現時点では漢字情報変換用辞書は英語版のみしか用意していないが、KEARM変換用辞書のように10か国版を作ることも可能である。10か国版を作れば英語とラテン文字の言語である仏語などを判別するためには文字列だけでなくKEARM学習変換にように画面の四種類の配置パターンから判断する必要がある。10か国版は
図7の漢字情報変換用辞書の最終列(現在は半角のハイフンが置かれている)にそれぞれの言語の単語を置けばよい。
【0027】
KEARM学習変換で用語属性の属性値をKEARM変換用辞書に書込む方法は特許文献3の段落番号0023~0026と
図2~3と
図6~7で説明している。一方、漢字情報変換の用語属性はKEARM学習変換の用語属性のように3桁の区別がないので関数ChangeDatabaseAttribute(nAttribute, Eimoji, Katakana, Code)への指定は、整数nAttributeはnAttribute = 3の固定でよい。次に、表形式の辞書である漢字情報変換用辞書の「儒教」の位置を探すために英語とカタカナ語の両方で検索し両立することで「儒教」の行を特定する。そのため文字変数Eimojiに「Confucianism」を格納し、文字変数Katakanaに「ジュキョウ」を格納する。「儒教」の行を特定すると、列方向の項目である「用語属性」の欄に書き込む16進の属性値をCodeとすると Code = 0x31(ASCII文字コードは1)にすればよい。これらの情報を基に、ChangeDatabaseAttribute( nAttribute, Eimoji, Katakana, Code)を実行し、漢字情報変換用辞書の漢字「儒教」の用語属性欄に属性値1を書き込む。
【0028】
段落番号0021で記述の実施例1の
図9の(3)漢字情報変換画面の説明と同様に、
図10の(3)漢字情報変換画面の漢字情報変換で得られた文字列情報「儒教 ジュキョウ Confucianism 前6-5世紀の孔子の思考体型 /」が変換出力szBufaに保存され、同じ文字列情報が変換情報szbufzに保存され、最終的に「仮名漢字情報/KEARM変換実行部」4~33の出力情報szBufCanに保存されている。ただし実施例2では段落番号0027で記述のとおり、当該文字列情報の情報源である漢字情報変換用辞書の漢字「儒教」の用語属性の数値か-1から1に書き換えられたので、「仮名漢字情報/KEARM変換実行部」4~33の出力情報szBufCanも書き換えられ、「儒教 ジュキョウ Confucianism 前6-5世紀の孔子の思考体型 1」となる。次に、得られた出力情報szBufCanは
図3の「変換候補表示部・文字表示部」34~35に入る。以降の動作を
図3で説明する。
【0029】
出力情報szBufCanは、「変換候補表示部・文字表示部」34~35の最初の部門「変換候補表示部」34の「変換候補表示実行部」34aに入る。「変換候補表示実行部」34aは変換候補表示実行用関数ConvCandidateを実行し、出力情報szBufCanの文字列情報をコンピュータ管理の変換候補用構造体に送る。「変換候補表示実行部」34aで得られた変換候補表示情報ss5[0]~ss5[n](nは候補数-1、本実施例では4)を基に「変換候補表示部」34は、「変換候補一覧表示要求」34cをコンピュータに送り「変換候補一覧表示を描く関数等」48の諸関数で応用プログラムの画面「変換候補一覧表示」50のサイズや位置を決めた後、当該画面上に変換候補表示情報ss5[0]~ss5[4]を
図10(4)漢字情報変換画面(用語属性1)の「儒教 ジュキョウ Confucianism 前6-5世紀の孔子の思考体型 1」86~89のように表示させる。変換候補の末端に制御文字\0があるので変換候補ごとに改行されて表示される。クリックされた「Confucianism」86cが選択候補となり背景色が薄青となる。
【0030】
次に「変換候補表示部・文字表示部」34~35の第2部門「文字出力部」35に入り、「変換操作?」35aのYから出て、「文字列出力選択」35bに入る。逐次変換の結果が単文節なので「文字列出力選択」35bで選択候補のss5[2]のConfucianismを選択し、変数ss1Candに格納する。次に「出力文字表示実行部」35cは出力文字表示実行用関数AddCharNを実行し、ss1Candの選択候補Confucianismをコンピュータ管理の編集用構造体に送る。以上の結果を基に「文字出力部」35は、「出力文字表示要求」35dをコンピュータに送り「入出力文字表示を描く関数等」47の諸関数で応用プログラムの画面「入出力文字表示」49のサイズや位置を決めた後、当該画面上に選択候補Confucianismを
図10(4)漢字情報換画面(用語属性1)の「Confucianism」87のように太線の下線付きで変換結果として表示させる。次は、実施例3として、実施例2で変更した「儒教」の用語属性値1の状態で「儒教」の漢字情報変換を実行する実施例を示す。実施例3の実行画面を
図11で示す。
【0031】
図11の(1)逐次変換画面と(2)変換候補一覧画面は、実施例1の
図9の(1)逐次変換画面と(2)変換候補一覧画面の2画面と同じ画面であり、両画面とも非特許文献2の
図50の(1)逐次変換画面と(2)変換候補一覧画面と同じで、画面の動作は非特許文献2の段落番号0237~0239で説明している。本書の実施例1の段落番号0015で説明したとおり、「儒教」は、登録している仮名漢字変換用辞書にyougoCode「*」が付加されており、これにより変換第1候補「儒教」の用語情報szBufzcode[0]が120以上となる。「儒教」の用語情報の数値が120以上であると、逐次変換画面から変換操作遷移キーを押して変換候補一覧画面に遷移したときに、通常の選択候補の背景色の薄青ではなく選択候補の背景色が黄色になる。変換候補を選択したとき背景色が黄色になる場合、漢字情報変換を実行できる。
【0032】
漢字情報変換用辞書は、
図7で示すとおり、列方向の項目が「漢字」、「漢字の読み」、「英語」、「日本語訳」および「用語属性」となっており、「用語属性」の属性値を変えると、文字列抽出時の先頭の3候補となる「漢字」、「漢字の読み」および「英語」の出力順位を変えられる。属性値が1の場合は、
図8の用語属性の属性値設定表で示すとおり先頭候補は「英語」となる。漢字情報変換の動作を
図3で説明する。
【0033】
図3の「漢字情報変換キー操作」71aで漢字情報変換キーを押すと、「漢字情報変換を実行するための変数の設定」71bで各種変数の設定をする。漢字情報変換は逐次変換モードで実行するため、変数ChikujiHenkan = 1、動作モード用変数AD = 1、注目文節番号を示す整数ArrayStart = 0、漢字情報変換を示す変数KanjiJouhouHenkan = 1、入力が漢字であること示す変数KanjiHenkan = 1となる。次に、「仮名漢字変換/KEARM変換実行分」4~33を構成する関数ConvPhraseをADモードで起動し、AD変換を行う。
【0034】
「仮名漢字変換/KEARM変換実行分」4~33のAD変換時の変換用文字列は
図3の「変換候補表示実行部」34aから取り出した文字列ss5[n](nは候補番号)が入力となる。「儒教」の場合、変換第1候補なのでss5[0]である。「仮名漢字変換/KEARM変換実行分」4~33の動作は
図5で説明する。
【0035】
図5のADから起動され、「変換開始」から「動作モード」4の判断に入り、ADから出てOR入力で「変換部」9のAD変換に入る。変換用文字列はss5[n](nは候補番号)で変換第1候補はss5[0]で「儒教」である。「変換部」9の動作は
図6で説明する
【0036】
図6の行番1~2、動作モードAD、項番4~5、漢字情報変換が対象となるが、変換用文字列「儒教」には格助詞が付いていないので、行番1、動作モードAD、項番4で漢字情報変換を行う。「儒教」は漢字情報変換用辞書に登録されているので、表形式の漢字情報変換用辞書の「漢字」の項目を変換用文字列「儒教」で検索し、一致する漢字「儒教」の行の列方向の各項目の文字列情報を変換候補として抽出する。このとき「儒教」の用語属性の属性値が1なので
図8の用語属性の属性値設定表で示すとおり、先頭候補が英語、第2候補が「読み」、第3候補が漢字となり「Confucianism ジュキョウ 儒教 前6-5世紀の孔子の思考体型 1」の変換出力szBufaを得る。変換出力の各候補の末端には制御文字\0を置く。
図5に戻り「変換部」9のADから出てOR入力で「出力選択」14bに入る。ここで変換出力szBufaを変換情報szBufzとして保存する。次の「単/複出力選択」21では逐次変換の結果が単文節なので変換情報szBufzがそのまま出力情報szBufCanになり「変換成功」で終了となる。出力情報szBufCanは、
図3の「変換候補表示部・文字出力部」34~35に入る。出力情報の動作を
図3で説明する。
【0037】
図3の「変換候補表示部・文字出力部」34~35の最初の部門「変換候補表示部」34の「変換候補表示実行部」34aで関数ConvCandidateを実行し、出力情報をコンピュータ管理の変換候補用構造体に送る。「変換候補表示実行部」34aで得られた変換候補表示情報ss5[0]~ss5[n](nは候補数-1で、本実施例では4)を基に「変換候補表示部」34は、「変換候補一覧表示要求」34cをコンピュータに送り「変換候補一覧表示を描く関数等」48の諸関数で「変換候補一覧表示」50のサイズや位置を決め、先頭に候補番号を付加し変換候補一覧を表示した画面が
図11(3)漢字情報変換画面の「Confucianism ジュキョウ 儒教 前6-5世紀の孔子の思考体型 1」86a~89である。実施例1との違いは変換候補の順序が異なる。
【0038】
次に
図3の「文字出力部」35の「文字列出力選択」35bに入り、単文節なので出力としてss5[n](nは候補番号)を選ぶ。選択候補として変換第一候補が選ばれているので選択候補番号 = 0で文字列出力は「Confucianism」である。ここで「Confucianism」を文字変数ss1Candに格納する。次に「出力文字表示実行部」35cは出力文字表示実行用関数AddCharNを実行しss1Candの「Confucianism」をコンピュータ管理の編集用構造体に送る。以上の結果を基に「文字出力部」35は、「出力文字表示要求」35dをコンピュータに送り「入出力文字表示を描く関数等」47の諸関数で応用プログラムの画面「入出力文字表示」49のサイズや位置を決めた後、当該画面上に選択候補「Confucianism」を
図11(3)漢字情報変換画面の「Confucianism」87のように太線の下線付きで変換結果として表示させる。