(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177433
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】情報処理システム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/06 20120101AFI20231207BHJP
G06Q 30/0601 20230101ALI20231207BHJP
【FI】
G06Q20/06
G06Q30/06 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090096
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】591112522
【氏名又は名称】株式会社ACCESS
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(72)【発明者】
【氏名】宮木 良磨
(72)【発明者】
【氏名】宮本 武彦
【テーマコード(参考)】
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
5L049BB26
5L055AA22
(57)【要約】 (修正有)
【課題】利用者とコンテンツ提供側の双方に対して一層の利益をもたらす仕組みを構築するための情報処理システム方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】コイン管理サーバ、事業者クライアント、サービス提供サーバ及び複数の利用者クライアントが、公衆回線やVPN(Virtual Private Network)等の閉域網の通信回線よりなるネットワークを介して相互通信可能に接続されるシステム1において、コイン管理サーバ10は、利用者によるサービスの利用状況を取得する取得部100と、取得部100が取得した利用状況に応じて、利用者に対するデジタル通貨のレートを設定する設定部100bと、を備え、サービスが提供するコンテンツの商取引に用いられるデジタル通貨のレートを管理する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サービスが提供するコンテンツの商取引に用いられるデジタル通貨のレートを管理する情報処理システムであって、
利用者による前記サービスの利用状況を取得する取得部と、
前記取得部により取得された利用状況に応じて、前記利用者に対する前記デジタル通貨のレート を設定する設定部と、を備える、
情報処理システム。
【請求項2】
前記利用者による前記サービスの利用状況と前記デジタル通貨の変動レートとを関連付けたテーブルを備え、
前記設定部は、
前記取得部により前記利用者による前記サービスの利用状況が取得される毎に、前記テーブルのなかから、対応する利用状況を検出し、
検出された利用状況に関連付けられた変動レートに基づいて前記利用者に対する前記デジタル通貨のレートを更新する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
装置からのコマンドの入力を受け付ける入力受付部と、
前記入力受付部により受け付けられたコマンドに応じて、前記テーブル内で各前記利用状況に関連付けられた前記変動レートを個別に調整するレート調整部と、を備える、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記設定部は、前記取得部により取得された利用状況に応じて、前記利用者に対する、前記デジタル通貨の実質的な販売レートを設定する、
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記設定部は、前記取得部により取得された利用状況に応じて、前記利用者が保有する、前記デジタル通貨の量を設定する、
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
サービスが提供するコンテンツの商取引に用いられるデジタル通貨のレートを管理するコンピュータが実行する方法であって、
利用者による前記サービスの利用状況を取得し、
前記取得された利用状況に応じて、前記利用者に対する前記デジタル通貨のレートを設定する、方法。
【請求項7】
サービスが提供するコンテンツの商取引に用いられるデジタル通貨のレートを管理するコンピュータが実行するプログラムであって、
利用者による前記サービスの利用状況を取得し、
前記取得された利用状況に応じて、前記利用者に対する前記デジタル通貨のレートを設定する、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の開示は、情報処理システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子書籍や動画、ゲーム等のコンテンツの電子商取引が行われている。この種の電子商取引では、利用者に対するサービスの一環として、例えば、クーポンを発行したりポイントを付与したりするという、コンテンツの販売を促進するための仕組みが導入されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
商取引の形態や運用方法等が多様化するなかで、利用者とコンテンツ提供側の双方に対して一層の利益をもたらす新たな仕組みの導入が恒常的に模索されている。
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、利用者とコンテンツ提供側の双方に対して一層の利益をもたらす仕組みを構築するための情報処理システム、方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る情報処理システムは、サービスが提供するコンテンツの商取引に用いられるデジタル通貨のレートを管理するシステムであり、利用者による前記サービスの利用状況を取得する取得部と、前記取得部により取得された利用状況に応じて、前記利用者に対する前記デジタル通貨のレート を設定する設定部と、を備える。
【0007】
本発明の一実施形態に係る方法は、サービスが提供するコンテンツの商取引に用いられるデジタル通貨のレートを管理するコンピュータが実行する方法である。この方法では、利用者による前記サービスの利用状況が取得され、前記取得された利用状況に応じて、前記利用者に対する前記デジタル通貨のレートが設定される。
【0008】
本発明の一実施形態に係るプログラムは、サービスが提供するコンテンツの商取引に用いられるデジタル通貨のレートを管理するコンピュータが実行するプログラムである。このプログラムでは、利用者による前記サービスの利用状況が取得され、前記取得された利用状況に応じて、前記利用者に対する前記デジタル通貨のレートが設定される。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、利用者とコンテンツ提供側の双方に対して一層の利益をもたらす仕組みを構築するための情報処理システム、方法及びプログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係るシステムの全体図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るコイン管理サーバの構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る利用者マスタの一例を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るレート変動マスタの一例を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るレートテーブルの一例を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る購入履歴テーブルの一例を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る利用履歴テーブルの一例を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る保有コインテーブルの一例を示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る適用イベントテーブルの一例を示す図である。
【
図10】本発明の一実施形態において、利用者が電子書籍サービスを利用する際(具体的には、コインを購入する際)の処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図11】本発明の一実施形態において、利用者が電子書籍サービスを利用する際(具体的には、コインを消費する際)の処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図12】本発明の一実施形態において、利用者が電子書籍サービスを利用する際の処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図13】本発明の一実施形態において、利用者による電子書籍サービスの利用状況に応じて変動するレートの一例を示す図である。
【
図14】本発明の一実施形態において、事業者が変動レートを調整する際の処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図15】本発明の別の一実施形態において、利用者が保有するコインの量を設定する処理の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照して、本発明の一実施形態に係る情報処理システム、情報処理システムに含まれるコンピュータにより実行される方法及びプログラムについて詳細に説明する。
【0012】
本実施形態では、電子書籍サービスが提供するデジタルコンテンツの一例である電子書籍の電子商取引に用いられるデジタル通貨のレートを管理する情報処理システム、方法及びプログラムについて説明する。
【0013】
本実施形態において、電子書籍は、電子的に記録された書籍全般を指し、例えば、小説、漫画、雑誌、実用書、文芸書、児童書、絵本、ビジネス書、写真集、イラストレーション等である。電子書籍は、例えば、「電子ブック」、「デジタル書籍」、「デジタルブック」、「Eブック」、「オンライン書籍」と呼ばれてもよい。
【0014】
本実施形態において電子商取引の対象となるものは電子書籍に限らない。動画(実写映像、アニメーション等)やゲーム等の別の形態のデジタルコンテンツを電子商取引の対象とする場合も本発明の範疇である。
【0015】
デジタルコンテンツの電子商取引は、デジタルコンテンツを取り扱う事業者と利用者との間の取引であり、例えば、利用者によるデジタルコンテンツの購入、レンタル等を含む。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係るシステム1(情報処理システムの一例)の全体図である。システム1は、コイン管理サーバ10、事業者クライアント20、サービス提供サーバ30、利用者クライアント40を含む。システム1に含まれる各部は、例えば、公衆回線やVPN(Virtual Private Network)等の閉域網の通信回線よりなるネットワーク2を介して、相互通信可能に接続される。
【0017】
コイン管理サーバ10は、システム1に含まれるコンピュータの一例であり、電子書籍の電子商取引に用いられるデジタル通貨の、利用者毎のレートを管理する。本実施形態において、当該電子商取引に用いられるデジタル通貨は、例えば「コイン」と呼称される。
【0018】
事業者クライアント20は、例えば、電子書籍のIP(Intellectual Property)ホルダが有する、汎用のPC(Personal Computer)である。一例として、このIPホルダは、電子書籍の出版社である。
【0019】
サービス提供サーバ30は、例えば、出版社が出版する電子書籍の電子商取引のサービス(以下「電子書籍サービス」と記す。)を提供する汎用のWebサーバである。サービス提供サーバ30は、電子書籍の出版社自体が運用してもよく、また、出版社とは別の事業者が運用してもよい。
【0020】
利用者クライアント40は、電子書籍サービスを利用する利用者が有する、汎用の端末装置であり、例えば、スマートフォン、フィーチャフォン、タブレット端末、PC、PDA(Personal Digital Assistant)、ゲーム機等である。
【0021】
概説すると、本実施形態において、システム1に含まれるコイン管理サーバ10は、利用者による電子書籍サービスの利用状況をサービス提供サーバ30から取得し、取得された利用状況に応じて、利用者に対するコインのレートを設定する。一例として、電子書籍サービスを頻繁に利用する利用者に対して実質的にコインが増えるようなレート設定を行う。これにより、利用者の購買意欲を向上させるとともに電子書籍の販売利益の増加を達成する。
【0022】
図2は、本発明の一実施形態に係るコイン管理サーバ10の構成を示すブロック図である。
図1に示されるように、コイン管理サーバ10は、汎用のハードウェア構成を有しており、制御部100、通信インタフェース部110、ストレージ120を備える。なお、
図2では、本実施形態の説明に必要な主たる構成要素を図示しており、例えばコイン管理サーバ10として必須な構成要素である筐体など、一部の構成要素については、その図示を適宜省略する。
【0023】
制御部100は、コイン管理サーバ10全体を制御するものであり、CPU100A、RAM(Random Access Memory)100B、ROM(Read Only Memory)100C、入出力ポート100D及びこれらのポートを結ぶバスライン等よりなるマイクロコンピュータである。
【0024】
CPU100Aは、ストレージ120に記憶されたプログラム122を読み込み、読み込まれたプログラム122に従ってコイン管理サーバ10を制御する。CPU100Aは、機能ブロックとして、取得部100a、設定部100b、入力受付部100c、レート調整部100dを備える。
【0025】
プロセッサの一例であるCPU100Aは、例えばシングルプロセッサ又はマルチプロセッサであり、少なくとも1つのプロセッサを含む。複数のプロセッサを含む構成とした場合、CPU100Aを含む制御部100は、単一の装置としてパッケージ化されたものであってもよく、また、コイン管理サーバ10内で物理的に分離した複数の装置で構成されてもよい。
【0026】
RAM100Bは、プログラムやデータを一時的に記憶するメモリであり、ワークエリアを提供する。RAM100Bは、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)である。
【0027】
ROM100Cは、各種プログラム及びデータを記憶する不揮発性メモリである。ROM100Cは、例えばフラッシュメモリである。
【0028】
入出力ポート100Dは、制御部100と他の構成要素(具体的には、通信インタフェース部110、ストレージ120)とを接続する。
【0029】
通信インタフェース部110は、他の装置との通信処理を担うインタフェースである。コイン管理サーバ10は、通信インタフェース部110により、公衆回線やVPN等の閉域網の通信回線を介して他の装置と相互通信可能に接続される。
【0030】
ストレージ120は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等の二次記憶装置であり、上述したように、プログラム122を記憶する。
【0031】
プログラム122は、電子書籍の電子商取引に用いられるコインの、利用者毎のレートを管理するためのプログラムである。プログラム122は、利用者による電子書籍サービスの利用状況を取得し、取得された利用状況に応じて利用者に対するコインのレートを設定する、という一連の処理を、コンピュータの一例であるCPU100Aに実行させる。プログラム122の実行により、例えば、利用者とコンテンツ提供側(事業者)の双方に対して一層の利益をもたらすことができる。
【0032】
ストレージ120は、利用者マスタ210、レート変動マスタ220、レートテーブル230、購入履歴テーブル240、利用履歴テーブル250、保有コインテーブル260、適用イベントテーブル270を保持する。
【0033】
ストレージ120に保持された各種テーブルについて説明する。
【0034】
利用者は、例えば、利用者クライアント40を用いてコイン管理サーバ10へアクセスして、コイン管理サーバ10の利用登録を行う。補足すると、利用者は、利用者クライアント40が有するブラウザ又は専用のアプリケーション(例えばコイン管理サーバ10を運用する事業者が提供するアプリケーション)を用いて、コイン管理サーバ10へアクセスする。
【0035】
利用登録の際に利用者クライアント40で入力された利用者の各種情報が利用者マスタ210に登録される。
【0036】
図3に、利用者マスタ210の一例を示す。
図3に例示されるように、利用者マスタ210には、利用者識別子、利用者の氏名、ログインID、パスワード、メールアドレス、電話番号等の情報が登録される。「利用者識別子」は、コイン管理サーバ10が利用登録した利用者に割り当てる、利用者毎のユニークな識別子である。
【0037】
レート変動マスタ220には、発生したアクションに応じてコインのレートを変動させるためのイベント情報が登録される。
図4に、レート変動マスタ220の一例を示す。
図4に例示されるように、レート変動マスタ220には、イベントID、変動レート、適用アクション、適用変数1、適用変数2、適用上限、及び適用期間(適用開始時間と適用終了時間)の情報が登録される。
【0038】
「適用アクション」は、電子書籍サービスの利用状況を示すパラメータである。適用アクションとして、例えば、電子書籍サービスへのログイン、未ログイン、購入・閲覧した電子書籍の情報(作家、ジャンル等)、同一シリーズのまとめ買い、コインの購入、消費等が挙げられる。
【0039】
「変動レート」は、適用アクションに応じたレートの変動値を示す。ここで、レートは、コインの単位量あたりの実質的な価格を示すと同時に、有償コインに対して付与される無償コイン数を示す。
【0040】
利用者は、例えば、電子書籍サービスを通じて、例えば1コインあたり1円で有償コインを購入することができる。レートが1.0000の場合、利用者は、100円で100枚の有償コインを獲得し、また、無償コインを獲得しない。レートが2.0000の場合、利用者は、100円で100枚の有償コインを獲得するとともに、100枚の無償コインを獲得する。
【0041】
前者の場合、100円で100枚のコインを獲得できるため、コイン1枚あたりの実質的な価格が1円であり、また、有償コイン1枚あたりの無償コイン付与数がゼロ枚である。後者の場合、100円で200枚のコインを獲得できるため、コイン1枚あたりの実質的な価格が0.5円であり、また、有償コイン1枚あたりの無償コイン付与数が1枚である。
【0042】
なお、利用者に不当な不利益を与えないように、レートは、1.0000未満にはならない。
【0043】
「適用変数1」、「適用変数2」は、適用アクションの具体的内容を定義するパラメータである。
【0044】
「適用上限」は、適用アクションに応じたレートの変動を適用する上限回数を示す。
【0045】
「適用開始時間」と「適用終了時間」で定められる適用期間は、適用アクションに応じたレートの変動を適用する期間を示す。
【0046】
例えば、イベントID「E1」のレコードには、適用アクションとして「ログイン」が登録される。より詳細には、イベントID「E1」のレコードには、適用期間内において利用者が適用変数1で定義される日数(2日)連続で電子書籍サービスにログインすると、コインのレートが0.0002上昇すること、及び2日連続ログインによるレートの上昇が最大10回まで適用されること、を示す情報が登録される。
【0047】
例えば、イベントID「E2」のレコードには、適用期間内において利用者が適用変数1で定義される日数(3日)連続で電子書籍サービスにログインしないと、コインのレートが0.0020下落すること、を示す情報が登録される。
【0048】
例えば、イベントID「E3」のレコードには、利用者が適用期間内でジャンルがファンタジーの作品を適用変数2で定義される数(3つ)読了すると、コインのレートが0.0010上昇すること、及び上記作品を3つ読了することによるレートの上昇が最大1回まで適用されること、を示す情報が登録される。
【0049】
例えば、イベントID「E4」のレコードには、適用期間内において利用者が適用変数1で定義される数(300)のコインを購入すると、コインのレートが0.0020上昇すること、及び300コインの購入によるレートの上昇が最大1回まで適用されること、を示す情報が登録される。
【0050】
このように、レート変動マスタ220は、利用者によるサービスの利用状況(例えば適用アクション)とデジタル通貨の一例であるコインの変動レートとを関連付けたテーブルの一例である。
【0051】
レートテーブル230には、利用者毎のレートが登録される。
図5に、レートテーブル230の一例を示す。
図5に例示されるように、レートテーブル230には、利用者識別子、現在レート、前回レート、更新日時の情報が登録される。「現在レート」、「前回レート」は、それぞれ、利用者に対して設定された現在のレート、1つ前のレートを示す。「更新日時」は、現在のレートに更新された日時を示す。
【0052】
購入履歴テーブル240には、利用者によるコインの購入履歴が登録される。
図6に、購入履歴テーブル240の一例を示す。
図6に例示されるように、購入履歴テーブル240には、利用者識別子、シーケンスナンバ、購入時の現在レート、購入日時、購入価格、有償コイン、無償コインの情報が登録される。
【0053】
「シーケンスナンバ」は、購入履歴テーブル240の各レコードに登録される通し番号である。「購入時の現在レート」は、コイン購入時に利用者に設定されていた現在レートを示す。「購入日時」、「購入価格」は、それぞれ、コインの購入日時、購入価格を示す。「有償コイン」は、購入したコインの枚数を示す。「無償コイン」は、コイン購入時に付与された無償コインの枚数を示す。購入したコインの枚数と購入時の現在レートとの乗算値が、コイン購入時に付与された無償コインの枚数となる。
【0054】
利用履歴テーブル250には、利用者によるコインの利用履歴が登録される。
図7に、利用履歴テーブル250の一例を示す。
図7に例示されるように、利用履歴テーブル250には、利用者識別子、商品ID、商品価格、消費日時、消費有償コイン、消費無償コインの情報が登録される。
【0055】
「商品ID」、「商品価格」は、それぞれ、電子書籍の識別子、価格(言い換えると、消費コイン枚数)を示す。「消費日時」は、コインが消費された日時を示す。「消費有償コイン」、「消費無償コイン」は、それぞれ、消費された有償コインの枚数、無償コインの枚数を示す。
【0056】
利用者が電子書籍をコインで購入する際、付与日時の古い無償コインが最優先で消費される。消費可能な無償コインがなくなると、購入日時の古い有償コインから順に消費される。
【0057】
保有コインテーブル260には、利用者が保有するコインの情報が登録される。
図8に、保有コインテーブル260の一例を示す。
図8に例示されるように、保有コインテーブル260には、利用者識別子、保有有償コイン、保有無償コインの情報が登録される。
【0058】
「保有有償コイン」、「保有無償コイン」は、それぞれ、利用者が保有する有償コインの枚数、無償コインの枚数を示す。保有コイン数は、購入履歴テーブル240と利用履歴テーブル250に登録されている情報から算出される。
【0059】
適用イベントテーブル270には、利用者に適用されたイベントの情報が登録される。
図9に、適用イベントテーブル270の一例を示す。
図9に例示されるように、適用イベントテーブル270には、利用者識別子、適用イベントID、適用日時の情報が登録される。
【0060】
「適用イベントID」は、利用者に適用されたレート変動のイベントID(レート変動マスタ220参照)を示す。「適用日時」は、レート変動のイベントが適用された日時を示す。
【0061】
本実施形態では、各種テーブルがストレージ120に保持された構成を例示するが、各種テーブルの格納場所はこれに限らない。例えば、システム1に含まれる別の装置(不図示)に各種テーブルが保持される構成も、本発明の範疇である。
【0062】
図10は、システム1の各部により実行される処理の一例を示すシーケンス図である。
図10のシーケンス図は、利用者がコインを購入する際の処理を示す。
図10を含む各シーケンス図の説明に登場する利用者は、「利用者AA」とする。
【0063】
利用者AAは、利用者クライアント40を用いて、サービス提供サーバ30が提供するWebサイトにアクセスし、Webサイト上で販売されるコインを購入する(ステップS101)。利用者AAは、既定枚数のコイン(例えば、980コイン(=980円)、2,080コイン(=2,080円)、3,060コイン(=3,060円)等)又は任意に選択した枚数のコインを購入することができる。
【0064】
なお、コイン購入時におけるサービス提供サーバ30と利用者クライアント40との間の電子決済処理には、例えば本件特許出願に係る発明が属する技術分野において周知の方法が採用される。そのため、両者間で実行される電子決済処理の具体的な説明は省略する。
【0065】
サービス提供サーバ30は、購入情報D1をコイン管理サーバ10へ送信する(ステップS102)。送信される購入情報D1には、例えば、購入者である利用者AAの情報(氏名等)、アクション情報(コインの購入)、コインの購入枚数(言い換えると購入価格)、購入日時等の情報が含まれる。
【0066】
このように、コイン管理サーバ10(より詳細には、処理の実行主体であるCPU100A)は、利用者によるサービスの利用状況(一例として、電子書籍サービスにおける利用者のコイン購入情報)を取得する取得部100aとして動作する。
【0067】
コイン管理サーバ10は、購入情報D1に含まれる利用者AAの情報をキーとして利用者マスタ210を参照し、対応する利用者識別子U1を特定する(ステップS103)。
【0068】
コイン管理サーバ10は、購入情報D1に含まれる各情報をキーとしてレート変動マスタ220を参照し、該当するレコードを検索する。該当するレコードが見付かった場合、コイン管理サーバ10は、当該レコードに登録された変動レート(便宜上「変動レートVR1」と記す。)を取得する(ステップS104)。該当するレコードが見付からない場合、コイン管理サーバ10は、変動レートVR1を取得することなく、次の処理に進む。
【0069】
例示的には、コイン管理サーバ10は、レート変動マスタ220のなかから、購入情報D1に含まれる購入日時が適用期間内であるレコードを検索し、検索されたレコード群を、「適用アクション」として「purchase」が登録されたレコードに絞り込む。コイン管理サーバ10は、「適用アクション」として「purchase」が登録されたレコード群を、購入情報D1に含まれる購入枚数と合致する「適用変数1」が登録されたレコード(便宜上「レコードR1」と記す。)に絞り込む。
【0070】
コイン管理サーバ10は、絞り込まれたレコードR1のイベントIDを取得する。コイン管理サーバ10は、適用イベントテーブル270のなかから、利用者識別子U1のレコードをチェックして、これまでに利用者AAに対して適用されたレコードR1のイベントの適用回数を取得する。適用回数が「適用上限」に登録された値未満であれば、コイン管理サーバ10は、レコードR1に登録された変動レートVR1を取得する。適用回数が「適用上限」に登録された値以上であれば、コイン管理サーバ10は、レコードR1に登録された変動レートVR1を取得しない。
【0071】
コイン管理サーバ10は、ステップS104にて取得された変動レートVR1に基づいて利用者AAのコインのレートを更新する(ステップS105)。
【0072】
具体的には、コイン管理サーバ10は、レートテーブル230を更新する。レートテーブル230において、利用者識別子U1の「前回レート」に登録された値と変動レートVR1との加算値が、利用者識別子U1の「現在レート」に登録される。
【0073】
例えば、更新前の現在レートが1.0190で、変動レートVR1が+0.0010である場合を考える。この場合、「現在レート」が1.0200に更新される。また、利用者識別子U1の「前回レート」が、利用者識別子U1の直近の「現在レート」である1.0190に書き換えられる。
【0074】
このように、コイン管理サーバ10(より詳細には、処理の実行主体であるCPU100A)は、取得部100aにより取得された利用状況に応じて、利用者に対するデジタル通貨の一例であるコインのレートを設定する設定部100bとして動作する。附言するに、設定部100bとして動作するコイン管理サーバ10は、取得部100aにより利用者によるサービスの利用状況が取得される毎に、テーブルの一例であるレート変動マスタ220のなかから、対応する利用状況(例えば適用アクション)を検出し、検出された利用状況に関連付けられた変動レートに基づいて利用者に対するコインのレートを更新する。
【0075】
上述したように、レートは、有償コインに対して付与される無償コイン数を示す。設定部100bにより設定されるレートに応じて利用者が獲得するコインの総数(有償コインと無償コインの合計枚数)が変動する。これは、コインの単位量あたりの価格が実質的に変動することを意味する。すなわち、設定部100bとして動作するコイン管理サーバ10は、取得部100aにより取得された利用状況に応じて、利用者に対する、コインの実質的な販売レートを設定する。
【0076】
コイン管理サーバ10は、更新後の現在レートから購入時に付与される無償コインの枚数を算出する(ステップS106)。例えば、購入価格が980円(=980コイン)であり、更新後の現在レートが1.050である場合を考える。この場合、無償コインの付与枚数として49枚が算出される。
【0077】
コイン管理サーバ10は、各種テーブルを更新する(ステップS107)。
【0078】
具体的には、コイン管理サーバ10は、購入履歴テーブル240に新たなレコードを作成し、作成されたレコードに、ステップS106にて算出された無償コインの付与枚数を含む各種情報を登録する。また、コイン管理サーバ10は、保有コインテーブル260において利用者識別子U1のレコードを更新する。すなわち、コイン管理サーバ10は、「保有有償コイン」に購入枚数を加算するとともに「保有無償コイン」に無償コインの付与枚数を加算する。また、コイン管理サーバ10は、適用イベントテーブル270に新たなレコードを作成し、作成されたレコードに、対応する利用者識別子(ここでは利用者識別子U1)、適用したイベントID、適用日時の各種情報を登録する。
【0079】
コイン管理サーバ10は、付与コイン情報D2をサービス提供サーバ30に送信する(ステップS108)。付与コイン情報D2は、例えば、購入情報D1に、無償コインの付与枚数を加えた情報である。
【0080】
サービス提供サーバ30は、利用者クライアント40に対して明細を発行する(ステップS109)。発行される明細には、例えば、有償コイン、無償コインのそれぞれの獲得枚数の情報が含まれる。これにより、利用者AAは、獲得コイン数を把握することができる。
【0081】
図11は、システム1の各部により実行される処理の一例を示すシーケンス図である。
図11のシーケンス図は、利用者による電子書籍の購入によりコインが消費される際の処理を示す。
【0082】
利用者AAは、利用者クライアント40を用いて、サービス提供サーバ30が提供するWebサイトにアクセスし、Webサイト上で販売される商品(電子書籍)を、保有するコインで購入する(ステップS201)。
【0083】
サービス提供サーバ30は、電子書籍の購入情報D3をコイン管理サーバ10へ送信する(ステップS202)。送信される購入情報D3には、例えば、購入者である利用者AAの情報(氏名等)、購入された電子書籍を示す商品ID、電子書籍のジャンル、商品価格(言い換えると、消費コイン数)、購入日時(言い換えると、コインの消費日時)等の情報が含まれる。
【0084】
コイン管理サーバ10は、購入情報D3に含まれる利用者AAの情報をキーとして利用者マスタ210を参照し、対応する利用者識別子U1を特定する(ステップS203)。
【0085】
コイン管理サーバ10は、購入情報D3に含まれる各情報をキーとしてレート変動マスタ220を参照し、該当するレコードを検索する。例示的には、コイン管理サーバ10は、レート変動マスタ220のなかから、購入情報D3に含まれる購入日時及びジャンルと合致するレコードを検索する。該当するレコードが見付かった場合、コイン管理サーバ10は、当該レコードに登録された変動レート(便宜上「変動レートVR2」と記す。)を取得する(ステップS204)。該当するレコードが見付からない場合、コイン管理サーバ10は、変動レートVR2を取得することなく、次の処理に進む。
【0086】
コイン管理サーバ10は、ステップS204にて取得された変動レートVR2に基づいて利用者AAのコインのレートを更新する(ステップS205)。すなわち、
図10のステップS105と同様に、コイン管理サーバ10は、レートテーブル230を更新する。
【0087】
コイン管理サーバ10は、各種テーブルを更新する(ステップS206)。
【0088】
具体的には、コイン管理サーバ10は、利用履歴テーブル250に新たなレコードを作成し、作成されたレコードに、利用者識別子、商品ID、商品価格、消費日時、消費有償コイン、消費無償コインの各種情報を登録する。
図7の例示されるように、無償コインが有償コインよりも優先して消費される。また、コイン管理サーバ10は、保有コインテーブル260において利用者識別子U1のレコードを更新する。すなわち、コイン管理サーバ10は、「保有有償コイン」、「保有無償コイン」のそれぞれの枚数を消費枚数に応じて更新する。また、コイン管理サーバ10は、適用イベントテーブル270に新たなレコードを作成し、作成されたレコードに、対応する利用者識別子(ここでは利用者識別子U1)、適用したイベントID、適用日時の各種情報を登録する。
【0089】
コイン管理サーバ10は、残コイン情報D4をサービス提供サーバ30に送信する(ステップS207)。残コイン情報D4は、例えば、購入情報D3に、更新後の「保有有償コイン」、「保有無償コイン」に登録された有償コイン、無償コインのそれぞれの枚数を加えた情報である。
【0090】
サービス提供サーバ30は、利用者クライアント40に対して明細を発行する(ステップS208)。発行される明細には、例えば、保有有償コイン、保有無償コインのそれぞれの残数の情報が含まれる。これにより、利用者AAは、コインの残数を把握することができる。
【0091】
図12は、システム1の各部により実行される処理の一例を示すシーケンス図である。
図12のシーケンス図は、利用者が電子書籍サービスを利用する際(コインの購入、電子書籍の購入以外での利用の際)の処理を示す。
【0092】
利用者AAは、利用者クライアント40を用いて電子書籍サービスを利用する。一例として、利用者AAは、購入済みの電子書籍を読了する。読了の際、利用者クライアント40とサービス提供サーバ30とが通信して、利用者AAによる利用状況(ここでは、購入済みの電子書籍の読了)が通知される(ステップS301)。
【0093】
サービス提供サーバ30は、利用者AAの利用状況D5をコイン管理サーバ10へ送信する(ステップS302)。送信される利用状況D5には、例えば、利用者AAの情報(氏名等)、読了された電子書籍を示す商品ID、電子書籍のジャンル、読了日時等の情報が含まれる。
【0094】
コイン管理サーバ10は、利用状況D5に含まれる利用者AAの情報をキーとして利用者マスタ210を参照し、対応する利用者識別子U1を特定する(ステップS303)。
【0095】
コイン管理サーバ10は、利用状況D5に含まれる各情報をキーとしてレート変動マスタ220を参照し、該当するレコードを検索する。例示的には、コイン管理サーバ10は、レート変動マスタ220のなかから、利用状況D5に含まれる読了日時及びジャンルと合致するレコードを検索する。該当するレコードが見付かった場合、コイン管理サーバ10は、当該レコードに登録された変動レート(便宜上「変動レートVR3」と記す。)を取得する(ステップS304)。該当するレコードが見付からない場合、コイン管理サーバ10は、変動レートVR3を取得することなく、次の処理に進む。
【0096】
コイン管理サーバ10は、ステップS304にて取得された変動レートVR3に基づいて利用者AAのコインのレートを更新する(ステップS305)。すなわち、
図10のステップS105と同様に、コイン管理サーバ10は、レートテーブル230を更新する。
【0097】
コイン管理サーバ10は、適用イベントテーブル270を更新する(ステップS306)。具体的には、コイン管理サーバ10は、適用イベントテーブル270に新たなレコードを作成し、作成されたレコードに、対応する利用者識別子(ここでは利用者識別子U1)、適用したイベントID、適用日時の各種情報を登録する。
【0098】
コイン管理サーバ10は、レート情報D6をサービス提供サーバ30に送信する(ステップS307)。レート情報D6は、例えば、更新後の「現在レート」に登録されたレートの情報を含む。
【0099】
サービス提供サーバ30は、利用者クライアント40に対して、レート情報D6に含まれる更新後のレートを通知する(ステップS308)。これにより、利用者AAは、例えば、電子書籍を読了したことによってレートが上昇したことを把握できる。
【0100】
図13は、利用者による電子書籍サービスの利用状況に応じて変動するレートの一例を示す図である。
図13中、縦軸はレートを示し、横軸は時間を示す。
【0101】
利用者による電子書籍サービスの利用状況に応じて、
図13に示されるように、レートが変動する。例えば、電子書籍サービスを利用する頻度が高いほど、レートが上昇する傾向にある。レートが上昇することにより、利用者がコイン購入時により多くのコインを獲得できるため、利用者にとって、電子書籍サービスで購入可能な電子書籍の価格が実質的に下がることになる。例えば、所望する電子書籍を安価に購入することができるため、利用者の購買意欲が高まる。利用者の購買意欲の向上に伴い、事業者の電子書籍の販売利益が上がる。
【0102】
このように、本実施形態によれば、利用者と事業者(コンテンツ提供側)の双方に対して一層の利益をもたらす仕組みを構築するための情報処理システム、方法及びプログラムが提供される。
【0103】
利用者クライアント40を用いてサービス提供サーバ30にアクセスすることにより、利用者が、現在の保有有償コイン、保有無償コインのそれぞれの枚数、現在のレート、コインの購入履歴、消費履歴等を確認できるようにしてもよい。
【0104】
レート変動マスタ220に登録された各変動レートは、事業者が個別に調整できるようにしてもよい。
図14は、事業者の一例である出版社が変動レートを調整する際の処理の一例を示すシーケンス図である。
【0105】
事業者クライアント20は、事業者のオペレータの操作に応じて、変動レートの調整をコイン管理サーバ10にリクエストする(ステップS401)。
【0106】
コイン管理サーバ10は、リクエストに対するレスポンスを事業者クライアント20に返す(ステップS402)。レスポンスには、例えば、「イベントID」と「適用アクション」と「変動レート」とを関連付けたリストが含まれる。
【0107】
事業者クライアント20は、事業者のオペレータの操作に応じて、調整内容を指示するコマンドをコイン管理サーバ10に発行する(ステップS403)。コマンドには、例えば、調整対象のレコードを示す「イベントID」、調整後のレートの情報が含まれる。
【0108】
コイン管理サーバ10は、発行されたコマンドに応じてレート変動マスタ220を更新する(ステップS404)。
【0109】
コイン管理サーバ10は、更新結果を事業者クライアント20に通知する(ステップS405)。
【0110】
例えば、ステップS403において、イベントID「E1」のレコードを指定するとともに調整後のレートとして「+0.0005」を指定するコマンドが発行された場合を考える。この場合、ステップS404において、コイン管理サーバ10は、レート変動マスタ220に登録された「E1」のレコードの「変動レート」を「+0.0002」から「+0.0005」に更新する。
【0111】
このように、コイン管理サーバ10(より詳細には、処理の実行主体であるCPU100A)は、装置(例えば事業者クライアント20)からのコマンドの入力を受け付ける入力受付部100cとして動作し、また、入力受付部100cにより受け付けられたコマンドに応じて、テーブル(例えばレート変動マスタ220)内で各利用状況(例えば適用アクション)に関連付けられた変動レートを個別に調整するレート調整部100dとして動作する。
【0112】
事業者は、例えば、利用者のニーズや販売戦略を勘案して、変動レートを自由に設定することができる。事業者は、適切な変動レートを設定することにより、利用者の購買意欲の向上や電子書籍の販売利益の向上につなげることができる。
【0113】
その他、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上述した実施形態で実行される機能は可能な限り適宜組み合わせて実施しても良い。上述した実施形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件による適宜の組み合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、効果が得られるのであれば、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0114】
上記の実施形態では、利用者による電子書籍サービスの利用状況に応じてコインの実質的な販売レートを設定する処理例を説明したが、本発明を適用可能な例示はこれに限らない。例えば、利用者による電子書籍サービスの利用状況に応じて、利用者が保有するコインの量(枚数)を設定する処理例も、本発明の範疇である。
【0115】
図15は、利用者が保有するコインの量を設定する処理の一例を示すシーケンス図である。
【0116】
利用者AAは、利用者クライアント40を用いて電子書籍サービスを利用する。一例として、利用者AAは、購入済みの電子書籍を読了する。読了の際、利用者クライアント40とサービス提供サーバ30とが通信して、利用者AAによる利用状況(ここでは、購入済みの電子書籍の読了)が通知される(ステップS501)。
【0117】
サービス提供サーバ30は、
図12の例と同様の利用状況D5をコイン管理サーバ10へ送信する(ステップS502)。
【0118】
コイン管理サーバ10は、利用状況D5に含まれる利用者AAの情報をキーとして利用者マスタ210を参照し、対応する利用者識別子U1を特定する(ステップS503)。
【0119】
コイン管理サーバ10は、利用状況D5に含まれる各情報をキーとしてレート変動マスタ220を参照し、該当するレコードを検索する。該当するレコードが見付かれば、コイン管理サーバ10は、
図12の例と同様に、変動レートVR3を取得する(ステップS504)。
【0120】
コイン管理サーバ10は、ステップS504にて取得された変動レートVR3に基づいて利用者AAのコインのレートを更新する(ステップS505)。すなわち、
図10のステップS105と同様に、コイン管理サーバ10は、レートテーブル230を更新する。
【0121】
コイン管理サーバ10は、各種テーブルを更新する(ステップS506)。
【0122】
具体的には、コイン管理サーバ10は、保有コインテーブル260において利用者識別子U1のレコードを更新する。具体的には、コイン管理サーバ10は、「保有有償コイン」に登録された枚数と、レートテーブル230の「現在レート」に登録されたレートと、の乗算値を、「保有無償コイン」に登録する。また、コイン管理サーバ10は、適用イベントテーブル270に新たなレコードを作成し、作成されたレコードに、対応する利用者識別子(ここでは利用者識別子U1)、適用したイベントID、適用日時の各種情報を登録する。
【0123】
コイン管理サーバ10は、保有コイン情報D7をサービス提供サーバ30に送信する(ステップS507)。保有コイン情報D7は、例えば、更新後の「保有有償コイン」、「保有無償コイン」に登録された有償コイン、無償コインのそれぞれの枚数の情報を含む。
【0124】
サービス提供サーバ30は、利用者クライアント40に対して、保有コイン情報D7に含まれる更新後の保有コインの枚数を通知する(ステップS508)。これにより、利用者AAは、例えば、電子書籍を読了したことによって保有コイン枚数が変動(例えば増加)したことを把握できる。
【0125】
このように、
図15の例では、利用者の利用状況に応じてレートテーブル230の「現在レート」が更新され、更新された「現在レート」に応じて「保有無償コイン」の枚数が変動する。すなわち、利用者による電子書籍サービスの利用状況に応じて、利用者が保有するコインの枚数が変動する。
【0126】
本例においても、電子書籍サービスを利用する頻度が高いほど、レートが上昇する傾向にある。レートが上昇することにより、利用者がより多くのコインを獲得できるため、利用者が電子書籍サービスを利用する動機につながる。利用者が電子書籍サービスを利用する機会が増えるほど、事業者の電子書籍の販売利益が上がりやすい。
【符号の説明】
【0127】
1 :システム
10 :コイン管理サーバ
20 :事業者クライアント
30 :サービス提供サーバ
40 :利用者クライアント
100 :制御部
100A :CPU
100B :RAM
100C :ROM
100D :入出力ポート
100a :取得部
100b :設定部
100c :入力受付部
100d :レート調整部
110 :通信インタフェース部
120 :ストレージ
122 :プログラム
210 :利用者マスタ
220 :レート変動マスタ
230 :レートテーブル
240 :購入履歴テーブル
250 :利用履歴テーブル
260 :保有コインテーブル
270 :適用イベントテーブル