(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177437
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】横型ロータリー式自動充填包装機
(51)【国際特許分類】
B65B 57/00 20060101AFI20231207BHJP
B65B 9/08 20120101ALI20231207BHJP
【FI】
B65B57/00 D
B65B57/00 H
B65B9/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090111
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】596092595
【氏名又は名称】三光機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134212
【弁理士】
【氏名又は名称】提中 清彦
(72)【発明者】
【氏名】立石 隆博
【テーマコード(参考)】
3E050
【Fターム(参考)】
3E050AA02
3E050AB08
3E050BA03
3E050CA01
3E050CB01
3E050DB01
3E050DD03
3E050FA01
3E050FB01
3E050HA03
3E050HB03
3E050HB09
(57)【要約】
【課題】 簡単かつ低コストで信頼性の高い構成でありながら、サイドシーラーの温度制御をより精度良くすることができ、以って包装袋の不良品の発生を低減する。
【解決手段】 このため、本発明に係る横型ロータリー式自動充填包装機1は、サイドシール装置7と、充填シュート8と、ターンテーブル20と、トップシール装置12と、搬送装置14と、サイドシール装置のシール温度を制御する温度コントローラー17と、を備え、前記サイドシール装置7は、複数のサイドシーラーと、複数のサイドシーラーにそれぞれ備えられたヒーターと、複数のサイドシーラーのうち少なくとも1つに備えられる第1の温度センサーと、複数のサイドシーラーのシール面温度を非接触にて検出する第2の温度センサーと、を備えていることを特徴とする
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に移送しながら中央部分を折り曲げた包装フィルムに対して幅方向にヒートシールを施すサイドシール装置と、
このサイドシール装置により区分けされた包装フィルム袋部に内容物を投入する充填シュートと、
水平面内を包装機本体に対して相対回転可能に構成され、サイドシール装置及び充填シュートを回転作動するターンテーブルと、
内容物が充填された包装フィルム袋部の上縁に対してヒートシールを施すトップシール装置と、
サイドシール装置のシール温度を設定可能な操作パネルを含んで構成され、サイドシール装置のシール温度を制御する温度コントローラーと、
を備えた横型ロータリー式自動充填包装機であって、
前記サイドシール装置は、
環状に配置されていて包装フィルムにシール動作を行う複数のサイドシーラーと、
複数のサイドシーラーにそれぞれ備えられたヒーターと、
複数のサイドシーラーのうち少なくとも1つに備えられていて、当該サイドシーラーのシール面に接触してシール面温度を検出する第1の温度センサーと、
前記ターンテーブル外周の包装機本体側に配置されていて、複数のサイドシーラーのシール面温度を所定タイミングで非接触にて検出する第2の温度センサーと、
を備えていることを特徴とする横型ロータリー式自動充填包装機。
【請求項2】
前記温度コントローラーは、
操作パネルから入力された設定温度をS0、
第1の温度センサーによる少なくとも一つのサイドシーラーのシール面の検出温度をT1、
第2の温度センサーによる各サイドシーラーのシール面の検出温度をそれぞれH1からHN(N=1サイクルあたりの設定サンプル数)、
所定サイクルごとのH1からHNの最小値をHL、
とした場合に、
運転開始から1サイクルが完了するまでは、S0を目標温度として、T1がS0となるように複数のサイドシーラー全てのヒーターを同一系統として共通で温度制御し、
次サイクル以降は、1サイクルごとにS0からHLを差し引いた補正値D1をS0に加算した補正後の目標温度S1を算出し、T1がS1となるように複数のサイドシーラー全てのヒーターを同一系統として共通で温度制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の横型ロータリー式自動充填包装機。
【請求項3】
前記第2の温度センサーは、放射温度計であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の横型ロータリー式自動充填包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平搬送される長尺の包装フィルム(樹脂フィルム)を多数の袋部に区分し、水平方向に並ぶ各袋部に内容物を充填してなる包装物を製造する横型ロータリー式自動充填包装機の改良技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、長尺の包装フィルム(樹脂フィルム)を使用して、定量に調量された粉剤等の内容物を多数の包装体に区分して包装する自動充填包装機の一つに横型ロータリー式自動充填包装機がある。
【0003】
この横型ロータリー式自動充填包装機では、例えば、特許文献1や特許文献2に記載されているように、芯材の周囲に包装フィルム等が巻回されているフィルムコイルから該包装フィルムを水平方向に引き出し移動させながら、フィルムガイド部において、当該包装フィルムをフィルム進行方向と略直交する方向に二つ折りすることで袋部の底部となる部分を形成しながら、ターンテーブルへと当該包装フィルムを導入する。
【0004】
ターンテーブル上に同心的に配設される多数のサイドシーラー(サイドシールバー)は、この導入された包装フィルムと同期した速度で回転されながら、包装フィルムを垂直方向から挟み込むことで、水平方向に移動(回転移動)される包装フィルムに対して移動方向の垂直方向に延在される幅シール(サイドシール:熱シール)を形成する。
【0005】
そして、順次折り畳まれた包装フィルムの間(上方開口の袋部)には、互いに隣り合うサイドシールバーの間に対応して複数配設されると共に包装フィルムやサイドシーラーと同期して回転される充填シュートが挿入され、かかる充填シュートから所定量に調量された内容物(粉状物、粒状物)を充填(投入)し、その後充填シュートを袋部から抜き、樹脂フィルムを挟み持っていたサイドシーラーを外す。
【0006】
このようにして各袋部に内容物が充填された包装フィルムは、その後、袋部の上縁をトップシール(熱シール)されて密封される。この状態で、袋部間の幅シール部分を長手方向に沿って切断或いはミシン目を入れられて、所要の包装形態とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003-341607号公報
【特許文献2】特開2006-124030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、従来の横型ロータリー式自動充填包装機において、サイドシーラーはヒーター(加熱装置)が内蔵され、サイドシールを行うのに適した温度になるように制御される。温度が所定以上低いとフィルムの接着部の溶融不足となってシールの不良を招く一方で、温度が所定以上高いとフィルムの接着部が溶融し過ぎてシールの不良を招くため、サイドシーラーの温度が所定範囲に収まるように制御する必要がある。
【0009】
このため、従来は、サイドシーラーに埋め込んだ温度センサー(熱電対など)による温度の検出結果に基づいて、ヒーターの加熱度合いを制御して、サイドシーラーの温度が所定範囲に収まるように制御している。
【0010】
ところが、サイドシーラーはターンテーブルの回転中心に関して同軸的に周方向に所定間隔で多数(例えば、10~40個など)配設されており、ターンテーブルと一体的な回転動作を行いつつヒーターの加熱及び温度センサーによる温度検出を行う必要がある。このため、包装機のフレーム側(本体側:固定側)とターンテーブル(回転側)との間におけるヒーター及び温度センサーの電気的接続(電気的配線)は、回転接点(スリップリングなど)を用いて行う構成となっている。
【0011】
ここで、仮に、サイドシーラーの温度制御を精度良く行わせるために多数のサイドシーラーの温度制御(加熱制御)をそれぞれ個別に行おうとすると、回転接点の数が非常に多くなりスペースの問題や電気配線トラブルのリスクが高くなってしまうため、従来はヒーターと温度センサーの回転接点が最小限となるように、温度センサーは各サイドシールのうちの代表的な一つのみとし、ヒーターの加熱制御のための電力供給回路はすべて共通の同一系統の回路としている。このため、サイドシーラーの温度制御は、構成の複雑化や信頼性やコスト面を考慮して、ある程度犠牲にしているのが実情であった。
【0012】
従って、このような従来の方法でサイドシーラーの温度制御を行っている間に、サイドシーラーの僅かな形状の差異や変化、熱の逃げ経路の差異(放熱の仕方の差異)、或いはヒーターの製品バラツキなどにより、それぞれのサイドシーラー間で温度のバラツキが生じることがある。
【0013】
こういったバラツキが生じた場合、設定温度(目標温度)に対して一部のサイドシーラーの温度が所定以上に低い場合(下振れが大きい場合)には、温度不足により包装フィルムの溶着不足によるシール不良を起こして充填漏れを起こすなど、包装袋として不良品が発生してしまうおそれがあるといった実情がある。
また、設定温度(目標温度)に対して一部のサイドシーラーの温度が所定以上に高い場合(上振れが大きい場合)には、包装フィルムが過熱により溶けてしまったり、それによって充填漏れを起こすなど、包装袋として不良品が発生してしまうおそれがあるといった実情がある。
【0014】
作業者が運転(生産)開始前に温度調整のための運転を行って、すべてのサイドシーラーの温度が丁度良い温度に収まるように目視・手動で時間掛けて調整した場合でも、その後の運転中(生産中)に温度が変化して、サイドシーラー間で温度のバラツキが所定以上に大きくなり、生産した包装袋に不良品が発生してしまい、運転を停止してなければならなくなり、生産効率を高めることができないといった実情があった。
【0015】
本発明は、かかる実情に鑑みなされたもので、簡単かつ低コストで信頼性の高い構成でありながら、サイドシーラーの温度制御をより精度良くすることができ、以って包装袋の不良品の発生を低減することができる横型ロータリー式自動充填包装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
このため、本発明に係る横型ロータリー式自動充填包装機は、
水平方向に移送しながら中央部分を折り曲げた包装フィルムに対して幅方向にヒートシールを施すサイドシール装置と、
このサイドシール装置により区分けされた包装フィルム袋部に内容物を投入する充填シュートと、
水平面内を包装機本体に対して相対回転可能に構成され、サイドシール装置及び充填シュートを回転作動するターンテーブルと、
内容物が充填された包装フィルム袋部の上縁に対してヒートシールを施すトップシール装置と、
サイドシール装置のシール温度を設定可能な操作パネルを含んで構成され、サイドシール装置のシール温度を制御する温度コントローラーと、
を備えた横型ロータリー式自動充填包装機であって、
前記サイドシール装置は、
環状に配置されていて包装フィルムにシール動作を行う複数のサイドシーラーと、
複数のサイドシーラーにそれぞれ備えられたヒーターと、
複数のサイドシーラーのうち少なくとも1つに備えられていて、当該サイドシーラーのシール面に接触してシール面温度を検出する第1の温度センサーと、
前記ターンテーブル外周の包装機本体側に配置されていて、複数のサイドシーラーのシール面温度を所定タイミングで非接触にて検出する第2の温度センサーと、
を備えていることを特徴とする。
【0017】
本発明において、
前記温度コントローラーは、
操作パネルから入力された設定温度をS0、
第1の温度センサーによる少なくとも一つのサイドシーラーのシール面の検出温度をT1、
第2の温度センサーによる各サイドシーラーのシール面の検出温度をそれぞれH1からHN(N=1サイクルあたりの設定サンプル数)、
所定サイクルごとのH1からHNの最小値をHL、
とした場合に、
運転開始から1サイクルが完了するまでは、S0を目標温度として、T1がS0となるように複数のサイドシーラー全てのヒーターを同一系統として共通で温度制御し、
次サイクル以降は、1サイクルごとにS0からHLを差し引いた補正値D1をS0に加算した補正後の目標温度S1を算出し、T1がS1となるように複数のサイドシーラー全てのヒーターを同一系統として共通で温度制御する
ことを特徴とすることができる。
【0018】
本発明において、前記第2の温度センサーは、放射温度計であることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、簡単かつ低コストで信頼性の高い構成でありながら、サイドシーラーの温度制御をより精度良くすることができ、以って包装袋の不良品の発生を低減することができる横型ロータリー式自動充填包装機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】(A)は本発明の一実施の形態に係る横型ロータリー式自動充填包装機の正面図であり、(B)はターンテーブル上の構成を抜き出して示した平面図である。
【
図2】(A)は同上実施の形態に係るサイドシーラー(第1の温度センサー内蔵)を抜き出して示した正面図であり、(B)は同上実施の形態に係るサイドシーラー(第1の温度センサーを備えず)を抜き出して示した正面図である。
【
図3】(A)は同上実施の形態に係るサイドシーラーのシール面の温度制御を説明するフローチャートの一例である。
【
図4】(A)は同上実施の形態に係る制御装置(操作パネル、温度コントローラ)のモニター表示(初期設定時)の一例を示す図であり、(B)は同上実施の形態に係る制御装置(操作パネル、温度コントローラ)のモニター表示(温度補正制御実行中)の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明に係る実施の形態について、添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態により、本発明が限定されるものではない。
【0022】
まず、
図1を用いて、本発明に係る横型ロータリー式自動充填包装機の全体構成について説明する。
図1(A)は、本発明に係る横型ロータリー式自動充填包装機を示す正面図(一部断面図)であり、
図1(B)は包装フィルムの搬送経路(ターンテーブル部分)を上方から見た平面図である。
図1(A)に示すように、横型ロータリー式自動充填包装機1は、本体2に回転自在に支持される包装フィルム原反ロール支持軸(使用中)3、次回使用の(予備の)包装フィルム原反ロール支持軸(待機中)4、包材送り装置5、包材フィルム折り込みガイド(製袋ガイド)6、サイドシール装置(サイドシールバー)7、充填シュート8、内容物貯留ホッパー9、計量装置10、予熱装置11、トップシール装置12、ノッチ装置13、クランプ搬送装置14、カッター装置15、搬出スベリ台(搬出シュート)16、操作パネル(制御装置:コントローラ)17を備える。なお、サイドシール装置(サイドシールバー)7、充填シュート8などは、水平面内で本体2に対して回転中心軸20A周りに回転されるターンテーブル20に取り付けられている。
【0023】
包装フィルムは、包装フィルム原反ロールF1としてロール状に巻回されて包装フィルム原反ロール支持軸3に支持されている。また、包装フィルム原反ロールF1の残りが予備の包装フィルム原反ロールF1’が包装フィルム原反ロール支持軸4に支持されている。
ここで、包装フィルムは、透明又は半透明な材料から構成され、例えば、PET等のベースフィルムと、このベースフィルムよりも融点の低いポリエチレン等のヒートシールフィルムから構成される。また、包装フィルムF1は、ベースフィルム、中間フィルム、ヒートシールフィルムの3層構造を有してもよい。
【0024】
包装フィルム原反ロール支持軸3に支持されている包装フィルム原反ロールF1から引き出された包装フィルムF2は、包材送り装置5を通過した後、
図1(A)の右方向に連続的に送られ、製袋ガイド(包材フィルム折り込みガイド)6によって長手方向中央部に沿って二つに折り曲げられて上方開放のU字状とされる。折り曲げられた包装フィルムF2は、
図1(B)に示すように、ターンテーブル20の接線方向からターンテーブル20に導入されて、ターンテーブル20と同期した速度で周方向(
図1(B)に示した矢印の回転方向)に移動される。
【0025】
ターンテーブル20上には、
図1(B)に示すように、幅シールを形成するサイドシール装置7(サイドシーラー1~12:701~712)が回転中心軸20Aを中心とする同心円上に多数配置されている(ここでは12個としているが、40個以上備える場合もある)。ターンテーブル20と同期した速度で回転移動するサイドシーラー1~12(701~712)は、ターンテーブル20に導入されて周方向に回転移動される包装フィルムF2に対して所定の位置決め(周方向及び高さ方向の位置決め)を行うと共に、同時に、包装フィルムF2の幅方向に熱シールを施して局部的に熱圧着する。
【0026】
また、サイドシーラー1(701)は
図2(A)のように構成され、サイドシーラー1(701)の固定シーラー1(701A)と可動シーラー1(701B)により挟まれた部分の包装フィルムは、サイドシーラー1(701)に備えられているヒーター(電熱式加熱装置)701Cから供給された熱によって溶融する。それと共に、サイドシーラー1(701)が包装フィルムF2を挟み込んでいるため、二つ折りにされた包装フィルムF2の溶融部分が加圧される。これらにより、二つ折りの包装フィルムF2のヒートシールフィルム同士が圧着し、サイドシールS(
図1(A)、
図1(B)参照)が形成される。なお、サイドシーラー2~12(702~712)は
図2(B)のように構成され、上記と同様に動作される。
このようにして、二つ折りの包装フィルムF2には、サイドシール装置7(サイドシーラー1~12(701~712))により挟まれた上方開口の複数の袋部が形成される。
【0027】
なお、上記サイドシール装置7よる熱シール動作と平行して二つ折りにされた包装フィルムF2の間に充填シュート8が挿入され、計量装置10にて計量された内容物が充填シュート8を経由して投入される。ターンテーブル20に同心的に複数配設される充填シュート8は、ターンテーブル20延いては包装フィルムF2と同期した速度で周方向(
図1(B)に示した矢印の回転方向)に回転移動するように構成されている。
【0028】
この後、内容物が充填された包装フィルムF3は、ターンテーブル20から接線方向(
図1(B)において左水平方向)に送り出され、トップシール装置(トップシールロール)11により、包装フィルムF3の袋部の充填口(上方開口)に対して熱シールを施して熱圧着してトップシールを形成する。これにより、内容物が充填された上方開口の包装フィルム(連続包装袋)F3は、内容物が密封された連続包装袋F4とされる(
図1(A)、(B)参照)。
【0029】
その後、カッター装置16により、連続包装袋F4(クランプ搬送装置14で把持されて搬送されている連続包装袋F4を
図1(A)において符号F5で示している)を個別の包装袋P1に切断して包装袋P1(
図1(A))が生産される。
【0030】
ここで、本実施の形態では、サイドシール装置7(サイドシーラー1~12(701~712))のシール面温度(シール温度)が所定温度となるように、ヒーター1~12(701C~712C)の加熱度合いを調整することでの温度制御を行う。
【0031】
このため、本実施の形態では、
図1(A)に示したように、サイドシーラー1(701)に第1の温度センサー701D(熱電対など)が備えられている。なお、
図1(B)に示したように、サイドシーラー2~12(702~712)は、第1の温度センサーを備えていない点で、サイドシーラー1(701)とは異なっている。
【0032】
温度コントローラーとしての機能を有する操作パネル(制御装置)17には、第1の温度センサー701Dの温度検出信号が入力され、これに基づいてサイドシーラー1(701)の温度を検出することができるように構成されている。
【0033】
また、本実施の形態では、
図1(B)に示すように、非接触式の第2の温度センサー720が備えられている。この第2の温度センサー720は、本体2側に固定的に支持されていて、ターンテーブル20と共に回転するサイドシーラー1~12(701~712)と順に対面して、その温度を順に非接触で検出することができるように構成されている。第2の温度センサー720としては、例えば、金属用の放射温度計などを利用することができる。
本実施の形態では、この第2の温度センサー720の温度検出信号は、操作パネル(制御装置)17に入力され、サイドシーラー1~12(701~712)の温度を順に検出することができるように構成されている。
【0034】
そして、本実施の形態に係る制御装置(操作パネル)17では、温度コントローラとしての機能を備え、
図3に示すようなフローチャートを実行して、サイドシーラー1~12(701~712)延いてはサイドシールの温度を制御するようになっている。
【0035】
図3のフローチャートに示したように、
ステップ(図ではSと記す。以下同様)1では、作業者が操作パネル17の入力キーなどを介してサイドシールの設定温度(S0)を入力する。
図4(A)では、設定温度として150が入力されている
【0036】
ステップ2では、制御装置17では、設定温度(S0)を目標温度(S1)に設定する(S1=S0=150°C)。
【0037】
ステップ3では、第1の温度センサー701D(例えばサイドシーラー1(701)に内蔵された熱電対)がサイドシーラー1(701)内の温度(T1)を検出し、目標温度(S1)となるように、温度コントローラとしての機能を備えた制御装置17を制御してヒーター1~12(701C~712C)を加熱制御する。
なお、各ヒーター1~12(701C~712C)は、例えば並列接続された回路により加熱制御(通電制御)されるようになっている。すなわち、ヒーターの加熱制御については、従来同様に、回転接点(スリップリングなど)の数などを増やすことがないように、電力供給配線はすべてのヒータに関して共通の同一系統の回路として、当該回路の通電を制御することですべてのヒーター1~12(701C~712C)を同時に(同一系統として共通で)温度制御するといった簡単な構成を維持している。
【0038】
ステップ4では、第2の温度センサー720(放射温度計)がサイドシーラー1(701)のシール面温度(H1)を検出し、H1とS1が一致するように第2の温度センサー720の放射率を調整する。すなわち、第1の温度センサー701Dと第2の温度センサー720の検出温度が一致するように第2の温度センサー720の出力を補正する。なお、シール面温度は、本発明に係るシール温度に相当する。
ステップ5で、初期設定が完了される(運転開始待機状態になる)。
【0039】
ステップ6では、作業者の指示により、制御装置17は横型ロータリー式自動充填包装機1の運転(包装袋の生産)を開始する。
【0040】
ステップ7では、第1の温度センサー701Dがサイドシーラー1(701)内の温度(T1)を検出し、この検出温度T1が目標温度(S1)となるように、制御装置(温度コントローラ)17が各ヒーター1~12(701C~712C)を通電制御する。また、第2の温度センサー720により、各サイドシーラー1~12(701~712)のシール面温度(放射温度)H1~H12を順に検出する。
【0041】
ステップ8では、第2の温度センサー720による各サイドシーラー1~12(701~712)のシール面温度(放射温度)H1~H12のすべての検出が完了しているか否かを判断する。YESの場合にはステップ9ヘ進み、NOであればステップ7へ戻る。
【0042】
ステップ9では、第2の温度センサー720が検出した各サイドシーラー1~12(701~712)の直近のシール面温度(H1~H12)のうち、最低値(最小値)となる最低シール面温度(HL)を取得する。
図4(B)の「最小値=147.8」がHLに設定される。
【0043】
ステップ9では、設定温度(S0)と最低シール面温度(最小値)(HL)の温度差(D1)を算出する(D1=S0-HL)
図4(B)では、D1=S0-HL=150-147.8=2.2、すなわち、「補正温度=+2.2」とされる。
【0044】
ステップ10では、設定温度(S0)に温度差(D1)を加算した新たな目標温度(S1)を設定する(S1=S0+D1)。
図4(B)では、S1=S0+D1=150+2.2=152.2、すなわち「目標温度=152.2」とされる。
その後、ステップ7へと戻って、新たな目標温度(S1=152.2°C)にて上記フローを実行する。
上記ステップ7からステップ10が、包装機1の運転中(生産中)におけるサイドシーラー1~12(701~712)延いてはサイドシールの温度補正制御に係るフローである。
【0045】
このように、本実施の形態では、制御装置17は、横型ロータリー自動充填包装機1の運転中において、横型ロータリー自動充填包装機1のサイドシール装置7の温度制御を自動で適切に行うために、代表的な一つのサイドシーラー1に接触してその温度を精度良く検出する第1の温度センサー701Dによりシール面の温度(T1)を検出し、その温度が目標温度(S1)になるようにヒーター1~12(701C~712C)の温度制御(通電制御)を行う(開始する)一方で、
非接触の温度センサー(第2の温度センサー720)で全てのサイドシーラー1~12(701~712)のシール面の温度を順に検出し、このうち一番低いシール面の温度(最低シール面温度(HL))と設定温度(S0)の差分を新たな目標温度(S1)として、当該新たな目標温度(S1)となるようにヒーター1~12(701C~712C)の通電を一律に制御して、サイドシーラー1~12(701~712)の温度を制御する。
【0046】
このような本実施の形態に係るサイドシーラーの温度制御、すなわち、代表的な一つのサイドシーラー1(701)のシール面に接触して正確な温度を検出する第1の温度センサー701Dにより検出されるサイドシーラー1(701)の運転中における実際の温度(T1)を検出してその温度(T1)が目標温度(S1)となるようにヒーター1~12(701C~712C)の温度制御を行いながら、非接触の第2の温度センサー720によりターンテーブル20により回転されて順番にサイドシーラー1~12(701~712)の温度(H1~H12)を検出しその温度バラツキ(H1~H12)に基づいて目標温度(S1)を補正する温度制御を行うようにしたので、徐々にサイドシーラー全体の目標温度が自動で適正値に補正されて行き、一番低いサイドシーラーのシール面温度が当初の設定温度とほぼ同値になり、最低限の温度上昇でシール不良による不良品の発生を抑えることが可能となる。
【0047】
すなわち、本実施の形態では、サイドシーラーのシール面の温度検出精度は高いが回転接点などが必要で構成の複雑化やコスト増大、信頼性の低下などを招くとの観点から多数のサイドシーラーに設けることが難しい第1の温度センサー(熱電対などの接触式の温度センサー)を一つのサイドシーラー(総数より少ない複数のサイドシーラーでもよい)に備える一方で、
この第1の温度センサーとは別に、回転接点などが無く構成の複雑化やコスト増大、信頼性の低下などを招くことなく、ターンテーブル上に多数同心的に周方向に並ぶ多数のサイドシーラーの温度を非接触で比較的簡単な構成で検出することができる第2の温度センサー(例えば、放射式などの非接触式の温度センサー)を備え、
第1の温度センサーで正確なサイドシーラーの温度を検出してこれに基づいて目標温度を設定して当該目標温度となるように多数のサイドシーラーのヒーターの温度(通電、加熱)制御を行うと共に、
第2の温度センサーで多数のサイドシーラーのシール面のそれぞれの温度(H1~H12)(温度バラツキ)を取得し、その結果に基づいて前記目標温度を補正するようにしたので、
構成の複雑化や高コスト化や信頼性の低下を招くことなく、徐々にサイドシーラー全体の目標温度を自動で適正値に補正することができ、一番低い(或いは高い)サイドシーラーのシール面温度を当初の設定温度とほぼ同値に制御することができ、延いては温度上昇や温度低下に起因するシール不良による不良品の発生を抑えることが可能となる。
【0048】
したがって、本実施の形態によれば、簡単かつ低コストで信頼性の高い構成でありながら、サイドシーラーの温度制御をより精度良くすることができ、以って包装袋の不良品の発生を低減することができる横型ロータリー式自動充填包装機を提供することができる。
【0049】
本実施の形態では、この比較的短い時間間隔で第2の温度センサー720にて取得される温度バラツキ(比較的小さなバラツキ)に基づいて目標温度を補正してサイドシーラー(ヒーター)の温度補正制御を行なうため、従来のように第1の温度センサーで検出される温度が所定以上変化したときにその変化を縮小するように比較的大きな補正値で一期にサイドシーラー(ヒーター)の温度補正制御を行なう場合に比べて、オーバーシュートや制御ハンチングなどが生じ難いきめの細かいサイドシーラー(ヒーター)の温度補正制御の実現に貢献可能である。
【0050】
なお、本実施の形態では、ターンテーブル20上に12個のサイドシーラーを同心的に配設した例で説明したので、各サイドシーラー1~12(701~712)のシール面温度(放射温度)H1~H12を順に検出する場合を代表として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、H1からHN(N=1サイクルあたりの設定サンプル数)とすることができる。かかる場合に、所定サイクルごとのH1からHNの最小値をHLとし、運転開始から1サイクルが完了するまでは、S0を目標温度として、T1がS0となるように複数のサイドシーラー全てのヒーターを同一系統として共通(同一系統にて共通)で温度制御し、次サイクル以降は、1サイクルごとにS0からHLを差し引いた補正値D1をS0に加算した補正後の目標温度S1を算出し、T1がS1となるように複数のサイドシーラー全てのヒーターを同一系統として共通(同一系統にて共通)で温度制御するといった構成とすることができる。なお、「N=1サイクルあたりの設定サンプル数」は、ターンテーブル上のサイドシーラー数またはその倍数を想定することができる。
【0051】
また、サイドシーラー1~12(701~712)の温度(H1~H12)バラツキに基づく目標温度(S1)の補正として、ここでは最低温度(最小値)(HL)が設定温度(S0)に近づくように目標温度を補正する場合(S1=S0+HL)を例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、最高温度(最大値)(HH)が設定温度(S0)に近づくように目標温度を補正する場合(S1=S0-HH)、H1~H12の平均温度(HA)と設定温度(S0)の偏差δ(=|S0-HA|)が0となるように目標温度を補正する場合(S1=S0±δ)などとすることもできる。
【0052】
また、第2の温度センサーで取得した多数のサイドシーラーのシール面の温度(H1~H12)と、温度上限閾値や温度下限閾値と、を比較して、温度上限閾値を超えるサイドシーラーのシール面の温度(シール温度)が存在する場合や、温度下限閾値を下回るサイドシーラーのシール面の温度(シール温度)が存在する場合には、シール不良が生じるおそれがあるとして、警報を発したり、運転を停止したりする構成(故障診断を行う構成)とすることなども可能である。
【0053】
なお、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることは可能である。
【符号の説明】
【0054】
1:横型ロータリー式自動充填包装機
2:本体
3:包装フィルム原反ロール支持軸(使用中)
4:包装フィルム原反ロール支持軸(待機中)
5:包材送り装置
6:製袋ガイド
7:サイドシール装置
8:充填シュート
9:ホッパー
10:計量装置
11:予熱装置
12:トップシール装置
13:ノッチ装置
14:クランプ搬送装置
15:カッター装置
16:搬出スベリ台(搬出シュート)
17:操作パネル(制御装置)
F1 :ロール状の包装フィルム(使用中)
F1’:ロール状の包装フィルム(待機中)
F2 :帯状の包装フィルム
F3 :上部開口した連続包装袋
F4 :連続包装袋
F5 :クランプで把持されて搬送されている連続包装袋
F6 :カットされた連続包装袋
P1 :良品の包装袋
P2 :不良品の包装袋
701:サイドシーラー1
701A:固定シーラー1
701B:可動シーラー1
701C:ヒーター1
701D:第1の温度センサー
702~712:サイドシーラー2~サイドシーラー12
702A:固定シーラー2
702B:可動シーラー2
702C:ヒーター2
720:第2の温度センサー