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特開2023-177448複合板の構造と、複合板で構築する建物の断熱構造
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  • 特開-複合板の構造と、複合板で構築する建物の断熱構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177448
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】複合板の構造と、複合板で構築する建物の断熱構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/80 20060101AFI20231207BHJP
   E04B 1/76 20060101ALI20231207BHJP
   E04B 1/70 20060101ALI20231207BHJP
   E04C 2/284 20060101ALI20231207BHJP
   F16L 59/06 20060101ALI20231207BHJP
   B32B 3/26 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
E04B1/80 100P
E04B1/76 500F
E04B1/70 B
E04C2/284
F16L59/06
B32B3/26 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090128
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】501252593
【氏名又は名称】株式会社 ホームリサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 一宣
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100200621
【弁理士】
【氏名又は名称】堀部 峰雄
(72)【発明者】
【氏名】久吉 崇敬
【テーマコード(参考)】
2E001
2E162
3H036
4F100
【Fターム(参考)】
2E001DD01
2E001FA03
2E001GA12
2E001GA42
2E001LA04
2E001MA03
2E001MA06
2E001NA07
2E001NC01
2E001ND02
2E001ND06
2E001ND11
2E001ND14
2E001ND21
2E162GB01
2E162GB05
3H036AA09
3H036AB17
3H036AB20
3H036AB32
3H036AC01
4F100AT00A
4F100AT00C
4F100AT00E
4F100BA03
4F100BA05
4F100BA06
4F100CB00A
4F100CB00B
4F100DB06A
4F100DB06B
4F100DB13A
4F100DB13B
4F100DB17A
4F100DB17B
4F100DD21B
4F100DD21D
4F100EC182
4F100GB07
4F100JJ03
(57)【要約】
【課題】
近年、高気密、かつ高断熱構造の建物があり、建物の光熱費・生活環境改善、資源の有効活用、生活の質の向上などに役立つことが理解されている。そして、この種の高気密、かつ高断熱構造の建物において、壁板の断熱に関し、十分な配慮がなかった。
【解決手段】
本発明は、セル構造を備えた複合板において、
セル構造は、複合板の表面積に近似した広さの範囲に形成し、
セル構造が密封空気層を有することを特徴とする複合板の構造である。
従って、壁としての断熱効果と、経済性・利便性・製造容易性に関し、十分な、改良をした発明である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セル構造を備えた複合板において、
前記セル構造は、前記複合板の表面積に近似した広さの範囲に形成し、
前記セル構造が密封空気層を有することを特徴とする複合板の構造。
【請求項2】
前記複合板は、少なくとも、二枚以上の板材であって、
この二枚以上の板材間に、少なくとも、一層の前記密封空気層を有することを特徴とする請求項1に記載の複合板の構造。
【請求項3】
前記複合板は、少なくとも、三枚以上の板材であって、
この三枚以上の板材間に、少なくとも、二層の前記密封空気層を有することを特徴とする請求項1に記載の複合板の構造。
【請求項4】
前記板材間に封止材、繋ぎ材、仕切り材を設けることによって、前記密封空気層を形成することを特徴とする請求項2又は3に記載の複合板の構造。
【請求項5】
接着手段は、コーキング、接着、ゲル、貼り合せの何れかでなることを特徴とする請求項4に記載の複合板の構造。
【請求項6】
建物の床下に一端が設置され、前記建物の天井裏空間に他端が設置されるダクトと、
前記建物の天井に設けられ、前記天井裏空間に開口する第1の換気部材と、
前記天井に設けられ、前記建物の小屋裏に開口する第2の換気部材と、
前記建物の壁に設けた両端が開口した第1の通気層と、
前記第1の通気層の上の開口に繋がる屋根裏に設けた第2の通気層と、
前記第2の通気層に繋がる棟に設けた棟換気部と、
で構成した空調方式を有する前記建物において、
前記壁を、請求項1から5のいずれかに記載の複合板で構築する構成とした、
建物の断熱構造。
【請求項7】
前記建物の部屋の前記壁に配置されたファンを備える構成とした、
請求項6に記載の建物の断熱構造。
【請求項8】
建物の基礎の換気口と、
前記建物の内壁及び外壁と、
前記内壁と前記外壁の間に設けた空気流通層と、
前記空気流通層と連通する内側壁の第1換気孔と、
前記第1換気孔に設けた第2ファンと、
前記建物の天井に設けた通気天井袋と、
前記空気流通層と連通する、前記通気天井袋の第2換気孔と、
前記第2換気孔に設けた第3ファンと、
前記建物の天井裏空間に設けた、前記空気流通層と連通する第3換気孔と、
前記第3換気孔に設けた第4ファンと、
で構成した空調方式を有する前記建物において、
前記壁を、請求項1から5のいずれかに記載の複合板で構築する構成とした、
建物の断熱構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合板の構造(一体型のセル構造を有する構造)と、複合板で構築する建物の断熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、日本を始め、全世界で、急激な気候変動、経済性の要望、石油を始め、生活必需品不足、及び/又は、健康管理の要望などの観点から、並びにコロナ禍等の、緊急に値する状況下においても、各地域、又は全世界において、健全な住居・生活環境の維持が必須化されている。
【0003】
その改善策として、セル構造の複合板が、先行技術として知られ、かつ文献においても散見される。このセル構造の壁は、例えば、高気密性、かつ高断熱でなる建物にとって有益であることと、光熱費・生活環境改善と、資源の有効活用と、環境改善・資源節約等の改善、又は、生活の質の向上に役立つことが理解されている。
【0004】
これに関する文献として、次のような発明がある。
【0005】
文献(1)の特開昭53-125462号公報記載の発明は、繊維をほぼ球状に集合させて形成した繊維球状体を板状に集積させたものから成る繊維球状体集積板状体であり、この繊維球状体集積板状体は、断熱材、壁板等の建築材料、吸音板等の各種遮蔽材、ろ過器、及びクッション等に用いることができる。例えば、二枚の適当なシートの間にガラス繊維球状体を充填した板状複合体は、耐熱性を有する断熱材家は壁板として用いることができ、然もその場合、二枚のシートの間隔は、繊維球状体を充填した後でもかなり自由に調節ができる。但し、壁材の全体をセル構造とする考え、及びセルを密閉された気密空間とする意図は感じられない。
【0006】
また、文献(2)の特開2014-211078号公報記載の発明は、複数のクローズドセルは、空気を含んだセル層を備えており、このクローズドセルは、補強層に取り付けられることで、壁材か、又は壁として利用することで、断熱外壁となり、建物内の温度調整と、温度管理が図られる。セル層の形状は自由であり、また自由な形状組合せ構造も可能である。そして、明細書中に、複数のクローズドセルを集めてグループ化し、クローズドセルを隔壁で分離し、大きな単一のエアセルの場合のような乱流の如き欠点を有することなく、高さを含むサイズが効果的に拡大された断熱セル構造体が形成される。但し、壁材の全体をセル構造とする考え、及びセルを密閉された気密空間とする意図は感じられない。
【0007】
文献(3)の特表2017-527716号公報記載の発明は、断熱性が補強されたコンテナハウスで、夏場の快適な環境を実現する。コンテナハウスは、コンテナ胴体内側において側壁部間に多数の第1・第2の離隔部材を設け、第2の離隔部材と、第1の離隔部材20に結合されて側壁部間に第1の離隔空間を形成する多数の第1の断熱パネルと、第2の離隔部に結合されて天井部間に第2の離隔空間を形成する第2の断熱パネルと、多数の仕上げパネルでなり、空気層が形成され、かつ第1、2の断熱パネルには独立した断熱層を形成する。この文献(3)においても、壁材の全体をセル構造とする考え、及びセルを密閉された気密空間とする意図は感じられない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭53-125462号公報
【特許文献2】特開2014-211078号公報
【特許文献3】特表2017-527716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述した文献(1)~(3)においては、壁、及びこれに相当する素材において、壁材の全体をセル構造とする考え、及びセルを密閉された気密空間とする意図は感じられない。
【0010】
上記に鑑み、本発明は、断熱性を備えた複合板を採用し、壁としての断熱効果と、経済性・利便性・製造容易性の両立を図ると共に、必要により、内外の空気循環を行い、室内外の換気と、熱の有効利用を介し、最適な家屋の空気循環を図り、快適な室内環境を実現する省エネタイプの建物を提供することを意図する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
解決手段は、請求項1~8を提供し、壁としての断熱効果と、経済性・利便性・製造容易性に関し、改良することを意図する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1においては、
セル構造を備えた複合板において、
セル構造は、複合板の表面積に近似した広さの範囲に形成し、
セル構造が密封空気層を有することを特徴とする複合板の構造
である。
【0013】
従って、請求項1は、壁としての断熱効果と、経済性・利便性・製造容易性に関し、十分な、改良をした発明である。
【0014】
請求項2においては、
複合板は、少なくとも、二枚以上の板材であって、
二枚以上の板材間に、少なくとも、一層の密封空気層を有することを特徴とする。
【0015】
従って、請求項1に記載した目的達成に寄与できる。
【0016】
請求項3においては、
複合板は、少なくとも、三枚以上の板材であって、
三枚以上の板材間に、少なくとも、二層の密封空気層を有することを特徴とする。
【0017】
従って、請求項1に記載した目的達成に寄与できる。
【0018】
請求項4においては、
板材間に、封止材、繋ぎ材、仕切り材を設けることによって、密封空気層を形成することを特徴とする。
【0019】
従って、請求項2又は3に記載した目的達成に寄与できる。
【0020】
請求項5においては、
接着手段は、コーキング、接着、ゲル、貼り合せの何れかでなることを特徴とする。
【0021】
従って、請求項4に記載した目的達成に寄与できる。
【0022】
請求項6においては、
建物の床下に一端が設置され、建物の天井裏空間に他端が設置されるダクトと、
建物の天井に設けられ、天井裏空間に開口する第1の換気部材と、
天井に設けられ、建物の小屋裏に開口する第2の換気部材と、
建物の壁に設けた両端が開口した第1の通気層と、
第1の通気層の上の開口に繋がる屋根裏に設けた第2の通気層と、
第2の通気層に繋がる棟に設けた棟換気部と、
で構成した空調方式を有する建物において、
壁を、請求項1から5のいずれかに記載の複合板で構築する構成とした、
建物の断熱構造である。
【0023】
従って、対流による建物の空調方式の建物において、請求項1~5に記載した改良発明と同じ効果を付加できる建物の断熱構造である。
【0024】
請求項7においては、
建物の部屋の壁に配置されたファンを備える構成とした建物の壁の構造である。
【0025】
従って、対流による建物の空調方式の建物に対し、請求項6に記載した改良発明と同じ効果を付加できる、建物の断熱構造である。
【0026】
請求項8においては、
建物の基礎の換気口と、
建物の内壁及び外壁と、
内壁と前記外壁の間に設けた空気流通層と、
空気流通層と連通する内側壁の第1換気孔と、
第1換気孔に設けた第2ファンと、
建物の天井に設けた通気天井袋と、
空気流通層と連通する、通気天井袋の第2換気孔と、
第2換気孔に設けた第3ファンと、
建物の天井裏空間に設けた、空気流通層と連通する第3換気孔と、
第3換気孔に設けた第4ファンと、
で構成した空調方式を有する建物において、
壁を、請求項1から5のいずれかに記載の複合板で構築する構成とした、
建物の断熱構造である。
【0027】
従って、天井裏空間の有効利用を含めた対流による建物の空調方式の建物に対して、請求項1~5に記載した改良発明と同じ効果を付加できる、建物の断熱構造である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の複合板の第1実施例の分解図
図2】本発明の複合板の第1実施例の完成図
図3図2の複合板の断面模式図
図4】第1実施例の複合板を、対流による建物の空調方式の建物に適用した場合の模式図
図5】第1実施例の複合板を、天井裏空間の有効利用を含めた対流による建物の空調方式の建物に適用した場合の模式図
図6】本発明の複合板の第2実施例の分解図
図7】本発明の複合板の第2実施例の完成図
図8図7の複合板の断面模式図
図9】第2実施例の複合板を、対流による建物の空調方式の建物に適用した場合の模式図
図10】第2実施例の複合板を、天井裏空間の有効利用を含めた対流による建物の空調方式の建物に適用した場合の模式図
図11】イ)は、時刻と、外気温度、三重空気層である本発明の第2実施例、及び比較例と温度変化の計測結果とを示す図表。ロ)は、外気温度、第2実施例、及び比較例の温度と時間との関係を示すグラフ
図12-1】図11のグラフの作成用の実験開始時の実験モデルを示す図
図12-2】一定時間経過した図12-1の実験モデルを示す図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の各実施例を説明する。各実施例は、好ましい一例であり、本発明は各実施例の説明及び/又は図面に限定されない。発明の趣旨の範囲において構成の一部を変更する構造、又は同じ特徴と効果を達成できる構造には、本発明の範疇にある。
【0030】
図1図3に示した第1実施例の複合板1はセル構造を有し、少なくとも、二枚以上の板材2、3の間に、コーキング材5、又はシーリング材(接着手段)等の接着手段をもって、密封空気層H(セル構造)を形成する。即ち、コーキング材5で板材2、3を貼り合わせることによって、複合板1の密封空気層(セル構造)Hが形成される。そして、このコーキング材5は、板材2、3の周辺部位に沿って塗布され、密封空気層Hが板材2、3の表面積2a、3aと近似した広さの範囲に形成される。即ち、この板材2、3の表面の周辺部位にコーキング材5を設けることで、密封空気層Hの拡大を図る、即ち、面状において、広い面積を確保することができる。これにより、面状セル構造を形成することで、複合板1は、例えば、広い範囲での断熱効果を発揮できる。また面状セル構造は、複合板1の静寂化(防音効果)にも寄与できる。板材2、3は、接着手段で張り合わせることのできる一般的な壁用の建材を使用することができ、例えばプラスターボードを使用することができる。またコーキング材5は、市販されている何れのタイプも可能であり、限定されない。そして、コーキング材5の他には、接着、ゲル、貼り合せ、或いは、テープ類、等の一体化方法であれば、採用できる。
【0031】
以上では、密封空気層H(後述する密封空気層HHも同じ)を形成する枠材(壁枠)として使用する封止材、繋ぎ材、仕切り材等の一例として、コーキング材5を採用して説明したが、これは一例であり、限定されない。
【0032】
以上の構造で形成されている面状セル構造を備えた複合板1は、断熱構造を有することで、後述するように、内外壁間には、原則として、これ以外の断熱材を使用しない。複合板1の製造方法が単純かつ容易であり、特殊な加工や材料も必要としないため、低コストであり、かつ構築・作業の簡略化に寄与できる。また複合板1は、ヤードスペース・準備等の節約に寄与できる。
【0033】
図6図8に示した、第2実施例の複合板1は、セル構造を有し、少なくとも、三枚以上の板材2~4の間に、コーキング材5、又はシーリング材(接着手段)をもって、密封空気層(セル構造)H・HH(セル構造)を形成する。即ち、コーキング材5で板材2~4を貼り合わせることによって、密封空気層H・HH(セル構造)が形成される。そして、このコーキング材5、5は、板材2~4の周辺部位に沿って塗布され、密封空気層H・HHが表面積2a~4aと近似的した広さの範囲に形成される。即ち、この板材2~4の表面の周辺部位に設けることで、密封空気層H、HHの拡充を図る、即ち、面状において、広い面積を確保することができる。これにより、面状セル構造を形成することで、複合板1は、例えば、広い範囲での断熱効果を発揮できる。また面状セル構造は、複合板1の静寂化(防音効果)にも寄与できる。板材2~4は、接着手段で張り合わせることのできる一般的な壁用の建材を使用することができ、例えばプラスターボードを使用することができる。
【0034】
その他は、前述の第1実施例に準ずる。
【0035】
図4及び図9に示した建屋Aは、地面上にコンクリートが敷き固められた床下Gと、この床下Gの空気が流通する通気経路9、水切りとを備えた土台10と、土台10に立設した複数本の角材の柱11と、柱11間に設けた複合板1でなる内壁12と、この内壁12に併設した複合板1でなる外壁13と、内外壁12、13間に形成される通気層14と、を備える。そして、この内外壁12、13は断熱構造であり、従来のように、断熱材を必要としない。内外壁12、13は、建屋Aの材料・経費の削減とか、構築の簡略化・低コスト化・作業の容易化・材料ヤードの省スペース化等に寄与できる。この一例では、内外壁12、13を、複合材1とする構造を説明したが、何れか一方の壁面であるので、両壁面でも何ら問題がなく、更には、その考えで、取扱いは限定されない。そして、一方壁の例では、望ましくは、内壁12とする(以下同じ)。
【0036】
建屋Aは更に、柱11に架渡しされた軒桁17と、頂部に設置された棟木18と、屋根材15に開口した開口部19と、複数本の垂木20とを備える。
【0037】
従って、通気層14の下側開口14aより入った空気は、上昇空気となり、この通気層14を上昇した後、屋根材15の開口部19より建屋A外に至る(矢視A)。
【0038】
一方、部屋B1の空気は、内壁12に開設した空気孔(番号なし)を介し、通気層14に導かれ、前述と同様に、開口部19より建物A外に至る(矢視C)。
【0039】
図5及び図10に示した建屋Aは、基本的には、図4及び図9に準ずるので、その相違点のみ説明する。この建屋Aは、一階の外壁13の一階部位、並びに内壁12の一階部位、床面、及び天井板30で区画された、一階の部屋Bを含む、一階部分と、二階の外壁13の二階部位、並びに内壁12の二階部位、床面、及び第1天井袋30aで区画された、二階の部屋B1(以降部屋B1とする)を含む、二階部分と、部屋B1の上にある第1天井袋30a、建物の屋根材15、及び第1天井袋30aと屋根材15の間に位置する天井裏空間31でなる、屋根部分と、を有する。この屋根部分の天井裏空間31の底部には、第1天井袋30aと、一定距離を置いてその上を覆うように設けた仕切板16とによって、天井側の空気経路となる第1天井袋30aが形成される。第1天井袋30aは、仕切板16を頂面、天井板30を底面とし、内壁12を側面とした、扁平な直方体の空間である。第1天井袋30a(天井側通気層)は、天井板30(及び仕切板16)の面積に対して高さが低く設定されて、狭い鉛直方向幅の空間を形成し、これが天井に沿った通気層14となる。第1天井袋30aには通気層14と連通する空気孔(番号なし)を設ける。空気孔には、必要によりファン(図示せず)を適宜設けて、通気層14内の空気の流通を促進させることも有り得る。天井裏空間31には通気層14と連通する天井妻側通気口114bを設ける。この通気口114bには換気扇(ファン33)を適宜設けて、通気層14内の空気の流通を促進させることができる。この実施例は好ましくは、建屋Aの棟側一方側壁→第1天井袋30a→棟側他方側壁へと流れる空気の流れと、建屋Aの妻側一方側壁→天井裏空間31→妻側他方側壁へと流れる空気の流れと、が生成されるように構成され得る。
【0040】
この例においても、前記柱11の間には複合板1でなる内壁12が設けられ、上記の実施例と同じ効果をもたらす。この内壁12によって包囲される空間が建屋Aの部屋B1となる。この内壁12に、適宜間隔(この間隔が通気層14となる)を以って外壁13が設けられる。内壁12には、部屋B1の空気を通気層14に導く空気孔(番号なし)を開口する。また、通気層14の下側開口14aは、建屋Aの外部及び床下Gと連通している。
【0041】
図11は、実際の温度変化、即ち、一定時間経過した各時刻における、外気温と、本発明等の空気層を備えた板材2、3等の壁材を使用した実験モデルにおける内部の温度を示しており、イ)は温度一覧を、ロ)はグラフを示している。そして、図において、グラフは、外気温度を紺色で、グラスウールを、赤色で、二重空気層(プラスボード三重層)である本発明の第2実施例を、黄色で、及びロックウールを、水色で、示す。結果は、時間とともに、第2実施例の例が、断熱効果があり、数値が小さいことと、黄色の線に現れている。
【0042】
図12-1、図12-2は、時間の経過による変化の代表例を示す実験モデルの図面、機器の一例を示しており、下欄は温度であり、イ)は保冷剤を包被する比較例であるグラスウール、ロ)は保冷剤を包被する第2実施例、ハ)は保冷剤を包被する比較例であるロックウール包被、における計測した温度である。第2実施例の内部の温度は、図12-1、図12-2に示すように、22.0℃から0.0℃に変化している。そして、グラスウールの内部の温度は、23.1℃から-2.3℃に変化している。さらに、ロックウールの内部の温度は、22.9℃から-2.0℃に変化している。
【0043】
第2実施例の内部の温度は、図11(イ)、(ロ)及び図12-2に示すように、比較例であるグラスウール及びロックウールよりも保たれていることを示している。
【0044】
また、本発明のセル構造の採用により、建屋Aの耐震性向上が期待できる。
【0045】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態、及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0046】
1 複合板
2 板材
2a 表面積
3 板材
3a 表面積
4 板材
4a 表面積
5 コーキング材(接着手段)
9 通気経路
10 土台
11 柱
12 内壁
13 外壁
14 通気層
14a 下側開口
15 屋根材(屋根)
16 仕切板
17 軒桁
18 棟木
19 開口部
20 垂木
30 天井板
30a 第1天井袋
31 天井裏空間
33 ファン
114b 天井妻側通気孔
A 建屋
B 部屋
B1 部屋
H 密封空気層(セル構造)
HH 密封空気層(セル構造)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12-1】
図12-2】