(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177450
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】モータユニットおよびポンプユニット
(51)【国際特許分類】
H02K 5/24 20060101AFI20231207BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
H02K5/24 Z
H02K7/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090133
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 智
(72)【発明者】
【氏名】山田 俊彦
【テーマコード(参考)】
5H605
5H607
【Fターム(参考)】
5H605AA04
5H605AA05
5H605BB05
5H605BB14
5H605CC01
5H605CC03
5H605CC08
5H605DD09
5H607AA04
5H607BB01
5H607BB25
5H607CC01
5H607CC05
5H607DD01
5H607DD08
5H607DD15
5H607FF06
(57)【要約】
【課題】モータのシャフトの回転に伴って発生する振動の振幅を小さくする。
【解決手段】モータユニット2は、モータ4と、重り5と、を備える。モータ4は、ケース10と、回転中心軸Ax1回りに回転可能にケース10に支持されたシャフト14と、を有する。重り5は、回転中心軸Ax1回りの環状に形成され、ケース10に固定されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、回転中心軸回りに回転可能に前記ケースに支持されたシャフトと、を有したモータと、
前記回転中心軸回りの環状に形成され、前記ケースに固定された重りと、
を備えたモータユニット。
【請求項2】
前記ケースに重ねられたブラケットと、
前記ブラケットを前記ケースに固定した固定具と、
を備え、
前記重りは、前記ブラケットに対して前記ケースとは反対側で前記ブラケットに重ねられ、前記固定具によって前記ブラケットとともに前記ケースに固定された、
請求項1に記載のモータユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載のモータユニットと、
前記回転中心軸と交差する方向に往復動可能なピストンと、前記シャフトの回転運動を前記ピストンの往復運動に変換する変換部と、を有したポンプと、
を備えたポンプユニット。
【請求項4】
前記回転中心軸は、鉛直方向に対して斜めである、請求項3に記載のポンプユニット。
【請求項5】
前記重りには、前記回転中心軸の軸方向に当該重りを貫通した貫通孔が設けられ、
前記重りは、前記貫通孔の中心を通り前記鉛直方向と直交する平面に対して前記鉛直方向の上方側の部分である上部が前記平面に対して前記鉛直方向の下方側の部分である下部よりも重い、
請求項4に記載のポンプユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータユニットおよびポンプユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転軸回りに回転可能なシャフトを有したモータと、シャフトの回転中心軸と直交する方向に往復動するピストンを有したポンプと、を備えたポンプユニット、が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、例えば、モータの回転中心軸が鉛直方向と傾いている場合等には、モータを含めたポンプユニットに発生する振動が大きくなりやすい。
【0005】
そこで、本発明の課題の一つは、例えば、モータのシャフトの回転に伴って発生する振動の振幅を小さくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のモータユニットは、ケースと、回転中心軸回りに回転可能に前記ケースに支持されたシャフトと、を有したモータと、前記回転中心軸回りの環状に形成され、前記ケースに固定された重りと、を備える。
【0007】
このような構成によれば、例えば、重りがモータの回転中心軸回りの環状に形成されているので、重りが回転中心軸回りに部分的に設けられている構成に比べて、モータのシャフトの回転に伴って発生する振動の振幅を小さくすることができる。
【0008】
前記モータユニットは、例えば、前記ケースに重ねられたブラケットと、前記ブラケットを前記ケースに固定した固定具と、を備え、前記重りは、前記ブラケットに対して前記ケースとは反対側で前記ブラケットに重ねられ、前記固定具によって前記ブラケットとともに前記ケースに固定されている。
【0009】
このような構成によれば、重りが固定具によってブラケットとともにケースに固定されているので、重りとブラケットとが別個の固定具によってケースに固定されている構成に比べて部品点数を削減することができる。
【0010】
本発明のポンプユニットは、前記モータユニットと、前記回転中心軸と交差する方向に往復動可能なピストンと、前記シャフトの回転運動を前記ピストンの往復運動に変換する変換部と、を有したポンプと、を備える。
【0011】
このような構成によれば、例えば、重りがモータの回転中心軸回りの環状に形成されているので、重りが回転中心軸回りに部分的に設けられている構成に比べて、モータのシャフトの回転に伴って発生するモータおよびポンプの振動の振幅を小さくすることができる。
【0012】
前記ポンプユニットでは、例えば、前記回転中心軸は、鉛直方向に対して斜めである。
【0013】
このように、回転中心軸が鉛直方向に対して斜めであっても、重りがモータの回転中心軸回りの環状に形成されているので、重りが回転中心軸回りに部分的に設けられている構成に比べて、モータのシャフトの回転に伴って発生するモータおよびポンプの振動の振幅を小さくすることができる。
【0014】
前記ポンプユニットでは、例えば、前記重りには、前記回転中心軸の軸方向に当該重りを貫通した貫通孔が設けられ、前記重りは、前記貫通孔の中心を通り前記鉛直方向と直交する平面に対して前記鉛直方向の上方側の部分である上部が前記平面に対して前記鉛直方向の下方側の部分である下部よりも重い。
【0015】
このような構成によれば、重りは上部が下部よりも重いので、重りにモータの回転中心軸が鉛直方向に沿う方向の回転モーメントが重りひいてはモータに作用する。これにより、モータのシャフトの回転に伴って発生するモータの振動の鉛直方向の振幅を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、実施形態のポンプユニットの例示的な斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態のポンプユニットの例示的な斜視図であって、
図1とは異なる方向からの視線での斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態のポンプユニットの例示的な断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態のモータユニットの例示的な側面図である。
【
図5】
図5は、実施形態のモータユニットにおける重りの例示的な底面図である。
【
図6】
図6は、実施形態の第1の変形例のポンプユニットの例示的な斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態の第2の変形例のモータユニットの例示的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0018】
なお、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実と異なる場合がある。また、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、本明細書では、序数は、部品や、部材、部位、位置、方向等を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0019】
図1は、実施形態のポンプユニット1の例示的な斜視図である。
図2は、実施形態のポンプユニット1の例示的な斜視図であって、
図1とは異なる方向からの視線での斜視図である。
図1および
図2に示されるように、ポンプユニット1は、モータユニット2と、ポンプ3と、を備える。ポンプユニット1は、例えば、電動バキュームポンプである。ポンプユニット1は、例えば、自動車等の車両に設けられる。なお、
図1および
図2において、矢印B1は、鉛直方向の上方を示し、矢印B2は、鉛直方向の下方を示している。
【0020】
図3は、実施形態のポンプユニット1の例示的な断面図である。
図1~
図3に示されるように、モータユニット2は、モータ4と、重り5と、ブラケット6と、を有する。
【0021】
図3に示されるように、モータ4は、ケース10と、回転子12と、固定子(不図示)と、を有する。モータ4は、回転子12が回転中心軸Ax1回りに回転する。一例として、回転中心軸Ax1は、鉛直方向に対して斜めである。ケース10は、ハウジングとも称される。
【0022】
回転子12は、シャフト14と、回転子鉄心(不図示)と、を有する。本実施形態では、回転子12の全体がケース10に収容されている。なお、シャフト14の一部がケース10の外側に位置していてもよい。
【0023】
シャフト14は、回転中心軸Ax1回りに回転可能に、軸受15を介してケース10に支持されている。軸受15は、回転中心軸Ax1の軸方向すなわちシャフト14の軸方向で回転子鉄心の両側に位置する。
【0024】
ケース10は、壁10aと、筒部10bと、を有する。壁10aは、回転中心軸Ax1と直交する方向に延びている。筒部10bは、壁10aの外周部から回転中心軸Ax1の軸方向に延びている。筒部10bは、回転中心軸Ax1回りの円筒状に形成されている。ケース10には、収容室10eが設けられている。収容室10eは、筒部10bにおける壁10aとは反対側の端部10dから壁10aに向かって凹んだ凹状に形成されている。収容室10eに、回転子12、固定子、および軸受15が収容されている。端部10dは、ケース10の端部でもある。
【0025】
ケース10は、複数のケース部材21,22によって構成されている。ケース部材21は、壁10aと、筒部10bの一部と、を含む。ケース部材22は、筒部10bの一部を含む。ケース部材21とケース部材22とは、ボルト等の固定具23(
図1)によって互いに固定されている。
【0026】
ブラケット6は、ケース10の端部10dに重ねられて収容室10eを覆っている。ブラケット6は、複数(一例として三つ)の固定具31によってケース10に固定されている。ブラケット6には、排気孔6aが設けられている。また、ブラケット6は、車両の車体(不図示)に固定される。
【0027】
重り5は、回転中心軸Ax1回りの環状に形成され、ケース10に固定されている。重り5は、ブラケット6に対してケース10とは反対側でブラケット6に重ねられ、固定具31によってブラケット6とともに前記ケース10に固定されている。重り5の詳細は、後述する。
【0028】
図3に示されるように、ポンプ33は、ケース50と、ピストン組立体51と、変換部60と、吸入弁65と、排気弁66と、を有する。ポンプ33は、例えば、バキュームポンプである。ピストン組立体51は、回転中心軸Ax1と交差する中心軸Ax2の軸方向に往復動可能である。変換部60は、シャフト14の回転運動をピストン組立体51の往復運動に変換する。ポンプ33は、ピストンの往復動により、空気の吸入および排気を行う。中心軸Ax2は、回転中心軸Ax1と直交する。
【0029】
ケース50は、吸排路形成部50aと、シリンダ部50bと、を有する。吸排路形成部50aには、吸入路50cと排気路50dとが設けられている。吸入路50cには、吸入路50cを開閉(開放および閉塞)する吸入弁65が設けられ、排気路50dには、排気路50dを開閉(開放および閉塞)する排気弁66が設けられている。ケース50は、ハウジングとも称される。
【0030】
シリンダ部50bは、吸排路形成部50aの外周部から中心軸Ax2の軸方向に延びている。シリンダ部50bは、中心軸Ax2回りの円筒状に形成されている。シリンダ部50bには、ピストン組立体51が収容されている。シリンダ部50bcの内部には、ピストン組立体51と吸排路形成部50aとの間に室50eが形成されている。室50eは、吸入路50cおよび排気路50dと通じている。シリンダ部50bは、筒部とも称される。
【0031】
ケース50は、複数のケース部材61~63によって構成されている。ケース部材61,62は、それぞれ、吸排路形成部50aの一部を含む。ケース部材63は、シリンダ部50bを含む。ケース部材61~63は、ボルト等の固定具71(
図2)によって互いに固定されている。
【0032】
ピストン組立体51は、ピストン51aと複数のピストンリング51bで構成されている。ピストン組立体51は、中心軸Ax2の軸方向に往復動可能にシリンダ部50b内に収容されている。すなわち、ピストン51aは、中心軸Ax2の軸方向に往復動可能にシリンダ部50b内に収容されている。ピストン組立体51は、ピストンリング51bがシリンダ部50bの内面を摺動する。
【0033】
変換部60は、シャフト14の回転運動をピストン組立体51の往復運動に変換する。具体的には、変換部60は、ロッド52と、クランクシャフト53と、を有する。
【0034】
クランクシャフト53は、モータ4のシャフト14の端部に固定され、シャフト14と一体に回転中心軸Ax1回りに回転する。また、クランクシャフト53は、回転中心軸Ax1の径方向に回転中心軸Ax1から離間した支軸53aが設けられている。支軸53aは、中心軸Ax3に沿って延びている。中心軸Ax3は、回転中心軸Ax1と平行である。
【0035】
ロッド52の一端部は、ピストン組立体51に設けられたシャフト54に対して回転可能に連結されている。ロッド52の他端部は、クランクシャフト53の支軸53aに回転可能に連結されている。
【0036】
上記の構成のポンプでは、シャフト14と一体にクランクシャフト53が回転することにより、ピストン組立体51が、中心軸Ax2の軸方向に繰り返し往復する。中心軸Ax2のピストン組立体51の反復的な往復に伴い、室50eは、拡大と縮小とを交互に繰り返す。ピストン組立体51が回転中心軸Ax1に近づく方向に移動し室50eが拡張されるのに伴い、吸入ポートから吸入路50cを介して室50e内へ吸入される(吸入工程)。吸入工程において、吸入弁65は開弁し、排気弁66は閉弁する。ピストン組立体51が回転中心軸Ax1から遠ざかる方向に移動し室50eが縮小されるのに伴い、空気が室50eから排気路50dを経由して吐出路へ吐出される(吐出工程)。吐出工程において、吸入弁65は閉弁し、排気弁66は開弁する。排気路50dから排出された空気は、ブラケット6の排気孔6aと介して外部に排気される。
【0037】
次に、モータユニット2の重り5について詳細に説明する。
図4は、実施形態のモータユニット2の例示的な側面図である。
図5は、実施形態のモータユニット2における重り5の例示的な底面図である。
【0038】
図2~
図5に示されるように、重り5は、回転中心軸Ax1回りの環状に形成され、ケース10に固定されている。重り5は、例えば金属材料によって構成されている。なお、重り5は、合成樹脂材料等によって構成されていてもよい。
【0039】
重り5は、ブラケット6に密着して重ねられた一面5aと、一面の反対側の他面5bと、を有する。また、重り5には、回転中心軸Ax1の軸方向に当該重り5を貫通した貫通孔5gが設けられている。貫通孔5gは、一面5aおよび他面5bに開口している。
【0040】
また、重り5は、ベース部5eと、複数の固定部5fと、を有する。なお、
図4および
図5では、固定部5fの図示が省略されている。ベース部5eは、回転中心軸Ax1回りの円環状に形成されている。すなわち、ベース部5eは、円筒状(中空状)に形成されている。換言すると、ベース部5eは、無端状に形成されている。ベース部5eの厚さは一定である。ベース部5eは、回転中心軸Ax1回りの単位角度あたりの重量が均等(均一)である。ベース部5eは、内周面5dと、外周面5cと、を有する。内周面5dは、貫通孔5gを囲んでいる。すなわち、内周面5dは、貫通孔5gを形成している。貫通孔5gは、ブラケット6の排気孔6aと通じている。これにより、排気路50dから排出された空気は、ブラケット6の排気孔6aおよびベース部5eの貫通孔5gを介して外部に排気される。
【0041】
複数の固定部5fは、ベース部5eの外周面5cから回転中心軸Ax1の径方向の外側に突出している。複数の固定部5fは、回転中心軸Ax1の周方向に互いに間隔をあけて設けられている。一例として、複数の固定部5fは、回転中心軸Ax1の周方向に等間隔に設けられている。固定部5fは、固定具31によってブラケット6およびケース10に固定されている。
【0042】
ここで、本実施形態のベース部5eおよび比較例のベース部のそれぞれの回転中心軸Ax1回りの慣性モーメントについて説明する。比較例のベース部は、円柱状(中実部材)である。
【0043】
本実施形態のベース部5eの質量、外径、内径をそれぞれ、M1、D1、d1とすると、ベース部5eの慣性モーメントJ1は、次式(1)で表わされる。
J1=(1/8)×M1×(D12+d12)・・・(1)
【0044】
比較例のベース部の質量、外径、内径をそれぞれ、M2、D2、d2とすると、比較例のベース部の慣性モーメントJ2は、次式(2)で表わされる。
J2=(1/8)×M2×D22・・・(2)
【0045】
上記から分かるように、実施形態のベース部5eの質量と比較例のベース部の質量とが同じ場合には、本実施形態のベース部5eの慣性モーメントは、比較例のベース部の慣性モーメントよりも大きい。よって、本実施形態のベース部5eは、比較例のベース部に比べて、回転中心軸Ax1周りに回転し難い。また、実施形態のベース部5eは、中空状であるので、比較例のベース部を本実施形態のベース部5eと同じ慣性モーメントが発生するように構成した場合に比べて、モータユニット2の重心が回転中心軸Ax1から遠くなるのが抑制される。これにより、振動の形態が単純化されやすい。
【0046】
以上のように、本実施形態では、モータユニット2は、モータ4と、重り5と、を備える。モータ4は、ケース10と、回転中心軸Ax1回りに回転可能にケース10に支持されたシャフト14と、を有する。重り5は、回転中心軸Ax1回りの環状に形成され、ケース10に固定されている。
【0047】
このような構成によれば、例えば、重り5がモータ4の回転中心軸Ax1回りの環状に形成されているので、重り5が回転中心軸Ax1回りに部分的に設けられている構成に比べて、モータ4のシャフト14の回転に伴って発生する振動の振幅(
図4中の矢印E方向の振幅)を小さくすることができる。また、振動の振幅を小さくすることができるので、例えば、モータユニット2の外面に付着した水分が、モータユニット2の内部に進入するのを抑制することができる。
【0048】
また、重り5が回転中心軸Ax1回りの環状に形成されているので、重りの貫通孔5gをブラケット6の排気孔6aに貫通孔5gに通じさせることができる。
【0049】
また、本実施形態では、ベース部5eが中空状であるので、例えば、ベース部が中実の比較例に比べて、回転中心軸Ax1回りの慣性モーメントを小さくすることができる。よって、上記構成によれば、比較例に比べて、モータ4のシャフト14の回転に伴って発生する振動の振幅(
図4中の矢印E方向の振幅)を小さくすることができる。詳細には、ブラケット6において回転中心軸Ax1から離れた外周部の振幅を小さくすることができる。
【0050】
また、モータユニット2は、例えば、ケース10に重ねられたブラケット6と、ブラケット6をケース10に固定した固定具31と、を備える。重り5は、ブラケット6に対してケース10とは反対側でブラケット6に重ねられ、固定具31によってブラケット6とともにケース10に固定されている。
【0051】
このような構成によれば、重り5が固定具31によってブラケット6とともにケース10に固定されているので、重り5とブラケット6とが別個の固定具31によってケース10に固定されている構成に比べて部品点数を削減することができる。
【0052】
また、ポンプユニット1は、モータユニット2と、ポンプ3と、を備える。ポンプ3は、回転中心軸Ax1と交差する方向に往復動可能なピストン51aと、シャフト14の回転運動をピストン51aの往復運動に変換する変換部60と、を有する。
【0053】
このような構成によれば、例えば、重り5がモータ4の回転中心軸Ax1回りの環状に形成されているので、重り5が回転中心軸Ax1回りに部分的に設けられている構成に比べて、モータ4のシャフト14の回転に伴って発生するモータ4およびポンプ3の振動の振幅を小さくすることができる。
【0054】
また、ポンプユニット1では、例えば、回転中心軸Ax1は、鉛直方向に対して斜めである。
【0055】
このように、回転中心軸Ax1が鉛直方向に対して斜めであっても、重り5がモータ4の回転中心軸Ax1回りの環状に形成されているので、重り5が回転中心軸Ax1回りに部分的に設けられている構成に比べて、モータ4のシャフト14の回転に伴って発生するモータ4およびポンプ3の振動の振幅を小さくすることができる。
【0056】
次に、本実施形態の変形例を説明する。
【0057】
図6は、実施形態の第1の変形例のポンプユニット1の例示的な斜視図である。
図6に示されるように、重り5は、ベース部5eの他面5bから突出した凸部5jが設けられている。このように凸部5jが設けられていることにより、重り5は、貫通孔5gの中心C1を通り前記鉛直方向と直交する平面Pに対して鉛直方向の上方側の部分である上部5hが平面Pに対して鉛直方向の下方側の部分である下部5iよりも重い。
【0058】
このように、本変形では、重り5には、回転中心軸Ax1の軸方向に当該重り5を貫通した貫通孔5gが設けられている。重り5は、貫通孔5gの中心C1を通り鉛直方向と直交する平面Pに対して鉛直方向の上方側の部分である上部5hが平面Pに対して鉛直方向の下方側の部分である下部5iよりも重い。
【0059】
このような構成によれば、重り5は上部5hが下部5iよりも重いので、重り5にモータ4の回転中心軸Ax1が鉛直方向に沿う方向の回転モーメントが重り5ひいてはモータ4に作用する。すなわち、重り5は、モータ4の回転中心軸Ax1を鉛直方向に沿わせる向きの回転モーメントを発生する。これにより、モータ4のシャフト14の回転に伴って発生するモータ4の振動の鉛直方向の振幅を小さくすることができる。
【0060】
図7は、実施形態の第2の変形例のモータユニット2の例示的な側面図である。
図7に示されるように、第2の変形例では、モータユニット2は、重り5とは別の重り101を有する。重り101は、ブラケット6における重り5とは反対側の面に部分的に設けられている。重り101は、例えば円柱状である。なお、重り101は、直方体状等であってもよい。重り101は、モータユニット2の振動形態に応じて重さや位置が設定される。
【0061】
なお、上記実施形態では、重り5がベース部5eと固定部5fとを有した例が示されたが、これに限定されない。例えば、重り5は、ベース部5eだけによって構成され、固定部5fを有さなくてもよい。この場合、例えば、ベース部5eをブラケット6に接着等によって固定してよい。
【0062】
また、上記実施形態では、ベース部5eが円環状に形成された例が示されたが、これに限定されない。例えば、ベース部5eは、回転中心軸Ax1回りの多角形の環状に形成されていてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、ポンプ3が、ピストン51aを有した所謂ピストンポンプの例が示されたが、これに限定されない。ポンプ3は、他の形式のものであってもよい。
【0064】
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各例の構成や形状は、部分的に入れ替えて実施することも可能である。また、各構成や形状等のスペック(構造や、種類、方向、形状、大きさ、長さ、幅、高さ、数、配置、位置等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0065】
1…ポンプユニット
2…モータユニット
3…ポンプ
5…重り
5g…貫通孔
5h…上部
5i…下部
6…ブラケット
10…ケース
14…シャフト
31…固定具
51a…ピストン
60…変換部
Ax1…回転中心軸
P…平面