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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177459
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】電磁継電器
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/00 20060101AFI20231207BHJP
   H01H 50/54 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
H01H50/00 K
H01H50/54 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090146
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】大塚 航平
(72)【発明者】
【氏名】堀江 彩太
(72)【発明者】
【氏名】岩坂 博之
(72)【発明者】
【氏名】箕輪 亮太
(72)【発明者】
【氏名】小川 真一
(57)【要約】
【課題】電磁継電器において、接点への異物の付着を抑える。
【解決手段】電磁継電器は、固定端子と、固定接点と、可動接点と、可動接触片と、集塵機構とを備える。固定接点は、固定端子に接続される。可動接点は、固定接点と向かい合う。可動接触片は、可動接点に接続される。可動接触片は、可動接点が固定接点と接触する閉位置と、可動接点が固定接点から離れる開位置との間で移動可能である。集塵機構は、固定接点及び可動接点に隣接して配置される。集塵機構は、可動接触片が閉位置から開位置へ移動するときに、固定接点と可動接点との間に発生する第1負圧よりも大きな第2負圧を発生させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定端子と、
前記固定端子に接続される固定接点と、
前記固定接点と向かい合う可動接点と、
前記可動接点に接続され、前記可動接点が前記固定接点と接触する閉位置と、前記可動接点が前記固定接点から離れる開位置との間で移動可能な可動接触片と、
前記固定接点及び前記可動接点に隣接して配置され、前記可動接触片が前記閉位置から前記開位置へ移動するときに前記固定接点と前記可動接点との間に発生する第1負圧よりも大きな第2負圧を発生させる集塵機構と、
を備える電磁継電器。
【請求項2】
前記集塵機構は、
第1表面を含む固定部と、
前記第1表面と向かい合う第2表面を含み、前記可動接触片に接続される可動部と、
を含み、
前記可動接触片が前記閉位置から前記開位置へ移動するときにおいて、前記第1表面と前記第2表面との間の第2空間の第2体積変化量は、前記固定接点と前記可動接点との間の第1空間の第1体積変化量よりも大きい、
請求項1に記載の電磁継電器。
【請求項3】
前記第1表面は、前記固定接点の表面積よりも大きな表面積を有する、
請求項2に記載の電磁継電器。
【請求項4】
前記第2表面は、前記可動接点の表面積よりも大きな表面積を有する、
請求項2に記載の電磁継電器。
【請求項5】
前記可動接触片が前記閉位置から前記開位置へ移動するときに、前記可動接点が前記固定接点から離れるよりも前に、前記第2表面は前記第1表面から離れる、
請求項2に記載の電磁継電器。
【請求項6】
前記可動接触片が前記閉位置から前記開位置へ移動するときに、前記可動接点が前記固定接点から離れた後に、前記第2表面は前記第1表面から離れる、
請求項2に記載の電磁継電器。
【請求項7】
前記固定部は、弾性部材によって支持される、
請求項2に記載の電磁継電器。
【請求項8】
前記可動部は、弾性部材によって支持される、
請求項2に記載の電磁継電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁継電器に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁継電器は、固定端子と、固定接点と、可動接点と、可動接触片とを備えている。固定接点は、固定端子に接続される。可動接点は、固定接点と向かい合い、可動接触片に接続される。可動接触片は、閉位置と開位置との間で移動可能である。可動接触片が閉位置に位置している場合、可動接点は、固定接点に接触する。可動接触片が開位置に位置している場合、可動接点は、固定接点から離れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-079109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の電磁継電器において、可動接点が固定接点から離れる場合、可動接点と固定接点との間の空間の体積が増大する。それにより、可動接点と固定接点との間の空間に負圧が発生する。この負圧により、可動接点と固定接点との周りの空気が、可動接点と固定接点とに向かって流れる。空気に摩耗粉などの異物が含まれる場合、異物が、空気と共に、可動接点と固定接点とに向かって流れる。可動接点、又は固定接点に異物が付着すると、可動接点と固定接点との接触の安定性が低下してしまう。本発明の目的は、電磁継電器において、接点への異物の付着を抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る電磁継電器は、固定端子と、固定接点と、可動接点と、可動接触片と、集塵機構とを備える。固定接点は、固定端子に接続される。可動接点は、固定接点と向かい合う。可動接触片は、可動接点に接続される。可動接触片は、可動接点が固定接点と接触する閉位置と、可動接点が固定接点から離れる開位置との間で移動可能である。集塵機構は、固定接点及び可動接点に隣接して配置される。集塵機構は、可動接触片が閉位置から開位置へ移動するときに、固定接点と可動接点との間に発生する第1負圧よりも大きな第2負圧を発生させる。
【0006】
本態様に係る電磁継電器では、可動接触片が閉位置から開位置へ移動するときに、集塵機構によって、固定接点と可動接点との間に発生する第1負圧よりも大きな第2負圧が発生する。そのため、固定接点と可動接点との周囲の空気が、集塵機構へと誘導される。それにより、空気に含まれる異物が、可動接点、又は固定接点に付着することが抑えられる。
【0007】
集塵機構は、固定部と可動部とを含んでもよい。固定部は、第1表面を含んでもよい。可動部は、第1表面と向かい合う第2表面を含んでもよい。可動部は、可動接触片に接続されていてもよい。可動接触片が閉位置から開位置へ移動するときにおいて、第1表面と第2表面との間の第2空間の第2体積変化量は、固定接点と可動接点との間の第1空間の第1体積変化量よりも大きくてもよい。この場合、集塵機構での第2体積変化量が、固定接点と可動接点との間での第1体積変化量よりも大きいことで、集塵機構において、第1負圧よりも大きな第2負圧が発生する。
【0008】
第1表面は、固定接点の表面積よりも大きな表面積を有してもよい。この場合、第1表面の表面積が、固定接点の表面積よりも大きいことで、第2体積変化量が第1体積変化量よりも大きくなる。
【0009】
第2表面は、可動接点の表面積よりも大きな表面積を有してもよい。この場合、第2表面の表面積が、可動接点の表面積よりも大きいことで、第2体積変化量が第1体積変化量よりも大きくなる。
【0010】
可動接触片が閉位置から開位置へ移動するときに、可動接点が固定接点から離れるよりも前に、第2表面は第1表面から離れてもよい。この場合、可動接点が固定接点から離れるよりも前に、異物が集塵機構へ誘導される。それにより、可動接触片の閉位置から開位置への移動の序盤において、高い集塵効果が得られる。
【0011】
可動接触片が閉位置から開位置へ移動するときに、可動接点が固定接点から離れた後に、第2表面は第1表面から離れてもよい。この場合、可動接点が固定接点から離れた後に、異物が集塵機構へ誘導される。それにより、可動接触片の閉位置から開位置への移動の終盤において、高い集塵効果が得られる。
【0012】
固定部は、弾性部材によって支持されてもよい。可動部は、弾性部材によって支持されてもよい。この場合、可動部を固定部に容易に接触させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電磁継電器において、接点への異物の付着が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】開状態の電磁継電器の断面図である。
図2】閉状態の電磁継電器の断面図である。
図3】閉状態での接点装置を示す図である。
図4】開状態での接点装置を示す図である。
図5】第1、第2固定部と、第1、第2固定端子との平面図である。
図6】可動部と可動接触片の平面図である。
図7】閉状態での接点装置を示す図である。
図8】開状態での接点装置を示す図である。
図9】第1変形例に係る接点装置を示す図である。
図10】第2変形例に係る接点装置を示す図である。
図11A】第3変形例に係る接点装置を示す図である。
図11B】第3変形例に係る接点装置を示す図である。
図11C】第3変形例に係る接点装置を示す図である。
図12A】第4変形例に係る接点装置を示す図である。
図12B】第4変形例に係る接点装置を示す図である。
図12C】第4変形例に係る接点装置を示す図である。
図13】第5変形例に係る電磁継電器を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る電磁継電器について、図面を参照して説明する。図1は、実施形態に係る電磁継電器1の断面図である。図1に示すように、電磁継電器1は、ケース2と、接点装置3と、駆動装置4とを備えている。ケース2は、樹脂、或いはセラミックなどの絶縁材で形成されている。ケース2内には、接点装置3が収容されている。接点装置3は、第1固定端子6と、第2固定端子7と、可動接触片8と、可動機構9と、第1固定接点10と、第2固定接点11と、第1可動接点12と、第2可動接点13とを含む。
【0016】
なお、以下の説明において、第1固定接点10と第1可動接点12とが互いに向かい合う方向が、移動方向(Z1,Z2)と定義される。移動方向(Z1,Z2)は、接触方向(Z1)と開離方向(Z2)とを含む。可動接点12,13が固定接点10,11に近づく方向が、接触方向(Z1)と定義される。可動接点12,13が固定接点10,11から離れる方向が、開離方向(Z2)と定義される。
【0017】
可動接触片8が延びる方向が、長手方向(X1,X2)と定義される。長手方向(X1,X2)は、移動方向(Z1,Z2)に対して垂直な方向である。長手方向(X1,X2)は、第1長手方向(X1)と第2長手方向(X2)とを含む。第2長手方向(X2)は、第1長手方向(X1)と反対の方向である。第2固定接点11から第1固定接点10へ向かう方向が、第1長手方向(X1)と定義される。第1固定接点10から第2固定接点11へ向かう方向が、第2長手方向(X2)と定義される。
【0018】
図5に示すように、移動方向(Z1,Z2)及び長手方向(X1,X2)に垂直な方向が、横方向(Y1,Y2)と定義される。横方向(Y1,Y2)は、第1横方向(Y1)と第2横方向(Y2)とを含む。第2横方向(Y2)は、第1横方向(Y1)と反対の方向である。
【0019】
第1固定端子6と、第2固定端子7と、可動接触片8と、第1固定接点10と、第2固定接点11と、第1可動接点12と、第2可動接点13とは、導電性を有する材料で形成されている。例えば、第1固定端子6と、第2固定端子7と、可動接触片8とは、銅系金属などの端子材として公知の金属材料製である。ただし、第1固定端子6と、第2固定端子7と、可動接触片8とは、これらと異なる材料製であってもよい。第1固定接点10と、第2固定接点11と、第1可動接点12と、第2可動接点13とは、銅系金属、或いは銀系金属などの接点材として公知の金属材料製である。
【0020】
第1固定端子6と第2固定端子7とは、長手方向(X1,X2)に互いに離れて配置されている。第1固定端子6と第2固定端子7とは、ケース2内からケース2の外方へ突出している。第1固定端子6には、第1固定接点10が接続されている。第2固定端子7には、第2固定接点11が接続されている。第1固定接点10と第2固定接点11とは、ケース2内に配置されている。
【0021】
可動接触片8と第1可動接点12と第2可動接点13とは、ケース2内に配置されている。第1可動接点12と第2可動接点13とは、可動接触片8に接続されている。第1可動接点12は、第1固定接点10に向かい合っている。第2可動接点13は、第2固定接点11に向かい合っている。第1可動接点12は、第2可動接点13から、長手方向(X1,X2)に離れて配置されている。
【0022】
可動接触片8は、移動方向(Z1,Z2)に移動可能である。可動接触片8は、図1に示す開位置と、図2に示す閉位置とに移動可能である。図1に示すように、可動接触片8が開位置で、可動接点12,13は、固定接点10,11から離れている。図2に示すように、可動接触片8が閉位置で、可動接点12,13は、固定接点10,11に接触している。
【0023】
可動機構9は、可動接触片8を支持する。可動機構9は、駆動軸15と接点バネ16とを含む。駆動軸15は、可動接触片8に連結される。駆動軸15は、移動方向(Z1,Z2)に延びており、可動接触片8を移動方向(Z1,Z2)に貫通している。駆動軸15は、移動方向(Z1,Z2)に移動可能に設けられる。接点バネ16は、可動接触片8を接触方向(Z1)へ向けて付勢する。
【0024】
図1及び図2に示すように、駆動装置4は、駆動軸15を移動方向(Z1,Z2)に移動させる。駆動装置4は、コイル21と、スプール22と、可動鉄心23と、固定鉄心24と、ヨーク25と、復帰バネ26とを含む。駆動装置4は、電磁力によって、可動機構9を介して、可動接触片8を開位置と閉位置とに移動させる。コイル21は、スプール22に巻回されている。可動鉄心23と、固定鉄心24とは、スプール22内に配置されている。可動鉄心23は、駆動軸15に接続されている。可動鉄心23は、移動方向(Z1,Z2)に移動可能である。固定鉄心24は、可動鉄心23と向かい合って配置されている。復帰バネ26は、可動鉄心23を開離方向(Z2)に付勢している。
【0025】
電磁継電器1では、コイル21が通電されると、コイル21による磁力によって、可動鉄心23が固定鉄心24に吸引される。それにより、可動鉄心23と駆動軸15とが、復帰バネ26の付勢力に抗して、接触方向(Z1)に移動する。それにより、可動接触片8が、図2に示す閉位置へ移動し、可動接点12,13が固定接点10,11に接触する。
【0026】
なお、可動接点12,13が固定接点10,11に接触を開始した後、駆動軸15がさらに接触方向(Z1)へ移動することによって、接点バネ16が圧縮される。可動接点12,13が固定接点10,11に接触を開始したときの位置から接触方向(Z1)に駆動軸15がさらに移動した距離は、接点フォローと定義される。
【0027】
コイル21への通電がオフにされると、可動鉄心23と駆動軸15とが、復帰バネ26の付勢力によって、開離方向(Z2)へ移動する。それにより、可動接触片8が図1に示す開位置へ移動し、可動接点12,13が固定接点10,11から離れる。
【0028】
上記のように、可動接点12,13が固定接点10,11から離れる場合、可動接点12,13と固定接点10,11との間の空間の体積が増大する。それにより、可動接点12,13と固定接点10,11との間の空間に負圧が発生する。この負圧により、可動接点12,13と固定接点10,11との周りの空気が、可動接点12,13と固定接点10,11とに向かって流れると、異物が、空気と共に、可動接点12,13と固定接点10,11とに向かって流れてしまう。本実施形態に係る電磁継電器1は、異物が可動接点12,13と固定接点10,11とに付着することを抑えるための集塵機構30を備えている。
【0029】
図3は、閉状態での接点装置3を示す図である。図4は、開状態での接点装置3を示す図である。図3及び図4に示すように、集塵機構30は、固定接点10,11及び可動接点12,13に隣接して配置される。集塵機構30は、可動接触片8が閉位置から開位置へ移動するときに、第1固定接点10と第1可動接点12との間に発生する第1負圧よりも大きな第2負圧を発生させる。それにより、集塵機構30は、第1固定接点10及び第1可動接点12の周囲の空気を集塵機構30へと誘導する。また、集塵機構30は、可動接触片8が閉位置から開位置へ移動するときに、第2固定接点11と第2可動接点13との間に発生する第3負圧よりも大きな第4負圧を発生させる。それにより、集塵機構30は、第2固定接点11及び第2可動接点13の周囲の空気を集塵機構30へと誘導する。その結果、異物が、集塵機構30によって収集される。
【0030】
詳細には、集塵機構30は、第1固定部31と、第2固定部32と、可動部33とを含む。第1固定部31は、ケース2において固定的に配置されている。第1固定部31は、第1固定端子6に隣接して配置されている。第1固定部31は、第1固定接点10に対して長手方向に配置される。第1固定部31は、第1固定端子6に電気的に導通していない。第1固定部31は、例えば樹脂製である。或いは、第1固定部31は、金属製であってもよい。第1固定部31は、第1表面34を含む。第1表面34は、平坦な形状を有している。
【0031】
第2固定部32は、ケース2において固定的に配置されている。第2固定部32は、第2固定端子7に隣接して配置されている。第2固定部32は、第2固定接点11に対して長手方向(X1,X2)に配置される。第2固定部32は、第2固定端子7に電気的に導通していない。第2固定部32は、例えば樹脂製である。或いは、第2固定部32は、金属製であってもよい。第2固定部32は、第3表面35を含む。第3表面35は、平坦な形状を有している。
【0032】
可動部33は、可動接触片8に接続されている。可動部33は、可動接触片8と共に移動する。或いは、可動部33は、駆動軸15に接続されてもよい。その場合、可動部33は、駆動軸15と共に移動する。可動部33は、例えば樹脂製である。或いは、可動部33は、金属製であってもよい。可動部33は、第2表面36と、第4表面37と、支持部38とを含む。第2表面36は、移動方向において、第1表面34と向かい合う。第2表面36は、平坦な形状を有する。第4表面37は、移動方向において、第3表面35と向かい合う。第4表面37は、平坦な形状を有する。
【0033】
図5は、第1、第2固定部31,32と、第1、第2固定端子6,7との平面図である。図5に示すように、第1表面34は、第1固定接点10の表面積よりも大きな表面積を有する。第3表面35は、第2固定接点11の表面積よりも大きな表面積を有する。図6は、可動部33と可動接触片8の平面図である。図6に示すように、第2表面36は、第1可動接点12の表面積よりも大きな表面積を有する。第4表面37は、第2可動接点13の表面積よりも大きな表面積を有する。なお、図5及び図6では、表面積を示す部分にハッチングが付されている。
【0034】
図7及び図8に示すように、可動接触片8が、閉位置から開位置へ移動する場合、第1固定接点10と第1可動接点12との間の第1空間41が拡大する。第1表面34と第2表面36との間の第2空間42が拡大する。第2固定接点11と第2可動接点13との間の第3空間43が拡大する。第3表面35と第4表面37との間の第4空間44が拡大する。なお、図7及び図8では、第1~第4空間41-44にハッチングが付されている。
【0035】
図7に示すように、可動接触片8が閉位置に位置している状態で、第2表面36は、第1表面34と接触せず、第1表面34から離れている。可動接触片8が閉位置に位置している状態で、第4表面37は、第3表面35と接触せず、第3表面35から離れている。
【0036】
図7に示すように、可動接触片8が閉位置に位置している場合の第1固定接点10と第1可動接点12との間の第1空間41の体積がV1aと定義される。可動接触片8が閉位置に位置している場合の第1表面34と第2表面36との間の第2空間42の体積がV2aと定義される。図8に示すように、可動接触片8が開位置に位置している場合の第1固定接点10と第1可動接点12との間の第1空間41の体積がV1bと定義される。可動接触片8が開位置に位置している場合の第1表面34と第2表面36との間の第2空間42の体積がV2bと定義される。この場合、以下の式(1)が成り立つ。
【0037】
V2b-V2a>V1b-V1a (1)
すなわち、可動接触片8が閉位置から開位置へ移動する場合、第2空間42の第2体積変化量(V2b-V2a)は、第1空間41の第1体積変化量(V1b-V1a)よりも大きい。それにより、集塵機構30は、可動接触片8が閉位置から開位置へ移動するときに、第1空間41に発生する第1負圧よりも大きな第2負圧を、第2空間42に発生させる。
【0038】
同様に、図7に示すように、可動接触片8が閉位置に位置している場合の第2固定接点11と第2可動接点13との間の第3空間43の体積がV3aと定義される。可動接触片8が閉位置に位置している場合の第3表面35と第4表面37との間の第4空間44の体積がV4aと定義される。図8に示すように、可動接触片8が開位置に位置している場合の第2固定接点11と第2可動接点13との間の第3空間43の体積がV3bと定義される。可動接触片8が開位置に位置している場合の第3表面35と第4表面37との間の第4空間44の体積がV4bと定義される。この場合、以下の式(2)が成り立つ。
【0039】
V4b-V4a>V3b-V3a (2)
すなわち、可動接触片8が閉位置から開位置へ移動する場合、第4空間44の第4体積変化量(V4b-V4a)は、第3空間43の第3体積変化量(V3b-V3a)よりも大きい。それにより、集塵機構30は、可動接触片8が閉位置から開位置へ移動するときに、第3空間43に発生する第3負圧よりも大きな第4負圧を、第4空間44に発生させる。
【0040】
以上説明した本実施形態に係る電磁継電器1では、可動接触片8が閉位置から開位置へ移動するときに、集塵機構30によって、第1固定接点10と第1可動接点12との間に発生する第1負圧よりも大きな第2負圧を発生させる。また、第2固定接点11と第2可動接点13との間に発生する第3負圧よりも大きな第4負圧を発生させる。そのため、第1固定接点10と第1可動接点12との周囲の空気が、集塵機構30へと誘導される。また、第2固定接点11と第2可動接点13との周囲の空気が、集塵機構30へと誘導される。それにより、空気に含まれる異物が、第1、第2可動接点12,13、又は第1、第2固定接点10,11に付着することが抑えられる。
【0041】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0042】
上記の実施形態に係る電磁継電器1は、いわゆるプランジャ型の電磁継電器である。しかし、電磁継電器1は、プランジャ型に限らず、ヒンジ型などの他のタイプのものであってもよい。
【0043】
駆動装置4の構造は、上記の実施形態のものに限らず変更されてもよい。例えば、上記の実施形態では、駆動装置4は、接点装置3の開離方向(Z2)に配置されている。しかし、駆動装置4は、接点装置3に対して、長手方向(X1,X2)、或いは横方向(Y1,Y2)に配置されておよい。開離方向(Z2)と接触方向(Z1)とは、上記の実施形態と逆の方向であってもよい。
【0044】
接点装置3の構造は、上記の実施形態のものに限らず変更されてもよい。例えば、第1固定接点10は、第1固定端子6と別体であってもよく、或いは一体であってもよい。第2固定接点11は、第2固定端子7と別体であってもよく、或いは一体であってもよい。第1可動接点12は、可動接触片8と別体であってもよく、或いは一体であってもよい。第2可動接点13は、可動接触片8と別体であってもよく、或いは一体であってもよい。固定接点の数は2つに限らず、1つであってもよく、或いは2つより多くてもよい。可動接点の数は2つに限らず、1つであってもよく、或いは2つより多くてもよい。
【0045】
集塵機構30の構造は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、上記の実施形態では、第1表面34及び第2表面36、第3表面35及び第4表面37は、可動接触片8に対して、長手方向(X1,X2)に配置されている。しかし、図9に示す第1変形例のように、第1表面34及び第2表面36、第3表面35及び第4表面37は、可動接触片8に対して、横方向(Y1,Y2)に配置されてもよい。
【0046】
上記の実施形態では、第1、第2固定接点10,11に対して、第1、第3表面34,35がそれぞれ配置されている。また、第1、第2可動接点12,13に対して、第2、第4表面36,37がそれぞれ配置されている。しかし、図10に示す第2変形例のように、第1、第2固定接点10,11に対して、一体の第1表面34が配置されてもよい。第1、第2可動接点12,13に対して、一体の第2表面36が配置されてもよい。
【0047】
上記の実施形態では、可動接触片8が閉位置に位置している状態で、第2表面36は、第1表面34と接触しておらず、第1表面34から離れている。しかし、可動接触片8が閉位置に位置している状態で、第2表面36は、第1表面34と接触していてもよい。この場合、第1、第2可動接点12,13が第1、第2固定接点10,11から離れるのと同時に、第2、第4表面36,37が、第1、第3表面34,35から離れてもよい。
【0048】
或いは、第1、第2可動接点12,13が第1、第2固定接点10,11から離れるよりも前に、第2、第4表面36,37が第1、第3表面34,35から離れてもよい。図11A図11Cは、第3変形例に係る接点装置3を示す図である。図11Aでは、可動接触片8は閉位置に位置しており、第2表面36は、第1表面34に接触し、第4表面37は、第3表面35と接触している。駆動軸15が開離方向(Z2)に移動すると、図11Bに示すように、第1、第2可動接点12,13が第1、第2固定接点10,11に接触したまま、駆動軸15と可動部33とが開離方向(Z2)に移動する。それにより、第2、第4表面36,37が第1、第3表面34,35から離れる。その後、駆動軸15が開離方向(Z2)にさらに移動すると、図11Cに示すように、第1、第2可動接点12,13が第1、第2固定接点10,11から離れる。
【0049】
或いは、可動接触片8が閉位置から開位置へ移動するときに、第1、第2可動接点12,13が第1、第2固定接点10,11から離れた後に、第2、第4表面36,37が第1、第3表面34,35から離れてもよい。図12A図12Cは、第4変形例に係る接点装置3を示す図である。図12A図12Cに示すように、支持部38は、第1弾性部51と第2弾性部52とを含む。第1弾性部51は、ばね性を有しており、第2表面36を支持している。第2弾性部52は、ばね性を有しており、第4表面37を支持している。
【0050】
図12Aでは、可動接触片8は閉位置に位置しており、第2表面36は、第1表面34に接触し、第4表面37は、第3表面35と接触している。この状態で、第1弾性部51は、弾性変形しており、第2表面36を第1表面34に向けて付勢している。第2弾性部52は、弾性変形しており、第4表面37を第3表面35に向けて付勢している。可動接触片8が開離方向(Z2)に移動すると、図12Bに示すように、第1、第2可動接点12,13が、第1、第2固定接点10,11から離れる。この状態で、第1弾性部51は、第2表面36を第1表面34に向けて付勢しており、第2表面36は第1表面34に接触している。また、第2弾性部52は、第4表面37を第2表面36に向けて付勢しており、第4表面37は第2表面36に接触している。その後、可動接触片8が開離方向(Z2)にさらに移動すると、図12Cに示すように、第2表面36が第1表面34から離れ、第4表面37が第3表面35から離れる。
【0051】
第1弾性部51と第2弾性部52とは、上記の実施形態、或いは、第1から第3変形例に係る接点装置3に設けられてもよい。図13は、第5変形例に係る電磁継電器1を示す図である。図13に示すように、第1弾性部51と第2弾性部52とは、第1固定部31と第2固定部32とを、それぞれ支持してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明によれば、電磁継電器において、接点への異物の付着が抑えられる。
【符号の説明】
【0053】
6:第1固定端子、 8:可動接触片、 10:第1固定接点、 12:第1可動接点、 30:集塵機構、 31:第1固定部、 33:可動部、 34:第1表面、 36:第2表面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図13