IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シャープ株式会社の特許一覧

特開2023-177466自動走行システム、自動走行方法、及び自動走行プログラム
<>
  • 特開-自動走行システム、自動走行方法、及び自動走行プログラム 図1
  • 特開-自動走行システム、自動走行方法、及び自動走行プログラム 図2
  • 特開-自動走行システム、自動走行方法、及び自動走行プログラム 図3
  • 特開-自動走行システム、自動走行方法、及び自動走行プログラム 図4
  • 特開-自動走行システム、自動走行方法、及び自動走行プログラム 図5
  • 特開-自動走行システム、自動走行方法、及び自動走行プログラム 図6
  • 特開-自動走行システム、自動走行方法、及び自動走行プログラム 図7
  • 特開-自動走行システム、自動走行方法、及び自動走行プログラム 図8
  • 特開-自動走行システム、自動走行方法、及び自動走行プログラム 図9
  • 特開-自動走行システム、自動走行方法、及び自動走行プログラム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177466
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】自動走行システム、自動走行方法、及び自動走行プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20231207BHJP
【FI】
G05D1/02 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090155
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 雄一
(72)【発明者】
【氏名】山内 博
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA01
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD07
5H301DD15
5H301KK03
5H301KK08
5H301LL02
5H301LL06
5H301LL12
(57)【要約】
【課題】作業者が走行エリアに進入した場合に自動走行装置による搬送効率が低下することを抑制することが可能な自動走行システム、自動走行方法、及び自動走行プログラムを提供すること。
【解決手段】本開示に係る自動走行システムは、走行エリア内で自動走行装置を走行させる自動走行システムであって、検知処理部と設定処理部と走行処理部とを備える。前記検知処理部は、前記走行エリア内への人の進入を検知する。前記設定処理部は、前記検知処理部が前記人の進入を検知した場合に、前記人の進入位置に基づいて前記走行エリア内の一部である前記人の前記進入位置を含む所定エリアを走行制限エリアに設定する。前記走行処理部は、前記設定処理部により設定される前記走行制限エリアに基づいて、前記自動走行装置の走行を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行エリア内で自動走行装置を走行させる自動走行システムであって、
前記走行エリア内への人の進入を検知する検知処理部と、
前記検知処理部が前記人の進入を検知した場合に、前記人の進入位置に基づいて前記走行エリア内の一部である前記人の前記進入位置を含む所定エリアを走行制限エリアに設定する設定処理部と、
前記設定処理部により設定される前記走行制限エリアに基づいて、前記自動走行装置の走行を制御する走行処理部と、
を備える自動走行システム。
【請求項2】
前記走行処理部は、前記自動走行装置を、前記走行制限エリアを回避する回避経路を走行させる、
請求項1に記載の自動走行システム。
【請求項3】
前記走行処理部は、前記自動走行装置を、前記検知処理部が前記人の進入を検知しない場合の前記自動走行装置の走行速度よりも遅い走行速度で前記回避経路を走行させる、
請求項2に記載の自動走行システム。
【請求項4】
前記走行エリアには、複数の前記自動走行装置が含まれており、
前記走行処理部は、前記検知処理部が前記人の進入を検知した時点で前記走行制限エリア内に位置する前記自動走行装置を停止させ、前記検知処理部が前記人の進入を検知した時点で前記走行制限エリア外に位置する前記自動走行装置に前記回避経路を走行させる、
請求項2又は3に記載の自動走行システム。
【請求項5】
前記走行処理部は、前記検知処理部が前記人の進入を検知した場合に、前記走行制限エリアと前記自動走行装置の目的位置とに基づいて前記回避経路を探索する、
請求項2又は3に記載の自動走行システム。
【請求項6】
前記走行エリアの周囲には人が出入り可能な複数の出入口が設けられており、
前記検知処理部は、前記人の進入を検知した場合に、複数の出入口のうち前記人の進入が行われた出入口を特定し、
前記設定処理部は、前記検知処理部により特定される前記出入口に基づいて前記走行制限エリアを設定する、
請求項2又は3に記載の自動走行システム。
【請求項7】
前記検知処理部が、前記走行エリア内に進入した前記人が前記走行エリア外に退出したことを検知した場合に、前記設定処理部は、前記走行制限エリアを解除する、
請求項2又は3に記載の自動走行システム。
【請求項8】
走行エリア内で自動走行装置を走行させる自動走行方法であって、
一又は複数のプロセッサーが、
前記走行エリア内への人の進入を検知する検知ステップと、
前記検知ステップにおいて前記人の進入を検知した場合に、前記人の進入位置に基づいて前記走行エリア内の一部である前記人の進入位置を含む所定エリアを走行制限エリアに設定する設定ステップと、
前記設定ステップにおいて設定される前記走行制限エリアに基づいて、前記自動走行装置の走行を制御する走行ステップと、
を実行する自動走行方法。
【請求項9】
走行エリア内で自動走行装置を走行させる自動走行プログラムであって、
前記走行エリア内への人の進入を検知する検知ステップと、
前記検知ステップにおいて前記人の進入を検知した場合に、前記人の進入位置に基づいて前記走行エリア内の一部である前記人の進入位置を含む所定エリアを走行制限エリアに設定する設定ステップと、
前記設定ステップにおいて設定される前記走行制限エリアに基づいて、前記自動走行装置の走行を制御する走行ステップと、
を一又は複数のプロセッサーに実行させるための自動走行プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動走行システム、自動走行方法、及び自動走行プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、倉庫などの施設において、自動走行装置が搬送対象の物品を保管位置(例えば保管棚)で受け取って払い出し位置(出庫場所)まで搬送するシステムが知られている。
【0003】
例えば、走行エリアに応じて自動走行装置の走行速度を制御するシステムが知られている(特許文献1参照)。例えば、自動走行装置が、人の出入りを防止するための区画設備によって外部と区画されたエリアを走行する場合、前記システムは、自動走行装置を、前記エリアにおける最高走行速度が他のエリアにおける最高走行速度よりも高くなるように走行させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-20954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のシステムは、例えば、作業者が自動走行装置の走行エリア内へ進入したことを検知した場合に、走行エリア内の全ての自動走行装置の走行を停止させる。このため、自動走行装置による搬送効率が低下する問題が生じる。
【0006】
本開示の目的は、作業者が走行エリアに進入した場合に自動走行装置による搬送効率が低下することを抑制することが可能な自動走行システム、自動走行方法、及び自動走行プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一の態様に係る自動走行システムは、走行エリア内で自動走行装置を走行させる自動走行システムであって、検知処理部と設定処理部と走行処理部とを備える。前記検知処理部は、前記走行エリア内への人の進入を検知する。前記設定処理部は、前記検知処理部が前記人の進入を検知した場合に、前記人の進入位置に基づいて前記走行エリア内の一部である前記人の前記進入位置を含む所定エリアを走行制限エリアに設定する。前記走行処理部は、前記設定処理部により設定される前記走行制限エリアに基づいて、前記自動走行装置の走行を制御する。
【0008】
本開示の他の態様に係る自動走行方法は、走行エリア内で自動走行装置を走行させる自動走行方法であって、一又は複数のプロセッサーが、前記走行エリア内への人の進入を検知する検知ステップと、前記検知ステップにおいて前記人の進入を検知した場合に、前記人の進入位置に基づいて前記走行エリア内の一部である前記人の進入位置を含む所定エリアを走行制限エリアに設定する設定ステップと、前記設定ステップにおいて設定される前記走行制限エリアに基づいて、前記自動走行装置の走行を制御する走行ステップと、を実行する。
【0009】
本開示の他の態様に係る自動走行プログラムは、走行エリア内で自動走行装置を走行させる自動走行プログラムであって、前記走行エリア内への人の進入を検知する検知ステップと、前記検知ステップにおいて前記人の進入を検知した場合に、前記人の進入位置に基づいて前記走行エリア内の一部である前記人の進入位置を含む所定エリアを走行制限エリアに設定する設定ステップと、前記設定ステップにおいて設定される前記走行制限エリアに基づいて、前記自動走行装置の走行を制御する走行ステップと、を一又は複数のプロセッサーに実行させるための自動走行プログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、作業者が走行エリアに進入した場合に自動走行装置による搬送効率が低下することを抑制することが可能な自動走行システム、自動走行方法、及び自動走行プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の実施形態に係る自動走行システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、本開示の実施形態に係る自動走行システムが適用される施設の構成を模式的に示す図である。
図3図3は、本開示の実施形態に係る自動走行システムで利用される商品情報の一例を示す図である。
図4図4は、本開示の実施形態に係る自動走行システムで利用されるオーダー情報の一例を示す図である。
図5図5は、本開示の実施形態に係る自動走行システムで利用される搬送情報の一例を示す図である。
図6図6は、本開示の実施形態に係る自動走行装置の走行経路の一例を示す図である。
図7図7は、本開示の実施形態に係る施設に設定される走行制限エリアの一例を示す図である。
図8図8は、本開示の実施形態に係る自動走行装置の走行経路の一例を示す図である。
図9図9は、本開示の実施形態に係る自動走行装置の回避経路の一例を示す図である。
図10図10は、本開示の実施形態に係る自動走行システムで実行される自動走行処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について説明し、本開示の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本開示を具体化した一例であって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0013】
[自動走行システム10]
図1に示されるように、本開示の実施形態に係る自動走行システム10は、管理サーバー1と自動走行装置2(AGV、無人搬送装置ともいう)とを含む。管理サーバー1と自動走行装置2とは、無線LANなどの通信網N1を介して通信可能である。
【0014】
自動走行システム10は、自動走行装置2が走行可能な複数の通路が設定され、自動走行装置2に対して前記複数の通路のうち走行すべき通路を走行経路として指定して搬送対象を保管位置から目的位置まで搬送させるシステムである。自動走行システム10は、例えば商品(搬送対象)を保管する工場、倉庫などの施設などに適用される。例えば、自動走行システム10は、顧客(顧客端末)から商品のオーダーを受け付けると、自動走行装置2に搬送指示を出力する。自動走行装置2は、前記搬送指示を取得すると、前記商品の保管位置(保管棚)まで移動して前記商品をピッキングして、当該商品を出庫場所まで搬送する。顧客は、パーソナルコンピューター、スマートフォンなどの情報処理装置(顧客端末)を利用して注文サーバー(不図示)が運用するWEBサイト(注文ページ)にアクセスして商品の注文を行うことが可能である。
【0015】
前記注文サーバーは、複数の顧客端末のそれぞれから前記商品のオーダーを受け付け可能であり、受け付けた各オーダー情報を集約して管理サーバー1に出力する。管理サーバー1は、複数の自動走行装置2のそれぞれの運行を管理し、前記オーダー情報に基づいて各自動走行装置2に搬送指示(走行指示)を出力する。自動走行装置2は、前記搬送指示に基づいて、予め設定された走行経路を自律走行し、前記オーダー情報に含まれる商品を保管棚からピッキングして出庫場所まで搬送する。なお、自動走行装置2の自律走行方法は、特に限定されず周知の方法、例えば床面に設置された磁気テープと走行動作(制御情報)を規定したマーカとを利用した方法を採用することができる。
【0016】
また、自動走行装置2には、例えば複数のコンテナ(収容部)が搭載されており、コンテナごとに顧客のオーダー商品を収容することにより、一度のピッキング走行(待機場所から各棚を巡回して出庫場所まで移動する走行)により複数の顧客の商品をまとめて搬送することが可能になっている。例えば、自動走行装置2が2個のコンテナを搭載している場合には、自動走行装置2は、2人分の顧客のオーダー商品をまとめて搬送することが可能である。管理サーバー1は、一又は複数の顧客のオーダー情報に対応する前記搬送指示を各自動走行装置2に出力する。
【0017】
本実施形態では、一例として、自動走行システム10が図2に示す施設W1に適用される例について説明する。図2に示す施設W1には、商品(搬送対象)を保管する複数の保管棚(保管位置)が配置されている。図2には、16個の保管棚T1~T16を例示している。
【0018】
また施設W1には、自動走行装置2の待機場所が設定されている。例えば、施設W1には、AGV1が待機する待機場所P1と、AGV2が待機する待機場所P2と、AGV3が待機する待機場所P3とが設定されている。各自動走行装置2は、管理サーバー1から搬送指示を受けていない場合に所定の待機場所で待機する。
【0019】
各自動走行装置2は、管理サーバー1から搬送指示を取得すると、待機場所からオーダー商品を保管する保管棚に移動する。例えば、AGV1は、管理サーバー1から保管棚T1の商品をオーダー情報に含む搬送指示を取得すると、予め設定された走行経路に従って保管棚T1に移動し、オーダー商品をピッキング又はピッキング作業を担当する作業者からオーダー商品を受け取ると、予め設定された走行経路に従って出庫場所まで移動する。
【0020】
ここで、施設W1は、人の出入りを防止するための区画設備(扉、柵、ゲートなど)によって外部と内部(走行エリア)に区画されている。例えば図2に示すように、施設W1(走行エリア)の周囲には人が出入り可能な複数の出入口が設けられており、各出入口には扉(図2では8個の扉G1~G8)が設けられている。扉G1~G8のそれぞれには、開閉ボタンが設けられている。例えば作業者は、前記開閉ボタンを押下して扉を開けて施設W1内に進入し、施設W1内で商品の補充、チェック、自動走行装置2のメンテナンスなどの所定の作業を行うことが可能である。なお、各扉に作業者のID、顔などを認証する認証装置が設けられていてもよい。
【0021】
本実施形態では、自動走行システム10が本開示に係る自動走行システムに相当するが、本開示に係る自動走行システムは、管理サーバー1単体で構成されてもよいし、管理サーバー1及び自動走行装置2のうち一又は複数の構成要素を含むものであってもよい。
【0022】
[管理サーバー1]
図1に示されるように、管理サーバー1は、制御部11、記憶部12、操作表示部13、及び通信部14などを備えるサーバーである。なお、管理サーバー1は、1台のコンピュータに限らず、複数台のコンピュータが協働して動作するコンピュータシステムであってもよい。また、管理サーバー1で実行される各種の処理は、一又は複数のプロセッサーによって分散して実行されてもよい。
【0023】
通信部14は、管理サーバー1を有線又は無線で通信網N1に接続し、通信網N1を介して一又は複数の自動走行装置2との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0024】
操作表示部13は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイのような表示部と、操作を受け付けるマウス、キーボード、又はタッチパネルのような操作部とを備えるユーザーインターフェースである。
【0025】
記憶部12は、各種の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶部である。具体的に、記憶部12には、商品情報D1、オーダー情報D2、搬送情報D3などのデータが記憶される。商品情報D1には、施設W1に保管されている商品に関する情報が含まれる。オーダー情報D2には、顧客のオーダーに関する情報が含まれる。図3は商品情報D1の一例を示す図であり、図4はオーダー情報D2の一例を示す図であり、図5は搬送情報D3の一例を示す図である。
【0026】
図3に示すように、商品情報D1には、商品ごとに、対応する「商品ID」、「商品名」、「棚ID」などの情報が含まれる。前記商品IDは、商品の識別情報であり、前記商品名は、商品の名称である。前記棚IDは、商品が保管されている保管棚の識別情報である。本実施形態では、前記棚IDとして、例えば保管棚T1を示す「T1」、保管棚T2を示す「T2」、保管棚T3を示す「T3」などが登録される。
【0027】
商品情報D1は、例えば施設W1の管理者の登録操作により予め記憶部22に記憶される。また、管理者は、商品情報D1を適宜更新することが可能である。
【0028】
図4に示すように、オーダー情報D2には、オーダー(注文)ごとに、対応する「単位オーダーID」、「顧客ID」、「オーダー商品」、「数量」、「オーダー日時」などの情報が含まれる。前記単位オーダーIDは、一つのオーダーの識別情報であり、前記顧客IDは、商品をオーダーした顧客の識別情報である。前記オーダー商品は、顧客がオーダーした商品の名称であり、前記数量は、オーダー商品の注文数である。前記オーダー日時は、顧客からオーダーを受け付けた日時の情報である。
【0029】
オーダー情報D2は、管理サーバー1(又は注文サーバー)が顧客からオーダーを受け付けるごとに制御部11により登録される。
【0030】
図5に示すように、搬送情報D3には、単位オーダーを組み合わせたセットオーダーごとに、対応する「セットオーダーID」、「単位オーダーID」、「棚ID」などの情報が含まれる。前記セットオーダーIDは、単位オーダーを組み合わせたセットオーダーの識別情報である。制御部11は、商品の保管位置、自動走行装置2の現在位置、運行ルールなどの情報に基づいて、単位オーダーを組み合わせてセットオーダーを生成する。
【0031】
搬送情報D3は、自動走行装置2に送信される搬送指示に含まれる。例えばAGV1が「SET1」の搬送情報D3を含む搬送指示を取得すると、AGV1は、搬送情報D3に含まれる棚ID「T3」の位置に移動する。そして、AGV1は、保管棚T3において単位オーダーID「O1」、「O2」、「O3」、「O4」のそれぞれの商品をピッキングする。
【0032】
制御部11は、商品情報D1(図3参照)を参照して搬送情報D3(図5参照)を生成する。
【0033】
なお、他の実施形態として、商品情報D1、オーダー情報D2、及び搬送情報D3の一部又は全部が、管理サーバー1から通信網N1を介してアクセス可能な他のサーバーに記憶されてもよい。この場合、管理サーバー1の制御部11は、前記他のサーバーから前記情報を取得して、後述の自動走行処理(図10参照)などの各処理を実行してもよい。
【0034】
また、記憶部12には、制御部11に後述の自動走行処理(図10参照)を実行させるための自動走行プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。例えば、前記自動走行プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、管理サーバー1が備えるCDドライブ又はDVDドライブなどの読取装置(不図示)で読み取られて記憶部12に記憶される。
【0035】
制御部11は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、制御部11は、前記ROM又は記憶部12に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより管理サーバー1を制御する。
【0036】
具体的には、図1に示されるように、制御部11は、受付処理部111、走行処理部112、検知処理部113、設定処理部114などの各種の処理部を含む。なお、制御部11は、前記CPUで前記自動走行プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、一部又は全部の前記処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記自動走行プログラムは、複数のプロセッサーを前記処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0037】
受付処理部111は、商品(搬送対象)の搬送要求(ピッキングオーダー)を受け付ける。具体的には、受付処理部111は、複数の顧客のオーダーに対応するオーダー情報D2(図4参照)を受け付ける。例えば、受付処理部111は、CUSTOM1及びCUSTOM2の顧客のオーダーを含むオーダー情報D2(図4参照)を受け付ける。
【0038】
また、受付処理部111は、オーダー情報D2を受け付けると搬送情報D3を生成する。例えば、受付処理部111は、CUSTOM1及びCUSTOM2の顧客の4個のオーダー(単位オーダー)を含むオーダー情報D2(図4参照)を受け付けると、商品情報D1(図3参照)を参照して、「SET1」の搬送情報D3(図5参照)を生成する。例えば、受付処理部111は、オーダー情報D2に含まれる複数の商品のうち、同じエリアに保管されている複数の商品を一つのオーダー(セットオーダー)に集約して搬送情報D3を生成する。また受付処理部111は、自動走行装置2に搭載された複数のコンテナのそれぞれに割り当てた搬送情報D3を生成する。
【0039】
走行処理部112は、自動走行装置2の自動走行を制御する。具体的には、走行処理部112は、受付処理部111が受け付けた前記搬送要求に基づいて、自動走行装置2の現在位置から保管位置(保管棚)までの走行経路を設定する。
【0040】
ここで、走行処理部112は、全ての自動走行装置2の現在位置を取得する。各自動走行装置2は、現在位置、走行速度、進行方向、走行状態(走行中又は待機中)などの情報をリアルタイムに管理サーバー1に送信する。走行処理部112は、各自動走行装置2から送信される前記情報に基づいて、1台の自動走行装置2を指定して搬送情報D3を割り当てる。
【0041】
走行処理部112は、割り当てられた自動走行装置2に走行開始位置及び目的位置を設定する。図6には、施設W1の一部のエリアを模式的に示している。符号A~Rは施設W1内の地点を示し、各地点を結ぶ直線は自動走行装置2が走行可能な通路を示している。例えば、受付処理部111がAGV1に「SET1」の搬送情報D3を割り当てた場合、図6に示すように、走行処理部112は、地点PをAGV1の走行開始位置に設定し、地点Iを目的位置に設定する。
【0042】
走行処理部112は、AGV1に走行開始位置及び目的位置を設定すると、走行開始位置から目的位置までの走行経路を設定する。具体的には、走行処理部112は、全ての自動走行装置2に対して運行シミュレーションを行い、全ての自動走行装置2の搬送時間の合計が最短となる走行経路及び制御情報を設定する。
【0043】
例えば、走行処理部112は、最初に、他の自動走行装置2(ここではAGV2、AGV3)の走行状況(現在位置、走行速度、予約走行経路、予約走行経路の到着予測時間)を観測する。次に、走行処理部112は、全ての自動走行装置2に対して並行して運行シミュレーションを行って、全てのAGVの搬送時間の合計が最短となるように、AGV1が地点Pから地点Iに移動するための走行経路を設定する。
【0044】
また、走行処理部112は、自動走行装置2の動作を規定する制御情報を走行経路上のマーカに対応付けて設定する。具体的には、走行処理部112は、各マーカ位置における次に進行するマーカ位置に向けた進行方向を指定する情報(直進、左折、右折など)と、各マーカ位置における走行速度、加速度、停止、旋回などの情報を含む制御情報を設定する。前記マーカは、各地点A~Rに設けられる。
【0045】
走行処理部112は、前記走行経路を含む走行経路情報と、前記制御情報とを自動走行装置2に出力する。ここでは、走行処理部112は、AGV1に前記走行経路情報及び前記制御情報を出力する。AGV1は、前記走行経路情報及び前記制御情報を取得すると、設定された走行経路の走行を開始する。以上のようにして、走行処理部112は、各自動走行装置2の自動走行を制御する。
【0046】
ここで、各自動走行装置2が走行処理部112の指示に応じて自動走行中に、作業者が施設W1内(走行エリア)に進入する場合がある。従来のシステムでは、作業者が自動走行装置2の走行エリアへ進入したことを検知した場合に、走行エリア内の全ての自動走行装置2の走行を停止させるため、自動走行装置2による搬送効率が低下する問題が生じる。これに対して、本実施形態に係る自動走行システム10は、以下に示すように、作業者が走行エリアに進入した場合に自動走行装置2による搬送効率が低下することを抑制することが可能な構成を備えている。
【0047】
具体的には、検知処理部113は、走行エリア(施設W1)内への人の進入を検知する。なお、「進入」には、人が走行エリアへ進入する前に行われる準備動作(進入準備)が含まれる。すなわち、検知処理部113は、人が走行エリア内に進入したこと、又は、人が走行エリア内に進入しようとしていることを検知する。
【0048】
例えば、検知処理部113は、扉と通信可能である場合に、扉から当該扉が開いたことを示す信号を受信すると走行エリア内への人の進入を検知する。また、検知処理部113は、扉と通信可能である場合に、扉から開ボタンが押下されたことを示す信号を受信すると走行エリア内への人の進入を検知する。
【0049】
また、検知処理部113は、扉に人感センサーが設けられている場合に、当該人感センサーから人を感知したことを示す信号を受信すると走行エリア内への人の進入を検知する。また、検知処理部113は、扉付近を撮影可能なカメラが設置されている場合に、当該カメラから人を検知したことを示す信号を受信すると走行エリア内への人の進入を検知する。
【0050】
また、検知処理部113は、扉に認証装置が設けられている場合に、当該認証装置から人を認証したことを示す信号を受信すると走行エリア内への人の進入を検知する。
【0051】
例えば、検知処理部113は、扉G1~G8と通信可能であり、扉G1~G8の開閉状態を監視する。例えば、作業者が施設W1の扉G1の開ボタンを押下して施設W1内に進入すると、検知処理部113は、作業者が扉G1から走行エリア内に進入したことを検知する。
【0052】
また、検知処理部113は、人の進入を検知した場合に、前記人の進入位置を特定する。例えば、検知処理部113は、作業者が施設W1の扉の開ボタンを押下して施設W1内に進入して、作業者が当該扉から走行エリア内に進入したことを検知すると、作業者の進入位置を特定する。
【0053】
例えば、作業者が施設W1の扉G1の開ボタンを押下して施設W1内に進入した場合に、検知処理部113は、作業者が扉G1から走行エリア内に進入したことを検知して、作業者の進入位置を特定する。具体的には、検知処理部113は、扉G1から開ボタンが押下されたことを示す信号又は扉G1が開いたことを示す信号を受信した場合に、当該信号に含まれる扉G1の識別情報(扉IDなど)を取得する。そして、検知処理部113は、前記扉IDに基づいて前記進入位置として「扉G1」を特定する。検知処理部113は、前記進入位置として、扉の位置を特定してもよいし、扉に対応する開閉ボタンの位置を特定してもよいし、扉に対応するカメラの位置を特定してもよいし、扉に対応する認証装置の位置を特定してもよい。
【0054】
このように、検知処理部113は、走行エリア内への人の進入を検知するとともに、当該走行エリア内における人の進入位置を特定する。
【0055】
設定処理部114は、検知処理部113により特定される前記進入位置に基づいて、前記走行エリア内の一部である前記人の前記進入位置を含む所定エリアを走行制限エリアに設定する。設定処理部114は、前記進入位置を基準とした所定距離のエリアを前記走行制限エリアに設定する。設定処理部114は、走行エリア内に進入した人(作業者)の作業内容に応じたエリアを前記走行制限エリアに設定してもよい。例えば、作業者が保管棚に商品を保管する作業を行う場合には、設定処理部114は、保管作業の作業エリアを前記走行制限エリアに設定する。また例えば、作業者が自動走行装置2のメンテナンスを行う場合には、設定処理部114は、メンテナンスエリアを前記走行制限エリアに設定する。前記走行制限エリアは、自動走行装置2の自動走行を制限するエリアであり、例えば、自動走行装置2の走行を禁止するエリア、自動走行装置2の走行速度を制限(減速)させるエリア、自動走行装置2の走行可能台数を制限するエリアなどである。
【0056】
例えば、設定処理部114は、前記進入位置として扉G1を特定した場合に、図7に示すように、扉G1を含む所定エリアAr1を前記走行制限エリアに設定する。また、扉G1から進入した作業者が扉G1付近において所定の作業を行う場合には、設定処理部114は、扉G1と当該作業のエリアを含む所定エリアAr1を前記走行制限エリアに設定する。
【0057】
出入口(扉)ごとに前記所定エリアが予め登録されている場合には、設定処理部114は、特定した出入口に対応する前記所定エリアを特定し、特定した前記所定エリアを前記走行制限エリアに設定する。
【0058】
他の実施形態として、設定処理部114は、ユーザー操作に応じて前記走行制限エリアを設定可能であってもよい。例えば、作業者が前記進入位置を含む前記所定エリアを変更(拡大又は縮小)する操作を行った場合に、設定処理部114は、作業者による変更操作に応じて前記走行制限エリアを設定する。
【0059】
このように、前記走行エリアの周囲に複数の出入口が設けられている場合に、検知処理部113は、人の進入を検知すると複数の出入口のうち人の進入が行われた出入口を特定し、設定処理部114は、検知処理部113により特定された出入口に基づいて前記走行制限エリアを設定する。
【0060】
走行処理部112は、設定処理部114により設定される前記走行制限エリアに基づいて、自動走行装置2の走行を制御する。具体的には、走行処理部112は、検知処理部113が人の進入を検知した場合に、前記走行制限エリア(所定エリアAr1)と自動走行装置2の目的位置とに基づいて、前記走行制限エリアを回避する回避経路を探索する。そして、走行処理部112は、自動走行装置2に回避経路を走行させる。
【0061】
具体的には、設定処理部114が前記走行制限エリアを、自動走行装置2の走行を禁止するエリアに設定した場合に、走行処理部112は、自動走行装置2を、前記走行制限エリアを回避する回避経路を走行させる。例えば、図7に示すように扉G1を含む所定エリアAr1が前記走行制限エリア(走行禁止エリア)に設定された場合に、走行処理部112は、所定エリアAr1への自動走行装置2の進入を禁止し、所定エリアAr1を回避する回避経路を走行させる。図8には、AGV1の元の走行経路R0を示し、図9には、AGV1の回避経路R1(点線部分)を示している。走行処理部112は、AGV1の目的位置(保管棚T3)までの回避経路R1を探索して、AGV1に回避経路R1を走行させる。
【0062】
また、走行処理部112は、自動走行装置2を、検知処理部113が人の進入を検知しない場合の自動走行装置2の走行速度よりも遅い走行速度で前記回避経路を走行させてもよい。例えば、自動走行装置2が走行経路R0(図8参照)を走行する場合の走行速度がV1に設定されている場合において、検知処理部113が扉G1から走行エリア内への人の進入を検知した場合に、走行処理部112は、回避経路R1(図9参照)を走行する自動走行装置2の走行速度をV1よりも遅い速度(走行速度V2)に設定して自動走行装置2に回避経路R1を走行させる。
【0063】
図9に示す例では、走行処理部112は、走行経路R0を走行速度V1で走行させ、回避経路R1を走行速度V2で走行させる。
【0064】
また、走行処理部112は、検知処理部113が走行エリア(施設W1)内への人の進入を検知して設定処理部114が前記走行制限エリア(所定エリアAr1)を設定したときに前記走行制限エリア内を走行中の自動走行装置2が存在する場合には、当該自動走行装置2の走行を停止させる。なお、扉と、自動走行装置2又は人との接触を回避するために、走行処理部112は、所定エリアAr1内を走行中の自動走行装置2のうち扉付近の自動走行装置2を所定エリアAr1内の扉から離れた場所又は所定エリアAr1外に移動させて停止させる。
【0065】
他の実施形態として、走行処理部112は、所定エリアAr1内を走行中の自動走行装置2のうち所定エリアAr1外から所定エリアAr1内に向かう方向に走行する自動走行装置2を停止させて、所定エリアAr1内から所定エリアAr1外に向かう方向に走行する自動走行装置2の走行を継続させてもよい。また、走行処理部112は、所定エリアAr1内を走行中の自動走行装置2の走行速度を走行速度V2よりも遅い速度(走行速度V3)に設定して所定エリアAr1内を走行させてもよい。
【0066】
他の実施形態として、走行処理部112は、検知処理部113が施設W1内への人の進入を検知した場合に、所定エリアAr1内を走行可能な自動走行装置2の台数を所定台数以下となるように制御してもよい。例えば、前記所定台数が2台に設定されている場合において、所定エリアAr1内に3台の自動走行装置2が走行中の場合に、走行処理部112は、1台の自動走行装置2を所定エリアAr1外に移動させる。
【0067】
また他の実施形態として、走行処理部112は、検知処理部113が施設W1内への人の進入を検知した場合に、施設W1内の全ての自動走行装置2の走行を停止又は減速させてもよい。
【0068】
また他の実施形態として、走行処理部112は、検知処理部113が施設W1内への人の進入を検知した場合に、施設W1内の全ての自動走行装置2、所定エリアAr1内の自動走行装置2、又は、所定エリアAr1周辺の自動走行装置2を、所定の退避場所に移動させて一時的に退避させてもよい。
【0069】
このように、走行処理部112は、検知処理部113が走行エリア(施設W1)内への人の進入を検知した時点で前記走行制限エリア(所定エリアAr1)内に位置する自動走行装置2を停止させ、検知処理部113が施設W1内への人の進入を検知した時点で前記走行制限エリア外に位置する自動走行装置2に回避経路を走行(例えば減速走行)させる。
【0070】
また、検知処理部113が、走行エリア(施設W1)内に進入した人が前記走行エリア外に退出したことを検知した場合に、設定処理部114は、前記走行制限エリアを解除する。設定処理部114が前記走行制限エリアを解除すると、走行処理部112は、停止中の自動走行装置2の走行を再開させ、元の走行経路を走行させる。
【0071】
以上のように、制御部11は、走行エリア内への人の進入を検知すると人の進入位置に応じた所定エリアを走行制限エリアに設定し、当該走行制限エリアに基づいて自動走行装置2の走行を制御する。
【0072】
[自動走行処理]
以下、図10を参照しつつ、自動走行システム10において実行される自動走行処理について説明する。具体的に、本実施形態では、管理サーバー1の制御部11によって前記自動走行処理が実行される。また、制御部11は、複数の搬送要求に応じて複数の自動走行処理を並行して実行することが可能である。制御部11は、搬送要求に応じて自動走行装置2の走行を開始させた場合に、図10に示す前記自動走行処理の実行を開始する。
【0073】
なお、本開示は、前記自動走行処理に含まれる一又は複数のステップを実行する自動走行方法の開示として捉えることができる。また、ここで説明する前記自動走行処理に含まれる一又は複数のステップは適宜省略されてもよい。なお、前記自動走行処理における各ステップは同様の作用効果を生じる範囲で実行順序が異なってもよい。さらに、ここでは制御部11が前記自動走行処理における各ステップを実行する場合を例に挙げて説明するが、一又は複数のプロセッサーが当該自動走行処理における各ステップを分散して実行する自動走行方法も他の実施形態として考えられる。
【0074】
先ずステップS1において、制御部11は、自動走行装置2に自動走行を開始させる。具体的には、制御部11は、オーダー情報D2(図4参照)に応じた前記搬送要求に基づいて搬送情報D3(図5参照)を生成し、搬送情報D3に応じた前記走行経路情報及び前記制御情報を自動走行装置2に出力して走行を開始させる。
【0075】
次にステップS2において、制御部11は、走行エリア(施設W1)内に人が進入したか否かを判定する。具体的には、制御部11は、施設W1の出入口に設置された扉が開いたことを示す信号を受信したか否かを判定する。制御部11は、扉が開いたことを示す信号を受信した場合に、施設W1内に人が進入したと判定する。制御部11は、走行エリア内に人が進入したと判定すると(S2:Yes)、処理をステップS3に移行させる。一方、制御部11は、走行エリア内に人が進入していないと判定すると(S2:No)、処理をステップS8に移行させる。
【0076】
ステップS3において、制御部11は、走行制限エリアを設定する。具体的には、制御部11は、走行エリア(施設W1)に設置された複数の出入口(例えば、扉G1~G8)のうち人の進入が行われた出入口(進入位置)を特定し、特定した出入口に基づいて前記走行制限エリアを設定する。
【0077】
例えば、制御部11は、扉G1から開ボタンが押下されたことを示す信号又は扉G1が開いたことを示す信号を受信した場合に、当該信号に含まれる扉G1の識別情報(扉IDなど)を取得し、前記扉IDに基づいて前記進入位置(扉G1)を特定する。制御部11は、特定した前記進入位置に基づいて、前記走行エリア内の一部である前記進入位置を含む所定エリアを前記走行制限エリアに設定する。例えば、制御部11は、前記進入位置として扉G1を特定した場合に、図7に示すように、扉G1を含む所定エリアAr1を前記走行制限エリアに設定する。
【0078】
次にステップS4において、制御部11は、走行制御処理を実行する。具体的には、制御部11は、前記走行制限エリアを自動走行装置2の走行を禁止するエリアに設定し、前記走行制限エリアを回避する回避経路を設定する。例えば、制御部11は、AGV1に設定された走行経路R0(図8参照)が前記走行制限エリア(所定エリアAr1(図7参照))に重なる場合に、所定エリアAr1を回避する回避経路R1(図9参照)を設定して、自動走行装置2に回避経路R1を走行させる。また、制御部11は、自動走行装置2が回避経路R1を走行する際の走行速度を、走行経路R0を走行する際の走行速度V1よりも遅い速度(走行速度V2)に設定する。また、制御部11は、所定エリアAr1内の自動走行装置2の走行を停止させる。
【0079】
次にステップS5において、制御部11は、走行エリア(施設W1)内に進入した人が前記走行エリア外に退出したことを検知したか否かを判定する。具体的には、制御部11は、施設W1の出入口に設置された扉が閉じたことを示す信号を受信したか否かを判定する。制御部11は、扉が閉じたことを示す信号を受信した場合に、走行エリア外に人が退出したと判定する。制御部11は、走行エリア外に人が退出したと判定すると(S5:Yes)、処理をステップS6に移行させる。一方、制御部11は、走行エリア外に人が退出していないと判定すると(S5:No)、処理をステップS4に移行させる。すなわち、制御部11は、走行エリア内に人がいる間、ステップS4の走行制御処理を継続して実行する(S5:No)。
【0080】
ステップS6において、制御部11は、前記走行制限エリアを解除する。例えば、制御部11は、図7に示す所定エリアAr1を解除する。
【0081】
次にステップS7において、制御部11は、自動走行装置2に自動走行を再開させる。例えば、制御部11は、自動走行を停止させた自動走行装置2に対して自動走行を再開させる。また、制御部11は、回避経路R1(図9参照)を走行中の自動走行装置2に、元の走行経路R0(図8参照)を走行させる。また、制御部11は、走行速度V2で走行中の自動走行装置2の走行速度を元の走行速度V1に戻して走行させる。
【0082】
次にステップS8において、制御部11は、自動走行を終了したか否かを判定する。例えば、制御部11は、自動走行装置2が走行終了位置に到着した場合に、自動走行を終了したと判定する。制御部11は、自動走行を終了したと判定すると(S8:Yes)、前記自動走行処理を終了する。一方、制御部11は、自動走行を終了していないと判定すると(S8:No)、処理をステップS2に移行させる。例えば、自動走行装置2が目的位置に到着すると、制御部11は、自動走行を終了したと判定して前記自動走行処理を終了する。制御部11は、自動走行装置2が目的位置に到着するまでステップS2~S7の処理を繰り返す(S8:No)。
【0083】
また、制御部11は、走行エリア内に存在する各自動走行装置2に対して、前記自動走行処理を実行する。
【0084】
以上説明したように、本実施形態に係る自動走行システム10は、走行エリア内で自動走行装置2を走行させるシステムである。また、自動走行システム10は、前記走行エリア内への人の進入を検知した場合に、前記人の進入位置に基づいて前記走行エリア内の一部である前記人の前記進入位置を含む所定エリアを走行制限エリアに設定し、設定した前記走行制限エリアに基づいて自動走行装置2の走行を制御する。例えば、自動走行システム10は、自動走行装置2を、前記走行制限エリアを回避する回避経路を走行させる。また、自動走行システム10は、自動走行装置2の走行速度を減速させる。また、自動走行システム10は、前記所定エリア内の自動走行装置2の走行を停止させる。
【0085】
上記構成によれば、例えば人が走行エリア内に進入した場合に、走行エリア内の全ての自動走行装置2を停止させることなく、進入位置に応じた一部の所定エリアのみに対して自動走行装置2の走行を制限(停止、減速、回避など)し、他のエリアの自動走行装置2の走行を継続させることができる。よって、人が走行エリアに進入した場合に自動走行装置2による搬送効率が低下することを抑制することができる。また、前記所定エリア内の自動走行装置2の走行を停止させることにより、人と自動走行装置2との接触を防止しつつ、搬送効率の低下を抑制することができる。このように、本実施形態によれば、所定エリアのみを走行制限エリアに設定するため、走行エリア全体の自動走行装置2の走行が必要以上に制限されないため、搬送効率の低下を抑制することができる。
【0086】
本開示の他の実施形態として、管理サーバー1の制御部11は、走行エリア内への人の進入を検知した場合に、前記走行制限エリア内の自動走行装置2及び前記走行制限エリア付近の自動走行装置2が備える障害物検知機能において、障害物を検知する検知領域を拡大させてもよい。これにより、走行エリア内に人が進入した場合に、自動走行装置2が人を検知し易くなるため、人と自動走行装置2との接触を防ぐことができる。
【0087】
[開示の付記]
以下、上述の実施形態から抽出される開示の概要について付記する。なお、以下の付記で説明する各構成及び各処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
【0088】
<付記1>
走行エリア内で自動走行装置を走行させる自動走行システムであって、
前記走行エリア内への人の進入を検知する検知処理部と、
前記検知処理部が前記人の進入を検知した場合に、前記人の進入位置に基づいて前記走行エリア内の一部である前記人の前記進入位置を含む所定エリアを走行制限エリアに設定する設定処理部と、
前記設定処理部により設定される前記走行制限エリアに基づいて、前記自動走行装置の走行を制御する走行処理部と、
を備える自動走行システム。
【0089】
<付記2>
前記走行処理部は、前記自動走行装置を、前記走行制限エリアを回避する回避経路を走行させる、
付記1に記載の自動走行システム。
【0090】
<付記3>
前記走行処理部は、前記自動走行装置を、前記検知処理部が前記人の進入を検知しない場合の前記自動走行装置の走行速度よりも遅い走行速度で前記回避経路を走行させる、
付記2に記載の自動走行システム。
【0091】
<付記4>
前記走行エリアには、複数の前記自動走行装置が含まれており、
前記走行処理部は、前記検知処理部が前記人の進入を検知した時点で前記走行制限エリア内に位置する前記自動走行装置を停止させ、前記検知処理部が前記人の進入を検知した時点で前記走行制限エリア外に位置する前記自動走行装置に前記回避経路を走行させる、
付記2又は3に記載の自動走行システム。
【0092】
<付記5>
前記走行処理部は、前記検知処理部が前記人の進入を検知した場合に、前記走行制限エリアと前記自動走行装置の目的位置とに基づいて前記回避経路を探索する、
付記2~4のいずれかに記載の自動走行システム。
【0093】
<付記6>
前記走行エリアの周囲には人が出入り可能な複数の出入口が設けられており、
前記検知処理部は、前記人の進入を検知した場合に、複数の出入口のうち前記人の進入が行われた出入口を特定し、
前記設定処理部は、前記検知処理部により特定される前記出入口に基づいて前記走行制限エリアを設定する、
付記2~5のいずれかに記載の自動走行システム。
【0094】
<付記7>
前記検知処理部が、前記走行エリア内に進入した前記人が前記走行エリア外に退出したことを検知した場合に、前記設定処理部は、前記走行制限エリアを解除する、
付記2~6のいずれかに記載の自動走行システム。
【符号の説明】
【0095】
1 :管理サーバー
2 :自動走行装置
10 :自動走行システム
11 :制御部
111 :受付処理部
112 :走行処理部
113 :検知処理部
114 :設定処理部
Ar1 :所定エリア
D1 :商品情報
D2 :オーダー情報
D3 :搬送情報
G1 :扉
R0 :走行経路
R1 :回避経路
W1 :施設
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10