(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177467
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】自動走行システム、自動走行方法、及び自動走行プログラム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20231207BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
G05D1/02 P
B65G1/00 501C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090156
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 雄一
(72)【発明者】
【氏名】山内 博
【テーマコード(参考)】
3F022
5H301
【Fターム(参考)】
3F022FF01
3F022JJ11
3F022LL01
3F022MM11
3F022NN35
3F022NN38
3F022PP06
3F022QQ17
5H301AA01
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD07
5H301DD15
5H301FF02
5H301FF15
5H301GG07
5H301GG08
5H301GG14
5H301KK02
5H301KK08
(57)【要約】
【課題】タグの読み取りエラーが生じた場合の自動走行装置による搬送効率の低下を抑制することが可能な自動走行システム、自動走行方法、及び自動走行プログラムを提供すること。
【解決手段】本開示に係る自動走行システムは、自動走行装置が走行中に対象タグの位置で前記対象タグの読み取りに成功したか否かを判定する判定処理部と、前記判定処理部が前記対象タグの読み取りに成功しないと判定した場合に、読み取りに成功しないと判定した前記対象タグの直前の第1タグの設置位置と前記対象タグの設置位置とを接続する第1接続経路と、前記対象タグの直後の第2タグの設置位置と前記対象タグの設置位置とを接続する第2接続経路との情報に基づいて、前記自動走行装置の走行を制御する走行処理部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の設置位置のそれぞれに対応して複数のタグが設置された走行エリアにおいて、自動走行装置が指定された順番で前記複数のタグのそれぞれの位置に順次移動して、前記各タグの読み取りを行うことにより、前記自動走行装置を走行させる自動走行システムであって、
前記自動走行装置が走行中に対象タグの位置で前記対象タグの読み取りに成功したか否かを判定する判定処理部と、
前記判定処理部が前記対象タグの読み取りに成功しないと判定した場合に、読み取りに成功しないと判定した前記対象タグの直前の第1タグの設置位置と前記対象タグの設置位置とを接続する第1接続経路と、前記対象タグの直後の第2タグの設置位置と前記対象タグの設置位置とを接続する第2接続経路との情報に基づいて、前記自動走行装置の走行を制御する走行処理部と、
を備える自動走行システム。
【請求項2】
前記走行処理部は、前記判定処理部が前記対象タグの読み取りに成功しないと判定した場合であって、前記第1接続経路と前記第2接続経路とが同一直線上にある場合に、前記自動走行装置を前記第2タグの設置位置に向けて直進走行させる、
請求項1に記載の自動走行システム。
【請求項3】
前記走行処理部は、さらに、前記自動走行装置を前記第2タグの設置位置に向けて直進走行させた場合であって、前記判定処理部が前記第2タグの読み取りに成功しないと判定した場合に、前記自動走行装置を停止させる、
請求項2に記載の自動走行システム。
【請求項4】
前記走行処理部は、前記判定処理部が前記対象タグの読み取りに成功しないと判定した場合であって、前記第1接続経路と前記第2接続経路とが同一直線上にない場合に、前記自動走行装置を停止させる、
請求項2に記載の自動走行システム。
【請求項5】
前記走行処理部は、前記判定処理部が前記対象タグの読み取りに成功しないと判定した場合であって、前記対象タグに前記自動走行装置の走行方向を変更する動作を規定する制御情報が設定されている場合に、前記自動走行装置を停止させる、
請求項2に記載の自動走行システム。
【請求項6】
前記走行処理部は、前記判定処理部が前記対象タグの読み取りに成功しないと判定した場合であって、前記第1接続経路と前記第2接続経路とが同一曲線上にある場合に、前記自動走行装置を、前記第1接続経路を旋回走行する際の操舵角と同一の操舵角で前記第2タグの設置位置に向けて旋回走行させる、
請求項1に記載の自動走行システム。
【請求項7】
前記自動走行装置を停止させた場合に前記対象タグの異常を報知する、
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の自動走行システム。
【請求項8】
複数の設置位置のそれぞれに対応して複数のタグが設置された走行エリアにおいて、自動走行装置が指定された順番で前記複数のタグのそれぞれの位置に順次移動して、前記各タグの読み取りを行うことにより、前記自動走行装置を走行させる自動走行方法であって、
一又は複数のプロセッサーが、
前記自動走行装置が走行中に対象タグの位置で前記対象タグの読み取りに成功したか否かを判定する判定ステップと、
前記対象タグの読み取りに成功しないと判定した場合に、読み取りに成功しないと判定した前記対象タグの直前の第1タグの設置位置と前記対象タグの設置位置とを接続する第1接続経路と、前記対象タグの直後の第2タグの設置位置と前記対象タグの設置位置とを接続する第2接続経路との情報に基づいて、前記自動走行装置の走行を制御する走行ステップと、
を実行する自動走行方法。
【請求項9】
複数の設置位置のそれぞれに対応して複数のタグが設置された走行エリアにおいて、自動走行装置が指定された順番で前記複数のタグのそれぞれの位置に順次移動して、前記各タグの読み取りを行うことにより、前記自動走行装置を走行させる自動走行プログラムであって、
前記自動走行装置が走行中に対象タグの位置で前記対象タグの読み取りに成功したか否かを判定する判定ステップと、
前記対象タグの読み取りに成功しないと判定した場合に、読み取りに成功しないと判定した前記対象タグの直前の第1タグの設置位置と前記対象タグの設置位置とを接続する第1接続経路と、前記対象タグの直後の第2タグの設置位置と前記対象タグの設置位置とを接続する第2接続経路との情報に基づいて、前記自動走行装置の走行を制御する走行ステップと、
を一又は複数のプロセッサーに実行させるための自動走行プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動走行システム、自動走行方法、及び自動走行プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、倉庫などの施設において、自動走行装置が搬送対象の物品を保管位置(例えば保管棚)で受け取って払い出し位置(出庫場所)まで搬送するシステムが知られている。
【0003】
例えば、自動走行装置が床面に設置された二次元バーコードを読み取って座標を認識しながら所定の走行経路を自律走行するシステムが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、自動走行装置が読み取る二次元バーコード、RFID、マーカーなどのタグの破損、経年劣化、位置ずれなどによるタグの異常や、タグを読み取る際の環境条件などにより、読み取りエラー(読み飛ばし)が生じる場合がある。タグの読み取りエラーが発生すると、自動走行装置の走行が停止したり走行経路から脱線したりすることによって搬送作業が中断し、搬送効率が低下する問題が生じる。
【0006】
本開示の目的は、タグの読み取りエラーが生じた場合の自動走行装置による搬送効率の低下を抑制することが可能な自動走行システム、自動走行方法、及び自動走行プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一の態様に係る自動走行システムは、複数の設置位置のそれぞれに対応して複数のタグが設置された走行エリアにおいて、自動走行装置が指定された順番で前記複数のタグのそれぞれの位置に順次移動して、前記各タグの読み取りを行うことにより、前記自動走行装置を走行させるシステムである。前記自動走行システムは、判定処理部と走行処理部とを備える。前記判定処理部は、前記自動走行装置が走行中に対象タグの位置で前記対象タグの読み取りに成功したか否かを判定する。前記走行処理部は、前記判定処理部が前記対象タグの読み取りに成功しないと判定した場合に、読み取りに成功しないと判定した前記対象タグの直前の第1タグの設置位置と前記対象タグの設置位置とを接続する第1接続経路と、前記対象タグの直後の第2タグの設置位置と前記対象タグの設置位置とを接続する第2接続経路との情報に基づいて、前記自動走行装置の走行を制御する。
【0008】
本開示の他の態様に係る自動走行方法は、複数の設置位置のそれぞれに対応して複数のタグが設置された走行エリアにおいて、自動走行装置が指定された順番で前記複数のタグのそれぞれの位置に順次移動して、前記各タグの読み取りを行うことにより、前記自動走行装置を走行させる自動走行方法であって、一又は複数のプロセッサーが、前記自動走行装置が走行中に対象タグの位置で前記対象タグの読み取りに成功したか否かを判定する判定ステップと、前記対象タグの読み取りに成功しないと判定した場合に、読み取りに成功しないと判定した前記対象タグの直前の第1タグの設置位置と前記対象タグの設置位置とを接続する第1接続経路と、前記対象タグの直後の第2タグの設置位置と前記対象タグの設置位置とを接続する第2接続経路との情報に基づいて、前記自動走行装置の走行を制御する走行ステップと、を実行する自動走行方法である。
【0009】
本開示の他の態様に係る自動走行プログラムは、複数の設置位置のそれぞれに対応して複数のタグが設置された走行エリアにおいて、自動走行装置が指定された順番で前記複数のタグのそれぞれの位置に順次移動して、前記各タグの読み取りを行うことにより、前記自動走行装置を走行させる自動走行プログラムであって、前記自動走行装置が走行中に対象タグの位置で前記対象タグの読み取りに成功したか否かを判定する判定ステップと、前記対象タグの読み取りに成功しないと判定した場合に、読み取りに成功しないと判定した前記対象タグの直前の第1タグの設置位置と前記対象タグの設置位置とを接続する第1接続経路と、前記対象タグの直後の第2タグの設置位置と前記対象タグの設置位置とを接続する第2接続経路との情報に基づいて、前記自動走行装置の走行を制御する走行ステップと、を一又は複数のプロセッサーに実行させるための自動走行プログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、タグの読み取りエラーが生じた場合の自動走行装置による搬送効率の低下を抑制することが可能な自動走行システム、自動走行方法、及び自動走行プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る自動走行システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施形態に係る自動走行システムが適用される施設の構成を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施形態に係る自動走行装置及びタグの構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施形態に係る自動走行システムで利用される制御情報の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施形態に係る自動走行装置の走行経路の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本開示の実施形態に係る自動走行装置のタグの読み取り例を示す図である。
【
図7】
図7は、本開示の実施形態に係る自動走行装置のタグの読み取り例を示す図である。
【
図8】
図8は、本開示の実施形態に係る自動走行装置のタグの読み取り例を示す図である。
【
図9】
図9は、本開示の実施形態に係る自動走行装置のタグの読み取り例を示す図である。
【
図10】
図10は、本開示の実施形態に係る自動走行システムで実行される自動走行処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について説明し、本開示の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本開示を具体化した一例であって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0013】
[自動走行システム10]
図1に示すように、本開示の実施形態に係る自動走行システム10は、複数台の自動走行装置2と、自動走行装置2を管理する管理サーバー1とを備えている。なお、本開示において、自動走行装置2の台数は限定されず、1台であってもよい。自動走行システム10は、自動走行装置2を走行経路に従って自律走行させるシステムである。自動走行装置2は、自己位置を推定しながら予め設定された走行経路を走行する自律走行型の移動体(AGV、無人搬送装置ともいう)である。管理サーバー1と自動走行装置2とは、無線LANなどの通信網N1を介して通信可能である。
【0014】
自動走行システム10は、例えば工場、倉庫などの施設に導入される。本実施形態では、一例として、自動走行システム10が
図2に示す施設W1に適用される例について説明する。
図2に示す施設W1には、商品(搬送対象)を保管する複数の保管棚(保管位置)が配置されている。
図2には、16個の保管棚T1~T16を例示している。
【0015】
また施設W1には、自動走行装置2の待機場所が設定されている。例えば、施設W1には、AGV1が待機する待機場所P1と、AGV2が待機する待機場所P2と、AGV3が待機する待機場所P3とが設定されている。各自動走行装置2は、管理サーバー1から搬送指示(走行指示)を受けていない場合に所定の待機場所で待機する。
【0016】
自動走行システム10は、自動走行装置2の動作を規定する制御情報(制御パラメータ)が設定されたタグTg(例えばRFIDタグ)が設置された走行エリアにおいて、自動走行装置2がタグTgを検出した場合に前記制御情報に応じた動作を行うシステムである。具体的には、自動走行装置2は、施設W1内において、床面に設置された前記制御情報が設定されたタグTgを検出した場合に当該制御情報に応じた動作を行う(
図4参照)。タグTgは、前記走行経路に基づいて、ユーザーにより施設W1内の床面に設置される。例えば
図2において、点線部分は自動走行装置2が走行可能な走行路を示しており、タグTgは当該走行路の所定の交差部に設置される。RFIDタグは、本開示のタグの一例である。なお、前記走行路に沿って走行ガイド用の磁気テープが設置されてもよい。この場合、自動走行装置2は、磁気テープに沿って走行するとともに、磁気テープL上に設置されたタグTgを検出して制御情報に応じた動作を行う。
【0017】
管理サーバー1は、自動走行装置2の運行を管理する機能(運行管理機能)と、タグTgの状態を管理する機能(タグ管理機能)とを有する。管理サーバー1は、複数のサーバー装置で構成され、運行管理機能を有するサーバー装置と、タグ管理機能を有するサーバー装置とが別々に設けられてもよい。自動走行装置2は、自己位置推定機能を有し、自己位置を表す自己位置情報とタグTgの検出情報とを定期的に管理サーバー1に送信する。自動走行システム10は、タグTgの異常を検出する異常検出機能を備える。
【0018】
[自動走行装置2]
図1に示すように、自動走行装置2は、制御部21、記憶部22、タグセンサ23、ライダーセンサ24、通信部25などを備える。
図3には、施設W1の床面に設置されるタグTgと、施設W1内を走行する自動走行装置2とを模式的に示している。
【0019】
通信部25は、自動走行装置2を無線で通信網N1に接続し、通信網N1を介して管理サーバー1などの外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0020】
自動走行装置2は、駆動車輪26、駆動車輪26の回転角度を計測するためのエンコーダ、台車を連結するための連結器、モータ、バッテリなどを含む(不図示)。自動走行装置2は、バッテリの電力によりモータを駆動し、モータの駆動力により駆動車輪26を回転させて走行する。バッテリは、充電式バッテリであり、自動充電器により充電される。例えば、自動走行装置2は、設定された走行経路を走行中に所定の充電位置において、充電器によりバッテリを充電することが可能である。連結器は、自動走行装置2に台車を連結するための連結具である。自動走行装置2は、設定された走行経路を走行中に所定の連結位置において、連結器により台車を連結して、台車を牽引しながら走行することが可能である。
【0021】
ライダーセンサ24は、レーザー光を用いて障害物までの距離を3次元で測定可能な距離センサ(距離測定装置)である。具体的には、ライダーセンサ24は、ミラー、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を使用してレーザー光を周囲に照射しながら、その反射光を受光し、照射から受光までの時間差を測定することによりレーザー照射した方向の障害物までの距離を測定する。このとき、レーザー光の照射方向を一定パターンで繰り返すことによって、数10Hzの周波数で空間の障害物の配置を観測することができる。
【0022】
タグセンサ23は、走行エリア(施設W1)の床面に設置されたタグTgを検知する。
図3に示すように、タグセンサ23は、自動走行装置2の走行時にタグTgと対向することができる位置に設けられている。また、タグセンサ23には、タグTgとして用いられるRFIDタグに対応させて、当該RFIDタグとの通信が可能なRFIDセンサが用いられる。なお、タグTgとの通信が可能であれば、タグセンサ23は、タグTgと対向する位置からずれた位置に設けられてもよい。また、タグセンサ23は、タグTgとして用いられる通信タグの種類に応じて適宜変更することができる。
【0023】
タグTgには、当該タグTgの識別情報(例えばタグ番号、タグIDなど)が読み取り可能な状態で記録されている。例えばタグセンサ23は、床面に設置されたタグTgを検知することにより、当該タグTgに記録されているタグ番号を取得する。具体的には、タグセンサ23は、自動走行装置2の走行中にタグTgとの間で通信を行うことにより、当該タグTgに記録されているタグ番号を取得する。
【0024】
タグTgとしてRFIDタグなどの通信タグを用いることにより、タグTgの近傍を通過する間の所定期間(タグセンサ23がタグTgと対向している期間より長い期間)、タグセンサ23とタグTgとの間で通信を行うことができる。よって、自動走行装置2の走行中であっても、タグTgに記録されているタグ番号を精度良く取得することができる。制御部21は、タグセンサ23からタグ番号を取得する。
【0025】
記憶部22は、各種の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶部である。記憶部22には、制御情報D1などのデータが記憶される。
【0026】
図4は、制御情報D1の一例を示す図である。制御情報D1は、自動走行装置2の走行動作を規定する情報である。
図4に示すように、制御情報D1には、「動作順番」、「タグ番号」、「走行動作」、「速度」、「走行距離」、「特定動作」などの情報が含まれる。前記動作順番は、自動走行装置2の走行動作の順番を示す情報であり、
図4に示す例では、自動走行装置2は1番から10番の順に走行動作を行う。前記タグ番号は、タグTgの識別情報であり、タグTgに記録されるタグ番号に対応する。制御情報D1に、前記タグ番号に代えてタグIDが登録されてもよい。
【0027】
前記走行動作は、自動走行装置2に実行させる動作を表す情報である。「前進」は、自動走行装置2を前方に走行させる動作を表す。「右スピン」は、自動走行装置2を右方向に旋回(スピンターン)させる動作を表す。「右倣い」は、旋回制御の応答速度を上げて滑らかに右側にカーブを走行する動作を表す。「中央倣い」は、旋回制御の応答速度を下げて蛇行を抑制してまっすぐ走行する動作を表す。「停止」は、自動走行装置2を停止させる動作を表す。
【0028】
前記速度は、自動走行装置2の走行速度の情報である。前記特定動作は、自動走行装置2に実行させる特定の動作を表す情報である。また、制御情報D1に加速度及び減速度の情報が含まれてもよい。前記走行距離は、自動走行装置2を走行させる距離の情報である。例えば、自動走行装置2は、タグTg2(タグ番号「2」)を検知すると走行距離L2だけ前進し、タグTg3(タグ番号「3」)を検知すると走行距離L3だけ前進する。走行距離L2は、タグTg2からタグTg3までの距離に設定される。すなわち、各走行距離は、隣接する2つのタグTgの間隔に応じた距離に設定される。前記特定動作は、自動走行装置2を充電する充電動作、自動走行装置2に連結対象(例えば台車)を連結する連結動作などを含む。
【0029】
制御情報D1において、前記動作順番、前記走行動作、前記速度、前記走行距離、及び前記特定動作のそれぞれは、前記タグ番号に関連付けられて登録される。
図4に示す制御情報D1は、一例であってこれに限定されない。制御情報D1は、管理サーバー1、操作端末(不図示)などにおいて設定されて自動走行装置2に出力(転送)される。自動走行装置2は、制御情報D1を取得すると記憶部22に記憶し、制御情報D1に応じた走行動作を実行しながら設定された走行経路を走行する。
【0030】
また、記憶部22には、制御部21に各種制御処理を実行させるための制御プログラムが記憶されている。例えば、前記制御プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に非一時的に記録され、自動走行装置2が備える読取装置(不図示)で読み取られて記憶部22に記憶される。なお、前記制御プログラムは、クラウドサーバーから配信されて記憶部22に記憶されてもよい。
【0031】
制御部21は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、制御部21は、前記ROM又は記憶部22に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより自動走行装置2を制御する。
【0032】
具体的には、制御部21は、
図1に示すように、推定処理部211、取得処理部212、動作処理部213などの各種の処理部を含む。なお、制御部21は、前記CPUで前記制御プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、一部又は全部の前記処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記制御プログラムは、複数のプロセッサーを前記処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0033】
推定処理部211は、自動走行装置2の自己位置を推定する。具体的には、推定処理部211は、周知の自己位置推定方法により、地図上における自身の自己位置を推定する。例えば、推定処理部211は、ライダーセンサ24の測定結果を取得して、既知の障害物地図に対して、当該測定結果に対応する障害物の配置をマッチングさせることにより、障害物地図上における自動走行装置2の位置を推定する。推定処理部211は、推定した位置情報(自己位置情報)を管理サーバー1に送信する。
【0034】
他の実施形態として、推定処理部211は、ライダーセンサ24の代わりにカメラ(不図示)を使用して自己位置推定を行ってもよい。例えば、推定処理部211は、カメラによって撮影した動画像の各フレーム内の特徴点の動きからカメラの動きを推定することで自動走行装置2の自己位置を算出する。
【0035】
取得処理部212は、管理サーバー1から制御情報D1(
図4参照)を取得する。取得処理部212は、制御情報D1を取得すると記憶部22に記憶する。
【0036】
動作処理部213は、タグセンサ23がタグTgを検知した場合に、当該タグTgに対応する走行動作を自動走行装置2に実行させる。具体的には、タグセンサ23がタグTgを検知してタグTgに記録されたタグ番号を読み取ると、動作処理部213は、制御情報D1(
図4参照)を参照して、当該タグ番号に関連付けられた走行動作を実行させる。また、動作処理部213は、タグTgの検出情報(検出位置など)を管理サーバー1に送信する。
【0037】
図5には、
図4に示す制御情報D1に対応する走行経路の具体例を示している。ユーザーは、管理サーバー1において走行経路及び制御情報D1を設定すると、設定した走行経路に基づいて、施設W1の床面にタグTgに対応するRFIDタグを設置する。ユーザーが管理サーバー1において走行指示を入力すると、自動走行装置2は、タグ番号「2」の位置(始点)から走行を開始し矢印方向d1に進行してタグ番号「2」の位置(終点)で停止する。
【0038】
具体的には、先ず自動走行装置2は、タグ番号「2」のタグTgを検知すると、10m/minの速度で走行距離L2だけ前進し、続くタグ番号「3」のタグTgを検知すると30m/minの速度に変更して走行距離L3だけ前進する。続いて、自動走行装置2は、タグ番号「4」のタグTgを検知すると右方向に旋回して走行距離L4だけ前進し、続くタグ番号「5」のタグTgを検知するとさらに右方向に旋回して走行距離L5だけ前進する。続いて自動走行装置2は、タグ番号「6」のタグTgを検知すると速度を10m/minに変更して走行距離L6だけ前進し、続くタグ番号「7」のタグTgを検知すると一時停止して充電動作を行う。自動走行装置2は、充電動作を終えると、走行距離L7だけ前進してタグ番号「8」のタグTgを検知すると右旋回に適した走行制御に切り替えて、速度を20m/minに変更して走行距離L8だけ旋回する。続いて自動走行装置2は、タグ番号「9」のタグTgを検知すると右旋回に適した走行制御を継続して走行距離L9だけ旋回し、続くタグ番号「1」のタグTgを検知すると直進走行に適した走行制御に切り替えて走行距離L1だけ前進する。最後に自動走行装置2は、タグ番号「2」を検知すると停止し、台車に連結する連結動作を行う。
【0039】
以上のようにして、自動走行装置2は、設定された走行経路及び制御情報D1に基づいて自律走行を実行する。また、自動走行装置2は、自己位置を表す自己位置情報とタグTgの検出情報とを、定期的に管理サーバー1に送信する。管理サーバー1は、各自動走行装置2から前記自己位置情報及び前記検出情報を取得して、各自動走行装置2の走行状況を管理する。
【0040】
[管理サーバー1]
図1に示すように、管理サーバー1は、制御部11、記憶部12、操作表示部13、及び通信部14などを備えるサーバーである。なお、管理サーバー1は、1台のコンピュータに限らず、複数台のコンピュータが協働して動作するコンピュータシステムであってもよい。また、管理サーバー1で実行される各種の処理は、一又は複数のプロセッサーによって分散して実行されてもよい。
【0041】
通信部14は、管理サーバー1を有線又は無線で通信網N1に接続し、通信網N1を介して複数の自動走行装置2との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0042】
操作表示部13は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイのような表示部と、操作を受け付けるマウス、キーボード、又はタッチパネルのような操作部とを備えるユーザーインターフェースである。
【0043】
記憶部12は、各種の情報を記憶するHDD又はSSDなどの不揮発性の記憶部である。具体的に、記憶部12には、各自動走行装置2から受信する前記自己位置情報及び前記検出情報などのデータが記憶される。また、記憶部12には、各自動走行装置2に送信する運行指示(目的地、走行経路など)に関する情報(運行情報)が記憶される。
【0044】
また、記憶部12には、制御部11に後述の自動走行処理(
図10参照)を実行させるための自動走行プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。例えば、前記自動走行プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、管理サーバー1が備えるCDドライブ又はDVDドライブなどの読取装置(不図示)で読み取られて記憶部12に記憶される。
【0045】
制御部11は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、制御部11は、前記ROM又は記憶部12に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより管理サーバー1を制御する。
【0046】
具体的に、制御部11は、
図1に示すように、取得処理部111、判定処理部112、走行処理部113などの各種の処理部を含む。なお、制御部11は、前記CPUで前記自動走行プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、一部又は全部の前記処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記自動走行プログラムは、複数のプロセッサーを前記処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0047】
取得処理部111は、各自動走行装置2から前記自己位置情報及び前記検出情報(タグセンサ23の測定結果など)を取得する。
【0048】
判定処理部112は、前記自己位置情報及び前記検出情報に基づいて、タグTgの状態を判定する。具体的には、判定処理部112は、取得処理部111により取得される複数の前記検出情報に基づいて、自動走行装置2が走行中にタグTgの設置位置で当該タグTgの読み取りに成功したか否かを判定する。ここで、タグTgは、破損、経年劣化、位置ずれなどによる異常や、タグTgを読み取る際の環境条件などにより、読み取りエラー(読み飛ばし)が生じる場合がある。判定処理部112は、前記自己位置情報及び前記検出情報に基づいて、タグTgの読み取りに成功したか否かを判定する。
【0049】
走行処理部113は、判定処理部112の判定結果に基づいて、自動走行装置2の走行を制御する。具体的には、判定処理部112により自動走行装置2が対象タグTgの読み取りに成功しない(失敗した)と判定された場合に、走行処理部113は、読み取りに成功しないと判定した対象タグTgの直前のタグTgの設置位置と対象タグTgの設置位置とを接続する第1接続経路と、対象タグTgの直後のタグTgの設置位置と対象タグTgの設置位置とを接続する第2接続経路との情報に基づいて、自動走行装置2の走行を制御する。例えば、走行処理部113は、対象タグTgの読み取りに成功しないと判定した場合であって、第1接続経路と第2接続経路とが同一直線上にある場合に、自動走行装置2を次のタグTgの設置位置に向けて直進走行させる。
【0050】
図6には、4個のタグTgA~TgDを例示している。タグTgA~タグTgDが正常であり自動走行装置2がタグTgA~TgDを正常に読み取ることができる場合には、自動走行装置2は、タグTgAを読み取ると走行距離Laだけ直進し、次のタグTgBを読み取ると走行距離Lbだけ直進し、次のタグTgCを読み取ると走行距離Lcだけ直進し、最後のタグTgDを読み取ると停止する。
【0051】
ここで、
図7に示すように、タグTgBに異常が生じている場合には、自動走行装置2はタグTgBを正常に読み取ることができなくなる。この場合、従来の技術では、自動走行装置2の走行がタグTgBの位置で停止してしまい搬送作業が中断し、搬送効率が低下する問題が生じる。
【0052】
これに対して、本実施形態に係る自動走行システム10では、走行処理部113は、自動走行装置2がタグTgBを読み取ることができない場合でも走行を継続させる処理を実行する。
【0053】
具体的には、自動走行装置2がタグTgAを正常に読み取って走行距離L1だけ直進した位置において、タグTgBの読み取りに成功しない(失敗した)場合に、走行処理部113は、タグTgBの直前のタグTgAの設置位置とタグTgBの設置位置とを接続する接続経路R1と、タグTgBの直後のタグTgCの設置位置とタグTgBの設置位置とを接続する接続経路R2との情報に基づいて、自動走行装置2の走行を制御する。
【0054】
例えば、走行処理部113は、判定処理部112がタグTgBの読み取りに失敗したと判定した場合であって、接続経路R1と接続経路R2とが同一直線上にある場合に、自動走行装置2をタグTgCの設置位置に向けて直進走行させる。この場合、走行処理部113は、読み取りに失敗したタグTgBに対応付けられた走行距離Lbだけ直進させる。自動走行装置2は、走行距離Lbだけ直進した位置において次のタグTgCを正常に読み取ると、走行距離Lcだけ直進する。
【0055】
このように、タグTgA、タグTgB、及びタグTgCが直線的に並んで配置されている場合には、タグTgBを読み飛ばすことによる走行精度への影響が小さいため、制御部11は、タグTgBの読み取りに失敗した場合でも、自動走行装置2の走行を継続させる処理を実行する。これにより、自動走行装置2は、タグTgの読み取りに成功しない場合でも走行を継続することができるため、搬送効率の低下を抑制することが可能となる。
【0056】
上記の例(
図7参照)において、走行処理部113は、読み取りに失敗したタグTgBに対応付けられた走行距離Lbだけ直進させて、自動走行装置2が走行距離Lbだけ直進した位置において次のタグTgCの読み取りにも成功しなかった場合には自動走行装置2を停止させる。すなわち、自動走行装置2が2個のタグTgを連続して読み取りに失敗した場合には、走行精度が低下して走行経路からの位置ずれが大きくなる恐れがあるため、走行処理部113は、2回目の読み取りエラーのタグTg(ここではタグTgC)の位置で自動走行装置2を停止させる。
【0057】
また、走行処理部113は、判定処理部112が対象タグTgの読み取りに成功しないと判定した場合であって、第1接続経路と第2接続経路とが同一直線上にない場合に、自動走行装置2を停止させる。例えば
図8に示すように、タグTgA及びタグTgBを接続する接続経路R1と、タグTgB及びタグTgCを接続する接続経路R2とが同一直線上にない場合において、判定処理部112がタグTgBの読み取りに成功しないと判定した場合には、走行処理部113は、タグTgBの位置で自動走行装置2を停止させる。これにより、走行精度が低下して走行経路からの位置ずれが大きくなることを防ぐことができる。
【0058】
他の実施形態として、走行処理部113は、判定処理部112が対象タグTgの読み取りに成功しないと判定した場合であって、対象タグTgに自動走行装置2の走行方向を変更する動作を規定する制御情報が設定されている場合に、自動走行装置2を停止させてもよい。
図8に示す例では、制御情報D1(
図4参照)において、タグTgBに走行方向を変更する「右スピン」の走行動作が設定されている場合に、走行処理部113は、自動走行装置2がタグTgBの読み取りに失敗した場合に、タグTgBの位置で自動走行装置2を停止させる。
【0059】
また、走行処理部113は、判定処理部112が対象タグTgの読み取りに成功しないと判定した場合であって、第1接続経路と第2接続経路とが同一曲線上にある場合に、自動走行装置2を、第1接続経路を旋回走行する際の操舵角と同一の操舵角で次のタグTgの設置位置に向けて旋回走行させてもよい。例えば
図9に示すように、自動走行装置2がタグTgBを正常に読み取って走行距離Lbだけ旋回走行した位置においてタグTgCの読み取りに失敗した場合に、タグTgB及びタグTgCを接続する接続経路R2と、タグTgC及びタグTgDを接続する接続経路R3とが同一曲線(同一の曲率半径)上にある場合に、走行処理部113は、接続経路R2を旋回走行する際の操舵角と同一の操舵角でタグTgDの設置位置に向けて走行距離Lcだけ接続経路R3を旋回走行させる。
【0060】
なお、
図9に示す例において、接続経路R2と接続経路R3とが同一曲線上にない場合には、走行処理部113は、自動走行装置2の走行精度の低下を防ぐために、タグTgCの設置位置で自動走行装置2を停止させる。
【0061】
また、制御部11は、タグTgの読み取りエラーに起因して自動走行装置2を停止させた場合に、タグTgの異常を報知してもよい。例えば、制御部11は、読み取りに失敗したタグTgの位置を示す情報を含むエラー情報を管理サーバー1の操作表示部13又はユーザーの操作端末に表示させる。また、制御部11は、自動走行装置2からエラー音を出力させてもよいし、自動走行装置2に搭載された表示灯を点灯又は点滅させてもよい。
【0062】
[自動走行処理]
以下、
図10を参照しつつ、自動走行システム10において実行される自動走行処理について説明する。具体的に、本実施形態では、管理サーバー1の制御部11によって前記自動走行処理が実行される。また、制御部11は、複数の搬送要求に応じて複数の自動走行処理を並行して実行することが可能である。制御部11は、搬送要求(走行指示)に応じて自動走行装置2の走行を開始させた場合に、
図10に示す前記自動走行処理の実行を開始する。
【0063】
なお、本開示は、前記自動走行処理に含まれる一又は複数のステップを実行する自動走行方法の開示として捉えることができる。また、ここで説明する前記自動走行処理に含まれる一又は複数のステップは適宜省略されてもよい。なお、前記自動走行処理における各ステップは同様の作用効果を生じる範囲で実行順序が異なってもよい。さらに、ここでは制御部11が前記自動走行処理における各ステップを実行する場合を例に挙げて説明するが、一又は複数のプロセッサーが当該自動走行処理における各ステップを分散して実行する自動走行方法も他の実施形態として考えられる。
【0064】
先ずステップS1において、制御部11は、自動走行装置2に自動走行を開始させる。具体的には、制御部11は、予め設定された走行経路情報及び制御情報D1(
図4参照)を自動走行装置2に出力して走行を開始させる。
【0065】
次にステップS2において、制御部11は、自動走行装置2が走行中にタグTgの位置でタグTgの読み取りに成功したか否かを判定する。具体的には、制御部11は、自動走行装置2から取得する自己位置情報及び検出情報(タグセンサ23の測定結果など)に基づいて、自動走行装置2がタグTgの読み取りに成功したか又は失敗したかを判定する。制御部11は、自動走行装置2が走行中にタグTgの設置位置でタグTgの読み取りに成功したと判定すると(S2:Yes)、処理をステップS21に移行させる。一方、制御部11は、自動走行装置2が走行中にタグTgの設置位置でタグTgの読み取りに成功しない(失敗した)と判定すると(S2:No)、処理をステップS3に移行させる。
【0066】
ステップS21では、制御部11は、読み取ったタグTgに関連付けられた制御情報D1(
図4参照)に基づいて、自動走行装置2に所定の動作を実行させる。ステップS21の後、制御部11は、処理をステップS6に移行させる。
【0067】
一方、ステップS3では、制御部11は、読み取りに失敗した対象タグTgに対応する接続経路の情報を取得する。例えば
図7に示す例において、制御部11は、自動走行装置2がタグTgBの読み取りに失敗したと判定すると、タグTgBの直前のタグTgAの設置位置とタグTgBの設置位置とを接続する接続経路R1と、タグTgBの直後のタグTgCの設置位置とタグTgBの設置位置とを接続する接続経路R2との情報を取得する。
【0068】
次にステップS4において、制御部11は、ステップS3において取得した接続経路R1と接続経路R2とが同一直線上にあるか否かを判定する。すなわち、制御部11は、対象タグTgと対象タグTgの前後のタグTgとを含む3個のタグTgが直線的に並んで配置されているか否かを判定する。
【0069】
図7に示す例では、制御部11は、接続経路R1と接続経路R2とが同一直線上にあるか否か、又は、タグTgA、タグTgB、及びタグTgCが直線的に並んで配置されているか否かを判定する。なお、タグTgBは、タグTgAから走行距離Laだけ離れた位置に設置されており、タグTgCは、タグTgBから走行距離Lbだけ離れた位置に設置されている。
【0070】
制御部11は、接続経路R1と接続経路R2とが同一直線上にあると判定すると(S4:Yes)、処理をステップS5に移行させる。一方、制御部11は、接続経路R1と接続経路R2とが同一直線上にないと判定すると(S4:No)、処理をステップS41に移行させる。
【0071】
ステップS5では、制御部11は、自動走行装置2を直進走行させる。具体的には、制御部11は、タグTgBの位置において自動走行装置2がタグTgBを読み取ったものと仮定して、自動走行装置2をタグTgBに関連付けられた走行距離Lbだけ直進走行させる(
図7参照)。これにより、自動走行装置2は、読み取りに失敗したタグTgBで停止することなく次のタグTgCに向けて走行を継続する。
【0072】
次にステップS6において、制御部11は、自動走行を終了したか否かを判定する。例えば、制御部11は、自動走行装置2が走行終了位置に到着した場合に、自動走行を終了したと判定する。制御部11は、自動走行を終了したと判定すると(S6:Yes)、前記自動走行処理を終了する。一方、制御部11は、自動走行を終了していないと判定すると(S6:No)、処理をステップS2に移行させる。例えば、自動走行装置2が目的位置に到着すると、制御部11は、自動走行を終了したと判定して前記自動走行処理を終了する。制御部11は、自動走行装置2が目的位置に到着するまでステップS2~S5の処理を繰り返す(S6:No)。
【0073】
一方、ステップS41では、制御部11は、自動走行装置2の走行を停止させる。例えば
図8に示すように、接続経路R1と接続経路R2とが同一直線上にないと判定すると(S4:No)、タグTgBの位置で自動走行装置2を停止させる。その後、ステップS42において、制御部11は、タグTgの異常を報知する。例えば、制御部11は、読み取りに失敗したタグTgBの位置を示す情報を含むエラー情報を管理サーバー1の操作表示部13又はユーザーの操作端末に表示させる。ステップS42の後、制御部11は、前記自動走行処理を終了する。この場合、例えばユーザーは前記エラー情報を確認して、タグTgの補修、交換、自動走行装置2のメンテナンスなど所定の作業を行う。
【0074】
以上のように、制御部11は、自動走行装置2が走行経路上のタグTgを正常に読み取っている間はタグTgに関連付けられた制御情報(
図4参照)に基づいて走行経路を自律走行し(S2:Yes、S21)、自動走行装置2がタグTgの読み取りに失敗した場合に接続経路の情報に基づいて走行を継続したり(S4:Yes、S5)、停止させたりする(S4:No、S41)。
【0075】
また、制御部11は、走行エリア(施設W1)内に存在する各自動走行装置2に対して前記自動走行処理を実行する。
【0076】
以上説明したように、本実施形態に係る自動走行システム10は、複数の設置位置のそれぞれに対応して複数のタグTgが設置された走行エリアにおいて、自動走行装置2が指定された順番で複数のタグTgのそれぞれの位置に順次移動して、各タグTgの読み取りを行うことにより、自動走行装置2を走行させるシステムである。
【0077】
また、自動走行システム10は、自動走行装置2が走行中に対象タグTgの位置で対象タグTgの読み取りに成功したか否かを判定し、対象タグTgの読み取りに成功しないと判定した場合に、読み取りに成功しないと判定した対象タグTgの直前の第1タグTgの設置位置と対象タグTgの設置位置とを接続する第1接続経路と、対象タグTgの直後の第2タグTgの設置位置と対象タグTgの設置位置とを接続する第2接続経路との情報に基づいて、自動走行装置2の走行を制御する。
【0078】
例えば、自動走行システム10は、対象タグTgの読み取りに成功しないと判定した場合であって、前記第1接続経路と前記第2接続経路とが同一直線上にある場合に、自動走行装置2を第2タグTgの設置位置に向けて直進走行させる。
【0079】
上記構成によれば、タグTgの読み取りエラーが発生した場合であっても、自動走行装置2を停止させることなく走行を継続させることができる。このため、搬送作業が中断されないため自動走行装置2による搬送効率の低下を抑制することが可能となる。
【0080】
[開示の付記]
以下、上述の実施形態から抽出される開示の概要について付記する。なお、以下の付記で説明する各構成及び各処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
【0081】
<付記1>
複数の設置位置のそれぞれに対応して複数のタグが設置された走行エリアにおいて、自動走行装置が指定された順番で前記複数のタグのそれぞれの位置に順次移動して、前記各タグの読み取りを行うことにより、前記自動走行装置を走行させる自動走行システムであって、
前記自動走行装置が走行中に対象タグの位置で前記対象タグの読み取りに成功したか否かを判定する判定処理部と、
前記判定処理部が前記対象タグの読み取りに成功しないと判定した場合に、読み取りに成功しないと判定した前記対象タグの直前の第1タグの設置位置と前記対象タグの設置位置とを接続する第1接続経路と、前記対象タグの直後の第2タグの設置位置と前記対象タグの設置位置とを接続する第2接続経路との情報に基づいて、前記自動走行装置の走行を制御する走行処理部と、
を備える自動走行システム。
【0082】
<付記2>
前記走行処理部は、前記判定処理部が前記対象タグの読み取りに成功しないと判定した場合であって、前記第1接続経路と前記第2接続経路とが同一直線上にある場合に、前記自動走行装置を前記第2タグの設置位置に向けて直進走行させる、
付記1に記載の自動走行システム。
【0083】
<付記3>
前記走行処理部は、さらに、前記自動走行装置を前記第2タグの設置位置に向けて直進走行させた場合であって、前記判定処理部が前記第2タグの読み取りに成功しないと判定した場合に、前記自動走行装置を停止させる、
付記2に記載の自動走行システム。
【0084】
<付記4>
前記走行処理部は、前記判定処理部が前記対象タグの読み取りに成功しないと判定した場合であって、前記第1接続経路と前記第2接続経路とが同一直線上にない場合に、前記自動走行装置を停止させる、
付記2又は3に記載の自動走行システム。
【0085】
<付記5>
前記走行処理部は、前記判定処理部が前記対象タグの読み取りに成功しないと判定した場合であって、前記対象タグに前記自動走行装置の走行方向を変更する動作を規定する制御情報が設定されている場合に、前記自動走行装置を停止させる、
付記2~4のいずれかに記載の自動走行システム。
【0086】
<付記6>
前記走行処理部は、前記判定処理部が前記対象タグの読み取りに成功しないと判定した場合であって、前記第1接続経路と前記第2接続経路とが同一曲線上にある場合に、前記自動走行装置を、前記第1接続経路を旋回走行する際の操舵角と同一の操舵角で前記第2タグの設置位置に向けて旋回走行させる、
付記1~5のいずれかに記載の自動走行システム。
【0087】
<付記7>
前記自動走行装置を停止させた場合に前記対象タグの異常を報知する、
付記1~6のいずれかに記載の自動走行システム。
【符号の説明】
【0088】
1 :管理サーバー
2 :自動走行装置
10 :自動走行システム
11 :制御部
21 :制御部
23 :タグセンサ
24 :ライダーセンサ
111 :取得処理部
112 :判定処理部
113 :走行処理部
211 :推定処理部
212 :取得処理部
213 :動作処理部
D1 :制御情報
R1 :接続経路
R2 :接続経路
R3 :接続経路
Tg :タグ