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特開2023-177468搬送システム、搬送方法、及び搬送プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177468
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】搬送システム、搬送方法、及び搬送プログラム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20231207BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20231207BHJP
【FI】
B65G1/137 A
G05D1/02 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090157
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(74)【代理人】
【識別番号】100181869
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 雄一
(72)【発明者】
【氏名】グエンクアン テイン
(72)【発明者】
【氏名】山川 晃弘
(72)【発明者】
【氏名】岩本 隆司
(72)【発明者】
【氏名】山内 博
【テーマコード(参考)】
3F522
5H301
【Fターム(参考)】
3F522AA02
3F522BB35
3F522CC01
3F522GG05
3F522GG09
3F522GG13
3F522LL09
3F522LL33
3F522LL61
5H301AA03
5H301AA10
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD07
5H301DD15
5H301KK02
5H301KK03
5H301KK08
5H301KK09
5H301KK18
5H301KK19
(57)【要約】
【課題】複数の自動搬送装置により搬送作業を行う場合において渋滞による搬送効率の低下を抑制することが可能な搬送システム、搬送方法、及び搬送プログラムを提供すること。
【解決手段】本開示に係る搬送システムは、第1自動搬送装置に対応する第1ピッキング対象の搬送要求を受け付ける受付処理部と、前記第1ピッキング対象の第1ピッキング位置を含む第1ピッキングエリア内に存在する自動搬送装置の台数と、前記第1ピッキングエリア内の一又は複数のピッキング位置の空き状況とに基づいて、前記第1自動搬送装置の行先を決定する決定処理部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動搬送装置がピッキング対象をピッキングする複数のピッキング位置を含むピッキングエリアが複数配置された搬送エリアにおいて、複数の自動搬送装置のそれぞれに前記ピッキング対象を搬送させる搬送システムであって、
第1自動搬送装置に対応する第1ピッキング対象の搬送要求を受け付ける受付処理部と、
前記第1ピッキング対象の第1ピッキング位置を含む第1ピッキングエリア内に存在する前記自動搬送装置の台数と、前記第1ピッキングエリア内の一又は複数のピッキング位置の空き状況とに基づいて、前記第1自動搬送装置の行先を決定する決定処理部と、
を備える搬送システム。
【請求項2】
前記決定処理部は、前記第1ピッキングエリア内の前記第1ピッキング位置の空き状況に基づいて、前記第1自動搬送装置の行先を決定する、
請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記決定処理部は、前記第1自動搬送装置がピッキングを予定する前記第1ピッキングエリア内の複数の前記ピッキング位置に空きがある場合に、前記第1自動搬送装置の行先を、前記第1ピッキングエリア内の複数の前記ピッキング位置のいずれかに決定する、
請求項1に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記決定処理部は、前記第1自動搬送装置がピッキングを予定する前記第1ピッキングエリア内の複数の前記ピッキング位置に空きがない場合に、前記第1自動搬送装置の行先を、前記第1ピッキングエリア内の第1待機位置又は前記第1ピッキングエリア外の第2待機位置に決定する、
請求項1に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記決定処理部は、前記第1ピッキング位置に空きがない場合に、前記第1自動搬送装置の行先を前記第1待機位置に決定する、
請求項4に記載の搬送システム。
【請求項6】
前記決定処理部は、前記第1自動搬送装置のピッキング予定に前記第1ピッキングエリア内の前記ピッキング位置が含まれる場合に、前記第1自動搬送装置の行先を前記第1待機位置に決定する、
請求項4に記載の搬送システム。
【請求項7】
前記決定処理部は、前記第1自動搬送装置のピッキング予定に前記第1ピッキングエリア内の前記ピッキング位置が含まれない場合は、前記第1自動搬送装置の行先を前記第2待機位置に決定する、
請求項4に記載の搬送システム。
【請求項8】
前記ピッキングエリア内には、当該ピッキングエリアに含まれる複数のピッキング位置のそれぞれに対応する待機位置が設定されており、
前記ピッキング位置と当該ピッキング位置に対応する前記待機位置とに対して、進入可能な前記自動搬送装置の上限台数が設定されている、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項9】
自動搬送装置がピッキング対象をピッキングする複数のピッキング位置を含むピッキングエリアが複数配置された搬送エリアにおいて、複数の自動搬送装置のそれぞれに前記ピッキング対象を搬送させる搬送方法であって、
一又は複数のプロセッサーが、
第1自動搬送装置に対応する第1ピッキング対象の搬送要求を受け付ける受付ステップと、
前記第1ピッキング対象の第1ピッキング位置を含む第1ピッキングエリア内に存在する前記自動搬送装置の台数と、前記第1ピッキングエリア内の一又は複数のピッキング位置の空き状況とに基づいて、前記第1自動搬送装置の行先を決定する決定ステップと、
を実行する搬送方法。
【請求項10】
自動搬送装置がピッキング対象をピッキングする複数のピッキング位置を含むピッキングエリアが複数配置された搬送エリアにおいて、複数の自動搬送装置のそれぞれに前記ピッキング対象を搬送させる搬送プログラムであって、
第1自動搬送装置に対応する第1ピッキング対象の搬送要求を受け付ける受付ステップと、
前記第1ピッキング対象の第1ピッキング位置を含む第1ピッキングエリア内に存在する前記自動搬送装置の台数と、前記第1ピッキングエリア内の一又は複数のピッキング位置の空き状況とに基づいて、前記第1自動搬送装置の行先を決定する決定ステップと、
を一又は複数のプロセッサーに実行させるための搬送プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、搬送システム、搬送方法、及び搬送プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、倉庫などにおいて、自動搬送装置が搬送対象の物品を保管位置(例えば保管棚)で受け取って払い出し位置(出庫場所)まで搬送するシステムが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、予め分割した複数の区画のそれぞれの渋滞度を算出し、渋滞度の高い区画に存在する自動搬送装置を、渋滞度の低い区画へ移動させるシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-212643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のシステムでは、例えば、自動搬送装置がいずれのオーダーをいずれの順番で処理するのかを事前に計画し、所定の時刻になると当該計画に従って自動走行(搬送処理)を実行する。ここで、渋滞度が高い区域が存在する場合に自動搬送装置を渋滞度の低い区画に移動させると、自動搬送装置を移動させることによるロスが発生し、搬送効率が低下する問題が生じる。また、従来、このような搬送効率の低下を抑制するための方法についての提案はされていない。
【0006】
本開示の目的は、複数の自動搬送装置により搬送作業を行う場合において渋滞による搬送効率の低下を抑制することが可能な搬送システム、搬送方法、及び搬送プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一の態様に係る搬送システムは、自動搬送装置がピッキング対象をピッキングする複数のピッキング位置を含むピッキングエリアが複数配置された搬送エリアにおいて、複数の自動搬送装置のそれぞれに前記ピッキング対象を搬送させるシステムである。前記搬送システムは、受付処理部と決定処理部とを備える。前記受付処理部は、第1自動搬送装置に対応する第1ピッキング対象の搬送要求を受け付ける。前記決定処理部は、前記第1ピッキング対象の第1ピッキング位置を含む第1ピッキングエリア内に存在する前記自動搬送装置の台数と、前記第1ピッキングエリア内の一又は複数のピッキング位置の空き状況とに基づいて、前記第1自動搬送装置の行先を決定する。
【0008】
本開示の他の態様に係る搬送方法は、自動搬送装置がピッキング対象をピッキングする複数のピッキング位置を含むピッキングエリアが複数配置された搬送エリアにおいて、複数の自動搬送装置のそれぞれに前記ピッキング対象を搬送させる方法である。前記搬送方法では、一又は複数のプロセッサーが、第1自動搬送装置に対応する第1ピッキング対象の搬送要求を受け付ける受付ステップと、前記第1ピッキング対象の第1ピッキング位置を含む第1ピッキングエリア内に存在する前記自動搬送装置の台数と、前記第1ピッキングエリア内の一又は複数のピッキング位置の空き状況とに基づいて、前記第1自動搬送装置の行先を決定する決定ステップと、を実行する。
【0009】
本開示の他の態様に係る搬送プログラムは、自動搬送装置がピッキング対象をピッキングする複数のピッキング位置を含むピッキングエリアが複数配置された搬送エリアにおいて、複数の自動搬送装置のそれぞれに前記ピッキング対象を搬送させるプログラムである。前記搬送プログラムは、第1自動搬送装置に対応する第1ピッキング対象の搬送要求を受け付ける受付ステップと、前記第1ピッキング対象の第1ピッキング位置を含む第1ピッキングエリア内に存在する前記自動搬送装置の台数と、前記第1ピッキングエリア内の一又は複数のピッキング位置の空き状況とに基づいて、前記第1自動搬送装置の行先を決定する決定ステップと、を一又は複数のプロセッサーに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、複数の自動搬送装置により搬送作業を行う場合において渋滞による搬送効率の低下を抑制することが可能な搬送システム、搬送方法、及び搬送プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の実施形態に係る搬送システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、本開示の実施形態に係る搬送システムが適用される施設の構成を模式的に示す図である。
図3図3は、本開示の実施形態に係る搬送システムで利用される商品情報の一例を示す図である。
図4図4は、本開示の実施形態に係る搬送システムで利用されるオーダー情報の一例を示す図である。
図5図5は、本開示の実施形態に係る搬送システムで利用される搬送情報の一例を示す図である。
図6図6は、本開示の実施形態に係る自動搬送装置の走行経路の一例を示す図である。
図7図7は、本開示の実施形態に係る施設に設定されるピッキングエリア及び待機エリアの一例を示す図である。
図8図8は、本開示の実施形態に係る自動搬送装置の混雑状況の一例を示す図である。
図9図9は、本開示の実施形態に係る搬送システムで利用される観測情報の一例を示す図である。
図10図10は、本開示の実施形態に係る搬送システムで実行される搬送処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について説明し、本開示の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本開示を具体化した一例であって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0013】
[搬送システム10]
図1に示されるように、本開示の実施形態に係る搬送システム10は、管理サーバー1と自動搬送装置2(AGV、無人搬送装置ともいう)とを含む。管理サーバー1と自動搬送装置2とは、無線LANなどの通信網N1を介して通信可能である。
【0014】
搬送システム10は、自動搬送装置2が走行可能な複数の通路が設定され、自動搬送装置2に対して前記複数の通路のうち走行すべき通路を走行経路として指定して搬送対象を保管位置から目的位置まで搬送させるシステムである。搬送システム10は、例えば商品(搬送対象)を保管する工場、倉庫などの施設などに適用される。例えば、搬送システム10は、顧客(顧客端末)から商品のオーダーを受け付けると、自動搬送装置2に搬送指示を出力する。自動搬送装置2は、前記搬送指示を取得すると、前記商品の保管位置(保管棚)まで移動して前記商品をピッキングして、当該商品を出庫場所まで搬送する。顧客は、パーソナルコンピューター、スマートフォンなどの情報処理装置(顧客端末)を利用して注文サーバー(不図示)が運用するWEBサイト(注文ページ)にアクセスして商品の注文を行うことが可能である。
【0015】
前記注文サーバーは、複数の顧客端末のそれぞれから前記商品のオーダーを受け付け可能であり、受け付けた各オーダー情報を集約して管理サーバー1に出力する。管理サーバー1は、複数の自動搬送装置2のそれぞれの運行を管理し、前記オーダー情報に基づいて各自動搬送装置2に搬送指示(走行指示)を出力する。自動搬送装置2は、前記搬送指示に基づいて、予め設定された走行経路を自律走行し、前記オーダー情報に含まれる商品を保管棚からピッキングして出庫場所まで搬送する。なお、自動搬送装置2の自律走行方法は、特に限定されず周知の方法、例えば床面に設置された磁気テープと走行動作(制御情報)を規定したマーカとを利用した方法を採用することができる。
【0016】
また、自動搬送装置2には、例えば複数のコンテナ(収容部)が搭載されており、コンテナごとに顧客のオーダー商品を収容することにより、一度のピッキング走行(待機場所から各棚を巡回して出庫場所まで移動する走行)により複数の顧客の商品をまとめて搬送することが可能になっている。例えば、自動搬送装置2が2個のコンテナを搭載している場合には、自動搬送装置2は、2人分の顧客のオーダー商品をまとめて搬送することが可能である。管理サーバー1は、一又は複数の顧客のオーダー情報に対応する前記搬送指示を各自動搬送装置2に出力する。
【0017】
本実施形態では、一例として、搬送システム10が図2に示す施設W1に適用される例について説明する。図2に示す施設W1には、商品(搬送対象)を保管する複数の保管棚(保管位置)が配置されている。図2には、16個の保管棚T1~T16を例示している。保管棚T1~T16のそれぞれには、自動搬送装置2が商品をピッキングする位置(ピッキング位置p1~p16)が設定されている。
【0018】
また施設W1には、自動搬送装置2の待機場所が設定されている。例えば、施設W1には、AGV1が待機する待機場所P1と、AGV2が待機する待機場所P2と、AGV3が待機する待機場所P3とが設定されている。各自動搬送装置2は、管理サーバー1から搬送指示を受けていない場合に所定の待機場所で待機する。
【0019】
各自動搬送装置2は、管理サーバー1から搬送指示を取得すると、待機場所からオーダー商品を保管する保管棚に移動する。例えば、AGV1は、管理サーバー1から保管棚T1の商品をオーダー情報に含む搬送指示を取得すると、予め設定された走行経路に従って保管棚T1に対応するピッキング位置p1に移動し、ピッキング位置p1においてオーダー商品をピッキング又はピッキング作業を担当する作業者からオーダー商品を受け取ると、予め設定された走行経路に従って出庫場所まで移動する。
【0020】
本実施形態では、搬送システム10が本開示に係る搬送システムに相当するが、本開示に係る搬送システムは、管理サーバー1単体で構成されてもよいし、管理サーバー1及び自動搬送装置2のうち一又は複数の構成要素を含むものであってもよい。
【0021】
[管理サーバー1]
図1に示されるように、管理サーバー1は、制御部11、記憶部12、操作表示部13、及び通信部14などを備えるサーバーである。なお、管理サーバー1は、1台のコンピュータに限らず、複数台のコンピュータが協働して動作するコンピュータシステムであってもよい。また、管理サーバー1で実行される各種の処理は、一又は複数のプロセッサーによって分散して実行されてもよい。
【0022】
通信部14は、管理サーバー1を有線又は無線で通信網N1に接続し、通信網N1を介して一又は複数の自動搬送装置2との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インターフェースである。
【0023】
操作表示部13は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイのような表示部と、操作を受け付けるマウス、キーボード、又はタッチパネルのような操作部とを備えるユーザーインターフェースである。
【0024】
記憶部12は、各種の情報を記憶するHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶部である。具体的に、記憶部12には、商品情報D1、オーダー情報D2、搬送情報D3などのデータが記憶される。商品情報D1には、施設W1に保管されている商品に関する情報が含まれる。オーダー情報D2には、顧客のオーダーに関する情報が含まれる。図3は商品情報D1の一例を示す図であり、図4はオーダー情報D2の一例を示す図であり、図5は搬送情報D3の一例を示す図である。
【0025】
図3に示すように、商品情報D1には、商品ごとに、対応する「商品ID」、「商品名」、「棚ID」などの情報が含まれる。前記商品IDは、商品の識別情報であり、前記商品名は、商品の名称である。前記棚IDは、商品が保管されている保管棚の識別情報である。本実施形態では、前記棚IDとして、例えば保管棚T1を示す「T1」、保管棚T2を示す「T2」、保管棚T3を示す「T3」などが登録される。
【0026】
商品情報D1は、例えば施設W1の管理者の登録操作により予め記憶部12に記憶される。また、管理者は、商品情報D1を適宜更新することが可能である。
【0027】
図4に示すように、オーダー情報D2には、オーダー(注文)ごとに、対応する「単位オーダーID」、「顧客ID」、「オーダー商品」、「数量」、「オーダー日時」などの情報が含まれる。前記単位オーダーIDは、一つのオーダーの識別情報であり、前記顧客IDは、商品をオーダーした顧客の識別情報である。前記オーダー商品は、顧客がオーダーした商品の名称であり、前記数量は、オーダー商品の注文数である。前記オーダー日時は、顧客からオーダーを受け付けた日時の情報である。
【0028】
オーダー情報D2は、管理サーバー1(又は注文サーバー)が顧客からオーダーを受け付けるごとに制御部11により登録される。
【0029】
図5に示すように、搬送情報D3には、単位オーダーを組み合わせたセットオーダーごとに、対応する「セットオーダーID」、「単位オーダーID」、「棚ID」などの情報が含まれる。前記セットオーダーIDは、単位オーダーを組み合わせたセットオーダーの識別情報である。制御部11は、商品の保管位置、自動搬送装置2の現在位置、運行ルールなどの情報に基づいて、単位オーダーを組み合わせてセットオーダーを生成する。
【0030】
搬送情報D3は、自動搬送装置2に送信される搬送指示に含まれる。例えばAGV1が「SET1」の搬送情報D3を含む搬送指示を取得すると、AGV1は、搬送情報D3に含まれる棚ID「T3」の位置に移動する。そして、AGV1は、保管棚T3において単位オーダーID「O1」、「O2」、「O3」、「O4」のそれぞれの商品をピッキングする。
【0031】
制御部11は、商品情報D1(図3参照)を参照して搬送情報D3(図5参照)を生成する。
【0032】
なお、他の実施形態として、商品情報D1、オーダー情報D2、及び搬送情報D3の一部又は全部が、管理サーバー1から通信網N1を介してアクセス可能な他のサーバーに記憶されてもよい。この場合、管理サーバー1の制御部11は、前記他のサーバーから前記情報を取得して、後述の搬送処理(図10参照)などの各処理を実行してもよい。
【0033】
また、記憶部12には、制御部11に後述の搬送処理(図10参照)を実行させるための搬送プログラムなどの制御プログラムが記憶されている。例えば、前記搬送プログラムは、CD又はDVDなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に非一時的に記録されており、管理サーバー1が備えるCDドライブ又はDVDドライブなどの読取装置(不図示)で読み取られて記憶部12に記憶される。
【0034】
制御部11は、CPU、ROM、及びRAMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の演算処理を実行させるためのBIOS及びOSなどの制御プログラムが予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは、各種の情報を記憶する揮発性又は不揮発性の記憶部であり、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、制御部11は、前記ROM又は記憶部12に予め記憶された各種の制御プログラムを前記CPUで実行することにより管理サーバー1を制御する。
【0035】
具体的には、図1に示されるように、制御部11は、受付処理部111、走行処理部112、観測処理部113、決定処理部114などの各種の処理部を含む。なお、制御部11は、前記CPUで前記搬送プログラムに従った各種の処理を実行することによって前記各種の処理部として機能する。また、一部又は全部の前記処理部が電子回路で構成されていてもよい。なお、前記搬送プログラムは、複数のプロセッサーを前記処理部として機能させるためのプログラムであってもよい。
【0036】
受付処理部111は、自動搬送装置2に対応する商品(搬送対象)の搬送要求(ピッキングオーダー)を受け付ける。具体的には、受付処理部111は、複数の顧客のオーダーに対応するオーダー情報D2(図4参照)を受け付ける。例えば、受付処理部111は、CUSTOM1及びCUSTOM2の顧客のオーダーを含むオーダー情報D2(図4参照)を受け付ける。
【0037】
また、受付処理部111は、オーダー情報D2を受け付けると搬送情報D3を生成する。例えば、受付処理部111は、CUSTOM1及びCUSTOM2の顧客の4個のオーダー(単位オーダー)を含むオーダー情報D2(図4参照)を受け付けると、商品情報D1(図3参照)を参照して、「SET1」の搬送情報D3(図5参照)を生成する。例えば、受付処理部111は、オーダー情報D2に含まれる複数の商品のうち、同じエリアに保管されている複数の商品を一つのオーダー(セットオーダー)に集約して搬送情報D3を生成する。また受付処理部111は、自動搬送装置2に搭載された複数のコンテナのそれぞれに割り当てた搬送情報D3を生成する。
【0038】
走行処理部112は、自動搬送装置2の自動走行を制御する。具体的には、走行処理部112は、受付処理部111が受け付けた前記搬送要求に基づいて、自動搬送装置2の現在位置から保管位置(保管棚)までの走行経路を設定する。
【0039】
ここで、走行処理部112は、全ての自動搬送装置2の現在位置を取得する。各自動搬送装置2は、現在位置、走行速度、進行方向、走行状態(走行中又は待機中)などの情報をリアルタイムに管理サーバー1に送信する。走行処理部112は、各自動搬送装置2から送信される前記情報に基づいて、1台の自動搬送装置2を指定して搬送情報D3を割り当てる。
【0040】
走行処理部112は、割り当てられた自動搬送装置2に走行開始位置及び目的位置を設定する。図6には、施設W1の一部のエリアを模式的に示している。符号A~Rは施設W1内の地点を示し、各地点を結ぶ直線は自動搬送装置2が走行可能な通路を示している。例えば、受付処理部111がAGV1に「SET1」の搬送情報D3を割り当てた場合、図6に示すように、走行処理部112は、地点PをAGV1の走行開始位置に設定し、地点I(ピッキング位置p3)を目的位置に設定する。
【0041】
走行処理部112は、AGV1に走行開始位置及び目的位置を設定すると、走行開始位置から目的位置までの走行経路を設定する。具体的には、走行処理部112は、全ての自動搬送装置2に対して運行シミュレーションを行い、全ての自動搬送装置2の搬送時間の合計が最短となる走行経路及び制御情報を設定する。
【0042】
例えば、走行処理部112は、最初に、他の自動搬送装置2(ここではAGV2、AGV3)の走行状況(現在位置、走行速度、予約走行経路、予約走行経路の到着予測時間)を観測する。次に、走行処理部112は、全ての自動搬送装置2に対して並行して運行シミュレーションを行って、全てのAGVの搬送時間の合計が最短となるように、AGV1が地点Pから地点Iに移動するための走行経路を設定する。
【0043】
また、走行処理部112は、自動搬送装置2の動作を規定する制御情報を走行経路上のマーカに対応付けて設定する。具体的には、走行処理部112は、各マーカ位置における次に進行するマーカ位置に向けた進行方向を指定する情報(直進、左折、右折など)と、各マーカ位置における走行速度、加速度、停止、旋回などの情報を含む制御情報を設定する。前記マーカは、各地点A~Rに設けられる。
【0044】
走行処理部112は、前記走行経路を含む走行経路情報と、前記制御情報とを自動搬送装置2に出力する。ここでは、走行処理部112は、AGV1に前記走行経路情報及び前記制御情報を出力する。AGV1は、前記走行経路情報及び前記制御情報を取得すると、設定された走行経路の走行を開始する。以上のようにして、走行処理部112は、各自動搬送装置2の自動走行を制御する。
【0045】
ここで、搬送エリア(施設W1)内において自動搬送装置2が所定エリアに集中する渋滞が発生する場合がある。従来のシステムでは、自動搬送装置2の渋滞が発生した場合に、自動搬送装置2を渋滞度が低いエリアに移動させるため、自動搬送装置2を移動させることによるロスが発生し、搬送効率が低下する問題が生じる。これに対して、本実施形態に係る搬送システム10は、以下に示すように、複数の自動搬送装置2により搬送作業を行う場合において渋滞による搬送効率の低下を抑制することが可能な構成を備えている。
【0046】
具体的には、観測処理部113は、搬送エリア(施設W1)内の全ての自動搬送装置2の状態、搬送エリアに含まれる複数のピッキングエリアの状態、各ピッキングエリアに含まれる複数のピッキング位置の状態などを観測する。
【0047】
例えば図7に示すように、施設W1には、保管棚T1~T4に対応するピッキング位置p1~p4において自動搬送装置2が商品をピッキングする領域であるピッキングエリアAR1と、保管棚T5~T12に対応するピッキング位置p5~p12において自動搬送装置2が商品をピッキングする領域であるピッキングエリアAR2と、保管棚T13~T16に対応するピッキング位置p13~p16において自動搬送装置2が商品をピッキングする領域であるピッキングエリアAR3とが設定されている。また、施設W1には、自動搬送装置2がピッキングエリアAR1~AR3間を移動するための領域である移動エリアAR4が設定されている。なお、各ピッキングエリアには、同一の特性の商品が保管棚に保管されている。
【0048】
また、施設W1において、各エリアには自動搬送装置2が待機する待機エリア(待機位置)が設定されている。例えばピッキングエリアAR1に待機エリアAt1が設定され、ピッキングエリアAR2に待機エリアAt2が設定され、ピッキングエリアAR3に待機エリアAt3が設定され、移動エリアAR4に待機エリアAt4、At5が設定されている。
【0049】
また、各エリア(ピッキングエリアAR1~AR3、移動エリアAR4、待機エリアAt1~At5)には、自動搬送装置2を受け入れ可能な上限台数が設定されている。なお、前記上限台数に代えて上限密度(エリアの面積に対する自動搬送装置2の台数の割合の上限値)が設定されてもよい。
【0050】
観測処理部113は、各自動搬送装置2の位置情報に基づいて、各エリア(ピッキングエリアAR1~AR3、移動エリアAR4、待機エリアAt1~At5)について、エリア内にある自動搬送装置2の台数、各エリアの空き状況(満車又は空車)を特定する。観測処理部113は、特定した情報を観測情報D4に登録する。図8には、観測情報D4の一例を示している。
【0051】
図8に示すように、観測情報D4には、エリアごとに、「エリア名」、「エリア内台数」、「ピッキング位置」、「空き状況」などの情報が含まれる。前記エリア名は、ピッキングエリアAR1~AR3、移動エリアAR4、待機エリアAt1~At5の名前である。前記エリア内台数は、現時点でエリア内に存在する自動搬送装置2の台数である。前記ピッキング位置は、保管棚T1~T16に対応するピッキング位置p1~p16(図7参照)である。前記空き状況は、エリアの空き状況を示し、例えばエリア内台数がエリアに設定された上限台数未満である場合に「空」(空車)が登録され、エリア内台数がエリアに設定された上限台数以上である場合に「満」(満車)が登録される。観測処理部113は、リアルタイムに観測情報D4を更新する。観測情報D4は、記憶部12に記憶される。
【0052】
決定処理部114は、搬送エリア内の自動搬送装置2の混雑状況に基づいて、搬送要求に対応する自動搬送装置2の行先を決定する。具体的には、決定処理部114は、前記搬送要求に含まれる商品(ピッキング対象)のピッキング位置を含むピッキングエリア内に存在する自動搬送装置2の台数と、前記ピッキングエリア内の一又は複数のピッキング位置の空き状況とに基づいて、自動搬送装置2の行先を決定する。
【0053】
以下、自動搬送装置2の行先の決定方法の具体例(第1構成例~第7構成例)を説明する。
【0054】
[第1構成例]
例えば図9に示す例において、AGV1に対する搬送指示において次のピッキング対象が保管棚T1の商品である場合に、走行処理部112は、AGV1の目的位置をピッキング位置p1に設定する。ここで、観測処理部113は、ピッキング位置p1を含むピッキングエリアAR1内に存在する自動搬送装置2の台数を算出する。決定処理部114は、ピッキングエリアAR1内の自動搬送装置2の台数が上限台数以上である場合には、ピッキングエリアAR1内が渋滞する可能性があるため、ピッキングエリアAR1内への進入を禁止する。そこで、例えば、決定処理部114は、ピッキングエリアAR1に近い待機エリアAt4をAGV1の行先に決定する。走行処理部112は、AGV1に対して待機エリアAt4を目的位置とした走行指示を出力する。AGV1は、前記走行指示を取得すると待機エリアAt4に移動し、待機エリアAt4に到着すると一時停止して次の走行指示を取得するまで待機する。
【0055】
[第2構成例]
ピッキングエリアAR1内の自動搬送装置2の台数が上限台数以上である場合に、決定処理部114は、AGV1に対応する前記搬送要求にピッキングエリアAR1とは異なるピッキングエリア内の他の商品(ピッキング対象)が含まれるか否かを判断する。決定処理部114は、前記搬送要求に他のピッキングエリア内の商品が含まれる場合に、当該商品に対応するピッキング位置を特定する。
【0056】
決定処理部114は、特定したピッキング位置に空きがある場合に、当該ピッキング位置をAGV1の行先に決定する。例えば図9において、決定処理部114は、ピッキングエリアAR2内の他の商品に対応するピッキング位置p6を特定し、特定したピッキング位置p6に空きがある場合に、ピッキング位置p6をAGV1の行先に決定する。この場合、AGV1は、現在位置からピッキングエリアAR1をスキップしてピッキングエリアAR2内のピッキング位置p6に移動する。
【0057】
なお、AGV1がピッキングエリアAR2において全ての商品のピッキングを完了した時点で、ピッキングエリアAR1内の自動搬送装置2の台数が上限台数未満である場合には、決定処理部114は、以下の構成例に示す方法によりAGV1の行先を決定してもよい。
【0058】
[第3構成例]
AGV1の目的位置であるピッキング位置p1に空きがある場合(空車の場合)、決定処理部114は、ピッキング位置p1をAGV1の行先に決定する。なお、ピッキング位置p1は、1台の自動搬送装置2のみを受け入れ可能であってもよいし、複数台の自動搬送装置2を同時に受け入れ可能であってもよい。この場合、走行処理部112は、AGV1に対してピッキング位置p1を目的位置とした走行指示を出力する。AGV1は、前記走行指示を取得するとピッキング位置p1に移動し、ピッキング位置p1に到着するとピッキング対象の商品をピッキングする。
【0059】
[第4構成例]
AGV1の目的位置であるピッキング位置p1に空きがない場合(満車の場合)、決定処理部114は、AGV1に対応する前記搬送要求にピッキング位置p1と同一のピッキングエリアAR1内の他の商品(ピッキング対象)が含まれるか否かを判断する。決定処理部114は、前記搬送要求にピッキングエリアAR1内の他の商品が含まれる場合に、当該他の商品に対応するピッキング位置を特定する。
【0060】
決定処理部114は、特定したピッキング位置に空きがある場合に、当該ピッキング位置をAGV1の行先に決定する。例えば図9において、決定処理部114は、ピッキングエリアAR1内の他の商品に対応するピッキング位置p2を特定し、特定したピッキング位置p2に空きがある場合に、ピッキング位置p2をAGV1の行先に決定する。この場合、AGV1は、現在位置からピッキング位置p1をスキップして次のピッキング位置p2に移動する。
【0061】
また、AGV1がピッキング位置p2において商品をピッキングした時点で、ピッキング位置p1に空きがある場合には、決定処理部114は、次の行先をピッキング位置p1に決定する。
【0062】
また、AGV1がピッキング位置p2において商品をピッキングした時点で、ピッキング位置p1に依然として空きがなく、前記搬送要求にピッキングエリアAR1内の他の商品が含まれる場合には、当該他の商品に対応するピッキング位置を次の行先に決定する。
【0063】
このように、決定処理部114は、AGV1に割り当てられた搬送要求のうち同一エリア内の複数のピッキング対象の各ピッキング位置の空き状況に応じた順に、AGV1の行先を決定する。また、決定処理部114は、AGV1の前記搬送要求にピッキングエリアAR1及びピッキングエリアAR2内の商品が含まれる場合には、ピッキングエリアAR1内のピッキング作業が完了した後に、AGV1の行先をピッキングエリアAR2に決定する。
【0064】
[第5構成例]
AGV1の目的位置であるピッキング位置p1に空きがない場合(満車の場合)であって、かつ、AGV1に対応する前記搬送要求にピッキング位置p1と同一のピッキングエリアAR1内の他の商品(ピッキング対象)が含まれない場合には、決定処理部114は、ピッキングエリアAR1内の待機エリアAt1(図7参照)に空きがあるか否かを判断する。決定処理部114は、待機エリアAt1に空きがある場合には、AGV1の行先を待機エリアAt1に決定する。なお、待機エリアAt1は、1台の自動搬送装置2のみを受け入れ可能であってもよいし、複数台の自動搬送装置2を同時に受け入れ可能であってもよい。この場合、AGV1は、待機エリアAt1に移動し、待機エリアAt1に到着すると一時停止して次の走行指示を取得するまで待機する。
【0065】
なお、待機エリアAt1は、複数のピッキング位置のそれぞれに対応して複数のエリアに区画されていてもよい。この場合、決定処理部114は、待機エリアAt1内のピッキング位置p1に対応するエリアをAGV1の行先に決定する。また、待機エリアAt1内のピッキング位置p1に対応するエリアに空きがない場合には、決定処理部114は、ピッキング位置p1に近く、かつ空きがあるエリアをAGV1の行先に決定する。
【0066】
[第6構成例]
AGV1の目的位置であるピッキング位置p1に空きがない場合(満車の場合)であって、AGV1に対応する前記搬送要求にピッキング位置p1と同一のピッキングエリアAR1内の他の商品(ピッキング対象)が含まれず、かつ、ピッキングエリアAR1内の待機エリアAt1(図7参照)に空きがない場合には、決定処理部114は、AGV1の行先を待機エリアAt4に決定する。なお、待機エリアAt4は、1台の自動搬送装置2のみを受け入れ可能であってもよいし、複数台の自動搬送装置2を同時に受け入れ可能であってもよい。この場合、AGV1は、待機エリアAt4に移動し、待機エリアAt4に到着すると一時停止して次の走行指示を取得するまで待機する。
【0067】
このように、決定処理部114は、AGV1がピッキングエリア内で待機することができないと判断した場合には、ピッキングエリア外(移動エリア)の待機エリアをAGV1の行先に決定する。
【0068】
また、決定処理部114は、移動エリアAR4のうち目的位置(ピッキング位置p1)に近い待機エリアAt4をAGV1の行先に決定する。なお、待機エリアAt4に空きがない場合には、決定処理部114は、移動エリアAR4のうち目的位置(ピッキング位置p1)に近い他の待機エリア(待機エリアAt5)をAGV1の行先に決定する。
【0069】
[第7構成例]
AGV1の目的位置であるピッキング位置p1に空きがない場合(満車の場合)であって、AGV1に対応する前記搬送要求にピッキング位置p1と同一のピッキングエリアAR1内の他の商品(ピッキング対象)が含まれず、かつ、ピッキングエリアAR1内の待機エリアAt1(図7参照)に空きがない場合には、決定処理部114は、AGV1に対応する前記搬送要求にピッキング位置p1とは異なるピッキングエリア内の他の商品(ピッキング対象)が含まれるか否かを判断する。決定処理部114は、前記搬送要求に他のピッキングエリア内の商品が含まれる場合に、当該商品に対応するピッキング位置を特定する。
【0070】
決定処理部114は、特定したピッキング位置に空きがある場合に、当該ピッキング位置をAGV1の行先に決定する。例えば図9において、決定処理部114は、ピッキングエリアAR2内の他の商品に対応するピッキング位置p6を特定し、特定したピッキング位置p6に空きがある場合に、ピッキング位置p6をAGV1の行先に決定する。この場合、AGV1は、現在位置からピッキングエリアAR1(ピッキング位置p1)をスキップしてピッキングエリアAR2内のピッキング位置p6に移動する。
【0071】
また、AGV1がピッキングエリアAR2において全ての商品のピッキングを完了した時点で、ピッキング位置p1に空きがある場合には、決定処理部114は、次の行先をピッキング位置p1に決定する。
【0072】
このように、決定処理部114は、AGV1に設定されたピッキングエリアの移動順序を、各ピッキングエリアの混雑状況に応じて変更してもよい。
【0073】
以上のように、決定処理部114は、ピッキングエリア内の自動搬送装置2の台数が上限台数以上である場合には、前記第1構成例又は前記第2構成例により自動搬送装置2の行先を決定し、ピッキングエリア内の自動搬送装置2の台数が上限台数未満である場合には、前記第3構成例~前記第7構成例のいずれかにより自動搬送装置2の行先を決定する。
【0074】
また、決定処理部114は、ピッキングエリア内のピッキング位置の空き状況に基づいて、自動搬送装置2の行先を決定する。
【0075】
また、決定処理部114は、自動搬送装置2がピッキングを予定するピッキングエリア内の複数のピッキング位置に空きがある場合に、自動搬送装置2の行先を、当該ピッキングエリア内の複数のピッキング位置のいずれかに決定する。
【0076】
また、決定処理部114は、自動搬送装置2がピッキングを予定するピッキングエリア内の複数のピッキング位置に空きがない場合に、自動搬送装置2の行先を、当該ピッキングエリア内の待機エリア又は当該ピッキングエリア外の待機エリアに決定する。
【0077】
なお、決定処理部114は、ピッキング位置に空きがない場合に、自動搬送装置2の行先をピッキングエリア内の待機エリアに決定してもよい。ピッキングエリア外の待機エリアまで移動させると移動距離が長くなりロスが大きくなるため、ピッキングエリア内の待機エリアが空いている場合には、決定処理部114は、ピッキングエリア内の待機エリアを優先して、自動搬送装置2の行先に決定する。
【0078】
また、決定処理部114は、自動搬送装置2のピッキング予定にピッキングエリア内のピッキング位置が含まれる場合には、自動搬送装置2の行先をピッキングエリア内の待機エリアに決定してもよい。将来的に同一のピッキングエリア内のピッキング位置でピッキング作業をする予定がある場合は、ピッキングエリア外の待機エリアまで移動させるとロスが大きくなるため、決定処理部114は、ピッキングエリア内の待機エリアを優先して、自動搬送装置2の行先に決定する。
【0079】
また、決定処理部114は、自動搬送装置2のピッキング予定にピッキングエリア内のピッキング位置が含まれない場合に、自動搬送装置2の行先をピッキングエリア外の待機エリアに決定する。将来的に同一のピッキングエリア内のピッキング位置でピッキング作業をする予定がない場合は、決定処理部114は、自動搬送装置2が同一エリア内に留まる必要がないため、決定処理部114は、ピッキングエリア外の待機エリアを優先して、自動搬送装置2の行先に決定する。
【0080】
また、ピッキングエリア内には、当該ピッキングエリアに含まれる複数のピッキング位置のそれぞれに対応する待機エリアが設定されてもよい。前記ピッキング位置と当該ピッキング位置に対応する待機エリアとに対して、進入可能な自動搬送装置2の上限台数が設定されてもよい。
【0081】
また、制御部11は、前記第1構成例~前記第7構成例のそれぞれの行先決定方法について優先順位を設定してもよい。例えば制御部11は、自動搬送装置2のピッキング作業を中断しない方法、すなわちピッキング位置を行先に決定する方法(第2構成例、第3構成例、第4構成例、第7構成例)の優先順位を高く設定し、ピッキング作業を中断する方法、すなわち、待機エリアを行先に決定する方法(第1構成例、第5構成例、第6構成例)の優先順位を低く設定する。
【0082】
[搬送処理]
以下、図10を参照しつつ、搬送システム10において実行される搬送処理について説明する。具体的に、本実施形態では、管理サーバー1の制御部11によって前記搬送処理が実行される。また、制御部11は、複数の自動搬送装置2に対する複数の搬送要求に応じて複数の搬送処理を並行して実行することが可能である。制御部11は、搬送要求に応じて自動搬送装置2に搬送作業を開始させた場合に、図10に示す前記搬送処理の実行を開始する。
【0083】
なお、本開示は、前記搬送処理に含まれる一又は複数のステップを実行する搬送方法の開示として捉えることができる。また、ここで説明する前記搬送処理に含まれる一又は複数のステップは適宜省略されてもよい。なお、前記搬送処理における各ステップは同様の作用効果を生じる範囲で実行順序が異なってもよい。さらに、ここでは制御部11が前記搬送処理における各ステップを実行する場合を例に挙げて説明するが、一又は複数のプロセッサーが当該搬送処理における各ステップを分散して実行する搬送方法も他の実施形態として考えられる。
【0084】
先ずステップS1において、制御部11は、自動搬送装置2に搬送作業を開始させる。具体的には、制御部11は、オーダー情報D2(図4参照)に応じた前記搬送要求に基づいて搬送情報D3(図5参照)を生成し、搬送情報D3に応じた前記走行経路情報及び前記制御情報を自動搬送装置2に出力して搬送作業(自動走行)を開始させる。
【0085】
次にステップS2において、制御部11は、前記搬送要求に含まれるピッキング対象のピッキングエリア及びピッキング位置の混雑状況を取得する。具体的には、制御部11は、各自動搬送装置2の位置情報に基づいて、各エリア(ピッキングエリアAR1~AR3、移動エリアAR4、待機エリアAt1~At5)について、エリア内にある自動搬送装置2の台数、各エリアの空き状況(満車又は空車)を特定して混雑状況を取得する。
【0086】
次にステップS3において、制御部11は、前記混雑状況に基づいて、搬送要求に対応する自動搬送装置2の行先を決定する。具体的には、制御部11は、前記搬送要求に含まれる商品(ピッキング対象)のピッキング位置を含むピッキングエリア内に存在する自動搬送装置2の台数と、前記ピッキングエリア内の各ピッキング位置の空き状況とに基づいて、自動搬送装置2の行先を決定する。例えば、制御部11は、上述の第1構成例~第7構成例に示した方法により自動搬送装置2の行先(ピッキング位置又は待機エリア)を決定する。
【0087】
次にステップS4において、制御部11は、決定した行先がピッキング位置であるか否かを判定する。制御部11は、決定した行先がピッキング位置である場合(S4:Yes)、処理をステップS5に移行させる。一方、制御部11は、決定した行先がピッキング位置でない場合(S4:No)、すなわち決定した行先が待機エリアである場合、処理をステップS41に移行させる。
【0088】
ステップS5では、制御部11は、現在位置から前記決定したピッキング位置に移動させる移動指示を自動搬送装置2に出力する。自動搬送装置2は、前記移動指示を取得するとピッキング位置に移動してピッキング作業を行う。制御部11は、ステップS5の後、処理をステップS6に移行させる。
【0089】
一方、ステップS41では、制御部11は、現在位置から前記決定した待機エリアで待機させる待機指示を自動搬送装置2に出力する。自動搬送装置2は、前記待機指示を取得すると待機エリアに移動して待機する。制御部11は、ステップS41の後、処理をステップS2に戻す。
【0090】
ステップS6において、制御部11は、前記決定したピッキング位置においてピッキング対象のピッキングが完了したか否かを判定する。制御部11は、前記ピッキング対象のピッキングが完了したと判定すると(S6:Yes)、処理をステップS7に移行させる。制御部11は、前記ピッキング対象のピッキングが完了するまで待機する(S6:No)。
【0091】
次にステップS7において、制御部11は、搬送作業を終了したか否かを判定する。例えば、制御部11は、自動搬送装置2が走行終了位置に到着した場合に、搬送作業を終了したと判定する。制御部11は、搬送作業を終了したと判定すると(S7:Yes)、前記搬送処理を終了する。一方、制御部11は、搬送作業を終了していないと判定すると(S7:No)、処理をステップS2に移行させる。例えば、自動搬送装置2が搬送要求に含まれる全てのピッキング対象をピッキングして目的位置に到着すると、制御部11は、搬送作業を終了したと判定して前記搬送処理を終了する。制御部11は、自動搬送装置2が目的位置に到着するまでステップS2~S6の処理を繰り返す(S7:No)。
【0092】
また、制御部11は、搬送エリア内に存在する各自動搬送装置2に対して、前記搬送処理を実行する。
【0093】
以上説明したように、本実施形態に係る搬送システム10は、自動搬送装置2がピッキング対象をピッキングする複数のピッキング位置を含むピッキングエリアが複数配置された搬送エリアにおいて、複数の自動搬送装置2のそれぞれに前記ピッキング対象を搬送させるシステムである。また、搬送システム10は、第1自動搬送装置2に対応する第1ピッキング対象の搬送要求を受け付け、前記第1ピッキング対象の第1ピッキング位置を含む第1ピッキングエリア内に存在する自動搬送装置2の台数と、前記第1ピッキングエリア内の一又は複数のピッキング位置の空き状況とに基づいて、第1自動搬送装置2の行先を決定する。
【0094】
具体的には、搬送システム10は、主に搬送エリア(ピッキング現場)における複数の自動搬送装置2の走行を制御して、搬送エリア全体の渋滞軽減を実現するために、以下の構成を備える。
【0095】
(構成A)
搬送システム10において、各ピッキング位置の前に停止可能な自動搬送装置2の上限台数が設定される。例えば、ピッキング位置p1の前の待機エリアの上限台数が3台に設定される場合、ピッキング位置p1に向かう経路指示予約又は停止中の合計台数は3台以下となる。
【0096】
(構成B)
搬送システム10において、各ピッキング位置の前に待機及び走行する自動搬送装置2に対応する密度が設定される。例えば、待機エリア及びピッキング位置周辺の密度が所定の密度以下に設定される。
【0097】
(構成C)
搬送システム10において、各ピッキングエリア(複数のピッキング位置の集合)に進入可能な自動搬送装置2の上限台数が設定される。例えば、ピッキングエリア内の全てのピッキング位置に自動搬送装置2が移動した場合には、自動搬送装置2の密度が高くなり自動搬送装置2同士の走行制御の効率が低下する。このため、搬送システム10は、各ピッキングエリアに自動搬送装置2の上限台数を設定する。
【0098】
(構成D)
前記構成A~Cにおいて上限台数を超える場合は、ピッキングエリア間及び各ピッキングエリア内の待機エリアを探索して、自動搬送装置2の密度及び台数が許容範囲内になるまで自動搬送装置2を待機させる。
【0099】
(構成E)
ピッキングエリア内の特定のピッキング位置にピッキング待ちが発生し、ピッキングエリア内の次のピッキング位置に先に移動した方がよいと判断した場合には、搬送システム10は、待機中のピッキング位置をスキップさせる。また、搬送システム10は、自動搬送装置2が当該ピッキングエリア内の他のピッキング位置においてピッキングを完了した後に、自動搬送装置2をスキップしたピッキング位置に戻す。ここで、スキップしたピッキング位置に戻るときに、ピッキング位置又は待機エリアにおける自動搬送装置2の台数が上限台数を超える場合は、搬送システム10は、前記構成Dの処理を実行する。なお、搬送システム10は、スキップする機能のON/OFFを切り替え可能であってもよい。
【0100】
また、搬送システム10は、以下の手順(ステップ1~3)で自動搬送装置2の行先を決定する。
【0101】
(ステップ1)
搬送システム10は、各ピッキング位置の周辺状態を観測する。具体的には、搬送システム10は、全てのピッキング位置における予約中の自動搬送装置2の台数、又は、ピッキング待機中の自動搬送装置2の台数を観測する。また、搬送システム10は、待機エリアに停止待ち中の自動搬送装置2の台数を観測する。また、搬送システム10は、各ピッキングエリア内の自動搬送装置2の合計台数を観測する。
【0102】
(ステップ2)
搬送システム10は、各自動搬送装置2が現在のピッキング作業を完了した後に、次に向かうピッキング位置までの経路の生成を行う前に、前記ステップ1で観測した情報及び以下の優先順位に従って、次に行くべき行先を決定する。
【0103】
(優先順位1)
搬送システム10は、計画中のピッキング位置の予約中/停止中の自動搬送装置2の台数、ピッキング位置前の自動搬送装置2の密度、ピッキングエリア内の自動搬送装置2の台数のそれぞれが上限設定値の範囲内の場合、当該ピッキング位置を行先に決定する。
【0104】
(優先順位2)
前記優先順位1を満たさない場合、搬送システム10は、ピッキングエリア内の次のピッキング位置が存在する場合に、計画中のピッキング位置をスキップして、次のピッキング位置を行先に決定する。搬送システム10は、前記優先順位1を満たすピッキングエリア内のピッキング位置が無くなるまで繰り返し、その後にスキップした全てのピッキング位置に戻ってピッキング作業を行う。
【0105】
(優先順位3)
計画中のピッキング位置の予約中/停止中の自動搬送装置2の台数、ピッキング位置前の自動搬送装置2の密度、ピッキングエリア内の自動搬送装置2の台数のそれぞれが上限設定値を超え、かつ、前記優先順位2のスキップ機能がOFFに設定され、計画通りの順番にピッキング作業を行う場合、搬送システム10は、以下の2つケースに基づいて自動搬送装置2の行先を決定する。
【0106】
(ケース1:次の行先が同じピッキングエリアの場合)
ピッキングエリア内に空いている待機エリアが存在する場合、搬送システム10は、自動搬送装置2に、当該待機エリアまで移動指示を行い、当該待機エリアにおいて前記優先順位1に満たすまで待機させる。ここで、ピッキングエリア内に空いている待機エリアが存在しない場合は、搬送システム10は、ピッキングエリア外で空いている待機エリアを検索して、当該待機エリアを自動搬送装置2の行先を決定する。
【0107】
(ケース2:次の行先が別のピッキングエリアの場合)
搬送システム10は、自動搬送装置2を別のピッキングエリアの前の待機エリアに移動させて、前記優先順位1に満たすまで待機させる。搬送システム10は、前記別のピッキングエリアの前の待機エリアがすでに予約又は待機中である場合には、周辺のピッキングエリアの空いている待機エリアを検索して自動搬送装置2の行先に決定する。
【0108】
(ステップ3)
搬送システム10は、前記ステップ2における優先順位1~3で待機中の自動搬送装置2が前記優先順位1を満たすと、搬送システム10は、前記優先順位1を満たす自動搬送装置2に優先的に走行指示を行う。
【0109】
本実施形態に係る搬送システム10によれば、ピッキング予定位置、ピッキングエリア、待機エリアの各地点における混雑状況に応じて自動走行装置2の行先をリアルタイムに更新して適切な走行指示を行うことができる。よって、複数の自動搬送装置2により搬送作業を行う場合において渋滞による搬送効率の低下を抑制することが可能となる。
【0110】
[開示の付記]
以下、上述の実施形態から抽出される開示の概要について付記する。なお、以下の付記で説明する各構成及び各処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
【0111】
<付記1>
自動搬送装置がピッキング対象をピッキングする複数のピッキング位置を含むピッキングエリアが複数配置された搬送エリアにおいて、複数の自動搬送装置のそれぞれに前記ピッキング対象を搬送させる搬送システムであって、
第1自動搬送装置に対応する第1ピッキング対象の搬送要求を受け付ける受付処理部と、
前記第1ピッキング対象の第1ピッキング位置を含む第1ピッキングエリア内に存在する前記自動搬送装置の台数と、前記第1ピッキングエリア内の一又は複数のピッキング位置の空き状況とに基づいて、前記第1自動搬送装置の行先を決定する決定処理部と、
を備える搬送システム。
【0112】
<付記2>
前記決定処理部は、前記第1ピッキングエリア内の前記第1ピッキング位置の空き状況に基づいて、前記第1自動搬送装置の行先を決定する、
付記1に記載の搬送システム。
【0113】
<付記3>
前記決定処理部は、前記第1自動搬送装置がピッキングを予定する前記第1ピッキングエリア内の複数の前記ピッキング位置に空きがある場合に、前記第1自動搬送装置の行先を、前記第1ピッキングエリア内の複数の前記ピッキング位置のいずれかに決定する、
付記1又は2に記載の搬送システム。
【0114】
<付記4>
前記決定処理部は、前記第1自動搬送装置がピッキングを予定する前記第1ピッキングエリア内の複数の前記ピッキング位置に空きがない場合に、前記第1自動搬送装置の行先を、前記第1ピッキングエリア内の第1待機位置又は前記第1ピッキングエリア外の第2待機位置に決定する、
付記1~3のいずれかに記載の搬送システム。
【0115】
<付記5>
前記決定処理部は、前記第1ピッキング位置に空きがない場合に、前記第1自動搬送装置の行先を前記第1待機位置に決定する、
付記4に記載の搬送システム。
【0116】
<付記6>
前記決定処理部は、前記第1自動搬送装置のピッキング予定に前記第1ピッキングエリア内の前記ピッキング位置が含まれる場合に、前記第1自動搬送装置の行先を前記第1待機位置に決定する、
付記4又は5に記載の搬送システム。
【0117】
<付記7>
前記決定処理部は、前記第1自動搬送装置のピッキング予定に前記第1ピッキングエリア内の前記ピッキング位置が含まれない場合は、前記第1自動搬送装置の行先を前記第2待機位置に決定する、
付記4~6のいずれかに記載の搬送システム。
【0118】
<付記8>
前記ピッキングエリア内には、当該ピッキングエリアに含まれる複数のピッキング位置のそれぞれに対応する待機位置が設定されており、
前記ピッキング位置と当該ピッキング位置に対応する前記待機位置とに対して、進入可能な前記自動搬送装置の上限台数が設定されている、
付記1~7のいずれかに記載の搬送システム。
【符号の説明】
【0119】
1 :管理サーバー
2 :自動搬送装置
10 :搬送システム
11 :制御部
12 :記憶部
13 :操作表示部
14 :通信部
111 :受付処理部
112 :走行処理部
113 :観測処理部
114 :決定処理部
D1 :商品情報
D2 :オーダー情報
D3 :搬送情報
D4 :観測情報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10