(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177470
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】振動装置付きスクレーパコンベヤ
(51)【国際特許分類】
B65G 19/18 20060101AFI20231207BHJP
【FI】
B65G19/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090159
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】592028031
【氏名又は名称】日本省力機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106024
【弁理士】
【氏名又は名称】稗苗 秀三
(74)【代理人】
【識別番号】100154092
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100167841
【弁理士】
【氏名又は名称】小羽根 孝康
(74)【代理人】
【識別番号】100168376
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 清隆
(72)【発明者】
【氏名】辰村 周平
(57)【要約】
【課題】 本発明は、コンベヤチェーンの隙間に入り込んでいる灰等を振るい落すことにより、コンベヤチェーンの固着と屈曲不良を起こすことなく、コンベヤチェーンの摩耗を減らすことができる振動装置付きコンベヤチェーンを提供する。
【解決手段】 底板を有するケーシング1と、ケーシング1内に設けた駆動軸2と、駆動軸2の回転を受け従動して回転する従動軸3と、駆動軸2から従動軸3に連接される回転を伝達する左右のコンベヤチェーン9と、左右のコンベヤチェーン9を誘導する左右のガイドレール7と、左右のコンベヤチェーン9に取り付けられ、搬送物を前記底板に沿って搬送するスクレーパ11と、からなるスクレーパコンベヤにおいて、左右のガイドレール7に取り付け、ガイドレール7を介して左右のコンベヤチェーン9を振動させる振動装置を設けた振動装置付きスクレーパコンベヤとした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板を有するケーシングと、前記ケーシング内に設けた駆動軸と、前記駆動軸の回転を受け従動して回転する従動軸と、前記駆動軸から前記従動軸に連接される回転を伝達する左右のコンベヤチェーンと、前記左右のコンベヤチェーンを誘導する左右のガイドレールと、前記左右のコンベヤチェーンに取り付けられ、搬送物を前記底板に沿って搬送するスクレーパと、からなるスクレーパコンベヤにおいて、
前記左右のガイドレールに取り付け、前記ガイドレールを介して前記左右のコンベヤチェーンを振動させる振動装置を設けたことを特徴とする振動装置付きスクレーパコンベヤ。
【請求項2】
底板を有するケーシングと、前記ケーシング内に設けた駆動軸と、前記駆動軸の回転を受け従動して回転する従動軸と、前記駆動軸から前記従動軸に連接される回転を伝達する左右のコンベヤチェーンと、前記左右のコンベヤチェーンを誘導する左右のガイドレールと、前記左右のコンベヤチェーンに取り付けられ、搬送物を前記底板に沿って搬送するスクレーパと、からなるスクレーパコンベヤにおいて、
前記左右のガイドレールに取り付け、前記ガイドレールを介して前記左右のコンベヤチェーンを振動させる振動装置を設けると共に、
前記左右のコンベヤチェーンにエアーを噴射させるエアーノズルを設けたことを特徴とする振動装置付きスクレーパコンベヤ。
【請求項3】
底板を有するケーシングと、前記ケーシング内に設けた駆動軸と、前記駆動軸の回転を受け従動して回転する従動軸と、前記駆動軸から前記従動軸に連接される回転を伝達する左右のコンベヤチェーンと、前記左右のコンベヤチェーンを誘導する左右のガイドレールと、前記左右のコンベヤチェーンに取り付けられ、搬送物を前記底板に沿って搬送するスクレーパと、からなるスクレーパコンベヤにおいて、
前記駆動軸と前記従動軸の間に左右のスプロケットを設け、
前記左右のコンベヤチェーンを前記左右のスプロケットの上を通るようにし、
前記左右のスプロケットに取り付け、前記左右のスプロケットを介して前記左右のコンベヤチェーンを振動させる振動装置を設けたことを特徴とする振動装置付きスクレーパコンベヤ。
【請求項4】
底板を有するケーシングと、前記ケーシング内に設けた駆動軸と、前記駆動軸の回転を受け従動して回転する従動軸と、前記駆動軸から前記従動軸に連接される回転を伝達する左右のコンベヤチェーンと、前記左右のコンベヤチェーンを誘導する左右のガイドレールと、前記左右のコンベヤチェーンに取り付けられ、搬送物を前記底板に沿って搬送するスクレーパと、からなるスクレーパコンベヤにおいて、
前記駆動軸と前記従動軸の間に左右のスプロケットを設け、
前記左右のコンベヤチェーンを前記左右のスプロケットの上を通るようにし、
前記スプロケットに取り付け、前記左右のスプロケットを介して前記左右のコンベヤチェーンを振動させる振動装置を設けると共に、
前記左右のコンベヤチェーンにエアーを噴射させるエアーノズルを設けたことを特徴とする振動装置付きスクレーパコンベヤ。
【請求項5】
前記振動装置は、前記左右のコンベヤチェーンをそれぞれ振動させるにより、前記左右のコンベヤチェーンに灰が固着するのを未然に防ぐことができるようにしたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の振動装置付きスクレーパコンベヤ。
【請求項6】
前記エアーノズルは、前記左右のコンベヤチェーンにエアーを噴射させることによりコンベヤチェーンに灰が固着するのを未然に防ぐことができるようにしたことを特徴とする請求項2又は請求項4記載の振動装置付きスクレーパコンベヤ。
【請求項7】
前記振動装置は、振動の振れ幅、振動の回数、振動の時間を調整することができることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の振動装置付きスクレーパコンベヤ。
【請求項8】
前記エアーノズルは、前記左右のコンベヤチェーンに噴射させるエアーの量、噴射させる間隔、噴射させる時間を調整することができることを特徴とする請求項2又は請求項4記載の振動装置付きスクレーパコンベヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動装置を取り付けたスクレーパコンベヤに関するものである。
【0002】
焼却灰等を搬送する手段としては、スクレーパコンベヤが有効である。このスクレーパコンベヤは、水分を含む焼却灰を、コンベヤチェーンに取り付けたスクレーパで掃き取るように移動させるものであるが、コンベヤチェーンを構成するピンとローラーとの間に焼却灰等が入り込み、ローラーが円滑に回転しなくなることがあった。
【0003】
ローラーが回転しない場合、ローラーとガイドレールとの間で転がり抵抗が滑り抵抗となり運転するためのエネルギーが増大し、電気消費が増えることがあった。
【0004】
また、回転しないローラーは、ガイドレール上を滑り、ローラーの摩耗、ガイドレールの摩耗を起こし、コンベヤチェーンの寿命及びレールの寿命が短くなるなどの問題があった。
【0005】
このため、コンベヤチェーンのピン及びローラーの間に入り込んだ灰を取り除くことが望まれる。
【背景技術】
【0006】
従来、コンベヤによる搬送の場合、コンベヤ内を見ることができず、焼却灰等の量、搬送状態、コンベヤの駆動状態等を見ることができず、コンベヤの運転を把握することが難しかった。
【0007】
このため、コンベヤチェーン張力を測ることにより、コンベヤ内での運転の見える化を図り、コンベヤチェーンの摩耗、ガイドレールの変形等も予測でき、部品の取替え時期の計画等もできるようにすることが望まれる。
【0008】
しかし、コンベヤ内のコンベヤチェーンの張力を計測するにあたっては、コンベヤチェーン自体が正常に駆動していることが前提となる。
【0009】
即ち、コンベヤチェーンが正常に駆動しているとは、コンベヤチェーンを構成するピンやローラーの間に灰等が詰まっておらず、ローラーが円滑に回る状態であることが必要となる。
【0010】
コンベヤチェーンを構成するリングプレートの間に水分を含む灰が入り込み、水分が蒸発して灰が固着することがあり、この場合、本来ならば滑らかにチェーンの摺動を行えるはずのところ、リングプレートの屈曲がし難くなり、曲がった状態で固まる屈曲不良を起こすこともあった。
【0011】
また、このようにリングプレートが屈曲して固着すると、左右のコンベヤチェーンの全長が各々変わり、左右コンベヤチェーンの長さが異なることになる。
【0012】
このため、正確なコンベヤチェーンの張力を測定できず、また、左右コンベヤチェーンの長さが異なることから、テークアップ作業によるチェーンに掛かる張力の調整をすることができなくなっている。
【0013】
さらに、屈曲不良のコンベヤチェーンがガイドレールに接触してコンベヤチェーンが切断してしまうことがあり、コンベヤの運転を停止せざるを得ない場合があった。
【0014】
コンベヤチェーンの固着を防止する対策としては、例えば、コンベヤチェーンに給油する場合、コンベヤチェーンの寸法及び材質を調整する場合、コンベヤチェーンの材質を一部ステンレス鋼にする場合、等が考えられる。
【0015】
しかし、コンベヤチェーンに給油をする場合は、たびたびの給油によって、余計に灰の付着を増すことがあった。
【0016】
また、ピン-ブッシュ間の隙間を空ける、あるいはローラーとリングプレートの間の隙間を設ける対策を取っても、灰の固着を防止することはできない。
【0017】
さらに、コンベヤチェーンの材質を一部ステンレル鋼とすることは、ピン―ブッシュローラーを錆の発生から守る効果はあるが、コンベヤチェーンの付着の問題は残る。
【0018】
さらに、コンベヤチェーンの寸法に余裕を持たせるガタにし、更にコンベヤチェーンの一部をステンレス鋼とすることは、有効であるが、根本的に屈曲不良を未然に防止することができない。
【0019】
このため、現状では、屈曲不良を起こしている箇所を1ヶ月に数回程度ハンマーで、チェーンやローラーの不回転部を叩いて固着を解消することとしている。
【0020】
この作業は、屈曲不良の固着を解消する点においては有効であるが、コンベヤを稼働しながらの作業となり危険がともなっていた。
【0021】
コンベヤチェーンが正常の状態であっても、チェーンの張力を測定するのが難しかったことに加えて、チェーンが屈曲不良を起こしている場合は、なおさら正確な張力を測定することができなかった。
【0022】
このため、屈曲不良が発生するのを未然に防止することが非常に有効である。そこで、本発明では、コンベヤチェーンに振動を加えることで、ピンとローラーの間などに入り込んだ灰を取り除き、また、エアーノズルからコンベヤチェーンにエアーを噴射させることにより、ピンとローラーの間などに入り込んだ灰等を取り除き、コンベヤチェーンの固着や屈曲不良が発生することを防止するスクレーパコンベヤを提供することを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0023】
【特許文献1】特開2021-141052 チェーン掃除機構 この文献には、回転ブラシによってチェーンを掃除する機構が開示されているが、回転ブラシによる掃除では、チェーンのピン及びローラーの僅かな隙間に入った灰等を取り除くことが困難であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
コンベヤによる搬送の場合の搬送物の量、搬送状態、コンベヤの駆動状態等を見ることができるようにし、コンベヤの運転を把握できるようにするため、チェーン張力を測ることにより、コンベヤ内での運転の見える化を図り、チェーンの摩耗、レールの変形等も予測でき、部品の取替え時期の計画等もできるようにする。
【0025】
このため、コンベヤチェーンが円滑に駆動するために、コンベヤチェーンを構成するピン及びローラー等の隙間に入り込んだ灰等を、振動により取り除くことができるようにする。
【0026】
また、コンベヤチェーンを構成するピン及びローラー等の僅かな隙間に入り込んだ灰等を、エアーノズルからエアーを噴射させることにより取り除くことができるようにする。
【0027】
また、左右のコンベヤチェーンに掛かる張力の変化を把握することで、コンベヤチェーンのたるみを把握し、コンベヤチェーンの張力を適切にするため、従動軸のテークアップ作業でチェーンへ適切な張りを調整することを容易にできるようにする。
【0028】
さらに、コンベヤチェーンの摩耗をより少なくし、コンベヤチェーンの寿命を長くし、省エネルギー化を図り、ガイドレール、スプロケット等の摩耗をも少なくすることができ、ランニングコストを下げ、脱炭素に寄与することができるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
第1発明として、 底板を有するケーシングと、前記ケーシング内に設けた駆動軸と、前記駆動軸の回転を受け従動して回転する従動軸と、前記駆動軸から前記従動軸に連接される回転を伝達する左右のコンベヤチェーンと、前記左右のコンベヤチェーンを誘導する左右のガイドレールと、前記左右のコンベヤチェーンに取り付けられ、搬送物を前記底板に沿って搬送するスクレーパと、からなるスクレーパコンベヤにおいて、前記左右のガイドレールに取り付け、前記ガイドレールを介して前記左右のコンベヤチェーンを振動させる振動装置を設けた振動装置付きスクレーパコンベヤとした。
【0030】
第2発明として、底板を有するケーシングと、前記ケーシング内に設けた駆動軸と、前記駆動軸の回転を受け従動して回転する従動軸と、前記駆動軸から前記従動軸に連接される回転を伝達する左右のコンベヤチェーンと、前記左右のコンベヤチェーンを誘導する左右のガイドレールと、前記左右のコンベヤチェーンに取り付けられ、搬送物を前記底板に沿って搬送するスクレーパと、からなるスクレーパコンベヤにおいて、前記左右のガイドレールに取り付け、前記ガイドレールを介して前記左右のコンベヤチェーンを振動させる振動装置を設けると共に、前記左右のコンベヤチェーンにエアーを噴射させるエアーノズルを設けた振動装置付きスクレーパコンベヤとした。
【0031】
第3発明として、底板を有するケーシングと、前記ケーシング内に設けた駆動軸と、前記駆動軸の回転を受け従動して回転する従動軸と、前記駆動軸から前記従動軸に連接される回転を伝達する左右のコンベヤチェーンと、前記左右のコンベヤチェーンを誘導する左右のガイドレールと、前記左右のコンベヤチェーンに取り付けられ、搬送物を前記底板に沿って搬送するスクレーパと、からなるスクレーパコンベヤにおいて、前記駆動軸と前記従動軸の間に左右のスプロケットを設け、前記左右のコンベヤチェーンを前記左右のスプロケットの上を通るようにし、前記左右のスプロケットに取り付け、前記左右のスプロケットを介して前記左右のコンベヤチェーンを振動させる振動装置を設けた振動装置付きスクレーパコンベヤとした。
【0032】
第4発明として、底板を有するケーシングと、前記ケーシング内に設けた駆動軸と、前記駆動軸の回転を受け従動して回転する従動軸と、前記駆動軸から前記従動軸に連接される回転を伝達する左右のコンベヤチェーンと、前記左右のコンベヤチェーンを誘導する左右のガイドレールと、前記左右のコンベヤチェーンに取り付けられ、搬送物を前記底板に沿って搬送するスクレーパと、からなるスクレーパコンベヤにおいて、前記駆動軸と前記従動軸の間に左右のスプロケットを設け、前記左右のコンベヤチェーンを前記左右のスプロケットの上を通るようにし、前記スプロケットに取り付け、前記左右のスプロケットを介して前記左右のコンベヤチェーンを振動させる振動装置を設けると共に、前記左右のコンベヤチェーンにエアーを噴射させるエアーノズルを設けた振動装置付きスクレーパコンベヤとした。
【0033】
第5発明として、前記振動装置は、前記左右のコンベヤチェーンをそれぞれ振動させるにより、前記左右のコンベヤチェーンに灰が固着するのを未然に防ぐことができるようにした振動装置付きスクレーパコンベヤとした。
【0034】
第6発明として、前記エアーノズルは、前記左右のコンベヤチェーンにエアーを噴射させることによりコンベヤチェーンに灰が固着するのを未然に防ぐことができるようにした振動装置付きスクレーパコンベヤとした。
【0035】
第7発明として、前記振動装置は、振動の振れ幅、振動の回数、振動の時間を調整することができる振動装置付きスクレーパコンベヤとした。
【0036】
第8発明として、前記エアーノズルは、前記左右のコンベヤチェーンに噴射させるエアーの量、噴射させる間隔、噴射させる時間を調整することができる振動装置付きスクレーパコンベヤとした。
【発明の効果】
【0037】
本発明により、コンベヤチェーンの隙間に灰等が入り込んでも、振動装置によりコンベヤチェーンに振動を与えることにより、灰等を振るい落すことができる。
【0038】
また、エアーノズルからのエアーをコンベヤチェーンに噴射させることにより、灰等を吹き落とすことができる。
【0039】
このため、コンベヤチェーンを円滑に駆動させることができることから、コンベヤチェーンの張力の測定値データに基づき、搬送物の有無、量等を推定できることで、「運転の見える化」を実現することができる。
【0040】
また、張力の測定値データの基づき、スクレーパコンベヤの動きを間欠運転や速度を遅くした運転が自動で制御でき、省エネルギー化を図れる。
【0041】
さらに、コンベヤチェーン、ガイドレール、スプロケットの摩耗を少なくすることができ、スプロケットの摩耗を少なくすることで、部品の取替え回数が減り、部品の長寿命により、製作する部品の数を減らすことでき、脱炭素が図れる。
【0042】
また、本発明により、コンベヤチェーンを円滑に駆動させることができることから、スクレーパコンベヤのチェーンに掛かる張力を測定し、その張力を記録し、張力の数値に基づき、張力のデータを解析することで、スクレーパコンベヤのスクレーパと底板との噛み込みを把握でき、正常な運転ができるよう運転支援が図れて働き方改革にも貢献できるようになる。
【0043】
さらに、本発明により、コンベヤチェーンを円滑に駆動させることができることから、スクレーパコンベヤのチェーンに掛かる張力を測定し、その張力を記録し、張力の数値に基づき、張力のデータを解析し、チェーンの取換時期、チェーンの状態を把握することができるようになる。また、張力の測定に基づき、チェーンの延びを算出し、コンベヤチェーンをテークアップする調整することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】本発明のスクレーパコンベヤの側面全体説明図
【
図2】本発明のガイドレールに振動装置を付けた場合の側面拡大説明図
【
図3】本発明のガイドレールに振動装置を付けた場合の正面拡大説明図
【
図4】本発明のガイドレールに振動装置を上部に付けた場合の正面拡大説明図
【
図5】本発明のスクレーパコンベヤの側面全体説明図
【
図6】本発明のスプロケットに振動装置を付けた場合の側面拡大説明図
【
図7】本発明のスプロケットに振動装置を付けた場合の正面拡大説明図
【
図8】本発明のスプロケットに振動装置を上部に付けた場合の正面拡大説明図
【
図9】コンベヤチェーンのローラー部分の構成を示す説明図
【
図10】コンベヤチェーンのローラー部分に灰等が詰まる状態の説明図
【
図11】コンベヤチェーンのローラー部分に灰等が詰まる状態の説明図
【
図12】コンベヤチェーンのローラー部分に灰等が詰まりローラーが回転しなくなった場合におけるローラーの摩耗状態を説明する図
【
図13】コンベヤチェーンのローラー部分に灰等が詰まる状態の説明図
【
図14】コンベヤチェーンの屈曲不良の状態を示す側面説明図
【
図15】屈曲不良のコンベヤチェーンがガイドレールに接触する状態を示す側面説明図
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
図1は、本発明のスクレーパコンベヤの側面説明図である。本発明はスクレーパコンベヤの他に、フライトコンベヤ、エプロンコンベヤ、バケットエレベーター、スラットコンベヤ等の左右の2条のコンベヤチェーンによって駆動するコンベヤにも対応することができるようになっている。また、
図1に示したスクレーパコンベヤは、上部リターン式のものであるが、その他のスクレーパコンベヤにも対応することができるようになっている。
【0046】
図1において、1は、ケーシングであり、搬送物の搬送路である。2は駆動軸であり、ケーシング1内に設けている。3は、従動軸であり、駆動軸1からの駆動にしたがってコンベヤチェーンを介して回転する軸である。この従動軸3は、駆動軸2からの駆動を受けて従動して回転する。4は、ヘッドスプロケットであり、駆動軸2の回転を伝える。5は、モーターであり、ヘッドスプロケット4を駆動させる。6は、テールスプロケットであり、ヘッドスプロット4に対応し、駆動軸2の駆動を従動軸3に伝える役割をする。
【0047】
7はガイドレールであり、8はコンベヤチェーンが通る軌跡を示している。コンベヤチェーンは、ガイドレール7に沿って動かすことができるようになっている。
【0048】
9は、コンベヤチェーン、10はローラーである。コンベヤチェーン9及びローラー10が複数個繋がってチェーンを構成している。
図1には、一部のコンベヤチェーン、ローラーのみを示している。
【0049】
11は、スクレーパであり、コンベヤチェーン9に取り付けられており、搬送物を搬送するものである。このスクレーパ11は一定間隔で複数個設けられている。コンベヤチェーン9は、スクレーパ11を動かす駆動軸2の回転を従動軸3に伝える役割をする。
【0050】
12は焼却灰の投入口である。13は焼却灰の投入口12から投入された焼却灰を示している。焼却灰13は、スクレーパ11によって搬送され、排出口14まで運ばれる。焼却灰には、水分を含んでいる灰も含まれている。
【0051】
15は振動装置を取り付けるガイドレールである。このガイドレール15は、振動装置の振動を的確にコンベヤチェーンに伝える必要があることから、上部リターン側のコンベヤチェーンを支える役割を持つ全体から分離して、一部のコンベヤチェーンが乗る程度の大きさとすることも有効である。
【0052】
図1に示したスクレーパコンベヤは、上部リターン式と言われるコンベヤであり、図示しているように、矢印A方向に上部を通るスクレーパ11を移動させて、下部を通る時に焼却灰の投入口12から投入された焼却灰をスクレーパ11で搬送して排出口14まで移動させるようになっている。
【0053】
上部リターン式のスクレーパコンベヤの場合、矢印A方向の上部を移動しているスクレーパ11は搬送物を運んでおらず、矢印B方向の下部を移動しているスクレーパ11は搬送物を運んでいる。
【0054】
図2は、本発明のガイドレールに振動装置を付けた場合の側面拡大説明図である。
図3は、本発明のガイドレールに振動装置を付けた場合の正面拡大説明図である。
【0055】
図2及び
図3において、15は、振動装置を取り付けるガイドレールである。16は、フレームであり、ガイドレール15を取り付ける土台となるものである。17は、ゴム等の振動吸収部材であり、振動装置18による振動が本体のフレーム1に伝わらないようにする。振動装置18は、ガイドレール15に取り付けられており、振動装置18による振動をガイドレール15に伝達することが出来るようになっている。
【0056】
ガイドレール15に接しているコンベヤチェーン9及びローラー10に振動が伝わるようになっている。ガイドレール15の大きさは、振動装置の振動を伝えることができるように、単体のコンベヤチェーンの2個から3個分くらいの長さとすることが適切である。
【0057】
図4は、本発明のガイドレールに振動装置を上部に付けた場合の正面拡大説明図である。
【0058】
図4においては、フレーム16をスクレーパ11の上に振動装置18を配置するようにしている。振動装置18を上に配置することで、スクレーパに付着している焼却灰等が振動装置18に降りかかることを防止することができる。
【0059】
19は、エアー配管、20はエアーノズルである。
【0060】
エアーノズル20からのエアーをコンベヤチェーン9に噴射させることにより、隙間に入った灰等を吹き飛ばすことができるようになっている。特に、コンベヤチェーンの両側にエアーを直線的にまたピンポイント的に噴射することがより効果的である。
【0061】
エアーは、連続的に噴射することも、また、メカニカルバルブを使って間欠的に噴射することも可能である。間欠的に噴射することで、無駄を省ける。
【0062】
また、噴射させるエアーの量、噴射させる間隔、噴射させる時間等については、コンベヤの稼働状況、焼却灰の量、灰のつまり具合等を勘案して、適宜調整することができるようにする。
【0063】
ここで、
図9から
図15に基づき、コンベヤチェーンに焼却灰等が固着してチェーン本来の自由度がなくなる状況について説明する。
【0064】
図9はコンベヤチェーンのローラー部分の構成を示す説明図である。
【0065】
図9において、9はコンベヤチェーンであり、内リンク27及び外リンク28とからなる。10はローラーである。29はピンであり、外リンク28、内リンク27及びローラー10を反対側にあるTピン31で留める構成になっている。30はブッシュである。
【0066】
図10には、ローラー10とブッシュ30との間に灰が入り込む状態を示している。
図10の斜線で示した部分に灰が入り込むと、ローラー10とブッシュ30との間に入った灰等が、ローラー10の円滑な回転を阻害する。
図11には、ローラー10と内リンク27との間に灰が入り込む状態を示している。
図11の斜線で示した部分に灰が入り込むと、ローラー10と内リンク27との間に入った灰等が、ローラー10の円滑な回転を阻害する。
【0067】
図12は、コンベヤチェーンのローラー部分に灰等が詰まりローラーが回転しなくなった場合におけるローラーの摩耗状態を説明する図である。
図10及び
図11の図面に示した通り、隙間に灰が入り込むと、ローラー10の回転が悪くなり、
図12に示すように、ローラー10が摩耗してしまう場合がある。また、ローラー10の摩耗に伴って、ガイドレール15の摩耗も生じて、コンベヤチェーン9の寿命が短くなり、ガイドレール15の寿命も短くなってしまうことになる。
【0068】
さらに、
図13には、内リンク27と外リンク28との間に灰が入り込む状態を示している。図中の斜線で示した部分に灰が入り込む場合があり、この場合、内リンク27と外リンク28との円滑な摺動ができなくなる。この場合、内リング27と外リンク28の間で灰が固着すると、リンクの屈曲がしにくくなる。
【0069】
図14は、コンベヤチェーンの屈曲不良の状態を示す側面説明図である。
図14に示すような屈曲不良の状態で固まってしまうことがあった。灰が固着する場合とは、水分を含んでいる灰が内リング27と外リング28との間に入り込み、その後、乾燥して水分がなくなった時に、内リング27と外リング28との摺動が円滑に行えなくなるのが原因である。このため、
図15に示すような、屈曲不良のチェーンでは、ガイドレール15に接触することもあり、ガイドレール15が歪む場合、コンベヤチェーンが切断してしまう場合等があった。
【0070】
本発明は、このような灰等が固着して、ローラーの回転が悪くなったり、コンベヤチェーンが屈曲不良になるのを防止する振動装置付きスクレーパコンベヤである。
【0071】
次に、スプロケットに振動装置を取り付ける場合を説明する。
【0072】
図5は、本発明のスクレーパコンベヤの側面全体説明図であり、
図6は、本発明のスプロケットに振動装置を付けた場合の側面拡大説明図であり、
図7は、本発明のスプロケットに振動装置を付けた場合の正面拡大説明図であり、
図8は、本発明のスプロケットに振動装置を上部に付けた場合の正面拡大説明図であり、これらの図に基づきスプロケットに振動装置を取り付ける場合を説明する。
【0073】
21は、スプロケットである。
図6から
図8に示したスプロケット21は、厚みのある円盤状としているが、この形状に限るものではなく、コンベヤチェーンのローラー10の間隔に合わせたギヤ状とすることもできる。ギヤ状とすることで、ローラー10がスプロケット21からずれることがなく、また、振動装置26の振動をより効率的に伝えることができるようにもなる。
【0074】
図6は、本発明のスプロケットに振動装置を付けた場合の側面拡大説明図である。
図7は、本発明のスプロケットに振動装置を付けた場合の正面拡大説明図である。
【0075】
図6及び
図7において、22は本体である。23は、ゴム等の振動吸収部材である。24はフレーム、25は軸、26は振動装置である。振動吸収部材23は、振動装置26による振動が本体22に伝わらないようにする。振動装置26は、フレーム24に取り付けられており、振動装置26による振動をスプロケット21に伝達することが出来るようになっている。左右のスプロケット21は、軸25で連結されている。
【0076】
スプロケット21にローラー10が接するときに振動装置26からの振動が伝わり、ローラー10とコンベヤチェーン9との間に入り込んだ灰等が振るい落されることになる。
【0077】
図8は、本発明のスプロケット21に振動装置26を上部に付けた場合の正面拡大説明図である。
【0078】
図8においては、フレーム24をスクレーパ11の上に振動装置26を配置するようにしている。振動装置26を上に配置することで、スクレーパ11に付着している焼却灰等が振動装置26に降りかかることを防止することができる。
【0079】
19は、エアー配管、20はエアーノズルである。
【0080】
エアーノズル20からのエアーをコンベヤチェーン9に噴射することにより、隙間に入った灰等を吹き飛ばすことができるようになっている。
【0081】
特に、コンベヤチェーンの両側にエアーを直線的にまたピンポイント的に噴射することがより効果的である。
【0082】
エアーは、連続的に噴射することも、また、メカニカルバルブを使って間欠的に噴射することも可能である。間欠的に噴射することで、無駄を省ける。
【0083】
エアーは、連続的に噴射することも、また、メカニカルバルブを使って間欠的に噴射することも可能である。間欠的に噴射することで、無駄を省ける。
【0084】
また、噴射させるエアーの量、噴射させる間隔、噴射させる時間等については、コンベヤの稼働状況、焼却灰の量、灰のつまり具合等を勘案して、適宜調整することができるようにする。
【0085】
また、振動装置からの振動により、左右のコンベヤチェーンに灰が固着するのを未然に防ぐことができる。
【0086】
また、エアーノズルから左右のコンベヤチェーンにエアーを噴射させることによりコンベヤチェーンに灰が固着するのを未然に防ぐことができる。
【0087】
また、振動装置は、振動の振れ幅、振動の回数、振動の時間を調整することができるようにする。
【0088】
さらに、左右のコンベヤチェーンに噴射させるエアーの量、噴射させる間隔、噴射させる時間を調整することができるエアーノズルとする。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、コンベヤチェーンの隙間に入り込んでいる灰等を振るい落すことにより、コンベヤチェーンの屈曲不良を起こすことなく、コンベヤチェーンの摩耗を減らすことができる振動装置付きコンベヤチェーンを提供する。また、コンベヤチェーンが円滑に駆動することにより、コンベヤチェーンに掛かる張力を測定することで、どのような状態で運転、運搬されているかが判る「運転の見える化」、「故障の予知」、「運転の支援」、「省力化」、「脱炭素」に対応できるものである。
【0090】
さらに、コンベヤチェーンのテークアップ作業に活用することができ、コンベヤチェーンの張力を適切に調整できる振動装置付きコンベヤチェーンを提供するものである。
【符号の説明】
【0091】
1 ケーシング
2 駆動軸
3 従動軸
4 ヘッドスプロケット
5 モーター
6 テールスプロケット
7 ガイドレール
8 コンベヤチェーンが通る軌跡
9 コンベヤチェーン
10 ローラー
11 スクレーパ
12 焼却灰の投入口
13 焼却灰
14 排出口
15 ガイドレール
16 フレーム
17 振動吸収部材
18 振動装置
19 エアー配管
20 エアーノズル
21 スプロケット
22 本体
23 振動吸収部材
24 フレーム
25 軸
26 振動装置
27 内リンク
28 外リンク
29 ピン
30 ブッシュ
31 Tピン