(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177471
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】屋根面換気ユニット及び屋根面換気ユニットに用いる下部換気部材
(51)【国際特許分類】
E04D 13/16 20060101AFI20231207BHJP
E04D 3/40 20060101ALI20231207BHJP
E04D 1/30 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
E04D13/16 A
E04D3/40 X
E04D1/30 603B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090161
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】595133736
【氏名又は名称】株式会社トーコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】小栗 和彦
(72)【発明者】
【氏名】飯田 祥希
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108AA02
2E108AZ01
2E108BN01
2E108CC15
2E108DD05
2E108DD14
2E108GG18
(57)【要約】
【課題】間違った施工方法によってシーリング材が用いられても防水性能を低下させることがなく、化粧スレートの間から大量の雨水が浸入してもオーバーフローして野地開口部に雨水が浸入することがない屋根面換気ユニット及び屋根面換気ユニットに用いる下部換気部材を提供すること。
【解決手段】下部換気部材2が、下部換気水上部材60と、下部換気水下部材70とを有し、下部換気水上部材60が、下部換気水上部材取付板61と、下部換気水上部材立ち上げ板62と、下部換気水上部材上面板63とを有し、下部換気水下部材70が、下部換気水下部材取付板71a、71bと、下部換気水下部材立ち上げ板72a、72bとを有し、下部換気水上部材上面板63の軒側端部63aを、下部換気水下部材立ち上げ板72aよりも軒側に位置させる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部換気部材と下部換気部材とを備え、
前記上部換気部材は、
建造物の屋根面に配置されて前記建造物の野地板に設けた野地開口部を覆う天面部材と、
前記天面部材の下面に取り付ける止水箱と
を有し、
前記天面部材が、
前記止水箱及び前記野地開口部を覆う上面板材と、
前記上面板材の前端から下方へ延出させた前面板材と、
前記上面板材の後端から後方へ延出させた後面板材と、
前記上面板材の両側端下方を覆う側面板材と
を有し、
前記天面部材には天面部材開口部を形成し、
前記止水箱を、少なくとも前記天面部材開口部に対向させて配置し、
下部換気部材を、前記野地開口部の周囲に配置し、
前記天面部材開口部と前記野地開口部との間に換気路を形成する
屋根面換気ユニットであって、
前記下部換気部材が、
前記野地開口部の棟側に配置する下部換気水上部材と、
前記野地開口部の両側及び軒側に配置する下部換気水下部材と
を有し、
前記下部換気水上部材が、
前記野地板の上面に配置される下部換気水上部材取付板と、
前記下部換気水上部材取付板の端部から立ち上げた下部換気水上部材立ち上げ板と、
前記下部換気水上部材立ち上げ板の上端から軒側に延出させた下部換気水上部材上面板と
を有し、
前記下部換気水下部材が、
前記野地板の前記上面に配置される下部換気水下部材取付板と、
前記下部換気水下部材取付板の端部から立ち上げた下部換気水下部材立ち上げ板と
を有し、
前記下部換気水上部材上面板の軒側端部を、前記下部換気水下部材立ち上げ板よりも軒側に位置させる
ことを特徴とする屋根面換気ユニット。
【請求項2】
前記下部換気水下部材が、前記下部換気水下部材立ち上げ板の上端から軒側に延出させた下部換気水下部材上面板を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の屋根面換気ユニット。
【請求項3】
前記下部換気水上部材が、
前記下部換気水上部材上面板の両側から垂下させた下部換気水上部材側面板と、
前記下部換気水上部材側面板の下端から延出させて前記野地板の前記上面に配置される下部換気水上部材側面取付板と
を有する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の屋根面換気ユニット。
【請求項4】
建造物の屋根面に配置されて前記建造物の野地板に設けた野地開口部を覆う天面部材と、
前記天面部材の下面に取り付ける止水箱とを有する上部換気部材によって構成される屋根面換気ユニットに用いる下部換気部材であって、
前記下部換気部材が、
前記野地開口部の棟側に配置する下部換気水上部材と、
前記野地開口部の両側及び軒側に配置する下部換気水下部材と
を有し、
前記下部換気水上部材が、
前記野地板の上面に配置される下部換気水上部材取付板と、
前記下部換気水上部材取付板の端部から立ち上げた下部換気水上部材立ち上げ板と、
前記下部換気水上部材立ち上げ板の上端から軒側に延出させた下部換気水上部材上面板と
を有し、
前記下部換気水下部材が、
前記野地板の前記上面に配置される下部換気水下部材取付板と、
前記下部換気水下部材取付板の端部から立ち上げた下部換気水下部材立ち上げ板と
を有し、
前記下部換気水上部材上面板の軒側端部を、前記下部換気水下部材立ち上げ板よりも軒側に位置させる
ことを特徴とする屋根面換気ユニットに用いる下部換気部材。
【請求項5】
前記下部換気水下部材が、前記下部換気水下部材立ち上げ板の上端から軒側に延出させた下部換気水下部材上面板を有する
ことを特徴とする請求項4に記載の屋根面換気ユニットに用いる下部換気部材。
【請求項6】
前記下部換気水上部材が、
前記下部換気水上部材上面板の両側から垂下させた下部換気水上部材側面板と、
前記下部換気水上部材側面板の下端から延出させて前記野地板の前記上面に配置される下部換気水上部材側面取付板と
を有する
ことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の屋根面換気ユニットに用いる下部換気部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物の屋根面に配置される屋根面換気ユニット及び屋根面換気ユニットに用いる下部換気部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、屋根の野地板に設けた開口部のまわりに換気路本体等を設置し、換気路本体の外周部を取り囲む捨水切板部材と、換気路本体の上部を覆う上部カバーとを、板金性の一体物とすることで、部品点数の少数化が図られ、施工が容易になり、且つ低コスト化が可能になる換気ユニットを提案している。
しかし、特許文献1による上部カバーは、捨水切板部材の軒側端部から屈曲して軒側に向けて野地板から徐々に離間するように傾斜した傾斜部分と、この傾斜部分の軒側端部から屈曲して野地板と平行に軒側に延設された平坦部分とからなり、傾斜部分に捨水切枠部材を配置している。
従って、特許文献1では、捨水切枠部材の上部空間が傾斜部分によって狭くなっているため換気性能を低下させてしまう。
そこで特許文献2は、捨水切板部材と上部カバーとを板金性の一体物とすることなく止水性を高めるとともに野地開口部の上方空間を確保できる屋根面換気ユニットを提案している。
特許文献2の屋根面換気ユニットによれば、化粧スレートの前端を第1後面板材に当接させることで、化粧スレートの前端と第2後面板材との間に空間を形成するため、化粧スレート前端から侵入する雨水は、化粧スレートの下面に沿って上昇することなく、第1後面板材の下端に落下し、第2後面板材に沿って側方へ流れるため止水性に優れ、また野地開口部の上方空間を確保できるため換気性能が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-257228号公報
【特許文献2】特開2019-73950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2の屋根面換気ユニットでは、捨水切立ち上げ板にシーリング材を用いる必要が無いにもかかわらず、シーリング材が用いられることがある。
野地開口部の棟側に配置される捨水切立ち上げ板の両側にシーリング材が用いられると、シーリング材の間に雨水が溜まり、溜まった雨水が捨水切立ち上げ板を乗り越え、野地開口部から雨水が浸入してしまうことがある。
【0005】
そこで本発明は、間違った施工方法によってシーリング材が用いられても防水性能を低下させることがなく、化粧スレートの間から大量の雨水が浸入してもオーバーフローして野地開口部に雨水が浸入することがない屋根面換気ユニット及び屋根面換気ユニットに用いる下部換気部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明の屋根面換気ユニットは、上部換気部材1と下部換気部材2とを備え、前記上部換気部材1は、建造物の屋根面に配置されて前記建造物の野地板40に設けた野地開口部41を覆う天面部材10と、前記天面部材10の下面に取り付ける止水箱20とを有し、前記天面部材10が、前記止水箱20及び前記野地開口部41を覆う上面板材12と、前記上面板材12の前端から下方へ延出させた前面板材13と、前記上面板材12の後端から後方へ延出させた後面板材14と、前記上面板材12の両側端下方を覆う側面板材15とを有し、前記天面部材10には天面部材開口部11を形成し、前記止水箱20を、少なくとも前記天面部材開口部11に対向させて配置し、下部換気部材2を、前記野地開口部41の周囲に配置し、前記天面部材開口部11と前記野地開口部41との間に換気路を形成する屋根面換気ユニットであって、前記下部換気部材2が、前記野地開口部41の棟側に配置する下部換気水上部材60と、前記野地開口部41の両側及び軒側に配置する下部換気水下部材70とを有し、前記下部換気水上部材60が、前記野地板40の上面に配置される下部換気水上部材取付板61と、前記下部換気水上部材取付板61の端部から立ち上げた下部換気水上部材立ち上げ板62と、前記下部換気水上部材立ち上げ板62の上端から軒側に延出させた下部換気水上部材上面板63とを有し、前記下部換気水下部材70が、前記野地板40の前記上面に配置される下部換気水下部材取付板71a、71bと、前記下部換気水下部材取付板71a、71bの端部から立ち上げた下部換気水下部材立ち上げ板72a、72bとを有し、前記下部換気水上部材上面板63の軒側端部63aを、前記下部換気水下部材立ち上げ板72aよりも軒側に位置させることを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の屋根面換気ユニットにおいて、前記下部換気水下部材70が、前記下部換気水下部材立ち上げ板72aの上端から軒側に延出させた下部換気水下部材上面板73aを有することを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1又は請求項2に記載の屋根面換気ユニットにおいて、前記下部換気水上部材60が、前記下部換気水上部材上面板63の両側から垂下させた下部換気水上部材側面板64と、前記下部換気水上部材側面板64の下端から延出させて前記野地板40の前記上面に配置される下部換気水上部材側面取付板65と有することを特徴とする。
請求項4記載の本発明の屋根面換気ユニットに用いる下部換気部材2は、建造物の屋根面に配置されて前記建造物の野地板40に設けた野地開口部41を覆う天面部材10と、前記天面部材10の下面に取り付ける止水箱20とを有する上部換気部材1によって構成される屋根面換気ユニットに用いる下部換気部材2であって、前記下部換気部材2が、前記野地開口部41の棟側に配置する下部換気水上部材60と、前記野地開口部41の両側及び軒側に配置する下部換気水下部材70とを有し、前記下部換気水上部材60が、前記野地板40の上面に配置される下部換気水上部材取付板61と、前記下部換気水上部材取付板61の端部から立ち上げた下部換気水上部材立ち上げ板62と、前記下部換気水上部材立ち上げ板62の上端から軒側に延出させた下部換気水上部材上面板63とを有し、前記下部換気水下部材70が、前記野地板40の前記上面に配置される下部換気水下部材取付板71a、71bと、前記下部換気水下部材取付板71a、71bの端部から立ち上げた下部換気水下部材立ち上げ板72a、72bとを有し、前記下部換気水上部材上面板63の軒側端部63aを、前記下部換気水下部材立ち上げ板72a、72bよりも軒側に位置させることを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項4に記載の屋根面換気ユニットに用いる下部換気部材2において、前記下部換気水下部材70が、前記下部換気水下部材立ち上げ板72bの上端から軒側に延出させた下部換気水下部材上面板73bを有することを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項4又は請求項5に記載の屋根面換気ユニットに用いる下部換気部材2において、前記下部換気水上部材60が、前記下部換気水上部材上面板63の両側から垂下させた下部換気水上部材側面板64と、前記下部換気水上部材側面板64の下端から延出させて前記野地板40の前記上面に配置される下部換気水上部材側面取付板65とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、間違った施工方法によってシーリング材が用いられても防水性能を低下させることがなく、化粧スレートの間から大量の雨水が浸入してもオーバーフローして野地開口部に雨水が浸入することがない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施例による屋根面換気ユニットの上部換気部材の斜視図
【
図2】
図1(a)のA-A線断面図及び同屋根面換気ユニットの側面図
【
図3】同屋根面換気ユニットの下部換気部材の斜視図
【
図4】同屋根面換気ユニットの設置状態を示す断面図
【
図6】本発明の他の実施例による下部換気水上部材を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態による屋根面換気ユニットは、上部換気部材と下部換気部材とを備え、下部換気部材が、野地開口部の棟側に配置する下部換気水上部材と、野地開口部の両側及び軒側に配置する下部換気水下部材とを有し、下部換気水上部材が、野地板の上面に配置される下部換気水上部材取付板と、下部換気水上部材取付板の端部から立ち上げた下部換気水上部材立ち上げ板と、下部換気水上部材立ち上げ板の上端から軒側に延出させた下部換気水上部材上面板とを有し、下部換気水下部材が、野地板の上面に配置される下部換気水下部材取付板と、下部換気水下部材取付板の端部から立ち上げた下部換気水下部材立ち上げ板とを有し、下部換気水上部材上面板の軒側端部を、下部換気水下部材立ち上げ板よりも軒側に位置させるものである。本実施の形態によれば、間違った施工方法によってシーリング材が用いられても防水性能を低下させることがなく、化粧スレートの間から大量の雨水が浸入してもオーバーフローして野地開口部に雨水が浸入することがない。
【0010】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による屋根面換気ユニットであって、下部換気水下部材が、下部換気水下部材立ち上げ板の上端から軒側に延出させた下部換気水下部材上面板を有するものである。本実施の形態によれば、下部換気水下部材上面板を有することで、更に防水性能が向上する。
【0011】
本発明の第3の実施の形態は、第1又は第2の実施の形態による屋根面換気ユニットであって、下部換気水上部材が、下部換気水上部材上面板の両側から垂下させた下部換気水上部材側面板と、下部換気水上部材側面板の下端から延出させて野地板の上面に配置される下部換気水上部材側面取付板とを有するものである。本実施の形態によれば、下部換気水上部材が下部換気水上部材側面板を有することで野地開口部への雨水の侵入を更に確実に防止できる。
【0012】
本発明の第4の実施の形態による屋根面換気ユニットに用いる下部換気部材は、野地開口部の棟側に配置する下部換気水上部材と、野地開口部の両側及び軒側に配置する下部換気水下部材とを有し、下部換気水上部材が、野地板の上面に配置される下部換気水上部材取付板と、下部換気水上部材取付板の端部から立ち上げた下部換気水上部材立ち上げ板と、下部換気水上部材立ち上げ板の上端から軒側に延出させた下部換気水上部材上面板とを有し、下部換気水下部材が、野地板の上面に配置される下部換気水下部材取付板と、下部換気水下部材取付板の端部から立ち上げた下部換気水下部材立ち上げ板とを有し、下部換気水上部材上面板の軒側端部を、下部換気水下部材立ち上げ板よりも軒側に位置させるものである。本実施の形態によれば、間違った施工方法によってシーリング材が用いられても防水性能を低下させることがなく、化粧スレートの間から大量の雨水が浸入してもオーバーフローして野地開口部に雨水が浸入することがない。
【0013】
本発明の第5の実施の形態は、第4の実施の形態による屋根面換気ユニットであって、下部換気水下部材が、下部換気水下部材立ち上げ板の上端から軒側に延出させた下部換気水下部材上面板を有するものである。本実施の形態によれば、下部換気水下部材上面板を有することで、更に防水性能が向上する。
【0014】
本発明の第6の実施の形態は、第4又は第5の実施の形態による屋根面換気ユニットに用いる下部換気部材であって、下部換気水上部材が、下部換気水上部材上面板の両側から垂下させた下部換気水上部材側面板と、下部換気水上部材側面板の下端から延出させて野地板の上面に配置される下部換気水上部材側面取付板とを有するものである。本実施の形態によれば、下部換気水上部材が下部換気水上部材側面板を有することで野地開口部への雨水の侵入を更に確実に防止できる。
【実施例0015】
以下本発明の一実施例による屋根面換気ユニットについて説明する。
図1は本実施例による屋根面換気ユニットの上部換気部材の斜視図であり、
図1(a)は同上部換気部材の斜視図、
図1(b)は同上部換気部材から側面板材を取り外した状態の斜視図、
図1(c)は天面板材を連結した状態の斜視図である。
【0016】
本実施例による屋根面換気ユニットは、上部換気部材1と下部換気部材2(
図3参照)とから構成される。
上部換気部材1は、建造物の屋根面に配置される天面部材10と、天面部材10の下面に取り付ける止水箱20とを有している。
天面部材10には、切り起こしにより天面部材開口部11を形成している。天面部材開口部11は、下向きランスによる切り起こしが好ましいが、ブリッジによる切り起こしでもよい。
図1(b)に示すように、止水箱20は、少なくとも天面部材開口部11の下方に配置する。
天面部材10は、止水箱20及び野地開口部41(
図4参照)を覆う上面板材12と、上面板材12の前端から下方へ延出させた前面板材13と、上面板材12の後端から後方へ延出させた後面板材14と、上面板材12の両側端下方を覆う側面板材15とを有している。
上面板材12、前面板材13、及び後面板材14は、一枚の板材を折り曲げて形成されている。
側面板材15は、化粧スレート50(
図4参照)上に当接させる接地面板15aと、接地面板15aから立ち上げられて天面部材10の側面を覆う側面板材本体15bと、側面板材本体15bの上端から延出させて上面板材12の内面に当接させる上面取付板15cと、側面板材本体15bの前端から延出させて前面板材13の内面に当接させる前面取付板15dと、側面板材本体15bの後端から延出させて後面板材14の内面に当接させる後面取付板15eとを有している。
このように、側面板材15を、上面板材12、前面板材13、及び後面板材14とは別部材で構成し、上面板材12、前面板材13、及び後面板材14に対して着脱可能とすることで、
図1(c)に示すように、換気能力に応じて天面部材10を連接することができる。
【0017】
図2(a)は
図1(a)のA-A線断面図、
図2(b)は同屋根面換気ユニットの側面図である。
後面板材14は、上面板材12の後端から垂下させた第1後面板材14aと、第1後面板材14aの下端から後方へ延出させた第2後面板材14bと、第2後面板材14bから更に後方へ延出させた第3後面板材14cと、第2後面板材14bと第3後面板材14cとを繋ぐ後面接続板材14dとを有している。
第1後面板材14aに対する第2後面板材14bの傾斜角をα、第1後面板材14aに対する第3後面板材14cの傾斜角をβとすると、α<βとすることが好ましく、第1後面板材14aが上面板材12に対して垂直である場合には、α<90度、β=90度とする。すなわち、第2後面板材14bは第1後面板材14aに対して鋭角に形成し、第3後面板材14cを第1後面板材14aに対して垂直に形成する。
止水箱20は、天面部材開口部11の下方に配置される止水底面板材21と、止水底面板材21の一端に立設される止水前面板材22と、止水底面板材21の他端に立設される止水後面板材23と、止水前面板材22の端部と止水後面板材23の端部とを連接する止水側面板材24とで構成している。
止水前面板材22には、天面部材開口部11から進入して止水底面板材21に溜まった雨水を流出させる通水孔(図示せず)を形成している。止水後面板材23には、止水箱用開口部23xを形成している。
【0018】
図3は本実施例による屋根面換気ユニットの下部換気部材の斜視図であり、
図3(a)は下部換気水上部材の斜視図、
図3(b)は同下部換気水上部材の端面図、
図3(c)は下部換気水下部材の斜視図、
図3(d)は同下部換気水下部材の端面図である。
下部換気部材2は、野地開口部41(
図4参照)の周囲に配置され、野地開口部41の棟側に配置する下部換気水上部材60と、野地開口部41の両側及び軒側に配置する下部換気水下部材70とからなる。
下部換気水上部材60は、野地板40(
図4参照)の上面に配置される下部換気水上部材取付板61と、下部換気水上部材取付板61の端部から立ち上げた下部換気水上部材立ち上げ板62と、下部換気水上部材立ち上げ板62の上端から軒側に延出させた下部換気水上部材上面板63とを有している。
下部換気水下部材70は、野地板40の上面に配置される下部換気水下部材取付板71a、71bと、下部換気水下部材取付板71a、71bの端部から立ち上げた下部換気水下部材立ち上げ板72a、72bと、下部換気水下部材立ち上げ板72aの上端から軒側に延出させた下部換気水下部材上面板73aと、下部換気水下部材立ち上げ板72bの上端から野地開口部41の側方外側に延出させた下部換気水下部材上面板73bとを有している。
下部換気水下部材取付板71a、下部換気水下部材立ち上げ板72a、及び下部換気水下部材上面板73aは、野地開口部41の軒側に位置し、下部換気水下部材取付板71b、下部換気水下部材立ち上げ板72b、及び下部換気水下部材上面板73bは、野地開口部41の両側に位置する。
【0019】
なお、下部換気水下部材上面板73aは、下部換気水下部材上面板73aの先端部が軒側に位置していれば、下部換気水下部材取付板71aに平行でなくてもよく、下部換気水下部材上面板73aの先端部が下部換気水下部材取付板71aに近接するように傾斜していてもよい。また、下部換気水下部材上面板73aの先端部が下部換気水下部材立ち上げ板72aに接するように、下部換気水下部材上面板73aを、下部換気水下部材立ち上げ板72aに平行になるように折り曲げてもよい。
同様に、下部換気水下部材上面板73bは、下部換気水下部材上面板73bの先端部が野地開口部41の側方外側に位置していれば、下部換気水下部材取付板71bに平行でなくてもよく、下部換気水下部材上面板73bの先端部が下部換気水下部材取付板71bに近接するように傾斜していてもよい。また、下部換気水下部材上面板73bの先端部が下部換気水下部材立ち上げ板72bに接するように、下部換気水下部材上面板73bを、下部換気水下部材立ち上げ板72bに平行になるように折り曲げてもよい。
【0020】
図4は本実施例による屋根面換気ユニットの設置状態を示す断面図である。
建造物は、垂木30の上部に野地板40が斜め下方に傾斜して設けられ、野地板40の上面に化粧スレート50が敷設される。
野地板40に野地開口部41を設け、上部換気部材1は、固定ビス16によって建造物に固定される。
野地開口部41は天面部材10で覆われ、天面部材開口部11と野地開口部41との間には換気路が形成される。
野地開口部41に対して下部換気部材2を設けている。下部換気部材2は、野地開口部41の全周に設けることが好ましく、野地開口部41の棟側に配置する下部換気水上部材60と、野地開口部41の軒側に配置する下部換気水下部材70とを有する。
下部換気水上部材上面板63の軒側端部63aは、下部換気水下部材立ち上げ板72aよりも軒側に、更に好ましくは下部換気水下部材上面板73aの軒側端部63aよりも軒側に位置させる。
下部換気水下部材立ち上げ板72aの上端は、化粧スレート50より高い位置に、更に好ましくは止水底面板材21よりも高い位置に配置する。下部換気水下部材上面板73aは、下部換気水下部材立ち上げ板72aに対して90度以下の角度とする。
【0021】
以下に本実施例による屋根面換気ユニットの施工工程について説明する。
まず、野地板40に野地開口部41を形成する(野地開口工程)。
野地開口工程の後に、下部換気部材2を野地開口部41の周囲に設ける(下部換気部材取付工程)。
下部換気水上部材60は、下部換気水上部材取付板61を野地板40と第1の化粧スレート51との間に配置することで取り付ける(下部換気水上部材取付工程)。
上部換気部材1は、第3後面板材14cを第1の化粧スレート51上に当接させて屋根面に載置する(上部換気部材載置工程)。
上部換気部材載置工程の後に、第3後面板材14c上に第2の化粧スレート52を当接させて第2の化粧スレート52を第1の化粧スレート51上に載置する(第2化粧スレート載置工程)。
第2化粧スレート載置工程の後に、第3の化粧スレート53の前端を第1後面板材14aに当接させ、第3の化粧スレート53の前端と第2後面板材14bとの間に空間を形成して第3の化粧スレート53を第2の化粧スレート52上に載置する(第3化粧スレート載置工程)。
このように、下部換気部材取付工程の後に、上部換気部材載置工程を行い、第2化粧スレート載置工程及び第3化粧スレート載置工程によって第2の化粧スレート52及び第3の化粧スレート53を載置して屋根面換気ユニットの施工が完了する。
【0022】
図5は本実施例の作用効果を示す説明図であり、
図5(a)は従来例を示す要部斜視図、
図5(b)は従来例による屋根面換気ユニットの設置状態を示す断面図、
図5(c)は本実施例による屋根面換気ユニットの設置状態を示す断面図である。
図5(a)に示すように、野地開口部41の棟側に配置される捨水切立ち上げ板101の両側にシーリング材102が用いられると、
図5(a)に破線矢印で示すシーリング材102の間に雨水が溜まり、
図5(b)に示すように、溜まった雨水が捨水切立ち上げ板101を乗り越え、野地開口部41から雨水が浸入してしまうことがある。
これに対して、
図5(c)に示すように、下部換気水上部材上面板63の軒側端部63aを、下部換気水下部材立ち上げ板72aよりも軒側に位置させ、野地開口部41の上部を覆っているため、多量の雨水が化粧スレート50の間を通って下部換気水上部材60に至った場合であっても、野地開口41から雨水が浸入することがない。
また、下部換気水上部材60は、下部換気水上部材立ち上げ板62を野地開口部41の棟側にだけ立ち上げて、野地開口部41の両側には立ち上げ板を形成しないことで、施工時に下部換気水上部材立ち上げ板62の両側にシーリング材102を用いることがない。
【0023】
図6は、本発明の他の実施例による下部換気水上部材を示す斜視図である。
本実施例による下部換気水上部材60は、下部換気水上部材上面板63の両側から垂下させた下部換気水上部材側面板64と、下部換気水上部材側面板64の下端から延出させて野地板40の上面に配置される下部換気水上部材側面取付板65とを更に有している。
図6に示す下部換気水上部材60では、下部換気水上部材立ち上げ板62の両側にシーリング材102を用いる可能性は生じるが、下部換気水上部材上面板63によって野地開口41から雨水が浸入することを防止し、下部換気水上部材60が下部換気水上部材側面板64を有することで野地開口部41への雨水の侵入を更に確実に防止できる。
【0024】
なお本実施例では、天面部材開口部11を上面板材12に形成した場合を示したが、天面部材開口部11を前面板材13に形成してもよく、天面部材開口部11を前面板材13に形成した場合には止水箱20を天面部材開口部11に対向させて配置する。