(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177478
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】画像表示装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 1/00 20060101AFI20231207BHJP
H04N 9/45 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
G06T1/00 340A
H04N9/45 101A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090182
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000214984
【氏名又は名称】TVS REGZA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 隆之
【テーマコード(参考)】
5B057
5C066
【Fターム(参考)】
5B057CA01
5B057CB01
5B057CE17
5B057CE18
5B057DA08
5B057DB06
5B057DC19
5B057DC25
5C066AA03
5C066EB01
5C066EB03
(57)【要約】
【課題】撮影時や編集時等の環境(条件)が分からないようなコンテンツでも美しい肌色を表示する。
【解決手段】入力された映像データを画像処理して表示部へ出力する画像表示装置であって、前記映像データから人物の顔の検出を行う顔検出部と、前記映像データから色情報に係るヒストグラム検出を行うヒストグラム検出部と、前記顔検出部における顔検出結果と、前記ヒストグラム検出部におけるヒストグラム検出結果を用いて、前記映像データの肌色の色情報に係るシフト度合いを検出するシフト検出部と、前記シフト検出部で検出した肌色の色情報に係るシフト度合いを基に、色補正用のパラメータを生成する色補正パラメータ生成部と、前記色補正パラメータ生成部で生成された前記色補正用のパラメータに基づいて、前記映像データの色補正を行う色補正部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された映像データを画像処理して表示部へ出力する画像表示装置であって、
前記映像データから人物の顔の検出を行う顔検出部と、
前記映像データから色情報に係るヒストグラム検出を行うヒストグラム検出部と、
前記顔検出部における顔検出結果と、前記ヒストグラム検出部におけるヒストグラム検出結果を用いて、前記映像データの肌色の色情報に係るシフト度合いを検出するシフト検出部と、
前記シフト検出部で検出した肌色の色情報に係るシフト度合いを基に、色補正用のパラメータを生成する色補正パラメータ生成部と、
前記色補正パラメータ生成部で生成された前記色補正用のパラメータに基づいて、前記映像データの色補正を行う色補正部と、
を備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記ヒストグラム検出部は、前記映像データから色相のヒストグラム検出を行い、
前記シフト検出部は、前記映像データの肌色の色相シフト度合いを検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記シフト検出部は、前記映像データの肌色の色相が赤色または黄色よりにシフトしている度合いを検出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記ヒストグラム検出部は、前記映像データから彩度のヒストグラム検出を行い、
前記シフト検出部は、前記映像データの肌色の彩度シフト度合いを検出する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記ヒストグラム検出部は、前記映像データからのヒストグラム検出において、3次元のYCbCr色空間で彩度の範囲に制限を加える、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記ヒストグラム検出部は、前記映像データからのヒストグラム検出において、3次元のYCbCr色空間で輝度の範囲に制限を加える、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記顔検出部における顔検出結果から、前記映像データのうち人物の顔の確率が高い領域のみを抽出する顔領域抽出部28を備え、
前記ヒストグラム検出部は、前記映像データのうち人物の顔の確率が高い領域からヒストグラムを取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項8】
入力された映像データを画像処理して表示部へ出力する画像表示装置を制御するコンピュータを、
前記映像データから人物の顔の検出を行う顔検出部と、
前記映像データから色情報に係るヒストグラム検出を行うヒストグラム検出部と、
前記顔検出部における顔検出結果と、前記ヒストグラム検出部におけるヒストグラム検出結果を用いて、前記映像データの肌色の色情報に係るシフト度合いを検出するシフト検出部と、
前記シフト検出部で検出した肌色の色情報に係るシフト度合いを基に、色補正用のパラメータを生成する色補正パラメータ生成部と、
前記色補正パラメータ生成部で生成された前記色補正用のパラメータに基づいて、前記映像データの色補正を行う色補正部と、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像表示装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラ等の撮像装置では、AI(Artificial Intelligence:人工知能)技術を利用するなどして人物を撮影した撮影画像から顔を検出し、検出した顔の肌色部分を色補正する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術をテレビ等の画像表示装置に適用しようとした場合、入力映像の撮影時および編集時の環境が不明であり、かつ、コンテンツまたはシーン毎に映像特性も異なるため、コンテンツやシーンに適した色補正を行うことが難しい、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の画像表示装置は、入力された映像データを画像処理して表示部へ出力する画像表示装置であって、前記映像データから人物の顔の検出を行う顔検出部と、前記映像データから色情報に係るヒストグラム検出を行うヒストグラム検出部と、前記顔検出部における顔検出結果と、前記ヒストグラム検出部におけるヒストグラム検出結果を用いて、前記映像データの肌色の色情報に係るシフト度合いを検出するシフト検出部と、を備える。また、実施形態の画像表示装置は、前記シフト検出部で検出した肌色の色情報に係るシフト度合いを基に、色補正用のパラメータを生成する色補正パラメータ生成部と、前記色補正パラメータ生成部で生成された前記色補正用のパラメータに基づいて、前記映像データの色補正を行う色補正部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1の実施形態にかかる画像表示装置の一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、肌画像補正部の機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、顔検出部における顔検出方法の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、ヒストグラム検出部におけるヒストグラム検出方法の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、ヒストグラム検出に制限を加える例を示す図である。
【
図6】
図6は、色補正部における色補正の例を示す図である。
【
図7】
図7は、肌画像補正部が実行する肌画像補正処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、画像表示装置の変形例を示す模式図である。
【
図9】
図9は、第2の実施形態にかかる肌画像補正部の機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図10】
図10は、ヒストグラム検出部におけるヒストグラム検出方法の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、肌画像補正部が実行する肌画像補正処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、画像表示装置およびプログラムを詳細に説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態にかかる画像表示装置1の一例を示す模式図である。
【0009】
画像表示装置1は、画像処理部10と、表示部12と、を備える。画像処理部10で画像処理を行ったデータを表示部12に転送し、ディスプレイに表示を行う。
【0010】
画像処理部10には、図示しないチューナー部、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)(登録商標)端子などから映像データ40が入力される。画像処理部10は、入力された映像データ40を画像処理した映像データ42を、表示部12へ出力する。
【0011】
画像処理部10は、画質調整部20と、肌画像補正部22と、を備える。
【0012】
画質調整部20は、入力される映像データ40に対して、ガンマ、色合い、明るさなどを調整する機能を有する。画質調整部20は、入力された映像データ40を調整した映像データ41を、肌画像補正部22へ出力する。
【0013】
肌画像補正部22は、撮影時や編集時等の環境(条件)が分からない場合でも良好な映像表示を行うために、画質調整部20から入力された映像データ41に対し、リアルタイムに補正対象シーンの判定および色補正を行う。
【0014】
ここで、
図2は肌画像補正部22の機能構成を示す機能ブロック図である。
【0015】
図2に示すように、肌画像補正部22は、顔検出部23、ヒストグラム検出部24、シフト検出部である肌色色相シフト検出部25、色補正パラメータ生成部26、および色補正部27を有する。肌画像補正部22は、概略的には、顔検出部23における顔検出結果とヒストグラム検出部24におけるヒストグラム検出結果を用いて、肌色色相シフト検出部25において画質調整部20から入力された映像データ41(入力映像)の肌色の色相シフト度合いを検出する。肌画像補正部22は、肌色色相シフト検出部25において検出された色相シフト度合いに基づき色補正パラメータ生成部26により色相シフト度合いに応じた補正パラメータを生成して、色補正部27により色補正を行う。
【0016】
なお、顔検出部23、ヒストグラム検出部24、肌色色相シフト検出部25、色補正パラメータ生成部26、および色補正部27は、ハードウェアで実現してもよいし、ソフトウェアで実現してもよく、また、ハードウェアとソフトウェアを両方用いて実現してもよい。
【0017】
表示部12は、ディスプレイ駆動部14と、ディスプレイ部16と、を備える。ディスプレイ部16は、画像を表示するディスプレイである。ディスプレイ部16は、例えば、有機EL(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、などである。
【0018】
ディスプレイ駆動部14は、画像処理部10から入力される映像データ42に応じてディスプレイ部16を駆動するための電圧、電流に変換を行い、ディスプレイ部16を駆動する。
【0019】
次に、肌画像補正部22を構成する各部について詳述する。
【0020】
顔検出部23は、画質調整部20から入力された映像データ41から人物の顔の検出を行う。ここで、
図3は顔検出部23における顔検出方法の一例を示す図である。
図3に示すように、顔検出方法としては、さまざまな顔を検出できるように予め学習したDNN(Deep Neural Network)を用いて、映像データ41を複数のエリアに分割し、それぞれの領域に人物の顔が含まれる確率(0~1)を求める方法などがある。このような方法によれば、人物の顔が含まれる領域の数値は高く、人物の顔が含まれない領域の数値は低くなるため、顔検出部23は、一定の閾値より値が大きい領域を人物の顔あり、閾値より値が小さい領域を人物の顔なしと検出する。顔検出部23は、人物の顔ありの領域が一定面積以上の場合、人物の顔として検出する。
【0021】
ヒストグラム検出部24は、画質調整部20から入力された映像データ41から色相のヒストグラム検出を行う。ここで、
図4はヒストグラム検出部24におけるヒストグラム検出方法の一例を示す図である。
図4(a)は、YCbCr信号におけるCbCrに基づく色相分布を示し、
図4(b)は、YCbCr色空間を示すものである。ヒストグラム検出部24によるヒストグラム検出は、例えば、映像データ41にかかる画像全体、または人物の顔を含む映像データ41にかかる画像の一部の領域における特定の色相に分布する画素数を求めてヒストグラム化するものである。
【0022】
ここで、
図5はヒストグラム検出に制限を加える例を示す図である。
図5に示すように、ヒストグラム検出部24は、ヒストグラム検出において、3次元のYCbCr色空間で彩度の範囲に制限を加えたり(
図5(a))、3次元のYCbCr色空間で輝度の範囲に制限を加えたり(
図5(b))するなどしても良い。
【0023】
肌色色相シフト検出部25は、顔検出部23における顔検出結果とヒストグラム検出部24におけるヒストグラム検出結果を用いて、画質調整部20から入力された映像データ41の肌色の色相シフト度合いを検出する。肌色色相シフト検出部25は、例えば、画質調整部20から入力された映像データ41の肌色の色相が赤色または黄色よりにシフトしている度合いを検出する。
【0024】
例えば、肌色色相シフト検出部25は、肌色の色相が赤よりにシフトしている場合、赤よりにシフトしている度合いを示す「赤よりシフト量」を計算する。また、肌色色相シフト検出部25は、肌色の色相が黄よりにシフトしている場合、黄よりにシフトしている度合いを示す「黄よりシフト量」を計算する。一方、肌色色相シフト検出部25は、肌色の色相が赤よりにシフトしていない場合、および、肌色の色相が黄よりにシフトしていない場合、赤よりにシフトしている度合いを示す「赤よりシフト量」および「黄よりシフト量」を0とする。
【0025】
色補正パラメータ生成部26は、肌色色相シフト検出部25で検出した「赤よりシフト量」または「黄よりシフト量」を基に、色補正部27に適用する色補正用のパラメータを生成する。
【0026】
例えば、色補正パラメータ生成部26は、色相シフトのないときに適用する標準的なカラーマネジメントテーブル(CMS[m])と、赤色シフト度合い(RH;0~1)が1のときに最適なカラーマネジメントテーブル(CMR[m])と、黄色シフト度合い(YH;0~1)が1のときに最適なカラーマネジメントテーブル(CMY[m])と、を有しているとする。
【0027】
色補正パラメータ生成部26は、色補正用のパラメータを、最終的に色補正部27に適用するカラーマネジメントテーブル(CM[m])とする。ここで、CM[m]は、色相H[h],彩度S[s],明度V[v]の要素からなる。すなわち、m=h×s×vである。
【0028】
色補正パラメータ生成部26は、肌色色相シフト検出部25による検出結果における赤色シフト度合いも黄色シフト度合いも0のとき、CM[m]=CMS[m]として、色補正部27に適用する色補正用のパラメータとする。また、色補正パラメータ生成部26は、肌色色相シフト検出部25による検出結果における赤色シフト度合いが0でないとき、CM[m]=RH×CMR[m]+(1-RH)×CMS[m]として、色補正部27に適用する色補正用のパラメータとする。また、色補正パラメータ生成部26は、肌色色相シフト検出部25による検出結果における黄色シフト度合いが0でないとき、CM[m]=YH×CMY[m]+(1-YH)×CMS[m]として、色補正部27に適用する色補正用のパラメータとする。
【0029】
ここで、CMS[m]は肌色領域に対して少し赤みを加えた値であるとき、CMR[m]は赤みを加える量をいくらか-(マイナス)した値とし、CMY[m]は赤みを加える量をいくらか+(プラス)した値とする。画質調整部20から入力された映像データ41(入力映像)が赤よりにシフトしている場合には、過剰な補正を抑制することができる。また、画質調整部20から入力された映像データ41(入力映像)が黄よりにシフトしている場合には、補正不足を補うことができる。
【0030】
色補正部27は、色補正パラメータ生成部26で適用されたカラーマネジメントテーブル(CM[m])に基づいて、画質調整部20から入力された映像データ41の色補正を行う。
【0031】
図6は、色補正部27における色補正の例を示す図である。CM[m]は、色相H[h],彩度S[s],明度V[v]の要素からなる。色相H[h],彩度S[s],明度V[v]は、3次元のYCbCr空間において、h,s,vが重なったポイント(
図6(d)参照)における色相、彩度、輝度の補正度合いを表している。
【0032】
なお、色補正部27は、ポイントの中間の値については、隣接するポイントの補正値を用いて補間を行う。
【0033】
次に、肌画像補正部22が実行する肌画像補正処理の流れの一例を説明する。
【0034】
図7は、肌画像補正部22が実行する肌画像補正処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7に示すように、顔検出部23は、画質調整部20から入力された映像データ41を複数のエリアに分割し、それぞれの領域に人物の顔が含まれるかを検出する(ステップS1)。
【0035】
顔検出部23は、人物の顔ありの領域が一定面積以上の場合(ステップS2のYes)、映像データ41に人物の顔を検出したものとして、ステップS3に進む。一方、顔検出部23は、人物の顔ありの領域が一定面積未満の場合(ステップS2のNo)、映像データ41に人物の顔を検出しなかったものとして、ステップS6に進む。
【0036】
ステップS3では、ヒストグラム検出部24は、画質調整部20から入力された映像データ41から色相のヒストグラムを取得する。
【0037】
続いて、肌色色相シフト検出部25は、顔検出部23における顔検出結果とヒストグラム検出部24におけるヒストグラム検出結果を用いて、画質調整部20から入力された映像データ41の肌色の色相が赤よりにシフトしている度合い、肌色の色相が黄よりにシフトしている度合いを検出する(ステップS4)。
【0038】
肌色色相シフト検出部25は、肌色の色相が赤よりにシフトしている場合、または、肌色の色相が黄よりにシフトしている場合、(ステップS4のYes)、赤よりにシフトしている度合いを示す「赤よりシフト量」、または、黄よりにシフトしている度合いを示す「黄よりシフト量」、を計算する(ステップS5)。一方、肌色色相シフト検出部25は、肌色の色相が赤よりにシフトしていない場合、または、肌色の色相が黄よりにシフトしていない場合(ステップS4のNo)、または人物の顔ありの領域が一定面積未満の場合(ステップS2のNo)、赤よりにシフトしている度合いを示す「赤よりシフト量」、黄よりにシフトしている度合いを示す「黄よりシフト量」を0とする(ステップS6)。
【0039】
次いで、色補正パラメータ生成部26は、肌色色相シフト検出部25で検出した「赤よりシフト量」または「黄よりシフト量」を基に、色補正部27に適用する色補正用のパラメータを生成する(ステップS7)。
【0040】
最後に、色補正部27は、色補正パラメータ生成部26で適用された色補正用のパラメータに基づいて、画質調整部20から入力された映像データ41の色補正を行う(ステップS8)。
【0041】
このように、第1の実施形態の画像表示装置によれば、リアルタイムに顔検出と色相シフト度合いとを検出して、入力映像の特性に合わせた肌色の補正を行うことで、撮影時や編集時等の環境(条件)が分からないようなコンテンツでも美しい肌色を表示することができ、良好な映像表示を行うことができる。
【0042】
なお、本実施形態においては、ヒストグラム検出部24は、画質調整部20から入力された映像データ41から色相のヒストグラムを取得するようにしたが、これに限るものではない。ここで、
図8は画像表示装置1の変形例を示す模式図である。
図8に示すように、画像表示装置1は、肌画像補正部22に、顔領域抽出部28を更に備えるようにしてもよい。顔領域抽出部28は、顔検出部23における顔検出結果から、入力映像のうち人物の顔の確率が高い領域のみを抽出する。そして、ヒストグラム検出部24は、入力映像のうち人物の顔の確率が高い領域のみから色相のヒストグラムを取得する。
【0043】
このようにすることで、ヒストグラム検出結果に人物の顔以外の成分がなるべく含まれないようにすることができる。
【0044】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0045】
第2の実施の形態は、映像データ41から彩度のヒストグラム検出を行う点が、第1の実施の形態と異なる。以下、第2の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同一部分の説明については省略し、第1の実施の形態と異なる箇所について説明する。
【0046】
図9は、第2の実施形態にかかる肌画像補正部22の機能構成を示す機能ブロック図である。
【0047】
図9に示すように、本実施形態にかかる画像表示装置1の肌画像補正部22は、第2の実施形態で説明したヒストグラム検出部24、肌色色相シフト検出部25、色補正パラメータ生成部26に代えて、ヒストグラム検出部34、シフト検出部である肌色彩度シフト検出部35、色補正パラメータ生成部36を有する。
【0048】
ヒストグラム検出部34は、画質調整部20から入力された映像データ41から彩度のヒストグラム検出を行う。ここで、
図10はヒストグラム検出部34におけるヒストグラム検出方法の一例を示す図である。
図10(a)は、YCbCr信号におけるCbCrに基づく彩度分布を示し、
図10(b)は、YCbCr色空間を示すものである。ヒストグラム検出部34によるヒストグラム検出は、例えば、映像データ41にかかる画像全体、または人物の顔を含む映像データ41にかかる画像の一部の領域における特定の彩度に分布する画素数を求めてヒストグラム化するものである。
図10(a)に示すように、ヒストグラム検出部34は、ヒストグラム検出において、3次元のYCbCr色空間で彩度の制限を加えるようにしてもよい。
【0049】
肌色彩度シフト検出部35は、顔検出部23における顔検出結果とヒストグラム検出部34におけるヒストグラム検出結果を用いて、画質調整部20から入力された映像データ41の肌色の彩度シフト度合いを検出する。肌色彩度シフト検出部35は、例えば、肌色の彩度が想定より高彩度にシフトしている度合いである「高彩度シフト量」、肌色の彩度が想定より低彩度にシフトしている度合いである「低彩度シフト量」、を検出する。
【0050】
色補正パラメータ生成部36は、肌色彩度シフト検出部35で検出した「高彩度シフト量」および「低彩度シフト量」を基に、色補正部27に適用する色補正用のパラメータを生成する。
【0051】
例えば、色補正パラメータ生成部36は、彩度シフトのないときに適用する標準的なカラーマネジメントテーブル(CMS[m])と、高彩度シフト度合い(RH;0~1)が1のときに最適なカラーマネジメントテーブル(CMR[m])と、低彩度シフト度合い(YH;0~1)が1のときに最適なカラーマネジメントテーブル(CMY[m])と、を有しているとする。
【0052】
色補正パラメータ生成部36は、色補正用のパラメータを、最終的に色補正部27に適用するカラーマネジメントテーブル(CM[m])とする。ここで、CM[m]は、色相H[h],彩度S[s],明度V[v]の要素からなる。すなわち、m=h×s×vである。
【0053】
色補正パラメータ生成部36は、肌色彩度シフト検出部35による検出結果における高彩度シフト度合いも低彩度シフト度合いも0のとき、CM[m]=CMS[m]として、色補正部27に適用する色補正用のパラメータとする。また、色補正パラメータ生成部36は、肌色彩度シフト検出部35による検出結果における高彩度シフト度合いが0でないとき、CM[m]=RH×CMR[m]+(1-RH)×CMS[m]として、色補正部27に適用する色補正用のパラメータとする。また、色補正パラメータ生成部36は、肌色彩度シフト検出部35による検出結果における低彩度シフト度合いが0でないとき、CM[m]=YH×CMY[m]+(1-YH)×CMS[m]として、色補正部27に適用する色補正用のパラメータとする。
【0054】
ここで、CMS[m]は肌色領域に対して少し彩度を上げた値であるとき、CMR[m]は彩度を上げる量をいくらか-(マイナス)した値とし、CMY[m]は彩度を上げる量をいくらか+(プラス)した値とする。画質調整部20から入力された映像データ41(入力映像)が高彩度にシフトしている場合には、過剰な補正を抑制することができる。画質調整部20から入力された映像データ41(入力映像)が低彩度にシフトしている場合には、補正不足を補うことができる。
【0055】
次に、肌画像補正部22が実行する肌画像補正処理の流れの一例を説明する。
【0056】
図11は、肌画像補正部22が実行する肌画像補正処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図11に示すように、顔検出部23は、画質調整部20から入力された映像データ41を複数のエリアに分割し、それぞれの領域に人物の顔が含まれるかを検出する(ステップS11)。
【0057】
顔検出部23は、人物の顔ありの領域が一定面積以上の場合(ステップS12のYes)、映像データ41に人物の顔を検出したものとして、ステップS13に進む。一方、顔検出部23は、人物の顔ありの領域が一定面積未満の場合(ステップS12のNo)、映像データ41に人物の顔を検出しなかったものとして、ステップS16に進む。
【0058】
ステップS13では、ヒストグラム検出部34は、画質調整部20から入力された映像データ41から彩度のヒストグラムを取得する。
【0059】
続いて、肌色彩度シフト検出部35は、顔検出部23における顔検出結果とヒストグラム検出部34におけるヒストグラム検出結果を用いて、画質調整部20から入力された映像データ41の肌色の彩度が想定より高彩度にシフトしている度合い、を検出する(ステップS14)。
【0060】
肌色彩度シフト検出部35は、肌色の彩度が想定より高彩度にシフトしている場合、または、肌色の彩度が想定より低彩度にシフトしている場合(ステップS14のYes)、高彩度にシフトしている度合いを示す「高彩度シフト量」、または、低彩度にシフトしている度合いを示す「低彩度シフト量」、を計算する(ステップS15)。一方、肌色彩度シフト検出部35は、肌色の彩度が想定より高彩度にシフトしていない場合、および、肌色の彩度が想定より低彩度にシフトしていない場合(ステップS14のNo)、または人物の顔ありの領域が一定面積未満の場合(ステップS12のNo)、高彩度にシフトしている度合いを示す「高彩度シフト量」、低彩度にシフトしている度合いを示す「低彩度シフト量」を0とする(ステップS16)。
【0061】
次いで、色補正パラメータ生成部36は、肌色彩度シフト検出部35で検出した「高彩度シフト量」または「低彩度シフト量」を基に、色補正部27に適用する色補正用のパラメータを生成する(ステップS17)。
【0062】
最後に、色補正部27は、色補正パラメータ生成部26で適用された色補正用のパラメータに基づいて、画質調整部20から入力された映像データ41の色補正を行う(ステップS18)。
【0063】
このように、第2の実施形態の画像表示装置によれば、リアルタイムに顔検出と彩度シフト度合いとを検出して、入力映像の特性に合わせた肌色の補正を行うことで、撮影時や編集時等の環境(条件)が分からないようなコンテンツでも美しい肌色を表示することができ、良好な映像表示を行うことができる。
【0064】
なお、本実施形態においては、ヒストグラム検出部34は、画質調整部20から入力された映像データ41から彩度のヒストグラムを取得するようにしたが、これに限るものではない。例えば、ヒストグラム検出部34は、画質調整部20から入力された映像データ41から取得した彩度のヒストグラムに加えて、第1の実施形態で説明した色相のヒストグラムを取得するようにしてもよい。このようにリアルタイムに顔検出と、色相シフト度合いおよび彩度シフト度合いを検出して、入力映像の特性に合わせた肌色の補正を行うことで、どのようなコンテンツでも美しい肌色を表示することができる。
【0065】
なお、本実施形態の画像表示装置1で実行されるプログラム(ソフトウェア)は、ROM等に予め組み込まれて提供される。
【0066】
本実施形態の画像表示装置1で実行されるプログラム(ソフトウェア)は、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0067】
さらに、本実施形態の画像表示装置1で実行されるプログラム(ソフトウェア)を、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の画像表示装置1で実行されるプログラム(ソフトウェア)をインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0068】
なお、上記には、本発明の実施形態および変形例を説明したが、上記実施形態および変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態およびその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
1 画像表示装置
12 表示部
23 顔検出部
24、34 ヒストグラム検出部
25、35 シフト検出部
26、36 色補正パラメータ生成部
27 色補正部
28 顔領域抽出部