IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン株式会社の特許一覧

特開2023-177479アクセサリ装置、撮像装置、撮像システム、制御方法、およびプログラム
<>
  • 特開-アクセサリ装置、撮像装置、撮像システム、制御方法、およびプログラム 図1
  • 特開-アクセサリ装置、撮像装置、撮像システム、制御方法、およびプログラム 図2
  • 特開-アクセサリ装置、撮像装置、撮像システム、制御方法、およびプログラム 図3
  • 特開-アクセサリ装置、撮像装置、撮像システム、制御方法、およびプログラム 図4
  • 特開-アクセサリ装置、撮像装置、撮像システム、制御方法、およびプログラム 図5
  • 特開-アクセサリ装置、撮像装置、撮像システム、制御方法、およびプログラム 図6
  • 特開-アクセサリ装置、撮像装置、撮像システム、制御方法、およびプログラム 図7
  • 特開-アクセサリ装置、撮像装置、撮像システム、制御方法、およびプログラム 図8
  • 特開-アクセサリ装置、撮像装置、撮像システム、制御方法、およびプログラム 図9
  • 特開-アクセサリ装置、撮像装置、撮像システム、制御方法、およびプログラム 図10
  • 特開-アクセサリ装置、撮像装置、撮像システム、制御方法、およびプログラム 図11
  • 特開-アクセサリ装置、撮像装置、撮像システム、制御方法、およびプログラム 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177479
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】アクセサリ装置、撮像装置、撮像システム、制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/14 20210101AFI20231207BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20231207BHJP
   H04N 23/66 20230101ALI20231207BHJP
【FI】
G03B17/14
G03B17/56 Z
H04N5/232 030
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090184
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】岡田 浩司
【テーマコード(参考)】
2H101
2H105
5C122
【Fターム(参考)】
2H101EE03
2H101EE04
2H101EE08
2H101EE13
2H101EE23
2H101EE24
2H101EE43
2H105CC13
2H105CC17
5C122FB04
5C122GC38
5C122GC76
5C122GC86
5C122HB01
5C122HB02
(57)【要約】
【課題】複数のアクセサリ装置の間での情報のやり取りを容易に行うことが可能なアクセサリ装置を提供する。
【解決手段】撮像装置(200)に取り外し可能に装着されるアクセサリ装置(100、300)であって、撮像装置との通信を行うアクセサリ制御部(111、302)を有し、アクセサリ装置は、第1のアクセサリ装置(300)、または、少なくとも第1のアクセサリ装置を介して撮像装置に装着可能な第2のアクセサリ装置(100)の一方であり、アクセサリ制御部は、第1のアクセサリ装置または第2のアクセサリ装置のうち他方のアクセサリ装置が撮像装置へ第1のデータを送信している間に、他方のアクセサリ装置から第1のデータを取得し、第1のデータに基づいて処理を変更する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置に取り外し可能に装着されるアクセサリ装置であって、
前記撮像装置との通信を行うアクセサリ制御部を有し、
前記アクセサリ装置は、第1のアクセサリ装置、または、少なくとも前記第1のアクセサリ装置を介して前記撮像装置に装着可能な第2のアクセサリ装置の一方であり、
前記アクセサリ制御部は、
前記第1のアクセサリ装置または前記第2のアクセサリ装置のうち他方のアクセサリ装置が前記撮像装置へ第1のデータを送信している間に、前記他方のアクセサリ装置から前記第1のデータを取得し、
前記第1のデータに基づいて処理を変更することを特徴とするアクセサリ装置。
【請求項2】
前記第1のアクセサリ装置は、アダプタ装置であり、
前記第2のアクセサリ装置は、レンズ装置であることを特徴とする請求項1に記載のアクセサリ装置。
【請求項3】
前記処理は、前記アクセサリ制御部が前記撮像装置へ送信するデータの取得に関する処理を含むことを特徴とする請求項1に記載のアクセサリ装置。
【請求項4】
前記処理は、前記アクセサリ制御部が前記アクセサリ装置の駆動装置を駆動するための制御パラメータの取得に関する処理を含むことを特徴とする請求項1に記載のアクセサリ装置。
【請求項5】
前記アクセサリ制御部は、
前記撮像装置との間のデータの通信に用いられるデータ通信チャネルと、前記データ通信チャネルを介して行う前記通信の通信方式の通知に用いられる通知チャネルとを用いた通信を制御し、
前記第1のアクセサリ装置および前記第2のアクセサリ装置と前記撮像装置との間で通信するために用いられる第1の通信方式と、前記撮像装置により前記第1の通信方式で指定された前記第1のアクセサリ装置または前記第2のアクセサリ装置の1つと前記撮像装置との間で通信するための第2の通信方式と、に切り替え可能であり、
前記他方のアクセサリ装置が前記撮像装置へ前記第2の通信方式で前記第1のデータを送信している間に、前記他方のアクセサリ装置から前記第1のデータを取得することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のアクセサリ装置。
【請求項6】
前記アクセサリ制御部は、前記他方のアクセサリ装置のデータのうち前記第1のデータを取得したいことを示す第2のデータを、前記第2の通信方式で前記撮像装置へ送信することを特徴とする請求項5に記載のアクセサリ装置。
【請求項7】
前記アクセサリ制御部は、前記データ通信チャネルおよび前記通知チャネルとは別のチャネルを介して、前記第2のデータを前記撮像装置へ送信することを特徴とする請求項5に記載のアクセサリ装置。
【請求項8】
前記アクセサリ制御部は、前記アクセサリ装置の状態の変化に基づいて、前記第2の通信方式で前記撮像装置との通信を行うことを特徴とする請求項5に記載のアクセサリ装置。
【請求項9】
前記アクセサリ制御部は、前記アクセサリ装置の状態の変化に基づいて、前記第1の通信方式で前記撮像装置へ通信要求を行うことを特徴とする請求項5に記載のアクセサリ装置。
【請求項10】
前記アクセサリ装置の前記状態は、焦点距離、被写体距離、F値、または像振れ補正レンズの位置の少なくとも1つに関する状態であることを特徴とする請求項8に記載のアクセサリ装置。
【請求項11】
前記アクセサリ装置は、前記第2のアクセサリ装置であり、
前記アクセサリ制御部は、
前記アクセサリ装置が前記撮像装置に直接装着されている場合、前記データ通信チャネルおよび前記通知チャネルとは別のチャネルを介して、前記アクセサリ装置の状態の変化に基づくデータを前記撮像装置へ送信し、
前記アクセサリ装置が前記第1のアクセサリを介して前記撮像装置に装着されている場合、前記データ通信チャネルおよび前記通知チャネルを介して、前記データの少なくとも一部を前記撮像装置へ送信することを特徴とする請求項5に記載のアクセサリ装置。
【請求項12】
前記アクセサリ装置は、前記第1のアクセサリ装置であり、
前記アクセサリ制御部は、前記第2の通信方式で前記第2のアクセサリ装置から取得した前記第1のデータに基づいて、前記第2の通信方式で前記撮像装置との通信を行うことを特徴とする請求項1に記載のアクセサリ装置。
【請求項13】
前記アクセサリ装置は、前記第1のアクセサリ装置であり、
前記アクセサリ制御部は、前記第2の通信方式で前記第2のアクセサリ装置から取得した前記第1のデータに基づいて、前記第1の通信方式で前記撮像装置へ通信要求を行うことを特徴とする請求項1に記載のアクセサリ装置。
【請求項14】
複数のアクセサリ装置が取り外し可能に装着される撮像装置であって、
前記複数のアクセサリ装置との通信を行うカメラ制御部を有し、
前記複数のアクセサリ装置は、第1のアクセサリ装置、および、少なくとも前記第1のアクセサリ装置を介して前記撮像装置に装着可能な第2のアクセサリ装置を含み、
前記カメラ制御部は、前記第1のアクセサリ装置または前記第2のアクセサリ装置の一方から受信した第2のデータに基づいて、前記第1のアクセサリ装置または前記第2のアクセサリ装置の他方への通信を変更することを特徴とする撮像装置。
【請求項15】
撮像装置と、前記撮像装置に取り外し可能に装着される複数のアクセサリ装置とを有する撮像システムであって、
前記撮像装置は、前記複数のアクセサリ装置との通信を行うカメラ制御部を有し、
前記複数のアクセサリ装置は、第1のアクセサリ装置、および、少なくとも前記第1のアクセサリ装置を介して前記撮像装置に装着可能な第2のアクセサリ装置を含み、
前記第1のアクセサリ装置または前記第2のアクセサリ装置の一方は、前記撮像装置との通信を行うアクセサリ制御部を有し、
前記アクセサリ制御部は、前記第1のアクセサリ装置または前記第2のアクセサリ装置のうち他方のアクセサリ装置が有するデータのうち第1のデータを取得したいことを示す第2のデータを、前記撮像装置へ送信し、
前記カメラ制御部は、前記第2のデータに基づいて、前記他方のアクセサリ装置への通信を変更し、
前記アクセサリ制御部は、前記他方のアクセサリ装置が前記撮像装置へ前記第1のデータを送信している間に、前記他方のアクセサリ装置から前記第1のデータを取得し、
前記第1のデータに基づいて処理を変更することを特徴とする撮像システム。
【請求項16】
撮像装置に取り外し可能に装着されるアクセサリ装置の制御方法であって、
前記アクセサリ装置は、第1のアクセサリ装置、または、少なくとも前記第1のアクセサリ装置を介して前記撮像装置に装着可能な第2のアクセサリ装置の一方であり、
前記第1のアクセサリ装置または前記第2のアクセサリ装置のうち他方のアクセサリ装置が前記撮像装置へ第1のデータを送信している間に、前記他方のアクセサリ装置から前記第1のデータを取得するステップと、
前記第1のデータに基づいて処理を変更するステップと、を有することを特徴とするアクセサリ装置の制御方法。
【請求項17】
複数のアクセサリ装置が取り外し可能に装着される撮像装置の制御方法であって、
前記複数のアクセサリ装置は、第1のアクセサリ装置、および、少なくとも前記第1のアクセサリ装置を介して前記撮像装置に装着可能な第2のアクセサリ装置を含み、
前記第1のアクセサリ装置または前記第2のアクセサリ装置の一方から受信した第2のデータに基づいて、前記第1のアクセサリ装置または前記第2のアクセサリ装置の他方への通信を変更するステップと、を有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項18】
請求項16に記載のアクセサリ装置の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項19】
請求項17に記載の撮像装置の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセサリ装置、撮像装置、撮像システム、制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、カメラ本体が、交換レンズおよび中間アダプタを含むアクセサリ装置と通信を行う技術が開示されている。また特許文献1には、カメラ本体が全てのアクセサリ装置と通信を行うブロードキャスト通信と、カメラ本体が1つのアクセサリ装置を指定して1対1の通信を行うP2P通信を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6427287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された技術では、2つのアクセサリ装置の間での情報のやり取りが困難である。2つのアクセサリ装置の間での情報のやりとりを行う場合、2つのアクセサリ装置のうちの一方が新たなマスタとなり、スレーブである他方のアクセサリ装置と通信を行うことが考えられる。しかし、この通信方法では、既にマスタとして存在するカメラ本体との競合問題を解決する必要があるとともに、マルチマスタ構成となるため撮像システムが複雑になる。
【0005】
そこで本発明は、複数のアクセサリ装置の間での情報のやり取りを容易に行うことが可能なアクセサリ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としてのアクセサリ装置は、撮像装置に取り外し可能に装着されるアクセサリ装置であって、前記撮像装置との通信を行うアクセサリ制御部を有し、前記アクセサリ装置は、第1のアクセサリ装置、または、少なくとも前記第1のアクセサリ装置を介して前記撮像装置に装着可能な第2のアクセサリ装置の一方であり、前記アクセサリ制御部は、前記第1のアクセサリ装置または前記第2のアクセサリ装置のうち他方のアクセサリ装置が前記撮像装置へ第1のデータを送信している間に、前記他方のアクセサリ装置から前記第1のデータを取得し、前記第1のデータに基づいて処理を変更する。
【0007】
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施例において説明される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数のアクセサリ装置の間での情報のやり取りを容易に行うことが可能なアクセサリ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1におけるカメラシステムのブロック図である。
図2】実施例1におけるカメラシステムの通信回路の概略図である。
図3】実施例1におけるデータのフォーマットの説明図である。
図4】実施例1におけるブロードキャスト通信方式による通信波形の概略図である。
図5】実施例1におけるP2P通信方式による通信波形の概略図である。
図6】実施例1における通信方式の切り替え時の通信波形の概略図である。
図7】実施例1におけるブロードキャスト通信方式の処理を示すフローチャートである。
図8】実施例1におけるP2P通信方式の処理を示すフローチャートである。
図9】実施例1におけるブロードキャスト通信方式による通信波形の概略図である。
図10】実施例1におけるカメラシステムの処理を示すフローチャートである。
図11】実施例2におけるカメラシステムのブロック図である。
図12】実施例2におけるカメラシステムの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例0011】
まず、図1を参照して、本発明の実施例1におけるカメラシステム(撮像システム)10について説明する。図1は、カメラシステム10のブロック図である。カメラシステム10は、カメラ本体(撮像装置)200と、交換レンズ(レンズ装置)100と、カメラ本体200と交換レンズ100との間に装着可能な中間アダプタ(アダプタ装置)300とを備えて構成される。交換レンズ100および中間アダプタ300はそれぞれ、カメラ本体200に対して取り外し可能に装着されるアクセサリ装置である。
【0012】
交換レンズ100および中間アダプタ300を含むアクセサリ装置とカメラ本体200との間では、複数の通信方式に基づく通信が実行される。本実施例において「通信方式」は、ブロードキャスト通信方式およびP2P通信方式を意味する。以降、ブロードキャスト通信方式を第1の通信方式、P2P通信方式を第2の通信方式と記載する場合がある。
【0013】
カメラシステム10は、カメラ本体200とアクセサリ装置との間の通信方式を適宜変更する。なお本実施例では、カメラ本体200と交換レンズ100との間に1つの中間アダプタ300が装着されている例について説明するが、これに限定されるものではなく、カメラ本体200と交換レンズ100との間に複数の中間アダプタが装着されていてもよい。
【0014】
本実施例では、ブロードキャスト通信において、通信マスタとしてのカメラ本体200から通信スレーブとしての各アクセサリ装置に対して一斉にデータ送信が行われる。カメラ本体200が、特定のアクセサリ装置との1対1の通信であるP2P通信を行う場合、P2P通信におけるカメラ本体200との通信相手を示す情報がブロードキャスト通信において各アクセサリ装置に対して通知される。
【0015】
P2P通信が開始されるタイミングでは、各アクセサリ装置に対してカメラ本体200の通信相手が通知されているため、P2P通信において、カメラ本体200は通信相手を特定するための情報を各アクセサリ装置に送信する必要がない。このように、ブロードキャスト通信においてカメラ本体200との通信相手を選択した上で、カメラ本体200と選択された通信相手との1対1の通信方式であるP2P通信への切り替えを行うことで、P2P通信における通信速度を向上させることができる。
【0016】
<カメラシステム10の構成>
図1に示されるように、カメラシステム10は、カメラ本体200と、カメラ本体200に装着可能なアクセサリ装置としての中間アダプタ(第1のアクセサリ装置)300および交換レンズ(第2のアクセサリ装置)100とを有する。カメラ本体200は、複数のアクセサリ装置が装着可能に構成されている。また、中間アダプタ300および交換レンズ100はそれぞれ、カメラ本体200に対して装着可能なアクセサリ装置である。第1のアクセサリ装置として、複数の中間アダプタを有していてもよい。なお、交換レンズ100がカメラ本体200に直接的に接続されている状態、およびカメラ本体200に対して中間アダプタ300等を介して接続されている状態のいずれの場合も、交換レンズ100がカメラ本体200に装着されている状態として説明する。
【0017】
カメラ本体200、交換レンズ100、および中間アダプタ300は、それぞれが有する通信部を介して制御命令や内部情報の伝送を行う。それぞれの通信部は、ブロードキャスト通信およびP2P通信に対応しており、カメラ本体200において決定された通信方式に基づいて通信を行う。
【0018】
まず、交換レンズ100、中間アダプタ300、およびカメラ本体200の具体的な構成について説明する。中間アダプタ300とカメラ本体200は、結合機構であるマウント401を介して機械的および電気的に接続されている。中間アダプタ300は、マウント401に設けられた不図示の電源端子を介してカメラ本体200から電力の供給を受け、アダプタマイクロコンピュータ(アダプタマイコン)302の制御を行う。
【0019】
交換レンズ100と中間アダプタ300は、結合機構であるマウント400を介して機械的および電気的に接続されている。交換レンズ100は、マウント400に設けられた不図示の電源端子と前述したマウント401に設けられた不図示の電源端子を介してカメラ本体200から電力の供給を受ける。そしてカメラ本体200から受けた電力を用いて、後述する各種アクチュエータやレンズマイクロコンピュータ(レンズマイコン)111の制御を行う。また、交換レンズ100、中間アダプタ300、およびカメラ本体200は、マウント400、401に設けられた通信端子(図2参照)を介して相互に通信を行う。
【0020】
次に、交換レンズ100の構成について説明する。交換レンズ100は、撮像光学系を有する。撮像光学系は、被写体OBJ側から順に、フィールドレンズ101と、変倍を行う変倍レンズ102と、光量を調節する絞りユニット114と、像振れ補正レンズ103と、焦点調節を行うフォーカスレンズ104とを含む。
【0021】
変倍レンズ102およびフォーカスレンズ104はそれぞれ、レンズ保持枠105、106により保持されている。レンズ保持枠105、106は、不図示のガイド軸により図中に破線で示される光軸方向に移動可能にガイドされており、それぞれステッピングモータ107、108によって光軸方向に駆動される。ステッピングモータ107、108はそれぞれ、駆動パルスに同期して変倍レンズ102およびフォーカスレンズ104を移動させる。像振れ補正レンズ103は、撮像光学系の光軸に直交する方向に移動することで、手振れ等に起因する像振れを低減する。
【0022】
レンズマイコン111は、交換レンズ100内の各部の動作を制御するアクセサリ制御部である。レンズマイコン111は、アクセサリ通信部としてのレンズ通信部112を介して、カメラ本体200から送信された制御コマンドを受信し、レンズデータの送信要求を受ける。また、レンズマイコン111は、制御コマンドに対応するレンズ制御を行い、レンズ通信部112を介して送信要求に対応するレンズデータをカメラ本体200に送信する。またレンズマイコン111は、制御コマンドのうち変倍やフォーカシングに関するコマンドに応答してズーム駆動回路119およびフォーカス駆動回路120に駆動信号を出力してステッピングモータ107、108を駆動させる。これにより、変倍レンズ102による変倍動作を制御するズーム処理やフォーカスレンズ104による焦点調節動作を制御するオートフォーカス処理を行う。
【0023】
絞りユニット114は、絞り羽根114a、114bを備えて構成される。絞り羽根114a、114bの状態は、ホール素子115により検出され、増幅回路122およびA/D変換回路123を介してレンズマイコン111に入力される。レンズマイコン111は、A/D変換回路123からの入力信号に基づいて絞り駆動回路121に駆動信号を出力して絞りアクチュエータ113を駆動させる。これにより、絞りユニット114による光量調節動作を制御する。またレンズマイコン111は、交換レンズ100内に設けられた振動ジャイロ等の不図示の振れセンサにより検出された振れに応じて、防振駆動回路125を介して防振アクチュエータ126を駆動する。これにより、像振れ補正レンズ103のシフト動作を制御する防振処理が行われる。
【0024】
次に、中間アダプタ300の構成について説明する。本実施例において、中間アダプタ300は、交換レンズ100の焦点距離を拡張するためのエクステンダである。ただし、中間アダプタ300はエクステンダに限定されるものではなく、他の機能を有するアクセサリ装置であってもよい。例えば、交換レンズ100を透過した光の透過率を変化させるフィルタが内蔵された中間アダプタ300でもよい。または、中間アダプタ300の内部に光透過率の異なる複数のフィルタを含み、撮影状況等に応じて適切なフィルタを選択可能な中間アダプタ300であってもよい。
【0025】
本実施例における中間アダプタ300は、交換レンズ100の焦点距離を拡張する変倍レンズ301と、中間アダプタ300内の各部の動作を制御するアクセサリ制御部としてのアダプタマイコン302を含む。アダプタマイコン302は、アクセサリ通信部としてのアダプタ通信部303を介して、カメラ本体200から送信された制御コマンドを受信し、制御コマンドに対応するアダプタ制御を行う。また、アダプタマイコン302は、カメラ本体200からの送信要求に対応するアダプタデータを、アダプタ通信部303を介してカメラ本体200に送信する。
【0026】
次に、カメラ本体200の構成について説明する。カメラ本体200は、CCDセンサまたはCMOSセンサなどの撮像素子201と、A/D変換回路202と、信号処理回路203と、記録部204と、カメラマイクロコンピュータ(カメラマイコン)205と、表示部206とを有する。
【0027】
撮像素子201は、交換レンズ100内の撮像光学系により形成された被写体像を光電変換して電気信号(アナログ信号)を出力する。A/D変換回路202は、撮像素子201からのアナログ信号をデジタル信号に変換する。信号処理回路203は、A/D変換回路202からのデジタル信号に対して各種画像処理を行って映像信号を生成する。また信号処理回路203は、映像信号から被写体像のコントラスト状態、つまり撮像光学系の焦点状態を示すフォーカス情報や露出状態を表す輝度情報も生成する。信号処理回路203は、映像信号を表示部206に出力し、表示部206は映像信号を構図やピント状態などの確認に用いられるライブビュー画像として表示する。
【0028】
カメラ制御部としてのカメラマイコン205は、不図示の撮像指示スイッチおよび各種設定スイッチなどのカメラ操作部材からの入力に応じてカメラ本体200の制御を行う。またカメラマイコン205は、カメラ通信部208を介して、不図示のズームスイッチの操作に応じて変倍レンズ102の変倍動作に関する制御コマンドをレンズマイコン111に送信する。またカメラマイコン205は、カメラ通信部208を介して、輝度情報に応じた絞りユニット114の光量調節動作やフォーカス情報に応じたフォーカスレンズ104の焦点調節動作に関する制御コマンドをレンズマイコン111に送信する。カメラマイコン205は、ブロードキャスト通信においては、中間アダプタ300と交換レンズ100に対してデータを一斉に送信し、P2P通信においては、中間アダプタ300と交換レンズ100のいずれか一方と1対1のデータ通信を行う。
【0029】
<通信回路の構成>
次に、図2を参照して、カメラシステム10を構成するカメラ本体200、中間アダプタ300、および交換レンズ100の間で通信を行う通信回路について説明する。図2は、カメラシステム10における通信回路の概略図である。カメラシステム10は、通信タイミングの通知に用いられる通知チャネルCS、およびデータ通信に用いられるデータ通信チャネルDATAを含む。
【0030】
図1を参照して説明したように、カメラ本体200と中間アダプタ300は、マウント401を介して接続されている。マウント401には、少なくとも2つの通信端子が設けられている。また、中間アダプタ300と交換レンズ100は、マウント400を介して接続されている。マウント400には、少なくとも2つの通信端子が設けられている。各マウントに設けられた通信端子により、通知チャネルCSおよびデータ通信チャネルDATAが構成される。
【0031】
通知チャネルCSは、カメラマイコン205、アダプタマイコン302、およびレンズマイコン111に接続されており、各マイコンは、通知チャネルCSの信号レベル(電圧レベル)を検出可能である。また、通知チャネルCSは、カメラ本体200内に配置された不図示の電源にプルアップ接続されている。また通知チャネルCSは、カメラ本体200に含まれる接地スイッチ2081を介してグランドと接続可能であり、中間アダプタ300に含まれる接地スイッチ3031を介してグランドと接続可能である。通知チャネルCSは、交換レンズ100に含まれる接地スイッチ1121を介してグランドと接続可能である。
【0032】
このような回路構成において、カメラ本体200、中間アダプタ300、および交換レンズ100に含まれるいずれかの接地スイッチを接続状態(第1の設定)とすることにより、通知チャネルCSの信号レベルをLow(第1のレベル)とすることが可能である。また、カメラ本体200、中間アダプタ300および交換レンズ100に含まれる全ての接地スイッチを遮断状態(第1の設定)とすることにより、通知チャネルCSの信号レベルをHigh(第2のレベル)とすることが可能である。
【0033】
各マイコンは、接地スイッチの接続状態を変化させることで、通知チャネルCSとグランドとの接続状態を変化させることができる。換言すれば、各マイコンは接地スイッチの接続状態を変化させることで、通知チャネルCSの信号レベルをHighとLowのいずれかに設定可能である。例えば、カメラマイコン205は、カメラ本体200に含まれる接地スイッチ2081を接続状態とすることで、通知チャネルCSの信号レベルをLowとすることができる。本実施例では、接地スイッチを接続状態とすることを「通知チャネルCSにLow出力を行う」と記載する。また、接地スイッチを切断状態とすることを「通知チャネルCSにHigh出力を行う」と記載する。つまり、全てのマイコンが通知チャネルCSに対してHigh出力を行うことで、通知チャネルCSの信号レベルはHighとなる。一方、いずれかのマイコンが通知チャネルCSにLow出力を行うことで、通知チャネルCSの信号レベルはLowとなる。なお、データ通信時における通知チャネルCSの役割については後述する。
【0034】
データ通信チャネルDATAは、データの伝搬方向を切り替え可能な双方向のデータ通信チャネルである。データ通信チャネルDATAは、カメラマイコン205、アダプタマイコン302、およびレンズマイコン111に接続されている。データ通信チャネルDATAは、カメラ本体200に含まれる入出力切り替えスイッチ2082を介してカメラマイコン205と接続される。カメラマイコン205には、データを送信するためのデータ出力部とデータを受信するためのデータ入力部が備えられている。そして、入出力切り替えスイッチ2082の動作に応じて、データ通信チャネルDATAをデータ出力部とデータ入力部のうちの一方に選択的に接続することができる。
【0035】
またデータ通信チャネルDATAは、中間アダプタ300に含まれる入出力切り替えスイッチ3032を介してアダプタマイコン302と接続される。アダプタマイコン302には、データを送信するためのデータ出力部とデータを受信するためのデータ入力部が備えられている。そして、入出力切り替えスイッチ3032の動作に応じて、データ通信チャネルDATAをデータ出力部とデータ入力部のうちの一方に選択的に接続することができる。
【0036】
データ通信チャネルDATAは、交換レンズ100に含まれる入出力切り替えスイッチ1122を介してレンズマイコン111と接続される。レンズマイコン111には、データを送信するためのデータ出力部とデータを受信するためのデータ入力部が備えられている。そして、入出力切り替えスイッチ1122の動作に応じて、データ通信チャネルDATAをデータ出力部とデータ入力部のうちの一方に選択的に接続することができる。このような回路構成を採用することにより、データ通信チャネルDATAのデータの伝搬方向を適切に切り替えることができる。
【0037】
<データフォーマット>
次に、図3を参照して、データ通信チャネルDATAを介して通信されるデータのフォーマットについて説明する。図3は、データのフォーマットの説明図であり、データ送信側とデータ受信側の双方で通信速度を予め設定し、この設定に基づいた通信ビットレートでデータ通信を行う調歩同期式の通信方式におけるデータフォーマットを示す。通信ビットレートとは、1秒間に転送することができるデータ量を示し、単位はbps(bit per second)で表される。図3は最小通信単位である1フレームの信号波形を示している。
【0038】
データ通信を行っていない状態では、データ通信チャネルDATAの信号レベルはHighレベルに維持されている。続いて、データの送信開始をデータ受信側に通知するため、データ通信チャネルDATAの信号レベルが1ビット期間の間Lowとされる。この1ビット期間をスタートビットSTと呼び、スタートビットSTからデータフレームが開始される。スタートビットSTに続く2ビット目から9ビット目までの8ビット期間で1バイトのデータが送信される。
【0039】
データのビット配列はMSB(Most Significant Bit)ファーストフォーマットとして、最上位のデータD7から始まり、順にデータD6、データD5と続き、最下位のデータD0で終了する。そして、10ビット目に1ビットのパリティー情報(PA)を付加し、1フレームの最後を示すストップビットSPの期間、データ通信チャネルDATAの信号レベルがHighとされる。これにより、スタートビットSTから開始されたデータフレーム期間が終了する。なお、パリティー情報は1ビットである必要はなく、複数のビットのパリティー情報が付加されてもよい。また、パリティー情報は必須ではなく、パリティー情報が付加されないフォーマットとしてもよい。
【0040】
また、データのビット配列をLSB(Least Significant Bit)ファーストフォーマットとして、最下位のデータD0から始まり、順にデータD1、データD2と続き、最上位のデータD7で終了するようにしても良い。本実施例では、8ビット期間で1バイトのデータが送信されるが、8ビット以外のビット期間で1バイトのデータが送信されるようにしてもよい。
【0041】
<ブロードキャスト通信>
次に、図4を参照して、ブロードキャスト通信について説明する。ブロードキャスト通信では、カメラ本体200が通信マスタとなり、中間アダプタ300および交換レンズ100を通信スレーブとした通信が行われる。図4は、ブロードキャスト通信においてやり取りされる信号波形の概略図である。通信マスタであるカメラ本体200のカメラマイコン205は、通知チャネルCSにLow出力を行うことで、通信スレーブであるレンズマイコン111およびアダプタマイコン302に対してブロードキャスト通信の開始を通知する。次に、カメラマイコン205は、データ通信チャネルDATAを介して、レンズマイコン111およびアダプタマイコン302にデータを送信する。
【0042】
一方、レンズマイコン111とアダプタマイコン302は、データ通信チャネルDATAを介して上述したスタートビットSTを検出することに応じて、通知チャネルCSにLow出力を行う。なお、レンズマイコン111とアダプタマイコン302が通知チャネルCSにLow出力を行う時点で、カメラマイコン205がLow出力を行っているため、通知チャネルCSの信号レベルはLowのままである。
【0043】
レンズマイコン111およびアダプタマイコン302は、通知チャネルCSにLow出力を行うことで、通信待機要求を通知する。通信待機要求は、カメラシステムにおける通信を一時停止させるためのものであり、通知チャネルCSの信号レベルにより通信待機要求の有無が判断される。
【0044】
カメラマイコン205は、全てのデータを送信した後に通知チャネルCSにHigh出力を行う。レンズマイコン111及びアダプタマイコン302は、データ通信チャネルDATAから送信されたストップビットSPを受信した後に、受信したデータの解析及び受信データに対応する内部処理を実行する。その後、次の通信を実行するための準備が整った後に通知チャネルCSにHigh出力を行う。カメラシステムを構成する全ての構成要素が通知チャネルCSにHigh出力を行うことで、通知チャネルCSの信号レベルはHighとなる。カメラマイコン205、レンズマイコン111及びアダプタマイコン302は、通知チャネルCSの信号レベルがHighに戻ったことにより、カメラシステムを構成する各構成要素が次の通信を実行可能な状態になったことを確認することができる。
【0045】
以上のように、ブロードキャスト通信においては、データ送信側が、通知チャネルCSにLow出力を行って通知チャネルCSの信号レベルをHighからLowにすることで、ブロードキャスト通信の開始をデータ受信側に通知している。また、データ受信側は、通知チャネルCSへの出力をLow出力からHigh出力に変化させることで、通信待機要求の解除をレンズシステムの各構成要素に通知している。なお、1回のブロードキャスト通信において送受信されるデータは1バイトに限定されるものではなく、複数バイトのデータとしてもよい。
【0046】
一方、ブロードキャスト通信でデータを送信できるのはカメラ本体200に限定しておくことが好ましい。通知チャネルCSがHighの状態の場合に中間アダプタ300や交換レンズ100が送信者になろうとしてCSをLow出力に変化させたとすると、タイミング的に他者と重なる可能性がある。この場合、例えば中間アダプタ300と交換レンズ100が同時にそれぞれ異なるデータ送信を開始する可能性があるためである。ブロードキャスト通信からP2P通信へ切り替える場合、カメラマイコン205からレンズマイコン111およびアダプタマイコン302に対して、通信方式の切り替えを指示するデータ(P2P通信を行う相手を指定するデータを含む)の送信のみが行われる。
【0047】
<P2P通信>
次に、図5を参照して、本実施例における第2の通信方式としてのP2P通信について説明する。P2P通信では、カメラ本体200が通信マスタとなり、カメラシステムを構成する構成要素の中で通信スレーブとして選択された1つの構成要素と1対1の個別の通信が行われる。
【0048】
図5は、P2P通信においてやり取りされる信号波形の概略図である。ここでは通信スレーブとして交換レンズ100が選択されている例を示している。P2P通信における通信スレーブを示す情報は、ブロードキャスト通信によって送信される。P2P通信においては、データ送信側が、通知チャネルCSにLow出力を行わず、通知チャネルCSをHighに維持したままデータ受信側にデータを送信する。すなわち、カメラ本体200から交換レンズ100、中間アダプタ300にデータを送信する間の通知チャネルCSの電圧レベルを、ブロードキャスト通信とP2P通信とで異ならせている。ブロードキャスト通信からP2P通信への切り替えが実行されると、最初に通信マスタであるカメラマイコン205からのデータ送信が開始される。図5は、カメラマイコン205からレンズマイコン111への1バイトのデータ送信後に、レンズマイコン111からカメラマイコン205に対して2バイトのデータ送信が行われる例を示す。
【0049】
カメラシステム10を構成する各構成要素においてブロードキャスト通信からP2P通信への切り替えが完了した後に、通信マスタとしてのカメラマイコン205は、データ通信チャネルDATAを介してレンズマイコン111にデータを送信する。カメラマイコン205は、データ送信が完了すると、通知チャネルCSの信号レベルをLow出力にして通信待機要求の通知を行う。そしてカメラマイコン205は、データ受信側としてデータを受信する準備が完了した後に通知チャネルCSの信号レベルをHigh出力に戻す。
【0050】
一方、レンズマイコン111は、通知チャネルCSの信号レベルがLowになったことによりカメラマイコン205からのデータ送信が完了したことを認識し、受信したデータの解析や受信したデータに対応する内部処理を実行する。図5の例では、カメラマイコン205から受信したデータに、レンズマイコン111からカメラマイコン205へのデータ送信要求が含まれており、レンズマイコン111はカメラマイコン205に送信するデータの生成も行う。その後、通知チャネルCSの信号レベルがHighに戻ったことにより、通信待機要求の解除を認識したレンズマイコン111は、カメラマイコン205に対して2バイトのデータ送信を行う。レンズマイコン111は、データ送信が終了すると、通知チャネルCSの信号レベルをLow出力にして通信待機要求の通知を行う。そして、レンズマイコン111は、データ受信側としてデータを受信する準備が完了した後に通知チャネルCSの信号レベルをHigh出力に戻す。
【0051】
なお、P2P通信の通信相手として選択されていないアダプタマイコン302は、通知チャネルCSへの出力を変化させず、データの送信には関与しない。一方、データ通信チャネルDATAを流れるカメラ本体200と交換レンズ100と間の通信データを受信することができるようにデータ通信チャネルDATAをアダプタマイコン302のデータ入力部に接続しておく。
【0052】
レンズマイコン111は、通知チャネルCSの信号レベルをHighに戻した後のカメラマイコン205からのデータ送信タイミングによって、P2P通信が継続されているのか、ブロードキャスト通信への切り替えが行われたのかを判断する。通知チャネルCSの信号レベルがHighのままの状態で、カメラマイコン205からのデータを受信した場合、レンズマイコン111はP2P通信が継続されていると判断する。一方、通知チャネルCSの信号レベルがLowに変化した後に、カメラマイコン205からのデータを受信した場合、レンズマイコン111はP2P通信からブロードキャスト通信に切り換えられたと判定する。
【0053】
以上のように、P2P通信においては、データ送信側が通知チャネルCSの信号レベルをHigh出力からLow出力にすることで、データ送信側によるデータの送信が完了したことをデータ受信側に通知している。このため、P2P通信においては、データ送信側が通知チャネルCSの信号レベルを変化させるまで、複数のデータフレームを連続して送信することができる。通信スレーブが1つのデータフレームを送信する毎に通信マスタからの通信が挿入されるシステム構成ではないため、カメラマイコン205と、レンズマイコン111やアダプタマイコン302などのアクセサリ装置との間の通信を高速に行うことができる。
【0054】
カメラシステム10では、データの送信後に通知チャネルCSの電圧レベルが変化するように、カメラマイコン205、レンズマイコン111、およびアダプタマイコン302が通知チャネルCSの接地または非接地を切り替える。このような通知チャネルCSの電圧レベルの変化を、データの送信側と受信側との切り替えの合図としている。そして、データ送信側は、次の通信におけるデータ受信側としてのデータ受信準備が完了するまで、通知チャネルCSの信号レベルをLow出力のままとすることで、通信待機要求を通知する。
【0055】
<通信方式の切り替え>
次に、図6を参照して、ブロードキャスト通信とP2P通信とを切り替えて実行される通信の概要を説明する。ブロードキャスト通信とP2P通信のいずれの通信においてもカメラ本体200が通信マスタとなり、中間アダプタ300や交換レンズ100との通信を実行する。P2P通信におけるカメラ本体との通信相手を示す情報は、ブロードキャスト通信において通知される。
【0056】
図6は、ブロードキャスト通信とP2P通信とを切り替えて実行される通信における通信波形の概略図である。まず、P2P通信における通信相手としてアダプタマイコン302が選択されたことを示す情報がブロードキャスト通信において送受信され、その後、カメラマイコン205とアダプタマイコン302との間でP2P通信が行われる。以下、P2P通信における通信相手を示す情報を、通信相手指定データと記載する。以下、通信相手指定データ自体に、ブロードキャスト通信からP2P通信への切り替えコマンドとしての機能を持たせた実施例について説明する。なお、通信相手指定データとは別に、ブロードキャスト通信からP2P通信への切り替えを指示する信号を送受信することでP2P通信への切り替えを実行してもよい。
【0057】
アダプタマイコン302は、P2P通信への切り替えが完了すると、通知チャネルCSにHigh出力を行うことで、通信方式の切り替え完了をカメラマイコン205に通知する。カメラマイコン205も、P2P通信への切り替えが完了すると、通知チャネルCSにHigh出力を行う。カメラマイコン205は、通知チャネルCSの信号レベルがHighになったことを検出すると、図5に示されるP2P通信を開始する。
【0058】
一方、P2P通信における通信相手として選択されていないレンズマイコン111は、通信相手指定データを受信した後、カメラマイコン205から受信したデータの解析や内部処理が終了した時点で通知チャネルCSにHigh出力を行う。そして、カメラマイコン205とアダプタマイコン302との間でP2P通信が行われている期間は、通知チャネルCSへの出力を変化させることなく、P2P通信の内容を受信できる設定を維持する。なお、P2P通信方式における通信の概要は、図5を参照して説明した通りであるため、ここではP2P通信の詳細についての説明を割愛する。
【0059】
カメラマイコン205とアダプタマイコン302との間のP2P通信が終了すると、カメラマイコン205はブロードキャスト通信により、P2P通信における通信相手としてレンズマイコン111を選択したことを示す通信相手指定データを送信する。その後、カメラマイコン205とレンズマイコン111との間でP2P通信が行われる。なお、アダプタマイコン302は、カメラマイコン205からデータが送信される前に通知チャネルCSの信号レベルがLowになったことにより、P2P通信からブロードキャスト通信への切り替えが実行されたことを認識する。
【0060】
<ブロードキャスト通信における通信フロー>
次に、図7を参照して、ブロードキャスト通信における通信フローについて説明する。図7は、ブロードキャスト通信方式の処理を示すフローチャートである。図7では、通信マスタとしてのカメラマイコン205の通信フローと、通信スレーブとしてのアダプタマイコン302の通信フローを示す。レンズマイコン111の通信フローは、アダプタマイコン302の通信フローと略同じであるため、ここではレンズマイコン111の通信フローを示していない。
【0061】
まずステップS100において、カメラマイコン205は、ブロードキャスト通信を開始するイベントが発生したか否かを判定する。ブロードキャスト通信を開始するイベントが発生した場合、ステップS101に進む。一方、ブロードキャスト通信を開始するイベントが発生していない場合、ステップS100の判定を繰り返し行う。
【0062】
ステップS101において、カメラマイコン205は、通知チャネルCSにLow出力を行い、通知チャネルCSの信号レベルをLowにすることで、レンズマイコン111およびアダプタマイコン302に対してブロードキャスト通信の開始を通知する。続いてステップS102において、カメラマイコン205は、入出力切り替えスイッチ2082を動作させることで、データ通信チャネルDATAをカメラマイコン205のデータ出力部に接続する。そしてステップS103において、カメラマイコン205は、データ送信を開始する。
【0063】
続いてステップS104において、カメラマイコン205は、データ送信の完了後に通知チャネルCSへのLow出力を解除する。続いてステップS105において、カメラマイコン205は、通知チャネルCSの信号レベルがHighになったか否かを判定する。この判定は、通知チャネルCSの信号レベルがHighになるまで継続して行われる。通知チャネルCSの信号レベルがHighになると、ステップS106において、カメラマイコン205は、ステップS103にて送信したデータが、通信相手指定データであったか否かを判定する。データが通信相手指定データである場合、ステップS107に進み、カメラマイコン205は、P2P通信への移行を行う。一方、データが通信相手指定データでない場合、カメラマイコン205は、ブロードキャスト通信を継続する。
【0064】
次に、アダプタマイコン302における通信フローについて説明する。まずステップS200において、アダプタマイコン302は、通知チャネルCSの信号レベルがLowになったか否かを判定する。この判定は、通知チャネルCSの信号レベルがLowになるまで継続して行われる。通知チャネルCSの信号レベルがLowになることに応じて、通信マスタであるカメラマイコン205からのデータ送信が開始される。このためステップS201において、アダプタマイコン302は、データ通信チャネルDATAにおけるデータの受信を許可する。
【0065】
続いてステップS202において、アダプタマイコン302は、スタートビットを受信したか否かを判定する。スタートビットを受信すると、アダプタマイコン302は、受信したデータの解析や受信したデータに対応する内部処理を開始する。そしてステップS203において、アダプタマイコン302は、通知チャネルCSにLow出力を行う。これにより、カメラシステム10を構成する各構成要素に対して通信待機要求を通知する。
【0066】
続いてステップS204において、アダプタマイコン302は、ストップビットを受信したか否かを判定する。この判定は、ストップビットを受信するまで継続して行われる。ストップビットを受信すると、ステップS205において、アダプタマイコン302は、データ通信チャネルDATAにおけるデータの受信を禁止し、受信したデータの解析や受信したデータに対応する内部処理を継続する。データの内部処理が完了し、次のデータ通信を実行可能な状態となると、ステップS206において、アダプタマイコン302は、通知チャネルCSへのLow出力を解除し、High出力を行う。
【0067】
続いてステップS207において、アダプタマイコン302は、通知チャネルCSの信号レベルがHighになったか否かを判定する。この判定は、通知チャネルCSの信号レベルがHighになるまで継続して行われる。通知チャネルCSの信号レベルがHighになると、ステップS208に進む。ステップS208において、アダプタマイコン302は、カメラマイコン205から受信したデータが通信相手指定データ(スレーブ指定データ)であるか否かを判定する。
【0068】
データが通信相手指定データである場合、ステップS209に進み、アダプタマイコン302は、データ通信チャネルDATAにおけるデータ受信を許可する。そしてステップS210において、アダプタマイコン302は、ブロードキャスト通信からP2P通信への移行を行う。ここで、自身がP2P通信におけるカメラマイコン205の通信相手として選択されていた場合、続くP2P通信では通信スレーブとしてカメラマイコン205からの要求に答える送受信を行う。一方、自身がP2P通信の相手として選択されていない場合、続くP2P通信の内容には影響を与えず、データ通信チャネルDATAを流れるデータを受信してその内容を解析するか、もしくは無視する。一方、ステップS208にてカメラマイコン205から受信したデータが通信相手指定データでない場合、アダプタマイコン302は、P2P通信への移行を実行することなく、ブロードキャスト通信を継続する。
【0069】
<P2P通信における通信フロー>
次に、図8を参照して、P2P通信における通信フローについて説明する。図8は、PSP通信方式による処理を示すフローチャートである。図8では、通信マスタとしてのカメラマイコン205の通信フローと、通信スレーブとしてのレンズマイコン111の通信フローを示す。なおアダプタマイコン302の通信フローは、レンズマイコン111の通信フローと略同じであるため、ここではアダプタマイコン302の通信フローを示していない。
【0070】
まずステップS300において、カメラマイコン205は、P2P通信を開始するイベントが発生したか否かを判定する。P2P通信を開始するイベントが発生した場合、ステップS301に進む。一方、P2P通信を開始するイベントが発生していない場合、ステップS300の判定を繰り返し行う。
【0071】
ステップS301において、カメラマイコン205は、入出力切り替えスイッチ2082を動作させることで、データ通信チャネルDATAをカメラマイコン205のデータ出力部に接続する。そしてステップS302において、カメラマイコン205は、データ送信を開始する。 続いてステップS303において、カメラマイコン205は、通知チャネルCSにLow出力を行い、通知チャネルCSの信号レベルをLowにする。これによりカメラマイコン205は、通信スレーブであるレンズマイコン111に対して通信待機要求を行う。通知チャネルCSの信号レベルがLowの期間、レンズマイコン111はカメラマイコン205に対するデータ送信を行わない。
【0072】
続いてステップS304において、カメラマイコン205は、ステップS302にてカメラマイコン205から送信したデータに、送信要求コマンドが含まれるか否かを判定する。送信要求コマンドとは、通信スレーブに対して、カメラマイコン205へのデータ送信を要求するコマンドである。ステップS302にてカメラマイコン205から送信したデータに送信要求コマンドが含まれない場合、レンズマイコン111からデータが送信されることはない。この場合、ステップS305に進み、カメラマイコン205は、レンズマイコン111が通信待機要求を通知しているか否かを確認する。具体的には、ステップS305において、カメラマイコン205における通知チャネルCSへのLow出力を解除する。そしてステップS306において、カメラマイコン205は、通知チャネルCSの信号レベルがLowであるか否かを判定する。これにより、レンズマイコン111が通知チャネルCSの信号レベルをLowにしているか否か、つまり、レンズマイコン111が通信待機要求を通知しているか否かを判定することができる。
【0073】
カメラマイコン205からのデータを受信したレンズマイコン111は、そのデータの解析や内部処理のために、ある程度の期間、通知チャネルCSにLow出力を行うことで通信待機要求を通知する。ステップS306は、レンズマイコン111の通知待機要求を認識するために行われる。ステップS305の後に一時的に通知チャネルCSの信号レベルがHighとなることがある。このとき、ステップS306の判定を行うことで通知チャネルCSの信号レベルがLowとなるまで待機する。カメラマイコン205は、ステップS306にて通知チャネルCSの信号レベルがLowとなったことを確認した上で、ステップS311に進む。
【0074】
一方、ステップS304において、ステップS302にてカメラマイコン205から送信したデータが送信要求コマンドである場合、ステップS307に進む。ステップS307において、カメラマイコン205は、入出力切り替えスイッチ2082を動作させることで、データ通信チャネルDATAをカメラマイコン205のデータ入力部に接続する。そしてステップS308において、カメラマイコン205は、通知チャネルCSへのLow出力を解除し、High出力を行う。
【0075】
通知チャネルCSの信号レベルがHighの状態で、カメラマイコン205は、レンズマイコン111からのデータ受信を行う。そしてステップS309において、カメラマイコン205は、通知チャネルCSの信号レベルがLowになったか否かを判定する。通知チャネルCSの信号レベルがLowになったことに応じて、カメラマイコン205は、レンズマイコン111のデータ送信が完了したと判定する。そしてステップS310において、カメラマイコン205は、データ解析を行う。
【0076】
続いてステップS311において、カメラマイコン205は、通知チャネルCSの信号レベルがHighになったか否かを判定する。この判定は、通知チャネルCSの信号レベルがHighになるまで継続して行われる。通知チャネルCSの信号レベルがHighの状態は、通信スレーブとしてのレンズマイコン111がデータ通信可能な状態であることを意味している。
【0077】
通知チャネルCSの信号レベルがHighになると、ステップS312に進み、カメラマイコン205は、ブロードキャスト通信への移行イベントが発生した否かを判定する。ブロードキャスト通信への移行イベントが発生した場合、ステップS313に進み、カメラマイコン205は、ブロードキャスト通信への移行を行う。一方、ブロードキャスト通信への移行イベントが発生していない場合、カメラマイコン205は、P2P通信を継続して行う。
【0078】
次に、通信スレーブとしてのレンズマイコン111の通信フローについて説明する。レンズマイコン111は、ブロードキャスト通信からP2P通信への切り替えを実行すると、まず、カメラマイコン205から送信されるデータの受信を行う。カメラマイコン205から送信されるデータを受信している期間、通知チャネルCSの信号レベルはHighに保たれている。
【0079】
続いてステップS400において、レンズマイコン111は、通知チャネルCSの信号レベルがLowになったか否かを判定する。通知チャネルCSの信号レベルがLowになったことに応じて、レンズマイコン111は、カメラマイコン205のデータ送信が完了したと判定する。そしてステップS401において、レンズマイコン111は、データ解析を行う。
【0080】
続いてステップS402において、レンズマイコン111は、通知チャネルCSの信号レベルがHighになったか否かを判定する。この判定は、通知チャネルCSの信号レベルがHighになるまで継続して行われる。通知チャネルCSの信号レベルがLowの状態は、カメラマイコン205が通信待機要求を通知している状態である。通知チャネルCSの信号レベルがHighになると、ステップS403において、レンズマイコン111は、カメラマイコン205から受信したデータに、送信要求コマンドが含まれるか否かを判定する。
【0081】
カメラマイコン205から受信したデータに送信要求コマンドが含まれない場合、ステップS404に進む。ステップS404において、レンズマイコン111は、カメラマイコン205から受信したデータに対する内部処理等のために、通知チャネルCSの信号レベルをLowにすることで、カメラマイコン205に対して通信待機要求を通知する。レンズマイコン111が通信可能な状態となると、ステップS405において、レンズマイコン111は、通知チャネルCSの信号レベルをHighにして、通信待機要求を解除した上でステップS411に進む。
【0082】
一方、ステップS403にてカメラマイコン205から受信したデータに送信要求コマンドが含まれる場合、ステップS406に進む。ステップS406において、レンズマイコン111は、入出力切り替えスイッチ1122を動作させることで、データ通信チャネルDATAをレンズマイコン111のデータ出力部に接続する。そしてステップS407において、レンズマイコン111は、カメラマイコン205へのデータ送信を開始する。
【0083】
カメラマイコン205へのデータ送信が完了した後、ステップS408において、レンズマイコン111は、通知チャネルCSにLow出力を行い、通知チャネルCSの信号レベルをLowにする。これにより、レンズマイコン111は、通信マスタであるカメラマイコン205に対して通信待機要求を行う。通知チャネルCSの信号レベルがLowの期間、カメラマイコン205は、レンズマイコン111に対するデータ送信を行わない。
【0084】
ステップS409において、レンズマイコン111は、入出力切り替えスイッチ1122を動作させることで、データ通信チャネルDATAをレンズマイコン111のデータ入力部に接続する。そしてステップS410において、レンズマイコン111は、通知チャネルCSへのLow出力を解除し、High出力を行う。
【0085】
ステップS411において、レンズマイコン111は、通知チャネルCSの信号レベルがHighになったか否かを判定する。この判定は、通知チャネルCSの信号レベルがHighになるまで継続して行われる。通知チャネルCSの信号レベルがHighになった状態は、カメラマイコン205及びレンズマイコン111が通信可能な状態であることを意味している。
【0086】
<通信スレーブからの通信リクエスト>
次に、図9を参照して、通信スレーブからの通信リクエストについて説明する。図9は、ブロードキャスト通信方式による通信波形の概略図であり、通信スレーブとしてのレンズマイコン111が、ブロードキャスト通信の開始をカメラマイコン205にリクエストする様子を示す。カメラマイコン205への通信リクエストは、カメラマイコン205からアクセサリ装置に含まれるマイコンへの通信が一時停止された状態において、アクセサリ装置に含まれるマイコンが、カメラマイコン205との通信を主体的に再開させるときに実行される。
【0087】
例えば、後述するような焦点距離などの状態変化があった場合や、操作部材がユーザによって操作された場合などである。カメラシステム10として通信が一時停止された状態から通信を再開させる場合、基本的には、通信マスタであるカメラマイコン205が主体的に通信を再開させることが適切である。通信スレーブであるアクセサリ装置のマイコンに通信を再開させる機能を持たせることは、通信マスタであるカメラマイコン205が予期しないタイミングでの通信再開が行われるおそれがある。このため、通信スレーブに対して、無制限に通信を再開させる機能を持たせることは好ましくない。そこで本実施例では、アクセサリ装置に含まれるマイコンが、カメラマイコン205への通信開始リクエストを行うことで、通信スレーブであるアクセサリ装置のマイコンに、通信を再開させる機能を持たせている。
【0088】
図9では、まずレンズマイコン111が通知チャネルCSにLow出力を行うことで通知チャネルCSの信号レベルをLowにする。カメラマイコン205は、通知チャネルCSの信号レベルがLowになったことに応じて、通知チャネルCSにLow出力を行った上でブロードキャスト通信を開始する。なお、通知チャネルCSにLow出力を行った後のブロードキャスト通信のフローは、図4を参照して説明したフローと同じであるため、ここでの説明は割愛する。
【0089】
このときのブロードキャスト通信では、カメラマイコン205はまだどの通信スレーブが通信リクエストを出力したかわかっていないため、まずカメラ本体200に近い位置に接続されているアダプタマイコン302を指定してP2P通信を開始する。カメラマイコン205は、アダプタマイコン302とのP2P通信にて何らかのイベントが発生したか否かを確認し、イベントの発生が無い場合にはP2Pを終了する。
【0090】
続いて、カメラマイコン205は、ブロードキャスト通信にてレンズマイコン111をP2P通信の相手に指定し、同様にイベントの発生を確認する。図9の例では、レンズマイコン111が通信リクエストを出しているため、レンズマイコン111はイベントの発生をカメラに通知し、その後に繋がる図示しないP2P通信にて、発生したイベントの内容に応じて必要な通信を行う。なお、ここではレンズマイコン111からカメラマイコン205への通信リクエストの様子を示したが、アダプタマイコン302からの通信リクエストの場合でも考え方は同様である。
【0091】
次に、図10を参照して、本実施例のカメラシステム10の処理を説明する。図10は、カメラシステム10の処理を示すフローチャートである。
【0092】
まずステップS500において、レンズマイコン111は、交換レンズ100の状態が変化したか否かを判定する。状態の変化が生じた場合、ステップS501に進み、レンズマイコン111からカメラマイコン205へ通信リクエストが出力される。通信リクエストは、レンズマイコン111が通知チャネルCSにLow出力を行うことで実行される。状態の変化とは、例えば、変倍レンズ102、絞りユニット114、像振れ補正レンズ103、フォーカスレンズ104、またはスイッチ(操作部材)などの物理的または電気的な変化を指す。なお、例示したこれらの状態変化の全てにおいて通信リクエストを出力する必要はなく、これらのうち特定の変化が生じた場合だけでもよい。
【0093】
続いてステップS502において、通信リクエストを受け取ったカメラマイコン205は、ブロードキャスト通信にて通信相手指定データを送信し、アダプタマイコン302をP2P通信の相手に指定し、次にP2P通信にてイベント情報取得要求を送信する。続いてステップS503において、アダプタマイコン302は、カメラマイコン205に対してP2P通信でイベント情報を返信する。続いてステップS504において、カメラマイコン205は、返信されたイベント情報に何らかのイベントが記されているか否かを判定する。中間アダプタ300に何らかのイベントが発生したと判定された場合、ステップS505へ進む。一方、イベントの発生がないと判定された場合、ステップS512へ進む。
【0094】
ステップS512において、カメラマイコン205は、ブロードキャスト通信にて通信相手指定データを送信し、レンズマイコン111をP2P通信の相手に指定し、次にP2P通信にてイベント情報取得要求を送信する。続いてステップS513において、レンズマイコン111は、カメラマイコン205に対してP2P通信でイベント情報を返信する。続いてステップS514において、カメラマイコン205は、返信されたイベント情報に何らかのイベントが記されているか否かを判定する。交換レンズ100に何らかのイベントが発生したと判定された場合、ステップS515へ進む。一方、イベントの発生がないと判定された場合、ステップS500へ戻り、レンズマイコン111は、交換レンズ100の状態変化の監視を行う。
【0095】
ステップS515において、カメラマイコン205は、レンズマイコン111から返信されたイベント情報に基づいて、イベントの種類を解析する。続いてステップS516において、カメラマイコン205は、発生したイベントに応じて、その詳細情報の送信要求をP2P通信でレンズマイコン111へ送信する。続いてステップS517において、レンズマイコン111は、カメラマイコン205へイベントの内容に応じた詳細情報(第2のデータ)を返信する。ここで、詳細情報とは、前述の状態の変化により生じた変化量や変化した位置情報などを表す。更には、状態の変化に応じてレンズマイコン111内で新たに必要となる、アダプタマイコン302が持つデータ(アダプタ光学データ、第1のデータ)の種類を表す情報なども含まれる。なお、アダプタ光学データについての詳細は後述する。続いてステップS518において、カメラマイコン205は、レンズマイコン111から全ての詳細情報を取得したか否かを判定する。全ての詳細情報の取得が完了していない場合、ステップS516に戻り、カメラマイコン205は、未取得の情報をレンズマイコン111へ要求する。
【0096】
ステップS519において、アダプタマイコン302は、カメラマイコン205とレンズマイコン111との間で行われたP2P通信の内容に基づいて、前述の詳細情報を解析する。ここで、アダプタマイコン302は、今回、カメラマイコン205からP2P通信の相手に指定されていない。ただし、前述の通りデータ通信チャネルDATAをアダプタマイコン302のデータ入力部に接続するとこで、レンズマイコン111から出力された詳細情報を取得することができている。続いてステップS520において、アダプタマイコン302は、前述の詳細情報を解析した結果、アダプタ光学データ(第1のデータ)を送信する必要があるか否かを判定する。アダプタ光学データが必要ない場合、ステップS522へ進み、アダプタマイコン302は、通信ラインをブロードキャスト通信の待機状態へ移行して終了する。一方、ステップS520でアダプタ光学データを送信する必要があった場合、ステップS521へ進み、アダプタマイコン302は、カメラマイコン205に対して通信リクエスト出力を行う。
【0097】
カメラマイコン205は、通信リクエストを検出すると、ステップS502、S503、S504を経て、ステップS505へ進む。ステップS505において、カメラマイコン205は、アダプタマイコン302から返信されたイベント情報に基づいて、イベントの種類を解析する。続いてステップS506において、カメラマイコン205は、発生したイベントに応じて、その詳細情報の送信要求をP2P通信でアダプタマイコン302へ送信する。続いてステップS507において、アダプタマイコン302は、カメラマイコン205へイベントの内容に応じた詳細情報を返信する。ここで、詳細情報とは、ステップS519にてアダプタマイコン302が解析したレンズの詳細情報に基づいたアダプタ光学データを含む情報である。
【0098】
続いてステップS508において、カメラマイコン205は、アダプタマイコン302から全ての詳細情報を取得したか否かを判定する。全ての詳細情報の取得が完了していない場合、ステップS506に戻り、カメラマイコン205は、未取得の情報をアダプタマイコン302へ要求する。
【0099】
ステップS509において、レンズマイコン111は、カメラマイコン205とアダプタマイコン302との間で行われたP2P通信の内容に基づいて、前述の詳細情報を解析する。ここでレンズマイコン111は、今回、カメラマイコン205からP2P通信の相手に指定されていない。ただし、前述の通りデータ通信チャネルDATAをレンズマイコン111のデータ入力部に接続するとこで、アダプタマイコン302から出力された詳細情報を取得することができている。レンズマイコン111は、取得した詳細情報に含まれるアダプタ光学データ(第1のデータ)を用いて、レンズマイコン111内で行われる処理(各種演算処理の内容など)を変更する。それは、例えば、交換レンズ100が備える駆動装置を駆動するための制御パラメータの導出(取得)、またはカメラマイコン205に送信する各種データの導出(取得)などである。なお、この詳細については後述する。
【0100】
続いてステップS510において、レンズマイコン111は、前述の詳細情報を解析した結果、何らかのデータを更に送信する必要があるか否かを判定する。データの送信が必要ない場合、ステップS522へ進み、レンズマイコン111は、通信ラインをブロードキャスト通信の待機状態へ移行して終了する。一方、データの送信が必要な場合、ステップS511へ進み、レンズマイコン111は、カメラマイコン205に対して通信リクエスト出力を行う。以降、ステップS502へ戻り、前述の説明の動作を必要がなくなるまで繰り返す。
【0101】
ここで、アダプタ光学データと、その交換レンズ100内での使用方法について説明する。本実施例では、交換レンズ100は像振れ補正レンズ103を備えており、これを駆動させることによって手振れを光学的に補正することができる。適切な防振を行うには、交換レンズ100を構成する全光学部材の特性を加味した補正係数に基づいて補正レンズ103の制御パラメータの1つである駆動量を算出する必要がある。この補正係数は、変倍レンズ102やフォーカスレンズ104の位置によって変化する係数で、レンズマイコン111内にそれぞれの位置に応じた補正係数を記憶されている。
【0102】
しかし、中間アダプタ300のように光学部材を持つアダプタが装着されると、その影響で最適な補正係数が変化し、レンズマイコン111内に記憶している補正係数だけでは最適な駆動量の算出ができない。そこで本実施例では、変倍レンズ102やフォーカスレンズ104などの状態変化に応じてアダプタマイコン302から必要なアダプタ光学データを取得することにより、最適な補正係数を用いて制御パラメータの算出を行う。
【0103】
前述の像振れ補正は1つの例であり、本実施例はこれに限定されるものではなく、F値の補正や、変倍に応じたフォーカスレンズ位置補正(コンピューターズーム)などに用いられる各種アクチュエータの制御パラメータの導出に関わるアダプタ光学データでもよい。また、アクチュエータの制御だけでなく、レンズマイコン111からカメラマイコン205に通信によって伝達される、合焦位置の補正に使われるデータや、画像処理演算に使われるデータなどの導出に関わるアダプタ光学データでもよい。
【0104】
また本実施例では、レンズマイコン111とカメラマイコン205との間で通信されたレンズマイコン111の詳細情報をアダプタマイコン302が解析し(ステップS519)、続いてアダプタマイコン302が通信リクエストを出力する。ただし、本実施例はこれに限定されるものではなく、カメラマイコン205が、レンズマイコン111から受信した詳細情報に応じて、アダプタマイコン302に対してP2P通信を行い、適切なアダプタ光学データの送信を要求してもよい。
【0105】
また、アダプタ光学データは、交換レンズ100の状態に連動していなくてもよい。例えば、交換レンズ100が単焦点レンズで、変倍レンズ301を備える中間アダプタ300が装着されたことにより解放F値が変化するような場合を考える。ここで、F値は焦点距離/開口径で求められるため、変倍レンズ301により単純に焦点距離が変わるとF値が変化する。この場合、レンズマイコン111は、ステップS500にて何らかの状態変化を待つのではなく、例えば絞りユニット114を駆動するための目標位置を算出したい、などの別のトリガをきっかけにしてステップS501へ進んでもよい。
【実施例0106】
次に、図11および図12を参照して、本発明の実施例2について説明する。図11は、本実施例におけるカメラシステム10aのブロック図である。なお図11において、図1と同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また図11において、図1に示されている部材の一部を省略している。前述の通知チャネルCSおよびデータ通信チャネルDATAは、第2通信用の通信線である。
【0107】
レンズマイコン111は、レンズ通信部112に加え、第1通信を行うための通信部131を制御する。カメラマイコン205は、カメラ通信部208に加え、第1通信を行うための通信部209を制御する。
【0108】
第1通信は、通信部131と通信部209を介して行われる通信である。通信部131はレンズマイコン111からの指示に基づいて、通信部209はカメラマイコン205からの指示に基づいて、通知チャネルCTL、データ通信チャネルDCL、データ通信チャネルDLCを介して通信を行う。通信部131および通信部209は、通知チャネルCTLの電圧レベル、調歩同期通信の際の通信レート(単位時間当たりのデータ量)や通信電圧の設定をする。また通信部131および通信部209は、レンズマイコン111またはカメラマイコン205からの指示を受けて、データ通信チャネルDCLおよびデータ通信チャネルDLCを介したデータの送受信を行う。
【0109】
通知チャネルCTLは、カメラ本体200から交換レンズ100への通信要求の通知やクロック信号として用いられる信号線である。データ通信チャネルDCLは、カメラ本体200から交換レンズ100にデータを送信する際に用いられるチャネルであり、データ通信チャネルDLCは交換レンズ100からカメラ本体200にデータを送信する際に用いられるチャネルである。
【0110】
カメラマイコン205とレンズマイコン111は、第1通信では、クロック同期通信または調歩同期通信により通信を行う。交換レンズ100がカメラ本体200に接続された際に行われる初期通信も、まずは第1通信により行う。カメラマイコン205とレンズマイコン111は交換レンズ100の識別情報を通信し、カメラ本体200装着された交換レンズ100が調歩同期通信に対応可能であることが判明すると、クロック同期通信から調歩同期通信に通信方式を切り替える。また、識別情報の通信の結果、カメラマイコン205は、交換レンズ100が、中間アダプタ300も含めて通信を行う第2通信に対応可能か否かを識別してもよい。カメラマイコン205は、交換レンズ100が第3通信に対応可能であると判定した場合、交換レンズ100や中間アダプタ300を認識するための認証通信をP2P通信により行ってもよい。本実施例は、カメラ本体200と交換レンズ100との間を直結する通信ライン(データ通信チャネルDATAおよび通知チャネルCSとは別のチャネル)である第1通信が追加されている点で、実施例1とは異なる。すなわち本実施例において、中間アダプタ300は、第1通信を介して送信も受信もできない。
【0111】
次に、図12を参照して、カメラシステム10aのカメラマイコン205、レンズマイコン111、およびアダプタマイコン302の処理を説明する。図12は、カメラシステム10aの処理を示すフローチャートである。
【0112】
まずステップS600において、カメラマイコン205は、カメラ本体200に対して交換レンズ100および中間アダプタ300(アクセサリ装置)が装着されたか否かを判定する。アクセサリ装置が装着された場合、ステップS601へ進む。ステップS601において、カメラマイコン205は、第1通信が確立されたか否かを判定する。より具体的には、カメラマイコン205は、図11に示される第1通信を行うための通信ライン(CTL、DCL、DLC)を介してレンズマイコン111と所定の通信を行い、レンズマイコン111からの返信内容によって第1通信が正常に行われたと判定する。所定の通信は、カメラマイコン205とレンズマイコン111が最初に送り合うデータを予め決めておいてもよい。または、カメラマイコン205から特定の値(例えば0AH)を送信したときにレンズマイコン111が別の特定の値(例えばA0H)を返信するなど、合言葉のようなものでもよい。第1通信が正常に行われ、通信が確立されると、ステップS602へ進む。ステップS602において、カメラマイコン205は、レンズマイコン111からレンズ基本データを受信する。レンズ基本データとは、例えば交換レンズ100の種別情報、焦点距離、被写体距離、開放F値などの設計値、シリアル番号、ピント調整値などの個体に紐づく情報などであるが、これらに限定されるものではない。例えば、図11を参照して説明した識別情報も含んでいてもよい。
【0113】
レンズ基本データを取得すると、ステップS603において、カメラマイコン205は、第2通信が確立されたか否かを判定する。より具体的には、カメラマイコン205は、図11に示される第2通信を行うための通信ライン(CS、DATA)を介して、レンズマイコン111およびアダプタマイコン302と所定の通信を行う。そしてカメラマイコン205は、各マイコンからの返信内容に基づいて、第2通信が正常に行われたと判定する。第1通信と第2通信は別々の通信ラインで行われるため、ステップS603はステップS602よりも前または同時に行われてもよい。またステップS603は、ステップS601よりも前または同時に行われてもよい。第2通信が確立すると、ステップS604において、カメラマイコン205は、アダプタ基本データを確認する。アダプタ基本データとは、例えば中間アダプタの種別情報、変倍レンズ301の倍率、保持しているアダプタ光学データの種類などの設計値や、シリアル番号などの個体に紐づく情報などである。交換レンズ100の基本データは、既に第1通信にて取得されているため、第2通信ではアダプタ基本データのみを取得する。
【0114】
続いてステップS605において、カメラマイコン205は、取得したアダプタ基本データを、第1通信にてレンズマイコン111へ送信する。このときレンズマイコン111は、アダプタ基本データを解析し、アダプタマイコン302がレンズマイコン111にとって必要なアダプタ光学データを保持しているかを判定する。ステップS606ではカメラマイコン205が第1通信にてレンズマイコン111に指定情報を送信するよう要求する。レンズマイコン111は、前述の通り、アダプタ基本データの解析結果から必要なアダプタ光学データがあるか否かを判定する。必要なアダプタ光学データがあると判定された場合、必要なアダプタ光学データの種類、および交換レンズ100の状態として何が変化した場合にアダプタ光学データが必要になるか、という情報を指定情報としてカメラマイコン205に返信する。一方、必要なアダプタ光学データがないと判定された場合、例えば「00H」や「FFH」などの、「必要なアダプタ光学データ無し」を表す、予め決められた値を指定情報として返信する。
【0115】
続いてステップS607において、カメラマイコン205は、交換レンズ100に前述の指定情報で指定された状態の変化を受信したか否かを判定する。この状態の変化とは、例えば、変倍レンズ102、絞りユニット114、像振れ補正レンズ103、フォーカスレンズ104、またはスイッチ(操作部材)などの物理的または電気的な変化を指す。ここでは説明の簡単化のため、フォーカスレンズ104の位置の変化とする。カメラマイコン205はフォーカスレンズ104の位置情報を受信すると、ステップS608にて第2通信でアダプタマイコン302にその情報を伝える。そしてステップS609において、カメラマイコン205は、レンズマイコン111から受信した指定情報に基づき、第2通信でアダプタマイコン302にアダプタ光学データを要求する。
【0116】
ステップS607におけるフォーカスレンズ104の位置情報は、第1通信または第2通信のいずれにより受信してもよい。第2通信でフォーカスレンズ104の位置情報を受信する場合、実施例1の場合と同様に、同時にアダプタマイコン302も受信することが可能であるため、ステップS608は実施しなくてもよい。この効果を得るためレンズマイコン111は、中間アダプタ300が非装着の場合にフォーカスレンズ104の位置情報を第1通信でカメラマイコン205に送信し、中間アダプタ300が装着された場合に第1通信で送信するのを止めて第2通信で送信してもよい。中間アダプタ300が非装着でもフォーカスレンズ104の位置情報をカメラマイコン205に送信するのは、例えばオートフォーカス制御や、撮影画像の画像処理用のパラメータとしての利用など、アダプタ光学データの取得以外の目的がある場合である。
【0117】
次に、レンズマイコン111の処理を説明する。レンズマイコン111は起動すると、まずステップS700において、基本データの送信が完了したか否かを判定する。基本データの送信が完了していない場合、完了を待つ。一方、基本データの送信が完了している場合、ステップS701において、レンズマイコン111は、交換レンズ100に何らかの状態変化が生じたか否かを判定する。何らかの状態変化とは、前述の通りである。状態変化が生じた場合、ステップS702において、レンズマイコン111は、カメラマイコン205に状態情報を送信する。より具体的には、第1通信にてカメラマイコン205が定期的に行う状態確認通信に返信する。または、実施例1にて説明したように、第2通信にて通信リクエストを送り、第2通信で状態情報を送信してもよい。
【0118】
続いてステップS703において、レンズマイコン111は、カメラマイコン205に対して既に指定情報を送信したか否かを判定する。指定情報とは、図12を参照して説明した通りである。指定情報を送信済みの場合、ステップS704に進み、レンズマイコン111は、第2通信にてアダプタマイコン302がアダプタ光学データを送信するのを待つ。アダプタマイコン302は、カメラマイコン205とのP2P通信において指定情報をカメラマイコン205に返信するが、実施例1と同様に、レンズマイコン111もこの情報を取得することができる。
【0119】
アダプタ光学データを受信すると、ステップS705において、レンズマイコン111は、受信したデータを用いた演算処理を行う。演算処理の内容は、実施例1と同様に、制御パラメータやカメラマイコン205に送信するデータの算出などである。その後、再びレンズの状態変化が起きれば、再度、ステップS701から同様の動作を行う。ステップS703にて指定情報を未送信の場合、アダプタ光学データを取得できないため、前述の演算にはアダプタ光学データを使用しない。
【0120】
次に、アダプタマイコン302の処理を説明する。アダプタマイコン302は起動すると、まずステップS800において、基本データの送信が完了したか否かを判定する。基本データの送信が完了していない場合、完了を待つ。一方、基本データの送信が完了している場合、ステップS801において、アダプタマイコン302は、アダプタ光学データ送信要求の受信を待つ。アダプタ光学データ送信要求を受信している場合、ステップS802において、アダプタマイコン302は、レンズ状態情報に応じたアダプタ光学データを導出する。レンズ状態情報は、例えば、フォーカスレンズ104の位置情報であり、不図示のステップにて任意のタイミングでカメラマイコン205またはレンズマイコン111から第2通信で受信している。仮に、レンズ状態情報を受信する前にアダプタ光学データ送信要求を受信した場合、予め定められた所定のレンズ状態を用いてアダプタ光学データを導出する。アダプタ光学データは、実施例1で説明したデータと同様である。続いてステップS803において、アダプタマイコン302は、ステップS802で受信したアダプタ光学データ送信要求に返信する形で、導出したアダプタ光学データを第2通信で送信する。
【0121】
図12のフローチャートは、レンズ状態変化をきっかけにデータをやり取りする形で説明したが、実施例1でも説明したように、アダプタ光学データはレンズ状態に連動していなくてもよい。例えば、交換レンズ100が単焦点レンズで、変倍レンズ301を備える中間アダプタ300が装着されたことにより開放F値が変化するような場合を考える。この場合、ステップS607にてレンズ状態情報を待つのではなく、カメラマイコン205が所定の周期でアダプタマイコン302にアダプタ光学データ送信要求を出してもよい。レンズマイコン111もステップS701で状態変化を待つのではなく、ステップS704にてカメラマイコン205が所定の周期で送信するアダプタ光学データ送信要求により、アダプタマイコン302が返信するアダプタ光学データを監視していればよい。アダプタマイコン302は、ステップS802にてレンズ状態情報に応じてアダプタ光学データを導出するのではなく、レンズ状態によらず一意に決まる値を送信してもよい。また、アダプタマイコン302は、レンズ状態に連動するアダプタ光学データであっても、現在のレンズ状態に限らず、複数のレンズ状態に対応した複数の値を一度に送信するようにしてもよい。
【0122】
本実施例において、必要なアダプタ光学データを指定する側のレンズマイコン111と要求する側のカメラマイコン205は本実施例の機能を有する必要がある。一方、アダプタマイコン302は、本実施例の機能を有する必要はなく、レンズマイコン111が必要とするアダプタ光学データを有し、かつカメラマイコン205からの送信要求によりカメラ本体200に返信ができればよい。ただし、アダプタマイコン302は、本実施例の機能を有することにより、使用形態の幅は広がる。このため、本実施例によれば、従来構成との互換性が高い仕組を実現することができる。
【0123】
(その他の実施例)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0124】
各実施例によれば、複数のアクセサリ装置の間での情報のやり取りを容易に行うことが可能なアクセサリ装置、撮像装置、撮像システム、アクセサリ装置および撮像装置の制御方法、並びにプログラムを提供することができる。
【0125】
各実施例の開示は、以下の構成および方法を含む。
(構成1)
撮像装置に取り外し可能に装着されるアクセサリ装置であって、
前記撮像装置との通信を行うアクセサリ制御部を有し、
前記アクセサリ装置は、第1のアクセサリ装置、または、少なくとも前記第1のアクセサリ装置を介して前記撮像装置に装着可能な第2のアクセサリ装置の一方であり、
前記アクセサリ制御部は、
前記第1のアクセサリ装置または前記第2のアクセサリ装置のうち他方のアクセサリ装置が前記撮像装置へ第1のデータを送信している間に、前記他方のアクセサリ装置から前記第1のデータを取得し、
前記第1のデータに基づいて処理を変更することを特徴とするアクセサリ装置。
(構成2)
前記第1のアクセサリ装置は、アダプタ装置であり、
前記第2のアクセサリ装置は、レンズ装置であることを特徴とする構成1に記載のアクセサリ装置。
(構成3)
前記処理は、前記アクセサリ制御部が前記撮像装置へ送信するデータの取得に関する処理を含むことを特徴とする構成1または2に記載のアクセサリ装置。
(構成4)
前記処理は、前記アクセサリ制御部が前記アクセサリ装置の駆動装置を駆動するための制御パラメータの取得に関する処理を含むことを特徴とする構成1または2に記載のアクセサリ装置。
(構成5)
前記アクセサリ制御部は、
前記撮像装置との間のデータの通信に用いられるデータ通信チャネルと、前記データ通信チャネルを介して行う前記通信の通信方式の通知に用いられる通知チャネルとを用いた通信を制御し、
前記第1のアクセサリ装置および前記第2のアクセサリ装置と前記撮像装置との間で通信するために用いられる第1の通信方式と、前記撮像装置により前記第1の通信方式で指定された前記第1のアクセサリ装置または前記第2のアクセサリ装置の1つと前記撮像装置との間で通信するための第2の通信方式と、に切り替え可能であり、
前記他方のアクセサリ装置が前記撮像装置へ前記第2の通信方式で前記第1のデータを送信している間に、前記他方のアクセサリ装置から前記第1のデータを取得することを特徴とする構成1乃至4のいずれかに記載のアクセサリ装置。
(構成6)
前記アクセサリ制御部は、前記他方のアクセサリ装置のデータのうち前記第1のデータを取得したいことを示す第2のデータを、前記第2の通信方式で前記撮像装置へ送信することを特徴とする構成5に記載のアクセサリ装置。
(構成7)
前記アクセサリ制御部は、前記データ通信チャネルおよび前記通知チャネルとは別のチャネルを介して、前記第2のデータを前記撮像装置へ送信することを特徴とする構成5または6に記載のアクセサリ装置。
(構成8)
前記アクセサリ制御部は、前記アクセサリ装置の状態の変化に基づいて、前記第2の通信方式で前記撮像装置との通信を行うことを特徴とする構成5乃至7のいずれかに記載のアクセサリ装置。
(構成9)
前記アクセサリ制御部は、前記アクセサリ装置の状態の変化に基づいて、前記第1の通信方式で前記撮像装置へ通信要求を行うことを特徴とする構成5乃至8のいずれかに記載のアクセサリ装置。
(構成10)
前記アクセサリ装置の前記状態は、焦点距離、被写体距離、F値、または像振れ補正レンズの位置の少なくとも1つに関する状態であることを特徴とする構成8または9に記載のアクセサリ装置。
(構成11)
前記アクセサリ装置は、前記第2のアクセサリ装置であり、
前記アクセサリ制御部は、
前記アクセサリ装置が前記撮像装置に直接装着されている場合、前記データ通信チャネルおよび前記通知チャネルとは別のチャネルを介して、前記アクセサリ装置の状態の変化に基づくデータを前記撮像装置へ送信し、
前記アクセサリ装置が前記第1のアクセサリを介して前記撮像装置に装着されている場合、前記データ通信チャネルおよび前記通知チャネルを介して、前記データの少なくとも一部を前記撮像装置へ送信することを特徴とする構成5乃至10のいずれかに記載のアクセサリ装置。
(構成12)
前記アクセサリ装置は、前記第1のアクセサリ装置であり、
前記アクセサリ制御部は、前記第2の通信方式で前記第2のアクセサリ装置から取得した前記第1のデータに基づいて、前記第2の通信方式で前記撮像装置との通信を行うことを特徴とする構成1乃至10のいずれかに記載のアクセサリ装置。
(構成13)
前記アクセサリ装置は、前記第1のアクセサリ装置であり、
前記アクセサリ制御部は、前記第2の通信方式で前記第2のアクセサリ装置から取得した前記第1のデータに基づいて、前記第1の通信方式で前記撮像装置へ通信要求を行うことを特徴とする構成1乃至10のいずれかに記載のアクセサリ装置。
(構成14)
複数のアクセサリ装置が取り外し可能に装着される撮像装置であって、
前記複数のアクセサリ装置との通信を行うカメラ制御部を有し、
前記複数のアクセサリ装置は、第1のアクセサリ装置、および、少なくとも前記第1のアクセサリ装置を介して前記撮像装置に装着可能な第2のアクセサリ装置を含み、
前記カメラ制御部は、前記第1のアクセサリ装置または前記第2のアクセサリ装置の一方から受信した第2のデータに基づいて、前記第1のアクセサリ装置または前記第2のアクセサリ装置の他方への通信を変更することを特徴とする撮像装置。
(構成15)
撮像装置と、前記撮像装置に取り外し可能に装着される複数のアクセサリ装置とを有する撮像システムであって、
前記撮像装置は、前記複数のアクセサリ装置との通信を行うカメラ制御部を有し、
前記複数のアクセサリ装置は、第1のアクセサリ装置、および、少なくとも前記第1のアクセサリ装置を介して前記撮像装置に装着可能な第2のアクセサリ装置を含み、
前記第1のアクセサリ装置または前記第2のアクセサリ装置の一方は、前記撮像装置との通信を行うアクセサリ制御部を有し、
前記アクセサリ制御部は、前記第1のアクセサリ装置または前記第2のアクセサリ装置のうち他方のアクセサリ装置が有するデータのうち第1のデータを取得したいことを示す第2のデータを、前記撮像装置へ送信し、
前記カメラ制御部は、前記第2のデータに基づいて、前記他方のアクセサリ装置への通信を変更し、
前記アクセサリ制御部は、前記他方のアクセサリ装置が前記撮像装置へ前記第1のデータを送信している間に、前記他方のアクセサリ装置から前記第1のデータを取得し、
前記第1のデータに基づいて処理を変更することを特徴とする撮像システム。
(方法1)
撮像装置に取り外し可能に装着されるアクセサリ装置の制御方法であって、
前記アクセサリ装置は、第1のアクセサリ装置、または、少なくとも前記第1のアクセサリ装置を介して前記撮像装置に装着可能な第2のアクセサリ装置の一方であり、
前記第1のアクセサリ装置または前記第2のアクセサリ装置のうち他方のアクセサリ装置が前記撮像装置へ第1のデータを送信している間に、前記他方のアクセサリ装置から前記第1のデータを取得するステップと、
前記第1のデータに基づいて処理を変更するステップと、を有することを特徴とするアクセサリ装置の制御方法。
(方法2)
複数のアクセサリ装置が取り外し可能に装着される撮像装置の制御方法であって、
前記複数のアクセサリ装置は、第1のアクセサリ装置、および、少なくとも前記第1のアクセサリ装置を介して前記撮像装置に装着可能な第2のアクセサリ装置を含み、
前記第1のアクセサリ装置または前記第2のアクセサリ装置の一方から受信した第2のデータに基づいて、前記第1のアクセサリ装置または前記第2のアクセサリ装置の他方への通信を変更するステップと、を有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
(構成16)
方法1に記載のアクセサリ装置の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
(構成17)
方法2に記載の撮像装置の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【0126】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0127】
各実施例は、撮像装置とアクセサリ装置とが第1の通信方式(ブロードキャスト通信方式)と第2の通信方式(P2P通信方式)とで通信可能に構成されているが、これに限定されるものではなく、他の通信方式にも適用可能である。
【符号の説明】
【0128】
100 交換レンズ(アクセサリ装置)
111 レンズマイコン(アクセサリ制御部)
200 カメラ本体(撮像装置)
300 中間アダプタ(アクセサリ装置)
302 アダプタマイコン(アクセサリ制御部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12