(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177482
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】バッテリ監視モジュール及びフレキシブルプリント配線板
(51)【国際特許分類】
H01M 50/569 20210101AFI20231207BHJP
H01M 50/284 20210101ALI20231207BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20231207BHJP
H01M 50/298 20210101ALI20231207BHJP
【FI】
H01M50/569
H01M50/284
H05K1/02 B
H01M50/298
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090187
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000230249
【氏名又は名称】日本メクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】代田 雄人
(72)【発明者】
【氏名】金山 知樹
(72)【発明者】
【氏名】山田 周三
【テーマコード(参考)】
5E338
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5E338AA12
5E338BB54
5E338CC04
5H040AA03
5H040AS07
5H040AT06
5H040DD05
5H040DD08
5H040DD26
5H043AA17
5H043BA11
5H043FA04
5H043FA08
5H043FA24
5H043FA32
(57)【要約】
【課題】コストの低減を図りつつ、配線の並び方を変更可能なバッテリ監視モジュールを提供する。
【解決手段】折り曲げ予定領域が折り曲げられて、第1の配線群における各配線102aの他端と第3の配線群における各配線102cの他端がそれぞれ電気的に接続され、FPC100の縁部に配される複数の配線の電位について、V(0),V(1),V(2),V(3),…,V(2n-3),V(2n-2),V(2n-1),V(2n)の順に並ぶようにすることができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一セルまたは並列接続される複数のセルにより構成されるセルユニットについて、隣り合うセルユニットの正極と負極が隣り合うように複数配列され、かつ隣り合うセルユニットの正極と負極が端子により接続されることで直列接続されるバッテリに取り付けられるバッテリ監視モジュールにおいて、
ベースフィルムの一方の面にのみ複数の配線を有するフレキシブルプリント配線板と、
前記フレキシブルプリント配線板の縁のうち、前記セルユニットの配列方向の一方側の縁部に取り付けられるコネクタと、
を備えると共に、
前記バッテリは、正極及び負極のうちの少なくともいずれか一方に接続される前記端子の電位が、前記配列方向に向かうにつれて、前記配列方向と垂直な幅方向の両側に交互に順に高くなるように構成されており、
前記端子における電位について、低い方から高い方に、順に、V(0),V(1),V(2),V(3),…,V(2n-3),V(2n-2),V(2n-1),V(2n)とすると、
前記複数の配線は、
各配線の一端が、電位がV(0),V(2),…,V(2n-2),V(2n)となる端子にそれぞれ接続される第1の配線群と、
各配線の一端が、電位がV(1),V(3),…,V(2n-3),V(2n-1)となる端子にそれぞれ接続される第2の配線群と、
各配線の一端が、前記フレキシブルプリント配線板の前記縁部に配される第3の配線群と、
を有しており、
第1の配線群と第2の配線群のうちの一方の配線群における各配線の他端は、前記フレキシブルプリント配線板の前記縁部に配され、
第1の配線群と第2の配線群のうちの他方の配線群における各配線の他端は、前記フレキシブルプリント配線板における折り曲げ予定領域内に配されており、
前記折り曲げ予定領域が折り曲げられて、前記他方の配線群における各配線の他端と第3の配線群における各配線の他端がそれぞれ電気的に接続されることで、前記フレキシブルプリント配線板の前記縁部に配される複数の配線の電位が、V(0),V(1),V(2),V(3),…,V(2n-3),V(2n-2),V(2n-1),V(2n)の順に並ぶことを特徴とするバッテリ監視モジュール。
【請求項2】
前記折り曲げ予定領域は一か所のみ設けられていることを特徴とする請求項1に記載のバッテリ監視モジュール。
【請求項3】
前記折り曲げ予定領域は、前記他方の配線群における各配線にそれぞれ対応するように複数個所に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のバッテリ監視モジュール。
【請求項4】
前記折り曲げ予定領域は、一か所の折り曲げ線により1回折り曲げられることを特徴とする請求項1に記載のバッテリ監視モジュール。
【請求項5】
前記折り曲げ予定領域は、二か所の折り曲げ線により2回折り曲げられることを特徴とする請求項1に記載のバッテリ監視モジュール。
【請求項6】
単一セルまたは並列接続される複数のセルにより構成されるセルユニットについて、隣り合うセルユニットの正極と負極が隣り合うように複数配列され、かつ隣り合うセルユニットの正極と負極が端子により接続されることで直列接続されるバッテリに取り付けられるバッテリ監視モジュールに備えられ、
ベースフィルムと、前記ベースフィルムの一方の面にのみ設けられる複数の配線と、を有し、その縁のうち、前記セルユニットの配列方向の一方側の縁部にコネクタが取り付けられるフレキシブルプリント配線板であって、
前記バッテリは、正極及び負極のうちの少なくともいずれか一方に接続される前記端子の電位が、前記配列方向に向かうにつれて、前記配列方向と垂直な幅方向の両側に交互に順に高くなるように構成されており、
前記端子における電位について、低い方から高い方に、順に、V(0),V(1),V(2),V(3),…,V(2n-3),V(2n-2),V(2n-1),V(2n)とすると、
前記複数の配線は、
各配線の一端が、電位がV(0),V(2),…,V(2n-2),V(2n)となる端子にそれぞれ接続される第1の配線群と、
各配線の一端が、電位がV(1),V(3),…,V(2n-3),V(2n-1)となる端子にそれぞれ接続される第2の配線群と、
各配線の一端が、前記縁部に配される第3の配線群と、
を有しており、
第1の配線群と第2の配線群のうちの一方の配線群における各配線の他端は、前記縁部に配され、
第1の配線群と第2の配線群のうちの他方の配線群における各配線の他端は、折り曲げ予定領域内に配されており、
前記折り曲げ予定領域が折り曲げられて、前記他方の配線群における各配線の他端と第3の配線群における各配線の他端がそれぞれ電気的に接続されることで、前記縁部に配される複数の配線の電位が、V(0),V(1),V(2),V(3),…,V(2n-3),V(2n-2),V(2n-1),V(2n)の順に並ぶことを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
【請求項7】
前記折り曲げ予定領域は一か所のみ設けられていることを特徴とする請求項6に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項8】
前記折り曲げ予定領域は、前記他方の配線群における各配線にそれぞれ対応するように複数個所に設けられていることを特徴とする請求項6に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項9】
前記折り曲げ予定領域は、一か所の折り曲げ線により1回折り曲げられることを特徴とする請求項6に記載のフレキシブルプリント配線板。
【請求項10】
前記折り曲げ予定領域は、二か所の折り曲げ線により2回折り曲げられることを特徴とする請求項6に記載のフレキシブルプリント配線板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリに取り付けられるバッテリ監視モジュール及びフレキシブルプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電気自動車などに搭載されるバッテリには、バッテリの電圧を監視するために電圧監視装置が設けられている。この電圧監視装置は、フレキシブルプリント配線板(以下、FPCと称する)を有するバッテリ監視モジュールが設けられている。
図11及び
図12を参照して、従来技術に係るバッテリ監視モジュールについて説明する。
図11はバッテリに取り付けられるバッテリ監視モジュールの電気配線の説明図である。
図12はバッテリに従来技術に係るバッテリ監視モジュールが取り付けられた状態を示す平面図である。
【0003】
バッテリは、複数のセルユニット10を備えている。これら複数のセルユニット10においては、隣り合うセルユニット10の正極と負極が隣り合うように複数配列される。そして、これら複数のセルユニット10は、隣り合う正極と負極が、端子として機能するバスバ11によって電気的に接続されることで直列に接続されるように構成される。なお、セルユニット10は、単一セルまたは並列接続される複数のセルにより構成される。
【0004】
ここで、バスバ11における電位について、低い方から高い方に、順に、V(0),V(1),V(2),V(3),…,V(2n-3),V(2n-2),V(2n-1),V(2n)とする。
図11及び
図12においては、電位について、V()を省略して、()内の数字のみを記載している。図示のように、複数のバスバ11の電位は、セルユニットの配列方向に向かうにつれて、配列方向と垂直な幅方向の両側に交互に順に高くなるように構成される。
【0005】
このように構成されるバッテリの上部にバッテリ監視モジュール600が取り付けられる(
図12参照)。バッテリ監視モジュール600は、FPC610と、FPC610の縁部に接続されるコネクタ620とを備えている。一般的に、FPCにおける隣り合う配線間、及び、FPCに接続されるコネクタにおける隣り合う端子間においては、電位差が大きいほど、マイグレーションなどによる短絡が発生し易くなる。特に、隣り合う配線間の距離や隣り合う端子間の距離が短いと、そのような問題が顕在化してしまう。また、配線間の電位差を小さくするのが望ましいことは、FPCと接続されるECU回路においても同様であり、FPC側で配線を極力電位順に並べることでECU回路での配線並び替えを最小限に抑えECU回路基板を簡略化することができる。このように、隣り合う配線間及び端子間については、極力、電位差を小さくすることが望まれる。従って、コネクタ620に接続される複数の配線における電位は、V(0),V(1),V(2),V(3),…,V(2n-3),V(2n-2),V(2n-1),V(2n)の順に並ぶようにすることが望まれる(
図11参照)。
【0006】
しかしながら、ベースフィルムの一方の面にのみ導体(銅箔など)が設けられるFPC(片面FPC)の場合、配線の印刷パターンを工夫するだけでは、上記のような構成を得ることができない。何故なら、
図11に示すように、配線を交差させる必要があるためである。そこで、従来技術に係るバッテリ監視モジュールにおいては、ベースフィルムの両面にそれぞれ導体が設けられるFPC610(両面FPC)を採用していた。
図12においては、ベースフィルムの一方の面に設けられる配線を実線で示し、他方の面に設けられる配線を点線で示している。このように、両面FPCを採用するこで、コネクタ620に
接続される複数の配線における電位を、V(0),V(1),V(2),V(3),…,V(2n-3),V(2n-2),V(2n-1),V(2n)の順に並ぶようにすることができる。
【0007】
しかしながら、両面FPCの場合、大型化に伴って製造難易度が高くなり、コストが増加するといった課題がある。
【0008】
なお、片面FPCを用いて、FPCの中央に各配線の端部を並べることで、これらの配線の端部における電位を上記のように構成する技術が知られている(特許文献1参照)。
【0009】
しかしながら、この技術の場合には、FPCの縁部に接続するように構成される一般的なコネクタを採用することができない。
【0010】
このように、上記の各技術においては、適用可能なコネクタが制限されるため、未だ改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、コストの低減を図りつつ、配線の並び方を変更可能なバッテリ監視モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0014】
すなわち、本発明のバッテリ監視モジュールは、
単一セルまたは並列接続される複数のセルにより構成されるセルユニットについて、隣り合うセルユニットの正極と負極が隣り合うように複数配列され、かつ隣り合うセルユニットの正極と負極が端子により接続されることで直列接続されるバッテリに取り付けられるバッテリ監視モジュールにおいて、
ベースフィルムの一方の面にのみ複数の配線を有するフレキシブルプリント配線板と、
前記フレキシブルプリント配線板の縁のうち、前記セルユニットの配列方向の一方側の縁部に取り付けられるコネクタと、
を備えると共に、
前記バッテリは、正極及び負極のうちの少なくともいずれか一方に接続される前記端子の電位が、前記配列方向に向かうにつれて、前記配列方向と垂直な幅方向の両側に交互に順に高くなるように構成されており、
前記端子における電位について、低い方から高い方に、順に、V(0),V(1),V(2),V(3),…,V(2n-3),V(2n-2),V(2n-1),V(2n)とすると、
前記複数の配線は、
各配線の一端が、電位がV(0),V(2),…,V(2n-2),V(2n)となる端子にそれぞれ接続される第1の配線群と、
各配線の一端が、電位がV(1),V(3),…,V(2n-3),V(2n-1)となる端子にそれぞれ接続される第2の配線群と、
各配線の一端が、前記フレキシブルプリント配線板の前記縁部に配される第3の配線群と、
を有しており、
第1の配線群と第2の配線群のうちの一方の配線群における各配線の他端は、前記フレキシブルプリント配線板の前記縁部に配され、
第1の配線群と第2の配線群のうちの他方の配線群における各配線の他端は、前記フレキシブルプリント配線板における折り曲げ予定領域内に配されており、
前記折り曲げ予定領域が折り曲げられて、前記他方の配線群における各配線の他端と第3の配線群における各配線の他端がそれぞれ電気的に接続されることで、前記フレキシブルプリント配線板の前記縁部に配される複数の配線の電位が、V(0),V(1),V(2),V(3),…,V(2n-3),V(2n-2),V(2n-1),V(2n)の順に並ぶことを特徴とする。
【0015】
また、本発明のフレキシブルプリント配線板は、
単一セルまたは並列接続される複数のセルにより構成されるセルユニットについて、隣り合うセルユニットの正極と負極が隣り合うように複数配列され、かつ隣り合うセルユニットの正極と負極が端子により接続されることで直列接続されるバッテリに取り付けられるバッテリ監視モジュールに備えられ、
ベースフィルムと、前記ベースフィルムの一方の面にのみ設けられる複数の配線と、を有し、その縁のうち、前記セルユニットの配列方向の一方側の縁部にコネクタが取り付けられるフレキシブルプリント配線板であって、
前記バッテリは、正極及び負極のうちの少なくともいずれか一方に接続される前記端子の電位が、前記配列方向に向かうにつれて、前記配列方向と垂直な幅方向の両側に交互に順に高くなるように構成されており、
前記端子における電位について、低い方から高い方に、順に、V(0),V(1),V(2),V(3),…,V(2n-3),V(2n-2),V(2n-1),V(2n)とすると、
前記複数の配線は、
各配線の一端が、電位がV(0),V(2),…,V(2n-2),V(2n)となる端子にそれぞれ接続される第1の配線群と、
各配線の一端が、電位がV(1),V(3),…,V(2n-3),V(2n-1)となる端子にそれぞれ接続される第2の配線群と、
各配線の一端が、前記縁部に配される第3の配線群と、
を有しており、
第1の配線群と第2の配線群のうちの一方の配線群における各配線の他端は、前記縁部に配され、
第1の配線群と第2の配線群のうちの他方の配線群における各配線の他端は、折り曲げ予定領域内に配されており、
前記折り曲げ予定領域が折り曲げられて、前記他方の配線群における各配線の他端と第3の配線群における各配線の他端がそれぞれ電気的に接続されることで、前記縁部に配される複数の配線の電位が、V(0),V(1),V(2),V(3),…,V(2n-3),V(2n-2),V(2n-1),V(2n)の順に並ぶことを特徴とする。
【0016】
これらの発明によれば、ベースフィルムの一方の面にのみ複数の配線が設けられるフレキシブルプリント配線板を用いて、配線の並び方を変更することができ、また、隣り合う配線間の電位差を小さくすることができる。ここで、「配線の一端」には、配線における一方の先端だけでなく、一方の先端付近も含まれる。また、「配線の他端」には、配線における他方の先端だけでなく、他方の先端付近も含まれる。なお、これらの発明においては、フレキシブルプリント配線板に設けられる複数の配線が、バッテリの電極に電気的に接続する目的以外の目的で用いられる配線を有する場合も含む。この場合、バッテリの電極に接続する目的以外の目的で用いられる配線が、バッテリの電極に接続される複数の配線の間に設けられても構わない。そして、バッテリの電極に接続する目的以外の目的で用
いられる配線の電位と、バッテリの電極に接続される複数の配線の電位との関係については、特に限定されることはない。
【0017】
前記折り曲げ予定領域は一か所のみ設けられていてもよいし、前記他方の配線群における各配線にそれぞれ対応するように複数個所に設けられていてもよい。
【0018】
また、前記折り曲げ予定領域は、一か所の折り曲げ線により1回折り曲げられる構成を採用してもよいし、二か所の折り曲げ線により2回折り曲げられる構成を採用してもよい。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、コストの低減を図りつつ、配線の並び方を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1はバッテリに本発明の実施例1に係るバッテリ監視モジュールが取り付けられた状態を示す平面図である。
【
図3】
図3は本発明の実施例1に係るフレキシブルプリント配線板の要部の拡大図である。
【
図4】
図4は本発明の実施例1に係るフレキシブルプリント配線板の模式的断面図である。
【
図5】
図5は本発明の実施例2に係るフレキシブルプリント配線板の要部の拡大図である。
【
図6】
図6は本発明の実施例2に係るフレキシブルプリント配線板の要部の拡大図である。
【
図7】
図7は本発明の実施例2に係るフレキシブルプリント配線板の模式的断面図である。
【
図8】
図8は本発明の実施例3に係るフレキシブルプリント配線板の平面図である。
【
図9】
図9は本発明の実施例4に係るフレキシブルプリント配線板の平面図である。
【
図10】
図10は本発明の実施例5に係るフレキシブルプリント配線板の平面図である。
【
図11】
図11はバッテリに取り付けられるバッテリ監視モジュールの電気配線の説明図である。
【
図12】
図12はバッテリに従来技術に係るバッテリ監視モジュールが取り付けられた状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0022】
(実施例1)
図1~
図4を参照して、本発明の実施例1に係るバッテリ監視モジュールについて説明する。本実施例に係るバッテリ監視モジュールは、例えば、電気自動車などに搭載されるバッテリの電圧を監視するための電圧監視装置に好適に設けられる。
【0023】
<バッテリ監視モジュールの構成>
図1はバッテリに本発明の実施例1に係るバッテリ監視モジュールが取り付けられた状態を示す平面図である。バッテリは、複数のセルユニット10を備えている。これら複数のセルユニット10においては、隣り合うセルユニット10の正極と負極が隣り合うように複数配列される。そして、これら複数のセルユニット10は、隣り合う正極と負極が、端子として機能するバスバ11によって電気的に接続されることで直列に接続されるように構成される。
【0024】
ここで、
図2を参照して、セルユニット10について説明する。
図2はセルユニットのいくつかの例を示した平面図である。セルユニット10は、単一セルまたは並列接続される複数のセルにより構成される。
図2(a)は、セルユニット10が単一のセル10aにより構成される場合を示している。この場合、隣り合うセル10aの正極と負極が端子であるバスバ11により接続される。なお、複数配列されるセルユニット10(ここでは、セル10a)のうち最も端に設けられるセルユニット10については、正極又は負極の一方に、隣り合うセルユニット10と接続されないバスバ11が設けられ、他方には隣り合うセルユニット10と接続されるバスバ11が設けられる。
【0025】
図2(b)は、セルユニット10が2つのセル10a,10bにより構成される場合を示している。この場合、2つのセル10a,10bが、バスバ11によって並列接続されることで、セルユニット10が構成される。そして、2つのセル10a,10bからなるセルユニット10の正極と負極が端子であるバスバ11により接続される。なお、複数配列されるセルユニット10のうち最も端に設けられるセルユニット10については、正極又は負極の一方に、隣り合うセルユニット10と接続されないバスバ11が設けられ、他方には隣り合うセルユニット10と接続されるバスバ11が設けられる。
【0026】
図2(c)は、セルユニット10が3つのセル10a,10b,10cにより構成される場合を示している。この場合、3つのセル10a,10b,10cが、バスバ11によって並列接続されることで、セルユニット10が構成される。そして、3つのセル10a,10b,10cからなるセルユニット10の正極と負極が端子であるバスバ11により接続される。なお、複数配列されるセルユニット10のうち最も端に設けられるセルユニット10については、正極又は負極の一方に、隣り合うセルユニット10と接続されないバスバ11が設けられ、他方には隣り合うセルユニット10と接続されるバスバ11が設けられる。セルユニット10が、4つ以上のセルにより構成される場合にも、同様の構成により電気的に接続される。
【0027】
セルユニット10の正極及び負極のうちの少なくともいずれか一方に接続されるバスバ11(端子)の電位について、低い方から高い方に、順に、V(0),V(1),V(2),V(3),…,V(2n-3),V(2n-2),V(2n-1),V(2n)とする。なお、nは整数である。各図においては、電位について、V()を省略して、()内の数字のみを記載している。
図1に示すように、バスバ11の電位は、セルユニットの配列方向(
図1においては、上から下方向)に向かうにつれて、配列方向と垂直な幅方向の両側に交互に順に高くなるように構成される。
【0028】
このように構成されるバッテリの上部にバッテリ監視モジュールが取り付けられる。バッテリ監視モジュールは、フレキシブルプリント配線板(以下、「FPC100」と称する)と、コネクタ150とを備えている。コネクタ150は、FPC100の縁のうち、セルユニット10の配列方向の一方側の縁部に取り付けられる。
図1においては、コネクタ150について、その外形のみを点線にて示している。本実施例においては、コネクタ150は、FPC100のうち上記配列方向の一方の最先端の縁部に取り付けられる。なお、コネクタ150は、FPCの縁部に取り付け可能な各種公知技術を採用し得るので、
その詳細な説明は省略する。
【0029】
バッテリ監視モジュールが電気自動車に搭載される電圧監視装置に用いられる場合には、コネクタ150は、ECU50に設けられるコネクタ51に接続される。なお、
図1においては、バッテリ監視モジュールの要部の構成のみを示している。一般的に、バッテリ監視モジュールは、FPCを固定するためのケースやバッテリ(セル)の温度を測定するための温度センサなども備えられるが、
図1では省略している。
【0030】
<FPC>
FPC100について、特に
図3を参照して、より詳細に説明する。FPC100は、ベースフィルムの一方の面にのみ複数の配線を構成する導体(銅箔等)を有する片面FPCである。
図3は本発明の実施例1に係るFPCの要部の拡大図(平面図の一部を拡大した図)である。図中、内部に設けられる配線について、点線にて示している。
【0031】
本実施例に係るFPC100は、幹部110と、幹部110から枝分かれするように設けられる第1の枝部120及び第2の枝部130と、折り曲げ部140と、を備えている。各部の内部においては、金属箔(銅箔等)がエッチングされることにより形成される複数の配線102が設けられている。幹部110の端部においては、複数の配線102が露出されている。この幹部110の端部にコネクタ150が設けられ、コネクタ150に備えられる複数の端子(不図示)と、露出された複数の配線102とが電気的にそれぞれ接続される。
【0032】
本実施例においては、第1の枝部120は、電位がV(0),V(2),…,V(2n-2),V(2n)となるバスバ11の付近に配される。また、第2の枝部130は、電位がV(1),V(3),…,V(2n-3),V(2n-1)となるバスバ11の付近に配される。
【0033】
図3においては、電位がV(0)~V(3)とV(2N-3)~V(2N)となるバスバ11に接続される配線102のみを示し、電位がV(4)~V(2N-4)となるバスバ11に接続される配線102は省略している。
【0034】
そして、複数の配線102は、各配線の一端が、電位がV(0),V(2),…,V(2n-2),V(2n)となるバスバ11にそれぞれ接続される第1の配線群を有している。第1の配線群を構成する各配線については、図では配線102aで示している。また、複数の配線102は、各配線の一端が、電位がV(1),V(3),…,V(2n-3),V(2n-1)となるバスバ11にそれぞれ接続される第2の配線群を有している。第2の配線群を構成する各配線については、図では配線102bで示している。更に、複数の配線102は、各配線の一端が、FPC100におけるセルユニット10の配列方向の一方側の縁部(コネクタ150が設けられる部分)に配される第3の配線群を有している。なお、「FPC100におけるセルユニット10の配列方向の一方側の縁部」は、本実施例の場合には、FPC100の長手方向の一方の端部に相当する。第3の配線群を構成する各配線については、図では配線102cで示している。なお、配線とバスバ11との電気的な接続については、半田等を用いて直接的に接続してもよいし、他の部材(不図示のケースに設けられる導体等)を介して間接的に接続してもよいことは言うまでもない。下記の各実施例においても同様である。
【0035】
そして、第2の配線群における各配線102bの他端は、FPC100におけるセルユニット10の配列方向の一方側の縁部に配されるように構成されている。また、第1の配線群における各配線102aの他端は、FPC100における折り曲げ予定領域140X内に配されている。ここで、
図3(a)はFPC100において折り曲げ加工を施す前の
状態における平面図の一部を拡大した図を示している。また、
図3(b)はFPC100において折り曲げ加工を施し、かつ、配線102の端部同士を電気的に接続する加工を施した後の状態における平面図の一部を拡大した図を示している。
図3(a)中の2点鎖線L1を折り曲げ線として折り曲げることで、上述の折り曲げ部140が得られる。従って、
図3(a)において、後に折り曲げ部140となる領域が上記の「折り曲げ予定領域140X」に相当する。
【0036】
図3(a)に示すように、第1の配線群における各配線102aの他端は、点PB0,PB2,・・・,PB2n-2,PB2nにて示されている。また、第3の配線群における各配線102cの他端は、点PA0,PA2,・・・,PA2n-2,PA2nにて示されている。
【0037】
本実施例に係るFPC100においては、折り曲げ予定領域140Xが折り曲げられて、第1の配線群における各配線102aの他端と第3の配線群における各配線102cの他端がそれぞれ電気的に接続される。
図3(b)に示すように、これら各配線が電気的に接続された電気的接続部は、点PAB0,PAB2,・・・,PAB2n-2,PAB2nにて示されている。以上の構成により、FPC100におけるセルユニット10の配列方向の一方側の縁部(コネクタ150が設けられる部分)に配される複数の配線の電位について、V(0),V(1),V(2),V(3),…,V(2n-3),V(2n-2),V(2n-1),V(2n)の順に並ぶようにすることができる。
【0038】
<電気的接続部>
第1の配線群における各配線102aの他端と第3の配線群における各配線102cの他端とを電気的に接続する技術については、各種公知技術を採用することができる。以下、
図4を参照して、2種類の電気的接続部の構成について説明する。なお、
図4に示す模式的断面図は、
図3(b)中のAA断面図に相当する。
【0039】
まず、
図4(a)に示す電気的接続部の構成について説明する。FPC100は、ベースフィルム101と、ベースフィルム101の一方の面に設けられる複数の配線102と、複数の配線102を覆うカバーフィルム103とを備えている。複数の配線102は、金属箔(銅箔等)がエッチングされることにより得られる。複数の配線102が形成された後に、カバーフィルム103がベースフィルム101及び複数の配線102上に接合される。図では省略しているが、カバーフィルム103とベースフィルム101等の間には接着剤層が設けられる。
【0040】
カバーフィルム103のうち、第1の配線群における各配線102aの他端付近と、第3の配線群における各配線102cの他端付近に開口部が設けられている。これにより、第1の配線群における各配線102aの他端(より具体的には他方の先端付近)と、第3の配線群における各配線102cの他端(より具体的には他方の先端付近)は露出している。そして、上記の通り、折り曲げ予定領域が折り曲げられた状態で、配線102aの露出した部分と、配線102cの露出した部分とが半田部210により電気的に接続されている。
【0041】
上記の電気的接続部においては、例えば、半田メッキを施した後にホットプレスにより加熱することで半田部210を得ることができる。勿論、他の工法(レーザー半田やリフロー)により半田部210を設けてもよい。
【0042】
なお、電気接続部を目視で確認できるように、FPC100のうち半田部210が設けられる部分に貫通孔を設けることもできる。また、折り曲げ部140がスプリングバックにより元に戻ってしまわないようにし、かつ、絶縁性をより高めるために、半田部210
付近において、カバーフィルム103同士を接着剤(粘着剤)310などにより接着(粘着)する構成を採用するのが望ましい。更に、FPC100に外力が作用した際に電気的接続部に応力が作用することを抑制するために、FPC100における電気的接続部の真裏の位置に補強部材400を接着剤(粘着剤)320によって接合するのが望ましい。これにより、剛性が高まるため、耐振動性も向上する。なお、この補強部材を不図示のケースに固定すれば、より一層、耐振動性が向上する。補強部材については、板状の部材を採用することもできるし、フィルム状の部材を採用することもできる。
【0043】
次に、
図4(b)に示す電気的接続部の構成について説明する。FPC100の構成については上記の通りである。
図4(b)に示す構成においては、カバーフィルム103のうち、第1の配線群における各配線102aの他端付近が欠如され、かつ、第3の配線群における各配線102cの他端付近に開口部が設けられている。これにより、第1の配線群における各配線102aの他端(より具体的には他方の先端を含む付近)と、第3の配線群における各配線102cの他端(より具体的には他方の先端付近)は露出している。そして、上記の通り、折り曲げ予定領域が折り曲げられた状態で、配線102aの露出した部分と、配線102cの露出した部分とが半田部220により電気的に接続されている。半田部220を設ける方法については、上記の通りである。このような構成を採用すれば、電気的接続部を目視で容易に確認することができる。
【0044】
なお、短絡や電気的接続部の劣化を抑制するために、半田部220は樹脂材料などの絶縁性の材料によってコーティングするのが望ましい(コーティング部510参照)。このコーティング部510によって、折り曲げ部140がスプリングバックによって元の形状に戻ってしまうことを抑制する効果もある。また、半田部220付近において、カバーフィルム103同士を接着剤(粘着剤)310などにより接着(粘着)する構成を採用するのが望ましい点については、上述の通りである。更に、FPC100における電気的接続部の真裏の位置に補強部材400を接着剤(粘着剤)320によって接合するのが望ましい点についても、上述の通りである。
【0045】
<本実施例に係るバッテリ監視モジュールの優れた点>
本実施例に係るバッテリ監視モジュールによれば、ベースフィルム101の一方の面にのみ複数の配線102を有する片面FPCを用いて、配線の並び方を変更することができる。このように、本実施例では、両面FPCを用いる必要がなく、配線の並び方を変更することができる。また、コネクタ150は、FPC100の縁部に取り付けることができる。従って、一般的な各種公知のコネクタを採用することができる。以上より、コストの低減を図ることができる。
【0046】
また、FPC100における隣り合う配線間、及び、コネクタ150における隣り合う端子間の電位差を小さくすることができる。従って、マイグレーションなどによる短絡の発生を抑制することができる。また、ECU50に設けられるコネクタ51における隣り合う端子間の電位差も小さくなり、かつ、ECU50における回路基板を簡略化することもできる。
【0047】
なお、FPC100に設けられる複数の配線102については、バッテリの電極に電気的に接続(バスバ11を介して電気的に接続)する目的以外の目的で用いられる配線を有する構成を採用することもできる。すなわち、第1~第3の配線群をそれぞれ構成する配線以外の配線を有する構成を採用することもできる。この場合、バッテリの電極に接続する目的以外の目的で用いられる配線が、バッテリの電極に接続される複数の配線の間に設けられても構わない。そして、バッテリの電極に接続する目的以外の目的で用いられる配線の電位と、バッテリの電極に接続される複数の配線の電位との関係については、特に限定されることはない。一般的に、バッテリ監視モジュールにおいては、電圧測定用の配線
以外にも温度測定用の配線も設けられており、温度測定用の配線の電位は、電圧測定用の配線の電位に比べて小さくなる。この温度測定用の配線を電圧測定用の配線の間に設ける場合には、マイグレーションなどの発生を抑制するために、配線間の距離を十分長くするのが望ましい。従って、例えば、温度測定用の配線を、電位がV(2)となる配線とV(3)となる配線との間に設ける場合には、温度測定用の配線と電位がV(2)となる配線との間と、温度測定用の配線と電位がV(3)となる配線との間の距離を広くするとよい。
【0048】
なお、本実施例においては、第2の配線群における各配線102bの他端が、FPC100におけるセルユニット10の配列方向の一方側の縁部(FPC100の長手方向の一方の端部)に配され、第1の配線群における各配線102aの他端が、FPC100における折り曲げ予定領域140X内に配される構成を示した。そして、本実施例においては、折り曲げ予定領域140Xが折り曲げられて、第1の配線群における各配線102aの他端と第3の配線群における各配線102cの他端がそれぞれ電気的に接続される構成を示した。
【0049】
しかしながら、第1の配線群における各配線の他端が、FPC100におけるセルユニット10の配列方向の一方側の縁部に配され、第2の配線群における各配線の他端が、FPC100における折り曲げ予定領域内に配される構成を採用することもできる。この場合、折り曲げ予定領域が折り曲げられて、第2の配線群における各配線の他端と第3の配線群における各配線の他端がそれぞれ電気的に接続される構成が採用されることは言うまでもない。
【0050】
(実施例2)
図5~
図7を参照して、本発明の実施例2に係るバッテリ監視モジュールについて説明する。本実施例に係るバッテリ監視モジュールにおいても、例えば、電気自動車などに搭載されるバッテリの電圧を監視するための電圧監視装置に好適に設けられる。なお、本実施例においても、各図においては、電位について、V()を省略して、()内の数字のみを記載している。
【0051】
バッテリ監視モジュールの基本的な構成については、実施例1で説明した通りである。本実施例においては、FPC100Aの構成が、実施例1で示したFPC100の構成とは異なっている。
【0052】
<FPC>
FPC100Aについて、特に
図5及び
図6を参照して説明する。FPC100Aは、ベースフィルムの一方の面にのみ複数の配線を構成する導体(銅箔等)を有する片面FPCである。
図5及び
図6は本発明の実施例2に係るFPCの要部の拡大図(平面図の一部を拡大した図)である。図中、内部に設けられる配線について、点線にて示している。
【0053】
本実施例に係るFPC100Aは、幹部110Aと、幹部110Aから枝分かれするように設けられる第1の枝部120A及び第2の枝部130Aと、折り曲げ部140Aと、を備えている。各部の内部においては、金属箔(銅箔等)がエッチングされることにより形成される複数の配線102が設けられている。幹部110Aの端部においては、複数の配線102が露出されている。実施例1と同様に、この幹部110Aの端部にコネクタが設けられ、コネクタに備えられる複数の端子と、露出された複数の配線102とが電気的にそれぞれ接続される。
【0054】
本実施例においては、第1の枝部120Aは、バッテリのうち、電位がV(0),V(2),…,V(2n-2),V(2n)となるバスバ11の付近に配される。また、第2
の枝部130Aは、バッテリのうち、電位がV(1),V(3),…,V(2n-3),V(2n-1)となるバスバ11の付近に配される。
【0055】
なお、一般的に、バッテリ監視モジュールにおいては、多数のセルユニットが設けられ、上記nは大きな数字となるが、本実施例では便宜上、n=5の場合を例に説明する。また、実施例1では、図中右側に第1の枝部120が設けられ、左側に第2の枝部130が設けられるのに対して、本実施例では、図中左側に第1の枝部120Aが設けられ、右側に第2の枝部130Aが設けられる。特に図示はしないが、本実施例の場合には、
図1において、左側の各バスバ11の電位がV(0),V(2),…,V(8),V(10)となり、右側の各バスバ11の電位がV(1),V(3),V(5),V(7),V(9)となるように、複数のセルユニット及びバスバ11が構成される。
【0056】
本実施例においても、複数の配線102は、各配線の一端が、電位がV(0),V(2),…,V(8),V(10)となるバスバ11にそれぞれ接続される第1の配線群を有している。第1の配線群を構成する各配線については、図では配線102aで示している。また、複数の配線102は、各配線の一端が、電位がV(1),V(3),V(5),V(7),V(9)となるバスバ11にそれぞれ接続される第2の配線群を有している。第2の配線群を構成する各配線については、図では配線102bで示している。更に、複数の配線102は、各配線の一端が、FPC100Aにおけるセルユニット10の配列方向の一方側の縁部(コネクタ150が設けられる部分)に配される第3の配線群を有している。第3の配線群を構成する各配線については、図では配線102cで示している。配線とバスバ11との電気的な接続については、実施例1で説明した通りである。
【0057】
そして、第1の配線群における各配線102aの他端は、FPC100Aにおけるセルユニット10の配列方向の一方側の縁部(コネクタ150が設けられる部分)に配されるように構成されている。また、第2の配線群における各配線102bの他端は、FPC100Aにおける折り曲げ予定領域140XA内に配されている。ここで、
図5はFPC100Aにおいて折り曲げ加工を施す前の状態における平面図の一部を拡大した図を示している。また、
図6(a)はFPC100Aにおいて1回目の折り曲げ加工を施した状態における平面図の一部を拡大した図を示している。更に、
図6(b)はFPC100Aにおいて2回目の折り曲げ加工を施し、かつ、配線102の端部同士を電気的に接続する加工を施した後の状態における平面図の一部を拡大した図を示している。
【0058】
本実施例においては、二か所の折り曲げ線L2,L3により2回折り曲げられる。すなわち、
図5中、折り曲げ線L2により1回目の折り曲げ加工が行われた後に、折り曲げ線L3により2回目の折り曲げ加工が行われる。これにより、上述の折り曲げ部140Aが得られる。従って、
図5において、後に折り曲げ部140Aとなる領域が上記の「折り曲げ予定領域140XA」に相当する。
【0059】
図5及び
図6(a)に示すように、第2の配線群における各配線102bの他端は、点PB1,PB3,PB5,PB7,PB9にて示されている。また、第3の配線群における各配線102cの他端は、点PA1,PA3,PA5,PA7,PA9にて示されている。
【0060】
本実施例に係るFPC100Aにおいては、折り曲げ予定領域140XAが折り曲げられて、第2の配線群における各配線102bの他端と第3の配線群における各配線102cの他端がそれぞれ電気的に接続される。
図6(b)に示すように、これら各配線が電気的に接続された電気的接続部は、点PAB1,PAB3,PAB5,PAB7,PAB9にて示されている。以上の構成により、FPC100Aにおけるセルユニット10の配列方向の一方側の縁部(コネクタ150が設けられる部分)に配される複数の配線の電位に
ついて、V(0),V(1),V(2),…,V(8),V(9),V(10)の順に並ぶようにすることができる。
【0061】
<電気的接続部>
第2の配線群における各配線102bの他端と第3の配線群における各配線102cの他端とを電気的に接続する技術については、各種公知技術を採用することができる。以下、
図7を参照して、2種類の電気的接続部の構成について説明する。なお、
図7に示す模式的断面図は、
図6(b)中のBB断面図に相当する。
【0062】
まず、
図7(a)に示す電気的接続部の構成について説明する。FPC100Aの構成については、実施例1で説明した通りであるので、その説明は省略する。
【0063】
図7(a)に示す構成においては、カバーフィルム103のうち、第3の配線群における各配線102cの他端付近に開口部が設けられている。また、FPC100Aのうち、第2の配線群における各配線102bの他端付近に貫通孔が設けられている。これにより、第2の配線群における各配線102bの他端(より具体的には他方の先端付近)と、第3の配線群における各配線102cの他端(より具体的には他方の先端付近)は露出している。そして、上記の通り、折り曲げ予定領域が折り曲げられた状態で、配線102bの露出した部分と、配線102cの露出した部分とが半田部230により電気的に接続されている。半田部230を設ける方法については、実施例1で説明した通りである。本実施例の場合、配線102bの上面側が露出するため、実施例1に比べると半田付けが容易で電気的接続部の目視もし易いという利点がある。
【0064】
なお、短絡や電気的接続部の劣化を抑制するために、半田部230は樹脂材料などの絶縁性の材料によってコーティングするのが望ましい(コーティング部520参照)。また、折り曲げ部140Aがスプリングバックにより元に戻ってしまわないようにし、かつ、絶縁性をより高めるために、半田部230付近において、カバーフィルム103同士を接着剤(粘着剤)311などにより接着(粘着)し、かつカバーフィルム103とベースフィルム101同士を接着剤(粘着剤)312などにより接着(粘着)する構成を採用するのが望ましい。また、FPC100Aに外力が作用した際に電気的接続部に応力が作用することを抑制するために、FPC100Aにおける電気的接続部の真裏の位置に補強部材400を接着剤(粘着剤)320によって接合するのが望ましい。これにより、剛性が高まるため、耐振動性も向上する。なお、この補強部材を不図示のケースに固定すれば、より一層、耐振動性が向上する。補強部材については、板状の部材を採用することもできるし、フィルム状の部材を採用することもできる。
【0065】
次に、
図7(b)に示す電気的接続部の構成について説明する。FPC100Aの構成については上記の通りである。
図7(b)に示す構成においては、カバーフィルム103のうち、第2の配線群における各配線102bの他端付近が欠如され、かつ、第3の配線群における各配線102cの他端付近に開口部が設けられている。これにより、第2の配線群における各配線102bの他端(より具体的には他方の先端を含む付近)と、第3の配線群における各配線102cの他端(より具体的には他方の先端付近)は露出している。そして、上記の通り、折り曲げ予定領域が折り曲げられた状態で、配線102bの露出した部分と、配線102cの露出した部分とが半田部240により電気的に接続されている。半田部240を設ける方法については、上記の通りである。このような構成を採用すれば、電気的接続部を目視で容易に確認することができる。
【0066】
なお、短絡や電気的接続部の劣化を抑制するために、半田部240は樹脂材料などの絶縁性の材料によってコーティングするのが望ましい(コーティング部530参照)。このコーティング部530によって、折り曲げ部140がスプリングバックによって元の形状
に戻ってしまうことを抑制する効果もある。また、半田部240付近において、カバーフィルム103同士を接着剤(粘着剤)311などにより接着(粘着)し、かつカバーフィルム103とベースフィルム101同士を接着剤(粘着剤)312などにより接着(粘着)する構成を採用するのが望ましい点については、上述の通りである。更に、FPC100Aにおける電気的接続部の真裏の位置に補強部材400を接着剤(粘着剤)320によって接合するのが望ましい点についても、上述の通りである。
【0067】
以上のように構成される本実施例に係るバッテリ監視モジュールにおいても、上記実施例1と同様の効果を得ることができる。FPC100Aに設けられる複数の配線102について、バッテリの電極に電気的に接続する目的以外の目的で用いられる配線を有する構成を採用することができる点については、実施例1と同様である。
【0068】
なお、本実施例においては、第1の配線群における各配線102aの他端が、FPC100Aにおけるセルユニット10の配列方向の一方側の縁部に配され、第2の配線群における各配線102bの他端が、FPC100Aにおける折り曲げ予定領域140XA内に配される構成を示した。そして、本実施例においては、折り曲げ予定領域140XAが折り曲げられて、第2の配線群における各配線102bの他端と第3の配線群における各配線102cの他端がそれぞれ電気的に接続される構成を示した。
【0069】
しかしながら、第2の配線群における各配線の他端が、FPC100Aにおけるセルユニット10の配列方向の一方側の縁部に配され、第1の配線群における各配線の他端が、FPC100Aにおける折り曲げ予定領域内に配される構成を採用することもできる。この場合、折り曲げ予定領域が折り曲げられて、第1の配線群における各配線の他端と第3の配線群における各配線の他端がそれぞれ電気的に接続される構成が採用されることは言うまでもない。
【0070】
(実施例3)
図8を参照して、本発明の実施例3に係るバッテリ監視モジュールについて説明する。本実施例に係るバッテリ監視モジュールにおいても、例えば、電気自動車などに搭載されるバッテリの電圧を監視するための電圧監視装置に好適に設けられる。なお、本実施例においても、
図8においては、電位について、V()を省略して、()内の数字のみを記載している。
【0071】
バッテリ監視モジュールの基本的な構成については、実施例1で説明した通りである。本実施例においては、FPC100Bの構成が、実施例1で示したFPC100の構成とは異なっている。
【0072】
<FPC>
FPC100Bについて、
図8を参照して説明する。FPC100Bは、ベースフィルムの一方の面にのみ複数の配線を構成する導体(銅箔等)を有する片面FPCである。
図8は本発明の実施例3に係るFPCの平面図である。図中、内部に設けられる配線について、点線にて示している。
【0073】
本実施例に係るFPC100Bは、幹部110Bと、幹部110Bから枝分かれするように設けられる複数のバスバ接続用タブ部115Bと、折り曲げ部140Bと、を備えている。各部の内部においては、金属箔(銅箔等)がエッチングされることにより形成される複数の配線102が設けられている。幹部110Bの端部においては、複数の配線102が露出されている。実施例1と同様に、この幹部110Bの端部にコネクタが設けられ、コネクタに備えられる複数の端子と、露出された複数の配線102とが電気的にそれぞれ接続される。
【0074】
本実施例においては、幹部110Bが複数のセルユニットにより構成されるバッテリの上部に配されて、複数のバスバ接続用タブ部115Bが、それぞれ電位がV(0),V(1),…,V(2n-1),V(2n)となるバスバ11の上部に配される。
【0075】
なお、一般的に、バッテリ監視モジュールにおいては、多数のセルユニットが設けられ、上記nは大きな数字となるが、本実施例では便宜上、n=2の場合を例に説明する。特に図示はしないが、本実施例の場合には、
図1において、左側の各バスバ11の電位がV(0),V(2),V(4)となり、右側の各バスバ11の電位がV(1),V(3)となるように、複数のセルユニット及びバスバ11が構成される。
【0076】
本実施例においても、複数の配線102は、各配線の一端が、電位がV(0),V(2),V(4)となるバスバ11にそれぞれ接続される第1の配線群を有している。第1の配線群を構成する各配線については、図では配線102aで示している。また、複数の配線102は、各配線の一端が、電位がV(1),V(3)となるバスバ11にそれぞれ接続される第2の配線群を有している。第2の配線群を構成する各配線については、図では配線102bで示している。更に、複数の配線102は、各配線の一端が、FPC100Bにおけるセルユニット10の配列方向の一方側の縁部(コネクタ150が設けられる部分)に配される第3の配線群を有している。第3の配線群を構成する各配線については、図では配線102cで示している。配線とバスバ11との電気的な接続については、実施例1で説明した通りである。
【0077】
そして、第1の配線群における各配線102aの他端は、FPC100Bにおけるセルユニット10の配列方向の一方側の縁部(コネクタ150が設けられる部分)に配されるように構成されている。また、第2の配線群における各配線102bの他端は、FPC100Bにおける折り曲げ予定領域140XB内に配されている。ここで、
図8(a)はFPC100Bにおいて折り曲げ加工を施す前の状態における平面図を示している。また、
図8(b)はFPC100Bにおいて折り曲げ加工を施し、かつ、配線102の端部同士を電気的に接続する加工を施した後の状態における平面図を示している。
【0078】
本実施例においては、一か所の折り曲げ線L4により折り曲げ加工が行われる。これにより、上述の折り曲げ部140Bが得られる。従って、
図8(a)において、後に折り曲げ部140Bとなる領域が上記の「折り曲げ予定領域140XB」に相当する。
【0079】
図8(a)に示すように、第2の配線群における各配線102bの他端は、点PB1,PB3にて示されている。また、第3の配線群における各配線102cの他端は、点PA1,PA3にて示されている。
【0080】
本実施例に係るFPC100Bにおいては、折り曲げ予定領域140XBが折り曲げられて、第2の配線群における各配線102bの他端と第3の配線群における各配線102cの他端がそれぞれ電気的に接続される。
図8(b)に示すように、これら各配線が電気的に接続された電気的接続部は、点PAB1,PAB3にて示されている。以上の構成により、FPC100Bにおけるセルユニット10の配列方向の一方側の縁部(コネクタ150が設けられる部分)に配される複数の配線の電位について、V(0),V(1),V(2),V(3),V(4)の順に並ぶようにすることができる。
【0081】
第2の配線群における各配線102bの他端と第3の配線群における各配線102cの他端との電気的接続部については、上記実施例1で説明した通りであるので、その説明は省略する。
【0082】
以上のように構成される本実施例に係るバッテリ監視モジュールにおいても、上記実施例1と同様の効果を得ることができる。FPC100Bに設けられる複数の配線102について、バッテリの電極に電気的に接続する目的以外の目的で用いられる配線を有する構成を採用することができる点については、実施例1と同様である。
【0083】
なお、本実施例においては、第1の配線群における各配線102aの他端が、FPC100Bにおけるセルユニット10の配列方向の一方側の縁部に配され、第2の配線群における各配線102bの他端が、FPC100Bにおける折り曲げ予定領域内に配される構成を示した。そして、本実施例においては、折り曲げ予定領域140XBが折り曲げられて、第2の配線群における各配線102bの他端と第3の配線群における各配線102cの他端がそれぞれ電気的に接続される構成を示した。
【0084】
しかしながら、第2の配線群における各配線の他端が、FPC100Bにおけるセルユニット10の配列方向の一方側の縁部に配され、第1の配線群における各配線の他端が、FPC100Bにおける折り曲げ予定領域内に配される構成を採用することもできる。この場合、折り曲げ予定領域が折り曲げられて、第1の配線群における各配線の他端と第3の配線群における各配線の他端がそれぞれ電気的に接続される構成が採用されることは言うまでもない。
【0085】
(実施例4)
図9を参照して、本発明の実施例4に係るバッテリ監視モジュールについて説明する。本実施例に係るバッテリ監視モジュールにおいても、例えば、電気自動車などに搭載されるバッテリの電圧を監視するための電圧監視装置に好適に設けられる。なお、本実施例においても、
図9においては、電位について、V()を省略して、()内の数字のみを記載している。
【0086】
バッテリ監視モジュールの基本的な構成については、実施例1で説明した通りである。本実施例においては、FPC100Cの構成が、実施例1で示したFPC100の構成とは異なっている。
【0087】
<FPC>
FPC100Cについて、
図9を参照して説明する。FPC100Cは、ベースフィルムの一方の面にのみ複数の配線を構成する導体(銅箔等)を有する片面FPCである。
図9は本発明の実施例4に係るFPCの平面図である。図中、内部に設けられる配線について、点線にて示している。
【0088】
本実施例に係るFPC100Cは、幹部110Cと、幹部110Cから枝分かれするように設けられる複数のバスバ接続用タブ部115Cと、複数の折り曲げ部140Cと、を備えている。各部の内部においては、金属箔(銅箔等)がエッチングされることにより形成される複数の配線102が設けられている。幹部110Cの端部においては、複数の配線102が露出されている。実施例1と同様に、この幹部110Cの端部にコネクタが設けられ、コネクタに備えられる複数の端子と、露出された複数の配線102とが電気的にそれぞれ接続される。
【0089】
本実施例においては、幹部110Cが複数のセルユニットによる構成されるバッテリの上部に配されて、複数のバスバ接続用タブ部115Cが、それぞれ電位がV(0),V(1),…,V(2n-1),V(2n)となるバスバ11の上部に配される。
【0090】
なお、一般的に、バッテリ監視モジュールにおいては、多数のセルユニットが設けられ、上記nは大きな数字となるが、本実施例では便宜上、n=2の場合を例に説明する。特
に図示はしないが、本実施例の場合には、
図1において、左側の各バスバ11の電位がV(0),V(2),V(4)となり、右側の各バスバ11の電位がV(1),V(3)となるように、複数のセルユニット及びバスバ11が構成される。
【0091】
本実施例においても、複数の配線102は、各配線の一端が、電位がV(0),V(2),V(4)となるバスバ11にそれぞれ接続される第1の配線群を有している。第1の配線群を構成する各配線については、図では配線102aで示している。また、複数の配線102は、各配線の一端が、電位がV(1),V(3)となるバスバ11にそれぞれ接続される第2の配線群を有している。第2の配線群を構成する各配線については、図では配線102bで示している。更に、複数の配線102は、各配線の一端が、FPC100Cにおけるセルユニット10の配列方向の一方側の縁部(コネクタ150が設けられる部分)に配される第3の配線群を有している。第3の配線群を構成する各配線については、図では配線102cで示している。配線とバスバ11との電気的な接続については、実施例1で説明した通りである。
【0092】
そして、第1の配線群における各配線102aの他端は、FPC100Cにおけるセルユニット10の配列方向の一方側の縁部(コネクタ150が設けられる部分)に配されるように構成されている。また、第2の配線群における各配線102bの他端は、FPC100Cにおける折り曲げ予定領域140XC内に配されている。ここで、
図9(a)はFPC100Cにおいて折り曲げ加工を施す前の状態における平面図を示している。また、
図9(b)はFPC100Bにおいて折り曲げ加工を施し、かつ、配線102の端部同士を電気的に接続する加工を施した後の状態における平面図を示している。
【0093】
本実施例においては、各折り曲げ線L5により折り曲げ加工が行われる。これにより、上述の複数の折り曲げ部140Cが得られる。従って、
図9(a)において、後に折り曲げ部140Cとなる領域が上記の「折り曲げ予定領域140XC」に相当する。本実施例の場合には、第2の配線群における各配線102bに対して、それぞれ個別に折り曲げ予定領域140XCが設けられている。
【0094】
図9(a)に示すように、第2の配線群における各配線102bの他端は、点PB1,PB3にて示されている。また、第3の配線群における各配線102cの他端は、点PA1,PA3にて示されている。
【0095】
本実施例に係るFPC100Cにおいては、それぞれの折り曲げ予定領域140XCが折り曲げられて、第2の配線群における各配線102bの他端と第3の配線群における各配線102cの他端がそれぞれ電気的に接続される。
図9(b)に示すように、これら各配線が電気的に接続された電気的接続部は、点PAB1,PAB3にて示されている。以上の構成により、FPC100Cにおけるセルユニット10の配列方向の一方側の縁部(コネクタ150が設けられる部分)に配される複数の配線の電位について、V(0),V(1),V(2),V(3),V(4)の順に並ぶようにすることができる。
【0096】
第2の配線群における各配線102bの他端と第3の配線群における各配線102cの他端との電気的接続部については、上記実施例1で説明した通りであるので、その説明は省略する。
【0097】
以上のように構成される本実施例に係るバッテリ監視モジュールにおいても、上記実施例1と同様の効果を得ることができる。FPC100Cに設けられる複数の配線102について、バッテリの電極に電気的に接続する目的以外の目的で用いられる配線を有する構成を採用することができる点については、実施例1と同様である。
【0098】
なお、本実施例においては、第1の配線群における各配線102aの他端が、FPC100Cにおけるセルユニット10の配列方向の一方側の縁部に配され、第2の配線群における各配線102bの他端が、FPC100Cにおける各折り曲げ予定領域140XC内に配される構成を示した。そして、本実施例においては、各折り曲げ予定領域140XCが全て折り曲げられて、第2の配線群における各配線102bの他端と第3の配線群における各配線102cの他端がそれぞれ電気的に接続される構成を示した。
【0099】
しかしながら、第2の配線群における各配線の他端が、FPC100Cにおけるセルユニット10の配列方向の一方側の縁部に配され、第1の配線群における各配線の他端が、FPC100Cにおける複数の折り曲げ予定領域内にそれぞれ配される構成を採用することもできる。この場合、複数の折り曲げ予定領域が全て折り曲げられて、第1の配線群における各配線の他端と第3の配線群における各配線の他端がそれぞれ電気的に接続される構成が採用されることは言うまでもない。
【0100】
(実施例5)
図10を参照して、本発明の実施例5に係るバッテリ監視モジュールについて説明する。本実施例に係るバッテリ監視モジュールにおいても、例えば、電気自動車などに搭載されるバッテリの電圧を監視するための電圧監視装置に好適に設けられる。なお、本実施例においても、
図10においては、電位について、V()を省略して、()内の数字のみを記載している。
【0101】
バッテリ監視モジュールの基本的な構成については、実施例1で説明した通りである。本実施例においては、FPC100Dの構成が、実施例1で示したFPC100の構成とは異なっている。
【0102】
<FPC>
FPC100Dについて、
図10を参照して説明する。FPC100Dは、ベースフィルムの一方の面にのみ複数の配線を構成する導体(銅箔等)を有する片面FPCである。
図10は本発明の実施例5に係るFPCの平面図である。図中、内部に設けられる配線について、点線にて示している。
【0103】
本実施例に係るFPC100Dは、幹部110Dと、幹部110Dから枝分かれするように設けられる第1の枝部120D及び第2の枝部130Dと、折り曲げ部140Dと、を備えている。各部の内部においては、金属箔(銅箔等)がエッチングされることにより形成される複数の配線102が設けられている。幹部110Dの端部においては、複数の配線102が露出されている。この幹部110Dの端部にコネクタ150が設けられ、コネクタ150に備えられる複数の端子(不図示)と、露出された複数の配線102とが電気的にそれぞれ接続される。
【0104】
本実施例においては、第1の枝部120Dは、バッテリのうち、電位がV(0),V(2),…,V(2n-2),V(2n)となるバスバ11の付近に配される。また、第2の枝部130Dは、バッテリのうち、電位がV(1),V(3),…,V(2n-3),V(2n-1)となるバスバ11の付近に配される。
【0105】
図10においては、電位がV(0)~V(3)とV(2N-3)~V(2N)となるバスバ11に接続される配線102のみを示し、電位がV(4)~V(2N-4)となるバスバ11に接続される配線102は省略している。
【0106】
そして、複数の配線102は、各配線の一端が、電位がV(0),V(2),…,V(2n-2),V(2n)となるバスバ11にそれぞれ接続される第1の配線群を有してい
る。第1の配線群を構成する各配線については、図では配線102aで示している。また、複数の配線102は、各配線の一端が、電位がV(1),V(3),…,V(2n-3),V(2n-1)となるバスバ11にそれぞれ接続される第2の配線群を有している。第2の配線群を構成する各配線については、図では配線102bで示している。更に、複数の配線102は、各配線の一端が、FPC100Dにおけるセルユニット10の配列方向の一方側の縁部(コネクタ150が設けられる部分)に配される第3の配線群を有している。第3の配線群を構成する各配線については、図では配線102cで示している。なお、配線とバスバ11との電気的な接続については、実施例1で説明した通りである。
【0107】
そして、第2の配線群における各配線102bの他端は、FPC100Dにおけるセルユニット10の配列方向の一方側の縁部に配されるように構成されている。また、第1の配線群における各配線102aの他端は、FPC100Dにおける折り曲げ予定領域140XD内に配されている。ここで、
図10(a)はFPC100Dにおいて折り曲げ加工を施す前の状態における平面図の一部を拡大した図を示している。また、
図10(b)はFPC100Dにおいて折り曲げ加工を施し、かつ、配線102の端部同士を電気的に接続する加工を施した後の状態における平面図の一部を拡大した図を示している。
図10(a)中の2点鎖線L6を折り曲げ線として折り曲げることで、上述の折り曲げ部140が得られる。従って、
図10(a)において、後に折り曲げ部140となる領域が上記の「折り曲げ予定領域140XD」に相当する。
【0108】
図10(a)に示すように、第1の配線群における各配線102aの他端は、点PB0,PB2,・・・,PB2n-2,PB2nにて示されている。また、第3の配線群における各配線102cの他端は、点PA0,PA2,・・・,PA2n-2,PA2nにて示されている。
【0109】
本実施例に係るFPC100Dにおいては、折り曲げ予定領域140XDが折り曲げられて、第1の配線群における各配線102aの他端と第3の配線群における各配線102cの他端がそれぞれ電気的に接続される。
図10(b)に示すように、これら各配線が電気的に接続された電気的接続部は、点PAB0,PAB2,・・・,PAB2n-2,PAB2nにて示されている。以上の構成により、FPC100Dにおけるセルユニット10の配列方向の一方側の縁部(コネクタ150が設けられる部分)に配される複数の配線の電位について、V(0),V(1),V(2),V(3),…,V(2n-3),V(2n-2),V(2n-1),V(2n)の順に並ぶようにすることができる。
【0110】
第1の配線群における各配線102aの他端と第3の配線群における各配線102cの他端との電気的接続部については、上記実施例1で説明した通りであるので、その説明は省略する。
【0111】
以上のように構成される本実施例に係るバッテリ監視モジュールにおいても、上記実施例1と同様の効果を得ることができる。FPC100Dに設けられる複数の配線102について、バッテリの電極に電気的に接続する目的以外の目的で用いられる配線を有する構成を採用することができる点については、実施例1と同様である。
【0112】
なお、本実施例においては、第2の配線群における各配線102bの他端が、FPC100Dにおけるセルユニット10の配列方向の一方側の縁部に配され、第1の配線群における各配線102aの他端が、FPC100Dにおける折り曲げ予定領域140XD内に配される構成を示した。そして、本実施例においては、折り曲げ予定領域140XDが折り曲げられて、第1の配線群における各配線102aの他端と第3の配線群における各配線102cの他端がそれぞれ電気的に接続される構成を示した。
【0113】
しかしながら、第1の配線群における各配線の他端が、FPC100Dにおけるセルユニット10の配列方向の一方側の縁部に配され、第2の配線群における各配線の他端が、FPC100Dにおける折り曲げ予定領域内に配される構成を採用することもできる。この場合、折り曲げ予定領域が折り曲げられて、第2の配線群における各配線の他端と第3の配線群における各配線の他端がそれぞれ電気的に接続される構成が採用されることは言うまでもない。
【0114】
上記実施例1~4においては、コネクタ150は、FPCのうち、セルユニット10の配列方向の一方の最先端の縁部(FPCの長手方向の一方の最先端の端部)に取り付けられる場合の構成を示した。これに対して、本実施例においては、コネクタ150は、セルユニット10の配列方向の一方の縁部であるものの、FPCの長手方向の中央付近に設けられる縁部に固定される。このように、コネクタ150が取り付けられる位置については、FPCにおけるセルユニット10の配列方向の一方の縁部であれば、FPCの長手方向の位置については限定されることはない。
【符号の説明】
【0115】
10 セルユニット
11 バスバ
50 ECU
51 コネクタ
100,100A,100B,100C,100D FPC(フレキシブルプリント配線板)
101 ベースフィルム
102,102a,102b,102c 配線
103 カバーフィルム
110,110A,110B,110C,110D 幹部
115B,115C バスバ接続用タブ部
120,120A,120D 第1の枝部
130,130A,130D 第2の枝部
140,140A,140B,140C,140D 折り曲げ部
140X,140XA,140XB,140XC,140XD 折り曲げ予定領域
150 コネクタ
210,220,230,240 半田部
310,311,312,320 接着剤(粘着剤)
400 補強部材
510,520,530 コーティング部
【手続補正書】
【提出日】2023-03-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0092
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0092】
そして、第1の配線群における各配線102aの他端は、FPC100Cにおけるセルユニット10の配列方向の一方側の縁部(コネクタ150が設けられる部分)に配されるように構成されている。また、第2の配線群における各配線102bの他端は、FPC100Cにおける折り曲げ予定領域140XC内に配されている。ここで、
図9(a)はFPC100Cにおいて折り曲げ加工を施す前の状態における平面図を示している。また、
図9(b)はFPC100
Cにおいて折り曲げ加工を施し、かつ、配線102の端部同士を電気的に接続する加工を施した後の状態における平面図を示している。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0107
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0107】
そして、第2の配線群における各配線102bの他端は、FPC100Dにおけるセルユニット10の配列方向の一方側の縁部に配されるように構成されている。また、第1の配線群における各配線102aの他端は、FPC100Dにおける折り曲げ予定領域140XD内に配されている。ここで、
図10(a)はFPC100Dにおいて折り曲げ加工を施す前の状態における平面図の一部を拡大した図を示している。また、
図10(b)はFPC100Dにおいて折り曲げ加工を施し、かつ、配線102の端部同士を電気的に接続する加工を施した後の状態における平面図の一部を拡大した図を示している。
図10(a)中の2点鎖線L6を折り曲げ線として折り曲げることで、上述の折り曲げ部140
Dが得られる。従って、
図10(a)において、後に折り曲げ部140
Dとなる領域が上記の「折り曲げ予定領域140XD」に相当する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】