(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177495
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】温度測定用装置
(51)【国際特許分類】
G01K 7/22 20060101AFI20231207BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20231207BHJP
G01K 1/14 20210101ALI20231207BHJP
【FI】
G01K7/22 J
H01M10/48 301
G01K1/14 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090206
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000230249
【氏名又は名称】日本メクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨田 俊輔
(72)【発明者】
【氏名】中山 健一
(72)【発明者】
【氏名】金山 知樹
【テーマコード(参考)】
2F056
5H030
【Fターム(参考)】
2F056QF05
5H030AS08
5H030FF22
(57)【要約】
【課題】耐久性を高めることのできる温度測定用装置を提供する。
【解決手段】FPC110は、幹部111と、幹部111から分岐されてサーミスタ素子実装部が接続される枝部112と、を備えると共に、ケース120は、幹部111が固定される第1のケース部120Aと、前記サーミスタ素子実装部が固定される第2のケース部120Bと、枝部112の中間部の一部112aを保持して枝部112の動きを抑制するカバー部120Cと、を一体に備えることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定対象品に固定されるケースと、
前記ケースに取り付けられるフレキシブルプリント配線板と、
前記フレキシブルプリント配線板に備えられる配線に電気的に接続されるサーミスタ素子を有するサーミスタ素子実装部と、
を備える温度測定用装置であって、
前記フレキシブルプリント配線板は、幹部と、前記幹部から分岐されて前記サーミスタ素子実装部が配される枝部と、を備えると共に、
前記ケースは、
前記幹部が固定される第1のケース部と、
前記サーミスタ素子実装部が固定される第2のケース部と、
前記枝部の中間部の一部を保持して前記枝部の動きを抑制する保持部と、
を一体に備えることを特徴とする温度測定用装置。
【請求項2】
前記保持部は、前記枝部の中間部の一部を収納するカバー部により構成されると共に、
前記カバー部は、第2のケース部に対してヒンジ部により接続されており、前記ヒンジ部を屈曲させるように前記カバー部が折り返されることで前記枝部の中間部の一部が前記カバー部の内側に収納されることを特徴とする請求項1に記載の温度測定用装置。
【請求項3】
前記保持部は、前記枝部の短手方向の両側に配され、かつ前記枝部における第2のケース部の表面に近づく方向の移動は許容し、第2のケース部の表面から離れる方向への移動は規制する一対の鉤状保持部により構成されることを特徴とする請求項1に記載の温度測定用装置。
【請求項4】
前記フレキシブルプリント配線板は複数の配線を有しており、前記サーミスタ素子に接続される配線とは別に、前記被測定対象品の電圧を測定するための配線が設けられていることを特徴とする請求項1,2または3に記載の温度測定用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被測定対象品の温度を測定するための温度測定用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電気自動車やハイブリッド車などに搭載される複数のセルを備えるバッテリにおいては、バッテリの温度を測定するための装置が設けられている。一般的に、複数のセルの電圧が正常か否かを監視するための電圧監視用の装置に、温度を測定する機能を兼備させている。このような従来技術に係る温度測定用装置について、
図8を参照して説明する。
図8は従来技術に係る温度測定用装置がバッテリに取り付けられた状態を示す簡略図である。
図8においては、温度測定用装置については模式的断面図にて示している。
【0003】
温度測定用装置500は、複数のセル200を備えるバッテリの上面に配される。隣り合うセル200の間には、セル200を支持する支持部材210がそれぞれ設けられている。温度測定用装置500は、フレキシブルプリント配線板510と、フレキシブルプリント配線板510が固定され、かつバッテリに固定されるケース520とを備えている。温度測定用装置500においては、フレキシブルプリント配線板510に備えられる複数の配線を、電圧監視用途と温度測定用途に使い分けている。そして、フレキシブルプリント配線板510は、複数の配線を有する幹部511と、幹部511から分岐された枝部512とを有している。温度測定用途の配線は、幹部511から枝部512に至るように設けられ、枝部512に配されるサーミスタ素子実装部のサーミスタ素子530と電気的に接続される。
【0004】
以上のように構成される温度測定用装置500においては、枝部512の一部512aが宙に浮いた状態となる。そのため、温度測定用装置500が搭載された車などからの振動が伝わって、枝部512の一部512aが振動するため(図中、矢印V参照)、繰返し応力や他の部材との繰り返し接触により、経時劣化が進んでしまい寿命が短くなってしまうおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、耐久性を高めることのできる温度測定用装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0008】
すなわち、被測定対象品に固定されるケースと、
前記ケースに取り付けられるフレキシブルプリント配線板と、
前記フレキシブルプリント配線板に備えられる配線に電気的に接続されるサーミスタ素子を有するサーミスタ素子実装部と、
を備える温度測定用装置であって、
前記フレキシブルプリント配線板は、幹部と、前記幹部から分岐されて前記サーミスタ素子実装部が配される枝部と、を備えると共に、
前記ケースは、
前記幹部が固定される第1のケース部と、
前記サーミスタ素子実装部が固定される第2のケース部と、
前記枝部の中間部の一部を保持して前記枝部の動きを抑制する保持部と、
を一体に備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、保持部により枝部の中間部の一部が保持されることで、枝部の揺れ動きを抑制することができる。
【0010】
前記保持部は、前記枝部の中間部の一部を収納するカバー部により構成されると共に、
前記カバー部は、第2のケース部に対してヒンジ部により接続されており、前記ヒンジ部を屈曲させるように前記カバー部が折り返されることで前記枝部の中間部の一部が前記カバー部の内側に収納されるとよい。
【0011】
このような構成を採用すれば、フレキシブルプリント配線板をケースに取り付けた後にカバー部を折り返すだけで、枝部の中間部の一部が保持部により保持される。
【0012】
前記保持部は、前記枝部の短手方向の両側に配され、かつ前記枝部における第2のケース部の表面に近づく方向の移動は許容し、第2のケース部の表面から離れる方向への移動は規制する一対の鉤状保持部により構成されるとよい。
【0013】
このような構成を採用すれば、フレキシブルプリント配線板をケースに取り付けると同時に、枝部の中間部の一部が保持部により保持される。
【0014】
前記フレキシブルプリント配線板は複数の配線を有しており、前記サーミスタ素子に接続される配線とは別に、前記被測定対象品の電圧を測定するための配線が設けられているとよい。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、耐久性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は本発明の実施例1に係る温度測定用装置の概略構成図である。
【
図2】
図2は本発明の実施例1に係る温度測定用装置の組立説明図である。
【
図3】
図3は本発明の実施例1に係る温度測定用装置の模式的断面図である。
【
図4】
図4は本発明の実施例1の変形例に係る温度測定用装置の概略構成図である。
【
図5】
図5は本発明の実施例2に係る温度測定用装置の概略構成図である。
【
図6】
図6は本発明の実施例2に係る温度測定用装置の組立説明図である。
【
図7】
図7は本発明の実施例2の変形例に係る温度測定用装置の概略構成図である。
【
図8】
図8は従来技術に係る温度測定用装置がバッテリに取り付けられた状態を示す簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。以下の実施例においては、温度測定用装置としての機能が、電気自動車などに搭載されるバッテリに装着される電圧監視用装置に兼ね備えられる場合を例にして説明する。ただし、本発明に係る温度測定用装置は、様々な被測定対象品の温度
を測定する用途に適用され得る。
【0018】
(実施例1)
図1~
図3を参照して、本発明の実施例1に係る温度測定用装置について説明する。
図1は本発明の実施例1に係る温度測定用装置の概略構成図である。
図1においては、ケースを折り畳む前における温度測定用装置の簡略的な平面図の一部と、平面図中の丸で囲った部分の内部の模式的断面図を示している。
図2は本発明の実施例1に係る温度測定用装置の組立説明図である。
図2においては、
図1中矢印V1方向に温度測定用装置を見た際のケースとフレキシブルプリント配線板との位置関係を簡略的に示したもので、(a)はケースを折り畳む前の状態を示し、(b)はケースを折り畳んだ後の状態を示している。
図3は本発明の実施例1に係る温度測定用装置の模式的断面図である。
図3(a)はバッテリに組み付ける前の状態を示し、同図(b)はバッテリに組み付けた後の状態を示している。なお、
図3中のサーミスタ素子実装部及びフレキシブルプリント配線板における枝部等の断面は、
図1中のPP断面図に相当する。
【0019】
<バッテリ及び電圧監視用装置の概略>
バッテリ、及び温度測定用装置としての機能を兼ね備える電圧監視用装置の概略について説明する。バッテリは、複数のセル200と、隣り合うセル200の間に設けられ、セル200を支持する複数の支持部材210とを備えている(
図3(b)参照)。バッテリについては公知技術であるので、詳細な説明は省略するが、セル200の上部の両端にそれぞれ電極(一方が正極で他方が負極)が設けられている。そして、複数のセル200は、正極と負極が隣り合うように配列される。そして、複数のセル200においては、隣り合う正極と負極が、温度測定用装置100に備えられるバスバ(不図示)によって、それぞれ電気的に接続されることで直列に接続されるように構成される。
【0020】
温度測定用装置100は、被測定対象品(本実施例においてはバッテリ)に固定される樹脂製のケース120と、ケース120に取り付けられるフレキシブルプリント配線板(以下、FPC110と称する)とを備えている。また、温度測定用装置100は、サーミスタ素子実装部を備えている。本実施例に係るサーミスタ素子実装部は、FPC110に備えられる配線に電気的に接続されるサーミスタ素子130と、弾性体140と、熱収集板150とから構成される(
図3(b)参照)。また、FPC110の先端にはコネクタ(不図示)が取り付けられる。このコネクタは、バッテリを構成するセル200の電圧及び温度を測定し、かつ各種制御を行うための装置(不図示)に接続される。
【0021】
温度測定用装置100はバッテリの上面に取り付けられる。これにより、サーミスタ素子実装部における熱収集板150はセル200の上面に接した状態となる(
図3(b)参照)。なお、バッテリにおいては、全てのセル200についての電圧が監視されるのに対して、温度については、全てのセル200の温度を監視する必要はない。従って、バッテリに備えられるセル200の個数や使用環境に応じた個数のサーミスタ素子実装部が設けられる。
【0022】
<温度測定用装置>
温度測定用装置100について、より詳細に説明する。上記の通り、温度測定用装置100は、FPC110と、ケース120と、サーミスタ素子実装部とを備えている。FPC110の構造については、公知技術であるので、その詳細な説明は省略し、以下、一般的な構造の一例を簡単に説明する。FPC110は、ベースフィルム114と、ベースフィルム114上に設けられ、銅箔がエッチングされることで形成される複数の配線113と、複数の配線113を覆うカバーフィルム115とを備えている。カバーフィルム115は、配線113が形成された後に接着剤116によって、ベースフィルム114及び配線113に固定される。なお、この構造(
図1中、断面図で示した構造)は、ベースフィ
ルム114の一方の面にのみ銅箔(配線)が設けられる構造であるが、後述の変形例のように、ベースフィルムの両面に銅箔が設けられる構造も採用し得る。
【0023】
FPC110は、複数の配線113を有する幹部111と、幹部111から分岐される枝部112とを備えている。複数の配線113は、被測定対象品の電圧を測定するための配線と、サーミスタ素子130に接続される配線113aとを備えている。サーミスタ素子130に接続される配線113aは幹部111から枝部112に至るように設けられている。また、本実施例においては、枝部112は2か所の折り曲げ部により折り畳まれた状態で、その先端にサーミスタ素子実装部が配されるように構成されている。
【0024】
本実施例に係るケース120は、幹部111が固定される第1のケース部120Aと、サーミスタ素子実装部が固定される第2のケース部120Bと、カバー部120Cとを一体に備えている。カバー部120Cは、枝部112の中間部の一部112aを保持して枝部112の動きを抑制する保持部としての役割を担っている。なお、本実施例においては、枝部112の中間部の一部112aは、枝部112のうち、上述した2か所の折り曲げ部によって折り畳まれた折り畳み部に相当する。
【0025】
第1のケース部120Aと第2のケース部120Bはヒンジ部121により接続されている。また、保持部としてのカバー部120Cは、第2のケース部120Bに対してヒンジ部122により接続されている。
【0026】
本実施例においては、ケース120に対して、FPC110が取り付けられた後に、第2のケース部120Bに対して、ヒンジ部122を屈曲させるようにカバー部120Cが折り返される(
図2(a)中、矢印R1参照)。そして、第1のケース部120Aに対して、ヒンジ部121を屈曲させるように第2のケース部120Bが折り返される(
図2(a)中、矢印R2参照)。ケース120へのFPC110の取付作業、及び、カバー部120C及び第2のケース部120Bを折り返す作業については、自動機を用いて行うことも可能である。
【0027】
ヒンジ部122を屈曲させるようにカバー部120Cが折り返されることで、枝部112の中間部の一部112aはカバー部120Cの内側に収納される。カバー部120Cには、第2のケース部120Bの表面に突き当たり、枝部112の側面側に配される複数の側壁部120C1と、係合突起部120C2とが設けられている。カバー部120Cが折り返されると、係合突起部120C2の先端が第2のケース部120Bに設けられた係合孔120B1に入り込んで、この係合孔120B1の周囲に係合し、カバー部120Cは第2のケース部120Bに固定される。なお、カバー部120Cと第2のケース部120Bとの固定構造は、このような構造に限らず、各種公知の構造を採用し得る。
【0028】
なお、第1のケース部120Aと第2のケース部120Bには、それぞれ係合突起120A1,120B2が設けられており、第2のケース部120Bが折り返されると、これらの係合突起120A1,120B2同士が係合される。これにより、第1のケース部120Aと第2のケース部120Bは固定された状態となる。第1のケース部120Aと第2のケース部120Bとの固定構造については、このような構造に限らず、各種公知の構造を採用し得る。
【0029】
サーミスタ素子実装部において、枝部112におけるサーミスタ素子130が設けられた部分は、サーミスタ素子130を覆うように、弾性体140が取り付けられている。この弾性体140は、発泡ゴム系や発泡ウレタン系のフォーム材料などにより構成することができ、両面テープなどを用いて枝部112に取り付けることができる。また、枝部112のうちサーミスタ素子130が設けられた部分の裏側に熱収集板150が設けられてい
る。この熱収集板150は、アルミニウムなどの板材により構成される。また、この熱収集板150は、枝部112に対して両面テープなどにより接着することができる。
【0030】
サーミスタ素子実装部が第2のケース部120Bに取り付けられ、かつケース120が折り畳まれた状態で、温度測定用装置100はバッテリに取り付けられる。温度測定用装置100がバッテリに取り付けられると、弾性体140は弾性的に圧縮された状態となる(
図3(b)参照)。従って、各種部材の寸法誤差などがあっても、熱収集板150をセル200の上面に対して適切に接した状態とすることができる。
【0031】
<本実施例に係る温度測定用装置の優れた点>
本実施例に係る温度測定用装置100によれば、ケース120が、枝部112の中間部の一部112aを保持して枝部112の動きを抑制するカバー部120Cを備えている。これにより、枝部112の揺れ動きを抑制することができる。従って、温度測定用装置100が、電気自動車などに搭載された場合において、車体からの振動が温度測定用装置100に伝わっても枝部112の揺れ動きが抑制される。そのため、枝部112の繰返し応力や他の部材との繰り返し接触が抑制されるため、枝部112の経時劣化を抑制することができる。従って、温度測定用装置100の耐久性を高めることができる。
【0032】
また、カバー部120Cは、第2のケース部120Bに対してヒンジ部122により接続されており、ヒンジ部122を屈曲させるようにカバー部120Cが折り返されることで枝部112の中間部の一部112aがカバー部120Cの内側に収納される。これにより、FPC110をケース120に取り付けた後にカバー部120Cを折り返すだけで、枝部112の中間部の一部112aがカバー部120Cにより保持される。従って、FPC110のケース120への取付作業、及び、カバー部120Cを折り返す作業は容易であり、これらの作業を自動機により行うこともできる。
【0033】
(実施例1の変形例)
図4を参照して、本発明の実施例1の変形例に係る温度測定用装置について説明する。上記実施例1においては、いわゆる片面FPCを採用した場合の構成について示したが、本変形例においては、両面FPCを採用する場合の構成について示す。その他の構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は適宜省略する。
【0034】
図4は本発明の実施例1の変形例に係る温度測定用装置の概略構成図である。
図4においては、ケースを折り畳む前における温度測定用装置の簡略的な平面図の一部と、平面図中の丸で囲った部分の内部の模式的断面図を示している。
【0035】
実施例1で示したFPC110は、いわゆる片面FPCであり、ベースフィルム114の一方の面にのみ、銅箔(エッチングにより配線113が形成される銅箔)が設けられている。この場合、枝部112については、2か所の折り曲げ部により折り畳む構成を採用する必要がある。これに対して、両面FPCを採用する場合には、枝部に折り畳み箇所を設ける必要がない。以下、両面FPCを採用する場合の構成について、
図4を参照して説明する。
【0036】
本変形例においても、温度測定用装置100は、FPC110Xと、ケース120と、サーミスタ素子実装部とを備えている。ケース120とサーミスタ素子実装部については、実施例1で説明した通りであるので、その説明は省略する。なお、ケース120については、FPC110Xの形状が実施例1と異なることに伴って、一部形状が実施例1で示した形状と異なっているが、基本的な構成及び作用は同一である。
【0037】
本変形例に係るFPC110Xは、ベースフィルム114の両面に、それぞれ配線113、接着剤116の層、カバーフィルム115が設けられている(図中の断面図参照)。なお、配線113は、銅箔がエッチングされることにより形成されることは、上述の通りである。本変形例に係るFPC110Xにおいても、両面FPCであることを除き、実施例1で示すFPC110と基本的な構成は同様であり、幹部111と枝部112とを備えている。また、複数の配線113は、被測定対象品の電圧を測定するための配線と、サーミスタ素子130に接続される配線113aとを備えている。サーミスタ素子130に接続される配線113aは幹部111から枝部112に至るように設けられている。そして、本変形例の場合には、上記実施例とは異なり、枝部112は折り畳まれることなく、その先端にサーミスタ素子実装部が配されている。
【0038】
ケース120の折り返し方や折り返し作業については、上記実施例で説明した通りである。本変形例の場合には、カバー120Cの内側に収納される枝部112の中間部の一部112Xaが、折り畳み部ではない点が、上記実施例とは異なる。本変形例の場合には、この枝部112の中間部の一部112Xaは、図中、太い点線で囲まれた部分に相当する。
【0039】
以上のように構成される本変形例の場合にも、上記実施例1と同様の効果を得ることができることは言うまでもない。
【0040】
(実施例2)
図5及び
図6を参照して、本発明の実施例2に係る温度測定用装置について説明する。本実施例においては、ケースの構成の一部が上記実施例1の構成と異なる場合について示す。その他の構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は適宜省略する。
【0041】
図5は本発明の実施例2に係る温度測定用装置の概略構成図である。
図5においては、ケースを折り畳む前における温度測定用装置の簡略的な平面図の一部を示している。
図6は本発明の実施例2に係る温度測定用装置の組立説明図である。
図6(a)はFPCをケースに取り付ける途中の状態を示し、同図(b)はFPCをケースに取り付けた状態を示している。また、同図(a)(b)において、左側の図は、装置の要部を上方から見た図を示し、中央の図は、(a)の左側の図中、矢印V2方向に装置の要部を見た図を示し、右側の図は、(a)の左側の図中、矢印V3方向に装置の要部を見た図を示している。
【0042】
バッテリ、及び温度測定用装置としての機能を兼ね備える電圧監視用装置の概略については、実施例1で説明した通りであるので、その説明は省略する。
【0043】
<温度測定用装置>
本実施例に係る温度測定用装置100Aにおいても、被測定対象品(本実施例においてはバッテリ)に固定される樹脂製のケース120と、ケース120に取り付けられるFPC110と、サーミスタ素子実装部を備えている。
【0044】
FPC110の基本的な構成、及びサーミスタ素子実装部の構成については、実施例1で説明した通りである。
【0045】
本実施例に係るケース120は、幹部111が固定される第1のケース部120Aと、サーミスタ素子実装部が固定される第2のケース部120Bとを一体に備えている。そして、第2のケース部120Bには、一対の鉤状保持部125が一体に設けられている。この一対の鉤状保持部125は、枝部112の中間部の一部112aを保持して枝部112の動きを抑制する保持部としての役割を担っている。なお、本実施例においても、枝部1
12の中間部の一部112aは、枝部112のうち、実施例1で説明した2か所の折り曲げ部によって折り畳まれた折り畳み部に相当する。
【0046】
一対の鉤状保持部125は、枝部112の短手方向の両側に配され、かつ枝部112における第2のケース部120Bの表面120B3に近づく方向の移動は許容し、第2のケース部120Bの表面120B3から離れる方向への移動は規制するように構成されている。すなわち、一対の鉤状保持部125は、鉤状に折り曲げられた部分が互いに対向するように配されている。これにより、枝部112が第2のケース部120Bの表面120B3に近づくように一対の鉤状保持部125の間を通ることは許容されるが、枝部112が第2のケース部120Bの表面120B3から離れる方向に移動しようとすると、鉤状の部分に引っかかる。従って、枝部112は第2のケース部120Bの表面120B3から離れる方向への移動が規制される。なお、枝部112が第2のケース部120Bの表面120B3に近づくように一対の鉤状保持部125の間を通り易くするために、鉤状の部分の
図6中上方側の面を同図の中央の図に示すように傾斜面により構成するのが望ましい。
【0047】
図6に示すように、図中上方から、枝部112の中間部の一部112aを図中下方に移動させて、一対の鉤状保持部125の間に嵌め込むことによって、当該一部112aを一対の鉤状保持部125に保持させることができる。ここで、FPC110は柔軟性が高い。そこで、当該一部112aを一対の鉤状保持部125の間に嵌め込む際の作業を容易にし、かつ、当該一部112aの一対の鉤状保持部125からの抜け出しをより確実に抑制するために、枝部112が折り畳まれた状態の当該一部112aを両面側から挟み込むように一対の補強板117を設けるのが望ましい。これにより、当該一部112aの付近の剛性が高まるため、上記の作業を容易にし、かつ、当該一部112aの一対の鉤状保持部125からの抜け出しを、より確実に抑制することができる。
【0048】
なお、本実施例においても、第1のケース部120Aと第2のケース部120Bはヒンジ部121により接続されている。そして、特に図示はしないが、実施例1と同様に、ケース120に対して、FPC110が取り付けられた後に、第1のケース部120Aに対して、ヒンジ部121を屈曲させるように第2のケース部120Bが折り返される。第1のケース部120Aと第2のケース部120Bとの固定構造についても、実施例1で説明した通りである。
【0049】
以上のように構成される本実施例に係る温度測定用装置100Aにおいても、上記実施例1と同様の効果を得ることができる。また、本実施例の場合には、FPC110をケース120に取り付けると同時に、枝部112の中間部の一部112aが一対の鉤状保持部125により保持される。従って、取付作業(組立作業)を実施例1よりも、より一層容易にすることができる。勿論、この作業を自動機により行うこともできる。
【0050】
(実施例2の変形例)
図7を参照して、本発明の実施例2の変形例に係る温度測定用装置について説明する。上記実施例2においては、いわゆる片面FPCを採用した場合の構成について示したが、本変形例においては、両面FPCを採用する場合の構成について示す。その他の構成および作用については実施例2と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は適宜省略する。
【0051】
図7は本発明の実施例2の変形例に係る温度測定用装置の概略構成図である。
図7においては、ケースを折り畳む前における温度測定用装置の簡略的な平面図の一部を示している。
【0052】
実施例2で示したFPC110は、いわゆる片面FPCであり、ベースフィルム114
の一方の面にのみ、銅箔(エッチングにより配線113が形成される銅箔)が設けられている。この場合、枝部112については、2か所の折り曲げ部により折り畳む構成を採用する必要がある。これに対して、両面FPCを採用する場合には、枝部に折り畳み箇所を設ける必要がない。以下、両面FPCを採用する場合の構成について、
図7を参照して説明する。
【0053】
本変形例においても、温度測定用装置100は、FPC110Xと、ケース120と、サーミスタ素子実装部とを備えている。ケース120とサーミスタ素子実装部については、実施例1で説明した通りであるので、その説明は省略する。なお、ケース120については、FPC110Xの形状が実施例2と異なることに伴って、一部形状が実施例2で示した形状と異なっているが、基本的な構成及び作用は同一である。
【0054】
本変形例に係るFPC110Xの内部構成については、実施例1の変形例で説明した通りである。本変形例に係るFPC110Xにおいても、両面FPCであることを除き、実施例2で示すFPC110と基本的な構成は同様であり、幹部111と枝部112とを備えている。また、複数の配線113は、被測定対象品の電圧を測定するための配線と、サーミスタ素子130に接続される配線113aとを備えている。サーミスタ素子130に接続される配線113aは幹部111から枝部112に至るように設けられている。そして、本変形例の場合には、上記実施例とは異なり、幹部111は折り畳まれることなく、その先端にサーミスタ素子実装部が配されている。
【0055】
ケース120の折り返し方や折り返し作業については、上記実施例で説明した通りである。本変形例の場合には、一対の鉤状保持部125に保持される枝部112の中間部の一部112Xaが、折り畳み部ではない点が、上記実施例とは異なる。本変形例の場合には、この枝部112の中間部の一部112Xaは、図中、太い点線で囲まれた部分に相当する。なお、上記実施例2においては、枝部112の中間部の一部112aを、両面側から挟み込むように一対の補強板117を設けるのが望ましい旨を説明した。本変形例の場合にも、同様に、補強板を設けるのが望ましい。ただし、本変形例の場合には、一対の鉤状保持部125に保持される枝部112の中間部の一部112Xaは、折り畳み部ではないので、片面にのみ補強板を設ければ十分である。
【0056】
以上のように構成される本変形例の場合にも、上記実施例1と同様の効果を得ることができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0057】
100,100A 温度測定用装置
110,110X FPC
111 幹部
112 枝部
112a,112Xa (枝部の中間部の)一部
113,113a 配線
114 ベースフィルム
115 カバーフィルム
116 接着剤
117 補強板
120 ケース
120A 第1のケース部
120B 第2のケース部
120A1,120B2 係合突起
120B1 係合孔
120B3 (第2のケース部の)表面
120C カバー部
120C1 側壁部
120C2 係合突起部
121,122 ヒンジ部
125 鉤状保持部
130 サーミスタ素子
140 弾性体
150 熱収集板
200 セル
210 支持部材