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特開2023-177518制御装置、投影装置、制御方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177518
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】制御装置、投影装置、制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/74 20060101AFI20231207BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20231207BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20231207BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20231207BHJP
   G09G 5/14 20060101ALI20231207BHJP
   G09G 5/377 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
H04N5/74 D
H04N5/74 Z
G03B21/00 D
G09G5/36 520D
G09G5/00 510B
G09G5/14 C
G09G5/36 520M
G09G5/00 510H
G09G5/00 530M
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090239
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小池 徹
【テーマコード(参考)】
2K203
5C058
5C182
【Fターム(参考)】
2K203FA02
2K203FA22
2K203FA25
2K203FA76
2K203GC30
2K203HB05
2K203HB14
2K203MA07
2K203MA40
5C058BA25
5C058BA27
5C058BA35
5C058EA02
5C182AA03
5C182AA04
5C182AC02
5C182AC03
5C182AC13
5C182BA01
5C182BA03
5C182BA06
5C182BC01
5C182BC43
5C182CB12
5C182CB47
5C182CB54
5C182CC26
5C182DA32
5C182DA52
(57)【要約】
【課題】歪み補正を行っても照明画像の投影可能領域を投影装置の本来の投影可能領域よりも狭くせずに、照明画像を投影する。
【解決手段】本発明の制御装置は、第1のモードと第2のモードとを含む複数のモードのいずれかを設定する設定手段と、画像の歪みを補正する補正手段と、前記第1のモードの場合に投影装置が第1の画像を投影し、前記第2のモードの場合に第2の画像が一部に重ねられた第3の画像を前記投影装置が投影するように制御する制御手段とを有し、前記補正手段は、前記第1のモードの場合に、前記第1の画像の歪みを補正し、前記第2のモードの場合に、前記第3の画像における、前記第2の画像の部分の歪みを補正することを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のモードと第2のモードとを含む複数のモードのいずれかを設定する設定手段と、
画像の歪みを補正する補正手段と、
前記第1のモードの場合に投影装置が第1の画像を投影し、前記第2のモードの場合に第2の画像が一部に重ねられた第3の画像を前記投影装置が投影するように制御する制御手段と
を有し、
前記補正手段は、前記第1のモードの場合に、前記第1の画像の歪みを補正し、前記第2のモードの場合に、前記第3の画像における、前記第2の画像の部分の歪みを補正することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記設定手段は、ユーザ操作に応じて前記複数のモードのいずれかを設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第1の画像は外部から入力された画像である
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記第2のモードの場合に、前記補正手段により補正された前記第2の画像を、前記投影装置の解像度に合わせて生成された第4の画像の一部に重ねて、前記第3の画像を生成する生成手段をさらに有する
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記第4の画像は、黒画像または前記第1の画像である
ことを特徴とする請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記第3の画像の解像度は前記投影装置の解像度と同じである
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項7】
前記第1のモードは投影モードであり、前記第2のモードは照明モードである
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項8】
前記補正手段は、前記第1のモードの場合に第1の歪み補正量を用い、前記第2のモードの場合に第2の歪み補正量を用いて画像の歪みを補正する
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項9】
前記補正手段は、
前記第1のモードの場合に、前記第1の画像の歪みを補正する第1の補正手段と、
前記第2のモードの場合に、前記第3の画像における、前記第2の画像の部分の歪みを補正する第2の補正手段と
を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項10】
前記補正手段は、台形補正を行うことにより、画像の歪みを補正する
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項11】
前記補正手段は、前記第2のモードの場合に、前記第3の画像における、前記第2の画像の部分以外の歪みを補正しない
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項12】
前記第3の画像が投影される領域は、前記第1の画像が投影される領域よりも広い
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項13】
前記第2の画像は、図形または文字を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の制御装置と、
画像を投影する投影手段と
を有することを特徴とする投影装置。
【請求項15】
第1のモードと第2のモードとを含む複数のモードのいずれかを設定する設定ステップと、
画像の歪みを補正する補正ステップと、
前記第1のモードの場合に投影装置が第1の画像を投影し、前記第2のモードの場合に第2の画像が一部に重ねられた第3の画像を前記投影装置が投影するように制御する制御ステップと
を有し、
前記補正ステップでは、前記第1のモードの場合に、前記第1の画像の歪みを補正し、前記第2のモードの場合に、前記第3の画像における、前記第2の画像の部分の歪みを補正する
ことを特徴とする制御方法。
【請求項16】
コンピュータを、請求項1~13のいずれか1項に記載の制御装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明機能を有する投影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
照明装置として用いることができる投影装置(以下、照明型プロジェクタと呼ぶ)が提案されている。照明型プロジェクタは、通常のプロジェクタと同様に画像を投影する投影モードと、画像を照明光として投影する照明モードとを有する。投影モードでは、照明型プロジェクタは、投影画像(投影されたOSD(オンスクリーンディスプレイ)画像を含む)などに台形歪みが生じないように画像を投影する。照明モードでは、照明型プロジェクタは、ユーザが照らしたい場所を照明装置(例えばスポットライト)が照らすように画像を投影する。例えば、照明型プロジェクタは、美術館やショールームなどの展示物に向けて照明画像を投影する。
【0003】
特許文献1には、照明画像(照明用画像)の投影位置合わせのための歪み補正と、OSD画像の台形補正とを、それぞれ別々の歪み補正部で行った後に、照明画像をOSD画像と合成して投影する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-155899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、照明画像に歪み補正を行うことにより、照明画像の投影可能領域がプロジェクタの本来の投影可能領域よりも狭くなってしまう。
【0006】
そこで本発明は、歪み補正を行っても照明画像の投影可能領域を投影装置の本来の投影可能領域よりも狭くせずに、照明画像を投影することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の制御装置は、第1のモードと第2のモードとを含む複数のモードのいずれかを設定する設定手段と、画像の歪みを補正する補正手段と、前記第1のモードの場合に投影装置が第1の画像を投影し、前記第2のモードの場合に第2の画像が一部に重ねられた第3の画像を前記投影装置が投影するように制御する制御手段とを有し、前記補正手段は、前記第1のモードの場合に、前記第1の画像の歪みを補正し、前記第2のモードの場合に、前記第3の画像における、前記第2の画像の部分の歪みを補正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、歪み補正を行っても照明画像の投影可能領域を投影装置の本来の投影可能領域よりも狭くせずに、照明画像を投影することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1に係る投影装置の動作モード例を説明するための図である。
図2】実施例1に係る投影装置の構成例を示すブロック図である。
図3】実施例1に係る画像生成処理の一例を示すフローチャートである。
図4】実施例1に係る歪み補正の一例を示す図である。
図5】実施例1に係る投影された画像の一例を示すである。
図6】実施例2に係る投影装置の構成例を示すブロック図である。
図7】実施例2に係る画像生成処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施例1>
以下、本発明の実施例1について説明する。図1(a),1(b)は、実施例1に係る投影装置100の動作モード例を説明するための図である。
【0011】
図1(a)を参照して、動作モードが通常投影モード(第1のモード、投影モード)のときの投影装置100について説明する。通常投影モードは、画像を投影するモードである。投影装置100は、通常投影モードでは、例えばスクリーン101に入力画像を投影する。入力画像は、台形歪みが補正された状態で投影される。
【0012】
次に図1(b)を参照して、動作モードが照明モード(第2のモード)のときの投影装置100について説明する。照明モードは、投影装置100の投影光(後述する投影部214から発せられる光)を照明光として利用するためのモードである。投影装置100は、照明モードでは、例えば床面、壁面、美術品、展示物などに合成照明画像(背景画像に照明画像を合成した画像)102を投影し、照明装置として機能する。合成照明画像102は例えば円形の照明画像を含み、ユーザは、投影装置100に合成照明画像102を投影させることで投影装置100をスポットライトのように用いることができる。また、合成照明画像102において液晶パネル(後述するパネル素子部213)の格子模様が視認されない(目立たない)ようにするために、投影装置100は投影光を拡散板で拡散させて投影する。
【0013】
ユーザは、状況に応じて、投影装置100の動作モードを通常投影モードと照明モードの間で切り替える。投影装置100は、動作モードに応じた画像を投影する。なお、投影装置100の動作モードは2つに限られず、投影装置100は3つ以上の動作モードを有してもよい。
【0014】
図2は、実施例1に係る投影装置100の構成例を示すブロック図である。投影装置100は、入力された画像データ(画像信号)、もしくは内部に格納された画像データに基づいて画像を投影するプロジェクタである。投影装置100は、操作受付部200、制御部201、記憶部202、画像入力部203、照明画像読出部204、画像選択部205、歪み補正部206、背景画像読出部207、合成部208、画像処理部209を含む。また、投影装置100は、パネル制御部210、光源制御部211、光源部212、パネル素子部213、投影部214、バス215を含む。
【0015】
操作受付部200は、各種の操作ボタンまたはタッチパネルなどにより構成される。操作受付部200は、ユーザ操作(投影装置100に対してユーザが行う操作)を受け付け、ユーザ操作に応じた情報を制御部201に伝達する。例えば、操作受付部200が受け付けたユーザ操作に応じて、制御部201は、複数の動作モードのいずれかを設定する。操作受付部200は、リモートコントローラーなどの操作装置からの情報を受信する受信部であってもよい。
【0016】
制御部201は、バス215を介して投影装置100の各構成要素と接続されており、各構成要素の制御や、投影装置100の動作に必要な各種演算処理を行う。
【0017】
記憶部202は、RAM(Random Access Memory)やSSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置により構成される。記憶部202は、投影装置100の動作に必要な各種情報
を記憶する。また、記憶部202は、照明画像と背景画像の描画プレーンを記憶する。また、記憶部202は、照明画像の画像データと、背景画像の画像データとを記憶する。
【0018】
画像入力部203は、投影装置100の外部から入力画像(第1の画像)を取得する。画像入力部203は、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)(登録商標)、USB(Universal Serial Bus)などの画像通信規格に対応した画像入力回路よって構成される。入力画像は、例えば投影装置100の解像度(パネル素子部213のパネル解像度)に合わせて生成された画像である。入力画像の解像度と投影装置100の解像度とが異なる場合には、画像入力部203は、入力画像の解像度を投影装置100の解像度に合わせて変換する。なお、投影装置100は、入力画像の解像度を投影装置100の解像度に合わせて変換する解像度変換部を有していてもよい。また、入力画像は、記憶部202にあらかじめ格納されていてもよい。
【0019】
照明画像読出部204は、照明画像(第2の画像)を記憶部202から読み出す。照明画像は、合成照明画像(第3の画像)のうち、照明装置が物体または空間を照らすように投影される部分の画像である。照明画像は、スポットライト形状(例えば円形)など、任意の形状を有する。投影装置100は、照明モードでは、照明画像が一部に重ねられた合成照明画像を投影する。照明画像読出部204は、記憶部202に格納された画像(例えばスポットライトのベースとなる画像)を読み出して画像選択部205に出力する。記憶部202には円形、四角形、多角形などの複数の形状の画像があらかじめ格納されており、ユーザは、操作受付部200を用いて照明画像を指定することが可能である。照明画像は、画像入力部203により取得されてもよいし、投影装置100内で生成されてもよい。合成照明画像は、画像入力部203により取得されてもよいし、記憶部202に格納されていてもよい。
【0020】
画像選択部205は、歪み補正部206により歪み補正処理を行う画像を選択する。操作受付部200が受け付けたユーザ操作に応じて、画像選択部205は、画像入力部203から出力された入力画像または照明画像読出部204から出力された照明画像を選択し、歪み補正部206に出力する。
【0021】
歪み補正部206は、動作モードに応じて歪み補正量を変更して、画像の歪み補正処理を行う。歪み補正処理は、例えば射影変換を用いて行われる。通常投影モードの場合に、歪み補正部206は、画像入力部203から出力された入力画像に対して後述する第1の歪み補正量を用いて歪み補正処理を行い、歪み補正画像(歪みを補正した画像)を生成する。また、照明モードの場合に、歪み補正部206は、照明画像読出部204から出力された照明画像に対して後述する第2の歪み補正量を用いて歪み補正処理を行い、歪み補正画像を生成する。歪み補正部206は、生成した歪み補正画像を合成部208に出力する。ここで、第1の歪み補正量とは、入力画像の台形補正を行う射影変換のパラメータである。また、第2の歪み補正量とは、照明画像の台形補正を行う射影変換のパラメータである。第2の歪み補正量は、合成照明画像における照明画像の位置またはサイズに応じて異なる。歪み補正部206は、第2の歪み補正量を用いて、合成照明画像における照明画像の部分に特化した歪み補正処理を行う。第1の歪み補正量では入力画像全体の歪みを平均的に補正するため、照明画像の領域においては、第2の歪み補正量を用いる場合の歪み補正処理の精度は、第1の歪み補正量を用いる場合よりも高い。なお、第1の歪み補正量と第2の歪み補正量は、あらかじめ調整されて記憶部202に格納されている。
【0022】
背景画像読出部207は、背景画像(第4の画像)を記憶部202から読み出す。背景画像は、照明モードのときに合成照明画像(第3の画像)を生成するための画像である。背景画像は、例えば黒画像である。照明モードのときには入力画像が無くても後述するパ
ネル素子部213を駆動して画像を投影する必要があるため、背景画像は、投影装置100の解像度(パネル素子部213のパネル解像度)に合わせて生成される。なお、背景画像は、画像入力部203により取得されてもよいし、投影装置100内で生成されてもよい。
【0023】
合成部208は、照明モードの場合に照明画像を背景画像と合成する。具体的には、合成部208は、歪み補正部206により補正された照明画像を背景画像の一部に重ねることで(合成することで)、合成照明画像を生成する。合成部208は、合成照明画像を画像処理部209に出力する。通常投影モードの場合は、合成部208は、歪み補正部206により補正された入力画像を画像処理部209に出力する。
【0024】
画像処理部209は、合成部208から出力された画像に対して、各種画像処理を行う。例えば、画像処理部209は、拡大縮小処理、色域変換処理、輝度補正処理などを行う。歪み補正処理後の入力画像の解像度が投影装置100の解像度と異なる場合に、画像処理部209は、歪み補正処理後の入力画像の解像度が投影装置100の解像度と合うように黒領域を付加する。
【0025】
パネル制御部210は、パネル素子部213を制御する。また、パネル制御部210は、パネル素子部213の入出力特性に応じて、画像処理部209から出力された画像(画像データ)を変換する。
【0026】
光源制御部211は、光源部212を制御する。例えば、光源制御部211は、光源部212のON/OFF(点灯/消灯)を切り替えたり、光源部212の発光強度(出力強度)を制御(変更、設定)したりする。
【0027】
光源部212は、画像を投影するための光を発する。光源部212は、ランプやLED(Light Emitting Diode)、レーザーなどの光源や、レンズやミラーなどの光学素子などにより構成される。光源部212から発せられた光はパネル素子部213に入力される。光源部212は、赤色の光を発する光源、緑色の光を発する光源、および青色の光を発する光源を有していてもよい。光源部212は、白色の光を発する光源を1つ有していてもよいし、複数有していてもよい。光源部212は、白色の光を発する光源と、光源部212の発光色を切り替えるためのカラーホイールとを有していてもよい。
【0028】
パネル素子部213は、液晶、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)、DLP(Digital Light Processing)(登録商標)などのパネルや、レンズやミラーなどの光学素子により構成される。パネル素子部213は、光の赤色成分を変調するパネル、光の緑色成分を変調するパネル、および光の青色成分を変調するパネルを有してもよい。パネル素子部213は、1つのパネルを有していてもよいし、複数のパネルを有していてもよい。パネル素子部213は、光源部212から発せられた光を画像データに応じて変調する。
【0029】
投影部214は、投影レンズによって構成され、パネル素子部213から出力された光を投影装置100の外部に投影する。
【0030】
続いて、図3のフローチャートを用いて、実施例1に係る投影装置100の処理(画像生成処理)を説明する。画像生成処理は、投影装置100の電源が入れられている状態で、制御部201により繰り返し実行される。
【0031】
ステップS301では、制御部201は、現在設定されている動作モードが照明モード
であるか否かを判断する。照明モードであると制御部201が判断した場合は、ステップS302の処理が実行され、照明モードでない(通常投影モードである)と制御部201が判断した場合は、ステップS307の処理が実行される。
【0032】
ステップS302~S306は、照明モードの場合の処理である。図4(a),4(b)は、照明モードにおける照明画像の台形歪みを補正する処理(歪み補正処理)を説明するための図である。
【0033】
ステップS302では、制御部201は、照明画像400を記憶部202から読み出して画像選択部205に出力するように、照明画像読出部204を制御する。図4(a)の照明画像400は、照明画像の一例であり、円形の画像である。
【0034】
ステップS303では、制御部201は、背景画像402を記憶部202から読み出して合成部208に出力するように、背景画像読出部207を制御する。図4(b)の背景画像402は、背景画像の一例であり、投影装置100の解像度に合わせて生成された画像である。
【0035】
ステップS304では、制御部201は、照明画像400を選択して歪み補正部206に出力するように、画像選択部205を制御する。
【0036】
ステップS305では、制御部201は、第2の歪み補正量を用いて照明画像400に対して歪み補正処理を行うように、歪み補正部206を制御する。歪み補正部206は、歪み補正処理後の照明画像401を合成部208に出力する。
【0037】
ステップS306では、制御部201は、歪み補正処理が行われていない背景画像402の一部に歪み補正処理後の照明画像401を合成した合成照明画像を生成するように、合成部208を制御する。
【0038】
図5(a)は、照明モードで投影された合成照明画像の一例を示す図である。投影領域500(投影領域501の外側の領域)は、背景画像402に照明画像401を合成して生成された合成照明画像の投影領域のうち、背景画像402に対応する部分の投影領域である。なお、背景画像402が黒画像である場合に、投影領域500は、ユーザに視認されない。投影領域500の中に歪み補正処理後の照明画像401の投影領域501が含まれている。歪み補正処理後の照明画像401は、投影領域501に示すように台形歪みが補正されて投影されている。照明画像401は、背景画像402の一部に合成されるため、背景画像402が投影される領域内(投影領域500内)でのみ投影することができる。背景画像402は、歪み補正処理が行われないので、投影領域500に示すように台形歪みが補正されていないが、投影装置100の投影可能領域503の全域に投影されている。このため、投影装置100は、投影可能領域503の全域を用いて照明画像401を投影することができる。こうして、投影装置100は、歪み補正を行っても照明画像401の投影可能領域を投影装置100の本来の投影可能領域503よりも狭くせずに、照明画像401を投影することができる。
【0039】
図3の説明に戻る。ステップS307,S308は、通常投影モードの場合の処理である。
【0040】
ステップS307では、制御部201は、入力画像を選択して歪み補正部206に出力するように、画像選択部205を制御する。
【0041】
ステップS308では、制御部201は、第1の歪み補正量を用いて入力画像に対して
歪み補正処理を行うように、歪み補正部206を制御する。
【0042】
図5(b)は、通常投影モードで投影された入力画像の一例を示す図である。歪み補正処理後の入力画像の投影領域502は、台形歪みが補正されている。歪み補正処理により、投影領域502は投影可能領域503に比べてサイズが小さくなっており、画像の投影領域に制限がかかっている。一方、照明モードでは背景画像402には歪み補正処理が行われず、画像の投影領域に制限がかからない。そのため、合成照明画像が投影される領域は、入力画像の投影領域502よりも広い。
【0043】
以上で実施例1に係る画像生成処理を終了する。動作モードを変更するユーザ操作を操作受付部200が受け付けるまでは、投影装置100は、現在設定されている動作モードでの投影を維持する。
【0044】
なお、照明画像は、例えばグラフィックであってもよい。照明画像は図形や文字などを含んでいてもよい。照明画像は、ロゴやパターン画像などを含んでいてもよい。
【0045】
また、実施例1に係る画像生成処理は、投影装置とは別体の制御装置により実行されてもよい。この場合は、制御装置は、入力画像または合成照明画像を投影装置が投影するように制御する。
【0046】
以上述べたように、歪みを補正していない背景画像に歪みを補正した照明画像を合成することで、投影装置100は、照明画像401の投影可能領域を投影装置100の本来の投影可能領域503よりも狭くせずに、照明画像401を投影することが可能になる。
【0047】
<実施例2>
実施例1では、1つの歪み補正部を持つ投影装置100について説明したが、実施例2では、2つの歪み補正部を持つ投影装置600について説明する。なお、投影装置600の構成のうち実施例1と重複する構成の説明は省略する。
【0048】
図6は、実施例2に係る投影装置600の構成例を示すブロック図である。画像選択部601は、操作受付部200が受け付けたユーザ操作に応じて、画像入力部203から出力された入力画像(第1の画像)または背景画像読出部207から出力された背景画像(第4の画像)を選択し、第1歪み補正部602に出力する。
【0049】
第1歪み補正部602は、通常投影モードの場合に画像選択部601から出力された入力画像に歪み補正処理を行い、歪み補正処理後の入力画像を合成部604に出力する。照明モードの場合は、第1歪み補正部602は、画像選択部601から出力された背景画像を合成部604に出力する。
【0050】
第2歪み補正部603は、照明画像読出部204から出力された照明画像(第2の画像)に歪み補正処理を行い、歪み補正処理後の照明画像を合成部604に出力する。
【0051】
合成部604は、照明モードの場合に、第1歪み補正部602から出力された背景画像の一部に、第2歪み補正部603から出力された照明画像を重ねることで、合成照明画像を生成する。合成部604は、合成照明画像を画像処理部209に出力する。通常投影モードの場合は、合成部604は、第1歪み補正部602から出力された入力画像を画像処理部209に出力する。
【0052】
次に、図7のフローチャートを用いて、実施例2に係る投影装置600の処理(画像生成処理)を説明する。画像生成処理は、投影装置600の電源が入れられている状態で、
制御部201により繰り返し実行される。
【0053】
ステップS701~S703の処理は、図3のステップS301~S303の処理と同じである。ステップS702~S707は、照明モードの場合の処理である。
【0054】
ステップS704では、制御部201は、背景画像402を選択して第1歪み補正部602に出力するように、画像選択部601を制御する。
【0055】
ステップS705では、制御部201は、背景画像402に対して歪み補正処理を行わないように、第1歪み補正部602を制御する。
【0056】
ステップS706では、制御部201は、第2の歪み補正量を用いて照明画像400に対して歪み補正処理を行うように、第2歪み補正部603を制御する。第2歪み補正部603は、歪み補正処理後の照明画像401を合成部604に出力する。
【0057】
ステップS707では、制御部201は、歪み補正処理が行われていない背景画像402の一部に歪み補正処理後の照明画像401を合成した合成照明画像(第3の画像)を生成するように、合成部604を制御する。
【0058】
ステップS708,S709は、通常投影モードの場合の処理である。
【0059】
ステップS708では、制御部201は、入力画像を選択して第1歪み補正部602に出力するように、画像選択部601を制御する。
【0060】
ステップS709では、制御部201は、第1の歪み補正量を用いて入力画像に対して歪み補正処理を行うように、第1歪み補正部602を制御する。
【0061】
以上で実施例2に係る画像生成処理を終了する。動作モードを変更するユーザ操作を操作受付部200が受け付けるまでは、投影装置600は、現在設定されている動作モードでの投影を維持する。
【0062】
なお、照明モードにおいて、ステップS704では、画像選択部601は、背景画像402ではなく入力画像を選択しても構わない。画像選択部601により入力画像が選択された場合に、ステップS705では、制御部201は、入力画像に対して歪み補正処理を行わないように第1歪み補正部602を制御する。そして、ステップS707では、制御部201は、歪み補正処理が行われていない入力画像の一部に歪み補正処理後の照明画像401を合成するように合成部604を制御する。このように、第4の画像として背景画像の代わりに入力画像を用いた場合においても同様に、投影装置600(投影装置100)は、投影可能領域503の全域を用いて照明画像401を投影することができる。
【0063】
実施例1の歪み補正部206は、通常投影モードでは入力画像全体の歪み補正処理を行い、照明モードでは合成照明画像における照明画像の部分の歪み補正処理を行い、照明画像の部分以外の歪みは補正しない。実施例2の第1歪み補正部602と第2歪み補正部603はそれぞれ、歪み補正処理を行うか否かを切り替えることができればよい。したがって、実施例2の歪み補正部(第1歪み補正部602と第2歪み補正部603それぞれ)は、実施例1の歪み補正部206よりもシンプルな構成でよい。複雑な構成の(高性能な)歪み補正部を使用せず、シンプルな構成の歪み補正部を使用することで、投影装置のコストの低減が期待できる。
【0064】
以上述べたように、歪み補正をしていない背景画像に歪みを補正した照明画像を合成す
ることで、投影装置600は、照明画像401の投影可能領域を投影装置600の本来の投影可能領域503よりも狭くせずに、照明画像401を投影することが可能になる。
【0065】
なお、実施例1,2(変形例を含む)はあくまで一例であり、本発明の要旨の範囲内で実施例1,2の構成を適宜変形したり変更したりすることにより得られる構成も、本発明に含まれる。実施例1,2の構成を適宜組み合わせて得られる構成も、本発明に含まれる。
【0066】
例えば、実施例1,2では、制御部201は、歪み補正処理後の照明画像を背景画像に合成するが、照明画像を背景画像に合成した後で照明画像の部分(合成照明画像の一部)の歪み補正処理を行うようにしてもよい。また、実施例1,2では、制御部201は、1つの照明画像を背景画像に合成するが、複数の照明画像を背景画像に合成してもよい。複数の照明画像を背景画像に合成する場合に、第2の歪み補正量は、合成照明画像における照明画像の位置またはサイズに応じて照明画像ごとに異なる値であってもよいし、同じ値であってもよい。
【0067】
<その他の実施例>
本発明は、上述の実施例の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0068】
本実施形態の開示は、以下の構成、方法、およびプログラムを含む。
(構成1)
第1のモードと第2のモードとを含む複数のモードのいずれかを設定する設定手段と、
画像の歪みを補正する補正手段と、
前記第1のモードの場合に投影装置が第1の画像を投影し、前記第2のモードの場合に第2の画像が一部に重ねられた第3の画像を前記投影装置が投影するように制御する制御手段と
を有し、
前記補正手段は、前記第1のモードの場合に、前記第1の画像の歪みを補正し、前記第2のモードの場合に、前記第3の画像における、前記第2の画像の部分の歪みを補正することを特徴とする制御装置。
(構成2)
前記設定手段は、ユーザ操作に応じて前記複数のモードのいずれかを設定する
ことを特徴とする構成1に記載の制御装置。
(構成3)
前記第1の画像は外部から入力された画像である
ことを特徴とする構成1または2に記載の制御装置。
(構成4)
前記第2のモードの場合に、前記補正手段により補正された前記第2の画像を、前記投影装置の解像度に合わせて生成された第4の画像の一部に重ねて、前記第3の画像を生成する生成手段をさらに有する
ことを特徴とする構成1から3のいずれか1項に記載の制御装置。
(構成5)
前記第4の画像は、黒画像または前記第1の画像である
ことを特徴とする構成4に記載の制御装置。
(構成6)
前記第3の画像の解像度は前記投影装置の解像度と同じである
ことを特徴とする構成1から5のいずれか1項に記載の制御装置。
(構成7)
前記第1のモードは投影モードであり、前記第2のモードは照明モードである
ことを特徴とする構成1から6のいずれか1項に記載の制御装置。
(構成8)
前記補正手段は、前記第1のモードの場合に第1の歪み補正量を用い、前記第2のモードの場合に第2の歪み補正量を用いて画像の歪みを補正する
ことを特徴とする構成1から7のいずれか1項に記載の制御装置。
(構成9)
前記補正手段は、
前記第1のモードの場合に、前記第1の画像の歪みを補正する第1の補正手段と、
前記第2のモードの場合に、前記第3の画像における、前記第2の画像の部分の歪みを補正する第2の補正手段と
を有する
ことを特徴とする構成1から8のいずれか1項に記載の制御装置。
(構成10)
前記補正手段は、台形補正を行うことにより、画像の歪みを補正する
ことを特徴とする構成1から9のいずれか1項に記載の制御装置。
(構成11)
前記補正手段は、前記第2のモードの場合に、前記第3の画像における、前記第2の画像の部分以外の歪みを補正しない
ことを特徴とする構成1から10のいずれか1項に記載の制御装置。
(構成12)
前記第3の画像が投影される領域は、前記第1の画像が投影される領域よりも広い
ことを特徴とする構成1から11のいずれか1項に記載の制御装置。
(構成13)
前記第2の画像は、図形または文字を含む
ことを特徴とする構成1から12のいずれか1項に記載の制御装置。
(構成14)
構成1~13のいずれか1項に記載の制御装置と、
画像を投影する投影手段と
を有することを特徴とする投影装置。
(方法)
第1のモードと第2のモードとを含む複数のモードのいずれかを設定する設定ステップと、
画像の歪みを補正する補正ステップと、
前記第1のモードの場合に投影装置が第1の画像を投影し、前記第2のモードの場合に第2の画像が一部に重ねられた第3の画像を前記投影装置が投影するように制御する制御ステップと、
を有し、
前記補正ステップでは、前記第1のモードの場合に、前記第1の画像の歪みを補正し、前記第2のモードの場合に、前記第3の画像における、前記第2の画像の部分の歪みを補正する
ことを特徴とする制御方法。
(プログラム)
コンピュータを、構成1~13のいずれか1項に記載の制御装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0069】
201:制御部 206:歪み補正部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7