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特開2023-177520車両管理サーバー、通信端末、車両管理プログラム、及び車両管理方法
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  • 特開-車両管理サーバー、通信端末、車両管理プログラム、及び車両管理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177520
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】車両管理サーバー、通信端末、車両管理プログラム、及び車両管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/30 20120101AFI20231207BHJP
【FI】
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090242
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 峻
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 太郎
(72)【発明者】
【氏名】竹田 友弥
(72)【発明者】
【氏名】西山 由華
(72)【発明者】
【氏名】千葉 寛也
(72)【発明者】
【氏名】菅野 達也
(72)【発明者】
【氏名】増田 泰造
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC42
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ロボットタクシーの利用者のプライバシーに配慮しつつ、貸し出し中の車両の状態を確認したいというオーナーの要求を満たせるようにする車両管理サーバー、通信端末、車両管理プログラム、及び車両管理方法を提供する。
【解決手段】車両管理システム1において、オーナー端末30から利用者にロボットタクシーとして貸し出される車両を管理する車両管理サーバー50は、車両10がロボットタクシーとして稼働中である場合に、オーナーの現在位置から車両までの距離又は車両10が現在位置しているエリアである車両位置情報をオーナーの通信端末30に送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーナーから利用者にロボットタクシーとして貸し出される車両を管理する車両管理サーバーであって、
前記車両管理サーバーは、前記車両が前記ロボットタクシーとして稼働中である場合に、車両位置情報を前記オーナーの通信端末に送信し、
前記車両位置情報は、前記オーナーの現在位置から前記車両までの距離、又は前記車両が現在位置しているエリアである
車両管理サーバー。
【請求項2】
前記車両管理サーバーは、前記車両が前記利用者の下に向かう際に前記車両の出発地点から前記車両が第1所定距離だけ離れた後に、前記車両が前記稼働中であると判定する
請求項1に記載の車両管理サーバー。
【請求項3】
前記車両管理サーバーは、前記利用者が前記車両から降りることに伴って前記車両が前記稼働中でなくなった後、前記利用者が前記車両から降りた地点から前記車両が第2所定距離だけ離れるまでは、前記稼働中の前記車両位置情報と比べて正確な車両位置情報が前記通信端末に送信されることを禁止する
請求項1に記載の車両管理サーバー。
【請求項4】
前記車両管理サーバーは、前記車両が前記稼働中である場合には、前記車両に搭載されたカメラへの前記通信端末のアクセスを禁止し、前記車両が前記稼働中でない場合には、前記カメラへの前記通信端末のアクセスを許可する
請求項1に記載の車両管理サーバー。
【請求項5】
利用者にロボットタクシーとして貸し出される車両のオーナーによって操作される通信端末であって、
前記車両が前記ロボットタクシーとして稼働中である場合には、前記車両の車両位置情報を、第1の表示形式で画面表示し、
前記車両が前記稼働中でない場合には、前記車両位置情報を、前記第1の表示形式と異なる第2の表示形式で画面表示する
通信端末。
【請求項6】
オーナーから利用者にロボットタクシーとして貸し出される車両を管理する車両管理プログラムであって、
前記車両管理プログラムは、前記車両が前記ロボットタクシーとして稼働中である場合に、車両位置情報を前記オーナーの通信端末に送信する処理をコンピュータに実行させるように構成され、
前記車両位置情報は、前記オーナーの現在位置から前記車両までの距離、又は前記車両が現在位置しているエリアである
車両管理プログラム。
【請求項7】
オーナーから利用者にロボットタクシーとして貸し出される車両を管理する車両管理方法であって、
前記車両管理方法は、前記車両が前記ロボットタクシーとして稼働中である場合に、車両位置情報を前記オーナーの通信端末に送信することを含み、
前記車両位置情報は、前記オーナーの現在位置から前記車両までの距離、又は前記車両が現在位置しているエリアである
車両管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両管理サーバー、通信端末、車両管理プログラム、及び車両管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、タクシー運賃案内システムを開示している。このシステムは、タクシー利用に先立ってタクシー利用者が指定する目的地までのタクシー料金を事前に表示して案内する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-172777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、個人所有車両(POV)をロボットタクシーとして貸し出すことを提案するものではない。POVをロボットタクシーとして貸し出す場合、オーナーの中には、ロボットタクシーとして貸し出し中の自分の車両の状態について確認したいと思う人がいると考えられる。一方、ロボットタクシーの利用者のプライバシーを考慮すると、ロボットタクシーとして稼働中の車両の位置情報をすべてオーナーに提供することは適切ではない。
【0005】
本開示は、上述のような課題に鑑みてなされたものであり、ロボットタクシーの利用者のプライバシーに配慮しつつ、貸し出し中の車両の状態を確認したいというオーナーの要求を満たせるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る車両管理サーバーは、オーナーから利用者にロボットタクシーとして貸し出される車両を管理する。車両管理サーバーは、車両がロボットタクシーとして稼働中である場合に、車両位置情報をオーナーの通信端末に送信する。車両位置情報は、オーナーの現在位置から車両までの距離、又は車両が現在位置しているエリアである。
【0007】
本開示に係る通信端末は、利用者にロボットタクシーとして貸し出される車両のオーナーによって操作される。通信端末は、車両がロボットタクシーとして稼働中である場合には、当該車両の車両位置情報を、第1の表示形式で画面表示する。通信端末は、車両が上記稼働中でない場合には、上記車両位置情報を、第1の表示形式と異なる第2の表示形式で画面表示する。
【0008】
本開示に係る車両管理プログラムは、オーナーから利用者にロボットタクシーとして貸し出される車両を管理する。車両管理プログラムは、車両がロボットタクシーとして稼働中である場合に、車両位置情報をオーナーの通信端末に送信する処理をコンピュータに実行させるように構成されている。車両位置情報は、オーナーの現在位置から車両までの距離、又は車両が現在位置しているエリアである。
【0009】
本開示に係る車両管理方法は、オーナーから利用者にロボットタクシーとして貸し出される車両を管理する。車両管理方法は、車両がロボットタクシーとして稼働中である場合に、車両位置情報をオーナーの通信端末に送信することを含む。車両位置情報は、オーナーの現在位置から車両までの距離、又は車両が現在位置しているエリアである。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る車両管理サーバー、車両管理プログラム、及び車両管理方法によれば、車両がロボットタクシーとして稼働中である場合、オーナーの通信端末には、車両位置情報として、オーナーの現在位置から車両までの距離、又は車両が現在位置しているエリアが送信される。このように送信される車両位置情報は、車両の現在位置を特定可能な程度の正確な位置情報ではなく、おおよその位置情報である。このため、ロボットタクシーの利用者のプライバシーに配慮しつつ、貸し出し中の車両の状態を確認したいというオーナーの要求を満たすことが可能となる。
【0011】
また、本開示に係る通信端末によれば、車両がロボットタクシーとして稼働中であるか否かに応じて、通信端末の画面への車両位置情報の表示形式が互いに異なる第1の表示形式と第2の表示形式との間で変更される。このような構成を備えることにより、例えば第1の表示形式において第2の表示形式と比べて粗い車両位置情報を表示するようにした場合に、ロボットタクシーの利用者のプライバシーに配慮しつつ、貸し出し中の車両の状態を確認したいというオーナーの要求を満たすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態に係る車両管理システムの構成の一例を示す図である。
図2図1に示す車両管理システムにおいて実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図3図1に示すオーナー端末の画面の一例を示す図である。
図4】実施の形態の変形例に係る車両管理システムにおいて実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本開示の実施の形態について説明する。
【0014】
1.システムの構成
図1は、実施の形態に係る車両管理システムの構成の一例を示す図である。図1に示す車両管理システム1は、オーナーから利用者にロボットタクシーとして貸し出される車両10を管理する。より具体的には、オーナーは、個人所有車両(POV)である車両10を所有している。車両10は、米国の自動車技術会(SAE)の定義においてレベル4以上の自動走行が可能な自動運転車両であり、ロボットタクシーとして稼働可能に構成されている。このため、オーナーは、自身が車両10を使用していない時に当該車両10をロボットタクシーとして人に貸し出すことができる。
【0015】
車両管理システム(以下、単に「システム」とも称する)1は、車両10とともに、オーナーの通信端末(オーナー端末)30と、利用者端末40と、車両管理サーバー50と、を備える。
【0016】
車両10は、走行装置12、電子制御ユニット(ECU)14、通信装置16、車両状態センサ18、認識センサ20、GNSS受信機(Global Navigation Satellite System)22、及び車内カメラ24を備えている。
【0017】
走行装置12は、車両10の加速、減速、及び操舵を行う装置として、例えば、駆動装置、制動装置、及び操舵装置を含んでいる。ECU14は、車両10を制御するコンピュータである。具体的には、ECU14は、プロセッサ26と記憶装置28とを備えている。プロセッサ26は、各種処理を実行する。各種処理は、車両10の自動運転制御に関する処理を含む。記憶装置28は、各種情報を格納している。記憶装置28としては、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、HDD(Hard Disk Drive)、及びSSD(Solid State Drive)が例示される。ECU14(プロセッサ26)が各種コンピュータプログラムを実行することにより、ECU14による各種処理が実現される。各種プログラムは、記憶装置28に格納されている、あるいは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されている。なお、プロセッサ26及び記憶装置28は複数であってもよい。
【0018】
通信装置16は、通信ネットワーク2を介してオーナー端末30、利用者端末40、及び車両管理サーバー50のそれぞれと通信を行う。車両状態センサ18は、車両10の状態を検出する。車両状態センサ18としては、車速センサ、操舵角センサ、ヨーレートセンサ、及び横加速度センサが例示される。認識センサ20は、車両10の周囲の状況を認識(検出)する。認識センサ20は、車両10の周囲を撮像する車外カメラを含む。GNSS受信機22は、GNSS衛星からの信号に基づいて車両10の位置及び方位を取得する。車内カメラ24は、車両10の室内を撮像する。
【0019】
上述のように構成された車両10は、ロボットタクシーとして稼働している間、レベル4以上の自動運転制御によって、目的地まで自動で走行することができる。
【0020】
オーナー端末30は、車両10のオーナーによって操作される。オーナー端末30は、例えば、スマートフォン又はタブレット型パーソナルコンピュータである。オーナー端末30は、プロセッサ、記憶装置、及び通信装置を備えている。また、オーナー端末30は、GNSS衛星からの信号に基づいて、当該オーナー端末30を所持するオーナーの位置情報を取得できる。
【0021】
利用者端末40は、オーナーから車両10を借りる利用者によって操作される。利用者端末40は、例えば、スマートフォン又はタブレット型パーソナルコンピュータである。利用者端末40は、プロセッサ、記憶装置、及び通信装置を備えている。
【0022】
車両管理サーバー(以下、単に「サーバー」とも称する)50は、システム1における各種処理を実行するコンピュータである。当該各種処理は、オーナーと利用者との間での車両10の貸借の仲介に関する処理と、図2を参照して後述される処理と、を含む。
【0023】
具体的には、サーバー50は、通信装置52と、プロセッサ54と、記憶装置56と、を備える。サーバー50(通信装置52)は、通信ネットワーク2を介してオーナー端末30と利用者端末40との間に介在し、かつ、通信ネットワーク2を介して車両10と通信を行う。プロセッサ54は、上記の各種処理を実行する。記憶装置56は、各種情報を格納している。記憶装置56としては、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、HDD(Hard Disk Drive)、及びSSD(Solid State Drive)が例示される。プロセッサ54が各種コンピュータプログラムを実行することにより、プロセッサ54による各種処理が実現される。各種プログラムは、記憶装置56に格納されている、あるいは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されている。なお、プロセッサ54及び記憶装置56は複数であってもよい。
【0024】
2.システムにおける処理
本実施形態の車両管理システム1では、オーナーは、オーナー端末30を操作して所定のアプリケーションを実行させることにより、サーバー50にアクセスして車両10の管理を行うことができる。より詳細には、車両10の貸し出し(換言すると、ロボットタクシーとしての車両10の営業)を行う場合、オーナーは、当該アプリケーションに登録している利用者による車両10の予約をサーバー50を利用して受け付けることができる。このように、オーナーと利用者は、システム1において提供されるアプリケーションを利用することで、車両10の貸し借りを行うことができる。
【0025】
POVである車両10がロボットタクシーとして稼働する場合、オーナーが稼働中の車両の情報を制限なく取得できると、利用者のプライバシーを害する懸念がある。一方、オーナーが何も情報を取得できないと、オーナーは車両10の状態を把握できず、不安を感じるおそれがある。
【0026】
そこで、車両管理システム1では、ロボットタクシーの利用者のプライバシーに配慮しつつ、貸し出し中の車両10の状態を確認したいというオーナーの要求を満たせるようにするために、次のような処理が実行される。
【0027】
図2は、図1に示す車両管理システム1において実行される処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、オーナーがオーナー端末30を操作してサーバー50にアクセスすることで開始され、当該アクセスが終了するまで繰り返し実行される。
【0028】
2-1.サーバーの処理
サーバー50の側では、ステップS100~S112の処理が実行される。ステップS100において、サーバー50(プロセッサ54)は、車両10がロボットタクシーとして稼働中であるか否かを判定する。
【0029】
具体的には、「稼働中」であるか否かは、例えば、出発時点T1から降車時点T2までの期間中であるか否かに基づいて判定される。出発時点T1は、車両10が利用者の下に向かう際に車両10の出発地点P1を離れる時点に相当する。出発地点P1は、車両10を最初に借りる利用者の下に車両10が向かう場合には、例えばオーナーの自宅の駐車場又は車両10の貸倉庫である。また、ある利用者への貸し出し後、オーナーは、貸し出しを希望する他の利用者に車両10を貸し出すために車両10を巡回走行させる場合がある。このような場合において当該他の利用者からの車両10の予約がなされたときであれば、当該巡回走行中に当該他の利用者の下に向かう際の車両10の現在位置が、出発地点P1に相当する。降車時点T2は、利用者への車両10の貸し出しの終了に伴って当該利用者が車両10から降りた時点に相当する。
【0030】
また、「稼働中」であるか否かの判定は、次のように実行されてもよい。すなわち、サーバー50は、上記の出発地点P1からではなく、例えば、車両10が上記の出発地点P1から第1所定距離D1だけ離れた後に、稼働中であると判定してもよい。第1所定距離D1は、出発地点P1の周辺エリアを特定する所定距離であり、例えば、500mである。第1所定距離D1は、出発地点P1からの直線距離であってもよいし、出発地点P1からの車両10の走行経路に沿った距離(走行距離)であってもよい。
【0031】
付け加えると、車両10が利用者の下に向かって走行している期間は、必ずしも「稼働中」に含まれなくてもよい。
【0032】
車両10がロボットタクシーとして稼働中である場合には(ステップS100;Yes)、サーバー50は、ステップS102において、オーナーの現在位置から車両10までの距離Dvを算出し、「車両位置情報」として当該距離Dvをオーナー端末30に送信する。
【0033】
上記の距離Dvの算出のために、サーバー50は、オーナー端末30から送信されるオーナーの現在位置(すなわち、オーナー端末30の現在位置)を用いる。また、距離Dvの算出のために、サーバー50は、車両10から送信される車両10の現在位置を用いる。車両10の現在位置は、GNSS受信機22を利用して車両10によって取得されるものである。このように、サーバー50によって算出される距離Dvは、GNSS受信機22を利用して取得される車両10の現在位置を用いて算出される正確な距離であってもよい。あるいは、距離Dvは、このように算出される正確な距離と比べて粗い距離、すなわち、例えば100kmオーダー、又は10kmオーダー等のおおよその距離として算出されてもよい(例えば、後述の図3(A)参照)。なお、距離Dvは、オーナーの現在位置から車両10までの直線距離であってもよいし、オーナーの現在位置からの車両10の走行経路に沿った距離(走行距離)であってもよい。
【0034】
また、ステップS102では、サーバー50は、「車両距離情報」として、距離Dvの送信に代え、車両10が現在位置しているエリアAvをオーナー端末30に送信してもよい。エリアAvは、車両10のおおよその現在位置を示す情報であり、例えば、「市」、「町」、又は「村」等の行政区域単位で特定されるエリアである。
【0035】
次いで、ステップS104において、サーバー50は、車両10に搭載されたカメラへのオーナー端末30のアクセスを禁止する。当該カメラは、認識センサ20に含まれる車外カメラと、車内カメラ24の少なくとも一方である。
【0036】
次いで、ステップS106において、サーバー50は、オーナーによる車両10の遠隔制御を禁止する。具体的には、サーバー50は、例えば、オーナーがオーナー端末30を操作して車両10に新たな目的地を設定することを禁止する。
【0037】
一方、車両10がロボットタクシーとして稼働中でない場合(ステップS100;No)、つまり、利用者のプライバシーに配慮する必要性がない若しくは低い場合には、サーバー50は、ステップS108において、「車両位置情報」として、稼働中と比べて正確な車両10の現在位置(例えば、後述の図3(B)参照)をオーナー端末30に送信する。
【0038】
次いで、ステップS110において、サーバー50は、車両10に搭載されたカメラへのオーナー端末30のアクセスを許可する。これにより、オーナーは、オーナー端末30の画面32に表示される「カメラ」のボタン(図3(B)参照)を操作して、当該カメラの画像を画面32に表示させることが可能となる。
【0039】
次いで、ステップS112において、サーバー50は、オーナーによる車両10の遠隔制御を許可する。具体的には、サーバー50は、例えば、オーナーがオーナー端末30を操作して車両10に新たな目的地を設定することを許可する。これにより、オーナーは、オーナー自身が設定した目的地まで自動で走行するように車両10に指示を出す(すなわち、車両10を遠隔制御する)ことができる。
【0040】
目的地の設定は、例えば、オーナー端末30の画面32に表示される「目的地設定」のボタン(図3(B)参照)を操作するオーナーによって、オーナー端末30からサーバー50を介して車両に送信されてもよい。あるいは、目的地の設定は、オーナー端末30から車両10に直接送信されてもよい。付け加えると、ある利用者への車両10の貸し出しが終了した後にオーナーが別の利用者に車両10をさらに貸し出すことを希望している場合、先の利用者の降車位置によっては、さらなる貸し出し(すなわち、ロボットタクシーの新規予約)を図るうえで不便な場所に車両10が位置していることが起こり得る。ステップS112の処理によれば、このような場合に、オーナーは、目的地を設定することで、さらなる貸し出しが促進される場所(例えば、貸し出しのニーズが高い都市部)に車両10を移動させることができる。また、オーナーが外出している場合に、オーナーは、目的地を設定することで、オーナーの下に車両10を呼び寄せることもできる。
【0041】
あるいは、ステップS112における遠隔制御の許可は、オーナーがオーナー端末30を操作してロボットタクシーとしての車両10の営業終了を車両10に指示することであってもよい。この営業終了の指示は、オーナー端末30から車両10に直接送信されてもよいし、サーバー50を介して車両に送信されてもよい。車両10が営業終了の指示を受け取った後は、車両10は、ロボットタクシーの新規予約を受け付けなくなり、オーナーの下(より詳細には、オーナーの自宅の駐車場、又は貸倉庫)にまで自動で走行して戻る。
【0042】
2-2.オーナー端末の処理
オーナー端末30の側では、ステップS200~S204の処理が実行される。ステップS200において、オーナー端末30(プロセッサ)は、車両10がロボットタクシーとして稼働中であるか否かを判定する。具体的には、オーナー端末30は、例えば、上記ステップS100の判定結果をサーバー50から受け取り、受け取った判定結果に利用して本ステップS200の判定を行う。
【0043】
図3(A)及び3(B)は、図1に示すオーナー端末30の画面32の一例を示す図である。オーナーは、オーナー端末30を操作してサーバー50にアクセスすることで、図3(A)及び3(B)に示す画面32に表された情報をサーバー50から受信することができる。画面32には、例えば、ロボットタクシーの稼働状況を示す情報と、車両10の現在位置に関する情報と、当該現在位置を地図上で示す情報とが表示される。これら3つの情報のうち、2つ目と3つ目の情報が、オーナー端末30がサーバー50から受信する「車両位置情報」に相当する。また、画面32には、例えば、車両10のカメラへのアクセスのための「カメラ」のボタンと、目的地設定を行うための「目的地設定」のボタンとが表示されている。
【0044】
オーナー端末30は、ステップS200の判定結果に応じて、すなわち、車両10がロボットタクシーとして稼働中であるか否かに応じて、画面32における「車両位置情報」の表示形式を切り替える。
【0045】
具体的には、車両10がロボットタクシーとして稼働中である場合(ステップS200;Yes)、ステップS202において、オーナー端末30は、第1の表示形式で「車両位置情報」を画面32に表示する。図3(A)は、この第1の表示形式による画面表示の一例を示している。図3(A)に示す画面32には、車両10がロボットタクシーとして「稼働中」であることが表示されている。また、画面32には、車両10の現在位置に関する情報として、サーバー50から受信される上述の距離Dvの一例である「~100km(100km以内)」というおおよその距離が表示されている。当該距離Dvに代え、エリアAvを示す情報が画面表示されてもよい。さらに、車両10がロボットタクシーとして稼働中であるために、画面32には、地図上での現在位置の表示(すなわち、正確な車両位置情報の表示)が不可であることを示すメッセージが表示されている。また、車両10がロボットタクシーとして稼働中である場合には、カメラへのアクセス及び目的地設定がサーバー50によって許可されない。このため、図3(A)に示す画面32では、「カメラ」及び「目的地設定」のボタンは、グレーアウトされ、利用不可状態となっている。
【0046】
一方、車両10がロボットタクシーとして稼働中でない場合(ステップS200;No)、ステップS204において、オーナー端末30は、第2の表示形式で「車両位置情報」を画面32に表示する。図3(B)は、この第2の表示形式による画面表示の一例を示している。図3(B)に示す画面32には、ロボットタクシーの稼働状況として、「予約待ち」であることが表示されている。また、画面32には、車両10の現在位置に関する情報としてのエリアAvの情報(例えば、裾野市)とともに、車両10の現在位置を地図上で示す情報が表示されている。すなわち、サーバー50から受信される正確な車両位置情報が画面32に表示されている。
【0047】
以上のように、稼働中の表示形式である第1の表示形式は、おおよその(換言すると、粗い)「車両位置情報」を表示するものであるのに対し、非稼働中の表示形式である第2の表示形式は、車両10の現在位置を特定可能な程度の正確な「車両位置情報」を表示するものである。
【0048】
3.効果
以上説明したように、本実施形態によれば、車両10がロボットタクシーとして稼働中である場合には、サーバー50は、オーナーの現在位置から車両10までの距離Dvを車両位置情報としてオーナー端末30に送信する。当該距離Dv又は上述のエリアAvは、車両10の現在位置を特定可能な程度の正確な位置情報ではなく、おおよその位置情報である。そして、オーナー端末30は、当該おおよその位置情報を画面32に表示する(第1の表示形式)。このような構成によれば、ロボットタクシーの利用者のプライバシーに配慮しつつ、貸し出し中の車両10の状態を確認したいというオーナーの要求を満たす(換言すると、オーナーの不安を軽減する)ことが可能となる。
【0049】
また、既に説明したように、サーバー50は、車両10が利用者の下に向かう際に車両10の出発地点P1から車両10が第1所定距離D1だけ離れた後に、車両10がロボットタクシーとして稼働中であると判定してもよい。これにより、車両10が利用者の下に向かって自動で走行している期間についても、オーナー端末30に送信される車両位置情報(換言すると、オーナー端末30の画面32に表示される車両位置情報)をおおよその位置情報に制限して利用者のプライバシーに配慮することができる。そのうえで、出発地点P1から第1所定距離D1以内のエリア(例えば、オーナーの自宅周辺)、つまり、利用者のプライバシーに配慮する必要性が低いエリアでは、当該制限が解除される。これにより、当該制限が解除されない場合と比べて、オーナーは、当該エリアにおいて車両10の見守りをより確実に行えるようになる。
【0050】
さらに、本実施形態によれば、オーナーの下を離れた車両10がロボットタクシーとして稼働中である場合には、車両10に搭載されたカメラへのオーナー端末30のアクセスが禁止され、稼働中でない場合には、カメラへのアクセスが許可される。これにより、利用者のプライバシーに配慮する必要性がない若しくは低い場合に、オーナーによる車両10の見守りをより効果的に行えるようになる。
【0051】
4.利用者降車後の処理の他の例
利用者が車両10から降りることに伴って車両10がロボットタクシーとして稼働中でなくなった後においてサーバー50からオーナー端末30に送信される「車両位置情報」は、次のように制限されてもよい。図4は、実施の形態の変形例に係る車両管理システムにおいて実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【0052】
図4では、ステップS100において車両10が稼働中でなくなった場合、サーバー50は、ステップS300において、車両10が利用者の降車地点P2から第2所定距離D2内に位置しているか否かを判定する。第2所定距離D2は、降車地点P2の周辺エリアを特定する所定距離であり、例えば、500mである。第2所定距離D2は、降車地点P2からの直線距離であってもよいし、降車地点P2からの車両10の走行経路に沿った距離(走行距離)であってもよい。また、第2所定距離D2は、上述の第1所定距離D1と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0053】
ステップS300において車両10が降車地点P2から第2所定距離D2内に位置している場合、つまり、車両10が利用者の降車地点P2から第2所定距離D2だけ離れるまでは、処理はステップS102に進む。一方、ステップS300において車両10が降車地点P2から第2所定距離D2以上離れると、処理はステップS108に進む。
【0054】
図4に示す処理のように、サーバー50は、利用者の降車地点P2から車両10が第2所定距離D2だけ離れるまでは、稼働中と比べて正確な車両位置情報がオーナー端末30に送信されることを禁止してもよい。また、図4に示す処理によれば、サーバー50は、利用者の降車地点P2から車両10が第2所定距離D2だけ離れるまでは、オーナー端末30による車両のカメラへのアクセスが禁止され、また、オーナー端末30の操作による車両10の遠隔制御も禁止される。
【0055】
また、図4では、ステップS200において車両10が稼働中でなくなった場合、オーナー端末30は、ステップS400において、車両10が利用者の降車地点P2から第2所定距離D2内に位置しているか否かを判定する。具体的には、オーナー端末30は、例えば、上記ステップS300の判定結果をサーバー50から受け取り、受け取った判定結果に利用して本ステップS400の判定を行う。
【0056】
ステップS400において車両10が降車地点P2から第2所定距離D2内に位置している場合、つまり、車両10が利用者の降車地点P2から第2所定距離D2だけ離れるまでは、処理はステップS202に進む。一方、ステップS400において車両10が降車地点P2から第2所定距離D2以上離れると、処理はステップS204に進む。このような処理によれば、車両10がロボットタクシーとして稼働中でなくなった後であっても、利用者の降車地点P2から車両10が第2所定距離D2だけ離れるまでは、稼働中と比べて正確な車両位置情報(すなわち、第2の表示形式による位置情報)を画面32に表示することが禁止される。
【0057】
以上説明した図4に示す処理によれば、利用者が車両10から降りた後に車両10が利用者の降車地点P2の周辺を離れるまでの期間をも考慮することで、ロボットタクシーの利用者のプライバシーにより一層配慮しつつ、貸し出し中の車両10の状態を確認したいというオーナーの要求を満たすことが可能となる。
【符号の説明】
【0058】
1 車両管理システム、2 通信ネットワーク、10 車両、12 走行装置、14 電子制御ユニット(ECU)、20 認識センサ(車外カメラを含む)、24 車内カメラ、30 オーナー端末、32 オーナー端末の画面、40 利用者端末、50 車両管理サーバー
図1
図2
図3
図4