(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177530
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】導光板、表示装置、検査装置および金型
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20231207BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20231207BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20231207BHJP
【FI】
F21S2/00 435
F21S2/00 444
F21Y115:10
F21Y115:15
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090257
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阪口 知久
(72)【発明者】
【氏名】藤田 勝
(72)【発明者】
【氏名】高田 和政
(72)【発明者】
【氏名】上水 和平
(72)【発明者】
【氏名】菊池 栄成
(72)【発明者】
【氏名】大江 知絵
【テーマコード(参考)】
3K244
【Fターム(参考)】
3K244AA01
3K244BA31
3K244BA48
3K244CA03
3K244DA01
3K244EA03
3K244EA04
3K244EA12
3K244ED03
3K244ED05
3K244ED13
3K244ED27
3K244LA02
(57)【要約】
【課題】導光板の検査が容易にする。
【解決手段】導光板1は、光が入射する入射面10と、入射面10から入射した光を反射させる複数のプリズム3が形成された第1面11と、第1面11と対向するように設けられ、入射面10から入射した光を出射する第2面12とを備える。複数のプリズム3は、頂角の角度αが一定である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光が入射する入射面と、
前記入射面から入射した光を反射させる複数のプリズムが形成された第1面と、
前記第1面と対向するように設けられ、前記入射面から入射した光を出射する第2面とを備え、
前記複数のプリズムは、頂角の角度が一定であることを特徴とした導光板。
【請求項2】
前記複数のプリズムは、前記入射面から入射した光を前記第2面側に反射させることを特徴とする請求項1に記載の導光板。
【請求項3】
前記第1面および前記第2面は、平面であることを特徴とする請求項1に記載の導光板。
【請求項4】
前記第1面および前記第2面は、曲面であることを特徴とする請求項1に記載の導光板。
【請求項5】
前記プリズムの頂角は、30度以上120度以下であることを特徴とする請求項1に記載の導光板。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の導光板と、
前記導光板の前記入射面に対して光を照射する光源とを備えることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項に記載の導光板を検査するための検査装置。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか1項に記載の導光板を生成するための金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、導光板、表示装置、検査装置および金型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数のプリズムを有する導光板を備えた表示装置が知られている。例えば、特許文献1では、複数のプリズムが導光板の反射面に設けられている。各プリズムは、光源からの入射光が導光板の出射面から照射されるように、入射光を出射面側に反射させる。この構成により、表示装置の視認性を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1では、プリズムの頂角を変化させることにより、導光板の配光制御を行っている。
【0005】
ここで、従来より、導光板の検査は、目視や画像解析によって行われていたが、ドットが小さい場合や、プリズムが複数種類ある場合、プリズムが多数ある場合など、導光板の検査が困難な場合がある。
【0006】
そこで、本開示は、検査が容易な導光板、表示装置、検査装置および金型を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本開示の一実施形態に係る導光板は、光が入射する入射面と、前記入射面から入射した光を反射させる複数のプリズムが形成された第1面と、前記第1面と対向するように設けられ、前記入射面から入射した光を出射する第2面とを備え、前記複数のプリズムは、頂角の角度が一定である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によると、導光板の検査が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2C】第1実施形態に係る検査装置において、導光板に入射するレーザ光の状態を示す断面図。
【
図2D】第1実施形態に係る各プリズムに対して照射したレーザ光の軌跡を説明するための図。
【
図2E】第1実施形態に係る各プリズムに対して照射したレーザ光の軌跡を説明するための図。
【
図3C】第2実施形態に係るセンサによって撮像された画像例。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限することを意図するものでは全くない。なお、以下の説明では、同じ部分については同じ符号を付し、詳細な説明を適宜省略する。
【0011】
(第1実施形態)
(表示装置の全体構成)
図1は第1実施形態に係る表示装置の断面図である。
図1に示すように、表示装置100は、導光板1と、光源2とを備える。なお、
図1では、光源2から照射された光を破線で示している。また、
図1等において、光源2の光軸方向をX方向、導光板1の厚さ方向をZ方向、X方向およびY方向と垂直をなす方向をY方向として説明する。
【0012】
導光板1は、アクリル樹脂等の透光性を有する樹脂材料で形成された、略板状の部材である。また、導光板1は、第1面11と第2面12とを有する。第1面11と第2面12は、対向するように設けられている。
【0013】
光源2は、例えば、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)素子又は有機EL(OEL:Organic Electro-Luminescence)素子等の固体発光素子である。本実施形態では、光源2は、例えば、チップ状の発光ダイオード素子である。光源2は、導光板1の入射面10(図面左側の面)側に配置されており、導光板1に対して光を照射する。
【0014】
また、導光板1の第1面11には、複数のプリズム3(3a~3c)が形成されている。各プリズム3は、光源2からの入射光を、第2面12側に反射させる。このため、光源2から導光板1に入射した入射光は、第2面12から出射される。
【0015】
図1に示すように、プリズム3a~3cは、反射面31a~31cをそれぞれ有する。反射面31a~31cは、光源2からの入射光を第1面11に向けて反射させるための反射面である。また、反射面31a~31cは、第1面11とのなす角度が、角度θ1~θ3となるようにそれぞれ形成されている。角度θ1~θ3は、導光板1の配光制御を行うために適宜設定されるものであり、異なっていてもよいし、同一であってもよい。例えば、角度θ1~θ3は、それぞれ、10度以上80度以下の範囲に設定される。
【0016】
ここで、プリズム3a~3cの頂角は、いずれも同一の角度である角度αとなるように形成されている。なお、複数のプリズム3には、頂角が角度αとなっていないプリズム3が一部含まれていてもよい。例えば、複数のプリズム3には、頂角が角度αとなっていないプリズム3が複数のプリズム3全体に対して5%程度含まれていてもよい。また、角度αの誤差範囲は、±1°程度以内であればよい。なお、プリズム3によって表示装置100の配光制御を行う場合、例えば、プリズム3の頂角αは、30度以上120度以下であることが好ましい。
【0017】
なお、
図1では、導光板1に3つのプリズム3(3a~3c)が形成されているが、導光板1に形成されるプリズム3の個数は3つに限られず、2以上であればよい。例えば、導光板1には、プリズム3が数万個形成されていてもよい。具体的には、導光板1がヘッドアップディスプレイに用いられる場合、導光板1の30mm×60mmの範囲に対して3~4万個のプリズム3が形成される。本表示装置が液晶である場合は、さらに多くのプリズム3が導光板1に形成される。
【0018】
また、
図1では、プリズム3(3a~3c)の反射面(31a~31c)が入射面10に対向するように配置されているが、必ずしも、プリズム3の反射面が入射面10に対向していなくてもよい(
図2B参照)。少なくとも、プリズム3の底辺が第1面11に沿うように配置されていればよく、上から見たときに、プリズム3の反射面と入射面10とのなす角度が0度以上90度以下であればよい。
【0019】
(導光板の検査方法について)
次に、導光板1の検査方法を説明する。
【0020】
図2Aは第1実施形態に係る検査装置の断面図である。
図2Aに示すように、本実施形態に係る検査装置は、光源4と、ビームスプリッタ5と、センサ6と、ステージ7とを備える。本実施形態では、
図2Aの検査装置を用いて、ステージ7に載置された導光板1の検査を行う。このとき、導光板1は、プリズム3が形成されている第1面11側が、光源4と対向するように、ステージ7に配置される。
【0021】
光源4は、例えば、発光ダイオード素子や、有機EL素子などであり、レーザ光L1を導光板1に対して照射する発光素子である。
【0022】
ビームスプリッタ5は、一方側(ここでは図面上側)から入射した光を透過させ、反対側(ここでは図面下側)から入射した光を反射させる光学素子(例えば、ハーフミラーなど)である。具体的には、ビームスプリッタ5は、光源4とステージ7との間に配置され、光源4側から照射されたレーザ光L1を透過させ、導光板1(具体的には、プリズム3)によって反射されたレーザ光L1をセンサ6に反射させる。
【0023】
センサ6は、例えば、カメラなどであり、入射した光に基づいて画像を生成する。
【0024】
図2Bは第1実施形態に係る導光板の平面図であり、
図2Cは第1実施形態に係る検査装置において、導光板に入射するレーザ光の状態を説明するための図である。
【0025】
図2Bおよび
図2Cに示すように、導光板1の第1面11には、複数のプリズム3(3a~3c)が形成されている。ここで、各プリズム3は、頂角が同一の角度α=90°で形成されている。角度αが90°に設定されているため、
図2Cに示すように、図面上側に向けて各プリズム3に入射したレーザ光L1は、図面下側に向けて反射される。すなわち、各プリズム3に入射したレーザ光L1は、同一方向に向けて反射される。その後、レーザ光L1は、ビームスプリッタ5によって反射され、センサ6に入射する。これにより、センサ6では、各プリズム3の位置に応じた画像が生成される。
【0026】
このとき、角度αが異なるプリズム3が導光板1に存在する場合、センサ6が生成した画像におけるプリズム3の位置と、導光板1における設計上のプリズム3の位置(正常なプリズム3の位置)とが異なることとなる。すなわち、センサ6が生成した画像におけるプリズム3と、導光板1の設計上のプリズム3の位置とを比較することにより、導光板1に形成されたプリズムが正常であるか異常であるかを判定することができる。
【0027】
図2Dおよび
図2Eは第1実施形態に係る各プリズムに対して照射したレーザ光の軌跡を説明するための図である。
【0028】
具体的には、
図2Dには、図面上側の各図にプリズム3a~3cの平面図であり、図面下側の各図にプリズム3a~3cによって反射されたレーザ光L1(L1a~L1c)の位置を示すセンサ6の画像である。なお、
図2Dの図面下側の各図では、平面視におけるプリズム3a~3cの中心部分を、X軸とY軸との交点としている。
【0029】
また、
図2Eは、プリズム3によって反射されたレーザ光L1の軌跡を示すセンサ6の画像である。具体的には、
図2Eでは、レーザ光L1の軌跡をP1として示している。
図2Dのように、プリズム3の向きを変更しつつ、プリズム3によって反射されたレーザ光L1をプロットすると、レーザ光L1は
図2Eの軌跡P1のような半円状の円弧となる。このため、軌跡P1を含む領域P2を設定することで、領域P2内に反射されたレーザ光L1が含まれれば、プリズム3が正常であると判定することができる。また、領域P2内に反射されたレーザ光L1が含まれていなければ、プリズム3が異常であると判定することができる。このように、反射されたレーザ光L1の位置からプリズムが正常であるか異常であるかを判定することができるため、導光板1の検査が容易となる。
【0030】
以上の構成により、第1実施形態に係る導光板は、光が入射する入射面10と、入射面10から入射した光を反射させる複数のプリズム3が形成された第1面11と、第1面11と対向するように設けられ、入射面10から入射した光を出射する第2面12とを備える。複数のプリズム3は、頂角の角度αが一定である。
【0031】
この構成によれば、第1面11に形成された複数のプリズム3の頂角の角度αが一定であるため、第1面11に対してレーザ光を照射した場合、複数のプリズム3が正常であれば、各プリズム3によって反射されるレーザ光の向きは一定となる。このため、プリズム3によって反射されるレーザ光の向きが異なる場合、プリズム3が異常であると判定することが可能となる。したがって、プリズム3によって反射されるレーザ光をセンサなどによって検出することにより、各プリズム3が異常であるか正常であるかを判定することができるため、導光板の検査が容易となる。
【0032】
(第2実施形態)
図3Aは第2実施形態に係る検査装置の断面図である。
図3Aでは、ビームスプリッタ5とステージ7との間にピンホール9が配置されている。また、光源4とビームスプリッタ5との間、ビームスプリッタ5とピンホール9との間、および、ピンホール9とステージ7との間に、レンズ8a~8cがそれぞれ配置されている。その他の構成は
図2Aと同じである。
【0033】
レンズ8a~8cは、集光用のレンズであり、光源4から照射されたレーザ光L2を集光するものである。
【0034】
ピンホール9は、中央部に貫通孔が形成された略平板状の部材であり、当該貫通孔を通過する光のみを透過させる。
【0035】
図3Aの検査装置では、光源4から照射されたレーザ光L2は、レンズ8aによって平行光となる。その後、レーザ光L2は、ビームスプリッタ5を透過し、レンズ8bによって集光され、ピンホール9の貫通孔を透過する。そして、レーザ光L2は、レンズ8cによって平行光となり、ステージ7に載置された導光板1に照射される。その後、レーザ光L2は、導光板1(具体的には、プリズム3)によって反射され、レンズ8cによって集光され、ピンホール9の貫通孔を透過する。その後、レーザ光L2は、レンズ8bによって平行光となり、ビームスプリッタ5によって反射され、センサ6に入光する。
【0036】
図3Bは第2実施形態に係る導光板の平面図であり、
図3Cは第2実施形態に係るセンサによって撮像された画像例である。
【0037】
図3Bおよび
図3Cを比較すると、
図3Cでは、
図3Bのプリズム3の位置に対応する箇所が白色で表示されているが、プリズム3dに対応する位置3eのみが黒色で表示されている。これは、プリズム3が正常である場合には、当該プリズム3によって反射されるレーザ光L2がピンホール9の貫通孔を透過することができるが、プリズム3が異常である場合には、当該プリズム3によって反射されるレーザ光L2がピンホール9の貫通孔を透過することができず、ピンホール9によって遮蔽されるためである。このため、プリズム3が正常である場合には、撮像画像の対応する領域が白色となるが、プリズム3が異常である場合には、撮像画像の対応する領域が黒色となる。したがって、導光板1のプリズム3の配置と、センサ6の画像を比較することにより、プリズム3が正常であるか異常であるかを判定することができる。これにより、導光板1をより容易に検査することができる。
【0038】
なお、第2実施形態では、ピンホール9の貫通孔の径を変更することにより、検出感度を調整することができる。
【0039】
また、第2実施形態では、レンズ8a~8cによってレーザ光L2が集光され、ピンホール9によってレーザ光L2が遮蔽および透過されるため、プリズム3ごとにレーザ光L2の照射位置を変更する必要がない。
【0040】
(その他の実施形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態について説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用可能である。
【0041】
図4Aは他の実施形態に係る表示装置の断面図である。
図4Aの導光板1aでは、
図1Aと比較すると、入射面10aがレンズ形状となっており、各プリズム3が形成されている第1面11aが、第2面12aに対して傾斜している。このような導光板1aであっても、各実施形態における検査方法により、検査が可能である。
【0042】
図4Bは他の実施形態に係る表示装置の断面図である。
図4Bの導光板1bでは、
図1Aと比較すると、第1面11bおよび第2面12bが曲面となっている。このような導光板1bであっても、各実施形態における検査方法が適用可能である。
【0043】
図5は導光板を製造するための金型の断面図である。
図5に示すように、金型200は、キャビティ21およびコア22の2つの部材で構成されている。この金型200を射出成型機に取り付け、加熱溶融させた光屈折部材を金型200内に射出注入し、冷却および固化させることによって導光板1(1a,1b)を得ることができる。すなわち、導光板1(1a,1b)は、射出成形にて成形される。
【0044】
また、上記各実施形態において、プリズム3の頂角の角度αは90°として説明したが、角度αは90°に限られず、任意に設定可能である。この場合、設定した角度αの大きさに応じて、ビームスプリッタ5の位置を設定すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本開示の導光板および表示装置は、光学システム、照明システム、表示システムおよび移動体などに適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
100 表示装置
1,1a,1b 導光板
10,10a 入射面
11,11a,11b 第1面
12,12a,12b 第2面
2,4 光源
3(3a~3c) プリズム
5 ビームスプリッタ
6 センサ
8a~8c レンズ
9 ピンホール
21 キャビティ
22 コア
200 金型