(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177547
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】代位弁済免責管理装置、代位弁済免責管理方法、および、代位弁済免責管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/16 20120101AFI20231207BHJP
【FI】
G06Q50/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090278
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三井 海地
(72)【発明者】
【氏名】仲屋 幸一郎
(72)【発明者】
【氏名】東 遼平
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC27
(57)【要約】
【課題】不動産管理会社からの滞納報告に基づいて、家賃債務保証会社における代位弁済の免責が発覚した際に、代位弁済免責処理を実行することができる代位弁済免責管理装置、代位弁済免責管理方法、および、代位弁済免責管理プログラムを提供することを課題とする。
【解決手段】不動産管理会社からの賃借人による賃料の滞納報告に基づいて、滞納ステータスを設定した滞納データ、賃借人への賃借人回収予定データ、および、不動産管理会社への支払状態を設定した管理会社支払依頼データを作成し、不動産管理会社に対する代位弁済の免責が発覚した場合、滞納データに設定された滞納ステータスを免責に更新し、賃借人回収予定データおよび管理会社支払依頼データに対する代位弁済免責処理を実行する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と制御部とを備えた代位弁済免責管理装置であって、
前記制御部は、
不動産管理会社からの賃借人による賃料の滞納報告に基づいて、滞納ステータスを設定した滞納データ、賃借人への賃借人回収予定データ、および、前記不動産管理会社への支払状態を設定した管理会社支払依頼データを作成する代位弁済作成手段と、
前記不動産管理会社に対する代位弁済の免責が発覚した場合、前記滞納データに設定された前記滞納ステータスを免責に更新し、前記賃借人回収予定データおよび前記管理会社支払依頼データに対する代位弁済免責処理を実行する代位弁済免責手段と、
を備えたことを特徴とする代位弁済免責管理装置。
【請求項2】
前記代位弁済作成手段は、
前記不動産管理会社からの前記賃借人による前記賃料の前記滞納報告に基づいて、前記滞納ステータスを通常弁済と設定した前記滞納データを作成し、前記賃借人への請求金額を設定した前記賃借人回収予定データ、ならびに、前記不動産管理会社への支払金額を設定し、且つ、前記支払状態を未支払と設定した前記管理会社支払依頼データを作成し、
前記制御部は、
前記不動産管理会社への支払承認がされた場合、前記管理会社支払依頼データに設定された前記支払状態を前記未支払から支払済に更新する支払承認手段、
を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の代位弁済免責管理装置。
【請求項3】
前記代位弁済免責手段は、
前記不動産管理会社に対する代位弁済処理後に前記代位弁済の免責が発覚し、且つ、前記賃借人回収予定データが入金消込未済の場合、前記滞納データに設定された前記滞納ステータスを前記通常弁済から前記免責に更新し、ダミー消込として前記賃借人回収予定データに前記請求金額と同額の入金金額を設定し、前記不動産管理会社への返金請求金額を設定した管理会社回収予定データを作成する前記代位弁済免責処理を実行することを特徴とする請求項2に記載の代位弁済免責管理装置。
【請求項4】
前記代位弁済免責手段は、
前記不動産管理会社に対する代位弁済処理後に前記代位弁済の免責が発覚し、且つ、前記賃借人回収予定データが入金消込済の場合、前記滞納データに設定された前記滞納ステータスを前記通常弁済から前記免責に更新し、ダミー消込として前記賃借人回収予定データに前記請求金額と同額の入金金額を設定し、前記不動産管理会社への返金請求金額を設定した管理会社回収予定データを作成し、前記賃借人に対する返金支払金額を設定し、且つ、支払状態を未支払と設定した賃借人支払依頼データを作成する前記代位弁済免責処理を実行することを特徴とする請求項2に記載の代位弁済免責管理装置。
【請求項5】
前記代位弁済免責手段は、
前記不動産管理会社に対する代位弁済処理前に前記代位弁済の免責が発覚した場合、前記滞納データに設定された前記滞納ステータスを通常弁済から前記免責に更新し、ダミー消込として前記賃借人回収予定データに請求金額と同額の入金金額を設定し、前記不動産管理会社に対するマイナス支払金額を設定し、且つ、支払状態を支払前と設定した管理会社赤伝票支払依頼データを作成する前記代位弁済免責処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の代位弁済免責管理装置。
【請求項6】
前記代位弁済作成手段は、
更に、前記滞納データと前記賃借人回収予定データと前記管理会社支払依頼データとの紐付けを管理する滞納内訳データを作成することを特徴とする請求項1に記載の代位弁済免責管理装置。
【請求項7】
前記代位弁済作成手段は、
更に、前記滞納データ、前記賃借人回収予定データおよび前記管理会社支払依頼データを前記記憶部に登録することを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の代位弁済免責管理装置。
【請求項8】
制御部を備えた代位弁済免責管理装置に実行させるための代位弁済免責管理方法であって、
前記制御部で実行させる、
不動産管理会社からの賃借人による賃料の滞納報告に基づいて、滞納ステータスを設定した滞納データ、賃借人への賃借人回収予定データ、および、前記不動産管理会社への支払状態を設定した管理会社支払依頼データを作成する代位弁済作成ステップと、
前記不動産管理会社に対する代位弁済の免責が発覚した場合、前記滞納データに設定された前記滞納ステータスを免責に更新し、前記賃借人回収予定データおよび前記管理会社支払依頼データに対する代位弁済免責処理を実行する代位弁済免責ステップと、
を含むことを特徴とする代位弁済免責管理方法。
【請求項9】
制御部を備えた代位弁済免責管理装置に実行させるための代位弁済免責管理プログラムであって、
前記制御部において、
不動産管理会社からの賃借人による賃料の滞納報告に基づいて、滞納ステータスを設定した滞納データ、賃借人への賃借人回収予定データ、および、前記不動産管理会社への支払状態を設定した管理会社支払依頼データを作成する代位弁済作成ステップと、
前記不動産管理会社に対する代位弁済の免責が発覚した場合、前記滞納データに設定された前記滞納ステータスを免責に更新し、前記賃借人回収予定データおよび前記管理会社支払依頼データに対する代位弁済免責処理を実行する代位弁済免責ステップと、
を実行させるための代位弁済免責管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、代位弁済免責管理装置、代位弁済免責管理方法、および、代位弁済免責管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、債務者による債務不履行が発生した場合、保証会社が保有する求償権を第三者に譲渡することにより、保証会社にとっての保証債務を実質的に免責することができる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の発明においては、不動産管理会社からの滞納報告に基づいて、事後に免責が発覚した場合の家賃債務保証会社による代位弁済の免責管理を実行することができないという課題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、不動産管理会社からの滞納報告に基づいて、家賃債務保証会社における代位弁済の免責が発覚した際に、代位弁済免責処理を実行することができる代位弁済免責管理装置、代位弁済免責管理方法、および、代位弁済免責管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る代位弁済免責管理装置は、記憶部と制御部とを備えた代位弁済免責管理装置であって、前記制御部は、不動産管理会社からの賃借人による賃料の滞納報告に基づいて、滞納ステータスを設定した滞納データ、賃借人への賃借人回収予定データ、および、前記不動産管理会社への支払状態を設定した管理会社支払依頼データを作成する代位弁済作成手段と、前記不動産管理会社に対する代位弁済の免責が発覚した場合、前記滞納データに設定された前記滞納ステータスを免責に更新し、前記賃借人回収予定データおよび前記管理会社支払依頼データに対する代位弁済免責処理を実行する代位弁済免責手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る代位弁済免責管理装置において、前記代位弁済作成手段は、前記不動産管理会社からの前記賃借人による前記賃料の前記滞納報告に基づいて、前記滞納ステータスを通常弁済と設定した前記滞納データを作成し、前記賃借人への請求金額を設定した前記賃借人回収予定データ、ならびに、前記不動産管理会社への支払金額を設定し、且つ、前記支払状態を未支払と設定した前記管理会社支払依頼データを作成し、前記制御部は、前記不動産管理会社への支払承認がされた場合、前記管理会社支払依頼データに設定された前記支払状態を前記未支払から支払済に更新する支払承認手段、を更に備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る代位弁済免責管理装置において、前記代位弁済免責手段は、前記不動産管理会社に対する代位弁済処理後に前記代位弁済の免責が発覚し、且つ、前記賃借人回収予定データが入金消込未済の場合、前記滞納データに設定された前記滞納ステータスを前記通常弁済から前記免責に更新し、ダミー消込として前記賃借人回収予定データに前記請求金額と同額の入金金額を設定し、前記不動産管理会社への返金請求金額を設定した管理会社回収予定データを作成する前記代位弁済免責処理を実行することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る代位弁済免責管理装置において、前記代位弁済免責手段は、前記不動産管理会社に対する代位弁済処理後に前記代位弁済の免責が発覚し、且つ、前記賃借人回収予定データが入金消込済の場合、前記滞納データに設定された前記滞納ステータスを前記通常弁済から前記免責に更新し、ダミー消込として前記賃借人回収予定データに前記請求金額と同額の入金金額を設定し、前記不動産管理会社への返金請求金額を設定した管理会社回収予定データを作成し、前記賃借人に対する返金支払金額を設定し、且つ、支払状態を未支払と設定した賃借人支払依頼データを作成する前記代位弁済免責処理を実行することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る代位弁済免責管理装置において、前記代位弁済免責手段は、前記不動産管理会社に対する代位弁済処理前に前記代位弁済の免責が発覚した場合、前記滞納データに設定された前記滞納ステータスを通常弁済から前記免責に更新し、ダミー消込として前記賃借人回収予定データに請求金額と同額の入金金額を設定し、前記不動産管理会社に対するマイナス支払金額を設定し、且つ、支払状態を支払前と設定した管理会社赤伝票支払依頼データを作成する前記代位弁済免責処理を実行することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る代位弁済免責管理装置において、前記代位弁済作成手段は、更に、前記滞納データと前記賃借人回収予定データと前記管理会社支払依頼データとの紐付けを管理する滞納内訳データを作成することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る代位弁済免責管理装置において、前記代位弁済作成手段は、更に、前記滞納データ、前記賃借人回収予定データおよび前記管理会社支払依頼データを前記記憶部に登録することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る代位弁済免責管理方法は、制御部を備えた代位弁済免責管理装置に実行させるための代位弁済免責管理方法であって、前記制御部で実行させる、不動産管理会社からの賃借人による賃料の滞納報告に基づいて、滞納ステータスを設定した滞納データ、賃借人への賃借人回収予定データ、および、前記不動産管理会社への支払状態を設定した管理会社支払依頼データを作成する代位弁済作成ステップと、前記不動産管理会社に対する代位弁済の免責が発覚した場合、前記滞納データに設定された前記滞納ステータスを免責に更新し、前記賃借人回収予定データおよび前記管理会社支払依頼データに対する代位弁済免責処理を実行する代位弁済免責ステップと、を含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る代位弁済免責管理プログラムは、制御部を備えた代位弁済免責管理装置に実行させるための代位弁済免責管理プログラムであって、前記制御部において、不動産管理会社からの賃借人による賃料の滞納報告に基づいて、滞納ステータスを設定した滞納データ、賃借人への賃借人回収予定データ、および、前記不動産管理会社への支払状態を設定した管理会社支払依頼データを作成する代位弁済作成ステップと、前記不動産管理会社に対する代位弁済の免責が発覚した場合、前記滞納データに設定された前記滞納ステータスを免責に更新し、前記賃借人回収予定データおよび前記管理会社支払依頼データに対する代位弁済免責処理を実行する代位弁済免責ステップと、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、滞納報告の免責が発覚した際に、免責としてデータを登録することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、債務の免責管理をすることが可能となるという効果を奏する。また、本発明によれば、免責管理機能を追加したことにより、滞納を登録する際に免責かどうか選択可能とし、免責時に発生するデータを作成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、賃料の滞納報告の報告期間の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、従来の代位弁済免責管理処理の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、従来の代位弁済免責管理処理の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、従来の代位弁済免責管理処理の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、従来の代位弁済免責管理処理の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、従来の代位弁済免責管理処理の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本実施形態における代位弁済免責管理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、本実施形態における代位弁済免責管理装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、本実施形態における代位弁済免責管理処理の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、本実施形態における代位弁済免責管理処理の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、本実施形態における代位弁済免責管理処理の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、本実施形態における代位弁済免責管理処理の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、本実施形態における代位弁済免責管理処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施形態により限定されるものではない。
【0018】
[1.概要]
まず、
図1から
図6を参照して、本発明の概要を説明する。
【0019】
従来から、家賃債務保証会社は、賃借人からの賃料の支払が期日までにされなかった場合、管理会社から滞納報告を受け、代位弁済(例えば、管理会社への立替、および、賃借人への求償債権の計上等)を実行している。ここで、不動産管理会社からの滞納報告には、報告期間が設けられ、期間を超過してからの代位弁済の依頼は、免責となり、代位弁済の対象外となる。
【0020】
ここで、
図1を参照して、賃料の滞納報告の報告期間の一例を説明する。
図1は、賃料の滞納報告の報告期間の一例を示す図である。
【0021】
図1に示すように、滞納発生から免責期間前に、一定期間(例えば、60日等)、滞納報告の報告期間が設定されている。
【0022】
また、従来、免責発覚により不動産管理会社から滞納報告を受けた時点で免責と分かる場合と、事後に免責と分かる場合との2パターンがあり、報告期間を超過しての依頼については、依頼を受けた時点で免責対象と認識可能であるため、代位弁済処理が実施されない。また、従来、代位弁済処理後に不動産管理会社が保証契約の約款で定める違反事項に抵触した場合、事後の免責処理の実施、滞納報告を受けた時点で免責と分かる場合、代位弁済の処理自体を実施されず、事後発覚の場合、代位弁済済みであるため、不動産管理会社に立て替え済みであれば、返金請求データの作成、および、賃借人への求償債権の取消が担当者によりそれぞれ個別に実行されていた。
【0023】
ここで、
図2から
図6を参照して、従来の代位弁済免責管理処理の一例を説明する。
図2から
図6は、従来の代位弁済免責管理処理の一例を示す図である。
【0024】
[不動産管理会社に立替後に免責が発覚した場合]
図2に示すように、従来の代位弁済免責管理処理においては、A代理店から滞納報告を受けた場合、滞納データが登録され、賃借人への求償債権データ(回収予定データ)が作成され、不動産管理会社への立替データ(支払依頼データ)が作成され、滞納登録で発生した請求・支払のIDの内訳を管理する滞納内訳データが作成される。
【0025】
そして、
図3に示すように、従来の代位弁済免責管理処理においては、不動産管理会社への立替データの承認処理をすることで、システム上、支払状態が「支払済」に更新される。
【0026】
そして、
図4に示すように、従来の代位弁済免責管理処理においては、事後になって免責が発覚した場合、不動産管理会社に立替済のため、請求訂正入力画面より代理店への返金請求データ(回収予定データ)が作成され、賃借人への求償債権データに対するダミー消込が実施される(なお、免責発覚前に賃借人から入金があった場合、返金処理が実施される)。そして、
図4に示すように、従来の代位弁済免責管理処理においては、賃借人への返金が、支払依頼入力画面にて個別に登録される。
【0027】
[不動産管理会社に立替前に免責が発覚した場合]
図5に示すように、従来の代位弁済免責管理処理においては、A代理店から滞納報告を受けた場合、滞納データが登録され、賃借人への求償債権データ(回収予定データ)が作成され、不動産管理会社への立替データ(支払依頼データ)が作成され、滞納登録で発生した請求・支払のIDの内訳を管理する滞納内訳データが作成される。
【0028】
そして、
図6に示すように、従来の代位弁済免責管理処理においては、事後になって免責が発覚した場合、不動産管理会社に立替前のため、支払依頼入力画面より立替データに対する赤伝票データが個別に作成され、賃借人への求償債権データに対するダミー消込が実施される。
【0029】
そこで、本実施形態においては、滞納報告の免責が発覚した際に、免責としてデータ登録し、滞納報告時に作成した代理店への立替の状況を自動判断し、(1)不動産管理会社へ立替済の場合、不動産管理会社への返金請求データ、賃借人への求償債権の赤伝票データ(求償債権の取消)、および、賃借人への求償債権の返金データ(賃借人から既に入金済の場合のみ)を作成し、(2)不動産管理会社へ立替前の場合、不動産管理会社への立替データの赤伝票データ、賃借人への求償債権の赤伝票データ(求償債権の取消)、および、賃借人への求償債権の返金データ(賃借人から既に入金済の場合のみ)を作成する仕組みを提供している。
【0030】
[2.構成]
本実施形態に係る代位弁済免責管理装置100の構成の一例について、
図7を参照して説明する。
図7は、本実施形態における代位弁済免責管理装置100の構成の一例を示すブロック図である。
【0031】
図7に示すように、代位弁済免責管理装置100は、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータである。なお、代位弁済免責管理装置100は、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0032】
代位弁済免責管理装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。代位弁済免責管理装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0033】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、代位弁済免責管理装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、代位弁済免責管理装置100とサーバ200とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0034】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(タッチパネルを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114またはプリンタ114とし、入力装置112をキーボード112またはマウス112として記載する場合がある。
【0035】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。記憶部106は、賃貸管理データベース106aを備えている。
【0036】
賃貸管理データベース106aは、賃貸物件の賃貸管理データを記憶する。ここで、賃貸管理データは、滞納データ、求償債権データ(例えば、賃借人回収予定データ、または、管理会社回収予定データ)、立替データ(例えば、管理会社支払依頼データ、または、賃借人支払依頼データ)、赤伝票データ(例えば、管理会社赤伝票支払依頼データ)、および、滞納内訳データ等を含んでいてもよい。
【0037】
制御部102は、代位弁済免責管理装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。制御部102は、機能概念的に、代位弁済作成部102aと支払承認部102bと代位弁済免責部102cとを備えている。
【0038】
代位弁済作成部102aは、代位弁済データを作成する。ここで、代位弁済作成部102aは、不動産管理会社からの賃借人による賃料の滞納報告に基づいて、滞納ステータスを設定した滞納データ、賃借人への賃借人回収予定データ、および、不動産管理会社への支払状態を設定した管理会社支払依頼データを作成してもよい。また、代位弁済作成部102aは、不動産管理会社からの賃借人による賃料の滞納報告に基づいて、滞納ステータスを通常弁済と設定した滞納データを作成し、賃借人への請求金額を設定した賃借人回収予定データ、ならびに、不動産管理会社への支払金額を設定し、且つ、支払状態を未支払と設定した管理会社支払依頼データを作成してもよい。また、代位弁済作成部102aは、滞納データと賃借人回収予定データと管理会社支払依頼データとの紐付けを管理する滞納内訳データを作成してもよい。また、代位弁済作成部102aは、滞納データ、滞納内訳データ、賃借人回収予定データおよび管理会社支払依頼データを賃貸管理データベース106aに登録してもよい。
【0039】
支払承認部102bは、管理会社支払依頼データに設定された支払状態を更新する。ここで、支払承認部102bは、不動産管理会社への支払承認がされた場合、管理会社支払依頼データに設定された支払状態を未支払から支払済に更新してもよい。
【0040】
代位弁済免責部102cは、代位弁済免責処理を実行する。ここで、代位弁済免責部102cは、不動産管理会社に対する代位弁済の免責が発覚した場合、滞納データに設定された滞納ステータスを免責に更新し、賃借人回収予定データおよび管理会社支払依頼データに対する代位弁済免責処理を実行してもよい。また、代位弁済免責部102cは、不動産管理会社に対する代位弁済処理後に代位弁済の免責が発覚し、且つ、賃借人回収予定データが入金消込未済の場合、滞納データに設定された滞納ステータスを通常弁済から免責に更新し、ダミー消込として賃借人回収予定データに請求金額と同額の入金金額を設定し、不動産管理会社への返金請求金額を設定した管理会社回収予定データを作成する代位弁済免責処理を実行してもよい。また、代位弁済免責部102cは、不動産管理会社に対する代位弁済処理後に代位弁済の免責が発覚し、且つ、賃借人回収予定データが入金消込済の場合、滞納データに設定された滞納ステータスを通常弁済から免責に更新し、ダミー消込として賃借人回収予定データに請求金額と同額の入金金額を設定し、不動産管理会社への返金請求金額を設定した管理会社回収予定データを作成し、賃借人に対する返金支払金額を設定し、且つ、支払状態を未支払と設定した賃借人支払依頼データを作成する代位弁済免責処理を実行してもよい。また、代位弁済免責部102cは、不動産管理会社に対する代位弁済処理前に代位弁済の免責が発覚した場合、滞納データに設定された滞納ステータスを通常弁済から免責に更新し、ダミー消込として賃借人回収予定データに請求金額と同額の入金金額を設定し、不動産管理会社に対するマイナス支払金額を設定し、且つ、支払状態を支払前と設定した管理会社赤伝票支払依頼データを作成する代位弁済免責処理を実行してもよい。
【0041】
[3.具体例]
本実施形態の具体例について、
図8から
図13を参照して説明する。
【0042】
[代位弁済免責管理処理]
ここで、
図8を参照して、本実施形態における代位弁済免責管理処理の一例について説明する。
図8は、本実施形態における代位弁済免責管理装置100の処理の一例を示すフローチャートである。
【0043】
図8に示すように、代位弁済作成部102aは、不動産管理会社からの賃借人による賃料の滞納報告に基づいて、滞納ステータスを通常弁済と設定した滞納データを作成し、賃借人への請求金額を設定した賃借人回収予定データ、ならびに、不動産管理会社への支払金額を設定し、且つ、支払状態を未支払と設定した管理会社支払依頼データを作成し、滞納データと賃借人回収予定データと管理会社支払依頼データとの紐付けを管理する滞納内訳データを作成し、滞納データ、滞納内訳データ、賃借人回収予定データおよび管理会社支払依頼データを賃貸管理データベース106aに登録する(ステップSA-1)。
【0044】
そして、支払承認部102bは、不動産管理会社への支払承認がされた場合、管理会社支払依頼データに設定された支払状態を未支払から支払済に更新する(ステップSA-2)。
【0045】
そして、代位弁済免責部102cは、不動産管理会社に対する代位弁済処理後に代位弁済の免責が発覚した場合、賃借人回収予定データが入金消込済であるか否かを判定する(ステップSA-3)。
【0046】
そして、代位弁済免責部102cは、賃借人回収予定データが入金消込済であると判定した場合(ステップSA-3:Yes)、処理をステップSA-4に移行させる。
【0047】
そして、代位弁済免責部102cは、滞納データに設定された滞納ステータスを通常弁済から免責に更新し、ダミー消込として賃借人回収予定データに請求金額と同額の入金金額を設定し、不動産管理会社への返金請求金額を設定した管理会社回収予定データを作成し、賃借人に対する返金支払金額を設定し、且つ、支払状態を未支払と設定した賃借人支払依頼データを作成する代位弁済免責処理を実行し(ステップSA-4)、処理を終了する。
【0048】
一方、代位弁済免責部102cは、賃借人回収予定データが入金消込済ではない(入金消込未済である)と判定した場合(ステップSA-3:No)、処理をステップSA-5に移行させる。
【0049】
そして、代位弁済免責部102cは、滞納データに設定された滞納ステータスを通常弁済から免責に更新し、ダミー消込として賃借人回収予定データに請求金額と同額の入金金額を設定し、不動産管理会社への返金請求金額を設定した管理会社回収予定データを作成する代位弁済免責処理を実行し(ステップSA-5)、処理を終了する。
【0050】
ここで、
図9から
図13を参照して、本実施形態における代位弁済免責管理処理の一例について説明する。
図9から
図13は、本実施形態における代位弁済免責管理処理の一例を示す図である。
【0051】
[不動産管理会社に立替後に免責が発覚した場合]
図9に示すように、本実施形態においては、A代理店から滞納報告を受けた場合、滞納データが登録され、賃借人への求償債権データ(回収予定データ)が作成され、不動産管理会社への立替データ(支払依頼データ)が作成され、滞納登録で発生した請求・支払のIDの内訳を管理する滞納内訳データが作成される。
【0052】
そして、
図10に示すように、本実施形態においては、不動産管理会社への立替データの承認処理をすることで、システム上、支払状態が「支払済」に更新される。
【0053】
そして、
図11に示すように、本実施形態においては、事後になって免責が発覚した場合、不動産管理会社に立替済のため、滞納登録画面より滞納データの滞納ステータスが「免責」に変更される。そして、
図11に示すように、本実施形態においては、賃借人から求償債権に入金消込未済の場合、不動産管理会社への返金請求の回収予定データ作成(すなわち、滞納内訳データの支払IDから支払データ参照による、回収予定データ作成)、および、賃借人への求償債権の取消(滞納内訳データの請求IDから請求データ参照による、ダミー入金消込処理)が実施される。すなわち、
図11に示すように、本実施形態においては、賃借人(山田太郎)への求償債権がダミー消込され、不動産管理会社(A代理店)へ返金請求データが作成される。なお、本実施形態におけるダミー入金消込処理は、実際に入金が存在しないが、システム上入金があったようにする処理であり、請求の未収金額をなくすために実施され、売上としての仕訳計上はされない。
【0054】
一方、
図11に示すように、本実施形態においては、賃借人から求償債権に入金消込済の場合、賃借人(山田太郎)への求償債権がダミー消込され、不動産管理会社(A代理店)へ返金請求データが作成され、賃借人に対する返金の支払依頼データが自動作成される。
【0055】
[不動産管理会社に立替前に免責が発覚した場合]
図12に示すように、本実施形態においては、A代理店から滞納報告を受けた場合、滞納データが登録され、賃借人への求償債権データ(回収予定データ)が作成され、不動産管理会社への立替データ(支払依頼データ)が作成され、滞納登録で発生した請求・支払のIDの内訳を管理する滞納内訳データが作成される。
【0056】
そして、
図13に示すように、本実施形態においては、事後になって免責が発覚した場合、不動産管理会社に立替済前のため、滞納登録画面より滞納データのステータスが「免責」に変更され、不動産管理会社への支払の赤伝票作成(滞納内訳データの支払IDから支払データ参照により、マイナス金額での支払依頼データ作成)、および、賃借人への求償債権取消(滞納内訳データの請求IDから請求データ参照により、ダミー入金消込処理)が実施される。すなわち、
図13に示すように、本実施形態においては、賃借人(山田太郎)への求償債権のダミー消込が実施され、不動産管理会社(A代理店)への立替データの赤伝票が作成される。
【0057】
[4.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0058】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0059】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0060】
[5.他の実施形態]
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0061】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0062】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0063】
また、代位弁済免責管理装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0064】
例えば、代位弁済免責管理装置100が備える処理機能、特に制御部102にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて代位弁済免責管理装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0065】
また、このコンピュータプログラムは、代位弁済免責管理装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0066】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0067】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、本実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0068】
記憶部106に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0069】
また、代位弁済免責管理装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、代位弁済免責管理装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0070】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、家賃債務を取り扱う不動産業界、および、金融業界等の業界において有用である。
【符号の説明】
【0072】
100 代位弁済免責管理装置
102 制御部
102a 代位弁済作成部
102b 支払承認部
102c 代位弁済免責部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 賃貸管理データベース
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
200 サーバ
300 ネットワーク