(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177556
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】撮像装置および撮像装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
H04N 23/45 20230101AFI20231207BHJP
H04N 23/63 20230101ALI20231207BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20231207BHJP
【FI】
H04N5/225 800
H04N5/232 930
H04N5/232 290
H04N5/232
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090289
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】内舘 光
(72)【発明者】
【氏名】梶田 佳樹
【テーマコード(参考)】
5C122
【Fターム(参考)】
5C122EA67
5C122FA18
5C122FC05
5C122FH18
5C122FK21
5C122FK24
5C122FK41
5C122GA34
5C122HA05
5C122HA76
5C122HA77
5C122HB01
5C122HB02
(57)【要約】
【課題】複数の撮像部または撮像部とセンシング部を同期させた上で、安定したフレームレートを実現できるようにする。
【解決手段】撮像装置は、第1の露光期間における露光により撮像を行う第1の撮像部と、第2の露光期間における露光により撮像を行う第2の撮像部と、前記第1の撮像部の前記第1の露光期間内の露光タイミングを示す第1のタイムスタンプを生成する第1のタイムスタンプ生成部と、前記第2の撮像部の前記第2の露光期間内の露光タイミングを示す第2のタイムスタンプを生成する第2のタイムスタンプ生成部とを有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の露光期間における露光により撮像を行う第1の撮像部と、
第2の露光期間における露光により撮像を行う第2の撮像部と、
前記第1の撮像部の前記第1の露光期間内の露光タイミングを示す第1のタイムスタンプを生成する第1のタイムスタンプ生成部と、
前記第2の撮像部の前記第2の露光期間内の露光タイミングを示す第2のタイムスタンプを生成する第2のタイムスタンプ生成部と
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第1のタイムスタンプ生成部は、前記第1の撮像部の前記第1の露光期間の重心または中心を示す第1のタイムスタンプを生成し、
前記第2のタイムスタンプ生成部は、前記第2の撮像部の前記第2の露光期間の重心または中心を示す第2のタイムスタンプを生成することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1の撮像部は、第1のシャッタ方式で撮像し、
前記第2の撮像部は、前記第1のシャッタ方式とは異なる第2のシャッタ方式で撮像することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第1のシャッタ方式は、ローリングシャッタ方式であり、
前記第2のシャッタ方式は、グローバルシャッタ方式であることを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第1の露光期間の長さと前記第2の露光期間の長さは異なることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
センサデータを取得するセンシング部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記センシング部は、前記撮像装置の動きを示すセンサデータを取得することを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第1の撮像部により撮像された画像と、前記第2の撮像部により撮像された画像と、前記第1のタイムスタンプと、前記第2のタイムスタンプとを基に、画像処理を行う画像処理部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記第2の撮像部により撮像された画像と、前記第1のタイムスタンプと、前記第2のタイムスタンプと、前記センサデータとを基に、コンピュータグラフィックス画像を生成する生成部と、
前記第1の撮像部により撮像された画像と、前記コンピュータグラフィックス画像とを基に、画像合成を行う画像合成部とをさらに有することを請求項6に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記センシング部は、サンプリング時間におけるサンプリングによりセンサデータを取得し、
前記センシング部の前記サンプリング時間を示す第3のタイムスタンプを生成する第3のタイムスタンプ生成部をさらに有することを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記第2の撮像部により撮像された画像と、前記第1のタイムスタンプと、前記第2のタイムスタンプと、前記センサデータとを基に、コンピュータグラフィックス画像を生成する生成部と、
前記第1のタイムスタンプと、前記第2のタイムスタンプと、前記第3のタイムスタンプとを基に、前記コンピュータグラフィックス画像を変形する画像変形部と、
前記第1の撮像部により撮像された画像と、前記画像変形部により変形されたコンピュータグラフィックス画像とを基に、画像合成を行う画像合成部とをさらに有することを請求項10に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記第1の撮像部は、第1の同期信号を基に、前記第1の露光期間における露光を行い、
前記第2の撮像部は、第2の同期信号を基に、前記第2の露光期間における露光を行い、
前記撮像装置は、前記第1の同期信号を基に、前記第2の同期信号を生成する同期化部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記撮像装置は、表示部を有する頭部装着型装置であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項14】
露光期間における露光により撮像を行う撮像部と、
サンプリング時間におけるサンプリングによりセンサデータを取得するセンシング部と、
前記撮像部の前記露光期間内の露光タイミングを示す第1のタイムスタンプを生成する第1のタイムスタンプ生成部と、
前記センシング部の前記サンプリング時間を示す第2のタイムスタンプを生成する第2のタイムスタンプ生成部と
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項15】
前記第1のタイムスタンプ生成部は、前記撮像部の前記露光期間の重心または中心を示す第1のタイムスタンプを生成することを特徴とする請求項14に記載の撮像装置。
【請求項16】
前記センシング部は、前記撮像装置の動きを示すセンサデータを取得することを特徴とする請求項14に記載の撮像装置。
【請求項17】
前記撮像装置は、表示部を有する頭部装着型装置であることを特徴とする請求項14に記載の撮像装置。
【請求項18】
第1の露光期間における露光により撮像を行う第1の撮像部と、
第2の露光期間における露光により撮像を行う第2の撮像部とを有する撮像装置の制御方法であって、
前記第1の撮像部の前記第1の露光期間内の露光タイミングを示す第1のタイムスタンプを生成する第1のタイムスタンプ生成ステップと、
前記第2の撮像部の前記第2の露光期間内の露光タイミングを示す第2のタイムスタンプを生成する第2のタイムスタンプ生成ステップと
を有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項19】
露光期間における露光により撮像を行う撮像部と、
サンプリング時間におけるサンプリングによりセンサデータを取得するセンシング部とを有する撮像装置の制御方法であって、
前記撮像部の前記露光期間内の露光タイミングを示す第1のタイムスタンプを生成する第1のタイムスタンプ生成ステップと、
前記センシング部の前記サンプリング時間を示す第2のタイムスタンプを生成する第2のタイムスタンプ生成ステップと
を有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置および撮像装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、現実世界と仮想世界をリアルタイムにシームレスに融合させる技術として複合現実感、いわゆるMR(Mixed Reality)技術が知られている。MR技術の1つに、ビデオシースルーHMD(Head Mounted Display)を利用して、HMD使用者の瞳位置から観察される被写体と略一致する被写体をビデオカメラなどで撮像する技術が知られている。その技術では、その撮像画像にCG(Computer Graphics)を重畳表示した画像をHMD使用者が観察できる。
【0003】
このような技術では、複数の撮像画像や各種センサ情報を用いた演算処理を行うことによりHMDの位置姿勢を求めることによって、HMD使用者の体験する空間の位置情報を取得する。HMD使用者の位置情報を正確に取得することができれば、適切な空間にCGを描画することが可能となり、HMD使用者はMR体験に没入することができる。
【0004】
位置情報を正確に求めるためには、複数の撮像手段や各種センサは、可能な限り、同期した状態で動作させることが望ましい。これに対し、特許文献1には、複数の撮像手段に対して露光時間の重心を一致させることで、同期させる技術が記載されている。また、特許文献2には、複数の撮像手段と各種センサまで含めて同期させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-5608号公報
【特許文献2】特開2021-117057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1および2に記載された技術では、複数の撮像画像や各種センサをフレーム単位では同期することができるが、同期させるためにフレームレートが変動して一定とはならず、HMD使用者にとって違和感のあるMR映像となってしまう。
【0007】
本開示の目的は、複数の撮像部または撮像部とセンシング部を同期させた上で、安定したフレームレートを実現できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
撮像装置は、第1の露光期間における露光により撮像を行う第1の撮像部と、第2の露光期間における露光により撮像を行う第2の撮像部と、前記第1の撮像部の前記第1の露光期間内の露光タイミングを示す第1のタイムスタンプを生成する第1のタイムスタンプ生成部と、前記第2の撮像部の前記第2の露光期間内の露光タイミングを示す第2のタイムスタンプを生成する第2のタイムスタンプ生成部とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、複数の撮像部または撮像部とセンシング部を同期させた上で、安定したフレームレートを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】HMDと画像処理装置の機能構成例を示す図である。
【
図3】撮像部の処理を示すタイミングチャートである。
【
図4】HMDの制御方法を示すフローチャートである。
【
図5】HMDの制御方法を示すタイミングチャートである。
【
図6】HMDと画像処理装置の機能構成例を示す図である。
【
図7】HMDの制御方法を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、好ましい実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態による画像表示システム100の構成例を示す図である。画像表示システム100は、頭部搭載型表示装置(Head Mounted Display:以下、HMD)101と、表示装置102と、操作部104と、画像処理装置103を有する。画像処理装置103には、表示装置102と操作部104が接続されている。画像処理装置103は、操作部104の使用者の操作情報を入力し、表示装置102に画像および情報を表示する。
【0012】
HMD101は、使用者の頭部に装着され、画像処理装置103で生成した画像を表示する。HMD101は、小規模ネットワークにより無線接続された画像処理装置103と通信を行う。小規模ネットワークは、例えば、WLAN(Wireless Local Area Network)やWPAN(Wireless Personal Area Network)である。HMD101と画像処理装置103の間の通信は、無線通信に限らず、有線通信方式を利用してもよい。また、画像処理装置103とHMD101を別々のハードウェア構成としているが、画像処理装置103の持つ機能をすべてHMD101内に実装して、一体化することも可能である。
【0013】
図2は、
図1に示したHMD101と画像処理装置103の機能構成例を示すブロック図である。HMD101は、撮像部201,202と、表示部203と、センシング部204と、動作算出部205と、撮像処理部206と、演算部207と、画像合成部208と、同期化部220と、タイムスタンプ管理部221を有する。
【0014】
撮像部201および202は、それぞれ、外界を撮像するための対物光学系とイメージセンサを有する。表示部203は、画像をHMD101の使用者に提示するための接眼光学系とディスプレイを有する。センシング部204は、HMD101の動作をセンシングする。動作算出部205は、センシング部204のセンシング結果から、HMD101の動きを算出する。撮像処理部206は、撮像部201および202からの撮像画像を画像処理する。演算部207は、演算を行う。画像合成部208は、撮像画像とCG画像を合成する。同期化部220は、撮像部201,202およびセンシング部204を同期化させる。タイムスタンプ管理部221は、タイムスタンプを管理する。
【0015】
画像処理装置103は、位置姿勢計算部209と、CG生成部210と、コンテンツDB(データベース)211を有する。位置姿勢計算部209は、撮像画像とHMD101の動きから、HMD101の位置姿勢を計算する。コンテンツDB211は、CGデータを格納する。CG生成部210は、位置姿勢計算部209により計算された位置姿勢の情報を基に、コンテンツDB211よりCGデータを読み込んだ後、CG画像を生成する。
【0016】
次に、
図2を用いて、使用者がMR映像を体験する方法について説明する。撮像部201および202は、それぞれ、外界を撮像する。撮像部201および202は、画素数、画質、ノイズ、センササイズ、消費電力、コスト等の様々な要因を鑑み、ローリングシャッタ方式の撮像素子とグローバルシャッタ方式の撮像素子を使い分けたり、用途に応じてそれらを組み合わせて使用することができる。例えば、撮像部201は、仮想空間の画像と合成する撮像画像を撮像する場合には、より高画質な画像が取得可能なローリングシャッタ方式の撮像素子を用いる。撮像部202は、HMD101の位置姿勢を計算するために外界を撮像する場合には、像流れのないグローバルシャッタ方式の撮像素子を用いる。像流れとは、走査方向のライン毎に順次、露光処理が開始されるローリングシャッタ方式の動作原理に起因して発生する現象である。
【0017】
図3は、ローリングシャッタ方式の撮像部201とグローバルシャッタ方式の撮像部202の処理例を示すタイミングチャートである。
図3の横軸は、時間を示す。撮像部201がローリングシャッタ方式の撮像素子を用い、撮像部202がローリングシャッタ方式の撮像素子を用いる例を説明する。
【0018】
撮像部201の露光(ローリング)は、ローリングシャッタ方式の撮像素子で撮像される各ラインの露光時間を示している。ローリングシャッタ方式の撮像部201では、各ラインの露光のタイミングに時間的なズレが生じることにより、露光時間中に撮像部201や被写体が動いた際に、被写体が流れるように変形して記録される現象が発生する。この現象が像流れである。
【0019】
撮像部202の露光(グローバル)は、グローバルシャッタ方式の撮像素子で撮像される各ラインの露光時間を示している。グローバルシャッタ方式の撮像部202では、同時に全ラインの露光処理が行われるため、各ラインの露光タイミングに時間的なズレが生じず、像流れは発生しない。本実施形態では、撮像部201はローリングシャッタ方式の撮像素子を用い、撮像部202はグローバルシャッタ方式の撮像素子を用いるものとして説明する。
【0020】
図2において、撮像部201および202は、外界を撮像した撮像画像を、タイムスタンプ管理部221に出力する。タイムスタンプ管理部221は、撮像画像を入力すると、タイムスタンプを発行する。これについての詳細な動作は後述する。
【0021】
撮像処理部206は、撮像部201および202により撮像された撮像画像に対して、画像処理を実行する。撮像処理部206で行われる画像処理とは、AE(Auto Exposure)制御、デモザイク処理、シェーディング補正、ノイズリダクション、歪み補正等である。撮像処理部206は、撮像部201および202により撮像された撮像画像に対して、画像処理を行うことにより、画像の高画質化を図る。その後、撮像処理部206は、撮像部202により撮像された撮像画像を画像処理した画像を、画像処理後のCGの描画位置を特定するために、位置姿勢計算部209に出力する。また、撮像処理部206は、撮像部201により撮像された撮像画像を画像処理した画像を、CG画像と合成するために、画像合成部208に出力する。
【0022】
センシング部204は、HMD101の動作をセンシングする。センシング部204のセンサは、IMU(Inertial Measurement Unit)や加速度センサ、角速度センサなどである。本実施形態においては、センシング部204は、例えば、IMUである。動作算出部205は、IMUから出力されるセンシングデータから、HMD101の移動、傾き、回転等を算出し、それらを位置姿勢計算部209に出力する。
【0023】
位置姿勢計算部209は、画像処理後の撮像部202の撮像画像と動作算出部205の算出結果から、現実世界を示す世界座標系とHMD101を通して観察した画像を示すカメラ座標系との関係を計算する。そして、位置姿勢計算部209は、その関係を基に、現実世界に対してHMD101がどのような位置姿勢であるかを計算する。位置姿勢の計算方法は、例えば、現実世界に基準となるマーカー等を置いておき、ステレオカメラ構成とした撮像部202で画像を取得し、画像内のマーカーの位置関係から、HMD101の位置姿勢を計算する方法がある。または、現実世界の静止物体の特徴量を画像から算出し、特徴量の時間変化からHMD101の自己位置推定と環境地図作成を行う方法などがある。本実施形態においては、位置姿勢の計算方法については特に限定されない。位置姿勢計算部209は、このようにして計算された位置姿勢の情報をCG生成部210に出力する。
【0024】
CG生成部210は、位置姿勢計算部209の位置姿勢の情報を基に、撮像画像のどの位置、どの向きにCGを重畳するかを計算する。また、CG生成部210は、コンテンツDB211からCGデータを読み込むことで、CGのレンダリングを行う。これにより、CG生成部210は、撮像部202により撮像された撮像画像の向いている方向に合わせたCG画像を生成し、CG画像を画像合成部208に出力する。
【0025】
画像合成部208は、画像処理後の撮像部201の撮像画像とCG生成部210から得られるCG画像とを合成することによりMR画像を生成し、MR画像を表示部203に提示(表示)する。MR画像を表示部203に表示することで、HMD101の使用者は、外界には存在しない物体をCGとして視認し、MR体験をすることができる。
【0026】
このとき、前述したように、CG生成部210が生成するCG画像は、画像合成後の撮像部202の撮像画像を基に生成されている。一方、画像合成部208が合成する撮像画像は、画像処理後の撮像部201の撮像画像である。すわなち、撮像部201と撮像部202で撮像される時間的なタイミングが異なる場合、画像合成部208が画像合成をした場合に、違和感のあるMR画像が生成されてしまうことになる。
【0027】
そこで、
図3のタイミングチャートを用いて、複数の撮像部201および202の露光重心を一致させる方法について説明する。撮像部201および202の露光重心を一致させることができれば、撮像部201および202で撮像される時間的なタイミングのずれは発生しないことになる。
【0028】
図3は、同期化部220から2つの撮像部201および202への外部同期入力を変化させ、撮像部201および202の露光重心が一致させるように動作させた様子を示している。
図3では、撮像部201の撮像露光のタイミングチャートと、撮像部202の撮像露光のタイミングチャートを示している。
【0029】
撮像部201は、同期化部220から外部同期入力が行われると、設定されたシャッタスピード(例えばFrame0の場合には1/120s)に応じて変化する露光開始待ち時間A1_f0を経て、露光を開始する。このとき、撮像部201は、ローリングシャッタ方式の撮像素子を用いるため、順次、ラインごとに露光を開始する。そして、撮像部201は、設定されたシャッタスピード時間分露光されると、順次、ラインごとに露光を終了する。そして、撮像部201は、露光が終了すると、画像データをラスタ順に出力する。撮像部201は、画像データを出力する場合、画像データとは別に、フレームの先頭を示すVsyncと、ラインの先頭を示すHsyncなどの同期信号も合わせて出力する。撮像処理部206は、画像データを入力する場合には、このVsyncとHsyncなどの同期信号を基準に、画像データとして取得する。
【0030】
撮像部202は、撮像部201と同様に、同期化部220から外部同期入力が行われると、設定されたシャッタスピード(例えばFrame0の場合には1/120s)に応じて変化する露光開始待ち時間A2_f0を経て、露光を開始する。このとき、撮像部202は、グローバルシャッタ方式の撮像素子を用いるため、全ライン同時に露光を開始する。そして、撮像部202は、設定されたシャッタスピード時間分露光されると、全ライン同時に露光を終了する。そして、撮像部202は、露光が終了すると、画像データをラスタ順に出力する。
【0031】
前述したように、撮像部201は、ローリングシャッタ方式の撮像素子を用い、撮像部202は、グローバルシャッタ方式の撮像素子を用いている。そのため、撮像部201と撮像部202の露光重心を一致させるには、撮像部201と撮像部202のシャッタスピード設定を鑑み、相対的に撮像部201と撮像部202の露光開始時間をずらす必要がある。そこで、
図3では、撮像部202への外部同期入力を、撮像部201への外部同期入力とはタイミングを変えることで、上記の露光重心の一致を実現している。このように、複数の撮像部201および202における露光重心を一致させるように、同期化部220は、外部同期入力タイミングを撮像部201および202ごとに変化させる。
【0032】
しかしながら、上記の方法によると、撮像部201および202のシャッタスピードによって外部同期入力タイミングが変化する。外部同期入力されてから画像データ出力までの時間は一定であるため、外部同期入力タイミングが一定ではないと、フレーム間の画像データ出力時間(フレームレート)が変動することになる。撮像部201および202から出力される撮像画像のフレームレートが変動すると、表示部203に表示される画像の更新のフレームレートも変動することになり、使用者はMR体験を快適に体験することができないという課題が存在する。
【0033】
そこで、本実施形態では、HMD101は、同期化部220とタイムスタンプ管理部221により、外部同期入力を複数の撮像部201および202で共通化する。そして、HMD101は、撮像部201および202の露光重心のずれを、タイムスタンプ情報として、画像データと紐づけることで、上記の課題の解決を図る。
【0034】
次に、本実施形態の同期化部220を説明する。
図2に示すように、同期化部220は、撮像部201と撮像部202を同期化するために、外部同期信号を生成する。同期化部220は、画像合成部208から垂直同期信号Vsyncが入力されると、一定のオフセット時間を経た後に、外部同期信号を生成する。これは、撮像部201および202の撮像レートと表示部203の更新レートの周期を同一とすることで、MR映像を低遅延かつ滑らかに提供することが可能となるためである。しかしながら、外部同期信号の生成方法は、これに特に限定されない。同期化部220は、内部でタイミング信号を自動生成し、そのタイミング信号を外部同期信号として出力する方法や、特定の撮像部201または202の垂直同期信号Vsyncをトリガに、外部同期信号を生成して出力する方法などを使用してもよい。
【0035】
次に、
図4および
図5を用いて、本実施形態のタイムスタンプ管理部221の説明を行う。
図4は、タイムスタンプ管理部221の処理例を示すフローチャートである。タイムスタンプ管理部221は、内部にタイムカウンタTcntを持っている。
【0036】
ステップS401では、タイムスタンプ管理部221は、タイムカウンタTcntの動作を開始させる。タイムカウンタTcntは、その他の動作に影響されることなく、基準となる時間のカウントを開始する。なお、タイムスタンプ管理部221は、内部のカウンタの値をタイムカウンタTcntの値としてもよいし、外部装置から入力される基準信号を基にタイムカウンタTcntの値を生成してもよい。
【0037】
ステップS402では、タイムスタンプ管理部221は、同期化部220が出力する外部同期信号を入力したか否かを判定する。タイムスタンプ管理部221は、同期化部220が出力する外部同期信号を入力していない場合には、ステップS402に戻り、同期化部220が出力する外部同期信号を入力した場合には、ステップS403に進む。
【0038】
ステップS403では、タイムスタンプ管理部221は、同期化部220から外部同期信号が入力された時点でのタイムカウンタTcntの値を外部同期時間T(n)として保持する。同期化部220は、この外部同期信号を、撮像部201および202にも出力する。撮像部201および202は、外部同期時間T(n)と同じ時間から露光の準備状態に入る。
【0039】
ステップS404では、タイムスタンプ管理部221は、撮像部201および202に設定されている露光時間パラメータを取得する。露光時間パラメータは、撮像部201および202に対してレジスタ設定されるシャッタスピードの値や露光モード設定などである。これにより、タイムスタンプ管理部221は、撮像部201および202の各々における露光時間に関する情報を取得することが可能となる。
【0040】
ステップS405では、タイムスタンプ管理部221は、上記の撮像部201および202の露光時間パラメータから、撮像部201の露光重心のオフセット値Toffset1と、撮像部202の露光重心のオフセット値Toffset2を特定する。オフセット値Toffset1およびToffset2は、それぞれ、外部同期時間T(n)から、撮像部201および202の露光の重心までの時間を示す値であり、撮像部201および202の特性と設定されるシャッタスピードによって一意に決まる値である。オフセット値Toffset1は、例えば、Toffset1(n)=A1_f(n)+B1_f(n)で表すことができる。オフセット値Toffset2は、例えば、Toffset2(n)=A2_f(n)+B2_f(n)で表すことができる。A1_f(n)およびA2_f(n)は、それぞれ、例えば
図5のA1_f0およびA2_f0のように、外部同期信号の入力から露光を開始するまでの時間である。B1_f(n)およびB2_f(n)は、それぞれ、例えば
図5のB1_f0およびB2_f0のように、露光が開始されてから露光重心に到達するまでの時間である。nは、フレーム番号を示す。時間A1_f(n)、A2_f(n)、B1_f(n)およびB2_f(n)は、ともに撮像部201または202の特性と設定されるシャッタスピードによって決まる。そのため、時間A1_f(n)、A2_f(n)、B1_f(n)およびB2_f(n)は、演算部207が毎フレーム設定するシャッタスピードに応じて求めてもよいし、設定されるシャッタスピードの候補をテーブル化して参照することにより取得してもよい。このように、タイムスタンプ管理部221は、撮像部201および202の露光時間パラメータから、撮像部201の露光重心のオフセット値Toffsetと、撮像部202の露光重心のオフセット値Toffset2を特定する。その特定方法は、特に限定されない。
【0041】
ステップS406では、タイムスタンプ管理部221は、撮像部201のタイムスタンプS1(n)と撮像部202のタイムスタンプS2(n)を発行し、タイムスタンプS1(n)およびS2(n)を保持する。タイムスタンプ管理部221は、S1(n)=T(n)+Toffset1(n)によりタイムスタンプS1(n)を算出し、S2(n)=T(n)+Toffset2(n)によりタイムスタンプS2(n)を算出する。タイムスタンプS1(n)およびS2(n)は、それぞれ、撮像部201および202の露光重心時間を示す。
【0042】
ステップS407では、タイムスタンプ管理部221は、撮像部201または202から垂直同期信号Vsyncを入力したか否かを判定する。タイムスタンプ管理部221は、撮像部201または202から垂直同期信号Vsyncを入力していない場合には、ステップS407に戻り、撮像部201または202から垂直同期信号Vsyncを入力した場合には、ステップS408に進む。
【0043】
ステップS408では、タイムスタンプ管理部221は、撮像部201から垂直同期信号Vsyncを入力した場合には、撮像部201のタイムスタンプS1(n)と、撮像部201から入力した画像データD1(n)とを対応付けて出力する。また、タイムスタンプ管理部221は、撮像部202から垂直同期信号Vsyncを入力した場合には、撮像部202のタイムスタンプS2(n)と、撮像部202から入力した画像データD2(n)とを対応付けて出力する。これにより、タイムスタンプ管理部221は、1フレーム単位の画像処理を完了し、ステップS402に戻る。
【0044】
以後、タイムスタンプ管理部221は、次のフレームも同様の処理を繰り返すことによって、フレームごとの画像データD1(n)およびD2と、露光重心を示したタイムスタンプS1(n)およびS2(n)とをそれぞれ対応付けて出力することができる。
【0045】
図5は、本実施形態によるHMD101の制御方法の例を示すタイミングチャートである。タイムスタンプ管理部221は、
図4のフローチャートの処理を行っている。以下、
図5を用いて、
図4で説明したフローチャートの処理の説明を補足する。
【0046】
時刻E0は、同期化部220が外部同期信号を撮像部201,202とセンシング部204とタイムスタンプ管理部221に出力した時刻である。撮像部201と撮像部202とセンシング部204とタイムスタンプ管理部221は、共通の外部同期信号を入力する。タイムスタンプ管理部221は、時刻E0におけるタイムカウンタTcntの値を外部同期時間T0として保持する。
【0047】
時刻T0では、撮像部201のシャッタスピード設定は1/120sであり、撮像部201はローリングシャッタ方式の撮像素子を用いている。時間A1_f0は、撮像部201が外部同期信号を入力してから露光を開始するまでの時間である。時間B1_f0は、撮像部201の露光が開始されてから露光重心に到達するまでの時間である。時間A1_f0およびB1_f0は、撮像部201の特性と設定されるシャッタスピードによって一意に決まる値である。タイムスタンプ管理部221は、S1(0)=T0+A1_f0+B1_f0により、タイムスタンプS1(0)を算出する。
【0048】
時刻R0は、撮像部201が垂直同期信号Vsyncを出力する時刻であり、撮像部201が画像データD1(0)の出力を開始する時刻である。時刻R0では、タイムスタンプ管理部221は、タイムスタンプS1(0)と画像データD1(0)とを対応付けて出力する。
【0049】
また、時刻T0では、撮像部202のシャッタスピード設定は1/120sであり、撮像部202はグローバルシャッタ方式の撮像素子を用いている。時間A2_f0は、撮像部202が外部同期信号を入力してから露光を開始するまでの時間である。時間B2_f0は、撮像部202の露光が開始されてから露光重心に到達するまでの時間である。時間A2_f0およびB2_f0は、撮像部202の特性と設定されるシャッタスピードによって一意に決まる値である。タイムスタンプ管理部221は、S2(0)=T0+A2_f0+B2_f0により、タイムスタンプS2(0)を算出する。
【0050】
時刻R1は、撮像部202が垂直同期信号Vsyncを出力する時刻であり、撮像部202が画像データD2(0)の出力を開始する時刻である。時刻R1では、タイムスタンプ管理部221は、タイムスタンプS2(0)と画像データD2(0)とを対応付けて出力する。
【0051】
撮像部201は、ローリングシャッタ方式の撮像素子を用いている。撮像部202は、グローバルシャッタ方式の撮像素子を用いている。そのため、撮像部201および202のシャッタスピードが相互に同一であるにもかかわらず、時間B1_f0およびB2_f0が相互に異なることがわかる。
【0052】
次に、本実施形態による効果を説明する。上記のように、タイムスタンプ管理部221は、撮像部201および202の共通の外部同期信号を入力し、設定値に応じてタイムスタンプS1(n)およびS2(n)を生成する。時間差ΔT(n)は、タイムスタンプS1(n)とタイムスタンプS2(n)との差分であり、撮像部201および202の露光重心のずれ時間である。
【0053】
CG生成部210が生成するCG画像は、画像処理後の撮像部202の撮像画像を基に生成されている。一方、画像合成部208に入力される撮像画像は、画像処理後の撮像部201の撮像画像である。すわなち、撮像部201と撮像部202で露光される時間的なタイミングが異なる場合、画像合成部208が画像合成をすると、違和感のあるMR画像が生成されてしまう。本実施形態では、HMD101は、時間差ΔT(n)をタイムスタンプS1(n)およびS2(n)から求め、時間差ΔT(n)を考慮して、CG画像を生成する。
【0054】
図5において、撮像部201のFrame0におけるタイムスタンプ値は、S1(0)である。撮像部202のFrame0におけるタイムスタンプ値は、S2(0)である。時間差ΔT0は、撮像部201の露光重心と撮像部202の露光重心の時間差である。例えば、撮像処理部206は、ΔT0=|S1(0)-S2(0)|により時間差ΔT0を算出し、時間差ΔT0と画像処理後の撮像部202の撮像画像を位置姿勢計算部209に出力する。
【0055】
位置姿勢計算部209は、時間差ΔT0と、画像処理後の撮像部202の撮像画像と、動作算出部205の算出結果とを基に、撮像部201と撮像部202の露光重心のずれ分を考慮したHMD101の位置姿勢を計算する。前述した通り、位置姿勢計算部209は、現実世界を示す世界座標系とHMD101を通して観察した画像を示すカメラ座標系との関係を計算し、現実世界に対してHMD101がどのような位置姿勢であるかを計算する。位置姿勢計算部209は、時間差ΔTと動作算出部205の算出結果を用いることにより、HMD101の動きを考慮して、時間差ΔT0の時間誤差を補正することができる。具体的には、位置姿勢計算部209は、動作算出部205の算出結果を基に、HMD101の移動、傾き、回転、加速度、角速度等の状態を知ることができる。すなわち、位置姿勢計算部209は、HMD101の現実世界上での変化と時間差ΔT0とを基に、撮像部201の撮像画像が表すカメラ座標と撮像部202の撮像画像が表すカメラ座標の差分量がわかるので、これを考慮して、HMD101の位置姿勢を計算する。位置姿勢計算部209は、HMD101の位置姿勢の情報をCG生成部210に出力する。
【0056】
CG生成部210は、位置姿勢計算部209により計算されたHMD101の位置姿勢の情報を基に、コンテンツDB211からCGデータを読み込み、撮像部202により撮像された撮像画像の向いている方向に合わせたCG画像を生成する。そして、CG生成部210は、そのCG画像を画像合成部208に出力する。
【0057】
画像合成部208は、撮像処理部206から画像処理後の撮像部201の撮像画像を入力し、CG生成部210からCG画像を入力する。画像合成部208は、画像処理後の撮像部201の撮像画像とCG画像とを合成することによりMR画像を生成し、MR画像を表示部203に表示する。MR画像を表示部203に表示することで、HMD101の使用者は、外界には存在しない物体をCGとして視認し、MR体験をすることができる。
【0058】
以上のように、位置姿勢計算部209は、時間差ΔT0と動作算出部205の算出結果を用いて、HMD101の位置姿勢を計算する。これにより、位置姿勢計算部209は、HMD101の動きを考慮して、時間差ΔT0の時間誤差を補正した上で、HMD101の位置姿勢を計算することができる。このようにすることで、撮像部201および202の露光重心が不一致であっても、画像合成部208は、正確な位置で、画像処理後の撮像部201の撮像画像とCG画像とを合成することができる。
【0059】
HMD101は、複数の撮像部201および202の特性と設定されたシャッタスピードの値を基に、撮像部201および202の露光重心のずれの時間差ΔT0を正確に求めることができる。これにより、HMD101は、同期化部220により、複数の撮像部201および202とセンシング部204とを同期化させた上で、安定したフレームレートを実現することができる。
【0060】
以上のように、撮像装置は、HMD101と、画像処理装置103を有する。HMD101は、表示部203を有する頭部装着型装置である。
【0061】
撮像部201は、第1の露光期間における露光により撮像を行う。第1の露光期間は、例えば、
図5のB1_f0+C1_f0である。撮像部202は、第2の露光期間における露光により撮像を行う。第2の露光期間は、例えば、
図5のB2_f0+C2_f0である。タイムスタンプ管理部221は、タイムスタンプ生成部であり、撮像部201の第1の露光期間内の露光タイミングを示す第1のタイムスタンプを生成する。第1のタイムスタンプは、例えば、
図5のS1(0)である。また、タイムスタンプ管理部221は、撮像部202の第2の露光期間内の露光タイミングを示す第2のタイムスタンプを生成する。第2のタイムスタンプは、例えば、
図5のS2(0)である。
【0062】
具体的には、タイムスタンプ管理部221は、撮像部201の第1の露光期間の重心または中心を示す第1のタイムスタンプを生成する。また、タイムスタンプ管理部221は、撮像部202の露光期間の重心または中心を示す第2のタイムスタンプを生成する。
【0063】
撮像部201は、第1のシャッタ方式で撮像する。撮像部202は、第1のシャッタ方式とは異なる第2のシャッタ方式で撮像する。第1のシャッタ方式は、例えば、ローリングシャッタ方式である。第2のシャッタ方式は、例えば、グローバルシャッタ方式である。
【0064】
図5のframe1では、撮像部201の第1の露光期間は、例えば、B1_f1+C1_f1である。撮像部202の第2の露光期間は、例えば、B2_f1+C2_f1である。この場合、第1の露光期間の長さと第2の露光期間の長さは異なる。
【0065】
センシング部204は、センサデータを取得する。例えば、センシング部204は、HMD101の動きを示すセンサデータを取得する。
【0066】
画像合成部208と位置姿勢計算部209とCG生成部210は、画像処理部であり、撮像部201により撮像された画像と、撮像部202により撮像された画像と、第1のタイムスタンプと、第2のタイムスタンプとを基に、画像処理を行う。
【0067】
位置姿勢計算部209とCG生成部210は、撮像部202により撮像された画像と、第1のタイムスタンプと、第2のタイムスタンプと、センサデータとを基に、コンピュータグラフィックス画像を生成する。画像合成部208は、撮像部201により撮像された画像と、上記のコンピュータグラフィックス画像とを基に、画像合成を行う。
【0068】
なお、撮像部201は、垂直同期信号Vsyncを基に、第1の露光期間における露光を行ってもよい。その場合、同期化部220は、撮像部201の垂直同期信号Vsyncを基に、外部同期信号を生成する。撮像部202は、同期化部220により生成された外部同期信号を基に、第2の露光期間における露光を行う。
【0069】
以上のように、本実施形態によれば、HMD101と画像処理装置103は、撮像部201と撮像部202とセンシング部204を同期させた上で、安定したフレームレートを実現することができる。
【0070】
(第2の実施形態)
以下、
図6を参照して、第2の実施形態を説明する。
図6は、第2の実施形態によるHMD101と画像処理装置103の機能構成例を示すブロック図である。
図6のHMD101は、
図2のHMD101に対して、画像変形部601を追加したものである。
図6の画像処理装置103は、
図2の画像処理装置103と同様である。以下、第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点を説明する。
【0071】
CG生成部210は、コンテンツDBから読み出すCGデータの描画負荷状況により、スループットが変動し、レイテンシが増加する場合がある。その場合、画像合成部208は、CG生成部210からCG画像を入力するタイミングが遅れるため、CG画像の位置が撮像画像の位置とは一致せず、違和感のあるMR画像となる場合がある。
【0072】
そこで、画像変形部601は、動作算出部205の算出結果に基づいて、CG生成部210により生成されたCG画像を変形する。撮像部201で撮像された画像は、HMD101の動作に追従して変化しているので、画像変形部601は、CG画像の遅れを補正するように、CG画像を画像変形させる。画像変形の方法は、例えば、ホモグラフィ変換などの画像変形方法である。画像変形部601は、変形したCG画像を画像合成部208に出力する。
【0073】
画像合成部208は、撮像処理部206から画像処理後の撮像部201の撮像画像を入力し、画像変形部601から変形されたCG画像を入力する。画像合成部208は、画像処理後の撮像部201の撮像画像と、変形されたCG画像とを合成することによりMR画像を生成し、MR画像を表示部203に提示(表示)する。
【0074】
これにより、HMD101は、CG生成部210でのCG画像生成でレイテンシが増えたとしても、HMD101の使用者にとって違和感の少ないMR画像を表示部203に表示することができる。
【0075】
動作算出部205は、センシング部204から出力されるセンサデータを基に、HMD101の移動、傾き、回転等を算出する。画像変形部601は、動作算出部205の算出結果を基に、CG画像を変形する。画像合成部208は、画像処理後の撮像部201の撮像画像と変形されたCG画像を合成する。そのため、HMD101は、撮像部201および202とセンシング部204のデータ取得タイミングを正確に把握することが必要となる。そこで、タイムスタンプ管理部221は、センシング部204が出力するセンサデータに対して、タイムスタンプを対応付けて出力する。以下、その詳細を説明する。
【0076】
図7は、第2の実施形態によるHMD101の制御方法の例を示すタイミングチャートである。
図7のタイミングチャートを用いて、第2の実施形態における動作を説明する。
図7の撮像部201および202のタイミングチャートは、
図5の撮像部201および202のタイミングチャートと同じである。以下、
図7のセンシング部204のタイミングチャートを主に説明する。
【0077】
時刻E0は、同期化部220が外部同期信号を撮像部201,202とセンシング部204とタイムスタンプ管理部221に出力した時刻である。撮像部201と撮像部202とセンシング部204とタイムスタンプ管理部221は、共通の外部同期信号を入力する。タイムスタンプ管理部221は、時刻E0におけるタイムカウンタTcntの値を外部同期時間T0として保持する。
【0078】
センシング部204は、設定に基づき、サンプリングタイミングで、センサデータをサンプリングする。時刻E0からサンプリングタイミングまでの時間は、センシング部204の設定により一意に決まる値であり、A3_f0+B3_f0である。タイムスタンプ管理部221は、S3(0)=T0+A3_f0+B3_f0により、タイムスタンプS3(0)を算出する。サンプリングタイミングから時間C3_f0の後、センシング部204は、サンプリングしたセンサデータD3(0)の出力を開始する。タイムスタンプ管理部221は、タイムスタンプS3(0)とセンサデータD3(0)とを対応付けて動作算出部205に出力する。
【0079】
動作算出部205は、撮像部201のタイムスタンプS1(0)と、撮像部202のタイムスタンプS2(0)と、センシング部204のタイムスタンプS3(0)を基に、センサデータの取得タイミングのずれ量ΔT0_13およびΔT0_23を算出する。
【0080】
例えば、動作算出部205は、ΔT0_13=|S1(0)-S3(0)|により、撮像部201の露光重心とセンシング部204のデータ取得タイミングとのずれ量ΔT0_13を算出する。また、動作算出部205は、ΔT0_23=|S2(0)-S3(0)|により、撮像部202の露光重心とセンシング部204のデータ取得タイミングとのずれ量ΔT0_23を算出する。動作算出部205は、ずれ量ΔT0_13およびΔT0_23を画像変形部601に出力する。
【0081】
画像変形部601は、ずれ量ΔT0_13およびΔT0_23を基に、撮像画像に対するCG画像の遅れを補正するように、CG生成部210により生成されたCG画像を変形する。
【0082】
画像合成部208は、撮像処理部206から画像処理後の撮像部201の撮像画像を入力し、画像変形部601から変形されたCG画像を入力する。画像合成部208は、画像処理後の撮像部201の撮像画像と、変形されたCG画像とを合成することによりMR画像を生成し、MR画像を表示部203に表示する。これにより、表示部203は、HMD101の使用者にとって違和感の少ない画像を提示(表示)することができる。
【0083】
以上のように、センシング部204は、サンプリング時間におけるサンプリングによりセンサデータを取得する。タイムスタンプ管理部221は、センシング部204のサンプリング時間を示す第3のタイムスタンプを生成する。第3のタイムスタンプは、例えば、
図7のS3(0)である。
【0084】
位置姿勢計算部209とCG生成部210は、撮像部202により撮像された画像と、第1のタイムスタンプと、第2のタイムスタンプと、センサデータとを基に、コンピュータグラフィックス画像を生成する。第1のタイムスタンプは、例えば、
図7のS1(0)である。第2のタイムスタンプは、例えば、
図7のS2(0)である。
【0085】
画像変形部601は、第1のタイムスタンプと、第2のタイムスタンプと、第3のタイムスタンプとを基に、上記のコンピュータグラフィックス画像を変形する。画像合成部208は、撮像部201により撮像された画像と、画像変形部601により変形されたコンピュータグラフィックス画像とを基に、画像合成を行う。
【0086】
以上のように、本実施形態によれば、HMD101と画像処理装置103は、撮像部201と撮像部202とセンシング部204を同期させた上で、安定したフレームレートを実現することができる。
【0087】
(その他の実施形態)
本開示は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0088】
以上、実施形態について説明したが、本開示はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
【0089】
本実施形態の開示は、以下の構成および方法を含む。
(構成1)
第1の露光期間における露光により撮像を行う第1の撮像部と、
第2の露光期間における露光により撮像を行う第2の撮像部と、
前記第1の撮像部の前記第1の露光期間内の露光タイミングを示す第1のタイムスタンプを生成する第1のタイムスタンプ生成部と、
前記第2の撮像部の前記第2の露光期間内の露光タイミングを示す第2のタイムスタンプを生成する第2のタイムスタンプ生成部と
を有することを特徴とする撮像装置。
(構成2)
前記第1のタイムスタンプ生成部は、前記第1の撮像部の前記第1の露光期間の重心または中心を示す第1のタイムスタンプを生成し、
前記第2のタイムスタンプ生成部は、前記第2の撮像部の前記第2の露光期間の重心または中心を示す第2のタイムスタンプを生成することを特徴とする構成1に記載の撮像装置。
(構成3)
前記第1の撮像部は、第1のシャッタ方式で撮像し、
前記第2の撮像部は、前記第1のシャッタ方式とは異なる第2のシャッタ方式で撮像することを特徴とする構成1または2に記載の撮像装置。
(構成4)
前記第1のシャッタ方式は、ローリングシャッタ方式であり、
前記第2のシャッタ方式は、グローバルシャッタ方式であることを特徴とする構成3に記載の撮像装置。
(構成5)
前記第1の露光期間の長さと前記第2の露光期間の長さは異なることを特徴とする構成1~4のいずれか1項に記載の撮像装置。
(構成6)
センサデータを取得するセンシング部をさらに有することを特徴とする構成1~5のいずれか1項に記載の撮像装置。
(構成7)
前記センシング部は、前記撮像装置の動きを示すセンサデータを取得することを特徴とする構成6に記載の撮像装置。
(構成8)
前記第1の撮像部により撮像された画像と、前記第2の撮像部により撮像された画像と、前記第1のタイムスタンプと、前記第2のタイムスタンプとを基に、画像処理を行う画像処理部をさらに有することを特徴とする構成1~7のいずれか1項に記載の撮像装置。
(構成9)
前記第2の撮像部により撮像された画像と、前記第1のタイムスタンプと、前記第2のタイムスタンプと、前記センサデータとを基に、コンピュータグラフィックス画像を生成する生成部と、
前記第1の撮像部により撮像された画像と、前記コンピュータグラフィックス画像とを基に、画像合成を行う画像合成部とをさらに有することを構成6または7に記載の撮像装置。
(構成10)
前記センシング部は、サンプリング時間におけるサンプリングによりセンサデータを取得し、
前記センシング部の前記サンプリング時間を示す第3のタイムスタンプを生成する第3のタイムスタンプ生成部をさらに有することを特徴とする構成6または7に記載の撮像装置。
(構成11)
前記第2の撮像部により撮像された画像と、前記第1のタイムスタンプと、前記第2のタイムスタンプと、前記センサデータとを基に、コンピュータグラフィックス画像を生成する生成部と、
前記第1のタイムスタンプと、前記第2のタイムスタンプと、前記第3のタイムスタンプとを基に、前記コンピュータグラフィックス画像を変形する画像変形部と、
前記第1の撮像部により撮像された画像と、前記画像変形部により変形されたコンピュータグラフィックス画像とを基に、画像合成を行う画像合成部とをさらに有することを構成10に記載の撮像装置。
(構成12)
前記第1の撮像部は、第1の同期信号を基に、前記第1の露光期間における露光を行い、
前記第2の撮像部は、第2の同期信号を基に、前記第2の露光期間における露光を行い、
前記撮像装置は、前記第1の同期信号を基に、前記第2の同期信号を生成する同期化部をさらに有することを特徴とする構成1~11のいずれか1項に記載の撮像装置。
(構成13)
前記撮像装置は、表示部を有する頭部装着型装置であることを特徴とする構成1~12のいずれか1項に記載の撮像装置。
(構成14)
露光期間における露光により撮像を行う撮像部と、
サンプリング時間におけるサンプリングによりセンサデータを取得するセンシング部と、
前記撮像部の前記露光期間内の露光タイミングを示す第1のタイムスタンプを生成する第1のタイムスタンプ生成部と、
前記センシング部の前記サンプリング時間を示す第2のタイムスタンプを生成する第2のタイムスタンプ生成部と
を有することを特徴とする撮像装置。
(構成15)
前記第1のタイムスタンプ生成部は、前記撮像部の前記露光期間の重心または中心を示す第1のタイムスタンプを生成することを特徴とする構成14に記載の撮像装置。
(構成16)
前記センシング部は、前記撮像装置の動きを示すセンサデータを取得することを特徴とする構成14または15に記載の撮像装置。
(構成17)
前記撮像装置は、表示部を有する頭部装着型装置であることを特徴とする構成14~16のいずれか1項に記載の撮像装置。
(方法1)
第1の露光期間における露光により撮像を行う第1の撮像部と、
第2の露光期間における露光により撮像を行う第2の撮像部とを有する撮像装置の制御方法であって、
前記第1の撮像部の前記第1の露光期間内の露光タイミングを示す第1のタイムスタンプを生成する第1のタイムスタンプ生成ステップと、
前記第2の撮像部の前記第2の露光期間内の露光タイミングを示す第2のタイムスタンプを生成する第2のタイムスタンプ生成ステップと
を有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
(方法2)
露光期間における露光により撮像を行う撮像部と、
サンプリング時間におけるサンプリングによりセンサデータを取得するセンシング部とを有する撮像装置の制御方法であって、
前記撮像部の前記露光期間内の露光タイミングを示す第1のタイムスタンプを生成する第1のタイムスタンプ生成ステップと、
前記センシング部の前記サンプリング時間を示す第2のタイムスタンプを生成する第2のタイムスタンプ生成ステップと
を有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【符号の説明】
【0090】
101 HMD、102 表示装置、103 画像処理装置、104 操作部、201 撮像部、202 撮像部、203 表示部、204 センシング部、205 動作算出部、206 撮像処理部、207 演算部、208 画像合成部、209 位置姿勢計算部、210 CG生成部、211 コンテンツDB、220 同期化部、221 タイムスタンプ管理部、601 画像変形部