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  • 特開-車両のインストルメントパネル 図1
  • 特開-車両のインストルメントパネル 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177559
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】車両のインストルメントパネル
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20231207BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20231207BHJP
   H04R 5/02 20060101ALI20231207BHJP
   H04R 1/26 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
B60R11/02 S
H04R1/02 102B
H04R5/02 F
H04R1/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090293
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】寸田 剛司
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 崇裕
(72)【発明者】
【氏名】久保山 豪樹
(72)【発明者】
【氏名】吉田 駿
(72)【発明者】
【氏名】石澤 恵
【テーマコード(参考)】
3D020
5D011
5D017
5D018
【Fターム(参考)】
3D020BA04
3D020BA10
3D020BB01
3D020BC03
3D020BD05
5D011AA14
5D011AA16
5D017AE12
5D018AC10
(57)【要約】
【課題】 運転席を基準とした音像定位の最適化とハーネス配索コストの削減に有利なスピーカーシステムを備えたインストルメントパネルを提供する。
【解決手段】 インストルメントパネル1は、メーター表示機能、カーナビゲーション装置の操作機能および表示機能を有するGUIディスプレイ2と、中高域用スピーカーユニット31と、低域用ウーファーユニット32と、それぞれのエンクロージャー30,33を含むスピーカーシステム3を備え、GUIディスプレイ2はインストルメントパネル1の中央領域に配設され、スピーカーユニット31は、インストルメントパネル1の右側上部領域に運転席と正対して配置され、エンクロージャー30,33は、インストルメントパネル内部のGUIディスプレイ2の背後からスピーカーユニット31の背後を囲うように右側上部領域に配設され、ウーファーユニット32は、GUIディスプレイ2の背後におけるエンクロージャー33の上部に配設されている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のインストルメントパネルであって、
速度表示を含むメーター表示機能、カーナビゲーション装置の操作機能および表示機能を有するGUIディスプレイと、
中高域用のスピーカーユニットと、低域用のウーファーユニットと、それぞれのエンクロージャーを含むスピーカーシステムと、を備え、
前記GUIディスプレイは、前記インストルメントパネルの中央領域に配設され、
前記スピーカーユニットは、前記インストルメントパネルの右側上部領域または左側上部領域に運転席と正対して配置され、
前記エンクロージャーは、前記インストルメントパネル内部の前記GUIディスプレイの背後から前記スピーカーユニットの背後を囲うように前記右側上部領域または左側上部領域に配設され、
前記ウーファーユニットは、前記GUIディスプレイの背後における前記エンクロージャーの上部に配設されている、車両のインストルメントパネル。
【請求項2】
前記ウーファーユニットは、車両の高さ方向で前記スピーカーユニットと少なくとも一部が重なるように配設されている、請求項1に記載の車両のインストルメントパネル。
【請求項3】
前記ウーファーユニットは、前記GUIディスプレイの車両幅方向中央に対し、前記スピーカーユニット側に偏位して配設されている、請求項2に記載の車両のインストルメントパネル。
【請求項4】
前記ウーファーユニットは、前記GUIディスプレイの背面から斜めに離間して配設されている、請求項3に記載の車両のインストルメントパネル。
【請求項5】
前記インストルメントパネルの内部に、車室内に向けて開口された送風口に空調空気を送給するための送風ダクトが配設され、前記ウーファーユニットは、前記送風ダクトの壁面に、前記送風ダクトをエンクロージャーとして配設されている、請求項4に記載の車両のインストルメントパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のインストルメントパネルに関し、さらに詳しくは、車両のインストルメントパネルに配設されたスピーカーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
車載オーディオ装置のスピーカーシステムとしては、左右のドアトリムに全帯域用スピーカーユニットが配置される場合がある。このようなスピーカーユニットの場合、インストルメントパネル中央部(センターコンソール部)に配置されるオーディオユニットやナビゲーションシステムからドア内部までハーネスを配策する必要があるうえ、乗員の耳から離れているため、高域の音質に課題があった。
【0003】
そこで、スピーカーシステムを分離し、左右のドアトリムに低域用スピーカーユニット、インストルメントパネルや左右のフロントピラー部に高域用スピーカーユニットが配置される場合もあるが、前記同様にドア内部までハーネスを配策する必要があることに加えて、それぞれのスピーカーユニットに向けてハーネスが分岐するため、コスト増となる問題があった。
【0004】
また、特許文献1には、インストルメントパネルの下部とステアリングホイールとにスピーカーユニットが配置される形態が示されている。しかし、スピーカーユニットは比較的近位置に配置されるもののハーネス配索コストを要するうえ、ステアリングホイールは回転するため、回転角に応じた音像定位制御が必要となり、制御の複雑化とそれに伴う音質への悪影響も懸念される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-51909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、カーナビゲーションシステムを搭載した車両では、カーナビゲーションシステムの画面に車載オーディオ装置の操作画面が統合され、タッチパネル方式のセンターディスプレイとしてセンターコンソール部に搭載される場合があるが、それらに加えて、スピードメーターの機能をセンターディスプレイに統合することが検討されている。
【0007】
その場合、従来スピードメーターが配置されていた運転席正面に余剰スペースが生まれる。このスペースを利用することで、音像定位が良好でハーネスの配索にも有利なスピーカーシステムを構成できるという知見を得て本発明に想到した。
【0008】
すなわち本発明は、上記のような実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、運転席を基準とした音像定位の最適化とハーネス配索コストの削減に有利なスピーカーシステムを備えたインストルメントパネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、
車両のインストルメントパネルであって、
速度表示を含むメーター表示機能、カーナビゲーション装置の操作機能および表示機能を有するGUIディスプレイと、
中高域用のスピーカーユニットと、低域用のウーファーユニットと、それぞれのエンクロージャーを含むスピーカーシステムと、を備え、
前記GUIディスプレイは、前記インストルメントパネルの中央領域に配設され、
前記スピーカーユニットは、前記インストルメントパネルの右側上部領域または左側上部領域に運転席と正対して配置され、
前記エンクロージャーは、前記インストルメントパネル内部の前記GUIディスプレイの背後から前記スピーカーユニットの背後を囲うように前記右側上部領域または左側上部領域に配設され、
前記ウーファーユニットは、前記GUIディスプレイの背後における前記エンクロージャーの上部に配設されている、車両のインストルメントパネルにある。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るインストルメントパネルは、上記のように、従来スピードメーターが配置されていた運転席正面に中高域用のスピーカーユニットを左右対称に配置でき、音像定位が良好でハーネスの配索にも有利なスピーカーシステムを構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明実施形態に係るインストルメントパネルを示す斜視図である。
図2】本発明実施形態に係るインストルメントパネルを示す正面図である。
図3図2のX-X断面図である。
図4】GUIディスプレイを示す概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1および図2において、本発明実施形態に係るインストルメントパネル1は、中央領域(センターコンソール)の上部にGUIディスプレイ2が配置され、運転席と正対する右側上部領域にスピーカーシステム3を構成するスピーカーユニット31,31が配設されている。
【0013】
GUIディスプレイ2は、薄型のタッチパネル式のディスプレイであり、図4に示すように、表示面は、車両の速度表示を含むメーター表示21、カーナビゲーション装置の表示および操作部22、空調システム4の表示および操作部23を備える。
【0014】
図示例では、表示領域を上下3分割して同時に表示されているが、マルチウインドウ方式とすることにより、何れか1つを全画面表示または拡大表示して他を縮小表示に切り替えられるようになっており、上記に加えて、サウンドシステム(オーディオシステム)の表示および操作部としての機能も有している。
【0015】
スピーカーシステム3は、中高域用のスピーカーユニット31,31と、低域用のウーファーユニット32とを備える。中高域用のスピーカーユニット31,31は、上部エンクロージャー30の前面(バッフル)に運転席と正対する位置で左右対称に配置された2つのスピーカーユニットで構成され、ステレオ音源の音像定位を良好に再現できるようになっている。下部エンクロージャー33は、スピーカーユニット31,31の拡張エンクロージャーとして設けられ、内部に左右それぞれのバックロードホーンを形成することもできる。
【0016】
低域用のウーファーユニット32は、図3に示されるように、空調システム4の送風ダクト44の基部43の上部に配置されている。すなわち、空調システム4の送風ダクト44は、空調ユニット40の上部から直上方に延び下部エンクロージャー33の上方で車室10側に向かって斜めに延びるとともに左右の送風ダクト44に分岐しているが、この分岐直前の幅が広くなった部分の下面壁を貫通するように設けられている。
【0017】
送風ダクト44(43)は、この部分で不図示の補強フレームで補強され、剛性が付与されており、ウーファーユニット32は、この補強フレームに取り付けられている。この構造により、GUIディスプレイ2の両側の送風口41に連通するY字状の送風ダクト44(43)全体がウーファーユニット32のエンクロージャーとして機能するようになっている。
【0018】
なお、インストルメントパネル1の左右両側部の送風口42に連通する送風ダクト45は空調ユニット40の上部から左右に分岐している。また、図3に示すように、送風ダクト44(43)の車両前後方向前方F側にはデフロスターの送風ダクト47が設けられている。
【0019】
ウーファーユニット32は、図3に示されるように、薄型のパネル状をなすGUIディスプレイ2の背面から斜めに離間して配設されているので、GUIディスプレイ2の背面とウーファーユニット32との間には余剰空間が形成されており、この空間にウーファーユニット32のエンクロージャーを形成することもできる。
【0020】
また、下部エンクロージャー33をウーファーユニット32のエンクロージャーとすることもできる。その場合、左右のスピーカーユニット31,31とウーファーユニット32のエンクロージャー30,33を一体または部組することで、インストルメントパネル1への組付けが容易になる。
【0021】
ウーファーユニット32は、車両の高さ方向Hにて中高域用のスピーカーユニット31と少なくとも一部が重なるように配設されていることが好ましい。低域用のウーファーユニット32は音像定位に影響しないが、中高域用のスピーカーユニット31の横方向に配置されることで、ハーネスの長さが短くなりハーネスの配索コストを低減できる。
【0022】
また、図2に示すように、ウーファーユニット32は、GUIディスプレイ2の車両幅方向中央(c)に対し、スピーカーユニット31側に偏位して配設されていることが好ましい。ウーファーユニット32がスピーカーユニット31側に配置されることで、ハーネスの長さがさらに短縮されハーネスの配索コストを一層低減できる。
【0023】
以上述べたように、本発明実施形態に係るインストルメントパネル1は、GUIディスプレイ2がインストルメントパネル1の中央領域に配設され、スピーカーユニット31は、インストルメントパネル1の右側上部領域または左側上部領域に運転席と正対して配置され、エンクロージャー30、33は、インストルメントパネル1内部の前記GUIディスプレイ2の背後からスピーカーユニット31の背後を囲うように右側上部領域または左側上部領域に配設され、ウーファーユニット32は、GUIディスプレイ2の背後におけるエンクロージャー30、31の上部に配設されている構成により、薄型のGUIディスプレイ2の裏のスペースを利用してエンクロージャー30、33を配置することで、エンクロージャー30、33の大型化が可能となり音質を向上させることができる。
【0024】
また、GUIディスプレイ2の裏のスペースにウーファーユニット32を備えることができ、裏のスペースのレイアウト性が良く、低音の音質を向上させるうえで有利である。
【0025】
ウーファーユニット32は、エンクロージャー30、31の上部に備えながらも高さ方向の高いGUIディスプレイ2に隠れることで見栄えを損なわないようにすることができる。また、ウーファーユニット32は低域が割り当てられるため、GUIディスプレイ2の裏に備えられても音が回り込むことになり音質低下を抑制することができる。
【0026】
加えてウーファーユニット32は、車両の高さ方向でスピーカーユニット31と少なくとも一部が重なるように配設されているので、ウーファーユニット32をスピーカーユニット31と平行な位置に配置されることにより、スピーカーユニット31の横に置くとウーファーユニット32の音質効果を上げることができる。
【0027】
中高域用のスピーカーユニット31は、耳の高さに近づけた方が良く、インストルメントパネル1の上部に備えられているので音質を向上させることができ、その場合にウーファーユニット32の位置が高くなってしまうが、GUIディスプレイ2が高いため、見栄えを悪くしないで音質を上げることができる。
【0028】
さらに、ウーファーユニット32は、インストルメントパネル1の平坦な面にGUIディスプレイ2の車両幅方向中央に対し、スピーカーユニット31側に偏位して配設されているため、ウーファーユニット32をGUIディスプレイ2の裏側で、GUIディスプレイ2の正面視にてウーファーユニット32が隠れた状態でウーファーユニット32をスピーカーユニット31の横近くに配置することができ、ウーファーユニット32とスピーカーユニット31の距離を少しでも近づけることができる。すなわちスピーカーユニット31との位相差が出にくくすることで音質を向上させることができる。そして平坦な面にウーファーユニット32を配置することで音質を上げることができる。
【0029】
そして、ウーファーユニット32は、GUIディスプレイ2の背面から斜めに離間して配設されていることで、部分的に音をGUIディスプレイ2に反射させて拡散することで車室内の音を向上させることができる。
【0030】
また、インストルメントパネル1の内部に、車室10内に向けて開口された送風口に空調空気を送給するための送風ダクト43、44、45が配設され、ウーファーユニット32は、送風ダクト43、44、45の壁面に、送風ダクト43、44、45をエンクロージャーとして配設されている構成により、送風ダクト43、44、45をドライバー席に向けているので、スピーカーユニット31の音との位相を反転させることができ、特に低音で響きを上げることができる。
【0031】
以上、本発明のいくつかの実施形態について述べたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいてさらに各種の変形および変更が可能であることを付言する。
【符号の説明】
【0032】
1 インストルメントパネル
2 GUIディスプレイ
3 スピーカーシステム
4 空調システム
5 ステアリングホイール
30 エンクロージャー
31 スピーカーユニット
32 ウーファーユニット
33 エンクロージャー
40 空調ユニット
41,42 送風口
43,44,45 送風ダクト
図1
図2
図3
図4