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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177567
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】フロアカバー
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/04 20060101AFI20231207BHJP
   A47G 27/02 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
B60N3/04 B
A47G27/02 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090301
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】500564493
【氏名又は名称】株式会社イレブンインターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】板倉 剛
【テーマコード(参考)】
3B088
3B120
【Fターム(参考)】
3B088GA01
3B088GB01
3B088GB02
3B120BB10
3B120DA08
3B120EA10
3B120EB30
(57)【要約】
【課題】フロアパネルに対して固定できるとともに、見栄えを向上させることができるフロアカバーを提供することを目的とする。
【解決手段】車両XにおけるフロアパネルFPの形状に合わせて形成されるとともに、フロアパネルFPに載置される前席カバー2及び後席カバー3、荷台カバー4は、外縁部2a及び外縁部3a、外縁部4aに、フロアパネルFPに載置された状態において、例えば、車両XにおけるサイドトリムSTとフロアパネルFPとの隙間D1に挿入されるような、挿入部71と、挿入部71以外の箇所に端部処理を施した処理部72とが設けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両におけるフロアパネルの形状に合わせて形成されるとともに、前記フロアパネルに載置されるフロアカバーであって、
外縁部には、
前記フロアパネルに載置された状態において、前記車両における内装パネルと前記フロアパネルとの隙間に挿入される挿入部と、
前記挿入部以外の箇所に端部処理を施した処理部とが設けられた
フロアカバー。
【請求項2】
前記処理部は、前記挿入部以外の前記外縁部を別部材で覆うとともに、縫い付けるパイピング処理が施された
請求項1に記載のフロアカバー。
【請求項3】
前記挿入部には、前記外縁部に沿って縫い目が設けられ、
前記フロアパネルに対して(着脱自在に)固定できる外縁固定部が、前記縫い目によって前記外縁部に沿って縫着された
請求項1に記載のフロアカバー。
【請求項4】
前記フロアパネルはフロアカーペットを有し、
前記外縁固定部は、前記フロアカーペットの表面に着脱可能な面ファスナで構成された
請求項3に記載のフロアカバー。
【請求項5】
フロアマットを載置して固定するマット固定部が備えられた
請求項1に記載のフロアカバー。
【請求項6】
前記マット固定部の裏面側に、前記フロアパネルに固定する内側固定部が設けられた
請求項5に記載のフロアカバー。
【請求項7】
前記フロアパネルの立体形状に合わせた凹凸部を有し、
前記凹凸部は、複数のシート体を連結させて立体形状に形成された
請求項1に記載のフロアカバー。
【請求項8】
隣接する前記シート体は、表面同士を重ね合わせて、裏面側で縫い合わせた縫い合わせ部を有する
請求項7に記載のフロアカバー。
【請求項9】
前記縫い合わせ部は、
前記フロアパネルに載置された状態において、入隅に対応して設けられ、
前記シート体の裏面に、前記フロアパネルと前記シート体とを固定するパネル固定部が縫着された
請求項8に記載のフロアカバー。
【請求項10】
前記縫い合わせ部は、
前記フロアパネルに載置された状態において、出隅に対応して設けられ、
前記縫い合わせ部を形成する二枚の前記シート体のうち、前記出隅における水平に近い側のシート体の裏面に、前記フロアパネルと前記シート体とを固定するパネル固定部が縫着された
請求項8に記載のフロアカバー。
【請求項11】
前記フロアパネルは、立ち上がり形状を有し、
前記フロアパネルに載置された状態における立ち上がり方向の端部に前記処理部が設けられるとともに、前記立ち上がり方向から他のシート体が重畳する重畳部が設けられた
請求項1に記載のフロアカバー。
【請求項12】
前記フロアパネルに設置された内装部材に設けられ、前記内装部材と前記フロアパネルとを固定する操作部によって、前記フロアパネルとの間に挟持される被挟持部が備えられた
請求項1に記載のフロアカバー。
【請求項13】
内装部材を覆うカバーと同じ素材で構成された
請求項1に記載のフロアカバー。
【請求項14】
複数のカバー片の端部を繋ぎ合わせ、前記フロアパネルにおける所定の方向に合わせた形状とした
請求項1に記載のフロアカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、車両におけるフロアパネルなどに載置するフロアカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、靴などに付着した汚れなどによりフロアカーペットやフロアパネルなどが汚染されることを防止するため、車両にフロアマットなどを敷くことがあった。このようなフロアマットは、運転席や助手席、後部座席などの足元に敷かれており、足の移動などに追従して意図せずに移動することがあった。このため、フロアカーペットに対してフロアマットを固定する固定具を用いるなど、フロアマットの位置ずれを防止する様々な方法が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されている固定具は、フロアカーペットに対して螺合するネジなどを挿通する挿通孔を有する平板状の基部と、基部から上方に向けて突出し、フロアマットを係止する係止フックとで構成されており、挿通孔にネジを挿通してフロアカーペットに対して基部を固定するとともに、係止フックにフロアマットを係止することで、フロアカーペットに対してフロアマットを所定の位置に固定でき、位置ずれを防止できるとされている。
【0004】
しかしながら、上述のような固定具を介してフロアマットをフロアパネルに対して固定した場合、例えばトリムなどの内装パネルとフロアマットとの隙間にフロアカーペットやフロアパネルが見え、見栄えが悪くなるといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-112095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、フロアパネルに対して固定できるとともに、見栄えを向上させることができるフロアカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、車両におけるフロアパネルの形状に合わせて形成されるとともに、前記フロアパネルに載置されるフロアカバーであって、外縁部には、前記フロアパネルに載置された状態において、前記車両における内装パネルと前記フロアパネルとの隙間に挿入される挿入部と、前記挿入部以外の箇所に端部処理を施した処理部とが設けられたことを特徴とする。
【0008】
前記フロアパネルは、車両におけるフロアパネルのみならず、フロアパネルにフロアカーペットを敷いた状態を含む。
【0009】
前記内装パネルは、センターコンソールやボディサイドトリムなどの車体内装を形成するトリムや車体パネルなどを含む。
【0010】
端部処理は、外縁部が捲れたり解れたりすることを防止できればよく、例えば外縁部に沿って縫い目を設けて外縁部を補強することや、外縁部を覆うように取り付けた他の部材(バイアス布)と外縁部の表面と裏面と縫い付ける、いわゆるパイピング処理などを施すことを含む。
【0011】
この発明によると、挿入部を内装パネルとフロアパネルとの間の隙間に挿入することで、車両と一体的となるように、かつ、確実にフロアカバーを車体に固定できる。一方で、外縁部のうち内装パネルとフロアパネルとの間に挿入する挿入部以外の外縁部には端部処理が施されているため、外縁部を保護できるとともに、フロアパネルに配置された状態においても、見栄えを向上できる。したがって、フロアパネルに対して固定できるとともに、内装パネルと一体感を有する見栄えとすることができる。
【0012】
また、隙間に挿入する挿入部は、フロアパネルに載置された状態において露出しないため、処理部のような端部処理を行う必要がなく、処理部がないため隙間に挿入することが容易であるとともに、見栄えを向上させることができる。このため、車両との一体感を形成して美観を向上させながら、外縁部の全周に亘って端部処理する場合に比べて、フロアカバーの生産性を向上させることができる。
【0013】
この発明の態様として、前記処理部は、前記挿入部以外の前記外縁部を別部材で覆うとともに、縫い付けるパイピング処理が施されてもよい。
この発明により、挿入部以外の外縁部における捲れや解れなどを確実に防止できるとともに、挿入部以外の外縁部の見栄えを向上させることができる。また、処理部と挿入部との違いが明確となるため、挿入部を隙間に挿入する作業の作業効率を向上させることができる。
【0014】
またこの発明の態様として、前記挿入部には、前記外縁部に沿って縫い目が設けられ、前記フロアパネルに対して固定できる外縁固定部が、前記縫い目によって前記外縁部に沿って縫着されてもよい。
前記外縁固定部は、前記フロアパネルに固定できればその構成に限定はなく、例えば、粘着テープや粘着樹脂、スナップホック、前記フロアパネルに敷かれたフロアカーペットに対して着脱可能なオス型の面ファスナなどを含む。なお、前記外縁固定部は、前記フロアパネルに対して着脱自在であることが好ましい。
【0015】
この発明により、挿入部の端部の解れなどを防止しつつ、外縁固定部を挿入部に縫い付けることができる。すなわち、外縁固定部を縫い付けるためだけの縫い跡が別途形成されない。このため、フロアパネルに載置された状態での美観を向上させることができるとともに、外縁固定部をフロアパネルに固定できる。すなわち、隙間に挿入された挿入部が外れることを防止して、フロアカバーをより確実に固定できる。
【0016】
また、挿入部を隙間に挿入する際に、外縁固定部を隙間の近辺に配置して外縁部を固定することで、フロアカバーの位置決めとして利用することもできる。これにより、挿入部を隙間に挿入する作業の作業性を向上させることができ、容易にフロアパネルに載置された状態の見栄えを向上させることができる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記フロアパネルはフロアカーペットを有し、前記外縁固定部は、前記フロアカーペットの表面に着脱可能な面ファスナで構成されてもよい。
この発明により、簡易な構造で外縁固定部をフロアカーペットに固定できる。また、外縁固定部がフロアカーペットに対して着脱自在にできるため、例えばフロアカバーが汚れて取り換えたい場合など、適宜取り外すことができる。
【0018】
またこの発明の態様として、フロアマットを載置して固定するマット固定部が備えられてもよい。
この発明により、所定の位置に耐水性、耐久性の高いフロアマットなどを載置して固定でき、フロアカバーが直接汚れることを防止できる。さらに、フロアカバーとフロアマットとのデザインを統一したり、関連付けたりすることで、フロアマットをフロアカバーに固定した状態における見栄えを向上させることができる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記マット固定部の裏面側に、前記フロアパネルに固定する内側固定部が設けられてもよい。
前記内側固定部は、前記フロアパネルに固定できればその構成に限定はなく、例えば、粘着テープや粘着樹脂、吸盤、スナップホック、前記フロアパネルに敷かれたフロアカーペットに対して着脱可能なオス型の面ファスナなどを含む。なお、前記内側固定部は、前記フロアパネルに対して着脱自在であることが好ましい。
【0020】
この発明により、所定の位置にフロアマットを載置することができるとともに、フロアマットの重みでフロアパネルに対してフロアカバーをより確実に固定できる。また、仮にフロアマットに対して外力が作用した場合であっても、外力をフロアマット及びフロアカバーの固定箇所で受けることができるため、フロアパネルに対してフロアマット及びフロアカバーが捲れたり、ズレたりすることを防止できる。
さらにまた、フロアマットを載置するだけでフロアカバーをフロアパネルに固定できるため、取り付け作業の作業性効率を向上させることができる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記フロアパネルの立体形状に合わせた凹凸部を有し、前記凹凸部は、複数のシート体を連結させて立体形状に形成されてもよい。
前記凹凸部は、複数のシート体を前記フロアパネルの立体形状に合わせて連結できていれば、隣接するシート体の連結方法に限定はなく、例えば、隣接するシート体を熱溶着や化学的な溶着により接続していてもよく、隣接するシート体を縫い合わせてもよい。また、隣接するシート体を縫い合わせている場合において、表面同士を重ねて裏面側を縫い合わせる場合や、裏面同士を重ねて表面側を縫い合わせる場合を含む。
【0022】
この発明により、フロアパネルの立体形状の各面に対応するように形成された複数のシート体をフロアパネルの立体形状に沿って配置させ、隣接するシート体の端部同士を連結するだけで、立体形状に対応する凹凸部を容易に形成することができる。また、フロアパネルの立体形状の各面に対応するようにそれぞれのシート体を形成することができるため、容易にシート体の形状を形成することができる。したがって、生産性を向上させることができる。
【0023】
またこの発明の態様として、隣接する前記シート体は、表面同士を重ね合わせて、裏面側で縫い合わせた縫い合わせ部を有してもよい。
この発明によると、縫い合わせ部を表面から視認することができない。このため、シート体が連結されて形成された凹凸部が一体感を有し、フロアパネルに載置された状態での美観をより向上させることができる。
【0024】
またこの発明の態様として、前記縫い合わせ部は、前記フロアパネルに載置された状態において、入隅に対応して設けられ、前記シート体の裏面に、前記フロアパネルと前記シート体とを固定するパネル固定部が縫着されてもよい。
前記パネル固定部は、前記入隅に対応して設けられる二枚のシート体の一方又は双方に設けられる場合を含む。
【0025】
この発明により、立体形状で形成されたフロアパネルにおける入隅において、凹凸部を形成するシート体がフロアパネルから離間しないように、シート体をフロアパネルに対して確実に固定できる。すなわち、フロアカバーがフロアパネルから浮き上がってしまうことを防止でき、フロアパネルに載置した状態の美観をより向上させることができる。
また、挿入部を挿入する作業において、フロアカバーが入隅から外れることを防止できるため、フロアカバーをフロアパネルに載置する作業の作業性を向上させることができる。
【0026】
またこの発明の態様として、前記縫い合わせ部は、前記フロアパネルに載置された状態において、出隅に対応して設けられ、前記縫い合わせ部を形成する二枚の前記シート体のうち、前記出隅における水平に近い側のシート体の裏面に、前記フロアパネルと前記シート体とを固定するパネル固定部が縫着されてもよい。
【0027】
この発明によると、パネル固定部が縫い付けられた水平に近いシート体は、自重によりパネル固定部をフロアパネルに押し付けることができる。これにより、シート体を容易かつ確実にフロアパネルに固定できるとともに、フロアパネルに載置されたシート体が位置ズレすることを防止できる。
【0028】
またこの発明の態様として、前記フロアパネルは立ち上がり形状を有し、前記フロアパネルに載置された状態における立ち上がり方向の端部に前記処理部が設けられるとともに、前記立ち上がり方向から他のシート体が重畳する重畳部が設けられてもよい。
前記重畳部に重畳する他の処理部を有するシートカバーは、前記処理部を有するシートカバーと一体又は別体である場合を含む。
【0029】
この発明によると、立ち上がり形状に対応し、立ち上がり形状の途中の位置に配置され、捲れやすい処理部を有するシート体に対して、立ち上がり方向から他のシート体を重ね合わせることができる。これにより、立ち上がり形状に配置された処理部が捲れることを防止し、全体の見栄えを向上させることができる。
【0030】
さらにまた、仮にフロアカバーの下方にエンジンルームや電子機器類などが収納されている箇所である場合には、重畳部に他の処理部を重ね合わせることで収納箇所を保護することができるとともに、他の処理部を立ち上がり方向と反対に捲るとともに、処理部を異なる方向に捲ることで、収容箇所で作業することができる。
【0031】
またこの発明の態様として、前記フロアパネルに設置された内装部材に設けられ、前記内装部材と前記フロアパネルとを固定する操作部によって、前記フロアパネルとの間に挟持される被挟持部が備えられてもよい。
この発明により、内装部材とフロアパネルとを固定する操作部を用いて、フロアカバーを確実に固定できる。
【0032】
またこの発明の態様として、内装部材を覆うカバーと同じ素材で構成されてもよい。
前記内装部材は、例えば車両におけるシートやドアトリムなどを含む。
【0033】
この発明により、内装部材とフロアとの間で統一感や関連性を持たせることができるため、車両における一体感をより向上させることができ、車両全体の見栄えを一層向上させることができる。
【0034】
またこの発明の態様として、複数のカバー片の端部を繋ぎ合わせ、前記フロアパネルにおける所定の方向に合わせた形状としてもよい。
この発明により、例えば車両の前後あるいは横幅の長さに対応する一枚もののカバー片を準備する必要がなく、歩留まりを向上させることができる。また、カバー片の原反の幅よりもフロアパネルの幅が幅広であっても、フロアカバーを形成できる。
【0035】
また、例えば、フロアパネルにシートを前後に移動させるシートレールなどの設置部材が設けられている場合には、設置部材に対応する位置においてカバー片の柄を変更することができる。これにより、見栄えをより一層向上させることができる。
【発明の効果】
【0036】
この発明によれば、フロアパネルに対して固定できるとともに、見栄えを向上させることができるフロアカバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】フロアカバーが敷かれる車両の概略図。
図2】前部座席におけるフロアパネルの概略端面図。
図3】フロアカバーの概略平面図。
図4】前席フロアカバーが敷かれた前部座席の概略斜視図。
図5】前席フロアカバーの概略平面図。
図6】前席フロアカバーの概略背面図。
図7】挿入部の概略拡大端面図。
図8】処理部の概略拡大端面図。
図9】中央凹凸部の概略端面図。
図10】前席凹凸部の概略端面図。
図11】後席フロアカバーの概略平面図。
図12】荷台フロアカバーの概略平面図。
図13】挿入部の挿入過程の説明図。
図14】前席凹凸部及び後方フロアカバーの配置状態の概略端面図。
図15】前席凹凸部及び後方フロアカバーと配置方法の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は、車両XにおけるフロアパネルFP、より具体的にはフロアカーペットFCを有するフロアパネルFPに載置され、フロアパネルFPに対して固定できるとともに、見栄えを向上させることができる前席カバー2及び後席カバー3、荷台カバー4である。以下、本発明の一実施態を以下図1乃至図15とともに説明する。
【0039】
図1はフロアカバーセット1が敷かれる車両Xの概略図を示し、図2は前部席側のフロアパネルFPの概略端面図を示し、図3はフロアカバーセット1の概略平面図を示し、図4は前席カバー2が載置された車両Xにおける運転席S1の足元を後方Lb及び上方Huから視た概略斜視図を示す。
【0040】
詳述すると、図1(a)は車両Xを左方側Wlから視た概略図を示し、図1(b)は車両Xを上方側Huから視た概略図を示す。図2(a)は図1におけるA-A端面図を示し、図2(b)は図1におけるB-B端面図を示し、図2(c)は図2(b)におけるa部の拡大端面図を示し、図2(d)はフロアパネルFPに対して助手席S2の固定を解除した状態の図2(c)に対応する拡大端面図を示す。なお、図2(b)及び図2(c)、図2(d)において、フロアカーペットFCは省略する。
【0041】
図5は前席カバー2の概略平面図を示し、図6は前席カバー2の概略底面図を示す。図7は挿入部71の拡大概略端面図を示し、図8は処理部72の拡大概略端面図を示す。なお、図7及び図8は、前席カバー2の厚み方向に沿って切断した面を表す概略端面図である。
【0042】
図9は中央凹凸部20の概略端面図を示し、図10は前席凹凸部30の概略端面図を示す。詳述すると、図9(a)は幅方向W及び上下方向Hに沿った面で中央凹凸部20を切断した中央凹凸部20の概略端面図を示し、図9(b)は図9(a)における右シート材20aと中央シート材20cの連結部分の拡大概略端面図を示す。また、図10は前後方向L及び上下方向Hに沿った面で前席凹凸部30を切断した前席凹凸部30の概略端面図を示す。
【0043】
図11は後席カバー3の概略平面図を示し、図12は荷台カバー4の概略平面図を示す。図13はフロアパネルFPとサイドトリムSTとの間に挿入部71を挿入する挿入方法を示す拡大概略端面図を示す。詳述すると、図13(a)はフロアパネルFPに挿入部71を敷いた状態の拡大概略端面図を示し、図13(b)はフロアパネルFPとサイドトリムSTとの間に挿入部71を挿入した状態の拡大概略端面図を示す。
【0044】
図14は座席凸部PDに載置された前席凹凸部30及び後方凹凸部40の概略端面図を示す。図15は座席凸部PDに前席凹凸部30及び後方凹凸部40を載置する方法を説明する概略端面図を示す。
詳述すると、図14図2(b)に対応する端面図を示す。図15(a)は前席凹凸部30を座席凸部PDに敷いた状態の概略端面図を示し、図15(b)は前席凹凸部30を操作部F3で固定した状態の概略端面図を示し、図15(c)は前席凹凸部30に上方配置部41を被せた状態の概略端面図を示す。また、図15(a)乃至15(c)は図14における操作部F3の拡大概略端面図を示す。なお、図14及び図15において、フロアカーペットFCは省略する。
【0045】
ここで、図1において車両Xの前後に沿った前後方向Lとし、車両Xの幅に沿った方向を幅方向Wとし、車両Xの高さ方向を上下方向Hとする。また、前後方向Lに沿って前方及び後方をそれぞれ前方側Lf及び後方側Lbとし、幅方向Wに沿って左方及び右方をそれぞれ左方側Wl及び右方側Wrとし、上下方向Hに沿って上下をそれぞれ上方側Hu及び下方側Hdとする。この方向は図2乃至図15においても対応させて用いる。
【0046】
フロアカバーセット1が載置される車両Xは、図1に示すように、車両前方が短く、運転席S1及び助手席S2の下方にタイヤTが配置される、いわゆるバンタイプの車両である。
フロアパネルFPは、図1及び図2に示すように、車両Xの床下を形成する金属製のパネルであり、上面(室内側の面)には、フロアカーペットFCが敷かれている。なお、フロアカーペットFCは、いわゆる不織布で構成されており、オス型の面ファスナを着脱することができる。
【0047】
前部座席(運転席S1及び助手席S2)の足元に対応するフロアパネルFPは、図2(a)に示すように、略平面状に形成されており、側方外側には乗車を補助するサイドトリムSTが設けられている。そして、フロアパネルFPの幅方向Wの両端部分は、鉤状に形成されたサイドトリムSTの下方側Hdに入り込むように構成されている。なお、フロアパネルFPとサイドトリムSTとの間はわずかに隙間D1がある。
【0048】
一方、運転席S1及び助手席S2の足元の間に対応するフロアパネルFPは、図2(a)に示すように、足元に対応する箇所に対して上方側Huに突出した凸状に形成されている。ここで運転席S1及び助手席S2の足元の間におけるフロアパネルFPを、中央凸部PCとする。また、運転席S1及び助手席S2の下方側HdのフロアパネルFPは、図2(b)に示すように、足元に対応する箇所に対して上方に向けて突出した座席凸部PDが設けられている。
【0049】
この座席凸部PDは、図2(b)に示すように、エンジンやバッテリなどを含む電気機器類を収容するエンジンルームERと、エンジンルームERの開口を塞ぐカバーCVとを有し、エンジンルームERの開口を閉塞したカバーCVを固定する固定具Fが二つ設けられている。
【0050】
固定具Fは、図2(c)及び図2(d)に示すように、カバーCVに設けられた被係止爪F1と、被係止爪F1に対して係止する係止部F2と、被係止爪F1に対する係止部F2の係止を固定及び解除を操作する操作部F3とで構成されている。
【0051】
被係止爪F1は、図2(c)に示すように、カバーCVの先端側から前方側Lfに突出するとともに、先端が上方に向けて反り返った略鉤状に形成された係止フックである。
係止部F2は、細径の金属棒を略矩形状に折り曲げて形成された略矩形状の枠体であり、一端側(前方側Lf)が操作部F3に対して枢動可能に連結されている。
【0052】
操作部F3は、カバーCVよりも前方側Lfの座席凸部PDに一部が固定されているとともに、固定箇所を枢動軸として枢動可能に構成されている。この操作部F3の内部には、操作部F3を前方側Lfに向けて枢動させた位置において操作部F3を固定できる固定構造が備えられている。そのため、係止部F2を被係止爪F1に係止させた状態において、操作部F3を前方側Lfに向けて枢動させることで(図2(d)参照)、被係止爪F1に対して係止部F2が係止された状態で固定できる(図2(c)参照)。これにより、エンジンルームERを閉塞した状態でカバーCVを固定することができる。
【0053】
車両Xに載置されるフロアカバーセット1は、図3に示すように、車両Xにおける前部座席のフロアパネルFPに載置される前席カバー2と、車両Xにおける後部座席のフロアパネルFPに載置される後席カバー3と、車両Xにおける荷台のフロアパネルFPに載置される荷台カバー4とで構成されている。
【0054】
前席カバー2は、柔軟性及び撥水性を有する、運転席S1及び助手席S2を覆うシートカバーと同じ素材で構成され、図4及び図5に示すように、前部座席側におけるフロアパネルFPの形状に合わせて形成されている。なお、前席カバー2を構成する素材は、フロアパネルFPとサイドトリムSTとの隙間D1よりもわずかに厚くなっている。
【0055】
また、前席カバー2の外縁を形成する外縁部2aは、図4乃至図8に示すように、幅方向Wの両側部分に設けられた挿入部71と、挿入部71以外の箇所に設けられた処理部72とで構成されている。
【0056】
挿入部71は、図7に示すように、前席カバー2を構成する素材の切断面が露出するとともに、切断面の内側において挿入部71に沿って前席カバー2を糸で縫うことで形成された縫い目73が設けられている。なお、前席カバー2の裏面側には縫い目73を形成する糸でオス型面ファスナ81が縫い付けられている。
【0057】
オス型面ファスナ81は、フロアカーペットFCに対して着脱自在に構成されている。具体的には、オス型面ファスナ81は、図5及び図6に示すように、略長方形状に形成された、可撓性を有する布状の部材で構成されており、オス型面ファスナ81の一面から立設するとともに、先端が折り返された鉤部811が全面に密生している。このように構成されたオス型面ファスナ81とフロアカーペットFCとは、脱着可能に係止することができる。
【0058】
このように構成されたオス型面ファスナ81は、図6に示すように、長辺方向が挿入部71に沿うとともに、前席カバー2の裏面から鉤部811が立設するように、縫い目73を形成する糸で挿入部71に縫い付けられている。ここで、縫い目73によって前席カバー2における挿入部71に縫い付けられたオス型面ファスナ81を、外縁固定部81aとする。
【0059】
一方、外縁部2aのうち、挿入部71以外の箇所に設けられた処理部72は、図8に示すように、前席カバー2とは別部材である布状のバイアス部材BCで外縁部2aにおける表面側及び裏面側を挟み込むとともに、前席カバー2とバイアス部材BCとを糸で縫い付けた、いわゆるパイピング処理が施されている。ここで、前席カバー2とバイアス部材BCを縫い付けた箇所を縫い付け部74とする。すなわち、処理部72は挿入部71に比べて板厚が厚くなっている。
【0060】
バイアス部材BCは、前席カバー2に対して、デザインの一体感や関連性のある柄や色、あるいは前席カバー2の表面などと比較してワンポイントとなるような柄や色など、適宜選択することができる。このため、挿入部71が設けられている箇所以外の外縁部2aにおいて、外縁部2aが捲れたり解れたりすることを単に防止できるだけでなく、見栄えを向上させることができる。なお、バイアス部材BCは、前席カバー2と同じ素材であってもよいし、異なる素材であってもよい。
【0061】
このようにパイピング処理が施された処理部72の裏面側には、図6に示すように、長辺方向が外縁部2aに沿うとともに、前席足元カバー部10の裏面から鉤部811が立設するように、縫い付け部74を介してオス型面ファスナ81が縫い付けられている。
【0062】
より詳しくは、オス型面ファスナ81は外縁部2aに沿って縫い付けられた後に、オス型面ファスナ81が縫い付けられた外縁部2aの表面側及び裏面側をバイアス部材BCで挟み込み、オス型面ファスナ81を含めて、前席カバー2とバイアス部材BCとを糸で縫い付けている。
【0063】
このように構成された前席カバー2は、図4及び図5に示すように、運転席S1や助手席S2の足元に対応するように形成されたシート状の前席足元カバー部10と、中央凸部PCに対応する中央凹凸部20と、座席凸部PDに対応する前席凹凸部30とで構成されている。
【0064】
前席足元カバー部10は、運転席S1の足元の形状に対応するように形成された一枚のシート材(前席側シート材10a)で構成されている。具体的には、運転席側の前席足元カバー部10では、助手席側の前席足元カバー部10と異なり、ブレーキペダルBPやアクセルペダルAP、フットレストFRに対応する箇所において、ブレーキペダルBPやアクセルペダルAPと干渉しないように後方側Lbに窪ませている(図3及び図4参照)。
【0065】
また前席足元カバー部10の面内には、図3及び図4に示すように、運転席S1の足元に配置するフロアマットを載置して固定するマット固定部90が二つ備えられている。
マット固定部90は、フロアマットに設けられた挿通孔に貫通させて係止させるマット係止部91と、マット係止部91を支持固定する支持固定部92と、支持固定部92の裏面側において前席足元カバー部10に対して固定された内側固定部93とで構成されている。
【0066】
支持固定部92は、前席足元カバー部10に設けた貫通孔を挿通させるとともに、マット係止部91の裏面側と係止させることで、マット係止部91を前席足元カバー部10における所望の位置に固定できる。
内側固定部93は、オス型面ファスナ81と同様に、いわゆるオス型の面ファスナであり、前席足元カバー部10の裏面側において、支持固定部92と前席足元カバー部10との間に挟み込むことで、前席足元カバー部10に対して固定されている。
【0067】
このように構成されたマット固定部90は、前席足元カバー部10に載置したフロアマットを所定の位置に係止固定することができる。また、フロアマットの重みで前席足元カバー部10とフロアカーペットFCとを固定することができる。さらに、仮にフロアマットに対して外力が作用した場合であっても、外力をフロアマットの固定箇所である支持固定部92と内側固定部93とで受けることができるため、フロアパネルFPに対してフロアマット及び前席足元カバー部10が捲れたり、ズレたりすることを防止できる。
【0068】
中央凹凸部20は、中央凸部PCに形状に合わせた立体形状をしている。
詳述すると、中央凹凸部20は、図9(a)に示すように、前席足元カバー部10と同じ素材で構成された3枚のシート材(右シート材20a、左シート材20b、中央シート材20c)や、右シート材20a及び左シート材20bと前席足元カバー部10とを縫い合わせることにより、中央凸部PCの形状に合わせた立体形状に形成されている。
【0069】
右シート材20aは、中央凸部PCにおいて運転席S1の足元に対応するフロアパネルFPから立体的に立ち上がる立ち上がり箇所、すなわち、中央凸部PCにおける右方側Wrの側壁に対応する形状に形成されている。なお、右シート材20aにおける前方側Lfには、フットレストFRの左方側Wlに配置できるように、部分的に突出している(図5参照)。
【0070】
左シート材20bは、右シート材20aと同様に、中央凸部PCにおいて助手席S2の足元に対応するフロアパネルFPから立体的に立ち上がる立ち上がり箇所、すなわち、中央凸部PCにおける左方側Wlの側壁に対応する形状に形成されている。
中央シート材20cは、略水平に形成された中央凸部PCの上面に対応する形状に形成されている。
【0071】
このように構成された右シート材20aと中央シート材20c、及び、左シート材20bと中央シート材20cは、図9(b)に示すように、右シート材20a及び左シート材20bの表面と中央シート材20cの表面とを、それぞれ重ね合わせて、裏面側から糸で縫い合わせることにより、互いに連結している。ここで、右シート材20a及び左シート材20bと中央シート材20cをそれぞれ縫い合わせた箇所を第一縫い合わせ部21とする。すなわち、第一縫い合わせ部21は、中央凹凸部20における出隅を形成することとなる。
【0072】
また、右シート材20a及び左シート材20bと前席足元カバー部10(前席側シート材10a)も、互いの表面同士を重ね合わせて、裏面側を縫い合わせることにより、互いに連結している。なお、右シート材20a及び左シート材20bと前席足元カバー部10を縫い合わせた箇所は、第二縫い合わせ部22とする。すなわち、第二縫い合わせ部22は、前席足元カバー部10と中央凹凸部20における入隅を形成することとなる。
【0073】
これにより、ぞれぞれの裏面側を縫い合わせることにより形成された第一縫い合わせ部21及び第二縫い合わせ部22が中央凹凸部20の表面側に現れることがなく、中央凹凸部20が全体として一体感を有する立体形状を形成することができる。
【0074】
また、中央凹凸部20における連結部位、及び、中央凹凸部20と前席足元カバー部10との連結部位には、図8に示すように、オス型面ファスナ81が縫い付けられている。
詳述すると、右シート材20a及び左シート材20bと中央シート材20cとの連結部位においては、図5及び図9(b)に示すように、中央シート材20cの裏面側における第一縫い合わせ部21よりも端部側に、第一縫い合わせ部21を形成する糸とは異なる糸によってオス型面ファスナ81が縫い付けられている。
【0075】
一方、右シート材20a及び左シート材20bと前席足元カバー部10との連結部位においては、図5及び図9(a)に示すように、前席足元カバー部10の裏面側における第二縫い合わせ部22よりも端部側に、第二縫い合わせ部22を形成する糸とは異なる糸によってオス型面ファスナ81が縫い付けられている。ここで、中央凹凸部20及び前席足元カバー部10に縫着されたオス型面ファスナ81を、パネル固定部81bとする。
【0076】
前席足元カバー部10の後方側Lbに設けられた前席凹凸部30は、座席凸部PDにおける前方側Lfの面に沿った一枚のシート材(後方シート材30a)で構成されている。
この前席凹凸部30は、図10に示すように、前席側シート材10aの表面に対して後方シート材30aの表面を重ね合わせて、裏面側を糸で縫い合わせることにより、前席足元カバー部10と連結している。なお、前席側シート材10aと後方シート材30aを縫い合わせた箇所を第三縫い合わせ部31とする。すなわち、第三縫い合わせ部31は、前席足元カバー部10と前席凹凸部30における入隅を形成することとなる。
【0077】
このように、前席足元カバー部10に対して連結された前席凹凸部30は、前席足元カバー部10に対して立ち上がるような立体形状を形成しており、立ち上がり方向の端部には処理部72が設けられている。
【0078】
また、ぞれぞれの裏面側を縫い合わせることにより形成された第三縫い合わせ部31が前席足元カバー部10及び前席凹凸部30の表面側に現れることがなく、前席足元カバー部10と前席凹凸部30とが全体として一体感を有する立体形状を形成することができる。なお、前席凹凸部30と連結された前席足元カバー部10の裏面側における第三縫い合わせ部31よりも端部側には、第三縫い合わせ部31を形成する糸とは異なる糸によってオス型面ファスナ81(パネル固定部81b)が縫い付けられている。
【0079】
このように構成された前席凹凸部30の後方側端部には、操作部F3を配置する被配置部32が設けられている。また、前席凹凸部30の後方側端部における幅方向Wの両側には、後述する上方配置部41の処理部72が重なり合う重畳部33が設けられる。
さらにまた、被配置部32よりも前方側Lfには、オス型の面ファスナと係止できる不織布を一面に有するメス型面ファスナ82が縫い付けられている。
【0080】
続いて、後席カバー3及び荷台カバー4について説明する。なお、後席カバー3と荷台カバー4について、前席カバー2と同様の構成については説明を省略する。
後席カバー3は、前席カバー2と同様の素材、すなわち、柔軟性及び撥水性を有する素材で構成され、後部座席におけるフロアパネルFPの形状に合わせて、複数のシート材を繋ぎ合わせ適宜立体形状となるように形成されている。この後席カバー3の外縁を形成する外縁部3aは、前席カバー2における外縁部2aと同様に構成されている。すなわち、外縁部3aは、図11に示すように、幅方向Wの両側部分に設けられた挿入部71と、挿入部71以外の箇所に設けられた処理部72とで構成されている。
【0081】
また、後席カバー3は、図11に示すように、前方側Lfに配置される後方凹凸部40と、後方側Lbに配置される後席側カバー部50とで構成されている。
後席カバー3の前方側Lfを構成する後方凹凸部40は、座席凸部PDにおける上面、より詳しくはカバーCVに沿うように複数のシート材で形成されており、先端部分が二股に分かれた上方配置部41がそれぞれ設けられている。
【0082】
上方配置部41は、後席カバー3を車両Xにおける後部座席のフロアパネルFPに載置した際に、運転席S1及び助手席S2を前後方向Lにスライド移動させる前方シートレールSR1を避ける位置に設けられているとともに、座席凸部PDの前方側Lfの面に配置されるように構成されている。この上方配置部41の裏面側には、前席凹凸部30の表面側から鉤部811が立設するようにオス型面ファスナ81が縫着されている。ここで、上方配置部41の裏面側に縫着されたオス型面ファスナ81を、シート固定部81cとする。
【0083】
後席側カバー部50は、後方凹凸部40の後方側LbのフロアパネルFPに合わせて形成されている。なお、後席側カバー部50は、フロアパネルFPに応じて、複数のシート材を繋ぎ合わせ適宜凹凸形状を設けているが、凹凸形状の形成の仕方は中央凹凸部20と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0084】
後席側カバー部50は、所定の幅を有する複数のカバー片を幅方向Wに繋ぎ合わせて形成している。具体的には、後席側カバー部50は、図11に示すように、中央第一カバー片51と、中央第一カバー片51の幅方向Wの両側に配置される中央第二カバー片52と、中央第二カバー片52の幅方向Wの両側に配置される中央第三カバー片53との端部部分を縫い合わせて一枚のシート状となるように構成されている。
【0085】
後席側カバー部50の中央部分に配置される中央第一カバー片51と後席側カバー部50の幅方向Wの外側に配置される中央第三カバー片53は、前席カバー2と同じ柄の素材が用いられている。一方で、中央第一カバー片51の幅方向W外側に配置される中央第二カバー片52は、後部座席の後方シートレールSR2に対応する位置に配置されており、中央第二カバー片52は中央第一カバー片51と異なる柄の素材が用いられている。
【0086】
中央第一カバー片51及び中央第二カバー片52は、互いの表面同士を重ね合わせるとともに、裏面側を縫い合わせることにより、互いに連結している。また、中央第二カバー片52及び中央第三カバー片53は、中央第一カバー片51及び中央第二カバー片52と同様に、互いの表面同士を重ね合わせるとともに、裏面側を縫い合わせることにより、互いに連結している。
【0087】
このように後席側カバー部50は、複数のカバー片である中央第一カバー片51と中央第二カバー片52と中央第三カバー片53とをつなぎ合わせているため、容易にフロアパネルFPにおける幅に合わせた形状とすることができる。
【0088】
荷台カバー4は、前席カバー2及び後席カバー3と同様の素材、すなわち、柔軟性及び撥水性を有する素材で構成され、荷台におけるフロアパネルFPの形状に合わせて形成されている。
【0089】
荷台カバー4の外縁を形成する外縁部4aは、前席カバー2における外縁部2aと同様に構成されている。すなわち、外縁部4aは、図12に示すように、幅方向Wの両側部分及び後方側Lbに設けられた挿入部71と、外縁部4a以外の箇所に設けられた処理部72とで構成されている。
【0090】
また、荷台カバー4は、図12に示すように、前後方向Lに長い略長方形状に形成された荷台カバー部60で構成されている。
荷台カバー部60は、車両Xにおける荷台側のフロアパネルFPに合わせ、複数のシート材を繋ぎ合わせて適宜凹凸形状を設けている。なお、凹凸形状の形成の仕方は中央凹凸部20と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0091】
また、荷台カバー部60は、後席側カバー部50と同様に、複数のカバー片を幅方向Wに繋ぎ合わせて形成している。具体的には、荷台カバー部60は、図12に示すように、内側カバー片61と、内側カバー片61の幅方向Wの両側に配置されるレール対応カバー片62と、レール対応カバー片62の幅方向Wの両側に配置される外側カバー片63との端部部分を縫い合わせて一枚のシート状となるように構成されている。
【0092】
ここで、内側カバー片61と外側カバー片63とは、中央第一カバー片51と同じ柄の素材が用いられている。また、レール対応カバー片62は、中央第二カバー片52と同じ柄の素材が用いられている。さらにまた、レール対応カバー片62は、中央第二カバー片52と前後方向Lに沿って同一線上となるように配置されている。換言すると、レール対応カバー片62は後部座席のシートレールSRに対応する位置に配置されている。
【0093】
内側カバー片61及びレール対応カバー片62は、中央第一カバー片51及び中央第二カバー片52と同様に、互いの表面同士を重ね合わせるとともに、裏面側を縫い合わせることにより、互いに連結している。また、レール対応カバー片62及び外側カバー片63は、中央第二カバー片52及び中央第三カバー片53と同様に、互いの表面同士を重ね合わせるとともに、裏面側を縫い合わせることにより、互いに連結している。
【0094】
このため、内側カバー片61及び外側カバー片63は、後席カバー3及び荷台カバー4をフロアパネルFPに載置した状態において、中央第一カバー片51及び中央第三カバー片53から連続するように前後方向Lに配置されている。また、レール対応カバー片62も、中央第二カバー片52から連続するように前後方向Lに配置される。
【0095】
このように構成された前席カバー2と後席カバー3と荷台カバー4は、車両Xにおける所定の位置に載置することで、車両XにおけるサイドトリムSTと一体感を有する見栄えとすることができる。以下、前席カバー2と後席カバー3と荷台カバー4をフロアパネルFPに載置する方法について、簡単に説明する。
【0096】
まず、前席カバー2を前部座席の足元に配置する。具体的には、中央凸部PCに対応するように中央凹凸部20を配置するとともに、前席足元カバー部10をそれぞれ運転席S1及び助手席S2の足元に配置し、前席凹凸部30を座席凸部PDの前方側Lfに配置する。この際、必要に応じてオス型面ファスナ81をフロアカーペットFCに係止させることで、前席カバー2をフロアパネルFPに対する位置決めを行うことができる。
【0097】
このように前席カバー2を前部座席におけるフロアパネルFPに敷くことで、外縁部2aを構成する挿入部71が、フロアパネルFPの幅方向Wの端部に配置される(図13(a)参照)。
そして、フロアパネルFPの端部に配置された挿入部71をフロアパネルFPとサイドトリムSTとの隙間D1に押し込むように挿入させる。これにより、縫い目73によって縫着された外縁固定部81a及び挿入部71が、フロアパネルFPとサイドトリムSTとで挟み込まれるように配置され(図13(b)参照)、外縁固定部81aがフロアカーペットFCに確実に固定される。したがって、挿入部71が確実にフロアパネルFPとサイドトリムSTとの間に固定される。また、サイドトリムSTから連続するような一体感を有するように前席カバー2を載置できる。
【0098】
また、このようにフロアパネルFPに対して前席足元カバー部10が固定された状態において、中央凹凸部20に縫着されたパネル固定部81bを中央凸部PCに敷かれたフロアカーペットFCに対して係止する。この際、中央凹凸部20と縫い付けられた前席足元カバー部10の裏面に縫着されたパネル固定部81bは水平にされたフロアパネルFPに自重で係止され、中央シート材20cの裏面側に縫着されたパネル固定部81bは、自重で中央凸部PCの上面に係止される。
【0099】
一方で、座席凸部PDに配置された前席凹凸部30の後方側Lb端部は、カバーCVの前方側Lfに配置されることとなる。より具体的には、前席凹凸部30における被配置部32が、エンジンルームERの開口を閉塞させた状態でカバーCVを固定する操作部F3とフロアパネルFPで挟持された状態で、前席凹凸部30は座席凸部PDに配置される(図14参照)。
【0100】
具体的に説明すると、係止部F2を被係止爪F1に係止させたまま操作部F3を後方側Lbに倒した状態で、前席凹凸部30の先端が操作部F3の下方側Hdに配置されるように、座席凸部PDに配置する(図15(a)参照)。そして、操作部F3を前方側Lfに向けて枢動させて操作部F3を固定することで、操作部F3が被配置部32に配置される(図15(b)参照)。これにより、前席凹凸部30を操作部F3とフロアパネルFPとで挟持することができ、前席凹凸部30を確実に固定することができる。
【0101】
同様に、前席カバー2と同様に、後部座席及び荷台のフロアパネルFPに後席カバー3及び荷台カバー4を敷いて、挿入部71をフロアパネルFPとボディサイドトリムなどのトリムとの間に挿入させる。これにより、後方シートレールSR2に対応する位置に設けられた中央第二カバー片52とレール対応カバー片62とが前後方向Lに連続して配置される。したがって、後席カバー3及び荷台カバー4も車両Xと一体感を有するようにフロアパネルFPに載置できるとともに、後席カバー3と荷台カバー4も一体感を有することとなる。
【0102】
このように載置された後席カバー3における後方凹凸部40は、後方側LbからカバーCVを覆うように座席凸部PDに配置される。そして、後方凹凸部40の先端部分において二股に分かれた上方配置部41をカバーCVの前方側Lfに配置することができる。
【0103】
具体的には、カバーCVの前方側Lfに配置された上方配置部41は、図15(c)に示すように、被配置部32をフロアパネルFPとで挟持する操作部F3の上部に重ね合わせるように配置することができる。これにより、前席凹凸部30の曲げ返し方向(前方側Lf)と異なる方向(後方側Lb)から上方配置部41を前席凹凸部30の重畳部33に被せることができ、座席凸部PDのように運転席S1や助手席S2の下方側Hdであり、載置しにくい立体形状で形成されたフロアパネルFPに対して効率よく前席カバー2と後席カバー3とを載置できる。
【0104】
また、立ち上がり形状である座席凸部PDの途中であり、捲れやすい位置に配置されている前席凹凸部30の処理部72を上方側Huから抑えるように上方配置部41を被せることで、前席凹凸部30の捲れを防止しつつ、全体の見栄えを向上させることができ、さらには、前席凹凸部30と後方凹凸部40とを重ね合わせることでエンジンルームERを保護することができる。また、前席凹凸部30と後方凹凸部40とを異なる方向に捲ることで、カバーCVを開放することができる。
【0105】
なお、前席凹凸部30に縫い付けられたメス型面ファスナ82に対して、上方配置部41に縫い付けられたシート固定部81cを係止させることで、より確実に前席凹凸部30に対して後方凹凸部40を固定することができる。
【0106】
このように、車両XにおけるフロアパネルFPの形状に合わせて形成されるとともに、フロアパネルFPに載置される前席カバー2及び後席カバー3、荷台カバー4は、外縁部2a及び外縁部3a、外縁部4aに、フロアパネルFPに載置された状態において、例えば、車両XにおけるサイドトリムSTとフロアパネルFPとの隙間D1に挿入される挿入部71と、挿入部71以外の箇所に端部処理を施した処理部72とが設けられている。
【0107】
なお、挿入部71を挿入する隙間D1は、フロアパネルFPとサイドトリムSTに限定されず、センターコンソールやボディサイドトリムなどの車体内装を形成するトリムや車体パネルなどとすることができる。すなわち、車両XにおいてフロアパネルFPとの間に設けられた隙間を適宜利用してもよい。
【0108】
このように構成された前席カバー2は、挿入部71をサイドトリムSTとフロアパネルFPとの間の隙間D1に挿入することで、車両Xと一体的となるように、かつ、確実に前席カバー2を車体に固定できる。一方で、外縁部2aのうちサイドトリムSTとフロアパネルFPとの間に配置されない箇所に対応する外縁部2aは処理部72として端部処理を施しているため、外縁部2aを保護しつつ、フロアパネルFPに配置された状態においても、見栄えを向上できる。したがって、フロアパネルFPに対して固定できるとともに、サイドトリムSTと一体感を有する見栄えとすることができる。同様に、外縁部3a及び外縁部4aが挿入部71と処理部72とで構成され、挿入部71をフロアパネルFPとボディサイドトリムなどのトリムとの隙間に挿入できる後席カバー3及び荷台カバー4も車両Xと一体感を有する見栄えとすることができる。
【0109】
また、隙間D1などに挿入する挿入部71は、フロアパネルFPに載置された状態において露出しないため、処理部72のような端部処理を行う必要がなく、処理部72がないため隙間D1などに挿入することが容易であるとともに、見栄えを向上させることができる。このため、車両Xとの一体感を形成して美観を向上させながら、外縁部2a及び外縁部3a、外縁部4aの全周に亘って端部処理する場合に比べて、前席カバー2及び後席カバー3、荷台カバー4の生産性を向上させることができる。
【0110】
また、処理部72は、挿入部71以外の外縁部2a及び外縁部3a、外縁部4aをバイアス部材BCで覆うとともに、縫い付けるパイピング処理が施されている。これにより、挿入部71以外の外縁部2a及び外縁部3a、外縁部4aにおける捲れや解れなどを確実に防止できるとともに、挿入部71以外の外縁部2a及び外縁部3a、外縁部4aの見栄えを向上させることができる。また、処理部72と挿入部71との違いが明確となるため、挿入部71を隙間D1に挿入する作業の作業効率を向上させることができる。
【0111】
さらにまた、挿入部71には、外縁部2a及び外縁部3a、外縁部4aに沿って縫い目73が設けられ、フロアパネルFPに対して固定できる外縁固定部81aが、縫い目73によって外縁部2a及び外縁部3a、外縁部4aに沿って縫着されている。
【0112】
このように縫い目73によって外縁固定部81aが縫着されているため、挿入部71の端部の解れなどを防止しつつ、外縁固定部81aを挿入部71に縫い付けることができる。すなわち、外縁固定部81aを縫い付けるためだけの縫い跡が別途形成されない。このため、フロアパネルFPに載置された状態での美観を向上させることができるとともに、外縁固定部81aをフロアパネルFPに固定できる。すなわち、隙間D1などに挿入された挿入部71が外れることを防止して、前席カバー2及び後席カバー3、荷台カバー4をより確実に固定できる。
【0113】
また、挿入部71を隙間D1などに挿入する際に、外縁固定部81aを隙間D1などの近辺に配置して外縁部2a及び外縁部3a、外縁部4aを固定することで、前席カバー2及び後席カバー3、荷台カバー4の位置決めとして利用することもできる。これにより、挿入部71を隙間D1などに挿入する作業の作業性を向上させることができ、容易にフロアパネルFPに載置された状態の見栄えを向上させることができる。
【0114】
また、フロアパネルFPはフロアカーペットFCを有し、外縁固定部81aは、フロアカーペットFCの表面に着脱可能であることにより、簡易な構造で外縁固定部81aをフロアカーペットFCに固定できる。また、外縁固定部81aがフロアカーペットFCに対して着脱自在にできるため、例えば前席カバー2及び後席カバー3、荷台カバー4の少なくともいずれかが汚れて取り換えたい場合など、適宜取り外すことができる。
【0115】
また、前席カバー2には、フロアマットを載置して固定するマット固定部90が備えられていることにより、所定の位置に耐水性、耐久性の高いフロアマットなどを載置して固定でき、前席カバー2が直接汚れることを防止できる。さらに、前席カバー2とフロアマットとのデザインを統一したり、関連付けたりすることで、フロアマットを前席カバー2に固定した状態における見栄えを向上させることができる。
【0116】
さらにまた、マット固定部90の裏面側に、フロアパネルFPに固定する内側固定部93が設けられていることにより、所定の位置にフロアマットを載置することができるとともに、フロアマットの重みでフロアパネルFPに対して前席カバー2をより確実に固定できる。
【0117】
また、仮にフロアマットに対して外力が作用した場合であっても、外力をフロアマット及び前席カバー2の固定箇所で受けることができるため、フロアパネルFPに対してフロアマット及び前席カバー2が捲れたり、ズレたりすることを防止できる。
さらに、フロアマットを載置するだけで前席カバー2をフロアパネルFPに固定できるため、取り付け作業の作業性効率を向上させることができる。
【0118】
また、例えば、フロアパネルFPの立体形状に合わせた中央凹凸部20のように、複数の右シート材20a及び左シート材20b、中央シート材20cを連結させて立体形状に形成されている。これにより、フロアパネルFPの立体形状(中央凸部PC)の各面に対応するように形成された複数の右シート材20a及び左シート材20b、中央シート材20cをフロアパネルFPの立体形状に沿って配置させ、隣接する右シート材20a及び左シート材20b、中央シート材20cの端部同士を連結するだけで、立体形状に対応する中央凹凸部20を容易に形成することができる。
【0119】
また、例えばそれぞれの右シート材20a及び左シート材20b、中央シート材20cを、容易に中央凸部PCの各面に対応するように形成することができるため、容易に右シート材20a及び左シート材20b、中央シート材20cの形状を形成することができる。したがって、生産性を向上させることができる。
【0120】
同様に、フロアパネルFPの立体形状に合わせた前席凹凸部30も、前席側シート材10aと後方シート材30aを連結させて立体形状に形成されている。これにより、フロアパネルFPの立体形状(座席凸部PD)に合わせて形成された後方シート材30aと前席側シート材10aの端部同士を連結するだけで、立体形状に対応する前席凹凸部30を容易に形成することができる。
【0121】
さらにまた、隣接する右シート材20a及び左シート材20b、中央シート材20cは、表面同士を重ね合わせて、裏面側で縫い合わせた第一縫い合わせ部21を有し、また中央凹凸部20と前席足元カバー部10、あるいは前席足元カバー部10と前席凹凸部30との連結部位においても、表面同士を重ね合わせて、裏面側で縫い合わせた第二縫い合わせ部22や第三縫い合わせ部31を有する。
【0122】
このように表面同士を重ね合わせて、裏面側で縫い合わせることにより、第一縫い合わせ部21及び第二縫い合わせ部22、第三縫い合わせ部31を表面から視認することができない。このため、例えば右シート材20a及び左シート材20b、中央シート材20cが連結されて形成された中央凹凸部20や、前席足元カバー部10と中央凹凸部20と前席凹凸部30とが一体感を有し、フロアパネルFPに載置された状態での美観をより向上させることができる。
【0123】
また、第二縫い合わせ部22や第三縫い合わせ部31は、フロアパネルFPに載置された状態において、入隅に対応して設けられ、中央凹凸部20や前席凹凸部30と縫い付けられた前席足元カバー部10の裏面にフロアパネルFPとを固定するパネル固定部81bが縫着されている。
【0124】
これにより、立体形状で形成されたフロアパネルFPにおける入隅において、例えば、中央凹凸部20を形成する右シート材20a及び左シート材20bがフロアパネルFPから離間しないように、右シート材20a及び左シート材20bをフロアパネルFPに対して確実に固定できる。すなわち、中央凹凸部20や前席凹凸部30がフロアパネルFPから浮き上がってしまうことを防止でき、フロアパネルFPに載置した状態の美観をより向上させることができる。
また、挿入部71を挿入する作業において、中央凹凸部20が入隅から外れることを防止できるため、前席カバー2をフロアパネルFPに載置する作業の作業性を向上させることができる。
【0125】
さらにまた、第一縫い合わせ部21は、フロアパネルFPに載置された状態において、出隅に対応して設けられ、第一縫い合わせ部21を形成する二枚の右シート材20a及び左シート材20bと中央シート材20cのうち、出隅における水平に近い側の中央シート材20cの裏面に、フロアパネルFPと固定するパネル固定部81bが縫着されている。
【0126】
これにより、パネル固定部81bが縫い付けられた、水平に近い中央シート材20cは、自重によりパネル固定部81bをフロアパネルFP(中央凸部PCの上面)に押し付けることができる。したがって、中央シート材20cを容易かつ確実にフロアパネルFPに固定できるとともに、フロアパネルFPに載置された中央凹凸部20が位置ズレすることを防止できる。
【0127】
また、フロアパネルFPは立ち上がり形状を有し、立ち上がり形状に対応する前席凹凸部30(後方シート材30a)は、フロアパネルFPに載置された状態における立ち上がり方向(後方側Lb)の端部に処理部72が設けられるとともに、立ち上がり方向(後方側Lb)から後方凹凸部40(上方配置部41)が重畳する重畳部33が設けられている。
【0128】
これにより、座席凸部PDの前方側Lfのような立ち上がり形状の途中の位置に配置され、捲れやすい処理部72が設けられた前席凹凸部30に対して、立ち上がり方向から上方配置部41を重ね合わせることができる。このため、前席凹凸部30の処理部72が捲れることを防止できるとともに、全体の見栄えを向上させることができる。
【0129】
さらにまた、前席凹凸部30と上方配置部41とを重ね合わせることで、前席凹凸部30の下方にあるエンジンルームERを保護することができ、前席凹凸部30と上方配置部41とを異なる方向に捲ることで、エンジンルームERで作業できるようにカバーCVを開放することができる。
【0130】
これにより、前席凹凸部30の曲げ返し方向(前方側Lf)と異なる方向(後方側Lb)から上方配置部41を被せることができるため、載置しにくい立体形状で形成されたフロアパネルFPに対して効率よく前席カバー2及び後席カバー3を載置できる。
【0131】
また、処理部72が捲れやすい位置に配置されている前席凹凸部30において、前席凹凸部30の曲げ返し方向(前方側Lf)を抑えるように上方配置部41を被せることで、前席凹凸部30の捲れを防止しつつ、全体の見栄えを向上させることができる。さらにまた、前席凹凸部30と上方配置部41とを重ね合わせることで、前席凹凸部30の下方にあるエンジンルームERを保護することができ、前席凹凸部30と上方配置部41とを異なる方向に捲ることで、エンジンルームERで作業できるようにカバーCVを開放することができる。
【0132】
加えて、フロアパネルFPに設置された運転席S1及び助手席S2に設けられ、運転席S1及び助手席S2とフロアパネルFPとを固定する操作部F3によって、フロアパネルFPとの間に挟持される被配置部32が備えられていることにより、運転席S1及び助手席S2とフロアパネルFPとを固定する操作部F3を用いて、前席カバー2(前席凹凸部30)を確実に固定できる。
【0133】
また、前席カバー2や後方凹凸部40、中央第一カバー片51、内側カバー片61などは、運転席S1及び助手席S2を覆うシートカバーと同じ素材で構成されていることにより、運転席S1及び助手席S2とフロアとの間で統一感や関連性を持たせることができる。このため、車両Xにおける一体感をより向上させることができ、車両X全体の見栄えを一層向上させることができる。
【0134】
さらにまたまた、後席カバー3及び荷台カバー4では、複数の中央第一カバー片51及び中央第二カバー片52、中央第三カバー片53、内側カバー片61、レール対応カバー片62、外側カバー片63の端部を繋ぎ合わせ、フロアパネルFPにおける所定の方向に合わせた形状としている。
【0135】
これにより、車両Xの横幅の長さに対応する一枚ものの中央第一カバー片51及び中央第二カバー片52、中央第三カバー片53や内側カバー片61、レール対応カバー片62、外側カバー片63を準備する必要がなく、歩留まりを向上させることができる。また、中央第一カバー片51及び中央第二カバー片52、中央第三カバー片53、内側カバー片61、レール対応カバー片62、外側カバー片63の原反の幅よりもフロアパネルFPの幅が幅広であっても、後席カバー3や荷台カバー4を形成できる。
【0136】
また、例えば、フロアパネルFPにシートを前後に移動させる後方シートレールSR2に対応する位置において中央第一カバー片51及び中央第三カバー片53に対して中央第二カバー片52、内側カバー片61及び外側カバー片63に対してレール対応カバー片62の柄を変更することにより、後席カバー3や荷台カバー4のデザイン性をより向上させて、見栄えをより一層向上させることができる。
【0137】
なお、中央第一カバー片51及び中央第二カバー片52、中央第三カバー片53や内側カバー片61、レール対応カバー片62、外側カバー片63は幅方向Wに繋ぎ合わせているが、前後方向Lに対して複数のカバー片を並べて繋ぎ合わせてもよい。これにより、前後方向Lの長さに対しても対応することができる。
【0138】
この発明の構成と、実施形態との対応において、この発明のフロアカバーは前席カバー2及び後席カバー3、荷台カバー4に対応し、
以下同様に、
車両は、車両Xに対応し、
フロアパネルは、フロアパネルFPに対応し、
外縁部は、外縁部2a及び外縁部3a、外縁部4aに対応し、
内装パネルは、サイドトリムSTに対応し、
隙間は、隙間D1に対応し、
挿入部は、挿入部71に対応し、
処理部は、処理部72に対応し、
縫い目は、縫い目73に対応し、
外縁固定部は、外縁固定部81aに対応し、
フロアカーペットは、フロアカーペットFCに対応し、
マット固定部は、マット固定部90に対応し、
内側固定部は、内側固定部93に対応し、
凹凸部は、中央凹凸部20及び前席凹凸部30に対応し、
シート体は、前席側シート材10a及び右シート材20a、左シート材20b、中央シート材20c、後方シート材30aに対応し、
縫い合わせ部は、第一縫い合わせ部21及び第二縫い合わせ部22、第三縫い合わせ部31に対応し、
パネル固定部は、パネル固定部81bに対応し、
重畳部は、重畳部33に対応し、
内装部材は、運転席S1及び助手席S2に対応し、
操作部は、操作部F3に対応し、
被挟持部は、被配置部32に対応し、
カバー片は、中央第一カバー片51及び中央第二カバー片52、中央第三カバー片53、内側カバー片61、レール対応カバー片62、外側カバー片63に対応するも、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施形態を得ることができる。
【0139】
例えば、本実施形態において、前席カバー2及び後席カバー3、荷台カバー4は、車両前方が短いバンタイプである車両Xに対応するように製造されているが、バンタイプに限定されることなく、どのような車両に対しても適宜製造し用いることができる。
【0140】
なお、本実施形態において、フロアパネルFPにはフロアカーペットFCを有しているが、必ずしもフロアカーペットFCを有する必要はなく、フロアカーペットFCがない状態であっても構わない。この場合、オス型面ファスナ81や内側固定部93は、フロアパネルFPに固定できる構成であればよく、例えば、粘着テープや粘着樹脂、吸盤、スナップホックなどとすることができる。なお、オス型面ファスナ81や内側固定部93の代わりとして、フロアパネルFPに対して着脱自在であることが好ましい。
【0141】
また、フロアカーペットFCがない状態であっても、オス型面ファスナ81や内側固定部93の代わりに、例えば、粘着テープや粘着樹脂、吸盤、スナップホックなどとすることができる。
【0142】
また、本実施形態において、処理部72は、いわゆるパイピング処理などを施しているが、外縁部2aなどが捲れたり解れたりすることを防止できればこれに限定されない。例えば外縁部2aなどの端部を折り曲げて重ね合わせるとともに糸で縫い付けてもよいし、外縁部2aなどの端部に袋縫いやジグザグ縫いを施してもよい。
【0143】
なお、本実施形態において、例えば中央凹凸部20は、複数の右シート材20a及び左シート材20b、中央シート材20cの表面同士を重ねて裏面側を縫い合わせているが、フロアパネルFPの立体形状に合わせて複数のシート体を連結できていれば、隣接するシート体の連結方法に限定はない。例えば、隣接する右シート材20a及び左シート材20b、中央シート材20cを熱溶着や化学的な溶着により接続していてもよい。また、隣接する右シート材20a及び左シート材20b、中央シート材20cを縫い合わせている場合において、裏面同士を重ねて表面側を縫い合わせてもよい。
【0144】
さらにまた、本実施形態では、パネル固定部81bは、入隅に対応して設けられる二枚のシート材のうち一方(例えば、右シート材20a及び左シート材20bと縫い付けられた前席足元カバー部10)の裏面にのみ設けられているが、二枚のシート材のうち他方(例えば、右シート材20a及び左シート材20b)や、二枚のシート材のうち双方に設けてもよい。
【0145】
また、本実施形態において、前席凹凸部30と上方配置部41とは別体のシートカバー(前席カバー2と後席カバー3)で構成されているが、例えば前席カバー2と後席カバー3とが一体で構成されていてもよい。
さらにまた、前席カバー2の素材をシートカバーと同じ素材としているが、シートカバーに限らず、例えばドアトリムなどの素材と同じ素材としてもよい。
【符号の説明】
【0146】
2 前方カバー
3 後方カバー
4 荷台カバー
2a 外縁部
3a 外縁部
4a 外縁部
10 前席側カバー部
20 中央凹凸部
20a 右シート材
20b 左シート材
20c 中央シート材
21 第一縫い合わせ部
22 第二縫い合わせ部
30 前席凹凸部
31 第三縫い合わせ部
32 被配置部
33 重畳部33
51 中央第一カバー片
52 中央第二カバー片
53 中央第三カバー片
61 内側カバー片
62 レール対応カバー片
63 外側カバー片
71 挿入部
72 処理部
73 縫い目
81a 外縁固定部
81b パネル固定部
90 マット固定部
93 内側固定部
FP フロアパネル
FC フロアカーペット
D1 隙間
ST サイドトリム
S1 運転席
S2 助手席
F3 操作部
X 車両
図1
図2
図3
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図10
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