IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電気株式会社の特許一覧 ▶ 日本電気通信システム株式会社の特許一覧

特開2023-177569通信制御装置、通信制御方法および通信制御プログラム
<>
  • 特開-通信制御装置、通信制御方法および通信制御プログラム 図1
  • 特開-通信制御装置、通信制御方法および通信制御プログラム 図2
  • 特開-通信制御装置、通信制御方法および通信制御プログラム 図3
  • 特開-通信制御装置、通信制御方法および通信制御プログラム 図4
  • 特開-通信制御装置、通信制御方法および通信制御プログラム 図5
  • 特開-通信制御装置、通信制御方法および通信制御プログラム 図6
  • 特開-通信制御装置、通信制御方法および通信制御プログラム 図7
  • 特開-通信制御装置、通信制御方法および通信制御プログラム 図8
  • 特開-通信制御装置、通信制御方法および通信制御プログラム 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177569
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】通信制御装置、通信制御方法および通信制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 28/12 20090101AFI20231207BHJP
   H04W 28/16 20090101ALI20231207BHJP
【FI】
H04W28/12
H04W28/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090306
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000232254
【氏名又は名称】日本電気通信システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】石倉 諭
(72)【発明者】
【氏名】白山 篤志
(72)【発明者】
【氏名】野地 脩宏
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067EE16
5K067HH22
(57)【要約】
【課題】パケットに設定するDSCPを、QoSクラスと帯域使用量とに応じて決定することを可能にする。
【解決手段】
コントロールプレーンとユーザプレーンとが分離されている移動通信システムの前記ユーザプレーンに含まれる通信制御装置が、パケットをネットワーク機器に転送するパケット転送部と、QoSフローの各々に対してQoSクラスに応じて前記コントロールプレーンによって設定されたDSCPである基本DSCPを、前記コントロールプレーンから受信する受信部と、前記パケットの使用帯域量を前記QoSフローごとに測定する測定部とを備え、前記パケット転送部は、転送する前記パケットが属する前記QoSフローの前記基本DSCPと前記使用帯域量とに基づいて、転送する前記パケットに格納するDSCPである新DSCPを決定し、前記新DSCPを、前記ネットワーク機器に転送する前記パケットに格納する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントロールプレーンとユーザプレーンとが分離されている移動通信システムの前記ユーザプレーンに含まれる通信制御装置であって、
パケットをネットワーク機器に転送するパケット転送部と、
QoS(Quality of Service)フローの各々に対してQoSクラスに応じて前記コントロールプレーンによって設定されたDSCP(Differentiated Services Code Point)である基本DSCPを、前記コントロールプレーンから受信する受信部と、
前記パケットの使用帯域量を前記QoSフローごとに測定する測定部と
を備え、
前記パケット転送部は、転送する前記パケットが属する前記QoSフローの前記基本DSCPと前記使用帯域量とに基づいて、転送する前記パケットに格納するDSCPである新DSCPを決定し、前記新DSCPを、前記ネットワーク機器に転送する前記パケットに格納する、
通信制御装置。
【請求項2】
前記パケット転送部は、転送する前記パケットが属する前記QoSフローの前記使用帯域量が第一のしきい値を超過する場合に、前記パケットを破棄する、
請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項3】
前記パケット転送部は、転送する前記パケットが属する前記QoSフローの前記使用帯域量が第二のしきい値を超過する場合に、前記基本DSCPから変更された値を前記新DSCPとする、
請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項4】
前記測定部は、TrTCM(Two Rate Three Color Marker)によって、前記使用帯域量を測定する、
請求項1に記載の通信制御装置。
【請求項5】
UPF(User Plane Function)である、
請求項1から請求項4のいずれかに記載の通信制御装置。
【請求項6】
コントロールプレーンとユーザプレーンとが分離されている移動通信システムにおいて、
QoSフローの各々に対してQoSクラスに応じて前記コントロールプレーンによって設定されたDSCPである基本DSCPを、前記コントロールプレーンから受信し、
転送するパケットの使用帯域量を前記QoSフローごとに測定し、
転送する前記パケットが属する前記QoSフローの前記基本DSCPと前記使用帯域量とに基づいて、転送する前記パケットに格納するDSCPである新DSCPを決定し、
前記新DSCPを格納した前記パケットをネットワーク機器に転送する、
通信制御方法。
【請求項7】
転送する前記パケットが属する前記QoSフローの前記使用帯域量が第一のしきい値を超過する場合に、前記パケットを破棄する、
請求項6に記載の通信制御方法。
【請求項8】
転送する前記パケットが属する前記QoSフローの前記使用帯域量が第二のしきい値を超過する場合に、前記基本DSCPから変更された値を前記新DSCPとする、
請求項6に記載の通信制御方法。
【請求項9】
TrTCMによって、前記使用帯域量を測定する、
請求項6に記載の通信制御方法。
【請求項10】
コントロールプレーンとユーザプレーンとが分離されている移動通信システムの前記ユーザプレーンに含まれる通信制御装置の通信制御プログラムであって、
コンピュータに、
パケットをネットワーク機器に転送するパケット転送機能と、
QoSフローの各々に対してQoSクラスに応じて前記コントロールプレーンによって設定されたDSCPである基本DSCPを、前記コントロールプレーンから受信する受信機能と、
前記パケットの使用帯域量を前記QoSフローごとに測定する測定機能と
を実現させ、
前記パケット転送機能は、転送する前記パケットが属する前記QoSフローの前記基本DSCPと前記使用帯域量とに基づいて、転送する前記パケットに格納するDSCPである新DSCPを決定し、前記新DSCPを、前記ネットワーク機器に転送する前記パケットに格納する、
通信制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信制御装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
第5世代移動通信システム(5G(5th Generation))では、モバイルネットワークにおけるQoS(Quality of Service)クラスの指標として、3GPP(Third Generation Partnership Project)(登録商標)で定義されている5QI(5G QoS identifier)が使用される。
【0003】
SMF(Session Management Function)は、端末から呼接続を要求されると、適用するQoSルールを決定し、UPF(User Plane Function)に通知する。そして、UPFは、ユーザパケットに対してQoSルールを適用する。なお、QoSルールが適用される単位のパケットフローは、QoSフローと呼ばれる。
【0004】
UPFに通知されるQoSルールには、DSCP(Differentiated Services Code Point)が含まれる。SMFは、5QIに基づいてDSCPを決定する。SMFは、PFCP(Packet Forwarding Control Protocol)のパラメータにDSCPを設定することによって、DSCPをUPFに通知する。
【0005】
一方、IP(Internet Protocol)ネットワークにおける優先制御は、IPヘッダのToS(Type of Service)フィールドに設定されるDSCPに基づいて行われる。
【0006】
そのため、一般的なUPFは、SMFから通知されたDSCPをユーザパケットのIPヘッダに格納して、ユーザパケットをネットワーク機器に転送する。これによって、ユーザパケットの転送先のネットワーク機器は、パケットの優先度を把握して優先制御を行うことが可能になる。なお、DSCPをパケットに格納することは、DSCPマーキングとよばれることがある。
【0007】
また、関連技術としては、特許文献1、2に記載された技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2022-511749号公報
【特許文献2】特表2019-532582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の方法では、一般的なUPFは、SMFから通知されたDSCPをそのままパケットに格納して、ネットワーク機器にパケットを転送する。この場合、UPFは、パケットの使用帯域量を考慮していない。そのため、UPFは、パケットに反映するDSCPを、パケットの使用帯域量に基づいて再決定することができない。使用帯域量をパケットのDSCPに反映することができない場合、通信事業者が使用帯域量による優先制御を実施したくても、この優先制御を実施することができない。たとえば、通信事業者は、使用帯域量が一定量を超過した通信の優先度を、一定量未満の通信の優先度よりも下げる、という制御を実施することができない。
【0010】
また、コントロールプレーン(C-Plane)とユーザプレーン(U-Plane)の分離が行われるより前の移動通信システムでは、ベンダー独自のインタフェース定義によりQoSクラスの指標であるQCI(QoS Class Identifier)を、C-PlaneからU-Planeに通知することができた。そのため、U-Planeは、QoSクラスの指標を直接参照することができた。しかし、5Gでは、C-PlaneとU-Planeが分離され、QoSクラスの指標である5QIがU-Planeに通知されない。そのため、UPFは、QoSクラスの指標を直接使用してDSCPマーキングを行うことができないという課題もある。
【0011】
このように、C-PlaneとU-Planeが分離されている移動通信システムでは、一般的なUPFは、パケットに設定するDSCPを、QoSクラスと帯域使用量とに応じて決定することができない。
【0012】
本発明の目的は、上述した課題を鑑み、パケットに設定するDSCPを、QoSクラスと帯域使用量とに応じて決定することを可能にする通信制御装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様において、通信制御装置は、コントロールプレーンとユーザプレーンとが分離されている移動通信システムの前記ユーザプレーンに含まれる通信制御装置であって、パケットをネットワーク機器に転送するパケット転送部と、QoSフローの各々に対してQoSクラスに応じて前記コントロールプレーンによって設定されたDSCPである基本DSCPを、前記コントロールプレーンから受信する受信部と、前記パケットの使用帯域量を前記QoSフローごとに測定する測定部とを備え、前記パケット転送部は、転送する前記パケットが属する前記QoSフローの前記基本DSCPと前記使用帯域量とに基づいて、転送する前記パケットに格納するDSCPである新DSCPを決定し、前記新DSCPを、前記ネットワーク機器に転送する前記パケットに格納する、通信制御装置。
【0014】
また、本発明の他の態様において、通信制御方法は、コントロールプレーンとユーザプレーンとが分離されている移動通信システムにおいて、QoSフローの各々に対してQoSクラスに応じて前記コントロールプレーンによって設定されたDSCPである基本DSCPを、前記コントロールプレーンから受信し、転送するパケットの使用帯域量を前記QoSフローごとに測定し、転送する前記パケットが属する前記QoSフローの前記基本DSCPと前記使用帯域量とに基づいて、転送する前記パケットに格納するDSCPである新DSCPを決定し、前記新DSCPを格納した前記パケットをネットワーク機器に転送する。
【0015】
また、本発明の他の態様において、通信制御プログラムは、コントロールプレーンとユーザプレーンとが分離されている移動通信システムの前記ユーザプレーンに含まれる通信制御装置の通信制御プログラムであって、コンピュータに、パケットをネットワーク機器に転送するパケット転送機能と、QoSフローの各々に対してQoSクラスに応じて前記コントロールプレーンによって設定されたDSCPである基本DSCPを、前記コントロールプレーンから受信する受信機能と、前記パケットの使用帯域量を前記QoSフローごとに測定する測定機能とを実現させ、前記パケット転送機能は、転送する前記パケットが属する前記QoSフローの前記基本DSCPと前記使用帯域量とに基づいて、転送する前記パケットに格納するDSCPである新DSCPを決定し、前記新DSCPを、前記ネットワーク機器に転送する前記パケットに格納する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、パケットに設定するDSCPを、QoSクラスと帯域使用量とに応じて決定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第一の実施形態の通信制御装置の構成例を示す図である。
図2】本発明の第一の実施形態の通信制御装置の動作フローの例を示す図である。
図3】本発明の第二の実施形態の通信制御装置を含むシステムの構成例を示す図である。
図4】5QIから基本DSCPへの変換テーブルの例を示す図である。
図5】本発明の第二の実施形態の通信制御装置の構成例を示す図である。
図6】基本DSCPと使用帯域量とから新DSCPへの変換テーブルの例を示す図である。
図7】本発明の第二の実施形態の通信制御装置の動作フローの例を示す図である。
図8】本発明の第二の実施形態の通信制御装置の動作フローの例を示す図である。
図9】本発明の各実施形態のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第一の実施形態]
本発明の第一の実施の形態について説明する。第一の実施の形態における通信制御装置10の具体的な一例が、後述する第二の実施の形態における通信制御装置20である。
【0019】
図1に、本実施形態の通信制御装置10の構成例を示す。通信制御装置10は、受信部11、パケット転送部12および測定部13を含む。
【0020】
通信制御装置10は、コントロールプレーンとユーザプレーンとが分離されている移動通信システムのユーザプレーンに含まれる。
【0021】
パケット転送部12は、パケットをネットワーク機器に転送する。
【0022】
受信部11は、基本DSCPを、コントロールプレーンから受信する。基本DSCPは、コントロールプレーンによって設定されたDSCPである。基本DSCPは、コントロールプレーンによって、QoSフローの各々に対して設定される。また、基本DSCPは、QoSクラスに応じて設定される。
【0023】
測定部13は、パケットの使用帯域量をQoSフローごとに測定する。
【0024】
パケット転送部12は、転送するパケットが属するQoSフローの基本DSCPと使用帯域量とに基づいて、新DSCPを決定する。新DSCPは、転送するパケットに格納するDSCPである。そして、パケット転送部12は、新DSCPを、転送するパケットに格納する。
【0025】
次に、図2に本実施形態の通信制御装置10の動作フローの例を示す。
【0026】
受信部11は、基本DSCPを、コントロールプレーンから受信する(ステップS101)。測定部13は、パケットの使用帯域量をQoSフローごとに測定する(ステップS102)。パケット転送部12は、転送するパケットが属するQoSフローの基本DSCPと使用帯域量とに基づいて、新DSCPを決定する(ステップS103)。そして、パケット転送部12は、新DSCPを格納したパケットをネットワーク機器に転送する(ステップS104)。
【0027】
以上で説明したように、本発明の第一の実施形態では、通信制御装置10は、受信部11、パケット転送部12および測定部13を含む。通信制御装置10は、コントロールプレーンとユーザプレーンとが分離されている移動通信システムのユーザプレーンに含まれる。パケット転送部12は、パケットを転送する。受信部11は、基本DSCPを、コントロールプレーンから受信する。基本DSCPは、コントロールプレーンによって設定されたDSCPである。基本DSCPは、コントロールプレーンによって、QoSフローの各々に対して設定される。また、基本DSCPは、QoSクラスに応じて設定される。測定部13は、パケットの使用帯域量をQoSフローごとに測定する。パケット転送部12は、転送するパケットが属するQoSフローの基本DSCPと使用帯域量とに基づいて、新DSCPを決定する。新DSCPは、転送するパケットに格納するDSCPである。そして、パケット転送部12は、新DSCPを、転送するパケットに格納する。
【0028】
このように、通信制御装置10は、QoSクラスに応じて設定された基本DSCPと使用帯域量とに基づいて、転送するパケットに格納する新DSCPを決定する。これにより、通信制御装置10は、使用帯域量をパケットのDSCPに反映することができる。また、コントロールプレーンとユーザプレーンとが分離している移動通信システムにおいてQoSクラスの指標がユーザプレーンに通知されない場合であっても、通信制御装置10は、基本DSCPに基づいて、新DSCPを決定することができる。そのため、パケットに設定するDSCPを、QoSクラスと帯域使用量とに応じて決定することが可能になる。
【0029】
[第二の実施形態]
次に、本発明の第二の実施の形態における通信制御装置20について説明する。
【0030】
まず、図3に本実施形態の通信制御装置20を含むシステムの構成例を示す。
【0031】
本実施形態では、移動通信システムのコントロールプレーン50とユーザプレーン40とが分離されてることを前提とする。たとえば、5Gは、コントロールプレーン50とユーザプレーン40とが分離されている通信システムである。
【0032】
SMF30は、コントロールプレーン50に含まれる。SMF30は、端末70から呼接続を要求されると、要求された呼接続のQoSフローに対して、DSCPを決定する。SMF30によって決定されたDSCPを、基本DSCPとよぶ。基本DSCPは、QoSフローの各々に対して決定される。また、基本DSCPは、5QIに基づいて決定される。5QIは、QoSクラスの指標である。QoSフローへの5QIの適用ルールは、通信事業者の運用ポリシーによって、あらかじめ設定されている。
【0033】
SMF30は、基本DSCPを、UPF(通信制御装置20)に通知する。SMF30は、PFCPのパラメータに基本DSCPを設定することによって、基本DSCPをUPF(通信制御装置20)に通知する。
【0034】
SMF30は、たとえば、5QIから基本DSCPへの変換テーブルに従って、基本DSCPを決定する。図4に、5QIから基本DSCPへの変換テーブルの例を示す。
【0035】
通信制御装置20は、ユーザプレーン40に含まれる。通信制御装置20は、たとえば、UPFである。通信制御装置20は、端末70から受信したユーザパケットをネットワーク機器60へ転送する。通信制御装置20は、パケットにDSCPを格納して、パケットを転送する。パケットに格納するDSCPの決定方法については、後述する。
【0036】
ネットワーク機器60は、パケットに格納されているDSCPに従って、優先制御を行う。
【0037】
次に、図5に本実施形態の通信制御装置20の構成例を示す。本実施形態の通信制御装置20は、受信部21、パケット転送部22および測定部23を含む。
【0038】
パケット転送部22は、端末70からネットワーク機器60へ、パケットを転送する。
【0039】
受信部21は、基本DSCPを、コントロールプレーン50(SMF30)から受信する。基本DSCPは、コントロールプレーン50(SMF30)によって設定されたDSCPである。基本DSCPは、QoSフローの各々に対して設定される。また、基本DSCPは、QoSクラス(5QI)に応じて設定される。
【0040】
測定部23は、パケット転送部22によって転送されるパケットの使用帯域量を、QoSフローごとに測定する。測定部23は、たとえば、TrTCM(Two Rate Three Color Marker)によって、使用帯域量を測定する。なお、使用帯域量の測定方法は、TrTCMに限られない。
【0041】
TrTCMでは、トラフィックのビットレートが3段階に評価される。通信制御装置20は、測定部23は、基本DSCPに対応付けて、第一のしきい値と第二のしきい値とを記憶部(不図示)にあらかじめ保持している。なお、第一のしきい値は、第二のしきい値より大きい。第一のしきい値は、たとえば、各々のQoSフローが利用できる帯域の最大量である最大帯域である。第二のしきい値は、たとえば、各々のQoSフローが利用できることが保証されている帯域量である保証帯域である。
【0042】
そして、測定部23は、基本DSCPに対応付けられている第一のしきい値と第二のしきい値とに基づいて、トラフィックのビットレートを、Red/Yellow/Greenの3段階に評価する。「Red」は、ビットレートが第一のしきい値を超過していることを示す。「Yellow」は、ビットレートが第二のしきい値を超過し、第一のしきい値以下であることを示す。「Green」は、ビットレートが第二のしきい値以下であることを示す。
【0043】
パケット転送部22は、転送するパケットが属するQoSフローの基本DSCPと使用帯域量とに基づいて、新DSCPを決定する。新DSCPは、転送するパケットに格納するDSCPである。そして、パケット転送部22は、新DSCPを、転送するパケットに格納する。
【0044】
パケット転送部22は、転送するパケットが属するQoSフローを、パケットに格納されているQFI(QoS Flow Identifier)によって把握することができる。QFIは、NB(NodeB)(不図示)にてパケットに格納される。QFIは、SMFによって各々のQoSフローに割り当てられる。
【0045】
パケット転送部22は、基本DSCPと使用帯域量とから新DSCPへの変換テーブルに従って、新DSCPを決定する。
【0046】
図6に、基本DSCPと使用帯域量とから新DSCPへの変換テーブルの例を示す。図6の例は、たとえば、基本DSCPが「AF41」で、使用帯域量が「Yellow」である場合に、パケット転送部22が新DSCPを「AF43」に決定することを示す。このようにすると、QoSフローの使用帯域量が多くなっている場合に優先度を下げる、といった制御が可能になる。
【0047】
また、図6の例は、たとえば、使用帯域量が「Red」である場合、パケット転送部22が、基本DSCPにかかわらずパケットを破棄することを示す。このようにすると、パケット転送部22は、QoSフローの使用帯域量が第一のしきい値を超えている場合に、パケットをネットワーク機器60に転送せずに破棄することができる。そして、帯域の逼迫によって、意図されていないパケットの破棄がネットワーク機器60において発生する可能性を低減することができる。
【0048】
次に、図7および図8に、本実施形態の通信制御装置20の動作フローの例を示す。図7は、受信部21に関する通信制御装置20の動作フローの例を示す図である。図8は、測定部23およびパケット転送部22に関する通信制御装置20の動作フローの例を示す図である。
【0049】
まず、図7を用いて、受信部21の動作フローの例について説明する。
【0050】
受信部21は、基本DSCPをコントロールプレーン50(SMF30)から受信する(ステップS201)。基本DSCPは、端末70が呼接続を要求した場合にコントロールプレーン50から通信制御装置20へ通知される。また、基本DSCPは、QoSフローの各々について通知される。
【0051】
次に、図8を用いて、パケット転送部22および測定部23の動作フローの例について説明する。
【0052】
パケット転送部22は、端末70からユーザパケットを受信する(ステップS02)。測定部23は、パケットが属するQoSフローの帯域使用量を測定する(ステップS203)。パケット転送部22は、パケットが属するQoSフローの基本DSCPと帯域使用量とに基づいて、パケットに格納する新DSCPを決定する(ステップS204)。そして、パケット転送部22は、新DSCPを格納したパケットをネットワーク機器60へ転送する(ステップS205)。
【0053】
以上で説明したように、本発明の第二の実施形態では、通信制御装置20は、受信部21、パケット転送部22および測定部23を含む。通信制御装置20は、コントロールプレーンとユーザプレーンとが分離されている移動通信システムのユーザプレーンに含まれる。パケット転送部22は、パケットを転送する。受信部21は、基本DSCPを、コントロールプレーンから受信する。基本DSCPは、コントロールプレーンによって設定されたDSCPである。基本DSCPは、コントロールプレーンによって、QoSフローの各々に対して設定される。また、基本DSCPは、QoSクラスに応じて設定される。測定部23は、パケットの使用帯域量をQoSフローごとに測定する。パケット転送部22は、転送するパケットが属するQoSフローの基本DSCPと使用帯域量とに基づいて、新DSCPを決定する。新DSCPは、転送するパケットに格納するDSCPである。そして、パケット転送部22は、新DSCPを、転送するパケットに格納する。
【0054】
このように、通信制御装置20は、QoSクラスに応じて設定された基本DSCPと使用帯域量とに基づいて、転送するパケットに格納する新DSCPを決定する。これにより、通信制御装置20は、使用帯域量をパケットのDSCPに反映することができる。また、コントロールプレーンとユーザプレーンとが分離している移動通信システムにおいてQoSクラスの指標がユーザプレーンに通知されない場合であっても、通信制御装置20は、基本DSCPに基づいて、新DSCPを決定することができる。そのため、パケットに設定するDSCPを、QoSクラスと帯域使用量とに応じて決定することが可能になる。
【0055】
また、パケット転送部22は、転送するパケットが属するQoSフローの使用帯域量が第一のしきい値を超過する場合に、パケットを破棄する。これにより、通信制御装置20は、QoSフローの使用帯域量が第一のしきい値を超えている場合に、パケットをネットワーク機器60に転送せずに破棄することができる。そして、帯域の逼迫によって、意図されていないパケットの破棄がネットワーク機器60において発生する可能性を低減することができる。
【0056】
また、パケット転送部22は、転送するパケットが属するQoSフローの使用帯域量が第二のしきい値を超過する場合に、基本DSCPから変更された値を新DSCPとする。これにより、通信制御装置20は、転送するパケットに格納するDSCPを基本DSCPから変更する制御が可能になる。また、これによって、帯域の逼迫によって、意図されていないパケットの破棄がネットワーク機器60において発生する可能性を低減することができる。
【0057】
また、測定部23は、TrTCMによって、使用帯域量を測定する。これにより、使用帯域量の測定を実現することができる。
【0058】
また、通信制御装置20は、UPFである。これにより、通信制御装置20を、たとえば5GのUPFに適用することができる。
【0059】
[ハードウェア構成例]
上述した本発明の各実施形態における通信制御装置(10、20)を、一つの情報処理装置(コンピュータ)を用いて実現するハードウェア資源の構成例について説明する。なお、通信制御装置は、物理的または機能的に少なくとも二つの情報処理装置を用いて実現してもよい。また、通信制御装置は、専用の装置として実現してもよい。また、通信制御装置の一部の機能のみを情報処理装置を用いて実現してもよい。
【0060】
図9は、本発明の各実施形態の通信制御装置を実現可能な情報処理装置のハードウェア構成例を概略的に示す図である。情報処理装置90は、通信インタフェース91、入出力インタフェース92、演算装置93、記憶装置94、不揮発性記憶装置95およびドライブ装置96を含む。
【0061】
たとえば、図1の受信部11およびパケット転送部12は、通信インタフェース91および演算装置93で、測定部13は、演算装置93で実現することが可能である。
【0062】
通信インタフェース91は、各実施形態の通信制御装置が、有線あるいは/および無線で外部装置と通信するための通信手段である。なお、通信制御装置を、少なくとも二つの情報処理装置を用いて実現する場合、それらの装置の間を通信インタフェース91経由で相互に通信可能なように接続してもよい。
【0063】
入出力インタフェース92は、入力デバイスの一例であるキーボードや、出力デバイスとしてのディスプレイ等のマンマシンインタフェースである。
【0064】
演算装置93は、汎用のCPU(Central Processing Unit)やマイクロプロセッサ等の演算処理装置や複数の電気回路によって実現される。演算装置93は、たとえば、不揮発性記憶装置95に記憶された各種プログラムを記憶装置94に読み出し、読み出したプログラムに従って処理を実行することが可能である。
【0065】
記憶装置94は、演算装置93から参照可能な、RAM(Random Access Memory)等のメモリ装置であり、プログラムや各種データ等を記憶する。記憶装置94は、揮発性のメモリ装置であってもよい。
【0066】
不揮発性記憶装置95は、たとえば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、等の、不揮発性の記憶装置であり、各種プログラムやデータ等を記憶することが可能である。
【0067】
ドライブ装置96は、たとえば、後述する記録媒体97に対するデータの読み込みや書き込みを処理する装置である。
【0068】
記録媒体97は、たとえば、光ディスク、光磁気ディスク、半導体フラッシュメモリ等、データを記録可能な任意の記録媒体である。
【0069】
本発明の各実施形態は、たとえば、図9に例示した情報処理装置90により通信制御装置を構成し、この通信制御装置に対して、上記各実施形態において説明した機能を実現可能なプログラムを供給することにより実現してもよい。
【0070】
この場合、通信制御装置に対して供給したプログラムを、演算装置93が実行することによって、実施形態を実現することが可能である。また、通信制御装置のすべてではなく、一部の機能を情報処理装置90で構成することも可能である。
【0071】
さらに、上記プログラムを記録媒体97に記録しておき、通信制御装置の出荷段階、あるいは運用段階等において、適宜上記プログラムが不揮発性記憶装置95に格納されるよう通信制御装置を構成してもよい。なお、この場合、上記プログラムの供給方法は、出荷前の製造段階、あるいは運用段階等において、適当な治具を利用して通信制御装置内にインストールする方法を採用してもよい。また、上記プログラムの供給方法は、インターネット等の通信回線を介して外部からダウンロードする方法等の一般的な手順を採用してもよい。
【0072】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0073】
(付記1)
コントロールプレーンとユーザプレーンとが分離されている移動通信システムの前記ユーザプレーンに含まれる通信制御装置であって、
パケットをネットワーク機器に転送するパケット転送部と、
QoS(Quality of Service)フローの各々に対してQoSクラスに応じて前記コントロールプレーンによって設定されたDSCP(Differentiated Services Code Point)である基本DSCPを、前記コントロールプレーンから受信する受信部と、
前記パケットの使用帯域量を前記QoSフローごとに測定する測定部と
を備え、
前記パケット転送部は、転送する前記パケットが属する前記QoSフローの前記基本DSCPと前記使用帯域量とに基づいて、転送する前記パケットに格納するDSCPである新DSCPを決定し、前記新DSCPを、前記ネットワーク機器に転送する前記パケットに格納する、
通信制御装置。
【0074】
(付記2)
前記パケット転送部は、転送する前記パケットが属する前記QoSフローの前記使用帯域量が第一のしきい値を超過する場合に、前記パケットを破棄する、
付記1に記載の通信制御装置。
【0075】
(付記3)
前記パケット転送部は、転送する前記パケットが属する前記QoSフローの前記使用帯域量が第二のしきい値を超過する場合に、前記基本DSCPから変更された値を前記新DSCPとする、
付記1に記載の通信制御装置。
【0076】
(付記4)
前記測定部は、TrTCM(Two Rate Three Color Marker)によって、前記使用帯域量を測定する、
付記1に記載の通信制御装置。
【0077】
(付記5)
UPF(User Plane Function)である、
付記1から付記4のいずれかに記載の通信制御装置。
【0078】
(付記6)
コントロールプレーンとユーザプレーンとが分離されている移動通信システムにおいて、
QoSフローの各々に対してQoSクラスに応じて前記コントロールプレーンによって設定されたDSCPである基本DSCPを、前記コントロールプレーンから受信し、
転送するパケットの使用帯域量を前記QoSフローごとに測定し、
転送する前記パケットが属する前記QoSフローの前記基本DSCPと前記使用帯域量とに基づいて、転送する前記パケットに格納するDSCPである新DSCPを決定し、
前記新DSCPを格納した前記パケットをネットワーク機器に転送する、
通信制御方法。
【0079】
(付記7)
転送する前記パケットが属する前記QoSフローの前記使用帯域量が第一のしきい値を超過する場合に、前記パケットを破棄する、
付記6に記載の通信制御方法。
【0080】
(付記8)
転送する前記パケットが属する前記QoSフローの前記使用帯域量が第二のしきい値を超過する場合に、前記基本DSCPから変更された値を前記新DSCPとする、
付記6に記載の通信制御方法。
【0081】
(付記9)
TrTCMによって、前記使用帯域量を測定する、
付記6に記載の通信制御方法。
【0082】
(付記10)
コントロールプレーンとユーザプレーンとが分離されている移動通信システムの前記ユーザプレーンに含まれる通信制御装置の通信制御プログラムであって、
コンピュータに、
パケットをネットワーク機器に転送するパケット転送機能と、
QoSフローの各々に対してQoSクラスに応じて前記コントロールプレーンによって設定されたDSCPである基本DSCPを、前記コントロールプレーンから受信する受信機能と、
前記パケットの使用帯域量を前記QoSフローごとに測定する測定機能と
を実現させ、
前記パケット転送機能は、転送する前記パケットが属する前記QoSフローの前記基本DSCPと前記使用帯域量とに基づいて、転送する前記パケットに格納するDSCPである新DSCPを決定し、前記新DSCPを、前記ネットワーク機器に転送する前記パケットに格納する、
通信制御プログラム。
【0083】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0084】
10、20 通信制御装置
11、21 受信部
12、22 パケット転送部
13、23 測定部
30 SMF
40 ユーザプレーン
50 コントロールプレーン
60 ネットワーク機器
70 端末
90 情報処理装置
91 通信インタフェース
92 入出力インタフェース
93 演算装置
94 記憶装置
95 不揮発性記憶装置
96 ドライブ装置
97 記録媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9