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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177571
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】地盤改良方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 3/12 20060101AFI20231207BHJP
   E02D 1/00 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
E02D3/12 102
E02D1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090309
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】593010132
【氏名又は名称】株式会社テノックス九州
(74)【代理人】
【識別番号】100097179
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 一幸
(72)【発明者】
【氏名】碓井 博文
【テーマコード(参考)】
2D040
2D043
【Fターム(参考)】
2D040AB03
2D040CA01
2D040CB03
2D040GA01
2D040GA02
2D043AC05
(57)【要約】
【課題】 セメントスラリーが入っている箇所と入っていない箇所を明確に区別できる、地盤改良方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 本方法は、所定濃度の水溶性蛍光染料を添加したセメントスラリー26と土壌Sとを混合して地盤改良体30を構築する地盤改良方法であって、地盤改良体30に光源6からブラックライトを照射する第1工程と、カメラ7aを用いて光源6によりブラックライトを照射される地盤改良体30を計測する第2工程と、カメラ7aが出力するデータに基づく演算値と所定閾値とを比較し、セメントスラリーの混合状態の可否を判定する第3工程とを含む。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定濃度の水溶性蛍光染料を添加したセメントスラリーと土壌とを混合して地盤改良体を構築する地盤改良方法であって、
前記地盤改良体に光源からブラックライトを照射する第1工程と、
計測器を用いて前記光源によりブラックライトを照射される地盤改良体を計測する第2工程と、
前記計測器が出力するデータに基づく演算値と所定閾値とを比較し、前記セメントスラリーの混合状態の可否を判定する第3工程とを含む地盤改良方法。
【請求項2】
前記計測器は、前記地盤改良体からの反射光を捉えるセンサである請求項1記載の地盤改良方法。
【請求項3】
前記計測器は、前記地盤改良体の画像を撮影するカメラである請求項1記載の地盤改良方法。
【請求項4】
前記ブラックライトの波長は、365乃至405ナノメートルである請求項1に記載の地盤改良方法。
【請求項5】
前記土壌は、工事現場の土壌であり、前記第1工程、前記第2工程及び前記第3工程は、前記地盤改良体が未だ固化していない状態で実施される請求項1に記載の地盤改良方法。
【請求項6】
前記土壌は、実験室内に用意された土壌であり、前記第1工程、前記第2工程及び前記第3工程は、前記実験室内で実施され、且つ、前記第3工程は、適切なセメント添加量を決定することを目的として実施される請求項1に記載の地盤改良方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤中に地盤改良体を造成する際に地盤改良体の撹拌混合状況を確認する地盤改良方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地盤改良工法として、地盤中にセメントスラリーを吐出して機械撹拌にて撹拌混合し、地盤中に地盤改良体を造成する深層混合処理工法などが知られている。このような工法において、地盤改良体の品質を確保するためには、地盤改良体に万遍なくセメントが行き渡っている必要があるし、また地盤改良体に万遍なくセメントが行き渡っていることを確認することが必要となる。
【0003】
現場施工で使用されるセメントの量は、実験室内で実施される配合試験の結果により決定されるが、この試験においても、セメントが同様に万遍なく行き渡っていることを確認する必要がある。
【0004】
ところが、土壌とセメントスラリーとを混合すると、図7を参照して後述するように、土壌もセメントスラリーもいずれも同系の色(ほぼ灰色)であり、これらは区別できない。
【0005】
したがって、蛍光灯等のような通常の光源であって、可視光線を発するもので混合物を照らし、目視あるいはカメラ等の機器を使用して観察しても、混合ムラがあるかどうか、あるいは、混合状態の良否を判定することは、きわめて難しい。
【0006】
特許文献1(特許第6944605号公報)は、(1)改良前の地盤に改良前に撮影した映像と改良後に撮影した画像明度を比較する、もしくは、(2)過去に撮影した地盤の様子の既知の画像と比較することで、地盤改良体の状態を確認する方法を提案する。
【0007】
しかしながら、黒い色調の土壌と、灰色のセメントとを混合することになるため、明度の差が小さく互いを識別するのが困難となる。また、地中深くにおいて、照明が必要となり、混合状態を正確に判断するのが困難となる。
【0008】
また、特許文献2(特許第4886921号公報)は、着色された硬化剤を噴射し、硬化剤の分布により、地盤改良体内の混合度合いを確認する手法を開示する。
【0009】
しかしながら、このように黒い色調の土壌に着色硬化剤を噴射しても、上述と同様に、ほぼ黒のまま変化せず、明度の差が不十分であって、互いを識別するのが困難となる。また、地中深くにおいて、照明が必要となり、混合状態を正確に判断するのが困難となる。
【0010】
更には、非特許文献1(日本建築センター「2018年版建築物のための改良地盤の設計及び品質管理指針」)には、撹拌状況検査においてフェノールフタレイン溶液を噴霧することでアルカリ反応(赤紫色)を観察する手法が記載されている。
【0011】
フェノールフタレインの変色は、pH>10.0のアルカリ性の条件からなり、セメントが入っている箇所において、フェノールフタレインが変色する点を原理として、セメントの混合状態を示すものである。
【0012】
ここで、フェノールフタレインによる確認は、アルカリ成分であるセメントが入っている箇所が、赤紫色に変色する現象を利用して行われる。
【0013】
しかしながら実際には、フェノールフタレイン溶液が、周囲に滲み出たり、液だれすることにより、本来変色すべきでない箇所まで変色してしまいやすい。結果として、セメントが入っている箇所とセメントが入っていない箇所との境界が不明瞭となり、混合状態を適切に判定できないという問題がある。
【特許文献1】特許第6944605号公報
【特許文献2】特許第4886921号公報
【非特許文献1】日本建築センター「2018年版建築物のための改良地盤の設計及び品質管理指針」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで本発明は、セメントスラリーが入っている箇所と入っていない箇所を明確に区別できる、地盤改良方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1の発明に係る地盤改良方法は、所定濃度の水溶性蛍光染料を添加したセメントスラリーと土壌とを混合して地盤改良体を構築する地盤改良方法であって、地盤改良体に光源からブラックライトを照射する第1工程と、計測器を用いて光源によりブラックライトを照射される地盤改良体を計測する第2工程と、計測器が出力するデータに基づく演算値と所定閾値とを比較し、セメントスラリーの混合状態の可否を判定する第3工程とを含む。
【0016】
ここで、可視光線とは異なる、ブラックライトが地盤改良体に照射され、計測器を用いて光源によりブラックライトを照射される地盤改良体を計測することにより、セメントスラリーが入っている箇所と、入っていない箇所を明瞭に区別することが可能となる。さらに、計測器が出力するデータに基づく演算値と所定閾値とを比較するという、明確な基準に基づき、セメントスラリーの混合状態の可否を判定される。ここで、地中であっても、ブラックライトが照射された水溶性蛍光染料は円滑に発光し、状態を正しく認識できる。更には、複雑な処理や、外乱要素により、結果が不安定になることもない。
【0017】
ここで、計測器は、地盤改良体からの反射光を捉えるセンサであっても良いし、地盤改良体の画像を撮影するカメラであっても良い。
【0018】
ブラックライトの波長は、365乃至405ナノメートルであることが好ましい。こうすれば、光源を容易に確保できる。
【0019】
好ましくは、土壌は、工事現場の土壌であり、第1工程、第2工程及び第3工程は、地盤改良体が未だ固化していない状態で実施される。
【0020】
この構成によれば、現場で地盤改良を実施しつつ、それと平行して、セメントスラリーの混合状態の可否を判定することができる。
【0021】
好ましくは、土壌は、実験室内に用意された土壌であり、第1工程、第2工程及び第3工程は、実験室内で実施され、且つ、第3工程は、適切なセメント添加量を決定することを目的として実施される。
【0022】
この構成によれば、実験室内で、適切なセメント添加量を決定する際にも、セメントスラリーが入っている箇所と、入っていない箇所を明瞭に区別しつつ、セメント添加量を正確に決定することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、セメントスラリーが入っている箇所と、入っていない箇所を明瞭に区別して、計測器が出力するデータに基づく演算値と所定閾値とを比較するという、明確な基準に基づき、セメントスラリーの混合状態の可否を判定できる。したがって、撮影状況の如何や、土の色、照明の度合い等による、悪影響を受けない判定が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(実施の形態1)
以下図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。図1(a)は、本発明の実施の形態1における地盤改良装置の側面図、図1(b)は、攪拌ヘッドの交換要領を示す部分図、図2(a)は、同地盤改良装置が混合状態を調べる状態を示す側面図、図2(b)は、同地盤改良装置の検査ヘッドの一部拡大断面図である。
【0025】
実施の形態1は、図1に示す地盤改良装置(コラム施工機)により、比較的深い箇所に、土壌Sによる円柱状の地盤改良体を構築する場合に関する。
【0026】
図1に示すように、この地盤改良装置は、地面G上を走行するベースマシン1と、ベースマシン1の前方に配置され、作動時には、垂直に起立するリーダ2と、リーダ2に昇降自在に支持される、モータなどのアクチュエータを備える駆動部10と、駆動部10により回転力を付与され、地中において鉛直軸を中心に水平回転する回転軸3と、回転軸3の下端部に取り付けられる撹拌ヘッド4とを備える。
【0027】
回転軸3の先端部に取り付けられる撹拌ヘッド4には、次の要素が備えられる。まず、撹拌ヘッド4の下端部には、地中を掘削する爪を有し、土砂を掘削する掘削翼5が設けられ、この掘削翼5は、回転軸3に軸着される。図1(b)に示すように、撹拌ヘッド4には、掘削翼5の上方に、撹拌翼12や供回り防止翼11を設けるのが望ましいが、これらは必須ではなく、省略してもよい。
【0028】
セメントの種類は、通常通り選択して差し支えない。次に、セメントスラリーに水溶性蛍光染料を添加する。水溶性蛍光染料としては、ユウロピウムを微量添加したフッ化ホウ素酸ストロンチウム(SrB4O7F:Eu2+、ピーク波長は368-371ナノメートル)、鉛を微量添加したケイ化バリウム(BaSi2O5:Pb+、ピーク波長は350-353ナノメートル)、フローレッセン、硫酸キニーネ等が、好適に使用できる。
【0029】
より具体的には、蛍光漏洩検査剤として市販されているもの(例えば、マークテック株式会社製、スーパーグロー蛍光漏洩検査剤DF-300(商標)等)を使用すれば足り、水に対する蛍光染料の濃度は、0.05~20(%)とすればよい。なお、セメントの種類によって、水溶性蛍光染料を変更する必要は、通常ない。
【0030】
次に、図1(a)に示すように、掘削撹拌装置の撹拌ヘッド4を地面Gに近い、初期位置にセットし、駆動部10の作動を開始し、回転軸3を回転させる。こうして、初期深さH1まで掘削翼5を至らせる。
【0031】
次に、初期深さH1から下方において、スラリーを掘削翼5の根元から吐出すると共に、撹拌ヘッド4による、掘削混合を行う。ここで、上述したように、通常と異なり、スラリーには、水溶性蛍光染料が添加されているから、構築される地盤改良体にも、同様に、水溶性蛍光染料が混合することとなる。この状態を、目的深さH2(構築すべき地盤改良体の最低部)に至るまで、継続する。
【0032】
その後、攪拌ヘッド4を回転させつつ上昇させ(引き上げ)、地上まで至ることにより、地中に現場の土壌Sによる、円柱状の地盤改良体を構築する。
【0033】
地盤改良体を構築したら、これが未固化のうちに、攪拌ヘッド4を検査ヘッド14と交換して装置に装着する。
【0034】
図2(b)は、検査ヘッド14の下部の断面図である。検査ヘッド14の下部且つ側方は、一部凹設され収納室14aとなっている。収容室14aの内部には、それぞれ横側外向きに、光源6と計測器7とのペアが収納される。なお、収納室14aは、下向きに開口するように構成しても良い。光源6は、地中において地盤改良体にブラックライト(波長:365乃至405ナノメートル)を照射する蛍光灯、白熱電球、水銀灯、LEDのいずれのタイプでも良いが、LEDが小型で使用しやすい。計測器7は、光源6によりブラックライトが照射される地盤改良体を計測する、蛍光光度計などのセンサ又は撮像素子を備えるカメラのいずれであっても良いが、実施の形態1ではセンサとする。なお、発光率の詳細については、図6を参照しながら、後述する。
【0035】
更に、収容室14aの開口部には、透明又は半透明の保護カバー14bが取り付けられることにより、収納室14aは封止され、光源6及び計測器7は、周囲の土砂やスラリーなどが付着しないように保護される。保護カバー8は、アクリル等の樹脂板又は強化ガラスの板により好適に構成できる。したがって、光源6と計測器7とは、回転軸3と一体的に昇降する。検査ヘッド14は、回転軸3に軸着されるが、検査ヘッド14を昇降させる際に、回転軸3を回転させてもよいし、させなくてもよい。また、特許第6742633号の試験用アタッチメントを応用することもできる。
【0036】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2における地盤改良装置の側面図、図4(a)は、同地盤改良装置が混合状態を調べる状態を示す側面図、図4(b)は、同地盤改良装置の検査ヘッドの一部拡大断面図である。
【0037】
実施の形態2は、図2に示す地盤改良装置(縦型施工機)により、比較的浅い箇所に平たい地盤改良体であって、現場の土壌Sによるものを構築する場合に関する。
【0038】
図3に示すように、この地盤改良装置は、地面G上を走行する本体21と、鉛直平面内で縦回転し、セメントスラリーの吐出及び土壌Sとの攪拌を行う、作動部20とを備える。
【0039】
セメントの調整や、それに添加する水溶性蛍光染料については、実施の形態1と同様である。また、地盤改良体を構築したら、図4(b)に示すような実施の形態1における検査ヘッド14と同様のものを、作動部20の先端に装着して、セメントの混合状態を検査する。なお、発光率の詳細については、図6を参照しながら、後述する。
【0040】
(実施の形態3)
図5(a)~図5(d)は、本発明の実施の形態3における方法の各工程を示す。
【0041】
実施の形態3は、実験室内に用意された土壌Sによる、模擬的な地盤改良体を構築し、適切なセメント添加量を決定することを目的として実施される。セメントの調整や、それに添加する水溶性蛍光染料については、実施の形態1と同様である。
【0042】
まず、図5(a)に示すように、ビーカー25内において、セメントスラリーに上記のような水溶性蛍光染料を添加し、さらにこれを、土壌Sに加えて混合物を得る。
【0043】
次に、図5(b)に示すように、混合物を容器27に入れ、ミキサー28を用いて、混合攪拌する。良く混合攪拌したら、図5(c)に示すように、所定の容積を有するバット29に、攪拌済み土壌30を擦り切り一杯に収納する。
【0044】
次に、図5(d)に示すように、以上のように用意したバット29を、暗室31内に載置する。暗室31には、ブラックライトを照射する光源6と、光源6からブラックライトを照射されたバット29内の、攪拌済み土壌30を撮影する計測器としての、カメラ7aが配置されている。
【0045】
次に、図7図10を参照しながら、実際に撮影した例を解説する。図7は、図5(d)の状態において、ブラックライトを照射する光源6を用いずに、可視光線(蛍光灯等を使用してもよいし、太陽光そのものを使用してもよい。)を利用して撮影した写真の例である。この写真は、フルカラーであってもよいし、グレースケールであってもよい。特徴的にいえることは、画面全体において、濃淡の差がほとんどなく、明暗の区別がつきにくいという点である。
【0046】
一方、図8は、図7と全く同じ対象について、可視光線ではなく、光源6が照射するブラックライト(波長:365乃至405ナノメートル)を用いて、同様に撮影した写真である。この写真は、フルカラーであってもよいし、グレースケールであってもよい。特徴的にいえることは、画面全体において、図7よりも、濃淡の差がはっきり現れており、明暗の区別がつきやすくなっているという点である。
【0047】
そして、図7の画像(ここでは、フルカラーとする)をグレースケール化すると、図9に示すようになり、さらに、これを白黒二値化すると、図10に示すようになる。減色するには、近似色、パターン、誤差拡散法等、周知の手法を用いて差し支えない。
【0048】
カメラ画像を用いる場合には、通常2次元平面のデータが得られるため、発光率(%)は、ピクセル単位で計算するのが望ましい。すなわち、図10の例では、全体の画素数Aが236672ピクセルであり、白い部分の画素数Bが1641778ピクセルであったので、発光率(%)=(A/B)*100=(1641778/2336672)*100=70(%)となる。
【0049】
実施の形態3では、発光率(%)の良否を決定する閾値として、TH=80(%)を採用する。言うまでもなく、この数値は、単なる例にすぎず、より高い閾値やより低い閾値を用いる場合であっても、本願発明の保護範囲に属する点が理解されねばならない。したがって、上記数値例では、発光率が不足で混合状態は否定される結果となる。つまり、土壌Sに対するビーカー25内の溶液の量を増やすべきであるということになる。一方、発光率が80(%)以上であれば、混合状態は肯定される結果となる。
【0050】
以上述べたように、実施の形態1~3について共通するのは、次の点である。
【0051】
実施の形態3に即して言うと、所定濃度の水溶性蛍光染料を添加したセメントスラリー26と土壌Sとを混合して地盤改良体30を構築するにあたり、地盤改良体30に光源6からブラックライトを照射する第1工程と、計測器7aを用いて光源6によりブラックライトを照射される地盤改良体30を計測する第2工程と、計測器7aが出力するデータに基づく演算値と所定閾値とを比較し、セメントスラリーの混合状態の可否を判定する第3工程とを含む点。
【0052】
光源6が照射するブラックライトの波長は、365乃至405ナノメートルである。
【0053】
実施の形態1、2では、土壌Sは、工事現場の土壌であり、第1工程、第2工程及び第3工程は、地盤改良体が未だ固化していない状態で実施される。
【0054】
実施の形態3では、土壌Sは、実験室内に用意された土壌であり、第1工程、第2工程及び第3工程は、実験室内で実施され、且つ、第3工程は、適切なセメント添加量を決定することを目的として実施される。
【0055】
図6を参照しながら、実施の形態1~3の設備における、情報処理装置の構成を説明する。図6は、本発明の実施の形態1~3における情報処理装置の機能ブロック図である。まず、光源6、計測器7等については、既に述べたとおりである。
【0056】
本装置のうち、記憶部40は、(画像処理用の周知プロセスを含む)制御プログラムや、一時的に記憶すべき各データを保存するためのメモリやハードディスク等のストレージからなる。
【0057】
制御部41は、プロセッサ等からなり、記憶部40に記憶された制御プログラムを実行し、周辺要素を制御する。
【0058】
モニタ42は、動作状態をユーザに表示するディスプレイである。
【0059】
インターフェイス43は、制御部本体21に制御されて、光源6を点灯/消灯させ、計測器7から計測値(計測信号)を入力する。
【0060】
次に、発光率演算部44が演算する発光率について説明する。
【0061】
実施の形態3については、既に、図10を参照しながら、説明したように、全体の画素数A、白い部分の画素数Bであるとき、
発光率(%)=(A/B)*100(%) (1)
とすればよい。
【0062】
実施の形態1、2においては、計測器7は、リニアに移動するので、距離を用いるとよい。
【0063】
検査ヘッド14が移動する距離Lに対して、計測器7が反射光を捉えた距離をlとすると、
発光率=(l/L)*100(%) (2)
とすればよい。
【0064】
もちろん、以上の式は、単なる例示に過ぎず、本願発明の趣旨を変更しない限りにおいて、種々の異なる式や等価な式を使用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1】(a)本発明の実施の形態1における地盤改良装置の側面図 (b)本発明の実施の形態1における攪拌ヘッドの交換要領を示す部分図
図2】(a)本発明の実施の形態1における掘削撹拌装置が混合状態を調べる状態を示す側面図 (b)本発明の実施の形態1における掘削撹拌装置の検査ヘッドの一部拡大断面図
図3】本発明の実施の形態2における地盤改良装置の側面図
図4】(a)本発明の実施の形態2における掘削撹拌装置が混合状態を調べる状態を示す側面図 (b)本発明の実施の形態2における掘削撹拌装置の検査ヘッドの一部拡大断面図
図5】(a)本発明の実施の形態3における各工程の説明図 (b)本発明の実施の形態3における各工程の説明図 (c)本発明の実施の形態3における各工程の説明図 (d)本発明の実施の形態3における各工程の説明図
図6】本発明の実施の形態1~3における情報処理装置の機能ブロック図
図7】本発明の実施の形態3における自然光による土壌表面を撮影した写真
図8】本発明の実施の形態3におけるブラックライトによる土壌表面を撮影した写真
図9図8をグレースケール化した画像を示す図
図10図9を白黒二値化した画像を示す図
【符号の説明】
【0066】
1 ベースマシン
2 リーダ
3 回転軸
4 撹拌ヘッド
5 掘削翼
6 光源
7 計測器
7a カメラ
10 駆動部
11 供回り防止翼
12 撹拌翼
14 検査ヘッド
14a 収容室
14b 保護カバー
20 作動部
21 本体
25 ビーカー
26 溶液
27 容器
28 ミキサー
29 バット
30 攪拌済み土壌
31 暗室
40 記憶部
41 制御部
42 モニタ
43 インターフェイス
44 発光率演算部
G 地面
S 土壌
H1 初期深さ
H2 目的深さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10