(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177575
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】鑑別疾患想起支援システム、鑑別疾患想起支援プログラム及び、鑑別疾患想起支援方法
(51)【国際特許分類】
G16H 50/00 20180101AFI20231207BHJP
【FI】
G16H50/00
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090314
(22)【出願日】2022-06-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】509068965
【氏名又は名称】メディカル・データ・ビジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(74)【代理人】
【識別番号】100224719
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 隆治
(72)【発明者】
【氏名】加藤 開一郎
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】任意の症状/所見に対し、可能性のある疾患の候補を漏れなく想起することを支援する鑑別疾患想起支援システム、鑑別疾患想起支援プログラム及び鑑別疾患想起支援方法を提供する。
【解決手段】医師による疾患鑑別を支援する鑑別疾患想起支援システムであって、記憶部、入力部及び、特定部を備える。記憶部は、症状-疾患情報データベースを含み、症状所見情報は、症状や所見の関連性に基づく分類を示す症状クラスタ情報と紐づけられ、入力部は、患者に見られる症状及び/又は所見に係る症状入力情報の入力を受け付けて、特定部は、該症状入力情報から、症状-疾患情報データベースを参照して症状所見情報を特定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医師による疾患鑑別を支援する鑑別疾患想起支援システムであって、
前記鑑別疾患想起支援システムは、記憶部、入力部及び、特定部を備え、
前記記憶部は、
疾患に係る疾患情報と、該疾患において生じ得る症状及び/又は所見に係る症状所見情報とを、紐づけて格納する、症状-疾患情報データベースを含み、
前記症状所見情報は、症状や所見の関連性に基づく分類を示す症状クラスタ情報と紐づけられ、
前記入力部は、患者に見られる症状及び/又は所見に係る症状入力情報の入力を、受け付けて、
前記特定部は、該症状入力情報から、前記症状-疾患情報データベースを参照して症状所見情報を特定し、該症状所見情報に紐づけられた前記疾患情報を、前記患者が有する疾患の候補となる鑑別疾患情報として特定し、
前記症状所見情報のうち、同一の前記症状クラスタ情報に紐づく複数の前記症状所見情報を特定すると、当該複数の症状所見情報にそれぞれ紐づく前記疾患情報全てを前記鑑別疾患情報として特定する、鑑別疾患想起支援システム。
【請求項2】
前記特定部は、前記症状所見情報のうち、異なる前記症状クラスタ情報に紐づく複数の前記症状所見情報を特定すると、複数の症状所見情報にそれぞれ紐づく前記疾患情報のうち、共通する前記疾患情報を前記鑑別疾患情報として特定する、請求項1に記載の鑑別疾患想起支援システム。
【請求項3】
前記鑑別疾患想起支援システムは、前記症状入力情報を受け付けるための症状所見入力画面、及び前記特定された鑑別疾患情報を表示する疾患情報表示画面を表示処理する表示処理部を更に備え、
前記表示処理部は、前記症状所見入力画面、鑑別表示画面を同一画面上に表示処理する、請求項1又は請求項2に記載の鑑別疾患想起支援システム。
【請求項4】
前記表示処理部は、前記症状所見入力画面を前記症状クラスタ情報毎の複数の領域に区分けして表示処理し、
前記各領域に対して各症状クラスタ情報に紐づいた前記症状所見情報を前記症状入力情報の候補としてリスト形式で選択可能に表示処理する、請求項3に記載の鑑別疾患想起支援システム。
【請求項5】
前記入力部が前記症状所見入力画面を介して前記症状入力情報の入力を受け付けると、都度、前記特定部は、該症状入力情報から、前記鑑別疾患情報を特定し、
前記表示処理部は、該特定された鑑別疾患情報を、前記鑑別表示画面に表示処理する請求項3に記載の鑑別疾患想起支援システム。
【請求項6】
前記疾患情報は、疾患名情報と疾患詳細情報を含み、
前記疾患情報表示画面は、前記鑑別疾患情報のうち、疾患名情報を表示する鑑別表示画面と、前記鑑別疾患情報のうち、疾患詳細情報を表示する疾患詳細表示画面を有し、
前記表示処理部は、前記特定された疾患情報のうち、疾患名情報及び疾患詳細情報を、それぞれ前記鑑別表示画面及び疾患詳細表示画面に表示処理する、請求項3に記載の鑑別疾患想起支援システム。
【請求項7】
前記入力部が前記症状所見入力画面を介して前記症状入力情報の入力を受け付けると、都度、前記特定部は、該症状入力情報から、前記鑑別疾患情報を特定するとともに、前記症状-疾患情報データベースを参照し、該特定した鑑別疾患情報に紐づく前記症状所見情報を特定し、
前記表示処理部は、前記特定部により特定された前記症状所見情報に対応する症状所見情報を、追加の症状入力情報の候補として前記症状所見入力画面に表示処理する請求項3に記載の鑑別疾患想起支援システム。
【請求項8】
前記症状-疾患データベースは、
症状所見情報に紐づく症状クラスタ情報毎に分けた別のデータベースとして構成され、
前記特定部は、前記入力部が異なる症状クラスタに分類される複数の前記症状入力情報の入力を受け付けると、複数の前記データベースを同時に参照して、前記鑑別疾患情報を特定する請求項1又は請求項2に記載の鑑別疾患想起支援システム。
【請求項9】
前記鑑別疾患想起支援システムは、抽出部を更に備え、
前記疾患情報は、疾患のカテゴリを示す疾患分類情報に紐づけられ、
前記疾患情報表示画面は、前記鑑別疾患情報のうち、疾患分類情報を表示する疾患分類表示画面を有し、
前記表示処理部は、前記疾患分類表示画面に、前記特定された鑑別疾患情報のうち、疾患分類情報を表示処理し、
前記入力部は、さらに、前記疾患分類表示画面を介した前記表示処理された疾患分類情報の選択による疾患分類入力情報の入力を受け付け、
前記入力部が疾患分類入力情報の入力を受け付けると、前記抽出部は、前記特定された鑑別疾患情報であって、かつ該疾患分類入力情報に対応する前記疾患分類情報に紐づく前記疾患情報を抽出し、
前記表示処理部は、該抽出された疾患情報を表示処理する請求項3に記載の鑑別疾患想起支援システム。
【請求項10】
前記表示処理部は、前記疾患情報表示画面に、前記特定部によって特定された前記鑑別疾患情報の数を表示処理する請求項3に記載の鑑別疾患想起支援システム。
【請求項11】
前記症状所見情報は、患者の医療画像データから得られる所見を示す画像所見情報及び、患者の身体に見れられる所見や症状を示す身体所見情報を含み、
前記特定部は、前記身体所見情報及び、画像所見情報に基づいて、前記鑑別疾患情報を特定する請求項1又は請求項2に記載の鑑別疾患想起支援システム。
【請求項12】
医師による疾患鑑別を支援する鑑別疾患想起支援プログラムであって、該鑑別疾患想起支援プログラムは、コンピュータを、記憶部、入力部及び、特定部として機能させ、
前記記憶部は、
疾患にかかる疾患情報と、該疾患において生じ得る症状及び/又は所見に係る症状所見情報とを、紐づけて格納する、症状-疾患データベースを含み、
前記症状所見情報は、症状や所見の関連性に基づく分類を示す症状クラスタ情報と紐づけられ、
前記入力部は、患者に見られる症状及び/又は所見に係る前記症状入力情報の入力を、受け付けて、
前記特定部は、該症状入力情報から、前記症状-疾患情報データベースを検索して症状所見情報を特定し、該症状所見情報に紐づけられた前記疾患情報を、前記患者の有する疾患の候補となる鑑別疾患情報として特定し、
前記症状所見情報のうち、同一の前記症状クラスタ情報に紐づく複数の前記症状所見情報を特定すると、該複数の症状所見情報にそれぞれ紐づく前記疾患情報全てを前記鑑別疾患情報として特定する、鑑別疾患想起支援プログラム。
【請求項13】
医師による疾患鑑別を支援する1又は複数のコンピュータを用いた鑑別疾患想起支援方法であって、
前記コンピュータは、
疾患にかかる疾患情報と、該疾患において生じ得る症状及び/又は所見に係る症状所見情報とを、紐づけて格納する、症状-疾患データベースを記憶し、前記症状所見情報は、症状や所見の関連性に基づく分類を示す症状クラスタ情報と紐づけられ、
コンピュータが、患者に見られる症状及び/又は所見に係る前記症状入力情報の入力を、受け付ける、入力ステップと、
コンピュータが、該症状入力情報から、前記症状-疾患情報データベースを検索して症状所見情報を特定し、該症状所見情報に紐づけられた前記疾患情報を、前記患者の有する疾患の候補となる鑑別疾患情報を特定する特定ステップとを有し、
前記特定ステップは、前記症状所見情報のうち、同一の前記症状クラスタ情報に含まれる複数の前記症状所見情報を特定すると、該複数の症状所見情報にそれぞれ紐づく前記疾患情報全てを前記鑑別疾患情報として特定することを含む、鑑別疾患想起支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鑑別疾患想起支援システム、鑑別疾患想起支援プログラム及び、鑑別疾患想起支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療現場において、日々増加の一途を辿る医学的知見を全て医師の頭に記憶することは困難で、さらに目の前の患者さんの症状/所見の情報を人間の脳で処理を行い可能性のある疾患名を漏れなく想起することは非常に困難である。これは個々の医師の能力や経験、学習習得状況、思考バイアス等の因子により医師間の臨床能力の不均一性に由来する他、また同一の医師でも、その日の脳の活動状況などにより、想起しうる疾患は一定ではなく再現性の維持はとても難しいことに由来する。さらに、高い能力を持つ医師でも人間である限り、記憶や学習できる内容には限りがあり、生物学的限界がある。
【0003】
その為従来、医師は患者の診断に難渋した際、診療の合間にインターネット上で論文を検索し、検索リストに表示された論文リストと抄録を参照し、類似性を見いだした際には、さらにその論文の全閲覧を行う手法を取っていた。しかし、1名の患者に要する診療工数の増加による検索時間の減少や総合的な診療を行う内科医・救急医の減少の中、各医師はより専門性を追求する傾向が強まり、総合的な診療を可能とする医師は減少傾向にある。そして、総合的な診療には、複数の所見を統合して、可能性のある疾患や病態を想起することが欠かせないが、このような複数の所見を統合して、診断を支援することを支援するシステムの一例が、例えば、特許文献1において提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、(1)診断が確定された患者の症状や検査所見を記録し管理する症状/所見管理手段と、(2)確定された疾患名毎に、当該疾患に該当する症例のリストや当該症例で観察された症状や所見を記録管理する疾患名管理手段と、(3)疾患名が確定した症例の疾患名や、当該症例で観察された症状や検査所見を前記(1)、(2)に登録する疾患名確定症例登録手段の(1)~(3)からなる疾患名確定症例管理手段を備え、前記疾患名確定症例管理手段に対して、疾患名未確定症例の症状や検査所見を提示して、可能性の高い疾患名や、疾患名確定のために有効な、次に得られるべき症状や検査所見を問い合わせる疾患名未確定症例問い合わせ手段を備えたことを特徴とする診断支援システムが記載されている。
【0005】
また、特許文献1においては、前記疾患名未確定症例問い合わせ手段において、当該疾患名未確定症例で観察された症状/所見の各々について、当該症状/所見を有する症例リストの積集合を求め、当該症例の症例データを表示する類似症例検索手段、さらに、前記積集合で得られた症例の確定疾患名を集計し、確定疾患名の頻度順に表示する類似症例疾患名推定手段の少なくとも一つを有することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、症状/所見を有する症例リストの積集合を求め疾患名の候補の特定を行うが、このような疾患の特定方法の場合、所見や症状の区別がつきにくい症状が見られた場合に、重要な疾患を見逃してしまうという問題があった。
【0008】
また特許文献1では、疾患鑑別に頻度分布をはじめとする統計的手法による診断支援を基にしている。しかし、統計学的に確率の高い疾患を医師が想起漏れすることは少ない。むしろ、医師の鑑別想起漏れや誤診を生じやすいのは、低頻度疾患や非典型症状により発症した疾患に起きやすい。発症頻度と症状/所見を紐付けた診断支援方式は、低頻度疾患も漏れなく想起する観点から課題がある。このため、臨床実務上、遭遇頻度の少ない疾患や非典型症状/所見で発症した疾患を、医師の鑑別疾患想起として想起できる必要が求められ、これをシステム的に支援する必要があった。
【0009】
また、特許文献1では、提示した症状や検査所見の内容と、それによって特定された疾患候補を同時に確認することができず、医師の情報参照、追加検討がしにくいものであった。
【0010】
上記に鑑み、本発明は、医師(人間)の思考バイアスを排除し、任意の症状/所見に対し、可能性のある疾患の候補を漏らすことなく想起することを支援し、正確性や再現性を担保した疾患の候補の特定を可能にする技術を提供することを解決すべき課題とする。
【0011】
また、本発明の好ましい形態では、症状や所見の入力内容と、それに基づく疾患の候補の提示内容を同時に確認可能にする技術を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明は、医師による疾患鑑別を支援する鑑別疾患想起支援システムであって、前記鑑別疾患想起支援システムは、記憶部、入力部及び、特定部を備え、前記記憶部は、疾患に係る疾患情報と、該疾患において生じ得る症状及び/又は所見に係る症状所見情報とを、紐づけて格納する、症状-疾患情報データベースを含み、前記症状所見情報は、症状や所見の関連性に基づく分類を示す症状クラスタ情報と紐づけられ、前記入力部は、患者に見られる症状及び/又は所見に係る症状入力情報の入力を、症状所見入力画面を介して、受け付けて、前記特定部は、該症状入力情報から、前記症状-疾患情報データベースを検索して症状所見情報を特定し、該症状所見情報に紐づけられた前記疾患情報を、前記患者が有する疾患の候補となる鑑別疾患情報であると特定し、前記症状所見情報のうち、同一の前記症状クラスタ情報に紐づけられた複数の前記症状所見情報を特定すると、当該複数の症状所見情報にそれぞれ紐づく前記疾患情報全てを前記鑑別疾患情報として特定する。
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明は、医師による鑑別疾患想起を支援する鑑別疾患想起支援プログラムであって、該鑑別疾患想起支援プログラムは、記憶部、入力部及び、特定部としてコンピュータを機能させ、前記記憶部は、疾患にかかる疾患情報と、該疾患において生じ得る症状及び/又は所見に係る症状所見情報とを、紐づけて格納する、症状-疾患データベースを含み、前記症状所見情報は、症状や所見の関連性に基づく分類を示す症状クラスタ情報と紐づけられ、前記入力部は、患者に見られる症状及び/又は所見に係る前記症状入力情報の入力を、受け付けて、前記特定部は、該症状入力情報から、前記症状-疾患情報データベースを参照して症状所見情報を特定し、該症状所見情報に紐づけられた前記疾患情報を、前記患者の有する疾患の候補となる鑑別疾患情報として特定し、前記症状所見情報のうち、同一の前記症状クラスタ情報に紐づく複数の前記症状所見情報を特定すると、該複数の症状所見情報にそれぞれ紐づく前記疾患情報全てを前記鑑別疾患情報として特定する。
【0014】
上記の課題を解決するために、本発明は、医師による鑑別疾患想起を支援するコンピュータを用いた鑑別疾患想起支援方法であって、前記コンピュータは、疾患にかかる疾患情報と、該疾患において生じ得る症状及び/又は所見に係る症状所見情報とを、紐づけて格納する、症状-疾患データベースを記憶し、前記症状所見情報は、症状や所見の関連性に基づく分類を示す症状クラスタ情報と紐づけられ、患者に見られる症状及び/又は所見に係る前記症状入力情報の入力を、受け付ける、入力ステップと、該症状入力情報から、前記症状-疾患情報データベースを検索して症状所見情報を特定し、該症状所見情報に紐づけられた前記疾患情報を、前記患者の有する疾患の候補となる鑑別疾患情報を特定する特定ステップとを有し、前記特定ステップは、前記症状所見情報のうち、同一の前記症状クラスタ情報に紐づく複数の前記症状所見情報を特定すると、該複数の症状所見情報にそれぞれ紐づく前記疾患情報全てを前記鑑別疾患情報として特定することを含む。
このような構成とすることで、同一の症状クラスタ情報の場合には、当該症状入力情報に対応する症状所見情報のOR条件によって疾患情報を特定することで、症状の区別がつきにくいような症状がある場合にも、漏れなく疾患情報の候補全てを特定することができる。これにより、医師の疾患想起漏れを最少化することができる。
【0015】
より好ましい形態では、前記特定部は、前記症状所見情報のうち、異なる前記症状クラスタ情報に紐づく複数の前記症状所見情報を特定すると、当該複数の症状所見情報にそれぞれ紐づく前記疾患情報のうち、共通する前記疾患情報を前記鑑別疾患情報として特定する。
このような構成とすることで、症状が似ている同一の症状クラスタに属する症状の場合には、絞り込みを行わないことで疾患の見逃しを防ぎ、且つ症状の区別が可能な異なる症状クラスタに属する症状の場合には、絞り込みを行うことで疾患を特定する。これにより、適切に患者の患う疾患情報の候補を特定することができる。
【0016】
より好ましい形態では、前記鑑別疾患想起支援システムは、前記症状入力情報を受け付けるための症状所見入力画面、及び前記特定された鑑別疾患情報を表示する疾患情報表示画面を表示処理する表示処理部を更に備え、前記表示処理部は、前記症状所見入力画面、前記疾患情報表示画面を同一画面上に表示処理する。
このような構成とすることで、症状所見入力画面と疾患情報表示画面を同一画面上に表示することができる。これにより、入力した症状入力情報と、特定される患者の疾患候補と、を画面遷移なしに確認することができる。
【0017】
より好ましい形態では、前記表示処理部は、前記症状所見入力画面を前記症状クラスタ情報毎の領域に区分けして表示処理し、前記各領域に対して各症状クラスタ情報に紐づいた前記症状所見情報を前記症状入力情報の候補としてリスト形式で選択可能に表示処理する。
このような構成とすることで、症状所見情報を症状クラスタ毎に区分けして、選択可能に表示することができる。これにより、関連性の近い症状や所見を容易に区別することができ、容易に、的確に症状入力情報を選択することができる。
【0018】
より好ましい形態では、前記入力部が前記症状所見入力画面を介して前記症状入力情報の入力を受け付けると、都度、前記特定部は、該症状入力情報から、前記鑑別疾患情報を特定し、前記表示処理部は、該特定された鑑別疾患情報を、前記疾患情報表示画面に表示処理する。
このような構成とすることで、特定される患者の疾患候補を確認しながら、症状や所見の再入力を行うなどして、候補の絞り込みを行うことができる。
【0019】
より好ましい形態では、前記疾患情報は、疾患名情報と疾患詳細情報を含み、前記疾患情報表示画面は、前記鑑別疾患情報のうち、疾患名情報を表示する鑑別表示画面と、前記鑑別疾患情報のうち、疾患詳細情報を表示する疾患詳細表示画面を有し、前記表示処理部は、前記特定された鑑別疾患情報のうち、疾患名情報及び疾患詳細情報を、それぞれ前記鑑別表示画面及び疾患詳細表示画面に表示処理する。
このような構成とすることで、特定された患者の疾患候補の疾患名と詳細情報を同一画面上で確認することができる。
【0020】
より好ましい形態では、前記入力部が前記症状所見入力画面を介して前記症状入力情報の入力を受け付けると、都度、前記特定部は、該症状入力情報から、前記鑑別疾患情報を特定するとともに、前記症状-疾患情報データベースを参照し、該特定した鑑別疾患情報に紐づく前記症状所見情報を特定し、前記表示処理部は、前記特定部により特定された前記症状所見情報に対応する症状所見情報を、追加の症状入力情報の候補として前記症状所見入力画面に表示処理する。
このような構成とすることで、特定された疾患情報と関連性の高い症状入力情報のみを表示することができる。これによって、特定された疾患情報と、様々な症状や所見との関連性のあるものに絞って、症状入力情報の選択を行うことができ、容易に患者の疾患候補の特定ができる。
【0021】
より好ましい形態では、前記症状-疾患データベースは、症状所見情報に紐づく症状クラスタ情報毎に分けた別のデータベースとして構成され、前記特定部は、前記入力部が異なる症状クラスタに分類される複数の前記症状入力情報の入力を受け付けると、複数の前記データベースを同時に参照して、前記鑑別疾患情報を特定する。
このような構成とすることで、症状入力情報から症状所見情報の特定ひいては、疾患情報の特定の高速化を行うことができる。これによって、タイムラグを起こさずに、症状入力情報の入力から、患者の疾患候補を特定することができる。
【0022】
より好ましい形態では、前記鑑別疾患想起支援システムは、抽出部を更に備え、前記疾患情報は、疾患のカテゴリを示す疾患分類情報と紐づけられ、前記疾患情報表示画面は、前記鑑別疾患情報のうち、疾患分類情報を表示する疾患分類表示画面を有し、前記表示処理部は、前記疾患分類表示画面に、前記特定された疾患情報のうち、疾患分類情報を表示処理し、前記入力部は、さらに、前記疾患分類表示画面を介した前記表示処理された疾患分類情報の選択による疾患分類入力情報の入力を受け付け、前記入力部が疾患分類入力情報の入力を受け付けると、前記抽出部は、前記特定された鑑別疾患情報であって、かつ該疾患分類入力情報に対応する前記疾患分類情報に紐づく前記疾患情報を抽出し、前記表示処理部は、該抽出された疾患情報を表示処理する。
このような構成とすることで、特定した疾患情報と関連する疾患分類入力情報のみを表示することができる。これによって、疾患分類の観点から患者の疾患候補の抽出を行うことができる。
【0023】
より好ましい形態では、前記疾患情報表示画面に、前記特定部によって特定された前記鑑別疾患情報の数を表示処理する。
このような構成とすることで、候補となる疾患の数を確認することができる。
【0024】
より好ましい形態では、前記症状所見情報は、患者の医療画像データから得られる画像所見情報及び、患者の身体に見られる所見や症状を示す身体所見情報を含み、前記特定部は、前記身体所見情報及び/又は画像所見情報に基づいて、前記鑑別疾患情報を特定する。
このような構成とすることで、検査結果のデータに基づいて、患者の疾患候補を特定することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、重要な疾患を見逃すことなく、正確性や再現性を担保した疾患の特定を可能にする技術を提供する効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】一実施形態のシステムの構成を示すブロック図である。
【
図2】一実施形態のシステムの構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】一実施形態のシステムのデータベースの一例である。
【
図4】一実施形態のシステムのデータベースの一例である。
【
図5】一実施形態のシステムの表示画面の一例である。
【
図6】一実施形態のシステムの処理フローチャートである。
【
図7】一実施形態のシステムの表示画面の一例である。
【
図8】一実施形態のシステムの表示画面の一例である。
【
図9】一実施形態のシステムの処理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して、更に詳細に説明する。図面には好ましい実施形態が示されている。しかし、多くの異なる形態で実施されることが可能であり、本明細書に記載される実施形態に限定されない。
【0028】
例えば、本実施形態では鑑別疾患想起支援システムの構成、動作等について説明するが、同様の構成の方法、装置、コンピュータプログラム等も、同様の作用効果を奏することができる。また、プログラムは、記録媒体に記憶させてもよい。この記録媒体を用いれば、例えばコンピュータにプログラムをインストールすることができ、これにより鑑別疾患想起支援装置、鑑別疾患想起支援システムを構成することができる。ここで、プログラムを記憶した記録媒体は、例えばCD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0029】
本発明は、医師から患者に見られる症状や所見の入力を受け付け、患者の患う考え得る全ての疾患の候補を特定することで、医師の疾患想起を支援する鑑別疾患想起支援システムに関する。本実施形態では、医療において一般的に見られる症状や所見をリスト形式で予め医師に提示し、医師が、患者に見られる症状や所見を、提示された症状や所見のリストから選択することで、患者の患う疾患の候補が特定される。
【0030】
本明細書において「症状クラスタ」とは、症状や所見の関連性に基づく分類を示し、「症状クラスタ情報」とは、当該分類を特定する情報である。本実施形態においては、症状クラスタは、症状や所見の発症部位毎の分類であり、症状クラスタ情報は、発症部位を示す情報である。また、本実施形態において所見とは、医師が患者を診察・検査した結果、観察される状態を指し、身体所見、画像所見、検査所見を含む。本発明において、画像所見は、超音波検査、CT(Computed Tomography)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)、RI(Radio Isotope)及び、内視鏡検査等の全ての画像検査結果から見出される所見を含み、検査所見は、検体検査・病理検査の結果から見出される所見を含む。
【0031】
<システム構成>
図1は、一実施形態のシステムの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、鑑別疾患想起支援システム0は、鑑別疾患想起支援装置1及び、利用者端末2を備える。
【0032】
本実施形態において、鑑別疾患想起支援装置1及び、利用者端末2は、通信ネットワークNWを介して通信可能に構成されている。通信ネットワークNWは、本実施形態では、IP(Internet Protocol)ネットワークであるが、通信プロトコルの種類に制限はなく、更に、ネットワークの種類、規模にも制限はない。
【0033】
本実施形態において鑑別疾患想起支援装置1は、利用者端末2を介して、医師による症状及び/又は所見に係る症状入力情報の入力を受け付け、これに基づき、鑑別疾患情報を特定する。鑑別疾患想起支援装置1は、症状入力情報の入力のための症状所見入力画面、鑑別疾患情報を提示するための疾患情報表示画面等、各種入出力画面の表示処理を行い、利用者端末2に送信する。鑑別疾患想起支援装置1としては、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等の演算装置、RAM(Random Access Memory)等の主記憶装置、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等の補助記憶装置、ネットワークへの接続手段を含む種々の入力装置や出力装置等を備えた一般的なコンピュータ装置を利用することができる。記憶装置が本発明の鑑別疾患想起支援プログラムを記憶し、演算装置に各種の処理を実行させることにより、任意のコンピュータ装置が、本発明の鑑別疾患想起支援装置1の各部として機能する。
【0034】
本実施形態において利用者端末2は、鑑別疾患想起支援装置1が表示処理した症状所見入力画面や疾患情報表示画面等の各種画面を出力し、医師による症状入力情報等の入力に供される。利用者端末2としては、スマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータ、ウェアラブルデバイス等の一般的なコンピュータを利用することができる。
【0035】
なお本実施形態では、利用者端末2の出力部(以下、端末のディスプレイ)が、鑑別疾患想起支援装置1の表示処理部による表示処理により、各入力画面や鑑別疾患情報の結果表示画面を出力表示するが、鑑別疾患想起支援装置1が入力装置や出力装置を有し、これら装置を介して、入力を受け付けたり、各種出力を行う構成とすることもできる。この場合は、鑑別疾患想起支援装置1が鑑別疾患想起支援システム0を構成する。
【0036】
<システム機能構成>
図2は、本実施形態の鑑別疾患想起支援システム0の機能構成を示す図である。本実施形態の鑑別疾患想起支援システム0は鑑別疾患想起支援装置1を含み、鑑別疾患想起支援装置1は、記憶部10、入力部11、特定部12、表示処理部13、及び抽出部14を備える。なお一つのコンピュータがこれらの部を全て備える必要はなく、複数のコンピュータが協働することによって本実施形態の鑑別疾患想起支援装置1として機能してもよい。
【0037】
記憶部10は、症状-疾患情報データベースを含む(
図3)。症状-疾患情報データベースは、疾患に係る疾患情報と、該疾患において生じ得る症状及び/又は所見に係る症状所見情報とを、紐づけて格納する。ここで、前記症状所見情報は、症状クラスタ情報と紐づけられている。
これにより、ある症状及び/又は所見に対し、当該症状が生じる可能性を考えるべき全ての疾患を疾患候補として特定することができる。
【0038】
また、本実施形態では、記憶部10は、さらに、発症前イベント情報、検査所見情報、又は体内人工物情報を、関連する疾患情報と紐づけて格納するデータベースを記憶する。これらの一部又は全部は、記憶部10等に記憶されてもよいし、これらの一部が外部のデータベース等に格納され、ネットワークを介して利用できるように構成されてもよい。
【0039】
症状クラスタ情報は、症状や所見の関連性に基づく分類を示す情報であって、本実施形態では、症状や所見の発症部位毎の分類を示す。例えば、症状や所見が「腰痛」の場合には、症状クラスタは「背部~臀部」であり、症状クラスタ情報は、当該症状クラスタを特定する情報である。
【0040】
症状所見情報は、症状名又は所見名を示す情報を含む。なお、本実施形態では、症状所見情報は、症状名を示すテキスト情報又は、所見名を示すテキスト情報により一意に特定されるが、症状所見IDにより一意に特定され、症状所見IDに紐づけて症状名情報、所見名情報や、他の症状や所見に関する情報を管理してもよい。
【0041】
より好ましい形態では、症状所見情報は、身体所見情報及び、画像所見情報を含む。具体的には、身体所見情報及び、画像所見情報は、各症状クラスタ情報に紐づけられて格納される。ここで、身体所見情報とは、患者の身体を視認することによって確認することができる身体所見を特定する情報である。
【0042】
また、画像所見情報とは、後述の症状所見入力画面を介して入力部11が受け付ける情報であって、MRI、CT等の医療画像データから導かれる所見を、医師が共通に利用する医学用語で表した情報である。本実施形態において画像所見情報は、疾患情報を特定する疾患IDと紐づけられてデータベースに格納される。例えば、画像データは、頭部画像、胸部画像及び、腹部画像等を含み、医師が画像データを観察した結果、肺に淡い陰影がみられた場合には、症状所見入力画面を介して入力部11が、画像所見情報として「すりガラス影」を受け付ける。
これにより、複雑な画像処理を必要とせず、画像データを症状所見情報と同様な入力情報として、疾患候補を特定することができる。また、複雑な画像処理を必要としない為、疾患候補の表示を高速化することができ、実務利用に耐えられるシステム速度を確保することできる。
【0043】
疾患情報は、疾患IDにより一意に特定され、疾患名情報、疾患分類情報及び、疾患詳細情報を含んでいる。ここで、疾患詳細情報とは、疾患の詳細を示す情報である。本実施形態において、疾患詳細情報は、症例報告論文を基に収集された疾患に関する情報であって、患者の患う疾患の候補として特定された根拠及び、その元となった論文の情報等を示す、基本情報及び、詳細情報を含む。基本情報は、発生の原因、発生する可能性のある症状や所見及び、症状や所見の発生確率、合併症、潜伏期間等を含む。詳細情報は、検査結果に見られる傾向を示す検査傾向情報、参照した論文を示す情報等を含む。
【0044】
疾患分類情報とは、疾患の分類を示す情報であって、本実施形態では、疾患の性質毎に分けられた分類名を示すテキスト情報である。例えば、疾患が「デング熱」の場合には、疾患分類情報は「感染症」となる。
【0045】
発症前イベント情報とは、医師の診察を受ける前に、患者が遭遇した事象、患者が行った行動又は、患者の受けた医療行為に関する情報であり、疾患情報を特定する疾患IDと紐づけられてデータベースに格納される。
【0046】
検査所見情報とは、症状所見入力画面を介して入力部11が受け付ける情報であって、患者の検体検査や病理検査の検査データの数値データと、検査データの基準値と、に基づいて決定される検査データの分類を示す情報である。本実施形態において検査所見情報は、検査データの分類を、医師が共通に利用する医学用語で表した情報であり、疾患情報を特定する疾患IDと紐づけられてデータベースに格納される。例えば、白血球の検査データの数値データが「18000/μm^3」の場合には(基準値は3100~8400μm^3)、症状所見画面を介して入力部11は、検査所見情報として「白血球増加・高値」を受け付ける。また体内人工物情報は、体内人工物名に関する情報であって、疾患情報を特定する疾患IDと紐づけられてデータベースに格納される。
【0047】
このように、複雑な検査データの数値処理を必要とせず、検査データを症状所見情報と同様な入力情報として、疾患候補を特定することができる。また、複雑な数値処理を必要としない為、疾患候補の表示を高速化することができ、実務利用に耐えられるシステム速度を確保することできる。
【0048】
<データ構成図>
図3、4は、本実施形態における記憶部10が格納する情報の一例を示す図である。
図3は、記憶部10に格納される、疾患情報及び、症状所見情報が紐づいた症状-疾患情報データベースである。症状-疾患情報データベースは、症状や所見と、それらが見られる疾患の関係を定義している。ここでは、各疾患情報は、疾患IDにより特定され、各症状所見情報は症状名又は所見名を示すテキスト情報により特定される。各症状所見情報は、症状クラスタ情報に紐づけられている。
また、本実施形態では、症状クラスタ情報毎にデータベースを分けている(図示例では、(a)が背部~臀部、(b)が眼・眼周囲の症状クラスタ情報をもつデータベース)。
これにより、特定部によるデータベースの参照のスピードを向上させることができる。
【0049】
また
図4(a)は、疾患情報を管理する疾患マスタを示す。疾患マスタは、疾患ID、疾患名及び、疾患分類情報を含み、疾患IDをキーとして症状-疾患情報データベースと連携している。また
図4(b)は、疾患情報のうち、疾患詳細情報を管理する疾患詳細マスタを示す。疾患詳細マスタは、疾患ID、疾患詳細情報を含み、疾患IDをキーとして症状-疾患情報データベース、疾患マスタと連携している。ここでは、疾患詳細情報は、基本情報及び詳細情報を含む。
【0050】
なお、本実施形態では、症状-疾患情報データベースは、症状クラスタ情報ごとに別のデータベースとして構成されるが、これらを分けずに一つのデータベースとして構成してもよい。
【0051】
入力部11は、医師が診察等をした結果患者に見られる症状及び/又は所見に係る症状入力情報の入力を、利用者端末2に送信される症状所見入力画面を介して受け付ける。本実施形態において、入力部11は、症状入力情報として、患者の訴えの内容を医師が専門的な症状名に変換した情報、医師が患者を観察して認知した所見に関する情報(身体所見情報)を受け付ける。また入力部11は、身体所見情報に加えて、検査結果から導かれる情報(検査所見情報)、検査画像から導かれる情報(画像所見情報)、発症前イベント情報及び、体内人工物情報の1又は複数の選択を受け付ける。
【0052】
また、入力部11は、利用者端末2に表示される後述の疾患分類表示画面を介して、疾患分類情報に係る疾患分類入力情報の入力を受け付ける。本実施形態では、入力部11は、疾患分類情報の分類名に係る疾患分類入力情報の選択入力を受け付けて、当該選択入力された疾患分類入力情報を抽出部14に受け渡す。
【0053】
特定部12は、入力部11が受け付けた症状入力情報に基づいて、疾患情報を特定する。具体的には特定部12は、症状入力情報から、症状-疾患情報データベースを参照して症状所見情報を特定し、該症状所見情報に紐づけられた疾患情報を、患者が有する疾患の候補となる鑑別疾患情報として特定する。
【0054】
本実施形態において、特定部12は、入力部11が症状入力情報を受け付ける度に、当該受け付けた症状入力情報に基づいて、同一の前記症状クラスタ情報に紐づけられた複数の症状所見情報を特定し、当該複数の症状所見情報にそれぞれ紐づく疾患情報全てを鑑別疾患情報として特定する。
【0055】
また、特定部12は、受け付けた症状入力情報に基づいて、症状所見情報のうち、異なる前記症状クラスタ情報に紐づけられた前記症状所見情報を特定すると、当該症状所見情報にそれぞれ紐づく疾患情報のうち、共通する疾患情報を鑑別疾患情報として特定する。
これにより、より多くの症状入力情報の入力を受け付けることで、より疾患情報を特定することができる。
【0056】
また、特定部12は、入力部11が受け付けた症状入力情報として、身体所見情報、検査所見情報、画像所見情報、発生前イベント情報、及び体内人工物情報、の1種又は複数種の異なる情報に基づいて、鑑別疾患情報を特定する。本実施形態において、特定部12は、入力部11が身体所見情報、検査所見情報、画像所見情報、発症前イベント情報及び、体内人工物情報の入力を受け付けると、それぞれの情報と疾患IDが紐づいた上述のデータベースを参照して疾患情報を特定し、当該疾患情報を鑑別疾患情報として特定する。即ち、特定部12は、症状入力情報として、上述の情報のうち少なくとも1つの情報が入力されると、疾患情報の候補を特定する。
【0057】
なお、本実施形態において、前記症状入力情報のうち、異なる種の情報の入力を受け付けた場合には、当該情報にそれぞれ紐づく疾患情報のうち、共通する疾患情報を鑑別疾患情報として特定する。例えば、身体所見情報に属する情報の入力と、画像所見情報に属する情報の入力とが行われた場合には、それぞれ入力された情報に紐づく疾患情報のうち、共通する疾患情報を鑑別疾患情報として特定する(AND条件)。
これにより、症状入力情報の入力を必須とせずに疾患の特定を行うことができる。また、患者においては、自身の身体に見られる所見や症状がわからない患者や、所見や症状について話したがらない患者、が往々に存在している。このような場合であっても、身体所見情報の代わり検査所見情報又は、画像所見情報等を用いることによって、疾患の候補を特定することができる。
【0058】
なお、本実施形態において特定部12は、入力部11が症状入力情報を受け付ける度に(一度の選択入力に対してリアルタイムで)、鑑別疾患情報を特定するが、入力部11が症状入力情報の受け付け完了に係る入力を受け付けることを契機に、鑑別疾患情報を特定してもよい。
【0059】
また特定部12は、鑑別疾患情報から、当該鑑別疾患情報に紐づく症状所見情報を特定する。本実施形態において、特定部12は、入力部11が症状入力情報の入力を受け付ける度に、当該症状入力情報から、鑑別疾患情報を特定するとともに、症状-疾患情報データベースを参照し、該特定した鑑別疾患情報に紐づく症状所見情報を特定する。
【0060】
また特定部12は、鑑別疾患情報から、当該鑑別疾患情報に紐づく疾患分類情報を特定する。本実施形態において、特定部12は、入力部11が選択による症状入力情報の入力を受け付ける度に、当該症状入力情報から、鑑別疾患情報を特定するとともに、疾患情報を参照し、該鑑別疾患情報に紐づく疾患分類情報を特定する。
【0061】
表示処理部13は、症状所見入力画面、特定部12が特定した全ての鑑別疾患情報を含む鑑別表示画面を同一画面上に表示処理する。本実施形態において表示処理部13は、特定部12が鑑別疾患情報を特定する度に、当該特定された全ての鑑別疾患情報を鑑別表示画面において表示処理する。また、表示処理部13は、特定部12が鑑別疾患情報から症状所見情報を特定する度に、当該症状所見情報を症状所見入力画面において表示処理する。また、表示処理部13は、特定部12が鑑別疾患情報から疾患分類情報を特定する度に、当該疾患分類情報を疾患分類表示画面において表示処理する。具体的な表示画面については後述する。
【0062】
なお、本実施形態において表示処理部13は、特定部12が鑑別疾患情報を特定する度に、当該特定された鑑別疾患情報を鑑別表示画面、当該鑑別疾患情報に紐づく症状所見情報を症状所見入力画面において表示処理するが、入力部11が症状所見情報の受け付け完了に係る入力を受け付けることを契機に、特定部12によって特定された鑑別疾患情報を鑑別表示画面において表示処理してもよい。
【0063】
抽出部14は、入力部11が疾患分類入力情報の入力を受け付けると、特定された鑑別疾患情報であって、かつ該疾患分類入力情報に対応する疾患分類情報に紐づく疾患情報を抽出する。本実施形態において抽出部14は、特定部12によって特定された疾患分類情報に対応する疾患分類入力情報を入力部11が受け付けると、当該疾患分類入力情報から、疾患マスタを参照し、疾患分類情報を特定し、当該疾患分類情報に紐づく疾患情報を抽出する。
【0064】
図5は、利用者端末2において表示される画面であって、疾患を特定する為の疾患鑑別画面の表示例である。疾患鑑別画面W1は、症状所見入力画面W11、疾患情報表示画面W12を含む。また、疾患情報表示画面W12は、疾患分類表示画面W12a、鑑別表示画面W12b、及び疾患詳細表示画面W12cを含む。本実施形態において、疾患鑑別画面W1は、症状所見入力画面W11を疾患情報表示画面W12の左部に配置して表示し、疾患詳細表示画面W12cを疾患分類表示画面W12a、及び鑑別表示画面W12bの下部に配置して表示する。
これにより、画面遷移を必要としないため、自身の選んだ表示条件を記憶する必要がなく、画面遷移による思考の途切れも防止することが可能である。
【0065】
症状所見入力画面W11は、症状所見情報のうち症状名、所見名を示すテキスト情報をリスト形式で、選択入力可能に表示する。本実施形態では、疾患鑑別画面W1は、さらに検査所見情報、画像所見情報、発症前イベント情報及び、体内人工物情報の入力受付を可能とする表示を含む。本実施形態において、症状所見入力画面W11は、症状クラスタ情報毎に、複数の領域に区分けされ、各領域に対して、各症状クラスタ情報に紐づいた症状所見情報を症状入力情報の候補としてリスト形式で選択可能に表示する。なお、身体所見情報、検査所見情報、画像所見情報、発症前イベント情報及び、体内人工物情報の項目は、
図5に示す項目に限定されない。
これにより、タッチパネルで選択が可能になり、多忙な臨床現場での使用に耐えることができる。
【0066】
例えば、
図5は、疾患鑑別画面W1を示しており、症状クラスタ情報が「頭頸部~顎」の場合、症状入力情報の候補として、症状所見情報の症状名又は所見名「顎下部腫瘍」、「眼瞼腫脹」及び、「顔面紅潮」がリスト形式で表示され、症状入力情報の入力を、各症状名又は所見名の横に表示されたチェックボックスを介して受け付ける症状所見入力画面W11を含む。
【0067】
疾患分類表示画面W12aは、疾患分類情報を表示する。本実施形態における、疾患分類表示画面W12aは、疾患分類情報の分類名をリスト形式で選択可能に表示する。また、疾患分類表示画面W12aは、症状所見入力画面W11において、症状入力情報の選択入力がされていない場合には、記憶部10に記憶された全ての疾患分類情報の分類名が表示される。
【0068】
鑑別表示画面W12bは、特定部12によって特定された全ての疾患情報のうち疾患名を表示する。本実施形態における、鑑別表示画面W12bは、疾患名をリスト形式で選択可能に表示する。また、鑑別表示画面W12bは、症状所見入力画面W11において症状入力情報の選択入力がされていない場合には、記憶部10に記憶された全ての疾患名が表示される。
【0069】
なお、本実施形態において、疾患分類表示画面W12a、鑑別表示画面W12bはそれぞれ、症状所見入力画面W11において症状入力情報の選択入力がされていない場合、記憶部10に記憶された全ての分類名、疾患名を表示するが、特定部12が鑑別疾患情報を特定することを契機に、当該鑑別疾患情報に対応する分類名、疾患名を表示してもよい。
【0070】
疾患詳細表示画面W12cは、疾患名数及び、疾患情報のうち疾患詳細情報を表示する。本実施形態において、疾患詳細表示画面W12cは、鑑別表示画面W12bにおいて表示された疾患名の数(表示例では、「1211」)を及び、疾患名に紐づく疾患詳細情報(表示例では、「好酸球性胃腸炎」に関する疾患詳細情報)が表示される。なお、鑑別表示画面W12bにおける疾患名のチェックボックスが選択されると、疾患詳細表示画面W12cは、選択された疾患名に紐づく疾患詳細情報のみを表示する。
【0071】
<疾患特定処理フロー>
次に、鑑別疾患想起支援システム0を用いた鑑別疾患想起支援方法の説明及び、各機能構成による処理内容について説明する。
図6は、
図5における症状所見入力画面W11に対して入力を受け付ける度に、特定された疾患を表示する際の、鑑別疾患想起支援システム0における各部が行う処理の概要を示すフローチャートである。
【0072】
まずステップS11(以下、「ステップSXX」の「ステップ」を省略する)において、入力部11は、利用者端末2の症状所見入力画面W11を介して、症状入力情報の入力を受け付ける。そして、S12において、表示処理部13は、特定部12が特定した鑑別疾患情報を表示処理する。
【0073】
図7は、ひとつの症状入力情報の入力を受け付けた後の疾患鑑別画面W1の表示例である。本実施形態において入力部11は、症状所見入力画面W11を介して、症状入力情報に対応するチェックボックスの選択を受け付ける。そして、表示処理部13は、選択入力された症状入力情報に対応する症状所見情報等に基づいて特定部12が特定した鑑別疾患情報の疾患情報を疾患情報表示画面W12において表示処理する。そして、表示処理部13は、表示処理結果を利用者端末2に送信し、該端末のディスプレイが当該疾患情報表示画面W12を表示する。
【0074】
例えば
図7は、症状クラスタ情報「背部~臀部」における「腰痛」が、症状入力情報として選択入力された疾患鑑別画面W1を示している。そして、症状-疾患データベース(
図3、4)に基づいて、「腰痛」に紐づく疾患情報として「デング熱」等の疾患名が鑑別表示画面W12bにおいて表示されている。また、「腰痛」に紐づく疾患情報として「連鎖球菌感染症」等の疾患詳細情報及び、「腰痛」に紐づく疾患名の数として「59」の疾患名数が疾患詳細表示画面W12cにおいて表示されている。
【0075】
次いで、S13において、入力部11が新たな症状入力情報の選択を受け付けると、特定部12は、当該複数の症状入力情報の症状クラスタ情報が同一であるか否かを判断する。症状クラスタ情報が異なる場合(S13でNo)には、S15に進み、特定部12は、当該症状入力情報にそれぞれ紐づく疾患情報のうち、共通する疾患情報を鑑別疾患情報として特定する。そしてS16では、表示処理部13は、S15において特定部12が特定した鑑別疾患情報を表示処理する。
【0076】
本実施形態において、特定部12は、症状入力情報を受け付ける度に、当該複数の症状入力情報に対応する症状所見情報をそれぞれ特定するとともに、当該症状所見情報の症状クラスタ情報をそれぞれ特定し、当該特定した症状クラスタ情報が異なる場合、当該複数の症状所見情報にそれぞれ紐づく疾患情報のうち、共通する疾患情報を前記鑑別疾患情報として特定する。
【0077】
図8は、症状クラスタ情報が異なる2つの症状所見情報に係る症状入力情報を受け付けた後の疾患鑑別画面W1の表示例である。
図8は、症状入力情報「腰痛」に加えて、症状クラスタ情報「眼・眼周囲」における「ブドウ膜炎」が症状入力情報として選択入力された疾患鑑別画面W1を示している。そして、症状-疾患データベース(
図3、4)に基づいて、「腰痛」及び「ブドウ膜炎」に紐づく「ツツガムシ病」等の疾患名が鑑別表示画面W12bにおいて表示されている。また、「腰痛」及び「ブドウ球菌」に紐づく疾患情報として「ツツガムシ病」等の疾患詳細情報と、「腰痛」及び「ブドウ球菌」に紐づく疾患名の数として「3」の疾患名数と、が疾患詳細表示画面W12cにおいて表示されている。
【0078】
図6に戻り、症状クラスタ情報が同一である場合(S13でYES)には、S14に進み、特定部12は、当該症状入力情報にそれぞれ紐づく疾患情報全てを鑑別疾患情報として特定する。図示はされていないが、例えば、症状クラスタ情報「背部~臀部」において「腰痛」及び「腰背部痛」が選択入力されている場合には、症状-疾患データベース(
図3、4)に基づいて、「腰痛」に紐づく「デング熱」及び「ツツガムシ病」と、「腰背部痛」に紐づく「感染性脊椎炎」と、が鑑別表示画面W12bにおいて表示される。
【0079】
以上のように、選択された複数の症状入力情報が同一の症状クラスタ情報の場合には、当該症状入力情報に対応する症状所見情報のOR条件によって、選択された症状所見情報に紐づく全ての疾患情報を特定することで、症状の区別がつきにくいような症状がある場合にも、可能性のある鑑別疾患情報を漏れなく列挙することができる。また、症状所見入力画面W11及び、疾患情報表示画面W12を同一画面上に表示することで、特定される疾患情報を同時に確認することができる。
【0080】
<症状所見情報の特定処理フロー>
図9(a)は、
図5における症状所見入力画面W11に対して入力を受け付けた際の、症状所見入力画面W11を表示する処理の概要を示すフローチャートである。まずS21では、特定部12は疾患情報を特定する。具体的な処理についてはS11~S16と同様であるため省略する。
【0081】
次いでS22において、特定部12は、S21において特定された疾患情報に紐づく症状所見情報を、疾患-症状データベースを参照して特定する。そして、表示処理部13は、当該特定された症状所見情報の症状名又は所見名を含む症状所見入力画面W11を表示処理する。
【0082】
図7は、症状入力情報「腰痛」に紐づく疾患情報が鑑別疾患情報として特定され、当該鑑別疾患情報の疾患名を含む鑑別表示画面W12bが表示された疾患鑑別画面W1を示している。そして特定部12が「腰痛」に紐づく疾患情報「デング熱」等に紐づく症状所見情報を特定すると、表示処理部13は、当該症状所見情報の症状名情報又は所見名情報を含む症状所見入力画面W11を表示処理する。そして、表示処理部13は、表示処理結果を利用者端末2に送信し、端末のディスプレイが当該症状所見入力画面W11を表示する。
【0083】
例えば、症状クラスタ情報「乳房」に紐づく症状所見情報に係る症状入力情報は、「腰痛」に紐づく疾患情報と紐づいておらず、
図7における症状所見入力画面W11においては表示されない。
【0084】
以上のように、鑑別疾患情報を特定する度に、当該鑑別疾患情報に紐づく症状所見情報に係る症状入力情報のみを表示することによって、特定される鑑別疾患情報に関連性の高い症状入力情報のみを選択可能にすることができる。これにより、症状入力情報の選択ひいては、鑑別疾患情報の特定をスムーズに行うことができる。
【0085】
<疾患分類情報の特定処理フロー>
次に
図9(b)を用いて、
図5における症状所見入力画面W11に対して入力を受け付けた際の、疾患分類表示画面W12aを表示する処理の概要を示すフローチャートである。まずS31では、特定部12は疾患情報を特定する。具体的な処理についてはS11~S16と同様であるため省略する。
【0086】
次いでS32において、特定部12は、S31において特定された疾患情報に紐づく疾患分類情報を特定する。そして、表示処理部13は、当該疾患分類情報の分類名を疾患分類入力情報の候補としてリスト形式で選択可能に疾患分類表示画面W12aを表示処理する。
【0087】
図7は、症状入力情報「腰痛」に紐づく疾患情報が鑑別疾患情報として特定され、当該鑑別疾患情報の疾患名を含む鑑別表示画面W12bが表示された疾患鑑別画面W1を示している。そして特定部12が「腰痛」に紐づく疾患情報「デング熱」等に紐づく疾患分類情報を特定すると、表示処理部13は、当該疾患分類情報を疾患分類入力情報の候補としてリスト形式で選択可能に含む疾患分類表示画面W12aを表示処理する。そして、表示処理結果を利用者端末2に送信し、端末のディスプレイが当該鑑別表示画面W12bを表示する。
【0088】
例えば、カテゴリ入力情報「アルコール」は、「腰痛」に紐づく疾患情報と紐づいておらず、
図7における疾患分類表示画面W12aにおいては表示されていない。
【0089】
そして、S33において、抽出部14は、S32において表示された疾患分類情報に対応する疾患分類入力情報を入力部11が受け付けることによって、S31において特定された鑑別疾患情報であって、当該疾患分類入力情報に対応する疾患分類情報に紐づく疾患情報を抽出する。そして、S34において、表示処理部13は、S33において抽出された疾患情報の疾患名を含む鑑別表示画面W12bを表示処理する。
【0090】
以上のように、鑑別疾患情報を特定する度に、当該鑑別疾患情報に紐づく疾患分類情報に係るカテゴリ入力情報のみを表示することによって、特定される鑑別疾患情報に関連性の高いカテゴリ入力情報のみを選択可能にすることができる。これにより、鑑別疾患情報の抽出ひいては、鑑別疾患情報の特定をスムーズに行うことできる。
【符号の説明】
【0091】
0 :鑑別疾患想起支援システム
1 :鑑別疾患想起支援装置1
2 :利用者端末
10 :記憶部
11 :入力部
12 :特定部
13 :表示処理部
14 :抽出部
W1 :疾患鑑別画面
W11 :症状所見入力画面
W12 :疾患情報表示画面
W12a :疾患分類表示画面
W12b :鑑別表示画面
W12c :疾患詳細表示画面
【手続補正書】
【提出日】2022-09-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医師による疾患鑑別を支援する鑑別疾患想起支援システムであって、
前記鑑別疾患想起支援システムは、記憶部、入力部及び、特定部を備え、
前記記憶部は、
疾患に係る疾患情報と、該疾患において生じ得る症状及び/又は所見に係る症状所見情報とを、紐づけて格納する、症状-疾患情報データベースを含み、
前記症状所見情報は、症状や所見の関連性に基づく分類を示す症状クラスタ情報と紐づけられ、
前記入力部は、患者に見られる症状及び/又は所見に係る症状入力情報の入力を、受け付けて、
前記特定部は、該症状入力情報から、前記症状-疾患情報データベースを参照して症状所見情報を特定し、該症状所見情報に紐づけられた前記疾患情報を、前記患者が有する疾患の候補となる鑑別疾患情報として特定し、
前記症状所見情報のうち、同一の前記症状クラスタ情報に紐づく複数の前記症状所見情報を特定すると、当該複数の症状所見情報にそれぞれ紐づく前記疾患情報全てを前記鑑別疾患情報として特定する、鑑別疾患想起支援システム。
【請求項2】
前記特定部は、前記症状所見情報のうち、異なる前記症状クラスタ情報に紐づく複数の前記症状所見情報を特定すると、複数の症状所見情報にそれぞれ紐づく前記疾患情報のうち、共通する前記疾患情報を前記鑑別疾患情報として特定する、請求項1に記載の鑑別疾患想起支援システム。
【請求項3】
前記鑑別疾患想起支援システムは、前記症状入力情報を受け付けるための症状所見入力画面、及び前記特定された鑑別疾患情報を表示する疾患情報表示画面を表示処理する表示処理部を更に備え、
前記表示処理部は、前記症状所見入力画面、鑑別表示画面を同一画面上に表示処理する、請求項1又は請求項2に記載の鑑別疾患想起支援システム。
【請求項4】
前記表示処理部は、前記症状所見入力画面を前記症状クラスタ情報毎の複数の領域に区分けして表示処理し、
前記各領域に対して各症状クラスタ情報に紐づいた前記症状所見情報を前記症状入力情報の候補としてリスト形式で選択可能に表示処理する、請求項3に記載の鑑別疾患想起支援システム。
【請求項5】
前記入力部が前記症状所見入力画面を介して前記症状入力情報の入力を受け付けると、都度、前記特定部は、該症状入力情報から、前記鑑別疾患情報を特定し、
前記表示処理部は、該特定された鑑別疾患情報を、前記鑑別表示画面に表示処理する請求項3に記載の鑑別疾患想起支援システム。
【請求項6】
前記疾患情報は、疾患名情報と疾患詳細情報を含み、
前記疾患情報表示画面は、前記鑑別疾患情報のうち、疾患名情報を表示する鑑別表示画面と、前記鑑別疾患情報のうち、疾患詳細情報を表示する疾患詳細表示画面を有し、
前記表示処理部は、前記特定された疾患情報のうち、疾患名情報及び疾患詳細情報を、それぞれ前記鑑別表示画面及び疾患詳細表示画面に表示処理する、請求項3に記載の鑑別疾患想起支援システム。
【請求項7】
前記入力部が前記症状所見入力画面を介して前記症状入力情報の入力を受け付けると、都度、前記特定部は、該症状入力情報から、前記鑑別疾患情報を特定するとともに、前記症状-疾患情報データベースを参照し、該特定した鑑別疾患情報に紐づく前記症状所見情報を特定し、
前記表示処理部は、前記特定部により特定された前記症状所見情報に対応する症状所見情報を、追加の症状入力情報の候補として前記症状所見入力画面に表示処理する請求項3に記載の鑑別疾患想起支援システム。
【請求項8】
前記症状-疾患情報データベースは、
症状所見情報に紐づく症状クラスタ情報毎に分けた別のデータベースとして構成され、
前記特定部は、前記入力部が異なる症状クラスタに分類される複数の前記症状入力情報の入力を受け付けると、複数の前記データベースを同時に参照して、前記鑑別疾患情報を特定する請求項1又は請求項2に記載の鑑別疾患想起支援システム。
【請求項9】
前記鑑別疾患想起支援システムは、抽出部を更に備え、
前記疾患情報は、疾患のカテゴリを示す疾患分類情報に紐づけられ、
前記疾患情報表示画面は、前記鑑別疾患情報のうち、疾患分類情報を表示する疾患分類表示画面を有し、
前記表示処理部は、前記疾患分類表示画面に、前記特定された鑑別疾患情報のうち、疾患分類情報を表示処理し、
前記入力部は、さらに、前記疾患分類表示画面を介した前記表示処理された疾患分類情報の選択による疾患分類入力情報の入力を受け付け、
前記入力部が疾患分類入力情報の入力を受け付けると、前記抽出部は、前記特定された鑑別疾患情報であって、かつ該疾患分類入力情報に対応する前記疾患分類情報に紐づく前記疾患情報を抽出し、
前記表示処理部は、該抽出された疾患情報を表示処理する請求項3に記載の鑑別疾患想起支援システム。
【請求項10】
前記表示処理部は、前記疾患情報表示画面に、前記特定部によって特定された前記鑑別疾患情報の数を表示処理する請求項3に記載の鑑別疾患想起支援システム。
【請求項11】
前記症状所見情報は、患者の医療画像データから得られる所見を示す画像所見情報及び、患者の身体に見れられる所見や症状を示す身体所見情報を含み、
前記特定部は、前記身体所見情報及び、画像所見情報に基づいて、前記鑑別疾患情報を特定する請求項1又は請求項2に記載の鑑別疾患想起支援システム。
【請求項12】
医師による疾患鑑別を支援する鑑別疾患想起支援プログラムであって、該鑑別疾患想起支援プログラムは、コンピュータを、記憶部、入力部及び、特定部として機能させ、
前記記憶部は、
疾患にかかる疾患情報と、該疾患において生じ得る症状及び/又は所見に係る症状所見情報とを、紐づけて格納する、症状-疾患情報データベースを含み、
前記症状所見情報は、症状や所見の関連性に基づく分類を示す症状クラスタ情報と紐づけられ、
前記入力部は、患者に見られる症状及び/又は所見に係る症状入力情報の入力を、受け付けて、
前記特定部は、該症状入力情報から、前記症状-疾患情報データベースを検索して症状所見情報を特定し、該症状所見情報に紐づけられた前記疾患情報を、前記患者の有する疾患の候補となる鑑別疾患情報として特定し、
前記症状所見情報のうち、同一の前記症状クラスタ情報に紐づく複数の前記症状所見情報を特定すると、該複数の症状所見情報にそれぞれ紐づく前記疾患情報全てを前記鑑別疾患情報として特定する、鑑別疾患想起支援プログラム。
【請求項13】
医師による疾患鑑別を支援する1又は複数のコンピュータを用いた鑑別疾患想起支援方法であって、
前記コンピュータは、
疾患にかかる疾患情報と、該疾患において生じ得る症状及び/又は所見に係る症状所見情報とを、紐づけて格納する、症状-疾患情報データベースを記憶し、前記症状所見情報は、症状や所見の関連性に基づく分類を示す症状クラスタ情報と紐づけられ、
コンピュータが、患者に見られる症状及び/又は所見に係る症状入力情報の入力を、受け付ける、入力ステップと、
コンピュータが、該症状入力情報から、前記症状-疾患情報データベースを検索して症状所見情報を特定し、該症状所見情報に紐づけられた前記疾患情報を、前記患者の有する疾患の候補となる鑑別疾患情報を特定する特定ステップとを有し、
前記特定ステップは、前記症状所見情報のうち、同一の前記症状クラスタ情報に含まれる複数の前記症状所見情報を特定すると、該複数の症状所見情報にそれぞれ紐づく前記疾患情報全てを前記鑑別疾患情報として特定することを含む、鑑別疾患想起支援方法。