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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177580
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20231207BHJP
   F28D 20/02 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
F25B1/00 331D
F25B1/00 101E
F25B1/00 389A
F28D20/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090320
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河村 佳憲
(57)【要約】
【課題】冷媒の量を低減可能な空気調和機を提供する。
【解決手段】一つの実施形態に係る空気調和機は、第1乃至第3の熱交換器、第1乃至第4の配管、圧縮機、エジェクタ、及び気液分離器を備える。前記第1及び第2の配管は、前記第1及び第2の熱交換器を接続する。前記圧縮機は、前記第1の配管に設けられる。前記エジェクタは、前記第2の配管に設けられ、前記第1の熱交換器に接続される流出口と、前記第2の熱交換器に接続される第1の流入口と、第2の流入口と、が設けられる。前記気液分離器は、前記第2の配管に設けられ、気体を含む前記冷媒を前記第1の流入口に供給する。前記第3の配管は、前記第1の配管と前記第2の配管とを接続する。前記第4の配管は、前記気液分離器と前記第2の流入口とを接続する。前記第3の熱交換器は、前記第3の配管と前記第4の配管との間で熱交換を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外熱交換器と、
室内熱交換器と、
前記室外熱交換器と前記室内熱交換器とを接続し、冷媒が流れる、第1の配管と、
前記室内熱交換器と前記室外熱交換器とを接続し、前記冷媒が流れる、第2の配管と、
前記第1の配管に設けられ、前記冷媒を吸入する吸入口と、前記冷媒を吐出する吐出口と、を有する、圧縮機と、
前記第2の配管に設けられ、当該第2の配管を介して前記室外熱交換器と前記室内熱交換器とのうち一方の第1の熱交換器に接続される流出口と、前記第2の配管を介して前記室内熱交換器と前記室内熱交換器とのうち他方の第2の熱交換器に接続される第1の流入口と、第2の流入口と、が設けられ、前記第1の流入口に供給された前記冷媒を前記第2の流入口に供給された前記冷媒と混合するとともに昇圧して前記流出口から前記第1の熱交換器に供給可能な、エジェクタと、
前記第2の熱交換器と前記第1の流入口との間において前記第2の配管に設けられ、前記第2の熱交換器から供給された前記冷媒を液状の前記冷媒と気体を含む前記冷媒とに分離し、気体を含む前記冷媒を前記第2の配管を介して前記第1の流入口に供給する、気液分離器と、
前記第2の熱交換器と前記気液分離器との間において前記第2の配管に接続されるとともに、前記吐出口と前記第2の熱交換器との間において前記第1の配管に接続される、第3の配管と、
前記気液分離器と前記第2の流入口とを接続し、前記気液分離器から液状の前記冷媒を分配される、第4の配管と、
前記第3の配管を流れる前記冷媒と前記第4の配管を流れる前記冷媒との間で熱交換を行う第3の熱交換器と、
を具備する空気調和機。
【請求項2】
前記気液分離器と前記第3の熱交換器との間で前記第4の配管に設けられた第1の膨張弁、をさらに具備する請求項1の空気調和機。
【請求項3】
前記第3の熱交換器と前記気液分離器との間において前記第4の配管を流れる前記冷媒の温度を測定する第1のセンサと、
前記第3の熱交換器と前記第2の流入口との間において前記第4の配管を流れる前記冷媒の温度を測定する第2のセンサと、
前記第1のセンサ及び前記第2のセンサから測定結果を取得し、当該測定結果に基づいて前記第1の膨張弁の開度を制御する、制御装置と、
をさらに具備する請求項2の空気調和機。
【請求項4】
前記気液分離器と前記第2の熱交換器との間で前記第2の配管に設けられた第2の膨張弁、をさらに具備する請求項1乃至請求項3のいずれか一つの空気調和機。
【請求項5】
前記第3の熱交換器に熱的に接続された蓄熱材、をさらに具備する請求項1乃至請求項3のいずれか一つの空気調和機。
【請求項6】
前記第4の配管は、前記第3の熱交換器の一つの端部に位置する入口部と、前記第3の熱交換器の他の一つの端部に位置する出口部と、を有し、前記出口部は前記入口部よりも前記第2の流入口に近く、
前記出口部における内径は、前記入口部における内径よりも大きい、
請求項1乃至請求項3のいずれか一つの空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
エアコンディショナのような空気調和機は、冷凍サイクルにおける冷媒の凝縮及び蒸発により、室内の温度を調節する。冷媒は、暖房運転において室外熱交換器(蒸発器)で蒸発し、室内熱交換器(凝縮器)で凝縮する。反対に、冷媒は、冷房運転において室外熱交換器(凝縮器)で凝縮し、室内熱交換器(蒸発器)で蒸発する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5821709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
もし室内熱交換器又は室外熱交換器の効率が向上するならば、当該熱交換器は、能力を向上させられるか小型化され得る。熱交換器が小型化されるならば、空気調和機における冷媒の総量が低減され得る。
【0005】
本発明が解決する課題の一例は、冷媒の量を低減可能な空気調和機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの実施形態に係る空気調和機は、室外熱交換器と、室内熱交換器と、第1の配管と、第2の配管と、圧縮機と、エジェクタと、気液分離器と、第3の配管と、第4の配管と、第3の熱交換器と、を備える。前記第1の配管は、前記室外熱交換器と前記室内熱交換器とを接続し、冷媒が流れる。前記第2の配管は、前記室内熱交換器と前記室外熱交換器とを接続し、前記冷媒が流れる。前記圧縮機は、前記第1の配管に設けられ、前記冷媒を吸入する吸入口と、前記冷媒を吐出する吐出口と、を有する。前記エジェクタは、前記第2の配管に設けられ、当該第2の配管を介して前記室外熱交換器と前記室内熱交換器とのうち一方の第1の熱交換器に接続される流出口と、前記第2の配管を介して前記室内熱交換器と前記室内熱交換器とのうち他方の第2の熱交換器に接続される第1の流入口と、第2の流入口と、が設けられ、前記第1の流入口に供給された前記冷媒を前記第2の流入口に供給された前記冷媒と混合するとともに昇圧して前記流出口から前記第1の熱交換器に供給可能である。前記気液分離器は、前記第2の熱交換器と前記第1の流入口との間において前記第2の配管に設けられ、前記第2の熱交換器から供給された前記冷媒を液状の前記冷媒と気体を含む前記冷媒とに分離し、気体を含む前記冷媒を前記第2の配管を介して前記第1の流入口に供給する。前記第3の配管は、前記第2の熱交換器と前記気液分離器との間において前記第2の配管に接続されるとともに、前記吐出口と前記第2の熱交換器との間において前記第1の配管に接続される。前記第4の配管は、前記気液分離器と前記第2の流入口とを接続し、前記気液分離器から液状の前記冷媒を分配される。前記第3の熱交換器は、前記第3の配管を流れる前記冷媒と前記第4の配管を流れる前記冷媒との間で熱交換を行う。
【0007】
上記空気調和機は、例えば、前記気液分離器と前記第3の熱交換器との間で前記第4の配管に設けられた第1の膨張弁、をさらに備える。
【0008】
上記空気調和機は、例えば、第1のセンサと、第2のセンサと、制御装置とをさらに備える。前記第1のセンサは、前記第3の熱交換器と前記気液分離器との間において前記第4の配管を流れる前記冷媒の温度を測定する。前記第2のセンサは、前記第3の熱交換器と前記第2の流入口との間において前記第4の配管を流れる前記冷媒の温度を測定する。前記制御装置は、前記第1のセンサ及び前記第2のセンサから測定結果を取得し、当該測定結果に基づいて前記第1の膨張弁の開度を制御する。
【0009】
上記空気調和機は、例えば、前記気液分離器と前記第2の熱交換器との間で前記第2の配管に設けられた第2の膨張弁、をさらに備える。
【0010】
上記空気調和機は、例えば、前記第3の熱交換器に熱的に接続された蓄熱材、をさらに備える。
【0011】
上記空気調和機において、例えば、前記第4の配管は、前記第3の熱交換器の一つの端部に位置する入口部と、前記第3の熱交換器の他の一つの端部に位置する出口部と、を有し、前記出口部は前記入口部よりも前記第2の流入口に近い。前記出口部における内径は、前記入口部における内径よりも大きい。
【0012】
以上の空気調和機によれば、例えば、冷媒の量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、一つの実施形態に係る暖房運転時の空気調和機を概略的に示す冷媒系統図である。
図2図2は、上記実施形態の冷房運転時の空気調和機を概略的に示す冷媒系統図である。
図3図3は、上記実施形態のエジェクタを模式的に示す断面図である。
図4図4は、上記実施形態の空気調和機の構成を機能的に示すブロック図である。
図5図5は、上記実施形態の空気調和機の暖房運転制御の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、上記実施形態の空気調和機の冷房運転制御の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、上記実施形態の制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、一つの実施形態について、図1乃至図7を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0015】
図1は、一つの実施形態に係る暖房運転時の空気調和機10を概略的に示す冷媒系統図である。空気調和機10は、例えば、家庭用のエアコンディショナである。なお、空気調和機10は、この例に限られず、業務用のエアコンディショナのような他の空気調和機であっても良い。
【0016】
図1に示すように、空気調和機10は、室外機11と、室内機12と、冷媒配管13と、制御装置14とを有する。室外機11は、例えば、屋外に配置される。室内機12は、例えば、屋内に配置される。
【0017】
空気調和機10は、室外機11と室内機12とが冷媒配管13により接続された冷凍サイクルを備える。室外機11と室内機12との間で、冷媒配管13を通り、冷媒が流れる。また、室外機11と室内機12とは、例えば電気配線により互いに電気的に接続される。
【0018】
室外機11は、室外熱交換器21と、室外送風ファン22と、圧縮機23と、アキュムレータ24と、第1の四方弁25と、第2の四方弁26と、エジェクタ27と、気液分離器28と、第1の膨張弁31と、第2の膨張弁32と、第1のバルブ33と、第2のバルブ34と、逆止弁35と、中間熱交換器37と、蓄熱材38と、複数の温度センサ41,42,43,44,45,46とを有する。中間熱交換器37は、第3の熱交換器の一例である。温度センサ41は、第1のセンサの一例である。温度センサ42は、第2のセンサの一例である。室内機12は、室内熱交換器51と、室内送風ファン52と、温度センサ53とを有する。
【0019】
冷媒配管13は、例えば、銅又はアルミニウムのような金属で作られた管である。冷媒配管13は、第1の配管61と、第2の配管62と、第3の配管63と、第4の配管64とを有する。
【0020】
第1の配管61は、室外熱交換器21と室内熱交換器51とを接続する。圧縮機23、アキュムレータ24、及び第1の四方弁25は、第1の配管61に設けられる。第2の配管62は、室内熱交換器51と室外熱交換器21とを接続する。第2の四方弁26、エジェクタ27、気液分離器28、及び第2の膨張弁32は、第2の配管62に設けられる。
【0021】
第3の配管63は、第1の配管61と第2の配管62とを接続する。第1のバルブ33、第2のバルブ34、及び逆止弁35は、第3の配管63に設けられる。第4の配管64の一方の端部64aは、エジェクタ27に接続される。第4の配管64の他方の端部64bは、気液分離器28に接続される。第1の膨張弁31は、第4の配管64に設けられる。
【0022】
暖房運転において、冷媒は、室外熱交換器21から室内熱交換器51へ向かって第1の配管61を流れ、室内熱交換器51から室外熱交換器21へ向かって第2の配管62を流れる。図1の矢印は、暖房運転における冷媒の流れを示す。
【0023】
図2は、本実施形態の冷房運転時の空気調和機10を概略的に示す冷媒系統図である。図2に示すように、冷房運転において、冷媒は、室内熱交換器51から室外熱交換器21へ向かって第1の配管61を流れ、室外熱交換器21から室内熱交換器51へ向かって第2の配管62を流れる。図2の矢印は、冷房運転における冷媒の流れを示す。
【0024】
室外機11の室外熱交換器21は、冷媒の流れる方向に応じて、蒸発器Eとして冷媒の吸熱を行い、又は凝縮器Cとして冷媒の放熱を行う。蒸発器Eは、第1の熱交換器の一例である。凝縮器Cは、第2の熱交換器の一例である。本実施形態の室外機11は、小型の室外熱交換器21を有する。例えば、室外熱交換器21の容積は、室内熱交換器51の容積よりも小さい。なお、室外熱交換器21の容積は、この例に限られない。
【0025】
室外送風ファン22は、室外熱交換器21を通る気流を生成し、室外熱交換器21における冷媒と空気との熱交換を促進する。言い換えると、室外送風ファン22は、室外熱交換器21と熱交換する気流を生成する。
【0026】
圧縮機23は、吸入口23aと吐出口23bとを有する。圧縮機23は、吸入口23aから冷媒を吸入し、圧縮した冷媒を吐出口23bから吐出する。これにより、圧縮機23は、冷凍サイクルにおいて冷媒を圧縮するとともに、冷媒の循環を生じさせる。
【0027】
アキュムレータ24は、圧縮機23の吸入口23aに接続される。アキュムレータ24は、ガス状の冷媒と液状の冷媒とを分離する。これにより、圧縮機23は、アキュムレータ24を通過したガス状の冷媒を吸入口23aから吸入することができる。アキュムレータ24は、圧縮機23と一体に構成されることで、圧縮機23の吸入口となることができる。
【0028】
第1の四方弁25は、室外熱交換器21と、室内熱交換器51と、圧縮機23の吐出口23bと、アキュムレータ24(圧縮機23の吸入口23a)とに接続される。第1の四方弁25は、暖房運転時と冷房運転時とで、室外熱交換器21、室内熱交換器51、圧縮機23の吐出口23b、及びアキュムレータ24のそれぞれに接続される流路を切り替え、冷媒が流れる方向を変更する。
【0029】
室内機12の室内熱交換器51は、冷媒の流れる方向に応じて、蒸発器Eとして吸熱し、又は凝縮器Cとして放熱する。室内送風ファン52は、室内熱交換器51を通る気流を生成し、室内熱交換器51と空気との熱交換を促進する。言い換えると、室内送風ファン52は、室内熱交換器51と熱交換する気流を生成する。
【0030】
図1に示すように、暖房運転において、第1の四方弁25は、室外熱交換器21(蒸発器E)とアキュムレータ24とを接続する。さらに、暖房運転において、第1の四方弁25は、室内熱交換器51(凝縮器C)と圧縮機23の吐出口23bとを接続する。これにより、圧縮機23で圧縮された冷媒が凝縮器Cへ流れ、蒸発器Eで蒸発した冷媒がアキュムレータ24へ流れる。
【0031】
図2に示すように、冷房運転において、第1の四方弁25は、室外熱交換器21(凝縮器C)と圧縮機23の吐出口23bとを接続する。さらに、冷房運転において、第1の四方弁25は、室内熱交換器51(蒸発器E)とアキュムレータ24とを接続する。これにより、圧縮機23で圧縮された冷媒が凝縮器Cへ流れ、蒸発器Eで蒸発した冷媒がアキュムレータ24へ流れる。
【0032】
第2の四方弁26は、第2の配管62を、室外側配管71と、室内側配管72と、中間配管73とに分割する。言い換えると、第2の配管62は、室外側配管71と、室内側配管72と、中間配管73とを有する。なお、第2の配管62は、他の部分をさらに有しても良い。
【0033】
室外側配管71は、室外熱交換器21と第2の四方弁26とを接続する。室内側配管72は、第2の四方弁26と室内熱交換器51とを接続する。エジェクタ27、気液分離器28、及び第2の膨張弁32は、中間配管73に設けられる。中間配管73は、上流側端部73aと、下流側端部73bとを有する。上流側端部73a及び下流側端部73bは、第2の四方弁26に接続される。
【0034】
図1に示すように、暖房運転時において、第2の四方弁26は、室外側配管71を中間配管73の下流側端部73bに接続するとともに、室内側配管72を中間配管73の上流側端部73aに接続する。このため、室内熱交換器51(凝縮器C)で凝縮した冷媒が、室内側配管72から上流側端部73aへ流れるとともに、下流側端部73bから室外側配管71へ流れる。
【0035】
図2に示すように、冷房運転時において、第2の四方弁26は、室外側配管71を上流側端部73aに接続するとともに、室内側配管72を下流側端部73bに接続する。このため、室外熱交換器21(凝縮器C)で凝縮した冷媒が、室外側配管71から上流側端部73aへ流れるとともに、下流側端部73bから室内側配管72へ流れる。
【0036】
第2の四方弁26は、暖房運転及び冷房運転のいずれにおいても、上流側端部73aを凝縮器Cに接続するとともに、下流側端部73bを蒸発器Eに接続する。このため、暖房運転及び冷房運転のいずれにおいても、中間配管73における冷媒は、上流側端部73aから下流側端部73bへ流れる。
【0037】
図3は、本実施形態のエジェクタ27を模式的に示す断面図である。図3に示すように、エジェクタ27は、簡素な構造を有するため、保守及び空気調和機10への組み込みが容易である。なお、エジェクタ27の構造は、図3の例に限られない。エジェクタ27には、第1の流入口81と、第2の流入口82と、流出口83と、ノズル部84と、吸引部85と、混合部86と、ディフューザ部87とが設けられる。
【0038】
図1に示すように、第1の流入口81は、中間配管73の上流側端部73aを介して、第2の四方弁26に接続される。このため、第1の流入口81は、第2の配管62を介して凝縮器Cに接続される。
【0039】
第2の流入口82は、第4の配管64の端部64aに接続される。第4の配管64は、気液分離器28と第2の流入口82とを接続する。流出口83は、中間配管73の下流側端部73bを介して、第2の四方弁26に接続される。このため、流出口83は、第2の配管62を介して蒸発器Eに接続される。
【0040】
エジェクタ27は、第1の流入口81に供給された冷媒を、第2の流入口82に供給された冷媒と混合するとともに昇圧して流出口83から放出することができる。このため、エジェクタ27は、冷媒を流出口83から第2の配管62を通じて蒸発器Eに供給することができる。
【0041】
図3に示すように、ノズル部84は、第1の流入口81と混合部86との間に設けられる。ノズル部84は、混合部86に向かって先細る部分を有した流路である。ノズル部84は、第1の流入口81に流入した冷媒を、減圧膨張させて混合部86に噴出する。ノズル部84の出口近傍における圧力が低いため、ノズル部84に接続された第1の流入口81は、冷媒を吸引できる。
【0042】
吸引部85は、第2の流入口82と混合部86との間に設けられる。吸引部85は、ノズル部84の周りに設けられ、混合部86に向かって先細る部分を有した略円筒状の流路である。吸引部85は、第2の流入口82に流入した冷媒を、減圧膨張させて混合部86に噴出する。吸引部85の出口近傍における圧力が低いため、吸引部85に接続された第2の流入口82は、冷媒を吸引できる。
【0043】
混合部86は、ノズル部84及び吸引部85と、ディフューザ部87との間に設けられる。エジェクタ27は、混合部86において、吸引部85から噴出した冷媒を、ノズル部84から噴出した冷媒と混合する。
【0044】
ディフューザ部87は、混合部86と流出口83との間に設けられる。ディフューザ部87は、流出口83に向かって拡大する部分を有した流路である。混合部86で混合された冷媒は、ディフューザ部87で減速して昇圧し、流出口83から放出される。
【0045】
エジェクタ27は、電磁弁88を有する。電磁弁88は、第1の流入口81を開閉することができる。なお、図3において、電磁弁88はノズル部84の外部に位置するが、電磁弁88はノズル部84の内部又は他の部分に設けられても良い。電磁弁88は、開度を制御されることで、第1の流入口81に供給される冷媒の量を調節する。なお、エジェクタ27は、第2の流入口82に供給される冷媒の量を調節可能な電磁弁を有しても良い。
【0046】
図1に示すように、気液分離器28は、第2の四方弁26と第1の流入口81との間に設けられる。言い換えると、気液分離器28は、凝縮器Cと第1の流入口81との間において、第2の配管62に設けられる。
【0047】
気液分離器28は、例えば表面張力式気液分離器である。なお、気液分離器28は、他の気液分離器であっても良い。気液分離器28に、冷媒入口28aと、ガス出口28bと、液出口28cとが設けられる。
【0048】
冷媒入口28aは、中間配管73の上流側端部73aを介して第2の四方弁26に接続される。このため、冷媒入口28aは、第2の配管62を介して凝縮器Cに接続される。凝縮器Cで凝縮された冷媒は、冷媒入口28aから気液分離器28に流入する。冷媒入口28aを通る冷媒は、気体を含んでも良い。
【0049】
気液分離器28は、凝縮器Cから冷媒入口28aに供給された冷媒を、液状の冷媒と、気液二相の冷媒とに分離する。気液二相の冷媒は、気体を含む冷媒の一例である。なお、気液分離器28は、冷媒を、液状の冷媒と、ガス状の冷媒とに分離しても良い。
【0050】
ガス出口28bは、中間配管73を通じてエジェクタ27の第1の流入口81に接続される。液出口28cは、第4の配管64の端部64bに接続される。このため、液出口28cは、第4の配管64を介して第2の流入口82に接続される。
【0051】
気液分離器28は、分離された冷媒を、ガス出口28bと液出口28cに分配する。気液分離器28は、気液二相の冷媒を、ガス出口28bから第2の配管62を介して第1の流入口81に供給する。気液分離器28は、液状の冷媒を、液出口28cから第4の配管64に分配する。第4の配管64において、冷媒は、第4の配管64の一方の端部64b(気液分離器28の液出口28c)から、他方の端部64a(エジェクタ27の第2の流入口82)へ流れる。
【0052】
第1の膨張弁31及び第2の膨張弁32は、例えば、電磁膨張弁である。なお、第1の膨張弁31及び第2の膨張弁32は、他の膨張弁であっても良い。また、室外機11は、第2の膨張弁32を省略しても良い。
【0053】
第1の膨張弁31は、開度を制御されることで、第4の配管64において気液分離器28の液出口28cからエジェクタ27の第2の流入口82へ流れる冷媒の量を調節する。第2の膨張弁32は、第2の四方弁26と気液分離器28との間に位置する。言い換えると、第2の膨張弁32は、気液分離器28と凝縮器Cとの間で第2の配管62に設けられる。第2の膨張弁32は、開度を制御されることで、第2の配管62において凝縮器Cから気液分離器28の冷媒入口28aへ流れる冷媒の量を調節する。
【0054】
第3の配管63は、主配管90と、第1の導入配管91と、第2の導入配管92とを有する。なお、第3の配管63は、他の部分を有しても良い。逆止弁35は、主配管90に設けられる。第1のバルブ33は、第1の導入配管91に設けられる。第2のバルブ34は、第2の導入配管92に設けられる。
【0055】
主配管90は、気液分離器28の冷媒入口28aと、第2の膨張弁32と、の間で中間配管73に接続される。言い換えると、第3の配管63は、凝縮器Cと気液分離器28との間において、第2の配管62に接続される。
【0056】
第1の導入配管91は、第1の四方弁25と室内熱交換器51との間で、第1の配管61に接続される。第2の導入配管92は、第1の四方弁25と室外熱交換器21との間で、第1の配管61に接続される。第1の導入配管91及び第2の導入配管92のそれぞれは、第1の配管61と主配管90とを接続する。
【0057】
第1のバルブ33及び第2のバルブ34は、例えば、電磁弁である。なお、第1のバルブ33及び第2のバルブ34は、他のバルブであっても良い。第1のバルブ33は、暖房運転において開き、冷房運転において閉じる。第2のバルブ34は、暖房運転において閉じ、冷房運転において開く。
【0058】
図1に示すように、暖房運転において、圧縮機23の吐出口23bから吐出された冷媒は、第1の配管61を通って室内熱交換器51(凝縮器C)へ向かって流れる。第1の配管61を流れる冷媒の一部は、第1の導入配管91及び主配管90を通って、中間配管73に供給される。
【0059】
図2に示すように、冷房運転において、圧縮機23の吐出口23bから吐出された冷媒は、第1の配管61を通って室外熱交換器21(凝縮器C)へ向かって流れる。第1の配管61を流れる冷媒の一部は、第2の導入配管92及び主配管90を通って、中間配管73に供給される。
【0060】
第3の配管63は、暖房運転及び冷房運転のいずれにおいても、凝縮器Cと気液分離器28との間で第2の配管62に接続されるとともに、吐出口23bと凝縮器Cとの間で第1の配管61に接続される。このため、第3の配管63は、凝縮器Cを迂回して、第1の配管61と第2の配管62とを接続する。
【0061】
逆止弁35は、第3の配管63において、圧縮機23の吐出口23bから中間配管73へ向かう冷媒の流れを通過させる。一方、逆止弁35は、中間配管73から第1の配管61へ向かう冷媒の流れを遮断する。
【0062】
中間熱交換器37は、第3の配管63の主配管90を流れる冷媒と、第4の配管64を流れる冷媒との間で熱交換を行う。中間熱交換器37は、二重管式熱交換器である。例えば、第4の配管64が主配管90の内側に位置し、主配管90を流れる冷媒と、第4の配管64を流れる冷媒と、が第4の配管64を介して熱交換を行う。すなわち、本実施形態の中間熱交換器37は、主配管90の一部と、第4の配管64の一部とを含む。なお、中間熱交換器37は、この例に限られない。例えば、中間熱交換器37は、プレート式熱交換器のような他の熱交換器であっても良い。
【0063】
中間熱交換器37は、第1の膨張弁31とエジェクタ27の第2の流入口82との間に位置する。このため、第1の膨張弁31は、気液分離器28の液出口28cと、中間熱交換器37との間で、第4の配管64に設けられる。
【0064】
第4の配管64は、入口部64cと、出口部64dとを有する。入口部64cは、中間熱交換器37の一つの端部37aに位置する。出口部64dは、中間熱交換器37の他の一つの端部37bに位置する。
【0065】
冷媒は、入口部64cから中間熱交換器37に含まれる第4の配管64の一部に流入し、出口部64dから流出する。このため、入口部64cは、出口部64dよりも上流側に位置し、出口部64dよりも気液分離器28の液出口28cに近い。出口部64dは、入口部64cよりも下流側に位置し、入口部64cよりもエジェクタ27の第2の流入口82に近い。
【0066】
出口部64dにおける第4の配管64の内径は、入口部64cにおける第4の配管64の内径よりも大きい。さらに、入口部64cと出口部64dとの間における第4の配管64の内径は、入口部64cにおける第4の配管64の内径よりも小さく、且つ出口部64dにおける第4の配管64の内径よりも小さい。なお、第4の配管64の内径は、この例に限られない。
【0067】
蓄熱材38は、中間熱交換器37に熱的に接続される。蓄熱材38は、例えば、ブロック状の容器に充填された潜熱蓄熱材を有する。潜熱蓄熱材は、例えば、塩化カルシウムである。蓄熱材38は、他の潜熱蓄熱材を有しても良い。
【0068】
温度センサ41は、気液分離器28と中間熱交換器37との間において、第4の配管64を流れる冷媒の温度を測定する。本実施形態では、温度センサ41は、第1の膨張弁31と中間熱交換器37との間に設けられる。温度センサ42は、中間熱交換器37と第2の流入口82との間において、第4の配管64を流れる冷媒の温度を測定する。
【0069】
温度センサ43は、圧縮機23の吸入口23aと蒸発器Eとの間において、第1の配管61を流れる冷媒の温度を測定する。本実施形態では、温度センサ43は、アキュムレータ24と第1の四方弁25との間に設けられる。温度センサ44は、室外熱交換器21を流れる冷媒の温度を測定する。例えば、温度センサ44は、室外熱交換器21を流れる冷媒の飽和温度が取得可能な位置に配置される。
【0070】
温度センサ45は、第2の四方弁26と室内熱交換器51との間において、第2の配管62を流れる冷媒の温度を測定する。温度センサ46は、気液分離器28と第2の膨張弁32との間において、第2の配管62を流れる冷媒の温度を測定する。本実施形態では、温度センサ46は、第2の配管62と第3の配管63とが接続される部分と、第2の膨張弁32と、の間に設けられる。
【0071】
温度センサ47は、第2の四方弁26と室外熱交換器21との間において、第2の配管62を流れる冷媒の温度を測定する。温度センサ53は、室内熱交換器51を流れる冷媒の温度を測定する。例えば、温度センサ53は、室内熱交換器51を流れる冷媒の飽和温度が取得可能な位置に配置される。
【0072】
制御装置14は、例えば、室外制御装置14aと、室内制御装置14bとを有する。室外制御装置14aと室内制御装置14bとは、互いに電気配線により電気的に接続される。室外制御装置14a及び室内制御装置14bのうち少なくとも一方は、例えば、CPU(Central Processing Unit)又はマイクロコントローラのような制御装置と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、フラッシュメモリのような記憶装置とを有するコンピュータである。なお、制御装置14は、この例に限られない。例えば、制御装置14は、室外制御装置14a及び室内制御装置14bのうち一方のみを有しても良い。
【0073】
室外制御装置14aは、室外機11の室外送風ファン22、圧縮機23、第1の四方弁25、第2の四方弁26、第1の膨張弁31、第2の膨張弁32、第1のバルブ33、第2のバルブ34、及びエジェクタ27の電磁弁88を制御する。室内制御装置14bは、室内機12の室内送風ファン52を制御する。
【0074】
制御装置14が室外機11及び室内機12を制御することで、空気調和機10は、冷房運転、暖房運転、除湿運転、除霜運転、及び他の運転を行う。室内制御装置14bは、例えば、リモートコントローラから信号を入力されても良いし、通信装置を通じてスマートフォンのような情報端末から信号を入力されても良い。
【0075】
図1に示すように、暖房運転においては、圧縮機23の吐出口23bから吐出されたガス状の冷媒が、第1の配管61を通って室内熱交換器51(凝縮器C)に供給される。凝縮器Cで凝縮した冷媒は、第2の膨張弁32によって減圧され、気液分離器28の冷媒入口28aに流入する。
【0076】
気液二相の冷媒は、気液分離器28のガス出口28bから、エジェクタ27の第1の流入口81に供給される。液状の冷媒は、気液分離器28の液出口28cから、第4の配管64に流入する。第4の配管64において、液状の冷媒は、第1の膨張弁31によって減圧される。
【0077】
一方、圧縮機23の吐出口23bから吐出された高温高圧の冷媒の一部は、第1の導入配管91から第3の配管63に流入する。中間熱交換器37は、第3の配管63を流れる高温の冷媒と、第4の配管64を流れる液状の冷媒との間で、熱交換を行う。これにより、中間熱交換器37は、第4の配管64を流れる液状の冷媒を、部分的に蒸発させて気液二相の冷媒とする。中間熱交換器37を通過した気液二相の冷媒は、第4の配管64からエジェクタ27の第2の流入口82に流入する。第3の配管63を通過した冷媒は、第2の膨張弁32で減圧された冷媒と混合し、気液分離器28の冷媒入口28aに流入する。
【0078】
エジェクタ27は、第1の流入口81に供給された気液二相の冷媒と、第2の流入口82に供給された気液二相の冷媒とを混合するとともに昇圧して、流出口83から室外熱交換器21(蒸発器E)に供給する。蒸発器Eで蒸発した冷媒は、アキュムレータ24を通って圧縮機23の吸入口23aに流入する。
【0079】
本実施形態において、室外熱交換器21は小型である。このため、空気調和機10における冷媒の総量が少なく、過冷却度が小さくなりやすい。しかし、本実施形態の空気調和機10は、エジェクタ27を備えることで、過冷却度が小さくとも高い冷凍能力を得ることができる。
【0080】
図2に示すように、冷房運転においては、圧縮機23の吐出口23bから吐出されたガス状の冷媒が、第1の配管61を通って室外熱交換器21(凝縮器C)に供給される。凝縮器Cから室内熱交換器51(蒸発器E)までの冷媒の移動は、暖房運転における冷媒の移動と実質的に等しい。また、圧縮機23の吐出口23bから吐出された高温高圧の冷媒の一部は、第2の導入配管92から第3の配管63に流入する。第3の配管63から気液分離器28の冷媒入口28aまでの冷媒の移動は、暖房運転における冷媒の移動と実質的に等しい。
【0081】
エジェクタ27は気液二相の冷媒により動作可能である。このため、小型の室外熱交換器21(凝縮器C)が冷媒を十分に液化しなかったとしても、エジェクタ27が気液二相の冷媒により十分に動作することができ、ひいては空気調和機10における冷凍サイクルの冷凍能力が低下することが抑制される。
【0082】
図4は、本実施形態の空気調和機10の構成を機能的に示すブロック図である。図4に示すように、本実施形態の空気調和機10は、室外ファン駆動回路101と、室内ファン駆動回路102と、インバータ回路103と、複数の弁駆動回路111~117とをさらに有する。
【0083】
室外ファン駆動回路101は、室外送風ファン22の駆動回路である。室内ファン駆動回路102は、室内送風ファン52の駆動回路である。インバータ回路103は、圧縮機23をインバータ制御し、圧縮機23の運転周波数を変更する。インバータ回路103は、例えば、PAM(pulse amplitude modulation)方式のインバータ回路である。なお、圧縮機23は、インバータ制御と異なる方法で制御されても良い。
【0084】
弁駆動回路111は、第1の四方弁25の駆動回路である。弁駆動回路112は、第2の四方弁26の駆動回路である。弁駆動回路113は、第1の膨張弁31の駆動回路である。弁駆動回路114は、第2の膨張弁32の駆動回路である。
【0085】
弁駆動回路115は、エジェクタ27の電磁弁88の駆動回路である。弁駆動回路116は、第1のバルブ33の駆動回路である。弁駆動回路117は、第2のバルブ34の駆動回路である。
【0086】
制御装置14は、複数の温度センサ41~47及び温度センサ53と、室外ファン駆動回路101と、室内ファン駆動回路102と、インバータ回路103と、複数の弁駆動回路111~117とに接続される。制御装置14は、温度取得部121と、運転切替部122と、室外ファン制御部123と、室内ファン制御部124と、圧縮機制御部125と、弁制御部126とを備える。
【0087】
温度取得部121は、複数の温度センサ41~47及び温度センサ53から、冷媒の温度の測定結果を取得する。例えば、温度取得部121は、温度センサ41~47及び温度センサ53の出力信号から、冷媒の温度を算出する。
【0088】
運転切替部122は、空気調和機10における冷房運転と、暖房運転と、除湿運転と、除霜運転とを切り替える。なお、運転切替部122は、空気調和機10の運転を他の運転方式に切り替えても良い。
【0089】
室外ファン制御部123は、室外送風ファン22を制御する。例えば、室外ファン制御部123は、室外ファン駆動回路101を制御することで、室外送風ファン22のモータの回転数を制御する。
【0090】
室内ファン制御部124は、室内送風ファン52を制御する。例えば、室内ファン制御部124は、室内ファン駆動回路102を制御することで、室内送風ファン52のモータの回転数を制御する。
【0091】
圧縮機制御部125は、圧縮機23を制御する。例えば、圧縮機制御部125は、インバータ回路103を制御することで、インバータ制御により圧縮機23の運転周波数を制御する。
【0092】
弁制御部126は、第1の四方弁25、第2の四方弁26、第1の膨張弁31、第2の膨張弁32、第1のバルブ33、第2のバルブ34、及び電磁弁88を制御する。弁制御部126は、弁駆動回路111,112を制御することで、第1の四方弁25及び第2の四方弁26のアクチュエータを駆動し、第1の四方弁25及び第2の四方弁26に冷媒が流れる方向を変更させる。
【0093】
弁制御部126は、弁駆動回路113~115を制御することで、第1の膨張弁31、第2の膨張弁32、及び電磁弁88の開度を変更させる。さらに、弁制御部126は、弁駆動回路116,117を制御することで、第1のバルブ33及び第2のバルブ34を開閉させる。
【0094】
以下に、本実施形態の空気調和機10の暖房運転制御及び冷房運転制御について説明する。なお、上述のように、空気調和機10は、暖房運転及び冷房運転に限らず、除湿運転及び除霜運転のような他の運転を行うことができる。また、空気調和機10の暖房運転制御及び冷房運転制御は、以下に説明される例に限られない。
【0095】
図5は、本実施形態の空気調和機10の暖房運転制御の一例を示すフローチャートである。なお、例えば、空気調和機10の起動と暖房運転の開始が同時である場合、室外送風ファン22、圧縮機23、及び室内送風ファン52は停止している。この場合、室外ファン制御部123、室内ファン制御部124、及び圧縮機制御部125は、暖房運転の開始時に、室外送風ファン22、圧縮機23、及び室内送風ファン52を起動する。
【0096】
図5に示すように、暖房運転が開始されると、弁制御部126が弁駆動回路111,112を制御し、第1の四方弁25及び第2の四方弁26に冷媒が流れる方向を、暖房運転の方向に切り替えさせる(S101)。これにより、図1に示すように、室内熱交換器51と圧縮機23の吐出口23bとが接続されるとともに、室外熱交換器21とアキュムレータ24(圧縮機23の吸入口23a)とが接続される。さらに、室外熱交換器21がエジェクタ27の流出口83に接続されるとともに、室内熱交換器51が第2の膨張弁32に接続される。
【0097】
次に、図5に示すように、弁制御部126が第1のバルブ33及び第2のバルブ34を制御し、第1のバルブ33を開き、第2のバルブ34を閉じる(S102)。これにより、第2のバルブ34は、第2の導入配管92における冷媒の流れを遮断する。一方、圧縮機23の吐出口23bから吐出された冷媒は、第1の導入配管91から、第3の配管63に流入する。
【0098】
次に、運転切替部122は、暖房運転を終了するか否かを判定する(S103)。例えば、リモートコントローラから室内制御装置14bが停止信号又は他の運転への切替信号を入力された場合、運転切替部122は、暖房運転が終了するものと判定し(S103:Yes)、暖房運転を終了する。
【0099】
一方、暖房運転が終了しない場合(S103:No)、弁制御部126は、温度TN1,TN2が、約3.5℃であるか否かを判定する(S104)。例えば、温度取得部121が、温度センサ41から第1の膨張弁31と中間熱交換器37との間の冷媒の温度TN1を取得する。さらに、温度取得部121が、温度センサ42から中間熱交換器37とエジェクタ27の第2の流入口82の間の冷媒の温度TN2を取得する。弁制御部126は、温度TN1,TN2のそれぞれが3.5±0.5℃の範囲内にあるか否かを判定する。なお、S104おける判定はこの例に限られない。
【0100】
温度TN1が約3.5℃に設定されることで、第4の配管64において中間熱交換器37に流入する冷媒の圧力P1は、約0.9MPaとなる。また、温度TN2が約3.5℃に設定されることで、中間熱交換器37からエジェクタ27の第2の流入口82に供給される冷媒の圧力P2も、約0.9MPaとなる。
【0101】
圧力P1と圧力P2とが0.9MPaに近く、且つ圧力P1と圧力P2とが互いに略等しいか圧力P2が圧力P1より高い場合、エジェクタ27の能力が大きくなる。このため、温度TN1,TN2が約3.5℃に設定されることで、室外熱交換器21(蒸発器E)の冷凍能力が向上し得る。
【0102】
温度TN1,TN2が約3.5℃でない場合(S104:No)、弁制御部126は、第1の膨張弁31を制御し、第1の膨張弁31の開度を調整する(S105)。弁制御部126は、温度TN1,TN2が約3.5℃となるように、第1の膨張弁31の開度を調整する。すなわち、弁制御部126は、温度センサ41,42の測定結果(温度TN1,TN2)に基づいて、第1の膨張弁31の開度を制御する。
【0103】
S104において温度TN1,TN2が約3.5℃である場合(S104:Yes)、又はS105で第1の膨張弁31の開度が調整されると、弁制御部126は、温度SUと温度TC1との差(過熱度)が約1℃であるか否かを判定する(S106)。
【0104】
例えば、温度取得部121が、温度センサ43からアキュムレータ24と室外熱交換器21(蒸発器E)との間における冷媒の温度SUを取得する。さらに、温度取得部121が、温度センサ44から室外熱交換器21における冷媒の温度TC1を取得する。弁制御部126は、過熱度(SU-TC1)が1±0.5℃の範囲内にあるか否かを判定する。なお、S106における判定はこの例に限られない。
【0105】
過熱度(SU-TC1)が約1℃でない場合(S106:No)、弁制御部126は、エジェクタ27の電磁弁88を制御し、電磁弁88の開度を調整する(S107)。弁制御部126は、過熱度(SU-TC1)が約1℃となるように、電磁弁88の開度を調整する。
【0106】
S106において過熱度(SU-TC1)が約1℃である場合(S106:Yes)、又はS107で電磁弁88の開度が調整されると、弁制御部126は、温度TC3と温度TC4との差が約5℃であるか否かを判定する(S108)。
【0107】
例えば、温度取得部121が、温度センサ45から室内熱交換器51(凝縮器C)と第2の膨張弁32との間における冷媒の温度TC3を取得する。さらに、温度取得部121が、温度センサ46から第2の膨張弁32と気液分離器28との間における冷媒の温度TC4を取得する。弁制御部126は、温度差(TC3-TC4)が5±0.5℃の範囲内にあるか否かを判定する。なお、S108における判定はこの例に限られない。
【0108】
温度差(TC3-TC4)が約5℃でない場合(S108:No)、弁制御部126は、第2の膨張弁32を制御し、第2の膨張弁32の開度を調整する(S109)。弁制御部126は、温度差(TC3-TC4)が約5℃となるように、第2の膨張弁32の開度を調整する。
【0109】
例えば高圧の冷媒が気液分離器28に流入した場合、気液分離器28において液状の冷媒と気液二相の冷媒とが十分に分離されないことがある。しかし、温度差(TC3-TC4)が約5℃に設定されることで、第2の膨張弁32が冷媒の圧力を十分に減少させる。このため、気液分離器28において、液状の冷媒と気液二相の冷媒とが十分に分離される。
【0110】
S108において温度差(TC3-TC4)が約5℃である場合(S108:Yes)、又はS109で第2の膨張弁32の開度が調整されると、S103に戻り、運転切替部122が暖房運転を終了するか否かを再度判定する。暖房運転が終了するまで、S103~S109が繰り返される。
【0111】
制御装置14は、以上の制御に限られず、他の制御を行っても良い。例えば、室内ファン制御部124は、温度センサ53から取得した室内熱交換器51(凝縮器C)における冷媒の温度TE1と、温度センサ45から取得した冷媒の温度TC3と、の温度差(過冷却度)が約2℃となるように、室内送風ファン52を制御しても良い。
【0112】
以上の本実施形態の暖房運転では、エジェクタ27が冷媒を昇圧させる。すなわち、本実施形態の空気調和機10では、圧縮機23のみならず、エジェクタ27が冷媒を昇圧させる。このため、空気調和機10は、圧縮機23が冷媒を所望の凝縮圧力まで昇圧させるための仕事量及び消費電力を低減することができる。
【0113】
さらに、本実施形態の暖房運転では、エジェクタ27の流出口83から出た冷媒が、膨張弁や気液分離器を介さず、直接的に室外熱交換器21に供給される。これにより、本実施形態の空気調和機10は、膨張弁や気液分離器による圧力損失が生じることを抑制でき、十分な冷媒を圧縮機23の吸入口23aに戻すことができる。
【0114】
本実施形態では、エジェクタ27で昇圧した冷媒を室外熱交換器21に供給することで、室外熱交換器21の冷凍能力が向上する。このため、蒸発器Eとしての室外熱交換器21は、冷媒の温度が比較的高くても、冷媒を外気と十分に熱交換させることができる。
【0115】
室外熱交換器21に着霜した場合、弁制御部126は、第1の膨張弁31を閉じ、第2の膨張弁32及び電磁弁88の開度を最大にする。これにより、比較的高温の冷媒が第2の膨張弁32、気液分離器28、及びエジェクタ27を通過し、室外熱交換器21に流入する。これにより、高温の冷媒が室外熱交換器21の表面の霜を溶かすことができる。
【0116】
図6は、本実施形態の空気調和機10の冷房運転制御の一例を示すフローチャートである。なお、例えば、空気調和機10の起動と冷房運転の開始が同時である場合、室外ファン制御部123、室内ファン制御部124、及び圧縮機制御部125は、冷房運転の開始時に、室外送風ファン22、圧縮機23、及び室内送風ファン52を起動する。
【0117】
図6に示すように、冷房運転が開始されると、弁制御部126が弁駆動回路111,112を制御し、第1の四方弁25及び第2の四方弁26に冷媒が流れる方向を、冷房運転の方向に切り替えさせる(S201)。これにより、図2に示すように、室外熱交換器21と圧縮機23の吐出口23bとが接続されるとともに、室内熱交換器51とアキュムレータ24(圧縮機23の吸入口23a)とが接続される。さらに、室内熱交換器51がエジェクタ27の流出口83に接続されるとともに、室外熱交換器21が第2の膨張弁32に接続される。
【0118】
次に、図6に示すように、弁制御部126が第1のバルブ33及び第2のバルブ34を制御し、第1のバルブ33を閉じ、第2のバルブ34を開く(S202)。これにより、第1のバルブ33は、第1の導入配管91における冷媒の流れを遮断する。一方、圧縮機23の吐出口23bから吐出された冷媒は、第2の導入配管92から、第3の配管63に流入する。
【0119】
次に、運転切替部122は、冷房運転を終了するか否かを判定する(S203)。S103と同じく、運転切替部122は、冷房運転が終了するものと判定した場合(S203:Yes)、冷房運転を終了する。
【0120】
一方、冷房運転が終了しない場合(S203:No)、弁制御部126は、温度TN1,TN2が、約3.5℃であるか否かを判定する(S204)。温度TN2が約3.5℃でない場合(S204:No)、弁制御部126は、第1の膨張弁31を制御し、第1の膨張弁31の開度を調整する(S205)。S204,S205は、S104、S105と実質的に等しい。
【0121】
S204において温度TN1,TN2が約3.5℃である場合(S204:Yes)、又はS205で第1の膨張弁31の開度が調整されると、弁制御部126は、温度SUと温度TE1との差(過熱度)が2℃以上であるか否かを判定する(S206)。
【0122】
例えば、温度取得部121が、温度センサ43から温度SUを取得する。さらに、温度取得部121が、温度センサ53から室内熱交換器51における冷媒の温度TE1を取得する。弁制御部126は、過熱度(SU-TE1)が2℃以上であるか否かを判定する。なお、S206における判定はこの例に限られない。
【0123】
過熱度(SU-TE1)が2℃より低い場合(S206:No)、弁制御部126は、エジェクタ27の電磁弁88を制御し、電磁弁88の開度を調整する(S207)。弁制御部126は、過熱度(SU-TE1)が2℃以上となるように、電磁弁88の開度を調整する。
【0124】
S206において過熱度(SU-TE1)が2℃以上である場合(S206:Yes)、又はS207で電磁弁88の開度が調整されると、弁制御部126は、温度TC3と温度TC4との差が約5℃であるか否かを判定する(S208)。温度差(TC3-TC4)が約5℃でない場合(S208:No)、弁制御部126は、第2の膨張弁32を制御し、第2の膨張弁32の開度を調整する(S209)。S208,S209は、S108,S109と実質的に等しい。
【0125】
S208において温度差(TC3-TC4)が約5℃である場合(S208:Yes)、又はS209で第2の膨張弁32の開度が調整されると、弁制御部126は、温度TC2と温度TC1との差(過冷却度)が-5℃より低いか否かを判定する(S210)。
【0126】
例えば、温度取得部121が、温度センサ44から室外熱交換器21における冷媒の温度TC1を取得する。さらに、温度取得部121が、温度センサ47から室外熱交換器21(凝縮器C)と第2の膨張弁32との間における冷媒の温度TC2を取得する。弁制御部126は、過冷却度(TC2-TC1)が-5℃より低いか否かを判定する。なお、S210における判定はこの例に限られない。
【0127】
過冷却度(TC2-TC1)が-5℃以上である場合(S210:No)、室外ファン制御部123は、室外送風ファン22を制御し、室外送風ファン22の回転数を調整する(S211)。室外ファン制御部123は、過冷却度(TC2-TC1)が-5℃より低くなるように、室外送風ファン22の回転数を調整する。過冷却度(TC2-TC1)が-5℃より低く設定されることで、室内熱交換器51(蒸発器E)の能力が低下することが抑制される。
【0128】
S210において過冷却度(TC2-TC1)が-5℃より低い場合(S210:Yes)、又はS211で室外送風ファン22の回転数が調整されると、S203に戻り、運転切替部122が冷房運転を終了するか否かを再度判定する。冷房運転が終了するまで、S203~S211が繰り返される。
【0129】
図7は、本実施形態の制御装置14のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。制御装置14は、例えば、図7に示すようなハードウェア構成のコンピュータ140により実現される。
【0130】
コンピュータ140は、例えば、CPU141と、ROM142と、RAM143と、記憶装置144と、インターフェース(I/F)146とを有する。CPU141、ROM142、RAM143、記憶装置144、及びI/F146は、バスにより接続されている。
【0131】
CPU141は、記憶装置144に記憶されたプログラムをRAM143に展開して実行し、各部を制御して入出力を行ったり、データの加工を行ったりすることができる。ROM142には、オペレーティングシステムの起動用プログラムを記憶装置144からRAM143に読み出すスタートプログラムが記憶されている。
【0132】
記憶装置144は、例えば、フラッシュメモリである。記憶装置144は、オペレーティングシステム、アプリケーションプログラム、及びデータを記憶している。これらのプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、コンピュータで読み取り可能な記録メディアに記録して配布される。また、プログラムは、サーバからダウンロードすることにより配布されても良い。
【0133】
I/F146は、例えば、温度センサ41~47、温度センサ53、室外ファン駆動回路101、室内ファン駆動回路102、インバータ回路103、及び弁駆動回路111~117に接続するためのインターフェース装置である。
【0134】
本実施形態のコンピュータ140で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供され得る。
【0135】
また、本実施形態のコンピュータ140で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態のコンピュータ140で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成しても良い。また、本実施形態のプログラムを、ROM142等に予め組み込んで提供するように構成しても良い。
【0136】
このようなコンピュータ140を制御装置14として機能させるためのプログラムは、温度取得モジュールと、運転切替モジュールと、室外ファン制御モジュールと、室内ファン制御モジュールと、圧縮機制御モジュールと、弁制御モジュールと、を含むモジュール構成となっている。コンピュータ140は、実際のハードウェアとしてはプロセッサ(CPU141)が記憶媒体(記憶装置144等)からプログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置(RAM143)上にロードされる。これにより、プロセッサ(CPU141)は、図4の温度取得部121、運転切替部122、室外ファン制御部123、室内ファン制御部124、圧縮機制御部125、及び弁制御部126として機能する。なお、コンピュータ140は、温度取得部121、運転切替部122、室外ファン制御部123、室内ファン制御部124、圧縮機制御部125、及び弁制御部126の構成の一部又は全部がハードウェアにより実現されていても良い。
【0137】
以上説明された実施形態に係る空気調和機10において、第2の配管62に設けられたエジェクタ27に、当該第2の配管62を介して蒸発器Eに接続される流出口83と、第2の配管62を介して凝縮器Cに接続される第1の流入口81と、第2の流入口82と、が設けられる。エジェクタ27は、第1の流入口81に供給された冷媒を第2の流入口82に供給された冷媒と混合するとともに昇圧して、流出口83から蒸発器Eに供給する。このため、空気調和機10は、消費電力量に対する冷凍能力を向上させ、冷凍サイクルの効率を高めることができる。気液分離器28は、凝縮器Cと第1の流入口81との間において第2の配管62に設けられる。気液分離器28は、凝縮器Cから供給された冷媒を液状の冷媒と気体を含む冷媒とに分離し、気体を含む冷媒を第2の配管62を介して第1の流入口81に供給する。第3の配管63は、凝縮器Cと気液分離器28との間において第2の配管62に接続されるとともに、吐出口23bと凝縮器Cとの間において第1の配管61に接続される。このため、圧縮機23により圧縮された高温高圧の冷媒が、第3の配管63を通って気液分離器28に供給される。第4の配管64は、気液分離器28と第2の流入口82とを接続し、気液分離器28から液状の冷媒を分配される。すなわち、液状の冷媒は、気液分離器28から第2の流入口82に向かって第4の配管64を流れる。中間熱交換器37は、第3の配管63を流れる冷媒と第4の配管64を流れる冷媒との間で熱交換を行う。これにより、第4の配管64を流れる液状の冷媒は、熱交換によって一部又は全部が気化される。換言すると、第4の配管64を流れる液状の冷媒は、熱交換によって少なくとも部分的に気化される。そして、エジェクタ27の第1の流入口81及び第2の流入口82の両方に気体を含む冷媒が供給され、ひいては気体を含む冷媒がエジェクタ27から蒸発器Eに供給される。このように、エジェクタ27には気体を含む冷媒が供給されるため、凝縮器Cによって冷媒を十分に液化させる必要が無く、凝縮器Cを小型化することができる。これにより、空気調和機10における冷媒の量を低減することができる。
【0138】
また、例えば、冷房運転において室温が設定温度に近づくと、冷房運転が停止することがある。冷房運転が停止すると、室外熱交換器21側から室内熱交換器51側に冷媒が移動することがある。これにより、室内熱交換器51の温度が上昇する虞がある。この場合、空気調和機10のエネルギーロスとなる。特に、冷房運転の停止及び再起動が断続的に繰り返されると、空気調和機10のエネルギーロスが大きくなる。しかし、本実施形態の空気調和機10は、冷媒の量が低減することで、室内熱交換器51による空気の冷やし過ぎを抑制でき、ひいては、室温が設定温度に近づいたとしても、冷房運転が停止することを抑制できる。また、冷房運転が停止したとしても、冷房運転の停止時における冷媒の移動量を低減し、ひいては冷房運転の停止時において室内熱交換器51の温度が上昇することを抑制できる。従って、空気調和機10は、エネルギーロスを低減し、省エネルギー性能を向上することができる。例えば、空気調和機10は、C値(coefficient of degradation)のような指標を改善することができる。
【0139】
第1の膨張弁31は、気液分離器28と中間熱交換器37との間で第4の配管64に設けられる。このため、第1の膨張弁31は、エジェクタ27の能力が高まるように、第2の流入口82に供給される冷媒の圧力を調整することができる。また、第4の配管64を流れる冷媒は、第1の膨張弁31により減圧された後、中間熱交換器37において第3の配管63を流れる冷媒と熱交換を行う。これにより、第4の配管64を流れる冷媒が中間熱交換器37における熱交換により気化しやすくなる。
【0140】
また、第2の流入口82に供給される冷媒(吸引流)が減圧及び加速させられることで、第1の流入口81に供給される冷媒(駆動流)と吸引流との速度差が低減する。これにより、駆動流と吸引流との速度差による損失が低減されるとともに、吸引流の運動エネルギーも向上するため、エジェクタ27の能力が向上する。
【0141】
温度センサ41は、中間熱交換器37と気液分離器28との間において第4の配管64を流れる冷媒の温度TN1を測定する。温度センサ42は、中間熱交換器37と第2の流入口82との間において第4の配管64を流れる冷媒の温度TN2を測定する。制御装置14は、温度センサ41及び温度センサ42から測定結果を取得し、当該測定結果に基づいて第1の膨張弁31の開度を制御する。温度センサ41及び温度センサ42の測定結果である温度TN1,TN2から、中間熱交換器37の入口と出口における冷媒の圧力P1,P2が算出され得る。中間熱交換器37から第2の流入口82に供給される冷媒の圧力P2が所定の範囲内にある場合、エジェクタ27の能力が高まる。また、中間熱交換器37の入口における冷媒の圧力P1が出口における冷媒の圧力P2とほぼ同じ又はより低いと、エジェクタ27の能力が高まる。従って、制御装置14は、第1の膨張弁31の開度を制御することで、中間熱交換器37の入口と出口における冷媒の圧力P1,P2を、エジェクタ27の能力が高まるように制御することができる。
【0142】
第2の膨張弁32は、気液分離器28と凝縮器Cとの間で第2の配管62に設けられる。気液分離器28に供給される冷媒の圧力が高いと、気液分離器28における冷媒の分離が妨げられることがある。しかし、空気調和機10において、冷媒は、第2の膨張弁32により減圧された後、気液分離器28に供給される。これにより、空気調和機10は、気液分離器28における冷媒の分離の不具合を抑制でき、第3の配管63及び第4の配管64に分配される冷媒の量を調整することができる。
【0143】
蓄熱材38は、中間熱交換器37に熱的に接続される。これにより、第3の配管63を流れる冷媒の温度が変化したとしても、中間熱交換器37は、第4の配管64を流れる冷媒と蓄熱材38との熱交換により、第4の配管64を流れる冷媒を気化させることができる。また、中間熱交換器37は、第3の配管63を流れる冷媒と第4の配管64を流れる冷媒との熱交換の効率を向上させることができる。
【0144】
第4の配管64は、中間熱交換器37の一つの端部37aに位置する入口部64cと、中間熱交換器37の他の一つの端部37bに位置する出口部64dと、を有する。出口部64dは、入口部64cよりも第2の流入口82に近い。出口部64dにおける内径は、入口部64cにおける内径よりも大きい。これにより、第4の配管64は、出口部64dにおける冷媒の圧力損失を抑制することができる。従って、空気調和機10は、エジェクタ27の能力が低下することを抑制することができる。
【0145】
中間熱交換器37は、第3の配管63の一部及び第4の配管64の一部を含む、二重管式熱交換器である。これにより、空気調和機10は、中間熱交換器37における第3の配管63及び第4の配管64の長さを低減することができ、中間熱交換器37における冷媒の圧力損失を抑制することができる。
【0146】
以上の説明において、抑制は、例えば、事象、作用、若しくは影響の発生を防ぐこと、又は事象、作用、若しくは影響の度合いを低減させること、として定義される。また、以上の説明において、制限は、例えば、移動若しくは回転を防ぐこと、又は移動若しくは回転を所定の範囲内で許容するとともに当該所定の範囲を超えた移動若しくは回転を防ぐこと、として定義される。
【0147】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0148】
10…空気調和機、14…制御装置、21…室外熱交換器、23…圧縮機、23a…吸入口、23b…吐出口、27…エジェクタ、28…気液分離器、31…第1の膨張弁、32…第2の膨張弁、37…中間熱交換器、37a,37b…端部、38…蓄熱材、41,42…温度センサ、51…室内熱交換器、61…第1の配管、62…第2の配管、63…第3の配管、64…第4の配管、64c…入口部、64d…出口部、81…第1の流入口、82…第2の流入口、83…流出口、E…蒸発器、C…凝縮器。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7