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特開2023-177585画像形成装置、端末装置及び制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177585
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】画像形成装置、端末装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20231207BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20231207BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20231207BHJP
   G06F 21/56 20130101ALI20231207BHJP
【FI】
H04N1/00 838
G03G21/00 388
B41J29/393 101
G06F21/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090325
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 秀基
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061AQ06
2C061AR01
2C061KK03
2H270KA59
2H270KA61
2H270LA71
2H270MD01
2H270MD02
2H270MF01
2H270MF10
2H270NA06
2H270NC06
2H270NC24
2H270NC26
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZD04
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA29
5C062AB17
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB40
5C062AC02
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC34
5C062AF06
(57)【要約】
【課題】ウィルスの検疫タイミングに係る設定を含む設定画面を提供することが可能な画像形成装置等を提供すること。
【解決手段】システムの設定を行う設定画面を提供する提供部と、前記設定画面において設定された内容に基づき画像形成装置の設定を行う設定部と、前記設定された内容に応じて画像を形成する画像形成部と、ウィルスの検疫の処理を実行する処理部と、を備え、前記提供部は、前記設定画面にウィルスの検疫タイミングに係る設定を含めることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムの設定を行う設定画面を提供する提供部と、
前記設定画面において設定された内容に基づき画像形成装置の設定を行う設定部と、
前記設定された内容に応じて画像を形成する画像形成部と、
ウィルスの検疫の処理を実行する処理部と、
を備え、
前記提供部は、前記設定画面にウィルスの検疫タイミングに係る設定を含めることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記処理部は、ウィルスの検疫の処理の実行中に画像が入力された場合、ウィルスの検疫の処理を停止し、前記画像の入力後にウィルスの検疫の処理を再実行することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記画像形成装置の使用頻度が低くなる日時に、ウィルスの検疫の処理を再実行することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記処理部は、
ジョブの履歴の情報を用いて、前記画像形成装置の使用頻度が低くなる時刻を特定し、
当該特定した時刻であって、ウィルスの検疫の処理が停止した後において最も早く到達する時刻の日時を、ウィルスの検疫の処理を再実行する日時として決定することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記提供部は、前記設定画面に、ウィルスの検疫の処理を再実行する前記日時を含めることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記提供部は、前記設定画面に、ウィルスの検疫の処理の実行を指示するための指示手段を含め、
前記処理部は、前記指示手段を介してウィルスの検疫の処理の実行が指示された場合、ウィルスの検疫の処理を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
入力された画像を記憶する領域が確保された記憶部を更に備え、
前記処理部は、ウィルスの検疫の処理を実行しているときに前記領域に画像を記憶した場合であって、当該領域に対するウィルスの検疫の処理を停止したとき、当該領域に記憶された画像を用いたジョブの完了後に当該領域に対するウィルスの検疫の処理を再実行することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記領域に対する操作の頻度が、予め定められた頻度となったとき、ウィルスの検疫の処理の実行を促す通知を行うことを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記通知は、ウィルスの検疫の処理を実行するべき時期を示す情報が含まれることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
請求項1から9の何れか一項に記載の画像形成装置と接続可能な端末装置であって、
前記提供部から提供された設定画面を表示する表示部と、
前記設定画面において設定を入力する入力部と、
前記設定を前記画像形成装置に送信する送信部と、
を備えた端末装置。
【請求項11】
設定に応じて画像を形成する装置の制御方法であって、
システムの設定を行う設定画面を提供し、
前記設定画面において設定された内容に基づき画像形成装置の設定を行い、
ウィルスの検疫の処理を実行し、
前記設定画面を提供するときに、前記設定画面にウィルスの検疫タイミングに係る設定を含める
ことを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機(MFP、Multi-Function Peripheral/Printer)等の画像形成装置は、ネットワーク等を介して他の装置との間でデータの送受信を行うことで、様々な機能を実現している。このような状況に伴い、複合機においてもウィルススキャン等の、ウィルスの検疫の処理が必要とされている。
【0003】
一般的に、複合機は、搭載する機能によって複合機の性能を最大限に引き出すように設計されており、負荷の高い機能が実行されているときは、他機能が制限される場合がある。ウィルススキャンは、複合機内部のファイルシステム、及び、ファームウエアやOS(Operating System)、アプリケーションの一部に問題があるか否かを検査する機能であり、比較的負荷が高い機能である。そのため、適切なタイミングにウィルススキャンが実行される必要がある。ここで、ウィルススキャンの実行タイミングを決定する技術として、例えば、ウィルススキャンの実行要求が発生したときに、ウィルススキャンを実行可能であれば、ウィルススキャンを実行する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-213154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、複合機としての基本機能(コピー機能、プリント機能、スキャン機能等)とウィルススキャンの機能とが競合した場合、複合機としての基本機能を優先して実行させる制御が行われる。例えば、ユーザの操作等によりプリント機能やスキャン機能が使用されることで複合機内部のファイルシステムに対する入出力がされているとき等、複合機の状態やユーザによる操作により、当該ファイルシステムに対するウィルススキャンが実行できない場合がある。すなわち、一般的に、複合機は稼働状態やユーザの使用状況(ユーザが頻繁に複合機を使用する場合等)によって、複合機本体で、ユーザによって使用されている機能以外の機能を実行することが困難になる場合が多い。そのため、ウィルススキャンを実行する必要があっても、実行が不可能である場合が存在する。このような場合、ウィルススキャンを滞りなく実行することができず、ウィルスの検出が遅れる場合がある。しかし、特許文献1等の従来技術では、単にウィルススキャンの実行を操作パネル等の操作により行うに過ぎず、ウィルススキャンを滞りなく実行する機能は提供されていなかった。
【0006】
本開示は上述した課題に鑑み、ウィルスの検疫タイミングに係る設定を含む設定画面を提供することが可能な画像形成装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本開示の画像形成装置は、システムの設定を行う設定画面を提供する提供部と、前記設定画面において設定された内容に基づき画像形成装置の設定を行う設定部と、前記設定された内容に応じて画像を形成する画像形成部と、ウィルスの検疫の処理を実行する処理部と、を備え、前記提供部は、前記設定画面にウィルスの検疫タイミングに係る設定を含めることを特徴とする。
【0008】
また、本開示の端末装置は、上述の画像形成装置と接続可能な端末装置であって、前記提供部から提供された設定画面を表示する表示部と、前記設定画面において設定を入力する入力部と、前記設定を前記画像形成装置に送信する送信部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本開示の制御方法は、設定に応じて画像を形成する装置の制御方法であって、システムの設定を行う設定画面を提供し、前記設定画面において設定された内容に基づき画像形成装置の設定を行い、ウィルスの検疫の処理を実行し、前記設定画面を提供するときに、前記設定画面にウィルスの検疫タイミングに係る設定を含めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、ウィルスの検疫タイミングに係る設定を含む設定画面を提供することが可能な画像形成装置等を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態におけるシステムの全体構成を示す図である。
図2】第1実施形態における複合機の機能構成を示すブロック図である。
図3】第1実施形態におけるジョブ履歴情報のデータ構成を示す図である。
図4】第1実施形態における設定テーブルのデータ構成を示す図である。
図5】第1実施形態における端末装置の機能構成を示すブロック図である。
図6】第1実施形態における設定画面の提供の処理の概要を示す図である。
図7】第1実施形態におけるメイン処理の流れを示すフロー図である。
図8】第1実施形態における設定画面提供処理の流れを示すフロー図である。
図9】第1実施形態における設定画面表示処理の流れを示すフロー図である。
図10】第1実施形態における設定画面の画面例を示す図である。
図11】第2実施形態におけるメイン処理の流れを示すフロー図である。
図12】第2実施形態におけるウィルススキャン処理の流れを示すフロー図である。
図13】第2実施形態における設定画面の画面例を示す図である。
図14】第3実施形態におけるウィルススキャン処理の流れを示すフロー図である。
図15】第4実施形態における設定テーブルのデータ構成を示す図である。
図16】第4実施形態における通知処理の流れを示すフロー図である。
図17】第4実施形態における設定画面の画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本開示を実施するための一実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本開示を説明するための一例であり、特許請求の範囲に記載した発明の技術的範囲が、以下の記載に限定されるものではない。
【0013】
[1.第1実施形態]
[1.1 全体構成]
図1は、本開示のシステム1の全体構成を示す図である。図1に示すように、システム1は、複合機10及び端末装置20が、ネットワークNWを介して接続されて構成される。ネットワークNWは、例えば、LAN(Local Area Network)であるが、近距離無線通信等、複合機10と端末装置20とが通信可能であれば、どのようなネットワークが用いられてもよい。
【0014】
複合機10は、本開示の画像形成装置を適用した装置である。複合機10は、コピー機能、スキャン機能、プリント機能、ファクス機能等を有する画像処理装置であり、MFP(Multi-Function Printer/Peripheral)とも呼ばれる。端末装置20は、ユーザが使用する装置であり、例えば、スマートフォンや、タブレットといったモバイル端末や、PC(Personal Computer)等によって構成される情報処理装置である。
【0015】
[1.2 機能構成]
[1.2.1 複合機]
複合機10の機能構成を、図2を参照して説明する。複合機10は、制御部100、画像入力部120、画像形成部130、表示部140、操作部150、記憶部160、接続部180、通信部190を備えて構成される。
【0016】
制御部100は、複合機10の全体を制御するための機能部である。制御部100は、記憶部160に記憶された各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、例えば、1又は複数の演算装置(CPU(Central Processing Unit))等により構成される。また、制御部100は、以下に説明する機能のうち、複数の機能を有するSoC(System on a Chip)として構成されてもよい。
【0017】
制御部100は、記憶部160に記憶されたプログラムを実行することで、画像処理部102、UI(User Interface)提供部104、設定部106、検疫処理部108として機能する。
【0018】
画像処理部102は、各種画像に関する処理を行う。例えば、画像処理部102は、画像入力部120、接続部180、通信部190を介して入力された画像に対して、鮮鋭化処理や、階調変換処理を実行する。
【0019】
UI提供部104は、複合機10の各種設定(システム設定)を行う設定画面を提供する。UI提供部104が提供する設定画面は、後述する設定テーブル172に記憶された設定内容の表示及び変更を行うことが可能な画面である。
【0020】
例えば、UI提供部104は、複合機10の操作端末として機能する表示部140に、設定画面(本体操作UI)を提供(表示)する。また、UI提供部104は、Webブラウザを介して表示される設定画面(Web操作UI)を提供してもよい。Web操作UIは、複合機10や端末装置20に表示されるWebブラウザ内に表示される。UI提供部104によって、Web操作UIがPC等の他の装置に提供されることにより、ユーザは、当該他の装置から複合機10の設定が可能になる。この場合、UI提供部104は、Webサーバ(デバイスWeb)として機能し、設定画面を提供するURL(Uniform Resource Locator)にアクセスされることにより、当該URLにアクセスした装置に、Web操作UIを提供する。
【0021】
さらに、UI提供部104は、設定画面を介して入力された設定内容を取得し、設定部106に出力する。
【0022】
本実施形態では、設定テーブル172には、複合機10におけるウィルスの検疫の処理に関する設定(例えば、ウィルススキャンの実行に係る設定)の設定内容が含まれる。複合機10におけるウィルスの検疫の処理には、複合機10の記憶部160に記憶されたデータからウィルスを検出するウィルススキャンや、検出されたウィルスを駆除したりする処理や、ウィルスが検出されたデータを隔離又は削除したりする処理が含まれる。
【0023】
さらに、複合機10におけるウィルスの検疫の処理に関する設定には、ウィルスの検疫の処理が実行される日時(検疫タイミング)が含まれる。したがって、設定画面には、ウィルスの検疫の処理に係る設定を行うための設定手段や、検疫タイミングを設定するための設定手段が含まれる。ウィルスの検疫の処理が実行される日時は、例えば、ウィルススキャンが実行される日時である。
【0024】
なお、以下の説明では、ウィルスの検疫の処理が、ウィルススキャンであるとして説明する。
【0025】
設定部106は、UI提供部104により取得された設定内容を複合機10に反映させることにより、設定画面により設定された内容に基づき、複合機10の設定を行う。例えば、設定部106は、UI提供部104により取得された設定内容を、後述する設定テーブル172に記憶する。
【0026】
検疫処理部108は、設定テーブル172に記憶されたウィルスの検疫に関する設定に基づき、ウィルスの検疫の処理を実行する。すなわち、検疫処理部108は、複合機10に搭載された(組み込まれた)ウィルススキャン機能(アプリケーション)を実現する。例えば、検疫処理部108は、後述するウィルスパターンデータ記憶領域168に記憶されたウィルスパターンデータによって示されるパターンと、記憶部160に記憶されたデータの一部とが一致した場合、当該データがウィルスに感染しているとしてウィルスを検出する。
【0027】
画像入力部120は、画像を複合機10に入力する。画像入力部120は、例えば、原稿台に載置された原稿を読み取るスキャナ装置等により構成される。スキャナ装置は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCIS(Contact Image Sensor)等のイメージセンサによって画像を電気信号に変換し、電気信号を量子化及び符号化する装置である。なお、画像入力部120は、USB(Universal Serial Bus)メモリに記憶された画像を読み出すためのインターフェイス(端子)により構成され、USBメモリを読み出して画像を入力してもよい。また、画像入力部120は、接続部180や通信部190を介して他の装置から画像を受信することで、当該画像を入力してもよい。
【0028】
画像形成部130は、設定画面を介して設定されることにより設定テーブル172に記憶された設定内容に応じて、記録用紙等の記録媒体に対して画像を形成(印刷)する。例えば、画像形成部130は、使用可能なカラーモードの設定に応じて、カラーの画像を形成したり、モノクロの画像のみを形成したりする。画像形成部130は、例えば、電子写真方式を利用したレーザプリンタ等の印刷装置により構成される。画像形成部130は、例えば、複合機10に備えられた給紙トレイから記録用紙を給紙し、記録用紙の表面に画像を形成し、記録用紙を複合機10に備えられた排紙トレイから排紙する。
【0029】
表示部140は、各種情報を表示する。表示部140は、例えば、LCD(Liquid crystal display)、有機EL(electro-luminescence)ディスプレイ、マイクロLED(Light Emitting Diode)ディスプレイ等の表示装置により構成される。
【0030】
操作部150は、複合機10を使用するユーザによる操作指示を受け付ける。操作部150は、キースイッチ(ハードキー)やタッチセンサ等の入力装置により構成される。タッチセンサにおいて接触(タッチ)による入力を検出する方式は、例えば、抵抗膜方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式といった、一般的な検出方式であればよい。なお、複合機10には、表示部140と、操作部150とが一体に形成されたタッチパネルが搭載されてもよい。また、表示部140と操作部150とにより、複合機10の本体の操作端末が構成され、表示部140に、複合機10の操作画面が表示される。
【0031】
記憶部160は、複合機10の動作に必要な各種プログラムや、各種データを記憶する。記憶部160は、例えば、半導体メモリであるSSD(Solid State Drive)や、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置により構成される。
【0032】
記憶部160は、システムデータ記憶領域162、アプリケーションデータ記憶領域164、入力データ記憶領域166、ウィルスパターンデータ記憶領域168、ジョブ履歴情報記憶領域170を確保し、さらに、設定テーブル172を記憶する。
【0033】
システムデータ記憶領域162は、システムデータを記憶する。システムデータとは、複合機10の基本機能を実現するためのデータであり、OS(Operating System)のデータや、基本機能を実行するためのプログラムやデータである。基本機能とは、複合機10が予め備える機能であって、例えば、コピー機能、スキャン機能、プリント機能、ファクス機能等である。
【0034】
アプリケーションデータ記憶領域164は、アプリケーションのデータ(プログラム)や、アプリケーションの実行に必要なデータを記憶する。アプリケーションは、例えば、複合機10に新たな機能を追加したり、複合機10が有する機能を拡張したりすることが可能なプログラムであって、ユーザによって複合機10に組み込まれる。
【0035】
入力データ記憶領域166は、複合機10に入力されたデータを記憶する。複合機10に入力されるデータとは、例えば、複合機10に送信されたファクシミリ画像のデータや、他の情報処理装置や記憶装置(例えば、USBメモリ)から取得された文書や画像のデータである。
【0036】
なお、システムデータ記憶領域162、アプリケーションデータ記憶領域164、入力データ記憶領域166は、さらに複数の部分領域に分割されていてもよい。例えば、入力データ記憶領域166は、領域1、領域2、領域3、・・・、領域nといったように、nの領域に分割されていてもよい。
【0037】
ウィルスパターンデータ記憶領域168は、ウィルスパターンデータを記憶する。ウィルスパターンデータは、既知のコンピュータウィルスに特有又は固有のデータの出現パターンが定義されたデータ(ウィルス定義)であり、ウィルスパターンデータを提供する装置やサービスから取得することにより、記憶又は更新(アップデート)される。なお、複合機10は、ウィルスパターンデータのアップデートのスケジューリング設定機能が備わっていてもよい。
【0038】
ジョブ履歴情報記憶領域170は、複合機10が実行したジョブの履歴に関する情報(ジョブ履歴情報)を記憶する。ジョブ履歴情報は、図3に示すように、例えば、ジョブ開始日時(例えば、「2022/04/01 11:12:50」)と、ジョブ終了日時(例えば、「2022/04/01 11:13:40」)と、実行されたジョブの種類(例えば、「コピー」)とを含む。ジョブ履歴情報は、ジョブの実行が完了したときに記憶される。
【0039】
設定テーブル172は、複合機10の設定内容を記憶するテーブルである。設定テーブル172は、例えば、図4に示すように、設定項目名と、当該設定項目に対する設定内容として設定可能な範囲や種類を示す設定可能範囲と、当該設定項目に対して設定された設定内容とが対応付けられたテーブルである。設定テーブル172は、例えば、予め初期値が記憶され、設定部106によって更新される。
【0040】
設定テーブル172には、複合機10のユーザ認証やユーザ管理に関する設定の内容や、複合機10が形成する画像に関する設定の内容等の他、ウィルスの検疫に関する設定の内容が含まれる。ウィルスの検疫に関する各種設定の設定内容として、以下の内容が記憶される。
【0041】
(1)ウィルススキャン機能の有効/無効の設定(図4のD100)
ウィルススキャン機能の有効/無効の設定は、複合機10全体におけるウィルススキャン機能の有効/無効を切り替えるための設定である。
【0042】
(2)入出力データのウィルススキャンの有効/無効の設定(図4のD102)
入出力データのウィルススキャンの有効/無効の設定は、複合機10に入力されるデータ(例えば、スキャンデータ、プリントデータ、FAXデータ(ファクシミリデータ)等)が、外部から入力された段階で、入力されたデータやファイルをスキャンするか否かを切り替えるための設定である。
【0043】
(3)指定した時刻のウィルススキャンの設定(図4のD104)
指定した時刻のウィルススキャンの設定は、ウィルススキャンの実行に関するスケジューリングの設定であり、ウィルススキャンを実行する曜日や時間を指定して、指定した日時にウィルススキャンを自動的に実行させるための設定である。この設定により、ウィルススキャンのスケジュール機能が実現される。指定した時刻のウィルススキャンの設定の設定内容として、図4のD106に示すように、ウィルススキャンを実行する頻度(例えば、毎月、毎週、毎日の何れか)や、ウィルススキャンを実行する時刻が含まれてもよい。頻度が「毎月」であれば、ウィルススキャンを実行する日(例えば、「毎月15日」)若しくは特定の曜日(例えば、「第1日曜日」)が設定可能であってもよい。また、頻度が「毎週」であれば、ウィルススキャンを実行する曜日(例えば、「日曜日」)が設定可能であってもよい。
【0044】
(4)スキャンする領域(ウィルススキャンの実行範囲)の設定(図4のD108)
スキャンする領域の設定は、指定した時刻にウィルススキャンが自動的に実行される場合における、ウィルススキャンの対象となる領域を指定するための設定である。例えば、図4のD108に示すように、システムデータ記憶領域162をスキャンするか否か、アプリケーションデータ記憶領域164をスキャンするか否か、入力データ記憶領域166をスキャンするか否かを、それぞれ設定することが可能である。
【0045】
なお、ウィルススキャンの対象は、入力データ記憶領域166等の特定の領域に記憶される特定のファイルや特定のフォルダであってもよい。この場合、ウィルススキャンの対象となるファイルやフォルダは、ユーザにより指定可能であってもよい。
【0046】
(5)オンデマンドウィルススキャン機能の有効/無効の設定(図4のD110)
オンデマンドウィルススキャン機能の有効/無効の設定は、複合機10の管理者といったユーザの操作により、ウィルススキャンを即時実行(手動実行)させる機能であるオンデマンドウィルススキャン機能を有効にするか否かを切り替えるための設定である。
【0047】
なお、設定テーブル172には、上述した設定内容以外の内容が記憶されてもよい。例えば、複合機10の起動時にウィルススキャンを行うか否かの設定が記憶されてもよいし、複合機10の基本設定やセキュリティに関する設定が記憶されてもよい。また、設定テーブル172とは別に、複合機10のパラメータの情報が記憶部160に記憶されてもよい。複合機10のパラメータの情報は、複合機10のシステムによって更新される情報であって、例えば、前回のウィルススキャンの日時、ウィルスの検出結果、最後にウィルスパターンデータをアップデートした日時、ウィルスパターンデータのバージョン番号等である。
【0048】
接続部180は、複合機10と他の装置を接続する。接続部180は、例えば、USB(Universal Serial Bus)インターフェイスにより構成され、USBメモリといった記憶装置等が接続される。なお、接続部180は、NFC(Near field communication)やBluetooth(登録商標)といった近距離無線通信を行うための装置(例えば、アンテナ等)により構成されることにより、他の装置と、近距離無線通信手段を用いて接続可能であってもよい。
【0049】
通信部190は、LANやWAN(Wide Area Network)等のネットワークを介して、端末装置20等の他の装置や機器と通信を行う。通信部190は、例えば、有線/無線LANで利用されるNIC(Network Interface Card)等の通信装置や通信モジュールにより構成される。なお、通信部190は、ネットワークに接続可能なインターフェイス(ネットワークI/F)を有してもよい。
【0050】
また、通信部190は、公衆回線網、LAN、インターネット等の通信ネットワークに接続し、ファクシミリや電子メール等の通信方法により、通信ネットワークを介して外部へデータを送信可能であってもよい。
【0051】
[1.2.2 端末装置]
図5を参照して、本実施形態の端末装置20の機能構成を説明する。図5に示すように、端末装置20は、制御部200、表示部240、操作部250、記憶部260、通信部290を備えて構成される。
【0052】
制御部200は、端末装置20の全体を制御するための機能部である。制御部200は、記憶部260に記憶されている各種プログラムを読み出して実行することにより各種機能を実現しており、1又は複数の演算装置(例えば、CPU)により構成されている。
【0053】
制御部200は、記憶部260に記憶されたWebブラウザアプリ262を読み出して実行することにより、Webブラウザ202として機能する。Webブラウザ202は、Webページを表示部240に表示する制御を行う。また、本実施形態では、Webブラウザ202は、複合機10から提供される設定画面を表示部240に表示する設定画面表示部202aと、当該設定画面を介して入力された設定内容を複合機10に送信する設定内容送信部202bとを実現する。設定画面表示部202a及び設定内容送信部202bは、例えば、HTML(HyperText Markup Language)レンダリングエンジンにより実現される。
【0054】
表示部240は、各種情報を表示する。表示部240は、例えば、LCD、有機ELパネル、マイクロLEDディスプレイ等の表示装置により構成される。
【0055】
操作部250は、端末装置20を使用するユーザの操作を受け付けるための機能部であり、タッチセンサ等の入力装置によって構成される。タッチセンサにおいて入力を検出する方式は、例えば、抵抗膜方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式といった、一般的な検出方式であればよい。なお、端末装置20には、表示部240と、操作部250とが一体に形成されたタッチパネルが搭載されてもよい。また、操作部250は、ユーザが情報を入力できれば、マウス、キーボードといった種々の操作装置によって構成されてもよい。
【0056】
記憶部260は、端末装置20の動作に必要な各種プログラムや、各種データを記憶する。記憶部260は、例えば、半導体メモリであるSSDや、HDD等の記憶装置により構成される。
【0057】
記憶部260は、Webブラウザアプリ262を記憶する。Webブラウザアプリ262は、制御部200によって読み出されて実行されることにより、表示部240にWebブラウザ202の画面を表示させるアプリケーションである。
【0058】
通信部290は、LANやWAN等のネットワークを介して、複合機10等の他の装置や機器と通信を行う。通信部290は、例えば、有線/無線LANで利用されるNIC等の通信装置や通信モジュールにより構成される。なお、通信部290は、ネットワークに接続可能なインターフェイスを有してもよい。
【0059】
[1.3 設定画面を提供する処理の概要]
図6を参照して、設定画面を提供する処理の概要について説明する。ここでは、設定画面がWeb操作UIとして、複合機10から端末装置20に提供される場合について説明する。はじめに、複合機10のUI提供部104は、設定テーブル172を読み出して、設定画面の表示情報を生成する(図6のP1)。設定画面の表示情報とは、設定画面の表示に用いられる情報であり、例えば、設定画面をWebブラウザに表示させるために用いられるHTMLデータや、当該HTMLデータから参照される画像やスクリプトのデータである。
【0060】
UI提供部104は、設定画面の表示情報を、通信部190を介して、端末装置20に送信する(図6のP2)。端末装置20の設定画面表示部202aは、複合機10から受信した設定画面の表示情報に基づき、設定画面を表示部240に表示する。これにより、表示部240には、Web操作UIが表示される。
【0061】
つづいて、端末装置20の設定内容送信部202bは、Web操作UIを介して入力された設定内容を、複合機10に送信する(図6のP3)。これにより、複合機10のUI提供部104は、端末装置20から設定内容を取得し、当該設定内容を、設定部106に出力する(図6のP4)。
【0062】
複合機10の設定部106は、端末装置20から取得された内容を設定テーブル172に記憶する(図6のP5)。これにより、端末装置20に表示されたWeb操作UIを介して入力された設定内容が、設定テーブル172に記憶され、当該設定内容が複合機10に反映される。
【0063】
[1.4 処理の流れ]
[1.4.1 複合機のメイン処理]
図7を参照して、複合機10が実行するメイン処理について説明する。メイン処理は、例えば、制御部100が、電源が投入されたタイミングで、記憶部160に記憶されたプログラムを読み出すことによって実行される。
【0064】
はじめに、制御部100は、起動処理を実行する(ステップS100)。起動処理は、複合機10を使用可能にする処理であり、例えば、複合機10の各機能部に電力を供給したり、画像形成部130のウォームアップを行ったりする処理である。
【0065】
つづいて、制御部100は、表示部140に、ホーム画面を表示する(ステップS102)。ホーム画面には、コピー機能やスキャン機能等の、複合機10が備える基本機能の使用を指示するための指示手段(例えば、機能ボタン)が含まれる。ユーザは、機能ボタンを選択することで、複合機10に対して、ユーザが選択した機能を使用する処理(ジョブ)を実行させることができる。さらに、ホーム画面には、複合機10の設定を変更するための指示手段(例えば、設定ボタン)が含まれたり、複合機10の状態を示すメッセージやアイコンを表示する領域が含まれたりしてもよい。
【0066】
つづいて、制御部100は、機能ボタンが選択された場合、表示部140にジョブ実行画面を表示する(ステップS104;Yes→ステップS106)。ジョブ実行画面は、ジョブの設定やジョブの実行の指示を行う画面である。制御部100は、ユーザによりジョブ実行の操作がされたとき、ジョブの実行を行う(ステップS108)。このとき、制御部100は、実行したジョブの情報を、ジョブ履歴情報として、ジョブ履歴情報記憶領域170に記憶する。また、制御部100は、ジョブの実行が完了した後、ホーム画面を表示部140に表示させてもよい。なお、制御部100は、ステップS104において機能ボタンが選択されていないと判定した場合、ステップS106及びステップS108の処理を省略する(ステップS104;No)。
【0067】
つづいて、制御部100は、設定ボタンが選択されたか否かを判定する(ステップS110)。制御部100(UI提供部104)は、設定ボタンが選択された場合、表示部140に設定画面を表示する(ステップS110;Yes→ステップS112)。
【0068】
つづいて、制御部100(設定部106)は、ユーザにより設定内容を複合機10に反映(記憶)させるための操作がされた場合、設定画面に表示された設定内容を、設定テーブル172に記憶する(ステップS114)。例えば、設定部106は、設定内容を複合機10に反映させるための操作がされたことによりUI提供部104によって取得された設定内容を、設定テーブル172に記憶する。なお、制御部100は、ステップS110において設定ボタンが選択されていないと判定した場合、ステップS112及びステップS114の処理を省略する(ステップS110;No)。
【0069】
つづいて、制御部100は、ウィルススキャンの実行日時になったか否かを判定する(ステップS116)。例えば、制御部100は、設定テーブル172に記憶された設定内容に基づき、指定した時刻にウィルススキャンを実行する機能が有効であり、実行頻度及び実行時刻により特定される日時と現在の日時とが一致する場合、ウィルススキャンの実行日時になったと判定する。
【0070】
制御部100(検疫処理部108)は、ウィルススキャンの実行日時になった場合、設定テーブル172に記憶された設定内容に基づき、ウィルススキャンを実行する(ステップS116;Yes→ステップS118)。例えば、検疫処理部108は、スキャンする領域が指定されている場合、スキャンをすることが指定されている領域に対して、ウィルススキャンを実行する。なお、制御部100は、ステップS116においてウィルススキャンを実行する日時になっていないと判定した場合、ステップS118の処理を省略する(ステップS116;No)。
【0071】
つづいて、制御部100は、終了操作がされたか否かを判定する(ステップS120)。終了操作とは、複合機10の稼働を終了させるための操作であり、例えば、複合機10の電源を切るためのボタンを押下する操作や、表示部140に表示される画面を介して入力される複合機10のシャットダウンを行うための操作である。
【0072】
制御部100は、終了操作がされた場合、図7に示す処理を終了する(ステップS120;Yes)。一方、制御部100は、終了操作がされていない場合、ステップS102に戻る(ステップS120;No)。
【0073】
[1.4.2 設定画面提供処理]
図8を参照して、複合機10が実行する設定画面提供処理について説明する。設定画面提供処理は、複合機10に接続された他の装置に、設定画面を提供する処理である。設定画面提供処理は、図7に示したメイン処理と並行して、制御部100によって、記憶部160に記憶されたプログラムを読み出すことによって、繰り返し実行される。
【0074】
はじめに、制御部100は、通信部190を介して、端末装置20等の他の装置から、設定画面要求を受信したか否かを判定する(ステップS130)。設定画面要求とは、設定画面の情報を要求することを示す情報である。設定画面要求は、Web操作UIを表示するための要求であるHTTP(HyperText Transfer Protocol)リクエストであってもよい。なお、以下の説明では、設定画面要求を送信する他の装置が、端末装置20であるとして説明する。
【0075】
制御部100(UI提供部104)は、端末装置20から設定画面要求を受信した場合、設定画面の表示情報を、当該端末装置20へ送信する(ステップS130;Yes→ステップS132)。なお、制御部100は、ステップS130において、設定画面要求を受信していないと判定した場合は、ステップS132の処理を省略する(ステップS130;No)。
【0076】
つづいて、制御部100(UI提供部104)は、通信部190を介して、端末装置20から、設定更新要求を受信したか否かを判定する(ステップS134)。設定更新要求は、複合機10の設定の更新を要求することを示す情報である。設定更新要求には、例えば、更新する設定項目及び当該設定項目における更新後の設定内容を示す情報が含まれる。
【0077】
制御部100(設定部106)は、設定更新要求を受信した場合、設定更新要求に含まれる情報に基づき、設定テーブル172を更新する(ステップS134;Yes→ステップS136)。例えば、設定部106は、ステップS134においてUI提供部104によって受信された設定内容を、設定テーブル172に記憶する。なお、制御部100は、ステップS134において、設定更新要求を受信していないと判定した場合は、ステップS136の処理を省略する(ステップS134;No)。
【0078】
つづいて、制御部100は、通信部190を介して、端末装置20から、ウィルススキャン実行要求を受信したか否かを判定する(ステップS138)。ウィルススキャン実行要求は、複合機10に対して、ウィルススキャンを即時実行することを要求することを示す情報である。
【0079】
制御部100(検疫処理部108)は、ウィルススキャン実行要求を受信した場合、ウィルススキャンを実行する(ステップS138;Yes→ステップS140)。ステップS138における処理は、図7のステップS118と同様の処理である。なお、制御部100は、ステップS138において、ウィルススキャン実行要求を受信していないと判定した場合は、ステップS140の処理を省略する(ステップS138;No)。
【0080】
なお、端末装置20にWeb操作UIが表示される場合、設定更新要求やウィルススキャン実行要求は、設定の更新やウィルススキャンの実行を要求するためのHTTPリクエストとして端末装置20から複合機10に送信されてもよい。
【0081】
[1.4.3 設定処理]
図9を参照して、端末装置20が実行する設定画面表示処理について説明する。設定画面表示処理は、複合機10の設定を行うための画面である設定画面を、端末装置20の表示部240に表示する処理である。設定画面表示処理は、例えば、制御部200が、記憶部260に記憶されたプログラムを読み出すことによって実行される。
【0082】
はじめに、制御部200は、ユーザにより設定画面の表示の操作がされたことに応じて、通信部290を介して、複合機10に設定画面要求を送信する(ステップS150)。
【0083】
つづいて、制御部200(設定画面表示部202a)は、複合機10から、設定画面の表示情報を受信した場合、当該設定画面の表示情報に基づき、設定画面を表示部240に表示する(ステップS152)。例えば、制御部200は、Webブラウザアプリ262を読み出して実行し、Webブラウザの機能を実現する。さらに、設定画面表示部202aは、複合機10から受信した設定画面の表示情報に基づくWebページを表示することで、複合機10の設定画面(Web操作UI)を表示する。Web操作UIには、例えば、設定項目毎に、設定内容が変更可能な状態で表示され、ユーザにより変更された設定内容を複合機10に適用させるためのボタン(例えば、[登録]ボタン)や、ウィルススキャンの実行を要求するためのボタン(例えば、[今すぐスキャンを実行]ボタン)が含まれる。
【0084】
つづいて、制御部200は、設定画面に表示された設定内容に対して、ユーザにより操作部250を介して、新たな設定内容が入力された場合(ステップS154;Yes)、当該新たな設定内容を設定画面に反映させる(ステップS156)。なお、制御部200は、新たな設定内容が入力されていないと判定した場合、ステップS156の処理を省略する(ステップS154;No)。
【0085】
つづいて、制御部200は、ユーザにより、設定内容の更新の要求がされたか否かを判定する(ステップS158)。設定内容の更新の要求は、端末装置20において変更した複合機10の設定内容を、複合機10に反映させるための要求である。例えば、制御部200は、Web操作UIに表示された登録ボタンが選択された場合に、設定内容の更新の要求がされたと判定する。
【0086】
制御部200(設定内容送信部202b)は、設定内容の更新の要求がされた場合、通信部290を介して、更新後の設定内容(表示部240に表示された設定画面に表示されている設定内容)の情報を含む設定更新要求を、複合機10に送信する(ステップS158;Yes→ステップS160)。なお、制御部200は、設定内容の更新の要求がされていないと判定した場合、ステップS160の処理を省略する(ステップS158;No)。
【0087】
つづいて、制御部200は、ウィルススキャンの実行が要求されたか否かを判定する(ステップS162)。例えば、制御部200は、Web操作UIに表示されたウィルススキャンを実行させるためのボタンが選択された場合に、ウィルススキャンの実行が要求されたと判定する。
【0088】
制御部200は、ウィルススキャンの実行が要求された場合、通信部290を介して、複合機10にウィルススキャン実行要求を送信する(ステップS162;Yes→ステップS164)。なお、制御部200は、ウィルススキャンの実行の要求がされていないと判定した場合、ステップS164の処理を省略する(ステップS162;No)。
【0089】
つづいて、制御部200は、設定画面を非表示にする操作がされたか否かを判定する(ステップS166)。制御部200は、設定画面を非表示にする操作がされた場合、図9に示す処理を終了し(ステップS166;Yes)、設定画面を非表示にする操作がされていない場合、ステップS154に戻る(ステップS166;No)。
【0090】
このように、複合機10は図7及び図8に示した処理を実行し、端末装置20は図9に示した処理を実行することで、ウィルスの検疫に関する各種設定(例えば、ウィルススキャンを実行するスケジュール)を確認・変更したり、ウィルススキャンを実行したりすることができる。なお、図7から図9において説明した処理については、矛盾のない範囲において、ステップの順番を変更したり、一部のステップを省略したりしても構わない。
【0091】
[1.5 動作例]
図10を参照して、本実施形態の動作例として、WebブラウザW100及びWebブラウザW100に表示された設定画面W102の画面例について説明する。設定画面W102は、ウィルスの検疫に関する各種設定を確認・変更するための画面(Web操作UI)である。設定画面W102は、例えば、複合機10においてウィルススキャンを実行するための機能(ウィルススキャンキット、ウィルススキャン機能を実現するアプリケーション)を追加したり、当該機能を有効化(アクティベート)したりした場合に表示可能となる。
【0092】
設定画面W102は、WebブラウザW100の内部に表示されるため、Webブラウザを搭載した装置であれば表示可能である。そのため、複合機10にWebブラウザが搭載されていれば、設定画面W102は、複合機10の表示部140に表示することができる。また、端末装置20にWebブラウザが搭載されていれば、設定画面W102は、端末装置20の表示部240に表示することができる。
【0093】
また、設定画面W102には、設定内容の確認・変更を行うための領域や、所定の操作を行うためのボタンが含まれる。
【0094】
ボタンB100は、設定画面W102において入力された設定内容を複合機10に登録させることにより、複合機10に変更した設定の内容を反映させるためのボタンである。
【0095】
領域E100は、ウィルススキャン機能の有効/無効の設定の切り替えを行う領域である。例えば、ウィルススキャン機能は、デフォルトでは「無効」になっている。ウィルススキャン機能が無効である場合、領域E100よりも下に表示されているチェックボックスやドロップダウンリストやボタンは操作不可に(グレーアウトまたは非表示に)されていてもよい。この場合、ユーザによって、ウィルススキャン機能が「有効」に切り替えられることで、領域E100よりも下に表示されているチェックボックス等が操作可能となる。
【0096】
領域E102は、入出力データのウィルススキャンの有効/無効の設定の切り替えを行う領域である。例えば、デフォルトでは「有効」になっている。検疫処理部108は、入出力データのウィルススキャンが「有効」になっている場合、他のファクシミリ装置やUSBメモリ等の他の装置からデータが入力されるタイミング及び他の装置にデータを出力するタイミングで、入出力の対象のデータに対して、ウィルススキャンを実行する。
【0097】
領域E104は、アプリケーション追加時のウィルススキャンの有効/無効の設定の切り替えを行う領域である。例えば、デフォルトでは「有効」になっている。検疫処理部108は、アプリケーション追加時のウィルススキャンが「有効」になっている場合、複合機10にアプリケーションを追加するタイミングで、当該アプリケーションのデータに対するウィルススキャンを実行する。
【0098】
領域E106は、システムデータや入力データ記憶領域166に記憶されたデータに対するウィルススキャンを実行するか否かの切り替えを行う領域である。システムデータや入力データ記憶領域166に記憶されたデータに対するウィルススキャンを実行する場合、設定により、アプリケーションの起動時、定時、オンデマンドでのウィルススキャンが実行可能となる。当該設定は、例えば、デフォルトでは有効になっている。また、当該設定が無効である場合、領域E108、領域E110及びボタンB102はグレーアウトされてもよい。
【0099】
領域E108は、複合機10の起動時にウィルススキャンを行うか否かの設定を切り替えるための領域であり、例えば、デフォルトでは「有効」となっている。また、領域E110は、決められた時刻にウィルススキャンを実行するか否か及びウィルススキャンを実行する時刻を設定する領域である。決められた時刻にウィルススキャンを実行するか否かの設定は、例えば、デフォルトでは「無効」になっている。また、ウィルススキャンを実行する時刻は、毎月や毎週の単位で設定可能であってもよい。
【0100】
ボタンB102は、ウィルススキャンの即時実行(オンデマンドウィルススキャン)を指示するための指示手段である。ボタンB102は、オンデマンドウィルススキャンの機能が「無効」である場合は、グレーアウトされたり非表示にされたりしてもよい。
【0101】
上述した領域やボタンが設定画面に含まれることにより、ユーザは、複合機10の操作端末に表示された設定画面(本体操作UI)から、ウィルススキャンの設定(スケジュール設定、実行範囲設定等)、実行結果、実行完了時間等の表示を確認することができる。また、ユーザは、ウィルススキャンが実行された日時や前回のウィルススキャンの実行からの経過期間に基づき、ウィルススキャンを実行すべきか否かといった判断を、適切に行うことができる。
【0102】
また、設定画面には、ユーザによってウィルススキャンの状況確認を行うために用いられる情報を表示する領域が含まれてもよい。領域E112は、前回のウィルススキャンの実行完了時間(最終スキャン日時)や、前回のウィルススキャンからの経過時間を表示する領域である。領域E114は、前回のウィルススキャンの実行結果(検査結果)を表示する領域である。領域E114には、ウィルスを検出したか否かを示す情報や、ウィルススキャンの完了時間の情報が含まれてもよい。ユーザ(例えば、複合機10の管理者)は、領域E112や領域E114を確認することで、ウィルススキャンの実行時期を決定することができる。なお、設定画面には、上述した領域が含まれていてもよいし、上述した情報以外の情報が表示されてもよい。例えば、設定画面には、ウィルススキャンの実行状況(スキャン中であるか否か、次のスキャン日時等)が含まれてもよい。また、設定画面には、ユーザによってウィルススキャン動作の結果確認(ウィルス検出記録等)を行うために用いられる情報が表示されてもよい。
【0103】
さらに、設定画面には、ウィルスパターンデータのアップデートの設定を行なったり、ウィルスパターンデータのアップデートの状況を表示したりする領域が含まれてもよい。領域E116は、複合機10の起動時に、ウィルスパターンデータのアップデートを行うか否かを切り替えるための領域である。ウィルスパターンデータのアップデートを行うか否かの設定は、例えば、デフォルトでは「有効」になっている。
【0104】
また、領域E118は、ウィルスパターンデータのアップデート状況を表示する領域である。領域E118には、例えば、最後にウィルスパターンデータがアップデートされた日時が表示される。ユーザ(例えば、複合機10の管理者)は、領域E118を確認することで、外部からの情報(ウィルスパターンのアップデート等)に基づき、ウィルススキャンを実行すべきか否か、もしくは、ウィルススキャンの実行時期が適切か否かを、適切に判断することができる。
【0105】
また、ボタンB106は、ウィルスパターンデータのアップデートの即時実行を行うためのボタンである。なお、ウィルスパターンデータのアップデートに関する機能については、複合機10は、ウィルスパターンデータのアップデートを中断する機能や、ウィルスパターンデータのアップデートのスケジューリング設定機能を有してもよい。この場合、複合機10が有するウィルスパターンデータのアップデートに関する機能に応じて、設定画面が構成されてもよい。
【0106】
なお、上述した説明では、端末装置20において、Webブラウザに複合機10の設定画面(Web操作UI)が表示されることとして説明したが、設定画面はWebブラウザではなく、アプリを介して表示されてもよい。例えば、端末装置20に、複合機10を操作するためのアプリを予めインストールしておき、当該アプリにおいて設定画面を表示する操作がされたとき、複合機10の設定画面が表示されればよい。この場合、複合機10は、端末装置20に、設定テーブル172に記憶された設定内容を、設定画面の表示情報として送信する。端末装置20は、複合機10から受信した設定内容をアプリに表示し、ユーザによる設定内容の変更の操作を受け付ける。端末装置20は、設定内容を複合機10に反映させる操作がされた場合、複合機10に設定更新要求を送信し、ウィルススキャンの実行を要求する操作がされた場合、複合機10にウィルススキャン実行要求を送信すればよい。
【0107】
また、上述した説明では、ウィルスの検疫の処理がウィルススキャンであるとして説明したが、ウィルスの検疫の処理として、ウィルススキャンの他に、ウィルスを駆除する処理や、ウィルスに感染したデータを隔離・削除する処理が実行されてもよい。
【0108】
このように、本実施形態の複合機は、ウィルススキャン機能(アプリケーション)を搭載し、複合機の本体の表示部に表示される操作画面において、ウィルススキャンの実行やスケジュールの設定を可能にし、設定に基づいてウィルススキャンを実行する。
【0109】
また、本実施形態の複合機は、ネットワークに接続された端末装置に対して、複合機の設定画面を表示する機能(Web操作UI)を提供する。これにより、複合機の管理者等のユーザは、複合機と離れた場所にいる場合や多くの複合機を管理している場合等、複合機に表示される設定画面(本体操作UI)を操作することが困難である場合、PC等の端末装置のWebブラウザ等を用いて、複合機のウィルススキャンの設定や操作が可能となる。また、複合機10のユーザは、複合機に表示される設定画面を確認せずとも、端末装置から複合機のウィルススキャンの実行状況、ウィルスパターンデータのアップデート状況を遠隔で確認することができる。また、ユーザは、端末装置を介して、複合機に対して、遠隔でウィルススキャンを実行させることが可能となる。
【0110】
すなわち、本実施形態によれば、複合機や端末装置に表示される設定画面を介して、ユーザに対して、ウィルススキャンのスケジュールの設定・確認・変更、及び、ウィルススキャン実行の状況や結果の確認を行わせることが可能になる。また、本実施形態の複合機は、ユーザによる設定に基づき定期的にウィルススキャンを実行し、また、ユーザによってウィルススキャンの即時実行が指示された場合は、ウィルススキャンを実行する。ユーザは、複合機の稼働状況を考慮した設定を行うことで、ウィルススキャンを確実に実行することができる。このようにして、本実施形態の複合機は、ウィルススキャンを滞りなく実行することが可能となる。
【0111】
[2.第2実施形態]
つづいて第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態において説明した処理に加えて、定期的にウィルススキャンが実行されるように設定されている場合において、ウィルススキャンの実行が阻害された場合に、ウィルススキャンの再実行(リトライ)を行う実施形態である。本実施形態は、第1実施形態の図7図11に置き換えたものである。なお、同一の処理には同一の符号を付し、説明については省略する。
【0112】
複合機10においては、負荷が高い処理(例えば、基本機能を使用するためのジョブ)が実行されている場合、当該処理の実行を優先させるために、ウィルススキャンが実行できない場合がある。つまり、複合機10は、他アプリケーションとの競合により、ウィルススキャンが実行できない状態となっている場合がある。一般的には、ユーザは、複合機10の使用頻度の低い時間帯にウィルススキャンのスケジュールを設定することで、複合機10のウィルススキャンを定期的に実行させることができる。例えば、ユーザ(例えば、複合機10の管理者等)は、23時に一般のユーザによって複合機10が使用されない場合、23時には、複合機10のウィルススキャンが問題なく実行可能であると考える。この場合、ユーザは、23時にウィルススキャンを起動するようにスケジュール設定することができる。しかし、複合機10が使用されないと考えられる時間であっても、ユーザによる操作がされたり、外部からデータが受信されたりすることにより、複合機10において負荷が高い処理が実行されることで、定期的なウィルススキャンの実行が阻害されることがある。そこで、本実施形態の複合機10は、ウィルススキャンの実行が阻害された場合、ウィルススキャンを再実行(再スキャン)する。なお、ウィルススキャンの再実行とは、ウィルススキャンを最初からやり直すことをいう。
【0113】
[2.1 処理の流れ]
図11を参照して、本実施形態におけるメイン処理について説明する。本実施形態では、制御部100(検疫処理部108)は、ウィルススキャンを実行する状態となったとき、ウィルススキャン処理を実行する(ステップS200;Yes→ステップS202)。ウィルススキャンを実行する状態となったときとは、予め設定されたウィルススキャンの実行日時になったときや、オンデマンドウィルススキャンを実行させるための操作がされたときである。また、ウィルススキャン処理は、複合機10の状況に応じて、ウィルススキャンの実行、停止及び再実行を行う処理であり、検疫処理部108によって実行される。
【0114】
ウィルススキャン処理について、図12を参照して説明する。はじめに、検疫処理部108は、ウィルススキャンを開始する(ステップS250)。
【0115】
つづいて、検疫処理部108は、ウィルススキャンの実行を阻害されたか否かを判定する。ウィルススキャンの実行が阻害される場合とは、ウィルススキャンと並行して実行できない処理を実行する必要が生じた場合である。本実施形態では、ウィルススキャンと並行して実行できない処理を実行する必要が生じた場合とは、以下の2つの何れかの場合であるとする。
(1)他の装置からデータが入力された場合
(2)ユーザにより複合機10が操作された場合(基本機能を実行する場合)
【0116】
そこで、検疫処理部108は、上述した2つの何れかの場合となったか否かを判定する。はじめに、検疫処理部108は、他の装置からデータが入力されたか否かを判定する(ステップS252)。他の装置から入力されるデータとは、複合機10による画像処理の処理対象となる画像のデータであり、例えば、受信や記憶の処理の対象となるFAXデータや、出力の対象となる画像ファイルや文書ファイルである。したがって、他の装置からデータが入力された場合とは、例えば、他の装置から、FAXデータを受信することにより、当該FAXデータを入力する必要が生じた場合や、接続部180に接続されたUSBメモリ等の記憶装置から、データを読み取ったときである。
【0117】
他の装置からデータが入力されなかった場合は、検疫処理部108は、ユーザにより複合機10が操作されたか否かを判定する(ステップS252;No→ステップS254)。
【0118】
検疫処理部108は、ユーザにより複合機10が操作されていない場合は、ウィルススキャンが完了したか否かを判定する(ステップS254;No→ステップS256)。検疫処理部108は、ウィルススキャンが完了した場合、図12に示した処理を終了する(ステップS256;Yes)。一方、検疫処理部108は、ウィルススキャンが完了していない場合、ステップS252に戻る(ステップS256;No→ステップS252)。
【0119】
一方で、検疫処理部108は、他の装置からデータが入力されたと判定した場合(ステップS252;Yes)若しくは複合機10が操作された場合(ステップS254;Yes)、ウィルススキャンを停止する(ステップS258)。なお、検疫処理部108は、ステップS258において、ウィルススキャンを停止した場合、ウィルススキャンの実行が阻害されたとして、阻害されたことを示す情報(ログ)を、記憶部260に記憶してもよい。
【0120】
つづいて、検疫処理部108は、複合機10の使用頻度が次に低くなる日時を特定する(ステップS260)。複合機10の使用頻度が次に低くなる日時とは、ウィルススキャンが停止した日時よりも後の日時において、複合機10の使用頻度が低くなる日時であって、現在時刻に最も近い日時である。例えば、検疫処理部108は、以下の何れかの方法を用いて、使用頻度が次に低くなる日時を特定する。
【0121】
(1)ジョブ履歴情報(複合機10の使用状況)に基づき推定する方法
検疫処理部108は、ジョブ履歴情報記憶領域170に記憶されたジョブ履歴情報に基づき、複合機10の過去の使用状況を取得し、複合機10の過去の使用状況を考慮して、複合機10の使用頻度が低くなる日時を推定する。例えば、検疫処理部108は、過去に実行されたジョブのジョブ履歴情報を読み出し、所定の長さの時間帯毎(例えば、1時間毎)のジョブの発生回数を集計することで、時間帯毎のジョブの発生回数(実行数)を集計する。そして、検疫処理部108は、ジョブの発生回数が所定の回数以下である時間帯を1又は複数特定し、特定した時間帯に含まれる時刻(例えば、その時間帯の開始時刻や、その時間帯の中間の時刻)を、複合機10の使用頻度が低い時刻とする。さらに、検疫処理部108は、複合機10の使用頻度が低い時刻のうち、ウィルススキャンを停止した後で、最も早く到達する時刻の日時を、使用頻度が次に低くなる日時として特定する。
【0122】
例えば、検疫処理部108は、ウィルススキャンを毎日実行する場合、前日に実行したジョブのジョブ履歴情報を用いて、複合機10の使用が少ない時刻を特定し、特定した時刻のうち最も早く到達する時刻の日時を、複合機10の使用頻度が低くなる時刻となる日時として特定する。ウィルススキャンの実行が停止した日時が4月1日の23時であり、複合機10の使用頻度が低い時刻が1時である場合、検疫処理部108は、4月1日の23時よりも後で、最も早く1時に到達する日時である4月2日の1時を、複合機10の使用頻度が次に低くなる日時として特定する。なお、検疫処理部108は、ウィルススキャンを毎週実行する場合、直前の1週間に実行されたジョブのジョブ履歴情報に基づき、複合機10の使用頻度が低くなる曜日を特定し、特定した曜日において、複合機10の使用が少ない時刻を特定すればよい。また、検疫処理部108は、ウィルススキャンを毎月実行する場合、直前の1か月のうち複合機10の使用頻度が低くなる日を特定し、特定した日において、複合機10の使用が少ない時刻を特定すればよい。
【0123】
(2)現在の日時から所定の時間が経過した後の日時を特定する方法
検疫処理部108は、現在の日時から、所定の時間後(例えば、10分後)の日時を複合機10の使用頻度が次に低くなる日時として特定する。なお、所定の時間は、予め決められていてもよいし、ユーザにより設定可能であってもよい。また、検疫処理部108は、現在実行されているジョブの終了日時を推定し、当該ジョブの終了日時の後における適当な日時を、複合機10の使用頻度が次に低くなる日時として特定してもよい。
【0124】
(3)予め設定された使用頻度が低い時刻に基づき特定する方法
複合機10は、使用頻度が低い時刻を予め複数設定可能にする。検疫処理部108は、次に複合機10の使用頻度が低い時刻となる日時を、使用頻度が次に低くなる日時として特定する。例えば、現在の日時が4月1日の23時であり、複合機10の使用頻度が低い時刻が3時と設定されている場合、検疫処理部108は、4月2日の3時を、複合機10の使用頻度が次に低くなる日時として特定する。
【0125】
つづいて、検疫処理部108は、ステップS260において特定した日時を、次のウィルススキャンの実行日時として設定する(ステップS262)。
【0126】
また、検疫処理部108は、ユーザの操作によるウィルススキャンの実行、もしくは、設定された日時にウィルススキャンの実行ができなかったことを、所定のユーザ(例えば、複合機10の管理者)に通知する(ステップS264)。通知先は予め設定されていればよい。なお、設定された日時によるウィルススキャンが実行できなかったことを通知する機能が無効になっている場合や、複合機10が当該機能を有していない場合は、検疫処理部108はステップS264における処理を省略する。
【0127】
検疫処理部108は、上述した処理を実行したあと、図12に示した処理を終了する。これにより、次のウィルススキャンの実行日時として設定された日時となったとき、図11のステップS200において、ウィルススキャンの実行日時になり、ウィルススキャンを実行する状態となったことが判定され、再度ウィルススキャン処理が実行される。
【0128】
[2.2 動作例]
図13は、本実施形態における設定画面W200の画面例を示す図である。設定画面W200は、例えば、Web操作UIとして、複合機10の表示部140や、端末装置20の表示部240に表示される。図13に示すように、設定画面W200には、ウィルススキャンが阻害された場合、ウィルススキャンが阻害されたことを示す情報を表示する領域E200が含まれてもよい。領域E200には、ウィルススキャンを再実行する日時(複合機10の使用頻度が次に低くなる日時)が含まれてもよい(図13のE202)。また、設定画面W200に、ウィルススキャンのスケジュールを設定する領域を表示させるためのボタンB200や、ウィルススキャンを即時実行するためのボタンB202が含まれてもよい。これにより、複合機10のユーザは、ウィルススキャンが阻害されたことを認識し、ウィルススキャンを実行するスケジュールを変更したり、ウィルススキャンを即時実行したりすることができる。
【0129】
なお、設定画面W200には、ウィルススキャンの実行が阻害されずに正常に終了した場合であっても、ウィルススキャンの実行が正常に終了したことを示す情報が表示されてもよい(図13のE210)。複合機10のユーザは、ウィルススキャンの実行が正常に終了したことを示す情報を確認することにより、ウィルススキャンを実行するスケジュールが適切であることを認識することができる。
【0130】
なお、ウィルススキャンの再実行時においてウィルススキャンの実行が再度阻害された場合、検疫処理部108は、ウィルススキャンを再実行する日時を再度設定してもよい。また、複合機10は、ウィルススキャンを再実行することが可能な回数を予め設定しておき、ウィルススキャンを何度か再実行(リトライ)するようにしてもよい。この場合において、ウィルススキャンを再実行することが可能な回数だけウィルススキャンの再実行を行なっても、ウィルススキャンが終了しなかった場合は、検疫処理部108は、ウィルススキャンを再実行すること無く終了する。
【0131】
なお、複合機10においてスリープ機能等の低電力機能が有効であり、ウィルススキャンの実行時に複合機10の動作状態がスリープ状態である場合がある。このような場合、制御部100は、ウィルススキャンの実行をトリガとして、自動的に、複合機10の動作状態をスリープ状態から通常状態(起動状態)にすればよい。
【0132】
このように、本実施形態の複合機は、ウィルススキャンの実行と、複合機の基本機能を使用するジョブ等の他の機能の実行とが競合し、複合機の基本機能の実行を優先したためにウィルススキャンの実行が困難となった場合(阻害された場合)、ウィルススキャンを一旦停止する。そして、本実施形態の複合機は、複合機の基本機能の実行の完了後、ウィルススキャンを再開又は再実行する。これにより、本実施形態の複合機は、ウィルススキャンの実行が阻害された場合であっても、ウィルススキャンを確実に行うことができる。
【0133】
[3.第3実施形態]
つづいて第3実施形態について説明する。第3実施形態は、ウィルススキャンの実行の際に、スキャン対象であるリソースが競合して動作していたり、スキャン対象であるファイルが使用されていたり、基本機能の実行を優先したりした場合において、ウィルススキャンの実行結果をより正確になるように制御する実施形態である。
【0134】
ここで、競合するリソースは、メモリ、情報の退避先であるSSD(HDD)、CPU等である。ウィルススキャンのアプリケーションは、実行時にメモリを多く使用する場合がある。一方で、大量のスキャン等のジョブが実行される場合も、当該ジョブの実行により、メモリが多く使用される場合がある。ウィルススキャンのアプリケーションとジョブとが実行される場合、ウィルススキャンのアプリケーションが使用するメモリが足りなくなり、ウィルススキャンのアプリケーションの実行が待たされる状況となることがある。メモリに記憶された情報の退避先がSSDである場合、SSDにメモリの情報が一時的に記憶されることになるが、この場合、SSDの容量不足となることがある。SSDの容量不足もリソースの競合の一種である。メモリやSSDといったリソースは、ジョブの実行が完了すると解放されるため、ウィルススキャン等の他のアプリケーションが動作するようになるが、ジョブの実行が完了するまでは、ウィルススキャンは停止する場合がある。
【0135】
また、アプリケーションはCPUを使用して動作するが、実行の優先順位の高いタスクにより、CPUが専有されることとなる。この場合、優先順位の低いタスクは、実行が待たされる状況となる。一般的に、ウィルススキャンの実行に比べて、ユーザによって指示されたジョブの実行は、実行の優先順位が高い。そのため、ウィルス検知後における処理(ウィルスの除去、データの回復等)の優先順位が高い場合であっても、ウィルススキャンの実行の優先順位が低い場合、ウィルススキャンの実行が停止し、優先順位の高い処理が実行されることとなる。
【0136】
このようなリソースの競合により、ウィルススキャンの実行が停止した場合、リソースの競合が生じたときと、リソースの競合が解消したとき(リソースの解放後)とでは、スキャン対象の状態が変化する場合がある。本実施形態は、このような場合においても、制御部100が、適切にウィルススキャンを実行する実施形態である。
【0137】
本実施形態では、複合機10は、メイン処理として、第2実施形態の図11に示した処理を実行する。また、本実施形態では、図11のステップS202において実行されるウィルススキャン処理として、検疫処理部108は、図14に示した処理を実行する。
【0138】
[3.1 処理の流れ]
図14を参照して、本実施形態におけるウィルススキャン処理について説明する。はじめに、検疫処理部108は、ウィルススキャンを開始し(ステップS300)、データを入力したか否かを判定する(ステップS302)。データを入力した場合とは、例えば、以下の場合である。
(1)基本機能の実行に際して、接続部180に接続されたUSBメモリ等の記憶装置から、制御部100がデータを読み取ったとき。
(2)基本機能の実行に際して、制御部100が、画像入力部120を介して画像を入力したとき。
(3)制御部100が、通信部190を介して、他の機器からデータを受信したとき。
【0139】
データを入力しなかった場合は、検疫処理部108は、ウィルススキャンが完了したか否かを判定する(ステップS302;No→ステップS304)。検疫処理部108は、ウィルススキャンが完了した場合は、図14に示した処理を終了し(ステップS304;Yes)、ウィルススキャンが完了していない場合は、ステップS302に戻る(ステップS304;No→ステップS302)。
【0140】
一方、検疫処理部108は、ステップS302において、データを入力したと判定した場合、ウィルススキャンを停止する(ステップS302;Yes→ステップS306)。また、制御部100は、ステップS302において入力されたデータを、所定の領域(例えば、入力データ記憶領域166)に記憶する(ステップS308)。
【0141】
つづいて、制御部100は、所定のジョブを実行する(ステップS310)。例えば、USBメモリから複合機10に送信されたデータを印刷する機能(プリント機能)の使用がユーザにより選択された場合、当該データを印刷するジョブを実行する。
【0142】
つづいて、検疫処理部108は、ステップS306においてウィルススキャンを停止したとき、ステップS308においてデータが記憶された領域に対するウィルススキャンは未実行であるか否かを判定する(ステップS312)。例えば、検疫処理部108は、ステップS308においてデータが記憶された領域に対するウィルススキャンが完了しておらず、当該領域に対するウィルススキャンが進行中でもなかった場合、当該領域に対するウィルススキャンは未実行であると判定する。一方、検疫処理部108は、ステップS308においてデータが記憶された領域が既にウィルススキャン済み又はウィルススキャン中であったとき、当該領域に対するウィルススキャンを行った(未実行ではない)と判定する。
【0143】
検疫処理部108は、ステップS308においてデータが記憶された領域に対するウィルススキャンが未実行であれば、ウィルススキャンをそのまま再開する(ステップS312;Yes→ステップS314)。
【0144】
一方、検疫処理部108は、ステップS308においてデータが記憶された領域に対するウィルススキャンが未実行ではない場合、当該領域に対するウィルススキャンを再実行する(ステップS316)。
【0145】
このようにして、検疫処理部108は、ウィルススキャン中にデータが入力された場合であって、当該データが記憶された領域に対するウィルススキャンが既に行われていたときは、当該領域に対するウィルススキャンを再実行する。これにより、検疫処理部108は、ウィルスに感染されたファイルが入力され、ウィルススキャン済み若しくはウィルススキャン中の領域に対して当該ファイルが記憶された場合であっても、ウィルススキャンをやり直すことでウィルスを検出することができる。この結果、検疫処理部108は、より正確なウィルススキャンの実行結果を得ることができる。
【0146】
[3.2 動作例]
具体的な例を用いて、本実施形態における複合機10の動作例について説明する。例えば、複合機10において、ウィルススキャンが実行されているとき、ユーザによってUSBメモリから複合機10にデータが送信された後、印刷機能等を実行する場合がある。この場合、複合機10は、ウィルススキャンを停止させ、印刷完了後にウィルススキャンを再開、又は再実行する。
【0147】
ここで、複合機10は、USBメモリから受信したデータを、入力データ記憶領域166(「領域1」とする)に記憶する。この場合において、ウィルススキャンをする対象として領域1が設定され、かつ、上記ウィルススキャンが停止される前に領域1に対してウィルススキャンが実行されていたとき、ユーザによって実行された機能(例えば、印刷機能)のジョブの完了後に、複合機10は、領域1に対して、再度ウィルススキャンを実行する。これにより、複合機10は、より正確なウィルススキャンの実行結果を得ることができる。
【0148】
なお、上述した説明では、データが入力された場合に、検疫処理部108がウィルススキャンを停止することとして説明したが、検疫処理部108は、記憶部160に記憶されているデータの使用・変更がされた場合に、ウィルススキャンを停止してもよい。この場合、検疫処理部108は、ウィルススキャン実行中において、ウィルススキャンの対象データや対象データが記憶された領域に記憶された他のデータが使用・変更されたことを検出する。また、対象データや対象データが記憶された領域に記憶された他のデータが使用・変更された後、検疫処理部108は、当該対象データ又は当該領域を再スキャンする。なお、複合機10は、設定画面に、対象データ又は対象データが記憶された領域を再スキャンした場合、再スキャンしたことを示す情報や、再スキャンによるウィルススキャンの結果を、設定画面(例えば、Web操作UI)に表示してもよい。
【0149】
このように、本実施形態の複合機は、ウィルススキャン機能と、その他の複合機としての機能を考慮した機能(基本機能)とを備え、ウィルススキャン機能について、Web操作UIから制御することができる。特に本実施形態の複合機は、ウィルススキャン実行中のウィルススキャン機能と因果関係のある機能との排他機能を備え、ウィルススキャンの実行の結果を、Web操作UIに表示させる。因果関係のある機能とは、例えば、USBメモリから複合機10にデータを送信した後に印刷する機能である。複合機は、当該機能を実行する場合、ウィルススキャンを停止させ、当該機能の実行完了後に、ウィルススキャンの再開若しくは再スキャンを行う。
【0150】
本実施形態の複合機は、このような特徴を有することで、ウィルススキャンを停止させる前に、所定の領域に対するウィルススキャンが実行されていた場合、ジョブ完了後に当該領域を再度ウィルススキャンすることにより、より正確なウィルススキャンの実行結果を得ることができる。
【0151】
[4.第4実施形態]
つづいて第4実施形態について説明する。第4実施形態は、第1実施形態において説明した処理に加えて、ウィルススキャンに関する通知を行う実施形態である。本実施形態は、第1実施形態の図4図15に置き換えたものである。
【0152】
[4.1 機能構成]
図15を参照して、本実施形態における設定テーブル172に記憶される情報について説明する。本実施形態では、設定テーブル172には、通知に関する情報として、以下の情報が記憶される。
【0153】
(1)ウィルススキャンの実行結果の通知に関する情報(図15のD400)
ウィルススキャンの実行結果の通知に関する情報は、ウィルススキャンの実行結果の通知機能の有効/無効の設定及び通知先(例えば、通知内容を含む電子メールの送信先となるメールアドレス)である。
【0154】
(2)ウィルススキャンの実行時期の通知に関する情報(図15のD402)
ウィルススキャンの実行時期の通知に関する情報は、ウィルススキャンの実行時期の通知機能の有効/無効の設定及び通知先(例えば、通知内容を含む電子メールの送信先となるメールアドレス)である。
【0155】
ここで、ウィルススキャンの実行時期の通知機能とは、ウィルススキャンを実行するべき時期をユーザ(例えば、複合機10の管理者)に伝える機能である。本実施形態では、通知を行うタイミングは以下の3つとし、それぞれのタイミングにおいて通知を行うか否かの設定及び通知を行う条件の設定が可能であるとする。
【0156】
(a)データ更新頻度が多いとき
複合機10は、ウィルススキャンの対象である領域(例えば、入力データ記憶領域166)に対して、短期間に数多くの操作(例えば、ファイルを変更・更新する操作)がされ、データ更新頻度(操作の頻度)が高いと見做せる場合に、ウィルススキャンを手動実行させることを促す通知を行う。設定テーブル172には、図15のD404に示すように、データ更新頻度が多い場合に通知を行うか否か及びデータ更新頻度が高いと判定する条件(例えば、「1時間に100ファイル以上更新されたとき」等の頻度の情報)が予め記憶される。また、図15のD404に示す設定内容は、ユーザにより変更可能であってもよい。
【0157】
(b)実行するジョブの数が多い又は少ないとき
複合機10は、複合機10が実行するジョブの数が多い場合等、複合機10の使用頻度が高くなった場合、ウィルススキャンを手動実行させることや、ウィルススキャンの頻度を多くすることを促す通知を行う。複合機10の使用頻度が高いと判定する条件(例えば、「1日の実行ジョブ数が10以上であるとき」)は、予め設定されていてもよいし、ユーザによって設定可能であってもよい。なお、同様にして、複合機10は、複合機10が実行するジョブの数が少ない場合等、複合機10の使用頻度が低くなった場合、ウィルススキャンの頻度を少なくすることを促す通知が行われてもよい。設定テーブル172には、図15のD406に示すように、使用状況に基づく通知を行うか否か及び使用状況が変化したと判定する条件(例えば、「1日の実行ジョブ数が10以上であるとき」等の頻度の情報)が予め記憶される。また、図15のD406に示す設定内容は、ユーザにより変更可能であってもよい。
【0158】
(c)ウィルスパターンデータのアップデート状況が変化したとき
複合機10は、ウィルスパターンデータのアップデートが頻繁になったときや、ウィルスパターンデータのアップデートの時期とウィルススキャンの実行時期との時間差が大きくなったとき等、ウィルスパターンのアップデート状況が変化した場合に通知を行う。このとき、複合機10は、通知を行うことにより、ユーザに対して、ウィルススキャンの実行時期の見直しを促す。ウィルスパターンのアップデート状況が変化したと判定する条件(例えば、「1か月に4回以上更新されたとき」等の頻度の情報)は、予め設定されていてもよいし、ユーザによって設定可能であってもよい。設定テーブル172には、図15のD408に示すように、ウィルスパターンデータのアップデート状況に基づく通知を行うか否か及びアップデート状況が変化したと判定する条件(例えば、「1か月に4回以上更新されたとき」)が記憶される。
【0159】
なお、通知は、例えば、予め設定テーブル172に記憶されたアドレスを送信先とした電子メールを送信することにより行われる。なお、通知は、通知される内容を設定画面等の所定の画面が表示されることにより行われてもよい。
【0160】
[4.2 処理の流れ]
図16を参照して、複合機10が実行する通知処理の流れについて説明する。通知処理は、設定テーブル172に記憶された通知に関する情報に基づき、通知を行う処理である。通知処理は、図7に示したメイン処理と並行して、制御部100によって、記憶部160に記憶されたプログラムを読み出すことによって実行される。また、通知処理は、定期的(例えば、1時間に1回)に実行されてもよいし、ウィルススキャンの実行が完了したタイミングで実行されてもよい。
【0161】
はじめに、制御部100は、ウィルススキャンが実行されたか否かを判定する(ステップS400)。制御部100は、ウィルススキャンが実行された場合、ウィルススキャンの実行結果の通知機能が有効であれば、ウィルススキャンの実行結果を通知する(ステップS400;Yes→ステップS402;Yes→ステップS404)。
【0162】
なお、制御部100は、ウィルススキャンが実行される度にウィルススキャンの実行結果を通知してもよいし、ウィルスが検出された場合に限って通知を行なってもよい。すなわち、制御部100は、ウィルス検出時の動作として、ユーザに対して通知を行うようにしてもよい。
【0163】
なお、制御部100は、ウィルススキャンが実行されていない場合(ステップS400;No)又はウィルススキャンの実行結果の通知機能が無効である場合(ステップS402;No)、ステップS404における処理を省略する。
【0164】
つづいて、制御部100は、ウィルススキャンの実行時期の通知の条件を満たすか否かを判定する(ステップS406)。制御部100は、ウィルススキャンの実行時期の通知の条件を満たす場合、ウィルススキャンの実行時期の通知機能が有効であれば、ウィルススキャンの実行時期を特定する(ステップS406;Yes→ステップS408;Yes→ステップS410)。また、制御部100は、ステップS410において特定したウィルススキャンの実行時期を通知する(ステップS412)。
【0165】
例えば、制御部100は、以下のようにして、ウィルススキャンの実行時期の特定及び通知を行う。
(a)データ更新頻度が多い場合
制御部100は、ウィルススキャンの対象として設定された領域等において短期間に数多くのファイルが変更・更新された場合、ウィルススキャンの実行時期として、通知を行う日時を特定する。すなわち、制御部100は、ウィルススキャンを即時実行する必要があることを通知することにより、ユーザに対して、ウィルススキャンの手動実行を促す。これにより、複合機10のユーザは、定期的なウィルススキャンを実行することを設定している場合であっても、ウィルススキャンの対象として設定した領域において、短期間に数多くのファイルが変更・更新されたことに基づき、複合機10に対して、ウィルススキャンを実行させることができる。
【0166】
なお、制御部100は、ウィルススキャンの対象として設定された領域の使用状況を計算し、ウィルススキャンを実行するべき時期を、ユーザ(例えば、複合機10の管理者等)に通知してもよい。例えば、制御部100は、ウィルススキャンの対象として設定された領域において、変更・更新されるファイルの数やデータ量を、曜日毎に集計する。このとき、制御部100は、変更・更新されるファイルの数やデータ量が最も多い曜日を、ウィルススキャンを実行するべき時期として通知する。これにより、複合機10のユーザは、ウィルススキャンをするべき曜日を知ることができる。また、制御部100は、データの変更量や通信量を計測し、複合機10における通常時のデータの変更量やデータの通信量を超えた場合に、ウィルススキャンの実行を促す通知を行ってもよい。例えば、一週間に一回(例えば、土曜日に)ウィルススキャンを行う設定がされている場合、制御部100は、一週間分のデータの変更量や通信量が、通常時における一週間分のデータの変更量や通信量を超えた場合、通知を行う変化があったことを検知する。例えば、制御部100は、月曜日に、通常の一週間分以上のデータ変更(例えば、スキャンデータが保存されることによって記憶部160の使用容量が増えた等)があったこと、もしくは、ネットワークからの通信量が通常の一週間分以上になったこと等を検知する。この場合、制御部100は、水曜日に、ユーザに対して、「ウィルススキャンを実行すべき」等の、ウィルススキャンの実行を促す通知を行ってもよい。ウィルススキャンの実行時期としては、例えば、通常時のデータの変更量やデータの通信量を超えたことが検知された日の翌日や、翌々日等である。なお、通常時のデータの変更量や通信量は、ユーザにより設定されてもよいし、制御部100が所定期間における計測結果の平均値を求める等により、自動的に決定されてもよい。
【0167】
(b)複合機10の使用状況が変化した場合
制御部100は、実行するジョブが多くなった場合、ウィルススキャンの実行時期として、通知を行う日時又は次に複合機10の使用頻度が低くなる日時を特定する。これにより、制御部100は、ユーザに対して、ウィルススキャンの手動実行を促したり、ウィルススキャンのスケジュールの見直しを促したりすることができる。一方、制御部100は、実行するジョブが少なくなった場合、ウィルススキャンの実行時期として、ジョブ履歴情報に基づき、複合機10の使用頻度が低くなる曜日や日を特定する。これにより、制御部100は、ユーザに対して、ウィルススキャンの実行頻度を週に1日又は月に1日にするように、ウィルススキャンのスケジュールの見直しを促すことができる。なお、上述した例は一例であり、複合機10は、複合機10の使用状況から、使用状況のパターンを推測し、ウィルススキャンを実行するべき時期を特定し、特定した時期をユーザ(例えば、複合機10の管理者等)に通知すればよい。
【0168】
(c)ウィルスパターンのアップデート状況が変化した場合
制御部100は、ウィルスパターンのアップデート状況が変化した場合、次にウィルスパターンのアップデートがされるタイミングを推測し、次にウィルスパターンのアップデートが完了する日時を、ウィルススキャンの実行時期として特定し、通知する。また、制御部100は、ウィルスパターンのアップデートが失敗したか否かを判定し、ウィルスパターンのアップデートが失敗したときは、ユーザへの対応の内容を通知してもよい。例えば、制御部100は、ウィルスパターンのアップデートに失敗した場合、「ウィルスパターンのアップデートに失敗したので、手動で更新してください。」といった、手動によるウィルスパターンのアップデートをユーザに促してもよい。また、制御部100は、「前日のウィルスパターンのアップデートに失敗したため、本日、再度アップデートを行うので、電源を切らないでください。」といったように、複合機10の電源を入れたままにすることをユーザに通知してもよい。なお、この場合、制御部100は、ウィルスパターンのアップデートが完了したときに、ウィルススキャンの実行時期を通知してもよい。ウィルススキャンの実行時期としては、例えば、ウィルスパターンのアップデートが完了した直後や、ウィルスパターンのアップデートが完了した翌日等が特定される。
【0169】
なお、制御部100は、ウィルススキャンの実行時期の通知の条件を満たさない場合(ステップS406;No)又はウィルススキャンの実行時期の通知機能が無効である場合(ステップS408;No)、ステップS410及びステップS412における処理を省略する。
【0170】
[4.3 動作例]
図17は、本実施形態における設定画面W400の画面例を示す図である。図17に示すように、設定画面W400には、ウィルススキャンの実行時期(次にウィルススキャンを実行するべき時期)を示す通知が表示される領域(領域E400及び領域E402)が含まれる。
【0171】
領域E400は、データ更新頻度が多く、ウィルススキャンの手動実行を促す通知が表示された領域である。領域E400には、ウィルススキャンを実行させるためのボタンB400が含まれてもよい。ユーザは、領域E400に表示された情報に基づき、ウィルススキャンの実行が必要であることを把握することができ、ボタンB400を選択することで、ウィルススキャンを即時実行することが可能となる。
【0172】
領域E402は、ウィルスパターンデータのアップデート状況が変化し、次にウィルススキャンを実行するべき時期が特定されたことを示す通知が表示された領域である。領域E402には、ウィルスパターンデータのアップデートのスケジュールの設定を表示させるためのボタンB402が含まれてもよい。ユーザは、領域E402に表示された情報に基づき、ウィルススキャンのスケジュールの見直しが必要であることを把握することができ、ボタンB402を選択することで、ウィルスパターンデータのアップデートのスケジュールを変更することができる。
【0173】
なお、図17は、複合機10の表示部140に表示されてもよいし、端末装置20の表示部240に表示されてもよい。また、複合機10は、通知内容を含む電子メールを予め設定されたメールアドレスを送信先として送信することで、通知を行なってもよい。
【0174】
また、本実施形態は第2実施形態と組み合わせることで、複合機10が、ウィルススキャンの実行が阻害されたときに、通知(報告)を行うように構成されてもよい。これにより、複合機10のユーザは、ウィルススキャンの実行日時として設定した日時に、ウィルススキャンの実行ができなかったことを知ることができる。また同様に、複合機10は、ウィルススキャンによりウィルスが検出された場合、ウィルスが検出されたこと及び適切な対応をユーザに促すための情報を、設定画面や電子メールを用いて通知してもよい。
【0175】
このように、本実施形態の複合機によれば、ウィルススキャンを実行すべき時期を、ユーザに通知することができる。また、通知は、端末装置に表示される設定画面(Web操作UI)や電子メールを介して行われるため、ユーザは、Webブラウザ等やメールソフト等を用いて複合機の稼働状況を確認し、使用頻度の低い時間帯にウィルススキャンを実行させたり、スケジュールを変更したりすることが可能となる。また、ユーザは、複数台の複合機を管理している場合等において、それぞれの複合機の設定画面を確認することで、複数台の複合機それぞれにおいて、変更・更新されたファイル数やデータ量、稼働状況等を比較し、計画的にウィルススキャンの実行時期を検討・設定することも可能となる。
【0176】
[5.変形例]
本開示は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。すなわち、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施の形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【0177】
また、上述した実施形態は、説明の都合上、それぞれ別に説明している部分があるが、技術的に可能な範囲で組み合わせて実行してもよいことは勿論である。例えば、第3実施形態と第4実施形態とを組み合わせてもよい。この場合、データを記憶した領域に対するウィルススキャンが未実行であるか否かに応じてウィルススキャンを再開するか再実行するかを決定し、ウィルススキャンの実行時期を通知する複合機が実現される。
【0178】
また、実施形態において各装置で動作するプログラムは、上述した実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的に一時記憶装置(例えば、RAM)に蓄積され、その後、各種ROM(Read Only Memory)やHDD等の記憶装置に格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。
【0179】
ここで、プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROMや、不揮発性のメモリカード等)、光記録媒体・光磁気記録媒体(例えば、DVD(Digital Versatile Disc)、MO(Magneto Optical Disc)、MD(Mini Disc)、CD(Compact Disc)、BD (Blu-ray(登録商標) Disc) 等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等の何れであってもよい。また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本開示の機能が実現される場合もある。
【0180】
また、市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本開示に含まれるのは勿論である。
【符号の説明】
【0181】
1 システム
10 複合機
100 制御部
102 画像処理部
104 UI提供部
106 設定部
108 検疫処理部
120 画像入力部
130 画像形成部
140 表示部
150 操作部
160 記憶部
162 システムデータ記憶領域
164 アプリケーションデータ記憶領域
166 入力データ記憶領域
168 ウィルスパターンデータ記憶領域
170 ジョブ履歴情報記憶領域
172 設定テーブル
180 接続部
190 通信部
20 端末装置
200 制御部
202 Webブラウザ
202a 設定画面表示部
202b 設定内容送信部
240 表示部
250 操作部
260 記憶部
262 Webブラウザアプリ
290 通信部
図1
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