(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177598
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】電源装置、照明装置
(51)【国際特許分類】
F21V 23/00 20150101AFI20231207BHJP
F21V 31/00 20060101ALI20231207BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20231207BHJP
F21Y 101/00 20160101ALN20231207BHJP
F21Y 103/00 20160101ALN20231207BHJP
【FI】
F21V23/00 130
F21V31/00 100
F21V23/00 120
F21Y115:10
F21Y101:00 100
F21Y103:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090341
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】多賀 綾香
【テーマコード(参考)】
3K014
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K014AA02
3K014EA03
(57)【要約】
【課題】防水性能の低下の抑制。
【解決手段】本発明の電源装置は、電源基板(30)のアース用の金属板(50)と、表面が絶縁膜で被覆された導電性の電源ケース(10)とを電気的に接続する金属製のアース用ネジ(60)を含み、電源ケース(10)には、アース用ネジ(60)によるネジ締めにより絶縁膜が削られる溝部(15)が形成され、金属板(50)は、溝部(15)内のアース用ネジ(60)に接触する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水型の電源装置であって、
電源基板と、
少なくとも内面が絶縁膜で被覆され、前記電源基板を収容する導電性の筐体と、
前記電源基板におけるアースが必要な部位に接続された導電部材と、
前記筐体と前記導電部材とを電気的に接続する金属製のアース用ネジと、を含み、
前記筐体には、前記アース用ネジによるネジ締めにより前記絶縁膜が削られる溝が形成され、
前記導電部材は、前記溝にネジ締めされた前記アース用ネジに接触するように設けられている、電源装置。
【請求項2】
前記筐体には、前記電源基板の出し入れを行うための開口が形成され、
前記溝は、前記筐体の前記開口の開口面に対して垂直方向に形成され、
前記筐体の前記開口を塞ぐ防水用のパッキンをさらに有し、
前記パッキンは、弾性部材で形成されている、請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記パッキンは、当該パッキンによって前記開口を塞いだ状態で前記溝にネジ締めした前記アース用ネジの頭部が入る大きさの凹部が形成されている、請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記筐体は、
前記パッキンを当該筐体側に向かって押しつけるように当該筐体に固定用ネジによって固定されるカバーを有している、請求項2に記載の電源装置。
【請求項5】
前記固定用ネジは、頭部とネジ部との間に胴部が設けられ、
前記胴部の直径は、前記筐体における前記ネジ部のネジ穴の直径よりも大きく、
前記胴部における前記ネジ部までの長さは、前記パッキンの厚み以下である、請求項4に記載の電源装置。
【請求項6】
前記導電部材は、金属板であり、
前記金属板は、前記電源基板上であって、前記溝にネジ締め完了した状態の前記アース用ネジの頭部に接触する位置に設けられている、請求項1に記載の電源装置。
【請求項7】
前記導電部材は、
前記電源基板におけるアースに必要な部位から前記筐体に向けて設けられた導電線であり、
前記導電線の先端には、前記アース用ネジと前記筐体の前記溝との間で、当該アース用ネジをネジ締めすることで固定される端子部が設けられている、請求項1に記載の電源装置。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1項に記載の電源装置を備えた照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水型の電源装置、照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
照明器具に備えられる電源装置として防水型のものがある。例えば特許文献1のような電源装置は、内部に電源ユニットが挿入されるケース筒と、ケース筒の端部に配置される一対のケース端板と、ケース筒と一対のケース端板に挟まれるシール材としてのパッキンと、ケース筒と電源ユニットとをアース接続する防水螺子とにより構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のような電源装置では、電源ユニットを収容するケースが筒状であるため、工具が入りにくく、ケース筒と電源ユニットを接続する防水螺子を組み付ける作業の効率が悪くなる。
【0005】
アース線を電源ユニットとケース端板に接続することで、上記問題点を解決できるが、アース線を設けることで電源線の数が増えてしまい、電源線の数だけパッキンに挿通孔を設けなければならない。パッキンの挿通孔の数が多くなると、水が内部に侵入する可能性が高くなり、防水性が低下することが考えられる。
【0006】
本発明の一態様は、防水構造の筐体から外部に引き出す部分(開口)の増加による防水性能の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る電源装置は、防水型の電源装置であって、電源基板と、少なくとも内面が絶縁膜で被覆され、前記電源基板を収容する導電性の筐体と、前記電源基板におけるアースが必要な部位に接続された導電部材と、前記筐体と前記導電部材とを電気的に接続する金属製のアース用ネジと、を含み、前記筐体には、前記アース用ネジによるネジ締めにより前記絶縁膜が削られる溝が形成され、前記導電部材は、前記溝にネジ締めされた前記アース用ネジに接触するように設けられている構造である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、防水構造の筐体から外部に引き出す導線を少なくできるので、導線を引き出す部分(開口)の増加による防水性能の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態1に係る電源装置を備えた照明装置の斜視図である。
【
図2】
図1に示す照明装置の内部構造を示す斜視図である。
【
図3】
図1に示す照明装置が備える電源装置を一側面から見た斜視図である。
【
図4】
図3に示す電源装置の防水用のパッキンの斜視図である。
【
図5】
図3に示す電源装置の電源ケース内の溝をアース用ネジでネジ締めする直前の状態を示す斜視図である。
【
図6】
図3に示す電源装置の電源ケース内の溝をアース用ネジでネジ締めした状態を示す斜視図である。
【
図7】
図3に示す電源装置の電源ケース内の溝をアース用ネジでネジ締めした状態を示す概略断面図である。
【
図8】本発明の実施形態2に係る電源装置の筐体におけるアース用ネジによるネジ締め状態を示す概略断面図である。
【
図10】本発明の実施形態3に係る電源装置の筐体におけるアース用ネジによるネジ締め状態を示す概略断面図である。
【
図11】
図10に示すリードの先端に設けられた端子の例を示す図である。
【
図12】本発明の実施形態4に係る電源装置の筐体の開口に側面カバーで塞ぐ際の固定用ネジのネジ締め状態を示す筐体の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、実施形態1に係る照明装置1の斜視図である。
図2は照明装置1の内部構造を示す斜視図である。
【0011】
(照明装置1の概要)
図1及び
図2に示すように、照明装置1は装置本体2と、装置本体2に取り付けられる光源モジュール3と、図示していない光源を点灯させる電源装置4を備えている。装置本体2は天井等に取り付けられ、金属または合成樹脂によって構成される。光源モジュール3は、例えば乳白色の半透明な、合成樹脂により構成される。光源は、例えばLED、ハロゲンランプ、蛍光ランプ等が光源モジュール3の内部に収容される。
【0012】
(電源装置4の概要)
図3、
図4を用いて電源装置4について説明する。
図3は
図1に示す照明装置1が備える電源装置4を一側面から見た斜視図である。
図4は
図3に示す電源装置4の電源ケース10の開口部に取り付ける防水用のパッキン25の斜視図である。
【0013】
電源装置4は、長手方向の両端が開口された筒状の防水構造の電源ケース(筐体)10と、電源ケース10の両側の開口部を塞ぐように設けられる一対の側面カバー20と、電源ケース10に収容される電源基板30とを含む。
【0014】
電源基板30は、略長方形状の絶縁基板(図示せず)上に、光源を点灯制御するための電気回路の配線をプリントし、集積回路、抵抗、コンデンサ等の電子部品が設けられたものである。さらに、電源基板30の裏面(電子部品を設けた面と反対側の面)全面には、絶縁シート31が設けられている。これにより、電源基板30を電源ケース10に収納したときに、電源基板30の裏面と電源ケース10とを絶縁するようになっている。また、電源基板30の長手方向の一側部には、電源基板30におけるアースが必要な部位に導通された金属板50が設けられている。
【0015】
電源ケース10と側面カバー20の間に位置し、電源装置4の内部に液体(水)が浸入するのを防ぐパッキン25が設けられている。
【0016】
パッキン25は、シリコーン樹脂などの合成ゴム等の弾性部材からなるシール材によって構成される。パッキン25は、電源ケース10と側面カバー20との間の隙間および電源基板30からでる電気配線が挿通する挿通孔から液体が浸入するのを防いでいる。これにより、防水型の電源装置4を実現している。
【0017】
パッキン25は、
図4に示すように、電源ケース10の開口に挿入される内枠25aと、内枠25a内に設けられたケーブル挿入部25bと、内枠25aの下端の両側に設けられた突起部25cと、を含む。パッキン25の詳細は、後述する。
【0018】
図3に示すように、一対の側面カバー20は、電源ケース10にネジ(固定用ネジ)5によって固定されている。ネジ5は、電源ケース10の外壁面に設けられたネジ穴となる溝部12と螺合する。一対の側面カバー20のうち、一方側の側面カバー20からは、電源ケース10内の電源基板30に接続された入力線41が引き出され、さらに、側面カバー20には、電源装置4をアース接続するためのアース線40が取り付けられている。側面カバー20は、例えばステンレス、アルミニウム等の金属によって形成されている。
【0019】
(電源ケース10の概要)
図5を用いて電源ケース10について説明する。
図5は、電源ケース内の溝をアース用ネジでネジ締めする直前の状態を示す斜視図である。
【0020】
電源ケース10は、
図5に示すように、電源基板30を収納するために内部に空間を有すように長手方向の両端が開口された略直方体状に形成されている。電源ケース10の内壁面は、装置本体2側に設けられる下壁面10aと、下壁面10aの短手方向の両端部から延出する一対の側壁面10bと、一対の側壁面10bを接続する上壁面10cにより構成されている。一対の側壁面10bそれぞれに、溝部14が電源ケース10の開口から長手方向に延設されている。溝部14は、一対の側壁面10bの長手方向に沿って設けられている。溝部14には、電源基板30の短手方向の側部が挿入され、電源基板30を支持するようになっている。
【0021】
さらに、電源ケース10の側壁面10bには、溝部14と平行に、且つ、溝部14よりも上壁面10c側に溝部15が形成されている。溝部15は、電源ケース10の開口の開口面に対して垂直方向に形成されている。なお、溝部15は、一対の側壁面10bの少なくとも一方に形成されていればよい。本実施形態では、溝部15が一つ形成された例について説明する。この溝部15は、金属製のアース用ネジ60のネジ穴として機能するが、アース用ネジ60のネジに螺号するネジが形成されておらず、アース用ネジ60のネジ締めによって溝部15の表面が削られるようになっている。溝部15とアース用ネジ60との関係の詳細は後述する。また、電源ケース10の外壁面には、側面カバー20を固定するためのネジ穴となる溝部12が設けられている。電源ケース10及び側面カバー20は、例えばステンレス、アルミニウム等の金属によって形成されている。つまり、電源ケース10及び側面カバー20は、導電性を有していれば、どのような材料で形成されていてもよい。
【0022】
電源ケース10は、表面が絶縁膜で被覆されている。例えば、電源ケース10がアルミニウムで構成されていれば、アルマイト処理を施し、表面を酸化皮膜(絶縁膜)で覆うようにする。この酸化皮膜は、電源ケース10に絶縁機能を施し、且つ、電源ケース10の表面にキズが付き難くなるようにしている。アルミニウム製の電源ケース10の表面を絶縁膜で覆う方法としては、アルマイト処理以外に、電源ケース10の表面に絶縁性の塗料を塗布する方法であってもよい。また、アルミニウム製以外の導電性材料によって電源ケース10が形成されている場合には、導電性材料に応じて方法で電源ケース10の表面を絶縁膜で覆うようにすればよい。なお、電源ケース10は、内面が絶縁膜で被覆される必要はなく、少なくとも表面全体が絶縁膜で被覆されていればよい。
【0023】
(アース用ネジ60によるアースの取り方の説明)
図6、
図7を参照しながらアース用ネジ60によるアースの取り方について説明する。
図6は、電源ケース内の溝をアース用ネジでネジ締めした状態を示す斜視図である。
図7は、電源ケース内の溝をアース用ネジでネジ締めした状態を示す概略断面図である。
【0024】
電源ケース10の表面が絶縁膜で被覆されているため、溝部15の表面も絶縁膜で被覆されている。溝部15は、
図6に示すように、アース用ネジ60によってネジ締めされることで、溝部15の表面の絶縁膜が削れて、電源ケース10の導電性部材の表面が露出する。これにより、アース用ネジ60は、溝部15を介して電源ケース10と電気的に接続されたことになる。
【0025】
一方、電源基板30は、上述したように、電源基板30におけるアースが必要な部位に接続された金属板(導電部材)50が設けられている。金属板50は、電源基板30が電源ケース10内に収容された状態で、溝部15における電源ケース10の開口近傍に対向する位置に設けられている。すなわち、金属板50は、電源基板30上であって、溝部15にネジ締め完了した状態のアース用ネジ60の頭部61に接触する位置に設けられている。金属板50は、
図6に示すように、本体部50bが電源基板30の表面に設けられ、電源基板30の長手方向の先端部50aが下壁面10a側に折曲げられている。これにより、溝部15にネジ締めされたアース用ネジ60は、
図7に示すように、頭部61が金属板50の先端部50aに接触する。つまり、アース用ネジ60は、電源基板30におけるアースが必要な部位に接続された金属板50に電気的に接続されたことになる。
【0026】
従って、電源基板30が収容された状態の電源ケース10の溝部15は、アース用ネジ60によって、アース用ネジ60の頭部61が金属板50の先端部50aに接触するまでネジ締めされることで、電源ケース10と電源基板30とを電気的に接続させることができる。つまり、電源基板30におけるアースが必要な部位は、電源ケース10と電気的に接続されるので、電源基板30はアースされた状態となる。従って、電源基板30のアースされた状態とするために、電源基板30におけるアースが必要な部位から電源ケース10外部に導電線を引き出す必要がなくなる。よって、防水構造の電源ケース10から外部に引き出す導電線を少なくできるので、導電線を引き出す部分(開口)の増加による防水性能の低下を抑制することができる。
【0027】
(パッキン25による効果)
パッキン25の内枠25aは、電源ケース10の開口の内周面に沿った形状であり、パッキン25が電源ケース10の開口に挿入したときに、電源ケース10の開口の下壁面10a(
図5)、側壁面10b(
図5)、上壁面10c(
図5)に密着する。このように、パッキン25の内枠25aを挿入することによって、電源ケース10の開口を塞いで電源ケース10の防水を行なう。
【0028】
ケーブル挿入部25bには、電源基板30から引き出された入力線41(
図3)が挿入される。なお、パッキン25は、
図4に示すように、ケーブル挿入部25bが1つ設けられた例を示しているが、これに限定されるものではない。
【0029】
突起部25cは、
図3に示すように、内枠25aが電源ケース10の開口を塞いだ状態で、電源ケース10の溝部14(
図5)内に挿入されている電源基板30と、電源ケース10の下壁面10aとの間に挿入される。
【0030】
また、パッキン25の厚みは、パッキン25を電源ケース10の開口に挿入した状態で、アース用ネジ60の頭部61を電源基板30側に押すことができる厚みに設定されている。このように、パッキン25を電源ケース10に挿入することで、アース用ネジ60の頭部61を電源基板30の金属板50の先端部50aに確実に接触させることが可能となる。これは、パッキン25が弾性を有する部材で構成されているためである。つまり、パッキン25は、弾性を有する部材で構成されているため、パッキン25を電源ケース10の開口に挿入したときに、アース用ネジ60の頭部61に接触し、さらに押し込めば、アース用ネジ60の頭部61によって押し戻される。このときの反発力を用いて、アース用ネジ60の頭部61を電源基板30の金属板50の先端部50aに確実に接触させている。
【0031】
ところで、パッキン25の厚みが厚くなれば、上述した反発力も大きくなる。反発力が大きくなれば、電源ケース10の開口にパッキン25を挿入した後、側面カバー20を固定した場合、反発力によってパッキン25が側面カバー20を押して、電源ケース10とパッキン25との間に隙間が生じ、防水性が低下する恐れがある。この対策について、下記の実施形態2で説明する。
【0032】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0033】
(パッキン125の概要)
図8、
図9を参照しながら、パッキン125の概要を説明する。
図8は、本実施形態に係る電源ケース10の概略断面図である。
図9は、
図8に示す電源ケース10に挿入したパッキン125の斜視図である。
【0034】
パッキン125は、
図9に示すように、電源ケース10の開口に挿入される内枠125aと、内枠125a内に設けられたケーブル挿入部125bと、内枠125aの下端の両側に設けられた突起部125cと、を含む点で、前記実施形態1において説明したパッキン25と同じ構成である。パッキン125は、電源ケース10への挿入側の面に凹部125dが形成されている点で、前記実施形態1のパッキン25と異なる。凹部125dは、アース用ネジ60の頭部61が完全に入る大きさであり、
図8に示すように、パッキン125を電源ケース10に挿入したときに、アース用ネジ60の頭部61が入る位置に形成されている。このように、パッキン125の凹部125dは、アース用ネジ60がネジ締めされている位置に対応し、且つ、アース用ネジ60の頭部61の大きさに合わせて形成されていればよい。また、凹部125dの形成数は、電源ケース10においてネジ締めされるアース用ネジ60の数に合わせればよい。
【0035】
図8に示すように、パッキン125を電源ケース10に挿入し、側面カバー20を固定しても、アース用ネジ60の頭部61は、パッキン125の凹部125dに完全に入り込んでいる。このため、アース用ネジ60の頭部61による反発力によってパッキン125が側面カバー20を押して、電源ケース10とパッキン125との間に隙間が生じことが無いため、防水性が低下する恐れもない。つまり、アース用ネジ60の頭部61がパッキン125に干渉しないようにできるため、パッキン125による防水性を損なわせることがない。
【0036】
ここで、パッキン125の凹部125dの底面の直径は、アース用ネジ60の頭部61におけるネジ部62に直交する方向の直径よりも大きいほうが好ましいが、底面からの高さはアース用ネジ60の頭部61におけるネジ部62側の厚みよりも同じかあるいは少し低いほうが好ましい。これは、アース用ネジ60の頭部61がパッキン125の凹部125dに完全に入り込んだ状態であっても、パッキン125の弾性力によってアース用ネジ60の頭部61を金属板50の先端部50aに押しつけることができるためである。従って、パッキン125を用いれば、防水性の低下を抑制し、且つ、アース用ネジ60の頭部61を電源基板30の金属板50の先端部50aに確実に接触させることができる。
【0037】
パッキン125による防水性が損なわれないように、パッキン125に凹部125dを設けることで、アース用ネジ60の頭部61がパッキン125に干渉しないようにしている。つまり、アース用ネジ60の頭部61がパッキン125に干渉しないようにできれば、凹部125dでなくてもよく、他の方法であってもよい。
【0038】
なお、前記実施形態1,2では、電源基板30とアース用ネジ60とを電気的に接続するために、電源基板30におけるアースが必要な部位に接続された金属板50を用いていたが、他の部材を用いて、電源基板30とアース用ネジ60とを電気的に接続するようにしてもよい。他の部材を用いる例を、下記の実施形態3で説明する。
【0039】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0040】
(ワイヤー70の概要)
図10、
図11を参照しながらワイヤー70の概要について説明する。
図10は、ワイヤー70を使用したときの電源ケース10の斜視図である。
図11は、
図10に示すワイヤー70の先端に設けられる端子の例を示す図である。
【0041】
ワイヤー70は、電源基板30におけるアースに必要な部位から電源ケース10に向けて設けられた導電線である。ワイヤー70の先端には、
図10に示すように、アース用ネジ60と電源ケース10の溝部15との間で、アース用ネジ60をネジ締めすることで固定される端子部71が設けられている。端子部71は、
図11の符号1101に示すように、ドーナツ状であり、開口71aの直径はアース用ネジ60のネジ部62の直径よりも大きく、且つ頭部61の直径よりも小さく形成されている。これにより、アース用ネジ60が溝部15にネジ締めされた状態であっても、ワイヤー70の端子部71が外れ難くなる。また、ドーナツ状の端子部71以外に、
図11の符号1102に示すように、U字状の端子部72であってもよい。端子部72のU字状の内側部分72aは、アース用ネジ60のネジ部62の直径よりも大きく、且つ頭部61の直径よりも小さく形成されている。これにより、アース用ネジ60が溝部15にネジ締めされた状態であっても、ワイヤー70の端子部72が外れ難くなる。
【0042】
なお、前記実施形態1~3では、何れも防水のために、パッキン25またはパッキン125を電源ケース10に挿入している。さらに、電源ケース10に挿入されたパッキン25またはパッキン125を電源ケース10から外れないように、パッキン25またはパッキン125を電源ケース10側に押しつけるようにして側面カバー20によって固定されている。例えば、
図3に示すように、側面カバー20は、ネジ5を電源ケース10の側壁面に形成された溝部12に挿入してネジ締めすることで、電源ケース10に固定される。
【0043】
ところで、パッキン25またはパッキン125は、弾性部材で構成されているため、ネジ5によってネジ締めする際に、ネジ締めしすぎる恐れがある。つまり、パッキン25またはパッキン125は弾性を有しているため、ネジ5がどこまでも入っていくことになる。これにより、パッキン25またはパッキン125の厚みが薄くなり、防水性が低下する恐れがある。この対策について、下記の実施形態4で説明する。
【0044】
〔実施形態4〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0045】
(固定用ネジ80の概要)
図12を参照しながら固定用ネジ80の概要について説明する。
図8は、本実施形態の固定用ネジ80を使用した場合の電源ケース10の概略断面図である。
【0046】
固定用ネジ80は、
図12に示すように、頭部81とネジ部82との間に胴部83を有している。胴部83の直径は、電源ケース10におけるネジ部82のネジ穴となる溝部12の直径よりも大きい。また、胴部83におけるネジ部82までの長さ(以下、胴部83の厚み)は、パッキン25の厚み以下である。胴部83の厚みは、パッキン25の厚み+側面カバー20の厚みであることが好ましい。従って、固定用ネジ80によってネジ締めする際、ネジ部82が溝部12のある程度進んだところで、胴部83によって、ネジ部82の進行を止めることができる。つまり、固定用ネジ80によるネジ締めをし過ぎないようになる。しかも、胴部83におけるネジ部82までの長さがパッキン25の厚み以下であるため、固定用ネジ80のネジ締めによってパッキン25の厚みが薄くなることを防止することができる。これにより、パッキン25の厚みを維持することができるため、パッキン25が薄くなることによって、固定用ネジ80の頭部81がパッキン25から飛び出る恐れがなくなる。
【0047】
従って、固定用ネジ80を使用することで、パッキン25の厚みを維持しつつ、防水性の低下を抑制することができる。
【0048】
なお、前記実施形態1~4では、アース用ネジ60のネジ穴として機能する溝部15が、電源ケース10の側壁面10bに一つ設けられた例について説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、電源ケース10の一対の側壁面10bの両方に溝部15を設けてもよい。この場合には、電源基板30の金属板50もそれぞれの溝部15に対応する位置に設ける必要がある。このように、電源ケース10とアース用ネジ60とを導通させ、且つ、アース用ネジ60と電源基板30のアースを必要とする部位と導通させれば、溝部15の設ける位置、溝部15の設ける数、金属板50の設ける位置、金属板50の設ける数については限定されない。
【0049】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る電源装置は、防水型の電源装置であって、電源基板(30)と、少なくとも内面が絶縁膜で被覆され、前記電源基板(30)を収容する導電性の筐体(電源ケース10)と、前記電源基板(30)におけるアースが必要な部位に接続された導電部材(金属板50)と、前記筐体(電源ケース10)と前記導電部材(金属板50)とを電気的に接続する金属製のアース用ネジ(60)と、を含み、前記筐体(電源ケース10)には、前記アース用ネジ(60)によるネジ締めにより前記絶縁膜が削られる溝(溝部15)が形成され、前記導電部材(金属板50)は、前記溝(溝部15)にネジ締めされた前記アース用ネジ(60)に接触するように設けられている。
【0050】
上記構成によれば、筐体に形成された溝は、金属製のアース用ネジのネジ締めにより絶縁膜が削り取られているので、金属製のアース用ネジは筐体と導通状態となる。さらに、電源基板におけるアースが必要な部位に接続された導電部材は、筐体と導通状態となっている金属製のアース用ネジに接触するように設けられている。これにより、電源基板におけるアースが必要な部位は、筐体と電気的に接続されるので、電源基板はアースされた状態となる。従って、電源基板のアースをとるために、当該電源基板におけるアース電位となる部分から筐体外部に導電線を引き出す必要がなくなる。よって、防水構造の筐体から外部に引き出す導線を少なくできるので、導線を引き出す部分(開口)の増加による防水性能の低下を抑制することができる。
【0051】
本発明の態様2に係る電源装置は、上記態様1において、前記筐体(電源ケース10)には、前記電源基板(30)の出し入れを行うための開口が形成され、前記溝(溝部15)は、前記筐体(電源ケース10)の前記開口の開口面に対して垂直方向に形成され、前記筐体(電源ケース10)の前記開口を塞ぐ防水用のパッキン(25,125)をさらに有し、前記パッキン(25、125)は、弾性部材で形成されていてもよい。
【0052】
上記構成によれば、パッキンによって筐体を塞ぐ際に、当該パッキンが弾性力よってアース用ネジの頭部を電源基板側に押しつけることが可能となる。これにより、アース用ネジの頭部を、電源基板の導電部材に確実に接触させることができる。
【0053】
本発明の態様3に係る電源装置は、上記態様2において、前記パッキン(125)は、当該パッキン(125)によって前記開口を塞いだ状態で前記溝(溝部15)にネジ締めした前記アース用ネジ(60)の頭部(61)が入る大きさの凹部(125d)が形成されていてもよい。
【0054】
上記構成によれば、アース用ネジの頭部がパッキンの凹部に収まるため、アース用ネジの頭部がパッキンを押し返す恐れがない。このため、筐体とパッキンとの間に隙間が生じ難くなるため、パッキンによる防水性の低下を抑制することができる。
【0055】
本発明の態様4に係る電源装置は、上記態様2において、前記筐体(電源ケース10)は、前記パッキン(25、125)を当該筐体(電源ケース10)側に向かって押しつけるように当該筐体(電源ケース10)に固定用ネジ(80)によって固定されるカバー(側面カバー20)を有していてもよい。
【0056】
上記構成によれば、パッキンがカバーによって筐体側に向かって押しつけられるため、アース用ネジの頭部を、電源基板の導電部材に確実に接触させることができる。
【0057】
本発明の態様5に係る電源装置は、上記態様4において、前記固定用ネジ(80)は、頭部(81)とネジ部(82)との間に胴部(83)が設けられ、前記胴部(83)の直径は、前記筐体(電源ケース10)における前記ネジ部(82)のネジ穴(溝部12)の直径よりも大きく、前記胴部(83)における前記ネジ部(82)までの長さは、前記パッキン(25、125)の厚み以下であってもよい。
【0058】
上記構成によれば、固定用ネジをネジ締めしたとき、固定用ネジの胴部がネジ穴に入り込まず、固定用ネジのネジ部の進行を止めるため、ネジ締めし過ぎることがない。これにより、固定用ネジによるネジ締めによってパッキンが厚み方向に縮むことがないため、固定用ネジの頭部がパッキンから飛び出る恐れがなくなる。従って、上記構成の固定用ネジを使用することで、パッキンの厚みを維持しつつ、防水性の低下を抑制することができる。
【0059】
本発明の態様6に係る電源装置は、上記態様1~5の何れか1態様において、前記導電部材は、金属板(50)であり、前記金属板(50)は、前記電源基板(30)上であって、前記溝(溝部15)にネジ締め完了した状態の前記アース用ネジ(60)の頭部(61)に接触する位置に設けられていてもよい。
【0060】
上記構成によれば、アース用ネジを溝にネジ締めするだけで、アース用ネジと金属板と導通させることができる。
【0061】
本発明の態様7に係る電源装置は、上記態様1~5の何れか1態様において、前記導電部材は、前記電源基板(30)におけるアースに必要な部位から前記筐体(電源ケース10)に向けて設けられた導電線(ワイヤー70)であり、前記導電線(ワイヤー70)の先端には、前記アース用ネジ(60)と前記筐体(電源ケース10)の前記溝(溝部15)との間で、当該アース用ネジ(60)をネジ締めすることで固定される端子部(71,72)が設けられていてもよい。
【0062】
上記構成によれば、導電線は、一方の端部が電源基板におけるアースが必要な部位に接続され、他方の端部がアース用ネジと導通するようになっていれば、電源基板のどこに配置してもよいので、自由にアースをとることができる。
【0063】
本発明の態様8に係る照明装置は、上記態様1~7の何れか1態様の電源装置(4)を備えている。
【0064】
一般に、出力線(光源)からのノイズが大きい照明装置の場合、複数のアースが必要であり、従来ではアース用の導電線を複数本用意する必要があり、電源装置が大型化し、結果として照明装置も大型にならざるを得なかった。しかしながら、上記構成によれば、アースをとるための導電線は必要最小限で済むため、電源装置は大型化せず、結果として照明装置も大型にならない。
【0065】
(補足)
1.
防水型の電源装置であって、
電源基板と、
少なくとも内面が絶縁膜で被覆され、前記電源基板を収容する導電性の筐体と、
前記電源基板におけるアースが必要な部位に接続された導電部材と、
前記筐体と前記導電部材とを電気的に接続する金属製のアース用ネジと、を含み、
前記筐体には、前記アース用ネジによるネジ締めにより前記絶縁膜が削られる溝が形成され、
前記導電部材は、前記溝にネジ締めされた前記アース用ネジに接触するように設けられている、電源装置。
【0066】
2.
前記筐体には、前記電源基板の出し入れを行うための開口が形成され、
前記溝は、前記筐体の前記開口の開口面に対して垂直方向に形成され、
前記筐体の前記開口を塞ぐ防水用のパッキンをさらに有し、
前記パッキンは、弾性部材で形成されている、1.に記載の電源装置。
【0067】
3.
前記パッキンは、当該パッキンによって前記開口を塞いだ状態で前記溝にネジ締めした前記アース用ネジの頭部が入る大きさの凹部が形成されている、2.に記載の電源装置。
【0068】
4.
前記筐体は、
前記パッキンを当該筐体側に向かって押しつけるように当該筐体に固定用ネジによって固定されるカバーを有している、1.または2.に記載の電源装置。
【0069】
5.
前記固定用ネジは、頭部とネジ部との間に胴部が設けられ、
前記胴部の直径は、前記筐体における前記ネジ部のネジ穴の直径よりも大きく、
前記胴部における前記ネジ部までの長さは、前記パッキンの厚み以下である、4.に記載の電源装置。
【0070】
6.
前記導電部材は、金属板であり、
前記金属板は、前記電源基板上であって、前記溝にネジ締め完了した状態の前記アース用ネジの頭部に接触する位置に設けられている、1.~5.の何れか1に記載の電源装置。
【0071】
7.
前記導電部材は、
前記電源基板におけるアースに必要な部位から前記筐体に向けて設けられた導電線であり、
前記導電線の先端には、前記アース用ネジと前記筐体の前記溝との間で、当該アース用ネジをネジ締めすることで固定される端子部が設けられている、1.~5.の何れか1に記載の電源装置。
【0072】
8.
1.~7.の何れか1に記載の電源装置を備えた照明装置。
【0073】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 照明装置
2 装置本体
3 光源モジュール
4 電源装置
5 ネジ
10 電源ケース(筐体)
10a 下壁面
10b 側壁面
10c 上壁面
12 溝部(ネジ穴)
14,15 溝部
20 側面カバー(カバー)
25 パッキン
25a 内枠
25b ケーブル挿入部
25c 突起部
30 電源基板
31 絶縁シート
40 アース線
41 入力線
50 金属板(導電部材)
50a 先端部
50b 本体部
60 アース用ネジ
61 頭部
62 ネジ部
70 ワイヤー(導電線)
71 端子部
71a 開口
72 端子部
72a 内側部分
80 固定用ネジ
81 頭部
82 ネジ部
83 胴部
125 パッキン
125a 内枠
125b ケーブル挿入部
125c 突起部
125d 凹部