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特開2023-177600ガラスフィルムの製造方法、及びガラスフィルムの製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177600
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】ガラスフィルムの製造方法、及びガラスフィルムの製造装置
(51)【国際特許分類】
   C03B 35/16 20060101AFI20231207BHJP
   C03B 17/06 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
C03B35/16
C03B17/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090343
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】森 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】森 浩一
(72)【発明者】
【氏名】秋山 修二
【テーマコード(参考)】
4G015
【Fターム(参考)】
4G015GA00
(57)【要約】
【課題】ガラスフィルムに対するガラス粉の付着を抑えることを可能にしたガラスフィルムの製造方法、及びガラスフィルムの製造装置を提供する。
【解決手段】ガラスフィルムの製造方法の処理工程は、不要部付きガラスフィルムG1を、処理ガラスフィルムG2と、不要部を含む不要ガラスフィルムGaとに分離する。ガラスフィルムの製造方法の搬出工程では、第1搬出部20と第2搬出部21とを用いる。第1搬出部20は、処理ガラスフィルムG2を載置する第1搬出用シートCS1を第1搬出経路で移動させる移動機構を有する。第2搬出部21は、不要ガラスフィルムGaを載置する第2搬出用シートCS2を第1搬出経路と隣り合う第2搬出経路で移動させる移動機構を有する。第1搬出部20の第1搬出経路の下流端E1は、第2搬出部21の第2搬出経路の下流端E2よりも下流側に延びる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品となるガラスフィルムと前記ガラスフィルムの両側縁のうち、少なくとも一方の側縁に設けられた不要部とを有する不要部付きガラスフィルムを処理装置で処理ガラスフィルムと、前記不要部を含む不要ガラスフィルムとに分離する処理を行う処理工程を備える、ガラスフィルムの製造方法であって、
前記不要部付きガラスフィルムを前記処理装置に搬入する搬入工程と、
前記処理装置で処理された処理ガラスフィルムを前記処理装置から搬出装置を用いて搬出する搬出工程と、を備え、
前記搬出装置は、第1搬出部と第2搬出部とを備え、
前記第1搬出部は、前記処理ガラスフィルムを載置する第1搬出用シートを第1搬出経路で移動させる移動機構を有し、
前記第2搬出部は、前記不要ガラスフィルムを載置する第2搬出用シートを前記第1搬出経路と隣り合う第2搬出経路で移動させる移動機構を有し、
前記第1搬出部の前記第1搬出経路の下流端は、前記第2搬出部の前記第2搬出経路の下流端よりも下流側に延びる、ガラスフィルムの製造方法。
【請求項2】
前記第1搬出部及び前記第2搬出部は、共通する共通搬出部を備え、
前記共通搬出部は、前記第1搬出用シート及び前記第2搬出用シートを移動可能とする摺動部材又はベルトコンベア装置であり、
前記第1搬出部は、前記第1搬出用シートを前記共通搬出部よりも下流側に案内する案内部材を備える、請求項1に記載のガラスフィルムの製造方法。
【請求項3】
前記案内部材は、
前記第1搬出用シートが摺動可能な上面を有する案内プレートと、
前記第1搬出経路の下流端で前記第1搬出用シートを下方に導く案内ローラーと、を備える、請求項2に記載のガラスフィルムの製造方法。
【請求項4】
前記第2搬出経路の下流端の下方には、前記不要ガラスフィルムを投入可能な開口を有する投入部が設けられ、前記第1搬出経路の下流端を前記投入部の開口よりも下流側に配置する、請求項1に記載のガラスフィルムの製造方法。
【請求項5】
搬送用シートロールから繰り出された搬送用シートを分離することで前記第1搬出用シートと前記第2搬出用シートとを形成するシート形成工程をさらに備える、請求項1に記載のガラスフィルムの製造方法。
【請求項6】
前記搬入工程は、前記不要部付きガラスフィルムを載置する搬入用シートを搬入経路で移動させる搬入装置を用いて行われ、
前記搬入用シートとして、前記搬送用シートロールから繰り出された搬送用シートを用いる、請求項5に記載のガラスフィルムの製造方法。
【請求項7】
前記第1搬出用シートと前記第2搬出用シートとを同軸となる軸部材に巻き取ることで回収する回収工程をさらに備える、請求項1に記載のガラスフィルムの製造方法。
【請求項8】
前記不要部付きガラスフィルムは、前記ガラスフィルムの両側縁に設けられた前記不要部を有し、
前記処理工程及び前記搬出工程は、前記不要部付きガラスフィルムの両側部に対して行われる、請求項1に記載のガラスフィルムの製造方法。
【請求項9】
製品となるガラスフィルムと前記ガラスフィルムの両側縁のうち、少なくとも一方の側縁に設けられた不要部とを有する不要部付きガラスフィルムを、処理ガラスフィルムと、前記不要部を含む不要ガラスフィルムとに分離する処理を行う処理装置を備えるガラスフィルムの製造装置であって、
前記不要部付きガラスフィルムを前記処理装置に搬入する搬入装置と、
前記処理装置で処理された処理ガラスフィルムを前記処理装置から搬出する搬出装置と、を備え、
前記搬出装置は、第1搬出部と第2搬出部とを備え、
前記第1搬出部は、前記処理ガラスフィルムを載置する第1搬出用シートを第1搬出経路で移動させる移動機構を有し、
前記第2搬出部は、前記不要ガラスフィルムを載置する第2搬出用シートを前記第1搬出経路と隣り合う第2搬出経路で移動させる移動機構を有し、
前記第1搬出部の前記第1搬出経路の下流端は、前記第2搬出部の前記第2搬出経路の下流端よりも下流側に延びる、ガラスフィルムの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスフィルムの製造方法、及びガラスフィルムの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されるように、溶融ガラスから成形されたガラスフィルムは、製品となるガラスフィルムと、このガラスフィルムの幅方向の両側縁に設けられた不要部(非製品部)とを有している。このような不要部付きガラスフィルムの不要部の少なくとも一部を除去する処理を行う処理工程を備えるガラスフィルムの製造方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-026509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の不要部付きガラスフィルムの不要部の少なくとも一部を除去する処理を行う処理工程において、不要部付きガラスフィルムは、処理ガラスフィルムと不要ガラスフィルムとに分離される。分離された不要ガラスフィルムは、処理ガラスフィルムを搬送する搬送経路から離脱される。このとき、処理ガラスフィルムの付近で不要ガラスフィルムが破損することでガラス粉が飛散する場合がある。このように飛散したガラス粉が、ガラスフィルムに付着することで、例えば、ガラスフィルムの清浄性を低下させるおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、ガラスフィルムに対するガラス粉の付着を抑えることを可能にしたガラスフィルムの製造方法、及びガラスフィルムの製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するガラスフィルムの製造方法、及びガラスフィルムの製造装置の各態様について説明する。
態様1のガラスフィルムの製造方法は、製品となるガラスフィルムと前記ガラスフィルムの両側縁のうち、少なくとも一方の側縁に設けられた不要部とを有する不要部付きガラスフィルムを処理装置で処理ガラスフィルムと、前記不要部を含む不要ガラスフィルムとに分離する処理を行う処理工程を備える、ガラスフィルムの製造方法であって、前記不要部付きガラスフィルムを前記処理装置に搬入する搬入工程と、前記処理装置で処理された処理ガラスフィルムを前記処理装置から搬出装置を用いて搬出する搬出工程と、を備え、前記搬出装置は、第1搬出部と第2搬出部とを備え、前記第1搬出部は、前記処理ガラスフィルムを載置する第1搬出用シートを第1搬出経路で移動させる移動機構を有し、前記第2搬出部は、前記不要ガラスフィルムを載置する第2搬出用シートを前記第1搬出経路と隣り合う第2搬出経路で移動させる移動機構を有し、前記第1搬出部の前記第1搬出経路の下流端は、前記第2搬出部の前記第2搬出経路の下流端よりも下流側に延びる。
【0007】
上記のように分離された不要ガラスフィルムは、第2搬出経路で移動される第2搬出用シートにより破損を抑えた状態で搬出することができる。ここで、不要ガラスフィルムは、比較的脆いため、第2搬出経路の下流端から排出されると、第2排出経路付近で破損する場合がある。不要ガラスフィルムが破損すると、ガラス粉が第2搬出経路の下流端付近に飛散し易い。このとき、上記のように配置された第1搬出部の第1搬出経路により、処理ガラスフィルムを第1搬出用シートに載置した状態で第2搬出経路の下流端よりも下流側まで搬送することができる。このため、例えば、第2搬出経路の下流端付近で処理ガラスフィルムが下方に垂れ下がることを容易に抑えることができる。また、例えば、ガラスフィルムの主面の少なくとも一部を第1搬出用シートにより保護することができる。これにより、第2搬出経路の下流端付近で飛散したガラス粉がガラスフィルムに接触することを抑えることができる。
【0008】
態様2のガラスフィルムの製造方法では、態様1において、前記第1搬出部及び前記第2搬出部は、共通する共通搬出部を備え、前記共通搬出部は、前記第1搬出用シート及び前記第2搬出用シートを移動可能とする摺動部材又はベルトコンベア装置であり、前記第1搬出部は、前記第1搬出用シートを前記共通搬出部よりも下流側に案内する案内部材を備えてもよい。この方法によれば、例えば、搬出装置の構成を簡素化することができる。
【0009】
態様3のガラスフィルムの製造方法では、態様2において、前記案内部材は、前記第1搬出用シートが摺動可能な上面を有する案内プレートと、前記第1搬出経路の下流端で前記第1搬出用シートを下方に導く案内ローラーと、を備えてもよい。この方法によれば、案内プレートにより第1搬出用シートを安定して支持することができるとともに、案内プレート上を通過した第1搬送用シートを案内ローラーにより円滑に下方に導くことができる。
【0010】
態様4のガラスフィルムの製造方法では、態様1から態様3のいずれか一つの態様において、前記第2搬出経路の下流端の下方には、前記不要ガラスフィルムを投入可能な開口を有する投入部が設けられ、前記第1搬出経路の下流端を前記投入部の開口よりも下流側に配置してもよい。この方法によれば、投入部内のガラス粉が第1搬出経路の下流端に向かって飛散することを抑えることができる。これにより、第1搬出経路から搬出されたガラスフィルムとガラス粉との接触を抑えることができる。
【0011】
態様5のガラスフィルムの製造方法では、態様1から態様4のいずれか一つの態様において、搬送用シートロールから繰り出された搬送用シートを分離することで前記第1搬出用シートと前記第2搬出用シートとを形成するシート形成工程をさらに備えてもよい。この方法によれば、第1搬出用シートと第2搬出用シートとを互いに独立したシートロールを用いて供給するよりも、設備を簡素化することが可能となる。
【0012】
態様6のガラスフィルムの製造方法では、態様5において、前記搬入工程は、前記不要部付きガラスフィルムを載置する搬入用シートを搬入経路で移動させる搬入装置を用いて行われ、前記搬入用シートとして、前記搬送用シートロールから繰り出された搬送用シートを用いてもよい。このように第1搬送装置と第2搬送装置とにおいて、共通する搬送用シートロールを用いることで、設備を簡素化することができる。また、使用済みの搬入用シートを第1搬出用シートと第2搬出用シートとして再利用することで、搬送用シートのコストを削減することができる。
【0013】
態様7のガラスフィルムの製造方法では、態様1から態様6のいずれか一つの態様において、前記第1搬出用シートと前記第2搬出用シートとを同軸となる軸部材に巻き取ることで回収する回収工程をさらに備えてもよい。この方法によれば、第1搬出用シートと第2搬出用シートとをまとめて回収することができる。このため、例えば、設備を容易に管理することができる。
【0014】
態様8のガラスフィルムの製造方法では、態様1から態様7のいずれか一つの態様において、前記不要部付きガラスフィルムは、前記ガラスフィルムの両側縁に設けられた前記不要部を有し、前記処理工程及び前記搬出工程は、前記不要部付きガラスフィルムの両側部に対して行われてもよい。この方法によれば、不要部付きガラスフィルムの両不要部の少なくとも一部を除去した処理ガラスフィルムを効率的に得ることができる。
【0015】
態様9のガラスフィルムの製造装置は、製品となるガラスフィルムと前記ガラスフィルムの両側縁のうち、少なくとも一方の側縁に設けられた不要部とを有する不要部付きガラスフィルムを、処理ガラスフィルムと、前記不要部を含む不要ガラスフィルムとに分離する処理を行う処理装置を備えるガラスフィルムの製造装置であって、前記不要部付きガラスフィルムを前記処理装置に搬入する搬入装置と、前記処理装置で処理された処理ガラスフィルムを前記処理装置から搬出する搬出装置と、を備え、前記搬出装置は、第1搬出部と第2搬出部とを備え、前記第1搬出部は、前記処理ガラスフィルムを載置する第1搬出用シートを第1搬出経路で移動させる移動機構を有し、前記第2搬出部は、前記不要ガラスフィルムを載置する第2搬出用シートを前記第1搬出経路と隣り合う第2搬出経路で移動させる移動機構を有し、前記第1搬出部の前記第1搬出経路の下流端は、前記第2搬出部の前記第2搬出経路の下流端よりも下流側に延びる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、ガラスフィルムに対するガラス粉の付着を抑えることを可能にする効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施形態におけるガラスフィルムの製造装置を示す概略側面図である。
図2図2は、ガラスフィルムの製造装置を示す概略平面図である。
図3図3は、搬出装置を示す概略側面図である。
図4図4は、搬出装置の一部を省略して示す概略平面図である。
図5図5は、搬送用シートの流れを示す概略側面図である。
図6図6は、搬送用シートの流れを示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、ガラスフィルムの製造方法、及びガラスフィルムの製造装置の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率についても、実際と異なる場合がある。
【0019】
<ガラスフィルムの製造装置>
図1及び図2に示すように、本実施形態のガラスフィルムの製造装置11は、成形装置12と、搬入装置13と、処理装置14と、搬出装置15と、収集装置16とを備えている。
【0020】
ガラスフィルムは、例えば、軽量性や曲げ性が求められるデバイスの材料として用いられる。ガラスフィルムの厚さ寸法は、好ましくは、0.3mm以下であり、より好ましくは、0.1mm以下であり、さらに好ましくは0.05mm以下であり、最も好ましくは、0.035mm以下である。ガラスフィルムの厚さ寸法の下限は、例えば、0.005mm以上である。このような厚さ寸法のガラスフィルムは、超薄板ガラス(UTG:Ultra Thin Glass)と呼ばれる。ガラスフィルムを構成するガラスとしては、例えば、ソーダガラス、ソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノシリケートガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。ガラスフィルムは、化学強化用のガラスフィルムであってもよい。化学強化用ガラスとしては、例えば、ガラス組成としてアルカリ金属酸化物を含むアルカリアルミノシリケートガラス、ソーダガラス等が挙げられる。アルカリアルミノシリケートガラスに含まれる金属酸化物は、LiO、NaO、及びKOから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。化学強化用ガラスは、アルカリアルミノシリケートガラスであることが好ましい。アルミノシリケートガラスは、質量%で、例えば、SiO:50~80%、Al:5~25%、B:0~15%、LiO:0~20%、NaO:1~20%、KO:0~10%を含有することが好ましい。
【0021】
<成形装置>
ガラスフィルムの製造装置11の成形装置12は、溶融ガラスから不要部付きガラスフィルムG1を成形する。不要部付きガラスフィルムG1は、製品となるガラスフィルムと、ガラスフィルムの両側縁に設けられた不要部G1a,G1bとを有している。不要部G1a,G1bは、製品として利用されない不要ガラスフィルムである。不要部G1a,G1bは、ガラスフィルムの幅方向の両側縁に設けられている。不要部G1a,G1bは、ガラスフィルムの長さ方向に沿って延びるように設けられている。本明細書では、製品となるガラスフィルムを単にガラスフィルムGpと言う場合がある。
【0022】
成形装置12は、例えば、オーバーフローダウンドロー法により不要部付きガラスフィルムG1を成形する。成形装置12は、溶融ガラスを流通する溝を有する成形部12aを備えている。成形部12aの溝に供給された溶融ガラスは、オーバーフローする。オーバーフローした溶融ガラスは、成形部12aの両面に沿って流下する。このように流下した溶融ガラスが成形部12aの下端で合流することで、フィルム状の溶融ガラスが得られる。フィルム状の溶融ガラスは、図面においてZ軸に沿った鉛直方向に牽引される。フィルム状の溶融ガラスが牽引される方向は、鉛直方向に対して、例えば、30°程度傾斜していてもよい。
【0023】
成形装置12は、図示を省略したエッジローラー、エッジローラーの下方に配置されたアニーラー等を備えている。フィルム状の溶融ガラスの両端は、エッジローラーで挟み込まれた状態で下方に牽引される。フィルム状の溶融ガラスは、アニーラーに導かれる。アニーラーでは、フィルム状の溶融ガラスの除歪処理が施されることで、不要部付きガラスフィルムG1が得られる。
【0024】
成形装置12は、オーバーフローダウンドロー法以外の方法により、ガラスフィルムを成形する装置に変更することもできる。成形装置12は、例えば、スロット状の開口から溶融ガラスを流下させるスロットダウンドロー法を用いた成形装置であってもよい。また、成形装置12は、例えば、シート状の母材ガラスを再成形するリドロー法を用いて、ガラスフィルムを成形する装置であってもよい。
【0025】
<搬入装置>
ガラスフィルムの製造装置11の搬入装置13は、不要部付きガラスフィルムG1を処理装置14に搬入する。本実施形態の搬入装置13は、成形装置12で成形された不要部付きガラスフィルムG1を処理装置14に搬送する。搬入装置13は、例えば、方向変換装置17と、ベルトコンベア装置18と、接触搬入装置19とを上流側から順に備えている。
【0026】
(方向変換装置)
方向変換装置17は、成形装置12から搬送された不要部付きガラスフィルムG1の進行方向を縦方向から横方向へ変換する。方向変換装置17は、複数の方向変換用ローラー17a,17bを備えている。複数の方向変換用ローラー17a,17bは、不要部付きガラスフィルムG1の両不要部G1a,G1bを支持する。このような方向変換装置17は、不要部付きガラスフィルムG1のガラスフィルムGpと非接触の状態とされる。
【0027】
複数の方向変換用ローラー17a,17bは、方向変換用ローラー17a,17bの軸線方向から見て湾曲状に配列されている。複数の方向変換用ローラー17a,17bは、不要部付きガラスフィルムG1を鉛直方向から横方向へ案内する。不要部付きガラスフィルムG1は、図面においてX軸に沿った水平方向に案内されている。不要部付きガラスフィルムG1は、水平方向に対して傾斜する方向に案内されていてもよい。不要部付きガラスフィルムG1は、例えば、水平方向に対して上下にそれぞれ45°未満の範囲内となる方向に案内されることが好ましく、30°未満の範囲内となる方向に案内されることがより好ましい。
【0028】
(ベルトコンベア装置)
ベルトコンベア装置18は、横方向に沿って不要部付きガラスフィルムG1を搬送する。図2に示すように、ベルトコンベア装置18は、不要部付きガラスフィルムG1の不要部G1a,G1bを支持するベルト18a,18bを備えている。ベルトコンベア装置18は、不要部付きガラスフィルムG1のガラスフィルムGpと非接触の状態とされる。
【0029】
(接触搬入装置)
接触搬入装置19は、搬入用シートCSAを不要部付きガラスフィルムG1に接触させて不要部付きガラスフィルムG1を搬送する。接触搬入装置19は、搬入部19aと、搬入部19a上に搬入用シートCSAを連続的に供給する搬入用シート供給部19bとを備えている。搬入用シート供給部19bは、搬送用シートが巻回されてなる搬送用シートロールCSRを備えている。搬入用シート供給部19bは、搬送用シートロールCSRから繰り出された搬送用シートを、搬入用シートCSAとして、搬入部19aと不要部付きガラスフィルムG1との間に供給する。搬入部19a上に供給された搬入用シートCSAは、処理装置14に向けて移動される。このように移動される搬入用シートCSAによって不要部付きガラスフィルムG1を搬入することができる。搬入用シートCSAは、搬入部19aの下流側で下方に退避されることで、不要部付きガラスフィルムG1から離間する。
【0030】
搬入部19aは、搬入用シートCSAが摺動される上面を有する搬入台であってもよいし、搬入用シートCSAが載置されるベルトを有するベルトコンベア装置であってもよい。搬入用シートCSAは、ガラスフィルムGpよりも軟質なシートであることが好ましい。すなわち、搬入用シートCSAは、ガラスフィルムGpと擦れたときにガラスフィルムGpに傷を発生させないシートであることが好ましい。搬入用シートCSAとしては、樹脂シートであることが好ましく、発泡樹脂シートであることがより好ましい。
【0031】
<処理装置>
ガラスフィルムの製造装置11の処理装置14は、不要部付きガラスフィルムG1を、処理ガラスフィルムG2と、不要部G1a,G1bの少なくとも一部を含む不要ガラスフィルムGa,Gbとに分離する。換言すると、処理装置14は、不要部付きガラスフィルムG1の不要部G1a,G1bの少なくとも一部を切断して除去する処理を行うことで、処理ガラスフィルムG2を得る装置である。処理装置14は、例えば、レーザー照射装置を備えている。レーザー照射装置は、一対のレーザー光照射部14a,14bを有している。一対のレーザー光照射部14a,14bは、不要部付きガラスフィルムG1の不要部G1a,G1bにそれぞれ対応して配置される。
【0032】
一対のレーザー光照射部14a,14bは、不要部付きガラスフィルムG1の両側部にレーザー光LBを照射することで、不要部付きガラスフィルムG1を溶断する。このとき、不要部付きガラスフィルムG1は、レーザー光照射部14a,14bの下方位置で搬送されているため、レーザー光LBは、不要部付きガラスフィルムG1の長さ方向に沿って照射される。これにより、不要部付きガラスフィルムG1を処理ガラスフィルムG2と不要ガラスフィルムGa,Gbとに分離することができる。
【0033】
処理ガラスフィルムG2は、製品となるガラスフィルムGpのみから構成されていてもよいし、不要部G1a,G1bの一部を含んでいてもよい。すなわち、処理装置14は、不要部G1a,G1bの全体を取り除く装置であってもよいし、不要部G1a,G1bを部分的に取り除く装置であってもよい。
【0034】
処理装置14は、レーザー光を用いて加熱したガラスに熱衝撃を加えることで割断するように構成することもできる。この場合、処理装置14は、レーザー照射装置と、レーザーで加熱したガラスを冷却する冷却装置とを備えていてもよい。また、処理装置14は、不要部付きガラスフィルムG1にスクライブ線を形成した後、スクライブ線に沿って不要部付きガラスフィルムG1を割断するように構成することもできる。
【0035】
また、処理装置14は、ワイヤソーや丸ノコ(サーキュラーソー)等を用いて不要部付きガラスフィルムG1を機械的に切断するように構成することもできる。
<搬出装置>
図1図4に示すように、ガラスフィルムの製造装置11の搬出装置15は、第1搬出部20と第2搬出部21とを備える。第1搬出部20は、処理ガラスフィルムG2を載置する第1搬出用シートCS1を第1搬出経路で移動させる移動機構を有する。第1搬出部20は、第1搬出用シートCS1を処理ガラスフィルムG2に接触させて処理ガラスフィルムG2を搬送する。
【0036】
第2搬出部21は、不要ガラスフィルムGa,Gbを載置する第2搬出用シートCS2を第1搬出経路と隣り合う第2搬出経路で移動させる移動機構を有する。第2搬出部21は、第2搬出用シートCS2を不要ガラスフィルムGa,Gbに接触させて不要ガラスフィルムGa,Gbを搬送する。
【0037】
第1搬出部20及び第2搬出部21は、共通する共通搬出部22を備えている。共通搬出部22としては、第1搬出用シートCS1及び第2搬出用シートCS2を移動可能とする摺動部材、第1搬出用シートCS1及び第2搬出用シートCS2を移動可能とするベルトコンベア装置等が挙げられる。摺動部材は、第1搬出用シートCS1及び第2搬出用シートCS2が摺動される上面を有する。ベルトコンベア装置は、第1搬出用シートCS1及び第2搬出用シートCS2が載置されるベルトを有する。
【0038】
第1搬出部20は、第1搬出用シートCS1を共通搬出部22よりも下流側に案内する案内部材23を備えている。案内部材23は、第1搬出用シートCS1が摺動可能な上面を有する案内プレート23aと、第1搬出経路の下流端E1で第1搬出用シートCS1を下方に導く案内ローラー23bとを備えている。案内プレート23aの材料としては、例えば、金属材料、樹脂材料等が挙げられる。案内ローラー23bの外周面の材料としては、例えば、金属材料、樹脂材料等が挙げられる。案内ローラー23bは、回転駆動されてもよいし、回転駆動されなくてもよい。
【0039】
図4に示すように、案内プレート23aの幅寸法W1は、処理ガラスフィルムG2の幅寸法W2よりも小さい。この案内プレート23aの幅寸法W1は、処理ガラスフィルムG2の幅寸法W2と同一であってもよい。案内プレート23aの幅寸法W1は、不要ガラスフィルムGa,Gbとの接触を回避するという観点から、処理ガラスフィルムG2の幅寸法W2よりも小さいことが好ましい。
【0040】
案内プレート23aの幅寸法W1と処理ガラスフィルムG2の幅寸法W2とは、処理ガラスフィルムG2をより安定して搬送するという観点から、以下の式(1)の関係を満たすことが好ましい。
【0041】
W2-100mm≦W1・・・(1)
なお、図4では、第1搬出用シートCS1及び第2搬出用シートCS2を省略して搬出装置15を示しているが、第1搬出用シートCS1の幅寸法についても上記の案内プレート23aの幅寸法と同様に設定することができる。
【0042】
図1及び図3に示すように、搬出装置15は、第2搬出経路の下流端E2の下方に設けられる投入部24を備えている。投入部24は、不要ガラスフィルムGa,Gbが投入可能な開口24aを有している。上記第1搬出部20における第1搬出経路の下流端E1は、投入部24の開口24aよりも下流側に配置されている。
【0043】
図1図5、及び図6に示すように、搬出装置15は、第1搬出用シートCS1及び第2搬出用シートCS2を共通搬出部22に供給する搬出用シート供給部25を備えている。搬出用シート供給部25は、上記接触搬入装置19で使用した搬入用シートCSAを第1搬出用シートCS1と第2搬出用シートCS2とに分離する。詳述すると、図5及び図6に示すように、搬出用シート供給部25は、搬入用シートCSAを切断する切断刃25a,25bを備えている。搬出用シートを切断刃25a,25bにより切断することで、第1搬出用シートCS1と一対の第2搬出用シートCS2とが得られる。すなわち、第1搬出用シートCS1及び第2搬出用シートCS2は、搬入用シートCSAを再利用したものである。搬出用シート供給部25は、第1搬出用シートCS1を処理装置14の下方から共通搬出部22と処理ガラスフィルムG2との間に供給する。搬出用シート供給部25は、第2搬出用シートCS2を処理装置14の下方から共通搬出部22と不要ガラスフィルムGa,Gbとの間に供給する。
【0044】
図1に示すように、搬出装置15は、共通搬出部22及び案内部材23を通過した第1搬出用シートCS1を回収する回収部26を備えている。回収部26は、共通搬出部22を通過した第2搬出用シートCS2も回収する。回収部26は、第1搬出用シートCS1と2搬出用シートとを同軸となる軸部材26aに巻き取ることで、第1搬出用シートCS1と2搬出用シートとを回収する。このような回収部26は、軸部材26aを回転駆動する駆動部26bを備えている。
【0045】
<収集装置>
図1及び図2に示すように、ガラスフィルムの製造装置11の収集装置16は、処理ガラスフィルムG2を収集する。収集装置16の一例である巻取装置は、巻取ローラー16aと、巻取ローラー16aを回転駆動する図示しない駆動部26bとを備えている。収集装置16は、処理ガラスフィルムG2を保護する保護用シートPSが巻回されてなる保護用シートロールPSRを備えている。収集装置16は、保護用シートロールPSRから繰り出させた保護用シートPSを処理ガラスフィルムG2に重ね合わせるように供給する。収集装置16の巻取ローラー16aは、処理ガラスフィルムG2と保護用シートPSと重ね合わせた状態で処理ガラスフィルムG2と保護用シートPSとをロール状に巻き取る。これにより、ガラスフィルムロールGRが得られる。
【0046】
保護用シートPSとしては、処理ガラスフィルムG2よりも軟質なシートが用いられる。すなわち、保護用シートPSは、ガラスフィルムGpと擦れたときにガラスフィルムGpに傷を発生させないシートである。保護用シートPSとしては、樹脂シートであることが好ましく、発泡樹脂シートであることがより好ましい。
【0047】
収集装置16は、処理ガラスフィルムG2を枚葉で収集する枚葉収集装置であってもよい。枚葉収集装置は、例えば、処理ガラスフィルムG2を所定の長さで切断する切断装置と、所定の長さの処理ガラスフィルムG2と所定の長さの保護用シートとを重ね合わせた状態で配置する重ね合わせ装置とを備える。
【0048】
<ガラスフィルムの製造方法>
次に、ガラスフィルムGpの製造方法について説明する。
ガラスフィルムGpの製造方法は、成形工程と、搬入工程と、処理工程と、搬出工程とを備えている。図1及び図2に示すように、成形工程では、不要部付きガラスフィルムG1を、成形装置12を用いて成形する。搬入工程では、不要部付きガラスフィルムG1を処理装置14に搬入する。処理工程では、不要部付きガラスフィルムG1を、処理ガラスフィルムG2と、不要部G1a,G1bの少なくとも一部を含む不要ガラスフィルムGa,Gbとに分離する。
【0049】
搬出工程では、処理装置14で処理された処理ガラスフィルムG2を処理装置14から搬出する。搬出工程では、上述した第1搬出部20と第2搬出部21とを用いる。
ここで、本実施形態のガラスフィルムGpの製造方法は、搬出装置15の共通搬出部22に供給される第1搬出用シートCS1及び第2搬出用シートCS2を形成するシート形成工程を備えている。シート形成工程では、図5及び図6に示すように、接触搬入装置19の搬入部19aの下流側で下方に退避された使用済みの搬入用シートCSAを分離することで第1搬出用シートCS1と第2搬出用シートCS2とを形成する。
【0050】
また、本実施形態のガラスフィルムGpの製造方法は、第1搬出用シートCS1と第2搬出用シートCS2とを同軸となる軸部材26aに巻き取ることで回収する回収工程を備えている。
【0051】
搬出工程は、処理ガラスフィルムG2を処理装置14から処理ガラスフィルムG2を収集する収集装置16まで搬送する。収集装置16では、例えば、処理ガラスフィルムG2を巻き取る収集工程が行われることで、ガラスフィルムロールGRが得られる。
【0052】
特に主面の平滑性が求められる用途では、処理ガラスフィルムG2のうち、ガラスフィルムGpのみを使用することが推奨される。なお、求められる性能に応じて、処理ガラスフィルムG2のうち、残されている不要部を含む部分を製品に使用してもよい。
【0053】
<作用及び効果>
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)ガラスフィルムGpの製造方法は、不要部付きガラスフィルムG1を処理装置14に搬入する搬入工程と、処理装置14で処理された処理ガラスフィルムG2を処理装置14から搬出する搬出工程とを備えている。処理工程は、不要部付きガラスフィルムG1を、処理ガラスフィルムG2と、不要部G1a,G1bを含む不要ガラスフィルムGa,Gbとに分離する処理を行う工程である。搬出工程で用いる第1搬出部20は、処理ガラスフィルムG2を載置する第1搬出用シートCS1を第1搬出経路で移動させる移動機構を有する。搬出工程で用いる第2搬出部21は、不要ガラスフィルムGa,Gbを載置する第2搬出用シートCS2を第1搬出経路と隣り合う第2搬出経路で移動させる移動機構を有する。第1搬出部20の第1搬出経路の下流端E1は、第2搬出部21の第2搬出経路の下流端E2よりも下流側に延びている。
【0054】
上記のように分離された不要ガラスフィルムGa,Gbは、第2搬出経路で移動される第2搬出用シートCS2により破損を抑えた状態で搬出することができる。ここで、不要ガラスフィルムGa,Gbは、比較的脆いため、第2搬出経路の下流端E2から排出されると、第2排出経路付近で破損する場合がある。不要ガラスフィルムGa,Gbが破損すると、ガラス粉が第2搬出経路の下流端E2付近に飛散し易い。
【0055】
このとき、上記のように配置された第1搬出部20の第1搬出経路により、処理ガラスフィルムG2を第1搬出用シートCS1に載置した状態で第2搬出経路の下流端E2よりも下流側まで搬送することができる。このため、例えば、第2搬出経路の下流端E2付近で処理ガラスフィルムG2が下方に垂れ下がることを容易に抑えることができる。また、例えば、ガラスフィルムGpの主面の少なくとも一部を第1搬出用シートCS1により保護することができる。これにより、第2搬出経路の下流端E2付近で飛散したガラス粉がガラスフィルムGpに接触することを抑えることができる。従って、ガラスフィルムGpに対するガラス粉の付着を抑えることが可能となる。
【0056】
(2)ガラスフィルムGpの製造方法において、第1搬出部20及び第2搬出部21は、共通する共通搬出部22を備えている。第1搬出部20は、第1搬出用シートCS1を共通搬出部22よりも下流側に案内する案内部材23を備えている。この場合、例えば、搬出装置15の構成を簡素化することができる。
【0057】
(3)ガラスフィルムGpの製造方法において、第1搬出部20の案内部材23は、第1搬出用シートCS1が摺動可能な上面を有する案内プレート23aと、第1搬出経路の下流端E1で第1搬出用シートCS1を下方に導く案内ローラー23bとを備えている。この場合、案内プレート23aにより第1搬出用シートCS1を安定して支持することができるとともに、案内プレート23a上を通過した第1搬送用シートを案内ローラー23bにより円滑に下方に導くことができる。従って、処理ガラスフィルムG2を安定して搬出することが可能となる。
【0058】
(4)ガラスフィルムGpの製造方法において、第2搬出経路の下流端E2の下方には、不要ガラスフィルムGa,Gbを投入可能な開口24aを有する投入部24が設けられている。ガラスフィルムGpの製造方法では、第1搬出経路の下流端E1を投入部24の開口24aよりも下流側に配置している。この場合、投入部24内のガラス粉が第1搬出経路の下流端E1に向かって飛散することを抑えることができる。これにより、第1搬出経路から搬出されたガラスフィルムGpとガラス粉との接触を抑えることができる。従って、ガラスフィルムGpに対するガラス粉の付着をより抑えることが可能となる。
【0059】
(5)ガラスフィルムGpの製造方法において、搬入工程は、不要部付きガラスフィルムG1を載置する搬入用シートCSAを搬入経路で移動させる搬入装置13(接触搬入装置19)を用いて行われている。この搬入工程では、搬入用シートCSAとして、搬送用シートロールCSRから繰り出されたシートを用いている。また、ガラスフィルムGpの製造方法は、搬入用シートCSAを分離することで第1搬出用シートCS1と第2搬出用シートCS2とを形成するシート形成工程をさらに備えている。このように第1搬送装置と第2搬送装置とにおいて、共通する搬送用シートロールCSRを用いることで、設備を簡素化することができる。また、使用済みの搬入用シートCSAを第1搬出用シートCS1と第2搬出用シートCS2として再利用することで、搬送用シートのコストを削減することができる。
【0060】
(6)ガラスフィルムGpの製造方法は、第1搬出用シートCS1と第2搬出用シートCS2とを同軸となる軸部材26aに巻き取ることで回収する回収工程をさらに備えている。この場合、第1搬出用シートCS1と第2搬出用シートCS2とをまとめて回収することができる。このため、例えば、設備を容易に管理することができる。
【0061】
(7)ガラスフィルムGpの製造方法において、処理工程及び搬出工程は、不要部付きガラスフィルムG1の両側部に対して行われている。この場合、不要部付きガラスフィルムG1の両不要部G1a,G1bの少なくとも一部を除去した処理ガラスフィルムG2を効率的に得ることができる。
【0062】
(8)アルカリアルミノシリケートガラスから構成されるガラスフィルムは、例えば、化学強化用のガラスフィルムとして用いられる場合がある。このような化学強化用のガラスフィルムの主面には、より高い清浄性が求められる場合がある。上記ガラスフィルムGpの製造方法は、ガラスフィルムGpの主面におけるガラス粉の付着を抑えることが可能となることから、より清浄性の高いガラスフィルムGpを得ることができる。このため、より高い清浄性が求められるアルカリアルミノシリケートガラスから構成されるガラスフィルムの製造において、歩留まりを高めることが可能となる。
【0063】
<変更例>
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0064】
・ガラスフィルムGpの製造方法における回収工程を第1搬出用シートCS1と第2搬出用シートCS2とを異なる軸の軸部材にそれぞれ巻き取ることで回収する工程に変更することもできる。
【0065】
・ガラスフィルムGpの製造方法における回収工程を第1搬出用シートCS1と第2搬出用シートCS2とを巻き取らずに、例えば、粉砕して回収する工程に変更することもできる。
【0066】
・上記接触搬入装置19の搬入用シートCSAと、搬出装置15の第1搬出用シートCS1及び第2搬出用シートCS2とを互いに独立した搬送用シートロールCSRから供給することもできる。
【0067】
・上記搬出装置15の第1搬出用シートCS1と第2搬出用シートCS2とを互いに独立した搬送用シートロールCSRから供給することもできる。但し、ガラスフィルムGpの製造方法は、搬送用シートロールCSRから繰り出されたシートを分離することで第1搬出用シートCS1と第2搬出用シートCS2とを形成するシート形成工程を備えることが好ましい。この場合、第1搬出用シートCS1と第2搬出用シートCS2とを互いに独立したシートロールを用いて供給するよりも、設備を簡素化することが可能となる。
【0068】
・第2搬出用シートCS2は、第1搬出用シートCS1と異なる材料から構成されていてもよい。第2搬出用シートCS2は、例えば、ガラスフィルムGpよりも硬質のシートであってもよい。第1搬出用シートCS1及び第2搬出用シートCS2は、ガラスフィルムGpにおける傷の発生を抑えるという観点から、ガラスフィルムGpよりも軟質なシートであることが好ましい。第1搬出用シートCS1及び第2搬出用シートCS2は、樹脂シートであることが好ましく、発泡樹脂シートであることがより好ましい。
【0069】
・上記搬出工程は、上記ベルトコンベア装置18と同様の構成を有するベルトコンベア装置を用いる搬送を含んでもよい。すなわち、搬出工程では、処理ガラスフィルムG2の両端部に残されている不要部G1a,G1bを、ベルトコンベア装置のベルトにより支持して処理ガラスフィルムG2を搬送することもできる。
【0070】
・上記搬入工程は、接触搬入装置19を用いずに行うこともできる。
・上記搬入工程は、ベルトコンベア装置18を用いずに行うこともできる。
・搬出装置15の案内部材23を案内プレート23a及び案内ローラー23bの一方から構成してもよい。
【0071】
・搬出装置15の案内部材23を第1搬出経路に沿って配置された複数の案内プレート23aから構成してもよい。
・搬出装置15の案内部材23を第1搬出経路に沿って配置された複数の案内ローラーから構成してもよい。この場合、第1搬出経路の下流端E1に配置される案内ローラー23bよりも上流側の案内ローラーは、第1搬出用シートCS1を水平方向に案内するローラーとして用いられる。
【0072】
・搬出装置15の共通搬出部22を第1搬出部20及び第2搬出部21において独立した搬出部に変更してもよい。この場合、第1搬出部20を案内プレート23aと一体となった搬出部に変更することもできる。
【0073】
・ガラスフィルムGpの製造方法において、第1搬出経路の下流端E1を投入部24の開口24aよりも上流側に配置してもよい。
・成形装置12が不要部付きガラスフィルムG1を横方向に搬出する成形装置の場合、上記搬入工程における方向変換工程を省略することもできる。不要部付きガラスフィルムG1を横方向に搬出する成形装置としては、フロート法を用いた成形装置が挙げられる。
【0074】
・ガラスフィルムGpの製造方法において、成形工程を省略することもできる。すなわち、上記ガラスフィルムGpの製造方法の搬入工程を予め成形した不要部付きガラスフィルムG1を搬入する搬入工程に変更してもよい。この場合、予め成形された不要部付きガラスフィルムG1はロール状に巻き取られたガラスロールの形態とされていてもよい。これにより、搬入工程においてガラスロールから引き出されることにより搬入される態様とすることができる。
【0075】
・ガラスフィルムGpの製造方法における処理工程は、不要部付きガラスフィルムG1の両不要部G1a,G1bのうち、一方の不要部を処理した後、他方の不要部を処理する工程に変更することもできる。
【0076】
・ガラスフィルムGpの製造方法における処理工程は、不要部付きガラスフィルムG1の両不要部G1a,G1bのうち、一方の不要部のみを処理する工程に変更することもできる。すなわち、処理ガラスフィルムG2の両側部のうち、一側部には、不要部の全体が残されていてもよい。
【0077】
・ガラスフィルムGpの製造方法における処理工程に搬入される不要部付きガラスフィルムG1は、ガラスフィルムGpの両側縁のうち、一方の側縁のみに不要部が設けられたものであってもよい。
【符号の説明】
【0078】
11…ガラスフィルムの製造装置
13…搬入装置
14…処理装置
15…搬出装置
20…第1搬出部
21…第2搬出部
22…共通搬出部
23…案内部材
23a…案内プレート
23b…案内ローラー
24…投入部
24a…開口
26a…軸部材
CS1…第1搬出用シート
CS2…第2搬出用シート
CSA…搬入用シート
CSR…搬送用シートロール
E1…第1搬出経路の下流端
E2…第2搬出経路の下流端
G1…不要部付きガラスフィルム
G1a,G1b…不要部
G2…処理ガラスフィルム
Ga,Gb…不要ガラスフィルム
Gp…ガラスフィルム
図1
図2
図3
図4
図5
図6