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特開2023-177633転落検知装置およびこれを備えた転落検知システム、転落検知方法、転落検知プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177633
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】転落検知装置およびこれを備えた転落検知システム、転落検知方法、転落検知プログラム
(51)【国際特許分類】
   B61L 23/00 20060101AFI20231207BHJP
   B61B 1/02 20060101ALI20231207BHJP
   G01V 8/26 20060101ALI20231207BHJP
   G01S 17/88 20060101ALI20231207BHJP
   G01S 17/87 20200101ALI20231207BHJP
【FI】
B61L23/00 A
B61B1/02
G01V8/26
G01S17/88
G01S17/87
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090406
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129012
【弁理士】
【氏名又は名称】元山 雅史
(72)【発明者】
【氏名】相澤 知禎
【テーマコード(参考)】
2G105
3D101
5H161
5J084
【Fターム(参考)】
2G105AA01
2G105BB16
2G105BB17
2G105CC01
2G105DD02
2G105EE02
2G105FF02
2G105GG03
2G105HH01
2G105JJ05
2G105KK05
3D101AD12
5H161AA01
5H161MM12
5H161MM15
5H161NN12
5H161PP06
5H161PP07
5H161PP11
5H161QQ01
5H161QQ03
5J084AA04
5J084AA05
5J084AA10
5J084AB07
5J084AD01
5J084BA03
5J084BA49
5J084BB28
5J084EA22
(57)【要約】
【課題】システムを一時的に停止させることなく、転落者以外の物体の検知による誤発報を防止することが可能な転落検知装置およびこれを備えた転落検知システム、転落検知方法、転落検知プログラムを提供する。
【解決手段】転落検知装置4は、走査データ取得部14、転落検知エリア設定部13、異物検知エリア設定部16、検知サイズ設定部17、異物有無判定部19を備える。異物検知エリア設定部16は、軌道上に存在する人以外の異物を検知するために、光走査器の光の走査範囲内であって軌道上に異物検知エリアを設定する。検知サイズ設定部17は、異物検知エリアにおいて異物を検知するために、検知対象となる異物のサイズを転落者よりも小さいサイズに設定する。異物有無判定部19は、異物検知エリアにおいて所定の角度ごとの受光データと、検知サイズ設定部において設定された検知サイズに基づいて、異物検知エリアにおける異物の有無を判定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駅のプラットホームから列車が通過する軌道上へ転落した人を検知する転落検知装置であって、
所定の角度範囲内で光を走査し前記光の反射光を受光する光走査器から前記反射光の受光データを、所定の角度ごとに取得するデータ取得部と、
前記軌道上に転落した人を検知するために、前記光走査器の光の走査範囲内であって前記軌道上に転落検知エリアを設定する転落検知エリア設定部と、
前記軌道上に存在する人以外の異物を検知するために、前記光走査器の光の走査範囲内であって前記軌道上に異物検知エリアを設定する異物検知エリア設定部と、
前記異物検知エリアにおいて異物を検知するために、検知対象となる前記異物の検知サイズを転落検知用の検知サイズよりも小さいサイズに設定する検知サイズ設定部と、
前記異物検知エリアにおいて前記所定の角度ごとの前記受光データと、前記検知サイズ設定部において設定された検知サイズに基づいて、前記異物検知エリアにおける前記異物の有無を判定する異物有無判定部と、
を備えている転落検知装置。
【請求項2】
前記異物検知エリア設定部は、前記転落検知エリア設定部において設定された前記転落検知エリアの全てのエリアをカバーするように、前記異物検知エリアを設定する、
請求項1に記載の転落検知装置。
【請求項3】
前記異物の有無を判定する際の検知時間を設定する検知時間設定部を、さらに備え、
前記検知時間設定部は、前記異物の有無を検知するために、前記転落した人の検知時間よりも短い検知時間を設定する、
請求項1または2に記載の転落検知装置。
【請求項4】
前記異物有無判定部は、前記異物を検知した時間の累積時間が所定時間に達すると、前記異物が有ると判定する、
請求項1または2に記載の転落検知装置。
【請求項5】
前記異物有無判定部は、前記累積時間において所定の割合以上、前記異物を検知すると、前記異物が有ると判定する、
請求項4に記載の転落検知装置。
【請求項6】
前記異物有無判定部は、前記プラットホームに前記列車が不在の状態で前記データ取得部において取得された前記受光データを用いて、前記異物の有無を判定する、
請求項1または2に記載の転落検知装置。
【請求項7】
請求項1または2に記載の転落検知装置と、
前記転落検知エリアに光を照射してその反射光の強度に応じて、物体の有無を検知する光走査部と、
を備えている転落検知システム。
【請求項8】
前記異物有無判定部における判定結果に応じて警報を発する警報部を、さらに備えている、
請求項7に記載の転落検知システム。
【請求項9】
前記異物有無判定部における判定結果を表示する表示部を、さらに備えている、
請求項7に記載の転落検知システム。
【請求項10】
駅のプラットホームから列車が通過する軌道上へ転落した人を検知する転落検知方法であって、
前記軌道上に転落した人を検知するために、光走査器の光の走査範囲内であって前記軌道上に転落検知エリアを設定する転落検知エリア設定ステップと、
前記軌道上に存在する人以外の異物を検知するために、前記光走査器の光の走査範囲内であって前記軌道上に異物検知エリアを設定する異物検知エリア設定ステップと、
前記異物検知エリアにおいて異物を検知するために、検知対象となる前記異物の検知サイズを転落検知用の検知サイズよりも小さいサイズに設定する検知サイズ設定ステップと、
所定の角度範囲内で光を走査し前記光の反射光を受光する光走査器から前記反射光の受光データを、所定の角度ごとに取得するデータ取得ステップと、
前記異物検知エリアにおいて前記所定の角度ごとに取得された前記受光データと、前記検知サイズ設定ステップにおいて設定された検知サイズに基づいて、前記異物検知エリアにおける前記異物の有無を判定する異物有無判定ステップと、
を備えた転落検知方法。
【請求項11】
駅のプラットホームから列車が通過する軌道上へ転落した人を検知する転落検知プログラムであって、
前記軌道上に転落した人を検知するために、光走査器の光の走査範囲内であって前記軌道上に転落検知エリアを設定する転落検知エリア設定ステップと、
前記軌道上に存在する人以外の異物を検知するために、前記光走査器の光の走査範囲内であって前記軌道上に異物検知エリアを設定する異物検知エリア設定ステップと、
前記異物検知エリアにおいて異物を検知するために、検知対象となる前記異物の検知サイズを転落検知用の検知サイズよりも小さいサイズに設定する検知サイズ設定ステップと、
所定の角度範囲内で光を走査し前記光の反射光を受光する光走査器から前記反射光の受光データを、所定の角度ごとに取得するデータ取得ステップと、
前記異物検知エリアにおいて前記所定の角度ごとに取得された前記受光データと、前記検知サイズ設定ステップにおいて設定された検知サイズに基づいて、前記異物検知エリアにおける前記異物の有無を判定する異物有無判定ステップと、
を備えた転落検知方法をコンピュータに実行させる転落検知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駅のプラットホームから列車が通過する軌道上へ転落した人を検知する転落検知装置およびこれを備えた転落検知システム、転落検知方法、転落検知プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道駅では、鉄道利用者が、誤ってプラットホームから軌道上へ転落することがある。また、列車が鉄道駅で停止しているときには、鉄道利用者が、プラットホームと列車との間の隙間へ転落することがある。
近年、これら軌道転落および隙間転落を検知して、関係者(指令員、駅係員、車掌あるいは運転士など)に発報するシステムが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1および2は、レーザを偏向しながら射出して2次元的な走査範囲を形成するレーザスキャナを備えたシステムを開示している。レーザスキャナは、レーザを水平に射出する姿勢で、プラットホームよりも下方かつ軌道よりも上方の高さに設置される。当該高さに形成された水平な走査範囲内の任意領域が、監視領域として設定される。レーザスキャナは、物体が監視領域内に存在するか否かを検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-168272号公報
【特許文献2】特開2014-095649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のシステムでは、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、上記公報に開示されたシステムでは、軌道上などの転落検知エリア内で生育し始めた雑草などの植物が転落検知対象サイズ以上の大きさまで成長すると、転落者以外の植物等を検知するようになってしまい、転落者ありと誤発報してしまうおそれがある。また、落葉などが積み重なっていき、転落検知対象サイズ以上の塊となった場合には、同様に、転落者ありと誤発報してしまう場合がある。
【0006】
また、この場合、電車が運行している間は、駅係員・保線員が軌道上に降りて雑草や落葉等を除去する対策を採ることは危険であるため、一時的に、システムを停止せざるを得なくなってしまう。このため、乗客の転落による危険状況をシステムで監視できなくなってしまうおそれがある。
本発明の課題は、システムを一時的に停止させることなく、転落者以外の物体の検知による誤発報を防止することが可能な転落検知装置およびこれを備えた転落検知システム、転落検知方法、転落検知プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係る転落検知装置は、駅のプラットホームから列車が通過する軌道上へ転落した人を検知する転落検知装置であって、データ取得部と、転落検知エリア設定部と、異物検知エリア設定部と、検知サイズ設定部と、異物有無判定部と、を備えている。データ取得部は、所定の角度範囲内で光を走査し光の反射光を受光する光走査器から反射光の受光データを、所定の角度ごとに取得する。転落検知エリア設定部は、軌道上に転落した人を検知するために、光走査器の光の走査範囲内であって軌道上に転落検知エリアを設定する。異物検知エリア設定部は、軌道上に存在する人以外の異物を検知するために、光走査器の光の走査範囲内であって軌道上に異物検知エリアを設定する。検知サイズ設定部は、異物検知エリアにおいて異物を検知するために、検知対象となる異物の検知サイズを転落検知用の検知サイズよりも小さいサイズに設定する。異物有無判定部は、異物検知エリアにおいて所定の角度ごとの受光データと、検知サイズ設定部において設定された検知サイズに基づいて、異物検知エリアにおける異物の有無を判定する。
【0008】
ここでは、雑草等の植生、落ち葉、その他の飛来物等の異物が転落検知エリアにおいて検知された転落者ありと誤発報されることを回避するために、異物検知エリアおよび異物を検知する検知サイズを予め転落者よりも小さいサイズで設定しておき、異物検知エリアにおいて異物の有無を判定する。
これにより、雑草等の植生や落ち葉、その他の落下物を検知するための検知サイズが転落検知対象のサイズよりも小さく設定されているため、例えば、転落検知エリアにおいて雑草等の植物が成長したり、落ち葉が積み重なって転落検知対象サイズと同等以上になったりして、転落者ありと誤検知・誤発報してしまう前に、異物ありと判定することができる。
よって、転落者ほど大きくない異物を検知した場合には、雑草を刈り取る、落ち葉や落下物等を回収する等の措置を採ることができる。
この結果、転落検知を行うシステムを一時的に停止させることなく、転落者以外の物体の検知による誤発報を防止することができる。
【0009】
第2の発明に係る転落検知装置は、第1の発明に係る転落検知装置であって、異物検知エリア設定部は、転落検知エリア設定部において設定された転落検知エリアの全てのエリアをカバーするように、異物検知エリアを設定する。
これにより、転落検知エリアの全域をカバーするように異物検知エリアが設定されているため、転落検知エリアにおける雑草等の植生、落ち葉、その他の落下物を検知することによる誤検知・誤発報を回避することができる。
【0010】
第3の発明に係る転落検知装置は、第1または第2の発明に係る転落検知装置であって、異物の有無を判定する際の検知時間を設定する検知時間設定部を、さらに備えている。検知時間設定部は、異物の有無を検知するために、転落した人の検知時間よりも短い検知時間を設定する。
【0011】
これにより、植生等の異物が転落検知対象サイズ以上の大きさとなった際に、検知し得るものであるかを短い検知時間において確認することができる。
また、例えば、転落検知時間が降雨等を誤検知しないような長さに設定されている場合には、その検知時間と同等であって転落検知時間よりも短い検知時間に設定されることで、降雨等による検知を抑制することができる。
【0012】
第4の発明に係る転落検知装置は、第1または第2の発明に係る転落検知装置であって、異物有無判定部は、異物を検知した時間の累積監視時間が所定時間に達すると、異物が有ると判定する。
これにより、軌道上に飛来した鳥やビニール袋等の飛来物、軌道上に侵入したネコなどの小動物等、転落者以外の一時的な転落検知エリア内への侵入については、植生等の異物とみなさないように、例えば、累積監視時間1時間に設定することで、対処が必要な異物の誤検知を回避することができる。
【0013】
第5の発明に係る転落検知装置は、第4の発明に係る転落検知装置であって、異物有無判定部は、累積監視時間において所定の割合以上、異物を検知すると、異物が有ると判定する。
これにより、例えば、累積監視時間1時間、検知した割合80%以上に設定されることで、ある程度の時間、転落検知エリアに留まっている物体のみを異物と判定することで、一時的な飛来物等について誤って異物ありと判定してしまうことを回避することができる。
【0014】
第6の発明に係る転落検知装置は、第1または第2の発明に係る転落検知装置であって、異物有無判定部は、プラットホームに列車が不在の状態でデータ取得部において取得された受光データを用いて、異物の有無を判定する。
これにより、駅のプラットホームに列車が不在の状態で異物の有無を判定することで、軌道上を含む転落検知エリア全体について、異物の有無を判定することができる。
【0015】
第7の発明に係る転落検知システムは、第1または第2の発明に係る転落検知装置と、転落検知エリアに光を照射してその反射光の強度に応じて、物体の有無を検知する光走査部と、を備えている。
これにより、上述した転落検知を行うシステムを一時的に停止させることなく、転落者以外の物体の検知による誤発報を防止することが可能なシステムを構築することができる。
【0016】
第8の発明に係る転落検知システムは、第7の発明に係る転落検知システムであって、異物有無判定部における判定結果に応じて警報を発する警報部を、さらに備えている。
これにより、転落者の検知に加えて、転落者よりも小さいサイズの植生、落下物等の異物を高精度に検出して、駅係員等に発報することで、異物が転落者と同等のサイズになる前に対処することができる。
【0017】
第9の発明に係る転落検知システムは、第7の発明に係る転落検知システムであって、異物有無判定部における判定結果を表示する表示部を、さらに備えている。
これにより、異物ありと判定された結果を表示部に表示することで、駅係員等は表示部に表示された結果を見て、異物の有無、異物の位置等を把握して適切に対処することができる。
【0018】
第10の発明に係る転落検知方法は、駅のプラットホームから列車が通過する軌道上へ転落した人を検知する転落検知方法であって、転落検知エリア設定ステップと、異物検知エリア設定ステップと、検知サイズ設定ステップと、データ取得ステップと、異物有無判定ステップと、を備えている。転落検知エリア設定ステップでは、軌道上に転落した人を検知するために、光走査器の光の走査範囲内であって軌道上に転落検知エリアを設定する。異物検知エリア設定ステップでは、軌道上に存在する人以外の異物を検知するために、光走査器の光の走査範囲内であって軌道上に異物検知エリアを設定する。検知サイズ設定ステップでは、異物検知エリアにおいて異物を検知するために、検知対象となる異物の検知サイズを転落検知用の検知サイズよりも小さいサイズに設定する。データ取得ステップでは、所定の角度範囲内で光を走査し光の反射光を受光する光走査器から反射光の受光データを、所定の角度ごとに取得する。異物有無判定ステップでは、異物検知エリアにおいて所定の角度ごとに取得された受光データと、検知サイズ設定ステップにおいて設定された検知サイズに基づいて、異物検知エリアにおける異物の有無を判定する。
【0019】
ここでは、雑草等の植生、落ち葉、その他の飛来物等の異物が転落検知エリアにおいて検知された転落者ありと誤発報されることを回避するために、異物検知エリアおよび異物を検知する検知サイズを予め転落者よりも小さいサイズで設定しておき、異物検知エリアにおいて異物の有無を判定する。
これにより、雑草等の植生や落ち葉、その他の落下物を検知するための検知サイズが転落検知対象のサイズよりも小さく設定されているため、例えば、転落検知エリアにおいて雑草等の植物が成長したり、落ち葉が積み重なって転落検知対象サイズと同等以上になったりして、転落者ありと誤検知・誤発報してしまう前に、異物ありと判定することができる。
よって、転落者ほど大きくない異物を検知した場合には、雑草を刈り取る、落ち葉や落下物等を回収する等の措置を採ることができる。
この結果、転落検知を行うシステムを一時的に停止させることなく、転落者以外の物体の検知による誤発報を防止することができる。
【0020】
第11の発明に係る転落検知プログラムは、駅のプラットホームから列車が通過する軌道上へ転落した人を検知する転落検知プログラムであって、転落検知エリア設定ステップと、異物検知エリア設定ステップと、検知サイズ設定ステップと、データ取得ステップと、異物有無判定ステップと、を備えた転落検知方法をコンピュータに実行させる。転落検知エリア設定ステップでは、軌道上に転落した人を検知するために、光走査器の光の走査範囲内であって軌道上に転落検知エリアを設定する。異物検知エリア設定ステップでは、軌道上に存在する人以外の異物を検知するために、光走査器の光の走査範囲内であって軌道上に異物検知エリアを設定する。検知サイズ設定ステップでは、異物検知エリアにおいて異物を検知するために、検知対象となる異物の検知サイズを転落検知用の検知サイズよりも小さいサイズに設定する。データ取得ステップでは、所定の角度範囲内で光を走査し光の反射光を受光する光走査器から反射光の受光データを、所定の角度ごとに取得する。異物有無判定ステップでは、異物検知エリアにおいて所定の角度ごとに取得された受光データと、検知サイズ設定ステップにおいて設定された検知サイズに基づいて、異物検知エリアにおける異物の有無を判定する。
【0021】
ここでは、雑草等の植生、落ち葉、その他の飛来物等の異物が転落検知エリアにおいて検知された転落者ありと誤発報されることを回避するために、異物検知エリアおよび異物を検知する検知サイズを予め転落者よりも小さいサイズで設定しておき、異物検知エリアにおいて異物の有無を判定する。
これにより、雑草等の植生や落ち葉、その他の落下物を検知するための検知サイズが転落検知対象のサイズよりも小さく設定されているため、例えば、転落検知エリアにおいて雑草等の植物が成長したり、落ち葉が積み重なって転落検知対象サイズと同等以上になったりして、転落者ありと誤検知・誤発報してしまう前に、異物ありと判定することができる。
【0022】
よって、転落者ほど大きくない異物を検知した場合には、雑草を刈り取る、落ち葉や落下物等を回収する等の措置を採ることができる。
この結果、転落検知を行うシステムを一時的に停止させることなく、転落者以外の物体の検知による誤発報を防止することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る転落検知装置によれば、システムを一時的に停止させることなく、転落者以外の物体の検知による誤発報を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る転落検知装置を含む転落検知システムの構成を示す制御ブロック図。
図2図1の転落検知システムに含まれる転落検知装置の構成を示す制御ブロック図。
図3】(a)は、駅のプラットホームに列車が不在の状態において光走査器による走査範囲を示す平面図。(b)は、駅のプラットホームに列車が在線の状態において光走査器による走査範囲を示す平面図。
図4】駅のプラットホームの下部空間に設置された光走査器と駅に停止した列車との位置関係を示す、列車の進行方向から見た断面図。
図5】(a)は、列車が駅のプラットホームに不在の状態における転落検知エリアを示す斜視図。(b)は、列車が駅のプラットホームに在線の状態における隙間転落検知エリアを示す斜視図。
図6】軌道上に設定される転落検知エリア、隙間転落検知エリア、異物検知エリアの具体例を示す平面図。
図7】(a)は、光走査器によって光が走査された転落検知エリア全体における異物の検知結果を示す図。(b)は、(a)の右半分を拡大した図。
図8図1の転落検知システムにおいて実施される転落検知方法の処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の一実施形態に係る転落検知装置について、図1図8を用いて説明すれば以下の通りである。
なお、本実施形態では、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0026】
また、出願人は、当業者が本発明を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
以下の説明において、「長手方向」は、鉄道駅のプラットホームPの長手方向である(図3の紙面左右方向、図4の紙面直交方向)。長手方向は、プラットホームPに隣接した軌道Rの延在方向、および、軌道R上の車両Cの車長方向と略平行である。「幅方向」は、プラットホームPの幅方向(図3の紙面上下方向、図4の紙面左右方向)である。幅方向は、プラットホームPに隣接した軌道Rの軌間方向、および、軌道R上の車両Cの車幅方向と略平行である。幅方向の「内側」または「内方」は、プラットホームPの幅中心に近づく側または方向である。幅方向の「外側」または「外方」は、プラットホームPの幅中心から遠ざかる側または方向である。
【0027】
軌道Rは、道床と、その上に設けられた一対のレールとを含む。列車Trは、レールに沿って軌道R上を走行する。列車Trは、1両の車両Cで構成され、または、連結器を介して2両以上の車両Cを順次に連結することによって構成される。プラットホームPは、軌道Rと幅方向に隣接して設定され、その上面は軌道Rよりも上方に位置する。
軌道Rの状態には、図3(a)に示す「不在状態」と、図3(b)に示す「在線状態」とが含まれる。不在状態では、軌道R上に列車Trが存在せず、軌道Rの上方が広く開放される。不在状態において、鉄道利用者は、プラットホームPの上面で列車Trの到着を待つ。在線状態では、軌道R上で列車Trが停止している。在線状態において、鉄道利用者は、プラットホームPと列車Trとの間に形成される隙間Dを跨いで、プラットホームPの上面から列車Trに乗り、または、列車TrからプラットホームPの上面へ降り立つ。
【0028】
(1)転落検知システム1の構成
本実施形態に係る転落検知システム1は、プラットホームPを備えた鉄道駅に適用され、プラットホームPから誤って転落した鉄道利用者を検知する。検知の対象は、不在状態でプラットホームPから軌道Rまで転落した「軌道転落者」と、在線状態で隙間Dへ転落した「隙間転落者」との両方である。隙間転落者には、軌道Rまで落下する者もいれば、隙間Dに挟まって宙吊りになる者もいるが、そのどちらも検知の対象である。
【0029】
また、本実施形態の転落検知システム1は、軌道R上、あるいは軌道Rの周辺における雑草等の植生や落ち葉、その他の落下物について、転落者よりも小さいサイズの内に検知する。これにより、転落者以外の雑草等の植生や落ち葉等の落下物等が大きくなって、転落者ありと誤検知・誤発報してしまうことを回避することができる。
なお、転落検知システム1に含まれる転落検知装置による異物検知処理については、後段にて詳述する。
【0030】
なお、軌道Rの状態には、不在状態から在線状態への過渡状態としての「入線状態」と、在線状態から不在状態への過渡状態としての「出線状態」とが含まれる。
また、本実施形態に係る転落検知システム1は、図1に示すように、プラットホームPの下部空間に設置された走査装置3と、走査装置3と接続された転落検知装置4と、パトライト(登録商標)等のシステム状態表示器5および転落警報器6と、軌道回路7と、記憶装置8と、表示装置9と、を備えている。
【0031】
走査装置3は、図2図4に示すように、プラットホームPの下部空間において、プラットホームPと隣接した軌道Rに沿って設けられており、複数の走査器ユニット3a,3b,3cを有している。各走査器ユニット3a,3b,3cは、上下一対で配置された上走査器31および下走査器(光走査器)32を含む。複数の走査器ユニット3a,3b,3cは、長手方向に間隔をおいて設定された複数の設置位置それぞれに設置されている。
【0032】
上・下走査器31,32は、例えば、レーザ光を所定の角度範囲内で走査する2Dレーザスキャナであって、図2に示すように、発光部33、偏向部34、受光部35、検知部36、距離算出部37を有している。
発光部33は、レーザ光のような走査光SLを発光する。
偏向部34は、ガルバノミラーのような偏向器、および、偏向器を回転駆動するアクチュエータを有する。発光部33で発光された走査光SLは、偏向部34によって偏向されながら射出される。これにより、2次元的な走査範囲SRが形成される。走査範囲SR内に物体が存在すると、走査光SLがその物体で反射する。
【0033】
受光部35は、走査光SLの反射光を受光する。
検知部36は、発光部33から照射されてから受光部35で受光された反射光を受光するまでの時間に基づいて、走査範囲SR(更に言えば、走査範囲SR内に設定された転落監視領域)に物体が存在するか否かを検知する。
距離算出部37は、受光部35において受光した反射光を受光するまでの時間の情報に応じて、光を反射した物体までの距離を算出する。
【0034】
上・下走査器31,32は、図4に示すように、プラットホームPよりも下方かつ軌道Rよりも上方に設置されている。上走査器31は、下走査器32よりも上方に設置されている。
下走査器32は、主として、軌道転落者を検知する。他方、下走査器32は、軌道Rの構成要素を検知しないことを求められる。下走査器32の上下方向の位置は、このような役割を果たすための適値(例えば、軌道から約250mm上方)に調整される。
【0035】
上走査器31は、主として、隙間Dで宙吊りになった隙間転落者を検知する。上走査器31の上下方向の位置は、このような役割を果たすための適値(例えば、軌道から約700mm上方、あるいは、プラットホームPから約600mm下方)に調整される。
上・下走査器31,32は、軌道Rよりも幅方向内方、更には、プラットホームPの端縁よりも幅方向内方に設置されている。プラットホームPの下方には、プラットホームPの端縁から見て幅方向内方に奥まった空間が形成されることがある。走査器ユニット3a,3b,3cの設置位置は、例えば、このような空間内に設定されており、当該空間内で上・下走査器31,32の上下方向および幅方向における位置が調整される。
【0036】
上・下走査器31,32は、走査光SLが幅方向外方へ水平に射出されて水平面内で偏向される姿勢で、設置されている。これにより、上・下走査器31,32が、プラットホームPよりも下方かつ上・下走査器31,32から見て幅方向外方に、2つの水平な走査範囲SRを形成する。
走査光SLの偏向範囲は、図3に示すように、約-5°~185°の角度範囲で設定されている。走査範囲SRは、平面視において、対応する上・下走査器31,32から幅方向に延びる基準線RLに対して線対称の半円形状に形成される。複数の走査範囲SRが、長手方向に並べられ、かつ、互いに部分的にオーバラップされるようにして、複数の走査器ユニット3a,3b,3cによって形成される。
【0037】
各走査範囲SR内に、転落監視領域が設定される。上・下走査器31,32は、それぞれ、走査範囲SR内の物体(転落者または車輪)の存否を検知することができる。そして、上・下走査器31,32は、それぞれが設定された転落監視領域内の物体の存在を検知したときに、その旨を示す検出信号を出力する。
転落監視領域のサイズおよび場所は、軌道の状態に応じて変更される。本実施形態に係る上・下走査器31,32においては、複数の転落監視領域を、同一の走査範囲SR内における互いに異なる領域に同時的に設定することが可能である。また、同時的に設定される2以上の転落監視領域を、同一の走査範囲SR内で部分的に互いにオーバラップさせることも可能である。
【0038】
本実施形態では、走査器ユニット3a,3b,3cのそれぞれの設置位置が、長手方向において車両2両分の長さに相当する間隔をおいて設定されている。各設置位置は、停車中の列車Trの車両連結部と幅方向に対向する位置である。
長手方向一方側(図3の紙面左側)の末端に設置された走査器ユニット3aは、1両目および2両目の車両連結部と対向する。その隣に設置された走査器ユニット3bは、末端の走査器ユニット3aから車両2両分の長さだけ離されており、3両目および4両目の車両連結部と対向する。
【0039】
上・下走査器31,32にそれぞれ設定される転落監視領域は、長手方向に車両2両分の長さを有している。転落監視領域は、設置位置から見て長手方向一方側の車両Cと他方側(図3の紙面右側)の車両Cとの2両が停止する領域と対応する。
複数の走査器ユニット3a,3b,3cにそれぞれ設定される複数の転落監視領域は、長手方向に連なる。したがって、列車Trが停車する全領域が監視の対象となる。
【0040】
ただし、走査器ユニット3a,3b,3cは、単数でも複数でもよく、特に限定されない。走査器ユニット3a,3b,3cの個数は、転落監視領域の長手方向における寸法や、プラットホームPの有効長や、軌道R上で停止すると想定されている列車Trの最大長に応じて、適宜変更可能である。
例えば、プラットホームPと列車Trとの間の隙間が広くなりやすい曲線状の部分にのみ、走査器ユニット3a,3b,3cが設置されており、プラットホームPの一部において転落検知が実施されてもよい。
【0041】
転落検知装置4は、図2に示すように、走査装置3と接続されており、走査装置3から出力された検知結果に基づいて、プラットホームPからの転落者、雑草等の植生、落ち葉、その他の落下物を含む異物を検知する。転落検知装置4は、転落者を検知すると、関係者に知らせるために転落警報器6に発報動作を行わせる。また、転落検知装置4は、異物の検知と転落者の検知とを同じ発報動作にしてしまうと、実際の現場において、異物検知時に列車を緊急停止させてしまうおそれがある。このため、転落検知装置4は、異物検知時には、転落警報器6ではなく、システム状態表示器5等の他の手段を用いて駅係員等の関係者へ異物の検知を報知する。
【0042】
システム状態表示器5は、例えば、パトライト(登録商標)等の表示装置であって、後述する異物を検知した場所を示す表示や、走査器ユニット3a,3b,3cの上・下走査器31,32に生じた異常の内容等を表示する。
転落警報器6は、列車運行を管理する指令所に設けられ指令員に向けて警報を発する、あるいは、鉄道駅に設けられ駅係員に向けて警報を発する、あるいは、列車Trの制御車に設けられ運転士あるいは車掌に向けて警報を発する警報器を含む。警報器は、警告音等の音情報を出力するスピーカまたはブザーでもよいし、警告メッセージを表示するディスプレイ、または警告光を照射するランプであってもよい。
【0043】
関係者は、警報に基づいて、転落への対処、および、転落に付随する二次事故を未然に防ぐための措置を採ることができるとともに、雑草等の植生、落ち葉その他の落下物の処理等の措置を採ることができる。
軌道回路7は、軌道転落監視対象駅における列車の在線、不在を検知して、転落検知装置4に対して軌道回路信号を送信する。軌道回路7は、一例として、プラットホームPと隣接する軌道Rを検知範囲とする軌道回路であってもよい。軌道回路7は、プラットホームPの長手方向両端部の屋根に設置され、車両Cの上面または側面の存否を検知する車両検知センサによって構成されてもよい。
【0044】
本実施形態の転落検知システム1では、後段にて詳述する異物検知エリアにおける異物の有無を検知する処理が、軌道回路7からの軌道回路信号に基づいて、列車が不在時に実施される。
記憶装置8は、転落検知装置4に接続されており、例えば、走査装置3から受信したRAWデータや、転落検知結果、異物の検知結果等のログデータが保存されている。
表示装置9は、例えば、異物検知エリアにおける異物を検知した結果等を表示する。
これにより、駅係員等は、雑草等の植生の成長や落ち葉等の落下物の積層体が大きくなった場合に、表示装置9の表示を確認して、これらを除去する等の措置を採ることができる。
【0045】
(2)転落検知装置4
転落検知装置4は、一例として、CPUと、ROM、RAMおよびEEPROM等のメモリと、入出力インタフェースとを備えるコンピュータによって構成される。コンピュータは、単体でもよいし、物理的に分散された複数のコンピュータの複合でもよい。メモリは、このようなコンピュータに転落検知方法を実行させるための転落検知プログラムを記憶している。CPUは、メモリに保存された転落検知プログラムを読み込んで、転落検知プログラムに従って転落検知方法に係る情報処理を行う。メモリは、転落検知プログラムのほか、転落検知方法の実行に際して必要な情報またはデータを一時的に記憶することもできる。
【0046】
転落検知装置4は、CPUが転落検知プログラムを読み込んで実行することで、図2に示すように、制御部10、信号受信部11、軌道情報取得部12、転落検知エリア設定部13、走査データ取得部14、転落検知部15、異物検知エリア設定部16、検知サイズ設定部17、検知時間設定部18、異物有無判定部19および出力部20を有している。
制御部10は、信号受信部11、軌道情報取得部12、転落検知エリア設定部13、走査データ取得部14、転落検知部15、異物検知エリア設定部16、検知サイズ設定部17、検知時間設定部18、異物有無判定部19および出力部20と接続されており、各部を制御する。
【0047】
信号受信部11は、上・下走査器31,32から、例えば、受光部35において反射光を受光するまでの時間のデータ、検知部36において検知された検知結果、距離算出部37において算出された転落検知エリア内に存在する物体までの距離データ等を受信する。
軌道情報取得部12は、軌道の状態を示す情報を取得する。本実施形態では、軌道情報取得部12は、軌道の状態として、在線状態であるか、不在状態であるか、これら2つの状態のいずれでもないか(過渡状態であるか)を示す情報を取得する。
【0048】
転落検知エリア設定部13は、取得された軌道の状態等に応じて、上・下走査器31,32にそれぞれ設定されるべき転落を監視する転落監視領域を所定のパターンの中から1つ選択し、選択されたパターンの転落監視領域を上・下走査器31,32にそれぞれ設定する。転落検知エリア設定部13は、軌道の状態に応じて、転落監視領域のパターン、転落検知システム1の検知の対象、あるいは、転落検知システム1の動作モードを切り換える。
【0049】
走査データ取得部14は、各走査器ユニット3a~3c(上・下走査器31,32)によって出力された転落監視領域内における物体の存否についての検知結果を取得する。
転落検知部15は、走査データ取得部14において取得された検知結果に基づいて、所定の判定ロジックに従って、プラットホームPからの転落者の有無を判定する。
異物検知エリア設定部16は、軌道R上に存在する人以外の異物を検知するために、各走査器ユニット3a~3c(上・下走査器31,32)の光の走査範囲内であって軌道R上に異物検知エリアを設定する。異物検知エリア設定部16は、転落検知エリア設定部13において設定された転落検知エリアの全てのエリアをカバーするように、異物検知エリアを設定する。
【0050】
検知サイズ設定部17は、異物検知エリアにおいて異物を検知するために、検知対象となる異物のサイズを転落者よりも小さいサイズに設定する。
検知時間設定部18は、異物の有無を判定する際の検知時間を設定する。具体的には、検知時間設定部18は、異物の有無を検知するために、転落した人を検知する際の検知時間よりも短い検知時間を設定する。
【0051】
異物有無判定部19は、異物検知エリアにおいて所定の角度ごとの受光データと、検知サイズ設定部17において設定された検知サイズに基づいて、異物検知エリアにおける異物の有無を判定する。
出力部20は、転落検知部15が転落者を検知した場合に、転落警報器6に警報動作を行わせる指令を出力する。また、出力部20は、後述する異物検知エリアにおいて検知された雑草等の異物の有無およびその位置を、システム状態表示器5および表示装置9に出力して表示させる。
【0052】
本実施形態の転落検知装置4では、以上のような構成により、雑草等の植生、落ち葉、その他の飛来物等の異物が転落検知エリアにおいて検知された転落者ありと誤発報されることを回避するために、異物検知エリアおよび異物を検知する検知サイズを予め転落者よりも小さいサイズで設定しておき、異物検知エリアにおいて異物の有無を判定する。
これにより、雑草等の植生や落ち葉、その他の落下物を検知するための検知サイズが転落検知対象のサイズよりも小さく設定されているため、例えば、転落検知エリアにおいて雑草等の植物が成長したり、落ち葉が積み重なって転落検知対象サイズと同等以上になったりして、転落者ありと誤検知・誤発報してしまう前に、異物ありと判定することができる。
よって、転落者と同等程度まで成長する前に異物を検知して、雑草を刈り取る、落ち葉や落下物等を回収する等の措置を採ることができる。
この結果、転落検知システム1を一時的に停止させることなく、転落者以外の物体の検知による誤発報を防止することができる。
【0053】
(転落監視領域)
本実施形態の転落検知装置4では、図3に示すように、軌道の状態に応じて走査装置3に選択的に設定される転落監視領域のパターンとして、不在状態で設定されるパターンである軌道監視領域ARと、在線状態で設定されるパターンである隙間監視領域ADとが設定されている。
【0054】
軌道監視領域ARは、図3(a)に示すように、軌道Rの上部空間を覆うように設定される。軌道転落者は、転落の過程で軌道監視領域AR内に入る。よって、軌道監視領域AR内に物体が存在するとの検知結果に基づき、軌道Rの幅方向全体にわたって、軌道転落者を検知することができる。
隙間監視領域ADは、図3(b)に示すように、軌道監視領域ARよりも幅方向に狭く、隙間D内に設定される。隙間転落者のうち軌道Rまで達した者は、転落の過程で隙間監視領域AD内に入る。宙吊りになった者も、隙間監視領域AD(特に、上隙間監視領域ADU)内で留まる。よって、隙間監視領域AD内に物体が存在するとの検知結果に基づき、隙間転落者を検知することができる。
【0055】
(軌道監視領域)
走査装置3は、長手方向に並ぶ複数の走査器ユニット3a,3b,3cで構成される。
軌道監視領域ARは、図3(a)に示すように、複数の走査器ユニット3a,3b,3cごとに設定される軌道監視領域ARa,ARb,ARcを長手方向に連ねることによって構成される。
【0056】
各走査器ユニット3a,3b,3cは、上述したように、上下一対で設けられた上・下走査器31,32で構成されている。
走査器ユニット3aの軌道監視領域ARaは、上走査器31に設定される上軌道監視領域ARaUと、下走査器32に設定される下軌道監視領域ARaLとで構成される。他の走査器ユニット3b,3cの軌道監視領域ARb,ARcについても、これと同様である。
【0057】
すなわち、複数の上走査器31が長手方向に沿って並べられ、かつ、複数の下走査器32が長手方向に沿って並べられている。走査装置3の軌道監視領域ARは、上軌道監視領域ARUと、下軌道監視領域ARLとで構成されている。
上軌道監視領域ARUは、複数の上走査器31に設定された複数の上軌道監視領域ARaU,ARbU,ARcUを長手方向に連ねることによって形成されている。下軌道監視領域ARLは、上軌道監視領域ARUよりも低い位置に設定され、複数の下走査器32に設定された複数の下軌道監視領域ARaL,ARbL,ARcLを長手方向に連ねることによって形成されている。
【0058】
複数の上軌道監視領域ARaU,ARbU,ARcUは、長手方向に並ぶように設定されている。また、複数の下軌道監視領域ARaL,ARbL,ARcLは、複数の上軌道監視領域ARaU,ARbU,ARcUとそれぞれ対応して設定されている。各下軌道監視領域ARaL,ARbL,ARcLは、対応する上軌道監視領域ARaU,ARbU,ARcUと長手方向において略同じ位置に設定されている。
【0059】
図5(a)は、列車Trが不在状態で走査器ユニット3aに設定される軌道監視領域ARaを示す斜視図である。本実施形態では、上軌道監視領域ARaUが、走査器ユニット3aの上走査器31によって形成される単一の走査範囲SR内に設定された複数の上セグメントARaU1,ARaU2,ARaU3,ARaU4を長手方向に連ねることによって形成されている。下軌道監視領域ARaLも、走査器ユニット3aの下走査器32によって形成される単一の走査範囲SR内に設定された複数の下セグメントARaL1,ARaL2,ARaL3,ARaL4を長手方向に連ねることによって形成されている。
【0060】
このように、複数の上セグメントARaU1,ARaU2,ARaU3,ARaU4が、長手方向に並ぶように設定されている。また、複数の下セグメントARaL1,ARaL2,ARaL3,ARaL4が、複数の上セグメントARaU1,ARaU2,ARaU3,ARaU4とそれぞれ対応して設定されている。各下セグメントARaL1,ARaL2,ARaL3,ARaL4は、対応する上セグメントARaU1,ARaU2,ARaU3,ARaU4と長手方向において略同じ位置に設定されている。
【0061】
別の走査器ユニット3b,3cにおいても、これと同様である。セグメント数は、1つの走査器ユニットにおいて上下同じであれば、どのように設定されていてもよい。本実施形態では、単なる一例として、いずれの走査器ユニット3a,3b,3cにおいても、セグメント数が4である。
一例として、上セグメントARaU1,ARaU2,ARaU3,ARaU4は、上軌道監視領域ARaUを長手方向に等分割することによって形成されている。本例では、上軌道監視領域ARaUは、長手方向が長辺となる長方形状であり、長辺の長さは車両2両分(約40m)である。上セグメントARaU1,ARaU2,ARaU3,ARaU4も、平面視で概略長方形状であり、その長辺の長さは、車両半分の長さと概ね等しい。下セグメントARaL1,ARaL2,ARaL3,ARaL4についても、これと同様である。
【0062】
(隙間監視領域)
隙間監視領域ADについても、軌道監視領域ARと同様である。隙間監視領域ADは、複数の走査器ユニット3a,3b,3cごとに設定される隙間監視領域ADa,ADb,ADcを長手方向に連ねることによって構成される。
走査器ユニット3aの隙間監視領域ADaは、上走査器31に設定される上隙間監視領域ADaUと、下走査器32に設定される下隙間監視領域ADaLとで構成される。他の走査器ユニット3b,3cの隙間監視領域ADb,ADcについても、これと同様である。また、走査装置3の隙間監視領域ADは、上隙間監視領域ADUと、下隙間監視領域ADLとで構成されている。上隙間監視領域ADUは、複数の上走査器31に設定された複数の上隙間監視領域ADaU,ADbU,ADcUを長手方向に連ねることによって構成される。下隙間監視領域ADLは、上隙間監視領域ADUよりも低い位置に設定され、複数の下走査器32に設定された複数の下隙間監視領域ADaL,ADbL,ADcLを長手方向に連ねることによって構成される。
【0063】
複数の上隙間監視領域ADaU,ADbU,ADcUが、長手方向に並ぶように設定されている。また、複数の下隙間監視領域ADaL,ADbL,ADcLが、複数の上隙間監視領域ADaU,ADbU,ADcUとそれぞれ対応して設定されている。各下隙間監視領域ADaL,ADbL,ADcLは、対応する上隙間監視領域ADaU,ADbU,ADcUと長手方向において略同じ位置に設定されている。
【0064】
図5(b)は、在線状態で走査器ユニット3aに設定される隙間監視領域ADaを示す斜視図である。本実施形態では、単なる一例として、走査器ユニット3aの隙間監視領域ADaは、軌道監視領域ARa(図5(a)を参照)とは異なり、複数のセグメントに細分されていない。ただし、複数の上隙間監視領域ADaU,ADbU,ADcUが、部分的に互いにオーバラップされていてもよい。付随して、複数の下隙間監視領域ADaL,ADbL,ADcLも、部分的に互いにオーバラップされていてもよい。
【0065】
(異物検知エリア、検知サイズ、検知時間の設定)
本実施形態の転落検知装置4では、異物検知エリア設定部16が、上述した転落検知エリア設定部13において設定された転落監視領域(転落検知エリア)の全体をカバーするように、異物検知エリアを設定する。
すなわち、異物検知エリア設定部16は、図6に示すように、転落検知を行う転落監視領域のほぼ全体をカバーするように、異物検知エリアA1を設定する。そして、異物検知エリア設定部16は、異物検知エリアA1において検知対象となる物体の検知サイズを、転落検知の対象となる検知サイズよりも小さい値に設定する。
【0066】
具体的には、例えば、転落検知対象サイズが50cmである場合には、異物検知対象サイズは20~30cmに設定されていればよい。
また、異物検知エリア設定部16は、図5(a)に示す上下2段に設定された上軌道監視領域ARaUおよび下軌道監視領域ARaLと、図5(b)に示す上下2段に設定された上隙間監視領域ADaUおよび下隙間監視領域ADaLとのほぼ全体をカバーするように、異物検知エリアA1が設定される。
【0067】
すなわち、異物検知エリア設定部16は、走査装置3の各走査器ユニット3a,3b,3cに設定されている全ての転落検知エリア(軌道転落検知エリアと隙間転落検知エリアの和)をほぼカバーするように、異物検知エリアA1を設定する。
これにより、転落検知エリアの全体において、雑草や落ち葉の積み重なり等の成長に起因する転落の誤検知・誤発報を回避することができる。
【0068】
ここで、転落検知装置4では、検知サイズ設定部17が、異物有無判定部19が異物検知エリア設定部16によって設定された異物検知エリアA1において植生等の異物を検知する際の異物の検知サイズを設定する。
具体的には、検知サイズ設定部17は、雑草を含む植生等が転落検知用の検知サイズ以上の大きさとなる前に検知されるように、走査装置3の各走査器ユニット3a,3b,3cに設定されている全ての転落検知対象サイズよりも小さい値で、異物検知用の検知サイズを設定する。
【0069】
これにより、例えば、雑草等の植生や落ち葉の積み重なりが転落検知用の検知サイズ以上の大きさになって転落者ありとする誤検知・誤発報が発生する前に植生等を検知することができる。
さらに、転落検知装置4では、異物有無判定部19が異物検知エリア設定部16によって設定された異物検知エリアA1において植生等の異物を検知するために、検知時間設定部18が、異物を検知する検知時間を設定する。
【0070】
具体的には、検知時間設定部18は、走査装置3の各走査器ユニット3a,3b,3cに設定されている全ての転落検知時間の中で最小の長さになるように、異物検知用の検知時間を設定する。
これにより、例えば、雑草等の植生が転落検知用の検知サイズ以上の大きさとなった際に、転落検知すべきものであるかを確認することができる。また、走査装置3の各走査器ユニット3a,3b,3cに設定される転落検知用の検知時間は、降雨等を検知してしまうことを抑制する長さに設定されている。このため、その検知時間と同等の検知時間とすることで、降雨等による検知を抑制することができる。
【0071】
本実施形態の転落検知システム1では、システム運用中は、異物検知エリアA1における植生等の監視を列車不在時に実施する。そして、植生等の監視時間を累積した累積監視時間Tにおいて所定割合N%以上に渡って植生等が検知された場合には、雑草等の植生が確認された旨を、表示装置9に表示することで、駅係員に警告・警報する。
ここで、累積監視時間Tおよび所定割合Nは、軌道上に飛来した鳥やビニール袋等の検知対象外の物体、軌道上に侵入したネコ等の小動物を、誤って異物として検知しないようにするために、十分に大きな値に設定されることが好ましい。
【0072】
例えば、累積監視時間Tは、1時間、所定割合Nは、80%であればよい。
これにより、異物検知用の検知サイズを転落検知用の検知サイズよりも小さい値に設定したために、軌道上に飛来した物体、小動物等を瞬間的に検知してしまった場合でも、一時的な転落検知エリア内への侵入とみなして、植生等の異物を検知したと誤って警告・警報しないようにすることができる。
【0073】
なお、植生等の成長により異物ありと判定された場合には、表示装置9等を用いて、駅係員への警告・警報を行う。
ただし、パトライト(登録商標)等のシステム状態表示器5を用いて、光の点灯等によって、警告・警報が実施されてもよい。また、植生等の異物を検知した位置が、例えば、駅長室等に設置されたPC(Personal Computer)等の表示装置9の表示画面上に表示されてもよい。
【0074】
これにより、駅係員等は、表示装置9の表示画面を見て、図7(a)および図7(b)に示すように、異物検知エリアA1内において、走査装置3の各走査器ユニット3a,3b,3cの位置に対する植生等の異物を検知した異物検知位置Xを確認することができる。よって、例えば、駅係員・保線員が、鉄道の営業時間外等の列車Trが運行していない時間帯に、雑草や落葉などを駆除するなどの対策を事前に講じることができるとともに、転落者ありとする誤検知・誤発報を回避することができる。
【0075】
<転落検知方法>
本実施形態の転落検知装置4は、以上のような構成により、図8に示すフローチャートに従って、転落検知方法を実施する。
すなわち、図8に示すように、ステップS11では、転落検知エリア設定部13が、軌道上および在線時の列車TrとプラットホームPとの間の隙間に、それぞれ転落検知エリア(軌道監視領域AR、隙間監視領域AD)を設定する。
【0076】
次に、ステップS12では、異物検知エリア設定部16が、ステップS11において設定された転落検知エリア(軌道監視領域AR、隙間監視領域AD)のほぼ全体をカバーするように、異物検知エリアA1を設定する。
次に、ステップS13では、検知サイズ設定部17が、転落検知用の検知サイズと、異物検知用の検知サイズとをそれぞれ設定する。
【0077】
このとき、異物検知用の検知サイズは、転落検知用の検知サイズよりも小さい。
次に、ステップS14では、検知時間設定部18が、転落検知用の検知時間と、異物検知用の検知時間とをそれぞれ設定する。
このとき、異物検知用の検知時間は、転落検知用の検知時間よりも短い。
次に、ステップS15では、走査データ取得部14が、実際に、走査装置3の各走査器ユニット3a,3b,3cから照射された光を受光して、受光データを取得する。
【0078】
次に、ステップS16では、ステップS15において取得した受光データに基づいて、転落検知エリア(軌道監視領域AR、隙間監視領域AD)において転落者を検知したか否かを判定する。ここで、転落者ありと判定されると、ステップS17へ進み、転落者なしと判定されると、ステップS18へ進む。
次に、ステップS17では、ステップS16において、転落者ありと判定されたため、転落者ありとする警報と、転落者の位置を、システム状態表示器5、転落警報器6、表示装置9の少なくとも1つを用いて表示して、処理を終了する。
【0079】
一方、ステップS18では、ステップS16において、転落者なしと判定されたため、異物検知エリアA1において異物を検知したか否かを判定する。ここで、異物ありと判定されると、ステップS19へ進み、異物なしと判定されると、再び、ステップS15へ戻って、転落者あるいは異物の検知を繰り返し行う。
次に、ステップS19では、ステップS18において、異物ありと判定されたため、異物を検知してから累積監視時間T(例えば、1時間)のうち、所定の割合N(例えば、80%)以上であるか否かを判定する。
【0080】
ここで、異物を検知してから累積監視時間T(例えば、1時間)のうち、所定の割合N(例えば、80%)以上である場合には、検知対象である雑草等の異物が有ると判定し、ステップS20へ進む。一方、所定の割合N未満である場合には、異物検知エリアに留まっていない物体を検知したものであって検知対象となる異物ではないと判断し、再び、ステップS15へ戻って、転落者あるいは異物の検知を繰り返し行う。
【0081】
次に、ステップS20では、ステップS19において、異物ありと判定されたため、検知対象となる異物ありとする警報と、異物の位置とを、システム状態表示器5、転落警報器6、表示装置9の少なくとも1つを用いて表示して、処理を終了する。
これにより、駅係員等は、転落者が検知された場合には、即座に列車Trを停車させて救助に行く等の対応を採ることができるとともに、検知対象である植生等の異物が検知された場合には、その日の運行が終了した後で、保安員等に雑草等の植生を駆除するように依頼する等の措置を講ずることができる。
【0082】
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施形態では、転落検知装置および転落検知方法として、本発明を実現した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0083】
例えば、上述した転落検知装置による転落検知方法をコンピュータに実行させる転落検知プログラムとして本発明を実現してもよい。
この転落検知プログラムは、転落検知装置に搭載されたメモリ(記憶部)に保存されており、CPUがメモリに保存された転落検知プログラムを読み込んで、ハードウェアに各ステップを実行させる。より具体的には、CPUが転落検知プログラムを読み込んで、上述したデータ取得ステップと、植生有無判定ステップと、を実行することで、上記と同様の効果を得ることができる。
また、本発明は、転落検知プログラムを保存した記録媒体として実現されてもよい。
【0084】
(B)
上記実施形態では、上下2段に設定された軌道監視領域ARと隙間監視領域ADとにそれぞれ、異物検知エリアA1が設定される例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0085】
例えば、雑草等の植生や落ち葉の体積は地面から成長していくものであることを考慮して、下段側の軌道監視領域ARおよび隙間監視領域ADをカバーするように、異物検知エリアA1が設定されていてもよい。
あるいは、ある程度、成長した雑草等の植生や落ち葉の体積等を検知しつつ、小動物等の誤検知することを回避することを考慮して、上段側の軌道監視領域ARおよび隙間監視領域ADをカバーするように、異物検知エリアA1が設定されていてもよい。
【0086】
(C)
上記実施形態では、軌道R上に設定された軌道監視領域ARと在線時の列車TrとプラットホームPとの間に設定された隙間監視領域ADとにそれぞれ、異物検知エリアA1が設定される例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、軌道監視領域が隙間監視領域までカバーするように設定されている場合には、軌道監視領域のみをカバーするように、異物検知エリアが設定されていてもよい。
【0087】
(D)
上記実施形態では、異物検知エリアA1における異物検知の判定を、累積監視時間1時間において所定割合80%以上である場合に、異物ありとして判定する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、累積監視時間は、1時間よりも短くても長くてもよいし、所定割合についても、80%未満であっても80%より大きくてもよい。
【0088】
(E)
上記実施形態では、転落検知装置4における転落検知の判定結果、異物の有無の判定結果等を、外部に設けられた記憶装置8に保存する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、転落検知の判定結果や異物の有無の判定結果等を保存する記憶部が、転落検知装置の内部に設けられた構成であってもよい。
【0089】
(F)
上記実施形態では、異物検知エリアA1における検知対象として、雑草等の植生、落ち葉の堆積物、軌道上に留まった飛来物等を検知する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、上記以外でも軌道上に留まって誤って転落者ありと誤検知、誤発報してしまうおそれがある物体については、全て検知対象としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明の転落検知装置は、システムを一時的に停止させることなく、転落者以外の物体の検知による誤発報を防止することができるという効果を奏することから、鉄道駅等に設定される転落者を検知するシステムに対して広く適用可能である。
【符号の説明】
【0091】
1 転落検知システム
3 走査装置(光走査部)
3a,3b,3c 走査器ユニット
4 転落検知装置
5 システム状態表示器
6 転落警報器
7 軌道回路
8 記憶装置
9 表示装置(表示部、警報部)
10 制御部
11 信号受信部
12 軌道情報取得部
13 転落検知エリア設定部
14 走査データ取得部
15 転落検知部
16 異物検知エリア設定部
17 検知サイズ設定部
18 検知時間設定部
19 異物有無判定部
20 出力部
31 上走査器
32 下走査器
33 発光部
34 偏光部
35 受光部
36 検知部
37 距離算出部
A1 異物検知エリア
AD 隙間監視領域
AR 軌道監視領域
C 車両
D 隙間
P プラットホーム
R 軌道
SR 走査範囲
T 累積監視時間
Tr 列車
X 異物検知位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8