(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177637
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】画像読取装置、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/401 20060101AFI20231207BHJP
G06T 1/60 20060101ALI20231207BHJP
H04N 1/191 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
H04N1/401
G06T1/60 450H
H04N1/191
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090412
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003443
【氏名又は名称】弁理士法人TNKアジア国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村田 卓朗
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 政義
(72)【発明者】
【氏名】倉橋 太朗
(72)【発明者】
【氏名】中尾 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 駿輔
(72)【発明者】
【氏名】福内 理紗
【テーマコード(参考)】
5B047
5C072
5C077
【Fターム(参考)】
5B047AA01
5B047AB04
5B047BA01
5B047BA07
5B047BB02
5B047BC05
5B047BC09
5B047BC11
5B047BC18
5B047BC20
5B047BC23
5B047CA05
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5B047DA04
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5B047DC06
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5B047EB03
5C072AA01
5C072BA03
5C072BA08
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5C072DA02
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5C072DA25
5C072EA05
5C072EA07
5C072FB12
5C072RA16
5C072UA02
5C072UA11
5C072UA13
5C072UA18
5C072WA02
5C072XA01
5C077LL18
5C077MM03
5C077MM05
5C077MP08
5C077PP06
5C077TT06
(57)【要約】
【課題】原稿の画像の読取り前に画素密度が切り替えられ、高画素密度の白色基準データ又は低画素密度の白色基準データを不揮発性メモリーから画像処理部の揮発性メモリーへと転送して記憶させる場合に、原稿の画像の読取りの開始までの待ち時間を短縮する。
【解決手段】画像形成装置10において、制御部29は、当該装置の起動時に第1白色基準データを不揮発性メモリーから揮発性メモリーに転送して記憶させ、CIS41による原稿の画像の読取りが低画素密度で行われる場合に、第2白色基準データを不揮発性メモリーから揮発性メモリーに転送させ、第2白色基準データの記憶容量分に対応する第1白色基準データのデータ部分を、第2白色基準データに書き換える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読取装置であって、
原稿の画像を読取る画像読取部と、
前記画像読取部に対向配置されて、前記画像読取部により読取られる白色基準部材と、
前記白色基準部材を予め定められた高画素密度で読取った前記画像読取部の出力に基づく第1白色基準データ、及び前記白色基準部材を予め定められた低画素密度で読取った前記画像読取部の出力に基づく第2白色基準データを記憶した不揮発性メモリーと、
前記不揮発性メモリーから転送されてきた前記第1白色基準データ又は前記第2白色基準データを記憶する揮発性メモリーを有し、前記画像読取部による前記原稿の画像の読取りが前記高画素密度で行われる場合に、前記揮発性メモリーに記憶されている第1白色基準データと、前記画像読取部により前記高画素密度で前記白色基準部材を読み取って得た白色データとを用いてシェーディング補正データを作成し、作成したシェーディング補正データを用いて、前記画像読取部により前記高画素密度で前記原稿を読み取って得た画像データにシェーディング補正を行い、前記画像読取部による前記原稿の画像の読取りが前記低画素密度で行われる場合に、前記揮発性メモリーに記憶されている前記第2白色基準データと、前記画像読取部により前記低画素密度で前記白色基準部材を読み取って得た白色データとを用いてシェーディング補正データを作成し、作成したシェーディング補正データを用いて、前記画像読取部により前記低画素密度で前記原稿を読み取って得た画像データにシェーディング補正を行う画像処理部と、
前記第1白色基準データを前記不揮発性メモリーから前記揮発性メモリーに転送して記憶させておき、前記画像読取部による前記原稿の画像の読取りが前記低画素密度で行われる場合には、前記第2白色基準データを前記不揮発性メモリーから前記揮発性メモリーに転送させ、前記第2白色基準データの記憶容量分に対応する前記第1白色基準データのデータ部分を前記第2白色基準データに書き換える制御部と、を備える画像読取装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記不揮発性メモリーにおける前記第2白色基準データの記憶容量分に対応する前記第1白色基準データのデータ部分を前記第2白色基準データに書き換えた後、前記画像読取部による前記原稿の画像の読取りが前記高画素密度で行われる場合に、前記第2白色基準データに書き換えられた前記第1白色基準データのデータ部分のみを前記不揮発性メモリーから前記揮発性メモリーに転送させ、前記第2白色基準データに書き換えられているデータ部分を、前記転送させた前記第1白色基準データのデータ部分で書き換えて、前記第1白色基準データを復元する請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1白色基準データを前記揮発性メモリーに記憶させた後、前記第2白色基準データがデフォルトで指定されている場合に、前記第2白色基準データを前記不揮発性メモリーから前記揮発性メモリーに転送させ、前記第2白色基準データの記憶容量分に対応する前記第1白色基準データのデータ部分を前記第2白色基準データに書き換える請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記不揮発性メモリーにおける前記第2白色基準データの記憶容量分に対応する前記第1白色基準データのデータ部分を前記第2白色基準データに書き換えた後、前記第1白色基準データがデフォルトで指定されている場合に、前記第2白色基準データに書き換えられた前記第1白色基準データのデータ部分のみを前記不揮発性メモリーから前記揮発性メモリーに転送させ、前記第2白色基準データに書き換えられているデータ部分を、前記転送させた前記第1白色基準データのデータ部分で書き換えて、前記第1白色基準データを復元する請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置により読取られた前記原稿の画像を記録紙に形成する画像形成部と、を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取部と、画像読取部により読取られる白色基準部材とを備える画像読取装置及び画像形成装置に関し、特に、シェーディング補正データの作成に用いる白色基準データを読取解像度に応じて使い分ける技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置では、原稿を例えばコンタクトイメージセンサー等の画像読取部により原稿の画像を読取る。また、白色基準データと、コンタクトイメージセンサーにより白色基準部材を読取って得た白色データとを用いて作成したシェーディング補正を用いて、コンタクトイメージセンサーにより読取られた原稿の画像を示す画像データに対してシェーディング補正を施す。なお、画像読取装置の使用に際しては、白色基準データを不揮発性メモリーから画像処理部を構成するASIC(Application Specific Integrated Circuit)などに備えられる揮発性メモリーへと転送して記憶させる。
【0003】
また、特許文献1に記載の画像読取装置では、ユーザーによるADF(Auto Document Feeder)の開閉動作、ADFへの原稿の載置、原稿読み取りに関連する操作入力などが検出されると、全ての読取条件の補正パラメーター調整処理(シェーディング補正に用いられるデータの取得など)が開始され、全ての読取条件の補正パラメーター調整処理が完了してから、原稿の画像読取りが指示されると、原稿の画像読取りが実行され、また全ての読取条件の補正パラメーター調整処理が完了する前に、原稿の画像読取りが指示されると、この原稿の画像読取りの指示により確定した必須の読取条件の補正パラメーター調整処理が完了しているか否かが判定され、完了が判定されると、原稿の画像読取が実行される。これにより、原稿の画像読取りの指示から原稿の画像読取の実行までの時間が短縮される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、白色基準データを不揮発性メモリーから画像処理部の揮発性メモリーへと転送して記憶させるには時間を要する。また、コンタクトイメージセンサーによる原稿の画像の読取りを高画素密度及び低画素密度のいずれかに切り替えて行うという構成では、高画素密度の白色基準データと低画素密度の白色基準データの両方が必要となる。このため、原稿の画像の読取り前に画素密度が切り替えられた場合には、高画素密度の白色基準データ又は低画素密度の白色基準データを不揮発性メモリーから画像処理部の揮発性メモリーへと転送して書き込むため、この書き込みのために、その都度、原稿の画像の読取りの開始までの待ち時間が長くなる。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、原稿の画像の読取り前に画素密度が切り替えられ、高画素密度の白色基準データ又は低画素密度の白色基準データを不揮発性メモリーから画像処理部の揮発性メモリーへと転送して記憶させる場合に、原稿の画像の読取りの開始までの待ち時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面に係る画像読取装置は、原稿の画像を読取る画像読取部と、前記画像読取部に対向配置されて、前記画像読取部により読取られる白色基準部材と、前記白色基準部材を予め定められた高画素密度で読取った前記画像読取部の出力に基づく第1白色基準データ、及び前記白色基準部材を予め定められた低画素密度で読取った前記画像読取部の出力に基づく第2白色基準データを記憶した不揮発性メモリーと、前記不揮発性メモリーから転送されてきた前記第1白色基準データ又は前記第2白色基準データを記憶する揮発性メモリーを有し、前記画像読取部による前記原稿の画像の読取りが前記高画素密度で行われる場合に、前記揮発性メモリーに記憶されている第1白色基準データと、前記画像読取部により前記高画素密度で前記白色基準部材を読み取って得た白色データとを用いてシェーディング補正データを作成し、作成したシェーディング補正データを用いて、前記画像読取部により前記高画素密度で前記原稿を読み取って得た画像データにシェーディング補正を行い、前記画像読取部による前記原稿の画像の読取りが前記低画素密度で行われる場合に、前記揮発性メモリーに記憶されている前記第2白色基準データと、前記画像読取部により前記低画素密度で前記白色基準部材を読み取って得た白色データとを用いてシェーディング補正データを作成し、作成したシェーディング補正データを用いて、前記画像読取部により前記低画素密度で前記原稿を読み取って得た画像データにシェーディング補正を行う画像処理部と、前記第1白色基準データを前記不揮発性メモリーから前記揮発性メモリーに転送して記憶させておき、前記画像読取部による前記原稿の画像の読取りが前記低画素密度で行われる場合には、前記第2白色基準データを前記不揮発性メモリーから前記揮発性メモリーに転送させ、前記第2白色基準データの記憶容量分に対応する前記第1白色基準データのデータ部分を前記第2白色基準データに書き換える制御部と、を備えるものである。
【0008】
また、本発明の一局面に係る画像形成装置は、上記本発明の画像読取装置と、前記画像読取装置により読取られて抽出された前記画像部分を記録紙に形成する画像形成部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、原稿の画像の読取り前に画素密度が切り替えられ、高画素密度の白色基準データ又は低画素密度の白色基準データを不揮発性メモリーから画像処理部の揮発性メモリーへと転送して記憶させる場合に、白色基準データの書き込み時間が削減されるため、原稿の画像の読取りの開始までの待ち時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明にかかる一実施形態の画像形成装置を示す断面図である。
【
図2】画像形成装置における画像読取装置を示す断面図である。
【
図4】画像形成装置の主要内部構成を示すブロック図である。
【
図5】不揮発性メモリーから揮発性メモリーへと高画素密度の第1白色基準データ又は低画素密度の第2白色基準データを転送するための制御手順を示すフローチャートである。
【
図6】不揮発性メモリーから揮発性メモリーへの高画素密度の第1白色基準データの転送を説明するために用いられた図である。
【
図7】不揮発性メモリーから揮発性メモリーへの低画素密度の第2白色基準データの転送を説明するために用いられた図である。
【
図8】不揮発性メモリーから揮発性メモリーへの高画素密度の第1白色基準データの前半部分の転送を説明するために用いられた図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明にかかる一実施形態の画像形成装置を示す断面図である。
図1に示すように本実施形態の画像形成装置10は、画像読取装置20及び画像形成部21を備えている。
【0013】
画像読取装置20は、原稿の画像を光学的に読み取る撮像素子(CCDセンサー、コンタクトイメージセンサー)を有しており、この撮像素子のアナログ出力がデジタル信号に変換されて、原稿の画像を示す画像データが生成される。
【0014】
画像形成部21は、上記画像データによって示される画像を記録用紙に印刷するものであり、マゼンタ用の画像形成ユニット3M、シアン用の画像形成ユニット3C、イエロー用の画像形成ユニット3Y、及びブラック用の画像形成ユニット3Bkを備えている。各画像形成ユニット3M、3C、3Y、及び3Bkのいずれにおいても、感光体ドラム4の表面を均一帯電させ、感光体ドラム4の表面を露光して、感光体ドラム4の表面に静電潜像を形成し、感光体ドラム4の表面の静電潜像をトナー像に現像して、感光体ドラム4の表面のトナー像を、中間転写ベルト5に転写する。これにより、カラーのトナー像が中間転写ベルト5上に形成される。このカラーのトナー像は、中間転写ベルト5と2次転写ローラー6の間のニップ域Nにおいて給紙部14から第1搬送路8を通じて搬送されてきた記録用紙Pに2次転写される。
【0015】
この後、定着装置15で記録用紙Pを加熱及び加圧させて、記録用紙P上のトナー像を熱圧着により定着させ、更に記録用紙Pを排出ローラー16を通じて排出トレイ17に排出させる。
【0016】
また、記録紙Pの裏面にも原稿Mの画像を記録する場合、記録紙Pを排出トレイ17手前の排出ローラー16へと搬送し、排出ローラー16を一旦停止させてから逆回転させるというスイッチバック搬送を行い、記録紙Pを搬送ローラー18から第2搬送路9を通じて第1搬送路8に戻して、記録紙Pの表裏を反転させ、画像形成部21により記録紙Pの裏面に原稿Mの画像を形成させ、記録紙Pを、排出ローラー16を通じて排出トレイ17に排出させる。
【0017】
次に、画像読取装置20について説明する。
図2は、画像読取装置20を示す断面図である。また、
図3は、画像読取装置20の外観を示す斜視図であり、原稿搬送部31が開かれた状態を示している。
【0018】
図2及び
図3に示すように、画像読取装置20は、原稿搬送部31及び読取部32を備えている。原稿搬送部31は、原稿トレイ33、給紙ローラー34、レジストローラー35、複数の搬送ローラー36、排紙ローラー37、排紙トレイ38、及びコンタクトイメージセンサー(以下、CISと称す)41等を備えている。原稿搬送部31では、原稿Mが原稿トレイ33に載置されると、原稿Mが給紙ローラー34により原稿トレイ33から引き出されてレジストローラー35へと搬送され、原稿Mが搬送ローラー36によりCIS41とシェーディングローラー43の間を通じて第1プラテンガラス51へと搬送され、原稿Mが第1プラテンガラス51上を通過して排紙ローラー37により排紙トレイ38へと排出される。
【0019】
また、読取部32は、第1プラテンガラス51、第2プラテンガラス52、キャリッジ54、光学系ユニット55、集光レンズ56、及びCCDセンサー57等を備えている。
【0020】
キャリッジ54は、原稿に光を照射する光源54Aと、原稿Mで反射された光を反射するミラー54Bとを備えている。
【0021】
光学系ユニット55は、ミラー55Aと、ミラー55Bとを備えている。ミラー55Aは、キャリッジ54のミラー54Bで反射された光を受けて、略垂直下方に方向転換させる。ミラー55Bは、ミラー55Aで反射された光を、略水平に方向転換させて、集光レンズ56を通じてCCDセンサー57へと導く。
【0022】
キャリッジ54及び光学系ユニット55は、レールに沿って主走査方向Yと直交する副走査方向Xに往復移動可能に設けられ、ステッピングモーター(図示せず)を動力源とする既知の駆動機構により所定の速度関係を維持しつつ副走査方向Xに移動される。
【0023】
読取部32の上面32aの一端部には、2つのヒンジ58が離間して設けられており、これらのヒンジ58により原稿搬送部31が開閉可能に支持されて、ユーザーによる原稿搬送部31の開閉操作が可能にされている。
【0024】
画像読取装置20では、第2プラテンガラス52上に載置された原稿Mの画像を読取る第1モード、及び原稿搬送部31により原稿Mを搬送しつつ該原稿Mの画像を読取る第2モードのいずれかが切替え設定される。例えば、第2プラテンガラス52上に載置された原稿Mを検出する第1センサー(図示せず)、及び原稿搬送部31の原稿トレイ33に載置された原稿Mを検出する第2センサー(図示せず)が設けられている。第1センサーにより原稿Mが検出されたときには第1モードが設定され、また第2センサーにより原稿Mが検出されたときには第2モードが設定される。
【0025】
第1モードにおいては、原稿搬送部31が開かれて、読取部32の第2プラテンガラス52が開放された状態で、第2プラテンガラス52上に原稿Mが載置され、更に原稿搬送部31が閉じられて、原稿搬送部31により第2プラテンガラス52上に載置された原稿Mが押さえられる。読取部32では、キャリッジ54及び光学系ユニット55を所定の速度関係を維持して副走査方向Xに移動させつつ、キャリッジ54の光源54Aの光を、第2プラテンガラス52を介して原稿Mの表面に照射し、原稿Mの表面で反射された光をキャリッジ54のミラー54Bで反射する。更に、この光は、光学系ユニット55のミラー55A及びミラー55Bで反射されて、集光レンズ56を通じてCCDセンサー57に入射する。CCDセンサー57は、原稿Mの表面の画像を主走査方向Y(副走査方向Xと直交する方向)に繰り返し読取る。
【0026】
また、第2モードにおいては、原稿搬送部31が閉じられた状態で、原稿Mが原稿搬送部31の原稿トレイ33に載置されると、上記のように原稿Mが原稿トレイ33から引き出されてCIS41とシェーディングローラー43の間を通じて第1プラテンガラス51へと搬送され、原稿Mが第1プラテンガラス51上を通過して排紙トレイ38へと排出される。
【0027】
読取部32では、キャリッジ54及び光学系ユニット55を第1プラテンガラス51下方のそれぞれの所定位置に位置決めし、キャリッジ54の光源54Aの光を、第1プラテンガラス51を介して原稿Mの表面に照射し、原稿Mの表面で反射された光を各ミラー54B、55A、55Bで反射させて、集光レンズ56を通じてCCDセンサー57に入射させ、CCDセンサー57により原稿Mの表面の画像を主走査方向Yに繰り返し読取らせる。
【0028】
更に、第2モードでは、原稿Mの両面の読取が設定された場合に、読取部32により原稿Mの表面の画像が読取られるだけではなく、CIS41により原稿Mの裏面の画像が読取られる。
【0029】
図4は、画像形成装置10の内部構成を示すブロック図である。
図4に示すように画像形成装置10は、画像読取装置20と、画像形成部21と、操作部22と、表示部23と、タッチパネル24と、画像メモリー25と、記憶部26と、画像処理部27と、制御ユニット28とを備えている。これらの構成要素は、互いにバスを通じてデータ又は信号の送受信が可能とされている。
【0030】
操作部22は、テンキー、決定キー、スタートキーなどの物理キーを備えている。表示部23は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(OLED:Organic Light-Emitting Diode)ディスプレイなどから構成される。操作部22は、ユーザーから各種の指示を受け付ける。
【0031】
表示部23の画面には、タッチパネル24が配置されている。タッチパネル24は、所謂抵抗膜方式や静電容量方式などのタッチパネルであって、タッチパネル24に対するユーザーの指などの接触(タッチ)をその接触位置とともに検知して、その接触位置の座標を示す検知信号を制御ユニット28の後述する制御部29に出力する。
【0032】
画像メモリー25は、画像読取装置20により読取られた原稿の画像を示す画像データを記憶する。
【0033】
記憶部26は、SSD(Solid State Drive)又はHDD(Hard Disk Drive)などの大容量の記憶装置であって、各種のアプリケーションプログラムや種々のデータを記憶している。
【0034】
画像処理部27は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)で構成され、SRAM(Static Random Access Memory)などの揮発性メモリー27Aを含む。画像処理部27は、画像メモリー25に対する画像データの書き込み及び読出し、画像データの各種処理などを行う。
【0035】
制御ユニット28は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)などから構成される。プロセッサーは、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC、又はMPU(Micro Processing Unit)等である。制御ユニット28は、上記のROM又は記憶部26に記憶された制御プログラムが上記のプロセッサーで実行されることにより、制御部29として機能する。
【0036】
制御部29は、画像形成装置10を統括的に制御する。制御ユニット28は、画像読取装置20、画像形成部21、操作部22、表示部23、タッチパネル24、画像メモリー25、記憶部26、及び画像処理部27などと接続されている。制御部29は、これらの構成要素の動作制御や、該各構成要素との間での信号またはデータの送受信を行う。
【0037】
制御部29は、画像形成装置10による画像形成に必要な各種の処理などを実行する処理部としての役割を果たす。また、制御部29は、タッチパネル24から出力される検知信号あるいは操作部22の物理キーの操作に基づき、ユーザーにより入力された操作指示を受け付ける。例えば、制御部29は、タッチパネル24を通じて表示部23の画面に表示されているGUI(Graphical User Interface)などに対するタッチ操作を受け付ける。更に、制御部29は、表示部23の表示動作を制御する機能を有する。
【0038】
このような構成の画像形成装置10において、例えばユーザーが原稿を画像読取装置20の読取部32の第2プラテンガラス52上に載置すると、第1センサーが第2プラテンガラス52上に載置された原稿Mを検出して、制御部29が第1モードを設定する。そして、ユーザーが操作部22のスタートキーを操作すると、制御部29は、読取部32のCCDセンサー57により第2プラテンガラス52上の原稿Mの表面の画像を読取らせる。画像処理部27は、CCDセンサー57の出力を入力して、原稿Mの表面の画像を示す画像データを生成し、この画像データを画像メモリー25に記憶させる。この画像データが画像メモリー25から画像形成部21に入力され、この画像データによって示される原稿Mの表面の画像が画像形成部21により記録紙Pに形成される。
【0039】
また、ユーザーが原稿を画像読取装置20の原稿搬送部31の原稿トレイ33に原稿Mを載置すると、第2センサーが原稿トレイ33上に載置された原稿Mを検出して、制御部29が第2モードを設定する。
【0040】
そして、ユーザーが操作部22のスタートキーを操作すると、制御部29は、画像読取装置20の原稿搬送部31により原稿トレイ33から原稿Mを引き出させて搬送させ、読取部32のCCDセンサー57により原稿Mの表面の画像を読取らせる。画像処理部27は、CCDセンサー57の出力を入力して、原稿Mの表面の画像を示す画像データを生成し、この画像データを画像メモリー25に記憶させる。この画像データが画像メモリー25から画像形成部21に入力され、この画像データによって示される原稿Mの表面の画像が画像形成部21により記録紙Pに形成される。
【0041】
また、ユーザーが、表示部23に表示されているGUIを操作して、原稿Mの両面の読取りを指示し、操作部22のスタートキー操作に基づいて操作部22に原稿読取指示が入力されると、制御部29は、原稿搬送部31により原稿Mを搬送させて、CIS41により原稿Mの裏面の画像を読取らせると共に、読取部32のCCDセンサー57により原稿Mの表面の画像を読取らせる。画像処理部27は、CIS41の出力を入力して、原稿Mの表面の裏面を示す画像データを生成し、またCCDセンサー57の出力を入力して、原稿Mの表面の画像を示す画像データを生成し、これらの画像データを画像メモリー25に記憶させる。これらの画像データが画像メモリー25から画像形成部21に入力され、これらの画像データによって示される原稿Mの表面の画像及び裏面の画像が画像形成部21により記録紙Pの表裏にそれぞれ形成される。
【0042】
次に、シェーディングについて説明する。画像読取装置20の工場出荷時など、シェーディングローラー43に汚れが生じていないときに、CIS41によりシェーディングローラー43を読取らせて、CIS41の出力に基づき白色基準データを生成し、この白色基準データを制御部29に内蔵の不揮発性メモリー(例えばフラッシュメモリー(flash memory))に記憶させておく。
【0043】
画像読取装置20の使用時には、シェーディング補正データ作成のために、まず、制御部29は、白色基準データを制御部29の不揮発性メモリーから、画像処理部27(ASIC)の揮発性メモリー27Aへと転送して記憶させる。そして、制御部29は、CIS41による原稿Mの画像の読取り前に、CIS41により白色のシェーディングローラー43を読取らせて、読み取った画像を白色データとして取得する。制御部29は、当該白色データと、揮発性メモリー27Aに記憶されている白色基準データを用いて、当該白色データを当該白色基準データと同一のデータに変換するための補正に必要な補正係数を算出し、当該補正係数をシェーディング補正データとする。制御部29は、CIS41により読取らせた原稿Mの画像を示す画像データに対して、当該シェーディング補正データを用いた画像補正処理を行うことで、シェーディング補正を施す。これにより、CIS41により読取らせた原稿Mの画像から、シェーディングローラー43の汚れ、或いは、CIS41の性能変化による影響を除去する。
【0044】
しかしながら、第1白色基準データを制御部29の不揮発性メモリーから画像処理部27(ASIC)の揮発性メモリー27Aへと転送して記憶させるには時間を要する。
【0045】
また、本実施形態では、CIS41として、CIS41による原稿Mの画像の読取りを高画素密度(例えば主走査方向600dpi)及び低画素密度(例えば主走査方向300dpi)のいずれかに切り替えられるものを適用している。この場合、600dpiの白色データ(以下第1白色基準データと称す)と300dpiの白色データ(以下第2白色基準データと称す)が必要となる。
【0046】
更に、画像処理部27の揮発性メモリー27Aには、記憶容量の制限などにより600dpiの第1白色基準データ及び300dpiの第2白色基準データを共に記憶させておくことができない。
【0047】
このため、原稿Mの画像の読取り前に600dpiと300dpiが切り替えられると、600dpiの第1白色基準データ又は300dpiの第2白色基準データを制御部29の不揮発性メモリーから画像処理部27の揮発性メモリー27Aへと転送して記憶させる必要があるが、その都度、原稿Mの画像の読取りの開始までの待ち時間が長くなる。
【0048】
そこで、本実施形態では、制御部29は、画像読取装置20の起動時に、600dpiの第1白色基準データを制御部29の不揮発性メモリーから画像処理部27の揮発性メモリー27Aへと転送して記憶させる。これにより、揮発性メモリー27Aに記憶されている600dpiの第1白色基準データを、CIS41により600dpiで読取られた原稿Mの画像を示す画像データのシェーディング補正に用いることを可能にしておく。
【0049】
この後、制御部29は、CIS41による原稿Mの画像の読取りが300dpiで行われる場合、又は後で述べるように300dpiがデフォルト設定されている場合には、300dpiの第2白色基準データを制御部29の不揮発性メモリーから画像処理部27の揮発性メモリー27Aへと転送して記憶させると共に、第1白色基準データのうち、第2白色基準データの記憶容量分に対応するデータ部分を、第2白色基準データに書き換える。これにより、揮発性メモリー27Aに記憶されている300dpiの第2白色基準データをシェーディング補正データの作成に用いることが可能になる。
【0050】
300dpiの第2白色基準データのデータ容量は、600dpiの第1白色基準データのデータ容量の1/2である。従って、300dpiの第2白色基準データの転送に要する時間は、600dpiの第1白色基準データの転送に要する時間の1/2となる。このため、CIS41による原稿Mの画像の読取り開始前に、シェーディング補正データの作成のために、300dpiの第2白色基準データを転送しても、原稿Mの画像の読取りの開始までの待ち時間が長くなり過ぎるようなことはない。
【0051】
更に、上記のように300dpiの第2白色基準データを制御部29の不揮発性メモリーから画像処理部27の揮発性メモリー27Aへと転送して記憶させると共に、第1白色基準データのうち、第2白色基準データの記憶容量分に対応するデータ部分を、第2白色基準データに書き換えた後、制御部29が、CIS41により600dpiで原稿Mの画像の読取りを行わせる場合、又は後で述べるように600dpiがデフォルト設定されている場合には、第1白色基準データのうち、上記第2白色基準データに書き換えられたデータ部分に対応する部分のみを、制御部29の不揮発性メモリーから画像処理部27の揮発性メモリー27Aへと転送して、上記第2白色基準データに書き換えられたデータ部分を、上記第1白色基準データの上記対応する部分に書き換え、第1白色基準データの全体を揮発性メモリー27Aに記憶させて復元する。これにより、揮発性メモリー27Aに記憶されている600dpiの第1白色基準データを、シェーディング補正データの作成に用いることが可能になる。
【0052】
この書き換えでは、書き換えに用いるデータ量は、第1白色基準データの全体のデータ容量の1/2になる。従って、書き換えに用いるデータの転送に要する時間も、第1白色基準データの全体の転送に要する時間の1/2となる。このため、CIS41による原稿Mの画像の読取り開始前に、第1白色基準データの復元のために必要な待ち時間が長くなり過ぎるようなことはない。
【0053】
次に、上記のような制御部29の不揮発性メモリーから画像処理部27の揮発性メモリー27Aへと600dpiの第1白色基準データ又は300dpiの第2白色基準データを転送させるための制御手順を、
図5に示すフローチャートなどを参照して詳しく説明する。
【0054】
ここで、上記制御手順を実行するには、画像読取装置20の工場出荷時など、シェーディングローラー43に汚れが生じていないときに、CIS41によりシェーディングローラー43を、高画素密度で読取らせてCIS41の出力に基づき第1白色データを生成し、低画素密度で読取らせてCIS41の出力に基づき第2白色データを生成し、第1及び第2白色データを制御部29の不揮発性メモリーに記憶させておく。
【0055】
例えば、
図6に示すように、カラー600dpi読取の第1白色基準データとして、600dpiのR(赤)の第1白色基準データRD1、600dpiのG(緑)の第1白色基準データGD1、600dpiのB(青)の第1白色基準データBD1を生成して制御部29の不揮発性メモリーに記憶させる。また、カラー300dpi読取の第2白色基準データとして、300dpiのR(赤)の第2白色基準データRD2、300dpiのG(緑)の第2白色基準データGD2、300dpiのB(青)の第2白色基準データBD2を生成して制御部29の不揮発性メモリーに記憶させる。
【0056】
このようにシェーディングローラー43に汚れが生じていないとき、及び画像読取装置20に経年劣化が生じていないときに、第1白色データ及び第2白色データが制御部29の不揮発性メモリーに記憶された後、画像読取装置20が使用可能な状態となる。
【0057】
制御部29は、画像形成装置10の電源がオンにされて、画像形成装置10が起動されると(S101)、600dpiの第1白色基準データを制御部29の不揮発性メモリーから画像処理部27の揮発性メモリー27Aへと転送して記憶させるものとする(S102)。例えば、
図6に示すように600dpiのR(赤)の第1白色基準データRD1、600dpiのG(緑)の第1白色基準データGD1、600dpiのB(青)の第1白色基準データBD1を、制御部29の不揮発性メモリーから読み出して、画像処理部27の揮発性メモリー27Aに書き込む。
【0058】
この後、制御部29は、画像読取装置20のCIS41の読取りに係るデフォルト設定として、600dpi及び300dpiのいずれが設定されているかを判定する(S103)。このデフォルト設定は、ユーザーによる操作部22又はタッチパネル24の操作に基づいて操作部22に入力される。制御部29は、当該入力されたデフォルト設定の内容に従って、600dpi又は300dpiのいずれかを予めデフォルトとして設定しておく。
【0059】
例えば、制御部29は、600dpiがデフォルト設定されていると判定すると(S103「600」)、画像処理部27の揮発性メモリー27Aに既に記憶されている600dpiの第1白色基準データをそのままにしておく。
【0060】
また、制御部29は、300dpiがデフォルト設定されていると判定すると(S103「300」)、300dpiの第2白色基準データを制御部29の不揮発性メモリーから画像処理部27の揮発性メモリー27Aへと転送して、第2白色基準データの記憶容量分に対応する600dpiの第1白色基準データのデータ部分を、第2白色基準データに書き換える(S104)。例えば、
図7に示すようにR(赤)の300dpiの第2白色基準データRD2、G(緑)の300dpiの第2白色基準データGD2、B(青)の300dpiの第2白色基準データBD2を、制御部29の不揮発性メモリーから画像処理部27の揮発性メモリー27Aへと転送して、600dpiのR(赤)の第1白色基準データRD1の対応部分を300dpiの第2白色基準データRD2で書き換え、600dpiのG(緑)の第1白色基準データGD1の対応部分を300dpiの第2白色基準データGD2で書き換え、600dpiのB(青)の第1白色基準データBD1の対応部分を300dpiの第2白色基準データBD2で書き換える。
【0061】
これにより、600dpiの第1白色基準データRD1の前半部分、600dpiの第1白色基準データGD1の前半部分、及び600dpiの第1白色基準データBD1の前半部分が揮発性メモリー27Aから消去され、600dpiの第1白色基準データRD1の後半部分、600dpiの第1白色基準データGD1の後半部分、及び600dpiの第1白色基準データBD1の後半部分が揮発性メモリー27Aに記憶されたまま残される。
【0062】
このように画像形成装置10の電源がオンにされて、画像形成装置10が起動されると、600dpiの第1白色基準データRD1、GD1、BD1が制御部29の不揮発性メモリーから画像処理部27の揮発性メモリー27Aへと転送して記憶される。更に、300dpiがデフォルト設定されている場合は、300dpiの第2白色基準データRD2、GD2、BD2が制御部29の不揮発性メモリーから画像処理部27の揮発性メモリー27Aへと転送され、600dpiの第1白色基準データRD1、GD1、BD1の前半部分がそれぞれ、第2白色基準データRD2、GD2、BD2のうち対応するデータに書き換えられる。600dpiの第1白色基準データRD1、GD1、BD1の後半部分は、揮発性メモリー27Aに記憶されたまま残る。
【0063】
この後、ユーザーが原稿を画像読取装置20の読取部32の第2プラテンガラス52上に載置すると、第1センサーが第2プラテンガラス52上に載置された原稿Mを検出して、制御部29が第1モードを設定して(S105「第1」)、S106の通常処理に移る。この通常処理とは、制御部29が読取部32により原稿Mの画像を読み取らせる処理である。
【0064】
また、ユーザーが原稿を画像読取装置20の原稿搬送部31の原稿トレイ33に原稿Mを載置すると、第2センサーが原稿トレイ33上に載置された原稿Mを検出して、制御部29が第2モードを設定し(S105「第2」)、片面読取り又は両面読取の指示を待機する(S107)。続いて、ユーザーによる操作部22の操作で原稿Mの片面の読取りの指示が入力されると、制御部29は、原稿Mの片面の読取りの指示に従って(S107「片面」)、S106の通常処理に移る。
【0065】
また、ユーザーが、操作部22の操作に基づき、原稿Mの両面の読取の指示が操作部22に入力され、600dpi及び300dpiのいずれかを選択する指示が入力され、更に、原稿読取指示が入力されると、制御部29は、原稿Mの両面の読取りの指示を受けて(S107「両面」)、当該読取の解像度として、600dpi及び300dpiのいずれが指示されたかを判定する(S108)。
【0066】
制御部29は、600dpiが指示されたと判定すると(S108「600」)、600dpiの第1白色基準データRD1、GD1、BD1の全体が画像処理部27の揮発性メモリー27Aに記憶されているか否かを判定する(S109)。
【0067】
例えば、制御部29は、600dpiの第1白色基準データRD1、GD1、BD1の全体が画像処理部27の揮発性メモリー27Aに記憶されていると判定した場合(S109「Yes」)、すなわちデフォルト設定の画素密度が指示された場合、揮発性メモリー27A内の600dpiの第1白色基準データRD1、GD1、BD1の全体をそのままとしておく。
【0068】
また、制御部29は、600dpiの第1白色基準データRD1、GD1、BD1の全体が画像処理部27の揮発性メモリー27Aに記憶されていないと判定した場合(S109「No」)、すなわち、この時点でデフォルト設定とされているのが300dpiである場合、
図7に示すように、揮発性メモリー27Aには、前半部分が300dpiの第2白色基準データRD2、GD2、BD2であり、後半部分が600dpiの第1白色基準データRD1、GD1、BD1が記憶されている。このため、制御部29は、
図8に例を示すように、600dpiの第1白色基準データRD1、GD1、BD1の前半部分を、不揮発性メモリーから揮発性メモリー27Aへと転送して書き換え、600dpiの第1白色基準データRD1、GD1、BD1の全体を揮発性メモリー27Aに復元する(S110)。
【0069】
従って、600dpiが指示された場合には(S108「600」)、600dpiの第1白色基準データRD1、GD1、BD1の全体が揮発性メモリー27Aに記憶された状態となる。そして、制御部29は、画像読取装置20による第2モードでの原稿Mの両面の画像の読取りを開始させる(S113)。
【0070】
S113では、原稿Mの表面(おもて面)に対しては、S106の通常処理と同様の処理が行われる。原稿Mの裏面に対しては、制御部29は、CIS41により原稿Mの裏面の画像を読取らせるが、その読取前に、制御部29は、CIS41にシェーディングローラー43を600dpiで読取らせ、画像処理部27は、シェーディングローラー43を600dpiで読取ったCIS41の出力に基づき600dpiの白色データRD1、GD1、BD1を生成し、その生成された600dpiの第1白色基準データRD1、GD1、BD1と、揮発性メモリー27Aに記憶されている600dpiの第1白色基準データRD1、GD1、BD1とを用いて、シェーディング補正データを作成し、当該シェーディング補正データを用いて、CIS41により600dpiで読取られた原稿Mの裏面の画像を示す画像データに対してシェーディング補正を施し、この画像データを画像メモリー25に記憶させる(S113)。
【0071】
原稿Mの表面の画像及び裏面の画像を示す各画像データは、制御部29による制御の下、画像メモリー25から画像形成部21に入力され、これらの画像データによって示される原稿Mの表面の画像及び裏面が画像形成部21により記録紙Pの表裏にそれぞれ形成される。
【0072】
また、S108において、制御部29は、300dpiによる原稿読取が指示されたと判定すると(S108「300」)、300dpiの第2白色基準データRD2、GD2、BD2が画像処理部27の揮発性メモリー27Aに記憶されているか否かを判定する(S111)。
【0073】
例えば、制御部29は、この時点でデフォルト設定が300dpiとされており、300dpiの第2白色基準データRD2、GD2、BD2が画像処理部27の揮発性メモリー27Aに記憶されていると判定した場合(S111「Yes」)、揮発性メモリー27Aに記憶されている300dpiの第2白色基準データRD2、GD2、BD2をそのままにしておく。このとき、揮発性メモリー27Aに記憶されている600dpiの第1白色基準データRD1、GD1、BD1の後半部分もそのままとされる。
【0074】
また、制御部29は、300dpiの第2白色基準データRD2、GD2、BD2が画像処理部27の揮発性メモリー27Aに記憶されてないと判定した場合(S111「No」)、すなわちデフォルト設定が600dpiとされている場合、この時点では600dpiの第1白色基準データRD1、GD1、BD1の全体が画像処理部27の揮発性メモリー27Aに記憶されていることになるので、
図7に示すように、300dpiの第2白色基準データRD2、GD2、BD2を制御部29の不揮発性メモリーから画像処理部27の揮発性メモリー27Aへと転送して、600dpiの第1白色基準データRD1、GD1、BD1の前半部分を、当該300dpiの第2白色基準データRD2、GD2、BD2に書き換える(S112)。
【0075】
従って、300dpiが指示された場合には(S108「300」)、300dpiの第2白色基準データRD2、GD2、BD2が揮発性メモリー27Aに記憶された状態となる。このとき、600dpiの第1白色基準データRD1、GD1、BD1の後半部分が揮発性メモリー27Aに記憶されて残されている状態となる。
【0076】
制御部29は、300dpiの第2白色基準データRD2、GD2、BD2が揮発性メモリー27Aに記憶されると、画像読取装置20による第2モードでの原稿Mの両面の画像の読取りを開始させる。
【0077】
S113では、原稿Mの表面(おもて面)に対しては、S106の通常処理と同様の処理が行われる。原稿Mの裏面に対しては、制御部29は、CIS41により原稿Mの裏面の画像を読取らせるが、その読取前に、制御部29は、CIS41にシェーディングローラー43を300dpiで読取らせ、画像処理部27は、シェーディングローラー43を300dpiで読取ったCIS41の出力に基づき300dpiの白色データRD2、GD2、BD2を生成し、その生成された300dpiの第2白色基準データRD2、GD2、BD2と、揮発性メモリー27Aに記憶されている300dpiの第2白色基準データRD2、GD2、BD2とを用いて、シェーディング補正データを作成し、当該シェーディング補正データを用いて、CIS41により300dpiで読取られた原稿Mの裏面の画像を示す画像データに対してシェーディング補正を施し、この画像データを画像メモリー25に記憶させる(S113)。
【0078】
原稿Mの表面の画像及び裏面の画像を示す各画像データは、画像メモリー25から画像形成部21に入力され、これらの画像データによって示される原稿Mの表面の画像及び裏面が画像形成部21により記録紙Pの表裏にそれぞれ形成される。
【0079】
このように画像形成装置10の電源がオンにされて、画像形成装置10が起動されたときに、600dpiの第1白色基準データRD1、GD1、BD1が制御部29の不揮発性メモリーから画像処理部27の揮発性メモリー27Aへと転送されて書き込まれ、CIS41による原稿Mの画像の読取りが300dpiで行われる場合には、300dpiの第2白色基準データRD2、GD2、BD2が制御部29の不揮発性メモリーから画像処理部27の揮発性メモリー27Aへと転送されて、600dpiの第1白色基準データRD1、GD1、BD1の前半部分のみが、300dpiの第2白色基準データRD2、GD2、BD2に書き換えられるので、原稿Mの画像の読取りの開始までの待ち時間が長くなり過ぎるようなことはない。
【0080】
また、600dpiの第1白色基準データRD1、GD1、BD1の前半部分が、300dpiの第2白色基準データRD2、GD2、BD2に書き換えられた後に、CIS41により原稿Mの画像の読取りが600dpiで行われる場合は、書き換えられた600dpiの第1白色基準データRD1、GD1、BD1の前半部分のみが、制御部29の不揮発性メモリーから画像処理部27の揮発性メモリー27Aへと転送され、これを用いて、600dpiの第1白色基準データRD1、GD1、BD1の全体が揮発性メモリー27Aに復元されるので、このときにも、600dpiの第1白色基準データRD1、GD1、BD1の全体を書き換える場合のように原稿Mの画像の読取りの開始までの待ち時間が長くなり過ぎるようなことはない。
【0081】
S113の後、制御部29は、この時点で設定されている、画像読取装置20のCIS41の読取りに係るデフォルト設定が、600dpi及び300dpiのいずれであるかを判定する(S114)。
【0082】
例えば、制御部29は、600dpiがデフォルト設定されていると判定すると(S114「600」)、この時点で、600dpiの第1白色基準データRD1、GD1、BD1の全体が画像処理部27の揮発性メモリー27Aに記憶されているか否かを判定する(S115)。制御部29は、600dpiの第1白色基準データRD1、GD1、BD1の全体が画像処理部27の揮発性メモリー27Aに記憶されていなければ(S115「No」)、600dpiの第1白色基準データRD1、GD1、BD1はその後半部分のみが揮発性メモリー27Aに記憶されていることになるので、600dpiの第1白色基準データRD1、GD1、BD1の前半部分を制御部29の不揮発性メモリーから画像処理部27の揮発性メモリー27Aへと転送して書き換え、600dpiの第1白色基準データRD1、GD1、BD1の全体を画像処理部27の揮発性メモリー27Aに記憶させる(S116)。
【0083】
また、制御部29は、600dpiの第1白色基準データRD1、GD1、BD1の全体が画像処理部27の揮発性メモリー27Aに記憶されていれば(S115「Yes」)、揮発性メモリー27Aに記憶されている600dpiの第1白色基準データをそのままにしておく。
【0084】
また、制御部29は、この時点で設定されている、画像読取装置20のCIS41の読取りに係るデフォルト設定が300dpiであると判定すると(S114「300」)、300dpiの第2白色基準データRD2、GD2、BD2が画像処理部27の揮発性メモリー27Aに記憶されているか否かを判定する(S117)。制御部29は、300dpiの第2白色基準データRD2、GD2、BD2が画像処理部27の揮発性メモリー27Aに記憶されていないと判定すると(S117「No」)、300dpiの第2白色基準データRD2、GD2、BD2を制御部29の不揮発性メモリーから画像処理部27の揮発性メモリー27Aへと転送して、600dpiの第1白色基準データRD1、GD1、BD1の前半部分を、300dpiの第2白色基準データRD2、GD2、BD2に書き換える(S118)。
【0085】
また、制御部29は、600dpiの第1白色基準データRD1、GD1、BD1が揮発性メモリー27Aに記憶されていると判定したときは(S115「Yes」)、揮発性メモリー27Aに記憶されている600dpiの第1白色基準データRD2、GD2、BD2をそのままにしておく。また、制御部29は、300dpiの第2白色基準データRD2、GD2、BD2が揮発性メモリー27Aに記憶されていると判定すると(S117「Yes」)、揮発性メモリー27Aに記憶されている300dpiの第2白色基準データRD2、GD2、BD2をそのままにしておく。
【0086】
以降、制御部29は、ステップS105~S118を繰り返す。
【0087】
このように上記実施形態によれば、原稿Mの画像の読取り前に画素密度が切り替えられ、高画素密度の白色基準データ又は低画素密度の白色基準データを不揮発性メモリーから画像処理部27の揮発性メモリー27Aへと転送して記憶させる場合に、原稿Mの画像の読取りの開始までの待ち時間を短縮することができる。
【0088】
なお、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、CIS41による原稿読取時のシェーディング補正において、シェーディング補正データの作成に用いる白色基準データを読取解像度に応じて使い分ける場合の処理を示したが、読取部32による原稿読取時のシェーディング補正において、シェーディング補正データの作成に用いる白色基準データを読取解像度に応じて使い分ける場合の処理を、上記実施形態で示した処理と同様の処理としてもよい。
【0089】
また、
図1乃至
図8を用いて説明した上記実施形態の構成及び処理は、本発明の一例に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0090】
10 画像形成装置
20 画像読取装置
21 画像形成部
22 操作部
23 表示部
24 タッチパネル
25 画像メモリー
26 記憶部
27 画像処理部
27A 揮発性メモリー
28 制御ユニット
29 制御部
31 原稿搬送部
32 読取部