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▶ 株式会社オメガの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177643
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】複合物の分離回収装置
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/40 20220101AFI20231207BHJP
   F23G 5/00 20060101ALI20231207BHJP
   B09B 101/16 20220101ALN20231207BHJP
【FI】
B09B3/40
F23G5/00 115Z
B09B101:16
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090421
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】399049981
【氏名又は名称】株式会社オメガ
(72)【発明者】
【氏名】中村 信一
【テーマコード(参考)】
3K161
4D004
【Fターム(参考)】
3K161AA03
3K161CA05
3K161DB34
3K161EA24
3K161EA25
3K161EA27
3K161EA28
3K161EA29
3K161EA42
4D004AA23
4D004AC04
4D004BA05
4D004CA29
(57)【要約】
【課題】環境にやさしい複合物の分離回収装置を提供しようとするもの。
【解決手段】流動性加熱媒体を貯留する溶融浸漬バスを有し、前記溶融浸漬バスに供給した複合物を融点別に溶融させ、比重の差により回収するようにした。流動性加熱媒体を貯留する溶融浸漬バスをするようにしたので、例えば溶融させた鉄を貯留する溶融浸漬バスにより、焼却する場合のような燃焼を伴うことなく処理を行うことができる。前記溶融浸漬バスに供給した複合物を融点別に溶融させ、比重の差により回収するようにしたので、不要物となった複合物から有用物を分離回収(して利用)することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性加熱媒体を貯留する溶融浸漬バスを有し、前記溶融浸漬バスに供給した複合物を融点別に溶融させ、比重の差により回収するようにしたことを特徴とする複合物の分離回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、環境にやさしい複合物の分離回収装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴム等の廃棄物を燃焼し熱を回収するリサイクルシステムに関する提案があった(特許文献1)。
すなわち、タイヤを含めたゴム製品等の廃棄に大きな問題となっていた。タイヤを含む自動車部品の処分は環境汚染などの観点により、粗大ごみで捨てることができず、廃棄物処理法で適正処理困難物に指定されており、適切な方法で処分する必要があった。
この従来提案は、ゴムの廃棄物を焼却することで発生した熱を回収し、その熱によって蒸気を発生させる蒸気発生装置と、前記蒸気を熱プレス成型機まで運ぶ蒸気搬送経路と、前記ゴムの廃棄物又はゴムの原料を型に供給し、前記蒸気の熱を利用して熱プレスによってゴムの成形品を形成する熱プレス成型機と、を備えたこととし、廃棄物を燃焼させ、廃棄物の燃焼から生成した熱をゴムの成形品を成形する際に利用することによって、熱を有効に活用することが可能である、というものである。
しかし、ゴム等の廃棄物を燃焼すると二酸化炭素が発生し環境上あまり好ましくないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7050258号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこでこの発明は、環境にやさしい複合物の分離回収装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するためこの発明では次のような技術的手段を講じている。
この発明の複合物の分離回収装置は、流動性加熱媒体を貯留する溶融浸漬バスを有し、前記溶融浸漬バスに供給した複合物を融点別に溶融させ、比重の差により回収するようにしたことを特徴とする。
【0006】
この複合物の分離回収装置は、流動性加熱媒体を貯留する溶融浸漬バスをするようにしたので、例えば溶融させた鉄(コークスを混在させてもよい)を貯留する溶融浸漬バスにより、焼却する場合のような燃焼を伴うことなく処理を行うことができる。
そして、前記溶融浸漬バスに供給した複合物を融点別に溶融させ、比重の差により回収するようにしたので、不要物となった複合物から有用物を分離回収(して利用)することができる。
【0007】
前記複合物として、ソーラーパネル(石英ガラス、シリコン、アルミ枠、半田、鉛などを含む)、冷蔵庫、洗濯機などの家電製品、机、ロッカー、パソコン、液晶テレビ、ブラウン管モニター、車、タイヤなどを例示できる。
前記溶融浸漬バスの材質として、Si-C(炭化ケイ素)を例示することができる。
【0008】
この複合物の分離回収装置は、シュレッダーが要らないゴミの処理方法として適用することができる。また、溶融浸漬バスに漬けるだけで無差別で処理でき、生ごみなどを併せて処理することもできる。すなわち、ごちゃまぜでミックスした状態で仕分け無しで処理することができる。
さらに、大型総合病院の病棟の各フロアや、マンションなどの集合住宅の各棟に設置することにより、各種廃棄物を焼却処理場に運搬することなく、現場・現地のその他で処理するようにし、従来のようなゴミ収集車が排気ガス(二酸化炭素)を排出して運行することなく環境負荷を低減することができる。
【0009】
また、複合物を溶融浸漬バスに供給した際に発生する有機物からの可燃性ガスを収集して、病院や集合住宅のエネルギーとして分配して利用することができる。
加えるに、各種展示会、(万国)博覧会、(野外)コンサート、その他のイベント会場では、紙ごみ(パンフレット等)や食品ゴミが山のようにでることがあり、このような大規模集会場に設置して処理することができる。こうすると、廃棄物処理場へのゴミの運搬時の落下や拡散を防止することができる。
【発明の効果】
【0010】
この発明は上述のような構成であり、次の効果を有する。
焼却する場合のような燃焼を伴うことなく処理を行うことができるので、環境にやさしい複合物の分離回収装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態を説明する。
この実施形態の複合物の分離回収装置は、流動性加熱媒体を貯留する溶融浸漬バス(材質をSi-Cとした)を有し、前記溶融浸漬バスに供給した複合物(ソーラーパネル)を融点別に溶融させ、比重の差により回収するようにした。
【0012】
具体的には、複合物たるソーラーパネル(シリコン、石英が含まれる)について、鉄(比重7.8、融点1,580℃)を1,800℃程度で溶融させて流動性加熱媒体として貯留した溶融浸漬バスに浸漬した。
先ず、シリコン(比重2.3、融点1,414℃)が溶融して流動性加熱媒体(溶融した錫)上に浮上してきたのでこれを分別回収した。
次に、石英(比重2.7、融点1,723℃)が溶融して流動性加熱媒体(溶融した錫)上に浮上してきたのでこれを分別回収した。
処理時に発生した排ガスはスクラバーにより処理した。
【0013】
次に、この実施形態の複合物の分離回収装置の使用状態を説明する。
この複合物の分離回収装置は、流動性加熱媒体を貯留する溶融浸漬バスをするようにしたので、溶融させた鉄を貯留する溶融浸漬バスにより、焼却する場合のような燃焼を伴うことなく処理を行うことができ環境にやさしいものであった。
そして、前記溶融浸漬バスに供給した複合物(ソーラーパネル)を融点別に溶融させ、比重の差により回収(シリコン、石英)するようにしたので、不要物となった複合物から有用物を分離回収することができた。
【産業上の利用可能性】
【0014】
環境にやさしいことによって、種々の複合物の分離回収装置の用途に適用することができる。
【手続補正書】
【提出日】2022-09-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性加熱媒体を貯留する溶融浸漬バスを有し、前記溶融浸漬バスに供給した複合物を融点別に溶融させ、比重の差により回収するようにし、先ず融点が低い有用物を分別回収し、次に融点がこれより高い有用物を分別回収するようにしたことを特徴とする複合物の分離回収装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
この発明は上述のような構成であり、次の効果を有する。
焼却する場合のような燃焼を伴うことなく処理を行うことができるので、環境にやさしい複合物の分離回収装置を提供することができる。
また、溶融浸漬バスに供給した複合物を融点別に溶融させ、比重の差により回収するようにしたので、不要物となった複合物から有用物を分離回収することができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
具体的には、複合物たるソーラーパネル(シリコン、石英が含まれる)について、鉄(比重7.8、融点1,580℃)を1,800℃程度で溶融させて流動性加熱媒体として貯留した溶融浸漬バスに浸漬した。
先ず、シリコン(比重2.3、融点1,414℃)が溶融して流動性加熱媒体に浮上してきたのでこれを分別回収した。
次に、石英(比重2.7、融点1,723℃)が溶融して流動性加熱媒体に浮上してきたのでこれを分別回収した。
処理時に発生した排ガスはスクラバーにより処理した。
【手続補正書】
【提出日】2022-12-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性加熱媒体を貯留する溶融浸漬バスを有し、前記溶融浸漬バスに供給した複合物を融点別に溶融させ、比重の差により回収するようにし、先ず融点が低い有用物を分別回収し、次に融点がこれより高い有用物を分別回収するようにしたことを特徴とする複合物の分離回収方法