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  • 特開-異常発熱検知システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177647
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】異常発熱検知システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/117 20060101AFI20231207BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20231207BHJP
   H02H 5/04 20060101ALI20231207BHJP
   H02B 1/42 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
G08B17/117
G08B17/00 M
H02H5/04
H02B1/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090427
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】下岡 達矢
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智晴
【テーマコード(参考)】
5C085
5G211
5G405
【Fターム(参考)】
5C085AA06
5C085AA07
5C085CA16
5C085CA20
5C085CA26
5C085FA11
5C085FA15
5G211AA01
5G211AA02
5G211AA07
5G211AA13
5G211AA25
5G211DD13
5G211FF03
5G211GG03
5G405AA01
5G405AA08
5G405AB03
5G405AD06
5G405CA23
5G405CA26
5G405CA36
5G405CA44
5G405FA06
5G405FA10
(57)【要約】
【課題】 温度センサ及び電位差判定回路を必要とせず、また監視対象部が複数であっても1つのセンサで異常発熱の発生を検知できる異常発熱検知システムを提供する。
【解決手段】 電気機器10の監視対象部Mに、電気機器10の樹脂製のハウジングより耐熱温度の低い樹脂体1を密着或いは近接して配置すると共に、樹脂体1と共通する特定の閉空間Aに配置されて、監視対象部Mの発熱により過熱されることで、樹脂体1から放出されるガスを検知するガスセンサ2と、ガスセンサ2が検知動作したら、所定の信号を出力する信号出力部3とを有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器の監視対象部に、前記電気機器の樹脂製のハウジングの耐熱温度と同一或いは低い耐熱温度の樹脂体を密着或いは近接して配置すると共に、
前記樹脂体と共通する特定の閉空間に配置されて、前記監視対象部の発熱により過熱されることで、前記樹脂体から放出されるガスを検知するガスセンサと、
前記ガスセンサが検知動作したら、所定の信号を出力する信号出力部とを有することを特徴とする異常発熱検知システム。
【請求項2】
前記監視対象部が分電盤に組み付けられた少なくとも1つの回路遮断器の電路接続部であり、
前記樹脂体が前記回路遮断器の電路接続部に配置されると共に、1つの前記ガスセンサと前記信号出力部とが前記分電盤のハウジング内に設置され、
更に前記分電盤に組み付けられた前記回路遮断器の1つである主幹ブレーカは、前記所定の信号により遮断動作する信号入力部を有し、
前記ガスセンサが検知動作したら前記主幹ブレーカが遮断動作することを特徴とする請求項1記載の異常発熱検知システム。
【請求項3】
前記監視対象部が分電盤に組み付けられた少なくとも1つの回路遮断器の電路接続部であり、
前記樹脂体が前記回路遮断器の電路接続部に配置されると共に、1つの前記ガスセンサと前記信号出力部とが前記分電盤のハウジング内に設置され、
更に前記所定の信号により警報を発する警報部を有することを特徴とする請求項1記載の異常発熱検知システム。
【請求項4】
前記監視対象部がプラグが接続されるコンセントの刃受けバネであり、
前記刃受けバネに前記樹脂体が配置されると共に、
前記コンセントのハウジング内、或いは前記コンセントが収容されているスイッチボックス内に前記ガスセンサ及び前記信号出力部が収容され、
更に、前記コンセントに通電する電源側電路に前記所定の信号で遮断動作する電路遮断部を具備し、
前記ガスセンサが検知動作したら前記電路遮断部が遮断動作することを特徴とする請求項1記載の異常発熱検知システム。
【請求項5】
前記監視対象部がプラグが接続されるコンセントの刃受けバネであり、
前記刃受けバネに前記樹脂体が配置されると共に、
前記コンセントのハウジング内、或いは前記コンセントが収容されているスイッチボックス内に前記ガスセンサ及び前記信号出力部が収容され、
更に、前記所定の信号により警報を発する警報部を有することを特徴とする請求項1又は2記載の異常発熱検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器の特定部位の異常発熱を検知する異常発熱検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器である例えば電源プラグが接続される電源コンセントでは、接続不良或いはトラッキング放電が発生すると発熱して火災に至る場合があるため、発熱を検知する機能を備えたものがある。例えば、特許文献1では、刃受けバネ近傍に温度センサを配置して、検知温度が規定温度を超えたら報知部を報知動作させた。
また回路遮断器においても、接続端子の接続不良により発熱して火災に至る場合があるため、接続端子の発熱を検知する機能を備えたものがある。例えば、特許文献2では、電源側端子の接続不良を接続端子の電圧降下の大きさから判断し、電圧降下が一定値を超えたら回路遮断器を遮断動作させた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-015734号公報
【特許文献2】特開2010-176988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の異常発熱を検知する技術は、検出対象部位の温度で判断したり、電圧降下量で判断した。そのため、温度で判断する場合は温度センサを発熱部に取り付ける必要があり、専用の構造に設計変更する必要があった。更に、温度センサは検出対象部毎に取り付ける必要があり、監視部位の数だけ温度センサを必要とした。
また、電圧降下量で判定する構成は、電位差を計測するために接続端子に配線を接続するのに加えて複雑な判定回路が必要であり、コスト高な構成となっていた。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、温度センサ及び電位差判定回路を必要とせず、また監視対象部が複数であっても1つのセンサで異常発熱の発生を検知できる異常発熱検知システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明に係る異常発熱検知システムは、電気機器の監視対象部に、電気機器の樹脂製のハウジングの耐熱温度と同一或いは低い耐熱温度の樹脂体を密着或いは近接して配置すると共に、樹脂体と共通する特定の閉空間に配置されて、監視対象部の発熱により過熱されることで、樹脂体から放出されるガスを検知するガスセンサと、ガスセンサが検知動作したら、所定の信号を出力する信号出力部とを有することを特徴とする。
この構成によれば、監視対象部には樹脂体を配置するだけであり、温度センサ等を密着させる必要がないため、簡易な構成で異常発熱を検知できる。また、ガスセンサは空気中の特定のガスを検知するため、監視対象部に近い場所に設置しなくても良く、監視対象部の構成及び周囲のレイアウトを大きく変更する必要がない。
更に、監視対象部が複数あって樹脂体が複数設置されていても、一定の閉空間内であれば1つのガスセンサで異常発熱を検知でき、少ない部材で検知できる。また、異常発熱の発生を受けて出力される信号を利用して、通報や電路の遮断等が可能であり、発熱の継続を防止できる。
加えて、樹脂体の耐熱温度はハウジングの耐熱温度以下であるため、監視対象部に最も近い樹脂体がハウジングより先にガスを発生するため、ハウジングが発熱で変形する前に異常発熱を検知できる。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、監視対象部が分電盤に組み付けられた少なくとも1つの回路遮断器の電路接続部であり、樹脂体が回路遮断器の電路接続部に配置されると共に、1つのガスセンサと信号出力部とが分電盤のハウジング内に設置され、更に分電盤に組み付けられた回路遮断器の1つである主幹ブレーカは、所定の信号により遮断動作する信号入力部を有し、ガスセンサが検知動作したら主幹ブレーカが遮断動作することを特徴とする。
この構成によれば、樹脂体の数に依らずガスセンサが検知動作したら主幹ブレーカが遮断動作する。よって、樹脂体が複数取り付けられても、1つのガスセンサで異常過熱を監視でき、異常発熱の発生を受けて電路が遮断され、異常過熱の継続を防止できる。
また、ガスセンサは分電盤内に配置されるため、発生したガスが僅かであってもガスセンサが検知でき、確実に異常発熱を検知できる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1に記載の構成において、監視対象部が分電盤に組み付けられた回路遮断器の電路接続部であり、樹脂体が回路遮断器の少なくとも1つの電路接続部に配置されると共に、1つのガスセンサと信号出力部とが分電盤のハウジング内に設置され、更に信号出力部が出力する所定の信号により警報を発する警報部を有することを特徴とする。
この構成によれば、樹脂体の数に依らずガスセンサが検知動作したら警報部が警報を発する。よって、樹脂体が複数取り付けられても、1つのガスセンサで異常発熱の発生を認識できる。
また、ガスセンサは分電盤内に配置されるため、発生したガスが僅かであってもガスセンサが検知でき、確実に異常発熱を検知できる。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1に記載の構成において、監視対象部がプラグが接続されるコンセントの刃受けバネであり、刃受けバネに樹脂体が配置されると共に、コンセントのハウジング内、或いはコンセントが収容されているスイッチボックス内にガスセンサ及び信号出力部が収容され、更に、コンセントに通電する電源側電路に所定の信号で遮断動作する電路遮断部を具備し、ガスセンサが検知動作したら電路遮断部が遮断動作することを特徴とする。
この構成によれば、コンセントに異常発熱が発生したら電路が遮断されるため、確実に発熱を無くすことができる。また、ガスセンサはコンセントのハウジング或いはコンセントを収容したスイッチボックス内に配置されるため、発生したガスが僅かであってもガスセンサが検知でき、確実に異常発熱を検知できる。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1に記載の構成において、監視対象部がプラグが接続されるコンセントの刃受けバネであり、刃受けバネに樹脂体が配置されると共に、コンセントのハウジング内、或いはコンセントが収容されているスイッチボックス内にガスセンサ及び信号出力部が収容され、更に、所定の信号により警報を発する警報部を有することを特徴とする。
この構成によれば、コンセントに異常発熱が発生したら警報音が発せられるため、異常発熱の発生を認識できる。また、ガスセンサはコンセントのハウジング或いはコンセントを収容したスイッチボックス内に配置されるため、発生したガスが僅かであってもガスセンサが検知でき、確実に異常発熱を検知できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、監視対象部には樹脂体を配置するだけであり、温度センサ等を密着させる必要がないため、簡易な構成で異常発熱を検知できる。また、ガスセンサは空気中の特定のガスを検知するため、監視対象部に近い場所に設置しなくても良く、監視対象部の構成及び周囲のレイアウトを大きく変更する必要がない。
更に、監視対象部が複数あって樹脂体が複数設置されていても、一定の空間内であれば1つのガスセンサで異常発熱を検知でき、少ない部材で検知できる。また、異常発熱の発生を受けて出力される信号を利用して、通報や電路の遮断等が可能であり、発熱の継続を防止できる。加えて、樹脂体の耐熱温度はハウジングの耐熱温度以下であるため、監視対象部に最も近い樹脂体がハウジングより先にガスを発生するため、ハウジングが発熱で変形する前に異常発熱を検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る異常発熱検知システムの概略図である。
図2】異常発熱検知システムを分電盤の回路遮断器に適用した場合を示す分電盤の構成図である。
図3】異常発熱検知システムをコンセントに適用した場合を示すコンセントの構成図であり、(a)はコンセントの正面図、(b)は内部構造の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係る異常発熱検知システムの概略図であり、電気機器の特定部位の発熱を監視し、異常発熱が発生したらそれを検知する構成を示している。
図1において、1は樹脂体、10は異常発熱を監視する部位である監視対象部Mを備えた電気機器であり、樹脂体1が監視対象部Mに取り付けられている。また、2は樹脂体1から発生するガスを検知するガスセンサ、3はガスセンサ2の検知動作を受けて信号(所定の信号)を出力する信号出力部である。ここでは、ガスセンサ2、信号出力部3が電気機器10に組み込まれている。
【0014】
そして、4は信号出力部3の出力信号により遮断動作する電路遮断部、5は信号出力部3の出力信号により警報を発する警報部であり、それぞれ信号線L1,L2を介して信号出力部3に接続されている。これらは電気機器10を収容する特定のハウジング或いは部屋から成る閉空間Aの中に設置されている。
電路遮断部4は、商用電源等の電源7から電気機器10に配設された電路Lの途中に設置され、電路Lに設けられた接点部4aと接点部4aを開操作(遮断操作)する遮断部4bとで構成されている。
【0015】
尚、ガスセンサ2及び信号出力部3も、電気機器10の内部でなく、閉空間Aの内部であれば電気機器10の外部に配置しても良い。逆に、電路遮断部4、警報部5も、ガスセンサ2、信号出力部3と共に電気機器10に組み込んでも良い。
【0016】
監視対象部Mは、例えば電路Lが接続される接続端子であり、監視対象部Mにネジの緩み等で異常発熱が発生すると、取り付けられている樹脂体1が軟化して一酸化炭素或いは二酸化炭素等のガスを発生し、ガスセンサ2がそれを検知する。
ガスセンサ2は、一酸化炭素ガス及び二酸化炭素ガス等のガスを検知する公知のガスセンサである。ガスセンサ2が、ガスを検知すると、信号出力部3がそれを認識し、所定の信号を出力する。この所定の信号が、例えば電路遮断部4を遮断動作させる遮断信号であれば、監視対象部Mへの電源の供給が停止されるし、警報器作動信号であれば警報部5が発報動作して、周囲に異常発熱の発生が報知される。
【0017】
ここで、樹脂体1を説明する。樹脂体は、監視対象部Mの周囲のモールド樹脂(ハウジング)より低い耐熱温度の樹脂が使用され、例えば6ナイロン(PA6)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の熱可塑性の樹脂が使用されるが、ユリア樹脂(UF)等の熱硬化性樹脂も使用可能である。これらの樹脂は、過熱されて軟化すると、一酸化炭素ガス、或いは二酸化炭素ガスを放出する。
更に、これらの樹脂のうち耐熱温度が例えば70℃のもの、或いは100℃のもの等、異なる特性のものを選択することで、発生する熱の検知温度を変更することができ、監視対象部の設定温度に基づいて選択される。
例えば、検知対象の電気機器10のハウジングがフェノール樹脂製である場合、樹脂体1をPA6とすると良く、フェノール樹脂の耐熱温度が150℃~180℃であるのに対し、PA6の耐熱温度は80℃であるため、ハウジングの耐熱温度以下で確実に樹脂体1がガスを発生するため、発熱検出として有効である。
【0018】
尚、ガスセンサ2、信号出力部3、警報部5は、電気機器10の図示しない電源部から電源の供給を受けている。また、警報部5は図示しない蓄電手段を内蔵し、電気機器10の電源が遮断されても一定時間警報を発することが可能となっている。また、通常は信号線L2を介して信号出力部3から電源が供給されている。
【0019】
このように、監視対象部Mには樹脂体1を配置するだけであり、温度センサ等を密着させる必要がないため、簡易な構成で異常発熱を検知できる。また、ガスセンサ2は空気中の特定のガスを検知するため、監視対象部Mに近い場所に設置しなくても良く、監視対象部Mの構成及び周囲のレイアウトを大きく変更する必要がない。
更に、監視対象部Mが複数あって、樹脂体1が複数設置されていても、一定の空間内であれば1つのガスセンサ2で異常発熱を検知でき、少ない部材で検知できる。
そして、異常発熱の発生を受けて出力される信号を利用することで、通報や電路の遮断等を実施でき、発熱の継続を防止できる。
【0020】
図2は分電盤の構成図であり、上記異常発熱検知システムを分電盤の分岐ブレーカ(回路遮断器)に適用した場合を示している。図2において、11は主幹ブレーカ、12は分岐ブレーカである。各分岐ブレーカ12には、主幹ブレーカ11を介して電路Lにより電源(商用電源)が供給され、更に分岐ブレーカ12を介して図示しない負荷に電力が供給される。
ここでは、樹脂体1は各分岐ブレーカ12の負荷側端子12bに取り付けられており、負荷側端子12bを監視対象部Mとしている。そして、ガスセンサ2、信号出力部3、警報部5が、閉空間Aを形成する分電盤14のハウジング15内に組み付けられている。
【0021】
また主幹ブレーカ11は、外部制御端子(信号入力部)11aを備えており、外部からの信号により遮断動作するよう構成されている。ここでは、信号出力部3が出力する信号により遮断動作するし、警報部5が警報音を発報する。
【0022】
尚、12aは分岐ブレーカ12の電源側端子を示し、電源側端子12aも監視対象部Mに加えて発熱を検知したい場合は、電源側端子12aにも樹脂体1が配置される。更に、主幹ブレーカ11の接続端子も監視対象部Mとする場合は、樹脂体1を主幹ブレーカ11の接続端子に設置すれば良い。
【0023】
このように、樹脂体1の数に依らずガスセンサ2が検知動作したら主幹ブレーカ11が遮断動作する。よって、樹脂体1が複数取り付けられても、1つのガスセンサ2で異常過熱を監視でき、異常発熱の発生を受けて電路Lが遮断され、異常過熱の継続を防止できる。
また、ガスセンサ2は分電盤のハウジング内に配置されるため、樹脂体1と同一の閉空間の中であり、発生したガスが僅かであってもガスセンサ2が良好に検知でき、確実に異常発熱を検知できる。
更に、樹脂体1の数に依らずガスセンサ2が検知動作したら警報部5が警報を発するため、異常発熱の発生を認識できる。
加えて、樹脂体1は電気機器10のハウジングより低い耐熱温度の樹脂が使用されることで、ハウジングが発熱で変形する前に、ガスの発生により異常発熱を検知できる。
【0024】
図3は、異常発熱検知システムをコンセントに適用した構成を示し、(a)はコンセントの正面図、(b)は内部構造の説明図である。コンセント17は、壁面に埋設された図示しないスイッチボックスに取り付けて設置される構成であり、ここでは栓刃挿入口18を2組有し、2つのプラグ(図示せず)を接続可能なコンセントを示している。
そして、図3(b)に示すように、個々の栓刃挿入口18に配置されている刃受けバネ19に樹脂体1が取り付けられ、ガスセンサ2はこれら刃受けバネ19の中間位置に配置されている。また図示しないが、図1に示す信号出力部3、電路遮断部4、警報部5は、コンセントボックスの中に収容されている。
この構成により、刃受けバネ19が異常発熱したら樹脂体1がガスを発生し、ガスセンサ2がそれを検知する。結果、電路遮断部4が遮断動作してコンセント17への電力の供給が停止され、警報部5が警報音を発報する。
【0025】
このように、コンセント17に異常発熱が発生したら電路Lが遮断されるため、確実に発熱を無くすことができる。また、ガスセンサ2はコンセント17の刃受けバネ19の間に配置、即ちコンセント17のハウジング内に配置されるため、発生したガスが僅かであってもガスセンサ2が検知でき、確実に異常発熱を検知できる。
尚、ガスセンサ2は、コンセント17のハウジング内でなくても良く、閉空間を形成するスイッチボックス内であれば、同様の感度で樹脂体1が発生するガスを検知できる。
また、コンセント17に異常発熱が発生したら警報音が発せられるため、異常発熱の発生を認識できる。
【0026】
尚、上記実施形態では、電路Lを遮断する電路遮断部4と警報部5とを備えているが、何れか一方のみでも良い。
また、使用する樹脂体1は、耐熱温度をハウジングを形成する樹脂の耐熱温度より低いものを使用しているが、ハウジングと同一の樹脂を使用しても良く、同一の樹脂であっても、監視対象部Mに最も近い樹脂体1がハウジングより先に劣化してガスを発生するため、ハウジングが監視対象部の発熱で変形劣化する前に異常発熱を検知できる。
【符号の説明】
【0027】
1・・樹脂体、2・・ガスセンサ、3・・信号出力部、4・・電路遮断部、4b・・遮断部、5・・警報部、10・・電気機器、11・・主幹ブレーカ(回路遮断器)、11a・・外部制御端子(信号入力部)、12・・分岐ブレーカ(回路遮断器)、12b・・負荷側端子(電路接続部)、17・・コンセント、18・・栓刃挿入口、19・・刃受けバネ、A・・閉空間(特定の閉空間)、M・・監視対象部。
図1
図2
図3