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特開2023-177656金型装置、および発泡樹脂成形品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177656
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】金型装置、および発泡樹脂成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/20 20060101AFI20231207BHJP
   B29C 39/24 20060101ALI20231207BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20231207BHJP
   B29C 44/58 20060101ALI20231207BHJP
   B29C 44/36 20060101ALI20231207BHJP
   B29C 39/26 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
B29C33/20
B29C39/24
B29C44/00 A
B29C44/58
B29C44/36
B29C39/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090442
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002424
【氏名又は名称】ケー・ティー・アンド・エス弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩
【テーマコード(参考)】
4F202
4F204
4F214
【Fターム(参考)】
4F202AB02
4F202AC05
4F202CA01
4F202CB01
4F202CL04
4F202CL09
4F202CL12
4F202CL40
4F202CL46
4F202CL47
4F202CL50
4F204AB02
4F204AC05
4F204AG20
4F204AJ08
4F204AR07
4F204EA01
4F204EB01
4F204EF27
4F204EK24
4F214AB02
4F214AC05
4F214AG20
4F214AJ08
4F214AR07
4F214UA01
4F214UB01
4F214UK31
(57)【要約】
【課題】よりコンパクトな金型装置を提供する。
【解決手段】金型装置は、第1方向に延びる第1面と、前記第1方向と交差する第2方向に延びる第2面を含む第1型と、前記第1方向に延びる第3面と、前記第2方向に延びる第4面を含む第2型と、を有し、前記第1型と前記第2型とを型閉じしてキャビティを形成する金型装置である。金型装置は、前記第3面に固定される第1固定部材と、前記第1方向に延びる第1軸に回転可能に支持され、前記第1固定部材を前記第1方向および前記第2方向と交差する第3方向に押圧する第1押圧位置と、前記押圧を解除する第1解除位置との間を変位する第1変位部と、を備える。前記第1固定部材は、前記第2面または前記第4面よりも、前記第1方向に突出する受部を有する。前記第1変位部は、前記第1押圧位置と前記第1解除位置との間を前記第2方向に沿って揺動し、前記第1押圧位置において前記受部を押圧する押圧部を有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延びる第1面と、前記第1方向と交差する第2方向に延びる第2面を含む第1型と、前記第1方向に延びる第3面と、前記第2方向に延びる第4面を含む第2型と、を有し、前記第1型と前記第2型とを型閉じしてキャビティを形成する金型装置であって、
前記第3面に固定される第1固定部材と、
前記第1方向に延びる第1軸に回転可能に支持され、前記第1固定部材を前記第1方向および前記第2方向と交差する第3方向に押圧する第1押圧位置と、前記押圧を解除する第1解除位置との間を変位する第1変位部と、
を備え、
前記第1固定部材は、前記第2面または前記第4面よりも、前記第1方向に突出する受部を有し、
前記第1変位部は、前記第1押圧位置と前記第1解除位置との間を前記第2方向に沿って揺動し、前記第1押圧位置において前記受部を押圧する押圧部を有する、
金型装置。
【請求項2】
前記第4面に固定される第2固定部材と、
前記第1方向に延びる第2軸に回転可能に支持され、前記第2固定部材を前記第1方向および前記第2方向と交差する前記第3方向に押圧する第2押圧位置と、前記押圧を解除する第2解除位置との間を変位する第2変位部と、
前記第1変位部と、前記第2変位部を連動させる連動部と、
をさらに備える、
請求項1に記載の金型装置。
【請求項3】
前記連動部を移動させるアクチュエータをさらに備える、
請求項2に記載の金型装置。
【請求項4】
前記第1固定部材と異なる位置に配置され、軸部材を有し、前記第1型と前記第2型とを前記軸部材周りに回転可能に支持するヒンジ部材をさらに備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載の金型装置。
【請求項5】
請求項1記載の金型装置によって形成される前記キャビティ内に発泡樹脂原料を投入し、前記第1固定部材を前記第1押圧位置に変位させて前記発泡樹脂原料を発泡硬化させる発泡樹脂成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、金型装置、およびこの金型装置を用いた発泡樹脂成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、上下方向に分割された上型および下型を有する発泡成形型用の金型装置が知られている。このような発泡成形型は、上型と下型とを型閉じした状態で形成されるキャビティ内で発泡原料を発泡させて発泡体を製造する。
【0003】
このような金型装置では、上型と下型との端部をクランプ機構によってクランプする(例えば特許文献1参照)。このように、上型と下型とをクランプすることによって、キャビティ周囲の隙間を閉じ、キャビティの周囲に発泡樹脂原料が流出し、発泡体にバリが発生することを防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平3-15286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような金型機構は、クランプ機構が揺動するため、クランプ機構が揺動する分のスペースが必要である。本開示は、よりコンパクトな金型装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る金型装置は、第1方向に延びる第1面と、前記第1方向と交差する第2方向に延びる第2面を含む第1型と、前記第1方向に延びる第3面と、前記第2方向に延びる第4面を含む第2型と、を有し、前記第1型と前記第2型とを型閉じしてキャビティを形成する金型装置である。金型装置は、前記第3面に固定される第1固定部材と、前記第1方向に延びる第1軸に回転可能に支持され、前記第1固定部材を前記第1方向および前記第2方向と交差する第3方向に押圧する第1押圧位置と、前記押圧を解除する第1解除位置との間を変位する第1変位部と、を備える。前記第1固定部材は、前記第2面または前記第4面よりも、前記第1方向に突出する受部を有する。前記第1変位部は、前記第1押圧位置と前記第1解除位置との間を前記第2方向に沿って揺動し、前記第1押圧位置において前記受部を押圧する押圧部を有する。
【0007】
また、本開示に係る発泡樹脂成形品の製造方法は、上記金型装置によって形成される前記キャビティ内に発泡樹脂原料を投入し、前記第1固定部材を前記第1押圧位置に変位させて前記発泡樹脂原料を発泡硬化させる。
【0008】
この金型装置によれば、第1変位部が、第2面が延びる第2方向に沿って揺動し、受部を押圧する。これによって、よりコンパクトな金型装置が提供できる。また、このような金型装置を用いた発泡樹脂成形品の製造方法によれば、よりコンパクトな金型装置によって、発泡樹脂成形品のバリの発生を抑制ができる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、よりコンパクトな金型装置、およびこの金型装置を用いた発泡樹脂成形品の製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の第1実施形態における金型装置の側面図。
図2】本開示の第1実施形態における金型装置の上面図。
図3】本開示の第1実施形態における金型装置の正面図。
図4】本開示の第1実施形態における第1レバー部分の拡大図。
図5】本開示の第1実施形態における第2レバー部分の拡大図。
図6】本開示の第2実施形態における金型装置の側面図。
図7】本開示の第2実施形態における金型装置の正面図。
図8】本開示の第2実施形態における第3レバー部分の拡大図。
図9】本開示の他の実施形態における金型装置の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
以下、本開示の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1図2および図3に示すように、金型装置1は、下型(第1型の一例)2と、上型(第2型の一例)4と、を有する。金型装置1は、下型2と上型4とを型閉じしてキャビティ6を形成する。金型装置1は、キャビティ6に発泡樹脂原料を注入し、発泡樹脂原料を発泡硬化させて発泡樹脂成形体を成形する装置である。本実施形態では、発泡樹脂原料はポリオールを主とするA液と、イソシアネートを主とするB液とを、混合した発泡樹脂原料である。キャビティ6は、例えば自動車に用いるエネルギ吸収材などに合わせた形状に形成される。これに限らず、キャビティ6は、種々様々な形状を適用可能である。
【0012】
下型2および上型4は、X方向(第1方向の一例)、Y方向(第2方向の一例)、およびZ方向(第3方向の一例)に拡がる略直方体形状の構造体である。X方向、Y方向およびZ方向は、互いに直交する。下型2は、X,Z方向に拡がりX方向に延びる下型正面(第1面の一例)2aおよび下型背面(第1面の一例)2b、Y,Z方向に拡がりY方向に延びる下型右側面(第2面の一例)2cおよび下型左側面(第2面の一例)2d、X,Y方向に拡がりY方向に延びる(下型上面2eおよび)下型下面2fを有する。上型4は、同様に、X,Z方向に拡がりX方向に延びる上型正面(第3面の一例)4aおよび上型背面(第3面の一例)4b、Y,Z方向に拡がりY方向に延びる上型右側面(第4面の一例)4cおよび上型左側面(第4面の一例)4d、X,Y方向に拡がりY方向に延びる上型上面4e(および上型下面4f)を有する。図1には、下型左側面2dおよび上型左側面4dが現れている。図2には、上型上面4eが現れている。キャビティ6は、下型上面2eおよび上型下面4fのいずれか、または、両方に形成された凹みにより形成される。型閉じにより、下型2の上面が上型4の下面と密着することで、キャビティ6が形成される。なお、下型2および上型4の各面の拡がる方向、および延びる方向は、これに限定されるものではない。下型2および上型4の各面の拡がる方向、および延びる方向は、例えばキャビティ6の形状に合わせて適宜変更してもよい。
【0013】
金型装置1は、下型2と上型4とを支持するフレーム8を備える。図1から図3に示すように、フレーム8は、下フレーム8aと、上フレーム8bと、を有する。下フレーム8aは、下型下面2fに沿ってY方向に延び、下型下面2fに固定されることによって下型2を支持する。上フレーム8bは、上型上面4eに沿ってY方向に延び、上型上面4eに固定される。
【0014】
金型装置1は、フレーム8を介して下型2と上型4を回転可能に連結する少なくとも1つのヒンジ(ヒンジ部材の一例)10を備える。ヒンジ10は、後述する第1固定部材14と異なる位置に配置される。図1および図2に示すように、本実施形態ではヒンジ10は、下型背面2bおよび上型背面4bよりもY方向に離れたフレーム8の後端に配置される。ヒンジ10は、ヒンジ軸(軸部材の一例)10aを有する。ヒンジ10は、第1固定部材14と異なる位置に配置される。ヒンジ10は下フレーム8aおよび上フレーム8bをヒンジ軸10a周りに回転可能に支持する。これによって、ヒンジ10を中心として上型4が下型2に対してZ方向に回転する。
【0015】
図2に示すように、本実施形態では上フレーム8bは、断面矩形の複数の金属製パイプによって形成される。上フレーム8bは、Y方向に延びる2つのパイプをX方向に間隔を空けて配置し、この2つのパイプをX方向に延びるパイプにより接続することによって形成される。ヒンジ10は、X方向に間隔を空けて2つ設けられ、X方向に延びるパイプに固定される。図3に示すように、下フレーム8aは、上フレーム8bと同様の形状であってもよい。
【0016】
また、図1から図3に示すように、上フレーム8bには、開閉装置12を含んでもよい。開閉装置12は、上型4を上下に動かすための力を人または機械から受けてもよい。このような金型装置1は、周回するコンベア(サークルライン)上に、ヒンジ10がサークルラインの内周側となるように複数配置される。開閉装置12は、サークルラインに沿って設けられたガイドレール(機械の一例)から力を受けて作動するようにしてもよい。
【0017】
図1から図3に示すように、金型装置1は、後述する第1レバー16からの力を受け、上型4を下型2に押し付ける少なくとも1つの第1固定部材14を備える。第1固定部材14は、上型正面4aおよび上型背面4bの少なくともいずれか一方に固定される。第1固定部材14は、下型右側面2cおよび下型左側面2d、または、上型右側面4cおよび上型左側面4dよりもX方向に突出する受部14aを有する。
【0018】
図1および図2に示すように、本実施形態では、第1固定部材14は、上型正面4aおよび上型背面4bのそれぞれに1つずつ設けられる。図2に示すように、第1固定部材14は、金属製の円筒形部材14bおよびブラケット14cを含む部材である。円筒形部材14bがブラケット14cを介して上型正面4aおよび上型背面4bに固定されることによって、第1固定部材14が上型4に固定される。図2図3および図4に示すように、受部14aは、この円筒形部材14bからX方向に向かって突出する、円筒形部材よりも一回り径の小さい部分である。
【0019】
図1から図3に示すように、金型装置1は、第1レバー(第1変位部の一例)16を備える。本実施形態では、第1レバー16が下型2および上型4の正面と背面の両方に配置される。また、第1レバー16は、下型2および上型4の左右の面にそれぞれ配置される。このため、本実施形態では第1レバー16が合計4つ配置される。正面の左右側面に配置された第1レバー16と、背面の左右側面に配置された第1レバー16は、同様の構造および動作である。このため、本実施形態では背面の左側面に配置される第1レバー16の構造と動作について説明する。
【0020】
第1レバー16は、下型正面2aおよび下型背面2bに支持されX方向に延びる第1軸16aに、回転可能に支持される。図1および図4に示すように、第1レバー16は、第1軸16aを中心として、Y方向に揺動変位する。具体的には、図4に示すように、第1レバー16は、第1押圧位置P1と第1解除位置L1との間を変位する。第1レバー16は、第1押圧位置P1に位置したときに、受部14aをZ方向に押圧する。第1レバー16は、第1解除位置L1に位置したときに、押圧を解除する。
【0021】
具体的には、第1レバー16は、上端と、下端と、上端および下端との間の中間部と、を有する第1アーム16bを有する。第1レバー16は、第1アーム16bの中間部において第1軸16aに回転可能に支持されている。第1レバー16は、さらに、第1アーム16bの上端に形成された第1押圧部16cを有する。第1レバー16が第1押圧位置P1に位置したときに、第1押圧部16cが受部14aに係合して、受部14aをZ方向に押圧する。第1レバー16が第1解除位置L1に位置したときに、第1押圧部16cが受部14aから離れる。
【0022】
第1レバー16は、さらに、第1アーム16bの下端に形成された第1回転軸16dを有する。第1レバー16は、第1回転軸16dを介して、後述する連動部22に連結される。
【0023】
図1から図3、および図5に示すように、金型装置1は、第2固定部材18を備える。第2固定部材18は、上型4の上型右側面4cおよび上型左側面4dに固定される。図1および図2に示すように、本実施形態では第2固定部材18は、上型右側面4cおよび上型左側面4dから突出する受部14aと略同一形状の円筒系部材である。第2固定部材18の位置は、上型4のY方向の長さの中央付近である。これによって、第1固定部材14および第2固定部材18によって、上型4の4辺をZ方向に向けて均等に押圧することができる。
【0024】
金型装置1は、さらに、第2レバー(第2変位部の一例)20を備える。本実施形態では、第2レバー20が下型2および上型4の右側面と左側面の両方に、それぞれ1つずつ配置される。右側面に配置された第2レバー20と、左側面に配置された第2レバー20は、同様の構造および動作である。このため、本実施形態では左側面に配置される第2レバー20の構造と動作について説明する。
【0025】
図1から図3に示すように、第2レバー20は、下型右側面2cおよび下型左側面2dに支持されX方向に延びる第2軸20aに、回転可能に支持される。図1および図5に示すように、第2レバー20は、第2軸20aを中心として、Y方向に揺動変位する。具体的には、図5に示すように、第2レバー20は、第2押圧位置P2と第2解除位置L2との間を変位する。第2レバー20は、第2押圧位置P2に位置したときに第2固定部材18をZ方向に押圧する。第2レバー20は、第2解除位置L2に位置したときに押圧を解除する。
【0026】
具体的には、第2レバー20は、上端と、下端と、上端および下端との間の中間部とを有する第2アーム20bを有する。第2レバー20は、第2アーム20bの中間部において第2軸20aに回転可能に支持されている。第2レバー20は、さらに、第2アーム20bの上端に形成された第2押圧部20cを有する。第2レバー20が第2押圧位置P2に位置したときに、第2押圧部20cが第2固定部材18に係合して、第2固定部材18をZ方向に押圧する。第2レバー20が第2解除位置L2に位置したときに、第2押圧部20cが第2固定部材18から離れる。
【0027】
第2レバー20は、さらに、第2アーム20bの下端に形成された第2回転軸20dを有する。第2レバー20は、第2回転軸20dを介して、後述する連動部22に連結される。なお、本実施形態では第2レバー20の形状は、第1レバー16と同じである。これによって、金型装置1の製造コストを抑制できる。さらに、第1レバー16が受部14aを押圧するタイミングと、第2レバー20が第2固定部材18を押圧するタイミングが同時となる。これによって、上型4の4辺を同時に押圧することができる。
【0028】
図1から図3に示すように、金型装置1は、さらに、上述の連動部22を備える。連動部22は、第1レバー16と、第2レバー20と、を連動させる。図2および図3に示すように、本実施形態では、連動部22は、Y方向に延びる右連動バー22aと、Y方向に延びる左連動バー22bと、右連動バー22aおよび左連動バー22bを連結する連結バー22cを有する。右連動バー22aは、右側面に配置される第1レバー16と第2レバー20とを連動させる。左連動バー22bは、左側面に配置される第1レバー16と第2レバー20とを連動させる。
【0029】
図1から図3に示すように、連動部22は、前端および後端において第1回転軸16dを介して第1レバー16に連結され、中間部において第2回転軸20dを介して第2レバー20に連結される。連結バー22cは、後述するアクチュエータ24に連結される。アクチュエータ24が連結バー22cをY方向に移動させると、第1レバー16が第1押圧位置P1に位置するとき、第2レバー20は第2押圧位置P2に位置する。第1レバー16が第1解除位置L1に位置するとき、第2レバー20は第2解除位置L2に位置する。
【0030】
金型装置1は、さらに、上述のアクチュエータ24を備える。本実施形態では、アクチュエータ24は空圧式のシリンダーである。しかし、アクチュエータ24は電気式など種々の方式であってもよい。また、本実施形態ではアクチュエータ24は、連結バー22cをY方向に沿って前後に移動させる装置である。しかし、連動部22を作動させることができる方式のアクチュエータ24あれば、どのような装置であってもよい。
【0031】
次に、発泡樹脂成形体の製造方法を説明する。発泡樹脂成形体は、上述の金型装置1を利用して製造される。
【0032】
金型装置1は、上述の通り、キャビティ6を有する。まず、発泡樹脂原料が金型装置1のキャビティ6内に投入される。
【0033】
次に、上型4が下型2に向けて型閉めされる。
【0034】
次に、アクチュエータ24を作動させ、連動部22を移動させて第1レバー16および第2レバー20が第1押圧位置P1および第2押圧位置P2にそれぞれセットされる。このとき、連動部22の働きにより、第1レバー16および第2レバー20が連動する。本実施形態では、第1レバー16が第1押圧位置P1に移動するタイミングと、第2レバー20が第2押圧位置P2に移動するタイミングと、が同時である。
【0035】
発泡樹脂原料は、キャビティ6内で発泡硬化して、成形された発泡樹脂成形体となる。
【0036】
次に、第1レバー16および第2レバー20が第1解除位置L1および第2解除位置L2にそれぞれセットされる。
【0037】
次に、上型4が下型2から型開され、成形された発泡樹脂成形体がキャビティ6から取り出される。
【0038】
このような金型装置1によれば、背面に位置する第1レバー16は、下型右側面2cおよび下型左側面2dのX方向の外側をY方向に揺動する。第1レバー16は、このように揺動することによって、上型4の背面を下型2に向けて押圧することができる。これによって、金型装置1は、第1レバー16の揺動分のスペースとして、金型装置1の背面側の必要領域がコンパクトになる。この結果、この金型装置1は、フレーム8のサイズ内において大きく設計できるので、大きなサイズの成形品に対応可能になる。この結果、よりコンパクトな金型装置1を提供できる。
【0039】
さらに、第2レバー20も、背面および正面の第1レバー16と同様に、Y方向に揺動する。すなわち、背面および正面の第1レバー16、および第2レバー20が同じ方向に揺動しながら、上型4の4辺を下型2に向けて押圧することができる。これによって、X方向に揺動するレバーがなく、金型装置1におけるX方向の領域がコンパクトになる。発泡樹脂成形品用の金型装置1は、サークルラインを形成するコンベア上に並べて載置されるため、隣り合う金型装置1の間隔を小さくすれば、多くの金型装置を並べることができる。したがって、このような金型装置1を用いた発泡樹脂成形品の製造方法によれば、発泡樹脂成形品のバリの発生を抑制できるとともに生産効率もよくなる。
【0040】
さらに、本実施形態では正面の第1レバー16は、背面の第1レバー16と同形状である。これによって、金型装置1の製造コストを抑制できる。
【0041】
<第2実施形態>
以下、本開示の第2実施形態について、図6図7および図8を参照しながら説明する。第2実施形態では、第1実施形態と異なる点のみ説明する。図6および図7に示すように、金型装置201は、前面の第1レバー216の構造が、第1実施形態の第1レバー16と異なる。
【0042】
図6および図7に示すように、金型装置201は、下型202と、上型204と、フレーム208と、ヒンジ210と、開閉装置212と、第1固定部材214と、第1レバー216と、第2固定部材218と、第2レバー220と、連動部222と、アクチュエータ224と、第3固定部材226と、第3レバー228と、を備える。本実施形態では、第1実施形態における下型2および上型4の正面に位置する第1固定部材14および第1レバー16が、第3固定部材226および第3レバーに置き換わった点において第1実施形態と異なる。このため、第3固定部材226と第3レバー228以外の構成は、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0043】
第3固定部材226は、上型204の上型正面204aに固定される円筒形部材である。図7に示すように、本実施形態では、第3固定部材226は、上型正面204aにX方向に間隔を空けて2つ配置される。
【0044】
図6および図7に示すように、第3レバー228は、下型正面202aに固定され、X方向に延びる第3軸228aに、回転可能に支持される。本実施形態では、第3レバー228は、X方向に間隔を空けて2つ配置される。第3レバー228は、第3軸228aを中心として、第1レバー216と同様にY方向に揺動する。図8に示すように、第3レバー228は、上端と、下端と、上端および下端との間の中間部とを有する第3アーム228bを有する。第3アーム228bは2つの板状部材と、この2つの板状部材を連結する板状の第3押圧部228cと、を有する。第3レバー228は、第3アーム228bの中間部において第3軸228aに回転可能に支持されている。第3レバー228が第3押圧位置P3に位置したときに、第3押圧部228cが第3固定部材226に係合して、第3固定部材226をZ方向に押圧する。第3レバー228が第3解除位置L3に位置したときに、第3押圧部228cが第3固定部材226から離れる。
【0045】
図7および図8に示すように、第3レバー228は、さらに、第3アーム228bの下端に形成された第3回転軸228dを有する。本実施形態では、第3回転軸222dは、右連動バー222aから左連動バー222bまで延びる円柱状の部材である。第3レバー228は、第3回転軸228dを介して、右連動バー222aおよび左連動バー222bに連結される。
【0046】
このように、下型2および上型4の正面に位置する第1レバー16を第3レバーに置き換えたとしても、第1レバー216、第2レバー220、第3レバー228が同方向に揺動する。これによって、X方向に揺動するレバーを配置せず上型4の4辺を下型2に向けて押圧することができる。
【0047】
以上説明した通り、本開示によれば、よりコンパクトな金型装置1,201およびこの金型装置1,201を用いた発泡樹脂成形品の製造方法を提供できる。
【0048】
<他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0049】
例えば、上記第1実施形態では、第2レバー20を2つ配置する例を用いて説明したが、第2レバー20の数は、下型2および上型4のY方向の長さに応じて適宜変更してもよい。
【0050】
また、上記第1実施形態では、第1レバー16、第2レバー20をアクチュエータ24によって作動させたが、本開示はこれに限定されない。図9に示すように、金型装置1は、例えば、正面の第1レバー16に第1アーム16bに交差する方向に延びる入力バー300を設け、開閉装置12と同様に、入力バー300が、人、またはサークルラインに設けたガイドレールから力を受けて作動させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1,201:金型装置
2,202:下型
2a,202a:下型正面
2b:下型背面,2c:下型右側面,2d:左側面,2d:下型左側面
2e:下型上面,2f:下型下面
4,204:上型
4a,204a:上型正面,4b:上型背面
4c:上型右側面,4d:上型左側面,4e:上型上面,4f:上型下面
6:キャビティ
10,210:ヒンジ
10a:ヒンジ軸
14,214:第1固定部材
14a:受部
16,216:第1レバー
16a:第1軸,16b:第1アーム,16c:第1押圧部,16d:第1回転軸
18,218:第2固定部材
20,220:第2レバー,
20a:第2軸,20b:第2アーム,20c:第2押圧部,20d:第2回転軸
22,222:連動部
24,224:アクチュエータ
L1:第1解除位置,L2:第2解除位置
P1:第1押圧位置,P2:第2押圧位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9