(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177698
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/44 20060101AFI20231207BHJP
B41J 2/47 20060101ALI20231207BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20231207BHJP
H04N 1/113 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
B41J2/44 101B
B41J2/47 101M
G03G21/14
H04N1/113
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090506
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114971
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修
(72)【発明者】
【氏名】眞下 隆行
【テーマコード(参考)】
2C162
2C362
2H270
5C072
【Fターム(参考)】
2C162AE21
2C162AE28
2C162AE47
2C162AF60
2C162AF61
2C162AF84
2C162FA03
2C162FA18
2C162FA44
2C362AA07
2C362AA29
2C362BA04
2C362BA71
2C362CB75
2C362CB77
2C362CB78
2H270MC18
2H270MC24
2H270MH09
2H270ZC03
2H270ZC06
5C072AA03
5C072BA02
5C072BA20
5C072HA02
5C072HA06
5C072HA13
5C072HB08
5C072HB11
5C072XA01
5C072XA05
(57)【要約】
【課題】 比較的簡単な構成で、ページ画像ごとの複数のトナー色についてのプリントの設定値を適用する画像形成装置を得る。
【解決手段】 複数の書込制御部43a~43dのうちの1つの書込制御部43aは、ページごとの設定値を第1記憶領域41aから自己の第2記憶領域44aに転送し、第2記憶領域44aに記憶されている設定値を適用してページ画像を、対応するプリント機構10aにプリントさせる。また、残りの書込制御部43b~43dは、その設定値を他の書込制御部43a~43cの第2記憶領域44a~44cから自己の第2記憶領域44b~44dに転送し、第2記憶領域44b~44dに記憶されている設定値を適用してページ画像を、対応するプリント機構10b~10dにプリントさせる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のトナー色に対応する複数のプリント機構と、
前記複数のプリント機構をそれぞれ独立に制御して前記複数のトナー色のプリントを前記複数のプリント機構に実行させる複数の書込制御部と、
第1記憶領域と、
ページごとの設定値を前記第1記憶領域に記憶するコントローラーと、
前記複数の書込制御部にそれぞれ対応する複数の第2記憶領域とを備え、
前記複数の書込制御部のうちの1つの書込制御部は、前記設定値を前記第1記憶領域から自己の前記第2記憶領域に転送し、前記第2記憶領域に記憶されている前記設定値を適用してページ画像を、対応する前記プリント機構にプリントさせ、
前記複数の書込制御部のうちの残りの書込制御部は、前記設定値を前記複数の書込制御部のうちの他の書込制御部の前記第2記憶領域から自己の前記第2記憶領域に転送し、前記第2記憶領域に記憶されている前記設定値を適用してページ画像を、対応する前記プリント機構にプリントさせること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記複数のプリント機構は、前記複数のトナー色に対応する複数の感光体ドラムと、複数のレーザー光線を走査しつつ前記複数の感光体ドラムに照射する露光装置とを備え、
前記露光装置は、前記レーザー光線を生成する発光素子と、所定の検出位置に設置され、当該検出位置を前記レーザー光線が走査されたタイミングを検出し、BD信号として出力する光学センサーとを備え、
複数のページ画像を連続してプリントする際に、前記複数の書込制御部は、それぞれ、前記複数のページ画像のうちのあるページ画像に対応する垂直同期信号のアサート期間の終了から前記複数のページ画像のうちの次のページ画像に対応する前記垂直同期信号のアサート期間の開始までのネゲート期間において、前記次のページ画像のための前記設定値を前記BD信号に同期して転送すること、
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記露光装置は、前記レーザー光線が走査位置が前記検出位置となる際に前記発光素子を所定期間、強制発光させ、
前記複数の書込制御部は、前記強制発光の開始タイミングで、前記次のページ画像のための前記設定値を転送すること、
を特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記設定値は、前記BD信号の1周期あたりの水平同期信号のパルス数を含むことを特徴とする請求項2または請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記露光装置は、前記露光装置の光学系に起因して生じる静電潜像における画素幅の不均一性を抑制するために画素幅を補正すべき画素を疑似乱数列を使用して決定し、決定した前記画素の画素幅を、前記発光素子の発光時間を調整して補正し、
前記疑似乱数列は、前記ページ画像において描画されるあるラインから次のラインへ連続しており、1ラインずつ更新され、
前記発光素子は、前記ページ画像について複数のレーザー光線を生成可能であり、
前記露光装置は、前記ページ画像におけるあるラインにおいて、前記複数のレーザー光線のすべての点灯を許可し、前記ページ画像における別のラインにおいて、前記複数のレーザー光線のうちの一部の点灯を禁止し、前記複数のレーザー光線のうちの一部の点灯が禁止される際に、点灯が禁止された前記一部については、前記疑似乱数列の更新が停止され、
前記設定値は、前記疑似乱数列の更新が停止されるラインを指定すること、
を特徴とする請求項2または請求項3記載の画像形成装置。
【請求項6】
複数のページ画像を連続してプリントする際に、前記複数の書込制御部は、それぞれ、前記複数のページ画像のうちのあるページ画像に対応する垂直同期信号のアサート期間の開始タイミングで、当該ページ画像のための前記設定値を転送することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項7】
複数のページ画像を連続してプリントする際に、前記複数の書込制御部は、それぞれ、前記複数のページ画像のうちのあるページ画像に対応する垂直同期信号のアサート期間の終了タイミングで、次のページ画像のための前記設定値を転送することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ある画像形成装置は、複数のトナー色(例えばシアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)に対応して複数のプリント機構(感光体ドラム、露光装置、現像装置など)を備えており、複数のプリント機構を制御してそれぞれ対応するトナー色のプリントを実行させる書込制御部を備えている。また、ある画像形成装置では、そのような書込制御部が、プリント実行のためのパラメーターの設定値をコントローラーから受け付けて第1の記憶手段に記憶し、その後、ページ画像のプリントの前の所定のタイミングで、その設定値を1ページ分ずつ第2の記憶手段へ転送し、その設定値を適用してページ画像のプリントをプリント機構に実行させている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
他方、ある画像形成装置は、露光装置の光学系などに起因して生じる静電潜像における画素幅の不均一性を抑制するために、画素幅を補正すべき画素(タイミング)を疑似乱数列を使用して決定し、そのようにして決定した画素の画素幅を、露光装置の発光時間を調整して補正している(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-61896号公報
【特許文献2】特開2022-20979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の画像形成装置は、第1の記憶手段および第2の記憶手段によるダブルバッファー構成を有しているが、複数のトナー色に対応する複数の書込制御部がそれぞれ独立して動作している場合には、上述の設定値を複数の書込制御部に提供するコントローラーが、互いに非同期な、複数のトナー色のページ画像のプリント開始タイミングを監視し、そのプリント開始タイミングより前に適時、上述の設定値を複数の書込制御部にそれぞれ提供する必要があり、コントローラーでの処理が複雑になり、上述の設定値の適用、ひいてはページ画像のプリント開始が遅延する可能性がある。
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、比較的簡単な構成で、ページ画像ごとの複数のトナー色についてのプリントの設定値を適用する画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る画像形成装置は、複数のトナー色に対応する複数のプリント機構と、前記複数のプリント機構をそれぞれ独立に制御して前記複数のトナー色のプリントを前記複数のプリント機構に実行させる複数の書込制御部と、第1記憶領域と、ページごとの設定値を前記第1記憶領域に記憶するコントローラーと、前記複数の書込制御部にそれぞれ対応する複数の第2記憶領域とを備える。そして、前記複数の書込制御部のうちの1つの書込制御部は、前記設定値を前記第1記憶領域から自己の前記第2記憶領域に転送し、前記第2記憶領域に記憶されている前記設定値を適用してページ画像を、対応する前記プリント機構にプリントさせ、前記複数の書込制御部のうちの残りの書込制御部は、前記設定値を前記複数の書込制御部のうちの他の書込制御部の前記第2記憶領域から自己の前記第2記憶領域に転送し、前記第2記憶領域に記憶されている前記設定値を適用してページ画像を、対応する前記プリント機構にプリントさせる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、比較的簡単な構成で、ページ画像ごとの複数のトナー色についてのプリントの設定値を適用する画像形成装置が得られる。
【0009】
本発明の上記又は他の目的、特徴および優位性は、添付の図面とともに以下の詳細な説明から更に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の機械的な内部構成の一部を示す側面図である。
【
図2】
図2は、
図1における露光装置2の部分的な構成(トナー1色分の構成)の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、
図1および
図2に示す画像形成装置の電気的構成の一部を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施の形態1に係る画像形成装置における画像データの転送を説明するタイミングチャートである。
【
図5】
図5は、実施の形態1に係る画像形成装置における設定値の転送を説明するタイミングチャートである。
【
図6】
図6は、実施の形態1に係る画像形成装置においてページ間で解像度が変更される場合のタイミングチャートである。
【
図7】
図7は、実施の形態3に係る画像形成装置における設定値の転送を説明するタイミングチャートである。
【
図8】
図8は、実施の形態4に係る画像形成装置における設定値の転送を説明するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0012】
実施の形態1.
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の機械的な内部構成の一部を示す側面図である。
図1に示す画像形成装置は、プリンター、ファクシミリ装置、複写機、複合機などといった、電子写真方式のプリント機能を有する装置である。
【0014】
この実施の形態の画像形成装置は、タンデム方式のプリントエンジンを有する。このカラー現像装置は、複数のトナー色に対応する感光体ドラム1a~1d、露光装置2、および現像装置3a~3dを有する。感光体ドラム1a~1dは、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの4色の感光体である。
【0015】
露光装置2は、複数のレーザー光線を走査しつつ感光体ドラム1a~1dに照射して、感光体ドラム1a~1d上に、プリント画像(ページ画像)の各色プレーンに対応する静電潜像を形成する。露光装置2は、レーザー光の光源であるレーザーダイオード、そのレーザー光を感光体ドラム1a~1dへ導く光学素子(レンズ、ミラー、ポリゴンミラーなど)を有する。
【0016】
さらに、感光体ドラム1a~1dの周囲には、スコロトロン等の帯電器、クリーニング装置、除電器などが配置されている。クリーニング装置は、1次転写後に、感光体ドラム1a~1d上の残留トナーを除去し、除電器は、1次転写後に、感光体ドラム1a~1dを除電する。
【0017】
現像装置3a~3dには、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの4色のトナーが充填されているトナーカートリッジがそれぞれ装着され、トナーカートリッジからトナーが供給され、キャリアとともに現像剤を構成する。現像装置3a~3dは、そのトナーを感光体ドラム1a~1d上の静電潜像に付着させてトナー像を形成する。
【0018】
感光体ドラム1a、露光装置2、および現像装置3aを含むプリント機構10aにより、あるトナー色(例えばブラック)の現像が行われ、感光体ドラム1b、露光装置2、および現像装置3bを含むプリント機構10bにより、別のトナー色(例えばマゼンタ)の現像が行われ、感光体ドラム1c、露光装置2、および現像装置3cを含むプリント機構10cにより、別のトナー色(例えばシアン)の現像が行われ、感光体ドラム1d、露光装置2、および現像装置3dを含むプリント機構10dにより、別のトナー色(例えばイエロー)の現像が行われる。
【0019】
中間転写ベルト4は、感光体ドラム1a~1dに接触し、感光体ドラム1a~1d上のトナー画像を1次転写される環状の像担持体である。中間転写ベルト4は、駆動ローラー5に張架され、駆動ローラー5からの駆動力によって、感光体ドラム1dとの接触位置から感光体ドラム1aとの接触位置への方向へ周回していく。
【0020】
転写ローラー6は、搬送されてくるプリントシートを中間転写ベルト4に接触させ、中間転写ベルト4上のトナー画像をプリントシートに2次転写する。なお、トナー画像を転写されたプリントシートは、定着器9へ搬送され、トナー画像がプリントシートへ定着される。
【0021】
ローラー7は、クリーニングブラシを有し、クリーニングブラシを中間転写ベルト4に接触させ、プリントシートへのトナー画像の転写後に中間転写ベルト4に残ったトナーを除去する。
【0022】
センサー8は、現像されたトナー像の濃度を測定する光学式センサーであって、中間転写ベルト4に光線を照射し、その反射光を検出する。例えば、トナー濃度調整の際、センサー8は、中間転写ベルト4の所定の領域に光線を照射しその反射光を検出し、その光量に応じた電気信号を出力する。
【0023】
図2は、
図1における露光装置2の部分的な構成(トナー1色分の構成)の一例を示す図である。
【0024】
図2において、発光素子21は、上述のレーザー光線を生成するレーザーダイオードなどといった発光素子である。光学系22は、発光素子21からポリゴンミラー23までの間、および/またはポリゴンミラー23から感光体ドラム1aおよびBDセンサー24までの間に配置された各種レンズ群である。光学系22には、fθレンズなどが使用される。
【0025】
また、ポリゴンミラー23は、感光体ドラム1aの軸に対して垂直な軸を有し、その軸に垂直な断面が多角形であり、その側面がミラーとなっている素子である。ポリゴンミラー23は、その軸を中心に回転し、発光素子21から出射したレーザー光線を感光体ドラム1aの軸方向(主走査方向)に沿って走査して、レーザー光線を走査する。モーター23aは、後述のコントローラー41などからの制御信号に従ってポリゴンミラー23を回転させる。
【0026】
また、BDセンサー24は、所定の検出位置に設置され、当該検出位置を上述のレーザー光線が走査されたタイミングを検出し、BD信号として出力する光学センサーである。BDセンサー24は、光線が入射すると、光量に応じた出力電圧を誘起する。BDセンサー24は、光線が走査される線上の所定位置に配置され、その所定位置上を光線が走査されたタイミングを検出し、そのタイミングで形成されるパルスをBD信号として出力する。
【0027】
ドライバー31は、発光素子21を制御して発光させレーザー光線を出射させる光源制御回路、上述のモーター23aを駆動するモーター駆動回路などを備える。この光源制御回路は、水平同期信号に同期して形成すべき画像に応じたパターンでレーザー光によって露光されるように発光素子21の発光制御を行う。
【0028】
図3は、
図1および
図2に示す画像形成装置の電気的構成の一部を示すブロック図である。例えば
図3に示すように、当該画像形成装置は、さらに、コントローラー41、RAM(Random Access Memory)などのメモリー42、および複数(ここでは4つ)のトナー色に対応する書込制御部43a~43dを備える。
【0029】
コントローラー41は、所定のプログラムを例えばCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサーで実行するコンピューターであり、ホスト装置などから供給されるプリントデータを受け付けて、プリントデータに対して所定の画像処理(色変換、ハーフトーニングなど)を実行し、これにより、各トナー色のプリント用の画像データを生成する。また、コントローラー41は、ユーザーなどにより指定されたプリント条件やプリントシートの種別などに応じて、プリントのパラメーターの設定値を特定する。
【0030】
メモリー42は、書き換え可能な記憶装置であって、メモリー42において、第1記憶領域41aが確保されているとともに、書込制御部43a~43dにそれぞれ対応する第2記憶領域44a~44dが確保されている。なお、第1記憶領域41aおよび第2記憶領域44a~44dは、互いに異なるメモリーに確保されていてもよい。
【0031】
複数の書込制御部43a~43dは、互いに独立して動作するハードウェア部分であり、複数のプリント機構10a~10dをそれぞれ独立に制御して複数のトナー色(CMYK)のプリントを複数のプリント機構10a~10dに実行させる。
【0032】
図4は、実施の形態1に係る画像形成装置における画像データの転送を説明するタイミングチャートである。書込制御部43a~43dは、それぞれ、BD信号に基づいて、ページに対応する垂直同期信号(Vsync1~Vsync4)と、ラインに対応する水平同期信号(Hsync1~Hsync4)とを生成し、水平同期信号(Hsync1~Hsync4)に同期して、画像有効信号(MRE信号)のアサート期間に画像データをコントローラー41から受け付ける。
【0033】
また、コントローラー41は、プリントすべき複数のページ画像について、ページごとの設定値を第1記憶領域41aに記憶する。
【0034】
書込制御部43aは、その設定値を第1記憶領域41aから自己の第2記憶領域44aに転送し、第2記憶領域44aに記憶されている設定値を適用してページ画像を、対応するプリント機構10aにプリントさせる。
【0035】
残りの書込制御部43b~43dは、その設定値を複数の書込制御部43a~43dのうちの他の(前段の)書込制御部43a~43cの第2記憶領域44a~44cから自己の第2記憶領域44b~44dに順番に転送し、第2記憶領域44b~44dに記憶されている設定値を適用してページ画像を、対応するプリント機構10b~10dにそれぞれプリントさせる。
【0036】
実施の形態1では、複数のページ画像を連続してプリントする際に、複数の書込制御部43a~43dは、それぞれ、複数のページ画像のうちのあるページ画像に対応する垂直同期信号Vsync1~Vsync4のアサート期間の終了から複数のページ画像のうちの次のページ画像に対応する垂直同期信号Vsync1~Vsync4のアサート期間の開始までのネゲート期間において、次のページ画像のための設定値をBD信号に同期して転送する。
【0037】
さらに、露光装置2は、レーザー光線が走査位置が検出位置となる際に発光素子21を所定期間、強制発光させ、複数の書込制御部43a~43dは、その強制発光の開始タイミングで、次のページ画像のための設定値を転送する。このように、その強制発光の開始タイミングをトリガーとして、次のページ画像のための設定値が転送されるため、次のページ画像のための設定値が、次のページ画像のプリントの開始前に確実に転送され、次のページ画像のプリントに確実に適用される。つまり、書込制御部43a~43dがコントローラー41(第1記憶領域41aへの設定値の書き込み)とは非同期に動作しており、BD信号の検出後に次のページ画像のための設定値が転送される場合には、次のページ画像のための設定値が、次のページ画像のプリントの開始前に確実に転送されない可能性があるが、強制発光の開始タイミングをトリガーとして次のページ画像のための設定値が転送されることで次のページ画像のプリントの開始前に確実に転送される。
【0038】
例えば、上述の設定値は、上述のBD信号の1周期あたりの水平同期信号のパルス数を含む。例えば、主走査方向の解像度を切り替える場合に、BD信号の1周期あたりの水平同期信号のパルス数が変更される。また、例えば解像度を変更せずに線速度が1/2にされる場合に、BD信号の2周期につき1つの水平同期信号のパルスが生成される。
【0039】
次に、実施の形態1に係る画像形成装置の動作について説明する。
【0040】
図5は、実施の形態1に係る画像形成装置における設定値の転送を説明するタイミングチャートである。例えば
図5に示すように、第1ページの設定値が第1記憶領域41aに記憶された後、書込制御部43aは、書込制御部43aの垂直同期信号Vsync1のネゲート期間において、BD信号(ここでは、BD信号に対応する強制発光期間の開始タイミング)に同期して、第1ページの設定値を第1記憶領域41aから自己の第2記憶領域44aに転送し、その第1ページの設定値に従って第1ページのページ画像(1色目のトナー色のページ画像)のプリントをプリント機構10aに実行させる。
【0041】
第1ページの設定値が第1記憶領域41aから第2記憶領域44aに転送された後、書込制御部43bは、書込制御部43bの垂直同期信号Vsync2のネゲート期間において、BD信号(ここでは、BD信号に対応する強制発光期間の開始タイミング)に同期して、第1ページの設定値を、前段の書込制御部43aの第2記憶領域44aから自己の第2記憶領域44bに転送し、その第1ページの設定値に従って第1ページのページ画像(2色目のトナー色のページ画像)のプリントをプリント機構10bに実行させる。
【0042】
同様に、第1ページの設定値が第2記憶領域44aから第2記憶領域44bに転送された後、書込制御部43cは、書込制御部43cの垂直同期信号Vsync3のネゲート期間において、BD信号(ここでは、BD信号に対応する強制発光期間の開始タイミング)に同期して、第1ページの設定値を、前段の書込制御部43bの第2記憶領域44bから自己の第2記憶領域44cに転送し、その第1ページの設定値に従って第1ページのページ画像(3色目のトナー色のページ画像)のプリントをプリント機構10cに実行させる。
【0043】
同様に、第1ページの設定値が第2記憶領域44bから第2記憶領域44cに転送された後、書込制御部43dは、書込制御部43dの垂直同期信号Vsync4のネゲート期間において、BD信号(ここでは、BD信号に対応する強制発光期間の開始タイミング)に同期して、第1ページの設定値を、前段の書込制御部43cの第2記憶領域44cから自己の第2記憶領域44dに転送し、その第1ページの設定値に従って第1ページのページ画像(4色目のトナー色のページ画像)のプリントをプリント機構10dに実行させる。
【0044】
このように、パイプライン処理で、設定値が第2記憶領域44a~44dへカスケードに転送されていく。
【0045】
そして、第2ページ以降の各ページの設定値は、同様のパイプライン処理で、垂直同期信号Vsync1~Vsync4の次のネゲート期間において、前段の第1記憶領域41aまたは第2記憶領域44a~44cから、同様にして転送され、その設定値に従ってページ画像のプリントが実行される。
【0046】
ここで、ページ間で解像度が変更される場合について説明する。
図6は、実施の形態1に係る画像形成装置においてページ間で解像度が変更される場合のタイミングチャートである。上述の設定値は、各ページ画像の解像度(主走査方向の解像度)の設定値を含み、第1ページおよび第3ページの設定値(主走査方向の解像度)がデフォルト値とされ、第2ページの設定値(主走査方向の解像度)がデフォルト値の2倍とされている場合、例えば
図6に示すように、第2ページの水平同期信号Hsync1~Hsync4の周期が、第1ページおよび第3ページの水平同期信号Hsync1~Hsync4の周期の半分とされる。
【0047】
なお、ここでは、1つのポリゴンミラー23ですべてのトナー色についてのレーザー光線を走査しており、単一のBD信号が生成されているが、複数のポリゴンミラー23で複数のトナー色についてのレーザー光線をそれぞれ走査するようにしてもよい。その場合には、各トナー色についてのBD信号が生成され、各トナー色について、そのBD信号に従って垂直同期信号および水平同期信号が生成される。
【0048】
また、上述の設定値は、すべてのトナー色について共通のものでもよいし、トナー色ごとに異なるものでもよい。その場合、すべてのトナー色についての設定値が最終段の第2記憶領域44dまで転送されるようにしてもよいし、自己および後段の書込制御部に対応するトナー色についての設定値のみ前段から転送され、後段の書込制御部に対応するトナー色についての設定値のみ後段へ転送されるようにしてもよい。
【0049】
以上のように、上記実施の形態1によれば、複数の書込制御部43a~43dのうちの1つの書込制御部43aは、ページごとの設定値を第1記憶領域41aから自己の第2記憶領域44aに転送し、第2記憶領域44aに記憶されている設定値を適用してページ画像を、対応するプリント機構10aにプリントさせる。また、残りの書込制御部43b~43dは、その設定値を他の書込制御部43a~43cの第2記憶領域44a~44cから自己の第2記憶領域44b~44dに転送し、第2記憶領域44b~44dに記憶されている設定値を適用してページ画像を、対応するプリント機構10b~10dにプリントさせる。
【0050】
これにより、比較的簡単な構成で、ページ画像ごとの複数のトナー色についてのプリントの設定値が適切なタイミングで転送されページ画像のプリントに適用される。
【0051】
また、複数のトナー色について垂直同期信号のアサート期間にズレがあっても円滑に設定値が第2記憶領域44a~44dへ転送されるとともに、プリントシートの間隔(つまり、垂直同期信号のネゲート期間)が短く、あるページの4色目がアサートする前に次ページの1色目がアサートする場合でも、多段のFIFOなどを設けることなく、1色目の次のページの設定値の転送を完了させることができる。
【0052】
実施の形態2.
【0053】
実施の形態2では、上述の画像形成装置(特開2022-20979号公報)と同様に、露光装置2は、露光装置2の光学系に起因して生じる静電潜像における画素幅の不均一性を抑制するために画素幅を補正すべき画素を、疑似乱数列を使用して決定し、決定した画素の画素幅を、発光素子21の発光時間を調整して補正しており、この疑似乱数列は、ページ画像において描画されるあるラインから次のラインへ連続しており、1ラインずつ更新されていく。
【0054】
また、実施の形態2では、発光素子21は、各トナー色のページ画像について複数のレーザー光線を生成可能なマルチビーム素子であり、露光装置2は、ページ画像におけるあるラインにおいて、その複数のレーザー光線のすべての点灯を許可し、ページ画像における別のラインにおいて、その複数のレーザー光線のうちの一部の点灯を禁止し、その複数のレーザー光線のうちの一部の点灯が禁止される際に、点灯が禁止された一部については、疑似乱数列の更新が停止されるようにしており、上述の設定値は、ページ画像ごとに、一部のレーザー光線の間欠点灯を行うか否かを指定しており、ひいては、疑似乱数列の更新が停止されるラインを指定している。
【0055】
なお、実施の形態2に係る画像形成装置のその他の構成および動作については、実施の形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0056】
以上のように、上記実施の形態2によれば、レーザー光線が点灯しないラインの前後で疑似乱数列の連続性が適切に維持される。
【0057】
実施の形態3.
【0058】
図7は、実施の形態3に係る画像形成装置における設定値の転送を説明するタイミングチャートである。
【0059】
複数のページ画像を連続してプリントする際に、例えば
図7に示すように、複数の書込制御部43a~43dは、それぞれ、複数のページ画像のうちのあるページ画像に対応する垂直同期信号Vsync1~Vsync4のアサート期間の開始タイミング(つまり、立ち上がりタイミング)で、当該ページ画像のための設定値を前段の記憶領域41a,44a~44cから転送する。
【0060】
なお、実施の形態3に係る画像形成装置のその他の構成および動作については、実施の形態1または2と同様であるので、その説明を省略する。
【0061】
実施の形態4.
【0062】
図8は、実施の形態4に係る画像形成装置における設定値の転送を説明するタイミングチャートである。
【0063】
複数のページ画像を連続してプリントする際に、例えば
図8に示すように、複数の書込制御部43a~43dは、それぞれ、複数のページ画像のうちのあるページ画像に対応する垂直同期信号Vsync1~Vsync4のアサート期間の終了タイミング(つまり、立ち下がりタイミング)で、次のページ画像のための設定値を前段の記憶領域41a,44a~44cから転送する。なお、実施の形態4では、第1ページの設定値は、初期設定として、書込制御部43aの垂直同期信号Vsync1の、第1ページに対応するアサート期間の開始前に、初期設定として記憶領域41a,44a~44dに順次転送される。
【0064】
なお、実施の形態4に係る画像形成装置のその他の構成および動作については、実施の形態1または2と同様であるので、その説明を省略する。
【0065】
なお、上述の実施の形態に対する様々な変更および修正については、当業者には明らかである。そのような変更および修正は、その主題の趣旨および範囲から離れることなく、かつ、意図された利点を弱めることなく行われてもよい。つまり、そのような変更および修正が請求の範囲に含まれることを意図している。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、例えば、電子写真方式の画像形成装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0067】
1a~1d 感光体ドラム
2 露光装置
10a~10d プリント機構
21 発光素子
22 光学系
24 BDセンサー(光学センサーの一例)
41 コントローラー
41a 第1記憶領域
43a~43d 書込制御部
44a~44d 第2記憶領域