(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177707
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】車載収容装置
(51)【国際特許分類】
B60N 3/10 20060101AFI20231207BHJP
【FI】
B60N3/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090528
(22)【出願日】2022-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】釜谷 拓人
(72)【発明者】
【氏名】飯谷 憲司
(72)【発明者】
【氏名】竹嶋 浩二
【テーマコード(参考)】
3B088
【Fターム(参考)】
3B088LB01
3B088LB05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】外部への物品の脱落を抑制し得る車載収容装置を提供すること。
【解決手段】箱状をなし、内部の収容空間20と外部とを連絡する連絡開口22を有する収容部材2と連絡開口22を経て収容空間に突出するサポート部材4とを有し、サポート部材は、突出位置と、突出位置に比べて収容空間への突出量の小さな退避位置と、の間を位置変化し、サポート部材の表面は、側方を向き、サポート部材が突出位置にあるときには収容空間に露出し、かつ、サポート部材が退避位置にあるときには連絡開口の内部において連絡開口の側縁部22fと離隔する、離隔領域40を有し、収容部材は、連絡開口の周縁部に、収容空間の外部側に延在し離隔領域を側方および下方から覆うカバー壁25を有し、カバー壁はサポート部材の外面4osに向けて突出するカバー側リブ25rを有するか、または、サポート部材はカバー壁の内面25isに向けて突出するサポート側リブ4rを有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱状をなし、内部の収容空間と外部とを連絡する連絡開口を有する収容部材と、
前記連絡開口を経て前記収容空間に突出するサポート部材と、を有し、
前記サポート部材は、突出位置と、前記突出位置に比べて前記収容空間への突出量の小さな退避位置と、の間を位置変化し、
前記サポート部材の表面は、側方を向き、前記サポート部材が前記突出位置にあるときには前記収容空間に露出し、かつ、前記サポート部材が前記退避位置にあるときには前記連絡開口の内部において前記連絡開口の側縁部と離隔する、離隔領域を有し、
前記収容部材は、前記連絡開口の周縁部に、前記収容空間の外部側に延在し前記離隔領域を前記側方および下方から覆うカバー壁を有し、
前記カバー壁は前記サポート部材の外面に向けて突出するカバー側リブを有するか、または、前記サポート部材は前記カバー壁の内面に向けて突出するサポート側リブを有する、車載収容装置。
【請求項2】
前記カバー壁は前記サポート部材の外面に向けて突出するカバー側リブを有し、
前記サポート部材は前記カバー壁の内面に向けて突出するサポート側リブを有し、
前記サポート部材が前記突出位置以外の位置にあるときに、前記カバー側リブと前記サポート側リブとは、前記サポート部材の位置変化方向においては離れており、かつ、前記位置変化方向に交差する方向においてはオーバーラップしている、請求項1に記載の車載収容装置。
【請求項3】
さらに、前記サポート部材を前記突出位置に付勢する付勢部材を有し、
前記サポート部材が前記突出位置にあるときに、前記カバー側リブと前記サポート側リブとは当接する、請求項2に記載の車載収容装置。
【請求項4】
前記収容部材は、前記収容空間の外側に無線充電器を有し、
前記サポート部材は少なくとも前記突出位置において前記離隔領域を前記無線充電器側に向ける、請求項1~請求項3の何れか一項に記載の車載収容装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両室内に搭載されて物品を収容する車載収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両室内に搭載されて物品を収容する車載収容装置としては、従来から種々のものが知られている。車載収容装置のなかには、収容した物品を収容空間の内部で安定的に支持するためのサポート部材を有するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に紹介されている車両用テーブル10は、飲料容器Dを収容保持可能な収容空間41aを有するドリンクホルダ部40を備えるものである。
より具体的には、ドリンクホルダ部40は、収容空間21aを有するリテーナ21と、収容空間21aに挿入された飲料容器Dを支持するフラップ24とを備えている。このうちリテーナ21bは物品を収容保持するための収容部材として機能する。リテーナ21bには収容空間21aと外部とを連絡する連絡開口が設けられ、フラップ24は当該連絡開口を経て収容空間41aに突出し、飲料容器Dをその側面側から支持するサポート部材として機能する。
【0004】
特許文献1に紹介されているドリンクホルダ部40において、フラップ24は突出方向の後側上方から突出方向の先側下方に向けて傾斜する傾斜面を有している(例えば特許文献1の
図3参照)。引用文献1には特に説明はないが、当該傾斜面は、様々な大きさの飲料容器Dに対応するためのものと解される。
特許文献1に紹介されている技術によると、収容部材すなわちリテーナの収容空間に物品すなわち飲料容器を収容し、当該物品をサポート部材すなわちフラップで側面側から支持することにより、収容空間内に安定的に支持することができると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の発明者は、上記した類いのサポート部材を車載収容装置に設けるにあたり、当該車載収容装置の更なる機能向上を図るべく、鋭意検討を重ねた。そして、この種の車載収容装置における問題点を見いだした。
【0007】
例えば特許文献1のドリンクホルダ部40では、フラップ24が収容空間21aに突出した第1位置と収容空間21aから引っ込んだ第2位置との間で移動可能である。特許文献1の
図3に示されているように、フラップ24が第1位置にあるときにはフラップ24の傾斜面は収容空間21aに露出する。そしてフラップ24が収容空間21aの外部に向けて移動すると、フラップ24の傾斜面はフラップ24が出入りする連絡開口に近づいてゆく。
【0008】
ここで、フラップ24のうち収容空間21aの外側に近い部分には傾斜面がないために、
図3に示されている第1位置においてはフラップ24と連絡開口の外縁とは近接しており、両者の間に隙間はほぼ無い。
【0009】
これに対し、フラップ24が第2位置に配置されると、フラップ24の傾斜面が連絡開口の上縁部に対面する。傾斜面は突出方向の後側上方から突出方向の先側下方に向けて傾斜しているため、第2位置においてはフラップ24の傾斜面と連絡開口の上縁部とが離隔し、両者の間には隙間が生じる。
【0010】
上記した傾斜面と連絡開口の上縁部との隙間には、例えばレシート等の小型または薄型の物品が入り込む可能性がある。隙間に入り込んだ当該物品がリテーナ21bの外側に落ち込んだ場合、当該物品の回収は非常に困難である。
【0011】
さらに、この種のドリンクホルダ部40を例えばインストルメントパネル等の車両用内装品に設ける場合には、上記の隙間を経て外部に落ち込んだ物品を回収するためには当該車両用内装品全体を取り外す必要があり、当該物品の回収が実質的に不可能になる場合もある。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、連絡開口を経た外部への物品の脱落を抑制し得る車載収容装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決する本発明の車載収容装置は、
箱状をなし、内部の収容空間と外部とを連絡する連絡開口を有する収容部材と、
前記連絡開口を経て前記収容空間に突出するサポート部材と、を有し、
前記サポート部材は、突出位置と、前記突出位置に比べて前記収容空間への突出量の小さな退避位置と、の間を位置変化し、
前記サポート部材の表面は、側方を向き、前記サポート部材が前記突出位置にあるときには前記収容空間に露出し、かつ、前記サポート部材が前記退避位置にあるときには前記連絡開口の内部において前記連絡開口の側縁部と離隔する、離隔領域を有し、
前記収容部材は、前記連絡開口の周縁部に、前記収容空間の外部側に延在し前記離隔領域を前記側方および下方から覆うカバー壁を有し、
前記カバー壁は前記サポート部材の外面に向けて突出するカバー側リブを有するか、または、前記サポート部材は前記カバー壁の内面に向けて突出するサポート側リブを有する、車載収容装置である。
【0014】
本発明の車載収容装置によると、連絡開口を経た外部への物品の脱落を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施例1の車載収容装置の全体を斜めから見た様子を模式的に説明する説明図である。
【
図2】実施例1の車載収容装置を上方から見た様子を模式的に説明する説明図である。
【
図3】実施例1の車載収容装置の動作を説明する説明図である。
【
図4】実施例1の車載収容装置の動作を説明する説明図である。
【
図5】実施例2の車載収容装置の動作を説明する説明図である。
【
図6】実施例2の車載収容装置の動作を説明する説明図である。
【
図7】実施例3の車載収容装置の動作を説明する説明図である。
【
図8】実施例3の車載収容装置の動作を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の車載収容装置は、収容部材及びサポート部材を有する。収容部材は、箱状をなし、内部の収容空間と外部とを連絡する連絡開口を有するものである。一方、サポート部材は、収容部材の連絡開口を経て収容空間に突出するものである。サポート部材は、収容空間に物品を収容保持する機能を有し、サポート部材は、収容空間に収容保持された物品を側方から支持する機能を有するともいい得る。
【0017】
本発明の車載収容装置において、サポート部材の表面は離隔領域を有する。当該離隔領域は、側方を向き、サポート部材が突出位置にあるときには収容空間に露出し、かつ、サポート部材が退避位置にあるときには連絡開口の内部において連絡開口の側縁部と離隔する。つまり退避位置において連絡開口の側縁部と離隔領域との間には隙間が生じる。当該隙間には薄型や小型の物品が入り込み得る。
【0018】
しかし、本発明の車載収容装置における収容部材は、連絡開口の周縁部に、収容空間の外部側に延在するカバー壁を有する。当該カバー壁は、離隔領域を側方および下方から覆う。上記の隙間が少なくとも側方及び下方からカバー壁によって覆われることで、隙間に入り込んだ物品は、それ以上外方に移動し難く、収容部材の外部に落ち込み難い。これにより、本発明の車載収容装置によると外部への物品の脱落を抑制することができる。
【0019】
また、本発明の乗員収容装置は、上記のカバー壁がサポート部材の外面に向けて突出するカバー側リブを有するか、または、サポート部材がカバー壁の内面に向けて突出するサポート側リブを有する。本発明の車載収容装置によると、カバー側リブまたはサポート側リブを有することにより、カバー壁とサポート部材との間の空間が充分に狭められ、当該空間に物品が入り込み難くなるために、外部への物品の脱落をより信頼性高く抑制することができる。
【0020】
以下、本発明の車載収容装置をその構成要素毎に説明する。
なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「x~y」は、下限x及び上限yをその範囲に含む。そして、これらの上限値及び下限値、並びに実施例中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで新たな数値範囲を構成し得る。更に、上記の何れかの数値範囲内から任意に選択した数値を新たな数値範囲の上限、下限の数値とすることができる。
【0021】
本発明の車載収容装置は、車両室内に搭載される車載収容装置である。本発明の車載収容装置は単独で車両室内に搭載されても良いし、例えばコンソールボックスやテーブル等の他の車載装置に一体化され、当該他の車載装置とともに車両室内に搭載されても良い。さらには、インストルメントパネルやフロア等の車両用内装部材に一体化され当該車両用内装部材とともに車両室内に搭載されても良い。
【0022】
本発明の車載収容装置は、収容部材及びサポート部材を具備する。
【0023】
このうち収容部材は、箱状をなし、内部の収容空間と外部とを連絡する連絡開口と、当該連絡開口の周縁部にあるカバー壁とを有する。
連絡開口の数や位置、形状は、サポート部材の数や位置、形状に対応して適宜適切に設定すれば良い。
カバー壁については追って詳説する。
【0024】
収容空間は、収容保持すべき物品の種類や大きさ等に応じた形状を有すれば良い。ここで、本発明の車載収容装置における収容空間に収容保持する物品は特に限定しないが、その具体例として、スマートフォンやタブレット等のモバイル機器、ペットボトルや紙コップ、マグカップ等の飲料容器を例示し得る。
【0025】
箱状をなす収容部材は、上記した連絡開口以外に、物品を収容空間に出し入れするための開口を有する。当該開口を出入開口と称する。
【0026】
出入開口の形状や向きは、収容空間への物品の出し入れを阻害しない形状や向きであれば良く、収容保持の対象となる物品に応じて適宜適切な形状に設定すれば良い。既述したように本発明の車載収容装置はサポート部材によって物品の側面を支持するため、物品を安定的に収容保持することを考慮すると、収容部材の出入開口は上方を向くのが好適といえる。
【0027】
サポート部材は、収容部材の連絡開口を経て収容空間に突出する部材であり、突出位置と退避位置との間を位置変化する。
このうち退避位置は、突出位置に比べて収容空間への突出量が小さくなる位置である。つまり、収容空間へのサポート部材の突出量は、退避位置から突出位置に向けて大きくなり、突出位置から退避位置に向けて小さくなる。当該サポート部材の突出量は、サポート部材のうち収容空間に突出した部分の長さ、または、サポート部材のうち収容空間に突出した部分の体積と言い換える事もできる。
【0028】
サポート部材は上記した突出位置と退避位置との間を如何なる機構で位置変化しても良い。
例えば、サポート部材は、収容部材に対してスライドすることにより突出位置と退避位置との間を位置変化しても良い。または、サポート部材は、収容部材に対して回動することにより突出位置と退避位置との間を位置変化しても良い。
【0029】
本発明の車載収容装置は、サポート部材を突出位置と退避位置との間の少なくとも一部で自動的に位置変化させるための駆動要素を有しても良い。当該駆動要素は、バネ等の付勢力を用いた付勢部材であっても良いし、電動モータ等のアクチュエータであっても良い。
駆動要素が付勢部材である場合には、当該駆動要素はサポート部材を退避位置から突出位置に向けて駆動するのが好適である。
【0030】
なお、例えば一定形状の物品のみをサポート部材で支持する場合には、本発明の車載収容装置は駆動要素を有しなくても良い。
【0031】
この場合には、例えば突出位置及び退避位置においてそれぞれサポート部材をロックするロック機構を設け、ユーザーが手動でサポート部材を位置変化させて、突出位置及び退避位置でそれぞれロックする態様にするのが好適である。この場合にも、サポート部材は突出位置において収容空間に収容保持した物品をサポート部材で支持できる。
【0032】
本明細書では、必要に応じて、上記したサポート部材を位置変化させるための機構を位置変化機構と称する。当該位置変化機構は、例えば、サポート部材を回動させるための回動機構や、サポート部材をスライドさせるためのスライド機構等を含み得る。回動機構としては、例えば、サポート部材と収容部材との一方に設けられた回動軸と、サポート部材と収容部材との他方に設けられ当該回動軸を枢支する軸支部と、を例示できる。スライド機構としては、例えば、サポート部材と収容部材との一方に設けられたピンと、サポート部材と収容部材との他方に設けられ当該ピンが挿入されるガイド溝と、を例示できる。その他、位置変化機構は、サポート部材を突出位置および/または退避位置に位置変化させるための駆動要素、サポート部材を任意の位置にロックするためのロック要素、サポート部材を任意の方向や位置に位置変化させるためのガイド機構等を含み得る。
【0033】
既述したように、サポート部材の表面は、離隔領域を有する。離隔領域は、側方を向き、サポート部材が突出位置にあるときには収容空間に露出し、かつ、サポート部材が退避位置にあるときには連絡開口の内部において連絡開口の側縁部と離隔する。
【0034】
なお、ここでいう側方とは、上方および下方以外の方向を意味する。また、連絡開口の側縁部における「側」は、離隔領域が向く「側」方と同じ方向を意味する。例えば、離隔領域が前方を向く場合、退避位置において、離隔領域は連絡開口の前縁部と離隔する。
【0035】
このような離隔領域の形状は、サポート部材の形状、サポート部材で支持すべき物品の形状、サポート部材の位置変化機構等に応じて、適宜適切に設定すれば良い。例えば離隔領域は、既述した特許文献1におけるドリンクホルダ部の傾斜面であっても良い。
【0036】
本発明の車載収容装置における収容部材は、連絡開口の周縁部にカバー壁を有する。当該カバー壁は、収容空間の外部側に延在し離隔領域を側方および下方から覆う部分である。ここでいう側方もまた、上記した離隔領域の向く方向と同じ方向であり、例えば離隔領域が前側方を向く場合、カバー壁は離隔領域を前側方および下方から覆う。
【0037】
カバー壁は、サポート部材の側方及び下方から、上記した連絡開口の側縁部と離隔領域との間に生じる隙間の一部を覆うことができれば良い。カバー壁が当該隙間の一部でも覆えば、当該隙間を経た外部への物品の位置変化をカバー壁によって干渉できるため、物品の外部への脱落を抑制する効果がある。
【0038】
ここで、既述したように連絡開口の側縁部と離隔領域との間に生じた隙間は、下方からカバー壁で覆われる。このため、当該隙間や離隔領域を特に上方から覆わなくても、当該隙間に入り込んだ物品は自重により下方に落ち、下方のカバー壁によって受け止められると考えられる。しかし万全を期すためには、カバー壁は離隔領域をさらに上方からも覆うのがより好ましい。
【0039】
本発明の車載収容装置は、既述したカバー側リブまたはサポート側リブを有する。このうちカバー側リブはカバー壁の一部でありサポート部材の外面に向けて突出する。またサポート側リブは、サポート部材の一部でありカバー壁の内面に向けて突出する。換言すると、カバー側リブは、サポート部材に向けて突出し当該サポート部材の外面に対面する。またサポート側リブは、カバー壁に向けて突出し、当該カバー壁の内面に対面する。
本発明の車載収容装置は、このようなカバー側リブまたはサポート側リブを有することで、カバー壁とサポート部材との距離を近づけることができるため、カバー壁とサポート部材との間への物品の侵入を抑制できる。また、当該カバー側リブまたはサポート側リブを有することで、本発明の車載収容装置では、カバー壁とサポート部材との間に物品が侵入した場合にも、当該物品が更に外部側に進むことを抑制でき、外部への物品を信頼性高く抑制できる。
【0040】
本発明の車載収容装置は、上記したカバー側リブおよびサポート側リブの両方を有するのが好適である。さらにこの場合、サポート部材が突出位置以外の位置にあるときに、カバー側リブと前記サポート側リブとは、サポート部材の位置変化方向においては離れており、かつ、当該位置変化方向に交差する方向においてはオーバーラップしているのが更に好適である。このようなカバー側リブおよびサポート側リブによると、カバー壁とサポート部材との間の空間をラビリンス状に区画でき、カバー壁とサポート部材との間への物品の侵入をより信頼性高く抑制でき、かつ、カバー壁とサポート部材との間に侵入した物品が更に外部側に進むことをより信頼性高く抑制できる利点がある。
【0041】
以下、具体例を挙げて本発明の車載収容装置を説明する。
【0042】
(実施例1)
実施例1の車載収容装置は、車両室内に搭載され、センターコンソールボックスの一部を構成する。実施例1の車載収容装置は物品としてのスマートフォンを収容保持するためのものである。
【0043】
実施例1の車載収容装置の全体を斜めから見た様子を模式的に説明する説明図を
図1に示す。実施例1の車載収容装置を上方から見た様子を模式的に説明する説明図を
図2に示す。実施例1の車載収容装置の動作を説明する説明図を
図3及び
図4に示す。なお、
図3はサポート部材が退避位置にある様子を表し、
図4はサポート部材が突出位置にある様子を表す。
【0044】
以下、上、下、左、右、前、後とは各図に示す上、下、左、右、前、後を指すものとする。なお、上下方向は鉛直方向と一致し、左右方向は実施例1の車載収容装置を搭載する車両の車幅方向と一致する。前は当該車両の進行方向先側であり、後は当該車両の進行方向後側である。
【0045】
図1に示すように、実施例1の車載収容装置1は、収容部材2、2つのサポート部材4、2つの付勢部材5、及び、無線充電器6を有する。
【0046】
収容部材2は、内部に収容空間20を有しかつ出入開口21を上方に向ける箱状をなす。収容部材2の左右側壁には、各々一つずつ、収容空間20の内部と外部とを連絡する連絡開口22が設けられている。連絡開口22は上下に延びるスリット状をなす。
【0047】
収容部材2のうち、各連絡開口22の周縁部には、環状をなし、収容部材2の外面から更に外部側に突起するカバー壁25が設けられている。カバー壁25は、収容空間20の外部において、収容部材2の外面からさらに外部側に延在している。
【0048】
2つのサポート部材4は、略短柱状をなし、収容部材2のうち各連絡開口22に対面する位置に各々1つずつ取り付けられている。各サポート部材4は、その長手方向を上下方向に向けている。
【0049】
図2に示すように、サポート部材4は当該連絡開口22を経て収容空間20に突出する。なお、収容空間20の底部には、滑り止め用のゴムシート80が貼られている。
【0050】
図3に示すように、カバー壁25は、各々対応するサポート部材4に向けて突出するカバー側リブ25rを有する。サポート部材4は、カバー壁25に向けて突出するサポート側リブ4rを有する。より詳しくは、カバー側リブ25rは、サポート部材4の外面4osに向けて突出する。また、サポート側リブ4rは、カバー壁25の内面25isに向けて突出する。
【0051】
カバー側リブ25rとサポート側リブ4rとは、左右方向すなわち収容空間20側-外部側方向に離隔しつつ、前後方向において互いにオーバーラップするように互い違いに突出し、カバー壁25とサポート部材4との間の空間をラビリンス状に区画している。
【0052】
図3および
図4に示すように、サポート部材4は、さらに、ロッド状の回動軸45を有する。回動軸45はサポート部材4のうち上側かつ外側つまり収容空間20から遠い側の端部に設けられ、軸線方向を前後に向ける。
【0053】
収容部材2には、回動軸45に対応する位置に、当該回動軸45を軸支するための軸支部(図略)が設けられている。
各軸支部に回動軸45が軸支されることで、サポート部材4は収容部材2に対して回動し、
図3に示す退避位置と、
図2および
図4に示す突出位置との間を位置変化する。退避位置から突出位置に向けて回動すると、サポート部材4の下端部は上向し、当該サポート部材4は収容空間20に大きく突出する。突出位置から退避位置に向けて回動すると、サポート部材4の下端部は下向し、当該サポート部材4は収容空間20の外部に向けて退避するために、収容空間20へのサポート部材4の突出量は小さくなる。
【0054】
実施例1の車載収容装置1は、駆動要素としての付勢部材5を有する。付勢部材5はねじりコイルバネ製であり、付勢力を蓄積した状態で収容部材2とサポート部材4との間に介装されている。より具体的には、付勢部材5は回動軸45に装着されており、当該付勢部材5の一端は収容部材2に固定され、他端はサポート部材4に固定されている。
実施例1の車載収容装置1では、回動軸45、図略の軸支部、および、付勢部材5が位置変化機構に含まれる。
【0055】
収容空間20に大型の物品を収容保持する場合等には、収容空間20の外側に向けた力がサポート部材4に作用する。当該力が付勢部材5の付勢力を上回ると、サポート部材4は付勢部材5の付勢力に抗して、収容空間20の外側に向けて、すなわち、
図3に示す退避位置に向けて回動する。
【0056】
サポート部材4の表面のうち前側に位置する領域は、外部側かつ前側から収容空間20の内部側かつ後側に向けて傾斜する傾斜面になっている。当該領域は、実施例1の車載収容装置1におけるサポート部材4の離隔領域40である。
【0057】
収容空間20に物品たるスマートフォン90を収容保持させると、サポート部材4が当該スマートフォン90の側面に当接する。サポート部材4は、離隔領域40、すなわち、外部側かつ前側から収容空間20の内部側かつ後側に向けて傾斜する傾斜面を有する。このため、付勢部材5の付勢力によってサポート部材4の下端部が収容空間20の内部に向けて大きく突出するにつれて、傾斜面状の離隔領域40によってスマートフォン90が前方に押圧される(
図4)。
【0058】
実施例1の車載収容装置1において、収容空間20の前側部分には無線充電器6が配置されている。このためサポート部材4によって前側に押圧されたスマートフォン90は無線充電器6に近づき、当該無線充電器6により充電される。つまり、実施例1の車載収容装置1におけるサポート部材4は、スマートフォン90を側面側から支持する機能に加えて、スマートフォン90を無線充電器6に対して位置決めする機能を有する。
【0059】
離隔領域40は、
図3及び
図4に示すように側方すなわち前方を向き、サポート部材4が
図4に示す突出位置にあるときには収容空間20に露出する。また当該離隔領域40は、サポート部材4が
図3に示す退避位置にあるときには、連絡開口22の内部において、連絡開口22の側縁部すなわち前縁部22fと離隔する。
つまり
図3に示す退避位置においては、連絡開口22の前縁部22fと離隔領域40との間に隙間cが生じる。なお、実施例1の車載収容装置1において、当該隙間cは、サポート部材4が突出位置から退避位置に向けて位置変化を始めると生じ、退避位置において最大になる。
【0060】
当該隙間cを介して収容空間20が外部に連絡するため、サポート部材4が
図4に示す突出位置以外の位置にあるときには、収容空間20に収容保持されていた小型や薄型の物品が、当該隙間cに入り込み、さらには当該隙間cを通じて収容部材2の外部、ひいては、車載収容装置1の外部に脱落する虞がある。
【0061】
しかし、収容部材2のうち各連絡開口22の周縁部には、収容空間20の外部側に延在するカバー壁25が設けられている。
図1に示すように、当該カバー壁25は、連絡開口22を全周にわたって径方向外側から覆う環状をなす。したがって、カバー壁25は、上記したサポート部材4の離隔領域40を前方、下方及び上方から覆う。または、当該カバー壁25は、上記した連絡開口22の前縁部22fと離隔領域40との間の隙間cを前方、下方及び上方から覆う、ともいい得る。
【0062】
したがって、隙間cに入り込んだ物品は、カバー壁25によって干渉され、収容部材2の外部にまで到達し難い。これにより、実施例1の車載収容装置1によると、小型や薄型の物品が連絡開口22を経て隙間cに入り込んだ場合にも、当該物品が収容部材2の外部に脱落することを抑制可能である。
【0063】
また、
図3に示すように、サポート部材4が突出位置以外の位置にあるときには、隙間cはサポート部材4のサポート側リブ4rによって外側(
図3においては左側)から覆われる。このため、隙間cに入り込んだ物品は、サポート側リブ4rによっても干渉され、収容部材2の外部にまで到達し難い。このことによっても、実施例1の車載収容装置1によると、外部への物品の脱落を抑制することが可能である。
【0064】
さらに、
図3に示すように、カバー側リブ25rとサポート側リブ4rとは、前後方向、すなわちサポート部材4の位置変化方向に交差する方向においてオーバーラップしている。これにより、隙間cに入り込んだ物品の外部への位置変化をより効果的に阻害することが可能であり、外部への物品の脱落をより効果的に抑制することが可能である。
【0065】
ここで、
図4に示すようにサポート部材4が突出位置にあるときには、カバー側リブ25rとサポート側リブ4rとは当接する。このため、カバー側リブ25rおよびサポート側リブ4rは、サポート部材4の突出位置を超えた更なる位置変化を阻害するためのストッパ部としても機能する。
【0066】
実施例1の車載収容装置1は車両に搭載される装置であるために、車両の走行時等に外力を受けると、サポート部材4が収容部材2に対してがたつく場合がある。当該外力が大きい場合には、収容空間20に収容保持されたスマートフォン90の側面をサポート部材4によって安定的に支持し難くなる虞もある。
【0067】
実施例1の車載収容装置1における付勢部材5は、自身に蓄積された付勢力によって、サポート部材4を突出位置に付勢し、かつ、サポート部材4が突出位置にあるときにも付勢力を僅かに蓄積した状態にある。このため、
図4に示すようにサポート部材4が突出位置にあるときには、付勢部材5の付勢力によってカバー側リブ25rとサポート側リブ4rとは互いに圧接する。
【0068】
このようにカバー側リブ25rとサポート側リブ4rとが互いに圧接することは、上記したサポート部材4のがたつきを抑制するのに効果的である。つまり、実施例1の車載収容装置1におけるカバー側リブ25r、サポート側リブ4r及び付勢部材5は、サポート部材4を突出位置に安定的に配置するための簡易的なロック機構としても機能する。これにより、実施例1の車載収容装置1は、収容空間20に収容保持された物品の側面を、サポート部材4によってより安定的に支持することが可能である。
【0069】
(実施例2)
実施例2の車載収容装置は、サポート部材の形状、付勢部材を含むサポート部材の位置変化機構、及びカバー壁の形状において実施例1の車載収容装置と相違し、その余においては実施例1の車載収容装置と概略同じものである。
実施例2の車載収容装置の動作を説明する説明図を
図5及び
図6に示す。なお、
図5はサポート部材が退避位置にある様子を表し、
図6はサポート部材が突出位置にある様子を表す。
【0070】
実施例2の車載収容装置1における収容部材2には、各連絡開口22につき一つずつのガイド部(図略)が設けられている。各ガイド部は、溝状をなし、左右方向すなわち収容空間20側-外部側方向に直線的に延びている。サポート部材4は、各々対応するガイド部に装着され、当該ガイド部に沿って収容空間20側-外部側方向にスライドする。
【0071】
図5及び
図6に示すように、実施例2の車載収容装置1は、駆動要素としての付勢部材5を有する。付勢部材5はつる巻きバネ製であり、圧縮されて付勢力を蓄積し、伸張して当該付勢力を放出する。
【0072】
図5に示すように、付勢部材5は、収容部材2に設けられているバネ装着部24に装着されている。サポート部材4には、当該バネ装着部24よりも収容空間20側に位置するバネ当て部44が設けられている。付勢部材5は、当該バネ装着部24とバネ当て部44との間に圧縮状態で介在している。このためサポート部材4は、付勢部材5の付勢力によって、収容空間20に突出する突出位置(
図6)に向けてスライドする。サポート部材4のスライド方向は、バネ当て部44とサポート部材4自身の内面と、によって案内される。
【0073】
収容空間20に大型の物品を収容保持する場合等には、収容空間20の外側に向けた力がサポート部材4に作用する。当該力が付勢部材5の付勢力を上回ると、サポート部材4は付勢部材5の付勢力に抗して、収容空間20の外側に向けて、すなわち、
図5に示す退避位置に向けてスライドする。
実施例2の車載収容装置1では、バネ当て部44、サポート部材4の内面、バネ装着部24、及び付勢部材5が位置変化機構に含まれる。
【0074】
サポート部材4の表面のうち前側に位置する領域は、外部側かつ前側から収容空間20の内部側かつ後側に向けて傾斜する傾斜面になっている。当該領域は、実施例2の車載収容装置1におけるサポート部材4の離隔領域40である。
【0075】
実施例2の車載収容装置1においても、収容空間20に物品たるスマートフォン90を収容保持させると、サポート部材4が当該スマートフォン90の側面に当接し、離隔領域40によってスマートフォン90を前方に押圧する(
図6)。これによりスマートフォン90は無線充電器6に近づき、当該無線充電器6により充電される。
【0076】
実施例2の車載収容装置においても、
図5に示す退避位置においては、連絡開口22の前縁部22fと離隔領域40との間に隙間cが生じるが、当該隙間cは、カバー壁25によって前方、下方及び上方から覆われる。したがって、隙間cに薄型や小型の物品が入り込んだとしても、当該物品は収容部材2の外部にまで到達し難い。これにより、実施例2の車載収容装置1によっても、外部への物品の脱落を抑制することが可能である。
【0077】
また、実施例2の車載収容装置1においても、サポート側リブ4rおよびカバー側リブ25rによって、隙間cに入り込んだ物品は収容部材2の外部にまで到達し難く、外部への物品の脱落を抑制することが可能である。さらに、当該サポート側リブ4rおよびカバー側リブ25rは、ストッパ部としても機能する。
【0078】
(実施例3)
実施例3の車載収容装置は、カバー壁の形状において実施例1の車載収容装置と相違し、その余においては実施例1の車載収容装置と概略同じものである。
実施例3の車載収容装置の動作を説明する説明図を
図7及び
図8に示す。なお、
図7はサポート部材が退避位置にある様子を表し、
図8はサポート部材が突出位置にある様子を表す。
【0079】
図7及び
図8に示すように、実施例3の車載収容装置1におけるサポート部材4実施例1の車載収容装置1におけるサポート部材4と同様に、
図8に示す突出位置と
図7に示す退避位置との間を回動することで位置変化する。
【0080】
実施例3の車載収容装置1では、サポート部材4がサポート側リブ4rを有するものの、カバー壁25はカバー側リブ25rを有さない。
しかし、実施例3の乗員保護システムでは、
図8に示す突出位置においても、
図7に示す退避位置においても、サポート側リブ4rはカバー壁25の近傍にまで突出している。これにより、実施例3の車載収容装置1においても、カバー壁25とサポート部材4との間の空間が充分に狭められる。
【0081】
また、
図8に示すように、突出位置においてサポート側リブ4rは連絡開口22の周縁部に対面し、当該周縁部に当接する。これにより、隙間cに入り込んだ物品の外部への位置変化が充分に効果的に阻害され、外部への物品の脱落を信頼性高く抑制することが可能である。
【0082】
また、上記したように、サポート部材4が
図8に示す突出位置にあるときに、サポート側リブ4rが連絡開口22の周縁部に当接する。これにより、実施例3の車載収容装置1においては、連絡開口22の周縁部およびサポート側リブ4rが、サポート部材4の突出位置を超えた更なる位置変化を阻害するためのストッパ部として機能する。
【0083】
以上本発明を説明してきたが、本発明は、上述した実施形態等に限定されるものではなく、当該実施形態等に記載した要素を適宜抽出し組み合わせて実施することや、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0084】
1:車載収容装置
2:収容部材
20:収容空間
22:連絡開口
22f:連絡開口の前縁部(連絡開口の側縁部)
25:カバー壁
25r:カバー側リブ
4:サポート部材
40:離隔領域
4r:サポート側リブ
5:付勢部材
6:無線充電器