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特開2023-177759エレベーター故障監視システム及びエレベーター故障監視方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177759
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】エレベーター故障監視システム及びエレベーター故障監視方法
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20231207BHJP
   B66B 5/00 20060101ALI20231207BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
G08B25/04 B
B66B5/00 G
B66B3/00 L
B66B3/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090603
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】薛 祺
(72)【発明者】
【氏名】魚谷 翔吾
【テーマコード(参考)】
3F303
3F304
5C087
【Fターム(参考)】
3F303BA01
3F303CB31
3F303DA08
3F303EA01
3F303EA02
3F303EA03
3F303EA09
3F304ED13
3F304ED17
3F304ED18
5C087AA02
5C087AA09
5C087AA10
5C087AA19
5C087AA37
5C087AA44
5C087DD08
5C087DD18
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG02
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG83
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ロボットを管理対象内に組み入れることでロボットのビル内移動を円滑にするためのエレベーター故障監視システムを提供する。
【解決手段】ロボット1がビル内のエレベーターかご5を利用するときのエレベーター故障監視システム10であって、エレベーターかご内の音声と映像の情報を入手し、エレベーターかごにおける異常を検知するエレベーター制御盤4と、ビル内で移動するロボットを制御するとともに、異常時における通報先を記憶するエレベーター・ロボット連携部2と、エレベーター制御盤から、エレベーターかごにおける異常の検知情報と音声と映像の情報を入手し、当該異常にロボットが関与するとき、異常時における通報先を入手して、ロボット側の対応者にエレベーターかごの異常の検知情報と音声と映像の情報を提示するとともに、ロボットの操作を可能とする故障監視センター3と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットがビル内のエレベーターかごを利用するときのエレベーター故障監視システムであって、
エレベーターかごの呼びを管理してエレベーターかごの運行を制御するとともに、エレベーターかご内に設置された音声と映像の取得手段からの音声と映像の情報を入手し、エレベーターかごにおける異常を検知するエレベーター制御装置と、
ビル内で移動する前記ロボットを制御するとともに、異常時における通報先を記憶するエレベーター・ロボット連携部と、
エレベーター制御装置から、エレベーターかごにおける異常の検知情報と前記音声と映像の情報を入手し、当該異常に前記ロボットが関与するとき、異常時における前記通報先を入手して、ロボット側の対応者に前記エレベーターかごにおける異常の検知情報と前記音声と映像の情報を提示するとともに、前記エレベーター・ロボット連携部を経由して前記ロボットの操作を可能とする通信ルートを確保し提供する故障監視センターで構成されることを特徴とするエレベーター故障監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載のエレベーター故障監視システムであって、
ロボット側の前記対応者は携帯情報端末を保有しており、前記故障監視センターは前記対応者に中継アプリを発行してwebによる通信ルートを確保し提供することを特徴とするエレベーター故障監視システム。
【請求項3】
請求項1に記載のエレベーター故障監視システムであって、
前記故障監視センターは、エレベーター側の対応者に前記エレベーターかごにおける異常の検知情報と前記音声と映像の情報を提示するとともに、前記エレベーター・ロボット連携部を経由して前記ロボットの操作を可能とする通信ルートを確保し提供することを特徴とするエレベーター故障監視システム。
【請求項4】
請求項3に記載のエレベーター故障監視システムであって、
ロボット側の前記対応者は、エレベーター側の前記対応者に異常事態の解決の権限を移すことができるようにされているエレベーター故障監視システム。
【請求項5】
請求項2に記載のエレベーター故障監視システムであって、
ロボット側の前記対応者が保有する携帯情報端末の表示画面には、前記通信ルートを開通した時に、エレベーターかご内カメラの映像表示部と、ロボット側の前記対応者の携帯情報端末に接続するマイクの音声をインターホンのスピーカに送信する・送信しない(ミュート)を選択できるマイクミュートボタンと、ロボットをリモートコントロールできるリモートボタンと、ロボット側の前記対応者が対応完了の旨を故障監視センターに連絡する対応完了ボタンと、ロボットの故障対応者が対応を行わず、故障監視センターの対応者に対応要請する対応中断ボタンを備えることを特徴とするエレベーター故障監視システム。
【請求項6】
請求項2に記載のエレベーター故障監視システムであって、
中継アプリを用いるwebによる通信ルートの開設にあたり、ロボット通報先に対し故障監視センターにアクセスできる一次識別子を送信するとともに、前記一次識別子は、アクセスするためのURL(ユニフォームリソースロケータ)と、異常情報を特定する識別子と、異常情報を発信したエレベーターを特定する識別子を含めていることを特徴とするエレベーター故障監視システム。
【請求項7】
請求項6に記載のエレベーター故障監視システムであって、
前記一次識別子の送信時刻から、一定時間にアクセスがあるかを検出し、一定時間内にアクセスがない場合、ロボット通報先の対応者が不在と判断し、前記異常情報を故障監視センターに表示することを特徴とするエレベーター故障監視システム。
【請求項8】
請求項5に記載のエレベーター故障監視システムであって、
対応中断ボタンを押下した場合、異常情報を故障監視センターに表示することを特徴とするエレベーター故障監視システム。
【請求項9】
請求項8に記載のエレベーター故障監視システムであって、
前記異常情報を故障監視センターに表示した後、前記中継アプリが前記異常情報を特定する識別子からアクセスを拒否することを特徴とするエレベーター故障監視システム。
【請求項10】
請求項8に記載のエレベーター故障監視システムであって、
前記異常情報を故障監視センターに表示した後、前記中継アプリが前記異常情報を特定する識別子からアクセスを拒否するエレベーター故障監視システム。
【請求項11】
ロボットがビル内のエレベーターかごを利用するときのエレベーター故障監視方法であって、
エレベーターかごの呼びを管理してエレベーターかごの運行を制御するとともに、エレベーターかご内に設置された音声と映像の取得手段からの音声と映像の情報を入手し、エレベーターかごにおける異常を検知し、
ビル内で移動する前記ロボットを制御するとともに、異常時における通報先を記憶し、
エレベーターかごにおける異常の検知情報と前記音声と映像の情報を得、当該異常に前記ロボットが関与するとき、異常時における前記通報先を入手して、ロボット側の対応者に前記エレベーターかごにおける異常の検知情報と前記音声と映像の情報を提示するとともに、前記ロボットの操作を可能とする通信ルートを確保し提供することを特徴とするエレベーター故障監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律移動体を考慮したエレベーター故障監視システム及びエレベーター故障監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建物内の清掃や荷物の運搬、建物利用者への道案内などの業務を行う自律移動体(以下ロボットという)の実用化が進められている。ビルのように複数の階床が存在する建物において、上記の業務を行わせるにはロボットのエレベーター利用が不可欠となる。
【0003】
然るにロボットのエレベーター利用に際して、ロボットが移動不可(スタック)となることを想定しておく必要がある。仮にエレベーターかご内でロボットが動けないということになった場合には、エレベーター運行が停止してしまうことになる。
【0004】
このことから例えば特許文献1では、ロボットが移動不可となった場合に、上位管理装置がロボットの自律移動モードを解除し、ロボットを撮影できる周辺カメラ画像を確認して、遠隔でロボットを操作することができるようにした自律移動装置の制御システムを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021―179921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1によれば、ロボット自身で移動不可の状態を検出できれば、遠隔でロボットを操作する自律移動装置の制御システムを用いてロボットをコントロールすることが可能である。
【0007】
しかし、ロボットがエレベーターに乗車する際、乗客がかご内に居残りしていることを判定できずかご内に乗り込んでしまった場合、降車する乗客の進路をロボットが塞いでしまい、乗客がすぐに降車できないことが想定される。
【0008】
ロボットのエレベーター利用に際しての係る想定事案は、ロボットがその制御装置により制御されるが、エレベーター制御側と連携されていないことに起因している。
【0009】
このことから本発明においては、ロボットを管理対象内に組み入れることでロボットのビル内移動を円滑にするためのエレベーター故障監視システム及びエレベーター故障監視方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上のことから本発明においては、「ロボットがビル内のエレベーターかごを利用するときのエレベーター故障監視システムであって、エレベーターかごの呼びを管理してエレベーターかごの運行を制御するとともに、エレベーターかご内に設置された音声と映像の取得手段からの音声と映像の情報を入手し、エレベーターかごにおける異常を検知するエレベーター制御装置と、ビル内で移動するロボットを制御するとともに、異常時における通報先を記憶するエレベーター・ロボット連携部と、エレベーター制御装置から、エレベーターかごにおける異常の検知情報と音声と映像の情報を入手し、当該異常にロボットが関与するとき、異常時における通報先を入手して、ロボット側の対応者にエレベーターかごにおける異常の検知情報と音声と映像の情報を提示するとともに、エレベーター・ロボット連携部を経由してロボットの操作を可能とする通信ルートを確保し提供する故障監視センターで構成されることを特徴とするエレベーター故障監視システム」としたものである。
【0011】
また本発明においては、「ロボットがビル内のエレベーターかごを利用するときのエレベーター故障監視方法であって、エレベーターかごの呼びを管理してエレベーターかごの運行を制御するとともに、エレベーターかご内に設置された音声と映像の取得手段からの音声と映像の情報を入手し、エレベーターかごにおける異常を検知し、ビル内で移動する前記ロボットを制御するとともに、異常時における通報先を記憶し、エレベーターかごにおける異常の検知情報と前記音声と映像の情報を得、当該異常に前記ロボットが関与するとき、異常時における前記通報先を入手して、ロボット側の対応者に前記エレベーターかごにおける異常の検知情報と前記音声と映像の情報を提示するとともに、前記ロボットの操作を可能とする通信ルートを確保し提供することを特徴とするエレベーター故障監視方法。」としたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ロボットのビル内移動を円滑にするためのエレベーター故障監視システムを提供することができる。
【0013】
具体的には本発明の実施例によれば、ロボットがエレベーターかご内に乗車しようとする際、エレベーターの乗客がロボットにより進路が塞かれて降車出来なくなった場合は、かご内のインターホンにて救援を求めるため、救援信号を自動的にロボットの故障対応先(通報先)に転送することにより、スムーズに救援行動を行えるようになる。
【0014】
また、かご内のカメラ及びインターホンのマイク・スピーカーをロボットの故障対応先よりアクセス可能とすることで、例えロボット自身が故障してもかご内の乗客の状況確認が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例1に係るエレベーター故障監視システムの構成例を示す図。
図2】本発明の実施例1に係るロボット通報先に転送するWebアプリ画面例を示す図。
図3】本発明例エレベーター故障監視システムのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【実施例0017】
図1は本発明の実施例1に係るエレベーター故障監視システムの構成例を示す図である。
【0018】
エレベーター故障監視システム10は、エレベーター側の機構としてエレベーターかご5、エレベーター制御盤4、故障監視センター3を備え、またロボット側の機構としてロボット1、エレベーター・ロボット連携部2を備えて構成され、エレベーター側とロボット側が連携することで、トラブル発生の通知、対応依頼並びに対応をエレベーター側からロボット側に必要な情報とともに通知、実行可能としたものである。
【0019】
以下の説明はエレベーター側の機構から順次行う。まずエレベーターかご5は、インターホンボタン511、マイク512、スピーカ513を備えるインターホン51と、かご内を撮影するカメラ52を備えている。
【0020】
これに対し、エレベーター制御盤4は、その主要な機能として運転制御部42により、通常運転においてエレベーターの呼びに応答してエレベーターかご5を上下走行させ、ドアを開閉させる処理を行っている。
【0021】
またエレベーター制御盤4は、エレベーターかご5内のインターホンボタン511の押下信号を検出する信号入力部44と、インターホンのマイク音声512を入力する音声入力部45と、エレベーターかご5内カメラ52の映像を入力する映像入力部46と、音声をインターホンのスピーカ513に出力する音声出力部47とを備えている。
【0022】
これにより、エレベーターかご5内で、降車する乗客の進路をロボットが塞いでしまい、乗客がすぐに降車できない状況となっているなどのトラブルが発生していることが、乗客からの通知連絡によりエレベーター制御盤4にて認知されることとなる。また状況がエレベーター制御盤4で把握されたことが、乗客に報知可能とされることになる。
【0023】
係る報知を受けてエレベーター制御盤4は、以下のように機能する。まず異常検知部43は、運転制御部42からのドア開閉指令などを監視しており、エレベーターの特定な状態を検知して閉じ込めが発生したと判断する。異常通報部48は、インターホンボタン511の押下信号と、異常検知部43で検出した閉じ込め状態を用いて異常通報内容を作成し、通信部41から故障監視センター3に異常発生の旨を通報する。このときの異常通報内容としては、エレベーターかご5内で検知した音声入力や映像入力を含んでいる。
【0024】
ここで、故障監視センター3の説明に入る前にロボット側の機構について説明しておく。まずロボット1は、エレベーター・ロボット連携部2と通信する通信部11と、ロボット1の動作を制御する制御部12を備えており、適宜エレベーター・ロボット連携部2内の運転制御部23からの指示に従って動作し、あるいは自己判断で自律的に動作し、適宜必要な情報として例えばエレベーター利用するときにはエレベーター呼びをエレベーター・ロボット連携部2に送信している。
【0025】
エレベーター・ロボット連携部2は、ロボット1と通信するロボット通信部21と、ロボット1が故障した際に対応者に通報するためのロボット通報先221を格納する記憶部22と、ロボットからのエレベーター呼び登録指令を制御する運転制御部23と、エレベーター制御盤4に呼び作成を依頼するエレベーター通信部24を備えている。
【0026】
このようにしてエレベーター側の機構(エレベーターかご5、エレベーター制御盤4)とロボット側の機構(ロボット1、エレベーター・ロボット連携部2)は、通常運転時にはそれぞれ独立に機能しており、ロボット側からのエレベーター呼びの登録と管理の関係でのみ連携している。
【0027】
これに対し、エレベーター制御盤4が異常通報を検知した時には、一般的にはサーバとして構成されている故障監視センター3が関与して、事態の収拾に貢献する。故障監視センター3は、エレベーター通信部31と、通報制御部32と、中継アプリ発行部33と、公開Web表示部34と、監視センターWeb表示部36と、通話制御部35を備えている。
【0028】
本発明は、エレベーターかご5内にロボットが乗車している場合の、以下の対応を特徴としている。この場合の前提としては、エレベーター・ロボット連携部2および故障監視センター3内は有人であっても無人であってもよいが、故障監視センター3がエレベーターかご5内の異常を検知したことを連絡され、かつ通信ルートを確保することで対応を求められる待機状態の対応者Mが存在している。
【0029】
エレベーター制御盤4が異常通報を検知した時、故障監視センター3は、エレベーター制御盤4からの異常通報内容をエレベーター通信部31で受信し、通報制御部32に伝達する。通報制御部32では、異常通報内容(エレベーターの直話または閉じ込めの故障信号)を受信後、エレベーター・ロボット連携部2に現在ロボット1が呼び作成しエレベーターかご5内に乗車していることを確認する。
【0030】
故障監視センター3内の通報制御部32は、エレベーターかご5内にロボットが乗車している場合に、さらにエレベーター・ロボット連携部2の記憶部22からトラブルを発生しているロボット1を管理するロボット通報先221の情報を取得する。ロボット通報先221の情報には、エレベーター・ロボット連携部2側の対応者MRが含まれており、中継アプリ発行部33を介してロボットの通報先(例えばエレベーター・ロボット連携部2側の対応者MRが保有する携帯情報端末6)に中継アプリを発行する。
【0031】
中継アプリには、故障監視センター3内の公開Web表示部34にアクセスするためのアクセス方法が含まれており、これにより対応者MRが携帯情報端末6を用いて公開Web表示部34にアクセスすることが許可される。
【0032】
公開Web表示部34にアクセスできた対応者MRは、その所持する携帯情報端末6に図2のような画面が表示されることで、中継アプリよりアクセスするクライアント(対応者MR)のマイクとスピーカを受信し、エレベーターの直話マイク・スピーカー及びカメラの映像を表示・放送により入手することができる。また同様の環境は、故障監視センター3内の監視センターWeb表示部36にも準備され、故障監視センター3側の対応者MEにも同様の情報が提示される。
【0033】
次に、図2を用いて本発明におけるロボット通報先に転送するWebアプリの画面について説明する。ロボット1の故障対応者MRは、ロボット通報先211に送付するWebアプリにて公開Web表示部34にアクセスすると、図2に示す携帯情報端末6の画面を確認することができる。
【0034】
画面は例えば、かご内カメラ52が検知した映像を表示する映像表示部61と、故障対応者MRの携帯情報端末6に接続するマイクの音声をエレベーターかご5内のインターホンのスピーカ513に送信する・送信しない(ミュート)を選択できるマイクミュートボタン62と、エレベーター・ロボット連携部2を経由しロボット1をリモートコントロールできるリモートボタン63と、ロボットの故障対応者MRが対応完了の旨を故障監視センター3に連絡する対応完了ボタン64と、ロボットの故障対応者MRが対応を行わず、故障監視センター3の対応者MEに対応要請する対応中断ボタン65などを備えている。
【0035】
次に、図3に従い、本特許の実施例1に係るエレベーター監視システムの処理フローチャートについて説明する。
【0036】
図3のステップS101では、エレベーター制御盤4の異常通報部48から通信部41を経由して送信した異常通報信号を、故障監視センター3のエレベーター通信部31が受信した。ここで、異常通報信号は、インターホンボタン511の入力信号44、または異常検知部43が運転制御部42の運転状態を閉じ込め状態と判断した際に送信する信号である。また、異常通報信号には、運転制御部42より取得したエレベーターの現在階床及びドアの開閉状態を含めている。
【0037】
ステップS102では、エレベーター通信部31が異常通報信号を通報制御部32に伝送する。通報制御部32は、エレベーター・ロボット連携部2の運転制御部23に、現在ロボット1よりのエレベーター呼びの有無、及びロボット1でエレベーター呼びを作成した階床を確認する。ロボット1でエレベーター呼びを作成した階床と、異常通報信号に含めているエレベーターの現在階床と一致した場合、通報制御部32は異常通報信号がロボット1の乗降車と関連した異常として判断し、ステップS103に進む。一致しない場合は、ステップS110に進む。
【0038】
ステップS103では、通報制御部32はエレベーター・ロボット連携部2の運転制御部23にアクセスし、運転制御部23は記憶部22に格納されているロボット通報先221を取得し、通報制御部32に送信する。なお、ロボット通報先は複数格納することもできるが、本実施例はロボット通報先が一つの場合のフローチャートを説明する。
【0039】
次にステップS104では、通報制御部32は、運転制御部23より受信したロボット通報先221と、異常通報信号を特定する識別子(例えば異常通報シーケンス番号)と、異常通報信号を発信したエレベーターを特定する識別子(例えばエレベーター製造番号)を、中継アプリ発行部33に送信し、中継アプリの発行を要請する。中継アプリ発行部33は、中継アプリの発行要請に従い、ロボット通報先221に対し公開Web表示部34にアクセスできる一次識別子を送信する。一次識別子は、公開Web表示部34にアクセスするURL(ユニフォームリソースロケータ)と、異常通報信号を特定する識別子と、異常通報信号を発信したエレベーターを特定する識別子を含めている。
【0040】
また、中継アプリ発行部33はロボット通報先221に対し中継アプリにアクセスできる一次識別子を送信した旨と送信時刻を公開Web表示部34に送信する。公開Web表示部34は、異常通報信号を特定する識別子よりのアクセスを許可する。これにより、ロボット側の対応者MRは公開Web表示部34にアクセスして、図2に示す情報表示、操作環境を利用可能とされる。
【0041】
次にステップS105では、公開Web表示部34は中継アプリ発行部33より受信した一次識別子の送信時刻から、一定時間内にアクセスがあるかを検出する。一定時間内にアクセスがある場合、ロボット通報先221の対応者MRからアクセスがあり対応中と判断しステップS106に進む。一定時間内にアクセスがない場合、ロボット通報先221の対応者MRが不在と判断し、ステップS110に進む。
【0042】
ステップS106では、ロボット通報先221の対応者MRからアクセスする際、異常通報信号を特定する識別子と、異常通報信号を発信したエレベーターを特定する識別子を公開Web表示部34に送信する。公開Web表示部34は、異常通報信号を発信したエレベーターを特定する識別子を用いて、通話制御部35に対し、ロボット通報先の対応者の端末にWebアプリ6をエレベーターかご内の各種装置に接続するように要請する。通話制御部35は、エレベーター通信部31に経由しエレベーター制御盤4の通信部41に接続し、各種装置と接続を行う。
【0043】
具体的には、インターホンマイク512の音声を前記Webアプリ6に経由し対応者の端末のスピーカに出力することと、かご内カメラ52の映像を前記Webアプリのカメラ表示部61に表示することと、対応者の端末のマイク音声をインターホンスピーカ513に出力することができる。
【0044】
また、対応者はWebアプリ6のマイクミュートボタン62をクリックすることで、対応者の端末のマイク音声をインターホンスピーカ513に出力するまたは出力しない(ミュート)を制御することができる。
【0045】
また、Webアプリ6のリモートボタン63を押下すると、公開Web表示部34は通報制御部32を経由し、エレベーター・ロボット連携部2の運転制御部23にロボットをリモート制御する要求を発行する。運転制御部23は、ロボット通信部21に経由しロボット1の自律移動モードを解除し、公開Web表示部よりリモート制御を行う。前記リモート制御の一例として、リモートボタン63に示す通り、前進、後退、左回り、右回りのリモート制御が可能である。
【0046】
次にステップS107では、公開Web表示部34はエレベーターかご5内の各種装置に接続中に、Webアプリ6は対応中断ボタン65を押下されたか否かを随時検出する。対応中断ボタン65を押下された場合、ロボット通報先の対応者は異常通報信号がロボットと関連しないことと見なし、故障管制センター3の管制員MEに対応を引き継ぎ、ステップS110に進む。対応中断ボタン65を押下されなかった場合は対応継続としステップS108に進む。
【0047】
ステップS108では、公開Web表示部34はエレベーターかご内の各種装置に接続中に、Webアプリ6は対応完了ボタン64を押下されたか否かを随時検出する。対応完了ボタン63を押下された場合、ロボット通報先の対応者は今回の異常通報は対応完了と見なし、ステップS109に進む。対応完了ボタンを押下されかなった場合は、対応継続としステップS107に進む。
【0048】
ステップS109では、公開Web表示部34は通話制御部35に、ロボット通報先の対応者の端末とエレベーターかご内の各種装置との接続を中断する要求を行うとともに、前記異常通報信号を特定する識別子からのアクセスを拒否にする。
【0049】
これにより、ロボット通報先221の対応者MRの端末6からエレベーターかご内の各種装置の状況がアクセスできなくなり、エレベーター利用者のプライバシーを守れる。
【0050】
最後に、ステップS110では、公開Web表示部34が通話制御部35に対し、異常通報信号を故障監視センター3の管制員MEに対応するように要求する。通話制御部35は異常通報信号を監視センターWeb表示部36に表示することで、管制員MEからエレーターかご内の状況確認及び救出行動が行えるようになる。
【0051】
また、その際はロボット通報先より対応は不要となるため、ステップS109に進みロボット通報先よりのアクセスを拒否する。
【0052】
以上のことから、エレベーター故障監視システムはロボットに関連する異常通報信号を検出する際、ロボット通報先にエレベーターのかご内アクセスできる一次識別子を送信することで、ロボットによる乗客のトラブルをスムーズに解決することができる。
【0053】
なお、中継アプリを用いるwebによる通信ルートの開設にあたり、以下の点を考慮しておくのがよい。まず、ロボット通報先に対し故障監視センターにアクセスできる一次識別子を送信するとともに、一次識別子は、アクセスするためのURL(ユニフォームリソースロケータ)と、異常情報を特定する識別子と、異常情報を発信したエレベーターを特定する識別子を含めておくのがよい。
【0054】
また一次識別子の送信時刻から、一定時間にアクセスがあるかを検出し、一定時間内にアクセスがない場合、ロボット通報先の対応者が不在と判断し、異常情報を故障監視センターに表示するのがよい。
【0055】
また、対応中断ボタンを押下した場合、異常情報を故障監視センターに表示するのがよい。
【0056】
また、異常情報を故障監視センターに表示した後、中継アプリが異常情報を特定する識別子からアクセスを拒否するのがよい。
【0057】
さらに、異常情報を故障監視センターに表示した後、中継アプリが異常情報を特定する識別子からアクセスを拒否するようにしておくのがよい。
【0058】
以上要するに本発明は、「ロボット1がビル内のエレベーターかご5を利用するときのエレベーター故障監視システム10であって、エレベーターかご5の呼びを管理してエレベーターかごの運行を制御するとともに、エレベーターかご5内に設置された音声と映像の取得手段51、52からの音声と映像の情報を入手し、エレベーターかご5における異常を検知するエレベーター制御装置4と、ビル内で移動するロボット1を制御するとともに、異常時における通報先221を記憶するエレベーター・ロボット連携部2と、エレベーター制御装置4から、エレベーターかご5における異常の検知情報と音声と映像の情報を入手し、当該異常にロボット1が関与するとき、異常時における通報先221を入手して、ロボット側の対応者MRにエレベーターかご5における異常の検知情報と音声と映像の情報を提示するとともに、エレベーター・ロボット連携部2を経由してロボット1の操作を可能とする通信ルートを確保し提供する故障監視センター3で構成されるエレベーター故障監視システム」としたものである。
【0059】
なお上記図1から図3に示す実施例では、ロボット側対応者MRへの通知並びに対応手法の提供を行う通信手段として、webを用いることについて説明したが、これは専用回線など他の通信手法によるものであってもよい。また携帯情報端末を用いる例を示したが、これに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0060】
1:ロボット、11:通信部、12:制御部、2:エレベーター・ロボット連携部、21:ロボット通信部、22:記憶部、221:ロボット通報先、23:運転制御部、24:エレベーター通信部、3:故障監視センター、31:エレベーター通信部、32:通報制御部、33:中継アプリ発行部、34:公開Web表示部、35:通話制御部、36:監視センターWeb表示部、4:エレベーター制御盤、41:通信部、42:運転制御部、43:異常検知部、44:信号入力部、45:音声入力部、46:映像入力部、47:音声出力部、48:異常通報部、5:エレベーターかご、51:インターホン、511:インターホンボタン、512:インターホンマイク、513:インターホンスピーカ、52:カメラ
図1
図2
図3