(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023177765
(43)【公開日】2023-12-14
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/8234 20060101AFI20231207BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20231207BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20231207BHJP
H10B 41/70 20230101ALI20231207BHJP
H10B 12/00 20230101ALI20231207BHJP
H10B 99/00 20230101ALI20231207BHJP
H01L 27/00 20060101ALI20231207BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20231207BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20231207BHJP
G11C 5/04 20060101ALI20231207BHJP
【FI】
H01L27/088 E
H01L29/78 618B
H01L29/78 613B
H01L27/088 331E
H01L27/1156
H01L27/108 321
H01L27/108 671Z
H01L27/105 441
H01L27/00 301B
H01L21/88 T
H01L27/04 U
H01L21/88 J
H01L27/04 T
H01L27/04 A
G11C5/04 220
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022090614
(22)【出願日】2022-06-03
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】郷戸 宏充
(72)【発明者】
【氏名】黒川 義元
(72)【発明者】
【氏名】大下 智
【テーマコード(参考)】
5F033
5F038
5F048
5F083
5F110
【Fターム(参考)】
5F033GG01
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5F033GG03
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5F110QQ11
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(57)【要約】
【課題】新規な半導体装置を提供する。
【解決手段】フリップフロップと、第1メモリ回路と、第2メモリ回路と、を備え、フリップフロップは、基板に形成され、第1メモリ回路は、基板の上の第1ダイに形成され、第2メモリ回路は、第1ダイの上の第2ダイに形成され、フリップフロップは、第1メモリ回路と、第2メモリ回路と、のそれぞれに電気的に接続され、フリップフロップは、実行中のタスクに対応する第1データを保持する機能を有し、第1メモリ回路は、タスクの切り替えに伴って、第1データを保持する機能を有し、第2メモリ回路は、タスクの切り替えに伴って、第1メモリ回路に第2データが保持されている場合、第1データを保持する機能を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フリップフロップと、第1メモリ回路と、第2メモリ回路と、を備え、
前記フリップフロップは、基板に形成され、
前記第1メモリ回路は、前記基板の上の第1ダイに形成され、
前記第2メモリ回路は、前記第1ダイの上の第2ダイに形成され、
前記フリップフロップは、前記第1メモリ回路と、前記第2メモリ回路と、のそれぞれに電気的に接続され、
前記フリップフロップは、実行中のタスクに対応する第1データを保持する機能を有し、
前記第1メモリ回路は、タスクの切り替えに伴って、前記第1データを保持する機能を有し、
前記第2メモリ回路は、前記タスクの切り替えに伴って、前記第1メモリ回路に第2データが保持されている場合、前記第1データを保持する機能を有する、
半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記基板は、第1電極を備え、
前記第1ダイは、前記第1ダイの一方の面側に形成された第2電極と、前記第1ダイの他方の面側に形成された第3電極と、を備え、
前記第2ダイは、第4電極を備え、
前記第1電極は、前記第2電極と接合され、
前記第3電極は、前記第4電極と接合される、
半導体装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記第1ダイは、第1トランジスタを備え、
前記第2ダイは、第2トランジスタを備え、
前記第1トランジスタは、前記第1メモリ回路および前記第2メモリ回路のそれぞれにデータが保持されていない場合、前記フリップフロップと、前記第1メモリ回路と、の間を非導通状態にする機能を有し、
前記第2トランジスタは、前記第2メモリ回路にデータが保持されていない場合、前記フリップフロップと、前記第2メモリ回路と、の間を非導通状態にする機能を有する、
半導体装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記第1トランジスタおよび前記第2トランジスタは、チャネル形成領域に酸化物半導体を含むトランジスタである、
半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、半導体装置に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の一態様の技術分野は、物、方法、駆動方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関するものである。より具体的には、本明細書等で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、光学装置、撮像装置、照明装置、演算装置、制御装置、記憶装置、入力装置、出力装置、入出力装置、信号処理装置、電子計算機、電子機器、それらの駆動方法、または、それらの製造方法、を一例として挙げることができる。
【背景技術】
【0003】
近年、半導体装置の開発が進められ、例えば、LSI(Large Scale Integration)、CPU(Central Processing Unit)、およびメモリなどが、主に半導体装置に用いられている。CPUは、半導体ウエハを加工し、チップ化された集積回路(IC:Integrated Circuit)を有し、接続端子である電極が形成された、半導体素子(例えば、トランジスタ、またはダイオードなど)の集合体である。例えば、LSI、CPU、またはメモリなどのICチップは、回路基板、例えばプリント配線基板に実装され、様々な電子機器の部品の一つとして用いられる。
【0004】
また、絶縁表面を有する基板上に形成された半導体薄膜を用いてトランジスタを構成する技術が注目されている。当該トランジスタは集積回路、画像表示装置(単に表示装置とも表記する)のような電子デバイスに広く応用されている。トランジスタに適用可能な半導体薄膜としてシリコン系半導体材料が広く知られているが、その他の材料として酸化物半導体が注目されている。
【0005】
また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、非導通状態において極めてリーク電流が小さいことが知られている。例えば、特許文献1には、酸化物半導体を用いたトランジスタのリーク電流が小さいという特性を応用した低消費電力のCPU等が開示されている。また、例えば、特許文献2には、酸化物半導体を用いたトランジスタのリーク電流が小さいという特性を応用して、長期にわたり記憶内容を保持することができる記憶装置等が、開示されている。
【0006】
また、近年では電子機器の小型化、軽量化に伴い、集積回路のさらなる高密度化への要求が高まっている。また、集積回路を含む半導体装置の生産性の向上が求められている。例えば、特許文献3および非特許文献1では、酸化物半導体膜を用いる第1のトランジスタと、酸化物半導体膜を用いる第2のトランジスタとを積層させることで、メモリセルを複数重畳して設けることにより、集積回路の高密度化を図る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012-257187号公報
【特許文献2】特開2011-151383号公報
【特許文献3】国際公開第2021/053473号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】M.Oota et.al,“3D-Stacked CAAC-In-Ga-Zn Oxide FETs with Gate Length of 72nm”,IEDM Tech. Dig.,2019,pp.50-53
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
例えばCPUなどの半導体装置では、プログラムデータに応じた処理を逐次実行することで、一連の処理(タスク)を実行することができる。当該半導体装置は、複数のタスクを実行する場合、各タスクを小さい処理単位に分割し、各タスクの処理単位を順次実行することで、あたかも複数のタスクを同時に実行しているように見せかけることができる。このような処理を実行するため、各タスクを実行する際の当該半導体装置の状態(コンテキストともいう)を保持することができるレジスタバンク(汎用レジスタのセット)が複数用意される。当該半導体装置は、各タスクに対応するレジスタバンクを順次切り替えることで、複数のタスクを実行することができる。すなわち、当該半導体装置は、タスクを切り替える際に、実行中のタスクのコンテキストを、対応するレジスタバンクにセーブ(退避、ストア、又はバックアップともいう)した上で、処理を中断し、かつ、次に実行されるタスクのコンテキストを、対応するレジスタバンクからリストア(復帰、ロード、またはリカバリーともいう)した上で、処理を再開する。よって、当該半導体装置は、コンテキストのセーブおよびリストアに要する時間を短くすることで動作速度を向上させ、演算性能の向上を図ることができる。
【0010】
本発明の一態様は、動作速度を向上させた半導体装置を提供することを課題の一つとする。または、消費電力を低減させた半導体装置を提供することを課題の一つとする。または、演算性能を向上させた半導体装置を提供することを課題の一つとする。または、新規な半導体装置を提供することを課題の一つとする。
【0011】
なお、上記列挙した課題は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、上記列挙した課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、上記列挙した課題以外の他の課題は、明細書、図面、または特許請求の範囲等の記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、または特許請求の範囲等の記載から、上記列挙した課題以外の他の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)
本発明の一態様は、フリップフロップと、第1メモリ回路と、第2メモリ回路と、を備え、フリップフロップは、基板に形成され、第1メモリ回路は、基板の上の第1ダイに形成され、第2メモリ回路は、第1ダイの上の第2ダイに形成され、フリップフロップは、第1メモリ回路と、第2メモリ回路と、のそれぞれに電気的に接続され、フリップフロップは、実行中のタスクに対応する第1データを保持する機能を有し、第1メモリ回路は、タスクの切り替えに伴って、第1データを保持する機能を有し、第2メモリ回路は、タスクの切り替えに伴って、第1メモリ回路に第2データが保持されている場合、第1データを保持する機能を有する、半導体装置である。
【0013】
(2)
また、上記(1)において、基板は、第1電極を備え、第1ダイは、第1ダイの一方の面側に形成された第2電極と、第1ダイの他方の面側に形成された第3電極と、を備え、第2ダイは、第4電極を備え、第1電極は、第2電極と接合され、第3電極は、第4電極と接合されてもよい。
【0014】
(3)
また、上記(1)または上記(2)において、第1ダイは、第1トランジスタを備え、第2ダイは、第2トランジスタを備え、第1トランジスタは、第1メモリ回路および第2メモリ回路のそれぞれにデータが保持されていない場合、フリップフロップと、第1メモリ回路と、の間を非導通状態にする機能を有し、第2トランジスタは、第2メモリ回路にデータが保持されていない場合、フリップフロップと、第2メモリ回路と、の間を非導通状態にする機能を有してもよい。
【0015】
(4)
また、上記(3)において、第1トランジスタおよび第2トランジスタは、チャネル形成領域に酸化物半導体を含むトランジスタであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様は、動作速度を向上させた半導体装置を提供することができる。または、消費電力を低減させた半導体装置を提供することができる。または、演算性能を向上させた半導体装置を提供することができる。または、新規な半導体装置を提供することができる。
【0017】
なお、上記列挙した効果は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、上記列挙した効果の全てを有する必要はない。なお、上記列挙した効果以外の他の効果は、明細書、図面、または特許請求の範囲等の記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、または特許請求の範囲等の記載から、上記列挙した効果以外の他の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、半導体装置の構成例を説明する図である。
【
図2】
図2(A)は、半導体装置の構成例を説明する図である。
図2(B)は、半導体装置の構成例を説明する回路図である。
【
図3】
図3は、半導体装置の動作例を説明するフローチャートである。
【
図4】
図4は、半導体装置の動作例を説明するフローチャートである。
【
図5】
図5は、半導体装置の動作例を説明するフローチャートである。
【
図6】
図6(A)乃至
図6(D)は、半導体装置の動作例を説明するフローチャートである。
【
図7】
図7(A)乃至
図7(D)は、半導体装置の動作例を説明するフローチャートである。
【
図8】
図8は、半導体装置の動作例を説明する図である。
【
図9】
図9は、半導体装置の構成例を説明する回路図である。
【
図10】
図10は、半導体装置の動作例を説明するタイミングチャートである。
【
図13】
図13は、半導体装置の構成例を説明する回路図である。
【
図14】
図14は、半導体装置の動作例を説明するタイミングチャートである。
【
図15】
図15(A)は、半導体装置の構成例を説明する図である。
図15(B)は、半導体装置の構成例を説明する回路図である。
【
図16】
図16は、半導体装置の動作例を説明するフローチャートである。
【
図17】
図17は、半導体装置の動作例を説明するフローチャートである。
【
図18】
図18(A)乃至
図18(C)は、半導体装置の動作例を説明するフローチャートである。
【
図20】
図20は、半導体装置の構成例を説明する回路図である。
【
図21】
図21は、半導体装置の動作例を説明するタイミングチャートである。
【
図28】
図28(A)は、記憶層の構成例を説明する図である。
図28(B)は、記憶層の等価回路を説明する図である。
【
図30】
図30(A)は、記憶層の構成例を説明する図である。
図30(B)は、記憶層の等価回路を説明する図である。
【
図34】
図34は、データセンターに適用可能なストレージシステムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書等において、半導体装置とは、半導体特性を利用した装置であり、例えば、半導体素子(例えば、トランジスタ、またはダイオードなど)を含む回路、または同回路を有する装置などをいう。また、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般をいう。例えば、半導体素子を含む集積回路、集積回路を備えたチップ、チップをパッケージに収納した電子部品、または電子部品を実装した電子機器などは、半導体装置の一例である。また、例えば、表示装置、発光装置、蓄電装置、光学装置、撮像装置、照明装置、演算装置、制御装置、記憶装置、入力装置、出力装置、入出力装置、信号処理装置、電子計算機、または電子機器などは、それ自体が半導体装置であり、かつ、半導体装置を有している場合がある。
【0020】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能である。よって、その趣旨および範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0021】
また、本明細書等において、各実施の形態に示す構成を、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて、本発明の一態様とすることが可能である。また、1つの実施の形態の中に複数の構成が示される場合、それらの構成を適宜組み合わせて、本発明の一態様とすることが可能である。
【0022】
なお、実施の形態を説明する図面は、発明の構成において、同一部分または同様な機能を有する部分に、同一の符号を異なる図面間で共通して用いることで、その繰り返しの説明を省略する場合がある。また、図面は、同様の機能を指す場合、例えば、ハッチングパターンなどを同じくし、特に符号を付さない場合がある。また、図面は、理解しやすくするため、例えば、斜視図または上面図(「平面図」ともいう)などにおいて、一部の構成要素の記載を省略する場合がある。また、図面は、例えば、一部の隠れ線の記載を省略する場合がある。また、図面は、例えば、ハッチングパターンなどの記載を省略する場合がある。
【0023】
また、図面において、大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、図面は、例えば、その大きさまたは縦横比などに限定されない。なお、図面は、理想的な例を模式的に示したものであり、例えば、図面に示す形状または値などに限定されない。例えば、実際の製造工程において、例えばエッチングなどの処理により、例えば層またはレジストマスクなどが意図せずに目減りすることがあるが、理解を容易にするため、これらを図面に反映しない場合がある。また、例えば、実際の回路動作において、例えばノイズまたはタイミングのずれなどにより、例えば電圧または電流などのばらつきが生じることがあるが、理解を容易にするため、これらを図面に反映しない場合がある。
【0024】
また、本明細書および図面等において、本発明の構成要素を機能毎に分類し、互いに独立した要素として示す場合がある。しかしながら、構成要素を機能毎に切り分けることが難しく、一つの要素に複数の機能が関わる場合、または、複数の要素にわたって一つの機能が関わる場合、がある。そのため、本明細書および図面等に示す要素は、その説明に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる場合がある。
【0025】
また、本明細書および図面等において、複数の要素に同じ符号を用いる場合、特に、それらを区別する必要があるときには、符号に、例えば、“A”、“b”、“_1”、“[n]”、または“[m,n]”などの識別用の符号を付して記載する場合がある。
【0026】
なお、本明細書等において、トランジスタの「導通状態」または「オン状態」とは、例えば、トランジスタのソースとドレインが電気的に短絡されているとみなせる状態、または、ソースとドレインとの間に電流を流すことができる状態、などをいう。例えば、nチャネル型トランジスタにおいて、ゲートとソースとの間の電圧がしきい値電圧よりも高い状態、または、pチャネル型トランジスタにおいて、ゲートとソースとの間の電圧がしきい値電圧よりも低い状態、などを、「導通状態」または「オン状態」という場合がある。また、トランジスタの「非導通状態」、「遮断状態」、または「オフ状態」とは、トランジスタのソースとドレインが電気的に遮断されているとみなせる状態をいう。例えば、nチャネル型トランジスタにおいて、ゲートとソースとの間の電圧がしきい値電圧よりも低い状態、または、pチャネル型トランジスタにおいて、ゲートとソースとの間の電圧がしきい値電圧よりも高い状態、などを、「非導通状態」、「遮断状態」、または「オフ状態」という場合がある。
【0027】
また、本明細書等において、トランジスタの「オフ電流」とは、特に断りがない場合、トランジスタがオフ状態にあるときの、ソースとドレインの間に流れる電流(ドレイン電流ともいう)をいう。なお、本明細書等において、トランジスタがオフ状態にあるときの、ドレイン電流、および、ゲートとソースまたはドレインの間に流れる電流(ゲートリーク電流ともいう)を、リーク電流という場合がある。
【0028】
(実施の形態1)
本発明の一態様に係る半導体装置について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明の一態様の係る半導体装置は、例えば、中央演算処理装置(CPU:Central Processing Unit)の一部として、好適に用いられてもよい。
【0029】
図1は、本発明の一態様に係る半導体装置100の構成例を説明するブロック図である。
【0030】
図1に示す半導体装置100は、状態制御部101およびCPUコア102を備える。CPUコア102は、レジスタ部103および演算部104を備える。レジスタ部103は、複数のレジスタバンク105を備える。レジスタバンク105は、複数の汎用レジスタ106を備える。汎用レジスタ106は、複数のレジスタ110を備える。
【0031】
半導体装置100は、プログラムデータに応じた処理を逐次実行することで、一連の処理(タスク)を実行することができる。半導体装置100は、複数のタスクを実行することができる。
【0032】
状態制御部101は、例えば、半導体装置100の外部から入力される割り込み信号(Interrupts)、またはCPUコア102が生成するスリープ信号などの信号に応じて、複数のタスクを切り替えるための制御信号を出力する機能を有する。例えば、複数のタスクを切り替える際に、CPUコア102内のレジスタ110の動作を制御するための信号を生成し、当該レジスタ110に供給する機能を有する。
【0033】
なお、状態制御部101は、例えば、CPUコア102のパワーゲーティングを制御するための信号を出力する機能を有してもよい。
【0034】
CPUコア102は、レジスタ部103に保持されたプログラムデータに応じて、演算部104で演算処理を行う機能を有する。CPUコア102は、プロセッサコアという場合がある。半導体装置100は、CPUコア102を1つ(シングルコア)備える構成としてもよいし、2つ以上(例えばデュアルコアまたはメニーコアなどのマルチコア)備える構成としてもよい。
【0035】
レジスタ部103は、例えば、パイプラインレジスタ、およびレジスタファイルなどが設けられるレジスタバンク105を備える。レジスタ部103は、演算部104での演算処理を行うためのプログラムデータ、演算処理に用いられるデータ、および演算処理によって得られたデータを、一時的に保持する機能を有する。
【0036】
演算部104は、レジスタ部103に保持されたプログラムデータに応じて、例えば、四則演算、および論理演算などの各種演算処理を行う機能を有する。演算部104は、ALU(Arithmetic logic unit)という場合がある。CPUコア102は、レジスタ部103、および演算部104の他に、例えば、プログラムカウンタ、またはコントロール回路などを備えてもよい。
【0037】
レジスタバンク105は、プログラムデータに応じた処理によって実行される複数のタスクごとに設けられる。レジスタバンク105内の複数の汎用レジスタ106は、それぞれ、各タスクを実行する際の、演算処理を行うためのプログラムデータ、演算処理に用いられるデータ、または演算処理によって得られるデータを保持する機能を有する。汎用レジスタ106内のレジスタ110は、データ保持する機能を有する記憶回路に相当する。
【0038】
すなわち、各タスクを実行する際の半導体装置100の状態(コンテキストともいう)が、タスクごとに設けられたレジスタバンク105のそれぞれに、保持される。
【0039】
半導体装置100は、複数のタスクを切り替える際に、各タスクに対応するレジスタバンク105に切り替わるように、状態制御部101によって動作が制御される。すなわち、半導体装置100は、タスクを切り替える際に、実行中のタスクのコンテキストを、対応するレジスタバンク105にセーブ(退避、ストア、又はバックアップともいう)した上で、処理を中断し、かつ、次に実行されるタスクのコンテキストを、対応するレジスタバンク105からリストア(復帰、ロード、またはリカバリーともいう)した上で、処理を再開するように、状態制御部101によって制御される。このようにレジスタバンク105を切り替えながら複数のタスクを実行することで、各タスクを実行するためのデータのやり取りを、半導体装置100の外部に設けられたメモリ(例えば、キャッシュメモリ、またはメインメモリなど)との間で行う必要がない。そのため、半導体装置100の動作速度の向上を図ることができる。すなわち、半導体装置100の演算性能の向上を図ることができる。
【0040】
<構成例A>
本発明の一態様に係るレジスタ110として、さまざまな構成を用いることができる。
【0041】
図2(A)は、本発明の一態様に係る半導体装置110Aの構成例を説明する模式図である。半導体装置110Aは、上述したレジスタ110に好適に用いることができる構成の一例である。
【0042】
図2(A)に示すように、半導体装置110Aは、基板171を備える。基板171は、例えば、シリコンを含む基板などである。なお、基板171として、例えば、シリコンカーバイド、またはガリウムナイトライドなどの化合物半導体を含む基板を用いてもよい。
【0043】
なお、
図2(A)では、半導体装置110Aを構成する各要素の位置関係の説明をわかりやすくするため、Z方向を規定している。
図2(A)において、Z方向は、基板171の面に対して垂直方向または概略垂直方向であるとする。本実施の形態等において、概略垂直とは、対象となる二つの要素のなす角度が、85度以上95度以下である状態をいう。本実施の形態等では、理解を容易にするため、Z方向を垂直方向と呼ぶ場合がある。
【0044】
基板171の上の垂直方向に積層して、ダイ180[1]乃至ダイ180[k](kは2以上の整数)が配置される。ダイ180[1]乃至ダイ180[k]のそれぞれは、例えば、シリコンダイなどである。
【0045】
なお、本明細書等において、ダイとは、半導体チップの製造工程で、例えば円盤状の基板(ウエハともいう)などに回路パターンを形成し、さいの目状に切り分けて得られたチップ片を表す。なお、ダイに用いることのできる半導体材料として、例えば、シリコン、シリコンカーバイド、またはガリウムナイトライドなどが挙げられる。例えば、シリコン基板(シリコンウエハともいう)から得られたダイを、シリコンダイという場合がある。
【0046】
基板171、およびダイ180[1]乃至ダイ180[k]のそれぞれは、Siトランジスタ(チャネル形成領域にシリコンを含むトランジスタ)、またはSiトランジスタを含む回路が設けられる領域である。
【0047】
基板171の一方の面側に、スキャンフリップフロップ120が形成される。
【0048】
また、ダイ180[1]乃至ダイ180[k]のそれぞれの一方の面側に、メモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[k]のそれぞれが、一対一で対応するように形成される。なお、メモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[k]によって、データ保持回路130Aが形成される。
【0049】
基板171、およびダイ180[1]乃至ダイ180[k]のそれぞれの一方の面側に、電極173が形成される。ダイ180[1]乃至ダイ180[k]のそれぞれの他方の面側に、電極174が形成される。ダイ180[1]乃至ダイ180[k]のそれぞれのダイにおいて、電極173と電極174とを電気的に接続するプラグ175が、当該ダイを貫通して形成される。プラグ175は、例えば、シリコン貫通電極(TSV:(Though Silicon Via)である。
【0050】
基板171およびダイ180[1]のそれぞれは、基板171およびダイ180[1]のそれぞれの一方の面側に形成された電極173同士が接合されることで、互いに電気的に接続される。すなわち、基板171およびダイ180[1]のそれぞれの一方の面側に形成された電極173同士が接合されることで、スキャンフリップフロップ120と、メモリ回路131[1]とが、互いに電気的に接続される。また、ダイ180[1]乃至ダイ180[k]のそれぞれは、ダイ180[1]乃至ダイ180[k-1]のそれぞれの他方の面側に形成された電極174と、ダイ180[2]乃至ダイ180[k]のそれぞれの一方の面側に形成された電極173と、が接合されることで、互いに電気的に接続される。すなわち、ダイ180[1]乃至ダイ180[k-1]のそれぞれの他方の面側に形成された電極174と、ダイ180[2]乃至ダイ180[k]のそれぞれの一方の面側に形成された電極173と、が接合されることで、メモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[k]のそれぞれが、互いに電気的に接続される。例えば、ダイ180[1]の他方の面側に形成された電極174と、ダイ180[2]の一方の面側に形成された電極173と、が接合されることで、メモリ回路131[1]と、メモリ回路131[2]とが、互いに電気的に接続される。
【0051】
なお、電極173および電極174のそれぞれに、同じ導電性材料を用いることが好ましい。電極173および電極174の導電性材料として、例えば、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、スズ、亜鉛、金、銀、白金、チタン、モリブデン、およびタングステンから選ばれた元素を含む金属膜、または、上記の元素を成分とする金属窒化物膜(例えば、窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、または窒化タングステン膜など)、などを用いることができる。特に、電極173および電極174の導電性材料として、銅を用いることが好ましい。これによって、Cu-Cu直接接合技術(銅(Cu)の電極同士を接続することで電気的導通を図る技術)を適用することができる。なお、電極173と電極174との間にマイクロバンプが形成される、マイクロバンプ接合技術を適用してもよい。
【0052】
なお、例えば、ダイ180[k]において、電極174およびプラグ175が形成されなくてもよい場合がある。
【0053】
また、例えば、ダイ180[1]乃至ダイ180[k]のそれぞれの他方の面側に、メモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[k]のそれぞれが、一対一で対応するように形成されてもよい。
【0054】
また、例えば、
図2(A)では、基板171の一方の面側と、ダイ180[1]乃至ダイ180[k]のそれぞれの一方の面側とが、互いに向き合うように配置されるが、これに限らない。例えば、基板171の一方の面側と、ダイ180[1]乃至ダイ180[k]の少なくとも一の他方の面側とが、互いに向き合うように配置されてもよい。この場合、ダイ180[1]乃至ダイ180[k]のそれぞれにおいて、例えば、電極173同士または電極174同士が接合されることで、互いに電気的に接続される場合がある。また、例えば、ダイ180[k]において、電極173およびプラグ175が形成されなくてもよい場合がある。
【0055】
なお、基板171の一方の面側に、例えば、半導体装置100が備える状態制御部101、および演算部104などが形成されてもよい。また、基板171の一方の面側に、例えば、半導体装置100の外部に設けられるメモリなどが形成されてもよい。
【0056】
図2(B)は、半導体装置110Aの構成例を説明する回路図である。
【0057】
図2(B)に示すように、半導体装置110Aは、スキャンフリップフロップ120およびデータ保持回路130Aを備える。スキャンフリップフロップ120は、セレクタ121およびフリップフロップ122を備える。データ保持回路130Aは、メモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[k]を備える。また、半導体装置110Aは、トランジスタ123を備える。トランジスタ123は、例えば、基板171の一方の面側に形成される。
【0058】
半導体装置110Aの動作を制御する各種信号(信号BK[1]乃至信号BK[k]、信号RE[1]乃至信号RE[k]、信号SE、信号CLK、および信号BK[0])が、半導体装置110Aに供給される。当該各種信号は、上述した状態制御部101で生成することができる。
【0059】
なお、本明細書等において、例えば、各信号は、ハイレベルまたはローレベルのいずれかの電位であるとし、かつ、ハイレベルは、ローレベルよりも、高い電位であるとする。例えば、ハイレベルとローレベルとの電位差は、各信号が与えられるトランジスタのしきい値電圧よりも大きいことが好ましい。なお、ハイレベル、およびローレベルのそれぞれは、信号ごとに異なっていてもよい。
【0060】
なお、本明細書等において、ハイレベルを、「“H”」、または「High」と表し、ローレベルを、「“L”」、または「Low」と表す場合がある。また、信号をハイレベルとすることを、「信号を“H”とする」、または「信号=“H”とする」のように表し、信号をローレベルとすることを、「信号を“L”とする」、または「信号=“L”とする」のように表す場合がある。
【0061】
信号BK[1]乃至信号BK[k]のそれぞれは、スキャンフリップフロップ120内のフリップフロップ122に保持されているデータのセーブ(退避、ストア、またはバックアップともいう)を制御する信号である。データのセーブによって、フリップフロップ122に保持されるデータは、データ保持回路130A内のメモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[k]のいずれか一に、書き込まれた後、保持される。
【0062】
信号RE[1]乃至信号RE[k]のそれぞれは、データ保持回路130A内のメモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[k]のいずれか一に保持されたデータのリストア(復帰、ロード、またはリカバリーともいう)を制御する回路である。データのリストアによって、メモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[k]のいずれか一に保持されているデータは、スキャンフリップフロップ120内のフリップフロップ122に、書き戻された後、保持される。
【0063】
信号SEは、セレクタ121の出力を選択するための切り替え信号である。
【0064】
信号CLKは、フリップフロップ122を動作させるためのクロック信号である。
【0065】
半導体装置110Aは、信号CLKに同期して、端子Dから入力されるデータまたは端子SDから入力されるデータを、スキャンフリップフロップ120内のフリップフロップ122に格納して保持し、端子Qより出力する。フリップフロップ122に保持されたデータは、信号BK[1]乃至信号BK[k]の制御によって、端子Qから、データ保持回路130A内のメモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[k]のいずれか一に、セーブされる。メモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[k]のいずれか一に保持されたデータは、信号RE[1]乃至信号RE[k]の制御によって、端子SDから、フリップフロップ122に、リストアされる。
【0066】
セレクタ121は、信号SEの制御によって、端子Dまたは端子SDの信号をフリップフロップ122に伝える機能を有する。端子Dは、半導体装置110Aの外部より入力されるデータが与えられる端子である。端子SDは、データ保持回路130Aより入力されるデータ、または端子SD_INより入力されるデータが与えられる端子である。端子SD_INは、スキャンテスト用データが与えられる端子である。端子SD_INより入力されるデータは、信号BK[0]によって導通状態または非導通状態が制御されるトランジスタ123を介して、端子SDに与えられる。
【0067】
フリップフロップ122は、標準的な回路ライブラリに用意されているフリップフロップを適用することができる。フリップフロップ122は、例えば、ポジティブエッジトリガ型のDフリップフロップを用いることができる。フリップフロップ122は、例えばインバータループなどの回路を備えることで、1つのデータを保持することができる。フリップフロップ122は、信号CLKに同期して、入力端子Dfのデータを保持し、保持されたデータを、出力端子Qfより端子Qに出力する。
【0068】
データ保持回路130Aは、複数のタスクの切り替えに伴って生じる、タスクごとのスキャンフリップフロップ120の状態を、メモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[k]のそれぞれに、一対一で対応するように、保持することができる。データ保持回路130Aは、データのセーブを行う際に、信号BK[1]乃至信号BK[k]の制御によって、メモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[k]のいずれか一、が選択される。また、データ保持回路130Aは、データのリストアを行う際に、信号RE[1]乃至信号RE[k]の制御によって、メモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[k]のいずれか一、が選択される。
【0069】
データ保持回路130Aが備えるメモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[k]として、さまざまな回路構成を用いることができる。メモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[k]のそれぞれは、例えばインバータループなどの回路を備えることで、1つのデータを保持することができる。メモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[k]の具体的な構成例については、後述する。
【0070】
なお、半導体装置100は、タスクを切り替える際に、各タスクのタスクIDを、例えば、状態制御部101に設けられた記憶回路(例えばレジスタなど)に保持させることができる。これによって、状態制御部101は、各タスクに対応するスキャンフリップフロップ120の状態が、メモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[k]のいずれに保持されているかを把握することができる。
【0071】
なお、複数のタスクの数に対して、データ保持回路130Aが備えるメモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[k]の数が足りなくなった場合、例えば、半導体装置100の外部に設けられたメモリに対して、データのセーブおよびリストアが行われる。外部に設けられるメモリは、例えば、メインメモリ(主記憶装置ともいう)、またはキャッシュメモリ(緩衝記憶装置ともいう)などである。
【0072】
メインメモリには、一般的にDRAM(Dynamic Random Access Memory)が用いられる。また、DRAMに換えて、DOSRAM(登録商標)を用いてもよい。DOSRAMは、Dynamic Oxide Semiconductor Random Access Memoryの略称である。DOSRAMは、DRAMと同様に、一つのトランジスタと一つの容量で構成されるが、当該トランジスタに、オフ電流が極めて低いOSトランジスタ(チャネル形成領域に酸化物半導体を含むトランジスタ)を用いることで、データを長期間記憶することができる。そのため、DOSRAMは、DRAMに比べて、リフレッシュサイクルを大幅に減らすことができる。例えば、DRAMのリフレッシュサイクルは、ミリ秒以下であるが、DOSRAMのリフレッシュサイクルは、1時間乃至1年程度でよい。また、DOSRAMは、例えば、基板171上に複数の層を設け、当該複数の層に配置することができる。これらの特長によって、DOSRAMは、DRAMに比べて、高速動作をさせることができ、かつ、アクセスエネルギー(データの書き込みまたは読み出しによって消費されるエネルギー)を小さくすることができる。DOSRAMの具体的な構成例については、後述する。
【0073】
キャッシュメモリには、一般的にSRAM(Static Random Access Memory)が用いられる。また、SRAMに換えて、NOSRAM(登録商標)を用いてもよい。NOSRAMは、Nonvolatile Oxide Semiconductor Random Access Memoryの略称である。NOSRAMは、オフ電流が極めて低いOSトランジスタの特性を活かして、電荷を長期間保持させることでデータを記憶する、不揮発性のメモリである。また、NOSRAMは、原理的に書き換え回数の制限がない、多値のデータの書き込みが可能である、といった特長がある。また、NOSRAMは、例えば、基板171上に層を設け、当該層に自由に配置可能であるため、集積化が容易である。NOSRAMの具体的な構成例については、後述する。
【0074】
<動作例A>
本発明の一態様に係る半導体装置110Aは、複数のタスクの切り替えに伴って生じる、タスクごとのスキャンフリップフロップ120の状態をセーブする際に、メモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[k]のうち、スキャンフリップフロップ120に近い方から順にデータが保持されるように、状態制御部101によって制御される。例えば、既にメモリ回路131[1]にデータが保持されている場合、タスクの切り替えに伴って、メモリ回路131[2]にデータが保持される。同様に、例えば、既にメモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[k-1]にデータが保持されている場合、タスクの切り替えに伴って、メモリ回路131[k]にデータが保持される。メモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[k]のうち、スキャンフリップフロップ120に近い方が、配線の寄生抵抗および寄生容量による信号の遅延時間が短いため、セーブまたはリストアに要する時間を短くすることができる。よって、半導体装置110Aの動作速度の向上を図ることができる。
【0075】
【0076】
以下に説明する半導体装置110Aの動作例では、一例として、半導体装置110A内のデータ保持回路130Aが備えるメモリ回路131が、3つである場合について説明する。すなわち、データ保持回路130Aが、メモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[3]で構成される場合について説明する。なお、データ保持回路130Aが備えるメモリ回路131が、2つである場合、または4つ以上である場合についても、以下の説明を適宜参酌できる。
【0077】
メモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[3]は、それぞれ、書き込み権限の有無を設定することができる。書き込み権限の有無を設定することによって、半導体装置110Aは、メモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[3]のうち、書き込み権限有り(writable)のメモリに対してデータのセーブを行い、書き込み権限無し(unwritable)のメモリに対してデータのセーブを行わないように、状態制御部101によって制御される。メモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[3]のそれぞれの、書き込み権限の有無の情報は、例えば、状態制御部101に設けられた記憶回路(例えばレジスタなど)に保持される。
【0078】
図3に示すフローチャートに従って、データのセーブが行われる。
図3に示すフローチャートについて、
図5、および
図6(A)乃至
図6(D)を参酌しながら、以下に説明する。
【0079】
まず、処理A1(Process A1)が行われる(
図3のステップS101)。
【0080】
処理A1では、メモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[3]のそれぞれが、書き込み権限有り(writable)に設定される(
図5のステップS131)。
【0081】
次に、タスクの切り替えが発生したがどうか判定される(
図3のステップS103)。
【0082】
タスクの切り替えが発生した場合、まずは、実行中のタスクに対応するスキャンフリップフロップ120の状態がセーブされる。
【0083】
まず、メモリ回路131[1]の書き込み権限の有無が判定される(
図3のステップS104)。
【0084】
メモリ回路131[1]が書き込み権限有り(writable)であれば、処理A31(Process A31)が行われる(
図3のステップS105)。
【0085】
メモリ回路131[1]が書き込み権限無し(unwritable)であれば、メモリ回路131[2]の書き込み権限の有無が判定される(
図3のステップS106)。
【0086】
メモリ回路131[2]が書き込み権限有り(writable)であれば、処理A32(Process A32)が行われる(
図3のステップS107)。
【0087】
メモリ回路131[2]が書き込み権限無し(unwritable)であれば、メモリ回路131[3]の書き込み権限の有無が判定される(
図3のステップS108)。
【0088】
メモリ回路131[3]が書き込み権限有り(writable)であれば、処理A33(Process A33)が行われる(
図3のステップS109)。
【0089】
メモリ回路131[3]が書き込み権限無し(unwritable)であれば、処理A4(Process A4)が行われる(
図3のステップS110)。
【0090】
処理A31では、実行中のタスクに対応するスキャンフリップフロップ120の状態がメモリ回路131[1]にセーブされ(
図6(A)のステップS1512)、メモリ回路131[1]が書き込み権限無し(unwritable)に設定される(
図6(A)のステップS1513)。
【0091】
処理A32では、実行中のタスクに対応するスキャンフリップフロップ120の状態がメモリ回路131[2]にセーブされ(
図6(B)のステップS1522)、メモリ回路131[2]が書き込み権限無し(unwritable)に設定される(
図6(B)のステップS1523)。
【0092】
処理A33では、実行中のタスクに対応するスキャンフリップフロップ120の状態がメモリ回路131[3]にセーブされ(
図6(C)のステップS1532)、メモリ回路131[3]が書き込み権限無し(unwritable)に設定される(
図6(C)のステップS1533)。
【0093】
処理A4では、実行中のタスクに対応するスキャンフリップフロップ120の状態が半導体装置100の外部に設けられたメモリ(EXMEM)にバックアップされる(
図6(D)のステップS161)。
【0094】
なお、処理A31、処理A32、処理A33、および処理A4のそれぞれにおいて、実行中のタスクに対応するスキャンフリップフロップ120の状態がセーブまたはバックアップされた後、タスクが中断される。このとき、中断したタスクのタスクIDが、例えば、状態制御部101に設けられた記憶回路(例えばレジスタなど)に保持される。
【0095】
処理A31、処理A32、処理A33、または処理A4が完了し、タスクが中断された後、再開するタスクに対応するスキャンフリップフロップ120の状態がリストアされる。
【0096】
図4に示すフローチャートに従って、データのリストアが行われる。
図4に示すフローチャートについて、
図7(A)乃至
図7(D)を参酌しながら、以下に説明する。
【0097】
まず、再開するタスクに対応するスキャンフリップフロップ120の状態が、メモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[3]のいずれに保持されているか判定される(
図4のステップS121)。例えば、再開が要求されたタスクのタスクIDと、状態制御部101に設けられた記憶回路(例えばレジスタなど)に保持されているタスクIDと、を照会することで判定される。
【0098】
再開するタスクに対応するスキャンフリップフロップ120の状態がメモリ回路131[1]に保持されている場合、処理A51(Process A51)が行われる(
図4のステップS122)。
【0099】
再開するタスクに対応するスキャンフリップフロップ120の状態がメモリ回路131[2]に保持されている場合、処理A52(Process A52)が行われる(
図4のステップS123)。
【0100】
再開するタスクに対応するスキャンフリップフロップ120の状態がメモリ回路131[3]に保持されている場合、処理A53(Process A53)が行われる(
図4のステップS124)。
【0101】
再開するタスクに対応するスキャンフリップフロップ120の状態が、メモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[3]のいずれにも保持されておらず、半導体装置100の外部に設けられたメモリ(EXMEM)に記憶されている場合、処理A6(Process A6)が行われる(
図4のステップS125)。
【0102】
処理A51では、再開するタスクに対応するスキャンフリップフロップ120の状態がメモリ回路131[1]からリストアされ(
図7(A)のステップS1711)、メモリ回路131[1]が書き込み権限有り(writable)に設定される(
図7(A)のステップS1712)。
【0103】
処理A52では、再開するタスクに対応するスキャンフリップフロップ120の状態がメモリ回路131[2]からリストアされ(
図7(B)のステップS1721)、メモリ回路131[2]が書き込み権限有り(writable)に設定される(
図7(B)のステップS1722)。
【0104】
処理A53では、再開するタスクに対応するスキャンフリップフロップ120の状態がメモリ回路131[3]からリストアされ(
図7(C)のステップS1731)、メモリ回路131[3]が書き込み権限有り(writable)に設定される(
図7(C)のステップS1732)。
【0105】
処理A6では、再開するタスクに対応するスキャンフリップフロップ120の状態が半導体装置100の外部に設けられたメモリ(EXMEM)からリストアされる(
図7(D)のステップS181)。
【0106】
処理A51、処理A52、処理A53、または処理A6が完了し、タスクが再開された後、タスクの切り替えが発生したがどうかの判定に戻る(
図3のステップS103)。
【0107】
図8は、タスクの切り替えに伴う半導体装置110Aの動作の一例を説明する図である。
【0108】
図8では、時刻T1乃至時刻T6のそれぞれの時刻において、タスク1(task1)と、タスク2(task2)と、タスク3(task3)と、の3つのタスクが順次切り替わりながら実行される様子を図示している。また、タスクが切り替わる際に、タスク1乃至タスク3のそれぞれを実行するためのデータが、スキャンフリップフロップ120内からメモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[3]のそれぞれにセーブ(Save)される様子、および、メモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[3]のそれぞれからスキャンフリップフロップ120内にリストア(Restore)される様子、を破線矢印で示している。また、タスクが切り替わる際に、メモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[3]のそれぞれの、書き込み権限の状態(書き込み権限有り(writable)または書き込み権限無し(unwritable))が切り替わる様子を図示している。
【0109】
なお、時刻T1の直前において、タスク1が実行されているとする。また、メモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[3]のそれぞれの書き込み権限が、書き込み権限有りに設定されているとする。
【0110】
時刻T1において、タスク1が中断され、タスク2が開始される。すなわち、タスク1が実行されている状態で、スキャンフリップフロップ120内のデータをメモリ回路131[1]にセーブし、タスク2を実行可能な状態に切り替えられる。ここでは、一例として、タスク2を実行するためのデータが、メモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[3]のいずれにも保持されておらず、外部メモリからスキャンフリップフロップ120内に書き込まれるとする。メモリ回路131[1]へのセーブが完了した後、メモリ回路131[1]の書き込み権限が、書き込み権限無しに設定される。
【0111】
時刻T2において、タスク2が中断され、タスク1が再開される。すなわち、タスク2が実行されている状態で、スキャンフリップフロップ120内のデータをメモリ回路131[2]にセーブし、メモリ回路131[1]のデータをスキャンフリップフロップ120内にリストアすることで、タスク1を実行可能な状態に切り替えられる。これによって、タスク1は、時刻T1で中断された時点から再開される。メモリ回路131[2]へのセーブが完了した後、メモリ回路131[2]の書き込み権限が、書き込み権限無しに設定される。また、メモリ回路131[1]からのリストアが完了した後、メモリ回路131[1]の書き込み権限が、書き込み権限有りに設定される。
【0112】
時刻T3において、タスク1が中断され、タスク3が開始される。すなわち、タスク1が実行されている状態で、スキャンフリップフロップ120内のデータをメモリ回路131[1]にセーブし、タスク3を実行可能な状態に切り替えられる。ここでは、一例として、タスク3を実行するためのデータが、メモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[3]のいずれにも保持されておらず、外部メモリからスキャンフリップフロップ120内に書き込まれるとする。メモリ回路131[1]へのセーブが完了した後、メモリ回路131[1]の書き込み権限が、書き込み権限無しに設定される。
【0113】
時刻T4において、タスク3が中断され、タスク2が再開される。すなわち、タスク3が実行されている状態で、スキャンフリップフロップ120内のデータをメモリ回路131[3]にセーブし、メモリ回路131[2]のデータをスキャンフリップフロップ120内にリストアすることで、タスク2を実行可能な状態に切り替えられる。これによって、タスク2は、時刻T2で中断された時点から再開される。メモリ回路131[3]へのセーブが完了した後、メモリ回路131[3]の書き込み権限が、書き込み権限無しに設定される。また、メモリ回路131[2]からのリストアが完了した後、メモリ回路131[2]の書き込み権限が、書き込み権限有りに設定される。
【0114】
時刻T5において、タスク2が完了し、タスク3が再開される。すなわち、タスク2が完了した状態で、メモリ回路131[3]のデータをスキャンフリップフロップ120内にリストアすることで、タスク3を実行可能な状態に切り替えられる。これによって、タスク3は、時刻T4で中断された時点から再開される。メモリ回路131[3]からのリストアが完了した後、メモリ回路131[3]の書き込み権限が、書き込み権限有りに設定される。
【0115】
時刻T6において、タスク3が中断され、タスク1が再開される。すなわち、タスク3が実行されている状態で、スキャンフリップフロップ120内のデータをメモリ回路131[2]にセーブし、メモリ回路131[1]のデータをスキャンフリップフロップ120内にリストアすることで、タスク1を実行可能な状態に切り替えられる。これによって、タスク1は、時刻T3で中断された時点から再開される。メモリ回路131[2]へのセーブが完了した後、メモリ回路131[2]の書き込み権限が、書き込み権限無しに設定される。また、メモリ回路131[1]からのリストアが完了した後、メモリ回路131[1]の書き込み権限が、書き込み権限有りに設定される。
【0116】
半導体装置110Aは、上述したように動作させることで、タスクの切り替えによって中断した時点から、タスクを再開することができる。また、半導体装置110Aは、上述したように動作させることで、タスクの切り替えに伴ってタスクを実行するためのデータをセーブする際に、メモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[3]のうち、スキャンフリップフロップ120に近い方から順にデータを保持することができる。半導体装置110Aでは、メモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[k]のいずれか一うち、スキャンフリップフロップ120に近い方が、配線の寄生抵抗および寄生容量による信号の遅延時間が短い。そのため、半導体装置110Aは、上述したように動作させることで、セーブまたはリストアに要する時間を短くすることができる。よって、半導体装置110Aの動作速度の向上を図ることができる。
【0117】
〔構成例Aa〕
上述したように、データ保持回路130Aが備えるメモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[k]として、さまざまな回路構成を用いることができる。
【0118】
図9は、一例として、データ保持回路130Aaを備える半導体装置110Aaの構成例を説明する回路図である。
【0119】
データ保持回路130Aaは、メモリ回路131a[1]乃至メモリ回路131a[k]を備える。
【0120】
信号BK[1]乃至信号BK[k]のそれぞれ、および信号RE[1]乃至信号RE[k]のそれぞれが、メモリ回路131a[1]乃至メモリ回路131a[k]のそれぞれに、一対一で対応するように供給される。
【0121】
なお、本実施の形態等において、メモリ回路131a[1]乃至メモリ回路131a[k]のそれぞれに共通する内容を、メモリ回路131aと記載して説明する場合がある。その場合、信号BK[1]乃至信号BK[k]のそれぞれを、信号BKと記載し、かつ、信号RE[1]乃至信号RE[k]のそれぞれを、信号REと記載して説明する場合がある。
【0122】
図9に示すように、メモリ回路131aは、端子Qおよび端子SDに接続される。メモリ回路131aにおいて、端子Qに接続される端子(配線)を入力端子とし、かつ、端子SDに接続される端子(配線)を出力端子とする。つまり、半導体装置110Aaにおいて、フリップフロップ122の出力端子Qfは、メモリ回路131aの入力端子に電気的に接続され、かつ、フリップフロップ122の入力端子Dfは、セレクタ121を介して、メモリ回路131aの出力端子に電気的に接続される。
【0123】
メモリ回路131aは、インバータ13aと、インバータ13bと、クロックドインバータ132と、インバータ133と、クロックドインバータ134と、インバータ135と、を備える。
【0124】
なお、インバータ13a、インバータ13b、インバータ133、およびインバータ135のそれぞれは、標準的な回路ライブラリに用意されているインバータを適用することができる。また、クロックドインバータ132、およびクロックドインバータ134のそれぞれは、標準的な回路ライブラリに用意されているクロックドインバータを適用することができる。
【0125】
メモリ回路131aにおいて、クロックドインバータ132の入力端子は、端子Qに電気的に接続される。クロックドインバータ132の出力端子は、インバータ13aの入力端子と、インバータ13bの出力端子と、クロックドインバータ134の入力端子と、に電気的に接続される。インバータ13aの出力端子は、インバータ13bの入力端子に電気的に接続される。クロックドインバータ134の出力端子は、端子SDに接続される。
【0126】
すなわち、クロックドインバータ132の入力端子は、メモリ回路131aの入力端子であり、かつ、クロックドインバータ134の出力端子は、メモリ回路131aの出力端子である。
【0127】
なお、メモリ回路131a[1]乃至メモリ回路131a[k]のそれぞれにおいて、インバータ13aの出力端子とインバータ13bの入力端子とが電気的に接続されるノードを、ノードSN[1]乃至ノードSN[k]と記載して説明する場合がある。また、メモリ回路131a[1]乃至メモリ回路131a[k]のそれぞれに共通する内容を説明する場合、ノードSN[1]乃至ノードSN[k]のそれぞれを、ノードSNと記載して説明する場合がある。
【0128】
メモリ回路131aは、インバータ13aとインバータ13bとで形成されるインバータループによって、ノードSNに、1つのデータを保持することができる。
【0129】
信号BKは、クロックドインバータ132の制御端子の一方に供給され、かつ、インバータ133を介して、クロックドインバータ132の制御端子の他方に供給される。信号BKは、フリップフロップ122が保持するデータを、メモリ回路131aにセーブするための信号である。
【0130】
クロックドインバータ132は、信号BKに応じて、インバータまたは非導通状態となる。例えば、クロックドインバータ132は、信号BK=“H”とすることで、インバータとなり、または、信号BKを=“L”とすることで、非導通状態になる。
【0131】
信号REは、クロックドインバータ134の制御端子の一方に供給され、かつ、インバータ135を介して、クロックドインバータ134の制御端子の他方に供給される。信号REは、メモリ回路131aに保持したデータを、フリップフロップ122にリストアするための信号である。
【0132】
クロックドインバータ134は、信号REに応じて、インバータまたは非導通状態となる。例えば、クロックドインバータ134は、信号RE=“H”とすることで、インバータとなり、または、信号RE=“L”とすることで、非導通状態になる。
【0133】
セレクタ121は、信号SEに応じて、端子SDまたは端子Dの信号を選択して出力する。例えば、セレクタ121は、信号SE=“H”とすることで、端子SDの信号を選択して出力し、または、信号SE=“L”とすることで、端子Dの信号を選択して出力する。
【0134】
メモリ回路131aは、例えば、信号BK=“H”とすることで、フリップフロップ122が保持するデータを、ノードSNに書き込むことができる。また、メモリ回路131aは、例えば、信号RE=“H”、かつ、信号SE=“H”とすることで、ノードSNに保持したデータを、フリップフロップ122に書き戻すことができる。
【0135】
データ保持回路130Aaは、信号BK[1]乃至信号BK[k]のいずれか一を“H”とすることで、フリップフロップ122が保持するデータを、メモリ回路131a[1]乃至メモリ回路131a[k]のいずれか一にセーブすることができる。例えば、信号BK[1]=“H”とすることで、フリップフロップ122が保持するデータを、メモリ回路131a[1]のノードSN[1]に書き込むことができる。同様に、例えば、信号BK[k]=“H”とすることで、フリップフロップ122が保持するデータを、メモリ回路131a[k]のノードSN[k]に書き込むことができる。
【0136】
データ保持回路130Aaは、信号RE[1]乃至信号RE[k]のいずれか一を“H”とすることで、メモリ回路131a[1]乃至メモリ回路131a[k]のいずれか一に保持したデータを、フリップフロップ122にリストアすることができる。例えば、信号RE[1]=“H”、かつ、信号SE=“H”とすることで、メモリ回路131a[1]のノードSN[1]に保持したデータを、フリップフロップ122に書き戻すことができる。同様に、例えば、信号RE[k]=“H”、かつ、信号SE=“H”とすることで、メモリ回路131a[k]のノードSN[k]に保持したデータを、フリップフロップ122に書き戻すことができる。
【0137】
〔動作例Aa〕
データ保持回路130Aaの動作について、説明する。
【0138】
図10は、一例として、データ保持回路130Aaを備える半導体装置110Aaの動作例を説明するタイミングチャートである。なお、一例として、半導体装置110Aa内のデータ保持回路130Aaが備えるメモリ回路131aが、3つである場合について説明する。
【0139】
図10では、期間T11乃至期間T18のそれぞれの期間における、信号CLK、信号BK[1]乃至信号BK[3]、信号RE[1]乃至信号RE[3]、および信号SEのそれぞれの信号の状態(ハイレベル(High)またはローレベル(Low))を図示している。また、端子Q、端子D、端子SD、およびノードSN[1]乃至ノードSN[3]のそれぞれに与えられているデータの状態(データD1乃至データD7のいずれか一)を図示している。また、メモリ回路131a[1]乃至メモリ回路131a[3]のそれぞれの書き込み権限の状態(書き込み権限有り(writable)または書き込み権限無し(unwritable))を図示している。
【0140】
期間T11乃至期間T18のそれぞれの期間において、フリップフロップ122は、信号CLKが“L”から“H”に切り替わるタイミング(立ち上がりエッジ)に同期して、入力端子Dfのデータを格納し、出力端子Qfから出力する。
【0141】
図11(A)乃至
図11(D)、および
図12(A)乃至
図12(D)は、
図10に示すタイミングチャートの各期間における半導体装置110Aaの状態を説明するための模式図である。
【0142】
図11(A)乃至
図11(D)、および
図12(A)乃至
図12(D)のそれぞれでは、期間T11乃至期間T18のそれぞれの期間において、信号CLKの立ち上がりエッジよりも前の期間における半導体装置110Aaの状態(各期間の符号に“-1”を付して図示)と、信号CLKの立ち上がりエッジよりも後の期間における半導体装置110Aaの状態(各期間の符号に“-2”を付して図示)と、を図示している。
【0143】
期間T11において、信号BK[1]乃至信号BK[3]、信号RE[1]乃至信号RE[3]、および信号SEのそれぞれの信号は、“L”であるとする。また、メモリ回路131a[1]乃至メモリ回路131a[3]のそれぞれの書き込み権限は、書き込み権限有りであるとする。なお、以下の説明において、各信号および各メモリ回路の書き込み権限の有無について特に明記が無い場合、直前の期間における状態が維持されるとする。
【0144】
信号CLKの立ち上がりエッジに同期して、端子Dに与えられたデータD1が、スキャンフリップフロップ120に格納され、端子Qに出力される(
図11(A)の期間T11-2)。
【0145】
期間T12において、まず、メモリ回路131a[1]乃至メモリ回路131a[3]のそれぞれの書き込み権限は、書き込み権限有りである。また、スキャンフリップフロップ120に格納されているデータD1が、端子Qに出力されている。ここで、信号BK[1]=“H”とすることで、端子Qに出力されたデータD1が、メモリ回路131a[1]のノードSN[1]に格納される(
図11(B)の期間T12-1)。その後、信号BK[1]=“L”とすることで、ノードSN[1]に格納されたデータD1が、保持される。また、メモリ回路131a[1]の書き込み権限が、書き込み権限無しに設定される。
【0146】
続いて、信号CLKの立ち上がりエッジに同期して、端子Dに与えられたデータD2が、スキャンフリップフロップ120に格納され、端子Qに出力される(
図11(B)の期間T12-2)。
【0147】
期間T13において、まず、メモリ回路131a[2]およびメモリ回路131a[3]のそれぞれの書き込み権限は、書き込み権限有りであり、かつ、メモリ回路131a[1]の書き込み権限は、書き込み権限無しである。また、スキャンフリップフロップ120に格納されているデータD2が、端子Qに出力されている。ここで、信号BK[2]=“H”とすることで、端子Qに出力されたデータD2が、メモリ回路131a[2]のノードSN[2]に格納される(
図11(C)の期間T13-1)。その後、信号BK[2]=“L”とすることで、ノードSN[2]に格納されたデータD2が、保持される。また、メモリ回路131a[2]の書き込み権限が、書き込み権限無しに設定される。
【0148】
続いて、信号RE[1]=“H”とすることで、メモリ回路131a[1]のノードSN[1]に格納されているデータD1が、端子SDに与えられる。なお、データD3が、端子Dに与えられるが、信号SE=“H”とすることで、端子SDが選択される。ここで、信号CLKの立ち上がりエッジに同期して、端子SDに与えられたデータD1が、スキャンフリップフロップ120に格納され、端子Qに出力される(
図11(C)の期間T13-2)。その後、信号RE[1]=“L”、かつ、信号SE=“L”とする。また、メモリ回路131a[1]の書き込み権限が、書き込み権限有りに設定される。
【0149】
期間T14において、まず、メモリ回路131a[1]およびメモリ回路131a[3]のそれぞれの書き込み権限は、書き込み権限有りであり、かつ、メモリ回路131a[2]の書き込み権限は、書き込み権限無しである。また、スキャンフリップフロップ120に格納されているデータD1が、端子Qに出力されている(
図11(D)の期間T14-1)。
【0150】
続いて、信号CLKの立ち上がりエッジに同期して、端子Dに与えられたデータD4が、スキャンフリップフロップ120に格納され、端子Qに出力される(
図11(D)の期間T14-2)。
【0151】
期間T15において、まず、メモリ回路131a[1]およびメモリ回路131a[3]のそれぞれの書き込み権限は、書き込み権限有りであり、かつ、メモリ回路131a[2]の書き込み権限は、書き込み権限無しである。また、スキャンフリップフロップ120に格納されているデータD4が、端子Qに出力されている。ここで、信号BK[1]=“H”とすることで、端子Qに出力されたデータD4が、メモリ回路131a[1]のノードSN[1]に格納される(
図12(A)の期間T15-1)。その後、信号BK[1]=“L”とすることで、ノードSN[1]に格納されたデータD4が、保持される。また、メモリ回路131a[1]の書き込み権限が、書き込み権限無しに設定される。
【0152】
続いて、信号CLKの立ち上がりエッジに同期して、端子Dに与えられたデータD5が、スキャンフリップフロップ120に格納され、端子Qに出力される(
図12(A)の期間T15-2)。
【0153】
期間T16において、まず、メモリ回路131a[3]の書き込み権限は、書き込み権限有りであり、かつ、メモリ回路131a[1]およびメモリ回路131a[2]のそれぞれの書き込み権限は、書き込み権限無しである。また、スキャンフリップフロップ120に格納されているデータD5が、端子Qに出力されている。ここで、信号BK[3]=“H”とすることで、端子Qに出力されたデータD5が、メモリ回路131a[3]のノードSN[3]に格納される(
図12(B)の期間T16-1)。その後、信号BK[3]=“L”とすることで、ノードSN[3]に格納されたデータD5が、保持される。また、メモリ回路131a[3]の書き込み権限が、書き込み権限無しに設定される。
【0154】
続いて、信号RE[2]=“H”とすることで、メモリ回路131a[2]のノードSN[2]に格納されているデータD2が、端子SDに与えられる。なお、データD6が、端子Dに与えられるが、信号SE=“H”とすることで、端子SDが選択される。ここで、信号CLKの立ち上がりエッジに同期して、端子SDに与えられたデータD2が、スキャンフリップフロップ120に格納され、端子Qに出力される(
図12(B)の期間T16-2)。その後、信号RE[2]=“L”、かつ、信号SE=“L”とする。また、メモリ回路131a[2]の書き込み権限が、書き込み権限有りに設定される。
【0155】
期間T17において、まず、メモリ回路131a[2]の書き込み権限は、書き込み権限有りであり、かつ、メモリ回路131a[1]およびメモリ回路131a[3]のそれぞれの書き込み権限は、書き込み権限無しである。また、スキャンフリップフロップ120に格納されているデータD2が、端子Qに出力されている(
図12(C)の期間T17-1)。
【0156】
続いて、信号RE[3]=“H”とすることで、メモリ回路131a[3]のノードSN[3]に格納されているデータD5が、端子SDに与えられる。なお、データD7が、端子Dに与えられるが、信号SE=“H”とすることで、端子SDが選択される。ここで、信号CLKの立ち上がりエッジに同期して、端子SDに与えられたデータD5が、スキャンフリップフロップ120に格納され、端子Qに出力される(
図12(C)の期間T17-2)。その後、信号RE[3]=“L”、かつ、信号SE=“L”とする。また、メモリ回路131a[3]の書き込み権限が、書き込み権限有りに設定される。
【0157】
期間T18において、まず、メモリ回路131a[2]およびメモリ回路131a[3]のそれぞれの書き込み権限は、書き込み権限有りであり、かつ、メモリ回路131a[1]の書き込み権限は、書き込み権限無しである。また、スキャンフリップフロップ120に格納されているデータD5が、端子Qに出力されている(
図12(D)の期間T18-1)。
【0158】
〔構成例Ab〕
データ保持回路130Aが備えるメモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[k]として、上述したメモリ回路131aと異なる回路構成を用いることもできる。ここでは、一例として、メモリ回路131bを備えるデータ保持回路130Ab、およびデータ保持回路130Abを備える半導体装置110Abについて説明する。なお、半導体装置110Abは、上述した半導体装置110Aaの変形例である。よって、上述した説明を適宜参酌できるため、主に異なる点について説明し、同様の点についての説明を省略する場合がある。
【0159】
図13は、一例として、データ保持回路130Abを備える半導体装置110Abの構成例を説明する回路図である。
【0160】
半導体装置110Abは、データ保持回路130Aaに換えて、データ保持回路130Abを備える点が、半導体装置110Aaと異なる。また、データ保持回路130Abは、メモリ回路131a[1]乃至メモリ回路131a[k]に換えて、メモリ回路131b[1]乃至メモリ回路131b[k]を備える点が、データ保持回路130Aaと異なる。
【0161】
なお、本実施の形態等において、メモリ回路131b[1]乃至メモリ回路131b[k]のそれぞれに共通する内容を、メモリ回路131bと記載して説明する場合がある。
【0162】
また、半導体装置110Abは、半導体装置110Aaの構成に加えて、インバータ124と、プリチャージ回路125と、センスアンプ126と、を備える。インバータ124と、プリチャージ回路125と、センスアンプ126と、のそれぞれは、基板171の一方の面側に形成される。
【0163】
プリチャージ回路125の動作を制御する信号PC_ENが、半導体装置110Abに供給される。信号PC_ENは、上述した状態制御部101で生成することができる。
【0164】
図13に示すように、メモリ回路131bは、端子Qと、端子QBと、ノードBLbと、ノードBLBbと、に接続される。メモリ回路131bにおいて、端子Qに接続される端子(配線)を入力端子の一方とし、かつ、端子QBに接続される端子(配線)を入力端子の他方とする。また、メモリ回路131bにおいて、ノードBLbに接続される端子(配線)を出力端子の一方とし、ノードBLBbの接続される端子を出力端子の他方とする。
【0165】
また、
図13に示すように、端子Qは、インバータ124の入力端子に接続され、かつ、端子QBは、インバータ124の出力端子に接続される。また、ノードBLbは、プリチャージ回路125を介して、センスアンプ126の入力端子の一方に接続され、かつ、ノードBLBbは、プリチャージ回路125を介して、センスアンプ126の入力端子の他方に接続される。端子SDは、センスアンプ126の出力端子に接続される。
【0166】
つまり、半導体装置110Abにおいて、フリップフロップ122の出力端子Qfは、メモリ回路131bの入力端子の一方に電気的に接続され、かつ、インバータ124を介して、メモリ回路131bの入力端子の他方に電気的に接続される。また、フリップフロップの入力端子Dfは、セレクタ121を介して、センスアンプ126の出力端子に電気的に接続される。また、センスアンプ126の入力端子の一方は、プリチャージ回路125と、ノードBLbと、を介して、メモリ回路131bの出力端子の一方に電気的に接続され、かつ、センスアンプ126の入力端子の他方は、プリチャージ回路125と、ノードBLBbと、を介して、メモリ回路131bの出力端子の他方に電気的に接続される。
【0167】
メモリ回路131bは、インバータ13aと、インバータ13bと、トランジスタ136と、トランジスタ137と、トランジスタ138と、トランジスタ139と、を備える。
【0168】
メモリ回路131bにおいて、トランジスタ136のソースまたはドレインの一方は、インバータ13aの出力端子と、インバータ13bの入力端子と、トランジスタ138のソースまたはドレインの一方と、に電気的に接続される。トランジスタ137のソースまたはドレインの一方は、インバータ13aの入力端子と、インバータ13bの出力端子と、トランジスタ139のソースまたはドレインの一方と、に電気的に接続される。トランジスタ136のソースまたはドレインの他方は、端子Qに電気的に接続される。トランジスタ137のソースまたはドレインの他方は、端子QBに電気的に接続される。トランジスタ138のソースまたはドレインの他方は、ノードBLbに電気的に接続される。トランジスタ139のソースまたはドレインの他方は、ノードBLBbに電気的に接続される。
【0169】
すなわち、トランジスタ136のソースまたはドレインの他方は、メモリ回路131bの入力端子の一方であり、かつ、トランジスタ137のソースまたはドレインの他方は、メモリ回路131bの入力端子の他方である。また、トランジスタ138のソースまたはドレインの他方は、メモリ回路131bの出力端子の一方であり、かつ、トランジスタ139のソースまたはドレインの他方は、メモリ回路131bの出力端子の他方である。
【0170】
信号BKは、トランジスタ136のゲート、およびトランジスタ137のゲートに供給される。
【0171】
トランジスタ136、およびトランジスタ137は、それぞれ、信号BKに応じて、導通状態または非導通状態となる。例えば、トランジスタ136、およびトランジスタ137は、それぞれ、信号BK=“H”とすることで、導通状態になり、または、信号BK=“L”とすることで、非導通状態になる。
【0172】
信号REは、トランジスタ138のゲート、およびトランジスタ139のゲートに供給される。
【0173】
トランジスタ138、およびトランジスタ139は、それぞれ、信号REに応じて、導通状態または非導通状態となる。例えば、トランジスタ138、およびトランジスタ139は、それぞれ、信号RE=“H”とすることで、導通状態になり、または、信号BK=“L”とすることで、非導通状態になる。
【0174】
メモリ回路131bは、例えば、信号BK=“H”とすることで、フリップフロップ122が保持するデータを、ノードSNに書き込むことができる。また、メモリ回路131bは、例えば、信号RE=“H”、かつ、信号SE=“H”とすることで、ノードSNに保持したデータを、プリチャージ回路125と、センスアンプ126と、を介して、フリップフロップ122に書き戻すことができる。
【0175】
プリチャージ回路125は、信号PC_ENの制御によって、信号RE=“H”とする直前に、ノードBLbおよびノードBLBbのそれぞれを、プリチャージする機能を有する。例えば、プリチャージ回路125は、信号PC_ENの制御によって、ノードBLbおよびノードBLBbのそれぞれを、ハイレベルとローレベルとの間の中間電位にプリチャージすることができる。
【0176】
センスアンプ126は、入力端子の一方と他方との間の電位差を増幅して、出力端子に出力する機能を有する。例えば、プリチャージ回路125によってノードBLbおよびノードBLBbのそれぞれをプリチャージした後に、信号RE=“H”とすることで、ノードBLbまたはノードBLBbの一方は、プリチャージされた電位より高い電位となり、かつ、ノードBLbまたはノードBLBbの他方は、プリチャージ回路125によってプリチャージされた電位より低い電位となる。そのため、ノードBLbとノードBLBbとの間に電位差が生じる。センスアンプ126は、ノードBLbとノードBLBbとの間に生じた電位差を増幅して、端子SDに出力することができる。
【0177】
〔動作例Ab〕
データ保持回路130Abの動作について、説明する。
【0178】
図14は、一例として、データ保持回路130Abを備える半導体装置110Abの動作例を説明するタイミングチャートである。なお、一例として、半導体装置110Ab内のデータ保持回路130Abが備えるメモリ回路131bが、3つである場合について説明する。
【0179】
図14に示すタイミングチャートは、
図10に示すタイミングチャートに加えて、信号PC_ENの状態(ハイレベル(High)またはローレベル(Low))を図示している。なお、信号PC_EN以外の信号の状態は、
図10に示すタイミングチャートと同様である。
【0180】
図14に示すタイミングチャートでは、期間T13、期間T16、および期間T17のそれぞれの期間において、信号RE=“H”とする前の一定期間に、信号PC_EN=“H”としている様子を示している。信号PC_EN=“H”とすることで、ノードBLbおよびノードBLBbのそれぞれへの、プリチャージが開始される。一定期間後、信号PC_EN=“L”とすることで、ノードBLbおよびノードBLBbのそれぞれへの、プリチャージが停止される。その後、信号RE=“H”とすることで、ノードSNに保持したデータに応じて、ノードBLbとノードBLBbとの間に電位差が生じる。かつ、信号SE=“H”とすることで、ノードBLbとノードBLBbとの間の電位差を、センスアンプ126で増幅して、フリップフロップ122に書き戻すことができる。
【0181】
図9に示す半導体装置110Aaと、
図13に示す半導体装置110Abと、のそれぞれの構成は、それぞれの特長を活かして適宜使い分けることができる。例えば、半導体装置110Abが備えるメモリ回路131bは、半導体装置110Aaが備えるメモリ回路131aよりも、トランジスタの数が少ない。そのため、半導体装置110Abは、半導体装置110Aaよりも、記憶密度を高くすることができる。一方、例えば、半導体装置110Aaは、ノードSNのデータをフリップフロップ122に書き戻す際に、プリチャージを行う必要がない。そのため、半導体装置110Aaは、半導体装置110Abよりも、動作速度を速くすることができる。
【0182】
<構成例B>
本発明の一態様に係るレジスタ110として、上述した半導体装置110Aと異なる構成を用いることもできる。ここでは、一例として、半導体装置110Bについて説明する。なお、半導体装置110Bは、上述した半導体装置110Aの変形例である。よって、上述した説明を適宜参酌できるため、主に異なる点について説明し、同様の点についての説明を省略する場合がある。
【0183】
図15(A)は、本発明の一態様に係る半導体装置110Bの構成例を説明する模式図である。半導体装置110Bは、上述したレジスタ110に好適に用いることができる構成の一例である。
【0184】
半導体装置110Bは、データ保持回路130Aに換えて、データ保持回路130Bを備える点が、半導体装置110Aと異なる。
【0185】
データ保持回路130Bは、データ保持回路130Aの構成に加えて、ダイ180[1]乃至ダイ180[k]のそれぞれの一方の面側に、層182[1]乃至層182[k]のそれぞれが、一対一で対応するように形成される。層182[1]乃至層182[k]のそれぞれは、OSトランジスタ、またはOSトランジスタを含む回路が設けられる層である。
【0186】
OSトランジスタは、チャネルが形成される酸化物半導体のバンドギャップが2eV以上であるため、オフ電流(トランジスタがオフ状態であるときにソースとドレインの間に流れる電流)が極めて低いという特性を有する。室温下における、チャネル幅1μmあたりのOSトランジスタのオフ電流値は、1aA(1×10-18A)以下、1zA(1×10-21A)以下、または1yA(1×10-24A)以下とすることができる。なお、Siトランジスタの場合、室温下における、チャネル幅1μmあたりのオフ電流値は、1fA(1×10-15A)以上かつ1pA(1×10-12A)以下である。したがって、OSトランジスタのオフ電流は、Siトランジスタのオフ電流よりも10桁程度低いともいえる。
【0187】
また、OSトランジスタは、高温環境下でもオフ電流がほとんど増加しない。具体的には、室温以上200℃以下の環境温度下でもオフ電流がほとんど増加しない。また、OSトランジスタは、高温環境下でもオン電流が低下しにくい。一方で、Siトランジスタは、高温環境下においてオン電流が低下する。すなわち、OSトランジスタは、高温環境下において、Siトランジスタよりも、オン電流が高くなる。また、OSトランジスタは、125℃以上かつ150℃以下といった環境温度下においても、オン電流とオフ電流の比が大きいため、良好なスイッチング動作を行うことができる。よって、OSトランジスタを含む半導体装置は、高温環境下においても動作が安定し、高い信頼性が得られる。
【0188】
OSトランジスタの半導体層は、インジウムおよび亜鉛の少なくとも一を含むと好ましい。また、OSトランジスタの半導体層は、例えば、インジウムと、M(Mは、ガリウム、アルミニウム、イットリウム、スズ、シリコン、ホウ素、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウム、およびコバルト、から選ばれた一種または複数種)と、亜鉛と、を有することが好ましい。特に、Mは、ガリウム、アルミニウム、イットリウム、およびスズ、から選ばれた一種または複数種であることが好ましい。
【0189】
特に、半導体層としては、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、および亜鉛(Zn)を含む酸化物(「IGZO」とも記す)を用いることが好ましい。または、半導体層としては、インジウム(In)、アルミニウム(Al)、および亜鉛(Zn)を含む酸化物(「IAZO」とも記す)を用いてもよい。または、半導体層としては、インジウム(In)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、および亜鉛(Zn)を含む酸化物(「IAGZO」とも記す)を用いてもよい。
【0190】
半導体層がIn-M-Zn酸化物の場合、当該In-M-Zn酸化物におけるInの原子数比は、Mの原子数比以上であることが好ましい。このようなIn-M-Zn酸化物の金属元素の原子数比としては、例えば、In:M:Zn=1:1:1またはその近傍の組成、In:M:Zn=1:1:1.2またはその近傍の組成、In:M:Zn=2:1:3またはその近傍の組成、In:M:Zn=3:1:2またはその近傍の組成、In:M:Zn=4:2:3またはその近傍の組成、In:M:Zn=4:2:4.1またはその近傍の組成、In:M:Zn=5:1:3またはその近傍の組成、In:M:Zn=5:1:6またはその近傍の組成、In:M:Zn=5:1:7またはその近傍の組成、In:M:Zn=5:1:8またはその近傍の組成、In:M:Zn=6:1:6またはその近傍の組成、または、In:M:Zn=5:2:5またはその近傍の組成、などが挙げられる。また、当該In-M-Zn酸化物におけるInの原子数比は、Mの原子数比より小さくてもよい場合がある。このようなIn-M-Zn酸化物の金属元素の原子数比としては、例えば、In:M:Zn=1:3:2またはその近傍の組成、または、In:M:Zn=1:3:4またはその近傍の組成、などが挙げられる。なお、近傍の組成とは、所望の原子数比の、プラスマイナス30%の範囲を含む。
【0191】
層182[1]乃至層182[k]のそれぞれにおいて、電極173とプラグ175とを電気的に接続する導電体172が形成される。導電体172は、プラグまたは配線としての機能を有する。すなわち、電極173は、導電体172とプラグ175とを順に介して、電極174に電気的に接続される。なお、本明細書等において、配線と、配線と電気的に接続するプラグと、が一体物であってもよい。すなわち、導電体の一部が配線として機能し、かつ、導電体の一部がプラグとして機能する場合もある。
【0192】
なお、導電体172の材料として、例えば、金属材料、合金材料、金属窒化物材料、または金属酸化物材料などの導電性材料を、単層または積層して用いることができる。導電体172の材料として、耐熱性と導電性とを両立する、例えば、タングステン、またはモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましい。または、導電体172の材料として、アルミニウム、または銅などの低抵抗導電性材料を用いることが好ましい。導電体172に低抵抗導電性材料を用いることで、配線抵抗を低くすることができる。半導体装置110Bにおいて、導電体172の配線抵抗を低くすることで、信号の遅延時間が短くなるため、セーブまたはリストアに要する時間を短くすることができる。よって、半導体装置110Bの動作速度の向上を図ることができる。
【0193】
図15(B)は、半導体装置110Bの構成例を説明する回路図である。
【0194】
図15(B)に示すように、半導体装置110Bが備えるデータ保持回路130Bは、データ保持回路130Aの構成に加えて、層182[1]乃至層182[k]を備える。層182[1]乃至層182[k]のそれぞれに、トランジスタMS1[1]乃至トランジスタMS1[k]のそれぞれ、およびトランジスタMS2[1]乃至トランジスタMS2[k]のそれぞれが、一対一で対応するように形成される。
【0195】
信号SW[1]乃至信号SW[k]のそれぞれが、トランジスタMS1[1]乃至トランジスタMS1[k]のそれぞれのゲート、およびトランジスタMS2[1]乃至トランジスタMS2[k]のそれぞれゲートに、一対一で対応するように供給される。信号SW[1]乃至信号SW[k]のそれぞれは、上述した状態制御部101で生成することができる。
【0196】
トランジスタMS1[1]乃至トランジスタMS1[k]のそれぞれ、およびトランジスタMS2[1]乃至トランジスタMS2[k]のそれぞれは、信号SW[1]乃至信号SW[k]のそれぞれに応じて、導通状態または非導通状態となる。例えば、トランジスタMS1[1]、およびトランジスタMS2[1]は、信号SW[1]=“H”とすることで、導通状態になり、または、信号SW[1]=“L”とすることで、非導通状態になる。同様に、例えば、トランジスタMS1[k]、およびトランジスタMS2[k]は、信号SW[k]=“H”とすることで、導通状態になり、または、信号SW[k]=“L”とすることで、非導通状態になる。トランジスタMS1[2]乃至トランジスタMS1[k-1]のそれぞれ、およびトランジスタMS2[2]乃至トランジスタMS2[k-1]のそれぞれについても、同様である。
【0197】
トランジスタMS1[1]乃至トランジスタMS1[k]のそれぞれのソースまたはドレインの一方は、メモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[k]のそれぞれに、一対一で対応するように電気的に接続される。トランジスタMS1[1]のソースまたはドレインの他方は、端子Qに電気的に接続される。トランジスタMS1[2]乃至トランジスタMS1[k]のそれぞれのソースまたはドレインの他方は、トランジスタMS1[1]乃至トランジスタMS1[k-1]のそれぞれのソースまたはドレインの一方に、一対一で対応するように電気的に接続される。
【0198】
トランジスタMS2[1]乃至トランジスタMS2[k]のそれぞれのソースまたはドレインの一方は、メモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[k]のそれぞれに、一対一で対応するように電気的に接続される。トランジスタMS2[1]のソースまたはドレインの他方は、端子SDに電気的に接続される。トランジスタMS2[2]乃至トランジスタMS2[k]のそれぞれのソースまたはドレインの他方は、トランジスタMS2[1]乃至トランジスタMS2[k-1]のそれぞれのソースまたはドレインの一方に、一対一で対応するように電気的に接続される。
【0199】
<動作例B>
本発明の一態様に係る半導体装置110Bは、上述した半導体装置110Aと同様に、複数のタスクの切り替えに伴って生じる、タスクごとのスキャンフリップフロップ120の状態をセーブする際に、メモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[k]のうち、スキャンフリップフロップ120に近い方から順にデータを保持するように、状態制御部101によって制御される。
【0200】
その際、半導体装置110Bは、信号SW[1]乃至信号SW[k]の制御によって、メモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[k]のうち、データが保持されているメモリ回路131と、端子Qおよび端子SDと、の間を導通状態にし、かつ、データが保持されていないメモリ回路131と、端子Qおよび端子SDと、の間を非導通状態にすることができる。例えば、メモリ回路131[1]にデータが保持されており、かつ、メモリ回路131[2]乃至メモリ回路131[k]にデータが保持されていない場合、信号SW[1]を“H”とすることで、トランジスタMS1[1]、およびトランジスタMS2[1]を導通状態にし、かつ、信号SW[2]乃至信号SW[k]を“L”とすることで、トランジスタMS1[2]乃至トランジスタMS1[k]、およびトランジスタMS2[2]乃至トランジスタMS2[k]を非導通状態にすることができる。
【0201】
半導体装置110Bは、データが保持されていないメモリ回路131と、端子Qおよび端子SDと、の間を非導通状態にすることで、データが保持されているメモリ回路131と、端子Qおよび端子SDと、の間の配線の寄生容量を低減することができる。つまり、例えば、半導体装置110Bは、実行されるタスクの数が少ない場合、信号SW[1]乃至信号SW[k]の制御によって、スキャンフリップフロップ120と、データが保持されているメモリ回路131と、の間の配線の寄生容量を低減することができる。そのため、セーブまたはリストアに伴うエネルギー消費を低減することができる。また、信号の遅延時間が短くなるため、セーブまたはリストアに要する時間を短くすることができる。よって、半導体装置110Bの、消費電力の低減、および動作速度の向上を図ることができる。
【0202】
なお、上述したように、トランジスタMS1[1]乃至トランジスタMS1[k]のそれぞれ、およびトランジスタMS2[1]乃至トランジスタMS2[k]のそれぞれは、OSトランジスタであるため、非導通状態において、オフ電流が極めて低い。また、例えば、半導体装置100内の演算部104で演算処理を行うことによる発熱の影響を受けやすい環境下においても、オフ電流がほとんど増加しない。
【0203】
よって、半導体装置110Bは、例えば、長期間使用されないタスクがある場合、当該タスクに対応するデータが保持されているメモリ回路131と、端子Qおよび端子SDと、の間を非導通状態にすることで、当該タスクに対応するデータを長期間保持しつつ、配線の寄生容量を低減することができる。そのため、半導体装置110Bの消費電力の低減、および動作速度の向上を図ることができる。
【0204】
図16、
図17、および
図18(A)乃至
図18(C)は、半導体装置110Bの動作例を説明するフローチャートである。なお、以下に説明する半導体装置110Bの動作例において、
図4、
図5、
図6(D)、および
図7(A)乃至
図7(D)も適宜参酌できる。
【0205】
以下に説明する半導体装置110Bの動作例では、一例として、半導体装置110B内のデータ保持回路130Bが備えるメモリ回路131が、3つである場合について説明する。半導体装置110Bの動作例として、
図3に示すフローチャートに換えて、
図16に示すフローチャートが行われる。
図16に示すフローチャートでは、
図3に示すフローチャートに加えて、ステップS202が行われる。また、
図16に示すフローチャートでは、ステップS105、ステップS107、およびステップS109のそれぞれに換えて、ステップS205、ステップS207、およびステップS209が行われる点が、
図3に示すフローチャートと異なる。
【0206】
図16に示すフローチャートに従って、データのセーブが行われる。
図16に示すフローチャートについて、
図5、
図6(D)、
図17、および
図18(A)乃至
図18(C)を参酌しながら、以下に説明する。
【0207】
まず、処理A1が行われる(
図16のステップS101)。
【0208】
次に、処理B2(Process B2)が行われる(
図16のステップS202)。
【0209】
処理B2では、
図17に示すフローチャートに従って、メモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[3]のそれぞれの書き込み権限の有無に応じて、信号SW[1]乃至信号SW[3]のそれぞれが、ハイレベル(High)またはローレベル(Low)に設定される。
【0210】
まず、メモリ回路131[3]の書き込み権限の有無が判定される(
図17のステップS241)。
【0211】
メモリ回路131[3]が書き込み権限無し(unwritable)であれば、処理B2が完了する。メモリ回路131[3]が書き込み権限有り(writable)であれば、信号SW[3]=“L”に設定される(
図17のステップS242)。
【0212】
次に、メモリ回路131[2]の書き込み権限の有無が判定される(
図17のステップS243)。
【0213】
メモリ回路131[2]が書き込み権限無し(unwritable)であれば、処理B2が完了する。メモリ回路131[2]が書き込み権限有り(writable)であれば、信号SW[2]=“L”に設定される(
図17のステップS244)。
【0214】
次に、メモリ回路131[1]の書き込み権限の有無が判定される(
図17のステップS245)。
【0215】
メモリ回路131[1]が書き込み権限無し(unwritable)であれば、処理B2が完了する。メモリ回路131[1]が書き込み権限有り(writable)であれば、信号SW[1]=“L”に設定され(
図17のステップS246)、処理B2が完了する。
【0216】
処理B2が完了した後、タスクの切り替えが発生したがどうか判定される(
図16のステップS103)。
【0217】
タスクの切り替えが発生した場合、まずは、実行中のタスクに対応するスキャンフリップフロップ120の状態がセーブされる。
【0218】
まず、メモリ回路131[1]の書き込み権限の有無が判定される(
図16のステップS104)。
【0219】
メモリ回路131[1]が書き込み権限有り(writable)であれば、処理B31(Process B31)が行われる(
図16のステップS205)。
【0220】
メモリ回路131[1]が書き込み権限無し(unwritable)であれば、メモリ回路131[2]の書き込み権限の有無が判定される(
図16のステップS106)。
【0221】
メモリ回路131[2]が書き込み権限有り(writable)であれば、処理B32(Process B32)が行われる(
図16のステップS207)。
【0222】
メモリ回路131[2]が書き込み権限無し(unwritable)であれば、メモリ回路131[3]の書き込み権限の有無が判定される(
図16のステップS108)。
【0223】
メモリ回路131[3]が書き込み権限有り(writable)であれば、処理B33(Process B33)が行われる(
図16のステップS209)。
【0224】
メモリ回路131[3]が書き込み権限無し(unwritable)であれば、処理A4(Process A4)が行われる(
図16のステップS110)。
【0225】
処理B31では、まず、信号SW[1]=“H”に設定される(
図18(A)のステップS2511)。その後、実行中のタスクに対応するスキャンフリップフロップ120の状態がメモリ回路131[1]にセーブされ(
図18(A)のステップS1512)、メモリ回路131[1]が書き込み権限無し(unwritable)に設定される(
図18(A)のステップS1513)。
【0226】
処理B32では、まず、信号SW[2]=“H”に設定される(
図18(B)のステップS2521)。その後、実行中のタスクに対応するスキャンフリップフロップ120の状態がメモリ回路131[2]にセーブされ(
図18(B)のステップS1522)、メモリ回路131[2]が書き込み権限無し(unwritable)に設定される(
図18(B)のステップS1523)。
【0227】
処理B33では、まず、信号SW[3]=“H”に設定される(
図18(C)のステップS2531)。その後、実行中のタスクに対応するスキャンフリップフロップ120の状態がメモリ回路131[3]にセーブされ(
図18(C)のステップS1532)、メモリ回路131[3]が書き込み権限無し(unwritable)に設定される(
図18(C)のステップS1533)。
【0228】
処理B31、処理B32、処理B33、または処理A4が完了し、タスクが中断された後、
図4に示すフローチャートと同様の動作が行われることで、再開するタスクに対応するスキャンフリップフロップ120の状態がリストアされる。
【0229】
すなわち、
図4に示すフローチャートにおいて、処理A51、処理A52、処理A53、または処理A6が完了し、タスクが再開された後、処理B2に戻る(
図16のステップS202)。
【0230】
図19は、タスクの切り替えに伴う半導体装置110Bの動作の一例を説明する図である。
【0231】
図19では、
図8に加えて、タスクが切り替わる際に、信号SW1[1]乃至信号SW[3]のそれぞれの信号の状態(ハイレベル(High)またはローレベル(Low))を図示している。
【0232】
なお、時刻T1の直前において、信号SW[1]乃至信号SW[3]のそれぞれ信号が、“L”に設定されているとする。すなわち、メモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[3]のそれぞれと、端子Qおよび端子SDと、の間は、非導通状態である。
【0233】
時刻T1において、スキャンフリップフロップ120内のデータをメモリ回路131[1]にセーブする前に、信号SW[1]=“H”に設定される。すると、メモリ回路131[1]と、端子Qおよび端子SDと、の間が、導通状態になる。よって、メモリ回路131[1]に対して、セーブまたはリストアすることが可能になる。
【0234】
時刻T2において、スキャンフリップフロップ120内のデータをメモリ回路131[2]にセーブする前に、信号SW[2]=“H”に設定される。すると、メモリ回路131[2]と、端子Qおよび端子SDと、の間が、導通状態になる。よって、メモリ回路131[2]に対して、セーブまたはリストアすることが可能になる。
【0235】
時刻T4において、スキャンフリップフロップ120内のデータをメモリ回路131[3]にセーブする前に、信号SW[3]=“H”に設定される。すると、メモリ回路131[3]と、端子Qおよび端子SDと、の間が、導通状態になる。よって、メモリ回路131[3]に対して、セーブまたはリストアすることが可能になる。
【0236】
時刻T5において、メモリ回路131[3]のデータをスキャンフリップフロップ120内にリストアした後に、信号SW[3]=“L”に設定される。すると、メモリ回路131[3]と、端子Qおよび端子SDと、の間が、非導通状態になる。また、時刻T4において、メモリ回路131[2]のデータをスキャンフリップフロップ120内にリストアしたため、信号SW[2]=“L”に設定される。すると、メモリ回路131[2]と、端子Qおよび端子SDと、の間が、非導通状態になる。
【0237】
時刻T6において、スキャンフリップフロップ120内のデータをメモリ回路131[2]にセーブする前に、信号SW[2]=“H”に設定される。すると、メモリ回路131[2]と、端子Qおよび端子SDと、の間が、導通状態になる。よって、メモリ回路131[2]に対して、セーブまたはリストアすることが可能になる。
【0238】
半導体装置110Bは、上述したように動作させることで、実行されるタスクの数が少ない場合に、スキャンフリップフロップ120と、データが保持されているメモリ回路131と、の間の配線の寄生容量を低減することができる。例えば、時刻T5における動作によって、メモリ回路131[1]と、端子Qおよび端子SDと、の間の配線の寄生容量を低減することができる。そのため、セーブまたはリストアに伴うエネルギー消費を低減することができる。また、信号の遅延時間が短くなるため、セーブまたはリストアに要する時間を短くすることができる。よって、半導体装置110Bの、消費電力の低減、および動作速度の向上を図ることができる。
【0239】
〔構成例Ba〕
上述したように、データ保持回路130Bが備えるメモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[k]として、さまざまな回路構成を用いることができる。
【0240】
図20は、一例として、データ保持回路130Baを備える半導体装置110Baの構成例を説明する回路図である。
【0241】
図20に示すデータ保持回路130Baは、データ保持回路130Bが備えるメモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[k]として、
図9に示すメモリ回路131a[1]乃至メモリ回路131a[k]を適用した構成である。
【0242】
〔動作例Ba〕
データ保持回路130Baの動作について、説明する。
【0243】
図21は、一例として、データ保持回路130Baを備える半導体装置110Baの動作例を説明するタイミングチャートである。なお、一例として、半導体装置110Ba内のデータ保持回路130Baが備えるメモリ回路131aが、3つである場合について説明する。
【0244】
図21に示すタイミングチャートは、
図10に示すタイミングチャートに加えて、信号SW[1]乃至信号SW[3]のそれぞれの信号の状態(ハイレベル(High)またはローレベル(Low))を図示している。なお、信号SW[1]乃至信号SW[3]以外の信号の状態は、
図10に示すタイミングチャートと同様である。
【0245】
図22(A)乃至
図22(D)、および
図23(A)乃至
図23(D)は、
図21に示すタイミングチャートの各期間における半導体装置110Baの状態を説明するための模式図である。
【0246】
図22(A)乃至
図22(D)、および
図23(A)乃至
図23(D)のそれぞれでは、期間T11乃至期間T18のそれぞれの期間において、トランジスタMS1[1]乃至トランジスタMS1[3]、およびトランジスタMS2[1]乃至トランジスタMS2[3]の図示を省略し、導通状態のトランジスタを配線の短絡として、かつ、非導通状態のトランジスタを配線の開放として、図示している。
【0247】
期間T11において、信号SW[1]乃至信号SW[3]のそれぞれの信号は、“L”であるとする。そのため、トランジスタMS1[1]乃至トランジスタMS1[3]のそれぞれ、およびトランジスタMS2[1]乃至トランジスタMS2[3]のそれぞれは、非導通状態である。よって、メモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[3]のそれぞれと、端子Qおよび端子SDと、の間は、非導通状態である。(
図22(A)の期間T11-2)。なお、以下の説明において、各信号および各トランジスタについて特に明記が無い場合、直前の期間における状態が維持されるとする。
【0248】
期間T12において、信号SW[1]=“H”とすることで、トランジスタMS1[1]、およびトランジスタMS2[1]が、導通状態になる。よって、メモリ回路131[1]と、端子Qおよび端子SDと、の間が、導通状態になる(
図22(B)の期間T12-1および期間T12-2)。
【0249】
期間T13において、信号SW[2]=“H”とすることで、トランジスタMS1[2]、およびトランジスタMS2[2]が、導通状態になる。よって、メモリ回路131[2]と、端子Qおよび端子SDと、の間が、導通状態になる(
図22(C)の期間T13-1および期間T13-2)。
【0250】
期間T14、および期間T15のそれぞれにおいて、信号SW[1]乃至信号SW[3]のそれぞれの信号は、前の期間における状態が維持される。そのため、トランジスタMS1[1]乃至トランジスタMS1[3]のそれぞれ、およびトランジスタMS2[1]乃至トランジスタMS2[3]のそれぞれの、導通状態または非導通状態が維持される。よって、メモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[3]のそれぞれと、端子Qおよび端子SDと、の間の、導通状態または非導通状態が維持される(
図22(D)の期間T14-1、期間T14-2、
図23(A)の期間T15-1、および期間T15-2)。
【0251】
期間T16において、信号SW[3]=“H”とすることで、トランジスタMS1[3]、およびトランジスタMS2[3]が、導通状態になる。よって、メモリ回路131[3]と、端子Qおよび端子SDと、の間が導通状態になる(
図23(B)の期間T16-1および期間T16-2)。
【0252】
期間T17において、信号SW[1]乃至信号SW[3]のそれぞれの信号は、前の期間における状態が維持される。そのため、トランジスタMS1[1]乃至トランジスタMS1[3]のそれぞれ、およびトランジスタMS2[1]乃至トランジスタMS2[3]のそれぞれの、導通状態または非導通状態が維持される。よって、メモリ回路131[1]乃至メモリ回路131[3]のそれぞれと、端子Qおよび端子SDと、の間の、導通状態または非導通状態が維持される(
図23(C)の期間T17-1および期間T17-2)。
【0253】
期間T18において、信号SW[3]=“L”とすることで、トランジスタMS1[3]、およびトランジスタMS2[3]が、非導通状態になる。よって、メモリ回路131[3]と、端子Qおよび端子SDと、の間が非導通状態になる。また、信号SW[2]=“L”とすることで、トランジスタMS1[2]、およびトランジスタMS2[2]が、非導通状態になる。よって、メモリ回路131[2]と、端子Qおよび端子SDと、の間が非導通状態になる。(
図23(D)の期間T18-1)。
【0254】
なお、本発明の一態様に係る半導体装置は、本実施の形態で説明した半導体装置に限定されない。本実施の形態で例示した構成例、動作例、およびそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を、本明細書中に記載する他の構成例、他の動作例、他の図面、および他の実施の形態等と適宜組み合わせることができる。
【0255】
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した半導体装置に適用可能なトランジスタの構成について説明する。一例として、異なる電気特性を有するトランジスタを積層して設ける構成について説明する。当該構成とすることで、半導体装置の設計自由度を高めることができる。また、異なる電気特性を有するトランジスタを積層して設けることで、半導体装置の集積度を高めることができる。
【0256】
半導体装置の断面構造の一部を
図24に示す。
図24に示す半導体装置は、トランジスタ550と、トランジスタ500と、容量600と、を有している。
図25(A)はトランジスタ500のチャネル長方向の断面図であり、
図25(B)はトランジスタ500のチャネル幅方向の断面図であり、
図25(C)はトランジスタ550のチャネル幅方向の断面図である。例えば、トランジスタ500は上記実施の形態に示したOSトランジスタに相当し、トランジスタ550はSiトランジスタに相当する。
【0257】
図24では、トランジスタ500はトランジスタ550の上方に設けられ、容量600はトランジスタ550、およびトランジスタ500の上方に設けられている。
【0258】
トランジスタ550は、基板311上に設けられ、導電体316、絶縁体315、基板311の一部からなる半導体領域313、ソース領域またはドレイン領域として機能する低抵抗領域314a、および低抵抗領域314bを有する。
【0259】
図25(C)に示すように、トランジスタ550は、半導体領域313の上面およびチャネル幅方向の側面が絶縁体315を介して導電体316に覆われている。このように、トランジスタ550をFin型とすることにより、実効上のチャネル幅が増大することで、トランジスタ550のオン特性を向上させることができる。また、ゲート電極の電界の寄与を高くすることができるため、トランジスタ550のオフ特性を向上させることができる。
【0260】
なお、トランジスタ550は、pチャネル型またはnチャネル型のいずれでもよい。
【0261】
トランジスタ550は、例えば、半導体領域313のチャネルが形成される領域、その近傍の領域、ソース領域またはドレイン領域の一方となる低抵抗領域314a、および、ソース領域またはドレイン領域の他方となる低抵抗領域314b、などにおいて、例えば、シリコン系半導体などの半導体を含むことが好ましく、単結晶シリコンを含むことが好ましい。または、トランジスタ550は、例えば、Ge(ゲルマニウム)、SiGe(シリコンゲルマニウム)、GaAs(ガリウムヒ素)、またはGaAlAs(ガリウムアルミニウムヒ素)などを有する材料で形成してもよい。または、トランジスタ550は、結晶格子に応力を与え、格子間隔を変化させることで有効質量を制御したシリコンを用いた構成としてもよい。または、トランジスタ550は、例えば、GaAsおよびGaAlAsなどを用いたHEMT(High Electron Mobility Transistor)としてもよい。
【0262】
低抵抗領域314aおよび低抵抗領域314bは、半導体領域313に適用される半導体材料に加え、例えば、ヒ素、もしくはリンなどのn型の導電性を付与する元素、または、例えばホウ素などのp型の導電性を付与する元素、を含む。
【0263】
ゲート電極として機能する導電体316は、例えば、ヒ素、またはリンなどのn型の導電性を付与する元素、または、例えばホウ素などのp型の導電性を付与する元素、を含む例えばシリコンなどの半導体材料を用いることができる。または、例えば、金属材料、合金材料、または金属酸化物材料などの導電性材料を用いることができる。
【0264】
なお、導電体の材料によって仕事関数が決まるため、当該導電体の材料を選択することで、トランジスタのしきい値電圧を調整することができる。具体的には、導電体に、例えば、窒化チタン、または窒化タンタルなどの材料を用いることが好ましい。さらに導電性と埋め込み性を両立するために導電体に、例えば、タングステン、またはアルミニウムなどの金属材料を積層として用いることが好ましく、特にタングステンを用いることが耐熱性の点で好ましい。
【0265】
トランジスタ550は、例えばSOI(Silicon on Insulator)基板などを用いて形成してもよい。
【0266】
また、SOI基板としては、鏡面研磨ウエハに酸素イオンを注入した後、高温加熱することにより、表面から一定の深さに酸化層を形成させるとともに、表面層に生じた欠陥を消滅させて形成されたSIMOX(Separation by Implanted Oxygen)基板を用いてもよい。または、例えば、水素イオン注入により形成された微小ボイドの熱処理による成長を利用して半導体基板を劈開するスマートカット法、またはELTRAN法(登録商標:Epitaxial Layer Transfer)などを用いて形成されたSOI基板を用いてもよい。なお、単結晶基板を用いて形成されたトランジスタは、チャネル形成領域に単結晶半導体を有する。
【0267】
トランジスタ550を覆って、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326が順に積層して設けられている。
【0268】
絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326として、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、または窒化アルミニウムなどを用いればよい。
【0269】
なお、本明細書中において、酸化窒化シリコンとは、その組成として窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し、窒化酸化シリコンとは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を指す。また、本明細書中において、酸化窒化アルミニウムとは、その組成として窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し、窒化酸化アルミニウムとは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を指す。
【0270】
絶縁体322は、その下方に設けられる例えばトランジスタ550などによって生じる段差を平坦化する平坦化膜としての機能を有していてもよい。例えば、絶縁体322の上面は、平坦性を高めるために、例えば化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)法などを用いた平坦化処理により平坦化されていてもよい。
【0271】
また、絶縁体324には、例えば、基板311、またはトランジスタ550などから、トランジスタ500が設けられる領域に、例えば水素または不純物などが拡散しないようなバリア性を有する膜を用いることが好ましい。
【0272】
水素に対するバリア性を有する膜の一例として、例えば、CVD法で形成した窒化シリコンを用いることができる。例えばトランジスタ500などの酸化物半導体を有する半導体素子に、水素が拡散することで、当該半導体素子の特性が低下する場合がある。したがって、トランジスタ500と、トランジスタ550との間に、水素の拡散を抑制する膜を用いることが好ましい。水素の拡散を抑制する膜とは、具体的には、水素の脱離量が少ない膜とする。
【0273】
水素の脱離量は、例えば、昇温脱離ガス分析法(TDS)などを用いて分析することができる。例えば、絶縁体324の水素の脱離量は、TDS分析において、膜の表面温度が50℃から500℃の範囲において、水素原子に換算した脱離量が、絶縁体324の面積当たりに換算して、1×1016atoms/cm2以下、好ましくは5×1015atoms/cm2以下であればよい。
【0274】
なお、絶縁体326は、絶縁体324よりも誘電率が低いことが好ましい。例えば、絶縁体326の比誘電率は4未満が好ましく、3未満がより好ましい。また例えば、絶縁体326の比誘電率は、絶縁体324の比誘電率の0.7倍以下が好ましく、0.6倍以下がより好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。
【0275】
また、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326には、容量600、またはトランジスタ500と接続する、例えば、導電体328、および導電体330などが埋め込まれている。なお、導電体328、および導電体330は、プラグまたは配線としての機能を有する。また、プラグまたは配線としての機能を有する導電体は、複数の構成をまとめて同一の符号を付与する場合がある。また、本明細書等において、配線と、配線と電気的に接続するプラグと、が一体物であってもよい。すなわち、導電体の一部が配線として機能し、かつ、導電体の一部がプラグとして機能する場合もある。
【0276】
各プラグまたは配線(例えば、導電体328、または導電体330など)の材料としては、例えば、金属材料、合金材料、金属窒化物材料、または金属酸化物材料などの導電性材料を、単層または積層して用いることができる。当該プラグまたは配線の材料としては、耐熱性と導電性を両立する、例えば、タングステン、またはモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましい。または、当該プラグまたは配線の材料としては、アルミニウム、または銅などの低抵抗導電性材料で形成することが好ましい。当該プラグまたは配線に低抵抗導電性材料を用いることで、配線抵抗を低くすることができる。
【0277】
絶縁体326、および導電体330上に、配線層を設けてもよい。例えば、
図24では、絶縁体350、絶縁体352、および絶縁体354が順に積層して設けられている。また、絶縁体350、絶縁体352、および絶縁体354には、導電体356が形成されている。導電体356は、トランジスタ550と接続するプラグまたは配線としての機能を有する。なお、導電体356は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0278】
なお、例えば、絶縁体350は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体356は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体350が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタ550とトランジスタ500とは、バリア層により分離することができる。そのため、トランジスタ550からトランジスタ500への水素の拡散を抑制することができる。
【0279】
なお、水素に対するバリア性を有する導電体としては、例えば、窒化タンタルなどを用いるとよい。また、窒化タンタルと、導電性が高いタングステンと、を積層するとよい。導電体356を、窒化タンタルとタングステンとの積層とすることで、導電体356は、配線としての導電性を保持したまま、トランジスタ550からの水素の拡散を抑制することができる。この場合、水素に対するバリア性を有する導電体356の窒化タンタル層が、水素に対するバリア性を有する絶縁体350と接する構成であることが好ましい。
【0280】
絶縁体354、および導電体356上に、配線層を設けてもよい。例えば、
図24では、絶縁体360、絶縁体362、および絶縁体364が順に積層して設けられている。また、絶縁体360、絶縁体362、および絶縁体364には、導電体366が形成されている。導電体366は、プラグまたは配線としての機能を有する。なお導電体366は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0281】
なお、例えば、絶縁体360は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体366は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体360が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタ550とトランジスタ500とは、バリア層により分離することができる。そのため、トランジスタ550からトランジスタ500への水素の拡散を抑制することができる。
【0282】
絶縁体364、および導電体366上に、配線層を設けてもよい。例えば、
図24では、絶縁体370、絶縁体372、および絶縁体374が順に積層して設けられている。また、絶縁体370、絶縁体372、および絶縁体374には、導電体376が形成されている。導電体376は、プラグまたは配線としての機能を有する。なお導電体376は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0283】
なお、例えば、絶縁体370は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体376は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体370が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタ550とトランジスタ500とは、バリア層により分離することができる。そのため、トランジスタ550からトランジスタ500への水素の拡散を抑制することができる。
【0284】
絶縁体374、および導電体376上に、配線層を設けてもよい。例えば、
図24では、絶縁体380、絶縁体382、および絶縁体384が順に積層して設けられている。また、絶縁体380、絶縁体382、および絶縁体384には、導電体386が形成されている。導電体386は、プラグまたは配線としての機能を有する。なお導電体386は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0285】
なお、例えば、絶縁体380は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体386は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体380が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタ550とトランジスタ500とは、バリア層により分離することができる。そのため、トランジスタ550からトランジスタ500への水素の拡散を抑制することができる。
【0286】
上記において、導電体356を含む配線層と同様の配線層を4層にする一例について、すなわち、導電体356を含む配線層、導電体366を含む配線層、導電体376を含む配線層、および導電体386を含む配線層、について説明したが、本実施の形態に係る半導体装置はこれに限られるものではない。導電体356を含む配線層と同様の配線層を3層以下にしてもよいし、導電体356を含む配線層と同様の配線層を5層以上にしてもよい。
【0287】
絶縁体384上には絶縁体510、絶縁体512、絶縁体514、および絶縁体516が、順に積層して設けられている。絶縁体510、絶縁体512、絶縁体514、および絶縁体516のいずれかは、例えば酸素および水素などに対してバリア性のある物質を用いることが好ましい。
【0288】
例えば、絶縁体510、および絶縁体514には、例えば、基板311、またはトランジスタ550を設ける領域などから、トランジスタ500を設ける領域に、例えば水素または不純物などが拡散しないようなバリア性を有する膜を用いることが好ましい。したがって、絶縁体510、および絶縁体514には、絶縁体324と同様の材料を用いることができる。
【0289】
水素に対するバリア性を有する膜の一例として、CVD法で形成した窒化シリコンを用いることができる。例えばトランジスタ500などの酸化物半導体を有する半導体素子に、水素が拡散することで、当該半導体素子の特性が低下する場合がある。したがって、トランジスタ500と、トランジスタ550との間に、水素の拡散を抑制する膜を用いることが好ましい。水素の拡散を抑制する膜とは、具体的には、水素の脱離量が少ない膜とする。
【0290】
また、水素に対するバリア性を有する膜として、例えば、絶縁体510、および絶縁体514には、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、または酸化タンタルなどの金属酸化物を用いることが好ましい。
【0291】
特に、酸化アルミニウムは、酸素、および、トランジスタの電気特性の変動要因となる例えば水素または水分などの不純物、の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、酸化アルミニウムは、トランジスタの作製工程中および作製後において、例えば水素または水分などの不純物のトランジスタ500への混入を防止することができる。また、酸化アルミニウムは、トランジスタ500を構成する酸化物からの酸素の放出を抑制することができる。そのため、酸化アルミニウムは、トランジスタ500に対する保護膜として用いることに適している。
【0292】
また、例えば、絶縁体512、および絶縁体516には、絶縁体320と同様の材料を用いることができる。また、これらの絶縁体に、比較的誘電率が低い材料を適用することで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体512、および絶縁体516として、例えば、酸化シリコン膜、または酸化窒化シリコン膜などを用いることができる。
【0293】
絶縁体510、絶縁体512、絶縁体514、および絶縁体516には、例えば、導電体518、および、トランジスタ500を構成する導電体(例えば、導電体503)、などが埋め込まれている。なお、導電体518は、容量600、またはトランジスタ550と接続する、プラグまたは配線としての機能を有する。導電体518は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0294】
特に、絶縁体510、および絶縁体514と接する領域の導電体518は、酸素、水素、および水に対するバリア性を有する導電体であることが好ましい。当該構成により、トランジスタ550とトランジスタ500とは、酸素、水素、および水に対するバリア性を有する層で、分離することができ、トランジスタ550からトランジスタ500への水素の拡散を抑制することができる。
【0295】
絶縁体516の上方には、トランジスタ500が設けられている。
【0296】
図25(A)および
図25(B)に示すように、トランジスタ500は、絶縁体514および絶縁体516に埋め込まれるように配置された導電体503と、絶縁体516および導電体503の上に配置された絶縁体520と、絶縁体520の上に配置された絶縁体522と、絶縁体522の上に配置された絶縁体524と、絶縁体524の上に配置された酸化物530aと、酸化物530aの上に配置された酸化物530bと、酸化物530b上に互いに離れて配置された導電体542aおよび導電体542bと、導電体542aおよび導電体542b上に配置され、導電体542aと導電体542bの間に重畳して開口が形成された絶縁体580と、開口の底面および側面に配置された絶縁体545と、絶縁体545の形成面に配置された導電体560と、を有する。
【0297】
また、
図25(A)および
図25(B)に示すように、酸化物530a、酸化物530b、導電体542a、および導電体542bと、絶縁体580と、の間に絶縁体544が配置されることが好ましい。また、
図25(A)および
図25(B)に示すように、導電体560は、絶縁体545の内側に設けられた導電体560aと、導電体560aの内側に埋め込まれるように設けられた導電体560bと、を有することが好ましい。また、
図25(A)および
図25(B)に示すように、絶縁体580、導電体560、および絶縁体545の上に絶縁体574が配置されることが好ましい。
【0298】
なお、本明細書等において、酸化物530a、および酸化物530bをまとめて酸化物530という場合がある。
【0299】
なお、トランジスタ500では、チャネルが形成される領域およびその近傍において、酸化物530a、および酸化物530bの2層を積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、チャネルが形成される領域およびその近傍において、酸化物530bの単層、または3層以上の積層構成を設ける構成にしてもよい。
【0300】
また、トランジスタ500では、導電体560を2層の積層構成として示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体560が、単層構成であってもよいし、3層以上の積層構成であってもよい。また、
図24、および
図25(A)に示すトランジスタ500は一例であり、その構成に限定されず、例えば、回路構成、または駆動方法などに応じて適切なトランジスタを用いればよい。
【0301】
ここで、導電体560は、トランジスタのゲート電極として機能し、導電体542aおよび導電体542bは、それぞれ、ソース電極またはドレイン電極として機能する。上記のように、導電体560は、絶縁体580の開口に、かつ、導電体542aと導電体542bとに挟まれた領域に、埋め込まれるように形成される。導電体560と、導電体542aおよび導電体542bと、の配置は、絶縁体580の開口に対して、自己整合的に選択される。つまり、トランジスタ500において、ゲート電極を、ソース電極とドレイン電極との間に、自己整合的に配置させることができる。よって、導電体560を、位置合わせのマージンを設けることなく形成することができる。そのため、トランジスタ500の占有面積の縮小を図ることができる。これにより、半導体装置の微細化および高集積化を図ることができる。
【0302】
さらに、導電体560が、導電体542aと導電体542bとの間の領域に自己整合的に形成されるので、導電体560は、導電体542aまたは導電体542bと重畳する領域を有さない。これにより、導電体560と、導電体542aおよび導電体542bと、の間に形成される寄生容量を低減することができる。よって、トランジスタ500のスイッチング速度を向上させ、高い周波数特性を有せしめることができる。
【0303】
ここで、導電体560は、第1のゲート(トップゲートともいう)電極として機能する場合がある。また、導電体503は、第2のゲート(ボトムゲートともいう)電極として機能する場合がある。その場合、トランジスタ500において、導電体503に印加する電位を、導電体560に印加する電位から独立して変化させることで、トランジスタ500のしきい値電圧を制御することができる。特に、導電体503に負の電位を印加することにより、トランジスタ500のしきい値電圧を0Vより大きくし、オフ電流を低減することが可能となる。したがって、導電体503に負の電位を印加したほうが、印加しない場合よりも、導電体560に印加する電位が0Vのときのドレイン電流を小さくすることができる。
【0304】
導電体503は、酸化物530、および導電体560と、重なるように配置する。これにより、導電体560、および導電体503に電位を印加した場合、導電体560から生じる電界と、導電体503から生じる電界と、がつながり、酸化物530に形成されるチャネル形成領域を覆うことができる。
【0305】
本明細書等において、第1のゲート電極の電界によって、チャネル形成領域を電気的に取り囲むトランジスタの構造を、surrounded channel(S-channel)構造とよぶ。また、本明細書等で開示するS-channel構造は、Fin型構造およびプレーナ型構造とは異なる構造を有する。一方で、本明細書等で開示するS-channel構造は、Fin型構造の一種として捉えることも可能である。なお、本明細書等において、Fin型構造とは、ゲート電極が少なくともチャネルの2面以上(具体的には、2面、3面、または4面など)を包むように配置される構造を示す。Fin型構造、およびS-channel構造を採用することで、短チャネル効果に対する耐性を高めたトランジスタとすることができる。別言すると、短チャネル効果が発生し難いトランジスタとすることができる。
【0306】
トランジスタを、上記のS-channel構造とすることで、チャネル形成領域を電気的に取り囲むことができる。なお、S-channel構造は、チャネル形成領域を電気的に取り囲んでいる構造であるため、実質的にGAA(Gate All Around)構造、またはLGAA(Lateral Gate All Around)構造と、同等の構造であるともいえる。トランジスタをS-channel構造、GAA構造、またはLGAA構造とすることで、酸化物530とゲート絶縁体との、界面または界面近傍に形成されるチャネル形成領域を、酸化物530のバルク全体とすることができる。したがって、トランジスタに流れる電流密度を向上させることが可能となるため、トランジスタのオン電流の向上、または、トランジスタの電界効果移動度の向上、が実現できる。
【0307】
また、導電体503は、導電体518と同様の構成であり、絶縁体514および絶縁体516の開口の内壁に接して導電体503aが形成され、さらに内側に導電体503bが形成されている。なお、トランジスタ500では、導電体503aおよび導電体503bを積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体503は、単層、または3層以上の積層構成として設ける構成にしてもよい。
【0308】
ここで、導電体503aは、例えば、水素原子、水素分子、水分子、または銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい。)導電性材料を用いることが好ましい。または、導電体503aは、酸素(例えば、酸素原子、および酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)導電性材料を用いることが好ましい。なお、本明細書において、不純物または酸素の拡散を抑制する機能とは、上記不純物または上記酸素の、いずれか一またはすべての拡散を抑制する機能とする。
【0309】
例えば、導電体503aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、導電体503bが酸化して導電率が低下することを抑制することができる。
【0310】
また、導電体503が配線の機能を兼ねる場合、導電体503bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする、導電性が高い導電性材料を用いることが好ましい。なお、本実施の形態では導電体503を、導電体503aと導電体503bとの積層で図示したが、導電体503は単層構成であってもよい。
【0311】
絶縁体520、絶縁体522、および絶縁体524は、第2のゲート絶縁膜としての機能を有する。
【0312】
ここで、酸化物530と接する絶縁体524は、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む絶縁体を用いることが好ましい。当該酸素は、加熱により膜中から放出されやすい。本明細書等では、加熱により放出される酸素を「過剰酸素」と呼ぶ場合がある。つまり、絶縁体524には、過剰酸素を含む領域(「過剰酸素領域」ともいう。)が形成されていることが好ましい。このような過剰酸素を含む絶縁体を酸化物530に接して設けることにより、酸化物530中の酸素欠損(VO:oxygen vacancyともいう)を低減し、トランジスタ500の信頼性を向上させることができる。なお、酸化物530中の酸素欠損に水素が入った場合、当該欠陥(以下、VOHと呼ぶ場合がある。)はドナーとして機能し、キャリアである電子が生成されることがある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成する場合がある。従って、水素が多く含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタは、ノーマリーオン特性となりやすい。また、酸化物半導体中の水素は、例えば、熱、または電界などのストレスによって動きやすいため、酸化物半導体に多くの水素が含まれると、トランジスタの信頼性が悪化する恐れもある。本発明の一態様においては、酸化物530中のVOHをできる限り低減し、高純度真性または実質的に高純度真性にすることが好ましい。このように、VOHが十分低減された酸化物半導体を得るには、酸化物半導体中の例えば水分または水素などの不純物を除去すること(「脱水」または「脱水素化処理」ともいう。)と、酸化物半導体に酸素を供給して酸素欠損を補償すること(「加酸素化処理」ともいう。)が重要である。例えばVOHなどの不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
【0313】
過剰酸素領域を有する絶縁体として、具体的には、加熱により一部の酸素が脱離する酸化物材料を用いることが好ましい。加熱により酸素を脱離する酸化物とは、TDS(Thermal Desorption Spectroscopy)分析にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm3以上、好ましくは1.0×1019atoms/cm3以上、さらに好ましくは2.0×1019atoms/cm3以上、または3.0×1020atoms/cm3以上である酸化物膜である。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、または100℃以上400℃以下の範囲が好ましい。
【0314】
また、上記過剰酸素領域を有する絶縁体と、酸化物530と、を接して、加熱処理、マイクロ波処理、またはRF処理、のいずれか一または複数の処理を行っても良い。当該処理を行うことで、酸化物530中の水または水素を除去することができる。例えば、酸化物530において、VoHの結合が切断される反応が起きて、脱水素化することができる。別言すると、酸化物530において、「VOH→Vo+H」という反応が起きて、脱水素化することができる。このとき発生した水素の一部は、酸素と結合したH2Oとして、酸化物530、または酸化物530の近傍の絶縁体から除去される場合がある。また、水素の一部は、導電体542(導電体542aおよび導電体542b)にゲッタリングされる場合がある。
【0315】
また、上記マイクロ波処理は、例えば、高密度プラズマを発生させる電源を有する装置、または、基板側にRFを印加する電源を有する装置、を用いると好適である。例えば、酸素を含むガスを用い、かつ高密度プラズマを用いることより、高密度の酸素ラジカルを生成することができ、基板側にRFを印加することで、高密度プラズマによって生成された酸素ラジカルを、効率よく酸化物530、または酸化物530の近傍の絶縁体中に導入することができる。また、上記マイクロ波処理は、圧力を133Pa以上、好ましくは200Pa以上、さらに好ましくは400Pa以上とすればよい。また、マイクロ波処理を行う装置内に導入するガスとしては、例えば、酸素と、アルゴンと、を用い、酸素流量比(O2/(O2+Ar))が50%以下、好ましくは10%以上30%以下で行うとよい。
【0316】
また、トランジスタ500の作製工程中において、酸化物530の表面が露出した状態で、加熱処理を行うと好適である。当該加熱処理は、例えば、100℃以上450℃以下、より好ましくは350℃以上400℃以下で行えばよい。なお、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気、または、酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、もしくは10%以上含む雰囲気、で行う。例えば、加熱処理は、酸素雰囲気で行うことが好ましい。これにより、酸化物530に酸素を供給して、酸素欠損(VO)の低減を図ることができる。また、加熱処理は、減圧状態で行ってもよい。または、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために、酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、または10%以上含む雰囲気で行ってもよい。または、酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、または10%以上含む雰囲気で加熱処理した後に、連続して窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気で加熱処理を行っても良い。
【0317】
なお、酸化物530に加酸素化処理を行うことで、酸化物530中の酸素欠損を、供給された酸素により修復させる、別言すると「Vo+O→null」という反応を促進させることができる。さらに、酸化物530中に残存した水素と、供給された酸素と、が反応することで、当該水素をH2Oとして除去する(脱水化する)ことができる。これにより、酸化物530中に残存していた水素が酸素欠損に再結合してVOHが形成されるのを抑制することができる。
【0318】
また、絶縁体524が、過剰酸素領域を有する場合、絶縁体522は、酸素(例えば、酸素原子、および酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)ことが好ましい。
【0319】
絶縁体522が、例えば酸素または不純物などの拡散を抑制する機能を有することで、酸化物530が有する酸素は、絶縁体520側へ拡散することがなく、好ましい。また、導電体503が、例えば、絶縁体524、または酸化物530などが有する酸素と反応することを抑制することができる。
【0320】
絶縁体522には、高誘電率(high-k)材料(高い比誘電率の材料)の絶縁体を用いることが好ましい。絶縁体522は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、または(Ba,Sr)TiO3(BST)などを含む絶縁体、を単層または積層で用いることが好ましい。トランジスタの微細化および高集積化が進むと、ゲート絶縁膜の薄膜化により、例えばリーク電流などの問題が生じる場合がある。ゲート絶縁膜として機能する絶縁体にhigh-k材料を用いることで、物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時のゲート電位の低減が可能となる。
【0321】
特に、例えば不純物および酸素などの拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)絶縁性材料である、アルミニウムまたはハフニウムの、一方または双方の酸化物を含む絶縁体を用いるとよい。アルミニウムまたはハフニウムの、一方または双方の酸化物を含む絶縁体として、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、または、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)、などを用いることが好ましい。このような材料を用いて絶縁体522を形成した場合、絶縁体522は、酸化物530からの酸素の放出、または、トランジスタ500の周辺部から酸化物530への例えば水素などの不純物の混入、を抑制する層として機能する。
【0322】
または、これらの絶縁体に、例えば、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、または酸化ジルコニウムを添加してもよい。または、これらの絶縁体を窒化処理してもよい。上記の絶縁体に、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、または窒化シリコンを積層して用いてもよい。
【0323】
また、絶縁体520は、熱的に安定していることが好ましい。例えば、酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため、好適である。また、high-k材料の絶縁体を、酸化シリコン、または酸化窒化シリコンと組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の高い積層構成の絶縁体520を得ることができる。
【0324】
なお、
図25(A)および
図25(B)のトランジスタ500では、3層の積層構成からなる第2のゲート絶縁膜として、絶縁体520、絶縁体522、および絶縁体524が図示されているが、第2のゲート絶縁膜は、単層、2層、または4層以上の積層構成を有していてもよい。その場合、第2のゲート絶縁膜は、同じ材料からなる積層構成に限定されず、異なる材料からなる積層構成でもよい。
【0325】
トランジスタ500では、チャネル形成領域を含む酸化物530に、酸化物半導体として機能する金属酸化物が用いられる。酸化物530として、例えば、インジウムと、M(Mは、ガリウム、アルミニウム、イットリウム、スズ、シリコン、ホウ素、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウム、およびコバルト、から選ばれた一種または複数種)と、亜鉛と、を有する金属酸化物を用いるとよい。
【0326】
酸化物半導体として機能する金属酸化物の形成は、スパッタリング法で行ってもよいし、ALD(Atomic Layer Deposition)法で行ってもよい。なお、酸化物半導体として機能する金属酸化物については、他の実施の形態で詳細に説明する。
【0327】
また、酸化物530において、チャネル形成領域として機能する金属酸化物は、バンドギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上のものを用いることが好ましい。このように、酸化物530にバンドギャップの大きい金属酸化物を用いることで、トランジスタ500のオフ電流を低減することができる。
【0328】
酸化物530は、酸化物530b下に酸化物530aを有することで、酸化物530aよりも下方に形成された構成物から、酸化物530bへの、不純物の拡散を抑制することができる。
【0329】
なお、酸化物530は、各金属原子の原子数比が異なる複数の酸化物層の構成を有することが好ましい。具体的には、酸化物530aに用いる金属酸化物において、構成元素中の元素Mの原子数比が、酸化物530bに用いる金属酸化物における、構成元素中の元素Mの原子数比より、大きいことが好ましい。また、酸化物530aに用いる金属酸化物において、Inに対する元素Mの原子数比が、酸化物530bに用いる金属酸化物における、Inに対する元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物530bに用いる金属酸化物において、元素Mに対するInの原子数比が、酸化物530aに用いる金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比より大きいことが好ましい。
【0330】
また、酸化物530aの伝導帯下端のエネルギーが、酸化物530bの伝導帯下端のエネルギーより高くなることが好ましい。また、言い換えると、酸化物530aの電子親和力が、酸化物530bの電子親和力より小さいことが好ましい。
【0331】
ここで、酸化物530aおよび酸化物530bの接合部において、伝導帯下端のエネルギー準位はなだらかに変化する。換言すると、酸化物530aおよび酸化物530bの接合部における伝導帯下端のエネルギー準位は、連続的に変化する、または、連続接合する、ともいうことができる。このようにするためには、酸化物530aと酸化物530bとの界面に形成される混合層の欠陥準位密度を低くするとよい。
【0332】
具体的には、酸化物530aと酸化物530bが、酸素以外に共通の元素を有する(主成分とする)ことで、欠陥準位密度が低い混合層を形成することができる。例えば、酸化物530bがIn-Ga-Zn酸化物の場合、酸化物530aとして、例えば、In-Ga-Zn酸化物、Ga-Zn酸化物、または酸化ガリウムなどを用いるとよい。
【0333】
このとき、キャリアの主たる経路は酸化物530bとなる。酸化物530aを上述の構成とすることで、酸化物530aと酸化物530bとの界面における欠陥準位密度を低くすることができる。そのため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さくなり、トランジスタ500は高いオン電流を得られる。
【0334】
酸化物530b上には、ソース電極またはドレイン電極として機能する、導電体542a、および導電体542bが設けられる。導電体542a、および導電体542bとしては、例えば、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウム、イリジウム、ストロンチウム、もしくはランタンから選ばれた金属元素、上述した金属元素を成分とする合金、または、上述した金属元素を組み合わせた合金、などを用いることが好ましい。例えば、窒化タンタル、窒化チタン、タングステン、チタンとアルミニウムとを含む窒化物、タンタルとアルミニウムとを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムとを含む酸化物、または、ランタンとニッケルとを含む酸化物、などを用いることが好ましい。また、窒化タンタル、窒化チタン、チタンとアルミニウムとを含む窒化物、タンタルとアルミニウムとを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムとを含む酸化物、または、ランタンとニッケルとを含む酸化物は、酸化しにくい導電性材料、または、酸素を吸収しても導電性を維持する材料、であるため、好ましい。更に、例えば、窒化タンタルなどの金属窒化物膜は、水素または酸素に対するバリア性があるため好ましい。
【0335】
また、
図25(A)では、導電体542a、および導電体542bを単層構成として示したが、2層以上の積層構成としてもよい。導電体542a、および導電体542bとして、例えば、窒化タンタル膜とタングステン膜とを積層するとよい。また、導電体542a、および導電体542bとして、例えば、チタン膜とアルミニウム膜とを積層してもよい。また、導電体542a、および導電体542bとして、例えば、タングステン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構成、銅-マグネシウム-アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構成、チタン膜上に銅膜を積層する二層構成、または、タングステン膜上に銅膜を積層する二層構成、としてもよい。
【0336】
また、導電体542a、および導電体542bとして、例えば、チタン膜または窒化チタン膜の上に重ねて、アルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三層構成、または、モリブデン膜または窒化モリブデン膜の上に重ねて、アルミニウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構成、などとしてもよい。なお、導電体542a、および導電体542bとして、例えば、酸化インジウム、酸化錫、または酸化亜鉛を含む透明導電材料を用いてもよい。
【0337】
また、
図25(A)に示すように、酸化物530の、導電体542a(導電体542b)との界面とその近傍には、低抵抗領域として、領域543a、および領域543bが形成される場合がある。このとき、領域543aはソース領域またはドレイン領域の一方として機能し、領域543bはソース領域またはドレイン領域の他方として機能する。また、領域543aと領域543bとに挟まれる領域にチャネル形成領域が形成される。
【0338】
酸化物530と接するように上記導電体542a(導電体542b)を設けることで、領域543a(領域543b)の酸素濃度が低減する場合がある。また、領域543a(領域543b)に、導電体542a(導電体542b)に含まれる金属と、酸化物530の成分と、を含む金属化合物層が形成される場合がある。このような場合、領域543a(領域543b)のキャリア濃度が増加し、領域543a(領域543b)は、低抵抗領域となる。
【0339】
絶縁体544は、導電体542a、および導電体542bを覆うように設けられ、導電体542a、および導電体542bの酸化を抑制する。このとき、絶縁体544は、酸化物530の側面を覆い、絶縁体524と接するように設けられてもよい。
【0340】
絶縁体544として、例えば、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、ネオジム、ランタン、またはマグネシウムなどから選ばれた、一種または二種以上が含まれた金属酸化物を用いることができる。また、絶縁体544として、例えば、窒化酸化シリコン、または窒化シリコンなども用いることができる。
【0341】
特に、絶縁体544として、アルミニウムまたはハフニウムの、一方または双方の酸化物を含む絶縁体である、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、または、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)、などを用いることが好ましい。特に、ハフニウムアルミネートは、酸化ハフニウム膜よりも、耐熱性が高い。そのため、後の工程での熱処理において、結晶化しにくいため好ましい。なお、導電体542a、および導電体542bが、耐酸化性を有する材料、または、酸素を吸収しても著しく導電性が低下しない材料、である場合、絶縁体544は、必須の構成ではない。絶縁体544は、求めるトランジスタ特性により、適宜設計すればよい。
【0342】
絶縁体544を有することで、絶縁体580に含まれる例えば水または水素などの不純物が、酸化物530bに拡散することを抑制することができる。また、絶縁体580が有する過剰酸素により、導電体542(導電体542aおよび導電体542b)が酸化するのを抑制することができる。
【0343】
絶縁体545は、第1のゲート絶縁膜として機能する。絶縁体545は、上述した絶縁体524と同様に、過剰に酸素を含み、かつ加熱により酸素が放出される絶縁体を用いて形成することが好ましい。
【0344】
具体的には、過剰酸素を有する酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、または空孔を有する酸化シリコンを用いることができる。特に、酸化シリコン、または酸化窒化シリコンは熱に対し安定であるため好ましい。
【0345】
過剰酸素を含む絶縁体を絶縁体545として設けることにより、絶縁体545から、酸化物530bのチャネル形成領域に効果的に酸素を供給することができる。また、絶縁体524と同様に、絶縁体545中の例えば水または水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。絶縁体545の膜厚は、1nm以上20nm以下とするのが好ましい。
【0346】
また、絶縁体545が有する過剰酸素を効率的に酸化物530へ供給するために、絶縁体545と導電体560との間に金属酸化物を設けてもよい。当該金属酸化物は、絶縁体545から導電体560への酸素拡散を抑制することが好ましい。絶縁体545と導電体560との間に、酸素の拡散を抑制する金属酸化物を設けることで、絶縁体545から導電体560への過剰酸素の拡散が抑制される。つまり、酸化物530へ供給する過剰酸素量の減少を抑制することができる。また、過剰酸素による導電体560の酸化を抑制することができる。当該金属酸化物としては、絶縁体544に用いることができる材料を用いればよい。
【0347】
なお、絶縁体545は、第2のゲート絶縁膜と同様に、積層構成としてもよい。トランジスタの微細化および高集積化が進むと、ゲート絶縁膜の薄膜化により、例えばリーク電流などの問題が生じる場合がある。そのため、ゲート絶縁膜として機能する絶縁体545を、high-k材料と、熱的に安定している材料と、の積層構成とすることで、絶縁体545の物理膜厚を保ちながら、かつ、トランジスタ500の動作時のゲート電位の低減が可能となる。また、絶縁体545は、熱的に安定かつ比誘電率の高い積層構成とすることができる。
【0348】
なお、第1のゲート電極として機能する導電体560は、
図25(A)および
図25(B)では2層構成として示しているが、単層構成でもよいし、3層以上の積層構成であってもよい。
【0349】
導電体560aは、例えば、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(例えば、N2O、NO、またはNO2など)、または銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、および酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。導電体560aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、絶縁体545に含まれる酸素により、導電体560bが酸化して導電率が低下することを抑制することができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料としては、例えば、タンタル、窒化タンタル、ルテニウム、または酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。また、導電体560aとして、酸化物530に適用できる酸化物半導体を用いることができる。その場合、導電体560bをスパッタリング法で成膜することで、導電体560aの電気抵抗値を低下させて、導電体にすることができる。これを、OC(Oxide Conductor)電極と呼ぶことができる。
【0350】
また、導電体560bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、導電体560bは、配線としても機能するため、導電性が高い導電体を用いることが好ましい。例えば、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることができる。また、導電体560bは、積層構成としてもよい。導電体560bは、例えば、チタンまたは窒化チタンと、上記導電性材料と、の積層構成としてもよい。
【0351】
絶縁体580は、絶縁体544を介して、導電体542a、および導電体542b上に設けられる。絶縁体580は、過剰酸素領域を有することが好ましい。絶縁体580として、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコン、または樹脂などを有することが好ましい。特に、酸化シリコン、または酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため好ましい。特に、酸化シリコン、または空孔を有する酸化シリコンは、後の工程で、容易に過剰酸素領域を形成することができるため好ましい。
【0352】
絶縁体580は、過剰酸素領域を有することが好ましい。加熱により酸素が放出される絶縁体580を設けることで、絶縁体580中の酸素を、酸化物530へと効率良く供給することができる。なお、絶縁体580中の例えば水または水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。
【0353】
絶縁体580の開口は、導電体542aと導電体542bとの間の領域に重畳して形成される。これにより、導電体560は、絶縁体580の開口、および導電体542aと導電体542bとに挟まれた領域に、埋め込まれるように形成される。
【0354】
半導体装置を微細化するに当たり、ゲート長を短くすることが求められるが、導電体560の導電性が下がらないようにする必要がある。そのために導電体560の膜厚を大きくすると、導電体560はアスペクト比が高い形状となりうる。本実施の形態では、導電体560を絶縁体580の開口に埋め込むように設ける。そのため、導電体560をアスペクト比の高い形状にしても、工程中に倒壊させることなく、導電体560を形成することができる。
【0355】
絶縁体574は、絶縁体580の上面、導電体560の上面、および絶縁体545の上面に接して設けられることが好ましい。絶縁体574をスパッタリング法で成膜することで、絶縁体545、および絶縁体580に、過剰酸素領域を設けることができる。これにより、当該過剰酸素領域から、酸化物530中に酸素を供給することができる。
【0356】
絶縁体574として、例えば、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、またはマグネシウムなどから選ばれた、一種または二種以上が含まれた金属酸化物を用いることができる。
【0357】
特に、酸化アルミニウムは、バリア性が高く、0.5nm以上3.0nm以下の薄膜であっても、水素および窒素の拡散を抑制することができる。したがって、スパッタリング法で成膜した酸化アルミニウムは、酸素供給源であるとともに、例えば水素などの不純物のバリア膜としての機能も有することができる。
【0358】
また、絶縁体574の上に、層間膜として機能する絶縁体581を設けることが好ましい。絶縁体581は、例えば絶縁体524などと同様に、膜中の例えば水または水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。
【0359】
また、絶縁体581、絶縁体574、絶縁体580、および絶縁体544に形成された開口に、導電体540a、および導電体540bを配置する。導電体540aおよび導電体540bは、導電体560を挟んで対向して設けられる。導電体540aおよび導電体540bは、後述する導電体546、および導電体548と同様の構成である。
【0360】
絶縁体581上には、絶縁体582が設けられている。絶縁体582は、例えば酸素および水素などに対してバリア性のある物質を用いることが好ましい。したがって、絶縁体582には、絶縁体514と同様の材料を用いることができる。絶縁体582には、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、または酸化タンタルなどの金属酸化物を用いることが好ましい。
【0361】
特に、酸化アルミニウムは、酸素、および、トランジスタの電気特性の変動要因となる例えば水素または水分などの不純物、の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、酸化アルミニウムは、トランジスタの作製工程中および作製後において、例えば水素または水分などの不純物のトランジスタ500への混入を防止することができる。また、トランジスタ500を構成する酸化物からの酸素の放出を抑制することができる。そのため、トランジスタ500に対する保護膜として用いることに適している。
【0362】
また、絶縁体582上には、絶縁体586が設けられている。絶縁体586は、絶縁体320と同様の材料を用いることができる。また、これらの絶縁体に、比較的誘電率が低い材料を適用することで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。絶縁体586として、例えば、酸化シリコン膜、または酸化窒化シリコン膜などを用いることができる。
【0363】
また、絶縁体520、絶縁体522、絶縁体524、絶縁体544、絶縁体580、絶縁体574、絶縁体581、絶縁体582、および絶縁体586には、例えば、導電体546、および導電体548などが埋め込まれている。
【0364】
導電体546、および導電体548は、容量600、トランジスタ500、またはトランジスタ550と接続するプラグまたは配線としての機能を有する。導電体546、および導電体548は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0365】
また、トランジスタ500の形成後、トランジスタ500を囲むように開口を形成し、当該開口を覆うように、水素または水に対するバリア性が高い絶縁体を形成してもよい。上述のバリア性の高い絶縁体でトランジスタ500を包み込むことで、外部から水分および水素が侵入するのを防止することができる。または、複数のトランジスタ500をまとめて、水素または水に対するバリア性が高い絶縁体で包み込んでもよい。なお、トランジスタ500を囲むように開口を形成する場合、例えば、絶縁体522または絶縁体514に達する開口を形成し、絶縁体522または絶縁体514に接するように上述のバリア性の高い絶縁体を形成すると、トランジスタ500の作製工程の一部を兼ねられるため、好適である。なお、水素または水に対するバリア性が高い絶縁体としては、例えば、絶縁体522または絶縁体514と同様の材料を用いればよい。
【0366】
なお、本発明に用いることができるトランジスタは、
図25に示すトランジスタ500に限られるものではない。例えば、
図26に示す構造のトランジスタ500を用いてもよい。
図26に示すトランジスタ500は、絶縁体555が用いられている点、ならびに、導電体542aおよび導電体542bが積層構造である点、において、
図25に示すトランジスタと異なる。
【0367】
導電体542aは、導電体542a1と、導電体542a1上の導電体542a2と、の積層構造である。導電体542bは、導電体542b1と、導電体542b1上の導電体542b2と、の積層構造である。酸化物530bに接する導電体542a1および導電体542b1は、例えば金属窒化物などの酸化しにくい導電体であることが好ましい。これにより、酸化物530bに含まれる酸素によって、導電体542aおよび導電体542bが過剰に酸化されるのを防ぐことができる。また、導電体542a2および導電体542b2は、導電体542a1および導電体542b1より導電性が高い、例えば金属層などの導電体であることが好ましい。これにより、導電体542aおよび導電体542bを、導電性が高い配線または電極として機能させることができる。このようにして、活性層として機能する酸化物530の上面に接して、配線または電極として機能する導電体542aおよび導電体542bが設けられた、半導体装置を提供することができる。
【0368】
導電体542a1および導電体542b1としては、金属窒化物を用いることが好ましい。例えば、タンタルを含む窒化物、チタンを含む窒化物、モリブデンを含む窒化物、タングステンを含む窒化物、タンタルおよびアルミニウムを含む窒化物、または、チタンおよびアルミニウムを含む窒化物、などを用いることが好ましい。本発明の一態様においては、タンタルを含む窒化物が特に好ましい。また、例えば、ルテニウム、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムおよびルテニウムを含む酸化物、または、ランタンおよびニッケルを含む酸化物、などを用いてもよい。これらの材料は、酸化しにくい導電性材料、または、酸素を吸収しても導電性を維持する材料、であるため、好ましい。
【0369】
また、導電体542a2および導電体542b2は、導電体542a1および導電体542b1よりも、導電性が高いことが好ましい。例えば、導電体542a2および導電体542b2の膜厚を、導電体542a1および導電体542b1の膜厚より大きくすることが好ましい。導電体542a2および導電体542b2としては、上記導電体560bに用いることが可能な導電体を用いればよい。上記のような構造にすることで、導電体542a2および導電体542b2の抵抗を低減することができる。
【0370】
例えば、導電体542a1および導電体542b1として、窒化タンタルまたは窒化チタンを用い、導電体542a2および導電体542b2として、タングステンを用いることができる。
【0371】
図26に示すように、トランジスタ500のチャネル長方向の断面視において、導電体542a1と導電体542b1との間の距離は、導電体542a2と導電体542b2との間の距離より小さい。このような構成にすることで、ソースとドレインとの間の距離をより短くし、それに応じてチャネル長を短くすることが可能になる。よって、トランジスタ500の周波数特性を向上させることができる。このように、半導体装置の微細化を図ることで、動作速度の向上した半導体装置を提供することができる。
【0372】
絶縁体555は、例えば窒化物などの酸化しにくい絶縁体であることが好ましい。絶縁体555は、導電体542a2の側面、および、導電体542b2の側面、に接して形成されており、導電体542a2および導電体542b2を保護する機能を有する。絶縁体555は、酸化雰囲気に曝されるので、酸化されにくい無機絶縁体が好ましい。また、絶縁体555は、導電体542a2および導電体542b2に接するので、導電体542a2および導電体542b2を酸化させにくい、無機絶縁体であることが好ましい。よって、絶縁体555は、酸素に対するバリア性を有する絶縁性材料を用いることが好ましい。例えば、絶縁体555として、窒化シリコンを用いることができる。
【0373】
図26に示すトランジスタ500は、絶縁体580および絶縁体544に開口を形成し、当該開口の側壁に接して絶縁体555を形成し、さらにマスクを用いて、導電体542a1と導電体542b1とを分断することで、形成される。ここで、上記開口は、導電体542a2と導電体542b2との間の領域と重畳する。また、導電体542a1および導電体542b1の一部は、上記開口内に突出するように形成されている。よって、絶縁体555は、上記開口内で、導電体542a1の上面、導電体542b1の上面、導電体542a2の側面、および、導電体542b2の側面、に接する。また、絶縁体545は、導電体542a1と導電体542b1との間の領域において、酸化物530の上面と接する。
【0374】
導電体542a1と導電体542b1とを分断した後で、絶縁体545を成膜する前に、酸素を含む雰囲気で熱処理を行うことが好ましい。これにより、酸化物530aおよび酸化物530bに酸素を供給して、酸素欠損の低減を図ることができる。さらに、絶縁体555が、導電体542a2の側面、および、導電体542b2の側面、に接して形成されていることで、導電体542a2および導電体542b2が過剰に酸化されるのを防ぐことができる。以上により、トランジスタの電気特性および信頼性を向上させることができる。また、同一基板上に複数形成されるトランジスタの電気特性のばらつきを抑制することができる。
【0375】
また、トランジスタ500において、
図26に示すように、絶縁体524を島状に形成してもよい。ここで、絶縁体524は、絶縁体524の側端部と酸化物530の側端部とが概略一致するように形成してもよい。
【0376】
また、トランジスタ500において、
図26に示すように、絶縁体522が絶縁体516および導電体503と接する構成にしてもよい。言い換えると、
図25(A)および
図25(B)に示す絶縁体520を設けない構成にしてもよい。
【0377】
続いて、トランジスタ500の上方に、容量600が設けられている。容量600は、導電体610と、導電体620と、絶縁体630と、を有する。
【0378】
また、導電体546、および導電体548上に、導電体612を設けてもよい。導電体612は、トランジスタ500と接続するプラグまたは配線としての機能を有する。導電体610は、容量600の電極としての機能を有する。なお、導電体612、および導電体610は、同時に形成することができる。
【0379】
導電体612、および導電体610には、例えば、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、クロム、ネオジム、およびスカンジウムから選ばれた元素を含む金属膜、または、上述した元素を成分とする金属窒化物膜(窒化タンタル膜、窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、または窒化タングステン膜)、などを用いることができる。または、導電体612、および導電体610には、例えば、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、または、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物、などの導電性材料を適用することもできる。
【0380】
本実施の形態では、導電体612、および導電体610を単層構成で示したが、当該構成に限定されず、導電体612、および導電体610は、2層以上の積層構成でもよい。例えば、バリア性を有する導電体と導電性が高い導電体との間に、バリア性を有する導電体、および、導電性が高い導電体に対して密着性が高い導電体、を形成してもよい。
【0381】
絶縁体630を介して、導電体610と重畳するように、導電体620を設ける。なお、導電体620は、例えば、金属材料、合金材料、または金属酸化物材料などの導電性材料を用いることができる。導電体620は、例えば、耐熱性と導電性を両立するタングステン、またはモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましく、特にタングステンを用いることが好ましい。また、導電体620は、例えば、他の導電体などの他の構成と同時に形成する場合は、低抵抗金属材料である、例えば、銅、またはアルミニウムなどを用いればよい。
【0382】
導電体620、および絶縁体630上には、絶縁体640が設けられている。絶縁体640は、絶縁体320と同様の材料を用いて設けることができる。また、絶縁体640は、その下方の凹凸形状を被覆する平坦化膜として機能してもよい。
【0383】
本構成を用いることで、酸化物半導体を有するトランジスタを用いた半導体装置において、微細化または高集積化を図ることができる。
【0384】
なお、本発明の一態様の半導体装置に用いることができる基板として、例えば、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、セラミック基板、金属基板(例えば、ステンレス・スチル基板、ステンレス・スチル・ホイルを有する基板、タングステン基板、またはタングステン・ホイルを有する基板など)、半導体基板(例えば、単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、または化合物半導体基板など)、または、SOI(SOI:Silicon on Insulator)基板、などを用いることができる。また、基板として、本実施の形態の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板を用いてもよい。ガラス基板として、例えば、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、またはソーダライムガラスなどがある。他にも、ガラス基板として、例えば、結晶化ガラスなどを用いることができる。
【0385】
また、基板として、例えば、可撓性基板、貼り合わせフィルム、繊維状の材料を含む紙、または基材フィルムなどを用いることができる。例えば、可撓性基板、貼り合わせフィルム、または基材フィルムなどとして、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、またはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に代表されるプラスチックがある。または、例えば、アクリルなどの合成樹脂などがある。または、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニル、またはポリ塩化ビニルなどがある。または、例えば、ポリアミド、ポリイミド、アラミド樹脂、エポキシ樹脂、無機蒸着フィルム、または紙類などがある。特に、例えば、半導体基板、単結晶基板、またはSOI基板などを用いてトランジスタを製造することによって、例えば、特性、サイズ、または形状などのばらつきが少なく、かつ、電流能力が高く、かつ、サイズの小さいトランジスタを製造することができる。このようなトランジスタによって回路を構成すると、回路の低消費電力化、または、回路の高集積化、を図ることができる。
【0386】
また、基板として、可撓性基板を用い、かつ、可撓性基板上に直接、例えば、トランジスタ、抵抗、および容量などの一以上を形成してもよい。または、基板と、例えば、トランジスタ、抵抗、および容量などの一以上と、の間に剥離層を設けてもよい。当該剥離層は、その上に半導体装置を一部または全部完成させた後、基板より分離し、かつ、他の基板に転載するために用いることができる。その際、例えば、トランジスタ、抵抗、および容量などの一以上は、例えば、耐熱性の劣る基板、または可撓性の基板などにも転載できる。なお、上述の剥離層には、例えば、タングステン膜と酸化シリコン膜との無機膜が積層された構成、基板上にポリイミドなどの有機樹脂膜が形成された構成、または、水素を含むシリコン膜、などを用いることができる。
【0387】
つまり、ある基板上に半導体装置を形成し、その後、別の基板に半導体装置を転置してもよい。半導体装置が転置される基板の一例としては、上述したトランジスタを形成することが可能な基板に加え、例えば、紙基板、セロファン基板、アラミドフィルム基板、ポリイミドフィルム基板、石材基板、木材基板、布基板(例えば、天然繊維(絹、綿、または麻)、合成繊維(ナイロン、ポリウレタン、またはポリエステル)、または、再生繊維(アセテート、キュプラ、レーヨン、または再生ポリエステル)、などを含む)、皮革基板、またはゴム基板などがある。これらの基板を用いることにより、可撓性を有する半導体装置の製造、または、壊れにくい半導体装置の製造、を図ることができる。また、半導体装置への耐熱性の付与を図ることができる。また、半導体装置の軽量化または薄型化を図ることができる。
【0388】
可撓性を有する基板上に半導体装置を設けることで、重量の増加を抑え、かつ、破損しにくい半導体装置を提供することができる。
【0389】
なお、
図24に示すトランジスタ550は一例であり、その構成に限定されず、例えば、回路構成、または駆動方法などに応じて適切なトランジスタを用いればよい。例えば、半導体装置をOSトランジスタのみの単極性回路(例えば、nチャネル型のトランジスタのみで構成された回路、または、pチャネル型のトランジスタのみで構成された回路、を意味する。)とする場合、トランジスタ550の構成を、トランジスタ500と同様の構成にすればよい。
【0390】
本実施の形態に示す構成、構造、または方法等は、他の実施の形態および実施例等に示す構成、構造、または方法等と適宜組み合わせて用いることができる。
【0391】
(実施の形態3)
本実施の形態では、DOSRAMおよびNOSRAMといった、上記実施の形態で説明したOSトランジスタを有する記憶装置の断面構成例について説明する。
【0392】
図27に、DOSRAMの回路構成を用いた場合の断面構成例を示す。
図27では、駆動回路層401の上に、記憶層400[1]乃至記憶層400[4]が積層されている場合を例示している。
【0393】
また、
図27では、駆動回路層401が有するトランジスタ550を例示している。トランジスタ550は、上記実施の形態で説明したトランジスタ550を適用することができる。よって、上述したトランジスタ550の説明を適宜参酌できる。
【0394】
なお、
図27に示すトランジスタ550は一例であり、その構造に限定されず、回路構成または駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。
【0395】
駆動回路層401と記憶層400の間、または、k層目の記憶層400とk+1層目の記憶層400の間には、例えば、層間膜、配線、およびプラグなどが設けられた配線層が設けられていてもよい。なお、本実施の形態等では、k層目の記憶層400を記憶層400[k]と示し、k+1層目の記憶層400を記憶層400[k+1]と示す場合がある。ここで、kは1以上の整数である。
【0396】
また、配線層は、設計に応じて複数層設けることができる。また、本明細書等において、配線と、配線と電気的に接続するプラグと、が一体物であってもよい。すなわち、導電体の一部が配線として機能し、かつ、導電体の一部がプラグとして機能する場合もある。
【0397】
例えば、トランジスタ550上には、層間膜として、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326が、順に積層して設けられている。また、絶縁体320および絶縁体322には、例えば導電体328などが埋め込まれている。また、絶縁体324、および絶縁体326には、例えば導電体330などが埋め込まれている。なお、導電体328および導電体330は、コンタクトプラグまたは配線として機能する。
【0398】
また、層間膜として機能する絶縁体は、その下方の凹凸形状を被覆する平坦化膜として機能してもよい。例えば、絶縁体320の上面は、平坦性を高めるために、例えば化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)法などを用いた平坦化処理により平坦化されていてもよい。
【0399】
絶縁体326および導電体330上に、配線層を設けてもよい。例えば、
図27において、絶縁体326および導電体330上に、絶縁体350、絶縁体357、絶縁体352、および絶縁体354が、順に積層して設けられている。絶縁体350、絶縁体357、および絶縁体352には、導電体356が形成されている。導電体356は、コンタクトプラグまたは配線として機能する。
【0400】
絶縁体354の上には、記憶層400[1]が有する絶縁体514が設けられている。また、絶縁体514および絶縁体354には、導電体358が埋め込まれている。導電体358は、コンタクトプラグまたは配線として機能する。例えば、ビット線BLとトランジスタ550とは、例えば、導電体358、導電体356、および導電体330などを介して電気的に接続される。
【0401】
図28(A)に、記憶層400[k]の断面構造例を示す。また、
図28(B)に、
図28(A)の等価回路図を示す。
図28(A)では、1つのビット線BLに2つのメモリセルMCが電気的に接続する例を示している。
【0402】
図27、
図28(A)、および
図28(B)に示すメモリセルMCは、トランジスタM1および容量Cを有する。トランジスタM1として、例えば、上記実施の形態に示したトランジスタ500を用いることができる。よって、上述したトランジスタ500の説明を適宜参酌できる。
【0403】
なお、本実施の形態では、トランジスタM1としてトランジスタ500の変形例を示している。具体的には、トランジスタM1では、導電体542aおよび導電体542bが、金属酸化物531(酸化物531aおよび酸化物531b)の端部を越えて延在している点が、トランジスタ500と異なる。
【0404】
図27および
図28(A)に示すメモリセルMCは、容量Cの一方の端子として機能する導電体156と、誘電体として機能する絶縁体153と、容量Cの他方の端子として機能する導電体160(導電体160aおよび導電体160b)と、を有する。導電体156は、導電体542bの一部と電気的に接続される。また、導電体160は配線PL(
図28(A)に図示せず)と電気的に接続される。
【0405】
また、トランジスタM1のソースまたはドレインの一方は、導電体542bの一部と電気的に接続される。トランジスタM1のソースまたはドレインの他方は、導電体542aの一部と電気的に接続される。トランジスタM1のゲートは、ワード線WLと電気的に接続される。導電体542aの一部は、ビット線BLと電気的に接続される。
【0406】
容量Cは、絶縁体574、絶縁体580、および絶縁体554の一部を除去して設けられた開口部に形成されている。導電体156、絶縁体580、および絶縁体554は、該開口部の側面に沿って形成されるため、例えば、ALD法、またはCVD法などを用いて成膜することが好ましい。
【0407】
また、導電体156および導電体160は、導電体505または導電体560に用いることができる導電体を用いればよい。例えば、導電体156として、ALD法を用いて形成した窒化チタンを用いればよい。また、導電体160aとして、ALD法を用いて形成した窒化チタンを用い、導電体160bとして、CVD法を用いて形成したタングステンを用いればよい。なお、絶縁体153に対するタングステンの密着性が十分高い場合は、導電体160として、CVD法を用いて形成したタングステンの単層膜を用いてもよい。
【0408】
絶縁体153には、高誘電率(high-k)材料(高い比誘電率の材料)の絶縁体を用いることが好ましい。例えば、高誘電率材料の絶縁体として、例えば、アルミニウム、ハフニウム、ジルコニウム、およびガリウムなどから選ばれた金属元素を一種以上含む、酸化物、酸化窒化物、窒化酸化物、または窒化物、を用いることができる。また、上記、酸化物、酸化窒化物、窒化酸化物、または窒化物に、シリコンを含有させてもよい。また、高誘電率材料の絶縁体として、上記の材料からなる絶縁層を積層して用いることもできる。
【0409】
また、高誘電率材料の絶縁体として、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化物、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化窒化物、シリコンおよびハフニウムを有する酸化物、シリコンおよびハフニウムを有する酸化窒化物、シリコンおよびジルコニウムを有する酸化物、シリコンおよびジルコニウムを有する酸化窒化物、ハフニウムおよびジルコニウムを有する酸化物、または、ハフニウムおよびジルコニウムを有する酸化窒化物、などを用いることができる。このような高誘電率材料を用いることで、リーク電流を抑制できる程度に絶縁体153を厚くし、かつ、容量Cの静電容量を十分確保することができる。
【0410】
また、絶縁体153として、上記の材料からなる絶縁層を積層して用いることが好ましく、高誘電率材料と、当該高誘電率材料より絶縁耐力が大きい材料と、の積層構造を用いることが好ましい。絶縁体153として、例えば、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、および酸化ジルコニウムが、この順番で積層された絶縁膜を用いることができる。また、例えば、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、および酸化アルミニウムが、この順番で積層された絶縁膜を用いることができる。また、例えば、ハフニウムジルコニウム酸化物、酸化アルミニウム、ハフニウムジルコニウム酸化物、および酸化アルミニウムが、この順番で積層された絶縁膜を用いることができる。絶縁体153として、酸化アルミニウムのような、比較的絶縁耐力が大きい絶縁体を積層して用いることで、絶縁耐力が向上し、容量Cの静電破壊を抑制することができる。
【0411】
図29に、NOSRAMのメモリセルの回路構成を用いた場合の断面構成例を示す。なお、
図29は、
図27の変形例でもある。また、
図30(A)に、記憶層400[k]の断面構造例を示す。また、
図30(B)に、
図30(A)の等価回路図を示す。
【0412】
図29および
図30(A)に示すメモリセルMCは、絶縁体514の上にトランジスタM1、トランジスタM2、およびトランジスタM3を有する。また、絶縁体514の上の絶縁体516に埋め込まれるように、導電体215が設けられている。導電体215は導電体505と同じ材料かつ同じ工程で同時に形成できる。
【0413】
また、
図29および
図30(A)に示すトランジスタM2およびトランジスタM3は、1つの島状の金属酸化物531を両者が共用している。言い換えると、1つの島状の金属酸化物531の一部がトランジスタM2のチャネル形成領域として機能し、他の一部がトランジスタM3のチャネル形成領域として機能する。また、トランジスタM2のソースとトランジスタM3のドレイン、もしくは、トランジスタM2のドレインとトランジスタM3のソースが共用される。よって、トランジスタM2とトランジスタM3をそれぞれ独立して設ける場合よりも、トランジスタの占有面積が少ない。
【0414】
また、
図29および
図30(A)に示すメモリセルMCは、絶縁体581の上に絶縁体287が設けられ、絶縁体287に導電体161が埋め込まれている。また、絶縁体287および導電体161の上に、記憶層400[k+1]の絶縁体514が設けられている。
【0415】
記憶層400[k]の導電体161の一部と、記憶層400[k+1]の導電体215の一部とが、絶縁体514を介して重畳している領域が、容量Cとして機能する。すなわち、記憶層400[k]の導電体161が容量Cの一方の端子として機能し、記憶層400[k+1]の絶縁体514が容量Cの誘電体として機能し、記憶層400[k+1]の導電体215が容量Cの他方の端子として機能する。また、トランジスタM1のソースまたはドレインの一方は、コンタクトプラグを介して導電体161と電気的に接続され、トランジスタM2のゲートは、他のコンタクトプラグを介して導電体161と電気的に接続される。導電体161は、電荷保持ノードFNとして機能する。導電体215は、配線PLと電気的に接続される。
【0416】
また、トランジスタM1のソースまたはドレインの他方は、ビット線WBLと電気的に接続される。トランジスタM1のゲートは、ワード線WWLと電気的に接続される。トランジスタM2のソースまたはドレインの一方は、金属酸化物531を共用することで、トランジスタM3のソースまたはドレインの一方と電気的に接続される。トランジスタM2のソースまたはドレインの他方は、ソース線SL(
図30(A)に図示せず)と電気的に接続される。トランジスタM3のソースまたはドレインの他方は、ビット線RBLと電気的に接続される。トランジスタM3のゲートは、ワード線RWLと電気的に接続される。
【0417】
本実施の形態は、本明細書に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0418】
(実施の形態4)
本実施の形態では、チャネル形成領域に酸化物半導体を含むトランジスタ(OSトランジスタ)について、説明する。なお、OSトランジスタの説明において、チャネル形成領域にシリコンを含むトランジスタ(Siトランジスタともいう)との比較についても簡単に説明する。
【0419】
〔OSトランジスタ〕
OSトランジスタには、キャリア濃度の低い酸化物半導体を用いることが好ましい。例えば、酸化物半導体のチャネル形成領域のキャリア濃度は、1×1018cm-3以下、好ましくは1×1017cm-3未満、より好ましくは1×1016cm-3未満、さらに好ましくは1×1013cm-3未満、さらに好ましくは1×1010cm-3未満であり、かつ、1×10-9cm-3以上である。なお、酸化物半導体膜のキャリア濃度を低くする場合においては、酸化物半導体膜中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを、高純度真性または実質的に高純度真性という。なお、キャリア濃度の低い酸化物半導体を、高純度真性または実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ場合がある。
【0420】
また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。また、酸化物半導体のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化物半導体にチャネル形成領域が形成されるトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
【0421】
したがって、トランジスタの電気特性を安定にするためには、酸化物半導体中の不純物濃度を低減することが有効である。また、酸化物半導体中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。不純物としては、例えば水素または窒素などが挙げられる。なお、酸化物半導体中の不純物とは、例えば、酸化物半導体を構成する主成分以外をいう。例えば、濃度が0.1原子%未満の元素は不純物といえる。
【0422】
また、OSトランジスタは、酸化物半導体中のチャネル形成領域に不純物または酸素欠損が存在すると、電気特性が変動しやすく、信頼性が悪くなる場合がある。また、OSトランジスタは、酸化物半導体中の酸素欠損に水素が入った欠陥(以下、VOHと呼ぶ場合がある)を形成し、キャリアとなる電子を生成する場合がある。また、OSトランジスタは、チャネル形成領域にVOHが形成されると、チャネル形成領域中のドナー濃度が増加する場合がある。これによって、OSトランジスタは、チャネル形成領域中のドナー濃度が増加するにつれ、しきい値電圧がばらつくことがある。このため、OSトランジスタは、酸化物半導体中のチャネル形成領域に酸素欠損が含まれていると、ノーマリーオン特性(ゲート電極に電圧を印加しなくてもチャネルが存在し、トランジスタに電流が流れる特性)となりやすい。したがって、酸化物半導体中のチャネル形成領域では、不純物、酸素欠損、およびVOHは、できる限り低減されていることが好ましい。
【0423】
また、酸化物半導体のバンドギャップは、シリコンのバンドギャップ(代表的には1.1eV)よりも大きいことが好ましく、好ましくは2eV以上、より好ましくは2.5eV以上、さらに好ましくは3.0eV以上である。シリコンよりも、バンドギャップの大きい酸化物半導体を用いることで、トランジスタのオフ電流(Ioffとも呼称する)を低減することができる。
【0424】
また、Siトランジスタでは、トランジスタの微細化が進むにつれて、短チャネル効果(ショートチャネル効果:Short Channel Effect:SCEともいう)が発現する。そのため、Siトランジスタでは、微細化が困難となる。短チャネル効果が発現する要因の一つとして、シリコンのバンドギャップが小さいことが挙げられる。一方、OSトランジスタは、バンドギャップの大きい半導体材料である、酸化物半導体を用いるため、短チャネル効果の抑制を図ることができる。別言すると、OSトランジスタは、短チャネル効果がない、または短チャネル効果が極めて少ないトランジスタである。
【0425】
なお、短チャネル効果とは、トランジスタの微細化(チャネル長の縮小)に伴って顕在化する電気特性の劣化である。短チャネル効果の具体例としては、例えば、しきい値電圧の低下、サブスレッショルドスイング値(S値と表記することがある)の増大、および漏れ電流の増大などがある。ここで、S値とは、サブスレッショルド領域において、ドレイン電圧が一定で、ドレイン電流を1桁変化させる際の、ゲート電圧の変化量をいう。
【0426】
また、短チャネル効果に対する耐性の指標として、特性長(Characteristic Length)が広く用いられている。特性長とは、チャネル形成領域のポテンシャルの曲がりやすさの指標である。特性長が小さいほどポテンシャルが急峻に立ち上がるため、短チャネル効果に強いといえる。
【0427】
OSトランジスタは蓄積型のトランジスタであり、Siトランジスタは反転型のトランジスタである。したがって、OSトランジスタは、Siトランジスタと比較して、ソース領域-チャネル形成領域間の特性長、およびドレイン領域-チャネル形成領域間の特性長が小さい。したがって、OSトランジスタは、Siトランジスタよりも短チャネル効果に強い。すなわち、チャネル長の短いトランジスタを作製したい場合においては、OSトランジスタは、Siトランジスタよりも好適である。
【0428】
チャネル形成領域がi型または実質的にi型となるまで酸化物半導体のキャリア濃度を下げた場合においても、短チャネルのトランジスタでは、Conduction-Band-Lowering(CBL)効果により、チャネル形成領域の伝導帯下端が下がるため、ソース領域またはドレイン領域と、チャネル形成領域と、の間の伝導帯下端のエネルギー差は、0.1eV以上0.2eV以下まで小さくなる可能性がある。これにより、OSトランジスタは、チャネル形成領域がn-型の領域となり、ソース領域およびドレイン領域のそれぞれがn+型の領域となる、n+/n-/n+の蓄積型junction-lessトランジスタ構造、または、n+/n-/n+の蓄積型non-junctionトランジスタ構造、と捉えることもできる。
【0429】
OSトランジスタは、上記の構造とすることで、微細化または高集積化しても、良好な電気特性を有することができる。例えば、OSトランジスタは、ゲート長が、20nm以下、15nm以下、10nm以下、7nm以下、または6nm以下であって、かつ、1nm以上、3nm以上、または5nm以上であっても、良好な電気特性を得ることができる。一方で、Siトランジスタは、短チャネル効果が発現するため、20nm以下、または15nm以下のゲート長とすることが困難な場合がある。したがって、OSトランジスタは、Siトランジスタと比較して、チャネル長の短いトランジスタに好適に用いることができる。なお、ゲート長とは、トランジスタ動作時にキャリアがチャネル形成領域内部を移動する方向における、ゲート電極の長さであり、トランジスタの平面視における、ゲート電極の底面の幅をいう。
【0430】
また、OSトランジスタを微細化することで、トランジスタの高周波特性を向上させることができる。具体的には、トランジスタの遮断周波数を向上させることができる。OSトランジスタのゲート長が上記範囲のいずれかである場合、トランジスタの遮断周波数を、例えば室温環境下で、50GHz以上、好ましくは100GHz以上、さらに好ましくは150GHz以上とすることができる。
【0431】
以上の説明の通り、OSトランジスタは、Siトランジスタと比較し、オフ電流が小さい、かつ、チャネル長の短いトランジスタの作製が可能である、といった優れた効果を有する。
【0432】
本実施の形態に示す構成、構造、方法などは、他の実施の形態などに示す構成、構造、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0433】
(実施の形態5)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した半導体装置を用いることができる、電子部品、電子機器、大型計算機、宇宙用機器、およびデータセンター(Data Center:DCとも呼称する)について説明する。本発明の一態様の半導体装置を用いた、電子部品、電子機器、大型計算機、宇宙用機器、およびデータセンターは、低消費電力化といった高性能化に有効である。
【0434】
〔電子部品〕
図31(A)は、電子部品700および電子部品700が実装された基板(実装基板704)の斜視図である。
図31(A)に示す電子部品700は、モールド711内に半導体装置710を有している。
図31(A)は、電子部品700の内部を示すために、一部の記載を省略している。電子部品700は、モールド711の外側にランド712を有する。ランド712は、電極パッド713と電気的に接続されている。電極パッド713は、ワイヤ714によって、半導体装置710と電気的に接続されている。電子部品700は、例えば、プリント基板702に実装される。このような電子部品が複数組み合わされて、それぞれの電子部品がプリント基板702上で電気的に接続されることで、実装基板704が完成する。
【0435】
また、半導体装置710は、駆動回路層715と、記憶層716と、を有する。なお、記憶層716は、複数のメモリセルアレイが積層された構成である。駆動回路層715と、記憶層716と、が積層された構成は、モノリシック積層の構成とすることができる。モノリシック積層の構成では、TSV(Through Silicon Via)などの貫通電極技術、および、Cu-Cu直接接合などの接合技術、を用いることなく、各層間を接続することができる。駆動回路層715と、記憶層716と、をモノリシック積層の構成とすることで、例えば、プロセッサ上にメモリが直接形成される、いわゆるオンチップメモリの構成とすることができる。オンチップメモリの構成とすることで、プロセッサと、メモリと、のインターフェース部分の動作を高速にすることが可能となる。
【0436】
また、オンチップメモリの構成とすることで、例えばTSVなどの貫通電極を用いる技術と比較し、例えば接続配線などのサイズを小さくすることが可能であるため、接続ピン数を増加させることも可能となる。接続ピン数を増加させることで、並列動作が可能となるため、メモリのバンド幅(メモリバンド幅ともいう)を向上させることが可能となる。
【0437】
また、記憶層716が有する複数のメモリセルアレイを、OSトランジスタを用いて形成し、当該複数のメモリセルアレイをモノリシックで積層することが好ましい。複数のメモリセルアレイをモノリシック積層の構成とすることで、メモリのバンド幅、およびメモリのアクセスレイテンシの、いずれか一または双方を向上させることができる。なお、バンド幅とは、単位時間あたりのデータ転送量である。また、アクセスレイテンシとは、アクセスしてからデータのやり取りが始まるまでの時間である。なお、記憶層716にSiトランジスタを用いる構成の場合、OSトランジスタと比較し、モノリシック積層の構成とすることが困難である。そのため、モノリシック積層の構成において、OSトランジスタは、Siトランジスタよりも優れた構造であるといえる。
【0438】
すなわち、OSトランジスタは、Siトランジスタと比較し、広いメモリバンド幅の実現が可能である、といった優れた効果を有する。
【0439】
なお、半導体装置710を、ダイと呼称してもよい。なお、本明細書等において、ダイとは、半導体チップの製造工程で、例えば円盤状の基板(ウエハともいう)などに回路パターンを形成し、さいの目状に切り分けて得られたチップ片を表す。なお、ダイに用いることのできる半導体材料として、例えば、シリコン、シリコンカーバイド、またはガリウムナイトライドなどが挙げられる。例えば、シリコン基板(シリコンウエハともいう)から得られたダイを、シリコンダイという場合がある。
【0440】
図31(B)は、電子部品730の斜視図である。電子部品730は、SiP(System in Package)またはMCM(Multi Chip Module)の一例である。電子部品730は、パッケージ基板732(プリント基板)上にインターポーザ731が設けられ、インターポーザ731上に半導体装置735、および複数の半導体装置710が設けられている。
【0441】
電子部品730において、半導体装置710は、例えば、広帯域メモリ(HBM:High Bandwidth Memory)として用いることができる。また、半導体装置735は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、またはFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路(半導体装置)として用いることができる。
【0442】
パッケージ基板732は、例えば、セラミックス基板、プラスチック基板、またはガラスエポキシ基板などを用いることができる。インターポーザ731は、例えば、シリコンインターポーザ、または樹脂インターポーザなどを用いることができる。
【0443】
インターポーザ731は、複数の配線を有し、当該複数の配線のそれぞれを介して、端子ピッチの異なる複数の集積回路のそれぞれを電気的に接続する機能を有する。複数の配線は、単層または多層で設けられる。また、インターポーザ731は、インターポーザ731上に設けられた集積回路と、パッケージ基板732に設けられた電極と、を電気的に接続する機能を有する。これらのことから、インターポーザ731を、「再配線基板」または「中間基板」と呼ぶ場合がある。また、インターポーザ731は、貫通電極を設けることで、当該貫通電極を用いて、集積回路と、パッケージ基板732と、を電気的に接続する場合もある。また、インターポーザ731は、シリコンインターポーザを用いる場合、貫通電極として、TSV(Through Silicon Via)を用いることもできる。
【0444】
インターポーザ731は、シリコンインターポーザを用いることが好ましい。シリコンインターポーザは、能動素子を設ける必要が無いため、集積回路よりも低コストで作製することができる。また、シリコンインターポーザは、配線形成を半導体プロセスで行うことができるため、樹脂インターポーザでは難しい微細配線の形成が容易である。
【0445】
HBMは、広いメモリバンド幅を実現するために、多くの配線を接続する必要がある。このため、HBMを実装するインターポーザは、微細かつ高密度の配線形成が求められる。よって、HBMを実装するインターポーザは、シリコンインターポーザを用いることが好ましい。
【0446】
また、例えば、シリコンインターポーザを用いた、SiPまたはMCMなどは、集積回路とインターポーザとの間の膨張係数の違いによる信頼性の低下が生じにくい。また、シリコンインターポーザは、表面の平坦性が高いため、シリコンインターポーザ上に設ける集積回路とシリコンインターポーザとの間の接続不良が生じにくい。特に、インターポーザ上に複数の集積回路を横に並べて配置する2.5Dパッケージ(2.5次元実装)は、シリコンインターポーザを用いることが好ましい。
【0447】
一方で、例えば、シリコンインターポーザ、およびTSVなどを用いて端子ピッチの異なる複数の集積回路を電気的に接続する場合、例えば、当該端子ピッチの幅などのスペースが必要となる。そのため、電子部品730のサイズを小さくしようとした場合、上記の端子ピッチの幅が問題になり、広いメモリバンド幅を実現するために必要な多くの配線を設けることが、困難になる場合がある。そこで、上述したように、OSトランジスタを用いたモノリシック積層の構成が好適である。TSVを用いて積層したメモリセルアレイと、モノリシック積層したメモリセルアレイと、を組み合わせた複合化構造としてもよい。
【0448】
電子部品730を実装した基板は、電子部品730と重ねてヒートシンク(放熱板)を設けてもよい。ヒートシンクを設ける場合、インターポーザ731上に設ける集積回路は、高さを揃えることが好ましい。例えば、本実施の形態に示す電子部品730は、半導体装置710と半導体装置735との高さを揃えることが好ましい。
【0449】
電子部品730を他の基板に実装するため、パッケージ基板732は、底部に電極733を設けてもよい。
図31(B)は、電極733を半田ボールで形成する例を示している。電子部品730は、パッケージ基板732の底部に半田ボールをマトリクス状に設けることで、BGA(Ball Grid Array)実装を実現できる。なお、電極733は、導電性のピンで形成してもよい。電子部品730は、パッケージ基板732の底部に導電性のピンをマトリクス状に設けることで、PGA(Pin Grid Array)実装を実現できる。
【0450】
電子部品730は、BGAまたはPGAに限らず様々な実装方法を用いて他の基板に実装することができる。例えば、SPGA(Staggered Pin Grid Array)、LGA(Land Grid Array)、QFP(Quad Flat Package)、QFJ(Quad Flat J-leaded package)、またはQFN(Quad Flat Non-leaded package)などの実装方法を用いることができる。
【0451】
〔電子機器〕
図32(A)は、電子機器6500の斜視図である。
図32(A)に示す電子機器6500は、スマートフォンとして用いることのできる携帯情報端末機である。電子機器6500は、例えば、筐体6501、表示部6502、電源ボタン6503、ボタン6504、スピーカ6505、マイク6506、カメラ6507、光源6508、および制御装置6509などを有する。なお、制御装置6509としては、例えば、CPU、GPU、および記憶装置の中から選ばれるいずれか一または複数を有する。本発明の一態様の半導体装置は、例えば、表示部6502、または制御装置6509などに適用することができる。本発明の一態様の半導体装置を、制御装置6509に用いることで、消費電力を低減させることができるため好適である。
【0452】
図32(B)は、電子機器6600の斜視図である。
図32(B)に示す電子機器6600は、ノート型パーソナルコンピュータとして用いることのできる情報端末機である。電子機器6600は、例えば、筐体6611、キーボード6612、ポインティングデバイス6613、外部接続ポート6614、表示部6615、および制御装置6616などを有する。なお、制御装置6616としては、例えば、CPU、GPU、および記憶装置の中から選ばれるいずれか一または複数を有する。本発明の一態様の半導体装置は、例えば、制御装置6509、または制御装置6616などに適用することができる。本発明の一態様の半導体装置を、制御装置6616に用いることで、消費電力を低減させることができるため好適である。
【0453】
〔大型計算機〕
図32(C)は、大型計算機5600の斜視図である。
図32(C)に示す大型計算機5600には、ラック5610に、ラックマウント型の計算機5620が複数格納されている。なお、大型計算機5600を、スーパーコンピュータと呼称してもよい。
【0454】
図32(D)は、計算機5620の構成例を説明する斜視図である。
図32(D)において、計算機5620は、マザーボード5630を有する。マザーボード5630は、複数のスロット5631と、複数の接続端子(図示しない。)と、を有する。スロット5631には、PCカード5621が挿入されている。加えて、PCカード5621は、接続端子5623、接続端子5624、および接続端子5625を有し、それぞれ、マザーボード5630に接続されている。
【0455】
図32(E)に示すPCカード5621は、例えば、CPU、GPU、および記憶装置などを備えた処理ボードの一例である。PCカード5621は、ボード5622を有する。また、ボード5622は、接続端子5623と、接続端子5624と、接続端子5625と、半導体装置5626と、半導体装置5627と、半導体装置5628と、接続端子5629と、を有する。なお、
図32(E)には、半導体装置5626、半導体装置5627、および半導体装置5628以外の半導体装置を図示しているが、それらの半導体装置については、以下に記載する半導体装置5626、半導体装置5627、および半導体装置5628の説明を参酌すればよい。
【0456】
接続端子5629は、マザーボード5630のスロット5631に挿入することができる形状を有しており、接続端子5629は、PCカード5621とマザーボード5630とを接続するためのインターフェースとして機能する。接続端子5629の規格としては、例えば、PCIe(Peripheral Component Interconnect Express)などが挙げられる。
【0457】
接続端子5623、接続端子5624、および接続端子5625のそれぞれは、例えば、PCカード5621に対して、例えば、電力供給、または信号入力などを行うためのインターフェースとすることができる。また、例えば、PCカード5621によって計算された信号の出力などを行うためのインターフェースとすることができる。接続端子5623、接続端子5624、および接続端子5625のそれぞれの規格としては、例えば、USB(Universal Serial Bus)、SATA(Serial ATA)、またはSCSI(Small Computer System Interface)などが挙げられる。また、接続端子5623、接続端子5624、および接続端子5625のそれぞれから映像信号を出力する場合、それぞれの規格としては、例えば、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)などが挙げられる。
【0458】
半導体装置5626は、信号の入出力を行う端子(図示しない。)を有しており、当該端子をボード5622が備えるソケット(図示しない。)に対して差し込むことで、半導体装置5626とボード5622を電気的に接続することができる。
【0459】
半導体装置5627は、複数の端子を有しており、当該端子をボード5622が備える配線に対して、例えば、リフロー方式のはんだ付けを行うことで、半導体装置5627とボード5622とを電気的に接続することができる。半導体装置5627としては、例えば、FPGA、GPU、またはCPUなどが挙げられる。半導体装置5627として、例えば、上述した電子部品730を用いることができる。
【0460】
半導体装置5628は、複数の端子を有しており、当該端子をボード5622が備える配線に対して、例えば、リフロー方式のはんだ付けを行うことで、半導体装置5628とボード5622とを電気的に接続することができる。半導体装置5628としては、例えば、記憶装置などが挙げられる。半導体装置5628として、例えば、上述した電子部品700を用いることができる。
【0461】
大型計算機5600は、並列計算機としても機能できる。大型計算機5600を並列計算機として用いることで、例えば、人工知能の学習および推論に必要な大規模の計算を行うことができる。
【0462】
〔宇宙用機器〕
本発明の一態様の半導体装置は、例えば、情報を処理し、かつ記憶する機器などの宇宙用機器に好適に用いることができる。
【0463】
本発明の一態様の半導体装置は、OSトランジスタを含むことができる。当該OSトランジスタは、放射線照射による電気特性の変動が小さい。つまり、当該OSトランジスタは、放射線に対する耐性が高いため、放射線が入射しうる環境において好適に用いることができる。例えば、OSトランジスタは、宇宙空間にて使用する場合に好適に用いることができる。
【0464】
図33は、宇宙用機器の一例として、人工衛星6800を示している。人工衛星6800は、機体6801と、ソーラーパネル6802と、アンテナ6803と、二次電池6805と、制御装置6807と、を有する。なお、
図33は、宇宙空間に惑星6804を例示している。なお、宇宙空間とは、例えば、高度100km以上を指すが、本明細書に記載の宇宙空間は、熱圏、中間圏、および成層圏を含んでもよい。
【0465】
また、
図33には、図示していないが、二次電池6805に、バッテリマネジメントシステム(BMSともいう)、またはバッテリ制御回路を設けてもよい。上述のバッテリマネジメントシステム、またはバッテリ制御回路に、OSトランジスタを用いると、消費電力が低く、かつ宇宙空間においても高い信頼性を有するため好適である。
【0466】
また、宇宙空間は、地上に比べて100倍以上、放射線量の高い環境である。なお、放射線は、例えば、X線もしくはガンマ線に代表される電磁波(電磁放射線)、または、例えば、アルファ線、ベータ線、中性子線、陽子線、重イオン線、もしくは中間子線などに代表される粒子放射線、が挙げられる。
【0467】
ソーラーパネル6802は、太陽光が照射されることにより、人工衛星6800が動作するために必要な電力が生成される。しかしながら、例えば、ソーラーパネル6802に太陽光が照射されない状況、またはソーラーパネル6802に照射される太陽光の光量が少ない状況では、ソーラーパネル6802は、生成される電力が少なくなる。よって、人工衛星6800は、動作するために必要な電力が生成されない可能性がある。ソーラーパネル6802で生成される電力が少ない状況下であっても人工衛星6800を動作させるために、人工衛星6800は、二次電池6805を設けるとよい。なお、ソーラーパネル6802は、太陽電池モジュールと呼ばれる場合がある。
【0468】
人工衛星6800は、信号を生成することができる。当該信号は、アンテナ6803を介して送信される。また、例えば、地上に設けられた受信機、または他の人工衛星は、当該信号を受信することができる。例えば、受信機は、人工衛星6800が送信した信号を受信することにより、当該受信機の位置を測定することができる。以上より、人工衛星6800は、衛星測位システムを構成することができる。
【0469】
また、制御装置6807は、人工衛星6800を制御する機能を有する。制御装置6807としては、例えば、CPU、GPU、および記憶装置の中から選ばれるいずれか一または複数を用いて構成される。なお、制御装置6807は、本発明の一態様であるOSトランジスタを含む半導体装置を用いると好適である。OSトランジスタは、Siトランジスタと比較し、放射線照射による電気特性の変動が小さい。つまり、OSトランジスタは、放射線が入射しうる環境においても信頼性が高く、好適に用いることができる。
【0470】
すなわち、OSトランジスタは、Siトランジスタと比較し、放射線耐性が高い、といった優れた効果を有する。
【0471】
また、人工衛星6800は、センサを有する構成とすることができる。例えば、人工衛星6800は、可視光センサを有する構成とすることにより、地上に設けられている物体に当たって反射された太陽光を検出する機能を有することができる。また、人工衛星6800は、熱赤外センサを有する構成とすることにより、地表から放出される熱赤外線を検出する機能を有することができる。以上より、人工衛星6800は、例えば、地球観測衛星としての機能を有することができる。
【0472】
なお、本実施の形態においては、宇宙用機器の一例として、人工衛星について例示したがこれに限定されない。例えば、本発明の一態様の半導体装置は、宇宙船、宇宙カプセル、または宇宙探査機などの宇宙用機器に好適に用いることができる。
【0473】
〔データセンター〕
本発明の一態様の半導体装置は、例えば、データセンターなどに適用されるストレージシステムに好適に用いることができる。データセンターは、例えば、データの不変性を保障するなど、データの長期的な管理を行うことが求められる。長期的なデータを管理する場合、例えば、膨大なデータを記憶するためのストレージおよびサーバの設置、データを保持するための安定した電源の確保、または、データの保持に要する冷却設備の確保、などが必要となる。そのため、例えば、データセンターの建屋の大型化が必要となる。
【0474】
データセンターに適用されるストレージシステムに本発明の一態様の半導体装置を用いることにより、データの保持に要する電力の低減、および、データを保持する半導体装置の小型化、を図ることができる。そのため、例えば、ストレージシステムの小型化、データを保持するための電源の小型化、および、冷却設備の小規模化、などを図ることができる。そのため、データセンターの省スペース化を図ることができる。
【0475】
また、本発明の一態様の半導体装置は、消費電力が少ないため、回路からの発熱を低減することができる。よって、当該発熱による、その回路自体、周辺回路、および周辺モジュールへの悪影響を低減できる。また、本発明の一態様の半導体装置を用いることにより、高温環境下においても動作が安定したデータセンターを実現できる。よって、データセンターの信頼性を高めることができる。
【0476】
図34にデータセンターに適用可能なストレージシステムを示す。
図34に示すストレージシステム7000は、ホスト7001(Host Computerと図示)として複数のサーバ7001sbを有する。また、ストレージ7003(Storageと図示)として複数の記憶装置7003mdを有する。また、ホスト7001とストレージ7003とが、ストレージエリアネットワーク7004(SAN:Storage Area Networkと図示)およびストレージ制御回路7002(Storage Controllerと図示)を介して接続されている。
【0477】
ホスト7001は、ストレージ7003に記憶されているデータにアクセスするコンピュータに相当する。ホスト7001同士は、ネットワークで互いに接続されていてもよい。
【0478】
ストレージ7003は、フラッシュメモリを用いることで、データへのアクセススピード、つまりデータの書き込みまたは読み出しに要する時間を短くしているものの、当該時間は、ストレージ内のキャッシュメモリとして用いることのできるDRAMが要する時間に比べて格段に長い。ストレージシステムでは、ストレージ7003のアクセススピードの長さの問題を解決するために、通常ストレージ内にキャッシュメモリを設けてデータの書き込みまたは読み出しに要する時間を短くしている。
【0479】
上述のキャッシュメモリは、ストレージ制御回路7002およびストレージ7003内に用いられる。ホスト7001とストレージ7003との間でやり取りされるデータは、ストレージ制御回路7002およびストレージ7003内の当該キャッシュメモリに記憶されたのち、ホスト7001またはストレージ7003に出力される。
【0480】
上述のキャッシュメモリのデータを記憶するためのトランジスタとして、OSトランジスタを用いてデータに応じた電位を保持する構成とすることで、当該キャッシュメモリのリフレッシュする頻度を減らし、かつ、当該キャッシュメモリの消費電力を小さくすることができる。また、メモリセルアレイが積層された構成とすることで、当該キャッシュメモリの小型化が可能である。
【0481】
なお、本発明の一態様の半導体装置を、電子部品、電子機器、大型計算機、宇宙用機器、およびデータセンターの中から選ばれるいずれか一または複数に適用することで、消費電力の低減を図ることができる。そのため、半導体装置の高性能化、または高集積化に伴うエネルギー需要の増加が見込まれる中、本発明の一態様の半導体装置を用いることで、二酸化炭素(CO2)に代表される、温室効果ガスの排出量を低減させることも可能となる。また、本発明の一態様の半導体装置は、低消費電力であるため、地球温暖化対策としても有効である。
【0482】
本実施の形態に示す構成、構造、方法などは、他の実施の形態などに示す構成、構造、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0483】
(本明細書等の記載に関する付記)
以上の実施の形態、および実施の形態における各構成の説明について、以下に付記する。
【0484】
本明細書等において、XとYとが接続されている、と記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合と、XとYとが直接接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとする。したがって、所定の接続関係、例えば、図または文章に示された接続関係、に限定されず、図または文章に示された接続関係以外のものも、図または文章に開示されているものとする。XおよびYは、それぞれ、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、または層など)であるとする。
【0485】
XとYとが電気的に接続されているとは、XとYとの間で、何らかの電気的作用を有する対象物が存在するとき、XとYとの電気信号の授受を可能とするものをいう。XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示デバイス、発光デバイス、または負荷など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。
【0486】
XとYとが機能的に接続されている場合の一例としては、XとYとの機能的な接続を可能とする回路(例えば、論理回路(例えば、インバータ、NAND回路、またはNOR回路など)、信号変換回路(例えば、デジタルアナログ変換回路、アナログデジタル変換回路、またはガンマ補正回路など)、電位レベル変換回路(例えば、電源回路(例えば、昇圧回路、または降圧回路など)、または信号の電位レベルを変えるレベルシフタ回路など)、電圧源、電流源、切り替え回路、増幅回路(例えば、信号振幅もしくは電流量などを大きく出来る回路、オペアンプ、差動増幅回路、ソースフォロワ回路、またはバッファ回路など)、信号生成回路、記憶回路、または制御回路など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、一例として、XとYとの間に別の回路を挟んでいても、Xから出力された信号がYへ伝達される場合は、XとYとは機能的に接続されているものとする。
【0487】
なお、XとYとが電気的に接続されている、と明示的に記載する場合は、XとYとが電気的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子または別の回路を挟んで接続されている場合)と、XとYとが直接接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子または別の回路を挟まずに接続されている場合)とを含むものとする。
【0488】
また、例えば、「XとYとトランジスタのソース(本明細書等では、第1の端子および第2の端子の一方と呼称する場合がある)とドレイン(本明細書等では、第1の端子および第2の端子の他方と呼称する場合がある)とは、互いに電気的に接続されており、X、トランジスタのソース、トランジスタのドレイン、Yの順序で電気的に接続されている。」と表現することができる。または、「トランジスタのソースはXと電気的に接続され、トランジスタのドレインはYと電気的に接続され、X、トランジスタのソース、トランジスタのドレイン、Yは、この順序で電気的に接続されている」と表現することができる。または、「Xは、トランジスタのソースとドレインとを介して、Yと電気的に接続され、X、トランジスタのソース、トランジスタのドレイン、Yは、この接続順序で設けられている」と表現することができる。これらの例と同様な表現方法を用いて、回路構成における接続の順序について規定することにより、トランジスタのソースと、ドレインとを、区別して、技術的範囲を決定することができる。なお、これらの表現方法は、一例であり、これらの表現方法に限定されない。ここで、XおよびYは、それぞれ、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、または層など)であるとする。
【0489】
なお、回路図上は独立している構成要素同士が電気的に接続しているように図示されている場合であっても、1つの構成要素が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合もある。例えば、配線の一部が電極としても機能する場合、一の導電膜が、配線および電極の、両方の構成要素の機能を併せ持っている。したがって、本明細書等における電気的に接続とは、このような、一の導電膜が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合も、その範疇に含める。
【0490】
また、本明細書等において、「抵抗素子」とは、例えば、0Ωよりも高い抵抗値を有する回路素子、または配線などを用いることができる。そのため、本明細書等において、「抵抗素子」は、例えば、抵抗値を有する配線、ソース-ドレイン間に電流が流れるトランジスタ、ダイオード、またはコイルなどを含むものとする。そのため、「抵抗素子」という用語は、例えば、「抵抗」、「負荷」、または「抵抗値を有する領域」などの用語に言い換えることができるものとする。逆に、「抵抗」、「負荷」、または「抵抗値を有する領域」という用語は、例えば、「抵抗素子」などの用語に言い換えることができるものとする。抵抗値としては、例えば、好ましくは1mΩ以上10Ω以下、より好ましくは5mΩ以上5Ω以下、さらに好ましくは10mΩ以上1Ω以下とすることができる。また、例えば、1Ω以上1×109Ω以下としてもよい。
【0491】
また、配線を抵抗素子として用いる場合、当該抵抗素子は、当該配線の長さによって抵抗値を決める場合がある。または、抵抗素子は、配線として用いる導電体とは異なる抵抗率を有する導電体を用いる場合がある。または、半導体を抵抗素子として用いる場合、当該抵抗素子は、当該半導体に不純物をドーピングすることで抵抗値を決める場合がある。
【0492】
また、本明細書等において、「容量素子」とは、例えば、0Fよりも高い静電容量の値を有する回路素子、0Fよりも高い静電容量の値を有する配線の領域、寄生容量、またはトランジスタのゲート容量などとすることができる。そのため、本明細書等において、「容量素子」は、一対の電極と、当該電極の間に含まれている誘電体と、を含む回路素子だけに限らない。「容量素子」は、例えば、配線と配線との間に生じる寄生容量、または、トランジスタのソースまたはドレインの一方とゲートとの間に生じるゲート容量、などを含むものとする。また、例えば、「容量素子」、「寄生容量」、または「ゲート容量」などという用語は、例えば、「容量」などの用語に言い換えることができるものとする。逆に、「容量」という用語は、例えば、「容量素子」、「寄生容量」、または「ゲート容量」などの用語に言い換えることができるものとする。また、「容量」の「一対の電極」という用語は、例えば、「一対の導電体」、「一対の導電領域」、または「一対の領域」などに言い換えることができる。なお、静電容量の値としては、例えば、0.05fF以上10pF以下とすることができる。また、例えば、1pF以上10μF以下としてもよい。
【0493】
また、本明細書等において、トランジスタは、ゲート(ゲート端子、ゲート領域、またはゲート電極ともいう)、ソース(ソース端子、ソース領域、またはソース電極ともいう)、およびドレイン(ドレイン端子、ドレイン領域、またはドレイン電極ともいう)と呼ばれる3つの端子を有する。また、トランジスタは、ドレインとソースとの間にチャネルが形成される領域(チャネル形成領域ともいう)を有する。トランジスタは、チャネル形成領域を介して、ソースとドレインとの間に電流を流すことができるものである。なお、チャネル形成領域は、電流が主として流れる領域である。ゲートは、ソースとドレインとの間の、チャネル形成領域に流れる電流量を制御する制御端子である。ソースまたはドレインとして機能する2つの端子は、トランジスタの入出力端子である。
【0494】
なお、2つの入出力端子は、トランジスタの導電型(nチャネル型またはpチャネル型)およびトランジスタの3つの端子に与えられる電位の高低によって、一方がソースとなり他方がドレインとなる。また、例えば、回路動作において電流の方向が変化する場合などにおいて、ソースとしての機能とドレインとしての機能とが入れ替わることがある。このため、本明細書等においては、「ソース」と「ドレイン」の用語は、言い換えることができるものとする。また、本明細書等では、トランジスタの接続関係を説明する際、「ソースまたはドレインの一方」(または第1電極、または第1端子)、または「ソースまたはドレインの他方」(または第2電極、または第2端子)という表記を用いる。
【0495】
なお、トランジスタは、構造によって、上述した3つの端子に加えて、バックゲートを有する場合がある。この場合、本明細書等において、トランジスタのゲートまたはバックゲートの一方を第1ゲートと呼称し、トランジスタのゲートまたはバックゲートの他方を第2ゲートと呼称することがある。さらに、同じトランジスタにおいて、「ゲート」と「バックゲート」の用語は互いに入れ換えることができる場合がある。また、トランジスタが、3以上のゲートを有する場合、本明細書等においては、それぞれのゲートを、例えば、第1ゲート、第2ゲート、または第3ゲートなどと呼称することがある。
【0496】
なお、本明細書等において、トランジスタは、ゲート電極が2個以上のマルチゲート構造のトランジスタを用いることができる。マルチゲート構造のトランジスタは、チャネル形成領域が直列に接続されるため、複数のトランジスタが直列に接続された構造となる。よって、マルチゲート構造のトランジスタは、オフ電流の低減、およびトランジスタの耐圧向上(信頼性の向上)を図ることができる。また、マルチゲート構造のトランジスタは、飽和領域で動作する時に、ドレインとソースとの間の電圧が変化しても、ドレインとソースとの間の電流があまり変化せず、傾きがフラットである電圧・電流特性を得ることができる。傾きがフラットである電圧・電流特性を持つトランジスタは、理想的な電流源回路、または非常に高い抵抗値をもつ能動負荷を実現することができる。その結果、傾きがフラットである電圧・電流特性を持つトランジスタは、例えば、特性のよい差動回路、またはカレントミラー回路などを実現することができる。
【0497】
また、本明細書等において、回路図上で、単一の回路素子が図示されている場合、当該回路素子は、複数の回路素子を有する場合がある。例えば、回路図上に1個の抵抗が記載されている場合、当該抵抗は、2個以上の抵抗が直列に電気的に接続されている場合を含むものとする。また、例えば、回路図上に1個の容量が記載されている場合、当該容量は、2個以上の容量が並列に電気的に接続されている場合を含むものとする。また、例えば、回路図上に1個のトランジスタが記載されている場合、当該トランジスタは、2個以上のトランジスタが直列に電気的に接続され、かつそれぞれのトランジスタのゲート同士が電気的に接続されている場合を含むものとする。また、同様に、例えば、回路図上に1個のスイッチが記載されている場合、当該スイッチは、2個以上のトランジスタを有し、かつ、2個以上のトランジスタが直列または並列に電気的に接続され、かつ、それぞれのトランジスタのゲート同士が電気的に接続されている場合を含むものとする。
【0498】
また、本明細書等において、「ノード」は、例えば、回路構成、またはデバイス構造などに応じて、例えば、「端子」、「配線」、「電極」、「導電層」、「導電体」、または「不純物領域」などと言い換えることが可能である。また、例えば、「端子」、または「配線」などは、「ノード」と言い換えることが可能である。
【0499】
また、本明細書等において、「電圧」と「電位」は、適宜言い換えることができる。「電圧」は、基準となる電位からの電位差のことである。例えば、基準となる電位をグラウンド電位(接地電位)とすると、「電圧」は、「電位」に言い換えることができる。なお、グラウンド電位は、必ずしも0Vを意味するとは限らない。また、電位は、相対的なものである。すなわち、基準となる電位が変わることによって、例えば、配線に与えられる電位、例えば回路などに印加される電位、または、例えば回路などから出力される電位なども、変化する。
【0500】
また、本明細書等において、「高レベル電位(「ハイレベル電位」、「H電位」、または「H」ともいう)」または「低レベル電位(「ローレベル電位」、「L電位」、または「L」ともいう)」という用語は、特定の電位を意味するものではない。例えば、2本の配線において、両方とも「高レベル電位を供給する配線として機能する」と記載されていた場合、両方の配線が与えるそれぞれの高レベル電位は、互いに等しくなくてもよい。また、同様に、2本の配線において、両方とも「低レベル電位を供給する配線として機能する」と記載されていた場合、両方の配線が与えるそれぞれの低レベル電位は、互いに等しくなくてもよい。
【0501】
また、本明細書等において、「電流」とは、電荷の移動現象(電気伝導)のことである。例えば、「正の荷電体の電気伝導が起きている」という記載は、「その逆向きに負の荷電体の電気伝導が起きている」と換言することができる。そのため、本明細書等において、「電流」とは、特に断らない限り、キャリアの移動に伴う電荷の移動現象(電気伝導)をいうものとする。ここでいうキャリアとは、例えば、電子、正孔、アニオン、カチオン、または錯イオンなどが挙げられる。なお、キャリアは、電流の流れる系(例えば、半導体、金属、電解液、または真空中など)によって異なる。また、例えば配線などにおける「電流の向き」は、正のキャリアが移動する方向とし、正の電流量で記載する。換言すると、負のキャリアが移動する方向は、電流の向きと逆の方向となり、負の電流量で表現される。そのため、本明細書等において、電流の正負(または電流の向き)について断りがない場合、例えば「素子Aから素子Bに電流が流れる」などの記載は、例えば「素子Bから素子Aに電流が流れる」などに言い換えることができるものとする。また、例えば「素子Aに電流が入力される」などの記載は、「素子Aから電流が出力される」などに言い換えることができるものとする。
【0502】
また、本明細書等において、「第1」、「第2」、または「第3」という序数詞は、構成要素の混同を避けるために付したものである。したがって、構成要素の数を限定するものではない。また、構成要素の順序を限定するものではない。例えば、本明細書等の実施の形態の一において「第1」に言及された構成要素が、他の実施の形態あるいは特許請求の範囲等において、「第2」に言及された構成要素とされることもありうる。また、例えば、本明細書等の実施の形態の一において「第1」に言及された構成要素が、他の実施の形態あるいは特許請求の範囲等において、省略されることもありうる。
【0503】
また、本明細書等において、例えば、「上に」、「下に」、「上方に」、または「下方に」などの配置を示す語句は、構成要素同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている場合がある。また、構成要素同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。したがって、本明細書等で説明した配置を示す語句は、それに限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。例えば、「導電体の上面に位置する絶縁体」の表現は、示している図面の向きを180度回転することによって、「導電体の下面に位置する絶縁体」と言い換えることができる。また、「導電体の上面に位置する絶縁体」の表現は、示している図面の向きを90度回転することによって、「導電体の左面(もしくは右面)に位置する絶縁体」と言い換えることができる。
【0504】
また、「上」または「下」の用語は、構成要素の位置関係が直上または直下で、かつ、直接接していることを限定するものではない。例えば、「絶縁層A上の電極B」の表現は、絶縁層Aの上に電極Bが直接接して形成されている必要はなく、絶縁層Aと電極Bとの間に他の構成要素を含むものを除外しない。
【0505】
また、本明細書等において、マトリクス状に配置された構成要素、およびその位置関係を説明するために、例えば、「行」または「列」などの語句を使用する場合がある。また、構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。したがって、本明細書等で説明した、例えば、「行」または「列」などの語句は、それに限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。例えば、「行方向」という表現は、示している図面の向きを90度回転することによって、「列方向」と言い換えることができる。
【0506】
また、本明細書等において、例えば、「重なる」などの用語は、例えば構成要素の積層順などの状態を限定するものではない。例えば、「絶縁層Aに重なる電極B」の表現は、絶縁層Aの上に電極Bが形成されている状態に限らない。「絶縁層Aに重なる電極B」の表現は、例えば、絶縁層Aの下に電極Bが形成されている状態、または、絶縁層Aの右側(もしくは左側)に電極Bが形成されている状態、などを除外しない。
【0507】
また、本明細書等において、「隣接」または「近接」の用語は、構成要素が直接接していることを限定するものではない。例えば、「絶縁層Aに隣接する電極B」の表現は、絶縁層Aと電極Bとが直接接して形成されている必要はなく、絶縁層Aと電極Bとの間に他の構成要素を含むものを除外しない。
【0508】
また、本明細書等において、例えば、「膜」または「層」などの語句は、状況に応じて、互いに入れ換えることが可能な場合がある。例えば、「導電層」という用語は、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。例えば、「絶縁膜」という用語は、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。また、例えば、「膜」または「層」などの語句は、それらの語句を使わずに、状況に応じて、別の用語に入れ換えることが可能な場合がある。例えば、「導電層」または「導電膜」という用語は、「導電体」という用語に変更することが可能な場合がある。また、「導電体」という用語は、「導電層」または「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。例えば、「絶縁層」または「絶縁膜」という用語は、「絶縁体」という用語に変更することが可能な場合がある。また、「絶縁体」という用語は、「絶縁層」または「絶縁膜」という用語に変更することが可能な場合がある。
【0509】
また、本明細書等において、例えば、「電極」、「配線」、または「端子」などの用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「電極」は、「配線」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。さらに、「電極」または「配線」の用語は、例えば、複数の「電極」または「配線」が一体となって形成されている場合なども含む。また、例えば、「端子」は、「配線」または「電極」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。さらに、「端子」の用語は、例えば、複数の「電極」、「配線」、または「端子」などが一体となって形成されている場合なども含む。そのため、例えば、「電極」は、「配線」または「端子」の一部とすることができる。また、例えば、「端子」は、「配線」または「電極」の一部とすることができる。また、例えば、「電極」、「配線」、または「端子」などの用語は、例えば、「領域」などの用語に置き換える場合がある。
【0510】
また、本明細書等において、例えば、「配線」、「信号線」、または「電源線」などの用語は、状況に応じて、互いに入れ換えることが可能な場合がある。例えば、「配線」という用語は、「信号線」という用語に変更することが可能な場合がある。また、例えば、「配線」という用語は、「電源線」などの用語に変更することが可能な場合がある。また、その逆も同様で、例えば、「信号線」または「電源線」などの用語は、「配線」という用語に変更することが可能な場合がある。また、例えば、「電源線」などの用語は、「信号線」などの用語に変更することが可能な場合がある。また、その逆も同様で、例えば、「信号線」などの用語は、「電源線」などの用語に変更することが可能な場合がある。また、配線に印加されている「電位」という用語は、状況に応じて、例えば、「信号」などという用語に変更することが可能な場合がある。また、その逆も同様で、例えば、「信号」などの用語は、「電位」という用語に変更することが可能な場合がある。
【0511】
また、本明細書等において、「スイッチ」とは、複数の端子を備え、かつ、当該端子間の導通または非導通を切り換える(選択する)機能を備える。例えば、スイッチが2つの端子を備え、かつ、両端子間が導通している場合、当該スイッチは、「導通状態である」または「オン状態である」という。また、両端子間が非導通である場合、当該スイッチは、「非導通状態である」または「オフ状態である」という。なお、当該スイッチは、導通状態もしくは非導通状態の一方の状態に切り換えること、または、導通状態もしくは非導通状態の一方の状態を維持することを、「導通状態を制御する」という場合がある。
【0512】
つまり、スイッチとは、電流を流すか流さないかを制御する機能を備えるものをいう。または、スイッチとは、電流を流す経路を選択して切り換える機能を備えるものをいう。スイッチとして、例えば、電気的なスイッチまたは機械的なスイッチなどを用いることができる。つまり、スイッチは、電流を制御できるものであればよく、特定のものに限定されない。
【0513】
なお、スイッチの種類として、通常は非導通状態で、導通状態を制御することで導通状態となるスイッチがあり、このようなスイッチは、「A接点」という場合がある。また、スイッチの種類として、通常は導通状態で、導通状態を制御することで非導通状態となるスイッチがあり、このようなスイッチは、「B接点」という場合がある。
【0514】
電気的なスイッチの一例としては、例えば、トランジスタ(例えば、バイポーラトランジスタ、またはMOSトランジスタなど)、ダイオード(例えば、PNダイオード、PINダイオード、ショットキーダイオード、MIM(Metal Insulator Metal)ダイオード、MIS(Metal Insulator Semiconductor)ダイオード、またはダイオード接続のトランジスタなど)、またはこれらを組み合わせた論理回路などがある。なお、トランジスタを単なるスイッチとして動作させる場合、トランジスタの極性(導電型)は、特に限定されない。
【0515】
機械的なスイッチの一例としては、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システムズ)技術を用いたスイッチがある。そのスイッチは、機械的に動かすことが可能な電極を備え、かつ、その電極が動くことによって、導通状態または非導通状態を選択する。
【0516】
本明細書等において、トランジスタの「チャネル長」とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲートとが重なる領域におけるソースとドレインとの間の距離、または、チャネルが形成される領域におけるソースとドレインとの間の距離、をいう。
【0517】
また、本明細書等において、トランジスタの「チャネル幅」とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲートとが重なる領域におけるソースとドレインとが向かい合っている部分の長さ、または、チャネルが形成される領域におけるソースとドレインとが向かい合っている部分の長さ、をいう。
【0518】
本明細書等において、例えば、「基板」、「ウエハ」、または「ダイ」などの用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「基板」、「ウエハ」、または「ダイ」などの用語は、状況に応じて、互いに入れ換えることが可能な場合がある。
【0519】
本明細書等において、「平行」とは、2つの直線が-10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略平行」または「概略平行」とは、2つの直線が-30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。また、「垂直」とは、2つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」または「概略垂直」とは、2つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
【0520】
なお、本明細書等において、「高さが一致または概略一致」とは、断面視において、基準となる面(例えば、基板表面などの平坦な面)からの高さが等しいことをいう。例えば、半導体装置の製造プロセスにおいて、平坦化処理を行うことで、単層または複数の層の表面が露出する場合がある。この場合、平坦化処理の被処理面は、基準となる面からの高さが等しくなる。ただし、当該被処理面は、平坦化処理の際の、処理装置、処理方法、または被処理面の材料によって、複数の層の高さが厳密には等しくならない場合がある。本明細書等において、この場合も、「高さが一致または概略一致」という。例えば、基準面に対して、高さが異なる2つの層(ここでは第1の層と、第2の層とする)を有する場合、第1の層の上面の高さと、第2の層の上面の高さと、の差が、20nm以下である場合も、「高さが一致または概略一致」という。
【0521】
なお、本明細書等において、「端部が一致または概略一致」とは、上面視において、積層した層と層との間で少なくとも輪郭の一部が重なることをいう。例えば、半導体装置の製造プロセスにおいて、上層と下層とが、同一のマスクパターン、または一部が同一のマスクパターンにより加工された場合を含む。ただし、厳密には輪郭が重ならず、上層の輪郭が下層の輪郭より内側に位置すること、または、上層の輪郭が下層の輪郭より外側に位置することもある。本明細書等において、この場合も、「端部が一致または概略一致」という。
【0522】
なお、本明細書等において、例えば、計数値および計量値に関して、または、計数値もしくは計量値に換算可能な、物、方法、および事象などに関して、例えば、「同一」、「同じ」、「等しい」、または「均一」(これらの同意語を含む)などと言う場合、これらは、明示されている場合を除き、プラスマイナス20%の誤差を含むものとする。
【0523】
本明細書等において、半導体の不純物とは、例えば、半導体層を構成する主成分以外をいう。例えば、濃度が0.1原子%未満の元素は、不純物である。半導体は、不純物が含まれることにより、例えば、半導体の欠陥準位密度が高くなること、キャリア移動度が低下すること、または、結晶性が低下すること、などが起こる場合がある。半導体が酸化物半導体である場合、当該半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素、または酸化物半導体の主成分以外の遷移金属などがある。特に、例えば、水素(水にも含まれる)、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リン、炭素、または窒素などがある。酸化物半導体は、例えば、不純物の混入によって、当該酸化物半導体に酸素欠損(VO:oxygen vacancyともいう)が形成される場合がある。
【0524】
本明細書等において、金属酸化物(metal oxide)とは、広い意味での金属の酸化物である。金属酸化物は、例えば、酸化物絶縁体、酸化物導電体(透明酸化物導電体を含む)、または酸化物半導体(Oxide Semiconductorまたは単にOSともいう)などに分類される。例えば、トランジスタの半導体層に金属酸化物を用いた場合、当該金属酸化物は、酸化物半導体と呼称する場合がある。つまり、増幅作用、整流作用、およびスイッチング作用の少なくとも1つを有するトランジスタのチャネル形成領域を構成し得るものとして、金属酸化物を用いた場合、当該金属酸化物は、金属酸化物半導体(metal oxide semiconductor)と呼称することができる。また、「OSトランジスタ」の記載は、金属酸化物または酸化物半導体を有するトランジスタと換言することができる。
【0525】
また、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も、金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物は、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。
【0526】
また、本明細書に係る図面等において、X方向、Y方向、およびZ方向を示す矢印を付す場合がある。本明細書等において、「X方向」は、X軸に沿う方向であり、明示する場合を除き順方向と逆方向を区別しない場合がある。「Y方向」および「Z方向」についても、同様である。また、X方向、Y方向、およびZ方向は、それぞれが互いに交差する方向である。より具体的には、X方向、Y方向、およびZ方向は、それぞれが互いに直交する方向である。本明細書等では、X方向、Y方向、またはZ方向の1つを「第1方向」または「第1の方向」と呼ぶ場合がある。また、他の1つを「第2方向」または「第2の方向」と呼ぶ場合がある。また、残りの1つを「第3方向」または「第3の方向」と呼ぶ場合がある。
【符号の説明】
【0527】
100 半導体装置
101 状態制御部
102 CPUコア
103 レジスタ部
104 演算部
105 レジスタバンク
106 汎用レジスタ
110 レジスタ
110A 半導体装置
120 スキャンフリップフロップ
121 セレクタ
122 フリップフロップ
123 トランジスタ
130A データ保持回路
131 メモリ回路
171 基板
173 電極
174 電極
175 プラグ
180 ダイ
BK 信号
RE 信号
SE 信号
CLK 信号
D 端子
SD 端子
Q 端子
Df 入力端子
Qf 出力端子
SD_IN 端子
S101 ステップ
S103 ステップ
S104 ステップ
S105 ステップ
S106 ステップ
S107 ステップ
S108 ステップ
S109 ステップ
S110 ステップ
S121 ステップ
S122 ステップ
S123 ステップ
S124 ステップ
S125 ステップ
S131 ステップ
S1512 ステップ
S1513 ステップ
S1522 ステップ
S1523 ステップ
S1532 ステップ
S1533 ステップ
S161 ステップ
S1711 ステップ
S1712 ステップ
S1721 ステップ
S1722 ステップ
S1731 ステップ
S1732 ステップ
S181 ステップ
T1 時刻
T2 時刻
T3 時刻
T4 時刻
T5 時刻
110Aa 半導体装置
130Aa データ保持回路
131a メモリ回路
13a インバータ
13b インバータ
132 クロックドインバータ
133 インバータ
134 クロックドインバータ
135 インバータ
SN ノード
T11 期間
T12 期間
T13 期間
T14 期間
T15 期間
T16 期間
T17 期間
T18 期間
D1 データ
D2 データ
D3 データ
D4 データ
D5 データ
D6 データ
D7 データ
110Ab 半導体装置
124 インバータ
125 プリチャージ回路
126 センスアンプ
130Ab データ保持回路
131b メモリ回路
136 トランジスタ
137 トランジスタ
138 トランジスタ
139 トランジスタ
PC_EN 信号
QB 端子
BLb ノード
BLBb ノード
110B 半導体装置
130B データ保持回路
182 層
MS1 トランジスタ
MS2 トランジスタ
SW 信号
S202 ステップ
S205 ステップ
S207 ステップ
S209 ステップ
S241 ステップ
S242 ステップ
S243 ステップ
S244 ステップ
S245 ステップ
S246 ステップ
S2511 ステップ
S2521 ステップ
S2531 ステップ
110Ba 半導体装置
130Ba データ保持回路
311 基板
500 トランジスタ
550 トランジスタ
710 半導体装置
733 電極
735 半導体装置
5626 半導体装置
5627 半導体装置
5628 半導体装置